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1952-04-26 第13回国会 参議院 通商産業委員会 第33号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年四月二十六日(土曜日)    午前十一時十五分開会   —————————————   委員の異動 四月二十五日委員池信三君辞任につ き、その補欠として泉山三六君を議長 において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     竹中 七郎君    理事            結城 安次君            栗山 良夫君    委員            中川 以良君            松平 勇雄君            山本 米治君            清澤 俊英君            小松 正雄君            境野 清雄君            西田 隆男君   衆議院議員            神田  博君   政府委員    公益事業委員会    委員     松永安左エ門君    公益事業委員会    事務総長    松田 太郎君    公益事業委員会    経理長     中川 哲郎君    地方財政委員会    委員      菊山 嘉男君    地方財政委員会    事務局長    荻田  保君   事務局側    常任委員会專門    員       林  誠一君    常任委員会專門    員       山本友太郎君    常任委員会專門    員       小田橋貞壽君   説明員    公益事業委員会    監理課長    小島 慶三君    地方財政委員会    監理課長    細郷 道一君   —————————————   本日の会議に付した事件公共事業会の一部を改正する法律案  (衆議院提出)   —————————————
  2. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 只今から通商産業委員会を開会いたします。本日は公共事業会の一部を改正する法律案の審査をいたします。  本法律案議員提出であります関係から、最初提案者神田博君に質疑をいたし、四月一日には公納金制度制定当時の関係者利害関係人及び学識経験者を証人として制定当時の事情公納金性格並びに事業復元法的根拠等について証言を求めたのであります。本日は本法案が成立の曉に運用の衝に当るべき政府機関である公益事業委員会及び地方財政委員会から説明を聽取し、質疑を行いたいと存じます。なお本法案に対し考慮を要すると思われる大蔵省関係主税局長旅行中のため次回に譲りたいと思います。本日出席されておりまする政府関係官は、公益事業委員会委員長代理松永君、公益事業委員会事務総長松田太郎君、公益事業委員会事務局経理長中川哲郎君、地方財政委員会委員菊山嘉男君、地方財政委員会監理課長郷道一君、局長荻田君はあとから出席されます。その他であります。  先ず公納金性格、本法案のごとく法人税軽減措置を切離して公納金を延長することの適否、公営電気事業復元法的根拠の三点につき公益事業委員会及び地方財政委員会の双方から意見をお述べを願いたいと存じます。
  3. 松永安左エ門

    政府委員松永安左エ門君) 実は大変な重要な問題でもあります。殊に法律に関する問題でありますので、松本委員長に御出席願つて、私どもお伴して伺うつもりでおりましたのでございますが、昨日来御都合をつけて頂くようにしておりましたが、今朝に及んでどうしても出かけることが困難であるという話であります。私この法律的の問題は甚だ不慣れでありますけれども、大体に了解しております範囲では、本年に及んで廃止さるべき性格を持つておりますものが、まだ延期されるということになりますれば、何か別に国家がこれに代つて事業者にその補償をして頂くという特例が設けられるか、或いは延期を打切つて頂くか、両方よりほかにはないものと公益委員会では考えております。私鉄関係におきましてもすでに五カ年前この問題は打切りになつておりまして、今回昨年五月発足した電力会社はその原価計算におきましても或いは経理面におきましても、廃止後これらを組入れて処理して行きまする経理面の金も持つておりませんというような事情であります。願わくば当委員会におかせられて十分な御審議をお盡し下さつて適当な御処理を賜わらんことを希望する次第であります。細かい道理、実例等につきましては私どものほうの事務総長経理長監理課長等が参つておりますのでそれぞれ御答弁申上げたいと思います。ちよつと御挨拶をいたします。
  4. 松田太郎

    政府委員松田太郎君) 公納金制度につきましてはいろいろ古い歴史がございますことは御承知の通りでありまして、昭和十七年四月に先般まで存続いたしました九つの配電会社配電統制令に基きまして設立されました場合に、従来の電気供給事業をしておられた、例えば私営発電事業をおやりになつてつたところ、或いは私鉄等において発電事業をやつておられたところ、いわゆる新らしくできました当時の配電会社との間におきましていわゆる電気供給設備出資又は讓渡を受けたのでありますが、その際当時逓信省でございましようが、政府当局において一定認可基準を作られ、その基準従つて今申しましたような事業設備の譲渡をいたしました、或いは出資をいたしました価格をどういう工合にきめたらいいかということはその基準によつて大体きめられて当事者間においていわゆる意見の一致を見て讓渡が行われたわけであります。従つてそういうことから申しますと一応対価はその際払われておるものと見ていいと思います。ただ従来私営電気事業者にされましても或いは私鉄等にされましても相当発電事業を持つておられましたために収益上つてつたわけであります。それがその讓渡によつてその後或る期間收入減になるような部分を付とか補つてもらう必要があるんではないかということで、その当時一応配電会社のほうでその収益減株式等交付によつて賄い得ないような分については、いわゆる公納金というような形で一定の率で納めておつたわけでありますが、併しながら何分にも先ほど申しましたように対価としては話がついておるのでありまして今申しましたような特別な収益減というものを補填するという意味配電会社がそれを公納金の形で納める、従つてその性格はどこまでも国が本来見るべき性質のものであつてただ形として配電会社が中に入つておるという形であります。従つてそういう意味公納金を納めました範囲において、いわゆる配電会社にかかりまする法人税をその範囲軽減をしておるという形になつてつておるのであります。従つて簡単に申しまするならばどこまでもその公納金というものは実質的には国がこれを補償すべきものであると考えておるのであります。而もその際電気事業については、いわゆる私営発電事業については十年という期限を切られ、又先ほど委員長代理から申しましたように私鉄のほうについては五年という期限を設けましたのも、何もその十年なり五年先にはいわゆる復元ができるという建前でやつたのではない。ただ今申しますような期間公納金を納めてもらえば大体それでいいだろうという、一種のそういう期限條件に付してやつたのであります。その証拠に現に私鉄のほうは復元というようなものが行われなくてもすでに期限は切れておるわけであります。そういう意味でこの公納金というものは飽くまでも国家的にこれを考えてもらうという点が前提であり、従つて今の公営発電所につきましてもすでに十年を経過いたしますれば、それ以上これを負担するということを電気事業者に強いる必要はないというので、委員会といたしましてはこの三月末で以て期限が切れた以上それ以上延ばす必要はないのじやないか、勿論それまでの間において滯つておりましたような電力会社があればそれは勿論従来の基準によつて納めるようにはいたきせまして、現に関係電力会社はすべて従来の基準では完納いたしておるのであります。従つてこれ以上期限を延ばす必要はないのじやないかという考えを持つております。それが委員会としての率直な考え方でありまして、これに対して自由党のほうから更にその期限を延長する、而もその期限を延長する期間というものはいわゆる復元立法措置ができるまでの間という点が一点、それからもう一点はそれに対して従来法人税軽減という措置がありましたにもかかわりませず、法人税軽減措置は延ばさないといういわゆる片手落ちの形になつておるやに思われるのであります。そういう意味で先ほど申上げましたような本質論から申しまして、先ず第一には仮に延ばすといたしましても、やはり法人税軽減措置は一緒に行わなければ本来国が補償するという建前から言つて当を欠くのではないか、それから又期限につきましても復元立法的措置が講ぜられるというような、まだ立法措置も講ぜられん今日において将来どうなるかわからんという時期を押えられるということも電力会社のほうとしても非常に当を得ない結果ではないかというようなことも考えまして、自然そういう意味で憲法二十九條等関係からいたしましてどうだろうかという考えも持つておりまして、先般この委員会お話をいたしたかも知れませんが、大体そういうような趣旨公益事業委員会といたしましては自由党のほうにおいて立案をなされたということを仄かに承わりましたものですから、あらかじめ自由党政調会長のほうには公益事業委員会委員長のほうから、今申しましたような趣旨の要旨を御連絡しておいたような次第でございます。  大体大ざつばに申しまして筋だけを申しておきますが、なおいろいろ細かな点につきましては中川君が従来から電気事業のほうの專門家でございますので、当時の古い歴史的な関係とかいうような点については中川君から、又お尋ねがございましたら、答えて頂きたいと思います。大体の大筋だけを私から御説明申上げました。
  5. 菊山嘉男

    政府委員菊山嘉男君) 私は地方財政委員会委員でございまするが、委員長が本日病気のために私が代つて罷り出たことを御了承を願いたいと思います。  只今議題になつておりまするこの事件につきましては、当時この事業を行なつておりました地方公共団体側といたしましては、その組織の変更を命ぜられました当時から自分たち收入を図るという観点から申しまして、頗る苦しんでおつたのであります。殊に交付せられました株が後配株であつたということ、或いはこの事業を起すために起しましたる公債公債費が承継されていなかつたというようなこと、それからこの事業使つておりました公務員に対する退隠料がその後支払わなければならんことになつて、ずつと支払つておりますというようなこと、或いは出資物件評価に際して地方公共団体利益昭和十五年度となつているのでありまするけれども、会社の場合には十六年の上半期分までも含めてあつたというようなこと、或いは電気料金公益事業に対する軽減措置を期待しておつたものが途中で中断せられたというような事情がありまして、地方公共団体側としては相当に不満を持つてつたのであります。併しながらあのときの国策大筋から申しまして、忍ぶべからざるを忍んで来ておつたのだと、でここで期限が来たからというのでただそのまま突つ放されたのでは地方公共団体の運営上頗る困る。そこで中で説をなす者などは、この機会において復元をしてもらいたいというような希望まで抱く者があるような状態なのであります。これは理窟の上から申しましてどういうことになるかは御研究を願わなくちやならん問題でありまするけれども、実際の実情といたしまして、今日地方公共団体は頗る財政の窮乏に苦しんでいるのであります。そういう事柄もあり、又いろいろの電源開発等地方公共団体側において営まなければならんというような空気もあり、いろいろのことが総合されまして、地方公共団体側においてはこの際復元をする希望を持ち、或いは少くともこの期間の延長され、或いは適当なる工合変更をされるというようなことに対して非常なる希望を持ちつつあるというのが事実なのであります。それらのことを御参酌願いまして、適当に御議決を得たいと思うのであります。これらの問題の法律上の性質、或いはその他当時の細かい事情等につきましては、局長その他の係員が出席しておりますから、どうぞそのほうからお聞きを願いたいと存じます。
  6. 荻田保

    政府委員荻田保君) この問題につきまして地方財政委員会としての現在の意見は、先ほど菊山委員から申されました通りでありまするが、案は私は丁度この問題につきましてこの合併当時……当時地方団体側の意向を代表して折衝いたしましたのは内務省の地方局でございました。そこに私は勤めておりまして、この問題を主管としておりまして当時の事情をよく了承しております。そもそもこの公納金の問題が起りましたのは、何か地方財政が困つておるからどうするとこういう問題よりも、主として評価の問題で起つたのであります。つまり当時この統制につきまして地方団体側の勿論反対があつたわけでありますが、これがきまつた以上適正に評価されて取上げられることは止むを得ない、その場合の評価の問題があつたのでありまするが、これが当時一般民間電力会社と比べまして、……細かいことは忘れましたが、主として問題は、帳簿価格というものは一般民間会社側が脹れておるにもかかわりませず公営企業のほうは非常に帳簿価格が圧縮されておる、そういうことからしまして、帳簿価格をこの評価に使いますことは非常に地方団体に不利になるということから、この評価方法自体について相当の問題があつたのであります。それがいろいろな関係及び全体を圧縮しなければならないというような関係から、地方団体側主張が全部通らなかつた、その際妥協案として出されましたのがこの公納金の問題なのであります。つまりこれはその收入を補うというようなことも勿論ございますが、主として評価不足を補う、こういう趣旨でできておつたと我々は考えておるのであります。そのために例えばそのほかの事例で、要素になりますが、負債を引継がないとか、或いは退職金を引継がない、ほかの会社と違いましていわゆる包括承継ではないのであります、單にものそのものを出すというだけにとどまる、それからなお又その評価をいたします場合の利益基礎一般会社は十六年の上期、つまりこの問題が進行して後の利益というようなものを使つてつた、ところが地方団体側は十五年以前の過去のそのままのものを使つた、そこに何らの斟酌の余地がなかつたという事例もあつたのであります。そういうことからいたしまして、この評価不足を補うという趣旨においてこれができたのでございます。従いましてこの十年の期限というのもこの間だけ財政補給をすればよいという考えではなくて、その後になれば或いは復元の問題も起るだろうし、或いはその後における株価の問題等も起つて来るだろう、そこで事業変更があるだろうから、そのときに又考えるというくらいのつもりで、地方団体側としてそのようなつもりで、この公納金十年ということに考えておつたのであります。それから次にこの税の問題、国税免税の問題でありまするが、そういう次第でありまするから直接これが国税免税とは関連していなかつたと我々は考えでおります。むしろ税の免税一般的にいわゆる国策会社であるから税の軽減をするようなことがこれは初めから考えられておつたのでありまするが、先ほど申しましたように公納金の問題が後に起つたのでありまするが、そのときにそういうことをあとで併せて考えたというような程度でございます。従いまして御覧になりましても国税免税規定等はずつとあとになつてできていると考えております。そういう事情でございましたので、現在この十年の期限が切れるときにおきまして、これをどうするかという問題になりますると根本的な復元の問題もございまするが、差当り評価そのものは未だそのときのままになつておるのでございまするから、これを継続して行くほうが我々としても適当であると、こうこの衆議院の御決議になりましに案に対しまして賛成しておるような次第でございます。
  7. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) ちよつと荻田さんにお伺いしますが、スライドの問題があなたのほうから出ておるのですが、この問題に対しての御意見は……。
  8. 荻田保

    政府委員荻田保君) 只今申上げましたように評価不足を補うという建前でございまするから、物の価格が上ると貨幣価値がそれだけ下れば当然スライドするというのがむしろ当然だと、こういうふうに……。これは今回ではなくて二、三年前から我々としてはスライドするほうがいいのじやないかということは言つてつたのでございます。
  9. 中川哲郎

    政府委員中川哲郎君) 委員会意見につきましては先ほど来委員並びに事務総長からお話がございましたので私として附加えて申上げる点はないのでございまするが、只今荻田事務局長からお話のございました点につきまして、若干委員今側の見解を附加えまして申上げたいと思います。  公納金評価問題と絡んでおつたというお話でございまするが、この点については当時私自身としては、この関係に直接関係いたしておりませんわけでございまするが、一応評価につきましては法規に基きましては評価委員会というものができておつたのでございまして、又評価方法もその前の自発の設備吸収等と睨み合せまして一定評価基準ができておつたわけでございます。これは單純簿価で操作したものではございませんで、いわゆる原価主義から算定いたしましたものと、収益還元と、この二つを組合せてできておつたのであります。又簿価取得原価によりまするものも、簿価でなくて取得原価を精密に測りましてそれから適正な減価償却計算いたしまして出ましたものが基礎になつておるわけでございます。従つていわゆる取得原価の認定の問題がそこにあつたわけでございまして、單純簿価で行つたものではないという点を附言しておきたいと思います。それから免税措置あとからできたというようなお話もございましたが、配電統制令におきましては統制令ができました当初からこの公納金若しくは交付金制度、並びにこれと見合いますところの法人税減免規定、これは立法当時からあつたものでございます。なおいわゆるスライドの問題につきましては、地方財政委員会から、この一、二年前よりいろいろ地方公共団体からも御意見がございまして、委員会といたしましても或る程度物価事情の変動いたしました後、即ち終戰後インフレ時代に対しましてこの問題は実質的にいろいろな意味を持つてつたわけでございまするが、電力会社がこの配電統制令規定運用に基きまして支払つております方法もいろいろ区々であつたのでございます。関東方面におきましては、或る程度昭和十七年当時のいわゆる一定金額と、それから公共団体側收入額との計算におきまして、一定金額自身もそのままの数字使つておりますると同時に、公共団体側收入額自身につきましても、当時の額は一応据置きまして、その差額を払うという行き方をとつたのでありまするが、関西方面電力会社におきましては、一定金額法規にきめられた一定金額である。一方それより差引き收入額は公共団体では年々その後増加いたしておりますので、そういう増加額を差引いて計算するという、こういうような行き方をとつておりましたが、その点は如何にも幾分不穏当ではないかという点を考えまして、関東方面でとつておりますように、両方とも昭和十七年当時のもので一応据置いて算定してはどうかということで措置をいたしまして、大蔵省と相談いたしまして、その程度まで措置をいたして参つておるのでございます。電力会社収益事情は戦争中、戰後を通じまして、むしろ配電統合当時よりも逆に非常に下つておる実情でございましたので、物価或いは電気料金数字スライドして公納金を増額しようという案に対しましては、実質がきような意味合いの電気事業の実態でないという点も考えまして、委員会といたしましてはそういつた物価スライドにつきましては反対を申上げて来ておつた次第でございます。その点を申上げておきます。
  10. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 委員のかたがた御質問を願います。
  11. 西田隆男

    西田隆男君 地方財政荻田さんにお伺いいたしますが、あなたの御意見に、この公納金制度評価の不公正であつたものを補うためにできたのだという御意見があつておりましたが、どんなふうに大体評価が不公正であつたのか、数字があつた数字を一つお示し願いたい。
  12. 荻田保

    政府委員荻田保君) 評価の問題には今中川さんからお話がありましたが、少し私の申上げたのとは違うのでありまして、簿価主義だけで行つたのではなくて、やはり收益還元という方法もとつたわけであります。併しこれは先ほど来申しておりますが、経過でございまして、最後にでき上つた法律自体の解釈を言つておるのではなくて、当時折衝の過程のことを申上げたのでありますが、初めの案では簿価から評価するフアクターが強かつたのであります。併しそれでは先ほど申しましたように、地方団体簿価民間会社に比べて非常に圧縮されて記帳されておるということからして、非常に不利になる。それで收益還元のほうをもつと強く見てもらいたいという主張をしました。それが当時の評価委員会と申しますかに出る原案と……。或いは出てからもいろいろ論議され、相当収益還元というほうが強くなつたのでありますが、それでもなお地方団体側はそれでは足りないということで、それに対する妥協案として公納金を以てその足らざるところを補うという考えであつたと記憶しているのであります。
  13. 西田隆男

    西田隆男君 それはわかつているのです。だからその当時あなたが評価委員会決定は不公正であつたと思われる額の金額の差がどれくらいあつたのか、それをお聞きしたい、こういうのです。ただ抽象的に不公正であつただけでは我々はわからん。公納金という制度の、差額は幾ら幾らあり、なお継続して行かなければならんのかという結論を得るのに困る。そうするとあなたが考えられている不公正な金額差額はどれくらいであつたかということをお聞きしているのです。
  14. 荻田保

    政府委員荻田保君) その当時の資料が今残つておりませんので数学的にはつきりした資料は我々のはうにはございませんです。或いは地方団体側に参りますれば、戰災にかからないようなところでは残つているかと思います。
  15. 西田隆男

    西田隆男君 中川さん、あなたのところにありませんか。
  16. 中川哲郎

    政府委員中川哲郎君) 今の資料があるかというお尋ねでございますか。
  17. 西田隆男

    西田隆男君 資料がなくてもいいから、荻田さんの言われている不公正であつたという決定がどの程度の差があつたのか。
  18. 中川哲郎

    政府委員中川哲郎君) 評価の詳細の点につきましても私はまあ存じておらないのでございまするが、電力会社の中でも当時まあ収益状況いろいろ差があつて割合景気が上向いておつたときでございますので、会社収益状況がよかつたわけであります。それで日発当時のような十年という期間収益還元は入れませんで、最近一年の収益を見るということにいたしまして、その間まあいろいろ公共団体、或いは電力会社の間でも差がございましたので、収益還元最初は、まあ一時は原価主義が適当であるという場合であつたかと思いますが、収益還元割合を殖やして、取得原価が一、収益還元が二という割合評価をきめるということに評価委員会決定されたわけでございます。それに伴いましていろいろ収益の、まあ地方公共団体側収益が非常によかつた、或いは電鉄会社がよかつたという関係も組合せまして、いわゆる公納金制度がこれの補いをするというようなことで設けられたとは思いまするが、それが五年或いは十年の間でその間の調整を自主的に図つて行くという趣旨で、いわゆるその交付金公納金制度ができたのでございます。それぞれの経過期間でそういう点の補いをつけようということで、当時の評価及び収益の補填というようなことを引つくるめまして一般規定ができたわけでございます。即ち評価問題も部分的には入つてつたかと思いますが、それは即ち収益の問題に裏を返せばなるのでございまして、その点を経過期間の間に措置しようということで、仕組がされておつたものと、かように了解しております。
  19. 西田隆男

    西田隆男君 公益事業委員会側と地方財政側との意見が根本的にも違つているのですね。その根本的に違つていることを私は今質しているわけではないので、先ずその地方財政委員会のほうの評価の不公正であつたという点を確かめないと我々判断の資料にならんのですよ。だから荻田さん、あなたはそれをやつておられたということなんですが、まさか評価委員会のほうであなたがたが百と言われるのを十にしたわけでもないと思うけれども、その差額が、当時の記憶を呼び起して、あなたがたの主張が幾らであつて評価委員会でその何十%と大体決定されたのかということくらいのことはわからなければならんと思うのですが、どうです、記憶を一つ呼び起して言つてくれませんか。
  20. 荻田保

    政府委員荻田保君) どうもその金額とかパーセンテージをちよつと申上げにくいのですが、当時相当開きがあつた。それでそれを先ほど中川さんがおつしやつたように、途中で収益還元簿価からする割合等も地方団体側に有利になつた。そうしてそれを更にそれで評価した上でたしか全体を圧縮するという、新らしい会社の運営をたやすくするために全体を圧縮するということがありまして、更に一応評価したものを頭から皆削られたと思いますが、まあそういうことで非常に地方団体側の当時の主張とはなおそれでも開きがあつたというふうに記憶いたしております。ちよつと数字的には記憶しておりません。
  21. 西田隆男

    西田隆男君 その当時の公共団体側帳簿価格というものは今資料は残つておりませんか。
  22. 荻田保

    政府委員荻田保君) 手許には全然ございません。
  23. 西田隆男

    西田隆男君 中川さん、あなた知りませんか。
  24. 中川哲郎

    政府委員中川哲郎君) これは委員会にもございません。電力会社或いは出資者である公共団体側から集めるよりほかありません。
  25. 西田隆男

    西田隆男君 それじや荻田さんにもう一遍聞きますが、公納金制度ができて十年間に、我々がもらつた資料では一億八千万円程度公納金がされていると記録してあるのですが、その一億八千万円の公納金がされたと、あなたがたが当時記憶されておつた不公正な差額とはまだまだ開きが大きいというふうにあなたお考えになつているかどうか、それを一つ御説明願いたいと思います。
  26. 荻田保

    政府委員荻田保君) ちよつとどういう意味の御質問かわかりませんが、つまり評価の問題でございまするから、永久にあるわけでございまして、仮に十年間の間は、それだけでカバーされておつたとしましても、それから先の問題が解決していない。
  27. 西田隆男

    西田隆男君 そういう議論をされればこれはてんで議論にならない。あなたがおつしやつているのは、評価が不公正であるから、それを補填する意味合いで公納金というものができたというあなたの御意見であつたから今までの質問をしているのです。従つて公納金制度を作るときに、あなたがたがお考えになつてつた評価が仮に百であつた、ところが評価委員会できめたのは八十にしかきめなかつた、その次に全体を圧縮して言うと、七十くらいにしかなつていない。だからこの三十を補うために公納金制度ができたのだというあなたの御意見だから、それでは、公納金制度ができた十カ年間に一億八千万程度公納金がされていたようだが、その三〇%の差額はどういうふうになつているかということをお聞きしているのですよ。
  28. 荻田保

    政府委員荻田保君) いや、私はそういうふうに考えていないのでございます。つまり評価が百なら百と出る。計画が百で評価されておれば、それに伴つて当然一カ年の事業収益率等から見て、或る程度のきまつた利益を毎年得させる、ところが七十にしかなつていないから、それだけの利益を毎年失つている、それを埋めるために公納金というのができた。こういうふうに考えておりますので、その公納金によつて差額を一昨的に補填してしまう、それで問題が解決した、こういうふうに考えていないわけでございます。
  29. 西田隆男

    西田隆男君 それではあなた、その当時地方公共団体のやつだけをお考えになつているような御意見のようですが、私設鉄道、私鉄で発電をやつてつたというのは五年で切つてしまつた。あなたの御意見を以てすると、これは永久に続くべきものだという御意見ですが、そんなわけであれば十年という期限を切るときに、なぜあなたのほうでは十年という期限を切らないで法律をお作りにならなかつたかという問題が残つて来る。私鉄のほうを五年で切つてしまつて、片方は十年間という計画もあつて十年になつた……。あなたの御意見では十年ではない、永久にやるのだというように聞えますが、そういう意味ですか。
  30. 荻田保

    政府委員荻田保君) 私鉄のほうが入りましたのは、あとから入つたので我々事情は知りません。ただ公共団体のものにつきましては、先ほども申上げましたように、十年たてば復元というような問題も起り、或いは新らしくものを出して代りにもらつた株価というものの差も又出て来るだろう、そういうことで、又或いはそういうことをしないでもそのままで済む場合もあるだろう、或いはしなければならないかもわからない。それで一応十年という期限を切つたものだと記憶しております。
  31. 西田隆男

    西田隆男君 それはちよつと便宜的な解釈のように聞えます。法律を作る場合にそういうお考え法律を作られるはずはないと思うが、あなたも満更法律の素人でもないはずだから、余り便宜的ではないですか。我々は立法する場合にそういう観念で立法はしておらん。昔はどうか知らんけれども……。そういう考え方で法律を作るということはどうも常識的に考えられないのだが……。
  32. 細郷道一

    説明員(細郷道一君) 只今の御質問の点に今すぐお答えできるかどうかわかりませんが、若干それに近いものと思われる一つの例を申上げたいと思いますが、これは京都市の場合でございますが、当時評価の仕方の第一号評価即ち現在価格、それの評価の仕方の際に、当初の建設費から減価償却をどれだけ見るかという、減価償却割合をどれだけ落すかというような問題につきまして、地方公共団体側の申出た数字相当設立委員会並びに当時の逓信省側において査定をしている、何割引というふうに査定をしているというような事例があるようでございます。又第二号の評価方法といたしまして利益還元のあれを行なつております際に、その還元の元になります利益額を出す、昭和十五年の決算における地方公共団体利益金を同じようにやはり査定をいたしまして、仮に数字ははつきり挙げてありますが、仮に三百万円と出たものを二百五十万円の利益というふうに査定をいたしまして、それを七分還元というような方法評価を行なつておるというような事例があるようでございます。勿論これらの資料につきまして大部分の都市が戰災その他に会つておりますので、すべてについて申上げることはできませんが、その一端として御参考までにちよつと申上げておきます。
  33. 西田隆男

    西田隆男君 今あなたのおつしやつたことも荻田君の言われることもわかつておるのです。だからその額がどのくらいの額に予見されたかということを私は聞いておるのです。その結論がわからんと抽象的な話だけになつてしまうので判断の資料にならんのですが、公益事業委員会の言われることと、あなたの地方財政委員会意見と対立しておるのです、真つ正面から……、どちらも抽象的に言われるだけで、具体的な話がないと判断の資料にならんのですよ。これは荻田さんの言われた評価の不公正だつたという点は恐らくあつただろうと思うのです。それを補うために公納金制度がある、その制度性格がはつきりすれば解決がつくのですが、公益事業委員会側の言われることとそれは別のものだ、そこで地方財政委員会意見を尊重して質問しておるのですが、結論が出ないのでそれでは水掛論になつてしまうので、想像で幾らでも言えるので、わからなくなつてしまいますね。
  34. 荻田保

    政府委員荻田保君) 先ほど申しましたように、手許に資料がございませんのですけれども、燒けない都市等において調べましたら、或いは資料が残つておるかと思いますので、成るべく至急調査いたしまして、できるだけお出ししたいと思います。
  35. 西田隆男

    西田隆男君 評価委員会にかかつたときの提出された資料と、評価委員会評価をする場合の算定の基礎ですか、評価基礎ですか、それが資料として出て来ると……、今荻田さんの言われる意見を正しいとすれば、一応結論を出す資料になるわけです。それを一つ出して下さい。全部は要りません。わからなければわかつたやつだけで結構だと思いますから、そうすると判断の資料になると思いますから…。
  36. 結城安次

    ○結城安次君 この問題は、これは相当重大な問題なので、只今西田君からの御質問で、金額その他については今後の資料で判定できますが、十カ年と切つたところに、十カ年たつならば又どうかなるであろう、一応十年ときめるというようなことは、この間から書類でいろいろ陳情かなんかに出ましたが、公に出た言葉じやないのですが、何か十年間は仮の取極だと……、ややそれに近いような言葉のある当時の記録があれば私は欲しいと思いますから、一つ何かお願いします。
  37. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 只今のやつ、荻田さんやれますか。
  38. 荻田保

    政府委員荻田保君) 調べて見ます。
  39. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) じやお願いいたします。
  40. 西田隆男

    西田隆男君 私は松田さんに聞きますが、仮に今出ておる法律が通つたとすれば電力会社に対する監督権というか、持つておられるから公益事業委員会は電力料金をきめる場合にどういうふうな処置をとられるか。
  41. 松田太郎

    政府委員松田太郎君) その点は私どもとしまして最も心配な点でありまして、先ほどちよつと触れましたように、この株式の配当という問題とも関連いたします。と申しますのは、当時評価をいたしまして、それ相応の株式が各電気施設の供給業者のほうには渡つておりますわけでありますから、従つてその株式による配当金というものとも相殺いたしまして、なお且つ赤字があれば、公納金というものを納める形になつております。従いまして現実の問題としては、現在の程度でありますならば、言い換えればスライドしない今日の状況でありますならば、或いはその辺の相殺というのがきくのではないかと思つておりますので、併し先ほど来お話もございますように、この裏には期限を延長すると同時にスライドをしてもらいたいという御意向が、地方公共団体のほうには相当強くおありになるように私は考えるのであります。勿論この法律の表の上にはそういうことは何ら載つておりませんけれども、実際はそういうことが考えられて来るのじやないか。現に従来からいろいろそういう点においてお話がありますことを伺いましても、むしろそのスライドの問題が非常に大きく叫ばれておるのであります。従いまして、仮にこの問題について、いろいろの点からスライドを見なくちやならんというようなことになつた場合、而も他面において、法人税軽減等のような措置が講ぜられなければ、どうしてもそれだけの分は電気料金のうちに総括原価として織込んで行かなくちやならんということになると思うのであります。そういうことが徒らに電気料金の値上げをいたしまして、国民全体に影響を及ぼすことになりますので、そういう意味から申しましても、私は是非この点は避けて頂くべきであり、仮にどうしてもこの法律が通るという場合には、今申しましたような法人税軽減というような、裏からの措置も並行して考えて頂かないというと面白くない影響が出るのじやないか、かように考えております
  42. 西田隆男

    西田隆男君 松田さんは今スライド云々のお話をされましたが、公納金というものは株式の配当でやるのですよ。だから物価の変動によつて株式そのものスライドする、物価が百倍になつたから五百円のものが五万円になつたということは、これはないのが建前なんだが、どういうわけでスライドということをおつしやつたのか……。
  43. 松田太郎

    政府委員松田太郎君) 今私が申したのは、株式のスライドを言つたのではなくて、現在公納金として納めてもらいたい額が、当時のあれから見て物価相当上つて来ておるのだから、従つて公納金の枠を相当上げてもらいたい。現に今日までの公納金につきましても、地方財政委員会のほうの御要望では、七十数億というものがスライドという点を考えて見るというと不足しておるのだから、そういうものも過去の十カ年の分として、十カ年でありますか、過去の分としてその金額を殖やしてもらいたいというようなお話もあるくらいでありまして、私の今スライドと申しましたのは、さつきお話も出まして、従来納めた公納金というものを物価スライドによつて上げるという場合の話を申したのであります。
  44. 西田隆男

    西田隆男君 私の承知しておる公納金というのは、交付された株式に対する利益の配当を或る程度補償するという意味合いにおける納付金と了承しておるのですが、違うのですか、それは……。
  45. 中川哲郎

    政府委員中川哲郎君) これは当時の出資若しくは讓渡いたしました当時の公共団体収益不足額を計算いたしまして、それを当時の逓信省令で一定金額をきめております。この金額を補償の限度にいたしまして、それから電気料を出しましたのと見合いに入ります、出資株式の配当金或いは電柱税或いは道路專用料というような電気事業関係いたしまして上つて来る地方団体収益計算いたしまして、それの差額、即ち一応当時の公共団体側收入の補填を要する額、これを一定いたしまして、それから今申しましたような配当金その他の公租公課を引きました差額を毎年公納金として出す、こういうことになつております。従つて配当金そのものではございませんで、収益不足額の補い、こういう性格のものであります。
  46. 西田隆男

    西田隆男君 そうするとこれはスライドが問題になればあなたのほうとしては当然お認めになるという考えですか。認めなければならん根拠があるとお考えになつておるのですか。
  47. 中川哲郎

    政府委員中川哲郎君) 今までの私どもの考え方といたしましては、一定金額は当時の収益額の不足額であつて、そのとき計算され且つ規則によつてきまつた額であるというように解釈いたしております。ただ公共団体の御要求といたしましては、当時の収益額は、現在の物価事情から見れば、まあ数百倍になるものである、従つてそれを目安にして今の配当金或いは公租公課の不足額を引いて納付金額を出すという御要求がございます。これは物価スライドした一つの一定金額の補正でございます。それから電気料金上つているから電気料金の上るくらいのことは考えてはどうかという意味合いで電気料金スライドする、こういう御要求もございます。併しながらこれは電気事業収益の補填である以上、電気事業収益というものがどういう程度であるかということを私どもといたしましてはいろいろ計算いたしまして電気事業収益、これは収益率で見るのが一番適当だと思いますが、電気料金収益率は当時の昭和十六、七年と、現状とはいささかも変更していない、むしろ下つておる。こういうような現実からいたしましてこの一定金額スライドすることは不適当であるということで、現在までそういう解釈で参つております。併しながら今度のこの法律通りまして今後の問題といたしましてはやはりこれを受取る側からいたしますればスライドして欲しいという要求は当然出て参ることを予想せねばならん問題だろうと思います。それについての解釈は又そのときの事情によつて電気事業収益、その他から判定いたしまして決定すべきものであろうとは存じますが、現在までのところは一定金額は固定いたした解釈で参つて来ております。
  48. 西田隆男

    西田隆男君 今度は提案者に伺いますが、提案者配電統制令の三十四條ですか、一項と二項とあつたようですが、片方をとつてこういうものを出したその理由を承わりたい。
  49. 神田博

    衆議院議員神田博君) 西田委員にお答えいたします。言い換えますれば今までの現行法通りの延長をしなかつたかというお尋ねじやないかと思います。これはいろいろ研究いたしたのでありますが、受益者は一体誰なのかというような考え方、それから更に沿革的に先ほど地財委からの答弁もありましたように、大体この法案は戦時立法でありまして、日本が非常な際に止むを得ず当時の施政者が考えたのであつて、而もこの非常事態は解決すべきものであつて、それもそう長くはかからない、まあ十年という目安をつけておけば大体戦争の結末ということがわかるのじやないか、日本のその後のあるべき姿というものがわかるのではないか、そこで私どもは地方公共団体の大部分のものが復元を要求されておるし、又今申上げましたような意味合いにおきまして今日国家財政も窮乏しておる、受益しておるものが電気事業者である、被害を受けているのは公共団体だ、そこで十年の期間が参りましたので、今日のような社会状態におきましてこれは受益している電気事業者が納めることが当然のことである、殊に法人税で全額取つておりますが、電気事業者が負担をするといたしましても五二%は所得税で控除をせられる、残りの四八%、而も十カ年で一億八千万だといたしますと、一年約一千八百万乃至二千万の金でありまして、その中の四二%が電力会社が負担すればいいのであつて電気料金も今日値上げをいたしますれば年間千五、六百億の厖大な電気料金に相成ろうというような状態なのであります。その中から七、八百万円の公共団体に対する収益の割戻しをするというようなことは、九電力会社もさぞさぞ御異議はなかろう、企業合理化等をいささかやるだけでもこれは出て来るのだ。そういうような考え方を持ちまして、原案を衆議院は満場一致で可決になつたわけでございまして、先ほど松田君が自由党案ということを言われましたが、これは決して自由党だけの案ではないのでありまして、社会党も右派がついております。改進党も提案者でございます。三流提案といたしまして満場一致賛成を得まして、言い換えますれば国民のすべてが支持された衆議院全体の意思でお願いをしておるものであります。
  50. 西田隆男

    西田隆男君 余り法律案に直接関係のない御発言が多いのですけれども、そういうことでなくて一つまじめにお答え願いたいと思います。私のお聞きしたいのは、あなたは今戰時立法ということを言われました。受益者が負担するのは当然だ、こういう御発言があつたように思いますが、戦時立法というものは国が国の目的を達成するために、あらゆるものに強制的にするのが大体戦時立法の本質なのだ、従つて配電会社というものは希望して地方公共団体のものを無理に横取りしたというのではなくて、やはり配電会社は国の権力によつて押し付けられて統合したというのがその時の実態だろうと思うのです。而も現在の電力事情というものは今神田さんに説明するまでもなく、ここ当分の間は苦難の道を歩まなければならん立場に置かれているというふうに認識しておりますが、そういう立場にあるので、あながち一方的に提案者神田さんが言われるように、今の電力会社だけがどうでもこうでも負担せなければならんという基本的な考え方でこの法律は考慮して作られたものではない、私さように了解するわけなんです。それが一点と、それから今神田さんの御質問を聞いておると十年間に一億八千万だから一年にすれば僅かな金額だ、スライド提案者はお考えになつていないという重大な発言がありましたが、さように了解して差支えありませんか。
  51. 神田博

    衆議院議員神田博君) スライドの問題につきましては只今のところこの法律の中には織込んでおりません。
  52. 西田隆男

    西田隆男君 そうしますと、我々が頂いた資料を詳細に検討したのではありませんが、一、二の例をとつて見ますと、石川県の金沢市ですか、あれのごときは年間に六十万円ですか、だから月五万円ですね、一カ月五万円の公約金をもらつて行かなければ地方財政が成立つて行かないというようなことは、これは特例ですが、金沢市あたりはそう考えられる。いわゆる公約金をもらうために何回も東京に上京して運動しているでしよう。こういう多くの旅費を使つている。これでは公約金が零になつてしまう。だから私は公約金制度を生かすためにはスライドをしなければ意味がないと私はこう考えている。ところが今提案者スライド考えていないという話ですが、全部が全部、月五万円ではないと思いますが、関西などは相当の金をかけて納得させておるところもあるようですが、今の貨幣価値から言つて、例えば京都なら京都のあの厖大な予算を組んでおるのに三万円という金額はその大した問題を起すような金額ではない、そう考えれば戦時立法でやられたものを今言つたように電力会社が当分の間苦難の道を歩いて行かなければならないというときに電力会社に千五百億の収益があるのだからこれくらいのものは九牛の一毛ではないかと言つて法律を作つてまでもいろいろ論議されて、そういうことをせんならんほどの必要性は私には考えられない。だから恐らく神田さんもスライドをお考えになつているだろう。こういうふうに私は理解せざるを得ないのですが、この点どうですか。もう一遍はつきり伺いたい。
  53. 神田博

    衆議院議員神田博君) 立法経過を申上げたほうがよくおわかり願えると思いますが、公共団体の側からはこの期限延長とスライドの問題を併せて要望されたことは事実でございます。これはもう非常な熱望でございまして、殊にスライドの問題は先ほど地財委からも述べましたように、両三、四年前からの陳情でございまして、而も政府側においてもしばしばこれは検討されておつて、未だ未解決の問題でございまして、私どもこれは自由党の立場に相成ろうかと思いますが、ずつとこの問題を解決してもらいたいという要望を政府側に伝えておつたわけであります。そこで今度の期限が切れます際におきましても政府側の意見をまとめて、一つやつて見たいという強い要望といたしまして勿論いろいろ交渉いたして参つたのでありますが、とうとう政府側の円満な妥結ができません。一方又期限がだんだん追つて来るというようなことに相成りまして、党におきまして議員立法にしたい、こういうような段階になりましたので、衆議院の側とも御相談いたしまして、只今御審議願つておる法律案に相成つたわけでございまして、スライドの問題を一方的に織込むということになりますると、いろいろな資料もまとめまして一体どの程度スライドすべきかというようなことに相成つて参りますると、なかなか容易に材料を得ることが困難ではないか、要するに期限が切れてしまうと、そこで取りあえず期限延長の方法を講じて行きたいと、スライドの問題につきましては只今西田委員から非常に御理解ある御発言でございまして、私ども非常に我が意を得たと、こういうような次第であります。
  54. 西田隆男

    西田隆男君 もう一点お尋ねしますが、どういうわけで今度の法律案の中には特に復元の問題を條文としてお現わしになつたのか。私は法律を作る場合に将来なし得るであろうというような予測に基いての條文を書くということは、これは法律を作る上においてはよろしくないと、そういうものを書くべきでないというふうに私は考えておりますが、提案者はどういう意味でこの復元の問題をきまつてもいないのにこういうふうに表現されたか、その理由を一つ承わりたい。
  55. 神田博

    衆議院議員神田博君) お尋ねのこと一応御尤もでございますが、復元の問題は、これはもう先ほど地財委の説明もありましたように、戰時立法で強制的に取られたという、当時からこれは全部の公共団体がお持ちになつておるかどうかわかりませんが、私の知つております公共団体の大部分の考えのかたはそういう考えを持続されておつたようであります。更に又戰後ずつと復元の要望を運動されておつた。更に政府におきましても、この政府におきましても稻垣さんが通産大臣でありましたが、当時商工大臣と言つておりましたが、当時におきまして電力再編成の立法の最中に閣議におきまして公共団体の経営しておる配電関係について希望がある公共団体、而もこれはその後編成さるべき電気事業者におきましても公益上支障がないという限度においては復元をさしたい、こういうようなことが閣議で決定されております。それから更に復元問題につきまして公公団体がしばしば国会に請願陳情されまして、この請願も両院通過しておるようでございます。そこで復元の問題はポツダム政令に只今出ております両政令が当然これは講和の発効によりまして効力を失いますので、この機会にこれを解決しなければならない段階と私ども考えております。殊に公納金期限を附さなければならない、一体何年にすることが適当であるかというようなこと等をもいろいろ検討いたしまして何年がよろしいかということを十分考えまして、大分公共団体におきましては復元の要望が強いようでございまして、これらの希望考えさせることもそう遠い問題ではないだろう、即ち統制令の失効と関連いたしまして、新らしい立法をしなければならないというような段階でございますので、これは最近の機会において立案、提案すべきものであると、こういうふうに考えましたので、むしろはつきりとそのことを調つたほうが立法上親切ではないが、こういうような考えの下で復元の文句を入れたと、併しそれならば復元を如何ようにするか、いつするかというようなことにつきましては、これは今後の問題だろうと思います。そこで法律的にも復元に関する立法措置が講ぜられるまでと、こういうような特に何と言いましようか、意味深長な條項を注意して入れたようなわけでございまして、そのことによりましても一つ十分御了解を得たい、こういうふうに考えておりました。    〔委員長退席、理事結城安次君委員長席に着く〕
  56. 西田隆男

    西田隆男君 私の申上げておるのは、今提案者神田君が御説明になつたようなことだから、そういう文句を入れちやならん、こういうのであります。むしろこれは期限を何年なら何年と期限をはつきり表示すべきである。それらの復元法律案を提案することによつて復元の目的を達するという行き方が條文を作る常道だと私は考える。従つて神田君の御意見のように復元法律案を大体お出しになるほうがよいので、而も私の聞いておるところによると、自由党では復元法律案を用意しておるように新聞で拝聽いたしました。その復元の中に大淀の発電所は載つておるが、この條文に現われておる法律では、地方公共団体は一つも載つていないというように了解しておるのでありますが、これもおかしなことであります。それほどの熱意と希望を持つておるなら、むしろ自由党で案をお考えになるなら、先ず第一に地方公共団体復元をしておやりになるくらいのほうが私は正当であり、納得して頂ける問題じやないかと思いますが、そういう案がないかどうか知りませんが、新聞で私見ましたが、神田君はどうお考えになりますか。
  57. 神田博

    衆議院議員神田博君) 只今西田委員の御質問でございますが、公共団体復元を主として考えております。その次に電気を原料に使つてつたいわゆる自家発をどの程度返し得るかどうか。この場合においても今日の電力事情下におきまして所有権の返還と管理権の留保と言いましようか、そういう点について十分公益上支障なく参りたい。更に又電気事業者等におきましても、納得できるような消化の方法で彼我妥結をさせたい。こういうような基本的な考えを以ちまして、只今立法の要項と申しましようか、基本的な考え方をまとめ中でございます。これは自由党で出すことに相成りますか、或いは政府立法に相成りますか、或いは各党派共同提案の形になりますか、さようなことにつきましても目下検討を加えておる。こういうようなわけでありまして、公益事業のほうはあと廻しで、電気事業者のほうを先に考えておるというようなことは、何らかの誤解かと思いますので、この機会に一つ只今申しました公共団体が先である。而もこれ又諸般の情勢を考慮して検討を進めておる。その次に自家発の問題を併せて考えて見たい、かように考えております。
  58. 西田隆男

    西田隆男君 今の提案者のお考えを承わると、地方公共団体の以前持つてつた発電所の返還は、そう長い時日を要しないうちに法律案として提案されるものと了解いたしますが、それでよいのですか。
  59. 神田博

    衆議院議員神田博君) さように考えて頂いて結構であります。
  60. 西田隆男

    西田隆男君 そういうことであるならば、なお更こういうような法律を作ることは、これは私は意味をなさないと思う。どんなに早くたつて一カ月や二カ月ではありますまい。一年や二年の間に御提案になるんでしようから、その一、二年の間にお出しになるならば、なぜこういうような変つたいわゆる延長の條文を法律案でお出しにならないで、むしろ配電統制令の三十四條そのままの延長で法律をお出しにならなかつたか、私はそれで結構だと思うのです。別に今申上げるように、日本の電力会社がここ半年や一年の間にべらぼうな利潤を挙げるというような段階では私はないと思う。苦しい電力会社スライドするのは別問題として、負担をかけていろいろな議論を巻き起すよりは、むしろ大蔵省はいやであつても、僅か一年か二年の間ならば、法人税軽減をしてやるという意味合いにおいて、そのままの延長を提案者はなぜお出しにならなかつたか、今までいろいろな考え方がおありになつてお出しにならなかつたのだろうと思うが、そういうふうにするほうがこの事業をスムーズに行くことができると私は思うのだが、提案者はそれに対してどういう御意見を持つておられるか。
  61. 神田博

    衆議院議員神田博君) 復元に関する法律案はどういう形で出るか、ここでまだお答えできる段階ではございませんが、西田委員の言われたようなここ一、二年というような緩慢なことではないと思います。少くとも数カ月以内に出ることであろうと私どもは考えております。即ちポ政令による電気事業の再編成、又公共事業会等は御承知のように今日の段階のままといたしますれば、講和の発効後六カ月以内に消滅いたしますので、その六カ月以内に復元の問題も、又再編成の問題も、公共事業会に変るべきものにつきましても適当な立法をしなければならない、即ち六カ月以内にこのすべての点を解決いたしたい、こういうふうに私ども今日考えております。そこで一、二年という先ではないということを申上げることができると思います。それから更に只今お尋ねのございましたそういう短い期間で解決するならば、特に復元に関する立法措置というようなことを入れなくてもいいのではないかというお尋ねでございました。これも御意見として伺つておきますが、この法律案、改正案の対象となつておりますのは、四県十三都市、更に四十一カ村の町村が含まれております。これらはすべて復元希望しておるというふうには私ども考えておりません。そこでそういうことをも対象といたしまして何年で切るかという議論があつたのでありまするが、復元を対象としておらんという公共団体もあり、速かに復元希望するという公共団体もございますので、この際先ほど地財委からもお述べになりましたように、公納金制度をいつまで置くべきかということは、一応今私が述べましたような立法措置をそこで講じて行きたい、二つの考えがあります際でありますので、そういうようなふうに一つこの次に根本的なことを解決いたしたい、そういうような趣旨復元に関する立法措置ということをむしろ明瞭に語つたほうがよろしいのじやないか、こういう意図で入れたわけであります。
  62. 西田隆男

    西田隆男君 今の神田さんの話を聞いておると私わからなくなつたのですが、條文に表現してある復元云々という問題は、復元希望しているところもあれば、希望していないところもある。そうするとこういう條文を作つてこのまま通つたら、復元希望しないところはいつまでも公納金をもらうということになりますか。
  63. 神田博

    衆議院議員神田博君) それらのことに関しましては、只今申述べましたように、次の立法をするときにきめたい、こういうふうに考えております。
  64. 西田隆男

    西田隆男君 復元をせねばならないのが前提條件になつていなければ、こういう條文をこれに書くことはますますおかしいので、一部の人はこの條文のときには権利が消滅する、又一部の人はそれから先に立法措置考えなければならん、そういうふうな対象になつておるものが二つにも三つにも分れているというのに、こういう條文を作ることは私はあなたの意見を聞いているとますますおかしくなるのですが……。
  65. 神田博

    衆議院議員神田博君) それは少し議論になるのではないかと思いますが、私どもは復元に関する立法措置とそこで書いたのでありまして、復元する場合もしない場合も、そこで含まれている復元に関する立法措置とこういうふうに書いておるのでありましておかしいことはどうもないのじやないかと思います。
  66. 西田隆男

    西田隆男君 そうすると復元に関する措置が行われてその法律ができた、両院を通つた場合は復元希望しないところには公納金をやらないでもよろしいという意味合いのこれは表現ですか。
  67. 神田博

    衆議院議員神田博君) そういうふうには考えていません。
  68. 西田隆男

    西田隆男君 どういうふうにお考えになつておりますか。
  69. 神田博

    衆議院議員神田博君) 復元希望される、その人々が円満に……、これは相手のあることでありますから、妥結した場合は公納金は消滅すると思います。更に復元はしないがずつと公納金で行きたいということであればそれはそのままで行く、こういうことに相成ろうかと思います。
  70. 西田隆男

    西田隆男君 あなたの言われるようなそんな法律は作れんですな。まあそういうように私は結論を得ましたから、これで……。
  71. 境野清雄

    ○境野清雄君 地財委のほうに二三質問したいのですが、大体さつき荻田氏からのお話では、帳簿価格が圧縮されている。その評価不足を補うために公納金制度が生れたのだ、こういうお話であり、そうしてそれが十年たつてもまだ補われておらない。これは西田委員の質問されます通り数字説明して頂かなければ、我々は全然納得ができないということになるのですが、そういうふうなことを考えますと、評価不足を補うということになると、この法案自体の私は又考えようが違う場合が地財委にできはしないかということを考えるのですが、その一つとしましては、戦災に会つた都市とそれからもう一つ会わない所、戰災に会つた所はこれはこういうような強制的な電力会社へ持つて来られないで、その都市が持つていても、戰災には会つておるのですから、そうすると戦災に会つた都市とそれから戦災に会わない所とこの二つありますものを別個に公納金という問題を考えるべきかどうかということを地財委はお考えになつておるかどうかということが一つ。もう一つは、先ほど来スライドの問題がありましたが、松田さんのお話によりましても、スライドというようなものが考えられないことはない。スライド自体は直ちに電力の料金に影響するということも、公益委員のほうからのお話があるので、そういうことになりますと、先ほどお話のありました四県十三都市というもののために全国の全部がこのお蔭で電力料金の値上げの負担を背負わなくてはならぬということに対しては、地財委はどんな考えでありますか。その二点について一つお答え願いたいと思います。
  72. 荻田保

    政府委員荻田保君) 先ほどから申しておりまするように、この問題の起りましたのが自由意思に反して取上げられるというところに問題が出ております。従いまして第一点として申されました自分で持つてつても、戦災に会つた所はどうせ収益が減つているのではないか、その均衡をどうするかという問題でありますが、これは何も取上げられていない、そこにその団体の自由意思というものは何も阻害されていないのですから、これは企業の責任上そのものが負うのが当然だと思います。それから第二点のスライドの問題でありますが、今直ちにスライドがいい、惡いとかいうことを申しておるのではありませんが、原則的に考えまして、問題はそのように自己の自由の意思に反して取上げられた、而もその評価が足りなかつたというところにあるのでありますから、やはりそれを取りまして、新らしい企業体となりました今度の電気会社がこれがその企業全体として負担して行くのが当然だと思います。併しそのために電気料金がどの程度に上り、それが国全体の経済政策等からどこまで行けるかというような問題は、これはあとの政策の問題になると思います。
  73. 境野清雄

    ○境野清雄君 そうすると、地財委自体としては、その電気料金が値上りして、普遍的に全国民が負担するということも又止むを得ない、こういうようなふうに解釈してよろしいのでございますか。
  74. 荻田保

    政府委員荻田保君) その関係だけにおいては止むを得ないと思います。併しそれが全体的に国の産業政策なり、経済政策に及ぼす影響、これはもう別に考えるべき問題であります。
  75. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 提案者ちよつと伺いますが、ここ数カ月ならずして復元立法措置を講ずる、そうして具体的に復元を非常に希望しておるところもあるという話でありましたが、その熱心に希望をされておる地方公共団体はどういうところでありますか。
  76. 神田博

    衆議院議員神田博君) お答えいたします。都市の大部分と記憶しております。
  77. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 大体四県十三市ですから……、具体的に一つおつしやつて頂きたい。これは全部と解してよろしいですか。
  78. 神田博

    衆議院議員神田博君) お説の通りと思いますが、一部復元希望しないで、公納金で行きたいというところもあるやに聞いております。
  79. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 それからこの前の委員会のときに、提案者公納金性格を私が尋ねましたときに、これは国家補償の性質を持つたものであるということについて同意をせられたのでありますが、そのお考えは変つておりませんか。
  80. 神田博

    衆議院議員神田博君) ちよつともう一遍……。
  81. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 公納金法人税を以て操作をして来て参りました従来の実績から言つて、国体地方公共団体財政的なしわを吸収すると申しますか、一定対価で済んだもの以外のものを吸収するために国家補償的な性格を持つておる、こういう工合に私が考えを述べてあなたにその所信を尋ねましたときに、国家補償的のものであると、こういうことを言われたのでありますが、今も変つておりませんか。
  82. 神田博

    衆議院議員神田博君) お答えいたします。電力会社と国との関係においては、そういうような形を一応言えるかと思つております。
  83. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 大分お話がこの前のときより柔らかくなつておりますが、まあそれは大体認めておられるようですから、そう理解しておきましよう。そこで私は神田さんに伺うのでありますが、あなたは対価の一部分である、こういうことを言われたわけでありますが、対価の一部分としての性格を持つておることは非常に重要なことでありますが、然らば法人税軽減措置をどうしてとるか、その理論的な根拠を一つ伺いたい。
  84. 荻田保

    政府委員荻田保君) これは先ほども申上げましたように、その当時できました新らしい電力会社配電会社が、いわゆる国策会社でありますために、それに対しまして相当の法的な援助を与えるその一つとして減税の問題、税の軽減の問題も起つたものと考えております。
  85. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 これは先ほどから言つておりまするように、提案者も国家補償的なものであるということを言われており、それから又参議院における各証人の証言も殆んどその点においては疑義はございません。又当時の電力局の担当をしました係官もさように申しており、又現在の公益事業委員会でもさように申しており、殆んど当時の関係者、或いはその後の運営の衝に当つた人々、更に法律学者等も口を揃えて国家補償的なものであるという工合に証言をしておるのでありますが、あなただけがそういう工合に……、まあ私聞いておるわけでありますけども、何かもう少し法理論的な立場に立つての御説明を私は伺いたい。先ほど伺つた程度ではどうも今までいろいろな人から聞きました合理的な説明の反論としては理解しにくい点があるのであります。
  86. 荻田保

    政府委員荻田保君) これは先ほども申上げましたように、当時公納金の問題が後で起つて、むしろ免税、減税をする、国策会社に対して租税上の援助を与えるということは初めから出ておつたわけでありますが、後になりまして公納金の問題と関連してこれが考えられたのであります。当時いわゆる国策会社でありまするから、それの負担をいたしますことについて国家的な援助を与える、この公納金の問題に関連してこれは当然考えられると思いますが、立法者の御意思がどこにあるのかはつきりはいたしませんが、少くとも現在の状態におきましては、電力会社もこれは一般会社なんでございますから、これはもうそういう関係はなくなり、一般の企業として安い、むしろ本当の価格よりも安くものを取上げたというのを算定しておる会社としてはその企業としてこれを免税ということなしに負担するのも一つの理窟だと我々は考えております。
  87. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 それはあなたの意見ですから私は申しませんが、先ほどのほうから言われたように、公納金制度あとからできたものではなくて、配電統制令が一番最初に施行されたときに三十四條にこれは初めから併置されておるのである。成るほどこの第三十四條ができるまでの間において、第一項と第二項がどういう工合に前後したかは私は知りませんけれども、少くとも当時の統制令が公布されたときには同時に並んで出ておる、私はこの立案の過程で前後するようなことは問題ではないのでありまして、統制令の一番最初に公布されたときにこの法人税軽減措置というものがなかつたのか、あつたのか、それを確かめれば十分だろうと思いますが、どういう工合にお考えになりますか。
  88. 荻田保

    政府委員荻田保君) 先ほどから公納金が何故できたか、或いは免税が何故できたかということをお尋ねになつておりますので、それにつきましては、ただ文面そのものを解釈するよりも私どもいきさつを申上げたほうがいいと考えましたので申上げておるのであります。それはたびたび申上げておる通りでありまして、公納金はやはり評価が少なかつた、足りなかつたというものを補うために、それから免税のほうは当時の会社がいわゆる国策会社になつたからこれに対して国家的援助を与えるという一つの方法としてできたものだ、こう考えております。
  89. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 これは私の意見を申上げるのはもう少し後にしますが、公益事業委員会のほうで今の意見についての証言を願つたわけでありますが、もう一点問題になつております点についてお考えを伺いたいと思います。
  90. 小島慶三

    説明員(小島慶三君) 問題の焦点が評価という点にあるように思われますので、その点に関しまして少し詳細に御説明して参りたいと思います。先ほど中川経理長から申されましたように、当時の配電統合時代の評価につきましては、公営私営の区別なく細目の基準評価委員会できめまして、その基準従つて公営だからどう、私営だからどういうことなしに平等にと申しますか、評価額を決定して作つたわけでございます。評価方法といたしましては、先ほども御説明がありましたように、原価主義とそれから収益の還元方法、この二つのシステムを組合せたわけでございます。この方法につきましては、当時評価委員をしておられました太田哲三先生がこの公聽会で述べられましたように、日本製鉄株式会社設立のときに用いられた方法でありまして、一般に公正妥当と認められ、当時の体系理論上の方法を適用したということであると申されております。この場合に原価主義と申しますのは、純粋の簿価主義とはちよつと違うのでありまして、これは一種の修正簿価主義ということができるわけでありまして、真実且つ有効な建設原価から適正な原簿額を控除したものを以ちまして評価益といたすわけでございます。従いまして建設原価につきましても、帳簿価額をそのままとらず、従前建設原価に算入すべきものであつて脱落しておるものがありました場合にはこれを加算して建設費といたしておるのであります。又現存額につきましては、従来の減価償却をそのまま通りとりませんで、標準減価償却経過年数を基礎にいたしまして算出いたしておるわけであります。当時はいずれにいたしましても、会計の非常に精密な理論的な運営が各企業の間でバランスのとれた形でなされていたかどうかという点につきましては、非常に問題があつたと存じますので、この点につきましては水脹れであるものは修正し、過小なものは修正する、大きく修正する、こういう行き方で修正簿価というものを決定したというふうに我々は聞いておるのであります。又一般的には、この場合に簿価よりも低く決定されたということではありませんで、一般的には評価益を出しておるという点が先般の太田哲三氏の証言にも明らかであります。従いまして不当にこれを低く圧縮したということは公営私営の別なく、公営だから圧縮した、私営だから圧縮したという問題ではありません。評価方法を理論的にとつてつた結果が、場合によりましては、水脹れの会社についてはそういう例があつたかも知れませんが、一般的には評価益を出しておるのでありまして、この点につきましては先ほどのお話は少し違りのではないかと私はかように考えております。もう一つ組合せました要素といたしましては、収益還元方法があるのでありますが、これにつきましては最近年度における建設費に対する益金の平均割合を出しまして、これを統合時の建設費に乗じました金額を七%の利率を以て還元した金額評価益とするのでありまして、最近事業年度といたしましては、一般に最も収益率の高かつた昭和十五年というものをとつております。これは先ほど中川経理長の御説明にもありましたように、日発の場合にこれが十年というものの年間でとりましたものに比べまして、非常に収益の見方が有利になつているわけであります。なおこの二つの評価方法の組合せにつきましては原価主義、即ち修正簿価主義を一の要素といたしまして収益還元方法を二のウエイトにとつております。この意味におきましては、収益率の高かつた企業に対する評価方法を頗る有利にしていると言わざるを得ないのでありまして、特に公営収益率が高かつたという事実が或いはあつたかと思うのでありますが、そういうものに対する実際の現実の尊重というものは、妥当な方法でなされているというふうに我々としては考えるのでございます。それから、従いましてこの結果として出されました評価につきましては一応一般的な評価基準というもので国として決定した評価額でありまして、それを以ちまして対価をきめて、その授受を完了しておるわけでありますから、そのときに残つた対価の一部が公納金として残つたという点につきましても、会計理論的に見ましても、当時の行政経過から徴しましても、ちよつと違つておるのではないかというふうに我々としては考えておるわけであります。対価の授受はいずれにしましても法的に済んでおるわけでございます。公正妥当に済んでおる。この点は太田氏の証言にも強調されておるところでございます。それからこの対価の授受が済んだ以上は、補償の開脚がもはや起らない性質のものでありますけれども、これにつきましては一般的な当時の政治情勢その他から見て、政治的な專ら配慮の下に公納金というものが制定された。この点も太田氏の証言にございます。その場合に、この補償の性質配電会社と、それから公共団体との間の損失補償の性格を持つものであるか、それとも国家補償の性格を持つものであるかという点が次に問題になるわけでございますが、この点につきましては先ず経過的な問題と、それからその後におきまする実際の運営の問題、この二つの面から考えて参りたいと思うのでありますが、先ず第一に経過的に申しますると、当時の関係者から経緯を伺いますると、この公納金制度をとりまする場合に公納金で行くか、それとも一応配電会社公共団体に全額を支出いたしまして、その全額のしわを日発のプールに寄せまして、それに対して国家が補償金を支出するという、つまり公納金を出させてこれを免税で行くか、それとも日発の補償で行くか、この二つの意見があつたようでありまして、結局日発の補償財政支出というものよりも、財政收入を減ずるという今の行き方公納金制度がとられて来たというふうに我々は承わつております。従いまして、その面から見ましても、経過的に言いましても、国庫補償の性質が明らかに打ち出ておるというふうに我々は感ずるのでございます。  それから第二の問題といたしましては、補償の実際の額といたしましては、公共団体の従来の利益の九五%、それから統合によりまして生ずる収益、この差を一応国家補償の額として公納金の額としてとつておるわけでございまするが、純粋に損失補償の性格を持つておるものでありますれば、配当利子その他を全体の公納金の限度額から差引けばよいということに相成ると思うのでありますが、実際の配電統制令の三十四條にも書いてありますように、そのほかに、公共団体日発出資しました結果生ずる配当、それから配電統合によりまして新たに課せられる電柱税、その他のものも実際の限度額から引いておるわけでありますから、そういう意味におきましても地方財政の現実の額というものを考えて、その面から公納金金額というものをきめておるというふうに見られるのでありまして、これも国家補償的性格を持つ公納金の見方としましては非常に重大な点であるというふうに現在我々感ずるのでございます。  それから第三の問題といたしましては、当初公納金制度がとられましたときには、配当金その他で地方団体が受けますものと、公納金支払額との間の差額の最後処理につきましては必ずしも明瞭でなかつたわけです。即ち法人税額に対しまして配当金が上廻る場合には、公納金の上廻る場合には控除せらるべき公納金の原資がないわけでありまして、その点だけが国庫補償的な性格から国庫補償的な全額から足が出るということになるわけでございますが、その点につきましては十年間最終年度までの法人税軽減するというふうに大蔵省の通牒で明確に定められておるのでありまして、この点もやはり公納金の国家補償的な性格を示す一つの例であるというふうに考えられるのでございます。  それからなおもう一点申上げたいことは、これはもうすでに先般の公聽会等でも繰返されておる点でございまするが、この十年ときめましたことにつきまして何か復元その他の期待と申しますか、そういうものが絡んでおつたかどうかという点についてでございます。この点先般公聽会で当時の関係官でありました内田氏が述べられたところによりますると、総動員審議会におきまして、この十年間になぜきめたかという点の質問に答え、当時の松隈主税局長が、十年間に地方公共団体財政原資としては他に適当な方法を求めよう、こういう趣旨である、そういう意味経過的に十年というものをきめたのであるというふうな答弁をしておるという旨の陳述があつたわけでございますが、そういう点から見ましても、当時の公式記録に載つておりますそういう点から見ましても、やはりこの十年というものは復元を予想してのことではない、地方財政の変動その他財政体系或いは地方財政のよります客観的な社会諸情勢というものの変化に対応すべき途を何らかこの十年間の間に求めよう、こういう趣旨であつたと我々了解するのでありまして、そういう点からいたしますると、むしろこの公納金制度を現在延長するかどうかという問題は、地方財政一般の、全般の体系の下に愼重に考慮判断せらるべき問題ではなかろうかというふうに考えられるのでございます。補足いたします。
  91. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 荻田君に重ねて伺いますが、先ほど配電会社国策会社であつたので国が補償の形がとられていると言われましたが、国策会社であるなしは別としまして、現実の問題として公納金事業者に負担させましたが、これを国が補償して来たことだけは事実である。こう思いますが、それらはお認めになりますか。
  92. 荻田保

    政府委員荻田保君) それはその通りでありまして、これは新らしくできる会社がいわゆる国策的な会社であるからこれに対しては国家的援助を与える、そういう意味でこれはちよつと古い記録を出して見ましても、いわゆる公納金の問題が起らない先に、すでにもう要綱には免税は十年間という規定が入つております。これから見ましても、免税公納金関係ないことは明瞭で、むしろ一般国策会社であるから免除して行こう、こういうので、そういう思想に基いたものだと考えております。
  93. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 それはちよつと話が違うのですが、公益委員のかたは如何ですか。窓口が普遍的に広くなり過ぎる……。
  94. 松田太郎

    政府委員松田太郎君) 免税関係公納金関係について一点申上げたいと思いますが、いわゆる元の配電会社或いは日発国策会社として免税規定をその法案の過程においていろいろ審議されたという点はこれは事実であろうと思います。日発におきましても、免税につきましては新設設備について或る程度税を軽減するという措置がとられておつたわけであります。従つてできまする配電会社についても何らかの意味でいろいろな国家的援助を与えるという趣旨から減税の交渉が行われたことは勿論でありまして、登録税その他の措置については現にとられておつたと思いますが、法人税等についても交渉の過程においてそういう全般的な意味合いから交渉せられたことはあつただろうと推測するわけでございます。併しながらこの公納金に関するいわゆるそれと見合いの減税の問題は、これと全然別個な問題でございまして、私ども聞きますところでは公納金制度を設けるということについては当時の電気局でございますが、これはこの点には本来反対であつたようであります。従つて公納金制度を設けるについては国はそれの始末をすべきではないか、こういう見解でその交渉にはなかなか応じられないという態度であつたのでありまして、むしろ当時の内務省の地方局自身大蔵省と交渉せられまして、公納金以外に法人税の減税措置を折衝された、かように考えております。この点は先般証人として出られました内田省三君にお聞き頂ければはつきりすると思いますが、そういう経過でありまして、いわゆる国策会社としての全般的な免税或いは減税の問題と、いわゆる公納金に伴なう減税の問題とは全然別の問題である、かように承知しております。
  95. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 よくわかりました。そこで又荻田君にお伺いいたしますが、とにかく過去の実績としては法人税で以て相殺いたしまして、軽減措置を講じ、国家補償をして来たことだけは事実である。而も配電統制令による配電会社から今日の電力会社に至りますまで企業形態も変つて来ております。又それの根拠法でありますところの法律も変つて来ておりまするが、それにつきましては、順次承継の條文がありまして今日に及んでいることもあなたは御承知の通りであります。その場合に今までこういう工合になつて、実績でさようになつておりますものを今ここでにわかに打切つて法人税の相殺だけをやめるということについて法律的にどういう工合なお考えをお持ちですか。これは先ほど提案者が言われたような政治的な問題として述べられる場合にはこれは又別個の問題でございます。要するに僅かな金であるから電力業者が少しくらい払つておいてもよろしかろう、こういうような政治的な問題であれば別であるが、飽くまでも法律論としてあなたのお考え方を一つ述べてもらいたいと思います。
  96. 荻田保

    政府委員荻田保君) これは先ほども申上げましたが、もう少し敷衍して申上げますと、根本にこの公納金の問題が評価不足を補うということであり、それから国税免除の規定がいわゆる国策会社に対する援助措置としてできたものである、こういう前提をとつております。その意味におきまして従来のいわゆる配電会社を、これは国策会社として続いておる間におきまして国税免税規定をとるのはこれは理窟があると思いますが、現在の会社の恰好は純然たる民間会社でございますから、これが単に安い評価をしたものを引継いだという特権だけを持つている以上は、これに対しましてその企業全体としてその不足を補つて行くということはこれは差支えないものだと、この立法者はどういうお考えであつたか知らないが、私は理窟をつければそういう理窟もつくと考えております。
  97. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 そういう理窟もつくわけですか、言葉尻をとつて失礼ですか……。
  98. 荻田保

    政府委員荻田保君) 理窟をつければそういう理窟だと思います。
  99. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 理窟をつけないでもう少し法理論的にできませんか。あなたのお説を聞いておると何だか原案に対して何ですね、合理付けなければならないような観点に立つていろいろと御発言をされておるように私には聞きとれるのですけれども、そういうことになつて法律を扱つておられる行政官としての立場で、今の個人法人を問わないわけでございますけれども、権利義務の点を明らかにされて御答弁を願いたい、只今の御発言は余り政治的に従われていると私は考えるのですか……。
  100. 荻田保

    政府委員荻田保君) 私の理窟と申しますのは、法律的に理窟はこうで差支えないと、こう考えております。
  101. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 その国策会社のときに特別の補償をしておつたものが法律によつて民間会社に変つた場合に新たなる負担を加えてよろしいと、何ら補償な、しに加えてよろしいという理窟はどこから生れて来たのですか。
  102. 荻田保

    政府委員荻田保君) それは先ほど申上げましたように、そもそもその財産を安い価格で以てその会社がとつておる特権だけは現在でも継続しておると、従つてその補償をその企業として払うのが当然であると、こういう考えでございます。
  103. 結城安次

    ○理事(結城安次君) 栗山さん、これはどうですか、これはどうも話が……、私は聞かないけれども、荻田局長の話は前は公益事業だから国家でやつてもいいが、今度は新企業であるからやつてはいかないと、そういうふうな話で、理窟をつければ苦しい理窟のように、答弁のように思うから、これは、そこらでやめたらどうですか。
  104. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 大体よくわかりました。
  105. 結城安次

    ○理事(結城安次君) 又必要があればこの次にして……。それでは本日はこれで散会いたします。    午後一時八分散会