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政府委員(
網島毅君) かねて
テレビジヨンの問題につきまして当
委員会におきまして非常な
関心を持
つて頂きまして、いろいろ御指導御
意見を拝聴さして頂いたのでありますが、従いまして私
どもといたしましてその後の
経過につきましてお耳に入れておいたほうが適当であろうと考えまして、お時間を拝借して
テレビジヨンに関する
経過報告を申上げたいと存じた次第でございます。
先ず第一に、
標準方式の問題につきましてその後の
経過を御
報告申上げますと、先般の当
委員会におきまして御質問がございまして、私
どもからお答え申上げましたように、
白黒式標準方式につきまして、過般
異議の
申立が
日本放送協会及び
無線通信機械工業会からございまして、かねて当
委員会において御
説明申上げましたように
電波監理委員会といたしましては、その
異議の
申立てを
理由あるものと認めまして、その
異議の
申立てに基く
聴聞をいたすことに
決定したのであります。この
聴聞に関しましては四月の十四日に
準備会議を開きまして、以来四月十五日から本月二日までの間に八回の
聴聞を行いまして、
利害関係者及び
電波管理委員会からそれぞれ
意見を開陳し、並びに各般に亘りまして
参考人の
おいでを願いまして、いろいろな角度からこの問題につきまして検討が加えられたのであります。私
どもといたしましては恐らくこの
標準方式の問題につきまして考えられ、又検討さるべき問題はすべてこの
聴聞を通じて開陳されたものと考えております。なお当
委員会におきましていろいろ御質問ありました点、或いは
政府委員から答弁いたしました点につきましては、その
議事録を
証拠資料として
聴聞を主催する
委員に差出しまして、
意見書の作成のために使
つて頂くという取扱いもいたしたのであります。この
調査は非常に厖大なものでありまして、まだでき上
つておりません。
主任の
委員の
意見書もまだ提出されておらないのでありますが、恐らく近日中に提出されるのではないかと考えております。
電波監理委員会といたしましては、今回の
聴聞に際しまして作られました
調書及び
主任の
委員の
意見書に基いて十分慎重に
審議をいたしまして、誤りのない
決定をいたしたいと考えておるのであります。恐らく
決定は今月の下旬になるのではないかというふうに考えておる次第でございます。
次に、
放送局の
開設の
根本的基準の一部
改正に伴う
聴聞でございまするが、現在の
開設の
根本的基準は
テレビジヨンを考慮しておらない、いわゆる普通の
ラジオ放送に対するものでございましたので、新たにそれに
テレビジヨンに関する
部分を附加えることといたしまして、第一回は五月八日、第二回は五月十三日の二日間に亘りまして、
聴聞を終了いたしました。これの
意見書は恐らく今月の二十日過ぎに出て参るかと存じます。又これらの
規則に関連いたしまして
電波法の
施行規則、
無線設備の
規則、
無線局の
運用規則等につきましても一部
改正する必要が出て参りましたので、これらに関する
聴聞を本日実施しております。これらの
設備の
規則に関する
聴聞は一両日を以て終了いたすことと存ずるのでありますが、恐らくそれの
意見書の出て参りますのも今月の下旬ではないかと考えております。従いましてこれらの
規則に対する
電波監理委員会の
決定は恐らく今月の下旬、或いは来月の上旬頃に一応
決定を見るのではないかと考えております。
なお、先般の
標準方式の
聴聞に際しまして述べられました
意見につきまして、ただこういう
意見があ
つたということだけを簡単に御紹介申上げたいと思います。第一回の
聴聞におきましては、六メガ、七メガの問題に関しましては、もつ
ぱら受信機の
経済論から
討議されたのであります。即ち六メガの場合にこれを
白黒式から
天然色に移行いたします場合には、
技術が相当複雑になる。
従つて真空管の数もそれに
従つて多くなるので、
受信機の値段が高くなる、これが国民に相当な負担になるという点が主として
論議の対象にな
つたのでありまするが、今回の
異議の
申立ての
聴聞におきましては、その問題と併せまして、画の品質に関する議論が相当活溌に交わされたのであります。即ち六メガの場合には画の質が十分ではない、殊に
教育用テレビジヨンと申しまするか、大きな画面にして即ち映写、投影して見るような
テレビジヨンに対しましては、六メガでは不十分である、七メガの
バンド、幅が必要であるということと、それから
テレビジヨンは主として
大衆を相手にするものであるので、
大衆用の
受像機を考える場合には、画の質は六メガで十分であるという
意見と、両方の
意見が開陳されたのであります。それに関連いたしまして学問的にと申しますか、理論的には七メガのほうが画の
解像力はよくなるが、実際的には画の
解像力はただ単に周波数の
バンド、幅の問題のみならず、いろいろなサーキツトの問題、或いは
送信キヤメラの問題、或いは又
受信機のブラウン管の質その他によ
つて影響されるのであ
つて、実際的にはその差は出て来ないという
意見もございました。こういうような質の問題に対する
討議がむしろ
経済論よりは多く
論議されたような状態でございます。
経済論に関しましては、七メガを主張する側といたしまして、画の質を考える場合には、七メガそのままを
使つて天然色に変える、即ち現在アメリカで行われておりまするところの六メガそのままを
天然色に変える
技術をそのまま七メガに持
つて来るということも考えられる、この場合にはいわゆる
受信機の
経済論というものは成立たないのであります。それから画の質を多少落してもいいという場合には、
白黒の場合は七メガでや
つておるが、
天然色にする場合には、これを
モノクロムのところは、いわゆる
白黒のところは六メガに落しまして、そうして一メガを余して、そうしてこれを
カラーのほうに
使つて受信機の
経済化を図るのだ、こういうことも考えられ、或いは又その
中間の
方式も考えられるという
意見が開陳されました。目下これらにつきまして
意見書が、先ほど申上げましたように作成されつつあるのでありまして、私
どもといたしましては、最も公平にこの問題についての
結論を下したいと考えておる次第でございます。
以上簡単でございますが御
説明申上げます。