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1952-06-18 第13回国会 参議院 電気通信・大蔵会連合委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年六月十八日(水曜日)    午後二時四十五分開会   —————————————  委員氏名   電気通信委員    委員長     鈴木 恭一君    理事      尾崎 行輝君    理事      山田 節男君            大島 定吉君            寺尾  豊君            新谷寅三郎君           小笠原二三男君            稻垣平太郎君            水橋 藤作君           池田七郎兵衞君   大蔵委員    委員長     平沼彌太郎君    理事      大矢半次郎君    理事      伊藤 保平君    理事      野溝  勝君    理事      木内 四郎君            岡崎 真一君            黒田 英雄君            西川甚五郎君            溝淵 春次君            小宮山常吉君            田村 文吉君            高橋龍太郎君            森 八三一君            江田 三郎君            赤松 常子君            下條 恭兵君            堂森 芳夫君            菊田 七平君            油井賢太郎君            木村禧八郎君   —————————————  出席者は左の通り。   電気通信委員    委員長     鈴木 恭一君    理事            山田 節男君    委員            大島 定吉君            新谷寅三郎君           小笠原二三男君            水橋 藤作君           池田七郎兵衞君   大蔵委員    委員長     平沼彌太郎君    理事            大矢半次郎君            伊藤 保平君            野溝  勝君            木内 四郎君    委員            岡崎 真一君            黒田 英雄君            西川甚五郎君            溝淵 春次君            小宮山常吉君            田村 文吉君            森 八三一君            菊田 七平君            木村禧八郎君   衆議院議員           橋本登美三郎君   国務大臣    大 蔵 大 臣 池田 勇人君   郵政大臣    電気通信大臣  佐藤 榮作君   政府委員    大蔵省主計局長 河野 一之君    大蔵省主計局法    規課長     佐藤 一郎君    大蔵省主計局給    與課長     岸本  晋君    電気通信省業務    局長      田辺  正君    電気通信省経理    局長      横田 信夫君    電気通信省施設    局長      中尾 徹夫君   事務局側    常任委員会専門    員       後藤 隆吉君    常任委員会専門    員       柏原 栄一君    常任委員会専門    員       木村常次郎君    常任委員会専門    員       小田 正義君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○日本電信電話公社法案内閣提出、  衆議院送付) ○日本電信電話公社法施行法案内閣  提出衆議院送付)   —————————————    〔鈴木恭一委員長席に着く〕
  2. 鈴木恭一

    委員長鈴木恭一君) 只今より日本電信電話公社法案及び日本電信電話公社法施行法案について、電気通信大蔵連合委員会開会いたします。  なお連合委員会は今回限りで終了いたしたいと一応考えておりますので、その点、御了承の上、各委員から両法案について御質疑をお願いいたします。
  3. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 大体今一応という前提がございましたが、今日だけで連合委員会を打切るような御予定のようでありますけれども、それは質疑状況によつてそうして頂きたいのであつて、先ず原則として大体今日打切るという予定の下に質疑をするのでなくして、質疑の盡されないのに途中で最初から今日で打切るということにとらわれてやりますと、どうも十分審議ができないような気がいたしますので、その点、これは大蔵委員長のほうとはどういうお打合せになつておりますか。一つつておきたいのです。
  4. 鈴木恭一

    委員長鈴木恭一君) 大蔵委員長とは只今私が申上げましたようにお打合せをいたしております。勿論木村委員のおつしやることに、私、特に反対するわけではございませんが、会期も切迫いたしておりまするし、成るべく今日時間を費しましてもそういうふうにいたしたいという私の希望でございますので、御了承願います。
  5. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 別にそれにとらわれるわけではないのですね。
  6. 鈴木恭一

    委員長鈴木恭一君) ともかくそれでやるんだと言つてやるつもりはございません。ただ私の趣旨を御了解願えれば、そのように御質疑を願えれば結構だと存じます。
  7. 木内四郎

    木内四郎君 さつきお話したように、衆議院のほうから修正提案理由を御説明願つたらどうでしようか。木村君がいろいろ質問になるようですが、その前に一般的のものとしてお願いしたほうがいいんじやないかと思います。
  8. 鈴木恭一

    委員長鈴木恭一君) 只今木内委員から申されましたように、先に一般的の御説明をお願いいたしましようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 鈴木恭一

    委員長鈴木恭一君) 日本電信電話公社法案並びに施行法案につきまして、衆議院修正して参議院に配付されたのでございますが、この際、修正せられました理由等につきまして御説明願いたいと思います。
  10. 橋本登美三郎

    衆議院議員橋本登美三郎君) 只今議題になつております日本電信電話公社法案日本電信電話公社法施行法案、この両法案に対する衆議の修正理由を御説明申上げます。  日本電信電話公社法案に対する衆議院修正は十八項目に亘つておりますが、その多くは、公社財務及び会計に関し、原案において郵政大蔵大臣監督権限を持つておることになつているのを改めまして、郵政大臣権限に一元化し、必要な事項については郵政大臣大蔵大臣協議してこれを行うことに修正をしたのであります。政府公社に対する財務会計監督の基幹をなすものは申すまでもなく予算監督でありますが、由来、日本電信電話公社予算は、主として建設資金の一部を財政資金に仰ぐ面において国家財政関連を有するに過ぎないのであります。然るに大蔵大臣公社予算に対し、国の予算におけると同様、全面的な調整権限を持つことは妥当を欠くばかりでなく、公社予算に関し郵政大蔵大臣の二重監督を受けることは、その企業活動制約して、公社自主性機動性を與えようとする本法律案の本来の目的とも背馳する結果を来たす慮れがあります。よつて原案第四十一條第二項及び第三項に修正を加えまして、公社予算に対する政府監督権限事業監督に関する主務大臣たる郵政大臣に統一をし、財政資金との関連面は、郵政大蔵大臣協議に待つことといたし、これに伴つて第四項中の「国の予算とともに、」の字句を削除すると共に、予算作成及び提出手続に関する第六項を除いたのであります。以上の修正関連して第五十九條を修正いたしまして、決算書類の処理に関しても郵政大臣の所管に改めると共に、報告書の形式及び内容は省令で定めることといたしまして、第六十條第二項中「国の歳入歳出決算とともに」の字句を削り、第七十四條公社予算の実施に関し大蔵大臣報告を徴し、実地監査を行うことができる旨の規定を削除し、第七十五條郵政大臣大蔵大臣との協議事項を整理して、予算流用繰越及び財務諸表の承認並びに会計規定基本事項の認可については、大蔵大臣との協議を要しないことにいたしました。又第五十四條第三項、予算繰越通知、第五十六條收支出などの報告、第七十一條第四項会計規程通知は、いずれも郵政大臣及び会計検査院に対してなすのみをもつて足りると、こういう工合に改め、これらの修正により、公社財務会計全般を通じて政府監督権限の一元化を図つたものであります。そのほかにおきましては、公社経営委員会重要性に鑑み、第十一條第一項を修正して委員の数を増加したこと、これに伴つて第十七條第一項の必要出席委員の数を増加したこと、理事の濫設を防ぐために第十九條を修正して理事の数の最高制限を設けたこと、第二十五條修正して役員の営利事業兼職を絶対に禁止したこと、国庫納付金性格を明らかにするため第六十一條第一項の修正を行いましたほかは、おおむね條文字句の整理をいたしたに過ぎないのであります。  次に日本電信電話公社法施行法案に対する修正は三項目でありますが、第一條第三項につきましては、前に申述べました公社法案経営委員会委員の数を増加した修正に伴う必要な修正を行いましたほかは経営委員会委員任期終了期国会開会の時期となるように調整いたしたのであります。又第四十三條の修正地方税法の一部を改正する法律案との調整上必要とするところの修正にとどまつておるのであります。以上が衆議院におきまする両法案修正理由修正箇所であります。  なお補足的に御説明申上げたいのですが、この修正箇所、殊に問題になつておりますのは、恐らく第四十一條予算作成及び提出に関する項目、これが原案におきましては、「郵政大臣は、前項規定により予算提出を受けたときは、これを検討して、適当であると認めたときは、大蔵大臣送付しなければならない。」、原案の第四十一條の二項であります。三項には「大蔵大臣は、前項規定により予算送付を受けたときは、これを検討して必要な調整を行い、閣議決定を経なければならない。」、こうなつておりますところを、衆議院修正は、四十一條第二項で「郵政大臣は、前項規定により予算提出を受けたときは、大蔵大臣協議して必要な調整を行い、閣議決定を経なければならない。」こういう工合原案の二、三を二にまとめまして、そうして郵政大臣主管大臣予算調整について大蔵大臣協議して、郵政大臣閣議書類提出すると、こういう工合修正案では我々は直しておるのであります。この点について御質問もあろうかと思いまするが、一応衆議院側修正理由について御説明申上げますというと、この問題がいろいろ問題になつておるようでありますが、我々衆議院側考えといたしましては、この公社予算というものは国の予算とは異なるものである。国の予算調整であれば、国の予算、台所を扱つておる大蔵大臣が全面的な調整権或いは編成権を持つことは当然であり、又このほうは財政法においても明文で明らかにしておるのであります。併しこの公社予算は、つ名称が予算ではありますが、公社法で御覧の通りに、公社予算歳入歳出予算ではなくして、収入支出予算収支予算言つております。のみならず、公社性格は国の性格とは異なつてれることは、これはもう皆さんが御承知通りでありまして、従つて公社予算国家財政との関連においては、国家財政財政法従つて大蔵大臣が全面的な調整権或いは再編成権を持つておることは当然であるけれども、公社というものは勿論国家予算というものとの関連はないことはない。御承知のように、この公社における建設関係予算、大体において総予算の八分の一に亘る金額でありますが、その予算については国の預金部資金を借受けるなり、そういうことについての或いは国全体の資金計画という上から見ての関連は持つております。けれども、公社自体は、御承知のように電信電話使用料收入財源として、そうして予算編成を行うものであります。而して電信電話拡張を行うために、これらの収入源を求めるという建前からして、御承知のように従来は預金部借入金をもつて行なつてつた。今度の公社法を見ますれば、電信電話債或いは政府長期借入金或いは政府余裕金の一時借入金というような、こういうような方法で今度はそういう建設関係財源というものを求むることになつております従つてこの電信電話公社財務関係というものはこの面に。いていわゆる大蔵大臣との関係はあります。併し鉄道のごとくに万一鉄道赤字が出た場合においてはこれは一般会計から補填をする、これは国有鉄道法明文にあります。国有鉄道法の第四十一條の二項に「政府は、日本国有鉄道損失を生じた場合において特別の必要があると認めるときは、その損失の額を限度として交付金を交付することができる。」、こういう場合に国鉄の場合においては国の一般歳入を引当として、そこで国有鉄道赤字を埋めるということが法律で認められておる。ところが電信電話公社におきましては、そういう赤字が出た場合においても、国の財政においてはこれを補填するの義務を持つておらない。飽くまでこれは電信電話事業収入によつて賄う、こういうことになつております。こういう点がいわゆる国有鉄道公社電信電話公社との相違で一つはあります。従つて我々が勿論、資金関係、これは電信電話公社のこの法案におきましても、資金計画については大蔵大臣が全面的にその調整権と言いますか、指示権を、持つようになつております。これは当然我々も認めております。併し事業自体収入によつて得たその財源によつてやるところの事業予算、いわゆる電信電話公社事業予算、こういうものに対してその細部に至るまで大蔵大臣調整権を持ち或いは編成権を持つことは妥当ではないのではなかろうか。併し大局的においては勿論資金関係或いは長期借入金等において大蔵省のお世話にならなければならないのでありますからして、従つて予算編成の上において郵政大臣大蔵大臣協議して必要なる調整を行なつた後、閣議に出さなければならない、こういう工合大蔵大臣権限を明らかに認めて、而も重要なる立場を我々は修正案においても残しておるのであります。こういうような点が一応問題になつておると思いますので、この点について御説明を申上げたわけであります。  第二の一応問題になります点は、国庫納付金の問題であります。国庫納付金の問題は、第六十一條原案ではこうなつております。「公社は、毎事業年度経営上利益を生じた場合において、前事業年度から繰り越した損失補填に充て、なお残余があるときは、その残余の額は、あらかじめ予算で定めるところにより国庫に納付すべき場合におけるその納付額を控除し、積立金として整理しなければならない。」この原案によりますというと、原則として、補填をした残りがあれば先ず国のほうに納付金を與える。納付金を與えてなお余裕があればこれを積立金として整理してよろしいと、こういう考え方になつております。修正案のほうは考え方を逆にいたしまして、今日この公社を必要とする理由は、我々が内閣に設置せられました電信電話復興審議会というものが設置せられて、そこで電信電話事業というものを復旧し又拡充しなければならぬけれども、どうすれば電信電話事業というものを現在の日本の産業にマッチして復興できるかどうか、こういうようなことが内閣にありました電信電話審議会においても問題になつたわけであつて、その審議会におきましても、従来の国営事業にあつて財政及び会計法上から非常に事業運営においていろいろの制約があつる。勿論、他には労働問題もあります。従つてこの際はできるだけ国の財政法或いは国の会計法、これらから或る程度自由にした機関を作つて、そうして運営というものを円滑に、能率的にやらしめるためには、この際、公社に移すことのほうが妥当である。こういう見解で、内閣電信電話復興審議会でも、そういう意味合いにおいて電信電話事業公社にすべし、公共企業体にすべしという見解の下に答申案が行われたわけであります。そういうように、公社になりました理由は、現在の戰災後における電信電話復興状況が非常に悪い、これをできるだけ急速に復活せしめるためには、その企業活動を先ず能率的にせしめること、或いはできるだけ拡張予算というものをいろいろの方面からしてこれを得ること、こういう面から考えまして、従つて若しこの公社において毎会計年度において特別な余剰金があれば、その金というのは先ず電信電話復興事業に向けられるべきではなかろうか、であるからして、赤字があつた場合には赤字補填し、なお残余があつた場合には積立金として整理しなければならない。こういう工合修正をいたしましたのは、そういう工合繰越金を損失に対して補填が行われて、なお残余があつた場合にはそれを積立金として整理するということは、結局復興事業拡張に使うと、こういうことになるわけでありますからして、そうして、それでもなお或る程度の余裕が生じた場合においては、政府はあらかじめ予算を以て国会の議決を経た場合においては積立金として整理する。一部を国庫に納付することができる。こういう工合国庫に納付するという建前は残してありますけれども、先ず原則として電信電話復興事業を行なつて、そうしてなお余裕がある場合にそれを国庫に納めると、こういうような考え方のほうが、電信電話事業国営事業から公社に移した理由とこれはマッチをする。こういう建前からして第六十一條交付金制度というものは置くけれども、先ず交付金を行なつてから積立てをするというよりは、積立てをしてなお余裕があつた場合にこれを国庫納付せしめるということのほうが実情に副うものである。こう考えて第六十一條はそのように修正をいたしたわけであります。この限りにおいて御質疑がありますればお答え申上げますが、大体修正筒所についての主なる説明は以上をもつて御了承願いたいと思うのであります。
  11. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 只今衆議院側から修正案についての御説明伺つたのですが、これについて我々納得のいかない点が相当あるのですが、その前に、この問題を検討する参考として、私は大蔵省側から、これは事務的で結構なんです。河野主計局長でもよろしいのですが、外国の例ですね。例えばアメリカなどにおいては、公社予算、こういうものの提出手続はどういうものになつているか、おわかりになつたら説明して頂きたいのです。そういうことを参考にしながら私は質問して行きたいと思いますので、一応どういうふうになつておりますか伺つておきたいのです。
  12. 河野一之

    政府委員河野一之君) アメリカにおける公共企業体は、いわゆるガバーメント・コーポレ—シヨンと言われておりまして、これはニュー・ディールで急速に発達したのでありますが、現在八十七あると聞いております。それでこのコーポレーションにつきましては、一般官庁に比較して、できるだけ人事面及び経理面弾力性を持たして、企業的な経営能率の増進を狙うという建前から、ニュー・ディール以来相当できていると思うのです。当初はこれらの公社国会及び政府監督を離れておつたのでありますが、だんだんそのやり方が乱れて、最近ではこれを、政府財務面から言つても、或いはその他の面から言つても、或る程度統制するようなふうになつております。過去における政府会社について、いわゆるTVAだけが政府国会監督を受けて、その他のものは野放しになつてつたのですが、これが一九四五年のいわゆる政府会社統制法によりまして国の予算と同じような手続予算を作るようになつておるようであります。この政府会社統制法内容は、このガバーメント・コーポレーシヨンはいろいろ全額出資のものと一部出資のものといろいろございますが、全額出資のものについて言いますると、予算案に対して、これに対しては三つ統制がございまするが、一つ予算案に対して予算局及び議会がこれを統制する。第二は会社資金の預託だとか或いは債券発行、国債の売買と、こういつた面について財務省が統制をしております。それから第三には会計検査院がこの収支監査をいたしております。この三つの点は、最小限度のものとして、一九四六年度以来、予算局及び従つて大統領監督を受け、又その予算国会においては歳出委員会において審議される。こういうようなことになつておると私は聞いております。
  13. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうすると、アメリカでは、今ここに提出された公社法、特に衆議院修正されると逆の方向に行つていると、こういうふうに私は今了解できたのです。そこで、どういうわけで今衆議院修正されたようなことにしたのか、この問題についてはもつと具体的に伺いたいのですが、その前に、公社法案を出された根本趣旨提案理由にも書いてありますけれども、この公共性を確保すると共に、企業的、合理的経営を達成し得るような形態をとることが緊要であるので、こういう公社という形態とることがよろしいのだと、こういう御説明でございますが、こういう公社的形態をとつたために今言われたような矛盾が出て来るのでありまして、私は根本において、どうしてこういう企業的、合理的経営を達成するためにこういう企業形態をとらなければならないか、その点を先ず私はお伺いいたしたいのです。提案者のほうから……。
  14. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 御承知のように、事業経営形態につきましてはいろいろの議論があるわけであります。公共企業体公共企業経営いたします場合に、今日まで我が国でやつておりますような国営形態一つ方法であると思いまするし、又只今外国例等でお話になりましたようなガバーメント・コーポレーシヨンというような経営形態も勿論考えられるわけでありまするし、又事業公益性があるからそういうような形態でなければならないというような制限があるわけではないのでありまして、場合によりましては、公共的、公益的性質は多分に持つけれども、これを民営でやつておる場合もある。問題はその事業目的遂行に最もふさわしい形態を選んで行くということに相成るのであります。そこで、今回公社形態国内電信電話の場合においては最もふさわしいとし、国際関係においては会社形態がいいということを考えたのでありますが、その主たる理由は、第一点は、予算的にいわゆる弾力性のある予算、これが事業体としては最も望ましい方法ではないか。御承知のように政府経営をいたします場合において、この事業予算一般官庁予算とは取扱方がやや異なつてはおりまするが、事業のそのときどきの要請に応ずると、こういうような観点から見ますると、予算自体について弾力性を持たすということは絶対に必要のように考えるのであります。これが第一点であります。  第二点は、人事院事業と申しますか、人事院機構の問題があるのでありまして、これが在来の公務員的な性格の下に一般公務員と同様に一律に規律されますことは、企業体には非常な窮屈さが感ぜられる。この二つが大きな理由となりましてこれの是正をする意味において、いずれの形態がいいかというので、国内の問題については公社案考えて参つておるのであります。この点は両法案提案理由といたしましても詳しく今まで御説明申上げておるところでありますが、要約いたしますればこの二点になるように私どもは考えておる次第であります。
  15. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 大体公社形態にする目的は御説明でわかりましたが、それで今御説明のような理由で、果して所期するような能率的な、早く言えば民間経営的な或いは独立採算的な、そういうような経営ができるとお考えかどうか。それで先ほど衆議院修正については伺いましたが、何か郵政大臣予算作成手続について相当権限を拡大すると、こういうことによつて何らか予算弾力性が持たれるごとき錯覚を持つているように思うのですが、私はそれで果して予算上の制約というものはこれから脱却できるものかどうか。それは全然脱却はできないでしようが、もつと自由に能率的に民間企業形態的に運営できるようになるかどうか。私はその点がこの法案の狙いだと思うのですが、今までの経営の仕方よりも、公共企業体、こういう形にしたほうが、公社形態にしたほうが民営的な色彩が多くなり、能率的に運営できると、こういう点が非常に主要な狙い、だと思うのです。そのために予算制約を逃れたいというのですが、今お話を聞いた程度で、予算制約は、これは脱却できますかどうか、その点を伺いたい。
  16. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 話が少しこんがらかつておりますので、私が答え得ない点もあると思います。と申しますのは、衆議院における修正案政府原案は明らかに異なつておるのでありまして、この修正案に対する意見を徴されまするならば、それは別な機会にお願いいたしたいと思いますが、只今申上げます公社経営でやりまして在来の予算制度とどれだけの相違があるかとお考えになりますると、これは明らかに事業官庁の事業体にふさわしい予算編成されると、こういうようなのが定説であります。いろいろ御議論はあることだと思いますが、過去におきまして鉄道公社を作り、或いは専売公社を作りましたのもその点が一つの狙いである。これは、はつきりいたしておるところであります。いわゆる独立採算制の予算をとられておりまするが、事業体といたしましては予算の継続性は最も望ましいところであり、又季節的な要請に応えての弾力性、これは勿論必要であり、又資金の獲得もいわゆる国家資金ばかりにとらわれないで、更に民間資金をも吸収し得る途が開かれると、かような点は公社の最も特筆するところでありまして、この点は今日の官庁予算よりも一歩進んだものである。これは、はつきり言えることだと思います。  第二の点の問題になりまするが、衆議院修正案でありますが、大蔵大臣権限郵政大臣に移つたということで、予算の彈力性なり、或いは只今申上げるような民間資金の吸収なりが自由にできるかと申しますと、その点は関係ないことのように思います。ですから、予算本来の問題ということと修正意見を付けました点とは、これは別に関係ない。むしろ公社事業遂行に当つてはできるだけ監督の煩瑣を避けたいというのが衆議院修正の狙いではなかつたろうかと、只今かように私は解釈をいたしておるような次第であります。
  17. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 この公共企業体については、一応独立採算的な経営形態にさせるためにこういう企業経営体が考えられたということはわかるのですが、併し実際には政府予算的な監督制約が相当あつて折角能率的な民営的独立採算的な経営をしようとしても、護はなかなか制約があつて困難だということを聞いております。今度この電信電話公社の場合においては、今までの公社では独立採算的な運営について不十分なところが相当あるので、本来ならば徹底的な民営にすればもつといいのかも知れないのです。公共性ということを一応別にすればですよ。そういういわゆる能率的運営ということだけを考えれば、私はそう思うのですが、ですからこの公社法案についてはそういう予算上のいろいろな制約監督というものを逃れるということが、制約を少くするということがその狙いだと思うのですが、私は根本においてこれは公社でありますから、やはり公共企業体関係法律の適用を受けると思うのです。この法律の適用を受ければ、それは予算上の制約を受けることは明らかだと思うのです。予算の範囲内においてということがいつでも問題になるわけです。一番これが根本だと思うのです。その点には触れないで、それをそのままにしておいて、予算の彈力性、彈力性と言つても、私はその点に抑えられて、独立採算的な、能率的な、民間企業的な運営ができると思うのは、私はおかしいと思うのです。それは多少は公社にしたほうが民間的な運営の仕方になるかも知れませんが、併し公共企業体であり、その公共企業体関係法律の適用を受ける以上は、私はその点を何か考えなければ、根本的には、やはり私はそういう民営的な妙味を活かそうと思つてもできないと思いますが、この点はどうお考えになりますか。
  18. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 今の予算的な制約を受けるというお話でありますが、予算的な制約を受けるという内容、この言葉の中にいろいろの公共の考え方があるのじやないか、勿論、政府関係機関の収支予算でありますので、これは民間の会社のような自由豁達のものでないことは御指摘の通りであります。これは今のお話のうちにもありましたように、純然たる民間会社経営にならないのはその公益性が然らしめる、若し公益性がないならばと言われたが、この事業自体公益性のりある事業でありますので、それは当然政府関係機関としていろいろ收支予算政府監督をし、国会もこれに關與するということは当然であります。併しながら、そのほかにおきましても一般行政官庁の予算に対するような非常な窮屈さ、これは緩和が可能なんじやないか。或いは例えばこの公社で利益金の処分の問題が先ほど説明がありましたが、利益金は公社積立てることを本則とする、原則とするというようなことは、取りも直さず予算の継続性をはつきり示しておるわけであります。一般官庁におきましては一年々々の収支予算が、歳入歳出予算が立つわけでありますが、公社においてはそういうわけには行かない。或いは又その資金の獲得におきましても一般民間資金の獲得の方法が得られるとか、いろいろ人件費等の予算の立て方におきましても、行政官庁の場合とは違う、その違うことが望ましいということを実は申上げておるのでありまして、勿論予算制約なしにはやれない政府関係機関である限り、収支予算制約は当然受けるのであります。ただその受け方がどういうような受け方をするか、又どういうようにこれの建前を立てて行くか、これが一つの問題で、日本国内にある公社といたしましては、国鉄公社なり専売公社等の実績等を見ましても、まだ日も浅い点もありましようが、公社といたしましていろいろ考えられる点から申しますると、今日の運用状況はこれで十分だと言えない。これは通説としてさような議論が立つておるわけであります。
  19. 橋本登美三郎

    衆議院議員橋本登美三郎君) 木村さんの御質問関連しておりますのでちよつと答弁したいと思うのですが、最初アメリカ公共企業体と行き方が逆に修正されておりはせぬかというお話でしたが、これは物の見方ですからいろいろ議論もありましようが、私は逆になつておるとは思つてはおりません。というのは、アメリカの場合においては御承知のように財務省というものと予算局というものは別個の建前になつております。予算局はこれは御承知のように政府全額出資若しくは過半数出資公共企業体に対するところの予算編成をも一部について行なつている。これは予算局であります。財務省が行なつておるのではございません。ただ日本の場合においては大蔵省がいわゆる予算編成というものをやつておるわけなんですが、それは財政法によつて国の予算に限ると明確になつております。これは御承知のように財政法を御覧になればおわかりになりますが、国の予算ということを明らかにしておるのでありまして、勿論これは政府関係予算ですから、全然国に関係がないとは申しませんけれども、国の予算とは違つております。従つて従来電信電話事業国営事業でありました場合においても、事業関係でありますからして、特別に財政法の中に特別会計というものを設けることができることになつて、そこで電気通信事業特別会計法というものが設定されておるわけなんです。そこで今までは御承知のように電気通信事業はこの特別会計法従つて行われておる。今度電信電話公社ができましてこれらの電気通信事業運営するに必要なる財政的、会計的措置は全部電信電話公社法の中に移されておる。従つてこの法律の附則に、御承知のように従来の電気通信事業特別会計法を廃止するということになつておるのであります。ですから法的な建前から言えば、法的な建前からのみで言えば、従つて今回の電信電話事業公社が行う場合に、その財政的、会計的、法律的基礎は何にあるかと言えば、日本電信電話公社法の中に含まれておるところの予算的措置或いは資金的措置、そういうものによつて行われるのであつて財政法監督は受けないという建前に法的には明らかにされております。従つて釈迦に説法になりますが、電気通信事業特別会計法を御覧になればわかるように、その中の予算或いは経費の流用とか、こういうように、従来は国営事業でありますからして、大蔵大臣が専権的にこれに対するところの調整監督権を持つてつた従つて電気通信事業特別会計法の中には電気通信大臣はこの会計事業計画書に計画された金額のうち、政令で定めるものについては大蔵大臣の承諾を経なければ流用することができない、こういう項目が幾つもあります。電気通信事業会計法の中には。併し今度の日本電信電話公社法案の中には、こういうような事業運営に関する資金のそうした流用、こうしたものについては大蔵大臣の認可を承認を経なくてよろしい。郵政大臣のみの認可によつて行える。ですからして事業運営全体が郵政大臣権限下に置かれてこういうことが原案として出て来た以上は、そういう資金運営とか、或いは細かく申せばいろいろありますが、そういう点について、従来は大蔵大臣権限であつて、これは国営事業でありますから当然でありますが、今度は公社になりました関係上、国の予算でなく、国の事業でありませんからして別個の企業体になりました関係上、この原案においてもそうした予算の流用とか或いは事業監督とかというものについては、この原案自体において郵政大臣一本槍で行われておるのでありまして、ただ予算編成の場合においてのみ、原案の中には、大蔵大臣がこれを調整し、そうしてこれを閣議に出すと、こういう工合に、この公社法全体を眺めれば、明らかに能率的に運用をなさしめるために、その財政法の措置も、或いは会計法の措置も、電信電話公社法一本でやつて行こう、そうすることによつて能率を上げよう、こういう建前と、その他の流用規定においても、その他の規定についても郵政大臣がこれを行う、こういうことになつてつて、ただ資金計画とかそういうものについては勿論大蔵大臣協議しで行う、こういう工合に、国家の資金関係と繋がる関係においてのみ大蔵大臣との協議を必要としておる。こういうふうに公社法全文が成つておるにかかわらず、予算編成においてのみ、大蔵大臣のみがこれを原案においては行う、こういうことであつては、事業運営の責任にある郵政大臣としては、甚だ仕事の上においてもやりにくいのではないかと思うし、やりにくいということよりも、公社法全体に流るる精神から見てこの点においては非常な隔りがある。従つて勿論大蔵大臣権限は十分にこれを認める必要はありますからして、必要なる調整する点においては調整権というものを大蔵大臣に認めて、そうして国家関係との予算の問願がありますからして、これらの大蔵大臣調整権を明らかにして置く必要がある。修正点においてもその点は十分に認めておるのであります。何も大蔵大臣が全面的に、提出されたものを大蔵大臣がこれを調整してこしらえて、そうして出すということだけであつては、却つて全文を流るる精神から見ても甚だ木に竹をついたような関係があるのではないか。従つて決して大蔵大臣を軽く見るとか、重く見るとかついう問題ではなくしてこの法全体からのみ眺めて、そういう点に修正するほうが、法の一貫性、法の体系から見ても必要である。こう考え衆議院としてはあえて大蔵大臣権限を縮めるとか、広げるとかいう問題ではないのです。法律の体系の上から当然そうすることのほうが至当であると、こういう関係で、郵政大臣はと、こうなつたわけであります。
  20. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 この電信電話公社という企業形態を作るほうがいいかどうかということは一応別問題、私はこういう企業形態を作ることには反対でありますけれども、併し一応今のお話を伺いますと、電信電話公社を作られるのだつたら、その趣旨が独立採算的な一そうして従来の国家予算或いは会計法等の制約を受けないようにして行くという御趣旨であるならば、今のような御説明であるならば、何故公共企業体で今一番悩んでいる予算制約、これは予算規定如何にかかわらず、例えば能率を上げて収益が生じた場合、その利益については或いは従業員の待遇の改善とか、そういうものに振り向けていいとか、しよつちゆうこれは問題になるわけです。いわゆる公共企業体労働関係法の十六條、政府は拘束を受けないという規定がありますが、この点は専売公社の秋山総裁等も言つているわけです。それで企業形態的に、いわゆる民間企業形態的に運営すると、そういう場合には、利益が生じたときには、これをその企業において、その企業の運営方針に基いてこれを処分できないこういうような馬鹿な話はないじやないか、こういうことをよく言われておるのです。ですから、若しそれを徹底するならば、なぜこの点に触れないか、その点をそのままにしておいて、そうして如何に予算制約を逃れて彈力性をつけて行こう、彈力性をつけて行こう……一体彈力性というのは何の意味かわからない。この彈力性の規定が四十一條ですか、何條ですか、この規定はありますけれども、私はそういう意味ではないと思う。この彈力性の規定というのは。大きくそこで網がかけられていて、その下で彈カ性彈力性と言つても、私は全然意味がないとは言いませんが、非常に大きく抜けていると思うのです。こういう公社法をお考えになれば、今までの公共企業体形態においてしよつちゆう問題になる点はこの点にあつたと思うのです。この点、何故修正されるなら特にこの点をお考えにならなかつたか。その点、私は伺いたいのです。
  21. 橋本登美三郎

    衆議院議員橋本登美三郎君) 政府委員にお聞きでございましたが、私のほうからお答えいたします。第四十三條の予算総則の項目ですが、「予算総則には、収入支出予算、継続費及び債務負担行為に関する総括的規定予算に與えられる第四十條に規定する彈力性の範囲を定める規定を含む。)」、この規定は、我々政府当局に対してこの公社法質疑を行いました際に、いわゆる給與規定と標準規定というものは作るけれども、公社自体が非常な成績を上げて、そこで当然国庫に納付すべきものは納付して、なお且つ余裕が或る一定の人間で働いて相当成績を上げた場合には、特別ないわゆる給與措置ができるかどうか、この規定で……。或いは又普通のボーナス的な賞與規定でなくして、臨時に昇給できるなどの規定があるのかどうか。この第四十三條並びにあとのでありまするが、給與に関する規定ですが、これに対して政府当局においては、そういうような場合において、公社が一定の予算を以てそれ以上の收入を下げた場合において、なお、この法に規定せられた積立その他を行なつて余裕があるときには、公社郵政大臣の認可を得て、そうしてそういうことが可能である。こういう制度のこの條文に対する答弁であります。従つて我々は、そういうように解釈せられるというのであるならば、改めてその規定をする必要がなかろうということで、特別にその規定は入つておりませんが、法の解釈上そういうことは差支えない。こういうような政府の答弁によつて、その点には触れなかつたのでありますが、実質的にはそういうことについては可能である。こういう考え方に我々は立つております。
  22. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 その点、非常に重要ですが、私は政府側から聞きたいのですが、第四十條の予算の彈力性でありますが、つ只今のお話ですと、この予算の範囲外においても、そういう特別の能率を上げたとき、利益が生じた場合、使用認可によつて使用し得るように今お話されたけれども、政府はやはりそういうふうにお考えになつておられるのですか。
  23. 横田信夫

    政府委員(横田信夫君) 政府提出案の四十條と四十三條の意味について申上げます。予算の彈力性をここで設けましたのは、先ほどから議論がありますように、会社事業というものはやはり一つの生産的事業でありますので、この予算には事業特性としての弾力性予算の本質を闡明いたしたものであります。この彈力性予算として、事業は当然マーケットの変動、即ちお客さんの需要が殖える、そうすればおのずから事業量も殖える、相当な経費も要る、こういうような場合においての事業予算としては相当弾力性を持つべきものである。この本質を闡明いたしたものであります。併しその本質を明らかにして行く内容、それはどういうことか、この本質だけであとは全部規定せずに、縛らないかということになりますと、四十三條で本質は明らかにして行くと、こういう形になつておるわけであります。「予算総則にはへ収入支出予算、継続費及び債務負担行為に関する総括的規定予算に與えられる第四十條に規定する弾力性の範囲を定める規定を含む。)」、と、こうなつておるわけです。その四十三條の第六項では「役員及び職員につ対して支給する給與の総則」これはきめられたものがこの給與の総額について予算総則で定める、こういうことになつておるわけであります。なお関連條文としてもう一つ見て頂きたいのは、七十二條の給與準則に、「公社は、その役員及び職員に対して支給する給與について給與準則を定めなければならない。この場合において、この給與準則は、これに基く一事業年度支出国会の議決を経た当該事業年度予算の中で定められた給與の総額をこえるものであつてはならない。」、この三つが相関連して参るわけであります。その関係でどういうことに相成るかと申しますと、この給與総額の制限を設けました趣旨は、これは御承知のごとく、公社目的というものは、やはり公共性を維持しながら、併し経営能率を上げて行くというところにあるかと思います。従来官庁事業におきまして一般輿論といたしては、なお且つこの能率を上げる余地は十分ある。給與は低いかも知れんが、なお暇なんじやないか、もう少し働けるんじやないかというのが、官庁事務に対する輿論の御批判じやないかと思つております。そういう意味におきまして、給與総額の制限というのが付いた、即ち同一の作業量であるときにおいては、この作業量の中で、同一の作業量である場合に、人数も減らす、給與べースも殖やす、こういうふうにやつて行くのが本当の事業じやないか。できるだけ作業が同じならば人が減つてつた場合には給與ベースを上げてよろしい。これが七十二條の趣旨、本質であろうと思います。しかしそういう場合において給與総額の制限を設けるということは現在の現状においては、この給與総額の制限というものは或る程度意味がある。しかしこれが公社事業というものを今後非常に発展いたしまして、経営管理者並びに従業員というものが完全に企業的に完成いたしましたときに、これをどうするかという問題はそのときに出て来る。即ち国民なり政府なりすべてのものが、公社というものは手放しにいたしてもできるだけ能率を上げて、高能率、高賃金で行くということは言わなくてもいいんだ、全部任してしまえというところまで公社というものが信用を得た場合は、この給與総額の枠というものの撤廃ということも考えられるのじやないかと思いますが、現状においてはそういう意味において給與総額の制限を設けるという意味がある。そこで先ほどお話がありました次の問題に移るわけでありますが、そういうことにして給與総額の制限は意味があると思うわけですが、併しその場合におきましても、作業量が殖えて来る、いわゆるマーケツトの拡張によつてお客さんの需要が殖えて来る。それに対して作業量が殖えて来る。こういう場合においても、飽くまで固定性を持つかということになりますと、この固定性を持つて動けないということになつて来ると、予算総則の第四十三條で「(予算に與えられる第四十條に規定する弾力性の範囲を定める規定を含む。)」と、これによつてそういう場合においてはこの予算総則に彈力性を設けて行くことができる。それを国会が至極御尤だと思えばそういう範囲の弾力性は持たせる。その場合においては給與総額についても、固定的なものと、予算総則に加わつたその彈力的な問題と相待つて、これが一つ制約になる。こういうような関係になつておるわけであります。
  24. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それと公共企業体労働関係法第十六條との関係はどういうふうになつておりますか。
  25. 横田信夫

    政府委員(横田信夫君) 公共企業体労働関係法の第十六條の関係におきまして、今のこの予算で定めた場合はこの予算制約を受けるわけであります。併しその予算というのは御承知のように、ここにありますように、予算総則、収入支出予算併せての予算であります。従いまして予算総則でその総括的規定においてそう彈力を與えたものが付いて来るならばその範囲においての両方併せたものとしての公共企業体労働関係法の適用を受ける。こういうことに相成るわけであります。
  26. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 どうもそのところがはつきりしないと思うのです。それで、この公共形態にするこりとによつて能率的な経営をし得ると、こういう有力な根拠に私はなり得ないと思います。只今の御解釈の仕方では……。原則としては十六條の制制は受けると思うのであります。
  27. 横田信夫

    政府委員(横田信夫君) 只今申上げましたように、予算総則で彈力性のくつ付いた範囲において、それを一緒にして制約を受ける、飽くまで固定的なもので動き得ないかということになりますと、その総括的規定でこれがくつ付いた範囲において、それを併せて公共企業体労働関係法の適用を受ける、こういうことを申上げたわけであります。
  28. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 今予算総則のあれに触れましたが、先ほどの御説明を聞きますと、実質的には郵政省が国の予算と別の予算作成提出できないような印象を受けたのですが、そういうことになるのです。この予算総則というのは、普通言われている予算総則、これとどういうような関係になつているのでしようか。
  29. 横田信夫

    政府委員(横田信夫君) これは政府提出原案におきます意味は、公社予算というものはこの第四章財務及び会計に書いておる内容を持つたものである。従つて四十二條に、予算内容、これは公社予算内容と読んでいいかと思いますが、この予算内容即ち公社予算予算総則、収入支出予算、継続債務負担行為とする、これを公社予算といたしておる、こういうことであります。
  30. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それはわかつているのですが、実質的には大蔵大臣協議して必要な調整を行う云々ということにしましたが、郵政大臣予算作成して、そうして国会に実質的には提出できるような形に、実質的には仮になつて行く。いわゆる財政法に言うところの予算ですか、それは予算総則、歳出入予算、債務負担行為、これは財政法で言うところの予算、いわゆる予算、それと同じ内容になつているのですね。この出て来ているのは公社予算総則と言つていいかも知れませんが、それで私はなんだか実質的には、財政法で言う予算というものに該当するものが、それはやはり財政法に統一さるべきであつて、そういう意味で公社予算というものを見ても、そればかりじやありませんが、まだ質問いたしたいのですが、この予算提出手続においての郵政大臣権限というものが非常にどうも強くなつて来ることについて納得できないのです。どうもその点は実質的にはどうなんですか。形式としてはこう出ているでしようが、公社予算総則……、政府としては実質的にはそういうことになるのじやないでしようか。二つの予算が出て来るということになるのじやないでしようか。
  31. 橋本登美三郎

    衆議院議員橋本登美三郎君) 御質問政府提出案と改正案と両方に跨がるものですから、非常に私のほうも困るのでありますが、今の御質問は、改正案についての御批判、御質問は又分けて頂くことにしまして、公社予算の本質というものについての問題であります。で、この公社予算というものは、やはり公社というものは今回一つ企業体として政府とは独立する、これは確かに政府から独立いたすわけであります。併しこの公社予算というものはそういう意味で国の予算とは違う、これは言えると思います。併しこの公社というものは、先ほど河野政府委員からお話がありましたごとく、これは政府全額出資であります。そういう意味におきまして政府機関そのものではないけれども、関係機関というものには入るだろう、これは言えると思います。公社予算というものを、そういう一つ企業体としての予算をどういうふうにいたして行くかということは、これ一つの政策の問題だと思います。公社予算につきましては、公共企業体というものがやはり世界的に見ると一つの大きな今試験期にあるとも言えると思うのでありまして、各国におきます行き方も、今お話がありましたように、いろいろ問題があるようであります。公共企業体それ自身は世界的に見てどういう経過で生れたかと申しますと、一つの流れは、今までの国営事業経営能率を上げて行くという意味において、一つ国営事業経営の合理化という意味において一つ公共企業体というものが生まれておるという、こういう傾向と、もう一つは、民間事業で非常に大きい、いわゆる公益的な色彩の強いものについていわゆる社会化の見地から公共企業体にして行くと、こういう世界の流れが二つあると思うのです。そういう二つの流れで生まれて来るものでありますので、その現われておる世界の公共企業体の中にはいろいろな型があると思うのであります。今回問題になつております我々の公共企業体というものは、この国営事業経営の能率化を図つて行こうという意味における公共企業体である。これは確かに言えると思うわけであります。いずれにいたしましても公共企業体の特性というものは、強く公共性を維持しながら、経営管理自身につきましてはできるだけ自主性を持たして行く、資本主義の発達過程において、いわゆる経営経営管理のやり方において、発達いたしました科学的能率的経営というものをできるだけとり入れて行くというのが、公共企業体一つの特性であろうかと思います。併しながらこれはやはり各国の事情によつて、現状に最も適当とするもので行かなければならん。そういう点が一つの実情に副うものとしてあるのである。我が国といたしましては、やはり一つの試験期でありましようが、先例として国有鉄道、それから専売公社という一つの先例があるわけであります。そういう意味におきまして、政府提出原案は、国有鉄道公社或いは専売公社というものを前例にしながら、幾分の進歩を見出して行こうという点において、今問題になつておる点について国有鉄道より幾分の進歩を見出してここに入つて来た。併し先ほど御指摘がありましたように、給與総額等におきましては現状においての一般輿論から言いましても、これを手放して行くよりは、やはり給與総額の制限を設ける、同一作業において人も殖やす、べースも殖やすということをやつたんでは、折角公共企業体を作るという本旨に副わない。こういう意味で、こういう現状においては、こういう制約はあつてもよかろう、こういうことになつておるわけであります。公社予算のそういう意味においてのいろいろの特性を持たして行くということは、これはそういうものをやつて行くのが現状に最も合うという意味においての政策の問題であろうかと思うわけであります。
  32. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 政府側に伺いたいのですが、予算提出手続の問題というのは、この收支予算であるということですね。收支予算ということが、これはほかにも私は、收支予算でやはり大蔵大臣にその予算作成権があるというものがあると思うのです。収支予算であるということが、予算作成権が郵政大臣にあると、こういう有力な根拠になるかどうか……。
  33. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 大分いろいろなことが、はつきりしない点があるようでございますから、衆議院修正せられた方々の御意見もありましたし、今の政府委員の答弁もありましたが、一括してこれについての自分の考えを申し述べたいと思います。大体、国の予算というものは、財政法では一般会計と特別会計と、こういうことに相成つております。財政法が昭和二十二年にできまして、その項は公社予算というものはなかつた財政法でずつと参りまして、二十四年にできました公社予算というものは、財政法で一般予算と特別予算と、こうなつておるものですから、財政法を直すよりも公社会計法財政法へ乗つかつて行くと、こういう態度をとつた大蔵省といたしましては、公社ができました場合においては公社会計法を作るつもりでおつたのであります。この財政法には一般会計と特別会計だけしか載つておりませんから、公社予算というものは国の予算じやないと、こういう形式論は立つかも知れません。併しこれは全額出資で飽くまで実質的には国の予算、この点に誤解がないように一つつておきます。  第二の牧支予算というものは公社だけではございません。特別会計が殆んど全部收支予算なるが故に、これを公社法収支予算なるが故に、又財政法上の問題になるから、大蔵大臣は抜きにすべきだという、意見は立たぬと思います。それからこれは同僚のかたを反駁するようでありますが、特別会計のように、日本電信電話公社法というものは非常に弾力性があります。それは今までの鉄道、専売より弾力性があります。この弾力性を認めたということは、大蔵大臣予算作成し、閣議を経て国会へ出すという建前を崩さないように、できるだけ郵政大臣のところで賄い得るように弾力性を認めたものでありますから、弾力性が認められたから大蔵大臣編成権をなくするというのは逆だと思う。私の今までの考えでは逆だと、こういうふうに考えております。公共企業体労働関係法十六條の二項、それから四十三條の問題は電信電話公社法ができたからと言つて何ら変つておりません。同じでございます。弾力性はほかの公社にも認めておりますから、この点は何ら変つておりません。  それから公社のあり方という問題につきましては、先ほど河野主計局長言つているように、アメリカには八十もございまして、公社言つても種々雑多でございます。いずれも全額国が出し、そうして国会予算を審議する場合においては、これは向うの予算局が一体としてやつておるのが実情であり、而も全額出資でないようなものも、先ほどの説明のように、だんだん予算の統一性とかいう意味から言つて予算局が一括して調整をいたしておるようであります。殊にアメリカのように予算局財務省が分れていいかどうかということは別問題で、予算というものの一体性ということは各国とも堅持しておるような状況であります。それで予算がばらばらになつたらどうか。四十一條につきましては、これは大蔵大臣と相談して郵政大臣調整する、こういうことになつておりまするから、予算閣議提出郵政大臣であります。国会提出は勿論内閣でございまするが、大蔵大臣の出します一般会計、特別会計政府関係機関の予算とは別個に提出されるというかつこうになります。従いまして予算編成する過程におきましても、これは電信電話公社予算郵政大臣がお作りになつてお出しになる。他は大蔵大臣が作ると、こういうことになる。今木村さんのお話になる弾力性の問題も、弾力性をどの程度置くかという問題でも、これは予算の統一性が、大蔵大臣と運輸大臣と話した線に沿つて大蔵大臣編成する場合と、郵政大臣大蔵大臣に相談して郵政大臣がおきめになる場合と違い得るということは、これは閣議ではきめまするけれども、発案者が違つて来るということは予算編成ということが変つて来るということになると思うのであります。意見を加えまして恐縮でございましたが、今までの御質問御答弁のあり方というのは大体こういうふうな点で要約できると思います。
  34. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 非常に整理されて答弁されたので、非常によくわかつて来たのですが、さつき私がその予算総則、財政法におけるいわゆる予算というものと、公社における予算総則というものとどこが違うかと質問したのに、今大蔵大臣の御答弁によつてもわかるように、国会に別個の予算が出て来るように思うのです。従つて財政法によりますれば、十四條ですか、予算総計主義と言いますか、そういうような或いは収支予算でないという意味かも知れませんが、そのほか総合予算を組まなければならん、こういうような財政法建前かと思うのです。そこに二つの性格の違つた予算が出て来るということは実質的におかしいと思うのです。それはなぜかと言えば、公社形態というものに非常に無理があると思うのです。実は今大蔵大臣から伺つたのが私はこれは筋が通つていると思うのです。いつも私は大蔵大臣と対立的な立場に立ちますけれども、この点に関しては筋が通つているのです。これははつきりしています。それで私は筋が通つていると思うのです。それでなぜ私はこの公社において予算編成……妙なことになつたかと言うと、実は日本電信電話公社というものは、いつまでも公社形態に置いておくのではなくて、やがては民営に持つて行こうと、こういう一つの段階ではないか。そこで成るべく予算制約を、或いは大蔵大臣のほうの提出権から外しておいて、そこで郵政大臣のほうに権限を多くして、だんだんと民営に持つて行くようにして行きたいという含みがあるのではないか。その点はどうなんでしようか
  35. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 日本電信電話公社作つて、行く行くは民営にするのではないか、かようなお疑いのようでありまするが、その点につきましては、電気通信委員会におきまして政府の所信を明確に申しておるのであります。会社に移す一段階ではないのであつて公社公社としての使命を持つて発足すべき内容を整備しておるわけであります。かようにはつきり御説明申上げておるのでありますので、その点には政府の答弁を御信頼願いたいと思います。只今予算提出権云々の問題がございまするが、提出権と言われますと如何にも各官庁で権限を確保するかのような感じを持つ次第でありまするが、私衆議院のほうの修正意見は私から申上げる要はないと思いまするが、只今申上げますような各省の権限というような観点に立つての御議論ではなかつたのだろうと、かように考えまして、いずれこの点は橋本君からお話があると思います。
  36. 橋本登美三郎

    衆議院議員橋本登美三郎君) 木村さんの御疑問は、実際上と、形式上と別にしてのお話のようでありますが、一応修正案は、自由党、改進党及び社会党それから社会党二十三控室、この四党の共同修正であるということを御了承願います。ただお話を聞いておりますというと、根本論として木村さんの御意見は、公社案なるものに反対である。原則として反対なんだ、勿論民営にも反対——国営で行くべきであるという御議論から成つているように拜聽いたします。従つて国営の議論からお立ちになれば、予算編成権と言いますか、これは大蔵大臣ということになるのは御尤ものように思うのですが、そこで一応公社法というこの法律建前から我々は考えておるのですが、公社法の第四十一條で「公社は、毎事業年度予算作成し、これに当該事業年度事業計画、資金計画その他予算参考となる事項に関する書類を添え、郵政大臣提出しなければならない。」原案で御説明申上げますというと、二項で「郵政大臣は、前項規定により予算提出を受けたときは、これを検討して適当であると認めたときは、大蔵大臣送付しなければならない。」、ですから、この法律上の上から言いますと、原案作成するのは公社自体です。適不適ということを一種の調整、狭い意味の調整でしようが、これは郵政大臣にあるわけですが、そこでこれを検討して適当であると認めたときには大蔵大臣送付する。そうして第三項では「大蔵大臣は、前項規定により予算送付を受けたときは、これを検討して必要な調整を行い、閣議決定を経なければならない。」、こういうような原案なんです。そこで我々は郵政大臣がこの法案によりますというと、「検討して適当であると認めたときは、」という意味では最小限度調整ができるようになつておりますけれども、大体においてトンネル機関である、予算作成についてはトンネル機関のように原文にはできている。それでは一応事業に対する国会並びに内閣に対する責任は、郵政大臣がこの法律の上においては背負つております。国会議員に対する責任も及び内閣に対する責任も郵政大臣が責任を負つておる。そういうようなその事業自体に対する責任は郵政大臣がとつておるにかかわらず、その事業の根幹をなす事業予算について、いわゆる予算調整上における権限が全然ないということであつては、この法文全体から見ても不適当ではないか。併しさればと言つて大蔵大臣がこれに関係しなくてよろしいというのじやない。従つて大蔵大臣協議をして、そうして必要な調整を行うというのは、これは大蔵大臣と一緒に調整を行うのであつて、前に池田大蔵大臣郵政大臣調整を行うようなお話でありましたが、そうじやなくして、法文の解釈は、飽くまで郵政大臣大蔵大臣協議して、必要な調整を行うまでが、これが本文であります。大蔵大臣協議まででなくして、必要なる調整を行う、こういうようなところまでが、いわゆる調整があるのですから。大蔵大臣との調整権というものは明らかに法律の上で認めておりますから、従つて原則としては、いわゆる国家関係予算との関連においての大蔵大臣の意見は、十二分に言い得るし、且つ又予算監督権は行い得ると、こういうふうに考えられるわけであります。
  37. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私はそれはもう原則として国営の立場におりますけれども、この公社法建前に立つても矛盾だらけであると、こう言つておるのであつて、私はそれだから、予算編成権は国営の立場だから大蔵大臣にあるべきだ。そんな無茶なことを言つているのじやないのです。とにかくそんなに予算制約を脱して自由に経営したい、経営して行くほうがいいというなら、なぜさつきも言つた公共企業体関係法の制約を逃れないか。そこがこれに網がかかつて弾力性弾力性言つても意味がないと、こういう意味で言つたんですけれども、そういう中途半端になるのは、結局これを将来民営に持つて行く一つの含みである。私はそういうふうに質問したところが、郵政大臣はそうでないとおつしやつた。ところが公社なつた要綱に、電気通信事業を一挙に民営に移すことはできないから、取りあえずこれを国際通信を民営にして行く、国際通信のほうを民営にして行こうと、こういうのでしよう。併し本当は全体の通信事業を民営にしたいのだけれども、一挙にできないから、取りあえず国際通信を民営にして行くと、こういう意味に私は解されるのです。それで、さつきトンネルという話がありましたが、聞くところによると、津田何がしとか、渡辺何がしという人によつて、旧逓信官僚によつて設立されましたトンネル的通信建設会社を積極的に育成して、将来電気通信事業の建設工事を一切請負わせようと、こういうようなことが事実かどうかわかりませんが、こういうことが言われておるのです。そういう意味で、私はこの公社のいろいろな点において非常に矛盾があるのですが、よくわからない点は、将来民営に移して行こうというので、何となくそこがすつきりしない。予算制約を脱したいというのですけれども、こういう形態では、やはり我々としては、この予算編成権作成或いは提出権というのは、やはり大蔵大臣が言われるように統一されなければ、我々予算委員としてはどうしても承服できない。二つの予算国会に出るという、実質的にはなるのです。そういう意味で私は郵政大臣に、将来これは民営に持つて行く含みでこういう公社案というものを作つたのじやないか、こういうふうに私は質問したところが、郵政大臣はそうではない。ところが実際には今一挙にこの通信施設を移すことは困難だからと、こういうことになつているのですが、その点はどうなんでしようか。
  38. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 只今提案理由がこれまで取りあえずとか、一先ず公社を作るのだというようなお話でありますが、それは何か思い違いでいらつしやるのではないでしようか。私が申上げました提案理由を重ねてその関係する点だけを申上げて見たいと思いまするが、さようなことは申しておらないのであります。略しますが、さつき申上げましたように財務関係、人事管理等の面での国営形態の欠陷を除去して、企業的、能率的経営をなし得るためには、純然たる民営形態考えられるわけでありますが、電信電話事業は全国には厖大な組織及び設備を有し、互額の資産を有する公共事業でありますから、これを民間に拂下げて株式会社組織に切替えることは、再評価株式の引受その他に多くの困難が予想され得ること、強度の公益性、技術的統一性及び独占性を有する本事業については、純民間企業としての長所を十分に期待できないこと、且つ又公租公課の賦課が加わるため、経営の合理化が促進されても、尚且つ相当の料金値上げを招来すること、年々月額の拡張資金を民間にのみ求めることは、現在の我が国の資本蓄積状況から見て殆んど望み得ない等の理由から、民営形態は適当でないと思われるのであります。かように明確に申上げておるのであります。従いましてこの点は誤解のないように願いたいと思います。
  39. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 今郵政大臣からその趣旨を伺いました。郵政大臣提案理由を私はその通りにそれを受取ります。それにしてはおかしいと思うのです。そうならばやつぱり非常にこれがおかしい、いろいろの点に矛盾があると思うのです。私は更にまだ電信電話の国際通信のほう、これを会社にすると、民営にすると、その点についても言う必要があるのです。併し私ばかりがどうも質問しているのもあれですから、私はまだあるのですが、野溝委員も先ほどから何回も言われておりまするので、私途中ですが一応ここで終りまして、私の質問はあとで保留させて頂きます。
  40. 野溝勝

    野溝勝君 私は素人でよくわからんのでお聞きするのであります、が、今世間ではこの法律案のことを公用族伴食機構法案ということを言つておるのです。公用族伴食機構法案と、何のことだと思つて私もだんだん聞くと、全く私もわからんのだな。それでだんだん調べて見ると、私自身もわからんです。私ここ二、三年の間に余り大きく機構が変つて行くので、逓信省それから今度は郵政省、電通省、今度はそれが変つて公社法案、こういうふうにだんだんなつて来て、余りにその変化は目まぐるしいので、そういう説が出て来ておると思うのでございまするが、一体これはあれですか。こういう案は今までのお話を聞くというと、成るほど御尤もという点に一つも行つていないのですな。どういう方面から見ても、理論的にどうしても肯ける点がないのです。そこで主管大臣佐藤さんも実際は自信は余りなかつたと思うのだ。というのは失礼ですが、向うさんのほうから勧告を受けたことかある。それを具体化したのじやないかと思うのです。そういう点から見ると、自信のない法案でございまして更に先ほど横田政府委員説明を聞くと、全く正直に言われておると思うのです。どうも試験時期である。国有鉄道、専売公社の試験的段階を経て漸次生成発展しつつあるというようなふうな御意見、こういう点から、前後して、これは正直のことを申しますと言うと、我我はふんと感心するところかないのです。そこで皮肉を決して申すわけではありませんが、本当にキー・ポイントと申しますか、やらなければならぬというような大事な点、この点を私は極く掻い摘んで、御答弁と申しますか、御説明を願いたいと、こう思つております。修正のほうはあと廻し、原案だけについてお聞きいたします。
  41. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) この公社法案を提案いたしました際に提案理由を詳細に御説明申上げたのでありまするが、その提案理由を重ねて申上げることに相成るのでありますが、さように御了承願いまして、電気通信委員会において申上げました点を重ねて御披露いたしたいと思います。
  42. 野溝勝

    野溝勝君 佐藤さん、それはいいですけれども、その理由は私も見ております。理由のうちどこが重点だかさつぱりわからぬから、その点あなたから的確に御答弁願いたいと思います。
  43. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 然らばこの提案理由はよくお読みであるそうでありますので、頭脳明晰な野溝さんとしてよくおわかりになつてつて、それを重ねてお尋ねになるのであろうと思いますから、私も要領よくお話をいたしてみたいと思います。  この点は、先ほど来、公社になぜするのかということを木村委員からお尋ねがありましたから、大体においてもうその説明で盡きておると考えるのであります。御承知のように鉄道や専売公社につきましては、総司令部から勧告があつたということでありましてその通りであります。又この電信電話につきましても、過去におきまして、昭和二十五年でありまするが、衆議院におきましては公共企業体移行への促進の決議がなされておるのであります。従いまして、これは従来の総司令部の命令ということとは事変りまして衆議院におきましては、現在並びに終戦後の電気通信のあり方、状況等から見まして、もつと能率的に、もつと飛躍的な整備を強く要望されたものだと思います。この点で問題は予算の増額を必要とするのでありますが、御承知のように政府資金だけに頼りますると、これにはおのずから限度があるわけでございまするので、更に民間資金をも獲得し得るような方法を講ずること、これが第一点であります。同時にその機会におきまして、先ほど問題になりましたように、事業予算にふさわしいような予算をここに樹立したいということ、同時に又人事管理の面におきまして一般公務員等の人事管理とは別な、事業形態にふさわしいような人事管理をしたいと、こういうような点が主たる狙いでありまして、公社法案を計画いたした次第であります。
  44. 野溝勝

    野溝勝君 御趣旨の点がわかつて参りましたが、そこでお伺いをするのでございますが、全額出資によつて、かような機関を作つて運営をする場合に、弾力がある、弾力かあるというお話でございますが、その弾力とは経済的弾力を多分指すこととは思いますが、併しその経済的弾力も今までと違つてなかなか多くの公用族ができるわけです。総裁初めそれぞれの役職員がたくさんできるわけなんです。そういうことになつて参りますると、例えばその経済的弾力があつても、それが果して想像したようなふうに国家的な利益になつて行くかということに対しては、私どもも非常に心配をしておるのですが、こういう点について郵政大臣佐藤さんはどういうふうにお考えになつておられますか。
  45. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 公社ができますれば総裁以下の幹部職員の要ることは当然であります。これをいわゆる公用族だとお考えになるところに私どもの納得のいかないものがある。会社経営の衝に当る者とか、公社経営の衝に当る者を目して公用族という言葉は少し不穏当ではないかと、かように私は考えます。事業遂行の衝に当る者は責任を持つて事業遂行をいたして参るもの、殊に政府が任命いたします限り、その任命上の人選上の問題につきましては、政府自身が責任をとつて参るわけであります。この点では国会等も、政府取扱方が非常にまずい、或いは公社の業績が上らないと、又言われるような不都合が職員に生じた場合がありますれば、これは政府の責任として勿論追及を受けることだろうと、かように考えます。
  46. 野溝勝

    野溝勝君 私は決して侮辱した意味ではないのでありますが、佐藤さんのえらい癇に障つたら、この点は取消しても差支えございませんから、さよう……。そこでお尋ねするのでございますが。電信電話事業、特に電話事業がなかなか思うように復旧していない。そこにかような公社法案を作れば、公社法案というふうに機構を変えれば、勢い、職員のと言いましようか、従業員の気持もそこに緩んで来て、能率的にもそこに支障を来たすような危険がないかと思うのです。例えばもつと具体的に例をあげまするならば、今お互いが緊急を要して電話をかける場合に、なかなか電話が復旧しておらんのです。私などは二通話かけると、ぴたりと切られてしまう。ところがまごまごしているとすぐ二通話ぐらいかかつてしまう。そういうふうに一つも直つていない。更に間違つて来てしようがないですな。混線というのですか、乱線というのですか、とにかく何のために電話を持つているか、役立たぬ。たまには癪にさわるから電話をはたいて見てもしようがないのですが、そういうようなことは、まだ私は、政府自身にいたしましてもこの徹底化、技術なり修理なりの徹底化を図らなければならない重要な時期にあると私は思うのです。こういう点から見て、今こういうものを機構を変えれば、そういう面に多分の支障を来たすという危険性をもつておりますが、そういう点に対する御所見はどんなふうにお考えになられますか。
  47. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 電気通信事業の基本的なあり方の問題についてのお尋ねだと思います。御承知のように、只今いろいろ通話が円滑にいかない点につきましてのエクスキューズはあるわけであります。併しあえてそれを申上げようというのでもございませんが、設備が非常に不足しておるとか、或いは設備が老朽であるとか、こういうふうな点が見逃せないのであります。併しこれらの設備の整備につきましては、これはどうしても多額の資金を要するのでありまして、国家財政資金だけでというわけにもなかなか参らない。併しながら終戦後におきまして、国といたしましても、電信電話の復旧につきましてはできるだけの予算を割いて参つたのでありまするが、今日只今御指摘になりましたように、電話或いは電信に対する需要は飛躍的な増大を来たしておるのでありまして、今日までのところではその需要に応え得ない面が多分にあるのであります。同時に又、業務に従事しております従業員といたしましては、基本的な考え方といたしまして公益の利便を増進すると、この気持からサービスにより徹底をしなければならないところだと思いまするが、今日までのところこれ又終戦後の状況から見ましてなかなか遺憾な点があるのであります。従いまして、これらの点で国民の皆様方に多大の不便なり不都合なりを與えておることだと、かように思います。従いまして私ども責任者といたしましては、現在あります設備を十分活かして行くということ、これが勿論大事なことであり、又増大しておるこの需要に対して応えるだけの設備の整備もいたさなければならない。従業員にいたしましてもより徹底した奉仕の観念の下に業務遂行に従事してもらうようにこれを日夜指導監督いたしておるような次第であります。誠に簡単でありまするが、基本的な考えを要約いたしますれば以上のような点に盡きるのじやないかと思います。
  48. 野溝勝

    野溝勝君 これは佐藤さんどうなんですか。あなたはよく御承知なんですが、戰前における国鉄は黒字でありまして、一般会計へ繰入れられたものだと思います。それが今日国有鉄道という公共企業体になつて以来、むしろそういう点は逆コースだと私は思う。かようなことを私は又あえて繰返すということになりますならば、国家的損失は大きいと思うのですが、この点、佐藤さんと池田さん、お二人に見通しの御所見をお伺いいたしたいと思います。
  49. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 公社になりまして直ちに成績が上るかどうか、これは相当現状が需要と大きな開きがありますので、なかなか急速に需要を充たすことは困難だろうと思います。殊に御承知のように、戦時中には何ら整備の資金が出て行かない。逆に戦争中に非常な荒廃を来たした。電信電話の場合におきましても御承知のように戦災を蒙つているものが非常に多いのでありまするが、そういうような状況のものを、これらを復旧するとか、或いは戦前戰後を通じて技術的に非常に遅れておるものを、これを取返すという二と、これは非常な困難なことでありますので、経営形態を変えまして短時日の間にこれが見違えるようになるということはなかなか期待はできないだろうと思います。鉄道の例を只今とられましたが、私は鉄道公社になりましての業務遂行の感じは、従前の国営であつたときよりか、よりよくなつたような感じをいたしております。これは私が鉄道におりましたから贔屓目に見ておるのかも知れないと思います。戦後のあの状態で鉄道がいつ復旧するかわからなかつた。戦争が済みました直後でありますが、私、大阪で鉄道局長をしておつたときに、経済人から「鉄道局長、いつになつたら寝台車が通るんだ。」こういう質問を受けたことがあります。戰争の直後におきまして、寝台車を通すということはどうしても考えられなかつた。車両の傷み方、線路の状況又従業員の酷使されたあの姿から見まして、又あの生活状態から見て、そういうようなサービスはなかなか考えられなかつたものであります。併し今日提供しておりますサービスは、先ず戦前の水準に近付いた、ものによりましては戦前より以上のサービスを提供しておるように私は見受けておるのであります。而も又公社になりましてから従業員の気持は変つております。在来の官吏であつたというときの気持が、公社職員になつてからの気持は相当変りがあるのであります。この意味におきましては、いわゆる親切になつたというような批判も受けるのであります。多数の従業員のことでありますので、今なおそれは利用者のかたから御覧になりまして、まだ不都合だというような批判も受けまするが、総体といたしましてはさような感を持つものであります。これは経営者自身の施策が当を得たと、かように自慢をするわけではありません。それだけによるとは言いかねる。社会的環境も御承知のように生活状態も安定して参りましたし、思想的動揺もこれはなくなりましたし、或いは又従業員といたしましても、組合の活動も、公社になりましてからは団体交渉等の途も開かれ、組合結成もできるとか、かような点もあるでありましようが、余ほど変つた状況になつて来ている。今日までの事業形態の面から考えまして、先ほど申しましたように事業経営者の気持も変つて参りまするし、金の使い方等におきましてもいわゆる企業本体、企業中心にしての考え方に徹底ができるようでありますし、又従業員等の人事管理、従業員側から見ましても、公社になつて参りますると、相当気分も新たになりまして変つて来ると、かような期待を鉄道等の例から私はさような期待を持つておる次第であります。
  50. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 大体郵政大臣のお答えの通りだと思います。戰争中非常な痛手を蒙りました。又その後の復旧も資金関係その他で十分でないのであります。極力我々としては努めておりまするが、公社なつたから、ならぬからという問題になりますると、私は郵政大臣の答えたように公社なつたほうがいいというように考えます。
  51. 野溝勝

    野溝勝君 数字的に、具体的に示してもらうならば私も納得ができるのですが、どうもただ抽象的にサービスがよくなつた、車の改造ができた、従業員の団体交渉権ができた、そういうことは、どうも、見る人、人によつて角度が違うのです。例えば我々から見るなつらば、八千五百円の夏季手当を要求するに、八千五百円相成らん、できないと、まあ五千円だという。それもちびりちびりというようなことで、そういう角度から見れば、従業員は富んでおるどころじやない。私は大きく待望しておると思うのです。それで、これは佐藤さんのお耳にも入つておると思うのだが、電通省関係の従業員の諸君は、むしろかような公社法案に対して不安を感じている。むしろこの点ではあなたもきつと御承知だと思いますが、非常に何と言いますか、現状の維持をむしろ力説しております。ですから、そういう点から見れば、私は佐藤さんや池田さんと必ずしも角度の点に対して一致しておらん。そこでどうでしようか。一つ納得せしめるように、これは池田さん、佐藤さんでなくてもよろしゆうございます。事務当局の河野さんのほうから、何か数学的に、元よりよくなつたという理論的な数字をちよつとお示し願えるようにいかんですかな。それを希望いたします。若しなかつたらあとで一つ委員会に資料として出して頂きたい。
  52. 河野一之

    政府委員河野一之君) 公社になつて能率がよくなるという点は、ちよつと数字的にはなかなか出にくいと思いますが、先ほど両大臣がたびたび言われましたように、人事の面では国家公務員法の適用がなくなり、任用試験というようなことの制約がなくなります。又公労法による公共企業体労働関係調整法の適用を受ける。それから経理の面では、先ほどたびたび申上げたように、彈力性が付けられる。つまり今までで言えば、予算がこれだけしがなかつたから、ないから仕事ができないということなしに、事業が殖えて行けば彈力的に、必然に予算が殖やされる、そういうふうな点になつておるのが大きな点であろうと思います。具体的な数字はこれからの運営によつて出て来ると思います。
  53. 野溝勝

    野溝勝君 もう、あなたも急いでおるようだし、進行をするようだから、二点だけ聞いて……。実際かようなことじや困るのです。特に国庫全額出資するのですよ。そうして過去の公社に対する実績もなかなかよくわかつたし、希望も持てるというお話だつたから、私も成るほどというふうに思つた。過去の公社の実績というなら数字的根拠がなければならんと思うのです。そこで大蔵委員会ではやつぱり各公社に対するところの数字的な検討をしておる、確かに専売公社などは相当利益を上げております。従業員に対しても独立採算性の意味から、このベース・アップの問題についていろいろ意見のあつたことはよくわかつております。併しこの国有鉄道につきましては、まだ私は未熟のせいか、幼稚のぜいか、その採算的なあれがよくわからないのです。そういう点から、この案に対しては政府は自信を持つて出されたのだから、そのくらいの資料は本委員会に出さなければならん。そういうことを私はむしろ政府に要望いたしまして、この点はこれ以上は聞きません。委員長においてそれに参考になるべき資料を提出するということを私はあなたに希望しておきますから、その点を含んで次回に出して下さい。  それから最後に第五十條の点でちよつと私はわからない点がありますのでお聞きします。電信電話公社法案第五十條「公社は、予算作成後に生じた避けることができない事由により必要がある場合に限り、追加予算作成し、」云々とありますが、この「予算作成後に生じた避けることができない事由」というのは、いろいろあることだと思いますが、私よくわからんのですが、どういう事由でございますか。この際一つ例を参考にあげてお話願いたいと思います。
  54. 横田信夫

    政府委員(横田信夫君) お答えいたします。公社事業もやはり一つの生産的事業でありますし、経済界の変動というようなことも直接影響を受けるわけであります。或いは物価の高騰或いは人件費の高騰、而もこれが公社だけは人件費は上げられぬということも避けられないというような場合において、やはりこの料金の改正問題も出て来る場合もあると思います。勿論料金の問題につきましては別途法律できまることになつておりますので、これはそのほうの国会の御審議も並行いたさなければならんわけですが、そういう場合におきまして、公社の追加予算作成というようなことも必要になつて来ると考えられるわけであります。
  55. 野溝勝

    野溝勝君 よろしゆうございます。
  56. 大矢半次郎

    大矢半次郎君 時間も遅れましたから、私は極めて簡單に一、二の点について御質問いたしたいと思います。  衆議院修正の点について御説明伺つたのですが、これは予算決算調整監査のことを、大蔵大臣の主管から郵政大臣に移すについては二重監督の弊を避けたいというのが、大体の御趣旨のように伺いましたが、先ほど郵政大臣の御説明によれば、実質は殆んど変りはない。政府監督する上においての財政監督する上においては変りがない。或いは煩瑣を避ける趣旨かも知れないというようなお話でありましたが、その点、郵政大臣、もう少しはつきり御意見伺いたい。
  57. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 修正案についての説明は橋本君にお願いいたしたいと思います。
  58. 大矢半次郎

    大矢半次郎君 私は先ほど電気通信大臣がその点に触れて御説明があつたので、甚だ簡單で、私、納得いたしかねましたから、今伺つたわけです。
  59. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 修正案につきましては橋本君の説明にお譲りいたします。
  60. 橋本登美三郎

    衆議院議員橋本登美三郎君) 私どもの衆議院側修正案趣旨は、佐藤電通大臣がどうおつしやつたか、ちよつと、私、存じておりませんでしたが、私どもの衆議院側としての修正理由は、この公社法が結局電通公社運営する財政法的基礎、会計法的基礎になるのです。従つて公社というものができた理由も、国の財政法或いは国の会計法という窮屈なものから枠をはずす必要がある。そうしてできるだけ能率的な運営の可能なことにしなければならないということが、この公社なつた大きな理由であります。従つてその理由の下にこうした公社ができて、その公社法条の中に、公社を律する財政法と言いましようか、或いは会計法というものが盛られておるのです。従つて公社法の全体を皆さんが御覧になればわかりますように、その全体としては、やはり監督官庁である郵政大臣が業務監督或いはその他の一切の監督の任に当つておるのです。ところが、この予算作成及び編成という面に基いて、第四十一條ですが、原案によりますというと、公社が作つた予算案郵政大臣に出しますが、その郵政大臣はこれを検討して、そうして大蔵大臣に送ると、「大蔵大臣前項規定により予算送付を受けたときは、これを検討して必要な調整を行い、閣議決定を経なければならない。」、こういうような順序に原案はできておるのです。併しながらこの実体予算というものが先ほど申上げましたように、大体、国の関係予算と言いましようか、国、例えば預金部借入金、こういうような面が関係あるのですがその国の預金を繰入れる、或いは今後公債を発行すれば預金部引受ということになりましようが、そういうことは事業予算の大体八分の一見当です。八分の一見当が、要するに預金部資金を借りるなり、預金部引受で公債を買うなり、こういう面に関係を持つておるのですが、要するにその面だけです。そういう面だけで言うならば、例えば現在見返資金などは、いわゆる造船事業に対しても、同造船事業に見返貸金を出すとかということは行われておるのです。勿論これは只で貸してくれるのでなくして、適当な利子を拂つて行くのですが、ただ大蔵大臣としては電信電話復興事業の建設事業の面からして、どの程度の枠を與えるべきかという点には、やはり大蔵大臣の大きな観点が必要であろうと思うのです。そういう意味において大蔵大臣事業予算の全体に対して郵政大臣協議をする必要は我々認める、協議をして調整を行う、こういうような、郵政大臣大蔵大臣協議をし、且つ又調整を行なつて、まとまつたものを閣議に出す、こういうような意味での大蔵大臣権限というものは十分にこれは認めなければならない。従つて公社法資金計画という面を御覧になるとわかりますが、資金計画については、一切大蔵大臣権限と言いましようか、一つ権限事項に加えておつつて、これは郵政大臣に云々というよりは、大蔵大臣が必要と認めたら、これの資金計画を減らしたり、或いは又殖やしたりすることができる。こういう工合に、資金計画の面においては明らかに大蔵大臣の意図が明確に盛られておるのです。即ち五十五條です。国のりいわゆる資金計画と言いましようか、財政計画という面から言えば、明らかに公社法においても大蔵大臣権限を五十五條において明らかにしておるのだからして従つて事業予算を中心とすることについては、大蔵大臣協議をする建前でよろしいのではなかろうか、原案によれば、そうでなくして、大蔵大臣が單独でこれの調整を行う、こういうことになつておるからして、それでは結局公社事業を遂行する上において、折角、国の財政法なり或いは国の会計法から逃れてこうした特別立法を行なつ趣旨が徹底しない、こういう意味で公社法全体の平仄を合せるためにも、郵政大臣大蔵大臣協議して調整を行う、こういうように修正することが妥当であろうと、こういうことで衆議院修正は行われております。
  61. 大矢半次郎

    大矢半次郎君 公社を創設することにつきましては先ほどからも御説明がありましたが、民間資金の導入をやりやすくする、或いは予算弾力性を與えるようにする、或いは又人事管理等も適切にしたいというのが主要な要素をなしておるということでありまするが、この点につきでましては、今の予算調整大蔵大臣がいたそうが、郵政大臣がいたそうが何ら変更がない、そういう実体のものには変更がないと思うのでありまして、結局然らばこの予算調整大蔵大臣のほうに置いたほうがいいか、郵政大臣のほうに置いたほうがいいかというのは、もつと別な見地から見なければならんと思いますが、それは全額政府出資の非常な多題な企業体であつて、一応独立採算性は主張していましても、どうしてもその経費の最終的の財政的責任は国に帰属しなければならんと思います。そうして公社が持つ独占性とか、公共企業性の点から考えましても、その料金の決定とか給與の決定、その他、重要なる事項は、広い視野の下に一般の会計その他と関連して考えるべきことでありまして、そういう観点からいたしまするというと、どうもこれはこういう公社の企業の監督大臣になつている郵政大臣のみに任すというのは果して適当であるかどうかということが疑いがあるのでありますが、先ほどアメリカの例から伺いましても、公社が八十幾つかあつて、いろいろ政府部内でばらばらに監督をしておるとその弊害があるので、それを統制するようになつたということでありますが、日本におきましても、財政法それから会計法の立場からいたしましても、どうしても将来公共企業体或いは公社については共通の会計法或いは特別の財政法というようなものをこしらえて、一般の財政法会計法と調和をとれるようにしなければいかん。そういう見地からいたしましても、私はこの財政調整権限は、どうしてもすべての財政会計の責任を持つておる大蔵大臣の所管にするのが至当ではなかろうかと考えますが、如何でございましようか。
  62. 橋本登美三郎

    衆議院議員橋本登美三郎君) 只今大矢さんのお尋ねですが、修正案一つはつきりお読み願いたいのですが、修正では「郵政大臣前項規定により予算提出を受けたときは大蔵大臣協議して必要な調整を行い、」、こうなつております。そうして「閣議決定を経なければならない。」、決して郵政大臣の専権事項でもございませんし、郵政大臣が承認を與えれば閣議を経なくてもいいというのではなくして、ただ主管大臣郵政大臣であるからして、而も事業予算の八分の一が国家関係を持つておるのです。資金関係という点から言えば。であるからして、その主体は郵政大臣にしてもいいのじやないかということからして、大蔵大臣協議してこれを閣議決定事項に勿論認めておるわけなんです。而も財政法でもそうですが、財政法の第三十何條には、特別会計についてこれと異なる法律作つてよろしいと、こういう意味のことも財政法の中においてすらも書いておるのです。従つて国の予算というものと、こういう公共企業体予算というものは、実際上の遂行の上において相違がある。こういう点からして、財政法の中においても特別にそういう規定を別個に作つてもよろしい、こういうような特例規定さえ財政法の中に認めておるのです。であるからして、今度の場合において公共企業体に関する財政法及び会計法は、例えば国鉄に関するものならば国鉄の公社法によるし、或いはこの電気通信事業についてはこの公社法によつて行う。従つて附則の中には電気通信事業特別会計法を廃止すると、こういう工合に事態が明らかになつておるのです。例えば皆さんの御心配になる点は、予算という言葉が使つてありまするために、これも国の予算の延長じやないか。ものの見ようによつては延長とも言えるでしようけれども、我々は必ずしも国の丁寧の延長とは考えない。国が全額を出資しておるから、それで国の予算と同様だとは言えない。特に事業予算については、この場合においては、電信電話收入というものを、料金というものを基礎にして、財政が、事業予算内容がきめられておる。ところが国家予算の場合においては、財政法を御覧の通りに、第三條において歳入は税収入原則として、そうして歳入の中に特別にちやんと規定があります。そういう工合に、この国の財政的基礎になるところの收入と、この公共企業体財政収入になる基礎というものが本質的に違つておる。こういう点から言つても、事業予算というものについては、必ずしも財政法規定によらなくてもよろしいということがらして、こうした特別立法も認めておられるだろうと思うのです。こういう特別立法を認める以上は、そこにやはり、この大蔵大臣権限が或る意味においては制限されると言えば制限されておりますが、主管大臣が中心になつて大蔵大臣と相談をして、そうして協議をし、且つ又調整を行なつて、全体の閣議決定をもらう、こういう建前で我々は十分だろうと思う。それを大蔵大臣の専権事項にすれば、結局は、事業予算に対しては非常に郵政大臣権限がなくなつて、全責任を負つておるにかかわらず、重要な仕事をやる場合には権限が薄くなる危険がありはしないか。こういう法全体の建前からみても、我々は木に竹をついだような関係にあると、こういう解釈からしてこの点を修正したわけなんです。
  63. 大矢半次郎

    大矢半次郎君 この点に関しまして大蔵大臣の御所見を伺いたいと思います。
  64. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 先ほどお話申上げた通りでありまして、私は予算は全体として調整を図る必要がある、こういう考えの下に政府部内におきましても相当研究をして、研究した上で閣議決定したものである。ばらばらになるとは言いませんが、單に予算の一部を資金運用部からもらうのだから大したことはないと申しましても、これは一般公務員の問題、或いは国鉄、専売の問題、これは全体として考えなければならん問題だと、こういう気持の下に、先ほど申上げた通り考えておるわけであります。
  65. 大矢半次郎

    大矢半次郎君 最後にこの点について電気通信大臣何か御意見ございませんでしようか。あれば伺いたいと思います。
  66. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 原案を作りました際は、只今池田大蔵大臣がお話の通りであります。いろいろ閣議におきまして論議を盡し、思想を統一して成案を得たのであります。従いましてその点までは同様でございまするが、只今修正案が通つたという場合に、どういうことになるかと申しますると、修正案通りましても閣議にかけてやるわけでありますので、思想の統一は勿論できるんじやないか。だから今大蔵大臣のところでやらなければならないのだと、かように言われることは、やや論理的には飛躍があるのじやないか。かように私は考えております。
  67. 大矢半次郎

    大矢半次郎君 国会の決議が済んでしまつたあとの始末を聞いておるのじやありません。今の審議しておるときの現段階においての御所見を伺つておるのです。
  68. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 前段は大蔵大臣と全然同一意見でございます。
  69. 小笠原二三男

    小笠原二三男君 大蔵委員会のほうの方々であと御質問することになさつておられるかたは幾人ございまして、どの程度の時間がかかるか、見計らつて進めて頂きたいと思います。昨日も我々の委員会は定足数のないままに六時までもやらせられた結果になつて、私、疲労困憊しておるわけでございますが、五時頃になつておりますので、大蔵委員会のほうの御意向等もあれば御意向を伺つて、そうして多数の御質問があつて適当な時間内ではできないならば、明日にも又延期してやるならやるというおきめをして、そうして逐次質問を願つて行くというふうにでもしたほうが、私は予定がたつてはつきりしていいと考えます。ただ、だらだらと、こう申上げたら失礼ですが、議事を進められるということは、私どもとして大変迷惑ですから、この点、委員長において関係委員長その他とお計らいになつて、適当な手続をとられんことを希望いたします。
  70. 鈴木恭一

    委員長鈴木恭一君) 速記をやめて。    〔速記中止〕
  71. 鈴木恭一

    委員長鈴木恭一君) 速記を始めて。それでは本日はこれにて散会いたします。    午後五時七分散会