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1952-05-27 第13回国会 参議院 通商産業委員会 第39号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年五月二十七日(火曜日)    午後二時十四分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     竹中 七郎君    理事            松本  昇君            結城 安次君            栗山 良夫君    委員            中川 以良君            山本 米治君            高瀬荘太郎君            島   清君            境野 清雄君            西田 隆男君   国務大臣    通商産業大臣  高橋龍太郎君   政府委員    資源庁次長   山地 八郎君    資源庁鉱山局長 松田 道夫君   事務局側    常任委員会専門    員       林  誠一君    常任委員会専門    員       山本友太郎君    常任委員会専門    員       小田橋貞壽君   説明員    通商産業事務官    (通商産業省通   商雑貨局勤務)  瀬川 一郎君   —————————————   本日の会議に付した事件石油及び可燃性天然ガス資源開発法  案(内閣提出衆議院送付) ○通商及び産業一般に関する調査の件  (パルプ製造工程による水質汚濁の  処理に関する件)   —————————————
  2. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 通商産業委員会を開きます。  先ず議題といたしまして石油及び可燃性天然ガス資源開発法案議題といたします。質疑を続行いたします。御質疑のあるかたは御発言を願います。
  3. 栗山良夫

    栗山良夫君 ちよつと伺いますが、第二十七條には、審議会を設けることになつておりますが、その審議会委員に関しましては「石油又はガス資源開発に関し学識経験のある者のうちから、資源庁長官が任命する。」、こういうことになつておりますが、この学識経験のあろ者というのはどういう基準で選ばれるのか、おわかりになつておりましたらちよつとお答えを願いたいと思います。
  4. 山地八郎

    政府委員山地八郎君) お答え申上げます。この審議会は、過般来御説明申上げましたごとく、石油の分析、採掘のためにいろいろ政府助成をして頂くという審議会でございまして、従いまして最近において進歩発達いたしました優秀な学問技術によりまして、いろいろ有益な御意見を出して頂く仕組でありまして、その関係でここに審議会委員になつて頂くかたがた石油又はガス資源開発に関しまして、文字通り深い学識経験を持つたかたでありまして、例えば各大学の担当の先生がたとか、地質調査員相当技術程度の高いかたとか、或いは更に民間実業界におきましても、この方面で長い間の御経験がありまして、或いは又御研究になつ相当立派な経験技術を持つておられるかた、そういつたようなかたがたを適当にお選びいたしまして委員に就任して頂くと、かように考えておる次第であります。
  5. 栗山良夫

    栗山良夫君 この二十名の今おつしやつた大学先生とか、或いは地質学者、或いは民間実業界、そういうところから選ばれる人たちは大体どの程度にしようという構想を持つておられるのでしようか。
  6. 山地八郎

    政府委員山地八郎君) 現在のところ大体考えておりますることは、大学先生、それから先ほど申上げました地質調査所職員、或いは関係官庁技術的な職員といいますのを約半分、十人くらい考えまして、その残りの十人の委員になるかたがたは、民間学識経験のある優秀なかたがた委員になつて頂こうと、大体かように目下のところ考えておるわけであります。
  7. 栗山良夫

    栗山良夫君 民間実業界経験者というと大体どういう人になるわけですか。
  8. 山地八郎

    政府委員山地八郎君) 民間にもそれぞれ石油及び可燃性天然ガスにつきまして、長い歴史のある有力な会社もございまするし、又それらの会社関係する団体もございます。それらの会社団体等におきまして、長い間の経験のあつたかたがた、又立派な技術を持つておいでになりますさようなかたがたに御依頼申上げたいと考えております。
  9. 栗山良夫

    栗山良夫君 大体理解いたしました。只今お話のありましたように、民間のいわゆる天然ガス、或いは石油資源開発について実務的な経験を持つておる学識経験者を十名程度予定せられておるということは非常に結構だと思いますので、是非とも権威者を網羅せられまして、審議会権威を高めるように一つせられたいということを強くお願いをしておきます。  それから次に伺いたいのは第五條或いは第六條に「油層形質が明らかでのる場合において、」というので、もういきなり油層形質は明らかであるという條件で以て規定が書かれておるわけでありますが、そういう前提のほかに鉱業権者が新らしい油層を発見しましたときは、速かにその油層形質を明らかにするような処置をとらなければならんというような義務規定を私は入れておく必要があるんじやないかということを考えますが、これに対しての御意見は如何でしよう。
  10. 山地八郎

    政府委員山地八郎君) 今の御質問の点でありまするが、一応御尤でありまするけれども、油層形質を明らかにするというのは、いろいろ調査いたしまして、且つ早期調査の結果に基きまして、科学的調査からだんだん結論が出て来るような状況でございます。従いまして開発につきましては、地質調査所その他各方面におきましても、業者に対して懇切な指導を惜まない次第でありまして、鉱業権者におきましては油層に関するいろいろなガス採掘状況につきまして、通商大臣届出義務がございますし、又通産大臣におきましても定期的に油層形質に関する調査を行うというふうな規定が三十六條、三十七條にもあるわけでございます。こういつたところをうまく取合して参りますれば、鉱業権者鉱業上の義務を負わせなくても、官庁側鉱業権者側とがよくこの状況を理解いたしまして、行政の面と緊密に連絡をとつて参りますれば目的を達することができるだろうとかように考えておる次第でございます。
  11. 栗山良夫

    栗山良夫君 御説ではありまするが、我々が今年の春、八橋油田等を実地に調査したのでありますが、そのときの帝石技術者の諸君のお話等を伺いましても、形質というものは、要するに油田開発をやつてしまわなければよくわからない、掘つてしまわなければとにかくよくわからないんだ、こういうような、一口で言いますと、話であつたわけであります。従つてこの法律に「油層形質が明らかである場合」と書いてあれば、要するに明らかになるということは、なかなかないんだからして、空文にも等しいものになるのじやないかというような、率直な話をすれば、意見があつたわけです。そういうことがありますれば、帝国石油濫掘問題等でも、資源庁のほうで適当に勧告をされても実施されなかつたということもあるわけです。従つてこの鉱業権者に対して形質義務規定として挿入したから、その規定によつてすぐ明らかになるというようなふうには、なかなか行かない問題であろうかと思いまするけれども、鉱業権者のいわゆる国の資源というものを非常に合理的に、而も大切にして開発する、そのためには是非とも必要であるという意味からして、やはり一つ前提として、油層を発見したならば、速かに明らかにしなければならんというような規定を私は前提としてやはり入れておくことが一番必要じやないか、そうしないと仏作つて魂を入れないというような法律にこの五條、六條あたり規定がなりやしないかということを心配するわけです。
  12. 山地八郎

    政府委員山地八郎君) 只今審議会についても申上げましたが、審議会におきましても、先ほど来申しましたように、官界、学界、或いは業界から立派な経験のあるかた、学識のあるかたに出て頂きまして、いろいろ技術的な御意見を頂き、それに基きまして政府なり関係官庁鉱業権者協力いたしまして、その面でいろいろと積極的な調査を推進して参るわけでございます。それに応じまして業界鉱業権者におきましても、この條文にありまするようにいろいろな調査とか、記録とかを作りまして、両者相緊密に提携いたしまして、必要な調査を行い、記録を残して参りますというと、一定段階になりますと、これは科学技術的にいわゆる油層形質が明らかになるというのが明らかでありますので、この法案の全体の運用によりまして、法律義務付けられて参りませんでも成果が挙るものと考えておる次第であります。
  13. 栗山良夫

    栗山良夫君 まあ物事が良心的に運ばれるときには、元来この技術法なんというのは私は必要じやないと思うんですね、この石油の掘り方、開発の仕方、採油の仕方まで国の法律で縛るというのは、大体本来から言えば必要のないことなんですね、それをあえて法律で以てやろうというのはやはりなけなしのこういうような資源を最も高度に、最も有効に採油をし、採掘をしようというのが目的なのですから、従つて今の精神としましてはそういうものを入れておくほうが、私は妥当ではないかと考えるのですがね。どういうものですかね。この法律案の修正するしないは別として、そういう精神で私はこれは行かなければいかんじやないか。今あなたが言われるようにだんだんと油層がめつかつた、それから井戸を掘つた、それから漸次審議会指導によつて採油を始めて行つて、だんだんとデータが集つて行く間に形質が明らかになるだろうということでは、やはり本法を作る精神の基本を徹底する意味において、ちよつとほど遠いのじやないんですかね。
  14. 山地八郎

    政府委員山地八郎君) 今のお考えのあるところも一応我々も同感できる節もたくさんあるのでございますが、法律上の義務規定を置きます点につきましては、いろいろと必要な最小限度考えなければならんこともあろうかと思います。鉱業権者のほうで積極的に開発意欲に燃えておりますならば、政府側調査機関その他の団体調査機関と相提携して参りますならば、基本的な調査なり、データがどんどんと出て参りまして、我々その道の専門家でありませんので余り技術的なことは説明できませんが、最近の優れた科学的なもろもろの機械を用いて参りますと、短時日の間に油層状況もわかるということも承わつておるのでありまして、ここらあたりの点については、我々といたしましては、官民両方の緊密な積極的な協力提携によりまして、成果を挙げたいというふうに考えておる次第でございます。
  15. 栗山良夫

    栗山良夫君 いや、昨日そういうふうに大体趣旨においては大して私の意見に異議のないようにおつしやつておるのですけれども、この法律條文の中に、とにかく油層形質を成るべく早く明らかにするように努めるという、そういうようないわゆる油層形質を明らかにするように促進する意味の文字というものはどこにも見当らないと思うのですが、それはどこかにございますか。「油層形質が明らかである場合において、」というのであつて、そこには明らかにしなければならんという意思の入つた意味はないと思うのですが。
  16. 松田道夫

    政府委員松田道夫君) 只今御指摘頂きました点は、私ども誠に御尤だと思います。それを徹底いたしますのには、お話のように法律義務付けるというのも方法かと思いますが、法律義務付けということになりますと、いろいろ只今次長からお答えいたしましたように問題もございましようし、いたしますので、先ず差当りのこの法律自体が恐らく御覧になればコンサーベイシヨンを徹底していないじやないか、生ぬるいコンサーべイシヨンじやないかというお叱りを受けるんじやないかと思う。何しろ日本でも初めてでございますし、そういう意味から衆議院でも緩和されましたように、一直線に行かないで、いわば漸進的な、第一歩的の最小限の規定が満たされたような次第でございまして、従つてその形質を明らかにする点を鉱業権者に今直ちに法律義務付けるという段階に至りませんで、実際問題といたしましては、報告義務もございますし、三十七條あたりにも定期的に油層形質に関する調査を行わなければならないということでございまして、この省令の定め方、これもまあ徹底した法律義務でひどいものをやるというわけにも参りませんでしようが、その辺のこと、それから三十九條あたり報告項目の中に形質を明らかにするのに役に立つような項目を選び得るかと思います。そういうことで状況を明らかにしつつ業界かたがた、更には審議会権威あるかたがたの御意見伺つて、併せて実際の協力と申しますか、指導と申しますか、そういう点で形質問題に進んで行きたいというふうに考えております。
  17. 栗山良夫

    栗山良夫君 事情は一応私も現地を見せて頂いてわからんわけではありませんから、一つこの法律が決定しましたあとは、運用において今局長の言を私は一〇〇%信頼をいたしたいと思いますので、第三十七條ですね、それから今お話のあつた第三十九條等において、実際に法を施行し、運用される場合に、少くともただ漫然と油層形質が明らかになるのを待つのじやなくて、やはり積極的な行政意思が明らかにせられて、そうして一刻も早く油層形質が明らかにせられるように努力を私はせられたい、こういう工合に思うのであります。まあそういうことのお約束を願えれば、私は強いて修正をしてそうしなきやならんとまでは申上げないつもりでおります。
  18. 山地八郎

    政府委員山地八郎君) 御趣旨は御尤でありますので、その法律運用におきましても御趣旨に副うように万全を期して参りたいと存じます。
  19. 西田隆男

    西田隆男君 先ほどの質問に関連して一つお尋ねしたします。油層が発見されて油層形質の状態がわかるまでどれくらい時間的にかかるものですか。
  20. 山地八郎

    政府委員山地八郎君) 最低半年であります。
  21. 西田隆男

    西田隆男君 だけどこの法律の狙いは、私は栗山委員意見と多少違うんですが、鉱業権者義務付けるということよりも、この前の私が質疑のときに言つたように、あなたがたの監督指導助成と言いますか、そのほうは余計にこの法案の中に織込まれておらなければこの法律意味なさんと思うのです。従つて半年後にわかるものであるならば、今の義務付け規定を作るよりも三十七條ですかにある定期的な調査をしなければならんという、この調査によつて鉱業権者のほうと密接な連絡をとつて一日も早く油層形質はつきりすることによつて、初めてガス油比の問題がどうだこうだという問題が解決付くと思うのです。この形質を明らかにするということを時間的に遅らせるということこそ、即ち石油なり天然ガス採取の非常な欠点になると私は思うのです。今栗山君が最後に言つた意味合いのことをもう少し積極的に監督官庁でやられるということが実行されない限り、この法律意味をなさないとそう考えるのですが、これは希望でなくて厳密にやつてもらわなくてはいかんと私は思うのです。
  22. 山地八郎

    政府委員山地八郎君) 仰せの通りです。油層形質を明らかにするという点につきましては、我々も万全の努力をいたしたいと存じております。
  23. 栗山良夫

    栗山良夫君 それから十一條のこの二次採取法ですね、これに対していろいろ指導規定がございますが、二次採取法だけでなくて、まあ一次採取法と言いますか、二次採取法に至る前の段階においても、やはり非常にこれは重要な問題であるので、適当なその指導規定というものを挙げておいたほうがいいと思うのですけれども、それをお拔きになつたのは何か意味があるのですか。
  24. 松田道夫

    政府委員松田道夫君) お話の十一條では、事業計画はつきりとして、実施計画自体を詳しく検討するということになつておりますが、これも日本でやります最初の問題もございますし、具体的な点まで官庁が入つております。一次採取という点、これは普通の井戸を掘る場合のことだろうぐらいの意味お話かと存じまして、その点は鉱業権者かたがたすでに永年の経験もございますし、自主的におやりになつて頂いて、なお且つその辺でどうしてもやつて頂かなければならない点、これが申上げるまでもなく法律に書いてございまして、例えば「坑井を掘さくした場合」云々とか、「ガスキヤツプに達するに至つたとき、」云々という程度で、主として鉱業権者のかたの主体性と御経験とによつてうまくやつて頂くことをお願いしたいという趣旨でございます。
  25. 栗山良夫

    栗山良夫君 私が申上げましたのは、鉱業権者が例えば新らしい油田、或いは新らしい油層を試掘によつて発見をしたような場合ですね、そういう場合に一定期間内に行うべき採掘計画というようなものですね、そういうようなものをやはり行政庁届出をさせまして、そうして審議会審査対象にするというようなことが、私は必要じやないかしらんと考えるわけです。そういうようなことが、この法律の中にどこかありますかね。私は実は詳しく読んでいないものですからわからないんですけれども。
  26. 松田道夫

    政府委員松田道夫君) 先ほど申上げました報告規定もございますし、必要ならば報告もとりましようし、更に三十五條でございますが、井戸を掘ります場合に計画として掘さくしようとするときは通産大臣届出をしなければならないというような規定もございますので、この辺も先ほど御指摘の通り趣旨従つて運用させて頂きたいと思います。
  27. 栗山良夫

    栗山良夫君 今の三十五條規定はこれはあれですね、坑井を掘さくしようとするときは、」というのであつて井戸を掘るときのことなんであつて、その掘つた井戸をどういう計画で経営するかということについて、審議会審査を私は受けたほうがよくはないかということで、ちよつと違うんです。ただ三十七條とか、或いは先ほどおつしやつた三十九條等によつて監督ができるじやないか、或いは三十六條もそれの対象になるでしよう、そういうようにできるじやないかとおつしやればそれまでのことですけれども、やはり二次採取よりも前の問題についてももう少し私はこの法律を厳格にしておいたほうがいいと僕自身考えるわけですがね。まあ初めての試みでもありますから、一応今局長がおつしやつた程度でも私は了解しないことはないわけですが、要するにごの法律が作られた源をなしたものは、やはり率直に申しまして、帝国石油濫掘事件等必要性を喚起したことに私はなつておると思うのですね。そういう意味一つ運用の面では再び間違いが起きることのないように、これはやはり厳格なる行政指導是非ともせられたいと思うのです。若しそれができないということであれば、この法律を作る意味がないわけですから、それを一つ是非実行されたい、これを要望申上げておきます。私の質問はこれまでです。  それから通産大臣がお見えになりましたので丁度いい機会でありますから日本石油資源の対策というものを一体どういう工合通産大臣はお考えになつておるか。いわゆる輸入資源もありましようし、国内資源開発もありましようが、そういうものをどういう工合にどうお考えになつておるか。今後国内で必要とする石油天然ガスの量、それの輸入、或いは国内開発する量、並びにその価格、或いは関税等の問題もありますが、そういうものにつきまして、一つ考えをお聞かせ頂きたいと思います。
  28. 高橋龍太郎

    国務大臣高橋龍太郎君) 日本石油資源は御承知のように非常に乏しいので、これはもう大部分輸入に待つよりほかしようがないと私は考えるのです。ただスケンクというあれはGHQの天然資源局局長がいましたが、これは学者だそうですが、このスケンクの話では、そう失望することはいらんと、相当石油資源もあるのだというようなことを私にスケンク日本を去る前にそういう話をしておりましたが、それにしてもこのスケンク自身も、日本石油資源というものは甚だとしいことは認めておるわけで、これはどうしても輸入に待つより仕方がない。一方、併し日本石油資源採掘なども合理的にやつて、成るべくたくさん地下石油を出して、地下から全部出すということはああいう性質のものです。からできないんですけれども、現在までのやり方には相当無駄があるという専門家がいるのであります。併し要するに輸入に待つよりほかしようがない。これから石油消費量はますます殖えるのだと私は考えるのです。ところで輸入に待つんですが、世界的にもいろいろ石油というものについては問題がありますし、例えばイランのような所は、ああいう事情があつて日本が希望するだけの量が円滑に入るか、大体平生には無論円滑に入ると思うのですが、何か支障が起る場合にはどうなるか。現に今日では米国でストライキがあつて非常にむずかしい問題だと思うんですが、各方面へやはり平生から連絡をつけて、或る地方だけから輸入をする、或る地方に重点を置いて輸入するということではいけないかと私は思います。数字的な何は説明させます。
  29. 松田道夫

    政府委員松田道夫君) 石油需給関係数字の問題でございますが、御承知通り日本経済が固まつたと申しますか、ノルマルな姿で動いておる時期ではまだないと思いますので、油の需要量も今後経済の一般的な発展の問題とからんで参りまして、変動があろうかと思いますが、一応経済安定本部でこの四年間の将来を見透しまして、策定しました需要見込がございます。それに最近の状況を多少私どものほうで加味いたしまして作りました需要見込数字を申上げます。昭和二十七年でございますが、これは六百五万キロくらいでございます。それから二十八年は六百三十万キロリーターでございますが、これは製品全部をトータルいたしまして、揮発油、燈油、軽油、重油、グリース、パラフイン、アスフアルト、これに至るものをトータルいたしまして出した数字でございます。昭和二十九年が六百四十万キロリーター昭和三十年が六百六十万キロリーター昭和三十一年が六百七十万キロリーター、こういう数字でございます。それから現在国産の原油の数量は御承知通り大体三十六万キロリーターくらいという数字になつております。
  30. 栗山良夫

    栗山良夫君 それだから最近関税問題等相当に強く要望されているわけですが、大臣の今のお話のように、国内資源も成るべく開発をして行きたいというお話がありましたが、これを開発するためにはやはり国が相当な力の援助を業者に与えなければ開発ができないんじやないかと思うのです。従つて六百万台に対して五%程度しか国内にないわけですから、それを更に引上げて行くために、そういうような国の政策として指導をせられるおつもりでありますか。まあ国内資源は大体この程度で成行きに任せて行くとういうおつもりですか。その辺はどういうことになつておるのですか。
  31. 高橋龍太郎

    国務大臣高橋龍太郎君) この資源を、石油採掘する方面石油を探すほうの方面両方あると存ずるのですが、石油資源を探するほうは、これは事業会社ではなかなか補助金なしにはできんわけですが、探して見て果してそれに行き当るかどうかもわからない問題です。両方の面がありますので、両方とも補助金を出すことになつております。一方、将来業者が適当と考えますれば補助金も出すつもりでおります。
  32. 栗山良夫

    栗山良夫君 補助金を出して採掘をするとしましても、只今のところでは殆んど九十何%は帝国石油がやつているわけですから、帝国石油対象にして補助金を出すか出さないか、こういうような問題になると思うのです。実は只今問題になつておる帝国石油は四割配当をしたために、一応補助金は打ち切られたような形になつておりますが、こういうものを再び近々に復活をいたしまして、探鉱、鉱脈を探すのにすぐ着手せられるおつもりと理解してもよろしうございますか。
  33. 高橋龍太郎

    国務大臣高橋龍太郎君) その点でありますが、この帝石については、その問題に関連しては二つ問題があるので、一つは今経営方法が当を得ていないという問題でありますが、一方で四割の配当をしても、それに補助金を出すという問題が残つておるわけですね、帝石については適当に考えて、それらの問題を勘考して私は必ずしも補助金帝石には出さないとは考えていないわけなのです。現在も滞在に対しては調査費のほうは補助をしておるわけです。
  34. 山地八郎

    政府委員山地八郎君) 私から補足して御説明申上げますと、本年度の石油資源開発関係助成金につきましては、探鉱のほうの助成金というようなものもございますし、採取のほうにつきましての助成金もありますし、又地質調査についての助成金もあるわけです。そのうち探鉱の奨励金につきましては、今大臣がおつしやいましたように、事帝石に関しましては、若干の問題があるのでありますが、二次採取につきましての助成金といつたようなものにつきましては、これはやはり助成金考えなければならんと思つておりますし、又地質調査の問題につきましても、本年度は助成金考えなければならんものと思つておる次第であります。
  35. 栗山良夫

    栗山良夫君 要するに帝石の四割配当というものは、これはいろいろ問題のあつたところであつて、私は帝石が永久に四割配当が続けて行かれるとは考えていないのです。又それほど高率配当すべきものでないと私は考えるのですが、併しその後の問題は度外視しまして、一応問題になつておる帝石の経営が合理化され軌道に乗つた場合、通産省としてはまあこの辺でよかろうという一応の理想点に達した場合には採油、或いはその他いろいろ石油開発のためのあらゆる国の援助を昔と同じように続けて行かれるのだ、こういう工合に理解していいわけなんですか。
  36. 高橋龍太郎

    国務大臣高橋龍太郎君) それは実際の問題について考えなくちやならないのですが、あなたの御答弁の御趣旨はこういうことであろうかと拝承するんですが、私は、今帝石がまあ現在問題になつておるマイナスの面があるわけですね、それを感情的に考えて、それを捉えて将来の帝石についてそれに動かされる処置をとるべきではないと考えております。帝石が改善されて行けば、帝石の実際の経済事情なども公平に考え補助すべきものは補助して、援助すべきものは援助する、何と言つても特殊の会社ですから、会社法人の性質は特殊でありませんけれども、石油資源という意味から言つて、特殊の会社ですから私はざつくばらんにそういうふうに考えております。
  37. 栗山良夫

    栗山良夫君 問題はよくわかりました。そうすると第二点は関税問題なんですが、これはどういう工合にせられるおつもりなんですか。
  38. 山地八郎

    政府委員山地八郎君) 関税問題は御承知のように一割だつたと思いますが、保護関税があるわけでありますが、最近におきまする外国の原油の価格の推移などを見て参りまして、現在のところでは差当りその必要はないと考えまして、消費者の立場等も考えまして、徒らに必要以上に高額になりましては、消費者側に影響を与えますので、適宜に全般的な影響も考えなければならんと、かように考えましたので、現在の状況では取りあえず一年間は関税を課さないというふうな臨時の処置をとつておるような状況でございます。今後も国際価格の推移によりましてもつと適宜に判断して参りたいと考えておる次第であります。
  39. 栗山良夫

    栗山良夫君 要するにまあ私は考え方だけ伺つておけばいいのですが、先ほど大臣がおつしやつたように、貧弱ながら国内開発はするのである、そのために国は採掘に至るまでの援助をするのである、こういう工合におつしやつたわけですね、一口に申しますと……。そういう場合に、そこまで国が力を入れてやつたものについて、できた製品が外国に比較して非常に高かつたということになればこれは競争に堪えないわけですから、そこにまあ関税問題が起きて来るわけです。そこで今のお話では一年間は関税をかけないというお話でありまするが、かけないということは、将来は国内産油の経済的な健全経営の立場から考えて、必要とすれば関税をかけ得る、又かける、こういう工合に通産省は考えておられるのですか。
  40. 高橋龍太郎

    国務大臣高橋龍太郎君) お言葉のように、石油国内でも出る。一方に輸入されておる。で、国内産業を保護するために輸入品に関税をかける必要があるかどうか。普通で考えれば当然これは問題にならない。或る程度の関税をかけるというのが常識だと思うのですが、石油の場合には如何にも国内の産出が僅かであつて、大部分輸入しておる。そうすると消費者の面からいつて関税をかけるということはどうであろうかというような問題が出て来るわけです。関税をかけるよりもむしろ補助金的なものを幾らか増して行くほうが、国内の消費者、国内の産業、石油を使う産業の面からいつてそのほうがいいじやないかという議論も出て来るわけですね。で、その辺が非常にむずかしくてまだ結論は得ておりませんので、一カ年延期をしておるという状態なのであります。
  41. 栗山良夫

    栗山良夫君 この問題はやはり通産省としましては、成るべく早く一つ方針を決定されることが必要じやないかと思うのですね。やはり今大臣がおつしやつたように国内産業保護の立場から輸入品に対して関税をかけて臨んで行くという方針がきまれば、これはやはり石油業者としての経営のやり方があろうかと思う。又関税をかけない、そうして採算点に至るまでは国が補助をしようということになれば、又それで経営のやり方があろうと思うのですね。そういう非常に基本の問題を棚上げにしておかれて、そうして帝石の経営内容についてメスを振おうと思つても、これはやはりどうも名医のメスにならんと私は思うのですね。だからその辺のところは成るべく早く決定せらるべきじやないかと、こう考えますが、その点は如何でございましようか。
  42. 高橋龍太郎

    国務大臣高橋龍太郎君) お言葉は一つ十分に参考にいたしまして研究を進めます。
  43. 島清

    ○島清君 今法案に直接の関係のあるわけではありませんが、栗山委員質問に関連をして全体的な石油政策の面からちよつとこの際大臣にお聞きしておきたいと思います。石油国内産油が輸入油に比較いたしまして非常に微微たるものであるということが、今の数字によつてはつきりしたのでございまするが、アメリカを中心にして依存をしておる状態でございまして、アメリカのストライキなどというものが直ちに我が国の石油需給関係に重大なる影響を及ぼして来ておるということは、新聞紙の報ずるところによりますると、日航が三五%も石油の規制をしなければならなかつたというような一例によつても明瞭になつておりますが、併し現在並びに将来を勘案をいたしまする場合に、一国を中心にしてそれに依存するということは頗る危険であるということがこの事実によつても証明をされておるのであります。戦前にはソヴイエトあたりから確かに多量の石油が入つてつたと記憶しておりまするが、又ソヴイエトのほうが出してくれるならば、樺太あたりの油を送つてくれれば近いから安いものが手に入るのではないかとも思われるのであります。安い油を入れるということと、又他面は多くの国から石油を入れるということは、国内の政策を円滑に遂行する面において非常に私は必要だと思います。今日我が国の経済界におきましては、バトル法の緩和と、ソヴイエト、並びに中共地区の貿易というものがしよつちゆう叫ばれておりまするが、大臣はこういう観点に立ちまして、ソヴイエトから油を入れたいというような考えをお持ちになつたことはないかどうかということがお伺いしたい一点、更に原油が輸入されまするので、これを精製いたしまする設備というものが非常に重大な役割を果すことに相成るのでございまするが、取りわけその役割を果しまするところの施設といたしましては、問題の四日市燃料廠の跡が非常に問題であろうかと思います。法案と直接の関係はございませんので、細部に亘つての御説明は又後刻拝聴したいと思いまするが、こういうような問題も併せて大臣考え方をお聞きしておきたいと思います。
  44. 高橋龍太郎

    国務大臣高橋龍太郎君) ソヴイエトから石油輸入するようなことについて考えたことがあるかという御質問のようであつたのですが、私はこの参議院のどの委員会でしたか出席して申述べましたのに、現在のような政治的の理由で世界の貿易が自由にできない、障害されておるということは非常に遺憾で、これは私どもの立場で言えば、一日も早くそういうものが消え去ることを熱望しております。ところで現実に例えば樺太から日本石油輸入するという現実の問題になりますというと、これはもう輸入できても果してどのくらいできるのか、数量的に大したものではありませず、政治的の理由でちよつと今日本とソヴィエトとの輸出入は考えにくいように考えます。それから四日市の燃料廠の跡の処分につきましては、いつかあなたに御答弁いたしましたように、今委員会を開いて審査研究をしておりますが、これは非常にむずかしい問題でまだ容易に結論をしてないのが現在の状態であります。
  45. 栗山良夫

    栗山良夫君 四日市燃料廠の跡の処分につきましては、只今大臣の御答弁を伺いまして、まだ折角大臣の五人委員会ですか、そこにおいて慎重に検討中であるというお言葉でございまするが、私たちが新聞紙などを通じまして仄聞するところによりますると、何か外国資本の手によつてこれの払下げを受けて、更にあれを経営して行くというようなことが強く要求をされて、通産省当局の意向を相当にそういう方面に動かしておるということを聞くのでありまするが、若し私はそうであるといたしまするならば、あれができましたいきさつから考えてみましても、これに対しては重大なる関心を私たちは持たざるを得ないと思うのであります。私たちばかりでなくして、新聞などを通じて知らされておりますところの国民大衆もあの問題がしかく新聞などに報道されております通り、外国系の資本の入つた会社に渡されるということになりますると、相当国民思想にも悪い影響を及ぼすような結果をも招来しかねないと私たちはそれを憂うるのであります。幸いその問題につきまして私は機会を頂きまして、十分に大臣に質したり或いは意見を申述べたりする機会を頂きたいと思つておりまするが、どうぞ一つこういうような問題にも御配慮を煩しまして、日本の再建に寄与するという面から考えて行かなければならない点もございまするが、併しながら又我々の血税によつて作られたものをむざむざ外国系の会社に渡してはならないという国民感情をも考慮に入れて善処されますように希望を付しておきたいと思つております。
  46. 高橋龍太郎

    国務大臣高橋龍太郎君) 御意見は承わつておきます。よく御意見は五人委員会の諸君にも伝えておきますが、ただ私は少しあなたと考えが違いますので、外国の資本の参加する会社にやるのではないのですから、適当な価格で払下げる。それから将来日本の産業、殊に技術方面を振興さすのには外国資本、外国の技術を歓迎して可なりと思つておるのですが、ただ或る種の産業は外国資本の支配下にあるような会社に払下げるべきではない、或いは経営をさすべきではないという議論は私も同感に思うのであります。なお又の機会にゆつくり御意見を承わりたいと思います。
  47. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 他に御発言もございませんようですから、質議は尽きたもと認めて御異議ございませんか。御異議ないものと認めます。それではこれより討論に入ります。御意見のおありのかたはそれぞれ賛否を明らかにしてお述べを願いたいと思います。
  48. 島清

    ○島清君 私は本法律案に対しまして賛成の意を表するものでございまするが、併しながら私は質問の過程においても現われておりまする通り、遺憾ながらこの法案を現実に適用いたしまする場合に、多少日本の現在の石油業者がこれを受入れるのには非常に脆弱性を持つておるのではないかと、これは日本の持つておりまする地理的な條件がそうせしめると思うのでございまするが、こういう点について私が憂えておりますることを通産省当局に質問をいたしましたときに明快なるところの答弁を頂くことはできなかつたのであります。今以て私はこれに対しまして疑義を持つておるのでございまするが、この法律が施行されまする暁には、こういつたような問題に対しましても十二分に研究をされまして、そうしてそういうことの憂えのないように運営に最善の留意をして頂きたいと思うのであります。更にややもいたしますると、こういう行政官庁監督権を拡大することによりまして、業者行政官庁と摩擦と言えば摩擦、又この問題があることによつて、この問題を通じて忌しい深い関係と言いますか、そういうものが起らないとも限らない、こういうことを私は憂えておるものであります。こう申上げまする理由の最大なものは何か。私はちよつと申上げにくいことを申上げるのでございまするが、私たちが帝石のコンサーベイシヨンの問題を取上げて論議をいたしまする場合におきまして、必ずしも通産省当局のおとりになりました処置というものは、最終的の処置を私は非難するわけではございませんが、その過程におきましては非常に時間的なズレがあつたのではないか。この時間的なズレは一体どこから起つて来たかということを私たちが考えまする場合に、生産者とそれから行政官庁と非常に深い、追及できないような関係にあるのではないかと、こういうような印象を受けないわけには行かなかつたのであります。どうかこういう法律の施行に際しましては、こういうような面にも十二分な配慮をなさいまして、そうして願くば資源の乏しいこの石油を、この法律の最終的の目的を達成するように、運用に十二分の留意をして頂きたいという希望を付して本法案に賛成の意を表します。
  49. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 別に御意見もないようでございますから、討論は終結したものと認めまして御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  50. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 御異議ないものと認めます。それではこれより採決に入ります。石油及び可燃性天然ガス資源開発法案について採決をいたします。本法案衆議院送付通り可決することに賛成のかたの御挙手をお願いいたします。    〔賛成者挙手〕
  51. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 全会一致と認めます。よつて本案は全会一致を以て衆議院送付案の通り可決すべきものと決定いたしました。  なお本会議におきまする委員長の口頭報告の内容等爾後の手続は、慣例によりまして委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  52. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 御異議ないと認めます。次に本案を可とせられましたかたは、例により順次御署名を願います。   多数意見者署名     松本  昇  結城 安次     栗山 良夫  中川 以良     山本 米治  高瀬荘太郎     島   清  境野 清雄     西田 隆男   —————————————
  53. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  54. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 速記を始めて下さい。島君。
  55. 島清

    ○島清君 連合委員会を数分の後に控えまして委員各位が私に発言をお許し頂いたことにつきまして心から敬意を表し感謝申上げたいと存じます。  私がお聞きしたいと思つておりますることは、我が国の化学工業の発達は機械工業に遅れておりまする関係上、この化学工場の使いまする薬品等によりまする処理が完全になされていないような憾みが各化学工場の周辺においてそれを見るのであります。こういうことは日本の化学工業を発展せしむる面におきまして非常に私は心しなければならないことだと思いまするし、日本の化学工業の発展を促進し、それを進めて行かなければならないことは当然でございまするが、併しそのことによつて又他の産業、他の業に従事する諸君に対して迷惑をかけるということは、文化国家の産業政策に私は背馳するものであると、こう考えておるのであります。従いましてこういうような理論的な観点に立ちまして、随所にこういう汚濁水の処置が不十分であるというようなことについていろいろと請願、陳情等を国民から聞くのでありまするが、これに対しまして通産省当局の大まかな考え方を私はこの際お聞きしておきたいと思うのであります。更にその事態に鑑みまして、通産省当局といたしましても、汚濁水の処理の法案をお考えであつたようでございまするが、これは業者の反対に会いまして陽の目を見ていないということを私たちは聞くのであります。それをも併せて、この汚濁水法案を出して、私が今申上げたような事態に対処するお考えがあるかどうか。更にその問題については確かに何か審議会みたいようなものがございましてこの被害を皆無ならしめる、然らずんばこれを最小限度にとどめると、この対策のための委員会があつたように私は記憶いたしておりまするが、この委員会は今活動し、そうしてこういうような問題に対して委員会の結論のようなものが出ておるかどうか。差当りこの三点についてお伺いしたいと思います。
  56. 瀬川一郎

    説明員(瀬川一郎君) お答え申上げます。只今島さんから以上お話がございましたように、パルプ工業特に化学工業におきましては、機械工業に比べまして若干遅れておるような現状でございます。特に。パルプの製造工程におきましても、同じ人絹パルプ或いは製紙用のパルプを作ります場合におきましても、従来のいわゆる亜硫酸法によります場合には、いわゆる重亜硫酸石灰水で蒸煮いたします関係上、パルプの廃液なんかが当然出て参りまするが、新らしい最近建設いたしておりますような工場のパルプの製造方法は、クラフト法に変つておりまして、その薬液を九二・三%程度まで回収するようないわゆる設備再新を事実上やつております。それで我々のほうといたしましては、今後増設される設備、或いは新設される設備等につきましては、極力クラフト法によつて進めたい、そういうふうに考えております。それは廃水の、汚水の問題で薬液を回収するという利点を有するだけでなしに、広葉樹の利用も本格的にできる関係上、そういうような方法を全面的に、今後新らしくできる工場に対しましては極力そうういう設備に変えて行きたいと、さように考えております。  それから第二点の現在までの汚水の処理状況は、特に終戦後、化学パルプが非常に不足いたしました関係上、僅かの、多額の設備資金を投下せずして化学パルプを作り得るいわゆるソーダ・パルプと申しますか、苛性ソーダで木材を蒸惹いたしまして、その薬液をそのまま流してしまうというような非常に簡単な方法でのパルプの製造が随所に行われました関係上、それは特にパルプの不足の結果、そういう簡単な方法でのパルプの生産量が非常に殖えたために、汚水もかなり各地方で問題を起しております。併し最近パルプの需給状況も非常に緩和いたしまして、今後の傾向といたしましては、そのようないわゆるソーダ・パルプというものの生産というものも急に激減するという見通しを立てておりますので、今後従来のソーダ・パルプで各地方に問題を起しておりますような事態は非常に少くなると考えております。数字的に申上げますと、二十一、二年頃までは七千トンとか八千トン程度のソーダ・パルプしか生産されておらなかつたわけですが、今後、二十五年、二十六年あたりでは七万トン乃至八万トン程度の生産に上つておりました。それが最近は製紙用のサルフアイト・パルプなんかの増産によりまして減少の傾向に向つておりまするから、特にそういう非難を、汚水の問題を起すような、いわゆるソ—ダ・パルプの生産というものは減少する傾向にあると思います。  それから第三番目の御質問の点につきましては、私承知いたしておりません。
  57. 島清

    ○島清君 今当局の御答弁によりますと、新らしく施設をするものに対しては、汚濁水の処理に対して万全の施設を立てたいという答弁でございまするが、現在ございます而も名目的な設備であつて、実際にはそれを使つてない所があるのか、或いはそれを全能力的に活用をいたしまして、その設備ではどうすることもできないというような事態が各方面に現われて来ておりまするが、こういう問題に対してはどういうような対策を講じておられるのでございますか。
  58. 瀬川一郎

    説明員(瀬川一郎君) 従来のいわゆる既施設につきましては、特にサルフアイト法で申上げますと、廃液というものを大別いたしますと、重亜硫酸石灰水で蒸煮した場合にできる木釜廃液と、それから蒸煮いたしました原質を洗滌或いは晒なんかの工程で出ますサルフアイトのいろいろの廃液と二つに分れるわけですが、大体前者につきましては、戦前なんか特に醤油なんかの不足した当時に、それを醤油の着色剤なんかに使つておりましたような関係もありまして、それは他の産業、或いは工業に対する危害というのは全然ないと申上げて差支えないのじやないかと考えております。それで蒸煮、洗滌或いは晒の工程でできますアルカリ廃液につきましては、現在沈澱池におきまして薬物なんかの沈澱なんかをやらせまして、そのあとでいわゆる大下水と一緒に廃水するように放水するというような方法をとらせておりまして、設備を増設いたしましたために、そういういわゆる能力、沈澱池の能力の足りないような所に対しましては、特に通商あたりにも連絡をいたしておりまして、そういう設備の拡充をやらせております。併し特殊の工場につきましては、特に汚水の専門の学者のかたもおられますので、そういう専門家に汚水そのものの化学的な分析をやつて頂きまして、その汚水の処理に適当な方法を発見して頂きますと、その御意見従つていろいろな設備をやるように指導いたしております。
  59. 島清

    ○島清君 それは何ですか。そういうものの考えでおられるということは非常に結構なんでございまするが、そういうようなお考えが各化学工場において実際に行われておるかというようなことについて、その施設なりを調査されるとかというようなことをしておられるのでございますか。
  60. 瀬川一郎

    説明員(瀬川一郎君) 私どものほうからは、いわゆる調査員は出しておりませんが、通商あたりで各担当官がそういう設備をいたしましたときに、いろいろ工場を見おるようでございます。それから特に亜硫酸パルプの工場というのは現在十四、五工場程度ございますが、私の聞いております範囲でその中の約半数程度の工場は、安本の資源委員会の柴田博士だとか、或いは京大の木材研究室の、ちよつと名前は忘れましたが、そういう先生の御意見を聞きまして、いろいろ汚水処理の対策を講じておるような状態でございます。
  61. 島清

    ○島清君 私の質問の仕方というものが非常に抽象的でありますので、或いは答弁のほうのピントが少し合わないかと思いまするが、御理解を深めて頂いて御答弁して頂く意味において一つの例を申上げまするならば、例えば東北パルプというのがございまするが、東北パルプの施設が戦前のままで、而もそれが非常に設備が壊れたり何かしておりまするが、これを全然修繕もしないで、更に生産量が増大をいたしておりまする関係上、既存の施設ではどうしても汚水の処理ができないという段階にある。それをしないで汚水を流して、そうして私が申上げたような他の産業の、国民大衆に迷惑をかけておるという事態が起つて来ておる。私が質問を申上げたいのは、国家はいわゆるパルプ工業のために国有の森林を優先的にこれを払下げて、そうしてそれの育成助成を図つておられる。そうして御承知通りパルプ工場あたりは随分と儲けたものです。これはもう常識になつておる。儲けのあつてそうしてその儲けのうちからいろいろと化学工業発展のために返すということはこれは当然でありまするが、そういうことがなされていない。こういうものに対して通産省は指導育成の面からいたしまして、或いは調査する、或いは不備なところを完全にさせるというような指導育成の衝に当つたことがあるかどうかということを先ずお答え願いたいと思います。
  62. 瀬川一郎

    説明員(瀬川一郎君) 特に今東北パルプの例が出ましたので、東北パルプについて申上げますと、東北パルプの秋田工場、或いは石巻工場共に昨年から、特に昨年度におきましてパルプの設備の増設をいたしております。これはほかのパルプ工場でも樺太でもなくなりましたパルプ設備を復元するという意味で各工場とも増設いたしておりますが、東北もその一つの例でございます。それで東北のいわゆる汚水処理のための設備、いわゆる沈澱池なり、沈澱池の設備なり、廃液を消石灰で中和する能力設備なんかのいわゆる不足があるとか、或いは壊れておるのをそのままに放置しておるかどうかということにつきましては、私どものほうも現地までは参りませんでしたが、東北パルプの人を呼びまして、いろいろ確めましたところ、汚水の処理設備としては、設備的には不足いたしておりませんし、その設備もまだ壊れておらない、そういうふうに確認いたしております。  それからそういう設備のいわゆる拡充につきましては、いろいろ感情的にも各パルプ会社に対しまして汚水処理の問題を、汚水の問題で非難を受けないように中和、或いは沈澱設備の設置或いは増強というものを特に指導して参つております。
  63. 島清

    ○島清君 今私は説明員の答弁のしやすいようにというので、一つの東北パルプの例を申上げたのでありまするが、先ず東北パルプの例からいたしますると、その汚濁水の処理が不完全であるということは、その土地の関係官庁がひとしく認めておるところでありまして、そうしていろいろと社会問題が惹起しておるようでございまするが、私の質問の要点というものは、日本経済再建に当つて、あとから遅れて参りました化学工場、化学繊維であるとか、或いは化学肥料であるとか、これからますます盛んにしなきやならないような事態に直面して、これの処理が誤つて関係庶民に迷惑をかけるようなことがあれば、私たち日本の産業政策に関係をしておる者として、これに配慮を加えなければならないということで、あなたの答弁の、十二分に御理解頂きたいために例を申上げただけでありまして、併し東北パルプのほうが不完全じやないというようなことにつきましては、もう少し実情を調査されまして、そうして後ほどに御答弁願いたい。ただ私は一つの例を申上げておるだけで、その一つの例からも、関係官庁がこの欠点を指摘をいたしまして、そのような実情ですから、もう一段と詳しい調査をされて、それで次の機会に御答弁を願いたいと、こう思います。
  64. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) では委員長の私からもお願いしておきますが、島君の御要望のようなふうに一つお願いをしておきます。  それでは、本日はこの程度で散会いたします。    午後三時四十七分散会