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1952-06-27 第13回国会 参議院 通商産業委員会 第57号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年六月二十七日(金曜日)    午前十一時二十分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     竹中 七郎君    理事            松本  昇君            結城 安次君    委員            泉山 三六君            重宗 雄三君            中川 以良君            小林 孝平君            小松 正雄君            島   清君            境野 清雄君            西田 隆男君            石川 清一君   委員外議員            永井純一郎君   衆議院議員            南  好雄君   国務大臣    通商産業大臣  高橋龍太郎君   政府委員    公正取引委員会    委員長     横田 正俊君    公正取引委員会   事務局総務部長  古内 広雄君    通商産業政務次    官       本間 俊一君    通商産業省通商    機械局長    佐枝 新一君    中小企業庁振興    部長      松尾 金蔵君   事務局側    常任委員会専門    員       林  誠一君    常任委員会専門    員       山本友太郎君    常任委員会専門    員       小田橋貞寿君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○航空機製造法案内閣提出衆議院  送付) ○特定中小企業の安定に関する臨時措  置法案衆議院提出)   —————————————
  2. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 只今より通商産業委員会を開きます。  先ず航空機製造法案議題といたします。御質疑のおありのかたは御発言を願います。  別に御発言もないようでありますから、本案に対する質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 御異議ないものと認めます。  それではこれより討論に入ります。
  4. 中川以良

    中川以良君 私は本法案賛成をいたすものでございます。即ち日本再建途上における今後の航空機及び航空機用の機器の生産技術の向上を図り、更にこれらの性能を確保いたしまして、併せて航空機工業の健全なる発達をいたしまするために、本法律の今後の運用に対しまして多大の期待をするものであります。ただここに私は特に附帯条件として申上げたいことは、今後の日本航空機製造に対しましては、ただ単にこの法律運用のみならず、将来は適切なる助成措置はどうしてもなさなければならないと存じます。この面におきまして、特に政府においては今後の助成政策確立せられんことを望む次第でございます。  又もう一つには、この法律運用に当りまして、私どもが最も懸念いたしますることは、運輸省通産省との関係でございまして、ややともいたしまするならば二重行政が行われる懸念が多分にございます。この点は過般の閣議において決定になつた通りに、政府といたされましては、この行政面の一元化をはつきりと確立をせられまして、産業界が二重行政のために非常に迷惑を来たすというようなことがないように、特にこの辺御注意を頂きたいと存じます。然るが故に私は本法律案が可決せられますると共に附帯決議提案をいたしまして、この二つの条件に対しまする附帯決議の本委員会における採決お願いを申上げたいと存じまして、この条件を付けまして私は本法律案賛成をいたすものでございます。
  5. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) ほかにありませんか。別に御意見もないようでございますから、討論は終結したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 御異議ないものと認めます。それではこれより採決に入ります。航空機製造法案につきまして採決いたします。本案原案通り賛成のかたは御挙手を願います。    〔賛成者挙手
  7. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 多数と認めます。よつて多数を以ちまして可決されました。  次に、先刻討論中に中川君より提案されました附帯決議朗読を願います。
  8. 中川以良

    中川以良君 先ほど討論中に申上げました附帯決議に対しまして、先ず最初にこの附帯決議朗読をさして頂きます。    附帯決議      参議院通商産業委員会  一、戦後諸外国における航空機工業の進歩は、目覚しいものがあるので、七年の長きに亙つて休止を余儀なくされたわが国航空工業再建は、誠に容易ならざるものがある。    然しながら、航空機工業は、一国の文化、産業の尺度であり、これが確立促進は、わが国将来のため絶対必要なものと認められるので、政府は、速にこの工業再建のため、強力且つ適切な助成措置を講ずべきこと。  二、航空機工業は、素材、設備、技術の各方面を通じて最高度の水準を要求される産業であるから、この航空機工業に対する行政は、徒らに無用の干渉乃至二重の監督により企業の発展を妨げることなからしむると共に進んで関連生産部門との調和を図り、素材より製品迄一貫した綜合生産行政の実行を確保する様措置すること。    右決議する。  以上でございます。
  9. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 只今提案されました附帯決議を付することに対しまして賛成のかたの御挙手を願います。    〔賛成者挙手
  10. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 多数と認めます。よつて本案附帯決議を付して可決すべきものと決定いたしました。  なお本会議におきまする委員長口頭報告内容等、事後の手続は慣例によりまして委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 御異議ないと認めます。  次に本案を可とされましたかたは、例により順次御署名を願います。   多数意見者署名     松本  昇  結城 安次     泉山 三六  中川 以良     小松 正雄  島   清     境野 清雄  西田 隆男     石川 清一  重宗 雄三   —————————————
  12. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 次に特定中小企業の安定に関する臨時措置法案議題といたします。
  13. 小林孝平

    小林孝平君 この法律でやります品目別表にありますけれども、この別表に掲げられた品目のほかに合板或いは清涼飲料水のごときはやはりこの法律を適用したほうがいいのではないかと考えるのでありますけれども、そういうことになりますと、この品目只今のところ農林大臣所管になつておりますので、仮にここに別表に入れるということになれば、法案中の通産六臣を主務大臣というように変更しなければならんわけでありまするけれども提案者にお伺いいたしますのは、こういう合板或いは清涼飲料水をこの法案品目の中に附加えるということに耐してどういうふうにお考えになりますか、お伺いいたします。
  14. 南好雄

    衆議院議員南好雄君) お答え申上げます。小林さんの只今の御質問、毎毎御返事申上げておりまする通りです。第二条所定条件を充足さえいたしまするならば、それはこの法律を適用して業界安定に役立たして頂きたいと考えております。ただ、今お言葉通り主務大臣というように法案そのものを変更いたしましたり、更に進んで審議会農林省に置いたりいたしまする関係上、条文の方々をいじらなければならんのでありまして、非常に各業界におきまして、この法案成立を渇望いたしておりまする現在の状況から判断いたしますならば、速かに原案を御審議願いまして、通過さして頂きまして、もう間もなく又次の機会が参りますので、その際において御要望通り、その他の品目につきましても慎重調査の上に法案改正に取りかからして頂いたほうが、今の状態では最も妥当な方法でないかと提案者の一人といたしまして考えておるような次第でございます。何とぞ一つ御賛同願いまして、速かに法案の御成立にお力添えをお願い申上げたいと存じます。
  15. 小林孝平

    小林孝平君 私は折角やるのでありまするから、この機会合板並びに清涼飲料水等をこの中に入れることは望ましいと思うのでありますけれども只今提案者からの御説明によりまして、法案成立を急ぐというような関係もあり、そのために通産農林両省所管の問題に関連いたしまして、法文の整理が多少むずかしいというお話でありまするから、次の機会に必ずそういう品目を附加えるように法律改正をして頂くということをはつきり言明して頂くようにお願いする次第であります。これは通産次官からもお答えを頂きたいと思います。大臣からもお答えを頂きたい。
  16. 南好雄

    衆議院議員南好雄君) お答え申上げます。お言葉通り、来たる通常国会におきましては御要望通り法案改正いたしますことは、ここにはつきりお約束申上げておきたいと思います。
  17. 本間俊一

    政府委員本間俊一君) 御指名がございましたので御答弁申上げておきたいと思いますが、只今提案者のほうで御答弁がありました通りに、私どものほうでも歩調を合せまして、御趣旨のようにいたしたいと、こういうふうに考えておる次第でございまするから、御了承を賜わりたいと思います。
  18. 石川清一

    石川清一君 関連しまして御質問したいのですが、二、三日欠席をいたしておりまして、重複する点があるかと存じますけれども、今の御答弁から遡つて質問をいたしたいと思います。合板業のことでございますが、只今の御答弁によりますというと、手続の面においても或いは実施の面においても、次の機会にはでき得るというような御答弁に伺いましたが、その通り承知してよろしいですか。
  19. 南好雄

    衆議院議員南好雄君) お答え申上げます。この問題につきましては再三御返事申上げていたのでありますが、私たち立場といたしましては、第二条所定条件さえ充足しておりますならば指定業種を増加して行くと申しますことは一向差支えないことであります。ただ繰返して御返事申上げておりまする通り主務大臣というふうに条文を直したり、審議会各省に置かなければならんようなことになつたりいたしますので、今この指定業種のうちの大部分は今日、明日を争うというほどに非常に参つておりますので、成るべく暇をとらずに早く調整組合を作らしてやりたい、こういう気持から法案の各所における修正をやつておりますると、又衆議院に戻りまして、いろいろな手続が要りますので、取りあえずこれだけは成立させて頂きたい、追つて必要な業種につきましては、ひとり通商産業省所管事項のみならず、各省所管に亙つて拡げて行きますことについては一向差支えない、こういうふうに御返事申上げておるのであります。従つて言葉通りに、手続におきましても、実際問題にいたしましても、私は次の機会におきまして法案改正さえいたしますれば、これは差支えないもの、又そうして頂きたいものと考えております。
  20. 石川清一

    石川清一君 独立後における日本中小企業が特に貿易部門に重点を置いておるところには、只今のような問題が、いわゆる国の権力による統制と、業者の自主的なものが相待ちまして、国内の需要に応じ、或いは貿易振興という面が起きて来ると存じておりますが、只今の御答弁によりますというと、そういうようなものが将来、或いは短期間のうちにおいて一本になりまして、いわゆる主務官庁をきめまして、そういうものをお作りにならなければならんというようにお考えになつておりますか、それとも今まで通り主務官庁の中において行うことが、やはり各業界のために、或いは大きく見まして、日本経済のためにいいと、こういうふうにお考えになりますか、その点をお伺いいたします。
  21. 南好雄

    衆議院議員南好雄君) お答え申上げます。輸出部門につきましては、先ほど当委員会で御審議願いまして、可決に相成りました輸出取引法案とでも申しましようか、輸出業者組合作つて輸出に関する一つ秩序を立てて行くという法律に相成つて参ります。で、今ここに御審議願つておりまする特定中小企業の安定に関する臨時措置法案は、間接的には輸出に影響ございますが、直接的には国内産業に関する中小企業特定部門における混乱を一定の秩序を与えてやつて行くというのが狙いでございまして、輸出産業につきましては、間接になつてございます。中小企業庁におきましては、私説明申上げるまでもなく、ここに大臣も政務次官もおいでになりますから、少し僭越なんでございますけれども中小企業全般に対しましては、一応の所管事項を持つております。ただその一応の所管事項でなくて、相当突込んで業種調整生産調整とか、出荷数量調整とかいうものをやつて参りますためには、やはり主管官庁行政が必要になつて参ります。そういう意味合いにおいて一応の所管中小企業庁にございましても、本当によりよぐやつて参りますためには各省にやはりやつて頂くよりほかにない、そういたしますると、先ほど申上げましたように、単一業種でありましても、その所管官庁においても審議会作つて統制して頂かなければならんということになるので、目下の状態におきましては非常に、下世話に申します厄介だというので申上げたのでございます。
  22. 石川清一

    石川清一君 大分答弁内容に入りますと、非常に困難だ、こういうように承わりますが、それは合板業農林省所管の下に二条に基く調整的機関、こういうことは提案者としてはウェイトの面から見て大体妥当だ、こういうふうにお考えになりますか、それとも或る程度の話合いをしまして、現在の通産省管轄行政下に入れまして、便法として入れて扱うことがスムースにこの特別法案の中に合板業を入れ得るというようにお考えになりますか、お尋ねいたします。
  23. 南好雄

    衆議院議員南好雄君) お答え申上げます。只今の御質問でございますが、私は調整組合作つて頂いて、それで救えるものなら救つて差上げたいのであります。どういたしまするか、各省所管と申しますものは、私たち考えているよりもつと事務官にとりましては深刻な問題でございますから、先ほど来専門員のかたにもお願い申上げまして、農林委員会専門員から主務官庁のほうに交渉して、できればここに業種を指定いたしましてそうしてそれから先に各省所管事務調整をやればいいのではないかと、こう申上げたのですが、法律を直して合板については指定業種にして欲しいが法律を直してくれ、こういうような御要求だつたものですから、それでは少々暇をとるから、取りあえずこの法案を御審議願つて、次の機会に必ず御要望に応ずるように法律改正しておきたい、こう御返事申上げておるのであります。
  24. 石川清一

    石川清一君 提案者通産省でないので、いわゆる議員提出のために御提出される努力をされる、それに大きな期待を持ちますけれども手続として附則にこれを入れまして、通産大臣農林大臣と読替えると、こういうような形に相成りました。救済的な手段を暫定的に行うということは、もう一回お尋ねしますが、現在のところ困難だと、こういうふうにやはり了承いたさなければ、手続としてはなりませんか。
  25. 南好雄

    衆議院議員南好雄君) お答え申上げます。率直に申上げますると、現在別表に掲載されておりまする脱脂綿とか、繃帯とか、ガーゼとか申しますものが、石川さんの御承知通り、これは厚生省所管事項でございます。厚生省所管事項でありまするが、業者は非常に調整組合を作りたい、急いで業界の安定のためにこの法律を利用したいということをたつて申出ておるために、厚生省事務当局は強いて所管争いをしないで、通産省のほうから今後この衛生材料についての調整組合を作る場合とか、或いは調整規程を認可する際という場合には厚生省主管を尊重して、ちやんと実体把握のために厚生省所管を尊重するならば、この際法文を直さなくても差支えないということになりまして、一応指定業種には載せてはおりまするが、表面上は通商産業省でやるようになつております。合板につきましても、清涼飲料水につきましても、できますならば、そういうような行き方であとあと法案を整備して行く、こういう同一歩調をとつて頂きたいということは、私のほうからも農林省に交渉したのでありますが、ところが農林省のほうにおきましては、法案を直してからやれ、こういうようなお言葉で、それでは今の状態では少し間に合わんのじやないか、会期も非常に追つておりますので、次回に、次回と申しましても、もう来々月くらいでございますから、十分直して行けるのだから、この際はそれじやこのままに御審議願つて、十分にいたすのはこの次の機会に、こういうふうに私先ほど小林委員にも御返事申上げたのであります。
  26. 石川清一

    石川清一君 くどいようでありますが、本提案通商産業省関係から出たのであれば、こういうお願いをするのは私は無理だと存じておりますが、こういうような国内経済状態の中で困窮し、将来予想される合板業のために、政治的に面も最も困難な各省の繩張り争いをこの際解消せなければならんという立場に立つて、一応お入れ下さつて、問題はあとに解決されるというような点に立つて、持つておられる政治力を最大に発揮して頂きたいと存ずるのですが、このお願い合板業者に最も強いと思う。もう一度お願い申上げますが、如何ですか。
  27. 南好雄

    衆議院議員南好雄君) お答え申上げます。お言葉通り法案議員提出でございますから、やつてやれんことはないとも考えるのでございますが、何と申しますか、所管事項につきましては、先ほど御審議頂きました航空機製造法案につきましても運輸省との関係が非常にむずかしかつた。この程度のいわゆる合板業とが、清涼飲料程度業種につきまして、農林事務当局と強いて争つてまでこの際どうのこうのと言いますことは、法案が非常に今急いでおる関係上、二、三日前すでに衆議院におきまして、この法案を審議した際におきましても、農林省とも交渉したのでございますが、結局入れては欲しいが法律改正せい、こういうので、それではこの次の機会譲つて、取りあえずこのままに進んで行きたい、こういうような、まあみんなの意見がそうであつた関係上、むしろなつたわけでございまして、お言葉通り次機会においては私責任を以てお直しいたしますから、この際は非常に急いでおる関係上、曲げて一つ承認願つて、速かに、一日も早く本案成立に御協力を煩わしたいと切にお願い申上げておるのでございます。
  28. 石川清一

    石川清一君 この次の機会に入れなければならんというところの妥当性逼迫性は承わりました。ただこの次の機会にできることが、政治的に今できないかという疑問を持つておりまして、この点提案者の現実的な法理的な立場に立つた困難は了承いたしますけれども業者の切なる要望がございますので、法案が確定するまで、この点はお願いを続けようと存じております。同じことを繰返すのはどうかと思いまして、一応私の質問は終ります。
  29. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 次に、経済安定委員連合会を開催しておりましたが、都合上打切りまして、そのために経済安定委員永井純一郎君から発言を求められておりますから、委員外発言をお許しいたしましても御異議ござついませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  30. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 御異議ないと認めます。永井君に発言をお許しいたします。
  31. 永井純一郎

    委員外議員永井純一郎君) 委員外発言をお許しを願いまして、委員長初め皆さんにお礼を申上げます。連合委員会要求をいたしておりましたのにかかわらず、その他の電源開発等がありまして遅れまして、御迷惑をおかけしておつたのでありまして、この点御了承頂きたいと思いまするが、なお大分いろいろこの委員会質疑がすでに行われておると思いまするし、私は今までここにおらなかつたのでダブつたりする点があると思いまするが、それは一つダブつた問題は私あとで自分で速記録なりによつて見ますから、簡単にお答えを願えれば結構だと思います。  先ず私は大臣にお伺いをしたいのですが、私どもの感ずるところでは、今日の政府の施策の中で一番貧弱なものが中小企業対策だと思います。そこで中小企業対策対策とただ言うだけであつては困るのであつて、実際に中小企業経営合理化をし、施設の更新を図つて安定をせしめるということであるならば、政府がこの名前のような安定に関する措置法責任を以て提出をいたしまして、それに伴う予算的措置を完全にやつて行くべきであります。責任を持つておるところの政府がそういつたものを、がつちりしたものを出してやらなければならんのに、なぜ政府はこういつた基本的なものを持つた中小企業安定法というものを出さずに今日までおるのかということを先ずお伺いしたいと思います。大臣が言わなくちやいかん、私は大臣にお伺いしておるんですから……。
  32. 高橋龍太郎

    国務大臣高橋龍太郎君) 只今の御発言御尤もに感ずるのですが、通産省でもこういう問題はいろいろ研究しておりましたのですが、事業者団体法などの関係でまだ結論を得るに至つていなかつたのであります。そういう事情を一つここで申上げておきます。
  33. 永井純一郎

    委員外議員永井純一郎君) 通産行政責任を以て担当しておられます大臣から、委員会ですから相当具体的なことの御答弁を私は欲しいのです。今の基本的な通産省がやる行政の中で、最も私どもから言えば重大な問題であつて、これについては適正な中小企業経営規模をこういうふうに改善して行きたい、そうしてその協同化はこうして行く、又貿易等関係金融関係があるから、それらを切抜ける策はこうなんだ、こういうもののきちつとした私は基本策がなければならんと私は思う、それを持ち合わしておられるのかどうか、少くともそういう案を持つているのだが、予算等関係でこうできないというようなふうに具体的な私は答弁が願いたいのであつて、何もなければない、こうお答え願いたい。
  34. 高橋龍太郎

    国務大臣高橋龍太郎君) 中小企業行政というものは、これはお言葉を待つまでもなく非常に重要な問題であります。殊に現在の情勢として……。で、中小企業対策としましては、やはり御承知のように日本中小企業というものが弱体であり、社会の情勢経済情勢というものは時々刻々変化いたしますので、いつも時勢に応じてその対策を講じ、強化して行かなくちやいけないのでありまして、その点は私どもは一向怠つておるのでない、今国会におきましても幾多の、幾つでしたか法案を出しておるわけであるのであります。又金融措置等につきましても、いつも努力をいたしておるわけなのであります。将来もそういう考えで進んで行くつもりであります。
  35. 永井純一郎

    委員外議員永井純一郎君) どうも委員会でのこれは議論なんですから、私はもう少し内容のあるお答えを頂きたいと思うのですが、こういう議員立法は誠に我々は結構なんです。だがこの法律を見て、これをしたからといつて中小企業が安定するように私は考えない、そこでもつと基本的な中小企業の安定の具体策というものを政府が先ず作つて、それを持ち合せない限りは、こんなおみやげ法案みたいなものを幾ら作つてつても、長い時間をかけてやつたつて屁にもならないと私は考えますから、提案者にこの法律の具体的なことを聞くこと自体が余り意味がない、そこで責任者である大臣中小企業安定策を一体どういう方策を持つておるのか、そのことがきまつておらない限り、こういつたような一片の、言葉が悪いかも知れませんが、こういつたような法案作つてみたからといつて中小企業の安定はない、ですから私が言うように、具体的に中小企業対策としては、こうこうこういうふうにしようと思つておる、例えば金融の問題一つ取上げても、日銀券の大部分は十大銀行を通じてその殆んど全部が大企業に行つております。これはもう数字が明らかにこれを示しております。又一方では政府資金或いは財政資金というものも、中小企業農業者に殆んど政府が、予算でも資金運用においても廻しておらない、そういう方策をとつてつて、而も自由主義経済をあなたがたがとつておられる中において、中小企業をどう育成するかということは、具体的にこれはもう考えなければならん問題である。その具体的な方策が何もなくして、こういつたようなものを衆議院議員の誰かが出して来ても安定にならないと思うのです。ですからそのことを先ず示さなければ、こういつたような名前だけの安定に関する臨時措置法を審議しても私は無駄だ、その前提になる基本的な方策大臣はこの委員会に示さなければならん、審議する前にこれを示す義務がある。ですからもつと具体的にこうしようと思つておる、金融の策についてはこうして危機を先ず打開して、恒久的にはこうしようと思う、或いは中小企業貿易等の問題は中共の貿易で困つているが、この打開策はこうしようと思つておるといつて具体策をここで基本的な問題だけでもいいですから示さなければ、私はこの法律案を審議して行つても誠に無駄だ、私は大臣自身そう思つておるのではないかと思う。
  36. 高橋龍太郎

    国務大臣高橋龍太郎君) 中小企業対策については、この委員会でもいつか御要求によつて詳しく意見を申上げたのでありますが、中小企業というものは先刻も申しましたように経済問題であるし、又社会問題であつて、そういう情勢の変化によつて始終強化して行かなくちやいけないのです。こうすれば中小企業は安定をするのだというものは私はないんだと思つております。資金面についても、政府資金中小企業対策に使うのはおのずから限度があるわけです。どういうことでも中小企業のためになることならば取上げて行くことが必要なので、今の御発言のように、こういうものはためにもならないのだというふうには私は考えていない。議員立法でありますけれども通商産業省としては、これに賛意を表して来たのであります。
  37. 永井純一郎

    委員外議員永井純一郎君) 通産大臣お答えはどうもおかしいと思うのですが、中小企業というものは情勢のまにまに、波のまにまにただやつてつて、適当にちよこちよこやるよりほかに仕方がない、安定する方策というものはまあはつきりしたものはないんだというようなことだと、結局今日の政府中小企業安定策というものはないというように、これはもう見ざるを得ないと思います。これは幾ら尋ねてもその程度お答えしかなさそうですが、それでは私は更にもう一つ大臣にお伺いしたいのですが、そういつたお考えであるから、今度の政府がやつておる行政機構改革におきましても、中小企業庁というようなものは縮小してもいいんだという現われだと思うのですが、中小企業安定策のこういつた法律を出そうとしておられながら、行政機構改革はなぜ中小企業庁を縮小されるのか、それをここで関連してお伺いしたいと思う。
  38. 高橋龍太郎

    国務大臣高橋龍太郎君) 中小企業庁を外庁から内局に移すという今の設置法の原案につきましては、たびたび御質問に応じて御説明を申上げましたが、もう審判的機能を有するもの以外は外庁に置かないという今度の行政機構の根本原則が先ずきまりましたから、私はそれに追従して、それを認めたわけなんです。これはひとり中小企業庁だけではないのであります。
  39. 永井純一郎

    委員外議員永井純一郎君) ですから中小企業庁だけでなく、その他にもあるんだから、それと同じようにやつたというようなことだと、結局中小企業対策というものを今日の政府は持ち合せないということを私どもが判断してもやむを得ないというような御答弁に遺憾ながらなるのですね。私はそうであつてはならないから、こういつたような中小企業のような助長政策をとつて安定せしむるよりほかないのですから、あなたの言うように波のまにまに放つておけば潰れて行くんです、こういう企業というものは……。ですからそうでないための育成の、或いは助長政策をとるすべての対象の産業であるから、それを司どる中小企業庁というものは縮少してはならないのであつて、拡充、整備して、手の行届いた行政をすべきものだと思うのですね。ですからそういつた線を逆にお答えをなさるので、私は非常に不安になつて来るのですが、中小企業というものはもう仕方がないんだというふうに大臣がお考えになつては私はならないと思うのですが、大体今日の政府の熱意の足らざるところ、それから具体策を持ち合せないということがわかるわけなんです。甚だその点は遺憾に思うわけですが、その他これは提案者なりその他の人に細かい点について二、三伺いたいと思います。
  40. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) ちよつと待つて下さい。
  41. 永井純一郎

    委員外議員永井純一郎君) それではこの法案のことは、この内容は余りやつてもしようがない、それから若しダブつておりましたらダブつておるからとおつしやつて下されば簡単にダブつておると答えて下されば結構です。  第一番目に中小企業は御承知通り最低限度の、最低限度と言いますか、生産の規模が小さいですから、大きなものもこれに書いてあるように、三百人を使用しているもの以下のものと言えば、そういうものもありますけれども、多くは小さい、百人。規模が小さい。それがこの法が目的としている生産の制限をやつたりしたような場合には、そのこと自体でその商売が成り立ないというようなことになりやせんか、このくらいのケースのものなら、それはないんだという規模の標準を示して頂きたい。
  42. 南好雄

    衆議院議員南好雄君) お答え申上げます。中小企業と申しましても、永井さんも御承知通り、これは業態千差万別でございます。中小企業対策と申しましても、なかなか業態が非常に複雑なものですから、要するに対策が、的確な特効薬が直ぐに見付からんということになつて参るんだと思います。で、それと同じように各業種の適正規模と申しますものは、これはなかなかその判定が困難だと思います。例えば絹、人絹のごときものは私たちがいろいろ研究した結果、大体三十台前後の織機でやりますならば、間接費用も一番節約し得られる、こういうことが一応は言われておりますが、さてそれが紐になればどうか、更に進んで人絹、綿糸市になればどうか、こういうふうに指定業種、各業態において適正規模と申しますものは、皆それぞれ違つて来ると思います。違つては参りますが、今の状態におきましては、これは永井さんもよく御承知通り、戦争後のいわゆる朝鮮事変の結果相当程度利潤の上つたものを全部設備の拡張に投じた、その結果設備過剰が起きております。絶対的の、いわゆる或る意味における生産過剰をしておる。そこへ以て来てポンドの問題から、外国の商売、貿易が非常に思わしくないというので、これは二重の生産過剰状態が起きておりますので、調整規程の作り方によりまして、小さいものも一律に悪平等に生産制限をするというようなことは、私は調整規程認可の際においてチエツクすればいいのであつて、少くとも現在の状態においては、今この法律に掲げてあります、別表に掲げてあります指定業種につきましては、或る程度の生産制限をいたしますならば業界安定も期待し得られますし、先々貿易の伸張に従つて、又次の打つ手が見付かるに違いない、現在の状態においては何としても一応の消極的な方法ではありまするが、生産調節によつて一応の市場の安定を与えるのが一番いいんだ、こういうふうに私たち考えたものですから、今のような法案を御審議願うような次第に相成つたようなわけでございます。
  43. 永井純一郎

    委員外議員永井純一郎君) 私が申上げるのは、その考え方が非常に大ざつぱ過ぎる、そういう考え方で、ただ法律を作ることは非常にその迷惑をこうむる人のほうが多いのではないかということを心配するのです。それは何故かと言いますと、今あなたがおつしやるように生産過剰の原因は私はいろいろあると思うのです。これは特に政治的な影響があるから、これは一応別問題として、今日生産過剰の現象があるわけですが、そこでその生産過剰だということで制限をすることによつて直ちに自分たちが食えなくなるというものがある。ところが一方においてはその生産制限をすることによつて利益を得るという部面があると思う、そこで業種別にそれは経営の規模を検討して、私の考え方としては、大きなものの生産者の分の制限は、或るケース以下のものは、そのきめ方がむずかしいと思うが、或るケース以下のものは生産制限をしないで価格が維持されて行つて中小企業の利益が増すということこそやらなければ、ただ一律に生産制限をやれば、その生産制限によつて一番よくなくて痛い目に会うのはむしろ中小企業者だということになつてしまうから、その点は私は大ざつば過ぎるのじやないか、この立法では逆にもつとちやんと段階を付けて、これから以下は生産制限をしなくてもいいんだ、これ以上の生産をするものはその分について生産制限をするということを具体的にやらないと、この立法するところの目的が私は逆になりやせんか、こういう心配から、そのケースを示して欲しいというのです。
  44. 南好雄

    衆議院議員南好雄君) お答え申上げます。今の問題は永井さんと同様の趣旨であつたろうと思うのでありますが、零細企業の問題をどういうふうに考えるか、こういう御質問がしばしばあつたのでございます。私も同様に考えております。生産調節と申しましても、例えば織機につきましても、五百台持つたものも一割、五台持つたものも一割というような生産調節をやらすのではなく、或る程度の段階を付けて零細企業を保護するように、これは調整規程認可の際においては十分注意してもらわなければならんと思います。そういう意味合において、ほかの法律と違いまして、この審議会におきましては単なる生産業者の意向だけで、いわゆる自分の立場を保護するほうに陥らないように審議会を十分に各界の代表者を入れまして、そうして出た結論について通産大臣はその意見も尊重せなければならんという異なつた規定をやつておるのでございます。お言葉のようなことは私たちも当初から考えておるのでありまして、零細企業については十分に保護でき得るような法律を布くように考えているつもりなんでございますが。
  45. 永井純一郎

    委員外議員永井純一郎君) つもりじやわかるんですが、ですから大ざつぱ過ぎると私は申上げるんで、若しお答えがなければ通産当局の誰か、次官だか、局長でもいいですが、今私が申上げることは生産を制限をすることと、そのことによつて値上りをすることとのプラス、マイナスが生産制限したことによつて値上りするということの、値上りしなくとも価格を維持する、値下りを防ぐということのプラス、マイナスをやつて見ると、或る一定のケース以下の中小企業者はマイナスのほうの負担になると思う。その或るケース以上のものがこの利益を受ける、それも相当大規模のものでなければ、生産制限をやることによつての利益というものは私はないと思う。中小企業の多くは、農業も同じですが、生業というか企業になつていないようなものが多い、二十人や三十人雇つておるものが……。そういう点をもつと具体的に研究して明らかにして、両者が、特に中小企業と言われる一定ケース以下のものが救えるような手の届いたものでないと、これは非常に杜撰なものじやないかというふうに思うのです。そのケースは一体どの程度のものからが生産制限をして価格を維持することに上つて、而もその価格は消費者の利益を著るしく害しないような程度にとどめなければならん、やたらに上げることはこの法律ではできないのですから、どの程度のものからはこの利益を受け、どの程度のものは受けないか、却つてマイナスになるということをここで明らかに数字的に我々に示して御説明を願いたいと、こう思うのですが、それが困難であれば、私は委員外のことでもあるし、一応止むを得ないと思いますがね。
  46. 南好雄

    衆議院議員南好雄君) 御尤もの御質問と存じますが、中小企業のいわゆる別表に掲げられた業種についての今の御趣旨のような法律を作りまするといたしますならば、これは非常に煩雑な規定というものは、規定するとたんに客観性を持つて参りますから非常に窮屈なものとなると思うのです。従つて法律の規定として限りますならば、要するに今の言葉はこれは行政内容だろうと思うのでございます。この組合をどうやつて指導して参りますか、要するに主管官庁行政内容が適当であれば、私は御質問程度のものは或る程度行くと思うのでございます。非常にドラステイツクになつて参りますならば、御質問のような欠陥も生じで参りましようけれども中小企業所管官庁もございますので、各業態に通じての相当の調査もあるのでございますから、輿論の動き、それから業態の実際の落着き方、そういうものを勘案いたしまして、同じく生産調整をやるにいたしましても、各業種に違つたいわゆる動き方をして参るものと、こういうふうに考えるのでございます。それを規定に現わして参りますと申しますことは、ちよつとなかなか私は法律の規定に書くことは困難じやないか、こういうふうに考えますので、一応客観的に、抽象的に生産調節という言葉で、あと行政内容譲つてある、こういうことになるわけでございます。
  47. 永井純一郎

    委員外議員永井純一郎君) ところがそういう理窟が通らないようにこの法律ができておるのです、工合悪いことには……。というのは、何故かというと、この調整組合を作る場合に相当大規模のと言いまするか、大きな部門の企業者がこれに入り得るということに法律的になつておる。そうなりますと、私が心配するような調整組合の運営上も、調整規程を作る場合にも起つて来る、つまりその中の大きなものが生産制限をやつて価格を維持することによつて利益を得るケース以上のものによつてその調整組合が牛耳られてしまう、その牛耳ることをこの法律は許しておるということに法律上なつてしまう。あなたが言われるような行政上の裁量の余地ということはここではないわけです。ですから或る一定ケースというものを具体的につかまえて、中小企業庁中小企業のいろいろなケースの実体の数字を持つておるでしようし、こういう企業のこういつたものが適正、こういつた状態のものは適正経営の規模だというような調査もたくさんあるはずだ。そういう数字を基礎にしてきちつとした数字で以てこの法律がこの数字と合うようになつていない限り、ただ大ざつばに相当大きなものもこれに入れて行くということに組合がなつているから、先ほど来の心配が法律上除かれておらない、こういうふうに言うわけなんですがね。
  48. 南好雄

    衆議院議員南好雄君) お答え申上げます。だんだんの御質問でございますが、戦前の組合法におきましては、生産設備の対象によつて議決権が違つていた。そういう場合には法律的に見ますならば、御質問のような弊害も出て参るのでありますが、戦後の法律におきましては、議決権平等の原則で、例えば織機を千台持つた人も議決権一票、五台持つた人も一票でございます。むしろ私はこの法律運用することによつて不当に大きな人が多数決によつて抑えられるかも知れんという心配さえもしているくらいに、少数者のいわゆる小さな規模の業態のかたがたを十分保護してあるのでございます。ですから永井さんが御心配になるようなことは、一応規定の上におきましては実質上力を持つてつて左右するという点は、これは私は避けられんこともありましようとも考えますが、法律的に見るならば議決権が平等である、生産の規模、それから身代の規模によつて議決権が違つていないということで、やはり何と申しましても、自分のことは自分が一番よく知つておるし、自分が一番保護をしなければいけないのでありますから、その維持育成において議決権平等ということを確立してございますれば、或る程度の御心配は除かれるんじやないか、こういうふうに考えております。
  49. 永井純一郎

    委員外議員永井純一郎君) そこで表決権が平等だということは、戦時中の統制組合だとか何とかいうより、それはいいと思う。ところがそのことによつてはやはり救えないのであつて、力のあるものが牛耳るのはこのような業界では明らかなんです。そこで私が言うのは、あなたの趣旨を更に突進めて立法化するならば、これは私どもがざつと考えての話ですが、例えばAケースの調整組合、Bケースの調整組合、Cケースの調整組合というふうに、もう少し一本でなくて、一本に大きいやつも小さいやつも入るのでなくて、もう少し分けて作るほうがもつといいのではないかということを私は考えるわけです。でないと、私が言うようなことが安心ならない。そういつたように細かく分けて、或る程度細かく分けて経営の実体に合うような生産制限なり、或いは価格の維持なりが考えられないと、救おうと思つておる人が救われなくてマイナスを負担しなければならないことになると思うのですが、その心配はありませんかね、これで……。
  50. 南好雄

    衆議院議員南好雄君) お答申え上げます。調整組合は要するに生産制限が全般的に行くというところにいわゆる効果があるのでございまして、積極的に事業をするとか、積極的にいろいろなことをやるということになりますと、これはすでに御審議願つて成立しておりまする中小企業等協同組合法による組合でやつて行く、これは千差万別で、丁度相似よつた規模の連中が集まつて一つつて行く、こういうふうな生産調節というようなものをやる場合は、これはできるだけ何と申しますか、一般的になる、そういうところを狙わなければいけんのであつて、小さな組合が幾つもあつて、それがやつて参りますということになりまと、これはなかなかそんなに簡単に行かんのでありまして、むしろ今の中小企業等協同組合法による組合でも生産制限はできるのでございます。ところがなぜできるにもかかわらずそれが行われないかと申しますと、例えば福井県だけやりましても、石川県でじやんじやん作れば何にもならんし、石川県なり福井県が共同してやつても、群馬県や京都がやれば何にもならんというので、一時はやつたのですが、ものの一週間経たんうちに生産制限が崩れて行く。こういうところに中小企業の持つている特別な特質があるのでございます。それを救うためにこの種のいわゆる法律が現下の状況においては絶対必要ではないか、こう考えましたものですから、御提案、御審議を願つておるわけでございます。
  51. 永井純一郎

    委員外議員永井純一郎君) それでは更にもう一つ進んで、若しダブつておつたらそうおつしやつて下さい。生産制限を行なつて業者が出る、その場合の労働者の保護についてでありますが、幾らか操短する場合の予告だとか、優先再雇用だとかいう規定がこの中に少しあるようですが、その他中小企業の場合は非常に先ほどから言うように経営が困難ですから、その解雇された場合の今後経費だとか、手当だとか、最低賃金、賃金の問題だとか、事実上なかなか基準法があつても行われていない。生産制限があつて業者が出る場合にはなお更です。そういつた場合のこれは具体的な救済策ということはどういうことになるか。
  52. 南好雄

    衆議院議員南好雄君) お答え申上げます。御質問衆議院におきましても、当委員会におきましても、しばしば出たのでございます。中小企業の労務者であるから特別に保護せよというお言葉のように私承わつておらずに、一般的の労務対策としてどうか。こういう御趣旨のように拝聴いたしますならば、この法律は一般のいわゆる労働対策についての特別法をなしておりませんのです。むしろ特別法をなしておる部分につきましては、できるだけ中小企業の実体に応じて労務者を保護するようにという心配りの規定を置いたわけです。昨日も小林委員からその点御質問ございましたのですが、中小企業永井さんのお言葉がありますけれども、大企業と違いまして、労使の対立が大企業ほど切実ではございませんし、割方非常に家族的に行つておるのでございます。これは社会党の議員のかたも十分認めて頂いておるのでございますが、中小企業の部門におきましては、労使の協調は大企業と違いまして、非常にうまく行つているものであります。ただ心配なのは、この法律の二十九条によつて法的に生産制限をするような場合はそれを一項で……。自分の苦しい状態のはけ口にする虞れがないかという御質問もありましたので、そういう場合におきましても、如何なる場合におきましても労働基準法、それから失業保険法の適用はございますので、その程度の保護で現在のところは御満足を願わないと、業態自身が非常に困難で生産制限までして自分の利益を守ろう、こういう状態でございますから、それに積極的のいわゆる労務対策の規定を設けましても、私はなかなか困難じやないか、こういうふうに考えて、その場合においては個々の業態の労働協約によつてきまるものはきまり、それによつてきまらんものは一般的のいわゆる失業保険法とか、或いは労働基準法の適用によつて救済してもらう、こういうふうな段取りに基いて昨日も労働省の課長が参りまして、その通り返事をして参つたような次第でございますが。
  53. 永井純一郎

    委員外議員永井純一郎君) その他二、三ここにありますが、恐らくこれらは、例えば何故業種を法定したかとか、だんだん法定業種が殖えたかといつたようなことは、恐らく皆これは今まで質問があつたと思いますので、一応これで打切ります。
  54. 島清

    ○島清君 提案者お願いをしますが、これは先般の委員会で同僚の小林議員からも質問がなされたようでございまするが、今御承知通り労働問題で紛争の多いのはやつぱり中小企業の工場なんです。そこで本法案が実施されまして調整組合等というものが結成をされて、更にこの法律の裏付として労働者の解雇が自由にできるというような一応方便的なものができるといたしますると、成るほど今の労働問題は中小企業の間には多うございますけれども、併し又もつと進んだ前進をいたすかたもあるわけであります。それには労働者とそれから企業者が対立した関係においては企業の健全なる補助育成ができないから、労働者も経営者側の立場を了解して、両者一体になつて産業を防衛して行こう、守つて行こう、こういう日本的な行き方が現われて参つているのでありまするが、これに便法的に使われまして、解雇等というものが行われるということになりますると、折角芽生えておりまするところの日本的ないい芽がここで踏みにじられる、こういうような傾向が現われて来るのじやないかと思いまするが、提案者はこれを創案なさる場合において、そういう面に思いを煩わされたかどうか。
  55. 南好雄

    衆議院議員南好雄君) その点も私たち法律作つている際におきましては十分考慮したのでございます。毎々お答え申上げておりまするように、中小企業の面におきましては、大きな企業におきまするのと違いまして、割かた一方的に見ますなら封建的という言葉が当るのかも知れませんが、割かた家族的のものが多いのでございます。それで結局非常に……。もう一点深く掘下げて申しますならば、今のままにして放つて置くならば、たとえどれほどの労働基準法の規定がございましても、企業自身が倒壊してしまえば、これはおのずからどうにもならん、こういうようなことにもなりますので、最低限度において企業を安定させてやろう、こういう考えからこの法案を作つたのでございまして、私この法案を作つたために特別に労務者に対して辛い結果が生ずるというようなことは、まあ今までのところいろいろ調査した結果から判断いたしますならば、万々あるまいというような気がいたしますのでございますが。
  56. 島清

    ○島清君 それはどうも南さん了解しにくいですね。南さんも労働問題というところに思いを馳せられまして、何か法案の第二条でございますか、中を聞きますればわかりますが、そういう問題を謳つておられるわけですね。法案の中にあるのですよ、労働問題が……。例えば二十三条に「調整組合組合員たる事業主は、調整規程の実施がその従業員の離職を招来した場合においては、その後の従業員の採用については、当該離職者の希望によりその者を優先的に雇い入れるように努めなければならない。」と、こういうようなですね。調整規程の実施によりますると当然に離職者が出るというものを想定されて、ちやんと法案の中に謳つておられるんですね。ですから今南さんの御答弁だといたしますると、こういうものが出そうにもないというようなことは少し何か立案当時の考え方と今の御答弁と、少し食違いがあるようですが、どうなんですか。
  57. 南好雄

    衆議院議員南好雄君) お答え申上げます。二十三条のみならず十七条におきましても、生産調整をやる場合には、少くとも十五日前に労務者、従業員にわかるように予告せいという規定もありますので、この法律におきましては、他の法律と違いまして、労務対策につきましては許す限りにおいて気を配つておるのでございます。で、私の申上げておりますのは、今のままに放置しておきますならば、元も子もなくなつて、そうして究極の場合は却つて労務者に対して非常な不幸なことになつて参ると、こういうことを申上げたんであつて、その半面におきましては、こういう法律ができることによつて或る程度の却つて労務対策が促進されるんじやないかと、こういうことを半面的に申上げたのであります。立案当時以来労務者に対する考え方といたしましては、私たちはこういう経済立法の中にないような規定を入れで、細かにできるだけの気を配つているということを申上げたのであります。
  58. 島清

    ○島清君 私の御質問申上げておる要点は、まあ私は自由党さんでこういうものは御提案にならなければならないということについては、これは議論に亙らない程度に、質問の前提としてお話し申上げると、結局は貿易政策の行詰りからして中小企業は行詰つた。行詰つて、そこで中小企業の何と言いますか、救済と言いまするか、助成と言いまするか、そういうような政策の持合せがありませんので、こういう法律の姿となつて現われて参つたと私たち考えておりまするが、私のここで懸念をいたしまするのは、こういう法律ができて参りましたので、この法律に基いて従来非常に家族的にやつておりましたところの中小企業者の労使関係というものが、この法律に今回基きまして、調整組合作つて、それから労働者のほうにはこの法律に基いて予告期間を置き、更にこれに基いて離職を当然のようにするといつたようなことがこの法律に基いて行われる危険性がある。そうであるといたしまするならば、若しそういうことがあるといたしまするならば、私はこの二十三条にどうしてもやつぱりこの企業の維持経営のために調整組合に入つて、それで危機を克服しなければならないと、こういう事態に直面をして、労働者のほうにも一時職を離れてもらわなければならないという事態が参りました場合には、そればそれといたしましてもですね、次に又新らしい労働者を必要とする場合には、私は当然離れて行つた従業者を当然に雇わなければならないというような規定があつて然るべきだと思いまするが、この当然に雇わなければならないという場合には、ただこれを努力しなければならない、努めなければならないというところにぼやかしてあるのですね。だから事業主は労働者に対して、この法律に基いて離職を或いは要求することもでき得るし、それをさせることもできるのでありまするが、景気が回復をして事業が拡張できるというようになりますると、新採用については首切られた前の従業員に対しては、ただ努めなければならないというぼやかしの規定しかないということは、これが労働者の首切りの道具に使われるのじやないかと心配するのですが、そうじやないとおつしやるならば、二十三条に雇い入れるように努めなければならないということに努めるというようなことは私は不必要だと思いまするが、これをどうしてここにぼかしてお入れになつたかどうかを御説明願いたいと思います。
  59. 南好雄

    衆議院議員南好雄君) お答えいたします。この中小企業の実際につきましては、御承知通り何と申しますか、新らしい職工、新らしいいわゆる労務者と申しまするのは、企業の実態から見ますと、企業主から見ましても、そう歓迎する状態ではないのだと私は思つております。当然生産調節なんかやりまして、一時休業いたすようなことがございましても、その休業期間中の給与の問題なんぞは、昨日も小林さんからも御質問があつたのでありますが、それは大企業者の状態における労使の団体協約によつてきまつて参るのですが、そういうような場合は、若し景気が戻りまして、新らしく生産を増して行くというような場合には、法律の規定がなくとも当然従前の連中を雇つて行くのが今までの実情なんでございますから、そう何と申しますか、当該離職者の希望によつてその者を優先的に雇い入れなければならんといういわゆる強行法規にしなくても、二十三条のような、いわゆる努めなければならない程度で十分所期の目的を達して行くのではないか、お言葉のようにぼかしたのではなくて、企業の実態から考えまして、この程度でお言葉のような結果になつて行く、こういうように私たち考えているのでございます。
  60. 島清

    ○島清君 それは私はそういうような事態で労働者の諸君が一時職場を離れなければならない場合、併し私は離れる場合には当然に帰る権利というものを法律の上に確保してやらなければならないと思うのです。これは確保されていないのですね。だから私はこれを称してぼやかしているのだということを質問しているわけなんですが、まあこれはどうですか、私からこういうふうに指摘されますると、そのぼやかしをもつと明確にこれを帰る権利を確立している。そうするならば、私は努めるというようなことはこれは不必要だと思うのですね。これは削つたほうがいいのじやないか、むしろ削るべきじやないかと思うのですが、どうですか、それに対しましては……。
  61. 南好雄

    衆議院議員南好雄君) お答え申し上げます。大体再雇用の問題にいたしましても、それから離職の問題にいたしましても、これは一般的に労働立法で行くべきものであつて、この種特別法でそういう一般労働法規に特別法のことを規定して参りますことは、まあどういうものだろうかという話もありまして、二十三条のような規定になつたのでございまして……、と言つて中小企業の実態は、御承知通りに大企業のように経済的に非常に強固で、自分の利益を図るために労働問題を処理して行くというような実際上の問題でなくて、私たちその中小企業の真ん中に、私自身も中小企業でありまするが、やつておりますのを見ますと、あらゆる場合やはり労務者対策を第一番に考えてやつております。そこでお尋ねのような御心配の点は、私なんかの体験では、二十三条のような規定で十分救えて行くのじやないか、こういうふうに考えているのでございますが、ここで一般の労働法規の特別法規を作つて、そうして優先雇用の強行法規を作つて参りますということは、私はこういう経済立法の中味としては少し行過ぎではないかというふうに考えましたものですから、二十三条のような規定にしたわけでございます。
  62. 島清

    ○島清君 あとは議論になりますので質問はいたしません。今度は方向を変えましてお聞きいたしまするが、大体私たちが常識的にこれは把握したところによりますと、中小企業の危機を乗切るために生産調整をやつて、そうして物価の安定を図つて一時の危機を克服して行きたい、そのためには或いは消費者のかたがたには若干の迷惑は受けるかも知れないけれども、止むを得ないことだ、こういう工合にまあ法律の全体的な趣旨を了解するわけなんですが、こういう工合に自由に指定業種調整組合作つて行く、そうすると、私が要求いたしまして、ここに資料が提出されておりまするが、大企業の事業は何にも触れていないようでございまするが、その業種生産調整をしなければならないという場合において、それと関連する大企業に対してはどういうふうな対策をお持ちであるかどうかをお聞きしたい。
  63. 南好雄

    衆議院議員南好雄君) お答え申上げます。大企業対策中小企業に関連する大きな企業対策につきましては、これは提案者の私から御返事申上げるのはどうかとも思うのでありますが、中小企業の実態をよく見て参りますと、これは漠然と中小企業と申しているのでありまして、それでは法案の適用の範囲がわからんというので、この法律におきましては、中小企業というのは三百人未満であるというふうに一応限界を引いてございます。この限界から考えてみますると、別表に規定してあるものにつきましては、大体将来も中小企業状態にずつと行くのだ、こういうようなものが多いのでございます。それに関連する大企業と申しまするならば、或いは紡績業者とかいうようなものになつて参ると思います。スフ業者とか、或いは人絹メーカーとかいうことになつて参るのじやないかと思いますが、こういう業態につきましては、これは通産大臣なり、通産政務次官からお答え頂くのが本当かも知れませんけれども、私の考えを申上げまするならば、この業態はこういう法律を与えて、そうして自分の事業を保護しなくても、保護するように努めなくても、みずから保護する力を持つております。ですから或る程度消費者の利益ということを考えるならば、そこに公正な競争を行わしめて行つたほうが、むしろ生産の進歩ということに相成るものと私考えます。ただ私たちがここにつかまえておりますような中小企業におきましては、業態の実際が、企業主全部がやつているというようなことで、海外の市場の変動とか、それから日本の内地の各所における市場の変動ということに対しまして対処すべき態勢も持つておりませんし、資本も持つておらないというのが事実である。そこでそういう業態については調整組合のようなものを作らせて、自分のことを自分で保護するように、団結の力で以て自分の業態を保護させて行くというのが本法制定の本当の意味であつて、大きな業態についてはむしろこれは生産行政全般についての私は見解に相成ろうかと思いますので、次官もおいでになりますから、そのほうから御返事して頂きます。
  64. 島清

    ○島清君 私は関連産業という言葉を使いましたので、ここで訂正いたしますが、同一産業ですね、同一産業のことを申上げている。例えばここに資料として出されている毛織物の業ですね、これを中小企業と大企業に区別しておられるのでありますが、大企業が二五%占めているのですね。そうすると、七五%の中小企業はこの法律によりまして生産調節をできるわけなんですが、やつた場合に二五%の大企業に対して何ら措置がなされないということになりますると、これは中小企業を犠牲にして大企業の利益を擁護しているというような恰好になりはせんかと思うのですが、これに対する対策なんですが。
  65. 南好雄

    衆議院議員南好雄君) お答え申上げます。その毛織の関係のように、比較的いわゆるこの法律に申しまする大企業が多い部門、三百人以上使つているというような部門の多い場合は、この組合法によつてそういうものも調整組合の中に入ることは禁止しておらんのであります。中小企業等協同組合法の組合によりますと、大企業公正取引委員会の承認がなければ入れませんけれども、この法律によります調整組合組合員たることは一向差支えないのであります。そこで入つて頂いて一緒に生産調整をやつて頂くのは、これは同一業種全体で、自分の利益を自分の団結によつて保護して行くということになります。若し入らん場合になつて参りますと、これは七五%の人たちが生産調節をやりましても、残り二五%の人たちのいわゆるフル生産によつて市場が安定せんと思う。それからその人たちも自分たちが犠牲になつて大きな人を擁護するというような、それほど甘い状態でない。そういう場合になつて参りますと、この法にございますように、二十九条の場合になつて通産大臣組合から申出て頂いて、アウト・サイダーに対して勧告をしてもらう。なおその勧告も聞かぬような場合には、法律で以ていわゆる中小企業者と同一の制限をするように権力を以てこれを抑えて行くということになつて参りますのであつて中小企業者だけがこのいわゆる法律の結果逆に犠牲をいたしまして、多くの人たちが勝手にやれるというようなことのないようにこの法律はできているのです。
  66. 島清

    ○島清君 それはお説の通りでございますが、併し官庁の仕事というものは非常に、余り能率的じやないのですね。その調整組合のほうから大臣のほうに何か申出をする、申請をするのですか。それからそれを受けた大臣が更に企業のほうに勧告をするといううちに危機を私は過ぎてしまうのじやないか、そんなにこれは長期に亙るものじやないと思いまするので……。例えば季節的な調整ですね、そういうものをすれば足りるような場合があると思う。夏枯れとかいう場合には生産を調整しなければならんという場合があり得ると思う。そういう場合に業者のほうから申告をする。それが受取つた地方の通産局から大臣のほうに廻つて行くうちに三ヵ月も四ヵ月も経つてしまつて、何のことはない、言われるところの中小企業の犠牲によつて企業というものがフルに生産をするというような事態が起るのじやないかということを私は申上げているわけなんであります。
  67. 南好雄

    衆議院議員南好雄君) お答え申上げます。御質問のように、ちよつとしたいわゆる値下りに対しても、こういうような方法で生産調節をやるというような例を考えますならば、行政機構の今までのあり方から考えますと、お言葉のようなことになるかも知れないと思いますけれども、ここで狙つておりますいわゆる不況は、第二条に書いてありますように、相当程度長期に亙り、且つその不況が容易に回復しないという場合においてのみ発動して参るのであります。で、これはこういう中小企業は保護しなければならんが、ど言うて消費者大衆の利益を全然犠牲にして、今やつている人たちだけを保護して行くということもこれは片手落ちのいわゆる行政にならざるを得んと考えますので、やたらにこの生産調節をやつて、そうしてイージー・ゴーイングに現在の人たちを保護して行くというような工合に私たち考えておらないのでありまして、或る程度の不況に対して、そういう関連業者の団結によつて切開いて行く、こういう考え方からこの法律ができているのでございます。
  68. 島清

    ○島清君 提案者石川同僚議員が質問した場合に、相当この法律には不備がある。又以前から相当杜撰なものであるということをお認めになつているようでありますが、更に一応この法律は通してもらいたい。通したあとで又改正して行こうじやないかというような、こういうような頗るくだけた、非常に正直で率直な御答弁を頂いているわけなんですが、これはあれでございますが、この法律を今早急に作らなければ、あなたが想定をしておられるところのこの十二業種が救えない、今の自由党の生産行政を以てしてはできない、こういうような意味でございますか。
  69. 南好雄

    衆議院議員南好雄君) お答え申上げます。御承知通り只今中小企業等協同組合法による組合も生産制限ができる。ところが何故それが生産制限が実際問題としてできないかと申上げますと、御承知通り独禁法と事業者団体法がございまして、つまり生産制限のようなものを本当に効果のあるようにやろうといたしますと独禁法違反になつて参ります。そこで御承知通り福井や石川の絹、人絹のごときは製品が原糸よりも安いのであります。何故やるかと言つてもやつている。こういうことは長く続かすべきものでもなければ、又長く続いていることによつて本当に国民のいわゆる中産階級に当る人たちが続々倒産していることも島さんよく御存じのことと考えまして、そういう独禁法や事業者団体法の例外規定にないような、こういう法律を一日も早く作つてつて、そうしていわゆる急場のあれを助けてやる、こういうのが一番最初に私ども法律を作ろうとした動機なんです。今の状態におきましては、独禁法や事業者団体法の例外規定にないこういう調整組合のようなものを作つてやるのでなければ、私の考えでは到底救えないのじやないか、こういうふうに考えているので、成るべく速かに御審議の上一日も早く法律案を通して頂くようにお願いしているようなわけなんであります。
  70. 島清

    ○島清君 そのお気持はよくわかるので、中小企業者の諸君もおつしやる通り破産、倒産で嵐の前の、風前の灯みたいな状態に置かれておりまするので、何でも議会で中小企業という言葉を使つただけで、何かしら非常に救われたような安心感を持つのですね。ところがこの法律が実施された場合に、実際に政府がこの法律に基いて中小企業者に救いの手を差伸べられるという物質的な、財政的な裏付というものは一体どのくらいですか。
  71. 南好雄

    衆議院議員南好雄君) お答え申し上げます。この法律によつて実質上財政的な裏付はございません。できるだけ私たち今後これは努力によつて中小企業対策としての一環として努力いたすつもりでおりまするが、但し私らの県、福井県でも石川県でも京都府でも群馬県でもそうでありますが、従来はそういう今非常に困つている人たちに貸出しをすることが最も安全な投資の方法だつた。ところが御承知のようにお先真暗になりまして、製品が原料よりも安いというような状態になつて参りますと、今までの投資も非常に悪い投資になつて、回収を銀行が急ぐ。それからこの上に金を出して行くということも非常にやかましくなるというので、金融的に詰つて倒産なんかも一部分は促進されているというような実情も見受けられるのでございます。そこで一応の腰だめが出て、その業界が安定して参りますならば、私は金融機関もどうせ貸すのが商売でございますから、安全と見ればどんどん金を出してくれる。それによつて業界も自然的に安定の度を又増して来る、こういうふうに考えているのでございますが。
  72. 島清

    ○島清君 南さん、そのものの考え方ですが、例えば中小企業の安定を図るために企業合理化をしなければならない、こういうことも謳われて参つたわけですが、企業合理化と言いますると、直ちに資本家と言いまするか、事業者側と言いまするか、そういうかたがたがそれを同意語のごとくに、すぐ首切りが始ます。日本のように企業合理化ということは裏を返せば従業者を整理することのように誤解されて、そういうふうに銘が振われて来たわけです。ところがそういうような状態では今日労働者は基本的な人権が、或いは又労働三法等の規定によつて相当拡充されている場合に、そうもやりかねないので、実際はお察しするに事業者の諸君も困つておられたと思うのです。ところが困つている状態、例えば福井の例をとれば、福井の労働組合の諸君が本委員会に来まして、福井の絹、人絹の苦境を打開してもらいたいというような、労働組合側から率先いたしまして本委員会に陳情して、是非一つその事業を救つてもらいたいという請願、陳情がわざわざあつたのです。ところが福井の事業者側はこれに同調しないばかりではなくして、この労働者のそういう事業の救済対策に対しましてむしろ反対をしているというような傾向があつたのですね。私はこの法案の裏には、この労働組合側のほうが労使一体になつてその事業を守つて行こう、防衛して行こうというような動きに対して、そうじやなくて、事業を守つて行くためには労働者を整理しなければならないのだというような考え方に基くものが大半この法案の趣旨としているところじやないか、そういうような疑いを私は持つているわけなんです。どうも南さんの御説明を承わりましても、この疑いを私が了解する程度の御説明を承わつてないわけなんですが、私やつぱり今日日本国内的にも行詰り、貿易的にも行詰つている場合には、これを一人の犠牲においてしわ寄せをして産業防衛をしようという考え方よりも、こうなりますると、やはり八時間働いたものも九時間働いて、九人で食えるものを十人で食つて行くのだというような、国内的にはそういう人間的な、家族的な気持がなければ、私は中小企業と言わず日本企業を守つて行くことはできないのだ。それは貿易政策の余力を得まして、東南アジア或いは中共貿易等が盛んになりまして、日本の製品がどんどん輸出され、更に日本の必要とされるところの資材が諸外国から入つて来る。安いものが入つて来るというような状態になれば話は別でございましようが、そういう道を封じておいて、そこで企業が困ると、それは直ちに労働者のほうにしわ寄せして行く。そうしてそれを守つて行く道は結局従業員の整理しかない。こういつたような貧困な産業政策、中小企業対策というようなものはどうかというような疑いを持つているわけなんです。願わくばこういう非常に大ざつばなものの考え方に対する責任と言つていいのか、何かわかりませんが、こういうものを納得の行くように御説明が願えるならば、幸い南さん福井の例をとられましたので、私は福井の例を申上げたのですが、そういうものも含めて、我我の納得するような御説明が煩わせるならば大変仕合せだと思います。
  73. 南好雄

    衆議院議員南好雄君) お答え申上げます。御納得の行く説明ができるかどうかは存じませんが、この法律を作る場合におきましても、これは単に私たち同僚だけで作つたのではないのでございまして、事実上指定業種に当嵌るような業界のかたがたも来て参画して頂きまして、それから福井、石川の労働団体のかたがたも私のところに来て頂いて、そうして相共々にこの法案を練つたのでございます。中小企業の実態におきましては、今御質問になりましたように、紡績業者の労務状態と違いましで、現在におきましては馘首しなければならんような、そういう余分の労務者を抱えている状態は福井、石川にはございません。精一杯切詰められた状態で、そうしてやるときには、全体の機能がとまるという状態に追込まれております。従つてこの法律が出たからといつて、私は特別に犠牲が生じて行くというようなことは万あるまい、こういう観念で、こういう考え方でお答え申上げているのでございます。むしろ業界が安定すれば、或る程度安定して参りますならば、そのうち海外の日本の商品を買つている人たちも、今のようにだんだん下つて行くというような市況では、日本の品物を買つて売るまでに、又次に買つた人が下つて行くというので、パキスタンあたりの綿織物を、いわゆる日本の品物を買つているかたは、非常にたくさんの倒産者が出たというような話も聞いておりますように、輸出を増進する上においても業界の或る程度の安定ということは是非とも必要だ。併しそれをやろうといたしますと、悲しいかな独禁法や事業者団体法によつて非常に実効のある生産制限ができない。古い私たちの郷里の或いは福井県の業界のかたがたに聞きますが、絹、人絹の業をやりまして、三、四十年やつているが、今までに或る程度業界の申合せによつて生産制限をやりますと、すぐに業界が安定したものであるが、最近は一週間やつても十日やつても、実際守つてもくれないし、それが市場に的確に反映してくれないといつて非常に困つている。これは昔の組合法によりますと、或る程度強制力を持つているのでありますが、今の中小企業等協同組合法による調整程度では、私は全般的の生産制限というものはできない。そこでどうするかということになつて、止むを得ず今お手許に御審議願つておりますような調整組合によつて、いわゆるセルフ・コントロールで事業をし、これに足らないところは官がこれに力を貸すことによつて実効のある生産制限をするという段取りになつたのでありまして、私は福井や石川や静岡や愛知や京都というような繊維関係産業のあるところにおきましては、この法律によつて或る程度業界の腰だめ安定は必ず期待できるものと、こういうふうに考えているようなわけなんでございますが、ちよつと甘い考えかも知れませんけれども……。
  74. 小林孝平

    小林孝平君 この法案を見ますと、調整命令が効力を発したのちにおいて新規に事業を始めるものは、それを抑制する規定がないのですけれども、これはなぜこういう規定を置いておかないのですか。そういう必要がないのかどうか。ところがこの衆議院附帯決議を見ますと、その第四項に「調整命令が効力を有する期間に限り、指定業種に属する事業の新規開業に付いてはこれを抑制するため、適当な方法を講ずること。」、こういうような附帯決議も付いているのでありますが、提案者はこの法律を立案される際には、そういう必要を認められなかつたのかどうかをお伺いいたします。
  75. 南好雄

    衆議院議員南好雄君) お答え申上げます。法律的に、理論的に考えますならば、小林さんの御質問通り、そういう規定が欲しいのでございますが併し、現在の中小企業の実態の段階におきましては、調整組合を作ることにより、通産大臣がこれに法的拘束力を与えますならば、日本全国全部これに従わなければならないということが、そういう新らしく事業を始めるようなものがありましても、当然その制限に従つて行くというようなことになりますのであつて、今のように製品が原糸より安いというような状態に新らしく事業を始めるような、そういう業界の実情に暗い人もないので、国民の営業自由の原則を制限すると申しますことは非常に重大な問題でありますから、法律実施の状況に勘案いたしまして、そういう場合が起りましても、又法律改正してやつて行くのであつて、こういう場合もあるだろう、ああいう場合もあるだろうといつて基本人権と言われているような営業自由の原則をここで禁止して行くのはどうかというような提案者仲間の議論もございましたので、一応はこの法案から除いてございます。併し理論的には小林さんの御質問のように、そういう場合があれば却つていいというようなことも考えられますのでありますが、何と申しましても、これは非常に大きな法律上の特別の意味を持つておりますので、やりますならば、もう一遍実施状況を調べてみましてからやつても遅くないであろう、こういう議論も一理ありましたものですから、この法案からそういう規定を除いたのであります。
  76. 小林孝平

    小林孝平君 今例に挙げられました業種については、そういうことがあるかも知れませんけれども、私はこの十二品目、今後更に追加を予想されるような品目について考えれば、新規に事業を始めるかも知れないというようなことは考えられないと思うのです。そういうことになれば、やはり非常にこれは不備ではないか、非常に不備だということを認められたから、附帯決議の第四項が挿入されたのだと思いますが、ここでこの第四の「適当な方法を講ずること。」、この適当な方法とはどういうことを考えているのですか。
  77. 南好雄

    衆議院議員南好雄君) お答え申上げます。附帯決議の条項は今後そういう実情が若し生じたような場合、そういうような場合におきましては、私たちがみずから進んで法律改正をやるのも一つの方法でございますし、政府みずからこの法律改正するのも一つの方法と思います。その状態に応じて適当な方法を講じて、そうしてやつて行く。何と申しましても、営業の自由を制限するというようなことは、よほど実際的な現象が起きた場合においてのみ皆様方のいわゆる御賛同を要するのであつて、これは理論的にそういうこともあるだろうということによつて法律をこしらえて行くということは、多少理論に走り過ぎるというようなことも考えられましたので、現在の段階におきましては、こういう状態法律が最も妥当ではないかということで附帯決議に付けたのでございますが。
  78. 小林孝平

    小林孝平君 ちよつと今聞き落したのでありまするけれども、そういたしますると、適当な方法を講ずることというのは、要するに法律改正によつて新規の事業をやることを抑制するというような方法を講ずるということを考えているわけでございますか。
  79. 南好雄

    衆議院議員南好雄君) お答えいたします。そういう場合にはそういうようにやるよりほかにない、こういうふうつに考えております。
  80. 小林孝平

    小林孝平君 そのほかどういう方法があるのですか。殊に適当な方法というのを具体的にお尋ねしておきます。今は、一点は法律改正する、そのほかはどういう……、ただこれは何かそういうこともやらなければならんから、ちよつと書いてみたという程度のものなんですか。或いは具体的に法律改正することが一点、そのほかどういうこと……、そういうことをやれる方法があるのですか、ないのですか。
  81. 南好雄

    衆議院議員南好雄君) お答えいたします。ちよつとその決議案を私持合しておらないのでございますが。
  82. 本間俊一

    政府委員本間俊一君) 或いは私の御説明で御満足が行かないかも知れませんが、御指摘もありましたように、非常な不況が長期に予想せられまして、止むなく生産の調節をしなければならんというか、いわば非常の事態なんでございまするから、その際既存の業者が操業を短縮いたしておりまするときに、新らしい業者が新らしい設備をどんどんして行くというようなことは、御指摘もありましたように非常な矛盾もあるわけでございます。そこで最初に新設をいたしまする場合には明らかに許可を必要とするようなふうにしたらどうかというような意見もあつたわけでございます。それから又新設を禁止するような立法措置を講じたらどうか、条文を付けたらどうだというような議論も実はあつたわけでございますが、いろいろ公取の関係その他もございまして、提案者のほうではこの程度条文にいたしたと思いますが、只今提案者のほうから御説明がありましたように、そういう事態が起りまして、生産の調節をいたします側のほうから言えば、非常に問題だというような場合には立法をいたしまして、その法律によりまして措置をするということが、これが一番妥当だと私は考えるわけでございますが、そのほかに何か有効な方法があるかというお尋ねでございますが、例えば綿の問題或いは人絹の問題もございますが、御承知のように綿の関係で申しますると、原綿の割当その他或いは電気の関係その他で、これはいい、悪いは別でございますが、行政的に多少そういつたようなものを抑制するようなことはできるわけでございます。ただそれをいたしていいか或いは悪いかというような議論はあろうかと思いますが、行政的にも多少抑えるような措置はできるということはお答えができるかと思うのでございます。この趣旨はどういう意味合になつておりますか、私も的確にはお答えできませんが、そういうような場合も考慮いたしまして、若しそういうような場合があれば、原綿の割当その他でやはり調節をすることがいいのじやないかというような意味合も実は含まれているのじやないかというふうに考えましたので、補足的に私のほうからその旨だけお答えいたしたいと思うのでございます。
  83. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) では今、先ほど永井さんから御注文の公取委員会事務局の総務部長古内広雄君が出席されましたから、そちらのほうに御質問願います。
  84. 永井純一郎

    委員外議員永井純一郎君) それでは折角公取から見えたようですから、時間もありませんし、一点だけ簡単にお尋ねしたいと思いますが、これは独禁法との関係ですが、独禁法の建前から経済政策としてでなしにお答え願えれば結構なんですが、独禁法の建前からしまして、法律的にはまあこういつたような特別法を作つてしまえば、当然その法律があるから、特別法ですから、その範囲で行けるわけですが、あなたのほうの独禁法の建前から行けば、こういう法律を作ることは好ましくないのであつて、独禁法の建前の中において中小企業対策を若しするとするならば、独禁法の建前からは生産を制限をしたり、販路の協定をしたり、価格の統制のごときものをしたり、特にそれがアウト・サイダーまで及ぶというようなことになることは許されないことだ。従つて独禁法の下で行われるとするならば、価格の安定策等では、例えば政府買上というような価格安定策をやるとか、或いは設備の合理化をやるというようなことが許されるのであつて、こういつたようなことはもう明らかに独禁法の上からは許されない、法律上……。これはいろいろ政治的にこういう法律作つて、特別法として生れるわけですが、私はそう思うのです。そこで法律の問題として、公取はこれを一体どういうふうに考えておられるか。これは輸出組合法然りであり、輸出組合法のほうがもつとひどいように思うのですが、それを先ず伺いたいと思うのですがね。
  85. 古内広雄

    政府委員(古内広雄君) 只今おつしやいましたように、経済政策的見地という点は余りウエイトを置かないで、法律的な見地から申上げますと、独禁法の規定並びに精神から参りますると、おつしやいましたように、今御説明なさつたように、業者間で話合いをして生産数量をきめたり、或いはその他の取引条件をきめることは、あらゆる業種についていけないわけでありまして、ただ多少の例外がございまして、非常にネグリジブルないろいろに小さな相互扶助の組合なんかは別といたしまして、全般的に申しますと、そういうやり方は一切いけないわけであります。やはりその経済政策的な必要がございまして、どうしても価格の協定なり或いは生産数量の制限をやらなければならないという場合については、特別の除外法を作らなければならないというのが今までの公正取引委員会の確固たる方針でございます。従つて輸出組合法なり或いはその他今までできましたそれぞれの特別除外法はそういう精神でできているのでございます。このたびの特定中小企業安定法も、その経済政策的な見地から特定の中小企業についてこういうようなことを認める必要があるとするならば、それが支配的な考え方になりますと、やはり我々の法律的見地からはどうしても特別の法律作つて頂かなければならない、こういうふうな態度で臨んだわけでございます。
  86. 永井純一郎

    委員外議員永井純一郎君) 特別の法律を作るという救済の規定があるのだと言いますが、ところが更に私は伺いたいのは、この組合ができまして、それが戦前の工業組合等のような役割を果すような心配が私は今日の日米経済協力の関係で起つて来ると思う。それはどういうことかというと、現に日本輸出入のバランスは大体特需、新特需で賄つているわけだが、それは先ほど来提案者が御説明しているように、採算割で赤字の輸出をしながらやつている。そういうことをやられている、アメリカの経済からして……。そこでこういう組合ができることによつて、それに更に拍車をかける傾向に私は必ずなると思う。それは海外に向つてはダンピングをやり、その償いを国内価格の引上げによつてして行くということの役割をこの組合が私は果して行くと思う。そういうことを行うようなために海外にはダンピングし、その償いを国内の販売価格等の協定をして釣上げて行く。そうしてこの組合を使つてそういうことをさして大幅に行われて行くということになつては、この特別法があつても独禁法の建前からは私は許せないと思う。そこまでは独禁法はやはりそういつた場合にはそれに及ぼして適用されて行くのじやないか、こう思うのですが、どうですか、法律的には……。
  87. 古内広雄

    政府委員(古内広雄君) その点はこの法律の規定によりますれば、御覧の通り第十六条の第二項に三ヵ条チエツクするモメントをそこに入れてあるわけでございまして、その危機を脱するために必要且つ最小限度の範囲を超えないものであつて、それから不当に差別的であつてはいけないということと、消費者の利益を著しく害するものてあつてはいけない。この三点が非常に重要な点と存じまして、これは特に私どものほうからも提案者のほうにお願いして、こういうものを特に入れて頂いたのでございます。問題はただその運用に際して、おつしやいました、只今御指摘になりましたような弊害が、ややもすると或いは起るような情勢があるかも知れませんので、勿論私どもとしては絶えずそういう情勢に注意いたしまして、できるだけフエアーに、又その必要に応ずるように委員会としても全力を尽したいという考えを持つております。
  88. 永井純一郎

    委員外議員永井純一郎君) そこですね、その限界点ですが、そういう規定があるようですが、ところが消費者に迷惑を及ぼしてはいかんというようなことは、今日の日米経済協力の関係から行くと及ぼさざるを得ないような事態にだんだんなつて来て、そうして国内価格を釣上げる。そうしてダンピングして得たドルその他の外貨をアメリカが強要するところの軍需生産資材をそれによつて買わされるというようなことがだんだん繰返されて悪循環して行けば、今の規定は勿論のこと、独禁法からは許すことのできない大幅な、この法律が予想しているような小規模なそういう程度のものではなくして、独禁法そのものから考えなければならんようなことになると思う。そういう場合にもやつぱり依然としていいのかどうか、そういう場合には独禁法の建前から、法律的にはこうしなければならんというように考えるのかということを聞いている。
  89. 古内広雄

    政府委員(古内広雄君) そういう問題になりますと、公取の立場からだけではなかなか問題は解決することができない問題になつて来ると思うのでありまして、そういう問題になりましたら、これはやはり外交交渉その他のチヤンネルで大きく一つそういうことのないようにチエツクして頂くよりほかにしようがないと思います。
  90. 永井純一郎

    委員外議員永井純一郎君) ですから、それを私一番先言うように、そういう問題は貿易の問題になり、外交の問題になるしするから、そういつた見地からの回答でなく、法律的な立場考え方を現在独禁法というものがあるのだから、その範囲での答えで結構です。
  91. 古内広雄

    政府委員(古内広雄君) その今御指摘になりました点を解消する法律的な機構そのものは、現在の独禁法ではまだできておらないと考えるのでありまして、併しながら一般において御承知のように例のITOの考え方なり、それから国連の経済自立の考え方なりで、はつきりこの国際取引間における、取引場における非常に独占的な地位を利用しでの利益の独占ということを禁じようという動きが世界に澎湃として起つて来たわけでありまして、日本と今後結ばれる通商協定の交渉などにもそういう点が現われて来るのでありますが、そういう精神を公取委員会としても十分参酌いたしまして、公取に許された範囲内の問題の取扱いにおいてそういう精神を入れて行きたいと思います。
  92. 永井純一郎

    委員外議員永井純一郎君) 私も詳しく各条文に亙つて読んでいないから、独禁法についてもよくわからないが、大体常識から言つて国際経済的に解決しなければならない問題があるのはわかるのですが、純粋に法律論として私が想像するところでは、海外ダンピングをやり、国内価格の釣上げをやるというように順次だんだんこれをやつていると、そうするとこの範囲内においては国内的には法律的に独禁法によつてそれはいつまでも許しておくわけに行かない、こう思うのですよ、そのときにその他の調節する規定も何も勿論これにもないのだから、私は国内的には独禁法としてはそれに対する措置はできると思うのですがね、できると思うのです。それともできないのであれば、全然独禁法というものの存在がこの十二業種についてはないという解釈をとるということに、一歩進んでお尋ねしなければならない、こうなると思うのですがね。
  93. 古内広雄

    政府委員(古内広雄君) 只今の御質問お答えいたします。現在の独禁法を使うといたしますれば、第二条の公正競争方法とはどういうものかということを指定して、それをやらないような規定を設けているのでありますが、その中に「不当に低い対価を以て、物資、資金その他の経済上の利益を供給すること」はいけないということになつておりますので、これは主として国内の取引について考えられているのでありますが、この規定あたりを使つて何らか措置できると思うのです。
  94. 永井純一郎

    委員外議員永井純一郎君) 釣上げのときでもですね。
  95. 古内広雄

    政府委員(古内広雄君) はあ。
  96. 永井純一郎

    委員外議員永井純一郎君) だから結局独禁法はそういう場合に適用し、活動さして行くと、こういうわけですね。
  97. 古内広雄

    政府委員(古内広雄君) はあ。
  98. 永井純一郎

    委員外議員永井純一郎君) そういうお考えなら私はよかろうと思うのです。無制限にそういうことが行われる場合には独禁法というものがやつぱりあつて、そうして独禁法の精神は生きておつて、そうしてそれによつて規制をして行くということを政府がする、何とか安定措置法との関連で考えをされるならば、まあ私はいいのじやないかと、こう思うのです。で、公取委員会は勿論これに協議を受けて、全体として輸出取引もそうですが、賛成をしておられるのでしようね、勿論……。
  99. 古内広雄

    政府委員(古内広雄君) 勿論公正取引委員会としても賛成でございます。
  100. 永井純一郎

    委員外議員永井純一郎君) もう大体いいでしよう。余り遅くなるから……。
  101. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) これを以ちまして暫時休憩いたします。    午後一時二十六分休憩    〔休憩後開会に至らず〕