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説明員(拔山平一君) 昨日
最後に
山田委員からのお話がありましたから、私よく考えて
お答えする準備をして来たのですが、第一に私は
審理官の
意見書は認めていないのです。それは
誤解もあるのか、或いは曲解があるのか、とにかく私は認めていない。それでただその
意見書として出されたものをそのままそちらへお配りしてあるという理由は、
審理官というものの立場を我々尊重しなくちやならないというので、ただ
審理官が出したままを差上げてあるのです。私としましては若しも
審理官が、私が
発言したのは重大な
発言だと思
つて発言したのですが、私の
発言したことに対して異議があれば、異論があるならば、その
聴聞会の席で私を反駁すべきであると思うのです。それをそういうふうにこの
意見として出してある。私としてはどうすることもできない。そうしてその基礎が
誤解に基くだろうと私は確信しているのですが……それから
意見というのは元来どちらが正しいかという問題は別にしても、大体議案の外なんです。議案の外の問題ですから、あたかも江戸の敵を長崎で討たれた
ような感じがして、私としてはどうにも仕方がないのですが、併しそれは
聴聞会というものの
あり方だろうと思
つて私としては黙
つているわけです。その
聴聞会の席上のことを申上げますと、高柳君は
ちよつと私に反問しましたが、満足して坐
つたと思いました。それから聽衆も熱心に聞いておりましたし、それから
最後の
聴聞会を閉じるときの挨拶で、松下電器の代表者は私の
発言に非常に同感を覚える、そういうふうに挨拶をしております。私の言
つたことはただこれだけなんです。
利害関係者は率直にその利害について
発言して欲しい、こう言
つたのです。要するにそれだけなんです。例えば六メガサイクルでは
アメリカの製品がどんどん入
つて来て困る、
日本の工業界としてはこれだけの不利がある、そういう
ようなことを
言つて欲しい。こういう例を取りたか
つたのですが、そういう例を私が申しますと、それはあたかも七メガサイクルを言う人に対して或るヒントを與えることになりますので、わざわざすべての
利害関係者に共通の利害だと思われる、例えば特許の問題などについて
発言して下さらないかという
ようなことを申したわけです。それから
聴聞会の
あり方ということについては、かねてから非常に私疑問を持
つてお
つたのです。それは各
発言者の
発言は、自分の利害はそうつと隠しておいて、そうして国家のため、
国民のためにこうだということだけ言うのが主なんです。それで私はその裏を誰も考えると思うのですが、ああ言うけれ
ども、実際は自分の利害
関係から
言つておるのだろうと、私はその点について非常に疑問を持
つておりましたから、
アメリカに行
つたときにはいろんな機会を捉えてそれを確かめたのです。そうすると、
聴聞会に出席している
利害関係者は自分の利害を率直に言えばいいんだ、
委員会はいわゆるアーム・オブ・コングレスでありますが、
国民の立場で利害を考えてよく判断すればよい。
利害関係者は、それは利害自身が大切だからではない、その利害を通じて行動することによ
つて非常に
国民全体の利益に
関係するから、それは我々は
責任を重んじなければならないということをいろんな機会に確かめておる。その点をいろいろな機会にお話したのです。私はそのときの話の原稿を持
つておりますから、
速記録がないなら繰返して見ろと言われるならいつでも繰返して見ることができると思います。で、私はその
山田委員の御批評ですと、非常に官僚的だとおつしやるのですが、私は元来官僚は非常に苦手で、
委員会はアーム・オブ・コングレスとして、
日本を民主化する新らしい組織としてできたのだと、そう伺
つたのです。それでは
委員にな
つて見たいと思
つてなつた次第です。どうも官僚的……その
意見書から官僚的と言われれば、或いは何とも申されませんが、併し私はその
意見を認めてはいないのです。それから私は前後三回、長く
アメリカにおりましたので、英語も或る程度自由に話せるし、どうしても
アメリカ流のデモクラシーの考えになりたがるので、或る方面からは
アメリカかぶれだ、
アメリカのデモクラシーかぶれだという非難はときどき受けるのですが、官僚的だという非難は初めて受けたので、(笑声)この点どうもいたし方がないと思いますが、二年足らずの
電波監理委員会の生活で、六十過ぎてそういう方面に成長するとは考えられないのですが、要するに私は好むと好まざるとにかかわらず、この
委員会はアーム・オブ・コングレスに違いないと思うのです。
聴聞会においてもやはりそうして働かなければならないということは、これは私たちがチヨイスを許さない
ようにしつかりできておる。それでなお私の
考え方が間違
つているというのでしたならば、私の最近の科学
技術生活という書物がありますから、それについて私の思想をよく御
検討下さればよし、それから若しも今度の具体的な
聴聞会においての
発言が批評の余地があるというのでしたならば、私は喜んで幾らでも
お答えしたいと思いますが、併しこの
委員会ではそれでは
ちよつと目的を外れて余計な時間を費す虞れがありますので、私としてはその点御希望申上げることは御遠慮したいと思います。併しかまわないからというならばその点幾らでも
お答えしたいと思
つております。