○
政府委員(
中島征帆君)
外国の場合におきまして、
鉱害問題がすべて私法的に片附けられる、これは
一つの事実であります。むしろ
鉱害の問題につきましては、
従つて問題は
技術的な問題が多いのであります。如何にこれを防ぎ又これを如何に
復旧するかというむしろ
技術的な問題が
鉱害問題の
中心でありまして、
法律問題は
従つて将来の立法問題でありましても割合に少い、こういう
実情であるのであります。
日本の場合にはそれが違うということが、
現実には
一つは、累積した
鉱害があるということと、それからいろいろな地形その他の
条件が違う。この二つの
条件問題からいろいろな複雑な問題が出て来るのでありますが、そういう
外国の
実情のために恐らく
外国においても
鉱害の
処理については、国が
相当の経済的な或いは
法律的に乗り出して手を貸しているのではないかというふうな予想を持
つて参りましたところが、全然そういうことがない。そういうお手本があれば、早速
日本にも規範を作りますときに
参考になると思
つておりましたが、遺憾ながら全然なかつた。そのときの
結論といたしましては、
従つて日本においてもそういう
方法はもうやるべきでないということにな
つて、そういうふうに完全に
私法関係に委かしてしまうというためには、
現実の
鉱業権者と
被害者の
関係が完全でない。特に現在累積しているものをお附けなければ
鉱業経営そのものが正常な姿に戻らないので、それを放
つておいて全部
鉱業権者だけの
責任で片附けるのは不可能だというそういう
結論からいたしまして、この
法律にありますように、
国費の
補助というものを引出しているわけであります。将来につきましては、やはり
制度上当然に永久にこういうふうな
補助制度というものを継続すべきかどうかということにつきましては、これは
十分先ほ
ども申しましたような点を
研究いたしまして、どうしても
日本の
産業の
基礎的条件からして、
鉱害をすべて経済的に片附けさせるということは不適当だと、こういう
結論が出ました場合にはやはりその
結論からいたしまして、それに対して国が或る
程度の援助をするということも
考えられるわけでありまして、それが今どうなるかというにとは、現在の段階として単純に
結論を出すべきじやない。
十分先ほ
ども申上げましたような点も
考えまして
結論を出すべきだ、どうしてもこれは
鉱業権者と
被害者の
関係だけではいけないということであれば、そこで初めてこういう
制度を
法律化するということも出て来ると思うのであります。それから問題は多少違
つて参りますけれ
ども、どういうふうな点がこの
法律の中に活かされているかという
お話でございますが、今般的にはそういう
気持で作られているということと、それから
一つの例といたしましては、この事業団という構想が出ておりますが、これはこの
法律の性格上極めて範囲の狭い、弾力性の少いものにな
つておりますけれ
ども、将来
鉱害の恒久的な対策を
考えます場合にはこういつたような法人を十分に活用するようなことを
考えたらどうか。こういうふうな公共組合的なものがルール地方にありまして、非常に成績を納めておりますけれ
ども、それに倣
つて日本にも適合したような組織を作りまして、
鉱害問題をできるだけ自治的に片附けるという
方向に持
つて行く、それでそれを作る場合に必要であれば勿論国から援助しても差支えないでありましようし、
関係者だけの経費で以て十分
鉱害の対策は講じられるということになりますので、将来そういうふうなものに発展させる含みを以て事業団というものをここで
作つているわけであります。勿論ほかの
理由もございますけれ
ども、仮にこの
法律が十年後におきまして廃止になるような場合におきましては、この事業団というものを単に解散してしまわないで、やはりそういうふうなものに発展的に解消させる。そこでまあ
一つの新らしいステツプとして協同社会的な機構というものに近附けるということもできるんじやないか。そういう
考え方を以てこの事業団というものを
作つているわけであります。