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1952-05-16 第13回国会 参議院 内閣・厚生連合委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年五月十六日(金曜日)    午後二時五分開会   —————————————  出席者は左の通り。   内閣委員    委員長     河井 彌八君    理事            山田 佐一君            鈴木 直人君            山花 秀雄君    委員            草葉 隆圓君            中川 幸平君            横尾  龍君            楠見 義男君            竹下 豐次君            上條 愛一君            松原 一彦君   厚生委員    理事            長島 銀藏君            深川タマヱ君    委員            常岡 一郎君            山下 義信君   国務大臣    大 蔵 大 臣 池田 勇人君   政府委員    内閣官房長官  保利  茂君    総理府恩給局長 三橋 則雄君    大蔵省主計局長 河野 一之君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○恩給法特例に関する件の措置に関  する法律案内閣提出、衆議院送  付)   —————————————
  2. 山田佐一

    委員長代理山田佐一君) それでは只今から内閣厚生連合委員会を開催いたします。  恩給法特例に関する件の措置に関する法律案について提案理由説明はもう済んでおるそうでありまするから、直ちに審議に入りたいと思います。通告順によつて発言を許可いたしまして御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 山田佐一

    委員長代理山田佐一君) それではさよう決定しました。山下義信君。
  4. 山下義信

    山下義信君 本案連合審査をお願いをいたしましたのは、厚生委員会といたしましては先般遺家族援護法審議をいたしましたのであります。従いまして遺家族援護に関しましては厚生省の所管としてその事務を目下進行いたしておるわけであります。今回御提案になりまして内閣委員会に付議されてありまする本案は、この恩給に関しまする法律案でありますると同時に、その内容といたしましては軍人恩給に関しまする支給停止をなお一カ年間延期せんといたしまする案でありますることは申すまでもございません。従いまして軍人恩給支給停止は、現存いたしておりまする生存の旧軍人恩給停止もありますし、又曾つて軍人でありました者の死沒せる者の遺族扶助料停止等も問題でありますることは今更申上げるまでもございません。従いまして本案は非常に重大であるのでございまして、私は政府に対しまして二、三その重大性と申上げる点につきましてお伺いをいたしたいと思うのであります。先に提案理由説明を承わつたのでございますが、政府説明せられまするその提案理由たるや極めてお座なりでありまして、而もその意図那辺にありまするか甚だ不明瞭でございます、あいまいでございます。私ども政府提案理由程度では全く本案を御提出になりました意図那辺にありまするか了解に苦しむのであります。この法律案の成行きにつきましては、先に援護法対象になりましたる数百万の遺族は申すまでもございません、現存の旧軍人の即ち恩給既得権者の多数の者が非常に関心を持つておるのであります。関心を持つておるというよりはむしろ何と申上げてよろしうございましようか、言うに言われない悲痛なるところの悲憤やるせないものを持つておるのであります。従いまして、政府本案を御提出になりましたにつきましては、その理由も我我が同時にそれらの幾百万の関係者納得の行く理由の御解明を願わなければなりません。以下そういう趣旨に基きまして、数点伺いたいと思うのであります。  政府の今回御提案になりました案を見ますると、先ずこの恩給停止を更に一カ年間延長せられるということになつておるのでありますが、他のポ勅の政令の効力の延期は、今期国会におきまして御提案になりまするその他の関係のものはおおむね六カ月ということになつておるのを通例といたしますが、本案に限りまして一カ年という長い期間を延長せられるということはどういうわけでありまするかという点が第一点であります。  なお今一点伺いたいと思いまするのは、申すまでもなく恩給法のこの特例曾つて我が国占領治下にありましたときに連合軍司令部によりましてその覚書によつて停止せられたその処分であります。占領が解けました今日におきまして独立いたしたる日本政府が更にこれを延期しようとなさるる御趣旨は如何なる御趣旨でありますかという点であります。連合国停止しておるというその理由と、日本政府がそのまま延期を継続しようという政府の御趣旨は、連合国司令部停止いたした理由と同一であるのか、どこか違うところがあるのか。先ず私は以上の二点を伺いたいと思うのであります。
  5. 保利茂

    政府委員保利茂君) 山下議員の御意見のように、私どもといたしましても実はこの問題の処理は、独立回復後における最も重大な問題ということで、政府部内におきましてはそういう考えの下に研究をいたしております。申すまでもなく国家のために国家の定めたる法律制度、そういうものを前提として国家任務につかれた、こういう全く民族として経験のない事態に遭遇いたしまして、そういう国家制度法律で確約しておつたことがこの数年間ほごの状態陷らざるを得なくなり、そのためにこれらの関係かたがた如何ようなお気持を持つておられまするかということはよく私どもにもわかるわけであります。従いまして独立の曉におきましては、政府及び国会は挙げてこの問題の解決をいたさなければならない。ただ併しながら終戰までに至る既存の制度そのままを復活し得るか。これは国力におきましてあらゆる又国の事情におきましてこれだけの変転を来たしておりますから、さき申しまするような趣意と今日の事情とを勘案いたしまして関係者の御納得の行き得る解決をいたさなければならない。私どもといたしましては、軍人遺家族かたがたに対して本年度予算措置を講じまする段階において、少くとも或る程度措置を講ずることができないということで苦心をいたしましたけれども、当時はまだ御承知のような政治状態で即ち司令部を擁しておるというときでございまして、而も問題が非常に困難な問題でありまするので、この一年独立後におきまして十分各方面の御納得の行く解決策を講ずる。そうして百年の計を誤らざるように期さなければならんじやないかということで、無論只今質問の一年という期限を付けておるのはどういうわけであるかという点に対してのお答えでございますが、問題を処理解決いたしまするためには、少くも一年ぐらいの日子がかかるのじやないか。特に私どもが心配をいたしておりますのは、無論これはもう冒頭に申上げまするように、こういう制度の下に一身を国家の大事な任務に捧げて頂いておるかたがたでございますから、時代をとつてかれこれ申上げることはないのでありますけれども、特に或いは日清戰争或い日露戰争、輝かしき功績を立てられておる高齢のかたがた、これは何としても早くできるだけの措置を国として講じなければならんということは切実に感じておるわけであります。御質問の一年ということはどうしても一年でなければならない、或いはどうという合理的な説明はこれはもう私は以上申げましたことによりまして大体御了察を頂くほかはないと思います。問題につきましてはこれは無論政府が真先になつて考えて行かなければなりませんけれども国会の御協力を頂いて国家の百年の基礎を固めるという意味においてこの問題を解決したい。それにはまあ一つ速かに本案の御成立を願つて予定いたしております審議会を速かに設置して成案を得たい、こういうふうに考えておるわけであります。
  6. 山下義信

    山下義信君 長官よりの御答弁は拜聽いたしましたがどうも要領を得ません。この恩給法の事後の措置については、或いはこのままでいいか、或いは又若干改正の必要があるか、いろいろ研究するのに一年くらいかかるんだ、こういうことだけおつしやつたことはわかつた。このことにつきましてはあとで又伺いますが、私が伺つておるのは占領下においてこの恩給法停止をされました趣意連合国軍覚書に徴しましても確かに軍人を否定し、その中には言うまでもなく軍国主義の人もありましようが、要するところ軍人に対するところのすべての特権を剥奪をし、既得権もこれを剥奪し、或る意味におきましてはそれらの懲罰意味するではないかと考えられる趣旨が含めてあつて今日に及んでおるのであります。今回我が国独立し、国民権利諸々回復をいたしておるこういう段階において、日本政府はただ單に善後措置が相当時間を要するといつて漫然と一カ年間この停止延長ずるということに対しては、それらの旧軍人であつた者に対するところ措置を何らか一方においてなしつつ、暫く今後の対策がいろいろな結構な名案ができるまで待つて頂きたいというならば合点が行きまするけれどもい、いわゆる権利を剥奪し、それに対するところ援護を差とめておいて、そうしてただ漫然と一カ年延期するという政府の御趣旨が私どもには了解しがたいのでありまして、その間の旧軍人に対するところ恩給停止しておるそのままになつておりますが、その間幾多のかたがたが非常に困窮しでおることは言うまでもございません。私はその点は生存軍人に対する点で申上げる。戰沒者の遺族に対する今回の臨時援護法関係あとで又伺いたいと思いますが、何らのそういう措置をなされずにおいて漫然としてなお一カ年の延長をなさるということは、旧軍人諸君に対しての依然として懲罰を加えるというお考えであるか、どういうお考えでそれらの人に対する措置をなさずして漫然と延期なさるのであるかということについて、私は政府のお肚を聽きたいと思うのであります。
  7. 保利茂

    政府委員保利茂君) 一年間延長いたしましたことを、連合軍司令部指令趣旨のように旧軍人を否定し、むしろ懲罰的な意味を以て停止しておるというような存意は政府には毛頭ございません。ただ併しながら提案理由でも申しましておりますように、この措置如何国家財政及びその他に及ぼす影響の少からざることを考慮いたしまして特に愼重を期する必要があると、こう認めましてそして先ほど申しましたように速かに本案成立を頂きまして特例審議会を設置して、そうして全国民かたがた納得の行く解決を得たい。そのために先ほどもこの旧軍人かたがた関係者に対して私は政府気持を申上げておるわけでございまして、決してそういう懲罰というような意味のあろうはずはございませんし、これは遺家族かたがたの問題、特にこの戰没者に対してとつてつております予算上の措置はともかくといたしましても、政府のとつておりまする措置によりましても十分御了解が頂けるのではないかと思うわけであります。
  8. 山下義信

    山下義信君 長官の仰せになりますことはお言葉としては承ることもできますが、私は事実を申しておる、実際において旧軍人諸君に対するところ恩給停止久しきに亘つて連合軍がいたしますことは止むを得ないといたしまして万こくの涙を呑んで従うのほかはございませんが、日本政府が何らの措置をなさずに今回戰没者遺族に対しましては暫定的な措置援護法ができましたが、旧軍人に対するところのその停止せられた恩給に代るべき何らか暫定措置臨時措置でも相成りまして暫く待てとおつしやれば甚だ道理が聞えますが、それらの措置をなされずして漫然と延期なさるということは、如何ようにおつしやつても事実は非常に酷なことをいたすことに相成るのでありまして、結果からみますれば懲罰を依然継続するの状態ではないかと私は考えるのでありますが、その点を伺つておるのであります。なぜ何らかの暫定措置をおとりにならなかつたかということを承りたいと思います。
  9. 保利茂

    政府委員保利茂君) 先ほども申上げましたように申上げかねて途中で拔かしておつたようにも思いますが、本年度予算編成当時におきましてもこの問題に対しては政府としても相当苦心をいたしたのであります。御承知のような事情の下におきまして無論この占領中でございますし、占領軍指令覚書というものが現存いたしておるその下におきまして、遺家族かたがたに対する特別の措置を講ずるということは、あの指令趣旨に全然反することになるわけでございます。幸いにいたしまして遺家族かたがたに対する特別措置につきましては了解を得ることを頂きまして、この軍人かたがたに対する恩給措置につきましては予算上の承認を得る段階に至らなかつたのでありましてそういう事情は事実あつたわけでございます。併し政府といたしましては今山下さんの言われましたことはよくわかるわけであります。私どもも是非そういたしたいという気持は今日でも持つておりますけれども、問題が如何にも抜き上げて解決すべく余りに複雑ではないか。それで関係者かたがたには誠に申訳ないことでありますけれども、一年間の御辛抱を願いましてそうして全国民納得の下にこの措置がとられることが最も望ましいことではないかというように考えております。
  10. 山下義信

    山下義信君 当時の何と申しますか、司令部承認をしてくれなかつたから政府としても誠意ある方法がとり得なかつたのである、こうおつしやるならば又何をか言わんやであります。そういたしますならば、今日独立いたしまして自主的になし得る状態となりました政府におかれましては、さまで多くを要しませんそれら生存軍人に対しまするこの恩給停止に代るべき何らかの暫定措置を、近い機会においてお考えになるという御誠意があるかないかということも承わつておきたいと思います。    〔委員長代理山田佐一君退席、委員長着席
  11. 保利茂

    政府委員保利茂君) 問題が非常に重大でございますから私一存を以てお答えを申上げるのは余りに重大だと存じますけれども、今日只今におきましても同様の考えを持つて苦心をいたしております。
  12. 山下義信

    山下義信君 最後のお言葉で、折角誠意あるお言葉が出かけておつて用意をいたしたのでありますが、同様の考えを持つているとおつしやいますのは、何らかの暫定措置でもいたしたいという考えを持つておるとおつしやるのでありますか。或いはこのまま相変らず残忍な措置のままで頬かむりして行くのだ、こういう相変らずそういう考えを持つておるとおつしやるのか、同様の考えとはどういうお考えをおつしやるのでありますか、明確にして頂きたいと思います。
  13. 保利茂

    政府委員保利茂君) 只今大蔵大臣出席をいたすことにいたしておりますが、私といたしましてはでき得るならば一つ何らかの措置をとり得ないかということで苦心をいたしておる次第であります。
  14. 山下義信

    山下義信君 わかりました。その点は大蔵大臣とも御連絡の上で……。なお大蔵大臣意見も伺いたいと思いますが、併し財政当局意見は別として、只今長官には政府の代表として御答弁を願つておるのでありまして、若干御誠意があるものと了承いたして只今答弁は承わつておくことにいたします。  次はこの一カ年間延長なさろうということでありますが、私ども常識的に考えますると、すでに講和條約の成立は早くから見越されてあつて、その善後措置というものはいろいろ政府ではお考え相成つておるはずである。独立後の国策は言うに及ばず当面処理しなければならん独立後の諸般整理事務に向つては、着々御準備であつたであろうと常識的に考えられます。それなくして漫然と御調印あろうはずはない。この恩給法善後措置のごときはその著名なる一つでありまして、先ほど長官の御答弁の中にもすでに今回の援護法等において恩給法を復活すべきか、新恩給法によるべきか、世間周知のごとくいろいろ御苦心相成つたと御答弁の中にもありましたが、これからどうするかということを考えておつたのでは、私は一年なお短かいのではないかと思う、率直に申上げて。これからいろいろな諸般の情勢と睨み合せて、或いはあとで御答弁の中にも出て来るかもわからんが、或いは新恩給法をどうするか、その他の諸制度と睨み合せてどうするか、財政をどうするか、いろいろ考えておられたんじや私は三年待つて解決つかんと思う。今日まで相当御研究が私はできておるのだと思う。或いは甚だ乱暴な言い方か知れませんが、政府が恐らく断の一字を下すならば今日でも解決し得られる、少くとも根本方針だけは解決ができるのではないかと私は思う。従来相当御準備なり御研究なりができておると私は思うのでありますが、相当御研究、御調査等ができておるのか、或いはこれから新たに調査研究審議をこの審議会作つてお進めなさろうとするのであるか、その辺如何でありますか、奈辺の消息を承わりたいと思います。
  15. 保利茂

    政府委員保利茂君) 私も感じとしては全くそのように思つております。と申しますのは、今からかかつても本当に全国民かたがたの御納得の行くような合理的な案を得るということは、実際問題として一年ではどうだと言われる点は私も心配しております。併し無論恩給局を中心としまして研究と検討は重ねております。従いましてできるだけ一日も早くこの予定いたしております審議会発足願つて、そうして速かに成案を得るように運びたいと、無論事務当局においていろいろの研究はいたしておるわけでございますから、これはもうどのようなことがありましても、もう一年もございませんけれどもこの年度内において必ず解決の案を見出して、そうして来年四月からは堂々と発足できるようにいたさなければならない、こう考えておるわけであります。
  16. 山下義信

    山下義信君 折角今日までいろいろ研究もなされ御心配下されてあるということも多分そうであろう、そうでなくちやならんと思うのでありますが、大体におかれまして、政府はこの恩給法につきまして大体の御方針はどういう御方針で今後お進みになり、或いは審議会等にも諮問といいますか、意見を徴せられるといいますか、全く政府におかれましては御方針がないのでありますか、それとも大体の方向としてのお考えがあるのでありますか、その辺を承わりたいと思います。
  17. 保利茂

    政府委員保利茂君) これは私は審議会の御審議に御期待をいたしておるわけでございまして、今折角のお尋ねでございますけれども、こういうふうに持つて行きたいということを申上げる私は用意は持つておりません。
  18. 山下義信

    山下義信君 そうすると伺わなければならんと思いますのは、今回の提案されました法案の提案理由の御説明を伺いますと、大体は政府におかれましては、この旧恩給法を大体差支えのない程度復元して行こう、併しその復元やり方如何によつては非常に国家財政影響があるので、その辺十分調査いたしたいから日にちをかしてくれと、こういうような御趣旨であつたと思う。何らの方針を持たんという、何らの方針もなくして国家財政に何が影響が来るという考えが浮くのですか、ということで私は提案理由がわからんと思う。  それでは改めて伺いますが、この復元的措置或いはその措置如何等影響云々というこのお述べになりました理由は、政府の大体の肚をお示しになつたものではないのでありますか。どうでありますか。その点を承わりたいと思います。
  19. 保利茂

    政府委員保利茂君) これはもうもとよりです。旧恩給法を基にいたしましてそれを復元するだけの国家財政の力があるかないか。若しこれを復元する場合に現恩給法との調整はどうであるかということはもう当然考えておるわけであります。
  20. 山下義信

    山下義信君 私は大蔵大臣が見えましたから大蔵大臣に伺いたいと思いますが、恩給法特例を一カ年延長しようという提案理由の中に、国家財政影響を及ぼすことの少からざることを考慮して一カ年ほど猶予してもらいたい、こういうことが提案理由にあるのでありますが、国家財政に及ぼす影響の少からざることを考慮して云々という御趣旨は果して如何なる御趣旨でありますか伺いたいと思います。  それからなお先ほど官房長官に伺いましたのでありますが、今お聞きになつたかとも思いますが、戰没者遺族につきましては御心配下すつて今回の援護法のともかくも一応の処置はできました。然るに現存せるところの旧軍人の、生きた軍人恩給停止を、私が言つたの連合国がこれをストツプしたのは、懲罰意味でもありその当時止むを得ん、併しながら独立した以後においてなおそのストツプを、一般のポ勅の六カ月を超して一カ年もそのままにしておくということは、日本政府が依然として旧軍人懲罰を與えると同じ結果になりはしないか、一年待て、二年待てもかまわないが、何か応急的な措置を例えば九牛の一毛でも誠意を示してやつたらどうか、そうしておいて待てと言うのが、これが当然の筋の通つたやり方ではないかということを申上げたのです。官房長官はその趣旨においては御異議がないようであります。いくらか御誠意のある御意見も出かかつたようでありますが、事財政にも関係がありますので大蔵大臣の御答弁を待つておるわけです。今回の予算では、お話を承わりますといろいろ御苦心下すつた司令部承認しなかつたということでありますが、今日の立場におきましては、若しこれ巨額の財源を要しますならともかくもでありますが、しぼつてしぼり上げますると、恩給局調査いたしております通り対象者も少うございますし、その金額もさして多額であるとは言えないと思うのです。何らかともかくも暫定措置を一方になされてそうして完全な結論の出るまで待てとおつしやるのが至当ではないかということを申上げたのでありますが、その点大蔵大臣は御考慮に相成りまするお考えがありますかどうかという点も併せて伺いたいと思います。
  21. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 御尤もな御意見と拜聽いたすのであります。戰争犠牲者には御承知通りいろいろなかたがございまして、できるだけ早い機会にでき得る最大限度をいたしたいというので努力して参つたのであります。昭和二十七年度予算編成に当りまして、遺家族かたがた並びに軍人かたがたを先ず取上げようと努力したのでありまするが、そのうちでもどうしても遺家族のかたが一日も延ばされない、こういう考えの下に昭和二十六年度補正予算で一応始めて二十七年度からやることにいたしたのであります。軍人かたがたについても同時に出発したいという気持はあつたのでございまするが、何分にも財政的に一度にそう出すわけに参りませんので少いながらも遺家族かたがたから取りあえずやつたような次第であります。促つて軍人かたがたのほうは考えないというわけではない、十分考えました。昭和二十七年度中にこの軍人かたがたに関しましても適当な措置を考慮して、二十八年度からは何とかいたしたいというので研究をすべく準備いたしておるのであります。軍人かたがたに従来の規定通りのいわゆる戰時加算とか外地加算とかいろいろな加算をして行きました場合におきまして、どれだけの額がかかるかという一応の推算もいたしました。又加算その他非常にしぼつた場合においても、どのくらいの金が要るかということも概算はいたしてみたのでありますが何分にも相当な額であるのであります。これは当時八百万近い軍人かたがたのことであり又数十年勤められたかたがたもあります。軍人遺家族調査よりももつと調査の範囲が広くてそうして計数が非常に大きい。かてて財政上の問題からしばらく御猶予を願いたい、こういうので今研究をいたしておるのであります。然らばお話のように遺家族のほうのかたがたにはああいう措置をとつたのだから軍人かたがたにも今暫定的に何とか方法はないか、九牛の一毛てもというふうなお話でございますが、こういう大問題はちよつと簡單に九牛の一毛のように行かないのであります。昭和二十七年度予算執行状況はどうなるか、二十八年度がどうなるか、日本経済界の進展がどうなるかということをきめませんと、これが一年こつきりで済むことではないのですし軍人かたがたに対して相当なこと、できるだけのことをやろうとすれば余ほど研究してかからなければならないので、只今予算通過後、軍人かたがた昭和二十七年度において暫定措置をとるということは、只今ところ困難であろうと思います。従いましてどういうふうにして行くか、いわゆる軍人かたがたの実態を早急に調べてそうして調べ上げてからのちにできるだけ早い見通しで一つあなたのいわゆる方法をとりたい、こういう考えで進んでおるのであります。
  22. 山下義信

    山下義信君 折角期待いたしましたが、大蔵大臣は要するところまあ昭和二十八年四月からは措置をとる、これは当然のことでありまして、若しそれ、措置をとらなかつたら大変なことが起きて来ることは言うまでもないことであります。如何なる措置をおとりになりますか今後の御研究に待つわけでありますが、本年度中におきまして私が九牛の一毛と申しましたのは、政府において何らかの御誠意があるかないかということを伺いたいと思つたのでありますが、折角九牛の一毛と申上げましてもその一毛も出すというお考えもないということでありまして、甚だこれを私は遺憾に考えるのであります。御再考の余地がなければいたし方がない。又これから軍人の実態の調査をするとおつしやつたが、これは何をおつしやる、私は甚だこれは了解に苦しむのであります。これは大蔵大臣が、少しお考えが何かはかのことを考えておられたかどうか、恩給法に関連する軍人の実態の調査、これからなさらんでも恐らく恩給局には完全無欠な書類があると私は思う。恩給局長多分この席にいるだろうと思うが改めて実態の調査をする必要がどこにある。ただあなたがたは、率直に言つたら金が幾ら出せるかということだけで、急に出せないから法律を引張つてでもということだけが真相である。何もこれから一年かかつても二年かかつても名案が出ようはずがない。どんな名案を出すおつもりであるか、ただ恩給法をどうしぼるか、軍人加算をつけないように、成るべく少く出すにはどういう方法があるかということを考えるだけである。新らしい恩給法をお考えになるということではない。軍人の実態調査をおやりになることはないと思うのでありますが、それは別といたしまして、私折角御答弁を期待いたしておりましたが甚だ遺憾に存じます。将来のこの軍人恩給に対しまする国家財政についてのお見通しはどういう考えを持つておられまするか。その辺をいま一度承わつておきたいと思います。
  23. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 誤解のないように御答弁いたしますが、私は昭和二十八年度からじやないとできないと言つていないのであります。昭和二十八年度からは是非ともやりたい、昭和二十七年度中には絶対やらんとは言つていない。できるだけ早い機会にできるだけいい案を一つ考えたいと、こういうのであります。で、委員会の結論が出ましてそうして又財源のほうの見通がつけば、これは或る程度のものを出したい。こういう気持は私は山下さんと変りはない。又財源の問題では私は軍人遺家族のかたに対してあれだけでは援助は十分じやないということはよくわかつている。片一方では歳入を確保しながら、もう一方では冗費をなくしながらできるだけのことをいたそうという気持であるのであります。又実態調査というのは、正確な実態調査ではないのでございまして、やめる場合におきましてのいろいろな点があるのであります。例えば終戰直後におきまして軍隊が解散した場合においていろいろな、例えば洋服とか或いは小遣、小遣といつては語弊がございますがいろいろなものを貸與してお帰り願つた場合において、そういうものをどう取るか、こういう支給上の実態も考えなければなりません。私は国の財政を預かつております以上は、できるだけ国民の皆さんに納得が行けるように、少くとも納得が、金額は少くても大体まあまあという案を出すのにはいろいろな点を検討してみなければできないのであります。そういう問題について十分自分も検討し、又委員かたがたから御研究を願つて、よい結論を得てからやるのが本当だろう、こういう考えで行つておるのであります。財政上の問題につきましても、今年度よりは来年度におきまして、軍人遺家族のかたにつきましては二百三十億で済んだのが三百億円以上になつて来るのであります。そうして今恩給局でどのくらいの計算をしておるかわりませんが、加算その他をずつと入れますと千億や千五百億円じや済まんのじやないか。しぼり方によりましても相当しぼつても五、六百億円要るのじやないか。こうなつて来ました場合において遺家族のほうは殖えますし、又軍人恩給もありますし、又賠償、外債の支拂等々を考えますると普通のやり方ではなかなかやつて行けない。だといつて増税ができるかということになりますとこれ又なかなかむずかしい問題であるのであります。片方ではいろいろな歳出を要するような法案その他もございます。こういうところから考えますると、一つ一つ取り出されて御議論なさると誠に御尤もな点でありますが、そういう御議論を全部集めます場合において出るところ国民の懐であります。なかなかおいそれとつまみ上げてどうこうということはなかなかできない問題であります。只今申上げましたようにできるだけ早く調査をしてそうして片方との財政的の見通しがつけば、私は昭和二十七年度でやることに何も反対しない、努めてそういうふうにしたいという気持で進んでおることを御了承願いたいと思います。
  24. 山下義信

    山下義信君 私は大変いい誤解をいたしておりました。只今大蔵大臣から重ねて承わりますると何も昭和二十八年度からでなければならんということはないのだ、都合さえつけば、考えさえついたらは、今年度中でも考えんとは言わんのであるという、大変含みのあるお言葉を頂戴いたしましてこれ以上は俗に言う食い下つて具体的な言質を得ようとは思いません。私は野党ですからもつといい御答弁を頂けるはずはございませんからこの程度で満足をいたしておきますが、なおこれは私は大蔵大臣はたびたび遺家族援護についての今年度二百三十億で来年度から三百億要るのだ、殖えて行くのだということをおつしやるのでありますが、これも誤解のないよう私は承わつておきたいと思う。大臣がたびたびおつしやる来年度から三百億要るのだ、三百四十億、三百五十億要るのだとおつしやることは、何も今度おきめ下さつたあの措置が増額をするから要るのじやないのであつて、八百億の公債が年賦償還の償還をする、その一部が来るから殖えるのだ。妻に一万円、来年からは一万五千になつて殖えるのじやない。これも誤解のないように私は承わつておきたい。私は一体大蔵大臣は大好きなんです、本当に言うと、そうして公開の席では申しませんが敬服しておる。どうかほかの大蔵大臣はようやらんところをおやり願わなければならんのだから、こういう措置というものは普通の凡庸な大蔵大臣はできないと思う。私は相当池田蔵相に期待して、大蔵大臣の在任中に何とか一つ納得の行くような目鼻をつけておいて頂きたいということを切望いたしておきます。  この際私は承わつておきたいと思うのは、あの遺族援護法ですね。あれは大体筋として戰没者遺族はあの法でずつと行つて中身はだんだん固めるといたしましても、あれで行くとなされて、そうして旧恩給法はいろいろな観点からこれを再検討してバランスのとれた合理的な新らしい時代に即応した、なお今後にも応用のでき得るような、こういう恩給法に育てて行つて軍人諸君既得権も適当に処理して行くというお考えでしようか、或いは明年度からは遺家族援護法もこの復元的な、この恩給法の復活的な線に吸收するというか、それを取入れて行こうというお考えであるか、大体の政府方針といたしましてはどういう考えを持つておられるか、承わつておきたいと思います。
  25. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) そういう問題がなかなかむずかしいから軍人かたがたに対する恩給措置につきましても研究いたしておるのであります。そこで具体的に申上げまするが、この軍人遺家族かたがたに対しまする措置もこれを以て金輪際変えないという考えではない。これは政府説明にもおわかりの通りに、とにかくもう少し出したいが財政上は今のところできませんから今後よくなりましたらこれを殖やして行きたいということは政府のほうでたびたび申上げておる通りであります。そこで軍人遺家族の問題のあとには、軍人恩給の問題が出る、これをどういうふうにきめて行くかという場合におきましても、遺家族のかたに今までとつた措置、又今後軍人恩給についていい考えが出た場合において、振返つてみて遺家族のほうのかたの措置も関連的に私は考えなければならんことになるのではないかと思うのであります。そこで要は先ほど申上げましたように、できるだけ他の経費を節約してそうしてこの次の軍人恩給の問題、そうして又振返つて遺家族の問題も総合的に考えながらやつて行きたいというふうに思つておるのであります。
  26. 山下義信

    山下義信君 私の質問はこの程度にとどめておきたいと思いますが、なお他の委員諸君が御質疑になりましたあとで承わるかも知れませんが、一応この程度でとどめておきたいと思いますが、いま一点伺いたい点は、政府も非常に事重大であるとお考えになつておることは勿論であります、自他共にこれは心痛をいたしますこの重要な恩給法善後措置をどうするかという問題です。両大臣とも官房長官大蔵大臣ともこれを審議会審議の結果に待つとおつしやる、これはそういたしますと本問題の重要性からいたしましても今回の法案の中に恩給法特例審議会によつて審議されるのだとおつしやる、この審議会は非常に重大であると私は考えるのでありますが、審議会の設置の構想というのもにはどういうものを考えておられるか。若しこれが総理府の一機関としてこの審議会委員が何々局長、何々次官の程度でこれをなさるというならば、政府部内の職員を集めてのお会議では私はいろいろな点から考えましても非常な重大な審議会とも考えられませんし、一カ年の時日をおくということもおかしいと思う。これは多分相当な構想を持たれて、相当な関係者委員にして、この権威ある審議会を設置なさろうというお考えと私は推測するのでありますが、提案理由説明もなく、私どもといたしましては、或いは委員諸君の中には見解の相違される方があるかも知れませんが、こういう審議会こそ国会法の三十九條の特例を用いて両院の議員等も一部入れましてそうしてしつかりした審議会にすべきであると私は思うのでありますが、この審議会の構想等につきまして政府の所見を私は承わつておきたいと思います。
  27. 保利茂

    政府委員保利茂君) 問題の重大な点に鑑みまして、この審議会の構成につきましては相当考えなければならん、今山下議員の漏らされた御構想も、私どももともあれ問題が非常に重大でございますから、單に政府職員の会議を開くというようなことでは到底大方の御満足を得るようなことにはならないであろう、山下さんのお考えのような点も考えておりますが、結論を申上げられる段階にはございませんけれども、十分各方面の御納得の行き得る構成を持つて、そうしてこの審議会の結論が国民に対して権威を持つような運びに持つて行きたいと、こういうふうに考えておる次第であります。
  28. 山下義信

    山下義信君 国会審議の通例といたしまして、法案の中で政令に譲るという点がありまする場合には、その政令の内容を資料として見ておく必要がありますことは皆さんも御承知通りであります。従いましてこの法律案の第三條第二項には審議会の設置は政令で定めるということでありまして、その規模、内容、人選その他のことが明瞭でございません。政令案を当委員会に資料として政府から提出せしめられるよう委員長においてお取計らいを願いたいと存じます。  最後に恩給局長に私一つだけ聞いておきたいと思いますが、旧恩給法、つまり現在の恩給法によりまして旧軍人恩給のいわゆる権利を持つておりまする者、既得権者の総数は何名でありますか。それから現恩給法によりまして戰時加算が付された場合において、恩給支給時期に達するであろうと思われる、いわゆる期待権者と申しますか、それらの総人員は大体幾ばくの数に達しておるかということの人員の御報告を願いたい。又それらに対して現恩給法によつて恩給支給するというならば、現存せる軍人既得権者に支給する総額は幾ばくになるか、又期待権者に支給するということになれば支給金額は幾ばくに達するか、この二点について数字の説明を、答弁を願います。
  29. 三橋則雄

    政府委員(三橋則雄君) 軍人恩給が廃止せられました当時におきまして大体どれくらいの恩給権利者があつたかということにつきましては、いろいろと今日まで調査を続けて行き、今もなお集まりました資料につきましてだんだん検討を続けておるわけでございますが、何と申しましても、恩給をすでに受けておつた人の数よりも、当時の恩給法の適用をそのまま受けました場合において、恩給権利者であつたと思われる人の推定をしまするための資料と申しますか、それが何分にもなかなか入手することは困難なことでございます。嚴格に申しますならば勿論むずかしいことでございますが、大ざつぱに考えましてもなかなか困難なことでございまして、この調査につきましてはいろいろと苦労して参つたのでございますが、大体におきまして恩給権利者、これはすでに恩給をもらつてつた人もそれからまだ恩給をもらつてなかつた人もひつくるめまして、数を大体推測いたしますと年金恩給につきましては七百万人くらいを大体想像しておるのであります。勿論それは加算を全部受ける権利のある人につきましては加算の恩典にも浴するものといたしまして、そうして恩給権利者を想定いたしました場合でございまして、この数の中には在職年によりまして恩給を受けるもの、即ち普通恩給というようなもののみならず、傷病の場合におきましての増加恩給、傷病年金の権利者も含んでおります。それから又死没した人の受けるべき扶助料も含んだはずでございます。それをそれならば現在の恩給法をそのまま適用いたしました場合におきましてどれくらいの恩給の年額になるかということでございますが、これもなかなか調査いたしましてもむずかしいことでございますが、大まかな統計の客観的に御了承願う程度といたしまして申上げますれば、二千億を年額として超えるものと考えております、二千二、三百億には達するのじやなかろうかと想像いたしております。勿論これは昭和二十一年の二月に軍人恩給が廃止せられましたその当時を大体考えまして想定いたしました数でございまして、又推定いたしました金額でございます。従いまして、その後今日までには恩給権者又扶助料を受ける権利のあつたかたがた権利を失つてしまつたかたもあられることと思います。文恩給権者或いは遺族のかたでただその人お一人だけであと関係者が全然なくて、そうしてその人限りで恩給関係が切れてしまうというようなかたも相当あるのじやないかというようなことが想像せられるのであります。そういうようなことを考えまして、それならどれくらいのその当時の昭和二十一年二月一日の恩給権利者であつて、今日まで失権した人があるかという今度は推定になるわけでございますが、その推定もなかなかいろいろなことでむずかしいのでございまするが、従来の恩給の統計からいたしましてずつと推して考えまして大体推定いたしますと、この七百万人の数も相当少い、相当といいますか若干少くなりまして、そうして金額につきましては千七百億円くらいになるのじやなかろうかとこういうふうに思います。まあ統計のことでございますが、その統計も今申上げますように非常に困難でございますので、大体のところとしましてはゆとりをとつて千数百億円の金が大体要るのじやないか、こういうように御了承おき願いたいと思います。又一時金たる恩給でございますこの権利者は大体どれくらいか、こういう問題があるわけでございますが、実は一時金たる恩給権利者につきましては、相当数あるということは想像されるのでございますが、まだ具体的に責任を持つて申上げ得るような数までは実は調査ができておりません。この数を入れれば相当の数になるものということだけは想像されますが、何と申しましても、終戰当時におきまするところ軍人の中からの大まかな想像はできますけれども、併しこれは私はその当時の陸海軍の編成要員なんかから申しましても、本当にここでもつてぱつと公に申上げるまでのまだ自信を得るに至つておりません。大体編成要員などから推測すれば一時金はこれくらいになるのではないかということは出で来るのでありますが、一年加算が附きまして三年になりますというようなことを考えますと、そういう人の一時恩給まで考えますと殆んど兵隊にとられた人は一時金たる恩給がつく。こういうふうにいたさなければならなくなるということでこれも相当の数になるということだけは想像されますが、はつきりとした数を申上げるまでには至つておりません。
  30. 河井彌八

    委員長(河井彌八君) 山下君に申上げますが、只今政令案を政府に要求しろということでありました。それは取計らいます。
  31. 山下義信

    山下義信君 お願いいたします。私は委員長にお願いしておきたいと思いますが、厚生委員会連合審査をして頂きまして感謝に堪えないのでございますが、只今お聞き及びの通りに、二の問題の対象者は七百万前後でありまして、若し法の通りいたしますれば所要金額二千億に近いと言われております。これらの処理をいたそうとするために一年間延期を求めるところ法律案でございまして、而もこれらの処理をいたすべく審議をいたしまするのは審議会であります。そういう点を考えますると本案の重要性は非常なものであるということは委員長すでに御認識の通りでございます。どうか本案内閣委員会におきます御審議につきましては、私ども厚生委員といたしましては、十分所期の目的の達せられまするよう本案の内容を御審議下さいまして、それに沿い得るよう善処を賜わらんことをお願い申上げたいと存じます。私の質疑はこれでおきますが、恩給局長に只今の大体の数を聞きましたが、終戰時に恩給受給者の資格がつくであろうと思われるそれらの陸海軍人は、当時の陸海軍当局者から恩給局に然るべき資料と同時に通達があつたのではないかと思いますが、それらの書類はすべて恩給局に保存されておるかどうかということだけ念のために承わつておきたい。
  32. 三橋則雄

    政府委員(三橋則雄君) 終戰の当時即ち昭和二十年の九月だつたか十月だつたかと思いますが、に、私のところに当時の陸海軍のほうからもらつた資料がございます。それから軍人恩給廃止の当時、即ち昭和二十一年二月前後あの頃に調べた資料も私のところに報告ざれたものがございます。その当時の資料によつて想定いたしましたところ恩給権利者の数と申しますのは今申上げた数よりもかなり少い数になつてつたのであります。その後同復員局の非常な御努力によつて調査を願つて参りまして、そうして昨年の暮頃に推定いたしました数が大体只今申し上げましたような数になるということでございます。
  33. 松原一彦

    ○松原一彦君 保利官房長官にとくと私は御懇談的に伺いたいと思うのであります。日本に前例のない敗戰の跡始末でありますから実は誰も心がまえがなかつたということは無理はないと思うのでありますが、突如として昭和二十一年に軍人恩給はすべてこれを給せずというポツダム宣言受諾に伴うあの勅令が出ましてすべての軍人恩給を給せられなくなつたのであります。これは敗戰の結果であるからいたし方がないと言つてしまえばそうでありますが、考えてみると随分これには無理があつた。戰争に従事した者がその罪として追放を受けておる。追放を受けた者は軍人ばかりではない、文官といえども同様に追放を受けておるのであります。この追放を受けた者が恩給停止せられるということは当然であります。然るにこの勅令によつて恩給停止を受けた者は実は追放にも何も値いしない、大東亜戰争にも支那事変にも一切のミリタリー・サービスしたことのない日清、日露役以来の古い人たち、老将軍たち、又文官、高等官等以上である軍部に奉職したる文官も全部これは一様に恩給権を停止せられたのであります。誠にこれは悲惨な話でありまして、今回必ず戰争が終つたならば恩給権が復元せられるであろうと期待しておつたかたがたが、突如一年間延びるという話を聞いて非常に憤慨せられてその期待にそむいたことを歎きいろいろなる請願、陳情が出おることは御承知と思うのでありますが、この中には八十何歳という老将軍たちも相当おられます、七十何歳、かような老人のかたがたまでもが何ら追放関係のない人が一様に非常な悲惨な運命に陷つておるという事実がある。然るに同じ戰争に加担したと言われる重い責を負うて恩給停止の処分を受けたところの文官側の者は、御承知のように追放解除のその翌日から恩給権が復活して現に恩給をもらつておるのであります。文官は一面において追放解除と共に恩給復元し、軍人であつたということのために当時の責任者である追放被処分者は恩給権は復活しない、のみならず巻添えを食つたと思われる過去の古い人々までがなお一カ年間この恩給権を停止せられるというのが今日の実情なのであります。この中には日清、日露戦役時代の古い軍人の未亡人もその生活を絶たれておるのであります。実情の一つ二つを申上げますと、私は今杉並におりますが承わるところによるとこの在住の或る将官はその生活の苦しさの余りに区役所に出て筆耕を勤めて月三千円、一日百円の手当を辛うじてもらつてつたのに、軍人であるが故に臨時雇もできないというので区役所をも追放せられて、いたし方なく今日はその老将軍がはかりを携えて屑物を買つてつておる。又或る部隊長であつた現に私の近くにおる人は今下町の学校の夜警を勤めておるのであります。私はこういう人々の実情を考えたときに実に気の毒に堪えないのであります。刑務所に入つた者は食うものは與えられます。併し軍人であつたということの條件のために職も與えられない。訴願の途もなくそうして一方には独立となつたならば必ずこの恩給権は復活するとのみ信じておつた人々がなお一年間この生活の途を絶たれようというのであります。この恨みの深刻さを一つ御想像願いたい。泣くにも泣けぬ必死の憤まんのあるということは、これは職を絶たれた者でないとわからないのであります。人間何が悲しいかといつて生活のできないほど苦しいことはないのであります。而も過去には相当の面目を保ち金鵄勲章功何級をもらつた栄誉ある人々が、今回の戰争に敗けたためにその過去の人まで巻き添えを喰つて、そうして相当以上の生活のできた人々が今日職を失つておるという事実、これは昭和十九年までしか恩給局には統計がありませんのでその二十年頃のことはわかりませんけれども、私の調べたところによりますとこの勅令によつてすでに恩給証書をもらつており、或いは扶助料の証書をもらつておる人々の数が九十二万八千二百十四人に及んでおるのであります。このうちには三十四万三千二百五十六人の戰病死による遺族扶助料者も含まれておるのであります。なおこの後に恩給を期待しておる、期待権を持つておる人々が只今お話通りに非常な大きな数に上つておる。これがたとえ敗戰の結果であるとはいえども、若しミリタリズムを根絶する、軍人というものには子々孫々懲罰を加えるといつたようなあの戰勝国側の一方的意思で加えられたる処分であるとしましても、私はすでに六年八カ月間言おうようなき悲惨なる運命に会わされた人々の処分はもうこれで一応今日は消えておるのではないかと思う。一方においてあの平和憲法を制定した当時の気持を以てするならば軍人というものは今後一切日本には現われないのでありますから、仮に軍人というものの根絶やしをするということであるならばなお且つこれでも辛抱できたかも知れない。併し社会情勢は違つた、違つた政府のほうでは仰せられますが、どう違つたかというと再軍備に向つてつておる。そうしてアメリカから何千か何万か知りません、国民の知らない量です、無限の量です、国民は何らあずかり知らないところの無限の量の兵隊がいつまでおるかわからない年数の先の限定もないものを、雇つて来たかどうか知りませんけれども日本に来てもらつて日本の国防に当つてもらおうとしておる。これは併し條件付であります、この人々はアメリカの意思によれば日本国民の国防力の漸増によつて帰るというのであります。国防力を漸増しなければならない條約を政府は結んで来ておられるのであります。一方国防力を漸増すべき義務を負い、そうして現に着々として警察予備隊或いは保安隊というものが生れようとしておる、現に生れておる、これは嚴然たる軍人であります。軍隊であります。誰が何と申されても世界的に日本の新軍隊ということはもうはつきりしておる。それを徐々に殖やそうとしておる、現実に今国民の前にさらされておる。現に許されない再軍備が一方にはすでに進行しておる。そうしてこの将来がどうなるかというとこれは国防力を漸増してアメリカに帰つてもらわなければならない運命になつておる。これも日本国民の意思かどうか私はわかりませんがすでに政府はこういう約束をしておられるのであります。かかる情勢の変化した際にこの七、八百万乃至一千万に近い過去の軍人を泣かせておいて、怨ませておいて、めしを喰せわないでおいて果して日本独立自衛ができますか。失うものが余りにも大きくはありますまいか。現に私はここに林三郎という署名のある旧大佐のかたが書いておられる最近の週刊朝日を見ますと、再軍備をやる場合一番肝腎なことは失われた祖国防衛心の振興ではなかろうか、自分の国は自分で守る気魄のない者に立派な銃を渡そうものなら国民は心配でたまらない。形よりも心が大切である。祖国防衛心が国民の間に盛上つて来ればすでに再軍備の基礎はでき上つたものである。再軍備の用意をしきりに政府はしておいでになる。一方にはアメリカの軍隊によつて国防力をどうにか真空状態でないようにするということでありますが、一方においては徐々に警察予備隊若しくは保安隊によつて国防力をつくろうとしておられますが、それは形です、外国の武器でありそうして魂なき人間です。この人々に果して過去の軍人のような祖国防衛の精神がみちみちておるのでありましようか、どうでありましようか。それで安心ができましようか。私は再軍備論者じやない。殊にミリタリズムの復活に対しては絶対反対のものでありますが、併しミリタリズムの復活というものと国防とは違うのであります。八千万の国民が生きて行くためには何らかの措置が要ることは当然であります。併しその措置がかように過去の忠実に戰つた人々にです。この人々は私はいばつたとか或いは政治を誤つたとかいいます、日本の運命を誤つたとかいいますけれども、それは維幄に参画した人々のことであつて多数の現地に戰つた人々の罪ではないのであります。然るにこの人々は断じて弱かつたのではないのであります。強かつたのであります。武器が足らなかつただけの話であります。B29がなかつた、電波探知機がなかつた、原子爆彈がなかつただけの話なんです。一人々々の軍人を比べたならばどの軍人といえども未だ曾つて弱くて負けたのではない、むしろ強すぎて厄介がられたのであります。この人々一千万人をここに泣かせて、恨ませて、そうしてこれから政府は一体祖国防衛をどうしようと言われるのか。一方に東條内閣に参画したるところの過去の大臣が追放解除になつて堂々と恩給をもらつておるのです。文官はかくのごとくにして立派に復活しておる。今度の選挙にも出るでしよう。何ら今度の戰争には一体参画しておらぬ陸地測量部の技師などがただ高等官であつたがために八十以上の老人たちが数名今日まだ食えずに困つておる。これは何らミリタリー・サービスしてはおらん。ただその位置が軍隊の関係者であつたというために今日恩給停止であります、泣いておるです。余りにも私はこの政府措置が止むを得なかつたとはいいながらも残酷なものであつたということを思わざるを得ません。せめて今度の独立になつたならばその翌日から恩給は復活するものとのみこの人々は思つて今日の日を待ちこがれておつたのです。中には中風にかかつて病床にあえいでおる人がある。眼の見えない手を挙げてまだ恩給は来ないかと待つておるのです。然るに今一カ年間政府はこれから考えるから待てと言われることが、これが残酷でなくて何でしよう。長官一つこの点はよくお考えを願いたい。そうしてあの援護法というものは一体得体の知れないものであります。戰死した人に対してはこれこれの恩給を與える、つまり貴族に対してはこれこれの恩給を與えるということは明治維新以来ちやんときまつておるのです。はつきりきまつてこれで戰さしておるのです。日清戦争も日露戰争もそれでさしておる。それをば当然復活すべき恩給権を押え付けておいて、如何にもお恵みのように地方ではこういうパンフレツトが廻つておる。自由党ならこそこれほどのことをしてやるのに何のこことがあるのかといつたようなパンフレツトが廻つておる。当然受くべき権利を押えておいてパンのかけらをお恵みのごとく與えておる。今回の援護措置のごときは、私は実に初めから厚生省がやることは所管違いだと叫んで参つたのであります。これは当然保利長官、あなたの御所管なんです。恩給局の所管なんです。戰死者にこれこれの遺族扶助料を與えるということははつきりわかつておる、何十年来わかつておる。それをばやらないで一方に援護措置というわからんものをやつておる。あれは一体どういう結果を来したか。未亡人には僅か一カ月八百三十円、生活保護費の半額にしか当らないのです。それが何でお恵みでありましよう。そうして最近においてはですね、警察官が公務によつて死んだ場合においては百万円くれるというのです。警察予備隊が何ら我々に姿も見せないで二カ年間営内で訓練を受けただけでこれはこの秋に六万円もらうのです。そうして一方には過去の軍人たちを而も、これは考え方の根本が違つておるかも知れませんが、至誠純忠これこそ日本国民の名誉ある働きだとのみ教えられて戰つた人々に今日憂目を見さしておる、勿論二の人々は敗戦ということは日本の軍隊は知らんのですから皆死ぬはずだつたのです。皆腹かき切つて死ぬか、然らざれば突撃して玉砕すると皆きめておつたのです、あの十五日の日まで。ところが天皇の御命によつて降伏しろと言われたから涙を呑んで降伏しておる。恥をさらして帰つておる。それをなお且つ一カ年間飯も食わせずに追討をかけるということは余りに残酷じやないか。この恨みが一体どうなるかということ、日本国民の失う損失を私は政府がお考えになつたことがあるかどうか。せめて老軍人だけでも応急の措置をとさつきから山下氏が婉曲に言われましたけれどもお答えがない。七百万の既得権者があると言われますが、実はこれは軍人には加給も何十種も加算があつて、一年行けば四年に計算せられる、下士は十二年で恩給になるのでありますから三年戰争に行つた人々は皆恩給になるのです。そのために七百万人になつておるのです。これを実役計算し文官同様に直せば下士官にして十二年の恩給になる。準下士官以上の十三年の実役計算者の数は、私がもれ聞いたところによりますると、士官以上は恩給は五十歳以上でいいのですから、弱年停止でいいのでありますから、五十歳以上の老軍人は下士から準士官以上を加えて僅か八万八千人になるのであります。実役計算によつて加算を除いて計算すれば八万八千人のような僅かな数になる。それならば恐らく職業軍人のみがその恩典に浴するとかようにお考えなさるかたがあるかも知れませんが、実は准尉の数が三〇%を占めておるのであります、少尉が一九%、中尉で一七%、将官などに至つてはもうごく〇%というほどに少いのであります、大将などは。で、八万八千人のかたがたのせめて老軍人だけでも実役計算によつて恩給支給するとすればこれは微々たるものである。現に今日の文官は二十二万人、その恩給の総額は九十三億円です。二十二万人で九十三億円としまするならば、この老軍人たち、五十歳以上の実役計算による八万八千人の恩給は四十億内外で結構足りるのであります。今日の財政で四十億の金が出ないということが言われますか。私は大蔵大臣に聞こうと思つたが帰つてしまわれた。いずれ改めてお聞きしますけれどもが、そうしてこの昔の功労のあつた栄誉のあるかたがたに大手を振つて歩いてもらうということこそ私は日本再興の一つの基礎だと思う。ミリタリズムの復活を言うのじやございません。過去の約束を守るという政治上の信用を言うのであります。一旦緩急ある場合においては全国民は命令がなくても立上ります。併しかような残酷なことをおやりになれば命令があつても立上りません。国防はできません。私は理窟を申すのではない、事実こういう状態で、果して日本民族が自立して行けるかどうかということを疑うのであります。外国の軍隊に無制限に駐屯してもらつて我々が枕を高うして眠られるものじやない。但しこういう憲法を作らせてそして軍人懲罰したアメリカのこれが勝ち得たる結果なんであります。そうして今は四苦八苦の悩みを持つておらるるこういう実情の下において、ここに軍人懲罰令。ミリタリズム根絶のこの残酷な占領軍命令によるところの政令を更に一ケ年間延ばして研究するということは、私は政府の怠慢だと思う。山下氏もさつき言われましたが今日の或る人ははつきりわかつておる、恩給局長には私はようわかると思うのです。十二分に御用意がある、その御用意をおとりにならんで、遺族援護法といつたようなつじつまの合わないものをお出しになつてどうにかこうにか一部を埋めたがこのほうは抜けてしまつたのです。増加恩給に属する傷病兵、それから戰死者の遺族だけは恩給関係のうちでも一時の無償債をやりましたけれどもが、一審数の多い軍人、その正規軍人には何らこれが及んでいないという片手落がここに実現しておるのです。文官に対しても片手落であり、又戰傷病者に対しても生きておるからこことを言うなというわけには参らないのであります。でこういうところを総合しまして私はこの今日の実は御用意があるものと思うのです。長官はさつきから用意がないとおつしやるけれども私は用意があるものと確信する。審議会などにかけないで政府は原案を示されてそうしてやられてもいいのでありますが、若しどうしてもやられないというならば至急に審議会作つて政府の原案によつて後半期十月一日からでもこの八万八千人の老軍人に対する緊急措置としての恩給復活でもおやりになる意思はないかどうか。これは私はできないことじやないと思う。五十億そこら、三十億か四十億の補正予算が今日の経済でできないとは言わせないと思うのです。こういう御意思があるのかどうか。やろうと思つたらやれるものなんであります。決して、できないことじやない。  この点につきましてもう一つ申上げておきます。十月一日から実施するものとしますると一月までの恩給になりますから四分の一の額で済みます。年額の四分の一で済みますから十億円そこらで済みます。遺族扶助料はもう一方に一応は片がついておりますから済みます。一月から三月分までは明年度予算に組めばいい、仮に四十億円要るとしましてもその四分の一半期分あれば本年の補正には足りるのであります。それでもなお且つできないと仰せられますかどうか。私は実情を訴えてそうして我々のとるべき義務と責任を果したい。この意味における保利長官の本当の一つ気持を出して頂きたい。それだけを申上げておきます。以上であります。
  34. 保利茂

    政府委員保利茂君) 松原さんのだんだんのお話を伺つておりまして、私は表現がまずいと申しますか口べたでございますけれども先ほど山下さんにお答えいたしましたときに私ども考え方は十分申上げたつもりでございますけれども、なお御意見でございましてお伺いいたしておけばいいと思うのでありますけれども、大体日本独立を早く迎えたい、講和條約を何とか早く締結したいという総理大臣の切々たる念願は、マツカーサー元帥在任当時から、この問題に対して熱誠をこめてしばしば折衝せられたのでありま記す。でありますが、不幸にいたしまして独立後の問題としてやつてもらいたいということに私は聞き及んでおります。従つてこの遺家族或いは旧軍人かたがたの問題を処理いたしますためにも、どうしても早く講和独立をかち取らなければならないという念願に燃えておられたわけでございます。幸いにいたしましてまあ独立を迎えることになりまして、これは政府気持を申上げ得る一つの事例といたしまして、先ずこの遺家族の問題に関する松原さんの御意見、私は個人としては全く同感なんです。と申しますことは、政府が一連の措置を講じました、そのお気持も、悲惨な民族の時代に遭遇いたしました、これによりましてとにかく盡忠至誠の一念に燃えられて国家に一身を捧げられた、不幸にいたしまして戦病死をせられているかたも多数ある、或いは又幸いと申しますか生還を完うせられたかたもあるわけであります、これらのかたがた占領という悲惨な時代に特にかような国家措置に対する制限を受けまして、或いはこの戰沒者を出されておる遺家族かたがた、或いは生存をせられておる旧軍人かたがたに過去の重苦しい暗い蔭にこの数カ年の間おおわれて、こういう気持で今後の困難な日本の再建に立ち向うということは、これはおぼつかないことであつて、どうしても先ず独立後の第一の措置として、どうかそういうかたがたが、或いは戰沒者を出された遺家族かたがた国家のために自分の大事なかたを捧げたんだというその栄誉ある功労者として、功労者を出されたという精神的自覚とそうして慰安を得られるということが大事であるし、同時に又旧軍人かたがたも決してその国家のためにどうであつた、こうであつたということでなしに、国家のために一途奉公を盡された国家の功労者であるという誇をかちとつて頂きたい。そのために政府としてはできるだけの予算的の措置も講じなければならんということで甚だ国会の御審議を煩したわけでございますが、十分参つていないことは私どもとしても、先ほど大蔵大臣が申しますように、十分認識をいたしておるわけであります。いろいろお話もございましたが、私ども気持政府気持はそのようでございまして、この旧軍人恩給の問題を考えるにいたしましても、これを或いは再軍備に結び付けるとか、或いは国防力の充実に結び付けるというような考えは毛頭持ちません。飽くまでこれはこの問題として考えて行きたい。先ほど山下委員に御答弁いたしておりまするように、又山下委員からお尋ね頂きましたように、遺家族かたがたにはともあれその不十分な措置でありましてもこの年度からこの程度措置を講ぜられる。お話のようにいろいろのこれは国家の功労に盡されたかたがたにはいろいろの種類がある。そのうちでも取分け日清、日露という民族の輝かしき功績、これらに捧げられたかたがたに対してだけでも何とかできないかということは切実に考えて、これは十月一日とか或いは一月一日とかいう今日ここでお約束を申上げるということは、これは私は御遠慮申上げなければならん段階でございますから。でございますけれどもそういうつもりで先ほど山下委員お答えいたしました通り政府も誠心誠意をもつてとにかく年度内にも講ずべきものは講ずるという決心をもつて参りたい。どうかそういう点は一つ私はこの問題は決して自由党だからこういうことができるとかどうとかいう問題でなしに、本当にこれは国家民族の永久にかかる、これこそ本当に超党派的な問題であるという考えで、まあ政府としても一つ努力いたして参りたいという考えでございす。どうぞよろしく。
  35. 松原一彦

    ○松原一彦君 一応これで了承します。
  36. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 私は今日初めて合同委員会に出席いたしまして、厚生委員でございますので、さつきから政府との間の質疑応答を伺つておりましが、けれどもすでにもう結論は出ているのじやないかという気がいたします。さつき大蔵大臣の御答弁にも必ずしも来年まで待とうと思わない、今生中にもできるだけ実現さしたいとはつきりおつしやいますし、保利官房長官も成るべく国民納得する形でいたしたいとおつしやるし、又何らかの形て実現さしたいと思うと、誠に極めてお含みのあるお言葉でございますし、又質問いたしておる委員側でも何も古い恩給そのままを復活さしてくれと言つているのじやございませんし、更に五十歳以上ですかそういう老軍人であつて而も実役計算でやつてもらいたい、僅かの予算だから、こういうふうに讓歩したお言葉でもございますので、もはやこの恩給法特例審議会などの答申なんかというものを待たないでも、私たちは議員なんだからここに修正案でも出しまして各派がお互いに了解し合いましてこの線でまとめて通過いたしましたならば、必ずまとまるのじやないかという気がいたします。  そこで官房長官にお伺いいたしますのは、議会を通過いたす段階になりましたら、この恩給法特例審議会の答申が出ていなくても、当然議会を通過すればこんなものは問題にならないのでしよう。どういう根拠ですか。
  37. 保利茂

    政府委員保利茂君) 当然この予算措置というものを伴わなければならないと思いますから、どうか只今縷々申上げております、政府苦心いたしております点もお認め頂きまして、速かに一つ審議会の発足をさして頂くように御賛成をお願いいたしたい。これも誠意を書して一つ努力をいたす所存でございます。そうして成案を得ましたならば、必ず急いでそれを国会提案することにいたしたいと思います。
  38. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 官房長官の御答弁によりますと、恩給法特例審議会の答申があつた予算措置ができるし、それがなければ議会を通過しただけでは予算措置ができないというふうに聞えるのですけれどもどうもそこらがおかしいと思います。いずれにいたしましても予算が今ないことが本当なんだつたら、法案が通過いたしたら当然政府のほうでは追加予算か何かお組みなさらなければならないとすれば同じだと思いますけれども
  39. 保利茂

    政府委員保利茂君) おわかりの上でのお尋ねだと思いますからそれについて何しませんけれども、とにかく政府といたしましては、全体の国民のできるだけ納得を得て、先ほど松原さんも縷々お話のようにいろいろ意見もある問題でございます、いろいろ深刻な問題、意見もある問題でございます、先ほどお話のように特に高齢者のかたがたの非常に悲惨な事例もお挙げになりましたし、そういう事例に対する国民の深い認識と同情を是非これを解決して行く上に持つて頂かなきやならん。そういうことからいたしましてともあれ私どもといたしましては審議会の発足を一日も早く急ぎまして、そうして国会に御審議願うような成案を一日でも早く急ぎたいという趣意でございますから、どうか一つそういうふうに御了解を頂きたいと思います。
  40. 松原一彦

    ○松原一彦君 私はいずれ内閣委員会のときになお質疑を続けますが、保利長官に念のために申上げておきます。これを一年間待つというこの法案を正面から考えると、来年四月一日からは既得権恩給が全部復活すると皆心得るのです、そこに危險がある、それは賄い切れんと私は思う。私どもは法の正面から言えばそれが本当だと思いますから漸進的に権利を復活するということならわかります、国力に応じて。ところがこれをこのまま一年間待たせるということは、明年四月一日になると、恩給は全部復活するものだと心得る。現に最近出て参つておるところ恩給復活の請願はその気持で書いてある。私ども政府の苦労もよく察します、わかります。又一方に財政措置のむずかしいこともわかります。だからして権利権利として保留しつつ決して否認はせんとしつつも漸進的にこれを復活する、国力の増進に従つて復活するといつた線を早くお出しにならんと、来年の春になつて又大きな騒ぎが起りますぞということを申上げておきます。できるだけ今年のうちにでもその線をお出しになつて、たとえ一期分でもよろしいからその線で一応の臨時措置をおとりになることが一番いい手段であるということを申上げますから、どうぞ閣議におきましてもお諮り下さいまして、早く先手をお打ちにならんというと……。実は去年これが行われておつたならばもつと簡單に済んだ。今は眠つてつた子が皆起きてしまつておる。そうしてすべての加算によつて既得権の全部を即時に支給しろということが、明年度政府の御希望通り通りましても明年四月一日からは全部の人に支給しろということが全国から蜂起して参ります。それでよかつたらよろしいが、私はそれでは賄い切れん問題だと思う。幾ら理窟を言つても二千億円以上の年金が来年から出るわけのものじやない。それならば一日も早く先手をお打ちになればよろしい。これはすでに手遅れなんです。丁度援護措置と同じように、もつと早くやつてつたらこれほど手遅れにならず済んだ事態であるのです。ドイツの例を見ましてもドイツはもうすでにとつくに終了しておる。日本は非常な手遅れです。この点につきましても又来年になつたら騒ぎを起さんようにせめて十月一日からでも非常な緊急措置をおとりになるように切望して、私は質問を保留いたしまして一応の終りにいたします。
  41. 竹下豐次

    ○竹下豐次君 私もお尋ねしたいことがありますが四時でありますから今日に限つたことではありませんが、これは官房長官にお伺いしたいと思います。この次に内閣委員会長官がおいで下さいますればそのときで結構でございます。おいで願えますか。
  42. 保利茂

    政府委員保利茂君) それではこの次にさして頂きます。
  43. 河井彌八

    委員長(河井彌八君) 諸君に伺います。本日はこの程度においてとどめたいと思います。  又特に厚生委員の諸君に伺いますが、厚生委員の諸君の御質疑は大体終了せられたものと認めて如何でございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  44. 河井彌八

    委員長(河井彌八君) 今長島理事は大体盡きたものと認めることに、言つておられましたが、まだ御在席でありますから一応念を押したわけであります。それでは厚生委員諸君の御質疑はこれで盡きたものと認めます。  つきましては内閣委員の諸君についでにお諮りいたしますが、連合委員会はこれで終了いたすものと決定いたしますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  45. 河井彌八

    委員長(河井彌八君) 御異議ないと認めます。さように決します。それでは今後は内閣委員会においてこの問題を取扱います。本日はこれを以て散会いたします。    午後三時五十七分散会