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1952-04-05 第13回国会 参議院 内閣・地方行政連合委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年四月五日(土曜日)    午前十一時十一分開会   —————————————  出席者は左の通り。   内閣委員    委員長     河井 彌八君    理事            山田 佐一君            鈴木 直人君    委員            横尾  龍君            楠見 義男君            竹下 豐次君            赤松 常子君            上條 愛一君   地方行政委員    委員長     西郷吉之助君    理事            中田 吉雄君    委員            高橋進太郎君            岡本 愛祐君            若木 勝藏君            原  虎一君            石川 清一君   国務大臣    運 輸 大 臣 村上 義一君    国 務 大 臣 大橋 武夫君   政府委員    警察予備隊本部    次長      江口見登留君    警察予備隊本部    装備局長    中村  卓君    警察予備隊本部    経理局長    窪谷 直光君    海上保安庁長官 柳沢 米吉君    海上保安庁次長 山崎小五郎君   事務局側    常任委員会專門    員       杉田正三郎君    常任委員会專門    員       藤田 友作君    常任委員会專門    員       福永與一郎君    常任委員会專門    員       武井 群嗣君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○海上保安庁法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○警察予備隊令の一部を改正する等の  法律案内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 河井彌八

    委員長河井彌八君) これより内閣委員会地方行政委員会連合委員会を開会いたします。  海上保安庁法の一部を改正する法律案を議題といたします。前回に引続きまして質疑を続行いたします。
  3. 原虎一

    原虎一君 一昨日の連合委員会での運輸大臣の御説明では、いわゆる政府考えております自衛力漸増構想に基く保安庁というものとこの海上警備隊との関連が明確にならなかつたようであります。というよりはむしろ運輸大臣の御説明は、それとは別個のものであるかの、ごとき印象を深める御説明がありましたので、我々の今まで知り得た情報、調査範囲におきましては、運輸大臣のお考えは、お立場はお立場でありましようとも、それは日本の国全体の立場からお考えなつている答弁でない。いわゆる海上保安庁法の一部を改正するというこの範囲だけにおいて御答弁がなされた。これでは問題の根本に触れて審議はできない。こういうわけで運輸大臣のみでなくて大橋国務大臣の御出席を要求いたしたわけであります。そこで幸いにその日の夕刊から、私ども考えておりまする保安庁という問題が、閣僚懇談会或いは三大臣懇談会でだんだん明確になつて来た。それで本日の閣議で正式決定されるという新聞の報道があつたのです。本日閣議がありまして決定されましたならば、いわゆる保安庁構想というものを大橋大臣から御説明を願えば、この海上自衛隊任務、又将来どこに重点を置いてこれが発展して行くのか、或いは一時的のものであるかということが明確になると思うのです。是非この保安庁構想というものを御説明願いたいと思うのであります。
  4. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 保安庁構想についての御質問でございます。丁度只今閣議でいろいろその相談がございまして大体の構想政府といたしましてまとまつた次第でございますから、この機会に御説明を申上げたいと存じます。  保安庁総理府の外局としてこれを設ける次第でございます。その長官国務大臣を以て充てその直接補佐官として次長を置くことにいたしました。この長官次長の下におきまして現在いたしておりまする警察予備隊、これは将来保安隊その他に名称その他改正を行われることが予定せられておりまするが、その警察予備隊並びに現在御審議を頂いておりまする海上保安庁に設けられまする海上警察予備隊、これを統轄することを主眼といたした次第でございます。この警察予備隊並び海上警備隊は、いずれもその活動單位部隊をなしておりまするから、この部隊に対しまする指揮並びに部隊全体の運営についての管理、これらの仕事をこの保安庁において統轄をいたすわけでございます。保安庁には只今までの構想といたしましては、官房のほかに保安局人事局経理局装備局の四局を設けまして、これらの各局をして只今申上げました警察予備隊並び海上警備隊管理監督に関する事務を分掌せしめる次第でございます。別に一局を置きまして、海上警備救難局、こういうものを設けたいと存じております。この海上警備救難局只今海上保安庁にありまする警備救難監の担当いたしておりまする事務のうち、警備救難事務局をこの新機構の所轄にいたしたいという考えでございます。警備救難監は現在警備救難事務のほかに水路に関する事務並びに燈台に関する事務を掌つておりまして警備救難部燈台部水路部、こういう三つの部からできておるわけでございますが、このうちで警備救難部のみを新機構に移したい、こういう考えでございます。なお長官次長に属しまする直接の機関といたしましては若干の附属機関がございます。附属機関一つ学校でございます。学校におきましては、この保安庁管轄下のすべての学校長官次長に直属せしめて附属機関とするつもりはございません。陸上部隊海上部隊のそれぞれに特有な学校につきましては、これはむしろ一つ部隊としてこれを設け、それらの部隊と同様に指揮監督することが適当であると存じまするが、併し陸上海上双方に通じて設けられるべき学校が予想せられつつあります。それは第一には職員養成機関でございます。養成機関と申しますのは、まだ正式に職員に任命されておらないものを将来職員として任命する前に予備的に教育をする制度でございます。従来の陸軍におきまする士官学校、或いは海軍におきまする兵学校等は、これは正式に士官なつておる人たち教育する学校ではなくて士官になる前に予備教育をいたしておりますそういうふうなものでございます。これらのものはできるだけ一緒に将来陸上において勤務いたしまするものも、海上において勤務いたしまするものも一緒教育するということが、今後の陸上海上双方運営から言つて適切であると認められます。従つてこうしたものは直接長官次長に直属しまする附属機関として運営いたすことにいたしたい、こう考えております。又双方に共通な技術的な研究、これも陸上のものは陸上研究所海上のものは海上研究所というふうに二重にいたしますることは、いろいろな点で便利な面もありまするが、経済的にもなかなか困難でございまするから、共通なものはできるだけ共通の研究所を作りたい、そういうものができました場合に、共通な部分長官に直属した附属機関にいたしたい、こう存じております。  以上が大体の管理監督に関する機構並びに長官次長に直属いたしまする機構でございますが、この保安庁の主たる任務部隊運用管理にあるわけでございまするから、この部隊運用管理に関する事務につきましては、先に申上げましたる保安局人事局経理局装備局、これらの職員補助機関といたしまして、長官次長がこれを指揮統率し得るような事務があるわけでございまして、それがために必要な機構を設ける必要があると存じます。そこでこれは幕僚というものが必要になるわけでございますが、幕僚の段階におきましては、第一幕僚長と第二幕僚長を設けるようにいたしたい。第一幕僚長警察予備隊に属する各部隊指揮監督する、第二幕僚長海上部隊に属する各部隊指揮監督する、つまり長官の代理としてこれらの部隊に対して長官命令を下達する機関になり、又長官がこれらの部隊監督する場合におきまする必要なる立案、助言等をこれらの機関が担当いたします。こういうふうにいたしたいと存じておるわけでございます。従いまして、この保安庁機構は局に属する機構と、幕僚に属する機構とに分れるわけでございますが、局におきましては、大体制服隊員でない人が職員になるように考慮する必要があると存じております。幕僚部におきましては、原則として制服隊員が、その衝に当るということに考えておるわけでございます。もとより事務の必要に応じまして、各局制服隊員が勤める、又幕僚部隊員以外の制服を着ない人たちが勤めるということもあり得ると存じますが、それは例外でありますばかりでなく、特に各局局長課長等の幹部につきましては、制服隊員は任用しないで、局長課長を補佐するために必要な職員としてのみそういう人たちの勤務を認めるようにいたしたい、こう考えておるわけでございます。  なお警備救難につきましては、地方機関がございまして、現在警備救難局或いは警備救難署というものがあるわけでございますが、これらは警備救難局と共に移管される、こういうふうに考えておる次第でございます。従いまして、現在の海上保安庁事務の中では、新しくできまするところの海上警備隊並びに現在航路啓開部という仕事がございます。この航路啓開仕事機器水雷の処理、こういう仕事でございまして、海上警備隊仕事と非常に密接でございますので、これを一括いたしまして新機構の下における海上警備隊というものを組織編成いたしたいと思つております。それから警備救難監事務の中の警備救難部仕事とこれだけが新機構に移るわけでございまして、他は運輸省に残る。こういうふうな考え方と相成つておるのでございます。
  5. 原虎一

    原虎一君 予算審議の場合においては、そういう保安庁を作ろうという政府の御意思があるやに一つの想像くらいはでき得たかも知れませんが、結局予算面におきましては、海上保安庁強化、それから予備隊増員強化という面で予算を計上されて、それが両院を通過した。その通過後直ちに今日御報告ありますようにまあ保安庁を造るということが、これは今大臣の御説明になつた保安庁構想は、それに基く閣議決定であるやに承わつたのですが、もう一度そういう点を伺つておきたいと思います。
  6. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 今日の閣議には総理大臣出席されておりませんので全員が揃つたわけではございませんが、併しこの通り総理大臣も同意されるものと確信をいたしております。従いまして、時間の問題は別といたしまして、内容的にはこの通り閣議決定が行われる、こう考えております。    〔委員長退席内閣委員会理事山田佐一委員長席に着く〕
  7. 原虎一

    原虎一君 閣議決定されるということは、これは実は今度はほぼ決定されることと思いますが、併し何回も閣議決定に至らずして大橋大臣構想というものが変つたりして参つたのであります。この機構の改革を議するに当りましては、やはり閣議決定というものがなされないと、折角審議しても無駄になるので、でありますから閣議決定がいつ頃なされますか、その点を一応お伺いしたいのであります。
  8. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 普通の例で申しますと、閣議決定の書類は今日午後総理が決裁される、こう考えております。
  9. 原虎一

    原虎一君 そこで問題は再びこの保安庁設置というものと日本自衛力戰力という問題に相成つて来ると思いますが、そういうことは本日は時間の関係もありますからあとに譲りたいと思いますが、そういう我々が持つところの考えというものを、ますますこう国際的にも何か日本が再び軍備をやり出したという印象を與えるような新聞記事がかなり見えるようになつて来たわけであります。そこで私は大臣にお伺いいたしたいのでありますが、昨日の朝日新聞のこれは第十版の一頁の中段に「旧陸海将校策動大橋国務相談」として「保安機構問題」こういう三段抜きの見出しで出ておる記事御覧なつたと思いまするが、これについて真偽のほどをお伺いしたいのであります。
  10. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 真偽のほどについては私もよく存じておりません。
  11. 原虎一

    原虎一君 いや、私お伺いするのは「警察予備隊担当大橋国務相は三日の記者会見で、保安機構問題について次のように語り」と、こう大臣記者会見をおやりになつて語られたこの新聞記事御覧なつておれば、そういういうことを語つたこの新聞記事がどの程度正しいのか……、申上げまするが、これはお読みになつていませんか。
  12. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) はつきり記憶しておりません。
  13. 原虎一

    原虎一君 それでは一応念のために申上げまするが、読んだところで僅かのものでありますけれども、要点はあなたの持つこの保安庁構想というものに対して、旧陸海軍将校が旧陸海軍制度のごときものを考えて、あなたの御構想に対する圧力を加えて来た、こういう記事が出ておるのであります。これは非常に重要な記事であります。我々国内におつて軍人が今度保安庁ができるのに対して、何々大佐が策動しているとか、或いは警察予備隊に対して何々少佐が策動しておるとかいうことはいろいろな印刷物で見ております。併し少くとも今度政府がいよいよ肚を据えて保安庁を作るという問題に対して、明らかなるところの圧力を加えて来たということを現職大臣新聞記者語つたという記事が国外に伝わるということを考えますれば、これは我々は読み捨てにならんものである、そこでお聞きしておるわけでありまして、一応御覧なつてこれを私どもは明確に願いたいと思つておるわけです。
  14. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) この話をいたしましたる趣旨は、陸海軍将校圧力を加えておるということは私は申しておりません。陸海軍の旧軍人の一部においてかような新機構ができる際におきまして、できるだけ昔の陸海軍のような形を取ることが適当ではないかというふうな考えがまだ残つておるということを申したことは事実でございます。この点についてなお説明をお許し頂きまするならば、この考え方というものの根本は、旧憲法において私は解釈上そういう解釈をする余地があるかないか頗る疑問に思つておりましたが、併し一般的には旧憲法統帥権独立というものを規定しておるものである、こういうふうに理解をせられておつたのでございます。この統帥権独立という旧憲法時代考え方法律的根拠は、帝国憲法におきましては統帥ということが天皇大権に相成つてつたのであります。天皇大権ということは、これは天皇固有の権限であり、天皇が他から與えられずに本来持つておる、そうして何人にもそれを委任しないという、こういう意味のことであると私は了解をいたしておつた次第でございます。併しながらこれに対しまして、統帥天皇大権である、従つてこれは内閣の容喙すべき範囲ではないというところまで解釈が押し進められたわけでございます。これは憲法の明文にはどこにもない事柄でございまして、天皇大権といたしましては、統帥ばかりが天皇大権ではなく、そのほかにいろいろな大権がございます。例えばこの頃問題になつております恩赦のごときもの、これもやはり天皇大権でありましたし、文武官の任命ということも天皇大権である。で帝国憲法の素朴な解釈といたしましては、大権ということは天皇行政府を通じて行い、立法府の議決を要しないことが天皇大権というふうに解釈するのが帝国憲法としても正しい解釈ではなかつたかと私は考える次第でございますが、それにもかかわらず特に蚕のいろいろな大権のうちで統帥権だけが内閣容像を許さない、こういうふうな説が行われておつたのでございましてこれは統帥権独立という言葉を以て呼ばれておりました帝国憲法固有の観念でございます。これは結局どういうことを意味するかと申しますると、内閣というもの、つまり一切の行政責任者でありますところの内閣というもの以外に統帥府というものが独立して、これが国家の重要なる行政であるところの軍隊の統帥ということを行なつて行くということになる。而もその統帥府の責任者というものは憲法上の国務大臣ではございませんからして、国務大臣の輔弼せざる行政というものが存在して来る、こういうことになるわけでございます。これらのことは旧憲法時代におきましても、私は旧憲法当然の解釈とは考えておらなかつたのでございまするが、少くとも今日の日本国憲法におきましては、もはやかような考え方というものは微塵も入れ得る余地がないということは明らかだと存ずるのでございます。即ち政府内閣総理大臣が一切の行政権の首長となり、そうしてそのもと国務大臣が任命せられ、国務大臣がすべての行政に参画し、これを分担いたしまして、国会に対して政治的責任をとるという体制であつて、この体制つて初めて国会を中心といたしましたる立憲政治運用ということが可能になるわけなのでございます。軍に対する統帥ということも又政府行政の重要な部分でありまする以上、現憲法解釈として統帥権独立ということのあり得ないことは当然であり、従つて国務大臣関係しない統帥府というものがこの機構の中にでき得るということは考え得ざるところなのであります。併しながら一部の旧軍人諸君の間にありましては、殊更に軍に関する仕事については軍政軍令というものがある、軍政というものは国務大臣が担当すべきものであるが、軍令というものはこの軍の最高の制限の職員が直接行政権最高機関でありますところの内閣総理大臣に直隷して、国務大臣命令でなく直接内閣総理大臣命令というもので動くべきものである。そうでなければ軍というものの組織上適切なる行動がとり得ない、こういうようなことが考えられ、又語られているわけなのでございます。旧憲法時代から軍政軍令ということはよく言われたことでございまして、軍に関するいろいろ仕事軍政軍令に分ける、例えば参謀本部教育総監部というものはこの軍令系統仕事である。陸軍省はこれは軍政系統仕事であるこういうようなことが旧憲法時代においては言われておつたのでございます。併しながら今日の憲法解釈といたしまして、成るほど事柄といたしましては、実質的に軍政と申しますか、つまり軍の財政であるとか、或いは軍の人事であるとか、そういつた軍政的なものと、軍の行動それ自体に直接繋がるところの軍令的な事柄とがあるかも知れませんが、併しこれを今日の憲法下において区別をいたすということは、少くとも法律的に、憲法的に、又行政法的には意味のないことであるというのが私の根本的な考え方なのでございます。旧時代において軍政軍令を分けたということは、これはなぜその必要があつたかというと、軍政国務大臣たる陸軍大臣が担当するのであるが、軍令はこれは独立した統帥府の仕事であつて、この軍政軍令を分けるという思想は統帥権独立ということと関連した考え方であるのであります。今日一切の行政内閣責任において行なわれるという場合に、仮に日本軍備をいたすということがありと仮定いたしましても、その際において軍政軍令を分けるということは、旧憲法時代の、ごとき意味においては何ら必要のない事柄であるばかりでなく却つて正しくない、又弊害の生じ易いことであるというふうに私としては考えているわけなのでございます。そうした事柄保安機構の問題について、いろいろ旧軍人諸君の間においても論議せられておつたようでございます。もとより保安庁に属しまする警察予備隊とか海上警備隊というものは、これは決して軍では、ございません。併しながら或る程度の武器を持つた部隊組織であるという点において、非常に軍と似通つたような形を持つておりまする関係上、旧陸海軍軍人諸君がこの機構問題についていろいろ関心を持たれ、又研究をされているということは、これはそうあつたからといつて決して不思議な事柄ではないと思うのであります。私といたしましては、研究されることは誠に結構で、これは私に関係したことでは、ございませんが、少くとも機構についての今申上げましたような軍政軍令を分けるというような考え方、又統帥権独立というような考え方、そうした考え方というものは、現憲法の下において許されざるところである。新機構においてそういう考え方を挟み得る余地のあるような制度というものは極力排斥しなければならんと、こういうふうな考えを持つてつた次第でありまして、そうした考え方についての質問がございまして、軍政軍令をどういうふうにすることが適当であるかと思うかというような事柄でございましたので、私の研究したところを話したことはございます。併しながらこれらの諸君が私に対して圧力を加えるというような事柄は如何なる意味においてもございません。その点は特にお断りをしておきます。
  15. 原虎一

    原虎一君 今の御説明のようなことを書いておるのでございますが、圧力を加えたというのは記事全体から受ける印象でございますか……これは圧力を加えたというような言葉を使われておる記事ではありません。併しこれを全部を見れば、圧力を加えておるということが言えると思います。例えば終りのほうになりますと、「部隊最高指揮者はいわゆる武官でなくては強い部隊活動が困難であるとする考え方が旧陸海軍正規将校とくに陸軍関係者の間に起つており、政府に対する策動相当根強いものがある。」と、これがあなたの語られたものか、そういうように新聞記者があなたの語つたものを総合して書いたのかはつきりしませんが、政府に対する策動相当根強いものがあるということは、これは單に朝日新聞記者だけではありません。他のいろいろな例えば週間潮日にいたしましても、サンデー毎日にいたしましても、そういう問題がときどき報道されておる。そこで私はお伺いしたい点は、こういう将校に接触されたことがあるのかどうか。あるからおつしやつたんではないかと思うが、全然間接的に将校意見をお聞きになつたのでございましようか。こういう旧軍人のかたと直接お話になつておるのですか。その点をお伺いしたいのですが。
  16. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) いろいろ研究の必要上、直接間接にいろいろなおかたの意見は聞いております。
  17. 原虎一

    原虎一君 そういたしますと、直接お会いになつておる旧軍人の氏名、それから階級等をお差支えなければお話願えるかどうか、その点をお伺いしたい。
  18. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) これを申上げますることはいろいろ誤解を生ずる慮れがございますので、御容赦を願いたいと思います。
  19. 原虎一

    原虎一君 これは連合委員会でありますけれども、私はこの海上保安庁法の一部を改正する法律案連合審査いたしておるのでありますが、これはやはり明らかに今大橋大臣が御説明のように、保安庁の中の一部として海上警備隊を、一部というよりか陸における重要な自衛力としての構成の中に入るのでありますが、現在の海上保安庁法の一部を改正するという法案だけを取扱う考えでは、先ほど申しましたように、審議は非常に皮相なものになつてしまうのであります。従つて今度政府が作らんとしつつあるところの保安庁が果して如何なるものであつてよいかということは、我々は十分に検討しなければならん。で大橋大臣の御説明の中に、今御説明がありましたように、旧憲法における統帥権の問題と新憲法における統帥権の問題、これは大臣が今御説明されましたが、大体そう今日の国民でも異論のあるところではないと思いまするが、誠に我々の遺憾とするところは、そういう問題が旧軍人の中から相当政府に根強い運動がなされて来た、こういう新聞記事が出ましたからには、そういう人の考え方国会としては質しておく必要があると思う。そこでこれは連合委員会でありまするが、委員長に申上げて、後で休憩願つて相談願いたいと思うんですが、そういう旧軍人を証人として呼んで保安庁機構というものを検討する必要があると思う。これは提案いたしまして後で休憩のときに御相談を願いたいと思います。まだいろいろいわゆる自衛力戰力なりや否やという問題につきましてはお聞きしたい点いろいろありますけれども、これは又後に譲りまして、他のかたがたも御質問があるようでございますから、私は今の提案をいたしまして、後で休憩願つて相談を願います。
  20. 山田佐一

    委員長代理(山田佐一君) 了承いたしました。
  21. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 二、三御質問したいと思うのでありますが、今回提案になりました海上保安庁法の一部を改正する法律案、これにつきましては、先にすでに連合委員会で一旦審議されたようでありますが、私は急用のために欠席しておつたのであります。その際に私といたしましては、海上保安庁法の一部を改正する法律案について幾多の疑問を持つてつた。というのはこのいわゆる海上警備隊の新設ということを中心といたしまして、現在の海上保安というような方向がだんだん海軍の様相を示しつつあるやに考えておつたのであります。  先ずその疑問点の第一といたしましては、第一條におきまして、従来の改正前の法律によりますというと、港、湾、海峡その他の日本固有の沿岸水域において、というふうな具体的なものが示されておつたのに対して、改正案におきましては、海上において人命及び財産の保護というように範囲が広くなつた。そういたしますというと、この場合においては海上警備隊というようなものが設置された場合を考えて見ますというと、これは沿岸に限定されない、相当範囲海上に出てその警備に当るということになつて来るのではないか、そういたしますというと、いよいよこれは戰力とか防衛とかいうふうなものに十分これは近接した考え方ではないか、こういうことを考えておつたのであります。  第二といたしましては、現在の海上保安庁にいわゆる警備救難部というようなのがありまして、この業務として海上におけるところの暴動及び騒乱を鎭圧するところの業務がすでに明確になつておるにかかわらず、更に海上警備隊というふうなものを新設するというふうなことについては、非常にこれは今までの海上保安の業務を逸脱するような形が見えるのではなかろうか。更に装備の上につきまして現在の場合よりも相当これは強化されて来る。こういうふうな諸点から考えまして、現在の海上保安というふうな法律の示す範囲を非常に逸脱して、いわゆる軍の形を持つて来るのではないか、こういうことを考えておつたのであります。ところが只今大橋国務相から保安機構についての御説明がありまして、一回聞いただけでその内容については十分了得するところではないのでありますけれども、輪郭的に考えて見ましても、これは陸上の保安、海上の保安を一本化していよいよこれは従来の陸海軍の形をとりつつあるのではないか。先ほどの大橋大臣のお言葉の中にも非常に似通つて来ておる、旧陸海軍に……。こういうふうなことがありましたように、ただ一遍聞いただけでその輪郭的に考えると我々はそういうふうに思うのであります。ただ併しこれは統帥権説明がありましたが、そういうような方面は拔きにいたしましても、全体の機構がすでに陸海軍の持つてつた施設、機構と殆んど私は変りないもののように思うのであります。これが一旦動き出した場合においては、その動きは殆んど機構にもまさつて又変りないものが現れて来るであろう、こういうふうなことが考えられる。従いまして、この内容につきましては、私は次の機械に、いよいよこれが法制化されて来た場合にあるだろうと思うのでありまして、その場合に譲りますが、ただ大橋国務相に伺いたいのは、こういうふうな機構考えられて来た場合には、先ず以て現在我々の審議しておるところのこの海上保安庁法の一部改正ということは、海上警備隊の如何というようなことによつて殆んど意味をなさないのであります。こういうようなことが考えられますので、そういう場合には更にこれは再改正をするのであるかどうか、これは運輸大臣立場もお伺いしたいと思うのでありますが、それが一点。  それからもう一つは、こういうふうな機構なつて参りますというと、在来の予備隊の目的、或いはこの海上保安庁の目的、これは当然私は現在示されてあるところの目的よりも変つて来るべきものであろう、こういうふうなことが思われるのでありまして、この点はどういうふうなお考えを持つておられるか、これが第二点であります。  それから第三点といたしましては、こういう機構なつて参りました場合には、当然これは予算関係して来る。現在の予算においてこういうことが果してできるかどうか、或いはできない場合は更にこれを修正して行くのかどうか、こういう点について両大臣から伺いたいと思うのであります。
  22. 村上義一

    国務大臣(村上義一君) 今回の海上保安庁法の改正法律案でその目的とする範囲が広汎になつたじやないかというお説であります。それは正にお説の通りであります。現在港湾とか或いは沿岸等においての警備に当り、又救難事業に当つております。併しながら、我が国が独立いたします。今日までは進駐軍の援助によつて力の足りない点を補つてもらうようにしておつたのでありまするが、独立して参りますると、まあできる限り完全に、完全にはできなくても、自力を以て警察救難の業務に当るべきことはこれは当然だと思うのであります。勿論我が国の経済力も考慮しなければなりません。公海の上において海賊が現われた場合に、これを完全に取締る。或いは又どういう大きい海難が起り、天災が生じて来ても、これを完全に救出するということは、これはおのずから限度がある次第でありますが、併しながら我が国が独立する以上は、従来の現行の、ごとくただ單に港湾或いは沿岸のみにとどめるということは穏当でないと考えるのであります。自然その海上保安庁の活動範囲を拡めるということはお示しの通りであります。  なお次にお話になりました、今日すでに警備救難部というものがあつて、これで十分にその使命を果しておるじやないか、更にこの警備隊というものを新たに設ける必要はないじやないかというような御趣旨のお話でありましたが、過日来繰返して申述べておりまするごとく、現在の海上保安庁におきましては、五十トン以上から七百トンまでの船が僅か百六十杯しかないのであります。而も七百トンの船は四杯、次は四百トン級に相成るのでありまして、とにかく数におきまして、百六十杯の船で一万マイルに亘る沿岸及びその水域をパトロールして、そうして密入国の防止、又密貿易の防止、又漁船の保護、又密漁の取締り、又地震、台風、その他或いは高潮であるとかいつたような海難に際しまして、海上保安庁の使命を果して行くということは、実は今日不可能と言うてよい状態にあるのでありまして、百六十杯ありましても、一杯の受持ち区域は大体七十マイルに及ぶというような状態であります。この取締の網の目はかなり広きに実は失しているのであります。そこへ今の特に救難を要する、或いは警備を要するという特別の事態が惹起しました場合には、どうしても一杯ずつパトロールしている船では、而も力の鈍い小さい船でありますから、その使命を果すことができないということは御想像にかたくないと思うのであります。こういう際に、従来でもその周辺にパトロールしております船に助勢をせしめるべく直ちに指令を出すということをやつているのでありますが、そうしますればその間に又空隙が生ずる。従来警備のパトロールの空間を故意に誘導的に作られて、そうしてその間隙に乘ぜられて遂に違法を遂行せられるという例もあつたのであります。そういつたような場合にはパトロールの船によらずして、機動隊がそこにあるならば、直ちに時を移さず機動隊が出動するということが望ましいのであります。従来からこういう機動部隊の編成を切望いたしておりたような次第であります。で今回の海上保安庁法の改正法律案におきましては、こういう警備救難部のパトロールをやつているというこの仕事は、平常時の毎日の常務であるのであります。ただ機動的に事が起つた場合に時を移さず出動できるという隊を編成したものを作りたいというのが、この警備隊を今回作る法律改正案の趣旨なのであります。従いまして過日来も申述べております通り、平常時の警察事務、又警備事務、救難事務を補う、機動的に必要ある場合に出動して補うという性質のものであるのであります。その本質はまさに平常警備救難仕事という範疇は出ないのであります。現在の自治警察であります警視庁の予備隊とか或いは機動隊という性質のものを作らんとする趣旨であるのであります。この点一つ御了承おきを願いたいと存じます。  なお今日の閣議で、前刻大橋国務大臣から御説明になりましたごとく、他日総理府の組織法又は運輸省の組織法の改正法律案を又提出して御審議願うことに相成ると思うのでありますが、それまではこの警備隊の任務はまさに警察事務又救難事務という範疇を一歩も出ないものであるのであります。今海上保安庁には警備救難部航路啓開部水路部燈台部、海事検査部、総務部と、こういうものが機構にあるのであります。今回の改正法律案で、更に警備隊を設けるということと、それから経理補給部を設けて総務部を二分するということとを御審議をお願いいたしておるような次第でありまするが、このうちで今朝きまりましたことは、水路部燈台部、海事検査部、これが運輸省に残りまして、そうして警備救難部と、航路啓開部と、それから今問題になつております警備隊、これが総理府のほうへ移る、自然現在の総務部を総務部、経理補給部にそれぞれ必要の程度に分割されて、一部は運輸省に残りますでしようし、その他は総理府のほうに移る、こういうことになると思うのであります。その際において警備隊の性質はおのずから変つて来るはずだと私は思つております。性格が変更せられまするが、それは現在の性格が全然一変するのではなしに、現在の性格の上へ更に或るものがプラスされる、こういうことになると私は思うのであります。総理府のほうへ警備救難部が移るということは、これは飽くまで警備救難部は平常業務であり、この平常業務の力の足りない場合にやはり警備隊が出動する、その力の足らざるところを補つて海上の治安を保つ、生命財産の保護の任務を全うするという仕事はやはりあると思うのであります。ただそれに、陸上における現在の警察予備隊のような性質が更にプラスされるということになると私は思つておるのであります。勿論これにつきましては、総理府の組織法改正法律案に明瞭に起案せられて、国会で御審議を願うことに相成ると思うのであります。ついでながら申述べておきます。
  23. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 私に対する御質問の第一は、保安庁の発足に際しまして現在の海上警備隊に関する法律の規定を変更するかどうか、再改正をするかどうかという点でございます。この点は警察予備隊につきましても問題はあるわけでございますが、今運輸大臣から海上警備隊保安庁に移れば性格は変るのではないかと思つておられるというお話がございましたが、これはまあ実質的な面といたしましても、又形式的な意味におきましても、私は予備隊、警備隊どちらも国内治安を目的としてできておるものでございまするからして、この大きな目的が変更されません限りは、性格的には変らないのであるというふうに考えておるわけでございます。先ず規定につきましても、現在御審議を願つておりまする海上警備隊に関する法規というものは、機構の改正上当然これに伴なつて変更を要する部分はともかくといたしまして、根本的な性格、任務等に関する部分につきましては変更の必要がないものである、こういうふうに考えております。もとより海上保安庁という官庁がなくなるのでございますから、保安庁法というものは廃止されますから、この警備隊の性格、任務等に関する規定というものは、何が新らしい法律に引取らなければなりませんので、形式的には改正法律というものを出し御審議を頂くことになるわけでございますが、その新らしい保安庁法に盛り込まるべき海上警備隊の目的、任務、性格等に関する規定というものは変更する必要はない、こういうふうに考えておるのでありまして、この点は警察予備隊についても同様に考えておるわけでございまして、警察予備隊も、現在の警察予備隊本部の所管から保安庁に移りまする場合においては、任務、目的、性格等については根本的に変るものではない、こういう方針で立案をいたしておるのであります。但し警察予備隊につきましては、すでに一年半の経験によりまして現行法規というものにおいて不十分であると認められる事項もございまするし、又これがポツダム政令という変則的な法規でできております関係上、不備な部分相当ございまするので、これらの部分を補完いたしまして現在の警察予備隊の目的、性格、任務というものに、より適切な規定を置きたいということは考えておるのでございまして、そういう意味において改正法律研究をいたしております。併しこれは現在の任務、目的、性格をより明確ならしめ、これにより適切な規定を補充するという意味で、ございまして、これを根本的に変えるという意味でやつておるのではないので、ございまして、海上警備隊につきましても私はそういうふうな気持で保安庁機構を作ることが適当であろう、こういうふうに存じております。この点はなお併し運輸大臣とよくお打合せをいたしまして十分に協力いたしましてやりたい。この問題につきまして今日まで運輸大臣と十分にお話合をいたしておりません。運輸大臣が変ると仰せられましたのは、如何なる意味において仰せられましたか、この点私もはつきりいたしておりませんが、私といたしましても只今申上げたような趣旨で研究をいたしておる次第でございます。なおこの点は十分に打合せて答弁を統一いたしたいと存じます。  それから現行予算で新機構がやつて行けるかどうかという点でございますが、これは現行の予算でやれる、又その範囲でやるという考えでいたしております。
  24. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 今両大臣の御答弁を伺いまして、私の非常に重要視をする点は、結局運輸大臣のほうでは現在のものに或るプラスされるものがある、従つて性格が変ると思う、こういうふうな御答弁に対して大橋大臣からはその点は十分打合せをしておらないが、自分としては根本的にそういう性格が変るとは考えておらない、この点でまあそこに食違いがあるのではなかろうかと思うのでありますが、そこで運輸大臣が先ほどの御答弁であつたように、かような意味から、いわゆる海上警備隊というようなものを新設するのだ、而も自分の所管としてそれは新設するのだ、それを保安機構の方面に移管することに私は同意されたのだろうと思うのでありますが、若し同意されたとすればいわゆる現在のものに更にプラスするものがある、性格も変つて来る、そういうふうになつた場合には、自分の所管として置くよりもその保安機構のほうに移管したほうがいいのである、こういうふうなお考えの下に私は同意されたのではないかと思うのでありますが、その点を一つ運輸大臣から伺いたいと思うのであります。その点がはつきりいたしますれば、恐らくおのずから性格が変るというようなことについても、運輸大臣のお考えを聞くことができるだろうと私は考えます。
  25. 村上義一

    国務大臣(村上義一君)  性格が……、この法律案に盛られてあります海上警備隊というものの性質にプラスなにがしかの又性質が加わるのじやないかということは、全く私の運輸大臣一個の実は見通しと申しますか、意見に過ぎないのでありましてこの点につきましてはまだ……移管するということは今日の閣議できまりましたけれども組織法の改正法律案によつて初めて明確なものがきまる次第であります。私が今御審議を願つております海上保安庁に設けるという警備隊は、前刻も申述べます通り、警視庁の予備隊又は大阪警視庁の機動隊という性質のものでこれはあるのであります。自然私の今考えで見解を申述べましたのは、これが現在の陸上における警察予備隊の性質を持つて来るのではないか、こういうふうに私は考えておるのであります。併しその場合といえども警備救難部総理府で日常業務をやられる以上は、その日常業務の力の足りない点を、問題が起つた場合に補給せられるという現在のこの法律案の趣旨は、依然とし変らないものだと思うのであります。つまり言い換えますれば、海上保安庁で設けんとする海上警備隊の性格に何らか変化はあるとしましても、ただプラスされるものが若干あるのじやないかということを申述べた次第でありまして、勿論私はそういう考えで、この海上警備隊というものと警備救難部というものとを一つにして考えておるのでありまして、又それは今日の閣議で決定しました事柄によりましても、警備救難部もやはり総理府のほうへ移る、こういうことに相成りましたのでありまして、日常の救難業務、又警備の業務も総理府で処理することに相成る次第でありまして、その点は一つ誤解のないようにお願い申上げたいと思うのであります。どういう点において賛成したかという今お話でありました。実は以前にはこういう組織日本にはなかつたことは御承知の通りであります。コースト・ガードのいわゆるシステムでありまして、密貿易を取締るということは、大蔵大臣監督下において今海上保安庁が処理しておるのであります。又密入国の事柄については、外務大臣指揮監督下において海上保安庁仕事をしておるのであります。又密漁の取締は農林大臣指揮下において仕事をいたしているのであります。又海上の警察業務、事務は、法務総裁の指揮監督下において仕事をしておる、こういう性質の非常に複雑したものであります。こういうふうにしておりまするゆえんは、全く基本は経済的な点にあるのでありまして、これらの業務がいずれも船舶を以てパトロールをせんならんという性質のものであります。これは四重、五重にまたがつてそれぞれ一つ仕事を大蔵省は大蔵省でやる、農林省は農林省でやるということにいたしましては、非常な経済上不利益をもたらしまするので、それで一括して処理するというのが、このコースト・ガードのシステムが生れ出たゆえんであるのでありまして、米国におきましても六十年余りの古い経緯を持つているのであります。現在米国におきましては、大蔵省、財務省の所管に海上保安庁は属しているのでありまして、今米国でも行政機構の特別委員会でありまするフーバー委員会におきまして、やはり交通省の所管にするのが適当だという結論を出しておられるのでありますが、結局その趣旨で最も関係の深い運輸省の外局として、海上保安庁を設置したということなんでありまして、従つて我が国においても恐らくこのコースト・ガードの仕事警備救難の業務はいろいろの変遷を今後も迫るかも知れませんと思うのでありますが、これは是非とも運輸省が所管せんければならんと強く主張する理由もそこに発見できないのであります。経済的の見地その他各般の事情を考慮して私も賛成をしたに過ぎません。その点お断り申上げておきます。
  26. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 大体この両大臣の御答弁で私は見通しはわかりましたので、いずれこの問題は行政組織法の提案された場合に、非常に重要な問題となつて来ると思うのでありますので、その際に讓つて、この点の質問は打切りたいと思います。
  27. 岡本愛祐

    ○岡本愛祐君 先ほど御質問に御答弁がありまして、村上運輸大臣は、保安庁ができるとこの警備隊の任務も変りはしないかというような御発言があり、大橋国務大臣のほうはそうでなくて、現在の任務、目的、性格を明確ならしめるような措置はするかも知らんが、根本的にその任務や目的や性格を変更するものじやない。こういう御答弁がありました。多少、食い違つております。そこで今又御質問があつたようでありますが、その違つておる点は、村上運輸大臣のほうは、この海上警備隊自衛力漸増の一環じやないのだという御答弁であります。大橋国務大臣は、保安庁の設置というものは自衛力漸増の一環をなしておるものとお考えになるのかどうか、それを伺つておきたいと思います。
  28. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 先ず答弁の食い違いという問題につきまして、私から一応釈明をさして頂きます。私の性質は変らないと申しましたのは、根本的な任務、目的、性格というものは変らないような考え方で、今法律研究いたしておるということを申上げた次第であります。併しながら現在予備隊総理府に、又海上警備隊は近く発足いたしまする際には運輸省に属するのでございまして、両省に分れておりまする結果、その活動の協力ということにおいてはいろいろ必ずしも一緒にならないというような点があるわけでございます。併しながらこれをよく考えますると、海上警備塚というものと警察予備隊というものは、もとより海上警備隊が單独に行動をいたす場合も相当あるわけでございます。併し警察予備隊行動をしなければならんというような場合におきましては、当然海上も又不安がございまするので、海上警備隊も活動を必要とするような場合が多く出て来るのである、こういうふうに想像されます。そういう場合におきまする両者の協力的な活動ということになりますると、所管が一つに相成りまする関係上、一つ構想の下に一つの有機的な活動のおのおの水陸において分担するというような一体的な行動ができ得るようになるわけであります。この点は運用上非常に重大な変化を見ることは、これは当然のことと思われるのでございます。これに伴いまして行動その他の面から見て変るということは、これは私どもといえども全然否定するものでございません。ただ私の申上げましたのは、根本的な目的というものは変らない、国内の治安、或いは海上の平和と秩序を維持するというこの根本的な目的は治安庁の発足に当つても変更するものではない、こういう基本的な観念の下に法律研究をいたしておるということを申上げた次第であります。
  29. 岡本愛祐

    ○岡本愛祐君 自衛力漸増の一環として、海上保安庁をお考えなつておるかどうかという点の御答弁を願いたいと思います。
  30. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 自衛力漸増ということは、これは言葉意味が非常に漠然といたしておるのでございますが、実は私は自衛力というものについては二通りのものが考えられると存じております。一つは明らかに軍隊でございまして、これは外国の不正な侵略の際に、自衛権に基きましてこれを撃退するということを本来の使命といたしまして組織された実力組織、これは本来の自衛力であると存ずるのでございます。で、かような自衛力、即ち軍たる自衛力というものは、これは日本憲法の禁止するところでありまして政府といたしましてもそういう意味における自衛力憲法の下において増加する、或いは創設するという考えはないということは、総理からもしばしば申上げたごとくでございます。なお国の組織いたしております実力組織のうちで、外国の不正侵略に対しまして実際にこれを退けるために活用し得るものがこのほかにあり得ると存ずるのでございます。例えば普通の警察というようなものでありましても、外国の侵略が仮にあつたと仮定いたしますると、その場合においては国内の治安というものは大いに乱れます。現実にどういう仕事を受持つかということは別問題といたしまして、その際において国内の治安を維持するということのために何らかの仕事があり得るということは当然予想しなければならないことでありまして、これも又一つの自衞力と考えられないこともないと思うのでございます。我が国といたしましては本来の軍備は持つておりません。でございまするから日米安全保障條約によりまして、さような際の本来の自衞力の活動すべき、即ち軍というものの力の活動すべき、そういう主たる部分につきましては、占領解消後においては安全保障條約によつて駐留軍にこれを依頼するという自衛上の建前をとつておるのでございまして、その場合におきましても、すでに外国の軍隊をまで煩わして国の自衛に当つてもらいまする以上、国内において多少なりともこの侵略に対処するような実力組織がありまするならば、本来の目的外でありましても、或いは又目的の範囲内でありましても、これを使わないという法はないわけでございまして、従いましてそういう場合には駐留軍と協力して自衛的な行動にもその組織が当てられなければならない、こう思うのでございます。警察予備隊並びに今回設置せられます海上警備隊というものは先ずその任務から考えてみますると、いずれも国内の平和と秩序を維持するということがこの使命であり、そのために特別な必要がある場合に、命によつて行動をする、こういうのがその仕事と相成つているのでございます。従いまして不正なる侵略行為、直接たると間接たるとを問わず、いろいろな不正なる侵略行為、そういうものが行われます場合には当然一国内の平和と秩序がその限りにおいて乱されまするからして、その場合にこの平和と秩序を維持するために、特別の必要を以て行動を命ぜられるということは当然にその任務から考えましてもあり得ることと思つているのでございます。併しこれは先にも申上げましたごとく、自衛の必要のある侵略に際して、專らこれを撃退することを主たる目的として組織された機構ではなくして、もつとより広い平和と秩序を維持するという国内治安の立場から作られた組織であります。それがたまたまそういう場合におきましても使用されるというわけでございまするから、明らかに侵略を排除することを目的として組織された軍というものとは違つている。併しながら自衛の必要のある際に、その実力が利用され得るという意味においては、やはり自衛力ということも言えると思うのでございます。自衛力を狭い意味に解しまするならば、警察予備隊の漸増並びに海上警備隊の新設ということは、これは自衛力の漸増ということには入らないと思いまするが、併し自衛力という意味をあとに述べたような意味解釈するならば、これは当然入るものと、こういうふうに思うわけでございます。
  31. 岡本愛祐

    ○岡本愛祐君 大体お考えはわかりました。それでこの予想せられる海上における治安の維持という具体的な事例はどういうものであろうか、密入国、密出国、密輸入、密輸出、それから海賊行為、そういうもののほかにどういう具体的な事例があるか、今挙げられた外国からの侵略というようなこともこの海上における治安の維持の中に入つておるものか、その具体的な事例をお尋ねいたしたいと思います。今挙げたほかにどういうものがあるか、どういうことを予想しておられるか。
  32. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 具体的な場合ということになると、いろいろ抽象的には考えられる点でございますが、なかなか困難な問題だと思いますが、予想されますることは大体今御指摘になつ事柄が通常に予想されるのであります。併しながら仮に外国の侵略があつたという場合におきまして、海上の平和と秩序を維持するためには海上警備隊というものもやはりその範囲内においては行動をしなければならない。例えばそういう場合におきましては、日本の近海におきまする航海というものが非常に不安になるということも考えられるのでございましよう。そうした場合にそれらの不安なる海上を航海する場の商船を守るというようなことも、その任務として考えられる一つの具体的な例ではないかと思います。
  33. 岡本愛祐

    ○岡本愛祐君 外国の侵略時における海上の治安の維持ということも海上保安庁の警備隊の任務の中に入るのだ、直接的の戰争ではないかも知らんが、海上の保安状態が最も甚しく惡いときであるから、商船保護とか何とかに当る、こういう意味であろうと思います。そのほかにこれは大橋国務大臣並びに運輸大臣にお伺いしたいのですが、国連が平和條約によりまして、日本にこの海上警備隊に国連が、国連の艦船の護衛と言いますか、輸送船団の護衛と申しますか、そういうことを要求したときにそれに当ることが考えられるのでありますかどうか、その点お伺いいたします。
  34. 村上義一

    国務大臣(村上義一君) この海上保安庁で今御審議を願つておりまする海上保安庁法の改正法律案に示しておりまする海上警備隊の出動する場合は、岡本先生がお示しになりましたような場合以外には、或いは台風で一区域の海上において非常な大規模な海難が起つたとか、或いは先般の十勝沖の震災によりまして、多数の船舶が沈沒或いは流失を生じたというような場合を考えてているのであります。従いまして一方この出動しますときも、現在の海上保安庁長官命令で出動するのであります。そういう点が恐らく総理府に移管をせられた後にはこういう簡單なものではなくなるのではないかということを私考えているのであります。従つてそこにいわゆるこの性質はやはり今後も続いて参りますが若干そこに違う点が生ずる、それが前刻大橋国務大臣が御説明になつたような機会を予定しておられるような点であります。今具体的の御質問でありまするコンヴオイの問題だと思いまするが、こういうようなときには今海上保安庁法を改正して現に御審議を願つておりますほかに警備隊としては何ら考えておらないのでございます。
  35. 岡本愛祐

    ○岡本愛祐君 この海上保安庁法の一部を改正する法律によつてできる海上警備隊の所掌事務の中には、この国連軍の船団のコンヴオイというようなものは入つてない、範囲外である、ですからそういう要求があつても断わるのだという御答弁だと思いますが、新しくできる保安庁になるとどうなるのですか、その点お伺いいたします。
  36. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) まだ研究がそうした詳細な点まで進んでおりませんので確定的なお答えを申上げかねる状態であります。よく運輸大臣相談いたしまして新しいこの法の性格を研究したいと思います。
  37. 岡本愛祐

    ○岡本愛祐君 運輸大臣大橋国務大臣のお答え、それは海上保安庁の中の海上警備隊と、それから大橋国務大臣構想による保安庁のほうの海上警備隊と、その任務目的内容が根本的には変更はないというお話でありますけれども、少しどうも違つている、大分拡大して行つているのじやないか、今の御答弁によつてもそういうふうに察せられるのであります。  それからもう一点お尋ねしておきたいのですが、従来の保安官と申しますかその定員は一万八千人、まあこの予算がとつてあると思うのであります。ところが現在員は一万三千人、差が五千人、それで又そのほかに六千何人か増すのでありますが、その今予算が余つている保安官の五千人の増員はどういうふうにお考えなつておるのか、これは警備隊のほうは六千人のほかにお増しになるのであるか、それとも従来の警備救難部のほうの従来の考え方はその定員なんでありますから、そのほうを充実せられるのであるか、どういうふうにお考えなつているか。
  38. 村上義一

    国務大臣(村上義一君) 現在海上保安庁におきましてはお示しの通り約一万三千人の人間がいる、これを更に増加すると、今回の予算で御審議願いました六千三十六名という人をふやすだけでありまして、その以外に更にふやすという考えは持つておらないのであります。
  39. 柳沢米吉

    政府委員(柳沢米吉君) 只今お話のありました一万八千と申しますのはこれは法律できめられた定員でございます。実在の予算定員は今大臣からお話のありました一万三千人であります。そこで実際の人員及び予算定員というものは大体一致しているわけでございまして、今回ふえます六千というものは特別職でございますので別枠で本法律の中で御審議を願つている次第でございます。
  40. 岡本愛祐

    ○岡本愛祐君 それではもう保安官のほうは一万八千人までふやし得たのであるがそれはやめてしまつて、現在員の一万三千人でとどめて、そのほかに特殊の要務に当る警備隊員を六千人ふやすということで、結局一万八千人と一万三千人との差の五千人というものはもう要らんということになるのだろうと思いますが、その点如何ですか。
  41. 村上義一

    国務大臣(村上義一君) お説の通りでありまして、ただ先だつても申述べましたごとく軽飛行機等十機も若し持ち得るならばパトロール船の不足を補い得る、今日御承知の通り青函間の航路も夜は運航をとめざるを得ないような状態でありますが、これも若しヘリコプターか軽飛行機がありまするならば夜間航行も確かに安全を確保して夜間航行をなし得るようになろうと思つておるのであります。で今日は予算においてはそういうものは認められておりませんが、このまま推移しまして若しそういう軽飛行機若しくはヘリコプターのごときものを十機も持ち得るようになりますれば、恐らく二百人程度の人間は増加せんならんということになると思うのでありまするが、これはまだ予算上においても認められておらないことであり、現在のところでは増加する考えはありません。
  42. 岡本愛祐

    ○岡本愛祐君 まだほかにも質問があるのですが、又相談をしたいこともありまするから委員長のお計らいで休憩にして頂きまして、午後適当なときに再開を願いたと思います。
  43. 山田佐一

    委員長代理(山田佐一君) 速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  44. 山田佐一

    委員長代理(山田佐一君) 速記を始めて下さい。
  45. 岡本愛祐

    ○岡本愛祐君 速記をとめて頂いた間におきまして地方行政委員のかたがたと御相談をいたしたのでありますが、十五日乃至三十日頃までに大橋国務大臣からお話のありました保安庁法律案が出るようであります。そういたしますとその中にはこの海上保安庁の主な面が移つて参りまして、残りはこの海上保安庁でなくて運輸省の中へ入ることでありましようから、この保安庁法の一部を改正する法律案をここで審議をしましても、この上審議を続けてもこぶしのやり場に困るというようなことになるのでありまして、質問が盡きたわけではありません、質問は幾らでもありますが、地方行政委員会のほうとしては、この海上保安庁法の一部を改正する法律案についての連合委員会はこのくらいの程度にして頂きまして、又保安庁法案が出て参りましたときに連合委員会をお願いすると、そういうことにいたして今日はこれで散会をいたして……。
  46. 村上義一

    国務大臣(村上義一君) 先刻もコンヴオイのお話が出ましてあのときに考慮していないということを申しましたのですが、あれは誤解を又生ずるといかんと思いますが、そのコンヴオイを全然考慮していないということは、今の装備においてはその力が鈍くてできないということを実は申しているのであります。その点どうぞ。
  47. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 そういたしますと委員長のほうの御都合では、次の警察予備隊審議はこの休会明けになさる予定でありますか。
  48. 山田佐一

    委員長代理(山田佐一君) 提案の説明だけここでやつておいてそうしてあと休会に入りたいと思います。それでは岡本さん、今休会に入る前に提案の説明だけ聞いて、そうして連合委員会は散会いたしたいと思います。   —————————————
  49. 山田佐一

    委員長代理(山田佐一君) それでは警察予備隊令の一部を改正する等の法律案について大橋国務大臣より提案理由の説明があります。これを聽取いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  50. 山田佐一

    委員長代理(山田佐一君) それではどうぞ。
  51. 大橋武夫

    国務大臣大橋武夫君) 只今議題になりました警察予備隊令の一部を改正する等の法律案の提案の理由及び内容について概略を御説明申上げます。  御承知のように警察予備隊令は、昭和二十五年八月に、昭和二十年勅令第五百四十二号ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基いて制定されたのであります。  平和條約の効力が発生し、我が国が独立した後において、治安の問題はいよいよ重大を加えることが予想されますので、政府としてはこの際警察予備隊機構を更に整備して引続きこれを存続させる必要があると認め、この法律案を提出した次第であります。  次にこの法律案の内容について大要を御説明申上げます。  先ず第一條でありますが、これは現行警察予備隊令の改正でありましてその第一は、定員の増加であります。警察予備隊は、現在、警察官七万五千人、警察官以外の職員百人をもつて構成しておるのでありますが、独立後のわが国の治安情勢に対処するため、この際警察官三万五千人及び警察官以外の職員九百七十六人を増員しようとするものであります。この警察官以外の職員の増員は、後述の警察予備隊本部の増員及び警察予備隊建設部の要員に充てるため等のものであります。  次は本部機構の改正でありまして本部に工務局を新設すると共に、警察予備隊建設部を附置しようとするものであります。警察予備隊の建設業務、行政財産の管理等は、相当厖大なものでありますので、これに対処してこれら業務の円滑を期するため、この際本部に工務局を新設し、また建設工事の実施等に当らせるため建設部を附置することにいたしたいと存ずるのであります。次は、警察官の募集事務の処理についてであります。警察官の募集に当り、その趣旨の徹底を図り、募集事務の円滑を期するために今回その事務の一部を都道府県知事及び市町村長に委任することができるものとして、このために必要な規定を設けますと共に、又国家地方警察及び自治体警察に対しましても募集事務の一部についてその協力を求めることとしたのであります。而してこれによりまして都道府県知事及び市町村長の行う事務並びに自治体警察の行う協力に要する経費は、国庫で負担することといたしております。  第二條は、警察予備隊令を当分の間、法律としての効力を存続せしめんとするものであります。なおこの法律日本国との平和條約の最初の効力発生の日から施行することといたしております。  何とぞ愼重御審議の上、速やかに御賛成あらんことをお願いいたします。
  52. 山田佐一

    委員長代理(山田佐一君) お諮りいたします。本日は提案理由の説明を聽取したにとどめまして、次回は十四日以後にいずれ連合委員会を開会するということに決しまして御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  53. 山田佐一

    委員長代理(山田佐一君) 御異議ないものと認めましてさよう決定いたします。   —————————————
  54. 山田佐一

    委員長代理(山田佐一君) 次に海上保安庁法の一部を改正する法律案については、連合委員会は、これで終了したということにいたして御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  55. 山田佐一

    委員長代理(山田佐一君) それでは本日はこれを以て散会いたします。    午後一時四分散会