○楠見
義男君
只今議題にな
つております
特別調達庁設置法の一部を改正する
法律案は、
昭和二十七年度
予算の成立と、それから対日
平和條約並びに
日米安全保障條約、更にその保障條約に基く
行政協定の成立に伴う法案でありますから、私はこの法案については賛成いたしたいと思うのでありますが、ただこの法案に賛成するに当
つて強く要望いたしておきたいことが若干ございますので、その点を
政府に要望しておきたいと思うのであります。
その点は先ほど来質疑応答を重ねた事項でもございますが、
駐留軍の物資並びに
役務の
調達方式についてであります。今回の
改正法律案と、
只今申上げた物資、
役務の
調達方式とは、必らずしも直接不可分の重大な
関係はないようでありますが、併し又見ようによりましては、改正
條文の第三條のごときものは、将来
調達方式がどういうふうになるであろうかということと相当の深い関連があるようにも思われるのであります。即ち若しいわゆる
米軍の直接
調達というものが全部を占めるということになれば、第三條の一号の規定のごときは全く
空文に帰するようにも思われるのであります。
政府側の御
説明を伺いますと、当分の間はやはり
特別調達庁において、新らしい
法律で言えば
調達庁においてその
調達の
仕事に従事される。而もそれが第三條に規定されておりますように、
調達庁の主たる
任務の
一つにな
つておるのです。当分の間が過ぎた後にどうなるかということについては、現在のところ未定のようでありますが、
従つてその未定の
状況でありまするだけに私は強く
政府に要望しておかなければならんと思
つておるのであります。直接
調達、
間接調達の是非、又利害得失については、先ほど
調達庁長官から御
説明を伺いましたので大体はわかりましたが、その際に私
質問し、又多少
意見に亘
つて申述べたのでありますが、その申述べました
通り、直接
調達の問題は、物資の
調達を、特に物資についてでありますが、物資の
調達を合理的に又
経費を安く上げるということに狙いがあるようでございまするが、その一面我が国の産業の実情、特に中小企
業者の現状、金詰りによる換金投売りの要請の甚だしい現状において、特にその感を深くするのでありますが、ややもいたしますると、狙いの公正妥当なる売買というものが、実は我が国の特殊事情によ
つて非常に不公正な、又不健全なことになる虞れなきを保しがたいことを心配するのであります。いわんや言語風俗その他の異なる両国の間の問題でありますから、この
関係が單に経済上の問題にとどまらず、
国民的な
感情の齟齬、
従つてそれがひいて折角両国が共同して
日本の治安防衛に当ろうという、その最も緊密でなければならん両国の間に好ましからざる
感情がそこに湧き出て来、又そこに
一つの隙が出て来ることもこれは想像にかたくないのであります。
従つて事柄は
個々の極めて重要ならざる物資の
調達の場合でありましても、それから生ずるところの影響というものは決して軽視することのできない大きな影響を両国に及ぼすことを懸念するのであります。
従つて私はできればこの
調達の問題は直接
調達ではなしに
間接調達で行かれることを希望するのであります。そういう
意味で、勿論ものによ
つて必ずしもそう潔癖に行かん問題があろうかと思いますが、できるだけ
間接調達の方式で行かれるように、今後の両国の交渉に当
つては特に
政府の善処方を要望したいのであります。例えばこれはまだ効力は発生しておりませんが、この種の條約としては一番新らしい事例としての、いわゆる「北大西洋條約締結
国内ニオケル
駐留軍ノ地位ニ関スル協定」でありますが、この條約の九條におきましても、例えばその第二項に「
駐留軍マタハソノ非戰團要員ノ維持ノタメニ必要トスル現地物資ハ、通例、受容国の
軍隊ノタメニカカル物資の購入ニアタル当局ヲ通シテ購入スルモノトスル。斯ル購入ヲ行ウ結果トシテ受容国ノ経済ニ不利ノ影響ヲ及ボスコトヲ避ケルタメ、当該国ノ当局ハ、必要ノ場合、購入制限、マタハ購入禁止ヲ行フベキ物品ヲ指定スル。」、物品についてはこういうふうに我々の
主張する
間接調達の方式が明らかにされておりまするし、又
役務の問題につきましては、同じく第九條の四項におきまして「
駐留軍マタハソノ非職鬪要員ノ現地民間ニ労務ニ関スル要求ノ充足ハ、受容国ノ同種要求ト同様ノ方法ニヨリ、雇傭紹介所ヲ通ズル受容国当局ノ援助ニヨツテ行ウ。特定ノ賃銀、加給、及ビ労務者保護ノ條件ニ於ケル雇傭條件ハ、受容国
法令ノ定ムル所ニヨル」
云々、雇用の場合につきましても同様のことであります。私はこれが本筋であろうと思いまするし、これは單に問題は、先ほども申上げましたように純経済的の問題のみならず、それが政治的に非常に大きな影響を持つということを深く考慮しての措置であろうと思いますので、特にこの点は重ねて強く要望しておきたいと思うのであります。
同時にもう
一つの問題は、
調達に関する防衛分担金の
使い方についてもそうでありますが、我々は当初ジヨイント・アカウントによ
つて、こちらもその
使い方について相当関與し得る機会を得ること、又向う側もこちらの
調達についても相当關與し得る機会を得ること、いずれもそういうような機会を得て、そうして公正妥当にこの両国の租税が有効適切に使われることを期待してお
つたのでありますが、最近伺いますと、必ずしもそういうふうにはならず、我がほうは殆んどこれには関與する機会がないのではないかと疑われるような節もございますので、この点についても特に
政府側としては今後の予備交渉その他の交渉の際に特に善処方をお願いいたしたいと思うのであります。
以上の点を強く今後の問題として
政府の善処方を要望いたしまして、本案に賛成いたします。