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1952-03-27 第13回国会 参議院 通商産業委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年三月二十七日(木曜日)    午後一時四十九分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     竹中 七郎君    理事            古池 信三君            小林 英三君            栗山 良夫君    委員            重宗 雄三君            中川 以良君            松本  昇君            松平 勇雄君            小松 正雄君            境野 清雄君            西田 隆男君   政府委員    通商産業省通商    繊維局長    記内 角一君    中小企業庁長官 小笠 公韶君    中小企業庁振興    部長      松尾 金蔵君   事務局側    常任委員会専門    員       林  誠一君    常任委員会専門    員       山本友太郎君    常任委員会専門    員       小田橋貞壽君   説明員    経済安定本部貿    易局貿易政策課    長       深瀬  晃君   参考人    中小企業研究所    長       中島 英信君    兵庫県中小工業    協議会常任委員 西村 四郎君    日本横編メリヤ    ス協会会長   村上 音治君    日本綿スフ織物    工業連合会業務    部長      谷原 長生君    日本絹人絹織物    同業会専務理事 沼野敬之助君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○中小企業等協同組合法の一部を改正  する法律案内閣送付)   —————————————
  2. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 只今より委員会を開きます。  本日は中小企業等協同組合法の一部を改正する法律案を議題といたしますが、最初に参考人の諸君の御意見伺つて、それから法案に入ろうと存じます。  参考人皆様には御多忙のところをわざわざ御出席下さいまして誠に有難うございました。どうか本日は、すでに御承知のように二十七年度予算が本会議に二時半から上程されるはずでありまして、何となく院内がざわついております。又本会議進行状態によりましては、この委員会の議事も一時休憩して議員は本会議に出席せねばならんかも知れません。その関係上誠に恐縮ですが、参考人皆様には指定の時間内に御意見の要点を尽すよう御配慮願いたいと存じます。  本日の委員会参考人に御意見を伺うことにいたしましたのは大体次の三点に関し、その必要を痛感したからであります。その一つは現在本委員会に付託されておりまする中小企業等協同組合法改正案について御意見を伺いたいことで、私どもは中小企業対策として協同組合重要性を常々考えておりますが、この改正案で十分かどうか、この点について、日本中小企業連盟からは、事業協同組合組合預金受入を許して欲しいと陳情して参つております。又組合共同施設についての陳情もあります。これらの点について伺いたいのが第一点、第二点としては、最近中小企業の困難についてその度合がますます激しくなつて来るようですが、この困難性原因対策について、これは特に中小企業研究所を主宰しておられる中島さんに伺いたいのでございます。第三点といたしましては、昨今の中小企業の困難の中でも特に目立つている問題、それは第一に輸出の不振から受ける影響、第二に特需、新特需に伴う諸問題、第三に操業短縮影響ということについて、その事情並びに御意見を承わつて置きたいと思うのであります。以上のような趣旨で先ず参考人皆様の御意見を伺うこととして差支えございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 御異議ないと認めます。それでは先ず中島さんからお願いいたします。
  4. 中島英信

    参考人中島英信君) 只今御指名頂きました中島でございます。中小企業研究所ということになつておりますが、今日申上げる意見は、研究所としての正式に決定された意見というわけではないのでありまして、個人の意見でございますから、その点御了承を願いたいと思います。又私自身も大体中小企業経営者でございまして、どちらかと言いますと、主としてむしろそういう見地から意見を申上げたいと、かように思うのであります。協同組合法改正の問題が出ておるようでありますが、その問題を大体焦点にいたしまして、先ほど委員長からもお話がありましたので、少し他の問題にも若干亘つて中小企業対策の一般的な問題についても少しく申上げたいとかように思います。  中小企業問題及びこれに対する対策については絶えずいろんな方面からいろいろな意見が出ております。その意味ではいろいろな意見がかなり出尽しているという感もあるのではないかと思います。従つて特にここに又新らしい問題とか、或いは対策というものをお話申上げるということも困難な問題であると思いますが、併し一面から考えますと、この中小企業に対する対策がいろいろとられておりますけれども、実際には中小企業の困難というものはなかなか解消しておりませんし、絶えず新らしい問題が出て参ります。まあそういう点から考えまして、この中小企業に対する対策というものは現在或る意味では一つの転換的な時期に来ているということも考えられます。この中小企業対策を立てるその根本考え方につきましても、これは中小企業というものをどういうふうに捉えるかというところからやはり一応考える必要があると思うのであります。で、普通中小企業問題を扱う学者その他の人たちは、主としてこの中小企業問題というのは、この問題性という面から入つて行つてこれを捉えるという見方が多いのでございます。これは今日、日本において中小企業問題を論ずる学界において殆んど定説であるかのようになりかかつております。併し私らはむしろ経営者立場から見て行きまして、この考え方については若干別の見方をしたいと思つておるのであります。つまりこの問題性から捉えるということは、まあ中小企業が大企業競争して没落して行く、或いは非常に不利益な立場にあつて困難しておると、こういう面から見て行くということになるわけであります。併し中小企業の中にもいろいろなものが含まれておりまして、規模において中小であつても、絶えず健全経営を続けておるものもある。経済状況の変動の如何にかかわらず、又戰前、戰時中、戰後を通じて相当堅実な経営をしているものもあるわけであります。こういつた面から見ました場合は、非常に問題ということに捉われますと、そういつた面をとかく見逃し勝ちになるわけであります。従つて対策を考える場合にも、中小企業が非常に劣弱であつて、結局これは没落して行く傾向の強いものだといつた面だけが強く出て来る。最後はこの中小企業問題というのが大部分は社会問題であるということになつて来ますと、十把一からげにこれは養老院とか慈善病院へでも叩込めばいいというような結論にどうしても向いかねないのであります。併し中小企業の問題が、没落というようなこと、或いは非常に困難ということはまあ事実として現れる場合も勿論あります。併し日本のみならず各国を通じても、中小企業というものは必ずしもその数を減じて行かない、絶えず存続しておるということの中にはもつと別のものがあるということを見る必要があると思うのであります。そうでありませんと、積極的な中小企業対策というものを見出すことが困難になつて来るのであります。つまりこの中小企業をその病理的な現象面から眺めますと、丁度病気という面から人間を見るのと同じことであつて、病人だけが人間であるような錯覚を生じて来る。そうでなしにやはり人間を見る場合には、健康な人間というものを捕まえてその生き方を見るということが必要であると同じように、中小企業の場合には、その本当の中小企業のあり方を捕まえて行く場合には、そういう本質的な面から見て行く必要があるのであります。そうでないと、單に問題という点から見るときは、中小企業の属性として現われているものを中小企業本質であるかのようにとる。従つて中小企業を定義する場合でも、その中小企業が附随して持つているところの性質を、これを中小企業本質であるといつたようなことがしばしばできるわけであります。ここで私が転換と申しましたのは、従来は確かにそういつた点から中小企業問題が取上げられて来ておりますが、ここれは避けがたいことであつた思つております。少くとも中小企業ということがいろいろな人の意識に上つて来たということは、問題があつたからであつたのでありまして、そこから入つて来たのであります。従つて今日まで取られて来た対策がそういつた点から進んで来たということは、これはやはり止むを得ないことであると思いますが、今後の問題といたしまして、やはり若干考え方を変えて行く必要があると思うのであります。  従来からとられて来た中小企業対策というものをいろいろ見てみますと、いろいろな分け方がありますけれども、これを三つの面或いは段階から見てみたいと思いますが、第一は、この中小企業は大企業が発展して行くに従つて、大企業の持つ利益を中小企業は持つことができない。従つて企業との競争に破れて当然これは亡んで行くものである、こういう考え方であります。こういう考え方に立つて来た場合には、当然この中小企業というものは没落して行く、或いは没落してもいいという考え方が出て参ります。こういう観点の上に立ちますと、どうしてもこれに対する対策としては放任主義になつて来る、或いはむしろ意識的に淘汰しようという政策が出て来るわけであります。従つて戰後この傾斜生産政策がとられておるような場合でも、その当時或る政府要路者に私らが質問したときに、こういう状況中小企業というものが非常に困難な状況になつて、中にはこのために企業が潰れなければならんといつたようなものができて来るかも知らんが、それに対してどうかといつた場合に、やはりそれは止むを得ない、或る程度自然淘汰されるであろうという意見が出たのでありますが、併し自然に淘汰されるであろうということがわかつてつて、これをそのままに見ておくという放任政策、或いはむしろ意識的にそうなつたほうがいいと考える、こういう政策がどうしても出て来ることになると思うのであります。これはいろいろな場合にそういう形をとつて現れて参ります。例えば昨年の国会でも計量法というものが通過しておりますが、ああいつたものが出た場合に、結局度量衡器を作る製造工業の場合において、一定の設備が強制される、こういつた場合に、小規模の企業はこういつた法律が作られたために、小規模ながら相当に優れた品質を作ることのできる企業であつても、このために企業として生きて行くことができなくなる、こういう問題も出て来るわけであります。こういつた点から言つて根本考え方として、そういつた放任政策或いはむしろ意識的に淘汰するような対策が出て来るような根本原因となつておるところの見方というものについては、これをやはり改めて行く必要があると思うのであります。これは勿論主観的に言うことは意味がないのでありますが、日本の場合を見ましても、明治四十年頃から今日に至るまで日本経済において中小企業の占める比重というものは殆んど変つていないのであります。という事実の上から見ましても、やはり中小企業が一応相当の根拠を以て存続して行くのだという一つの事例として見ることができると思うのであります。それから第二の見方、或いは段階政策としては、こういうものがあると思います。それは中小企業は成るほどたくさんある。あるけれどもこれはあるというだけであつて、非常に力が弱い、質も惡い。ただこれをそのままにしておいて非常に困難な状況にあれば、この面から社会不安を生ずる。そういうことであつては困る、従つてそういうような社会不安を生ずるような状況を防ぐためには、何か手を打たなければならんという面から出て来る政策であります。この場合には一応中小企業に何らかの方法を以てこれに途を与える。併し余り積極的に進むような方向というものはとられて来ないことになるのであります。つまり大企業との競争に対して中小企業が非常に倒れて行く、衰えて行くのに対して、これを防衛するような消極的な面で出て来る。同時にこれは中小企業の発展する面を或る程度制限し、拘束し、統制するような面が出て来るということになるのであります。例えばこの協同組合法につきましても、或る意味から言うと、若干その性格を見ることができると思うのであります。つまり根本から言いますと、これの協同化中小企業に必要である場合に、中小企業が自由に協同の団体を作ることができるならば、これは一つ行き方であります。併しながらこれに法律的な基礎を与えるということは勿論望ましいことであつて、その限りにおいてはやはりこの中小企業等協同組合法によつて一つ方向が与えられるのでありますけれども、ただ組織が作られるというだけであつては十分な効果を期待することはできないわけであります。つまり協同組合作つてどういう事業をやるかという場合に、この事業をやる面においていろいろな制限が余りに強過ぎれば、これは折角作つても本当にその効果を挙げることはできないということになると思います。これは又後ほど申上げたいと思いますけれども、例えばこれを農業協同組合、或いは水産業協同組合等々と比べて見た場合に、この点が我々にはつきりして来るわけでありますけれども、事業協同組合に加えられておる制限、例えばさつきちよつと委員長からもお話が出ましたが、この事業協同組合の金融に関する問題、こういつた面についても、現行法ではこれができないことになつておる。今回の改正法律案には出ておるようでありますが、従来は広い地域に亘り連合会経済事業をやろうと思つてもできない、こういつた問題があつたのであります。そういうふうに中小企業に対する対策がとれる場合においても、一面においてはこれに一つの最低の基礎を与える。併し全体的に見た場合に、これにかなり強い拘束を与えるという政策が、そういう場合にはともすれば生れることになつて来るのであります。非常に極端な例をとりますというと、徳川幕府の時代には、農民に対する政策として徳川家康は、死なない程度に生かしておけということを言つたと伝えられております。その真偽は知りませんが、一応考え得ることであつて、そういつたふうに全く潰してしまうと、余り困窮さしては困る、けれども、併しこれは余り発展させるために十分な援助までは与えないというような点であります。従つて今後中小企業を真に振興して行くということを考える場合には、そういつた面からやはり今一歩進む必要があると思うのであります。この意味で私は第三の面からこれを見、且つ或る意味で第三の段階中小企業対策を進めなければならんと考えるのであります。それは、先ほど申上げましたように、中小企業見方というものを、これがやはり日本経済に果しているところの役割をもつと積極的につかむということがなければ、そういうような対策は生まれて来ないと思うのであります。今日中小企業が非常に数が多い。これは人によつては、数は多いけれども価値が少いというふうに考えている人も勿論中にはありますけれども、併し現に企業としてこういう工業として一つ事業を営み、或いは生産を営んでいるということは、やはり社会の必要に応じて仕事をし、又社会的な必要に応じて寄与しておられることでありまして、こういつた面で持つているところの積極的な性質というものを、我々としてははつきりつかむ必要があると考えております。特に目頭にも申上げましたように、勿論中小企業は絶えずいろいろな困難に当面いたしますけれども、併し相当に堅実な内容を持ち、そうして優れた品物を作つて行く、こういつたものも少くないのであります。そういつたものに対しては、それじや別に対策などは必要でないというふうに考えられるかも知れませんけれども、併しそういうふうに、まあ企業であつても、これはやはり中小企業である限りは、経営政策を立てるにも、経営組織を作り上げるにしても、経営のやり方にいたしましても、又社会経済上の地位にいたしましても、やはり大企業と同じではないのでありまして、こういつたものを自由に活動し且つ伸ばして行くことを考えると同時に、こういつた状況になり得ていない。そういうふうに非常に健実で且つ典型的な形にはなり得ていないところの多くの中小企業をも、そういつたところに押上げて行く、推し進めて行くことをやはり根本に置くべきであろうと思うのであります。そうでなければ、ただ徒らにこの中小企業が淘汰されれば、そこから改めて失業問題やその他の問題が出て来ます。併し勿論現在の中小企業のすべてが現状のままで行き得るかどうかは問題でありますけれども、方向としてはやはりこれを多少の……政府が行うにしても、前進的な方向に進めて行くということであると思うのであります。それだけの価値があるかどうかという問題については、これ又別に検討しなければならん問題があるかも知れませんけれども、先ほど申上げた実情なりその他から推しまして、一応ここでは結論的にこれはやはりこういう事実が示す通り、重要な役割を演じているからこそ、多数の中小企業は存在していると見て差支ないと思つているのであります。  それではそういう積極的な方法中小企業対策を考えて行く場合にどういう考え方をするかということになります。で、この点について根本的には、私は企業である以上は中小企業個々企業の自主的な、独立的な性質というものを強化して行くということがやはり第一番には根本であると思います。企業がやはり企業として立つて行く力がないとすれば、これはやはり企業ではなくなるのでありまして、その点で根本的にはやはり自立する力を与えるということを根本的に考うべきだと思います。まあこの点で例えばアメリカ中小企業対策などを見てみますと、この点でやはり多少の興味のある考え方を見ることができると思います。但し日本の場合とアメリカの場合とは非常に違いますので、勿論同じような考え方はできないわけでありますが、まあ例えば先年トルーマンがアメリカ国会に与えたメツセージの中小独立企業の主要なる問題についてというのがありますが、こういう場合でもただ小企業ということにはなつていないのであります。スモール・アンド・インデイペンデント・ビジネスという言葉が使われておる。その他アメリカの場合は絶えずインデイペンデントという言葉が入つて来る。やはり企業企業として生きて行く場合には独立性ということを根本に考える必要があるんじやないかと思います。従つていろいろな方法で以てこれを助成し、或いはその活動を保証する場合にも、根本は絶えずその力を強化するというところに私は置かれていると思います。これは必ずしも自由経済主義をとるとか、或いは若干社会主義的な政策をとる場合であつても、いずれの点においても、この点に関しては異るところはないと思うのであります。それを根本にして行くにしても、第二には併しながら中小企業の場合には大企業と同じような形で活動ができない面について、これを問題を克服して行く必要があります。ここへ出て来るのが私はやはり協同化の問題であると考えるわけであります。併し協同化ということは、單に例えば一つの業種にたくさんの中小企業があつた場合に、これが單一の会社になつてできるとか、必ずしもすべて企業組合にするとかいうわけではないのでありまして、例えば協同組合を作るという場合には、やはり組合員個々独立した企業を前提としておるわけでありますから、この独立の上に立つて協同化政策をとつて行くということになろうと思うのであります。更に第三番目には、自分自身の力でも、又協同的な方法をとつてもなお足りない点或いはこれは他の大企業とも競合する問題については、国家としての対策がここに必要になつて来ると思います。こういつた点からこれを見て行くことにしますと、一応三つの点がポイントとして出て来るのではないかと思います。この点で先ほどの独立という問題を考えた場合に、中小企業の場合に全く他からの制限なり、他に従属することを少くやつている企業が勿論あります。併し多くの者が指摘するように、中小企業の多くのものは、機械器具工場における下請中小企業のごときは親工場従属をしております。又問屋に従属をしておるような中小企業も非常に多いわけであります。こういつた場合に、この問題をどう取扱うかということになりますと、下請企業のような場合に非常に仕事関係が有機的に結び付いておつて一つ部品生産しているというような形の場合にどうして独立性を保つかという問題も出て来るように見えますけれども、併し実際は特殊な産業の場合には、部品生産を大企業がやつて組立てを小企業がやるということもできるわけでありますけれども、例えば自動車なら自動車にしても、今日自動車部品を製造しておる企業というものは交換性に合つたものを作つて行けばこれはやはり一つ企業として必ずしも一つの親工場、或いは自動車生産工場従属しなくても済むわけでありますが、そういうふうに基本的には独立性を以て一つ社会的な分業の形にこれを組織して行くという行き方があるわけであります。その場合にはただ親工場にいわゆる隷属するというような形でなくても、この経営の能率を高め、優良な製品を作りながら、そうしてその大きな生産組織の中に、体系の中に入りながらこの独立性を持つて行くということになるわけであります。そういう点から見てこの生産の面からは能率的な独立企業であつて、併しこれが総合された製品なり生れて行く場合には、全体として一つ生産体系の中に入つて来る、こういう形があり得るわけであります。この場合に大企業が分工場をたくさん作つてつて行くというような場合には、まあ内部の経営の問題として出て来ますし、今のように分布したような形の場合には、一々の会社にとつては外部の経営の問題として出て来ますけれども、いずれにしてもどちらが経済的であるかということが出て来ますけれども、中小企業としていずれかの形が認められておるような場合には、そういう形で非常に従属して来たように見えるが、下請工場の場合にも一つ方向というものが考えられると思うのであります。まあそういつた意味中小企業対策に更に積極性が必要であると考えます。  それに次ぎましては、この中小企業対策の新らしい段階においては、これに総合的な対策を考えなければならんと思うのであります。総合性を与える、つまり金融問題は金融問題だけについて考える、販売の問題、売行き不振の問題についてはそれだけについて考える、労働問題はそれだけについて考える、或いは経営の問題、技術の問題をばらばらに対策を考えて行くということでなしに、これらをやはり総合して見て行くということが一つであります。それから更に協同化を考える場合に、協同組合法を作るといつた場合にも、この中小企業に対する法律を考える場合に單なる協同組合法、或いはその他の法律独立して考えるのじやなしに、これを総合的に絶えず考える必要があるのではなかろうか。例えば今日協同組合法では企業組合が認められておる。ところが税法上或いは税務行政上では実際にはその法人格を非認するような取扱が行われていると同じように、国家の行う立法或いは行政活動の面で以て矛盾した面が絶えず出て来ているわけであります。先ほど触れました計量法の問題などにいたしましても、この場合にはその規定された設備中小企業共同施設でやればやり得るわけでありますが、こういつた場合に共同施設でやるということをこの法律は認めていない。一方では中小企業等協同組合法によつて共同施設を監視をしておきながら、一方においては中小企業の存続に関する重要な問題に関して共同施設を必要とする場合においてもこれを認めないといつたようないろいろな問題が出て来る。こういつたような各種の法律の相互間における矛盾といつたようなものがある。こういつたことがなしにやはり総合的に絶えず法律を検討して行くということが私は必要であろうと思うのでありますが、そういう総合性を与えるという問題がございます。大体そういうふうに中小企業対策には新らしくやはり科学性を与える、積極性を与える、総合性を与えるということを特徴としてこの新らしい面に推進めて行く必要があります。  ちよつと、時間がなくなりましたが、最後にそれではこの対策を誰が遂行して行くかということになりますと、これは第一には、やはり私は、中小企業振興対策根本の担い手は勿論中小企業自身であると思うのであります。その意味ではやりは中小企業者自体の自覚と努力なしに中小企業の振興ということは絶対にあり得ないと思うのでありますが、従つて国家として法律を作り、行政的にこれを援助する場合には、この面から見てそれをやはり基本にして考えて行く必要があると思います。従つて中小企業対策の面において業者自体が実行すべきものと、国家が施策すべきものとはおのずからそこに分れて来る点があると思うのであります。国家としていろいろな法律を作り、或いは行政を行なつて中小企業を振興して行く場合に考えるべき問題は、先ほど申上げましたことと若干重複するかも知れませんが、原則的には、基本的には、中小企業の自主独立を成るたけ助ける、その意味でその活動に余り制限を与えることをできるだけ少くするということであります。それから第二の点は、大企業中小企業関係をできるだけこれを公正に扱つて行くということであります。つまり大企業だけに保護が片寄らないということにする必要があると思います。例えば、今度国会に出ました企業合理化促進法案のようなものがありますけれども、ああいうものもあとになつて中小企業に関しては経営診断などの問題が附加えられておりますけれども、根本の狙いは、やはり大企業を主としたところの法案である。戰前は中小企業は非常に大部分は免税点以下の所得であつて、    〔委員長退席、理事古池信三君委員長席に着く〕 税金を納めなくても済んだ。それが戰後相当に広汎な中小企業者が納税者として浮び上つて来ておる、非常に大きな税金を一方において負担している。然るに一方においては特殊の大企業だけが税金の面においてやはり特殊の利益を受ける。そしてその企業の收益性を高めるために国家的な援助を受けるということになりますが、こういうのを非常に極端に言えば、大企業或いは大資本というのは国家の権力或いは国家の機構を通じて中小企業を或る程度收奪するような形にもなるわけでありまして、こういう面からやはり絶えず公正なる取扱をするということがなければならないと思うわけであります。更にそれだけではやはり実際には済まないのでありまして、中小企業の中で実際的に問題になつて来るものとしましては、この中でも特に弱い部門、つまり自立してやつて行くためにそれを協同化の方策で補おうとしても補うことのできないといつたようなものもやはりこれはあるわけであります。これはつまり零細企業、特に家内工業的なものでありますが、こういつたものになりますというと、やはりこれに対する保護政策が必要である。特に現在の中小企業対策において欠けておるものはこの点にあるのではないかと思います。それからそういつた補助政策は特殊の部門に行われるに加えて、全体的に中小企業を助長するような政策としては、この特殊の機関の設定なり或いは特殊の資金をどうするとかいう問題がたくさんあると思います。ここで問題だけを申上げますと、一つは、中小企業に対して絶えず情報を提供し必要な啓発教育をするような機関というものは、今日の現状の日本中小企業ではやはり欠くことのできない問題であると思います。これは中小企業の自主的な組織が全国的に非常に強力になつておれば、或いはその力でやれるかも知れません。併し現状に、おいてはやはり中小企業庁のような組織を以て中小企業の発展にいろいろな面からこれを援助し、指導して行くという必要は今日においては非常に重要性を持つておると思うのであります。これは單なる情報を提供するとか、そういつたことでは意味がないように考える人も中にはあるようでありますが、実際はそうではないのでありまして、中小企業というものは大企業と違つてそういつたものを獲得して行く面において非常に力が足りない、又そういうような便宜を持つておらないという点から見て、そういつた機関は当然必要である。それから生産的な面において中小企業を振興して行くという場合にはどうしても技術的な面において、新らしい技術的な知識なり何なりを提供して行くことも必要である。こういう面において中小企業に対するこの技術面の指導援助というものを国家的な施設として持つこともやはり必要なものに入ると思うわけであります。その次には、絶えず問題になつております金融の問題でありますけれども、これについては中小企業の金融機構というのは、ここ数年間に割合に整備をされて来ているかのように思えます。従つて問題はそれに廻す資金の量の問題が主としてここに出て来ておるのではないかと考えられますが、ただ併し機構の中でただ一つ欠けておるものがある。何が欠けておるかと言いますと、これはやはり長期の資金を中小企業に供給するところの機関を欠いておる。その点だけが中小企業に対する金融機構の一つの盲点になつておるわけでありまして、特に大企業と違つて中小企業はまあ証券市場で自己資金を調達することが困難である、こういつた面を補う処置を共同の金融施設でやれるかというとそれも甚だ困難でありますので、今日の状況において少くとも中小企業が大企業のように資本を蓄積して行くにしては、税金を取られ過ぎておるのでありますからして、やはり国家の力によつてこういう施設を当然やつて行くべきであると思うのであります。こういつた積極的な面の施設というものを当然考えるべきであると思います。  最後に、今そういつた面の中に協同化政策というものが織込まれて出て来るわけでありますが、この協同組合法による協同組合というものは、この協同化政策の中の全部ではなしに、やはり一部分であると思います。勿論協同化ということを広い意味言つた場合には、協同組合という組織だけではなしに、協同組合という形をとらないいろいろな連合の方式もあります。而して重点は何と言つても現状においてはまあ協同組合であるわけであります。従つてこの協同組合に関する法律というものは、中小企業の振興には非常に重要なる影響を持つております。これに関する問題点、意見だけを申上げます。簡單に要点だけ申上げますが、今度の改正法律案を主として考えますと、一つの問題としては、この広い経済、広い地域に亘る協同組合連合会経済事業ができるようにするという点が出ておつたと思います。これは私どもすでに二、三年前から、この意見を絶えず出しておりましたけれども、一方において事業者団体法や、独占禁止法にも緩和の傾向が現われて来ており、殊に今の状況においては特に必要でありますが、そういうことのない場合におきましても、これは中小企業が特に必要な点であると思います。と申しますのは、大企業は自分の支店を通じ、或いはエージエントを通じて全国的な市場を相手として活動することができる中小企業が、これと対抗して同じようにやはり全国的なマーケツトを相手にして活動することができなければならんことは当然のことであるのであります。こういう場合に広い地域に亘つて協同組合連合会経済活動ができないということであつては、不当に中小企業活動を圧迫するということになると思うのであります。こういう点から言つて、これは当然改正されるべきものであると考えます。なお、組合員の範囲の問題、資格の緩和の問題もありますが、これについては若干、いろいろ意見もあつて、そのために零細企業が却つて圧迫されるのではないかといつたような見解を持つ人もありますが、併し協同組合の作り方にはいろいろあるわけでありまして、今日中小企業というものは單に同業者間の競争といつたような平面的な競争だけでなしに、大企業との間の競争もあり、その他いろいろな問題があつて、いわば全体的な競争の中に入つておる関係から行きまして、協同組合行き方にはいろいろな形があるわけであります。例えば問屋に関して協同組合を作る場合にも、問屋に代る協同組合を作るということもあります。或いは問屋を含めて協同組合を作ることもあり、或いは問屋に対して協同組合を作る場合もあるというようないろいろな形があるわけであります。こういうふうに実情において効果が上る協同組合作つて行く場合には、その組織の範囲内が合体されることのほうが適切であるという意見もあるわけでありまして、この点若干の意見の相違もありますが、特に零細企業がこのために不利になるというようなことがないような施策を一方において講ずるならば、拡大するということも一つ方法と考えます。  ここに出ていない問題点を申しますと、重要な問題点は先ほど委員長からもちよつと問題点の指示がありましたけれども、企業協同組合に預金の受入をさせるかどうか、これは他の種類の農業協同組合その他の場合と比較した場合の均衡上から見ましても、又先ほど申上げた中小企業対策というものは総合的に考えなければならんという面から見ましても、協同組合活動が金融の面においても、生産の面においても、販売の面においても総合的に活動する意味において初めて効果が上がるわけでありまして、單にこの事業面だけを認めてこの金融面を禁ずるということでは、やはり効果的にことを上げることができない。こういう点から見てこの事業協同組合が預金の受入のできるようにするということは、これは中小企業に対する協同組合の性格上当然のことであると思うのであります。で、協同組合の金融に関してもう一つ関連した問題としましては、現在問題になつておるものが信用協同組合の員外預金を認めるかどうかという問題が出て盛んに論議されておるようであります。この点は、私の見解といたしましては、根本的には信用協同組合というのは、一面ではこの協同組合よりほかの性格を持つておる面があるのであります。そういう点から行きますと、原則的には員外預金は認むべきであります。併しなら従来のいろいろな経験その他から見て員外預金をした場合に、預金者の保護という面についていろいろ問題があれば、ここに若干の制限をする必要があるということについても、必ずしも否定することができない面もあります。それで方法をいたしましては、現在のように信用協同組合は三百人以上集まらなければできない。相当の自己資金を持たなければできないというような法律的な制限があるという現状をそのままにするならば、これは員外預金を認むべきであると思うのであります。併し中小企業の金融問題を解決するためには、もう少し自由にこの相互金融の組織を発達さして行つたほうがいいというような観点に立つて、信用協同組合の設立の制限をもつと緩和して行くということが好ましいのでありますけれども、この線が若しも貫徹されて行つた場合においては、員外預金においては認可制をとるとか、その他の方法を以てこれに若干の制限を加えることが妥当ではないかという考えも出て来るわけであります。従つてこの問題を、信用協同組合を作る、ことについての制限の問題を考え合せて作らなければ結論は出ないというふうに考えるわけであります。なお協同組合の問題につきましては、初め中小企業協同組合法が制定されました当時に、その当時の原案に保険協同組合が載つてつたわけでありますが、削除されて国会を通過したわけであります。併し保険協同組合というのは、今日諸外国の例を見ましても、どこでもやはり保険協同組合というのは認めておるわけであります。ひとり日本において、一方において中小企業の振興のための協同組合政策を推進しておきながら、特に保険協同組合を認めないということは、如何なる点から見ても当を得ないことでありまして、これは当然今後当初の考え方に戻つて保険活動をもやはり中小企業協同組合事業として認むべきであると思うのであります。  なお、細かい問題についてはいろいろありますけれども、協同組合法に関連いたしまして主要な問題と思われるものについて意見を申上げた次第であります。ちよつと時間が予定を少し超過いたしましたので、一応これで打ち切らして頂きまして、後又御質問などの際にお答えいたしたいと存じます。
  5. 古池信三

    理事(古池信三君) 只今中島さんから詳細に亘つて意見の御開陳があつたのでありますが、只今の御発言並びに皆様のお手許にお配りしてある中小企業の問題点という一枚刷があります。これは中島さんが、現在全日本中小工業協議会の副委員長をなさつておられますので、この問題点という印刷物に関しても同時に中島さんにお尋ね願いたいと思います。皆様の御質疑をお願いしたいと思います。御質問ございませんか。
  6. 松本昇

    ○松本昇君 中島さんにお伺いしたいのですが、どうも中小企業と申しますと、商業も工業も含めてお話になつておりますが、中小企業という場合に、工業に重点をおいて、商業という面がどうも閑却されやすいように今まで私ども思うのでありますが、これは工業は勿論大事であります。中小企業工業勿論大事でありますが、商業の部門も全国の数から言つた相当の数になる、販売業者にしましても、サービス業にしても相当の数があるのですが、商業も工業も一括してすべて中小企業という一つの下に取扱われておるところに、いろいろな專門的になつていないために、部門的に分れていないために、かなり矛盾ということもありましようが、ぴつたり合つていない点が相当あるように思われるのですが、こういうものが法律化して行くと、なお一層中小企業に対してのいろいろなものが検討される上においては、当然商業部門と工業部門というものに対しては、或る程度の線を引いて、そうしてそれについて適当の方法を講じて行くことがなお一層いいのじやないかという考えを私ども持つて来るのですが、これに対しては中島さん、どうお考えでしようか。
  7. 中島英信

    参考人中島英信君) 今日時間も少かつたので簡略に申上げたわけでありますが、私も従来から意見としましては、中小工業中小の商業というものに対しては、やはり一応異つた対策をそれぞれ持たなければならんというふうにやはり考えております。ただ若干共通の問題も勿論ありますから、その場合には、やはりあらゆる点において別個にする必要もありませんけれども、従つて共通の問題は中小企業といつても、商業や工業も或いはサービス、運輸業等、すべてを含んだ中小企業の問題を取扱う。本当の精密に対策を進めて行く場合においては、商業と工業とを一応区別して対策を立てなければ効果の挙がる対策は出て来ない。私もさように思つております。
  8. 小林英三

    ○小林英三君 中島さんにお聞きいたしたいのでありますが、中小企業の金融の問題につきまして、市中銀行からにしても、中金から借りるにしても、実際にその金が必要で借りたい人は、信用がないとか或いは担保力がないとか、いろいろの問題があつて借りられない。同じ中小企業でも、銀行ではどんどん貸したいような人は借りる必要がないという場合が起つて来るのですが、ですから銀行では金があつても、その人の信用、工場の信用、その会社の信用、つまり貸せない場合、貸し渋る場合というものが必ずある、そういう問題を解決するには、どういうような方法がいいだろうか、どういうお考えですか。
  9. 中島英信

    参考人中島英信君) これはやはり中小企業の金融の実際の場合には大きな問題だと思います。現在とられておりまする方針としましては、つまり金を借りたいけれども信用が不足しておるというものに対して、御承知の通りに信用保証制度とか、信用保険制度とかあるわけでありますが、これを強化することが一つの勿論方法だろうと思います。もう一つ進めまして、私も先ほど総合的に対策を考えるという点で申上げた点は、経営指導と金融という問題を中小企業の場合には特に結付ける必要があるのじやないかと思うのであります。それで金を貸す場合にも、これはもう貸しても大丈夫というのと、これはもう殆んど問題にならんというのと、その中間のと、いろいろあると思います。特にその中間のものになりますと、若干こういう点で信用に保証を与えるとか、或いはこういう点を直せば貸してやつても大丈夫という問題があると思います。従つて中小企業の場合には、金融と経営指導という問題を深く結付ける必要がある、これがやはり対策一つ方向になるのじやないかと思います。それじや何でやるかという場合には、普通金融機関の場合には、アメリカ等の例を見ますと、やはりこの点は言われているようでありますけれども、銀行自体が或る程度経営相談に乘つてやる、それから借りるほうもそれに経営相談をして行くという行き方一つあるのであります。併し日本の場合には中小企業專門機関というものがかなりありますから、その專門機関が特にこういうものについて努力する必要があると思います。この場合に金融機関の経営相談機関を持つか、外部のそういう機関なり業者の団体のそういうものと結付けてやるかという問題があると思いますが、これはそのときの金融機関の状況及び外部にある機関或いは団体の状況によつて、とり得る対策はすべてこれを取上げて行くということでいいのじやないかと思つております。
  10. 小林英三

    ○小林英三君 それから中小企業の問題については非常に御研究になつているようでありますからして、こういう点をお聞きしたいと思うのです。日本工業というものは殆んど、件数で言いますと九〇何%というものが中小企業であります。この中に大工業、中工業、小工業、まあ製鋼なんか、これは大工業あり、中工業あり、小工業ありというようなものだと思うのです。ところが中には大企業がなくて中小企業しかないという業態もある、こういうふうな問題に対してどうお考えでしようか。
  11. 中島英信

    参考人中島英信君) 今お話通り中小企業の分野としては、大企業と競合している分野と、それから中小企業だけの業態の分野もあるのですが、今お話の第二の点、中小企業だけでできているもの、この場合にもやはり細かく分けると更に二つに分れるわけです。例えば今日ここにメリヤスの村上さんも出席しておられますが、メリヤス業者は大体において中小の業者です。この場合に原料の供給の面が大企業であるという場合において、その大企業と多少特殊の、或る意味で対立的な関係りになる。それからもつと簡單な和傘を作るというようなものになりますと、これは中小企業でありますが、原料の問題ではこのような問題が出て来ない。こういう場合に対策が違うわけでありますけれども、これは原料の供給が大企業であるような場合においては、特にやはり非常に包括的な協同組合組織が必要じやないかと思います。先ほど申上げた協同組合の中にも、いろいろな状況によつて協同組合の作り方が違うと思うのでありますが、つまり一つは、昔の同業組合のような性格を現在の協同組合の中にも多少持たなければならない。これは回り業者間の競争を或る程度やはりチエツクする問題が必要だと思うのでありますが、それから今のメリヤスの場合には、一面において大企業との関係で、原料の調達という面については、やはりこれはその業者全体がまとまつた面が必要でありますから、こういう面ではやはりかなり包括的な協同組合というものがどうしても必要になつて来るのじやないかと思います。但しこの場合に極く小さな同志的な経営合理化のための協同組合というものがあつて差支えないのでありますが、若しこういう形をとる場合には、やはり協同組合連合会作つてこれをやつて行くというような面で、この協同組合の性格は、特に中小企業だけがあるような業種においては私は特に重要性を持つているのじやないかと思つております。それからそういう業者がたくさんありますといろいろな問題が細かくなりまして、問題が出て来ますけれども、例えば輸出品を作つている中小企業でそういうものがありますが、これに対してはできれば輸出品の品質を高めて、而も中小企業のままで能率を上げさせて行くためには、これに一つの機械化をするとか、或いは一定の技術を与えるとか、或いは場合によつてはこれに対する資金を供給するとか、そうしてここに中小企業を全体的に質を高めて行くという場合には、そういう方面の政策はこれはやはり場合によつて国家的な施策として行う必要があるのではないかと思つております。
  12. 小林英三

    ○小林英三君 今私が大企業がなくて中小企業しかないということは、これはどこか中小企業なるが故にそういう業態が発展するということから、大企業が起つて来ないで中小企業のみが発展して行くという業態がたくさんあると思う。アメリカ等におきましてもやはりそういう部面がありまして、こういうものは、中小企業でなくては発展しない、大きなものは潰れる、むしろ能率が上らないという業態がたくさんあると思う。で、そういうようないわゆる大企業のない中小企業につきまして、どういうふうに国家がこれに対して臨んだらいいかということについてお伺いします。
  13. 中島英信

    参考人中島英信君) 特に中小企業だけの業態というものは相当な理由がありまして、一つは、伝統的な中小企業でやつて来ておるという場合、それから企業的に見て中小企業でもやれる、或いは手工業的なものであれば特に中小企業に向いている、或いは機械を使つても簡單な旋盤、ミーリングを使つて行く、或いは合成樹脂でも簡單なプレス機械のようなものを使うとか、こういうようなことになると、経営の管理の面から見て中小企業のほうが適しておると、或いは織物関係その他になれば、非常にこの変動が激しい需要を相手にしておるような企業になれば、これも中小企業にいいというような問題になると思う。その意味で、これに対してそういうふうに中小企業に適した業態であるということがはつきりしておる場合には、やはり一つはこの特徴を活かしてやつて行く、難点になつておるのはどこに出て来るかというと、やはり一つ中小企業であるために、実際には経営面の改良する点があつても、改良がなかなか行われない面が一つ、それからこれを共同の施設で以つてつて行けるかというと、実情はなかなか困難な点もあるので、この面では、こういうものの経営技術の向上に対する指導機関というものが必要であると思う。それからそういつた場合に、需要と生産のバランスが破れるといつたようなために出て来る問題に対しては、一方は協同組合組織を通じて、そういう問題に対しては不当な乱立競争といつたものをそういう面から抑えて行く。それから先ほどちよつと触れたように、実際は現在中小企業で行われておりますけれども、機械化の余地があるといつたようなものがある、こういう場合にはその中小企業全体が便宜を得るような形で、国家の試験研究機関のようなものでもやはり研究した結果を中小企業に提供して、その面を一歩進めて行くような面がその場合には必要であると考えます。こういうわけでその必要としておる問題について、これに適当な、どういう方向をとつたらよいかということについてインフオメーシヨンを与える機関が必要である。この二つの機関をやはり国家として施策する場合には持つべきではないかと考えております。
  14. 古池信三

    理事(古池信三君) ほかにございませんか。御発言がなければ次に兵庫県中小工業協議会の常任委員をしておられます西村四郎君に御意見の御開陳を願いたいと思います。なお、時間は大体において十分程度にお願いをいたし、特にあなたからは新特需関係中小企業の問題、これらに重点を置いてお話願えれば仕合せと存じます。
  15. 西村四郎

    参考人(西村四郎君) 委員長から御指名になりました西村でございます。  兵庫県の中小企業の現在の立場におきまして、特需及び新特需は直接には影響は少いと思うのです。けれども、御承知の通り阪神方面の大企業を控えておりますので、それの下請関係で割合に影響が大きいのです。自分たち特需、新特需という問題も引くるめまして中小工業が一番困つておりますのは、やはりいつも問題になります金融の問題でございます。なかなか自分たち個人の力では銀行のほうで金融してもらうことができない。ところが実際自分たちが大工場から下請しました場合に、まあ注文書を頂きまして、材料を仕入れ、それを加工し、それを納入いたしまして、或る一定期間たつて検査を受けまして、それが合格しますその間には、少くとも自分たちの今までの経験から考えまして、一カ月なり三カ月なり、三カ月かかる場合もある。それを納入しましたあとにも、ただ親工場の経理の関係だけでなかなか代金を支払つてもらえない。そのために経理の関係上で商業ベースに乘らないような、百二十日とか百六十日とかいう手形を振出す。これはどこへ持つて行つても相手にしてもらえない。私どもも今まで日銀の支店あたりに参りましても、大企業に融資される場合に、その融資される金額の中には必ず下請に払われる金額というものは或る一定の額が含まれているのだ。これを何とか紐付融資のような形で一日も早く支払つてもらうことができないでしようかということをたびたびお願いしておるのですが、これはなかなかそんなことは実行できないのです。私どもが甚だ遺憾に思いますことは、観工場下請に出すということは、結局親工場で製作ができないから、下請に出すほが安いというので、親工場に何か利益があるはずなんです。実際問題としましては、親工場のほうでは給料の支払いも税金の支払いも全然しない。ところが私たちの立場に立つて見ますと、親工場が払つてさえくれれば給料の支払いもできる、税金の支払いもできる。親工場が商業ベースに乘らないでそれを支払つてくれても、非常に長い期間のあとでありませんと払つてくれないというようなために、自分たちは経済的に非常に困つておる。自分たちは信用が薄いのですから、これを無理に押して現在の市中銀行に融資を求めるということは非常に無理だと思うのです。ですから関連して親工場がもう少し早く何かの方法で以て支払を、現在のような調子じやなしに、少くとも戰前くらいに、納入してあと一カ月、少くとも二カ月以内に代金を支払つてくれるということになりますと、自分たち中小工業下請業者は金融の問題からは解放されるのじやないかと思うのです。この金融の問題が解消されることになりまして、或いは中小企業に起りがちの、工賃の支払問題で労働基準監督署から注意を受けるというような問題もすぐ解消してしまうのじやないかと思うのです。自分たち今の経験によりますと、資金というのじやなしに、納入しました代金が回收されますのは、少くとも一年に三回ぐらいしか支払つてもらえない状態なんです。ですから大きな注文をもらつて、それがために非常に苦しむ。親工場が前金をやつてでも……下請に出す前に前金を出すということは殆んど戰後なくなりました。そういうような点をまあ何とか議会のほうで、立法とまで行かなくとも、何とか考慮して頂ければ非常に結構だと思います。現在の特需とか新特需とかいうような問題につきましても、自分たち戰前兵器をやつておりました関係上よく知つておりますけれども、アメリカのような高度に機械化された兵器類の製作になりますと、自分たち中小工業は、恐らく大企業下請及びその部品の製作、それ以上に一歩も出ることはできないと思うのです。ですから今後とも新特需の問題にしましても、どうしても自分たち中小工業は親工場に依存して行かなければ生きて行けない。その親工場が支払をなかなかやつてくれないということになりますと、注文をもらつて仕事にかからなければならない。注文をもらつたためにどうしても材料のほうは大阪の問屋なり或いは親工場のほうから支給するために割合員担がかからないのですが、自分たちが雇つております三十人、四十人なりの工員に対しましてはどうしても工賃を支払つて行かなければならない。その工賃が仕事を完成して検査を通つて納入されたにもかかわらず頂けないというのが自分たちの現状なのです。この点を何とかお考え下さいましたら自分たち中小工業経済問題は相当解決されるのじやないかとそんなふうに考えております。簡單ですけれども。
  16. 古池信三

    理事(古池信三君) 只今の西村さんの御発言に対して御質問がございましたらどうぞ。
  17. 境野清雄

    ○境野清雄君 今のお話下請工場が大企業からの金廻りが惡いということは、これは前々から問題になつておるのでありまして、これに対しては解決方法と言いますか、そういうようなことで日経連あたりでもいろいろ問題を出しておる。例えば下請業者も協同組合にいたしまして大企業家から手形を振出させる、そうしてその手形を商工毎金が割引をする方法が、これは幾らかとつておりますけれども、こういうことを普及するというようなことによつてのお考えは如何でございますか。
  18. 西村四郎

    参考人(西村四郎君) それは現在神戸でも中重、川重が現在それをやつております。それをやつておりますのは、協同組合に加入した下請工場だけなんです。勿論この頃のようにタンカー・ブームで各造船所が非常にいいものですから、今までの下請工場以外にやはり相当注文が出ておる。そんな場合に協同組合に加入さしてくれと言つても、不況のときのあることを考えましてなかなか協同組合のほうに加入させない。だから今委員さんが申されましたような恩典を受けることができないというようなことが実際問題として起つておるのです。
  19. 境野清雄

    ○境野清雄君 そうしますと、今のお話ですと協同組合でなく個人の場合にそういう問題がある。その問題というのは、一体あなたがたのほうで大企業のほうから手形なら手形を受取つて、そのものが割引できないということによる金融難なんですか、そうでなく現金のくれ方が遅いという……、いずれの方法なんですか。
  20. 西村四郎

    参考人(西村四郎君) 大体両方あるのです。現在ですと手形を出すということは、出した限り幾ら日にちが長くてもやはり責任を持たなければならない。ただ單に都合が惡いというような一点張りで、手形も発行されずに一カ月も二カ月も引張られるということが現状ではよくあるのです。これは会社の名前を申上げますと非常に工合が惡いのですけれども、日本で有数な大きな製鋼会社でそういう例がたくさんあるのです。一方では自分のほうの何千億か儲かつた金で拡張工事をやつておる。私は下請工場立場として非常に残念だと思いますが、それを無理に言いますとその次から注文を頂けない。注文をもらうためには、やはり親工場の言うままになつているより仕方がないという現状です。
  21. 境野清雄

    ○境野清雄君 先般何か商社の倒産のときに、愛知地区はそういうような問題を非常にうまく解決しておるというようなことが新聞に出ておつたように記憶するのでありますが、暫らくこういうような問題は続いておる問題なんでありまして、大体大企業から中小企業への金廻りの速度が非常ににぶい。言い換えれば、場合によつて政府自体が大企業に対して融資しましても、その融資自体が大企業の所でもうとまつてしまつて下請まで廻るというようなほどの金が廻つて来ないというようなことを再度私どもは聞いておりまして、中小企業一つの金融難という問題から行きますと、大企業からの中小企業への廻りが非常ににぶいということはもう長い問題になつているのですが、そういうような問題に関して政府自体今丁度企業庁長官もおられますし、金融課長もおられるようですが、中小企業庁のほうで、こういうものに対してこういうような手を打つとか、こういうような考えでおられるとかいうような腹案は如何でございますか。
  22. 小笠公韶

    政府委員(小笠公韶君) 只今の点ですが、非常にむずかしい問題でありまして、これをはつきり一つ義務付けるというふうな考え方はなかなか一般の債権債務関係からしてとりにくい。例えば下請手形というようなものを考えて見ると、これを十分に効果あらしめるには何かの強制力というものを持たせないと意味がない、こういうことになるのであります。そこで非常にむずかしい、新らしい制度として何か一般的に規制させる方法が非常に困難であります。そこで私どもといたしましては先ほどお話のようないわゆる組合制度と親会社との連繋による手形の裏書と、それを商工中金等をして割引せしめるという方法、又もう一つの問題は特別の場合におきましては、特別に親会社に融資をするという場合に紐付的な融資を條件にするというふうなことをやつたこともございますが、これは特定の場合に限ります。実際問題といたしまして、そして全体一般論といたしましてこの親企業から下請に金の流れいいようにするというのを、親のほうをつつついて持つて行くという手がなかなか打ちにくい状況に実はなつておるわけでございます。それで逆にはつきり下請の連中の協同化を中心にしてその協同化したものに対して資金を繋ぎ的に見て行くというふうな線から考えるということ以外に今のところいい智慧がないのであります。何とかそこに一つの親と下請との関係を規制できるというふうな名案ができれば非常にいいのでありますが、なかなか研究しておるのですができないというのが現状であります。
  23. 境野清雄

    ○境野清雄君 丁度ここに経団連のこの問題に関するいわゆる「大企業下請関連事業に対する支払の励行」という條項がありまして、この中に、中央及び地方の中小企業指導機関に支払促進のための調停斡旋機関を設置し、極力これを利用せしめるよう指導すること。右機関には例えば大企業、市中金融機関、中小企業者団体、日銀等の代表を参加せしめ、中小企業側の苦情を公正迅速に処理することが望ましい。但し、苦情を申立てたため、その後親工場より不当な圧迫を受け、かえつて経営困難に陥つた実例もあるから、申立入の名称等については、秘匿措置を講ずべきである。こういう條項が出ておるのですが現実に西村さんは、今この中小企業の実態問題に関連しておられるようですが、こういうような生ぬるいと言いますか、直接の問題でないのですが、こういうこと自体によつても幾分解決ができ得る、幾分はそういうことはいいのじやないかというようなお考えであるかどうか、その点ちよつとお伺いしたいと思います。
  24. 西村四郎

    参考人(西村四郎君) それは私が上京します一週間ばかり前に、今委員さんが言われましたと同じことを大体神戸の日銀支店長、それから神戸銀行、東銀の支店長、それから兵庫県の方からは商工部長がいませんので、商工課長と、それから副知事のかたも出て頂いたと思うのですが、そうして大企業のほうからは川崎重工業と中日本工業、神戸製鋼、これだけのかたに集まつて頂きまして、そうしてできるだけ何か解決方法をつけて欲しい。まあ親工場のほうが不況であればこれはもう、まあ日本人の惡い癖かもわかりませんけれども、自分たちもできるだけ忍ぼうと、併し親工場相当利益を挙げておられる、少くとも二割、三割の配当をされて、新らしい工場をどんどん建設されている、それにもかかわらずその商業ベースに乘らないような百二十日というような手形を出されるということは、自分たちは非常に生きるか死ぬかの境目になつているのだ、何かやつて欲しいということをまあ申上げたのです。それで私たちが今現実に非常に困つております問題は、仮に手形を頂きましても銀行にそれを持つて行くときに、県の信用保証協会と銀行とが丁度責任をなすり付け合うというのが現状なんです。銀行が融資することを承諾すれば保証協会は保証しようと、銀行へ持つて行きますと、保証協会が保証をすれば俺のほうで見てやろうというふうなことでなかなか一つの問題でもできない。それから大企業が発行した手形を持つてつてさえなかなか私たち金融を受けられないのですから、そんなふうな裏付けがないものになかなか現状としては貸付けるということは無理じやないか。神戸銀行なんかも現在では日本の十大銀行とか何とかいうふうになつておりますけれども、大体もう営業の地盤が神戸にあるのですから、先日も向うの西脇常務に会いまして、預金の受入を大企業中小企業からどんなふうに神戸銀行がとつておるか、そうして貸出の面がどういうふうになつておるかということを聞きました場合に、貸出が九〇%で、金額にして二八%、それであとの八%か何かに対して六〇何%の貸出をしている。これはもうその銀行が大きくなるためには仕方がないだろうと思うけれども、兵庫県で大きくなつた銀行なんだから、少くともその比率を半々ぐらいまで僕は持つて行つてもらうように努力して欲しいというようなくらいの生ぬるいことしかできないのですけれども、今申されましたように、その生ぬるいことでもやりましたら多少効果はございます。ただ自分たち中小工業立場としまして、これはもう申上げるのが非常に残念なんですけれども、団結する力が非常に少いのです。一つの注文がありますと、もう人をつきのけて置いてもその注文を取り、採算にも何にも乘らない無理な注文の取り方をして、あとで困つて、私の所へ来て何か解決の方法がないだろうかというふうなことを、私たちよく聞くのです。これはもう少し生活とか何とかいうことが楽になりましたら、或いはそんな無理なことはやらないだろうと思うのですけれども、何分にももう神戸の機械工業なんかは独立して物を造つている所は非常に少いのです。殆んど神戸にございます四つの大きな重工の下請関係が主なんであります。それからもう少し支払とか何とかいう面が完全に廻りましたら、そんなふうな経営の面でもうんと楽になるのじやないかと思います。今兵庫県でも大工場のほうじや労働基準法の違反ですね、そのうちの大部分は、工賃の遅払とか何とかいうことは非常に少いのですけれども、尼崎方面は今日でも全工場数の約三割ぐらいが労銀の支払問題で、尼崎労働基準局のほうでも、困つているのです。現実に通用せない手形を持つている、これが資金化されない、それでまあ仕方がないから労働基準局が先頭に立つてその工賃だけを面倒を見ているというふうな場合が相当あるのです。
  25. 境野清雄

    ○境野清雄君 今の話の中に手形を持つていてその解決問題で信用保証協会という話が出まして、これはお説の通りだと思うのでありますけれども、信用保証協会は、現状においては御承知の通り政府再保険が約五〇%というようなことになつておることが、あれが若し政府の再保険が一〇〇%になつておれば、今あなたのおつしやつたような問題は解決するというような見通しはありますかありませんか。
  26. 西村四郎

    参考人(西村四郎君) 現在では兵庫県ではその信用保証協会の專務理事にそのとき会いましたのですけれども、まあ貸倒れというようなことは割合に率は少いのです。ただ何分にも兵庫県及び神戸市が出資しております金額が少いために、現在では余り余裕がないというのが現状じやないかと思うのです。それで政府のほうで再保証を一〇〇%されるというふうになりますと県のほうの資金ももつと出やすいのじやないかと思うのです。
  27. 境野清雄

    ○境野清雄君 今の問題に関連して中小企業庁の金融課長、或いは長官にお伺いしたいのですが、これはどなたか質問したかどうかと思いますが、御承知の通り今の神戸の問題がありましたが、神戸の問題にしても、例の十一大銀行が全国の六大都市に出しております六十五の中小企業の特別店舗というようなものが出ております。あのものが何を十一月末の残高を見ますと、預金が百九十九億くらいある。それに対して貸出しは七十八億だ、言い換えますと、三八・二%を中小企業に貸している。こういうような現状になつていると私は記憶しているんですが、そういう場合、少くも中小企業の特別店舗というふうに銘打つていることは、相手方の顧客は全部中小企業だ、こういうふうに私どもは解釈するので、そういうように解釈しますと中小企業から集めた金の僅かに三八・二%きり中小企業に貸しておらないというと、残りの六二%弱というものは本店へ還元しているか、或いは大企業へ貸しているかしなければ、金融業者ですからそういう措置はとつておらないはずだと……こういうような形になつていると零細な中小企業の金を集めておきながら、いわゆる羊頭を掲げて狗肉を売る形態になつてつて、看板だけ掲げて中小企業の金を集めて、これを大企業に流しているということは、この数字から見ると或る程度私は是認せざるを得ないのじやないか。こういうような問題に対して、これは大蔵省が只今来ておられれば大蔵省に嚴重に質問して見たいと思つてつたのですが、そういうような中小企業の金融が息づいているというときにかかわらず、その中小企業の集めた金をいずれにしても三割八分くらいしか出さんということは以てのほかだと思うのですが、中小企業庁、特に中小企業の味方である中小企業庁として、こういうものを放任して置くお考えか、或いは何らかの措置を講ずるお考えか一つ承わりたいと思います。
  28. 松尾金蔵

    政府委員(松尾金蔵君) 只今の点は、勿論御指摘になりましたような傾向を、中小企業庁の立場としては非常におかしいという点でしばしば、まあ例えば銀行協会の集りその他の席上でもそういう話をしているのであります。勿論これは銀行側の立場、或いは大蔵省の立場関係すると思うのですが、まあ若干の理由はあるようであります。例えば銀行というものはもともと支店で預金を集めて本店で貸す傾向があるので、その傾向の一つの現われであるというのも一つの理由であると思います。或いは又特別店舗と言つているけれども、貸出しは確かに中小企業向けだけの貸出しをやつているけれども、預金のほうについては必ずしも中小企業からの預金だけに嚴重に限定しているわけではない。まあ例えばそういうような理由が言われているようでありますが、只今御指摘になりましたように、少くも中小企業庁の立場からこの問題を見れば、その程度の理由付けでは十分な理由付けにはならな、いのじやないかと思つております。そういう意味から、実は御承知と思いますが、たしか昨年の暮でありましたか、特に大蔵省の銀行局長の通牒で、特別店舗の運営方針についてもう少し中小企業向けの貸出しについて努力するようにという特別の通牒が出たのであります。只今特別店舗を持つている或る店では、本店のほうから一定の率しか貸出してはいけないというような制限を特に課せられておつたような裏付けもあつたように聞いているのでありますが、そういう特別の制限を付けているような店は、そういう制限をやめるべきだというようなことも併せて、中小企業向けの貸出しをもつと殖やすようにという特別の通達が出たのであります。これ以後若干は只今御指摘になりましたような傾向は改善されつつあるのではないかと思うのでありますが、私どもの立場から言いまして、決して現状で満足しているわけではないのであります。
  29. 境野清雄

    ○境野清雄君 今のお説はよくわかりますが、ただ銀行局長の通牒で、一片の形式的のあれですね、そういう中小企業の特別店舗と銘を打つておるものに通牒を出すぐらいでなく、一つ中小企業庁自体としても態度を強硬にお出を願つて、例えば預金の余つておるものは、商工債券を強制的に買つてもらうというような措置を講ずるようにして頂いて、少くも中小企業の金を集める……それはお説の通り企業からも集めておりましようが、特別措置を講じて、特別金融店舗と銘を打つておる以上は、もう少し中小企業のためにやつてもらいたい。こういうことに対しては一つ中小企業庁も、従来からお骨折を願つておるとは思いますが、格段に一つ強硬に大蔵省にお申入れをして頂きたいということを要望いたします。
  30. 中島英信

    参考人中島英信君) 実は先ほど御説明をしようと思つて落した件について、先ほど境野委員から質問がありましたから、ちよつと補充させて頂きたいと思います。
  31. 古池信三

    理事(古池信三君) 簡單に願います。
  32. 中島英信

    参考人中島英信君) 実は大企業中小企業下請代金の支払とか、その他の金融の問題については、調整機関を作る必要があるというところから、全日本中小企業協議会でも二、三年前から提唱しております。この点は下請企業が直接観工場に交渉しましても、実際にはお前の所には注文を出さんと言われると困る場合も多いという関係で、いわゆる若干中立的な機関が斡旋しなければ解決しない。而もできるだけその下請工場は不利にならんような形でやつて行く必要がある。そのためには調整機関を作る必要があるという考えを我々として持つております。我我としまして、それは民間機関でも差支ないのでありますが、一種の公正取引を実施するという意味法律的な措置もできればやり得るのではないかと考えております。この点は従来の民法の範囲内で実施し得ないものを労働法で補つたように、中小企業の場合はかなり特殊な問題がありますので、この点についても法律的な面でも、もう一歩前進してもらいたいという意見を全日本中小企業協議会としては持つておるわけであります。
  33. 古池信三

    理事(古池信三君) ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  34. 古池信三

    理事(古池信三君) 速記を始めて下さい。
  35. 中川以良

    ○中川以良君 ちよつと今私は中島さんのお話のあつた点についでもう少し詳しく伺いたいのですが、さつき境野委員からもお話があつたように、経団連で以て中小企業に対する対策の要望を出しておりますが、その中にも賃金の問題を取上げて、中小企業は親工場が金を払わないために、賃金不払をする、これは社会性質から言つて非常に重大なことであるので、中小企業家の間では賃金不払に対すると同じような何か法的措置をとりたい、例えば下請支払基準法ですか、そういうようなものを制定したいということがありますが、何かこういうものに対する御準備があるのですか。
  36. 中島英信

    参考人中島英信君) 法律の案に関してですか。
  37. 中川以良

    ○中川以良君 案に対して。
  38. 中島英信

    参考人中島英信君) 法律の案に対して、具体的なこういう案というところまで完全にできておりません。ただ前には例えば政府の支払促進に関する法律というものがありましたが、現在もあるかも知れませんが、ああいうのに準じて、やはり中小企業と大企業との間の取引関係を公正にするために法律作つてもらう必要があるという程度の意見でありますから。
  39. 中川以良

    ○中川以良君 それに関してどうですか。金融課長はどういうふうにお考えですか。金融課長にお伺いするのは変かも知れんが、誰もおられないですか。振興局長は……。
  40. 松尾金蔵

    政府委員(松尾金蔵君) 一般的に制度化するということなら、特に又法律を以て制度化するということになりまずければ、この問題は相当、国の支払について法律で制度化するというのと違いまして、いわば私の取引間を法律を以て制約するということになりますから、何と申しますか、相当権利の制限と言いますか、片方には、中小企業立場から申しますれば勿論そうでありましようが、プラスでしようが、片方に又制限しなければならない面が出て来ると思う。そういう意味で、法律関係、権利関係というようなことで、一般的に法律を以て制限しようということになれば、相当まあ慎重な検討を要すると思うのであります。先ほど申しました調整的な意味で、現地でそれぞれの関係のかたが集まられて、いわば自然発生的に調整の制度がとられることになれば、これは或る程度実際的な解決方法であろうと思うのでありますが、それ以上に法律制度として云々ということになりますれば、実は私どものほうもそこまで十分な研究はまだしていない段階でございます。
  41. 西村四郎

    参考人(西村四郎君) 今御質問のありました調整の点につきまして、私は今まで二、三回そういうふうな会合も開いたのでありますけれども、一番私たちが現状に即していると思うことは、法律とかいうようなものじやなしに、各地にありまする日銀の支店あたりが主催されまして、そして大工場下請工場との間に話を付けて頂く、これが私は一番いい方法じやないかと思う。大体まあ今の銀行の状態を聞きましても、日銀さんの言われることだつたら大なり小なり聞かれる。直接には自分たちの企業とも関係ないのですから、相当公平な目で見ていて頂けるのではないか。だから日銀のほうでそんなふうに中小企業のために心配されて、月に一回なり、二月に一回なり、そういう会合を持たれることを何か中小企業庁のほうで御心配願えれば非常に私は結構だと思うのです。
  42. 古池信三

    理事(古池信三君) ほかにございませんか、御発言は……。それでは次に日本横編のメリヤス協会会長の村上音治君の御意見を伺いたいと思います。大体時間は十分程度にして頂いて、主としてメリヤス業界と並びに大企業との関連問題等に中心を置いてお話し願えれば結構だと思います。
  43. 村上音治

    参考人(村上音治君) 私どもの中小企業は、終戰後あらゆる不利な條件の下に自立更生を主眼として、又これを強いられて、営々として今日に至つて再建に努力しておつたものでありますが、最近の不況に際しましても、金融機関からの後援の少いところの中小企業は当然四苦八苦の状態ではありますが、価格の低落をすることばかりを恐れておるような状況ではないのであります。大体経済界の安定を希望しておるのでありまして、最近のような大企業に対しての便宜は非常に多く、なお便宜を与えてもらえるというようなところから、潰れかけておるものもこれに対して援助を与えてもらつている。中小企業に対しては、潰れるのも止むを得ないという状況のような、こういうことからなお更中小企業としての経営の不安が重なつているという状況でありますが、なおそういう状況で、大企業にのみ同情的であるというようなことで、中小企業への圧迫は、ダンピングが続出いたしまして決して経済安定に導くゆえんではないように思うのであります。又最近の紡績の操短ということは、当然今後現われて来るところの原料高の製品安というような問題は、なお一層中小企業への圧迫が甚だしくなつて参りますし、なお輸出の不振にもなるのじやないかというように考えるのであります。又大商社は、最近の新聞にも見られますように、政府並びに金融機関によりまして貿易のために援助してもらつて、貿易上の思惑により大きな失敗を重ねた。その結果、現在これの建直し策に專念しておられるというような状況でありますが、その建直り資金を再び政府並びに金融機関から援助してもらつて、それを貿易振興に役立せないで、内地向に進出しているというような傾向が最近あるのでありまして、この点に対しては、非常に我々としても不安な感じを持つておるのであります。この問題は大資本家の中小企業に対する新たな攻勢だと、私たちはこう考えておるのであります。最近予備隊並びに官庁の需要の発注というような問題に対して、従前は設備所有者に限られて発注をしておられたのでありますが、最近は一般入札となりましたがために、これが受注を大商社に独占されるような状況であります。内地向のものに対しても、原料の入手の問題は大商社に非常に優越な点がありまして、その便宜と金融上の特典によつて不利な状況にあるところの中小企業を非常に圧迫いたしまして、大企業下請の制度がだんだん多くなつて参りました。そうして利益を大企業に壟断されるというような状況になりつつあるのであります。この大企業援護政策によつて中小企業圧迫の度合がますます高まつて来るようであるならば、むしろ政府みずからの手によつて産業構造の変革を御指導願いたいというふうに私どもは考えておるわけであります。
  44. 古池信三

    理事(古池信三君) 御発言はございませんか。
  45. 境野清雄

    ○境野清雄君 安本の貿易局の深瀬君は見えておられるのですか。
  46. 古池信三

    理事(古池信三君) 只今まで深瀬君は出席されておつたのですが、今帰えられました。すぐに迎えに出すことにいたします。
  47. 境野清雄

    ○境野清雄君 それでは別の問題をお聞きしたいのですが、今のメリヤス業界の御発言ですが、メリヤス業界自体は、今お話のあつたような問題は一々御尤もだと思いますが、相当輸出という面に関しては、メリヤス業界は或る程度私は従来の設備というもの自体が是非近代化をしなければならんという羽目に行つているのじやないか。例えば一つの、私ども浅い経験ですが、そういうような面から行きますと、靴下のごときものも相当ばら物が出て来ておるというような形から言いますと、やはり中小企業対策といたしましては、あなたがたのほうは一つ設備近代化の資金というようなものが相当必要なのじやないかというふうに思いますが、その点は如何でございますか。
  48. 村上音治

    参考人(村上音治君) 設備資金は、当然我々の中小企業家として最も望んでいるところなのでありますが、なかなか長期資金としての融通が困難な情勢であるので、そのために設備の近代化が困難な情勢になつているということなのでありまして、これに対しての金融措置については、先ほどからいろいろ出ておりますような共同の組織化、或いは協同組合の強化によつて、或いは又共同設備によつて、何らかの盲点を打開する方法を講じたいというようなことは、業者自体が考えておることでありますが、実際問題としてはなかなか困難な状況にあるので、これは実際問題として我々自体の自覚と反省が必要でしようが、今後の政府の御指導によつて多分にこれに頼る必要があるのじやないかというふうに考えております。
  49. 境野清雄

    ○境野清雄君 同時にあなたのほうが今輸出をやつております輸出先というやつは、大体ポンド領域が非常に多いのじやないかというような点からいたしまして先般政府が発表しましたいわゆる輸出制限と言いますか、あの問題に関しての御意見は如何でございますか。
  50. 村上音治

    参考人(村上音治君) 輸出の方面については、このチエツク・プライスが一応できておりまして、これによつてダンピングを防ぐような状況になつているのでありますが、現在の段階ではなかなか輸出が困難な情勢に追い込まれている。それはやはり国際価格としても一応低下しているときに、最近の情勢では、原料高の点でなかなか今後の中小企業家としてのメリヤスの輸出に対しては非常な不利な状況に追い込まれておるというようなことなので、なお更今後の問題も、操短の問題もよほど考えて頂かないと、少し過ぎるとなお一層輸出不振の状況に追い込まれて、殊にバイヤーからは叩かれ、又原料の入手には高いものを買わなければならんというようなことで、間に挾まつた中小企業家としての立場がなお一層今後苦しい状態に追い込まれる情勢ではないかというようなふうに考えておるわけであります。
  51. 境野清雄

    ○境野清雄君 今のお話で、原料高の製品安ということ、これはまあ絹、人絹その他一般に対して、今日中小企業の輸出その他が行われない原動力になつておると思うのでありますけれども、一体あなたのほうの業界として、綿糸はどの辺のところならば現在の輸出にも引合い、そして、そのもの自体がスタンダード・ベースになるのだというようなところは、梱幾らぐらいのところがそういうような基準になるのでございますか。
  52. 村上音治

    参考人(村上音治君) 実は私のほうは横編メリヤスと称しまして、実は綿糸のほうを余り扱わずに、毛のほうのメリヤスを主体としておるのでありますので、数字的に多少の狂いがありましてもどうかと思いますから、綿糸の輸出に関する価格の問題は御遠慮申上げたいと思いますが……。
  53. 境野清雄

    ○境野清雄君 そうすると、先ほどお話のあつた操短問題ということは、紡績の操短問題という意味じやないわけですな。
  54. 村上音治

    参考人(村上音治君) 紡績の操短問題であります。それは綿糸に関連しての問題に関係いたしまして、非常に業界に動きのあることは事実なんであります。それで又予備隊問題についても、毛の肌着類について、最近入札のあつた問題の実例がありまして、それを取上げて先ほど私から申上げたわけであります。
  55. 境野清雄

    ○境野清雄君 そうしますと、同じ質問を再度私申上げるのですが、やはり国内向のものに対してのあれですか、原料高というものが、紡績の操短によつて綿糸の値段が上るということを予想しての先ほどの御発言でございますか。
  56. 村上音治

    参考人(村上音治君) その通りであります。
  57. 境野清雄

    ○境野清雄君 そうしますと、これは私は問題が相当残るのじやないか、あと綿スフ織物工業会のほうから御発言があると思いますから、そのときに再度私は念を押して見たいと思うのでありますけれども、紡績の現状価格と従来工賃というものは、大体紡績は一梱について一万五千円ぐらいのもの、但し四割操短にせられた今日では一万七千円ぐらいに私どもは行かなくちやならんのじやないか。そういう形から行きますと、一梱についての綿花代金というものは大体八万九百円ぐらいというものが今日の現状であり、それを両方加えますならば、嚴格な数字から言えば、これは八万九千十円というようなものが出て来るのではないか。そういう計算で行きますと、今日の三品相場というものから比較しますと、これ自体でもうすでに紡績会社は五百円ぐらいは赤字になるのじやないか。逆に見て二百五十円という価格を堅持して梱十万円で売りましても二千円の利益が上つて来る、このもの自体がもうすでに原料高だというようなことになつて来ますと、日本経済の面から見ますと、紡績というような大きな一つ仕事が総体が赤字になつていても、そのメリヤス業界なり或いは綿スフ織物工業界というようなものを活かすということの大きな根本問題が私は起つて来やしないか、こういうふうに思いますので、今の綿糸自体が原料高だ、そうしてそれが操短が四割或いは五割になれば、まだ工賃が千円くらい止るだろうということになると、これはなかなか問題になるのですが、現実の綿糸自体の価格というようなもので、今採算点が非常に困難だ、国内的に売るのが非常に困難だというような状態ですか。
  58. 村上音治

    参考人(村上音治君) 今の一般のメリヤス製品の需要面からいつて、非常に消費層が窮屈な状態になつておるというようなところから、現在の状態でもますますこれは下る一方ですから、結局なお更需要が殖えないというふうなところは、内地向けにおいては当然そういう場合があるだろうと思うのでありまして、輸出向けについての問題は、私自身綿糸の輸出に携わつておらないために、あとの絹、人絹、スフの方面のかたがたの御意見の御発表を待ちたいと思いますが、なお私どものほうの毛のメリヤスについては、アメリカ、カナダ方面に輸出されておるものがあるのであります。これの問題に対して、実は先頃アメリカの或るバイヤーがイギリスから原料を日本に持つて来てそうして委託加工をさせてそれをアメリカに持つて行きたい、こういう問題が起つたのであります。その値段は一ポンド五百五十円前後の値段でありまして、内地としてはその時分は七百円、八百円の相場をしておるのであります。それだけの大きな開きがあるので、これは当然そういう問題は日本の産業にも影響するというので、我々自体も反対の陳情をいたしました。これは紡績と共に反対をいたしまして、これを不許可にして頂くような態度に出たのであります。それは幸いに不許可の態勢になつたわけであります。併しながらバイヤーから言いますれば、イギリスの価格がすでに当然の価格であつて日本の価格は高過ぎるのだというような意見を持つておるのと、アメリカのほうの経済状況が必ずしもいい方向に向つておらないから、そう高くは買えないというような問題が起つたのであります。そういう状況が、現在では相当日本アメリカ向けの輸出の毛のメリヤスが非常に有利な條件がある、それはポンド地域から仕入れてドル地域に輸出されるということと、特に手工業的な製品であるために、割合によく売れるというために幸いに注文が来ておりますが、これに対して非常にバイヤーからいろいろの手段を以て叩かれておるというような現状になつておるわけであります。そういうところから今後の状態も、紡績のほうからはなかなか現在は糸も安くは売つてくれない、併しながらバイヤーから叩かれる。そこにチエツク・プライスがあるためによほどそこで緩和される問題がありますが、これに対して、バイヤーからはいろいろの手段を以て値下げする方式をいろいろと研究されておる。今後はリーベイトの問題なども或る程度要求されるのじやないか。これに対しては飽くまで反対する方向には業界としてはなつておりますけれども、そういう問題が当然起つて来るだろうということを予想されるのであります。そういうところから綿糸の問題についても、それと同じような立場にあることを私ども聞いておりますので、これに対して一応私としての意見を申上げた次第であります。
  59. 古池信三

    理事(古池信三君) ちよつと境野委員に申上げますが、経済安定本部の貿易局の深瀬貿易政策課長が只今出席されましたからお知らせいたします。
  60. 境野清雄

    ○境野清雄君 それで今の問題で、もう一つお聞きしたいことがありますが、これは深瀬君のほうにお伺いしたいと思うのでありますけれども、大体安本の貿易局で最近ポンド過剰問題は相当うるさくやられておる問題でありますが、ポンドの過剰問題に関しまして先般来スターリング・ブロツクに対する輸出制限というようなものをやりまして本日御列席になつておりまする参考人のかたがたの関連産業というものは、みんなそれによつて相当影響があると思うのでありますけれども、これが一昨年の実績というものをスタンダードにした、これは勿論昨年の半分くらいなものしか輸出でき得ないようなことになつておりまして、特に香港なりシンガポールなりに対しましての今の闇ポンドというものを考えて行きますなら、従来とられた政策は是だと思うのでありますけれども、あれが実施されました以後の日本の契約といいますか、輸出実績といいますか、そういうものがスターリング・ブロツクにどんなような状態であの後進んでおるのか、これはすぐ御返事願うことが困難でしたら、一つ統計でもあとでお届け願つても結構なんですが、最近のいわゆるスターリング・ブロツクに対する輸出の情勢というものはどんなふうになつておるか、おわかりだつた一つお知らせ願いたいと思います。
  61. 深瀬晃

    説明員(深瀬晃君) 実は申訳ございませんが、私今日は特需お話だということで、そのほうの支度をして参りまして、今の支度はいたして参りませんが、御承知のように二月十八日に為替の方面から制限措置をいたしまして、実際、物の方面から通産省で制限をいたしましたのが三月三日からでありまして、その間大体契約ができておりませんものですから、実際の契約減というのは三月三日以後になるわけでありますが、それで約二十日くらいしかたつておりませんので、未だはつきりした統計が私どもの手許にはありませんが、若干減つておるかというふうに心得ております。その模様につきましては後ほど資料をお届けいたします。それから今後の見通しにつきましては、只今お話がありましたように非常に窮屈だということでありますが、全体の数字の上から申上げますと、昨年の実績を大体ちよつと下廻つたくらいでありまして、そんなに窮屈だということは言えないかとも思いますが、別の言い方をしますと、昨年の暮あたりから非常に輸出が伸びておつたものでありますから、そういう伸びる勢いから見ますと非常に窮屈だということも言えるかとも思います。それから個々の商社に割当をいたしました関係で、個々の商社の割当が或いは現在の商売の実際にそぐわないということがあり得るかとも考えております。それから今後、この措置につきましては、実は未だはつきりいたしません分は、海外のほうから輸入制限の措置を続々とやつておりまして、その全貌が未だにつかめませんものですから、或いはその出方によりましては今度の措置をどうするかという問題を考えなければならんのじやないかというふうに心得ております。
  62. 境野清雄

    ○境野清雄君 こういう問題は、安本の貿易局でおわかりかどうかわかりませんが、或いは大蔵省に質問するのが当を得ているのかとも思いますが、一応安本のほうにお伺いしたいと思うのは、本年の二月末日で九億二千万ポンドのポンドの過剰手持ができた。先般来聞きますと、外為の委員長なり或いは銀行側からの議論としては、このものはすでに損失を招いた手持外貨になつているのだから、このものは外貨として持つておりましてもそれほどの苦痛がないのだ、こういうような議論が再度あるのでありますが、私どもはこれと全然違う考えを持つておるのです。と申しますことは、今のポンドが二ドル四十セントというようなポンドになつておりますのは最近の問題なんで、九億二千万ポンド総体が、二ドル四十セントで物を売つてつた金じやないのであります。二ドル八十セントのもとのベースのままのやつもある。そういうようなことになると九億二千万ポンドというものの内訳は、現実に輸出をした途端に、言い換えればポンドを取つた途端に、すでに損失がその中に入つておるという金と、それから損失でなくてまるまる取つてある金もあるのじやないか、この内訳は安本の貿易局じやわかりませんか。
  63. 深瀬晃

    説明員(深瀬晃君) 只今お話の趣旨が私ちよつと呑込めないのでありますが、或いはこういうことかとも存じますが、八千万ポンドばかりポンドがありますが、そのポンドは日本と英国との協定によりますれば二ドル八十セントで換算しなければいかんことになつておりますが、実際のポンドの実勢が二ドル三十セントから四十セントというふうな実勢でありまして、実際この溜つた八千万ポンドを使う場合には、ポンド地域に物資がないとか、いろいろの事情から、この金が非常に使えないという点が一点で、この金の価値が非常に少いということと、若し切下げがありました場合には、例えば二ドル三十セントに切下げることになりますと、八十と三十との差、約二割くらいが日本の損失になる、国庫の損失になる、こういう意味お話をしたのじやないかと思いますが、それ以上には私はちよつとその当時お話伺つておりませんので、よくわかりません。
  64. 境野清雄

    ○境野清雄君 私の申上げたのは、言い換えれば二月末日で九億二千万ポンドというものを日本が手持をしている。手持をしているものはすでに二ドル八十セントのスタンダード・ベースから一割五分も損をした二ドル四十セントで品物を売つた金を取つて来ているのだ、こういうことになるからポンドの切下げが、あなたのお話通り万一、二割だというふうになつても、今持つて来ておる外貨は五分きり下がらないのだ。売つたときにもう二ドル四十セントで売つてあるのだ、こういう話だが、二ドル四十セントだけでなく、もとの二ドル八十セントのものも相当あるのじやないか。今まで相当外貨が溜つておるのですから、これは甚だ無理な質問で、その区切りがどこまでは二ドル八十セントで、どこから二ドル五十セントになつた、二ドル四十セントになつたということは無理ですが、そういう何か参考資料が貿易局にありますかどうかと、こういうのです。
  65. 深瀬晃

    説明員(深瀬晃君) 或いはこういうふうなことが御参考になるかと思いますが、毎月々々ポンドの溜つております溜り方が出ておりますが、その表によりましてポンドの実勢が非常に弱くなる以前の溜り方を判定すれば、或いはお話の趣旨に副うかと思いますが、その資料は後ほどお届けいたします。
  66. 境野清雄

    ○境野清雄君 その資料で結構であります。
  67. 古池信三

    理事(古池信三君) よろしうございますか、それでは次に……。
  68. 小林英三

    ○小林英三君 議事進行について……、折角遠方から見えておる参考人ですから、全部一通りつて頂いて、そして我々が希望するように質問するということのほうが能率が上るのじやないですか。
  69. 古池信三

    理事(古池信三君) ではさように計らいます。日本綿スフ織物工業連合会業務部長谷原君の御意見を伺います。
  70. 谷原長生

    参考人(谷原長生君) 先ず綿織物における操短の必要性ということについて簡單に申上げます。私たちのほうで去年の末から今年の初めにかけまして、二十七年度の綿織物の生産計画について相当真劍な勉強をしたのであります。そのときに想定せられた綿織物の量は十二万梱でありました。それが今年の一月二月の実績について見ますと大体十三万梱できております。それで現在この三月に入つてからの情勢で、今年上半期ぐらいのこの綿織物の生産の適当な量というものを計算してみますと、大体十一万梱ぐらいでなかろうかと思います。従いまして、現在の生産は必要量をオーバーしている、結局過剰生産の気味にあるということでありまして、この線を需給のバランスがとれる線まで引下げるような操短の必要ということを痛感しております。  次に操短の結果でありますが、操短した結果、先ずこの操業率が低下することが考えられます。現在この二月の操業率は七八%でありますが、綿紡が十五万梱に操短した結果は大体六六%になるかのように思います。それが更に十三万梱にも操短するようなことになると操業率は五二%になります。このように操業率が低下することと、その次に工費が割高になるのであります。更に糸高、織物安というような傾向が助長せられて来るというように考えます。  次に操短の方法でありますが、現在綿織物業者は全国に八千余あります。その八千余のものはそれぞれの産地別に七十五の組合をこしらえておりますが、その七十五の組合のうち五十三が協同組合で二十二が任意組合になつております。今まで八千余の業者は組合を中心にして団結して自衛の途を講じて来たんでありますが、独禁法や事業者団体法の関係協同組合組織できんものがありまして、そのものが二十二あるんでありますが、現在のような情勢に直面しまして操業短縮などを考慮する上において、現在残されている途は協同組合を結成して、その線で操短をするとかいうようなことが考えられるのですが、併し加入資格の制限その他の制限によりまして協同組合を結成することができません。  次に操短をするについての問題でございますが、一つには協同組合法改正と、もう一つは金融の途を新たに講じねばならないということでございます。先ず協同組合法改正でありますが、今度改正せられようとする法案を見ますと、加入資格は従来の百人より三百に緩和せられ、更に広地域の協同組合経済事業が許されるようなことになり、もう一つには員外理事が認められるようになりまして、従来よりはやや緩和せられるような傾向にありますが、併し綿織物工業の面から見ますと三百名の加入資格は不十分でありまして、これを無限に拡大するか或いは政令その他の別途の措置で大きい企業者が加入できるような措置をとつてもらわなければなりません。もう一つは、綿織物業者には協同組合に加盟しているものと、そのほかに何がしかのアウトサイダーがありまして、操短その他の統制的な仕事をしようという場合に、常にその市場を撹乱するような傾向がありますから、このアウトサイダーを取締れるような項目を一項入れてもらわなければならないと存じます。そうすることは、結局、協同組合のこの業務規定にアウトサイダーを取締るというようなことをきめることを許してもらうかする以外には方法がないかと思います。  次に金融の問題でありますが、いわゆる五大商社或いは十五大商社と言われるような大きい商社と大体六割くらいの取引をしておりますが、その大きい商社は昨年来の不況のため金融難に陥り、そのあおりを喰つて織物製造業者は非常にその金融が逼迫しております。現在の線で大体百二十億ぐらいの金が要るのでありますが、そのうち六十億円ぐらいは新たに融資を仰がねばならないような羽目になつております。この融資を仰ぐにつきましても市中銀行勿論でありますが、特に協同組合の線において商工中金或いは国民金融公庫の線から融資を仰ぎたいと存じておりますが、それにつきましてもやはり協同組合法改正と、それに全業者が組織できるような協同組合法改正をお願いしたいと存じております。
  71. 古池信三

    理事(古池信三君) それでは引続きまして、日本絹人絹織物同業会專務理事沼野敬之助君の御意見をお願いしたいと存じます。
  72. 沼野敬之助

    参考人沼野敬之助君) 簡單に絹人絹織物製造業としての立場から意見を申上げます。  釈迦に説法を申上げるようで甚だ恐縮でございますが、順序としまして絹人絹織物製造業の実態から申上げたいと思います。御承知のように絹人絹織物製造業の大部分が中小企業形態でございまして、産地的に集団生産組織をなしておるものでございます。そこで次のような事柄につきましてお考え願いたいのでございます。一つは原料生産と原料並びに製品の取扱に関する業種は大企業形態が主でございます。我我絹人絹織物製造業者はその生産流通機構の中間に介在しまして、同様の重要性を持つておるということでございます。それから三番目には、併し中小企業形態でありまするから、経営の堅実性という点におきましては遺憾ながら相当劣るところがあるという点でございます。三番目としまして、そこで産地的に集団生産組織を形成しておつて、これに頼つて経営しているという形をとつているのでございます。言葉を換えましたならば産地を繁栄させるということによつてその中の各個の工場が繁栄して行く。産地の繁栄なくして個々工場の繁栄なしと言つてもいいくらいの形をとつているのでございます。こういうところから協同組合法というものが非常に私どもの産業にとりましては重要性がある次第であります。勿論協同組合を現に結成しておりまする状態におきまして、産地一丸となつて協同組合を結成しているものもございますし、或いは又、そのうちの幾人かが集まつて一つの目的を持つて協同組合を形成しているというものもございますが、前に述べましたような性格から、特に私どもは産地一体となつ協同組合というものに重きをおいて考えている次第でございます。それにつきまして、今回御心配にあずかつております協同組合法改正につきまして、大体承わりましたところによりまするというと、我々が日頃から要望して来ました事項を相当にお考え下さるような原案になつているようでございまするし、何とかしてこれが通りまするようにお願いいたしたいのでございまするが、更にこれに加えまして、先ほど綿関係のほうからお話がありましたような資格拡大につきましての問題であります。私どものほうにも三百人以上の人数を持ちながら、やはり産地的に集団生産をしているというものが相当ございまするし、これらをどうしても除外しなければならんということは産地活動相当の苦しさを覚えるわけであります。こういう点につきましては特に御配慮を願いたいと思います。  協同組合法改正につきましては、なお、これに加えましていろいろとお願いいたさなければならない点もございますのですが、この改正は私どもといたしましては、できるだけ早く御配慮願いたいということもありまするので、更に加えましてのお願いにつきましては、又別の途で御考慮を願われたいというふうに考えております。  その問題としましては、第一に生産調節に関する問題でございます。先ほどもお話がございましたが、よく似たような問題もございまして、目下のような状態におきまして、私ども絹人絹織物業全般といたしまして、設備が現に生産さるべき原料関係と比較しまして相当過剰になつております。大体只今のところ、標準織機に換算しまして二十万台前後の設備を持つております。そして現在の生糸、人絹系、その他これに交織すべきものを多少考慮いたしましても、それらの原料糸をこなしますのには、十三万数千台からせいぜい十五万台あれば足りるという状態でございます。あと過剰の状態になつているのであります。そのためにお互いに相当不当な競争も止むを得ずやるというようなわけでございます。これを正常な経営状態に持つて行くためには、何とかお互い自主的に制限し合うというようなことがあればいいのでございますが、なかなか中小企業形態で数多い業者のことでございますから、容易でないのでございます。でき得べくんば協同組合法改正によりまして、こういうふうなことも時に応じてなし得るということが望ましいのでございますが、それまでお願いすることは、協同組合法改正につきまして相当困難であるというようなことでありましたならば、これを生産調節というようなことで、狭い範囲でなくて、更にほかの要望をも加えましたようなことで、何か特別法を御制定願つて、業界の要望のみによるということではなくして、大きく国として必要なときには生産調節させることができるというような仕組にできないものか、こういうことをお願いしたいのでございます。で、生産調節のみならず、更にこういうことも附加わつたようなふうにお願いできないかという一つの問題としまして、私どものほうで原料として使つておりまする生糸、人絹糸、この二つの種類のものに例をとつて見ましても、生糸につきましては、お陰様で繭糸価格安定法を前に御制定下さいまして、まだ十分の効果を挙げ得たとは言えないまでも、一応あの線で運用をうまくして頂きましたならば、安定の筋が立つものとしまして、業界はこれを非常に有難く思つておりまするが、人絹糸につきましては御承知のごとく、特に昨年来非常な変動がございまして、さなきだに経営不健全な中小企業形態の絹人絹織物同業者が非常な苦痛を嘗めた次第でございます。絹、人絹共に、つまり人絹糸につきましても、生糸と同様、或いは似たような方法によりまして、非常な暴騰並びに非常な低落を防ぐことができますような措置を講ずることができますように、前申しました特別法でやつて頂けるようにお願いできまいかということを考えている次第でございます。  更に、これは協同組合法改正並びに今申しました特別法をお考え願えないかという問題とちよつと離れた問題でございますが、金融問題につきまして一言お願い申上げたいと思います。これにつきましては、私時間がどうかと思いましたので、ちよつと印刷しましたものを持つて参りましたわけでございます。ちよつとその前半だけでも読み上げてみますと、「絹人絹織物製造業に対する金融について。福井の震災、両毛の水害、八王子の戰災等の復旧資金は、復金融資の中途打切りのため復興計画に齟齬を来たし、又各地の戰後における設備新増設においても設備資金十分ならず、止むなく市中銀行その他よりの運転資金も大郷分設備復旧資金に充当した結果、運転資金は圧縮され、これに加えて昨年中において別紙のごとく五十六億円に上る資金の枯渇を来たし、今や設備と工員を有して運転資金なき状態を呈するに至つたのであります。これが打開の一途は、従前の運転資金の固定化したものを長期低利化し、新たに約五十億の運転資金の融資を受けることにありと考えられます。右実情御賢察の上何とぞ格別の御高配賜わりたくお願いいたします。」というわけでございます。  で、先般来新聞紙上報するところによりまして、こういつた問題につきまして相当御配慮を願つておりますことを承知いたしまして、非常に有難く思う次第でございます。なお、それにつきまして、いろいろと政府資金を廻して預託して頂くとがというような方法によりまして資金面を御心配願つておりまするが、借りる借り方としましてなかなか借りにくい状態であります。その借り方を成るたけ借りやすくするような御配慮もお願いしたいのであります。  第一に不動産担保の金融につきまして、これは長期低利に融資を固定化して頂きたいということにつきましても問題になるわけでございまするが、なかなか現状としまして、不動産の担保で融資してもらうということは容易じやないのでございます。それができましても、非常に率惡くしかお願いできない。それから改めて運転資金を御心配をお願いするとしましても、これは製品担保なり、或いは又製品を倉庫に入れまして倉庫証券担保で融資をお願いするという手段をとらなければならないと思いまするが、製品担保にしましてもなかなか割よくとつて頂けない。それから又倉庫証券担保で融資して頂くにしましても、目下のところ原料糸につきましては、倉庫証券担保融資につきまして日銀の再割ができますが、製品につきましては再割をして頂くことができない。そこで日銀の再割できる範囲に絹人絹織物を追加御指定願うというようなこともお願いしなきやならん問題でございます。  この震災、水害その他によりまして非常な苦しみを受けた業者の中には、不動産も担保に入つているという状態のものも相当ございまするし、或いは又経営状態が非常に小さくつて、結局は信用借りをしなぎやならんという零細に近い企業相当数あるのでございます。これらにつきまして、かねて御配慮願いました信用保険法によりましてその恩恵にあずかつておるという形になつておりまするのでございまするが、現実にはその利用がなかなか容易でないのでございます。市中銀行から借りるということにつきまして、信用保険法は相当嫌われているという形を呈しているように存じます。これは、借りるほうの信用がまだ現状では更に足りないという状態と考えられるわけでございまするが、つきましてはこれは実現困難ということは重々わかりまするが、政府補償七五%、この線を更にもう少し引上げて頂くとか、或いは又保険料の八厘一毛というものを下げて頂くとか、何かここに措置をして頂きまして、信用借りによつて信用保険法を利用した借り方を十分活用できますようにお願いいたしたいと存ずる次第でございます。  以上でございます。
  73. 境野清雄

    ○境野清雄君 質問を私のほうからする前に、先般大蔵省から、新聞で見たのでありますけれども、百五十億の中小企業融資をするということが出ておりますし、私どももそのお話を現実に聞いておりますが、百五十億のものに対して、どういうような方途によつてこれを流すのか、この点一つ中小企業庁の金融課長が見えておりますから、おわかりでしたら一つお聞きしたいと思います。
  74. 古池信三

    理事(古池信三君) 松尾振興部長から……。
  75. 松尾金蔵

    政府委員(松尾金蔵君) まだその内訳につきまして金融機関別にどうというところまでははつきりとした計算はできていないのであります。我々のほうから申しますれば、特に御承知のように中小企業金融の関係で、商工中金が金融債の、商工債券の引受の枠として非常に大きな期待と役割を従来果しておりました運用部資金の来年度の金融債引受の枠が、現在の計画では一応ゼロになつております。これを埋める意味におきましても、相当額は、できるだけ大きな額は商工中金にも又その他の中小企業の金融機関にも割振つてもらいたいということを大蔵省と今話合いをしているわけであります。早急に、今月中ぐらいにはその内訳も大体きめるように大蔵省と話をしたいと、この程度の段階でございます。
  76. 境野清雄

    ○境野清雄君 中小企業庁としての、百五十億の配分に対する中小企業庁の案というようなものもありましようけれども、又中小企業庁自体が大蔵省へ要望しておるという内訳のものはおわかりになりませんか。
  77. 松尾金蔵

    政府委員(松尾金蔵君) 具体的に金額で、ここでこういう数字を以て折衝しておるということを申上げるような段階ではまだございませんので、ただ百五十億云々の問題が起ります以前に、はつきりと大蔵省と話合いと申しますか、話合いの上で、すでに国会でも通産大臣からお話申上げましたのは、商工中金に対して少くも二十億、当面二十億という預託金の要求は……要求と申しますか、実現については、百五十億の問題が起る以前に大体話合いができておつたのであります。今度の事態に対して更にどういう数字を以てという点は、もう少し話合いをしてみなければはつきり申上げられない段階でございます。
  78. 境野清雄

    ○境野清雄君 勿論中小企業庁自体は十二分に御承知だと思いますが、大体商工中金に対しての二十億というようなものも、先般第一回九億出た。九億出たやつを私のほうで逆に見ますと、そのうち二億四千万円はルース台風の特別資金として出ておるのを引揚げられる。併せて五億四百万円というものは農林中金に返してしまう。そうすると、総計して七億四千四百万円というものを返却してしまうので、政府は体裁のいいことを言つて九億も出したと言うが——その中で使える金は二億弱きりない。又百五十億出したら、我々の知つておる範囲でも、日銀へ十三億円か返さなくちやならんのを、期日を今まで三回も四回も延ばしておるというようなことで、折角百五十億出す、そのうち商工中金に五十億廻つたと思つたら、現実使えるのは二十億きりないというような不手際のないように、特に中小企業庁から大蔵省へ折衝するときに腰を強くやつて頂きたい、これを強く要望いたしておきます。合せて百五十億のうち、今沼野さんからもお話がありました絹人絹織物業界が今日非常に疲弊し尽しておることは、これは今繊維局長さんお見えですが、局長も十分承知しておられるところであります。私どもがちよつと聞いたところによりますと、百五十億の中小企業への融資のうち、絹人絹部門と申しますか、いわゆる繊維関係に五十億くらいは充当されるのだろうというようなことを、私は聞いておるのでありますけれども、これに対して繊維局長のほうでおわかりになつておる点、或いは繊維局長のほうから、このくらい要望しておるのだというような点がおわかりだつたら、一つお答え願いたいと思います。
  79. 記内角一

    政府委員(記内角一君) 中小企業のほうは、中小企業庁のほうで一括して、まとめて要望いたしておりますのでございますが、それ以外の面につきましては、今のところ具体的な数字を挙げて要望するというところまで至つておりませんで、やはり大所のところでケース・バイ・ケースにできるだけ善処するように話合いをいたしておる次第でございます。
  80. 境野清雄

    ○境野清雄君 そうしますと、繊維局としては、一月以来全国の絹人絹の機業地が相当疲弊しておりまして、これに対しては大臣も一度行き、次官も局長も皆さんお出かけになつて実情を調査をしていて、十二分に御承知のことと思うのでありますけれども、それに対しては、今の百五十億のものは商工中金へ廻つた上でというようなことですが、私どもが承知しておるところでは、大体商工中金は廻された金の二三%乃至二四%というものを中小企業の繊維業者に廻しておるというのが過去の実績のように私は聞いておるのでありますが、これをこの際一つ、そういうものの割当が商工中金へ行きましたときに、御視察になつておわかりになつておるような現状でありますので、私は繊維局として従来の二三%なり二四%なりというものを、もつと拡大せられて、三〇%くらいは、今の問題である繊維部門へ廻してくれというようなことを、商工中金へ、お差支えなかつたら希望條項として私どもは出して頂きたいというようなふうに考えておりますが、繊維局長として、それに対してはどんなお考えですか。
  81. 記内角一

    政府委員(記内角一君) お話通り、現在の貸出の残高から見ますと、二十数%というふうになつておりますが、我々最近の実情から見まして、中小企業いずれも困つておるとは思いますが、特に繊維関係が今日苦境にもありますので、新たに出ます資金ばかりでなくて、絶えず、商工中金は回收すると同時に、新規の貸付もやつておりますから、そういう新規の貸出については、更により以上の資金を出してもらいたい。割当は、商工中金に対する政府資金がどのくらいになるかわかりませんけれども、我々としては、それ以上に一般回收からもやつてもらいたいという希望を持つておるのであります。
  82. 境野清雄

    ○境野清雄君 今、沼野さんから縷々絹人絹に対する中小企業の疲弊しておるところの御報告があつたのですが、これは勿論生産調節の問題、或いは過剰織機の問題というようなものも解決しなくちやならんし、それから原料糸としての生糸と人絹糸というような問題に関して、生糸はまあ一応安定法ができたのでというようなお話でありましたが、併せて今のお話を聞きますと、人絹糸に対しても何か特別法を出してくれないかというようなお考えでありますが、私は化学繊維であるという建前から行きますと、生糸と同じようにこれに一応特別法を出してやるということには、相当私は難点がありやしないか、でき得ればこの人絹糸の糸価安定法案というものでも出されて、五十億くらいの金を出してスフと人絹糸をそういうような面に上げてもらうというようなことは希望するのですが、これはなかなか化学繊維であるがために、生糸よりもいろいろなむずかしい問題が出て来る。こういうような点に関して、私のほうでは、一方には沼野さんに絹人絹織物同業会としての案でもありましたら御提示を願いたい。又なかつたら、この問題は業者として至急一つお考えを願いたいと思うのであります。と同時に、一つ繊維局に対しましては、特別法を作るということについては我々も大いに研究したいと思うのでありますけれども、相当これは時間的なズレができて参りまして、再度私が委員会で申上げております通り、この過剰織機というものが、どちらにしても五万台乃至七万台というものはそこに生じて来る。生じて来るということは、例えば今のポンド過剰問題を何らかの問題によつて解決したいというような場面が出て来まして、スターリング・ブロツクへ絹人絹織物が相当量輸出せられるというような場合を想定いたした場合には、化繊六社は横の連絡をとつて吊上げに出て来ることは火を見るより明らかでありまして、もう過剰織機というものがある以上は、片方、六社で横の連絡をとり得るということは、再度痛い目を見て、むしろ言い換えれば、私は今日中小企業の絹人絹織物の産地というものが疲弊し尽した原動力は、化繊会社にあるというふうに言つても過言ではないであろうというような状態になつておりますので、是非繊維局自体として、化繊会社を抑えると言いますか、化繊会社自体に対して相当な横暴をせしめないような方策を今までおとりになつてつたか、或いはこれからどういう方策をおとりになるお考えがあるか、その点をお伺いいたしたいと思います。
  83. 記内角一

    政府委員(記内角一君) 過去において、統制時代におきましては、御承知のように、統制価格その他で相当調整されて参りましたが、いわゆる自由主義の空気が瀰漫しております最中に、その統制が解除されましてからは、この点については大体政府はタツチしない、業界の自然の動きに待つというふうなことを建前にいたしておつたわけでございます。併しそのままにおきまして市価の暴落、暴騰というふうなことを経験しまして、今日も疲弊を来たしておるようでございます。單に全くの自由放任ということではなかなか業界としても動きにくいというようなことを体験として感得しておるように窺えるわけであります。最近の化繊会社の首脳部あたりの動きを見ましても、そういう点については十分に関心を持つておるように窺えるのであります。我々といたしましても、單に価格の暴落の際に何らかの措置を講ずるということばかりでなくて、逆の場合におきましても又それぞれ適当な行政的措置はとつて参りたいというふうに考えております。ただ基本的なラインといたしまして、自由主義経済を建前といたしておりまする現在において、法律を以てとやかくするというところまで行つたほうがいいかどうかということについては非常に重大な問題を来たしておりますので、目下のところ具体的な考えは持つておらないという実情でございます。
  84. 境野清雄

    ○境野清雄君 それに関して何かいわゆる糸価の安定策と申しますか、或いは商社と機業地の関連性に対して、何か一つの解決点を繊維局自体として先般大阪の商社や何かの会合において見出し得たというような話を私は聞いておるのでありますが、内容的にはさつぱり私はまだ知つておらないというような問題でありますけれども、これに対して繊維局長のほうに、大阪で商社、この機業地の代表並びに化繊業界の代表の諸君がお集まりになつて、再度会議をした結果というものが、繊維局へ通告しておられるのかどうか。それによつて相当解決の曙光が見出されたのかどうか。その辺おわかりでしたらお聞かせ願いたいと思います。
  85. 記内角一

    政府委員(記内角一君) 糸価の安定の問題は、やはり生産需給の調整というものが基本になると思うのであります。この点については化繊会社に対しまして減産の、事実上懇談的に減産するようにという話合いを進めました結果、人絹、スフ、いずれも漸次減産に向いつつあるということは御承知の通りでありますが、これのまあ裏打と申しますか、補助的な手段をいたしまして、例えば特定の人絹会社と商社と織布業者との間の連繋というものとが、或いは人絹会社のいわゆる販売価格の建値制、建値制とまでは行かなくても、或る程度、建値を一定にするというふうな面等について、いろいろと検討を加え、又できるものから実行に移すという段階で徐々に手を打ちつつあるわけであります。ただこういう問題でありますので、事柄の性質上、こうするときめて、すぐその通りに動くとか、或いはこういうふうにやるのだというふうにきめて、お互いに協定をするというようなことは許されない面もありますし、何らか適切な考え方をお互いに主なラインを見付け合つて、漸次その方向に移行して行くという方向で進んでおるというふうに我々は理解しておるような次第であります。なお、最近におきましても関係業者の集まりを持つて、この点については更に真劍に検討を加えるというような動きになつておるように承知いたしておるような次第であります。
  86. 境野清雄

    ○境野清雄君 一方的に考えれば、化繊会社の操短というもの自体は、化繊会社自体はそれによつて相当金繰りその他の面で、在庫や何かもたくさん滞貨ができなくて非常に結構だろうと思いますが、片方、現存織機というものが二十万台からある。そうして供給原料としては人絹糸が内地需要が一億五千万ポンド、スフが一億二千五百万ポンド、それから生糸が十万俵、こういうような供給原料というものと、いずれにしてもこの生産設備、織機の台数のアンバランスで、六万台、七万台もあるというような状態にある絹・人絹業界というものは、逆に見ますならば、今化繊会社の操短をすると、このアンバランスが一層大きくなるのだというようなことになるので、もう一歩繊維局として手の打ち方を先まで打つて頂きまして、それは独禁法或いは事業者団体法というようなものに牴触する部面があるかとも思われますが、一応協同組合というものを主体にして一応操短をする、いわゆる人絹織機というもののほうまで操短をいたしまして操短したところの稼動織機に対してはこの原料の確保をしてやる、言い換えれば原料の裏付があれば、他のものは休めという命令を出しても、私は休めるだろうと思う。併しそうでなく、今のように化繊会社のほうだけ一方的に操短をいたしますと、このアンバランスの差がだんだんだんだん開いて行つてしまうというようなことも考えられますので、一つ繊維局といたしましてもその点ででき得る限り急速に何らかの手を打つて頂きたい。それは独禁法なり事業者団体法がありまして、なかなか打つべき手もない、又は勧告価格くらいなものでやつて行くというのが従来の繊維局のお考えでしようが、勧告価格というものは前に何度も大失敗をしているので、これはもうやればやるほど「あら」が出て、まずい結果になることはもうすでに繊維局長、百も御承知のことであろうと思いますが、そういうような点で、何とかこのアンバランスになつておりますものを、生産調節を化繊会社のほう一方だけでなく、絹人絹同業会を通じて、この業界にも何らかの手で牴触しない範囲で、生産調節ができ得るというような点はお考えになつておりますか。或いはこういうような手によつてそれが解決するというようなお考えがあるかどうか、お伺いしたいと思います。
  87. 記内角一

    政府委員(記内角一君) 当然原料方面で減ずれば、それを使用加工する方面が野放しになつておれば行詰つて来るのは当然でございますので、我々早くから各関係組合等に対しまして、御承知の通り事業者団体法で生産協定というようなことはできないことになつておりますが、協同組合であれば或る程度のことはできることにもなつておりますので、このことを勧奨して参つております。ただ現実の問題といたしましてこの加入脱退が自由になつておると、自然この問題が十分な効果を挙げ得ないというようなことで、なかなかそこまでの踏ん切りが業界としてつきにくいという点もあるようでありますが、一面には先ほど申上げました人絹会社、商社、織布業者の間の関連性というふうなものを進めると同時に、今申上げたような單独協同組合で減産決議、操短決議をやるというようなことで実行させて参りたいというので、しばしば、話合いを進めておるような事情でございます。
  88. 境野清雄

    ○境野清雄君 先ほど来協同組合の問題が大変出たようでありますけれど、大体協同組合の問題に対して、いろいろ御要望の点は私ども同感なんでありますが、ただどなたも触れなかつたようでありますが、事業協同組合に対しまして、組合員の預金を受入れさせるということは私は非常にこれは必要な問題じやないか。言い換えるならば、今日協同組合というものが弱体化しておるということは、一つの例を挙げまするなら、私はこの絹、人絹の問題に関しては消費税の四割を一割残しておいたらよかつたんじやないかということを、あの当時非常に私は主張したのでありますけれど、同僚の各位から絶対反対を食いまして、これはやめておつたのでありますが、いわゆる一割を持つておりましたならば協同組合というものの強化策には非常になつたのじやないかというような点から行きましても、今日いろいろの面で協同組合が制約を受けていることは事実なんでありまして、そういうような制約を受けているところを、何とかして強化させないことには皆様がたが協同組合を今後大きく盛り立てて行こうと思つても、なかなかこれは困難じやないかというような点から行きましても、私は預金というようなもので、その組合に預金が相当できて来れば、それに引張られてというようなことではないでしようが、一つ組合の強化策にはなるのじやないか。    〔理事古池信三君退席、理事栗山良夫君委員長席に着く〕 たまたまどなたからも、預金の受入れというような問題が出ておらなかつたので、私はもう前々からこの主張をしておりますので、今度の協同組合法の一部改正に際しましても、私はこの点は強く要望し、でき得れば委員会の同志の諸君にお諮りしまして、これは修正まで持つて行きたいというような私は強い意向を持つておるのでありますけれども、それに対して一つメリヤスのほう並びに綿スフ織物工業会、それから絹、人絹織物同業会の代表のかたがたが来ておりますので、私の今申上げました預金の受入という問題に対して、簡單で結構でございますが、そういうことは賛成でき得るものか、或いは反対するべきものかということを、一つお聞かせ願いたいと思います。
  89. 沼野敬之助

    参考人沼野敬之助君) 実は私、先ほどそのことについて申上げたいと思つたんでございますが、その前に私から申上げましたこの人絹糸価格の安定、生産調節、こういうことにつきまして、今度の協同組合法改正になりまして、全国的の協同組合連合会もいろいろと権限が拡大されましたならば、これが母体になりまして、化繊会社方面との折衝におきましても、公取のほうの取締を受けずに、いろいろと仕事ができるような面ができるんじやないかと、そういう意味から、できるだけ早く協同組合法改正につきまして、御尽力願いたいと、こういう念願から、この預金事業につきまして一応申上げるのを控えました次第でございます。実は私どものほうの関係しておりまする或る一部の協同組合におきましては、是非この預金事業を加えさして頂きたいという熱望を持つている組合があるのでございます。不賛成どころじやなくて、是非これをお願いしたいという次第でございますが、ただできるだけ早くこの協同組合法の御改正を願いまして、それを抜きにしても先ず以て自分たちが仕事をする緊急の面を先にやりたいという考えから、それをわざと申上げずに残しておいた次第でございます。その点を一つ御了承願いたいと思います。
  90. 谷原長生

    参考人(谷原長生君) 協同組合法改正について、特に深い関心を持つておるのは、この加入資格の緩和のことでございまして、これさえ実現して頂ければ、ほかの問題はおいおい解決して頂けるだろうというような実は感じを持つておるのでございます。従いまして、この預金の受入の項目を新たに付加えて頂くことは誠に結構でございます。
  91. 村上音治

    参考人(村上音治君) 私も只今預金受入については賛成でありますが、これは全中協でもいろいろとこの問題についてはたびたび研究を重ねておつた次第でありますが、これに対して賛成する理由は、これからの組合事業は、金融を最も重要視しなければならない。金融を重要視しなかつたら、組合の強化はないというようなふうに考えておりますので、その点から金融の斡旋、金融の措置をどうするかという問題は、手許に資金がなければ非常に円滑な金融の操作ができ難い。又よそから大口の金融を受ける際にも、手許に或る程度の預金があつて、それが見返として出発することが最も信用度を増すものである。協同組合としての金融事業が一番困るのは責任体制がない、又組合の役員がたびたび変更されて一貫した方針が定めにくいというようなところが、組合事業として今日非常に支障がある、又信用を受けられない実情がそういうところから来ておるというようなふうにも考えられますので、そういう点を是正するためにも、組合として預金の受入をして、或る程度組合としての手持資金を持ち、又それによつて、その裏付けによつて中金から或いはその他の市中銀行からの借入れをするというまで進めるという動力にもなりますので、最も組合として、協同組合預金受入れについては、私どもは賛成しておるものであります。
  92. 境野清雄

    ○境野清雄君 中小企業庁のほうにお伺いしたいのですが、大体協同組合相当経歴を持つて一般的によく周知されており、協同組合自体もかなり効果を挙げておると思うのでありますけれども、それにしましても協同組合自体の中に、相当私どもは中小企業庁としてもう少し考えてもらいたい、言い換えれば中小企業庁からもう少し再編成をやつたらどうかというような時期に来ておるのじやないか。一つの例としましては、五百人も六百人もおつて一つ中小企業協同組合作つておる、こういうような問題がある。或いは又陳情の面を見ますと、いわゆる商工中金への金の借入れというものに対して、理事なら理事の連帶責任が困るのだというような問題がときどき陳情としても出て来る、こういうようなものは、言い換えれば、私どもは中小企業協同組合を作つたときの本質に甚だ相反するのじやないか、こういうふうに思つておりますので、商工中金を今後拡大強化しなくちやならん、そういうようなことによりまして、中小企業協同組合というようなものによつて日本経済根本的再建をやろうというような考えで発足をしたものですから、もうそろそろ一つでき上つておる協同組合というものに対して、中小企業庁自体が再検討せられて、一つ警告を発するなり、それぞれの工業組合なり同業会なりに対して、こういう面にもう少し積極的に出て頂きたい、こういうふうに私は強く要望したいと思うのでありますけれども、それに対して、中小企業庁自体でどんなお考えであるか、一つお話を願いたいと思います。
  93. 松尾金蔵

    政府委員(松尾金蔵君) 只今お話通りに、成るほど現在中小企業協同組合は数においてはだんだん殖えて参つております。全中小企業の数の中でどれくらい協同組合組織化されておりますか、我々の見当では恐らく六、七割見当は一応協同組合の形で組織化されておるのではないかと思うのでありますが、併し今、只今御指摘のように、それだけの数の協同組合が本当に何と申しますか、本来の協同組合精神で筋金の入つた運営、活動をしておるかという点につきましては、私どももいろいろな事例から見まして、決して満足な状態ではないと思つております。ただこれに対しまして、それでは政府の、再編成をするというような特別な強力な手というものは、実は直接的な強力な手というものは、現在の法制上或いは運営上非常に困難であります。むしろ例えば現在まででも、私どもの、いわば指導方針といたしましてやつておる点でありますが、協同組合一の運営指導方針について模範的なものを作りますほかに、現在運営されております協同組合の中で、いわばモデルとなるような模範的なものをそれぞれ選び出しまして、この模範的なモデル組合に右へならえをするような方法で指導して行くことが、一つの具体的な方法としては有力な方法ではないかと思います。本年度から、すでに若干そういう点にも手を着けております。今後もそういう方向に進みたいと思つております。
  94. 境野清雄

    ○境野清雄君 最後に私は一つお尋ねしたいのですが、大体そういう大企業から中小企業への金の流れが非常に鈍いという問題を兵庫県のほうからお出しになられました。これは私は同じような問題が商工中金にあるのじやないか、言い換えるならば資金源を廻りましても、商工中金自体が今後地方へその金を流すというときに、非常に時期的なズレがあり過ぎる。言い換えれば四月なら四月に資金源を商工中金に出しましても、そのものが現実に地方へ流れるということは、時期的に六月になつたり七月になつたりしておるということは、先般私どもが福井、新潟その他の地区を見ましたときに、もうすでに商工中金に対して九億の金が出ておりまして、なお且つ棚上げをするものは棚上げをして、一応返すべき金の十三億も四月以降に押しこくつたというようなことにもかかわらず、新潟県或いは福井県、石川県あたりに行きますと、逆に商工中金が資金源を抑えにかかつておる。従来出しておる金に対しましても、担保がなければあとの手形を割引しないでおくというようなことを再度やつておりますので、これでは枯渇しておる中小企業者自体が新聞を見て、百五十億の金が俺たちのところに流れて来ると思つたのに、現実に流れて来るのは三月も四月もあとだということでは、折角中小企業庁その他のお骨折を願つて資金源を獲得したにもかかわらず、その時期的なズレが大きくなるために、死ななくつてもいい中小企業が死んでしまうというようなことが、今後多々あると思いますので、是非一つ中小企業庁からこの点に関しては嚴重に商工中金に一つ伝達して頂きたい。併せて、できまするならば大蔵省のほうから国民金融公庫に向つても、このような要望を私はやつて頂きたいと、これを強く要望いたしまして、私の質問を打切りたいと思います。
  95. 栗山良夫

    理事(栗山良夫君) 私からちよつと繊維局長とそれから振興部長にお尋ねをいたしたいと思います。実は三月の五日に、紡績百六社に対して四〇%、ゴム四百社に対して三〇%の操短が行われたのでありますが、こういう工合になりましたことは、通産省自体で、業界の事態を憂慮されて、自発的にとられた措置でありますか。或いは又、業界のほうからの要望に従つて行われた措置でありますか。この点をお伺いします。
  96. 記内角一

    政府委員(記内角一君) ゴムの関係は私詳しくは存じませんが、繊維につきましては私どものほうから自発的に通牒を出した次第であります。
  97. 栗山良夫

    理事(栗山良夫君) それでは操短ということは、まあ一種の国の方針による生産制限でありますが、こういうような生産制限、延いては価格の安定維持、そういうものを目的にするわけですけれども、こういうようなことはいわゆる公正な取引を阻害し、或いは又消費者に不利益をもたらすという精神から、独禁法というものがあるわけでありますが、この独禁法との関係はどういう工合にお考えになつておりますか。
  98. 記内角一

    政府委員(記内角一君) 独禁法は、業者の協定による独占的な行為を行うということを禁止しておるわけでございますが、業者自身がそれぞれの見込、思惑或いは計画方針に基いて生産を増減するということは、独禁法も禁止するところではないわけであります。で、私どもといたしましては原料面が主として有利であるアメリカ綿、即ちドル資金を以て買わなければならない綿花でありますし、それが現在の需給から異常に消費されるということは、将来において端境期に綿花が足りなくなるということも憂慮いたされます。当面、差当つて需給のアンバランスによつて、価格は相当暴落いたしておりますが、これは端境期になると逆に綿糸、綿布の出廻り不足から価格が暴騰するということも憂慮されますので、それやこれやを考え合せまして、月十五万梱に生産調節をしたらどうかという勧告をいたしました。業者がその勧告に応ずるか否かは業者の自由でありますが、我々の意向に同調されて減産を実行するということになりますれば、これは独禁法には牴触いたさないというふうに考えておるわけでございます。
  99. 栗山良夫

    理事(栗山良夫君) まあ大体お考えはわかりましたが、そうしますと今繊維局長のようなお考えの下に進むといたしましても、経済活動の自由を妨げる、或いは又この政府のとつた措置に対して従わなかつたものに対しましては、制裁の内容もあつたようでありますが、そういうようなことをせられる法的な根拠はどこに求めておられるのか、その点について伺いたい。
  100. 記内角一

    政府委員(記内角一君) 勧告いたしましたが、それに従うかどうかは業者の自由でございます。ただ、従わなかつた場合におきましては、今後におきまする米綿買付資金の割当に際しまして、或る方式の下に、その削減を加えるというふうにいたしておるわけであります。これは全く法的な関係はございませんで、專ら外貨資金の割当の面の操作に待つておるわけであります。勿論有利不利の面はありますけれども、業者個人が自分の意思で以て更に増産したほうが有利であるという考え方をいたしますれば、例えばパキスタン綿というような、いわゆるポンド資金で以て綿花を買付けることは自由になつておりまするので、これらを買付けられて、生産を増加するということは一応差支えないことになつております。
  101. 栗山良夫

    理事(栗山良夫君) もう少し議論の余地のあるところでありましようが、これはまあ別にしまして、実は独禁法の精神というのは、消費者の利益を守る、いわゆる業界の独占によつて消費者に好ましからざる影響の来たることを守ろうというのが精神であります。そこで只今繊維局長お話ですと、綿の設備と需給バランスがとれないために、只今は価格が低落をしておる。併し端境期になれば暴騰するであろう。従つて、そういうふうなものを調節するためにとつた思いやりの措置である、こういう工合におつしやつたわけでありますが、併しそれはやはり消費者の意思というものが、そういう工合であるならば、反映されなければならんのでありまして、通産省がこれを行政的に上から独断的に行われるということは、ちよつと工合が惡いのじやないかと思うのでありますが、そういうような国民の、いわゆる消費者の各階層の意見を酌まれるというような措置はおとりになつたのか。或いはさようなことは勿論必要がない、こういう工合にお考えになつてとられなかつたのか、その辺の経緯をお伺いしたいと思います。
  102. 記内角一

    政府委員(記内角一君) こういう問題を一々各方面に了解をつけることは、或いは当を得たものかとも思われるのでありますが、逆にこういうことを相談いたしておりまする間に、何と申しますか、計画を潜ると申しますか、いち早くその裏をかいて行くというようなことも相当憂慮せられるわけであります。又他方これを下手にやりますというと、忽ち輸出方面の、御承知の通り繊維は日本の輸出の大宗でありますが、輸出価格の問題にも直接に響いて参る。或いは又すでに輸出されるべく契約も終つて、手続準備中のものは、又昨年のようにキヤンセルされるというふうなこともございますので、そういうことをも考え合せまして、迅速に取運んだ次第でありまして、手続としては或いは一般の大衆の意見を聞くというふうなことも必要かとも思いますけれども、その辺は緩急よろしきを考えなければならんかと思われる次第でございます。
  103. 栗山良夫

    理事(栗山良夫君) 次にこの大企業中小企業とに操短の及ぼした影響の点について二、三伺いたいと思います。先ほど通産省の独自の見解の下に行なつたのであるということを言われましたので、それを一〇〇%信頼をいたしまして、そうして質問をいたしたいと思います。通産省としましては、今度の操短は大企業中小企業にかかわらず一律の操短率をとつておられるのでありますが、その考えの裏には経営を可能にするための最低の生産量と申しますか、操業度と申しますか、そういうものは企業の大小にかかわりなく同一である、こういうお考えの下に行われたものと私は考えるのでありますが、実際にそういう工合になつておるものでありましようか、私どもはやはり一定の国民生活をいたして参りまするためにも、税金において最低所得者のところには基礎控除があると同じように、やはり一つ企業経営するためには、ぎりぎり結着のところを考えまする場合に、最低の経営を可能にするための必要生産量というものにはやはり限度があるのじやないか、こういう工合に考えるのでありますが、その点はどういうふうにお考えになつておりますか。
  104. 記内角一

    政府委員(記内角一君) そういうこともございますので、例えば十五万梱を割当てるに際しましても、一月の生産高の一割五分減というふうな一律のやり方でございませんで、現実の生産を……非常に技術的に細かい問題になりますが、二十番手の錘数に換算する、その換算された錘数に応じて配分するというふうな操作をいたしたわけであります。その結果といたしまして、現実の問題といたしましては、各会社に割当てた生産限度というものは、いわゆる十大紡績、在来ありました十大紡績はいずれも二割以上、平均いたしますと十五万梱は一月生産に対しまして約一五%減産ということになるわけでありますが、十大紡績はいずれも二割以上の減産ということに相成つておりまするし、それ以外のいわゆる中小の紡績の減産は、現実に減産をしなければならんというものは僅かに十数社の数字でございまして、中には一月の生産よりも更に余計に生産できるというふうな結果にも相成つておるような次第でございます。従いまして、一律の基礎控除というふうなことまでは考えておりませんが、そういう現実の生産割当の機械的な、或る技術的な操作によりまして、多分に中小企業に有利な生殖限度の割当が行われるという方式を採用いたしておりますような次第であります。
  105. 栗山良夫

    理事(栗山良夫君) そうしますと何ですか、企業の規模に応じて、操業度に段階制を大体とつておると、そういう方針で只今のものが行われておる、こういうことでございますか。
  106. 記内角一

    政府委員(記内角一君) 生産設備の規模に応じて段階を設けるということではございませんで、今申上げたように、現実の生産が、例えば太番手のものを引いております場合には非常に有利になる、或いは細番手のものを引いておる場合には相当不利な立場に立つというふうな関係になつております。かれこれいたしまして、現実の問題としましては中小業者の減産率というものは極めて少いという恰好になつております。
  107. 栗山良夫

    理事(栗山良夫君) 私どもの聞いておるところでは、今度の操短に当つても、いわゆる中小紡績と申しますか、まあ設備で言えばその程度ではいろいろむずかしいでしよう。一万錘がいいとか、一万五千錘がいいとか、或いは五千錘というものがいいのか、程度問題でありますが、その程度以下のものをまあ基準にするために、これは大紡績まで全部一律にして、仮に一万五千なら一万五千錘はどの工場に許す、それから上廻つたものについて操業の制限率を加えて行く、こういうようなことを是非とも願いたいというような意味のことを聞いておるのでありますが、只今の繊維局のお考えでは、さようなことは全然考える余地がない、こういう工合にお考えになつておるものか、或いは只今実施せられた点を考慮せられて、更にそういうような点までも研究をする必要があるのじやないか、こういう工合にお考えになつておるのか、その点を一つ伺つておきたいと思います。それからこの問題について、振興部長中小企業庁として、その点について関心を持たれたことがあるかどうか、或いは何か具体的な御意見を持つておられるかどうか、その点も一つお聞きしておきたいと思います。
  108. 記内角一

    政府委員(記内角一君) その陳情は承わつておりますが、現実の生産実績の面から見ますというと、むしろ今度の割当の分は遙かに有利な立場に立つております。若し一定の率でやるとなりますと、過去の生産実績を超えた生産能力があるものとして割当てるということも如何かということで、目下のところは、むしろそういうふうな考え方をとる、それに対して過去の生産実績に応じた生産能力ということを加味して割当をいたしますというと、却つて不利な結果になるのじやないかというようなことで、我々としては反対の立場をとつておるわけでありますが、併し更に検討は加えて参りたいと考えておるのでございます。
  109. 栗山良夫

    理事(栗山良夫君) ちよつともう一点伺いますが、今繊維局のほうとしましては、先ほどあなたが御説明になつた二十番手の錘数に応じて、生産数量ですかを参考にして割当の度合をきめた、それで中小企業に対しては不利でないと考える、こういう工合におつしやつたわけでありますが、その現実のやり方について新々紡あたりのかたがたは若干異なつ考え方を持つて、今私が質問しておりますような基礎控除的な方式を取られたいという意見が出ておるわけでございます。従つて、通産省にも陳情があつたということを、今局長からお聞きしたわけでありますが、その陳情があつたときにそういう考えを業者に述べられて、そうして完全な了解が付きましたか、或いは意見はやはり分れたままになつておりますか、この点をお伺いしたいと思います。
  110. 記内角一

    政府委員(記内角一君) 意見は分れたままになつております。
  111. 栗山良夫

    理事(栗山良夫君) そうするとですね。業者は毎日仕事をしておる人なんで、その人が中小企業にとつては大変不利だと考える、それから監督官庁である通産省のほうでは現在のほうが有利である、こういうお考えがあつて話が付かないということは、ちよつと私ども了解しかねるのであります。專門家同士でおやりになつたわけですからお伺いいたしかねるわけですが、この点は後日その利害得失について研究された資料を、両者の立場に立つて取りまとめられて、一つこの委員会にお出しを願えないかどうか。
  112. 記内角一

    政府委員(記内角一君) 意見の対立があるということは、その技術的な有利、不利の意見の対立ではなくて、現実の生産能率を採用するか、或いは仮にこの程度の生産ができるものということを前提にして、その分を基礎控除に掛け合わして、生産能率を上げるというふうになるかという点にかかるわけでございます。従いまして、業者の言い分通りに考えれば我々の言い分とは意見が食違うわけでありますが、我我の方針を採用すれば、今やつておりまするやり方と、我々の考えておりまする基礎控除をした場合にどうするかという考え方との間の食違いということは、これは両者とも相一致しておるわけであります。従いまして、業者の側の言い分をそのままとるとすれば業者のほうが有利である、若し我々が基礎控除ということを前提にした場合に、我々が考えるような生産能率を、そのまま現実の生産能率を掛け合わして生産数量を出すという考え方を納得すれば、これは業者が不利なことは業者自身も認めておるわけでございます。従いまして、業者の言い分そのままをとるかどうかということが、意見の食違いになつておるような次第なのでありまして、従いまして技術的にどちらが有利か不利かの意見が分れるということはないわけでございます。ただ、どちらの言い分をはつきりとるかというところに問題の食違いがあるわけでありまして、我々としては、今のところ差当つては、業者の言い分をそのままに受入れることはできないという立場をとつておりますが、併しなお、全体の今後の推移も見まして十分善処いたしたいと考えておる次第であります。
  113. 栗山良夫

    理事(栗山良夫君) 要するに簡單にいえば、中小企業が所有しておる設備に対しては、いつでも一〇〇%稼動し得るような態勢にしておいてくれ、こういうことなんですね。
  114. 記内角一

    政府委員(記内角一君) そういうことなんです。
  115. 栗山良夫

    理事(栗山良夫君) 大体はつきりいえば、操短はそれよりも大きい所でやつてもらいたい。そうして大きい所の基礎数量だけは中小企業と同じようにしておけばいいと、こういう関係ですね、私は一つの理窟はあると思うのですが、振興部長はどうお考えになりますか。
  116. 松尾金蔵

    政府委員(松尾金蔵君) 綿の操短の審議の経過につきましては、中小企業庁としてもよく連絡をしておつたんでありますが、結論的に申しますと、結果的に新々紡……只今中小企業として問題になつております分が結果として不利にならないということで、私どもも技術的な方法として今の方法に賛成をして参つておるような次第であります。
  117. 栗山良夫

    理事(栗山良夫君) 参考人のかたがたに一言お礼を申上げます。お忙しいところを、この委員会只今審議をしておりまする協同組合法の一部改正案につきまして参考人として御意見を伺うためにお願いをいたしましたところ、快く御来院を頂きまして、熱心に我々の調査に御協力を頂きましたことは厚く御礼を申上げるわけであります。同法の改正案につきましては組合員の資格拡大には全中協が疑問を持ち、又繊維関係方面ではこの拡大ですら不十分とするような御意見がございました。又員外理事につきましても全中協は反対の立場を表明せられたのであります。預金業務を追加することにつきましては、いずれも御賛成のようであります。又協同組合のアウトサイダーの統制を繊維関係のほうで御希望の向きがございましたが、以上の諸点につきましては、いずれ法案の審議の過程におきまして各委員からそれぞれ意見も述べられ、そうして改正案の取りまとめに十分反映されることであろうと我々は信ずるのでありまして、問題の要点だけを述べまして、お礼に代える次第であります。
  118. 中島英信

    参考人中島英信君) 今の問題でちよつと申上げたいのですが、全中協で出した文書は結論ではなしに問題点と書いたわけであります。私が、そのうちで、さつきお話した二点については速記録を御覧になるとおわかりになると思いますが、実は若干修正の意見で出したのであります。ですから協同組合の加入資格の問題につきましては、零細企業を圧迫するような形になつては困るけれども、むしろあらゆる角度から考えた場合には必要であると考えられるということを、私の個人の意見として申上げたのであります。それから員外理事の問題も、これも現状では全然員外理事を置けないのであつて、この点はやはり員外理事を置くのが適当であるという見解であります。ですからその点は、出されております文書は結論ということではなしに、ただ問題点となつておりますので、御了承願いたいと思います。
  119. 西村四郎

    参考人(西村四郎君) 只今問題になりましたゴムとか繊維の操短の問題で、いずれそれにつきましては工員の解雇ということの問題が起つて来ると思うのであります。労働基準法によりますと、使用者の責による解雇の場合には予告期間として何日やらなければならん、休業する場合は六割の手当を出さなければならん、政府法律によつてきめられたものであつたならば仕方がありませんが、勧告というあいまいなために、地方ではどんなふうに扱つていいかということが問題になつております。私も地方の審議会の委員をやつておるものですから、その問題が出まして、これは政府のほうから何とか通達があるだろうから、それまで自分たちが取上げても仕方がない問題として投げておる。ですから繊維関係の紡績とか何とかいう大資本を持つておる工場の中では、そういう点が後日に繰延べられまして、楽だと思うのですけれども、御承知の通り神戸のゴム工業というものは、非常に小さな業者が集まつておりますので、解決が遅れますと現実に工員が解雇されて行く、それには政府の命令だからと言つて、一言の下に蹴つてしまう業者もあるし、又休業するために六割の手当を出しておる会社もある。操短というようなものの問題を通産省でお考えになつたときに、当然この問題は考えられておるのじやないかと思うのです。労働省のほうからまだ何の通知もないそうですし、早急に解決して頂かないと地方では非常に困る問題じやないかと思います。こういうふうに考えますので、最後に一言申上げます。
  120. 境野清雄

    ○境野清雄君 別の問題ですが、今日の中小企業問題に関して私のほうから通産次官と大蔵省の銀行局長の出席を要求しておつたのです。特に銀行局長が見えなければ特殊金融課長に出てくれということを要望しておつたのにもかかわらず、通産次官もそれから銀行局長も見えないということでは、今後委員会を運行する上に、要求しておる政府のほうが出て来られない場合には、理由なり何なり最初に述べて頂かんと、甚だ今後の運行上まずいじやないか、こう思いますので、委員長の手許におきまして然るべく一つ政府当局にそういう苦情を申入れて頂きたいと思います。
  121. 栗山良夫

    理事(栗山良夫君) かしこまりました。それから中小企業問題は、この前企業合理化促進法をやりましたときに各委員殆んど全員一致の御意見としまして、この委員会は更に積極的に取上げて解決をして行くということが殆んど附帶條件のようになつておりまするので、今日は委員のかたが非常に少いので、できませんけれども、そういうような方向で残つた会期中やつて行くように、竹中委員長にもお願いしなければならんと思つておりますから、只今の境野委員の御提案はさように取計らいをいたします。
  122. 境野清雄

    ○境野清雄君 よろしくお願いをいたします。
  123. 栗山良夫

    理事(栗山良夫君) では本日はこれにて散会をいたします。    午後五時二十一分散会