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1952-04-21 第13回国会 参議院 通商産業委員会 第31号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年四月二十一日(月曜日)    午後二時十一分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     竹中 七郎君    理事            小林 英三君            結城 安次君    委員            中川 以良君            松平 勇雄君            山本 米治君            加藤 正人君            清澤 俊英君            小松 正雄君            島   清君            境野 清雄君            西田 隆男君            石川 清一君   政府委員    通商産業政務次    官       本間 俊一君    特許庁長官   岡田 秀男君    外資委員会事務    局長      賀屋 正雄君   事務局側    常任委員会專門    員       林  誠一君    常任委員会專門    員       小田橋貞壽君   説明員    公益事業委員会   事務局料金課長  高島 節男君    通商産業省通商   振興局経理部長  石井由太郎君    特許庁総務部長 松永  幹君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○特許法の一部を改正する法律案(内  閣送付) ○通商及び産業一般に関する調査の件  (外資に関する法律の一部を改正す  る法律案に関する件)  (設備輸出為替損失補償法案に関す  る件) ○電気料金値上げ反対等に関する請願  (第一九三号)(第一一三一号)  (第一六四六号) ○水火調整金制度廃止に関する請願  (第四八八号) ○電力割当是正等に関する請願(第一  〇六四号) ○電気料金改訂に関する請願(第一三  四三号) ○電気料金引上げ反対に関する請願  (第一三四四号)(第一五〇一号)  (第一五六八号)(第一六四八号)  (第一六七五号) ○電気料金地域差に関する請願(第  一三六四号) ○電気料金地域差縮少に関する請願  (第一四〇六号) ○電気料金地域差設定等に関する陳  情(第二五〇号) ○東北地方電力割当等に関する陳情  (第三三五号) ○水火調整金制度撤廃等に関する陳情  (第四四四号) ○電気料金引上げ反対等に関する陳情  (第五六四号)(第八四二号)(第  八七八号) ○電気料金引上げ反対に関する陳情  (第六四一号)(第七三八号)(第  八六六号)(第八七七号)(第八七  九号)(第八九五号)(第九一一  号)   —————————————
  2. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) これより通産委員会を開きます。  公報でお知らせした日程のうち、先ず予備付託になつておりまする特許法の一部を改正する法律案議題といたしたいと存じますが御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) では先ず政府側提案理由説明を求めます。
  4. 本間俊一

    政府委員本間俊一君) 只今上程されました特許法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由を御説明いたします。  今般、日本国との平和條約の発効に伴いまして、特許権等享有に関しまする外国人に対する制限を緩和いたし、又国際民間航空條約の当事国航空機等に対しまする特許権等効力の特例を設けるため、必要な改正を行おうとするものであります。  即ち、従来我が国におきまして特許権等享有できる外国人は、我が国住所若しくは営業所を持つている者か、或いは工業所有権保護同盟條約国の国民又はこの條約国の領土内に住所若しくは営業所を持つている者に限られたのでありまして、その他の外国人に対しましては一切特許権等享有を認めておらなかつたのであります。ところが、今回の日本国との平和條約によりまして連合国の中で我が国国民特許権等について内国民待遇を与えている国の国民につきましては、我が国も同様に内国民待遇を与えることになつているのであります。又今回の平和條約に参加していない国におきましても、すでに我が国国民に対しまして無條件に又は相互主義により特許権等享有について内国民待遇を与えることとしている国が多い現状でありますので、これらの諸国につきましても前記連合国と同様に相互主義原則に基いて特許権等享有できるよう外国人権利能力制限を緩和いたしたいと考えるものであります。  次に今回の平和條発効と同時に、我が国国際民間航空條加入前といえどもその航空條約の規定を実施することとなつておりますので、国際航空に従事する国際民間航空條約の当事国航空機、その部品等特許権等侵害理由で差押その他の請求を受けることがないように、特許権等効力を除外いたしたいと考えるのであります。  なお、この措置我が国国際民間航空條約に加入するまでの臨時的なものでありまして、條約加入後は、現行特許法により同條約が適用されることになつております。  以上申上げました点が、この法律案を提出いたしました理由であります。何卒愼重御審議の上、速かに可決されんことを御願いいたします。
  5. 西田隆男

    西田隆男君 今の提案理由説明の中に、印刷物をもらつておるのですが、ちよつとおかしいので、書き方がよくないと思いますが、「今般、日本国との平和條約の発効に伴いまして、」日本国との平和條約に伴いましてというのはどういう意味で書いたのですか。それから第一頁の後段の所に「日本国との平和條約によりまして連合国の中で我が国国民に」という表現を使つておるのですね。これは二つとも消したらどうです。消しなさい。
  6. 岡田秀男

    政府委員岡田秀男君) 只今の御質問にお答えいたしますが、日本国との平和條約というのがちよつと一見おかしいように思うのでありますが、今度の平和條約の外務省での公式な名前が、日本国との平和條約という名前外務省がいたしておりますので、今回の日本国との平和條約という公式の名前をとつてここに掲げたのであります。
  7. 西田隆男

    西田隆男君 それは外務省でそういう表現をお使いになつてつても、日本のほうから平和條約を申込んだわけではないんで、受身だから「日本国」ということで対外的な考え方でやつておるので、日本国内法律案提案理由説明として、こんな「今回の日本国との平和」という表現を使うことは文法上あり得ないことなんです。これは消したほうがいいですよ、平和條約というのは日本平和條約とわかつておるのだから……。
  8. 岡田秀男

    政府委員岡田秀男君) その辺多少文章上円滑を欠くような点がございますので、「今回の平和條約の発効によりまして」というふうな工合に直さして頂ければよろしいかとも思います。
  9. 西田隆男

    西田隆男君 そういうふうにして下さい。恥かしい……。
  10. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 本法は予備審査となつておるのでありますが、只今の御説明でもわかります通り平和條約の効力発生の日から施行する政府側意向でありますので、衆議院が可決して参りますれば、本委員会でも至急に可否を決定したらどうかと考えます。ついては只今提出しました資料と関連して、條文に即した説明を求めたいと思いますが、如何でございましようか。御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 御異議ないと認めまして、説明を求めます。
  12. 岡田秀男

    政府委員岡田秀男君) 大体の趣旨は、只今政務次官より申上げました提案理由で盡きると思うのでございまするが、この改正狙いは二カ所あるのでございます。第一点は、特許権実用新案その他特許権等享有に関しまする外国人能力制限を緩和いたしたいというのが第一点でございます。今度の平和條約の発効に伴いまして、連合国の中で我が国国民特許権等について内国民待遇を与えている国が、例えばアルゼンチンでありますとかボリビアでありますとか、チリー、コロンビアその他平和條約に関係しておりまする連合国の中で、我が国国民特許権等について内国民待遇を与えている国があるのでございますが、それらの国民につきましては、我が国も同様に内国民待遇を与えねばならないことに相成つておるのであります。その他今回の平和條約に参加はいたしておりませんけれども、例えば中華民国でありますとかインドでありますとか、我が国通商條約その他の関係におきまして重要な利害関係を持つておりまする国におきましても、相互主義により、或いは無條件我が国民に対しまして特許権等享有について内国民待遇を与えている国があるのであります。これらの国に対しまして日本国民特許権を要求いたしますのには、相互主義の場合におきましては、我がほうにおきましても、同様の待遇を与えませんと要求できませんし、又無條件でやつてくれております国に対しましては道義上も、我が国で同様の待遇を与えますことが適当と考えられますので、両者併せまして相互主義原則によりまして、これらの外国人に対しまして特許権に関し内国民と同様の待遇を与えたい、かように考えます点が第一点でございます。  次に国際民間航空條約の関係でございますが、今度の平和條発効と同時に、我が国国際民間航空條約にはまだ入つておりませんけれども、この航空條約の規定を実際上実施せねばならん義務を負つておるのであります。この国際民間航空條約の趣旨によりますと、外国のこの條約に加盟しておりまする国の航空機がその他の加盟国を通過いたします場合、その航空機自体並びにその航空機予備航空機とか、或いは装置とか部品とかそういうものに関しましては、その通過される国の特許権侵害の事実が仮にありましても、その理由によつてこれ等のものを差押える等のことをしないということに相成つておるのであります。我が国平和條約によりまして、近くこの国際民間航空條約に加入することになつているのでありまするが、その暫定期間の間を救済する意味におきまして、この法律の附則に一條加えまして、條約に加入するまでの間同様な措置をいたしたいと思うのであります。通過いたしまする航空機そのものにつきましては、現行特許法によりましてもすでにこの国際民間航空條約と同様の規定があるのでございまするが、その予備飛行機とか予備部品でありますとかにつきましては、現行特許法におきましては、これを特許権等の除外にいたしておりませんので、主としてその辺が今度の改正狙いと相成つておる次第でございます。
  13. 小林英三

    小林英三君 これは今御説明によりまして私どもよく趣旨がわかつておりますが、この提案理由説明の裏に、二枚目の一行にありますところの、「我が国も同様に内国民待遇を与えることになつているのであります。」、こういう文句がありますがね、これは文句に拘泥するわけでありませんが、これはこういうようにしたのでありますという意味なんですか、今度の改正で…。我が国も同様に内国民待遇を与えることにしておるのであります、したのでありますという意味ですか、この改正によつて……。
  14. 松永幹

    説明員松永幹君) 平和條約によりまして、平和條約の十二條で内国民待遇を与えることになつておるのであります。従いましてこの改正法案改正するように提案する……。
  15. 小林英三

    小林英三君 平和條約によつてそういうふうになつておるのですか。
  16. 松永幹

    説明員松永幹君) なつておりますから、法律改正したい、そういう意味でございます。
  17. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) ちよつと速記をとめて。    〔速記中止
  18. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 速記を始めて。御質疑を願います。
  19. 小林英三

    小林英三君 そうしますと、この改正案によつて平和條約に規定しておりますところの連合国の中で我が国国民特許権等については内国民と同様の待遇を与えるという国の国民については、やはり同じようになる、それからその次にあります相互主義によつて内国民待遇を与えておる国に対してもこういうようになると、そうすれば外国において与えていないものも、向うの国が日本に内国民同様の待遇を与えたときにはやはり自然にそうなる、こういう意味ですね、将来……。
  20. 岡田秀男

    政府委員岡田秀男君) その通りでございます。
  21. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) それでは質疑は次回に廻します。   —————————————
  22. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 次に、日程順序を変更して、通商及び産業一般に関する調査に行きたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  23. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 御異議ないものと認めます。それでは皆様にちよつと申上げたいと存じます。  本日の調査には当委員会に付託されておる三法案議題といたしましたが、今国会においては他の委員会に付託されておる法案で本委員会に密接な関係を持つものが多いのであります。すでに電源開発促進法案並びに事業者団体法の一部を改正する法案貴金属管理法の一部改正案連合を申込んでおる次第であります。又本日掲げました三法案設備輸出為替損失補償法案乃至外資に関する法律の一部を改正する法律案長期信用銀行法案のほかに御承知と思いますが、国有財産特別措置法案日本開発銀行法の一部を改正する法律等も関連が深いのであります。ので、皆さんの御意向によつては本委員会でもこれ等を取上げる必要があると存じます。ここに議題といたしました先ほど申しました三法案も、本日の説明を聞いた上連合を申込むべきかどうかを御決定願いたいと存ずる次第であります。  先ず外資法の一部改正に関する件につきまして政府側から説明を承わりたいと存じます。
  24. 賀屋正雄

    政府委員賀屋正雄君) それでは只今経済安定委員会に付託せられております外資に関する法律の一部を改正する法律案につきましてその内容を御説明いたしたいと思います。非常に條文が込み入つた規定になつておりますので、お手許にお配りいたしました外資に関する法律改正の要綱によつて御覧になりますと、大体どういうことを規定しようとしておるかということがおわかりになろうと思いますが、別にお配りしております新旧対照表によりまして逐條的に條文を御説明いたしたいと思います。その前に外資に関する法律が一体どういうようないきさつで制定せられたのか、それからどういうようなことを内容として規定しておるかということを概略、簡單に御説明いたしておいたほうがよかろうかと思います。  外資に関する法律は一昨年の五月に制定せられまして、六月から施行になつたのでありますが、いわゆる外資導入に関係のあります法令といたしましては、終戰に伴いまして一時日本と諸外国との経済取引は全面的に停止されたわけでありますが、それが外資に関する法律の制定されましたときよりも約一年前の昭和二十四年の三月に司令部からメモランダムが出まして、これは外国人の投資及び事業活動に関するものでありまして、このメモランダムに基きまして、いわゆるポツダム政令として、外国人の財産取得に関する政令、政令五十一号でございますが、これが昭和二十四年の三月に施行せられまして、これによつて終戰以来とまつておりました外資導入その他外国人との取引の再開が認められたのでございます。このポツダム政令によりますと、外国人が日本で財産権を取得する場合には、外資委員会の認可を要する、その財産権の種類といたしましては、株式持分のみならず、土地、建物、工場、事業場といつたような不動産、その賃借権等、いろいろの重要なる財産権が含まれておりまして、外資導入をいたします場合には、大体日本で財産権の取得が行われるということからいたしまして、この外資導入の事例は政令五十一号によつて外資委員会の認可を要するということになつて参つたわけであります。併しながらこの外資法のいわば前身とも申すべき政令五十一号はどちらかと申しますと、その制定せられました主な動機は、終戰後日本が占領下にあるという特殊な立場に置かれておるということからいたしまして、日本が自由な立場でこの取引に応ずることができないという場合を予想いたしまして、諸外国が日本の経済に不当に不利益なり圧迫を加えるというような恰好で取引が行われることを防ごうという、どちらかと言いますれば日本の経済保護という立場が多く、従いまして外国人に対する関係におきましては取締的な性質がむしろ強く出ておると、そういう政令であつたのであります。併しながら日本が非常に要求いたしますところの外資導入を促進いたして参りますためには、日本側の制度といたしまして、入つて来る外資に対して余りきつい取締をするという点ばかりが表に出て来るような制度があつては、なかなか外資の導入がはかばかしく進まない。外資を入れたいという以上は、それだけの外資に対する入りやすいような制度を整えて行く必要があるということが当然考えられるわけでございます。で、外資が入ります場合には、どういつた点で当時問題になつておつたかと申しますと、いろいろの制度的な障害と思われる点もあつたのでありまするが、一番根本の問題といたしましては、外資は当然收益を予想して入つて来るわけでありますが、この收益はただ日本で円貨で以て收益を上げるというだけでは外資の入ります誘因とはならないのでありまして、日本で上げました收益が自国の通貨に交換できるということでなければ、幾ら日本で儲けましても、これは絵に画いた餅に過ぎないのでありまして、それをアメリカ人の投資であればドルで以て回收できるということでなければ、なかなか外資は入つて来ない。そこで何らか外資導入によつて生じます果実なり元本をドルに交換することについての保証の制度を設ける必要がなかろうかということが、外国投資家側にも相当要望が強かつたし、日本側におきましても、こういつた制度を考える必要がだんだん力説されて参つたわけであります。そこで先ほども申しましたように、政令五十一号で取締つておりました財産権のうち、外資導入に最も関係の深い日本の株式という財産権の取得に関する規定をこの外資に関する法律の中に移して規定いたしますと共に、この外資に関する法律では、日本に対する投資に伴う元利金或いは果実、株式の配当といつたようなものについての送金の保証の制度を設けたわけであります。同時に、その当時の外国人の心配といたしまして、日本に投資してもその事業が日本の政府なり地方公共団体等によつて没收されるような虞れはないか、或いは国有化せられて、折角外国人が投資したものが買收されてしまうようなことがないかというようなことも、当時外国投資家側では非常に気に病んでおつた事柄なのでありまして、この点につきましても何らかそういつたことに対しての保証の措置が法制的に考えられるべきだという議論が強かつたのでありまして、この点につきましても外資に関する法律の中に一條を設けまして、外国資本の保護という意味合いから、強制的に日本の政府なり公共団体等が外国人の投資しました事業を收用するといつたような場合におきましては、その補償金の外貨送金について保護を加えるという規定を設けたのであります。  ところで、この外資に関する法律は、今申しましたように送金の保証をしようという目的で、それが一番大きな眼目としてでき上つた法律でありますが、同時にその保証のし方といたしましてどういうやり方をしておるかと申しますと、日本は外資は非常に歓迎はしておりますけれども、どんな外資でも外資と名が付けば何でもかんでも導入を認めて行くという無責任な態度には出ない。外資を導入いたします以上は、当然それに伴つて将来に対して負担を伴うことは、これは国内における借金でも同様でありまして、対外援助といつたようなもらいきりの金でありますれば、これは別問題でありまするが、いやしくも民間外資としてコマーシヤル・ベーシスに立つた外資である以上は、当然将来に対して国際收支の負担をしなければならんと、こういう点からいたしまして、外資を入れます際にも、日本の経済に貢献する度合の強いものから優先して導入を認めて行く。そうして、一旦導入を認めました以上は、これから結果的に生じます果実でありますとか、その元本については、これがあとで外貨となつて出て行く場合に、一々為替管理法で嚴重な取締をいたしませんで、最初に入つて参ります場合に日本政府スクリーンいたしまして、これが日本の経済の役に立つという判定を下した場合には、あとで出て行くほうを取締ることをしない。これによつて果実なり元本の送金の保証をする、こういうやり方になつておるのであります。で、最初に入ります場合にスクリーンをいたします機関として外資委員会が設けられ、経済安定本部に附置せられたわけでありますが、これには当初は各省の次官によりますところの会議体の行政機関でありましたが、外資法ができますと同時に、官庁側といたしましては、大蔵、通産、外国為替管理委員会、この三つを代表いたします委員を加える、それから民間側の意見を外資導入というような案件でも十分尊重して行く必要があるということから、三人の学識経験者を入れる、そうして委員長は経済安定本部長官という形で、そういつた形ででき上りました外資委員会というものが、認可という制度によつてスクリーンをして行く。そうして認可をいたしました外資導入に伴う送金は為替管理委員会で以て許可にかけるというようなことをしないで、自動的に送れるようにしよう、こういうことを内容といたしておるわけでございます。で、外資に対する日本政府の態度としては、成るべくこれを歓迎するという意味合いから、制限は徐々に外して行こうということが、外資に関する法律の第二條にも明定してあるわけであります。この外資に関する法律ができましてからだんだん外資導入が軌道に乘りかけて参りまして、増加しつつあるわけでありますが、なお平和條約の発効を機会に、今後もますます外資が入つて来るでありましようし、日本の期待も大きくなるということになりますので、この制限的な條文を成るべく外しまして、入りやすい態勢にして行こうということを考えまして、今回の外資に関する法律の改正案が提案となつたわけであります。今度の改正案のポイントはどこにあるかと申しますと、一つは今申しました、最初に入ります場合のスクリーンをいたします認可制度を整備いたしますことが第一点、それから第二点は、入りましたあとで、将来外貨で保証されますものの範囲を拡張するというのが第二点であります。  そこで條文の順序で御説明いたして参りたいと思いますが、この第一條から第七條まではこれは例えば定義の改正でありますとか、その他今回改正をいたします、実質的な点に伴つて、條文の整理の必要上改正を要するといつたような派生的な問題でありますので、説明を省略いたしまして、十四頁の第八條から説明いたしたいと思います。  第八條は見出しにもございますように「(認可、許可又は勧告の基準)」ということになつておるのでありますが、これは今申しましたように、一定の形の外資は外資委員会の認可を要するという場合が第二章以下で規定されておるわけでありますが、その場合に外資委員会がどういつた基準で認可、不認可にするかという基準を規定した條文でございますが、この第一項はいわば積極的な基準ともいうべきものでありまして、これこれに該当する場合に認可される。で、而も国際收支の改善に有効に寄与するものを優先して認可するという規定であります。    〔委員長退席理事小林英三委員長席に着く〕  第二項のほうはいわば消極的な基準でありまして、ここに列挙してあります場合に該当するときには外資委員会は認可をしてはならないという規定でございます。第一項の積極的な基準のほうは、條文整理以外には別段今回は変つた点がないのでありますが、第二項のほうで一つ重要な改正が行われておるのであります。二項のほうでも第一号、二号、三号は別段変りありませんが、変りました点は、この四号、五号というのが、四号一本に規定いたしまして、その四号を相当詳しく規定することになつたのであります。ここでどういうことを狙つておるかということを簡單に申しますと、今申しましたように、外資委員会が、入つて参ります場合に認可をする、そして認可された場合には送金の保証がされるという態勢をとつておるわけでありますが、どういうものに送金の保証が与えられるかと申しますと、これはやはり日本の経済に寄与するものでなければなりませんが、この投資の裏付けとなつておりますところの資金が、外貨そのもの、或いは外貨と同等の価値のあるものでなければならない、そういう一般的な原則をとつておるのであります。つまり日本で外国人が稼ぎました円で以て投資さしたと言つても、これは成るほど外国人が投資いたしましても、そういつたものに基いて送金、将来果実なり元本を送金する場合に、ドルなり、ポンドといつたような外貨で送金することを認めるということはしないで、投資の際に現実に外国から外貨を持つて来るか、或いは外貨に相当するような価値のあるものを、現物を持つて来るというような場合でなければいけないという根本原則をとつておるのであります。そういたしますと、例えば外国人が日本の株式に投資いたします場合に、最初にAならAという株に投資いたします場合には、外貨を持つて来て、その外貨を為替銀行を通じまして合法的に、ドルでありますれば三百六十円というレートで以て交換した円貨で以て株を買つた、従つてそれが外資委員会の認可を受けてその株から生ずる配当金は配当のあつた都度為替管理法による許可を得ないで自由に送金できる、こういうことになつたといたしましても、その外国投資家がAの株を暫らく持つておつて、今度はそれを売つてBの株に買い換えたい、こういう希望を持ちました場合には、今度はそのAの株を売つたときにはその売つて得た代金は、これはもはや普通の円価ということの取扱に従来の法律ではなるのでありまして従つてBの株を買つても、第一買うことについて認可が得られないし、従つてそのBの株の配当金の送金の保証も得られない、やはりBの株を買うためには又もう一度そこへ外貨を送金して来なければならない、こういうことになつておつたのであります。併しながらこれは投資家側に対しましては非常に大きな制限でありまして、一旦外貨を持つて来て或る株に投資しましても、何らかの事情によつてほかの株に買い換えたいというときに、それが認められないということでは、なかなか株に投資しようという意欲が出て来ない、こういうことが当然考えられるのでありまして、又日本の立場からいたしましても、最初にこのドル、その他の外貨なり、外貨に相当するような値打のある現物が入つておるなら、あとで入つた後に、その株がAからBに移つても差支ないのではないか、こういうふうな考慮からいたしましてこの際乘り換えを認めて行くことにしてはどうか。併し乘り換えをいたしますにつけても、あとのBの株を買うときに自由にするのではなくして、やはりBの株を買うときは外資委員会の認可を要するということになつておるのでありますが、ともかくもそういつた認可を得さえすれば、転々とABCというふうに一つの株から他の株へ乘り換えて行く、そうして前通りに配当金の送金保証が得られると、こういうことにしておけばだんだん日本に対する投資も入りやすくなるのではないか、こう考えまして、その乘り換えができるように、つまり乘り換えようとするときの認可ができるようにするという趣旨で以て、この八條の第四号ができたわけであります。そこに十六頁以下イからヘまで細かい規定を書いてあるわけでありますが、このイに書いてありますのは、従来にありましたと同じような基準で外貨そのもの、或いは外貨と同等の価値のあるもの、これで以て株を買う場合には認可がされるという規定であります。それから口にありますのが、今私申しましたごとく典型的な乘り換えの場合でありまして、而も送金の保証を得ております場合に、その株を売つてその代金で以てほかの株を買うという場合には、やはり認可され、そうして新らしい株について送金の保証が得られるというのがロ号であります。但し、その売却いたしましてから次の株に乘り移るまでの期間を無制限にしておいたのでは非常にあいまいになつて参りますので、この間、又投機活動も相当起る危險性もございますので、この乘り換えと、それから次の売却と、それから次の株式の取得の認可申請との間には一カ月という期限を設けまして、一カ月過ぎたならばもはや乘り換えには使えないと、こういうことにしたわけでございます。ハは、この投資家が自発的に自分の持つておる株を売つた資金ではなくして、会社が解散して、その残余財産の分配を受けたという場合、その他こまごました場合を列挙してあるのであります。こういつた場合には、元持つておりました株が送金保証を受けております場合には、その会社において残余財産の分配があつた、その円で以てほかの株を買う場合には認可してもかまわない、そうしてその新らしい株について配当の送金の保証が得られると、こういうことになるわけでございます。相当ハ号は長い條文になつておりますが、これは残余財産の分配金と同じような取扱にいたすべき性質のものを列挙いたしたのでありますが、現実に起つて来る例は非常に少いかと思いますが、一応羅列して規定したわけでございまして、最後に又「その他政令で定めるもの」というもので規定を設けまして、全部拾い得る。即ち、外貨と同等な、一等最初に外貨を送つて来て、それが何らかに形を変えたものだ、従つてその形を変えたものは外貨と同じ取扱をしてやつて差支えないと、こう考えられる種類のものを網羅いたしたつもりでおります。これもやはり売却代金の場合と同様に、そういつたものが支払われましたときと、それからそれで以て今度新らしい株式を取得いたしますための認可申請との間が一カ月以上あつてはならないということは、売却代金の場合と同様であります。それから今、大体株だけのようにして御説明を申上げましたが、今度新らしく受益証券について、元本の回收金の送金保証をなし得る制度が後のほうの條文で認められて参つたのでありますが、この受益証券につきましても、受益証券を最初に取得するときに、相当の価値のある現物を持つて参りまして、受益証券に投資いたしました場合、従つてその受益証券の果実なり、元本の回收金が送金保証を得ておるというような場合に、それを売りましてほかの株式に買い換える、或いはほかの受益証券を買う、或いは社債、貸付金にするといつたような場合にも、やはりこの認可を与えることができ、而もその新らしい新投資について送金保証が得られる、こういうことにしようというのが、この二号の設けられた趣旨でございます。それからホは、以上述べましたところによつて、例えば株を売却したり、残余財産の分配があつた、そうしてこのほかの株に乘り換え得る資金を或る外国投資家が持つております間に、例えば相続、遺贈或いはその持つております外国投資家が法人の場合に、会社の合併が行われたという場合には、被相続人、被合併会社と同じように、その新らしい投資家に対しても、ほかの投資に使い得ることにしてやらなければ不都合が生じますので、これを認めようという趣旨であります。それからヘ号は、これはあとで御説明いたしますが、外国投資家預金勘定というのがこの法律によりまして今度新らしく作られることになつたのでありますが、この預金勘定から払戻しました円資金で以て株を買う場合には認可してもよいと、こういうことになつておるのであります。以上申上げましたようにこの第四号の條文は一番大きな狙いは、いわゆる株式について乘り換えができる認可を要しますけれども。或る株を買つたならば、従来は極端に言えば、未来永劫にその株をずつと持つていなければならないというようなことになつておりましたのを、このいろいろな事情その他の判断から、ほかの株に買い換えたいというときにはそれを認めて行こうというのが一番大きな趣旨でございます。  それから九條は條文整理の程度でございますので省略いたしまして、九條の二でありますが、これが今申しました外国投資家預金勘定に関する規定であります。これは後ほど出て来ますところで触れて御説明するほうがよいかと思いますが、簡單にどういう趣旨で作られたかと申しますると、後に御説明いたしますように、今度株式につきましては元本自体の持ち帰りと申しますか、外貨の送金を保証し得る制度をとつておるのであります。それから受益証券につきましても大体同様の制度をとつておるのでありますが、併しながら今日の日本の外貨事情を考慮いたしまして例えば株を売却いたしました場合に、この売つた金を全部一時に引揚げるということは、日本の国際收支に非常に急激な圧迫を加えることになる虞れもございますので、株式にいたしましても、受益証券にいたしましても売却したり、その償還があつた後一定の年限をおきまして、その間小きざみに五回に分けて二〇%ずつ送らせるというような措置をとつたのでございます。そういたしますと、そういつた元本の回收がありまして円貨が外国人の手に入り、一時海外へ送金されないで国内に滞留するという事態が当然予想されるわけであります。その金を、この円貨を自由に外国人が使えるということにいたしましてはこの間の経理が不分明になるという虞れもありまするし、又そういつた外国人の持つております円貨は、いわば潜在的な対外債務とも考えられまして、そういつた性質のものが勝手に投資せられまして、不当に増大するというようなことは成るべく防いだほうがいい、こう考えられますので、将来は送金されるけれども、円という形で以て国内にとどまつている間は、一つの特別な勘定の中に入れておいてもらう、こういう措置をとつたのであります。第二項の第一号から第四号までの規定でありますが、大体こういう性質のものを入れるのだ、それ以外のものは入れないのだという規定にいたしたのでございます。  次は第二章でありますが、この二章にはいろいろな形の外資導入についてどういう場合に外資委員会の認可が要るかということを規定しておる條文であります。現行の條文によりますと、外資委員会の認可を要します投資の形には三つありまして、第一が技術援助契約、第二は株式持分、第三が社債、貸付金、この三つの形の投資につきまして認可の関係を規定しておるのであります。今回の改正では、この三つのほかに更に先ほど申しましたように受益証券、これは昨年創設せられましたいわゆる投資信託という制度によつて発行せられますところの受益証券、それから只今国会で審議されております貸付信託法というのが制定されることになつておりますが、これによつても受益証券が発行されるのであります。こういつたものに対する投資についての認可の関係を規定する條文を新たに附加えて参つたわけであります。第一の技術援助契約につきまして、どういつた点が従来と変つたかと申しますと、先ず第一には、従来は対価の支払期間が一年を超える場合には、この対価を国内で円貨で受取る場合であろうと、或いはその受取つた対価を海外送金する場合とを問わず、すべて契約をいたします場合に外資委員会の認可が要ると、こういうことになつておつたのであります。この点を今回は改めまして、この外資委員会が認可をいたしますのは、技術援助を受けまして、その対価を海外送金するという投資家が対価について海外送金の保証を得たいと、こういう場合にのみ外資委員会が認可を許すことにいたしました。期間につきましては、対価の支払期間が一年である場合のみならず、契約の期間が一年を超える場合でも、とにかく対価を外国に向けた支払によつて受領しようという場合に認可がいる。ただ單に円貨で以て対価を受取つて満足すると、これは実際的には余り例が私どもは起つて来ないと思いますが、仮にあつたといたしましても、そういう場合には外資委員会の認可は要らないということにいたしたのが第一点であります。第二点といたしましては、従来は一旦締結しました技術援助契約の内容の一部分を修正しよう、條項を変更しようという場合に、従来の規定のし方によりますと、変更されまする部分だけについての認可を受けるという途がなく、結局はこの変更された部分を含んで新らしい契約を締結し直して、全体の契約についてもう一度認可を受ける必要があつたのであります。これではいたずらに外国投資家に煩瑣な手続を課する結果になりますので、今回はこの変りました條項だけについて変更の認可の申請ができるということにいたしたのであります。技術援助契約について、変りましたのは以上の二点でありますが、次に株式持分の規定はどういうふうに変つたかと御説明いたしますと、この十一條を御覽願いたいと思うのでありますが、十一條の元の條文はどういうことを規定しておつたかと申しますと、株式につきましては外資法では新株と旧株というのを分けて取扱をしておるのであります。外資法で新株と言いますのは、その株式を外国人が引受けました結果、株を発行しておる会社の資産が増加するという場合、これを新株と言つておるのでありまして、例えば或る会社が新たに設立され、その株を外国人が引受けますと、その払込んだ資金が会社の資産になるわけであります。それから増資をいたしますような場合にも、その株式を引受けますと、その資産になるわけであります。ところがこれに反しまして、旧株と申しますのは、すでに発行せられておる株式、いわゆる市場で上場されて売買されておりますような株式は旧株に該当するわけでありまして、これは幾ら外国人が買いましても、それは日本人から外国人に株主が変るだけでありまして、会社自体の経理関係には全然増減がないと、こういつたものをいわゆる旧株と言つておるのでおりますが、外資委員会が従来認可を要しましたのは、旧株については全部認可が要る、それから新株につきましては、その株式を引受けたことに基く配当金の送金保証を求めるときには認可が要るが、そうでなくして配当金をただ円貨で受領するだけで満足するというような場合は、新株の場合はただ届出でよいと、こういうことになつておつたのであります。それからもう一つは、外国人相互間の売買の場合、この場合も新株と同様にこの海外送金を希望する場合は認可が要りますが、そうでない場合は届出でよいと、こういう取扱になつておつたのであります。今度の改正によりますと、先ほど申しました新株で海外送金を希望しない場合、これが届出でいいという点は従来とは変りがないのでありまして、それが第二項に規定してあるのであります。それから外国人相互間の売買のほうは、これはどんな場合であろうとも認可が要らないというのが第三項の一号に規定せられたわけであります。同時に今回の改正におきましては、外資委員会の認可を要しないケースをたくさん挙げまして規定したわけでありますが、これはどういう場合かと申しますと、結局外国人が投資しております株に当然の権利として付いて来るものである、或いはその株がちよつと形を変えたに過ぎないものであるといつたような、前の株と継続して投資を認めて行くべき筋合いのものにつきましては、新らしくその形変えをしましたり、新らしい株が割当られるときに一々認可の申請をしてもらうという必要もなかろう、又認可の申請があつてもこれを拒否すべき理由がないと考えられますので、そういう場合にはいつそのこと初めから認可を要らないことにしようという趣旨で第三項に十号、十一号までの規定を設けたわけであります。第一号は先ほども申しましたように、外国人相互間の売買の場合でありまして、これはAという外国人投資家がBという外国投資家に形を変えるだけでありますので、この場合は認可はいらない。それから第二号は、これは株式持分を相続又は遺贈によつて取得する場合、この場合も相続、遺贈するという事実がありますれば、今更その株を持つことを禁ずるという、不認可にするということも考えられませんので、これは当然認可から外したがよかろうということでこの規定を設けたわけでございます。第三号の合併の場合も大体同様の趣旨であります。合併自体はそれぞれの国の法律で適法に行われます限り、資産が包括的に承継される際にその中の各一部分の日本の株式だけについてこれを認可申請にかけ不認可にするということも考えられませんので、これは初めから認可が要らないことにしようという趣旨であります。それから第四号は、これは第三号と違いまして、外国人が持つております日本の株式の発行会社がほかの会社と合併して、或る外国投資家がAという日本の国の会社の株を持つておる、そのAの会社がBの会社と合併してCという新設会社となつたという場合には、Aという株式を持つておることに基いて当然新らしいCという会社の株が割当てられて来るのでありますが、これは当然この所有を認むべきものでありますので、これは初めから認可が要らないということにいたしたわけでございます。第五号は、これは新商法によりまして、会社の準備金の資本組入れが行われまして、それによつて新株が発行される場合があるわけでありますが、こういつた場合におきましても、これは前に持つております株に当然の権利として割当られて来る株式でありますので、認可が要らないことにいたしたのでけごいます。第六号は、これはいわゆる無償交付の場合であり、再評価積立金の資本への組入れをいたします際に発行される株式、これも当然不認可にして拒否するといつた事例も考えられないのでありますので、初めから認可を要しないということにいたしたのであります。第七号は、株式の分割併合というような事例の場合でありますが、これは当然前の株が形を変えるというのに過ぎませんので認可は要らない。第八号は、利益の配当に充てるために新らしい株が発行される、これも当然前に持つておつた株主の権利として発行されるものでありますので認可は要らない。第九号は、転換株式、転換社債が新らしい株に変わるという場合であります。これも形を変えるに過ぎませんので認可は要らないということになつております。第十号は、いわゆる敵産の処分を受けました財産が、これらのここに掲げております政令で回復されるという場合には、これは当然戰前の状態に復してやるべき性質のものでありますので認可は要らないということになつておるのであります、第十一号は、その他政令で定める場合、将来何らかの原因でこの認可制度にかけるということは不適当と考えられるような事例が起りました場合には、この政令で定めることを要するのでありますが、ここで一つ考えられますことは、将来平和條約が発効して通商航海條約が各国との間に締結されることに相成ろうかと思いますが、その際に若し日本が株式の取得といつたことについて内国民待遇を与えなければならないということになりました場合には、日本で日本人に株式の制限をしてないという場合には、外国人にも制限を与えてはならない、制限を与えることが條約違反になるというようなことが予想されますので、そういつた場合にはこの十一号によりまして、政令を設けまして別段法律改正をやらないでもそのような事態に対処できるという用意をして置こうというわけであります。  それから十二條は、先ほども触れましたが、新らしく入りました規定で、受益証券について元本の送金保証をいたしますためにこの送金保証を要求いたします場合には、外資委員会の認可が要るということにいたした條文でありますが、この受益証券につきましても外国人相互間の譲渡の場合とすれば、相続、遺贈、合併といつた原因で以て取得する場合には認可が要らないという点は、株式の場合と同様でございます。  それから次に、社債、貸付金債権の取得でございますが、これは従来とは根本的に違います点を含んでおるのであります。従来は社債、貸付金の形において投資いたします場合に、どういう場合に外資委員会の認可が要つたかと申しますと、外資委員会の認可を要する他の事項と共に行われるという規定のいたし方をいたしまして、    〔理事小林英三君退席、委員長着席〕 例えば外資委員会の認可を要する株式取得だとか、或いは技術援助契約、こういつた事柄と同時に、この貸付金が行われる、或いはその会社の社債を持つといつたような場合には外資委員会の認可を要する、そうでない場合には外資委員会の認可が要らない、但しこれは別に為替管理法というのがありまして、このほうの系統で以て規制されるのは別問題でありますが、外資委員会の認可は要らない、こういうことになつておつたのであります。ところが外資委員会の認可は先ほど来縷々御説明しておりますように、送金保証の前提となる行政処分であります外資委員会の認可は要るが、認可を得れば、あとで以てその元本なり利子の送金について為替管理法の許可が外れて来る、こういうことになつておるのであります。従いまして今申しましたように、株式取得や技術援助契約なんかと共に行われないで、單独にこの貸付金だけをしよう、純粋に資金的な投資が行われるという場合には、外資委員会の認可は要らない代りに、そういつた貸付金について、元利金の送金保証が得られない、こういう不都合があつたわけでございます。そこでこの点を何らか解決しなければ、こういつた資金的な外資は今後入るのがなかなか困難だと思われますので、今度の新らしい條文によりますと、外資委員会の認可を要する事項は、一緒に行われる場合であると否とを問わず、この元利金は送金保証を要求する場合には外資委員会の認可が要る、そうして外資委員会が認可をいたしますれば、後に出て参ります條文によつて、元利金の送金が保証される、こういう規定のいたし方にしたわけであります。それから大蔵省との権限関係で多少入りくんだ條文が二項、三項とございましたが、これはこの際外したほうがよかろう、手続の簡素化という意味合いから削除いたしたわけであります。それから外資委員会が認可をいたします場合でも、この一年未満の極く短期の契約、貸付金契約、例えばその他国際商業取引の決済のためのいわゆるクレジツトの設定のような場合、こういつた場合には、送金保証ということをいたします実績も余りございませんので、外資委員会の認可からは外し、これは為替管理法の系統でそれぞれの主管官庁の許可なり承認をとつてやつて頂く、こういうことにいたしたのでございます。これにつきましても、この合併だとか相続、遺贈或いは外人相互間の移転の場合に認可が要らないという点は、株式受益証券の場合と同様であります。  以上で、大体この四つの形に分けまして、外資委員会が認可を要する場合がどういう場合であるかということを規定いたしたわけでありますが、第十三條の二という新らしく入りました條文は多少違つた事柄を規定しておるのであります。これは先ほど来御説明しましたように、株式にしろ、受益証券にしろ或いは貸付金にいたしましても、この外資委員会の認可が要らないというケースは今度相当出て参つたわけであります。ところが外貨送金の保証をいたします場合に、従来は認可があつたときには送金が保証される、こういうやり方になつておつたのでありますが、それが認可が要らないということになるとどういう方法によつて保証するか、認可が要らない株式を取得すれば無様件でその配当金なり、今度は新らしく元本の一定の範囲内の持帰りができることになつております。そういつた送金保証が得られるかと申しますと、そういうことにいたすわけにも行きませんので、そこで認可が要らない場合に送金保証を要求するときには、別に外資委員会の指定の申請をして頂く、そこで以てこの外資委員会が送金保証を与えていいかどうかという判定を下す機会を持とうというのがこの十三條の二であります。従いましてこの一号から二号、三号、四号、五号というふうに規定してありますが、これは大体株式の所で御説明しました認可が要らないケースに対応しておるわけでありますが、余り細かくなりますので省略いたしますが、とにかくそういつた認可が要らない場合に、而もその株は常に送金の保証があつた、そういつたものを相続、遺贈或いは合併によつて取得する、こういつたような場合には送金保証を継続して得たいと考えますときには、この取得の日から三カ月間を限りまして、外資委員会に指定の申請をなして頂く、そうして指定のありました場合にはこの送金保証が得られるということにいたしたわけであります。  十三條の三は、これはすでに送金をすることができるようになつておりますところの投資に伴う果実なり元本を、まだその投資家が送金しないうちに、例えば死亡して相続が行われた、或いはその会社が合併されたという場合におきましては、被相続人なり、被合併会社が送る権利を持つておりましたわけでありますが、それを当然この相続人なり、新設の会社についても認めてやるべきものだと考えられますので、そういつた場合については、外資委員会に確認の申請をやはり三カ月以内にして頂きまして、そうして外資委員会が確認いたしました場合には、この前の投資家と同様に無條件に送金することができるようにしてやろうというのがその趣旨でございます。  ただ次の十四條は條件に関する規定であります。外資委員会が認可をいたします場合に、従来は必要な條件を付けることができる、併し條件としてはいろいろ考えられますが、例えば送金につきましても限度を或る範囲に区切るというようなことも必要があればできることになつておつたわけであります。又為替管理の主務官庁がそういう條件を付けて欲しいということを委員会に言つて参りました場合には、そういつた條件を付けなければならないということになつておつたのであります。ところが従来外資委員会が付けますのは、この認可をするに際しということに限定されておりました。一旦認可をいたしましたあとで、以て、この條件を変えようと、むしろ変えて欲しいという投資家側の希望がありましても、外資委員会はこれを変更することができなかつたのであります。ところがあとで何らかの事情によりまして認可の際には條件が付いたが、もはやその條件は不必要になつた或いはこれを除いて欲しいという希望がありました場合に、外資委員会がこれを審査いたしまして、止むを得ない事情があると、認めたときに限つてこれを変更することができることにしようというのが、第十四條の第二項を新たに設けた趣旨であります。  第三章は送金保証に関する規定でありまして、実は今度の改正の一つの大きなポイントをなしておるわけであります。もとは十五條は一條でありましたものが、十五條の四まで相当複雑な條文に変つておるわけであります。十五條の基礎條文は、先ほど来御説明しておりますように、外資委員会の認可があつたときには、為替管理法でもはややかましい制限をしない、当然外国へ向けた支払が認められたものとする、こういう規定のし方によつて外貨送金の保証をいたしておつたわけであります。これは技術援助の対価、株式の配当金、貸付金の利子、元本の償還金、これを一括して規定しておつたわけでありますが、今回は送金保証の範囲を拡張いたしたわけでありまして、それと同時に、ものによつていろいろ取扱が変つて参ります関係上、従来と同じように外資委員会が條件を付けない限りは無條件に送金できる、技術援助の対価、それから社債、貸付金の利子、元本の償還金、これだけを十五條にいたしまして、株式、受益証券等の送金保証を別條に設けたわけであります。ただ十五條が前と変つております点は、先ほど御説明しましたように、従来は認可によつて送金保証をいたしておつただけでありますが、今回は指定という行為によつて送金を保証する場合も出て参りますので、これは先ほど御説明しました十三條の二に対応いたしまして、外資委員会が指定をいしたました場合には、果実、元本の回收金の送金保証が得られるという條文が新たに入つて参つたわけであります。  十五條の二は、株式持分と受益証券の果実、元本の回收金についての送金保証であります。そのうち、従来は株式についてはただ單に配当金のみの送金保証を満しておつたのでありまして、これは貸付金なんかと違いまして株式の形で投資いたします場合には別段期限というものがないわけでありますので、元本につきましては、従来は送金を保証しておらなかつたわけであります。併しながら外国人が日本の株式に投資いたしましたら、それが永久に日本でブロツクされる、将来何らかの理由でこれを引揚げたいと考えましても、何らの保証がないというのでは、なかなか日本に対する株式の投資の意欲も起つて来ないであろうということが当然考えられますので、これについての何らかの途を新らしく設けたらどうかということが考えられまして、今回は配当金に限らず元本についても或る制限の下に送金の保証を与えることができるようにいたしたわけであります。そこで十五條の二の第一項は、従来通り果実でありますので、いわゆる配当金はこれは無制限に送らせる、それから償還株式の利益金を以てする償却金、これは株式ではありますが、初めから期限が付いておりまして、利益で償却するというだけでありまして、性質的にはむしろ社債と同じような形のものでありますので、これは入ります場合には、條件その他をよく調べまして適当なものを認可いたすわけでありますので、それについては無條件にその償却金を送らせるということにいたしたのでありますが、問題は第三号の株式持分の売却代金であります。この売却代金につきましては、先ず第一に、三年間継続して持つておつた株式を売つた場合に限りということになつております。投資家が今日或る株を買つてすぐそれを売つた、その日からこれを持ち帰るということでは、これは日本の経済に何ら益するところがないのであります。むしろ弊害があるばかりでありますので、やはり或る程度引続いて持ち続けたものでなければならないという考え方から、一応三年という期間を設けまして、この三年間持ち続けた後に売却されたものでなければならないということを先ず第一に規定したわけであります。その売却代金につきましても、先ほど御説明しましたように円貨で国内に滯留いたします場合には、三カ月以内にこの外国投資家預金勘定に預け入れなければならない、その間に預けなければ、これはもはや送れなくなるということにいたしたわけであります。そうして三年たつた後、どういうような金額が送れるかということはこれは後ほど次の條文に出て参ると思いますが、先ず実体的に三年たつた後に売つた売却代金でなければならないというのが、この條文の規定しておるところであります。非常に長くごちやごちやと書いてありますが、これは実は長い括弧が二つ入つておるのでありまして、この括弧を除いて読んで御覧頂けば非常に簡單にわかると思います。この括弧を二つ設けました趣旨は、ここで取得の日から三年ということになつておりますが、この三年の起算点を特殊の場合には読み替える必要があります。例えば或る株を外国人が買いまして、その株が先ほど申しましたように、発行会社が合併いたしまして形を変えた、ほかの別の形の会社になつておるというときには、その株を持ち続けた期間を三年というのはどこから勘定するか、或いは又最初に投資しました株が分割、併合があつて、形を変えて別の形の株になつたという場合にはそれはやはり最初の株、先ほどの合併の場合も一番最初に投資しましたときの所得日を三年の起算点にするという必要があるわけでありましてそのためにこの最初の括弧が設けられております。それからもう一つは、株を持つております間に相続、遺贈、合併が行われるということも当然予想されるわけでありまして、その場合の相続人が新らしく相続してから三年ということでは非常に不利でありますので、又合併の場合におきましても、合併によつて取得した日から三年ということでは非常に不利な取扱になりますので、この場合も最初の投資家が取得した日を以てこの三年の起算点とする、こういうことにする必要があるわけであります。これが次の括弧が設けられた趣旨であります。この二つの種類の括弧はあとのほうの條文にもたびたび出て参りますが、結局はそういうふうに三年という期限を設ける場合に、三年の起算点を相続、遺贈、合併といつたような場合に特殊な扱いをする必要からこういう規定を設けたのであります。非常に表面的には規定がごちやごちやしておりますが、事柄はそういうことであります。  それから第四号は、これは当該受益証券の元本の回收金であります。この受益証券の元本の回收金は、何年も持ち続けるといつたような株のような制限は設けません。約款により定められておりますところの期限が到来しまして、元本の回收がありました場合にはそれを送り得る、但し全額一時に送れないのでありまして、全額に制限が付くのはこれは次の條文に出て参るわけであります。この場合もやはり三月以内に外国投資家が投資家預金勘定に預け入れておかなければ、三月過ぎたあと続けて円で持つておつた者は送れないということにいたしておるのであります。それから第二項でありますが、これは先ず第一に残余財産の分配金の取扱をどうするかということで、これは株の売却代金が送金保証を認められる以上、やはり残余財産につきましても送金保証を認めて行く必要があるわけであります。これにつきましてはその期限の制限をどういうふうに見るかと申しますと、結局外国投資家が取得しましてから、やはり三年の経過後ということになつておるのであります。これは解散の場合には、投資家の意思によつて解散が行われるのではないから、その翌日から金額の限度は設けるにしても、送らせてやるべきではないかというような議論もあろうかと思います。但し又こういう場合も考えられますので、一応取得の日からといたしましたのは過半数、その会社の経営を支配し得るだけの株主になりまして、そうして例えば一年、一年半くらいの間に非常に荒稼ぎをいたしまして、そこで外国投資家が自分の意思で以て解散する、そうしてそれをその年から二割にいたしましても持ち帰るというような脱法的な行為をされるというような虞れもなきにしもあらずでありますので、これはやはり取得の日から二年ということにいたしたわけであります。それから第二号は、先ほど来御説明している外国投資家預金勘定の利子でありますが、これは無様件に送金を認めるということにしたわけであります。  十五條の三は、先ほど実体的にどういうものが送れるかということを十五條の二で御説明しましたが、今度はその金額についての制限でありまして、第一項は売却代金についての規定でありますが、これも括弧が入つておりますために非常にややこしいことになつておりますが、事柄を簡單に申しますと、結局毎年二割ずつ五年間に分けて送金できる、こういう規定でございます。その場合の二割と申しますのは実は二通りの計算の方法があるわけであります。例えば外国投資家が百株日本の株を買つた。それをまあ三カ年持ち続けておつて、三年たつた後にこの百株全部を売つた、その場合にはその全部の売却代金の二割を先ず最初送れる、その翌年又二割送れる、残つたものは、先ほど来御説明しております外国投資家預金勘定の中に入れておく、こういうのが一つの例でありますが、もう一つは、百株投資いたしまして、三年間持ち続けた後にこの全部を売らないで、その中の二割の株数の三十株だけを売つた、残りの八十株は依然として持ち続けるという場合も考えられるわけであります。その場合は二十株を売りました売却代金全部を一年に送れる、その翌年に参りまして又二十株分を売りまして、その代金を全部送るというふうに売却代金の二〇%でまあ計算いたします場合と、それから株数の二〇%で計算いたします場合と、この二つの方法のいずれによつてもいいような規定のいたし方をしているわけであります。それからもう一つ申上げておかなければならないことは、最高二〇%ということになつておりまして例えば或る年に二〇%送れるにもかかわらず送らなかつたという場合には、次の年に前の年の分と合わせて四〇%送れるかというと、それはできないのでありまして、或る年一年間送金をしません場合には、普通なら五年間で全部送れることになるのが、更に一年延びて六年になる、こういうふうに順繰りに後へずらして行く、とにかく毎年送れる金額は二〇%に限る、こういうことになつているのであります。第二項は受益証券の元本の償還金でありまして、これはもうその償還金を毎年二〇%の額で計算して、二〇%送れるということになつているのであります。残余財産の分配金につきましても、やはり毎年二〇%ということになつております。  第十五條の四は、先ほど十三條の三の所で御説明しましたように、このすでに送金を認められておりますところの技術援助の対価とか、元本、果実というようなものについて相続、遺贈、合併が行われました場合には確認の申請をして頂くわけであります。外資委員会が確認をいたしますれば送金が認められるというのがこの十五條の四の規定でございます。  大体以上によりまして今回改正いたそうとしております重要な点を御説明いたしたわけでありますが、あともう一点だけ御説明を加えておきたいと思いまするのは、この二十四條、報告に関する規定であります。従来の二十四條によりますと、これは外資委員会が認可をいたしました事項が現実に実行されました場合に、その事情を報告するということに過ぎなかつたのでありますが、これはそのままといたしまして、今度第二項を設けまして、そのほかにこの法律の施行を確保いたしますため必要がありますときには、随時広く外国投資家、その相手方のみならず、その他の利害関係人からも次の諸点について報告がとれることにしよう。この一番大きな例といたしましては、例えば日本の会社が外国の会社と技術援助契約をする、技術契約をして新らしい製品の生産に乘り出した、ところが認可をいたします際に、いろいろ我々資料をとつて検討をいたすわけでありますが、そのときに予想いたしました通りの成果が果して挙つておるかどうかということが、今日のところではあとから調べる手段が全然ないのであります。これでは非常に困りますので、そういつた場合に、会社から実際にその後の進行状況を報告して頂くということができるようにしようというのが大きな狙いであります。そのほか利害関係人といたしましては、株式投資の場合にその株式を発行しておる会社も入るでありましようし、又その外国投資家預金勘定の場合でありますれば、外国為替銀行などが入つて来るわけでありまして、こういつたものからも必要がありますれば報告がとれるようにいたそうという趣旨でございます。  大体以上で本文の説明は終りますが、このほか條文として非常にごちやごちやした條文が実は附則に四項ほど設けられておるのであります。この附則はなかなか読みにくい條文でありますが、結局どういうことを考えておるかということを事柄として簡單に申上げますと、先ず一つは、従来の法律によりまして外資委員会がすでに認可しております場合に、送金保証があるわけでありますが、その送金保証の効果は、今度法律が変りましてもそのまま引継ぐというのが第一点、それからもう一つは、従来株式の取得について外資委員会が認可いたしました場合に配当金の送金保証が得られただけであります。今度の改正によりまして、今後入つて参ります株式投資が、元本の償還金につきましても保証が得られることになるわけであります。前に入りましたものがあとから入りましたものに比べて不利な取扱を受けるということは非常な不合理でありますので、すでに外資委員会が認可いたしました配当金については保証は受けているが、元本保証が受けておらないというものにつきましては、もう一度審査し直しまして、適当なものは送金保証の途を与えるということにいたす必要があるわけであります。その場合には、やはりこの改正法が施行されましてからやはり三カ月以内に指定の申請をして頂きましてそうして外資委員会が指定しますれば、今度新らしい元本の送金保証も得られるということにしようとするのが、この附則を設けました大きな狙いであります。  大変長くなりましたが、一応條文につきまして、今回の改正の主な点につきまして御説明申上げた次第であります。
  25. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 御質疑ありましたらお願いいたします。
  26. 山本米治

    ○山本米治君 この外資導入というのは最近の大きなテーマになつているわけですね、日本も特にアメリカから外資を期待していると思うのですが、こちらにおいていろいろな外事を吸引し、かたがた日本経済に害惡にならないような方法でやろうという態勢を整えるのは結構ですが、結局アメリカのほうで外資を、今度向うから言えば押し出すほうの政策を相当やらないと、アメリカの世界政策として世界経済が行詰るような気がしているのですが、この点について僕は少上前まではアメリカのほうもなにしておりましたが、最近ちよつと勉強を怠つておりますので、アメリカのほうでどういう態度をとつているか、アメリカ側でも何らかの、外国へ出る資本について、出やすいように何らかの方法を講じているかどうか。立法手段その他一つお伺いしたいと思います。
  27. 賀屋正雄

    政府委員賀屋正雄君) アメリカの事情はよくわからない点もあるのでありますが、特に民間外資を奬励するという意味でとられた措置といたしましては、私の承知しておりますところでは、課税の点につきまして従来は日本の会社に投資いたしましたような場合には、過半数の株式を持つた場合でなければその收益に対する課税を控除しないということになつておりましたのを、一〇%以上あればいい、こういうふうに改正しようとする議論があつたように聞いておりますが、まだ私その結果を承知しておりませんが、そういう問題が新聞なんかでも拜見いたします。それ以外にはちよつと、特に外資が出て行くほうを奬励するために、法制的にとつた措置としては別段ないのではないか……。   —————————————
  28. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 他にございませんか。……次に設備輸出為替損失補償法案に対しまして、通産通商振興局経理部長石井君から御説明を願いたいと思います。
  29. 石井由太郎

    説明員石井由太郎君) 昨年の暮に本委員会におきまして御審議を願いまして、通過成立いたしました輸出信用保險の改正におきまして、設備輸出等をいたします場合の延払い條項による信用の危險を担保するために政府が保險をいたすという制度が確立したわけでございますが、この御審議の過程等におきましても、将来設備輸出を伸長いたしますためには、單に戰争、内乱等による為替上の諸制限、或いは相手方の支払の遅滞といつたようなことに対する險制度を作るのみならず、進んで長期に亘る為替の変動を除去しなければ設備輸出の振興は期し得られないのではないかという御意見が多かつたのでございますが、これにつきまして通産省といたしましてもつとに設備輸出の為替損失補償制度を立案、審議いたして参つたのでございますが、今回成案を得まして提出いたすことになりましたので、この概略について御説明申上げたいと存じます。  設備輸出の現況を申上げますと、昨年の二月から本年の一月までの間に大体六千六百万ダラー程度の設備輸出が行われておるという状況でございます。二百億円を超えておるわけでございますが、この地域別の状況はダラー地域が約半分、ポンド地域は約四〇%、爾余がオープン・アカウント地域というような状況になつているのであります。内容的には、船舶が約七〇%を占めまして、紡績機械或いは発電設備、鉱山開発用の機械等が爾余の部門等を占めておる状況でございます。これらの現況に対しまして、設備輸出全部に対しまして長期の為爲損失補償をいたすかどうかということが先ず第一に論議されたのでありますが、現在ポンド圏との貿易の現況とを考え併せまして、結論的には本法が国際收支上、不利な收支関係になつております所から有利な收支関係になつておる所へ輸出品の市場を転換するのに役立つような設備の輸出乃至は従来当該地域から輸入が行われていなかつたけれども、改めて国際收支上有利な地域からの輸入を促進するために設備輸出するといつたようなプラント輸出に限つて為替の損失補償を認めようということに相成りまして、法文の第三條の第一項に書いてありまするところの條文が生まれて参つたのであります。即ち政府がプラント輸出につきまして為替の差損を補償いたしますのは、プラント輸出の全部ではございませんで、国際收支上重要物資の輸入市場を、国際收支上有利な地域に開拓する場合乃至は国際收支上不利な地域から有利な地域に転換する場合に限つて、設備輸出について為替相場の変更に伴う為替差損の補償をいたそうとしておるわけでございます。勿論輸出に伴います為替の差損のカバーにつきましては、御承知のごとく現在為替予約の制度によりまして、一年未満の変動は予約でカバーが取れるわけでございますけれども、一年以上というような長期なものにつきましては、商業ベースでは為替の差損のカバーが取れませんので、このような制度を設けたのでございますが、それを全部に及ぼさないで、出超国からの輸入促進という点に重点をおき、政府補償の制度を設けたのでございます。それから第二点は補償料の問題でございます。補償料は政府のほうに輸入者から納めてもらわなければならんのでございますが、これは大体二%程度を徴收いたすことを考えておる次第でございます。第三点は損失を、何を以て損失とみなすかということ、並びに補償の額でございますが、本制度は現実に相手がたから所定の期日に対価が取れるか取れないかということを前提といたしませんで、大体長期の為替予約の観念に従つて制定いたされておるのでございます。第五條にございますごとく、当初為替の補償契約をいたしましたその日の為替相場と、それから対価を受領するとあらかじめ予定いたしました日の為替相場とが違いました場合に、それがいわば円高になつております場合には、その差損を補償するという制度といたしたわけでございます。御承知のごとく、長期の対外信用授与に伴いましては、或いは予定期日に対価が回收できるできない等の問題があるわけでございますけれども、一応この点をとりませず、為替予約と同じように契約通りの日に差損を計算いたしまして支払うということにいたしたわけでございます。又逆に為替の差益が出る場合も考えられるわけでございますが、この場合におきましてはその差額を政府に納付させるということにいたしたのでございます。  以上のような構想で組立ててあるのでございますが、ここに一つ問題となりますのは、飽くまで為替予約の観念に従つております関係上、例えば乙種輸出信用保險の対象となつておりました設備輸出が行われまして、それが相手方の破産或いは支払不能等で金が払えないという場合には、信用保險契約によりまして輸出対価の八〇%までは保險金が受取れるわけでございます。この保險金は円建の契約でございますから、為替の騰落に関係なく、大体輸出契約成立時の為替相場で八〇%は政府から保險金の支払を受けるわけでございますが、そういたしましたものにつきましてもなお且つ特に考慮を払わねばならんというような事態が生じ得るわけでございますので、特に第七條を設けまして、輸出信用保險で保險金として輸出代金の一部を受取りました場合には、当該部分については為替差損の補償をしないという條項を挾んでございます。  以上が本法の骨子でございまして、爾余の問題といたしましては、補償金の交付の手続は政令で定める点、乃至は損失確定予定日、いわば為替差損の決定をいたします予定日を延期しなければならない場合には、必要とあれば大蔵大臣が延期の申出に応ずることができるという規定をおきました。但しこの為替損失補償の契約は、財政法第十五條との関係もございまして五カ年以上の期間に亘つて行えないのでございまして、五カ年内でありますれば延期に応ずるという途を開いたわけでございます。更に長期のプラント輸出等の場合でございますと、契約締結後状況の変化が相当織込まれたのでありまして、当初の補償契約を継続することが困難な場合が予想されることがございますので、このような場合には解除いたしまして将来に向つて補償料の納付を免除するという制度をも併せ設けたのでございます。なおこの為替の損失補償制度が確立いたしますれば、商業ベースで為替銀行と予約いたしまして、為替変動のカバーを取ることは必要なくなります。又これを輸出しますれば、分割払い等の場合は一年ずつの分について為替予約を実行いたしまして、同一事項に対して二つの損失補填を受けるというような事態も生じますので、第十一條を設けまして、これらの売予約をすべて禁止するという制度を設けたわけでございます。  以上が大体制度の骨子でございますが、ドル輸出に向けましては、現在政府の方針といたしまして三百六十円レートの堅持という見地から為替の変動は一応ないということを前提といたしまして、ドル輸出は大いに振興しなけいばなりませんものではございますが、この制度の対象から、法文上ではなく、事実上除外されることに相成るわけでございます。又設備の範囲を冒頭に申上げましたように、本邦の輸入市場の開拓に役立つような設備ということが中心と相成つておるわけでございますが、この概念を拡めまして、或いは全く新らしい市場の開拓でありますとか、新らしい商品の輸出であるとかというようなものに拡げたいという要望は各方面からも参つておりまして、制定の過程におきましても、相当深刻な折衝が重ねられたのでございますけれども、現在本邦といたしまして出超となつております地域からは、先ず輸入を急ぐということが非常に重要な問題であります関係もございますので、今回の法律案の中には輸入市場の開拓に役立つ設備資金のみに限定されることと相成りました。  更に本法を実施いたしまする所管につきましては、法律の第三條に、政府が為替の損央補償契約を締結するということになつておりまして、所管が明らかとなつていないのでございますけれども、後段の條文を御覧願えばわかりまする通り、大蔵大臣ということに相成つております。本法の一條を御覧願えばわかります通り「重要物資の輸入の確保」云々というようなことも制度の一つの目的でございまするので、所管を如何いたすべきかは、これまでいろいろ論議を重ねたのでございますけれども、現在の外国為替管理法の建前におきましては、為替のレートを切り上げいたしますのは、いわば大蔵大臣の專属的な権限と相成つておるわけ相でございまして、大蔵大臣がこの権限に基きましてレートの切り上げ、切り下げをした場合のいわばあと始末、このあと始末のうち特に長期の輸出為替を持つておりましたものに対しての政府補償をいたすというような見地から処理すべきであろうということと相成りまして、大蔵省の所管ということにして運営される予定でございます。併しながら実行上におきましては、大体輸出銀行に実務の委託をいたしまして運用させるのでございまして、輸出銀行の融資の場合には、それぞれ通産省との間に緊密な連繋が事実上とられて融資を行つておりますから、本制度運用につきましても、間然するところなく運用できるのではないかと考えております。更に又第七條の乙種信用保險との関係等もございますので、事務上は密接な連繋をとりまして遺憾なき運営を期したいと考えておる次第であります。
  30. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 御質問願います。
  31. 境野清雄

    ○境野清雄君 今の第三條の問題ですが、地域を認定するのは大蔵大臣の権限だというお話であり、それは輸出銀行へ行くのだから、通産省とも関連があるくらいの程度では、これは問題になるのではないかと思うのは、こういうような輸入市場というものを対象にした地域と殆んど関係がないと言うてはおかしいのですが、大蔵大臣の主管であり、それが輸出銀行ということではちよつと難点があるのではないか。むしろその地域決定に対して通産大臣。が相当の発言権があるとか何とかということなら納得ができますが、輸出銀行に移管するのだから、そうして輸出銀行と通産省の関係があるのだから、地域の認定権は大蔵大臣だということだけでは、相当不安があるかと思うのですが、その点は……。
  32. 石井由太郎

    説明員石井由太郎君) 御質問の点は、先刻も衆議院の大蔵委員会におきまして同様な御意見が出ておるわけでございまして、この場合政府というのは大蔵大臣を意味するのか、それとも他の大臣或いは各関係政府意味するのかということで、実は衆議院のほうにおきましても御質問があつたわけでございますが、成るほどお説のごとく、当該プラントの輸出が輸入市場の開拓、或いは転換に役立つかどうかというようなことの判断は、実は貿易行政の一つでございまして、あえて為替の損失補償とかというような問題でなくとも常に斟酌されておらねばならん点でございますが、これは只今輸出銀行との関連があるからと申したのは、やや言葉が不十分なのでございまして、設備資金に伴う信用條件、決済方法の條件等は、勿論通産大臣がこれを現在の為替管理法上からも決定する権限があるわけでございまして、その権限によりまして、設備輸出の事実というものはつかみ得るわけでございます。このことに対しまして、為替補償をするかしないかということは、單に本邦の国際收支上の問題でなくて、他の諸国の競争状況、このようなことを考慮しなければなりませんので、ますます以て通商行政との関連が深いのでございますけれども、その辺の判断につきましては、只今申上げましたごとく、輸出信用保險制度の運用並びに輸出銀行の業務運営というものを通じまして、通産省の意見は十分反映し得るチヤンスがございますので、これは大蔵大臣の権限で契約ができるようにいたしてある。こういうことに相成つておるわけでございます。
  33. 境野清雄

    ○境野清雄君 その辺が我々とは見解が違うのですが、大体最近の日本経済の動き方を見ますと、大体事業面にまで金融業者がタツチして来て、殆んど産業経済人は金融業者の手中に握られているような形になつているので、それが相当日本経済の隘路になり、難点になつている。多分通産省は十二分に承知している問題でありますから、そういうことが又ここで法案の上でそういうような一つの轍を踏むようなことを、又輸出銀行に権限を与えてしまうということになると、通商産業大臣の発言がよほど強くないと、金融業者が思うままの商売をやるということはこれは非常な危險性がありはしないかと思うのですが、そういうようなことは大蔵省に向つて、この権限は通産大臣の権限じやないかということは相当主張して容れられなかつたのですか。先ほどあなたのお話のような、為替の問題の権限が大蔵大臣にあるからということで決定されたのですか。その辺のいきさつをお聞きしたい。
  34. 石井由太郎

    説明員石井由太郎君) 只今の御指摘は誠に御尤なお話でございまいて私どもといたしましては、本件につきましては、当初立案をいたしましたのが、実は通産通商振興局において法案それ自身が立案されたのでございますが、昨年暮の予算折衝過程におきまして、これは最高部における折衝をも経た結果、大蔵省主管ということに相成つたような次第でございます。なお輸出銀行に任しておいてはというお話でございますが、本件は輸出銀行は事務の取扱をいたすばかりでございまして、契約そのものは大蔵省で大蔵大臣が当事者に相成るわけでございますので、その点は一般の金融機関が一般の産業にタツチいたします場合と相当異るだろうと考えております。のみならず法律上の権限は如何ようにもあれ、技術的には通産、大蔵両当事者間に明確な協定を作りまして、十分通産省の貿易行政上の或いは貿易振興政策上の需要、必要というものを織り込み得るような仕組を事実上作つてあることを申上げておきたいと思います。
  35. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 次に中小企業等協同組合法についての質疑をお願いいたします。ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  36. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 速記を始めて下さい。  では日程にありますところの電力関係請願陳情に関する件を議題といたしますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  37. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 御異議ないと認めまして、電力関係請願陳情に関する件を議題といたします。
  38. 境野清雄

    ○境野清雄君 これは電気料金関係のものばかりですが、殆んど同じような問題があるが、内容が違つておるかどうかわかりませんが、專門員室のほうでこれは多分一括してまとめてあると思うのですが、まとめてあるとしたら專門員室のほうから一括したものを一つ御報告願つて協議したらどうですか。
  39. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 只今境野委員からの御発言の通りいたしまして御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  40. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) ではさようにいたします。では專門員から説明をして頂きます。
  41. 林誠一

    ○專門員(林誠一君) それでは只今の御趣旨によりまして、大体の分類を申上げて見たいと思います。一応そこにお配りしました紙のうちで日附のございません電気料金及割当関係請願陳情と書いてあるその分から見て頂きます。  大体大分けにいたしまして三種類のものが含まれておると思うのであります。その種別をざつと申上げて見たいと思います。最初請願の百九十三、これは一応頭にCとお書きを願いたいのですが、Cと申しますのは料金の値上げ反対と共に地域差の縮少を希望しておる、地域差の撤廃といいますか、地域差をなくしてくれというほうの種類がございます。それから次の四百八十八、これはAとお書きを願いたいのですが、水火力調整金制度廃止、つまり各地の地域差をそのまま出してくれというほうの希望でございますから、これはAとお書きを願います。それから次の千六十四、これがやはりAの種類に属するわけでございまして電力割当是正等と書いてありますが、その内容は調整金制度を廃止してくれという趣旨が骨になつております。それからその次の千百三十一、これはやはりAの種類でございまして、地域差を付けてくれというほうの種類でございます。それから千三百四十三、これもAの部類でございまして、一つ飛びまして、千三百六十四、それから千四百六、この二件をCとお書き願います。これは地域差を縮少してくれという方向のものであります。一つ飛びまして、千五百六十八、これがやはり地域差の縮少を希望しておりますものでCとお書きを願います。それからその紙の陳情の二百五十、これが地域差設定等でありまして、これがやはりAの種類になります。それからその次の三百三十五、これは多少違いますからあとで申上げます。それから四百四十四、水火力調整金制度撤廃等で、これもAのほうの種類でございます。それからその次の五百六十四、これがCでございまして、地域差を縮少してくれというほうになります。料金引上げ反対等と書いてあります、その等の中にその考えが含まれておりますわけです。それから二つ飛びまして八百四十二、これがAのほうでありまして、地域差を拡げてくれという方向のものであります。但しこれはちよつと性質が違いまして、高知県の四国電力の中で高知県の電力料金を特に安くしてくれという趣旨のものでございます。それからついでに次の紙の同じような分類で一応申上げます。次の紙の陳情の二番目でございます。八百七十八、これは料金引上げ反対ではございますが、それと同時に長野県としての特別料金を設定してくれということが骨になつております。これはAでございます。それから八百七十九というのが二種類、これは五通一緒にしておりますが、内容の違うものがありますので二組に分けております。それの値上げ反対、料金地域差縮少、融通電力増加という最後の分がCに該当いたします。初めのほうは單に料金値上げ反対だけでございますから、別に印をお付け願わないで結構でございます。今お断り申上げたもの以外は、全部今回の料金値上げに対して、多少理由は違いますけれども例えば去年の八月に上げたばかりで、今度上げるのは絶対反対であるとか、そのほか地域としての事情を述べたものもございます。理由はいろいろありますが、料金値上げに反対であるという趣旨を中心としたものでございます。  それで今のAとCということで分けて申上げましたのですが、結局二つの分類から申しまして、一方は地域差をできるだけなくしてくれ、内容によりましていろいろ違いますけれども、例えば最初の紙の千三百六十四にございますように、中国地方電力協議会あたりの考え方から申しますと、現在の水火力調整金制度を活用して、少くとも再編成実施当時の地域差程度に逆に戻してもらいたい、地域差を縮少してもらいたいというような思想でございます。それからAのほうは、これには二通りありまして、地域としての地域差をできるだけ発揮してくれという趣旨も中にはございますが、大体県單位の主張が多いのでございまして、例えば長野県とか新潟県、或いは陳情の八百四十二にあります高知県、そういうふうな所は県として特別の料金をきめてもらいたい、そうして電力の割当は殖やしてもらいたい、それから新規受電のほうについてもその県だけは優先的に扱つてもらいたい、さような趣旨を述べてございます。  御審議を願う方向としましては、その調整金制度を撤廃するという方向と、それからそれを大いに生してできるだけ地域差を縮少してもらいたい、できれば少くとも再編成当時の価いくらいに縮少してもらいたいという相反する希望をどういうふうにお取扱い願うかという点を中心に御審議願つたらいいと思います。  それからあと特に印を付けて申上げませんでしたのは、今回の電気料金値上げに対して反対であるという趣意をどういうふうにお取扱い願うかという三点に帰すると思います。
  42. 境野清雄

    ○境野清雄君 今の説明を承わると、大体電力料金の値上げに反対するというものと、それから地域差を撤廃するということと、存続するいうような問題が大部分のようでありますが、法律案ではないけれど、今現在電気料金の引上げという問題は当委員会でも扱つておると言いますか、審議中と言いますか、検討中の際にありますものを、陳情請願ということでここで論議するということは私はどうかと思うので、時期的に見ても私はこういうような問題は全部留保する性格のものじやないかと思いますが、その辺一つお諮り願いたいと思います。
  43. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 只今境野君のように、このものは現在審議中と言いますか、公益委員会で裁定考慮中のものでございますので、留保したがいいというような、こういう御発言でございますが、如何取計らいましようか。
  44. 結城安次

    ○結城安次君 只今境野先生の御発言がありましたが、公益事業委員会ではもう土曜から、或いは今日あたりは結論に行つておるんじやないかと思います。その場合に参議院でこの請願陳情を取上げて値上げに対して反対だとか賛成だとか明白な意思表示をすることは如何かと思いますので、私は境野先生の御提案に賛成いたします。
  45. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  46. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 速記を始めて下さい。
  47. 中川以良

    ○中川以良君 値上げが五月一日に行われるようなことを言われておりますが、果してさような事態にあるのか、それとも政府側公益事業委員会との折衝によつて更に決定をいたしかねるような状態にあるのか、そういうような点について一つ実情を一応御説明願いたいと思います。
  48. 高島節男

    説明員(高島節男君) 実は私どものほうでいろいろ聽聞会の結果も聞き、又参議院、衆議院方面のいろいろな御意見もございましたので、いろいろな面から会社案の再検討に今手を着けております。ただ何分にも計数が複雑でございますので、土曜日、日曜日にかけまして今日までおおむね揉んで参りましたが、まだ結論がはつきり出るに至つておりません。併し結論が一応或る程度のところで出ましても、関係官庁との協議がございますから、これに相当の日数をとるのではないかと思われますので、実は五月一日に仮に施行するということで逆算をいたしますと、その十日前に各電気会社は公告しなければならんという手続がございます。それが完了いたしますと、本日は二十一日でございますから、先ず手続的に五月一日の施行は駄目になつて参つております。ただ一刻も急いで結論を出し、関係官庁、安本を中心といたしました所と相談をいたしまして結論を出したいと思つてつておりますが、目下のところまだ委員会自身としてもどういう案で安本に対してかけ合うかというところの具体的な線が出ておりませんで、今丁度私こちらへ参りましたが、留守中いろいろ会議をいたしておるかと思いますので、その帰趨がきまり次第、対安本関係の折衝に入る、こういう段階にあります。
  49. 中川以良

    ○中川以良君 先般の当委員会において、松永委員長代理その他公益事業委員会のかたがお見えになつて委員会としてのいろいろな発言に対して十分に御傾聽を頂いたかと思うのでありますが、更にその節には各関係官庁も参つて意見を述べておるのでありますが、当日の委員会の空気については十分察知をされておると思いまするが、あの委員会意向というものを反映をして更に御検討になつておるかどうかその点を一応承わりたいのであります。
  50. 高島節男

    説明員(高島節男君) 今検討いたしております内容は、先ず我々自身で事務的に考えましていろいろ細かい点の議論がございますが、それを一応離れて申しますと、やはり大体において国会方面で聞きました御意見が大きな太い線として論議の対象にいずれもなつております。又聽聞会における意見は絶対反対といつたふうな角度の意見もございますが、これは一応別といたしましても、なお中には相当專門的に突込んだ意見等もございまして、そういうものも細かいところで参酌いたしてやつておりますが、ただ結論の帰趨は、委員五人できめて参る制度でもございますし、又見方で内部でもいろいろ意見がございまして、まだこちらでございました御意見の通りの結論になるということは、これは保証しがたい状態でございますが、論議の対象は主としてその点に向つておるということは申上げられると思います。
  51. 中川以良

    ○中川以良君 今の御発言によりますと、国会におけるところのいろいろな意見というものに対しては十分尊重をして検討を加えておる、さような御答弁でございましたが、さように承知してよろしうございましようか。
  52. 高島節男

    説明員(高島節男君) その通り御了承頂いてよいものと思います。
  53. 中川以良

    ○中川以良君 そういたしますると、先般の委員会でもいろいろこの点は論議をされておりますので、今この陳情は、或いは利害相反するものもこまごま混つておりますので、委員会として結論を出しますることは非常に困難と存じます。私の立場から申しまするならば、勿論値上げは、不当なる率の値上げは当然反対であり、更に今日電源開発がまだ十分に予定通り進展しておらない現状においては、火力水力のいわゆる調整制度というものはなお継続をし、これをむやみに従来の地域差を拡めるというようなことはないようにすべきであると思うのでありますが、中には反対の意見等もございまするので、これらの点については先般の委員会においても論ぜられており、更に今又この料金値上げが、今のお話では相当長引くようでありまするから、更に委員会におきましてもこういうような議論をする機会もあると存じまするので、そういうときの意見というものを十分公益委員会が斟酌をして考慮をすると考えまするので、委員会として一概に結論を出すということは、只今境野委員のお話したように私は困難だと存じますので、一応これはなお委員会としてそれぞれ検討を加えるということに今日はなさつたらどうかと思います。
  54. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 只今の中川君の御意見並びに境野君の御意見通り決定しまして御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  55. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 異議ないと認めまして、さよう決定いたします。  本日はこれを以て散会いたしたいと思いますが御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  56. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 異議ないものと認めまして、散会いたします。    午後四時三十五分散会