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1952-07-28 第13回国会 参議院 通商産業委員会 第66号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年七月二十八日(月曜日)    午後一時五十五分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     竹中 七郎君    理事      結城 安次君    委員            古池 信三君            中川 以良君            山本 米治君            加藤 正人君            小林 孝平君            吉田 法晴君            小松 正雄君            島   清君            境野 清雄君            西田 隆男君            石川 清一君   政府委員    通商産業省通商   機械局車両部長  吉岡千代三君    資源庁鉱山局長 松田 道夫君    資源庁鉱山保安    局長      伊藤 俊夫君   事務局側    常任委員会専門    員       林  誠一君    常任委員会専門    員       山本友太郎君    常任委員会専門    員       小田橋貞寿君   説明員    通商産業省通商   雑貨局紙業課長  矢野宏太郎君    通商産業事務官    (通商産業省通    商雑貨局紙業課    勤務)     瀬川 一郎君   参考人    日本鉱業協会会    長       羽仁 路之君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○織物消費税法廃止に伴う特別措置  に関する法律案  (境野清雄君外二十九名発議) ○通商及び産業一般に関する調査の件  (金属鉱業対策に関する件)  (改正自転車競技法施行状況に関  する件)  (水質汚濁防止に関する件)   —————————————
  2. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 只今より通商産業委員会を開会いたします。  日程を変更いたしまして、先ず通商及び産業一般に関する調査を議題といたしまして、先ず金属鉱業対策に関する件につきまして、参考人日本鉱業協会会長羽仁路之君より意見を聞くことにいたします。  御承知のように産金業助成策として、今期国会において貴金属管理法の一部を改正し、加工用金の売戻し販売制度を認めたのでありますが、これを以て産金業の当面している問題の全面的解決は困難であり、当委員会といたしましても引続きこの問題を研究することになつておりましたが、日本鉱業協会におかれましては、今回産金対策も含めて、金属鉱業全般に関する対策を策定されたということでありますので、この際その概要について説明を聴取いたしたいと思うのであります。先ず羽仁路之君より御発言を願います。
  3. 羽仁路之

    参考人羽仁路之君) 只今御指名の羽仁でございますが、本日は大変暑いところを通産委員の皆様がたが金属鉱業の問題をお取上げ下さいまして、これが対策について御検討願いますことは、誠に感謝に堪えないところでございます。  我が国非鉄金属鉱物資源は代表的なものは金、銀、銅、鉛、亜鉛でございます。そのほかに硫黄、硫化鉱或いはタングステン、モリブデン、水銀、一通りあらゆる種類の金属鉱物を日本に埋蔵しておるわけであります。只今銅におきましては少くも東洋では第一位であります。硫化鉱とか硫黄につきましては、世界的な生産国であるのであります。月の生産額は約百億円程度であります。従業員は約十万人、本邦の基礎産業の一つとして相当の仕事をいたしておるわけでございます。これらの金属鉱業は戦争中は強行増産によりまして、又金とか錫とか硫黄とかいうものは途中で設備転換というような運命に会いまして、終戦後は政府から特別の施策を受けなかつたのでありまするが、経営者は誠にこの間非常に苦悩をいたしたのであります。幸いに二十五年朝鮮動乱の勃発を契機といたしまして、世界的な軍拡によりまして、非鉄金属不足物資として爾来強調を続けて参つたであります。尤もこれは或る種類の物は相当程度低落をいたしたのであります。爾来業界といたしましてもこの機会に是非企業合理化に努力いたしたい、こういうことで目下努力をいたしておるような次第であります。我が国土は敗戦によりまして非常に狭小になつたのでありまするが、従来は朝鮮とか或いは満州とかいうほうの地下資源開発に努めた時代もあるのでありますが、極く小さな国土に押込められたのでありまするが、幸いにしてかなりまだ多くの地下資源に恵まれておるのであります。このうちで大体国内産で国内の需要を賄い得まするものは亜鉛・硫化鉱硫黄等であります。今後の施策如何によりましては自給可能になるというものは、銅、マンガンというような種類のものであります。併しこのような自給できるというマンガン硫化鉱にいたしましても、かなり無計画な輸入がありまするために市場の混乱によりまして、国内鉱業は相当に圧迫せられておる実情であります。独立国家として自立態勢を確立いたしまするためには国内地下資源を極力愛用することとしまして、海外からの金属鉱産物の輸入をできるだけ少くする。そうして国内地下資源の増産によりまして、国内産業を発展せしめるということと、外貨資金の節約を図ることを以て今後の経済政策の一環として頂きたいと存ずるのであります。終戦以来六年余り日本占領下にありましたので、独自の政策ということは困難であつたろうと思うのでありますが、今回独立国として再出発いたしたのでありまするから、この際確固たる一つの鉱業政策を樹立して頂きたいということを要望いたす次第であります。  金属鉱産物はあらゆる産業原料資材でありまするが、その関係上各国とも鉱山業につきましては種々な助長、奨励の策を続けておるのでございます。資源の豊富を誇りますアメリカ地下資源開発に対しまする強力な政策は国会図書館の編集になる米国の鉱業政策制度調査報告によつてもその一面は知り得るのであります。然るにこの金属は国際的な商品でありまするがために、国際市場においてこれらの諸国と競争をいたさなければならんのであります。我が国鉱山業国際競争に伍して立ち行くためには、是非これらの先進国鉱業政策制度の長を取入れて、我が国鉱業政策を確立して頂きたいと存ずるのであります。業界として只今要望事項はお手許に差上げました金属鉱業対策要望書の二頁に大体列挙いたしておるのでございますが、第一はこの産金業助成の問題でございまするが、御承知のように金は国家が強制買上げを続けて参つたのであります。然るに金の値段は四百一円に釘付けされまして、爾来物価及び労銀が上りましたのにもかかわらず、常にこの四百一円に押えられて参つたのであります。従いまして、現在金鉱業者は一グラムについて五割以上のマイナスを背負い込んでいる。国家の施策によりまして業者として五割以上の欠損をするというような状態にあるわけであります。従いまして、先般政府買上げまする金、加工用の金を自由価格で販売さしてもらうというような点につきまして当委員会にも御尽力を願いまして先ほど御報告のありました通りに、生産量の約四〇%を加工用として一グラム五百四円という産金業者手取りが認められることになつたのでありまするが、生産量の六〇%はやはり依然として四百一円で買上げられるのであります。従いまして、産金業者の一グラム当り手取り価格は四百四十二円でございます。資料としてお手許に添付いたしたものによつて御覧になつて頂きたいと思うのでありますが、七グラム含有の金鉱はグラム当り生産費が六百七十九円に相成るのであります。従いまして、一グラム四百一円で買上げられますると、なお二百三十七円の赤字になるわけであります。従来は銅、鉛、亜鉛等兼営者はこれらの部門の収益によりましてこの赤字をカバーしてとにかく金鉱業を維持して参つたのでありまするが、非鉄金属部門に反動が参つたのでありまして、これらの金鉱山というものは好むと好まざるとにかかわらず、だんだんと企業廃止の面に近付いて参るのであります。従いまして産金業者といたしましてはこの際政府において金というものは必要である。或いは必要でないのか。必要でないのならばこれは自由に売らして頂きたい。若し金がなお必要なら我が国金鉱業の立つて行けるような対策を講じて頂きたいのであります。そのためには赤字補填して頂きたいのでありますが、国際通貨基金参加の関係上工合が悪ければ探鉱奨励金の方法をとつて頂きたいのであります。これだけでは不十分でありますので、加工用金販売価格の引上げとその数量の増加、金鉱業固定資産税の免除も併せて実施して頂きたいと思うのであります。第二番目は鉱山道路の是正と鉱山地帯鉄道新線開通促進という問題でありますが、これは現に鉱山道路の問題は現に公共事業費より補助実施されつつありますが、金属鉱山の場合は立地的に専用道路とか町村道に該当するものが多いのでありまして、現行制度ではその対象とならないので、本年の企業合理化促進法が実施せられまして折角道路の整備を取上げておりますので、林道のように鉱山道路につきましても産業補助施設として特別枠を設けて専用道路助成の対象として頂きたいのであります。それから鉱山蹄帯はここに一応鉄道の予定線を列記いたしましてこの鉄道の問題を特に促進をいたしたいと思うのであります。  第三番目には新鉱床探査促進という問題でありますが、我が国鉱業法では未掘採鉱物は国有にされ、又国内埋蔵資源は国富とも言えますので、この点からも新鉱床の探査は地質調査と共に本来国がなすべき事業であるとも言えます。アメリカではかなり厖大な予算で国が直接鉱床探査を実施いたしますと共に、企業に対して探鉱費の五〇乃至九〇%も融資して新鉱床開発に努めております。我が国におきましても国が積極的に探査事業を実施することは望ましいことでありますが、直ちに実施は困難と存じますので、差当つつては民間企業に新鉱床の探査を委託実施するよう希望いたします。  第四番目は中小鉱山の問題でありますが、これは御承知のように大鉱山は一朝にしてでき上るものでもないのでありまして中小鉱山の育成というものはやはり鉱業政策としても特に取上げて頂きたいと思うのでありますが、然るに不幸にして鉱山というものの実態は金融機関にはなかなかわかりにくいのであります。特に市中銀行ではなかなか小鉱山に対して融資というようなことは取上げられないのであります。従いましてこの要望書に掲げまするような問題を特に政府として考、えて頂きたいと思うのであります。中小鉱山資金面ということにつきましては製錬業者は或る程度はその鉱物を買上げましてそれに融資する、或いは将来のここから出て来るものに対しても融資するという方法はとつておるのであります。併し一般の業界の不況に対しまして、売れない物を一々買う、なかなか製錬業者がそれをしよい込んでやるということも、相当の責任を負つてこの問題に対しては努力をいたさなければならんのでありまするが、一般中小企業と同様に、この中小鉱山に対しても融資する施策に対して深甚な御考慮を願いたいと思うのであります。  第五は、民間の鉱業技術研究奨励助長という問題でありますが、これは業界といたしましても、みずからこの問題ば手を付けてやるべきでありまして各大鉱業会社はそれぞれ会社に鉱業研究機関を設けまして、相当大規模な技術の改善進歩に努力はいたしておるのでありますが、現に政府の相当の保護政策助成を受けておるのであります。更に躍進をいたしまするために、今後一層の奨励研究の方法を講じて頂きたいと思うのであります。  第六番目は、租税負担の軽減という問題がございます。この問題はひとり鉱業だけの問題ではございませんが、アメリカでは企業保護の立場から、鉱業に対して税制上いろいろな減税制度が設けられておるのであります。例えば基準量以上の増産分に対しては免税するとか、或いは開発費採鉱費のほうを経費支弁を認めているようであります。然るに我が国では反対に例えば保安のために鉱山に多くのダムを現在作つておるわけであります。例えばこれほ炭鉱で申しまするボタ山と同一のものであります。これに鉱水とか或いは細かな廃滓が出まするので、これを防止いたしまする保安上の見地から極めて莫大な経費をかけて、ここに出て来る滓を貯める設備をいたすわけであります。これは鉱山業者から言えば捨てておいてもいいということも言えるのではないか、保安のために相当莫大な経費々これに投じておるわけであります。従いまして私どものほうから言いまするならば、これは本当の津の処理の仕事でありまして、これを償却資産として固定資産税をかけられるというようなことは是非ともやめて頂きたい。これらの廃滓処理施設構築物の設備、こういうものに対する経費というものは法人税法上、所得税法上損金として認めるというような要望をいたしておるものであります。これは別途に我々としても努力をいたすわけであります。一応業界の希望としてお聞き取りを願いたいのであります。  更に第七は、鉱業資本の蓄積という、こういう問題でありますが、鉱業は地下に埋蔵されておる資源開発して鉱産物生産及び販売する事業でありますが、稼行の対象でありまする埋蔵資源は有限で、減耗性を持つておるのでありまするから、採掘に際しまして鉱量というものは逐次減少し、遂にはなくなるのであります。従いまして、この事業はこの減少部分に対しまする適当な補充手段が講じられなければ、恒久性を失いまして持続できなくなる、この点で他の一般産業とは著しく異なる特性を持つておるのであります。かような鉱業に固有な特性は鉱業損益計算並びに資本の維持につきましても、他の一般産業とは異なる特殊な考慮を必要とするものと思うのであります。若しも他の産業と同様にこれが処理をされますと、鉱業に特有な埋蔵資源の減耗は無視せられまして資源の喪失した事業継続の困難を必然的に惹起しまして鉱業を極めて不安定な状態に置くことになるのであります。鉱業の資本が維持されて事業を継続いたしますためには、採掘によりまして減耗する埋蔵資源の全価値がコストとして回収されなければならないのであります。又特に我が国金属鉱山におきまして顕著に見られるのでありますが、その生産力を維持するためには、採掘によつて減耗した資源の価値に応じた資源が、新たに採鉱とか開発とか、或いは買収によつて可及的、並行的に補填されなければならないのでありまして、少くとも鉱山業経営が継続を一前提とする場つ合には、減耗する埋蔵資源と関連いたしまして新鉱床の発見、開発乃至は買収に要する再投資の必要性が当然に考慮されなければならないのであります。海外の先進国におきましては、これらの鉱業の特性を考慮いたしまして損益計算並びに資本の維持上、一般産業とは異つた措置を採用しております。北米では一九一三年に歳入法が制定されまして以来、埋蔵資源減耗控除額が損金として認められました。これは現在までにいろいろの改正が行われまた結果、販売鉱物山元総価値を基準といたしまして正石油及びガス井戸に対しては二七、五%、硫黄鉱床については二三%、金属鉱山には一五%、炭鉱には一〇%、螢石ボーキサイト鱗状黒鉛、硅石、緑柱石、長石、雲母、滑石、燐鉱、天然アスフアルト加里等には一五%の一定率減耗控除率として適用され、課税上損金として控除される額は営業純益の五〇%か、それよりも少い額を持つております。新鉱床発見開発はだんだん困難なつて参るのであります。その費用は漸増する傾向にありますので、これに要する資金は加速度的に増加しつつあります。鉱業の健全なる発達のためには是非減耗控除制度が必要と考えまして、業界としても一昨年来研究を続けて参つておりまするので、近くその成案を得るということになつておるのであります。従いまして、今後鉱業に関する減耗控除制度というものを地下産業共同の立場におきまして、改めて案を出しまして、当局にもお願いするという考えでございます。  以上要望書の内容を中心にして説明したのでありますが、参院の御当局におきましても、日本の金属鉱業の実態を御考慮下さいまして、いろいろと御指導によりまして、この際我が国の確固たる金属鉱業政策の確立されますよう、偏えに念願をして止まないのであります。以上であります。
  4. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 只今参考人より陳開されました要望意見につきまして、主管庁といたしまして、通産局が現在実施されておること、並びに今後お考えになつておること、そういう点につきまして、御答弁願いたいと思います。
  5. 松田道夫

    政府委員松田道夫君) 本日はこの問題がございますので、私どもの政務次官がおいでになりまして、御答弁されるはずでございましたが、まだちよつと御用事のため遅れますので、恐縮でございますが、私から只今御指摘の通り、今まで通産省でやつておりますこと、更に今後の問題としてどういう考えを持つておるかということを御披露いたしまして、御示教を受けますと同時に、更にお智慧をお借りいたしまして、特に来年度予算期も控えております折柄、勉強さして頂きたいと思います。  鉱山実態の推移につきましては、只今会長からお述べになりました通りでございますし、又鉱山業日本経済にとりましての必要性、更にそれに処しての鉱業政策をこの際確立すべきであるという御意見は私ども全く同感でございまして、改めて申上げるまでもないと存じます。いろいろ項目をお挙げになりましてお話がございましたので、その項目の順を追つて、先ほど申上げましたように私どもが最近やつておりますこと、更に今後やりたいと考えておりますことの概要お話申上げたいと思います。  第一は、金の問題でございますが、これはこの委員会でも数回申上げたと思いますが、多少陳腐になろうかと思いますけれども、すでに閣議の御決定を頂きまして、探鉱奨励金交付だとか、或いは選鉱場、或いは精錬所の復旧の問題、或いは鉱石運賃の割引、法人税所得税免除産金用の物品につきましての輸入税免除、こういうふうなことは今まで実施して来ておりますが、何と申しましても、この価格問題が一番大きな要素になりますので、これもいろいろ考えましたわけでございますが、幸い今度の国会で貴金属管理法の御改正を得ましたので、加工用金販売自由販売と申しますか、これをお認め願いまして、最近加工用金販売価格につきまして、法律上大蔵大臣がこれを定めるということになつておりまして、大蔵当局で一グラム当り五百十五円という値段にきまつたのでございます。勿論金の生産費その他から見ますと、この価格で到底採算のとれようはずもございませんが、法律の条文によりますと、消費者事情生産者事情、更には又国際価格、こういう事情考え大蔵大臣がこれをきめるということになつております関係上、産金業者立場というものもございますけれども、一応五百十五円ということにきまつたわけでございます。これももう少し早く解決すべきでありましようし、更には又より高い値段できめることもございましようが、通貨支払手段という金の特性もございましようし、更には又国際通貨基金加入の問題もございまして、いろいろの事情がございまして遅れましたわけでございますが、ようようそういう段階まで到達いたしたわけでございます。そこで価格はきまりましたけれども、金の採算回春考えますと、何とかして、より以上の手取増加という点を考えなければならないわけでございまして、私ども只今大蔵省にお願いいたしております点は、この加工用金販売が先ほど会長からは確か六割か云云というお話がございましたが、大蔵省にお願いいたしておりますのは、できるだけ多く加工用金に出して頂きたい、ただこの最近の期におきまして、大蔵省加工用金に廻して下すつた数字は、余り多くはございませんが、これは従来抑えられて来ておつた関係と、申請者の状況その他からきまつたことと思いますので、この次の期以後、これの増加を特にお願いいたしておる次第でございます。最近は確か国内万年筆用は附加えて頂いたと存じますが、まだまだ品目の点、その品目につきましても、数量の点で私ども十分とは思いませんので、この増加をお願いいたしておる次第でございます。  それから探鉱奨励金でございますが、これも私はこの委員会で金額が少いということでお叱りを受けたことを記憶いたしておりますが、そのときに申上げましたように、残念ながら本年度は昨年よりも二千万円殖えまして八千万円でございますが、これは六トンの生産があるというふうにいたしますと、グラム当りにして十三円という低額でございますので、この面を特にこの価格のきまりました際に補正予算が組まれれば、そのときにも大蔵省のほうにお願いしてみようというつもりでございますし、又来年度予算でこの増加についてお願いしたいというふうに考えておる次第でございます。  それから鉱山道路の問題でございますが、鉱山道路必要性も先ほどのお話通りでございまして、これが鉱山開発のために必要なものでありながら、多額の資金を融資しますために、一つの隘路になつておるというのは事実でございます。この点につきましては、本年度町村道路につきましては公共事業費予算の枠の中で約一億三千七百万円ほど助成金を出して頂くことに建設省と話を進めておるわけでございますが、これによりまして恩恵を蒙むると申しますか、関連のある鉱山は百十四、五だと思います。そのくらいなものがこれによつて恩恵を蒙むる結果になると思います。更に又合理化促進法重要産業補助施設助成金、これは特別な枠を設定して頂けないであろうかということで、これもお願いいたしたいというふうに考えております。  それから鉱山地帯鉄道新線開通促進の問題でございますが、これは運輸省へお願いしなければなりません関係もございますので、運輸省だとか、鉄道建設審議会というふうなところへ今までも連絡をいたしておりますし、更に一段とこの連絡によりましてその実現を図つて行きたいというふうに考えております。  それから新鉱床探査促進でございますが、これも先ほどお話通り、私どもといたしましても、鉱山活動として不可欠なものであるというふうに考えております点は全く同じでございます。この探鉱奨励金の問題でございますが、二十七年度は二千三百万円の予算を頂きまして、これの配分につきましていろいろ検討を加えたわけでございますが、主として中小鉱山中心といたしまして、約百鉱山くらいなところへお出しできるような段取でございます。この点につきまして、今後の問題でございますが、勿論この二千三百万円では私どもとしても十分と思いませんので、これも来年度予算にからむ問題ではございますが、これの増額をお願いいたしたいという点と、更にその交付の方針につきまして、只今申上げましたように、できるだけ中小鉱山を重点的に考えるという点と、更に探鉱の容易な所とむずかしい所とございますので、補助金交付率というものにつきましても段階をつけてみたいというふうな考えで、大蔵省に折衝いたしたいと考えております。  それから中小鉱山育成の問題でございますが、これの方法の問題でございますが、これも只今申しましたように、探鉱奨励金交付先は主として重点を中小鉱業に本年度置いて出したという点でございます。それから、これは行政整理その他で人員も不足いたし、旅費も十分ではございませんが、中小鉱山の悩みの一つ技術の面があろうかというふうに考えますので、通産局或いは地質調査所、この辺の技術者等が具体的に中小鉱山へ臨みまして、測量その他或いは技術面でお役に立つ点があるならば、御指導申上げるというふうなことも考えて行く。それから機械類貸与制度によつて鉱山開発促進処理すべきではないかという点でございますが、これも予算を伴う問題でもございますし、実は本年度も私どもといたしましては予算の要求には組んで出したわけでございますが、不幸にして実現を見ませんで今日に至つておりますが、この点につきましても更に私ども研究さして頂いて、来年度予算編成の際に十分考えてみたいというふうに考えております。それから中小鉱山のもう一つの悩みの点は、只今お話通り金融の面でございます。この点も中小鉱山実態を更に一段と検討しまして、その結果が金融機関にも十分御理解が願えることが先ず解決の第一歩ではなかろうかというふうに考えております。従つてこの点につきましては、業界のかたがたの御協力をお願いいたしまして、そのように努めて参りたい。更に又現実の融資問題が起つておりまする場合には、微力ながら御斡旋の面につきましても努力をいたして参りたいというふうにも考えております。それから開発銀行等につきましても本年度も枠がございまして、その点に具体的な問題として硫黄だとか、或いはタングステン、こういう中小鉱山については融資方をお願い中でございます。それから政府資金市中銀行その他に預託する場合において、中小鉱山金融の枠を設けて紐付融資をやる制度を作るようにということが御要望の中に出ておりますが、この点につきまして考えてみますと、具体的に融資をいたします場合の方法論の問題でございますけれども、普通の一般中小企業のように組合組織がございませんので、このまだ組織化されていない今日、この具体的な方法について更に努力して研究をいたしまして、この制度の御要望がどういうふうな恰好で実現できるかという点も勉強さして頂きたいと思つております。  それから民間鉱業の試験研究の助長でございますが、これも本年度資源庁で頂きました予算ですでに決定いたしましたが、普通の試験研究費は十三件、金額にいたしまして九百七十万円を出すことにきまつたわけでございます。それから予算の枠は工業技術庁についておりますが、いわゆる工業化試験の助成金がございますので、その中から鉱山関係のものにつきまして四件、三千七百万円が交付されることにきまつたわけでございます。この点につきましても、試験研究必要性は当然なことでございますので、来年度予算につきましても増額をお願いしたいという点は当然なことだと思います。  それから租税負担の軽減の問題でございますが、金につきまして先ほど法人税所得税或いは輸入税免除等の措置が行われておることは申上げた通りでございます。そのほかにタングステンだとかモリブデン、或いはコバルト、耐火粘土、ニツケル、金属チタン、こういうものが重要物資として指定されまして、法人税所得税の減免が実施されておるわけでございます。今後の問題といたしまして、鉱山用のダム等の施設について法人税所得税法上の措置を考えるようにという点でございますが、今まで実施されております一つの問題は、償却年限が鉱山用の廃石捨場につきましては五年というふうにきめられております。これをほかのものに比べてみますと、貯水池で申しますと、コンクリート造りのものでございますが、貯水池につきましては償却年限四十年それから堤防につきましては三十年下水道につきましては十五年、こういうふうな中に挟まりまして、鉱業用の廃石捨場につきましては短期償却五年というのが認められておるという実情でございますが、お話の点もございますし、ただこれは税法一般の建前の問題にもなろうかというふうに考えますので、この点も十分大蔵省と相談いたしたいと思います。  それから最後に鉱業資本蓄積制度の確立という点でございます。これはいわゆる減耗控除の問題でございまして、只今お話が出ましたように外国でもやつておりますし、更に協会でも御研究になり、私どものほうでも勉強させてもらつております。これは鉱業の基本政策として誠に重要な問題でございます。これも税法上の問題といたしまして、石炭鉱業等にも関連がございましようし、広汎な関連を持つ問題でございますので、只今会長も更に十分検討をしたいというお話でございましたが、私どものほうもこれについて十分研究をさして頂きたいというふうに考えております。  大体以上の通りで、大ざつぱに今までやつておりますこと、更に今後やりたいと思いますことについて御説明したつもりでございます。
  6. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) では参考人並びに政府当局に対しまして、委員各位から御質問をお願いしたいと思います。ありませんか……。
  7. 西田隆男

    ○西田隆男君 この資料を見ますと、一番最後ですか、今度の法律が通つたあとの買上げの総平均四百四十二円で、生産費と大部かけ離れた金額になつておるようですが、これは純粋な金だけのあれで計算したので、あとはほかに取れるようなやつは別に何か取つてあるのですか、何もかも一切出て来るやつを鉱業上全体のバランスではこうなつているのですか。
  8. 羽仁路之

    参考人羽仁路之君) 金だけの計算ですよ。
  9. 西田隆男

    ○西田隆男君 金だけですか。
  10. 羽仁路之

    参考人羽仁路之君) ええ、銀が一諸に出る場合も金に換算してあるのです。結局まあ生きるためにはいいところだけ堀つて山の生命を縮めて行く、そのまま品位のいいところだけを堀つて山の生命を早く縮めるということになるのです。
  11. 西田隆男

    ○西田隆男君 生産の原価を見てみますと、高いのは九百二十八円、安いのは六百七十円程度ですね、二百四、下十円から五、六百円程度に赤が出るのですね。
  12. 羽仁路之

    参考人羽仁路之君) 五割以上になるわけです。
  13. 西田隆男

    ○西田隆男君 そうすると、鉱山局長に聞きますが、こんなに赤が出ているのを通産省の鉱山局ではじつと見ておるのですか。
  14. 松田道夫

    政府委員松田道夫君) 今度の価格改正の問題でございますが、これも通産省といたしましては、もう少し高額にきめて頂くことも考えましたが、ただ消費者の面の御要望も実はこの委員会でも承わつた記憶がございますが、例えば陶磁器事業とか、いろんな面がございますので、この点はできるだけ……というふうなお話もございました。それで大蔵省のほうへ私どもとしてはもう少し高くきめて頂くことをお願いしたわけでございますけれども、先ほど申しましたように、国際関係、為替関係消費者関係等で五百十五円ということにやむなぐきまつたわけでございますが、それで私どもといたしましては、大蔵省のほうへ、先ほどもちよつと申上げたと思いますが、加工用金の増額の問題と、それから赤字が出ますので、赤字を全部国で埋めるということができるかどうか、又理論的にいいかどうか、いろいろ余地がございましようが、大蔵省のほうへ今度価格がきまりましたにつきまして、でき得べくんば補正予算等でその差額につきまして考慮して頂きたいということを実は文書を以てお願しております。これが補正予算の際に実現できますかどうか問題ではございますけれども、そういうことを大蔵省にお願しておるという点をお汲み取り願いたいと思います。それから例の、例のと申しますか、只今申しましたように、税法上の減免措置も講じ、その他に電力の割当、これが火力料金を含めますと、大分違いますので、金につきましては、特に公益事業委員会のほうにもお願いをして割当の増加実現をしておるわけでございますが、問題は価格一本で解決できない問題でございますので、あれやこれやちよつと寄せ物扱いだというふうな恰好になりますが、いろいろな画から少しすつ助成をして行きたいという恰好をとつて来ておるわけでございます。ただ財政上の理由その他でこれを全部埋められないという現状にありますことは、私ども決してよろしいというふうにも考えておりませんし、又これ、たけで努力か十分だというふうには考えておりませんが、予算のきまりました今日、次に来ります補正予算、或いは来年度予算でお願いをする、それ以前にできます措置につきましては、只今申上げましたように、行政措置で電力の割当、その他についてできるだけのことをさして頂きたいという実情でございます。
  15. 西田隆男

    ○西田隆男君 この書類の中にも内容は非常に激烈な内容で文章を書いてありますが、これは無理ないと思うのです。企業をやつていて五割の生産費も償えないというのじやこれは赤字じやない。赤字というのはまあ一割とか五分とか三分とかというのれ企業赤字であつて、五割以下の価格で耐えられないということは、国が何とかしてやらなければならんという建前で考えられなくてはならないのであつて、実際は赤字じやないと私は思うんです。而もこの前も、今も御説明なつたように補助金は、探鉱補助金ですが、八千万円、二千万円殖やして八千万円ですよ、これを見てみると三億何千万円と書いてある。これを二十八年度では予算で幾らくらいあなた取るつもりですか、そういうふうにいろいろな方面から多角的に補助、援助、助成をしなければこの企業は成立たないと思う。これを通産省としてはどういう方面でどれだけの金額をとり、どういう方面でどれだけの減税をし、結局鉱業は成立つて行くようなバランスのとれるようなことを二十八年度予算でお考えになつておるか、きまつておりませんかどうか、具体的に話して下さい。
  16. 松田道夫

    政府委員松田道夫君) 探鉱奨励金の増額の問題というふうに考えましてお答え申上げます。本年度八千万円、これは誠に少い金額でございます。こういう赤字と申しますと又あれですが、経営難に処しまして、探鉱活動が金山でどこまで行われるかという問題もございましようが、一応私どもが本年度行われるであろうというふうに聞いておりますものは、坑道、例えば五万二千米とかという御計画があるようですが、これに全額補助という恰好にいたしますと、全額補助の補助金制度がいいかどうか、批判もございましようが、一応全額といたしまして全額補助されるというふうに考えて計算いたしますと、約五億くらいの数字が出るとして、そこでこれをそつくりそのままこの次の補正予算実現できるかどうか、私ちよつと申上げかねますけれども大蔵省のほうへお願いしております数字はそういう数字であります。
  17. 西田隆男

    ○西田隆男君 この前の補助金は幾ら要請して八千万円になつているのですか。
  18. 松田道夫

    政府委員松田道夫君) 今年度予算に要求いたしましたのは、たしか三億五千万円くらいだと思います。
  19. 西田隆男

    ○西田隆男君 羽仁さんに伺いますが、これにいろいろ要望事項が書いてございますね、この要望事項のすべてを仮に政府が容れますと、そうするとあなたがたのふところ工合はどうなりますか。
  20. 羽仁路之

    参考人羽仁路之君) 大体ここに要望いたしましたところで八割程度の見通しなんです。
  21. 西田隆男

    ○西田隆男君 八割程ですか、鉱山局長もう少し何とかしてやらなければいかんですね。
  22. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 関連してちよつとお尋ねいたしますが、探鉱奨励金というのは、これからの鉱山継続のための云々ということになると思うのですが、先ほどの御説明国内消費分を増加するというお話、それから赤字について二百四十円くらいですか、その赤字について云々というお話ですが、その辺についてはどういう具体的な数字を以て折衝しておられますのか、その辺ちよつと承わりたい。
  23. 松田道夫

    政府委員松田道夫君) 只今お話の点恐縮ですが、もう一度ちよつと。
  24. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 一点は国内消費分と言いますか、政府買上げでなくて、その率を上げても今のところ四〇%ですか、それをどのくらいにということで折衝しておられるのか。それから赤字の差額二百四十円くらいですか、それを奨励金ということで大蔵省に折衝しておるとこういうお話のようでありましたが、今御答弁になつているのは探鉱奨励金で、この赤字についてさつきのお話では全部埋めるように折衝中だ、こういうように聞いたんですが、その総額についてどのくらいになるのか。
  25. 松田道夫

    政府委員松田道夫君) わかりました。加工用金のパーセンテイジでございますが、抽象的でございますけれども、できるだけ多くということで、一応生産量の六〇%を加工用に出すようにというのが業界からの希望でございますが、これも六〇%と私どもとしましては初めからきめてしまう必要はないではないか、加工用の金の需要の問題等から考えるべきで、少くとも六〇%は必要かと思いますが、これも毎期々々六〇%になるか、或いは年間を通じまして六〇%になるか、いろいろ方法論がございましようが、それが殖えますことは、只今のあれで四百一円で買上げられるものが、五百四円ということになりますので、百三円儲かりますので、この差額で加工用に廻わされた数量を掛けたものが業者として赤字の減少になつて現われて来るというふうに考えます。  それから探鉱奨励金でございますが、これも探鉱奨励金だけで全部の赤は埋まることはちよつと無理ではなかろうかというふうに考えます。と申しますのは、余り儲からない仕事探鉱奨励金をやられるというふうにも考えられませんので、一応現在鉱山のほうで御計画になつております探鉱計画。これを金額補助というふうに計算いたしましても、只今申上げましたように、約五億ぐらいになります。今度この値上で四割加工用にいたしますと、約三億ほど赤が埋ります。それでまだ六、七億くらいのマイナスになりますので、探鉱奨励金を全額出しても五億あとまだ差額が出るわけでございます。そこで探鉱奨励金だけで埋めるわけにも参りませんので、実は本年度予算につきましても、企業補助という性格を帯びた国の助成措置ということも考えないではなかつたわけでございます。ただ御承知通り通貨基金に日本が入ります関係上、端的な企業補助という制度そのものはむずかしくはなかろうかという点もございまして、差当りつております国の助成探鉱奨励金一本で進んでおる、こういう事情にございます。ただ通貨基金に入りましたのちに、ほかの国々で許されておる範囲内のことにつきましては、我々としても実現できるようにやつて行きたい、こういうふうに考えております。
  26. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 私ちよつと誤解をしたのですが、この二百四十円余りのものについては、これをそのまま補助するというお考えでなくて、探鉱奨励金という形でやる、こういうお話ですか。
  27. 松田道夫

    政府委員松田道夫君) そうでございます。
  28. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 そうすると、この金額についてはもうほかに方法はない、さつきの加工用金に廻す以外には……。
  29. 松田道夫

    政府委員松田道夫君) 差当つての措置といたしましては、加工用金大蔵省から出して行くということは、これは来年度を待たず、予算措置を待たず、行政措置としてできますので、これを早急にやつて頂きたいということと、それから探鉱奨励金の総額の問題は、補正予算がどういう恰好で組まれますか、まだはつきりいたしませんが、そういう補正予算のチヤンスには考えて頂きたいということを大蔵省に折衝しておるというのが現状でございますが、これからの問題といたしましては、例の通貨基金に入りましたのち、各国で許されておる程度のものについて実現方をお願いしてみたいということで、これはまだ具体的にきまつておらないという現状でございます。
  30. 西田隆男

    ○西田隆男君 羽仁さんにもう一遍聞きますが、数々は産金業者を呼んで聞いたときには、金の買上価格が六百円ぐらいになれば、何とかやつて行けるというような意見が多かつたのですけれども、これで見ると六百円じやまだいかん、相当生産原価が上つておるようですが、その後の情勢の変化で上つたのですか、どうですか。
  31. 羽仁路之

    参考人羽仁路之君) 今の問題ですが、結局数々としては六百円以上かかるわけです。我々としてはその後の情勢、まあ賃金も上りましたし、現実にその当時よりも無論上つておるわけですが、私どもとして今要求しますところは、少くとも六百円内外の線までは持つて行きたい、そうすればあとは企業努力もありますし、結局山の生命を縮めるのですが、といつて国家の御厄介になるばかりは考えておらんのですが、何しろ強制に買上げられるのですからね、買上げられてその値段がこれはアメリカの買上政策が三十五ドルに釘付けになつておるために動かないわけですから、世界の産金業者が全部値上げ制限をしておるわけです。アメリカ政策が変らんものですから、政府の買上価格を上げろというわけには現実には行かんのですけれども、その他の探鉱奨励金とか何とかいう形で是非とも要望したいわけなのです。
  32. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) ちよつと私から羽仁さんに伺うわけですが、結局現在では百万分の七だというと、相当赤字がある。それから百万分の十ぐらいのやつで今おやりになつておると、そうするというとだんだん炭鉱が悪くなつてしまうから、今のうちに早くやらなければいけないということと、それからそういう炭鉱は非常に少い、それからほかの貧弱鉱山が、金の含有量の少いところはだんだん廃山になつてしまう、だからそれを助けるためにはもう少し何か考えなければいかんということになるのですか。
  33. 羽仁路之

    参考人羽仁路之君) それは七グラムというのは一応の標準でございますが、七グラム以上の鉱山というのは極く少数しかないわけですね。ですからやはり一応の基準としては七グラム、それから止むを得ざれば八グラムというところまで行きますが、十グラムとか、十グラム超すというものは極く少数しかないのです。で鉱量の豊富な所は恐らく特殊の小さな山で、普通大規模にやつておる所はその程度ですから、だからやはりこれを維持できるということが鉱山継続する基本になると思うのです。
  34. 吉田法晴

    ○吉田法晴君 一つお尋ねいたしますが、これは戦争中に金山について相当整理をして、その後復活をしない、或いは探鉱の規模についても復旧が全体としてしていない、それで全体の取扱います数量もあると思うのです。それで皆これから拡張して行く、或いは休止鉱山を云々といつても引合わんものを自己資金で拡張して行くというようなことはなかろう。そういう点で探鉱の面は考えようということですが、拡張して行く資本について特別に考える、こういうまあお考えなり要望というものはないのですか。
  35. 羽仁路之

    参考人羽仁路之君) お答えいたします。現在戦時中非常に産金奨励華やかなりし時代は国内で二十五トンできたのです。戦後はニトン、三トンから始めまして、それから当時政府鉱業政策が発表されて、最近十トン計画というものが出たのですが、業界もその線に沿つてつて来たのでありますが、只今は五トン内外ですね。それが今日マイナスになる金山をこれ以上拡張しようというような考え方ではないのでございます。戦時中やめておりましたが、戦後復活したものも相当ありまするが、それを合せまして大体六トン内外というのが現状なわけであります。少くもその山は維持させて行きたい、こういうつもりでございます。
  36. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) ではこの問題はこの程度で打切りまして、次に進みたいと思います。どうも羽仁さんお暑いところを有難うございました。   —————————————
  37. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) では次に日程の第一に入ります。織物消費税の廃止に伴う特別措置に関する法律案を議題といたしたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  38. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 御異議ないものと認めまして、これを議題といたします。先ず提案の理由を提案者から御説明を願います。境野清雄君。
  39. 境野清雄

    境野清雄君 只今議題となりました織物消費税の廃止に伴う特別措置に関する法律案の提案理由の御説明を申上げます。  いわゆるシヤウプ勧告に基く税制改革の一環といたしまして、昭和二十四年十二月二十七日法律第二百八十五号織物消費税法等を廃止する法律が公布せられ、昭和二十五年一月一日から施行せられたことは周知の通りであります。然るに、織物消費税は、いわゆる庫出税でありました関係上、税法廃止当日における販売業者の手持品についてはその全部、生産業者の手持品についてはその大部分が納税済であつたわけであります。而して、当該業者はその手持品の販売当りましては、年税品の出廻り、又は出廻り期待のため市場の買控えに対処するために、少くとも税額相当の値引を止むなくせられた状態であつたのであります。一方、昭和二十一年九月、絹織物、人絹織物及び毛織物の消費税が、従来の従価一割五分から四割に引上げられました際には、政府は生産業者及び販売業者の手持品、在庫品を厳格に調査いたし、その税差額を徴収して参つたわけであります。税率引上げに際しては、その差額を徴収し、引下げ又は廃止によつて現にそれがために関係業者が莫大な損失をこうむり。相当数の倒産者をも生ぜしめた事態に対して、何らの措置を講じないということは、理論上から申して不合理と申さなければなりません。  殊に、昭和二十五年十一月法律第二百五十二号酒税法の一部を改正する法律の実施により、酒税の税率引下げが行われました際、製造業者及び販売業者の手持品在庫品について、それぞれ既納税額と現行税額との税差額について戻税措置がとられた事例もあり。宙に、昭和二十四年度産米供米報償用として、各都道府県農業会が政府より配給せられた諸物資のうち、綿布、タオル、作業衣等の繊維製品が爾後の市価低落に伴い著しい欠損を来したため、昭和二十五年末より同二十六年初頭にかけて数次に亙り総額五億七千万円を各農業会に補償いたした先例もある次第であります。  従いまして、織物消費税廃止に伴い、その戻税規程も当然廃止と相成りましたため、同法廃止の昭和二十四年十二月三十一日午后零時現在において保有いたしておりました生産業者の既納税、在庫品及び販売業者の税込手持品の税額相当分を損失補てん額として払戻しせんとするものであります。何とぞ慎重御審議の上、御賛同を腸らんことをお願いいたします。
  40. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 只今提案理由を提案者から述べられましたが、この取扱につきまして、委員各位の御意見を承わりたいと思います。
  41. 中川以良

    ○中川以良君 只今提案理由を伺いました本法律案につきましては、本国会はすでに余日少いことでございますので、継続審議にいたしまして、来国会において引続きこれを審議をするというようなことにお取計い願いたいと思います。
  42. 島清

    ○島清君 中川委員の御提案それは至極尤もだと思います。併しながら今提案理由の説明をちらつと伺つたばかりで質疑応答にも入らずに、すぐ継続審査に廻すということは、私は議員の職責を十分に果したものと言い得るかどうかということについて疑いなきを得ないのであります。而もこれが議員の提出法案である場合において、なお私はそういうことに慎重でなければならないと思うのであります。そういう意味におきまして、明日も明後日も会期はあることでございまするから、明日も明後日も午前十時あたりから午後の十二時頃まで頑張つて勉強してみても、なお且つ審議が尽せないというならば、継続審議に廻すことに異存はございませんが、そういうような意味であと二日はかり審議をしてみたい、こういう意見です。
  43. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) ほかに御意見はありませんか……ではほかに御意見がなければ、委員長にその取扱を御一任願いたいと思いますが、如何ですか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  44. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) よく理事のかたがたと御相談いたしまして取扱に慎重を期します。さよう御了承願います。   —————————————
  45. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 次に改正競輪法の施行状況に関する件並びに水質汚濁防止に関する件について島委員より質問の通告がありましたので、通商及び産業一般に関する調査の一環としまして、これを議題といたしたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  46. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 御異議ないものと認めまして、さよう取計らいます。島君。
  47. 島清

    ○島清君 どうもこういう問題が出て参りますと、皆様がたに御質問を申上げる前に、時間的なお付き合をお願いを申上げておかなければならないと思いますが、併し五時からは折角委員長主催の懇談会もあることでございますし、あと二時間はたつぷりあるわけでございますから、一応まあ今期国会における通産委員会の同僚委員としてのお付き合いはあと二日しかございませんので、暑い中で大変恐縮でございますが、お付き合いを頂きたい。そういう意味で前以てお願いを申上げておいて、それから質問をいたしたいと思いますが、私はこの問題について大臣、次官並びに局長、それから車両部長、車両課長等の関係者を全部お願いしてありましたが、大臣、次官は見えていないようですが、どんな事情つたのでしようか。
  48. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) ちよつと速記をやめて。    〔速記中止〕
  49. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 速記を始めて下さい。
  50. 島清

    ○島清君 それでは競輪全般のことについてお伺いしたいと思つておりましたが、吉岡君一人でございまするならば、吉岡君は競輪小委員会で非常に問題になりました選手の問題だけに局限をしてお聞きいたしまして、更に又それと関連をする競輪全般の問題についてお聞きしたいと思いますが、何を申上げましても競輪法の改正に私たちが取組みました場合には、嘘も隠しもなくして選手問題の改善ということが大きな問題となつて取上げられたわけでありまして、これが法制化が時期尚早であるということで、法制に代るような改善策を通産省当局は誠意を以てこれをやると、こういう返答であつたのでありまするが、併しながら競輪法の実施を見ましてから今日まで、私は吉岡君がこの委員会で答弁をされたことが何一つとして実行されてない。又実行の形式的な形はとられつつあるのであるが、これは、ここで問題の改善ということについて論議されたものとは大よそ反対の裏腹の問題において論議されておるというふうに見るのであります。従いまして、これが私の見方の誤りであるかどうか、こういう問題について実施後我々と約束をしたことについて、通産当局はどういう処置等を以て臨んで来たかを説明願いたい。
  51. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) 競輪法の改正につきましては、特に当委員会の一方ならぬお世話に相成りましたので、この機会に厚くお札を申上げておきたいと思います。  で、衆議院のほうが六月の二十六日に、本会議で通過成立を見ましたので、その翌日全国の各施行者、振興会、それから選手会のかたを招集いたしまして、改正法の説明会をいたしました。特に只今御指摘になりました選手の関係につきましては、当委員会における御意見を十分に伝えまして、その取扱に間違いのないようにということを指示いたしておいたつもりでございます。それからその後特に国会におきまして、至急に改正法を施行すべきであるというようなお話もございましたので、二十六日から非常に準備の期間も不十分であつたのでございますが、施行規則等の準備をいたしまして、今月の一日から施行になつております。で施行と同時に直ちに関東、中部、近畿、九州というような地区に私車両課長とその他関係官と手分けをいたしまして、改正法の趣旨の説明をいたして参つております。で御指摘の選手の問題につきましては、今月の十七日附を以ちまして、登録競輪選手の取扱についてという通牒を各施行者、振興会並びに選手団体に出しております。その内容の要点を申上げますと、この選手の取扱については、自転車競技法の改正を契機として種々検討を重ねて来たが、本件については差当り別紙の措置要領によつてその具体化を図ることといたしたいから、関係各方面と連絡の上、選手の取扱の改善に遺憾なきを期せられたい、なお本件の趣旨、経緯等については、自転車競技法の改正に関する国会議事録等によつて承知せられたい、こういう前文をつけまして、内容といたしましては、第一に、選手制度改善委員会の設置、これは中央並びに各通産局の管区ごとに地方の委員会と二種類を設けることにいたしまして、施行者、振興会、選手側三者の代表者を以て現行制度の再検討及びその改善に関する具体策の樹立を図るということにいたしております。それから中央、地方の委員会の審議事項並びに議事の経過は、その都度お互いに通報し合うということにいたしております。で中央におきましては、実は只今も私の部屋で開いておるのでございますが、両三回に亙りましてこれを開きまして、第一回はこの改善委員会の規定、それからどういう委員を各分野から出すかというようなことをお話合いをいたしました。第二回は只今説明しております選手制度の改善についての通牒の案を付議いたしまして、これを決定をいたしております。本日やつておりますのは、この委員会におきましても御意見のありました災害補償の問題、それから選手の配分の問題、それからいわゆる十五連敗の場合の登録取消の問題、この三つを議題にして只今審議を願つております。下災害補償の問題につきましては、施行者並びに振興会側のこれは正式の議決機関にはかけておりませんが、理事者側において作りました試案を基礎にいたしまして、只今選手側を入れまして審議をして頂いておるわけであります。  それから配分の問題につきましては、現在の配分におきましては、施行者の希望等を中心にして選手の配分をきめておるわけでございますが、これはフアンの希望に副い、又売上を増加させるという面から申しますと、こういう点を考えざるを得ないのでございますが、一面選手の出走回数に非常な不均衡のできますことは、選手の生活問題等の関係もございますので、これを或る程度の限度に緩和するという趣旨におきましてお話合いを願つておるわけでございます。それから十五連敗の場合の登録の取消の問題につきましては、従来は十五連敗いたしますと、当然に取消をされるということになつてつたのでございますが、この点につきましては、十五連敗いたしました選手については、もう一度審査をする。これによりまして、その競走のタイムが著しく不良でありまして、選手として競走に出ることが適当でないというような場合には止むを得ないかと思いますが、十五連敗のみを以て取消をするという制度は再検討しよう、こういうような趣旨におきまして、只今審議をして頂いておるわけでございます。それから地方の状況は、先ほど申しましたようにこの通牒を出して、その後ブロツク別に説明会をいたしまして、成るべく速かにこれを開いてもらうということにいたしております。地方のことは十分まだ実情もわからないのでございますが、関東地区におきましては、東京通産局主催の下に先日第一回の準備会を開いて頂きまして、近く正式の委員会が発足するというように報告を受けております。選手制度改善委員会につきましては以上の通りでございます。  その次に災害補償制度の改善、この点につきましては、至急に施行者及び振興会の負担による補償制度の確立及び補償額の引上げを行うと共に、参加外の練習中の災害についても、これに対する補償制度を考究する、こういうことになつておりまして、内容といたしましては、只今申上げましたように、本日改善委員会において審議をして頂いておる次第でございます。  それから第三に選手会に対する措置でございまして、選手会が民法の規定により設立認可申請を行う場合には公益法人の設立認可に関する一般基準に照らし好意的に処理することとする、なお、各地方における選手会又はその支部の強化を図ると共に、先ほど申上げました地方委員会等を通じて施行者及び振興会と常時意見の交換を行わしめ、全選手の意向が的確に反映するよう、その健全な発達を助成する。以上が通牒の内容でございまして、これに中央の改善委員会の規定と、それから地方における改善委員会の規定の例というものを加えまして通牒しておる次第でございます。  それから中央の選手会につきましては、先般東京において創立総会を開かれました日本競輪選手会からの設立認可申請の書類が出て来ております。これにつきまして、今月の十六日にこの公益法人の認可を所管しております通産省内の企業局の担当官と打合せをいたしまして、内容について法律の規定上不備と思われます点を御指示いたしまして、これを補正をして更にお出しを願うという扱いにいたしております。ただ、率直に申上げまして、この申請されました書類を作り上げましたのが本年のたしか四、五月頃であつたかと思いますので、その際には法律の中に規定を入れて、自転車競技法に基く特別のまあ法人組織というふうなお考え方もあつたのではないかと思いますので、民法による社団法人の創立総会という観点からいたしますと、若干手続的に不備な点があるように見えるわけでございます。それらの点は先ほど申しましたように、これを所管しております企業局の担当官等と打合せをいたしまして、一般の例に照らして不備の点を選手側のかたにお話をいたしまして、これを補正して頂く、こういうようにいたしておる次第でございます。大体選手関係の主な点といたしましては以上でございます。  なお、ついででございますが、特に法律改正によりまして、御承知の呑み屋と称しますか、車券取継業が違法であるということがはつきりいたしましたので、特にこれが非常に盛んでありました近畿地区におきましても、呑み屋は一齊に少くとも表面上は姿を消しておる。今月に入りまして開催されました大阪の競輪におきましても、原因はそれだけかどうかははつきりいたしませんが、売上が二、三割殖えたというようなことで、施行者のほうも非常に喜んでおります。なお、東京地区等におきましても、警視庁が非常に積極的にこれの取締をやつて頂きまして、これらの面におきまして、改正法が現実にその効果を発揮しておるということを併せて申上げまして、御報告にしたいと思います。
  52. 島清

    ○島清君 今の吉岡君の答弁の中で、地方の選手団体のことを選手会と呼び、中央のほうを選手側とこういうような使い分けをしておつたようですが、大体委員会のほうで選手会というものを作らして、それを育成し許可しなければならないという趣旨は、中央に選手会を作らさなきやならない、これには年が若くて弱体で時期は早過ぎると、こういうような通産省側と連台会側のほうの意見があつたけれども、併し結論としては選手会というものを結成させてこれを育成しなけりやならないということにあつたと思うのです。それにもかかわらず中央のこの選手会を否定をして、更に地方側の選手会をこれを選手会であると認めて、非常に選手会の力の分散、弱体化をむしろ狙つて、それを故意に指導しておるように見えて仕方がないのですが、これはどうなんですか。
  53. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) 只今申しましたように中央における日本競輪選手会につきましては、これを認可するという方針の下に現在お話合いをしておるわけでございます。それから地方におきましては、先ほどの通牒で書きましたように、各地方における選手会又はその支部ということになつておりますので、これは選手のかたが自主的に地方に選手会、単位団体を作り、中央にその連合会を置くか乃至は中央に一本の選手会を置いて地方に支部を置くか、これは選手側でお考えになつて然るべきことであると考えられましたので、通牒にはそういう字句を使つております。ただ併し多数の選手でありますので、単一の団体の場合には全体の選手の意向がその中央の選手会に反映するように支部の強化を図つてもらいたいということはかねてから私ども考えとして申上げておつたようなつもりでございます。ただ実は先ほどもちよつと申上げましたように、この日本競輪選手会の申請につきまして、いろいろ民法の規定等を調べてみたわけでございますが、現在の申請書によりますと、日本競輪選手会におきましては、代議員会という制度を作りまして、これに対していわば総会に代るべき権限りを持たせる、こういう定款の規定になつておるのでございます。ところがいろいろ民法の規定を調べますと、どうしても総会でなければ決定できないという議事がございますので、そうなりますと、この五千数百名のかたがたの総会を開くということはまあ始んど不可能に近いという状況もございます。勿論委任状等によつてやることは可能でありますけれども、内容的に申しまして、やはり中央の総会に全体の選手の意向が的確に反映するというためには或る程度地方単位に作りまして、中央にはその連合会を作る、こういう形がこの選手の数とか移動の状況、並びに総会招集の便宜等から考えまして、適当ではないかというふうに考えられますので、この点につきましては十分考えてもらいたい、こういうことは申しております。ただ日本競輪選手会といたされましても、すでに総会を開いて団体を作るということの方針をきめられましたいきさつもありますので、それと同時に地方の選手会というものは実はまだできておらないわけでございますので、差当り選手の代表機関として日本競輪選手会を作りたいということであれば、これは先ほど申しましたように設立認可をいたしたい、こういう方向へ進んでおるわけでございますが、将来の問題といたしましては、率直に申上げまして、やはりブロツク別なり、或いは府県別の団体を作つたほうがいいのではないかということはお話合いはいたしております。併しこれは飽くまで選手自身がお考え願うことでありますので、私どもとして必ずそうしろということは申上げておりませんが、併し選手会のほうでも実はそういうお考えもあつたのだというお話もありますので、私どもといたしましては、そういう形になればなお適当ではないか、こういうことを考えておる次第でございます。
  54. 島清

    ○島清君 いや、私が吉岡君に聞いておるのは、委員会の議論の経過から見ても、君たちは競輪選手会は時期が早過ぎる、こういう議論はあつたけれども、併しながら選手の要望もあり、又私たちの議論の経過からしても、これは結論として選手会は結成させて、そうして大いに応援をしなければならないと、こういうような進み方で来たとは私は思うが、そうなれば中央の選手会は一応作つて支部ということが、地方ということが考えられると思うが、諸君は中央の選手会を否定して、できもしないような地方の選手会を認めておる。これは君たちの出しておる通牒にもある。中央のものを選手側と呼び、地方を選手会と呼んでおる。諸君はそういう呼び方をして、そして連合会と諸君とつうつうと何でも通ずる。連合会は諸君の改正法案の説明会のその日に、すぐ選手会はかくあらねばならないということで、中央の選手会を否定して、各地方選手会を結成しなければならないという定款例を六月二十五日附で出しておる。それで連合会はまあこれは民間団体であるし、賭博をやるところの胴元であるから、それはまあ博打うちの人情としてこのくらいのことはあり得るであらうということを我々は了解しないわけでもないんですが、併し通産省が議会で、委員会で問題になつておる方向に決定付けられておる問題をそれを否定して連合会と裏肚で、つうつうで定款例まで出させて……、そういうことが諸君の出しておりまするところの通達に現われておるということを私は質問しておるわけです。なぜそういう形をとるか。
  55. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) 先ほど申上げましたように、日本競輪選手会の認可を否定する考えは毛頭持つておらないわけでございますので、その点は御了承頂きたいと思います。
  56. 島清

    ○島清君 いやいや、ここに書いているのを否定するとかしないとかいう問題ではなくて、なぜ地方は選手会と呼び中央は選手側と呼ぶかということです。どういうわけです。
  57. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) この改善委員会の代表といたしましては、中央地方を通じまして選手側という言葉を使つております。それから地方のほうにつきましては、各地方における選手会又はその支部ということにいたしておりますので、選手会は現在その法人化されたものができておるわけでもございませんし、必ず支部を作らなければ認めないという考えは持つておりませんので、この点はさように御了承を願いたいと思います。
  58. 島清

    ○島清君 了解できないから私は何遍も聞くんだが、君らが出しておるところの、これは何と言いますか、局長通牒か、これによると各地方による選手会又はその支部の強化を図ると共に、ということがある。ところが地方の選手会についてはどこまでも選手会という言葉を使つておる。選手側三者の代表を以て云々と書いてある。会というのを使うならば、委員会のほうでも中央に選手会を作らなければならないということが議論の対象になつて、そういう趣向に進んで来た。それならば委員会で議論になつて、その方向付けられておる方向に基いて、中央を選手会と呼び、地方を選手側と呼んでもいいわけですが、逆に地方のほうを選手会と呼び、中央を選手側と呼んでおるのはどういうわけかと聞いておる。
  59. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  60. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 速記を始めて下さい。
  61. 島清

    ○島清君 そこで私は吉岡君に聞きたいのは、成るほど通産省の少くとも君あたりは連合会とつうつうなんだ。そこで止むを得ずに委員会における議論においてはこれに承服をせざるを得ないというような立場をとらざるを得なかつた。それは議会というものは裏肚  のないところなんだから、これは議会の論議に出た。通産省のやる仕事というものはそれが委員会のほうで議論になつた、方向付けられたこととはおよそ反対の方向に君たちは行こう行こうとしておる。それは私は君たちが改正法の説明会を開いて、その翌日かその当日連合会のほうが各地方振興会のほうに出しておる、各地方のほうで選手会を作らせろというその定款例を見てよくわかる。その定款例を出しておるところを見ると、連合会の代表が弱体であるから……年が若い、まだ青年であるから選手会を作らせるわけにはいかん、まだ時期が早いと言うて君らも連合会も頑張つた。頑張つたけれども、併しながら議論の帰するところは作らなければならないと、そこで止むを得ずそれでは中央で作る前に地方で作らせたいということで、君たちは連合会とつうつうになつてそういう指導をしたことは、これは紛れもない事実だ。そういうことが僕は文書の上に現れておると言うのだ。例えば君らが中央選手会を民法に照して好意的に扱うと白々しく言つておるが、君らが選手会に対してこうこうこういうものが悪いからと言つて文書によつて却下をしないで……、連合会のほうには文書が行つておるじやないか。君らが選手会を承認しがたいという項目を挙げて、そして連合会のほうに行つておる。連合会は得々として連合会発送の第九十九号でこれを付けて、選手会というものは通産省が絶対これは公認できないと、これこれこういうような条件によつて選手会の法人格というものは認められなくなつたということを出しておる。この選手会の公認申請をしておるのは選手会の選手の諸君である。この事務所には君らこういう文書はこれこれこういうものが不備であるからというので送りもしないで、なぜこれを連合会に送らなければならないか。
  62. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) 先ほどちよつと申上げたかと思いますが、今月の二十一日に企業局の担当官と打合せをいたしまして、翌二十三日と二十四日に選手会のかたをお呼びしまして、こういう点の不備を直して頂きたいという意味においてこれをお渡ししたわけです。そこで公益法人の認可申請書につきましては、至急に認可、不認可の処理をすべしという規定がございますので、若し長くなれば不認可ということにせざるを得ないけれども、併し総会も開かれたことであるので、その不備の点を補正されてお出しになつたほうがいいのではないかというお話合いをいたしまして、たしか今月の二十九日に選手代表のかたが集まられて、その取扱について相談をして頂く、そういうことになつておりますので、今お話の点は中央の選手会の認可をしないというようにちよつと伺つたのでありますが、そういう考えは持つておりませんので、又地方の選手会はこれはその地区の選手が作られるということであれば自由であろうと思いますが、これは恐らくはできるにいたしましても、時間的に遅れると思います。従いまして、先ず中央の選手会が認可される、こういうことになると思いますし、又我々もそういう考えでおりますので、その点は一つそういうふうに御承知を願いたいと思います。
  63. 島清

    ○島清君 それは僕は吉岡君、君ら認可認可と言つても、例えば選手会のほうから出している書類を通産省の窓口で受付けておりながら、日にちがたつと書類がなくなつた、こういうような扱い方をしておるのですね、そこでいろいろの書類不備があるからこれを整えて来い、こういうことを諸君が言つているのだが、併しながらこれは金曜日の日に僕に相談があつたから、却下しろと言つた。君らは却下すると言つて次官通牒とそれから局長通牒を並べて害いている。それで却下しろと言つた。僕はそれには何か総会を開かずに、開いたような絶好をして判を捺せばいいのじやないかということを暗に律瀕するがごとき口吻があつたので、大変だ、通産省というものは連合会とぱあぱあで、つうくでやつているかも、それなら公文書偽造でやられる。そんな危険なことをやつてどうする、折角通産省に次官、局長名前を並べて、それで諸君の認可申請というものについて却下するということをちやんと書いてある。こを明示してもらつたらいい。二十九日、三十日会合があつても、それは口実にはならない。私が言うのは諸君の肚はよく知つているが、なぜ申請したところの選手会に出さないで、連合会にこれを見せて、連合会は各地振興会のほうに、選手会のほうが公認にならなければならないのだということをなぜ言われるかというのです。これは諸君から出ていなければそういう文書は出ないはずだ。それをどういういきさつでそうなつたかということを聞いている。
  64. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) 私の申上げるのは、先ほど申上げましたように、選手の代表のかたをお呼びしましてお渡ししたわけでありますので、連合会のほうにはこれを渡しておりません。それから総会につきましては、正規の委任を受けたものを以てやつてもらいたい、こういうことは指示しておりますが、委任状については前回の場合取つているので、これで運用できないかというお話がございました。それでは現物を持つて来てもらいたいということで、実は先に現物を見たのでありますが、委任の項目といたしましてはやや不明瞭でありますが、選手連合の再建方策でありましたか、読み方によつては団体の設立の委任であるというふうにも解釈できると思いますので、この点はそういう取扱で委任状等をもう一度取直すことをできれば省略いたしまして、それで以て委任を受けたかたを以て正規の創立総会をはつきり開いてもらう、こういうことで考えておりますので、その点は選手側のほうには十分私は御了解がついていると思います。
  65. 島清

    ○島清君 そうすると、明らかに認可はできないからと言つて、選手に文書を以て却下を通告したと、こういうことなんだね。
  66. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) 今すぐ揃えろと言われればこういうことになるから、もう一度取下げられて、内容を訂正し、創立総会を開き直して、法律上不備のない形で申請されたほうが便宜ではないかということをお話したのでありまして、私の所に参られました選手のかたはそれで了解されて帰られた、こう思つておりますが、なお正式には二十九日に代表者の会合を開かれて、そこで打合せをして決行いたしたい、こういうような御意向のように承知しております。
  67. 島清

    ○島清君 土曜日……、金曜日に諸君がそういうことを言つて、そこで金曜日の今頃僕の所に相談に来た。そうしたら私は却下しろと言つた。そして土曜日にあなたたちに却下しろと言つて、明示しろと言つて、選手の側から要求してあるはずだ。それは総会を開かなければ修正できないようなことについては我々としてはできない。我々としてはただ書類の手続上それは認可されるというような前提の下においての努力は委任されているけれども、併し総会を開かなければ修正できないようなことまでは委任をされていないから、これはあなたたちのほうから明示されていることは、総会を開かなければどうにもならないから、それでは明示してもらつて却下して下さい。そうするとこちらのほうは総会をする手続上、又役員会にかける手続もあるからして、明示のない場合は困る。だから明示させて却下させろ。よかろうというので、選手側はそれを賛成して、土曜日の午後にあなたの所に申出をしているはずなんだ。
  68. 吉岡千代三

    政府委員吉岡千代三君) その点は事実問題になると思いますが、私はそういうことは聞いていないわけでありまして、もう一度委任状を取直すということは非常に手続上困難であるから、成るべく前回の委任状で法律上可能であれば代理をさせてもらいたい。併しそれによつて総会を開いて不備の点は修正して申請をするというのが、大体の選手側の御意向のように承知しております。併しその点がお話の点ではつきりいたさないということであれば、よくその点確かめたいと思います。私どもは申請書に対しましては、通常の形で参ればその申請について認可不認可を決定してもらいたいということであれば、一応現在出ておりますものについては不認可という措置をとらざるを得ないと思いますが、これは併し好意的に処理するということになつておりますので、できるだけ便宜の方法をとりまして、不備の点は補正をして頂いて認可をいたしたい、こういう考えで進んでおりますことを御承知願いたいと思います。
  69. 島清

    ○島清君 だから僕の質問は非常に語気が荒いのは、好意的に扱うということを諸君は私にも明示をしておりながら、諸君が扱つているのは好意的どころじやない。悪意に満ちて、如何にしてこれを認可できないような口実を作るかというようなことをやつている。これは諸君は選手会のほうに提示する前に連合会のほうに……、連合会はこれを各地方に二十四日にこの文書を発送しており、大阪、兵庫あたりは二十五日にこれは振興会が受取つた。諸君からこれが出なければ、諸君の作業の結果なんだから、これはどこにも流れつこない。選手会の諸君が僕に相談したのは、金曜日の午後今頃ですから、そうすると、通産省のやつている仕事は、従来からも通産省の仕事は連合会の中に入つているとかなんとかいうことでやつているのだといつて新聞の座談会にも書かれていることは、今のように、そういうことは信じたくなかつたけれども、併し諸君のやつていることを見ると、本当に通産省は一体連合会の下請であるかどうか私たちは疑いたくなる。そうすると、これは通産省の君のほうでやつているというならば、君の作業は外部に洩れてはいけんはずだ。この文書というものは二十五日にはちやんと振興会に着いている。この事実はどうして説明するか。秘密措置ができないような官吏であつてどうするのです。若し答弁を要求するのが無理であれば、答弁してもらわなくてもいいですよ。こういうものを調べて明日あたり大臣を呼んでですね……。
  70. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  71. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 速記始めて。
  72. 島清

    ○島清君 この前の委員会で汚濁水の処理の問題についてちよつとお聞きしたことがあつたのですが、何といいますか、十二分に満足の行くような御答弁が得られなかつたので、改めて又お聞きするわけでございまするが、要点は我が国産業状態の推移を見てみますると、機械工業から化学工業へということで移つて来ておるわけでございまして、これは必ずしも日本ばかりの特異性でもなくして、工業の発展の私は形だと思うのです。ところが化学工業が盛んになるにつれて、その化学工業から生まれまするまあ滓といいまするか、残滓といいますか、それを適当に処置をして関係者のかたに迷惑がかからないようにしなければならないはずなんですが、そういうことが往々にしてなされずして、例えば農民であるとか漁民であるとか、こういうような関係者のかたがたに非常に迷惑を及ぼしておる。そういたしまするならば、勿論私たちは通産行政に国会側としてタツチをしておるものでございまするからして、通産省のやることについては何でもこれはひいきにして、そのままに放任してよさそうなものでございまするが、併し我々としてはやはり国家全般の産業というものを考えなければなりませんので、この化学工業が盛んになるにつれてこれを処理するというようなことについても、万遺憾のないように通産省としては指導しなければならないと思うのです。ですから、こういうことは至る所に起つて来ておる問題なので、こういう汚濁水の処理についてどういうような指導と、どういうような設備の完成といいますか、完全といいますか、そういうものについて監督し、それを監視しておられるかというようなことについて御説明を承わりたい、こう思うのです。
  73. 矢野宏太郎

    説明員矢野宏太郎君) お手許に化学工業の汚水対策という二枚綴りの紙をお配りしましたが、大体化学工業に関連しまして生じまする汚水というものについて、原則的な指導方法というものをここに一応簡単に書いた次第でございますが、従来の結果をいろいろ調べて見ますると、化学工業の水質汚濁の問題につきましては、日本のみならず世界各国におきましても問題の性質が必ずしも同じではないかも知れませんが、どうもまだ決定的な結論というものが出ていないというように我々としては考えておりますので、従いまして、この問題につきましては、我々としても今後十分研究しなければいかんということで、本年は工業技術庁のほうで毎年試験場のほうを通じましていろいろな試験研究をするのでございますが、その中の研究題目としまして、この問題につきまして一つ研究をしてくれということになつておりまして、引続きまして二十八年度一つ研究してもらうというようなことにしております。それで現在までに実際的に各工場でやつておりますのは、その中の真中ほどに一、二、三と書いてございますように、一応廃液が生じますと、それをもう一度回収する機械装置を成るべく設置しまして、それで回収して流れる水については有害成分をできるだけ少くするという方法、それから第二番目には、石灰石その他を用いまして、廃液を中和するという方法、それから第三番目には、沈澱池を作りまして、そこで沈澱させまして、上澄のきれいになつた水だけを薄めまして流すというのが大体においてとられまして、現在実行されております施設でございます。その際に問題になりますのは、廃水の有害成分が非常に少くなつておる場合でも往々にして非常に何といいますか、黄 とかその他の色が付いておりまして、どうもその色が農漁村におきましては問題になるのでございまして、実際的にはそう大して有害成分がないという結果が出ても、どうも汚ない水だということで問題になる可能性が非常に多いのでございまして、これらの点につきましても、成るべく色を吸収するような装置を付けさせまして、無色の水にするという方法一つ今後奨励しようというふうに考えておりますのですが、これに要する経済的な面につきまして、非常に資金的に負担が大きいということになりますと、これは経済上から申しましてそう簡単な問題じやないので、そういう点につきましては、成るべく周知徹底せしめまして、そういう問題が生じないようにというふうに各県その他を通じまして指導したい、こういうふうに考えております。
  74. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 保安局長から鉱山の汚水につきまして御説明願います。
  75. 伊藤俊夫

    政府委員(伊藤俊夫君) 鉱山における鉱廃水処理の問題は現在鉱山保安法に規制されております。その規制の内容は鉱業施業案に、或いは工作物の設置に関する認可、又認可された施設の運用につきましては保安規則の中に規定がございます。これらの保安法令に基きまして鉱廃水による鉱害を惹起する虞れが多い鉱山に対しましては、石灰中和処理を実施するとか、或いはそれを更に沈澱さす、又先ほど金属鉱業問題のときに問題になりました鉱滓用のダムというようなもので沈静させまして、その鉱害の原因を除去いたしました後に、清澄になつた鉱廃水を放流する、そういう監督と指導に当つているわけであります。併しながら汚濁いたしました鉱廃水を排出する鉱山には今後一層強力な鉱廃水処理を確立して、現行の処理方法を更に改善したいと考えておりまして、各種の化学的な性質、或いは物理的な性質、双方から有害成分の除去ができるように試験研究促進をいたしております。
  76. 島清

    ○島清君 鉱山関係であれですか、今汚濁水の処置が不十分であるというので農産物であるとか、水産物の補償といつたようなものをしておるのは全国で何件ぐらいあるのですか。
  77. 伊藤俊夫

    政府委員(伊藤俊夫君) 実は鉱山保安局の鉱山保安法施行の建前は、予防の面でございまして、金銭賠償のことにつきましては、本日資料は持つてつておりませんので、ちよつと……、
  78. 島清

    ○島清君 若し何でしたらあとでもよろしうございます。
  79. 伊藤俊夫

    政府委員(伊藤俊夫君) 主な所はございますけれども、全体に亙つてはございませんので、資料をお手許に差上げるようにいたしたいと思います。
  80. 島清

    ○島清君 只今の御答弁の中で、予防を中心にして指導監督しておられるということでしたが、やはり何かそういうふうな努力にもかかわらず、若干の金銭賠償をしなければならないというような状態に陥るようでございますが、これはあれですか、鉱山側として研究して見ました場合には、これは今の科学的な段階としては防止できないような状態にあるのでありますか。
  81. 伊藤俊夫

    政府委員(伊藤俊夫君) 只今の御質問誠に御尤もで、我々恐縮なんでありますが、只今までの過去における技術或いは施設の中で、十分に鉱害を除去し得なかつた分が相当の金銭賠償の形で持込まれている部分もあると思います。現在では監督方針といたしましては、鉱山の鉱廃水の排出はすべて無害の状態にするという監督方針の下にやつております。但しここで問題になつております汚濁という部分は、専ら物理的な現象が多いのでございまして、その問題については被害のほうを、幾ら汚濁によつて被害を受けたかということは明瞭でない場合もございますので、これは多少言い過ぎかも知れませんが、共存共栄的な考え方で、多少でも農村関係にも鉱山側が支出し得る場合には成るべく問題なく解決したいという意味で、現在の科学の段階では絶対にできないという部分はないということを御了解願つてよろしいかと思います。
  82. 島清

    ○島清君 鉱山側のほうについては大体了解いたしましたが、例えばパルプであるとかという問題については非常に問題が起るようでございまするが、例えば秋田県については資料を折角先走しられて出して頂いたようで、大変有難いのでございますが、ところが秋田ばかりでない、四国愛媛の大王製紙ですか、あそこあたりの瀬戸内の漁民と製紙業者との間に相当長年に亙る紛争があるわけなんですね。ですから私質問に入ります前に、まあ成るべく私たちも通産省側のほうの見方に立つてそういうふうにありたいものだと思いまするが、併しさりとてやはり国家全体というものを見なければなりませんので、そういう問題がしばしば起ります田舎のほうへ、地方などへ参りますると、こういう問題を陳情されたり質問  されたりするわけなんでして、そこで例えばここで六三製紙の例、或いは又秋田の例をとつてもよろしうございますが、折角秋田のほうを御研究下さつて御勉強下さつて資料を私どもは頂いたのでございますが、例をとつて秋田の東北パルプのほうでは汚濁水の処理について万遺憾なき処置をとつておるかどうかというようなことについて、一つ説明を願えれば大変仕合せなんです。併せて大王製紙の例ですね、瀬戸内でも騒いでおります。ああいう問題も御説明頂ければ大変仕合せですが、これは併し突飛なことで、研究しておられなければ別に……。
  83. 瀬川一郎

    説明員(瀬川一郎君) 東北パルプの秋田工場の廃水処理に関する件、東北パルプの秋田工場は御承知のように人絹パルプをやつておる工場でございまして、これの製造方法は亜硫酸ソーダ法で人絹パルプをやつております。亜硫酸ソーダ法と申しますのは、重亜硫酸石炭水で木材のチツプをいわゆる小片を蒸煮いたす方法でございまして、チツプを蒸煮いたしましたときに出る廃液、即ちこれを木釜廃液と申して去りますが、この廃液とできたチツプ、或いは蒸煮の終つたいわゆるチツプと申しますか、原質と申しますか、その原質を、パルプの精洗、或いは製紙の工程で晒したり、或いは洗滌したりする工程で出るいわゆる法滌廃水と、その二つが廃液としては最も問題になる廃液でございます。それでここの秋田工場の廃水は大体毎秒一・一九立方メートル程度の廃液が出ております。従つて一日の廃水量と申しますと、十万二千六百九十五立方メートル、これらの廃液が出ておるわけでございますが、この内訳は只今申上げました木釜廃液、それから洗滌廃液と分けて申しますと、木釜廃液が三百八十五立方メートル、それから洗滌廃水が九百六十立方メートル、こういう工合になつておりまして、その他の十万一千三百五十立方メートルというものは工場用水、工場でたくさん水を使いますが、その一般の工場用水でございまして、これは大した実害のないものでございます。それでこの秋田工場にはどれだけの廃水処理設備を持つておるかと申しますと、中和設備が一基ございまして、これの容量が六百立方メートルでございます。それでこの中和設備と申しますと、中に石灰石を敷いてございまして、その中に木釜廃液を入れまして、消石灰をその木釜廃液の中に入れまして、中和を実施しておるわけでございます。それから、それでこの六百立方メートルの能力はいわゆる木釜廃液、洗源廃水を入れましても、単に消石灰を入れるだけですから、能力は十分なんでございます。それから沈澱池は五面ございまして、その中で四面の容量がおのおの三千三百立方メートル、もう一面の容量が六千六百立方メートルもございまして、この沈澱池の容量が一万九千八百立方メートルもございます。それで沈澱池は主としてこの洗滌行程、或いは一般の工場用水で出た廃水をこの沈澱池を通しまして、緩やかに流出しながら反対側から排出するようにいたしております。それでこの出る時間というのは大体三時間半乃至四時間くらいが普通でございますが、一応四時間といたしましても一万九千八百立方メートルの容量でございますから、十分工場廃水を全部処理するだけの能力を持つております。  それから只今申上げましたような中和、それから沈澱、これらの処理を終つたものは石灰石を敷きつめました排水溝によつて流送して、一層中和を完全にしておりますので、これらの中和の完全に終つたものを雄物川の排水に放流しておるわけでございます。それで放流いたしましたときのいわゆる出る化学的な成分はどうなつておるかと申しますと、秋田県の衛生部の調査によりますと、雄物川の水素イオンの測定結果が五・八乃至六・〇くらいになつておりまして、それは雄物川自体のいわゆる水素イオンの濃度とほぼ同じという結果が出ております。それで雄物川に放流している以上いわゆる放流口の上流の地点で、上流五百メートルの地点と下流二十メートルの地点で計りましたものもほぼ同じものになつております関係上、いわゆる化学的な実害というのは出ておらない、そういうふうに考えております。  それから四国の大王製紙の問題につきましては、終戦後、最近はたしかやめておると思いますが、サルフアイト・パルプが、亜硫酸法で作りましたいわゆるサルフアイト・パルプというものが非常に不足いたしました関係上、苛性ソーダで簡単にこのサルフアイト・パルプとほぼ同じような用途に使えるソーダ・パルプというものを非常にたくさん作りました関係上、簡単な設備でありますために、いわゆるその苛性ソーダの回収をやらずにそのまま稀薄して放流いたしました関係上、地方によつては実害が若干出ておるかと思います。それでこの簡易ソーダ法のパルプにつきましては、通産省といたしましても極力設備を抑えて参つたわけでございますが、御承知のようにサルフアイト・パルプが非常に不足いたしました結果、抑える措置をとつておりましても、事実上の問題として簡単に設備ができる関係上、ちよつと抑え切れなかつたというような状態になつております。最近サルフアイト・パルプの需給状況も非常に好転いたしまして、いわゆる市販のパルプが殖えましたために、簡易ソーダ・パルプの生産というものは逐次毎月生産量が少くなつておりますので、今後のソーダ・パルプの生産というのはそう問題にならない数量に落着くだろう、そのように考えております。
  84. 島清

    ○島清君 今秋田の東北パルプのことで随分専門的に亙る詳しい御説明がありましたが、これはどなたか行かれて実際に調査された結果でございますですか、それとも会社側のほうの御報告でございますか。
  85. 瀬川一郎

    説明員(瀬川一郎君) それは会社からと秋田県の衛生部からの資料と両方によつて資料を作りまして、現実には秋田工場へは行つておりません。
  86. 島清

    ○島清君 それで私は質問に入りまする前に通産省側のほうに尋ねたいのだが、ということを申上げたのですが、ここに写真があつて、この何と言いますか貯水池ですか、これがずつともう汚物が沈澱してしまつてひびか何か、夏の地割れした田圃のような恰好になつているのですよ、御覧になればわかりますが、汚水処理が完全にできていない、そのことは会社側のほうも認めておるようです、それについては……。そこでそれを突きとめて、将来はこれを直そうということを漁民の諸君に約束したようですが、ただ現在までに及ぼしておる漁民側に対する損害の賠償価格についてちよつと折合いが付かないようです。これは会社側のほうも認めておるようです。ですからこれは、何と言いますかちよつと文句も言いたいところですが、それはそうも行きませんので、一つ一遍現場を見てもらつて、そういうふうなことの起らないように御指導を頂いたほうが非常に結構かと思うのです。私たちもそういう非常にわかり切つた問題が起つて参りますると、折角通産省側のほうに立つて日本産業一つ御援助申上げたいと思いながら、そういうわかり切つたような問題が出て参りますると、やはりそうもできないような状態になりまするので、十二分にこの事実を考慮の中に入れて頂りきまして、速かに、会社側のほうもそれを認めておるようでございまするから、実際の施設を御視察になつて、監督権を発動されてそれをお命じになるとか、そういうふうな一つ万遺憾のないような措置をおとり下さつたほうが、日本の工業を発達、促進せしむるところのゆえんかと思いまするので、どうぞ一つ適当な措置をとつて頂きたい、こう思います。
  87. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) では、さような今の島君の御要望のようなことをお願いいたしまして、この点は終りたいと思います。   —————————————
  88. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 次にちよつと報告を申上げます。地方自治法第百五十六条第四項の規定に基き、名古屋通商産業局公益事業富山支局の設置に関し承認を求める件、右の案件に関しては通産省より施行期日の関係委員会審査省略要求をいたしたき旨委員長に協議がございました。本件は公益事業委員会廃止及び通産省に公益事業局の新設に伴い現在富山にある公益事業委員会富山支局を名古屋通産局富山支局に変更するものでありまして、実質上何ら変更なきものでありますので、通産省が施行期日の関係上特にこれが参議院先議というようなことになりまして、期日がないというような関係で、委員会審査省略を望むなら委員長としては異議なき旨回答いたしまして、本日可決されたというような状態でございますので、御了承たまわりたいと思います。  では本日はこの程度で散会いたしたいと思います。御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  89. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 異議ないものと認めまして散会いたします。    午後四時二十二分散会