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参考人(福田勝治君) 二十七年度の
需給想定について御
説明申上げます。これは
只今いろいろ
お話ありました
通り、
電気事業者で策定したものでありまして、その間
関係御当局ともいろいろ
連絡申上げた次第であります。なお
説明に入る前に配付いたしました
資料に
一つ誤謬の点がありますので、
数字を御訂正願いたいと思います。それは二十六年度
需給想定表(公益委策定)という中で供給力のほうでありますが、水力発電所がありまして、それからその下に火力発電所がありまして、その下に以上計というのがあります。以上計というその最後の
数字がミス・プリントでありまして、この表では三百七十九億六千八百三十万、こういう
数字にな
つておりますが、これを三百八十三億七千八百四十万に御訂正願いたいのであります。それからその次の
数字も同じく三百八十三億七千八百四十万に御訂正お願いしたいと思います。訂正はそれだけであります。
二十七年度の
需給を想定いたします場合に一等問題になりますのは、供給力を如何に算定するかということでありまして、この供給力の算定につきましてはいろいろと苦慮いたした次第でありますが、先ず第一番目に水力の発電所の水の出方でありますが、これは前回の二十六年度の想定におきましては過去九カ年間の平均水量をと
つておりましたが、今回は更に一年を附加えまして十カ年の平均出水率を根拠にいたしておる次第であります。それからその発電所のそういう水に対して実際有効にどれだけ使われるかというと、つまり発電所の利用率ということがいろいろと問題に相成ります。これは後ほど少し
説明いたしたいと思いますが、そういうようなことが問題になりまして、我々としては水力の発電
電力量、
最初考えましたのは、そこには
数字は出ておりませんが、水力発電量、合計で三百十三億三千二百万キロワツト・アワーというような想定をいたしたのであります。それからして、この中には今年二十六年度において発電所の新規開発された発電所を作
つておるのでありまして、二十六年度の
数字とはその点において
違つております。今回含まれておる新設の発電所は、水力におきまして、我々
事業者の建設したもの並びに県或いは鉄道省等で建設されたもの等を合せまして約二十七万キロの発
電力が二十六年度に追加されたものが二十七年度に相成
つております。その
電力は約八億二千万キロワツト・アワーほどの
電力が追加にな
つております。そういうような想定で先ほど申しましたように、水力といたしましては当初計画いたしましたのは三百十三億三千二百万という想定をいたしたのであります。
次に火力発電所でありますが、火力発電所につきましては、今回の
需給想定におきまして一等苦慮した点でありますが、従来の実績等を勘案し、且つ又今後の需用増ということに対処するためにいろいろと
考えたのでありますが、御承知のように、二十六年度の青本想定におきましては、石炭は合計におきまして六百五十二万トンの石炭が入
つております。これは私らのほうで
事業者で持
つております火力発電所と自家用火力の委託発電とを合せた合計であります。これが二十六年度の想定
数字でありました。ところがそれに対して今日までの実績
数字は全国的にまだ十分揃
つておりませんが、二十六年一月から二十六年十二月までの
数字を見てみますと、六百九十一万二千トン
程度の石炭を消費したことに相成
つております。過去のそういうような実績等を考慮いたしまして、当初私らのほうで
考えました想定は、私らのほうの自社経営の火力で以て六百八十七万七千トン、重油が二十九万トンそれから委託発電の火力が五十三万七千トンという
数字を当初に見込んだのであります。この石炭は重油一・八という比率で石炭に換算いたして見ますと、約七百九十四万トン
程度に相成る
数字を当初計画したのであります。この七百九十四万トンは、先ほど申しました去年の六百五十万トンに対して相当量の増加にな
つておるのであります。それでこの石炭に対して、当初計画いたしましたが、その後いろいろな、当局等の御指示或いはいろいろの
お話がありまして、この石炭量では今回の
需給に間に合わんという結果に相成りまして、最終的に作りました今回の、これから御
説明いたしますところの最終案では、自家用の自社経営の火力の石炭は七百二十万三千トン、重油が二十九万トン、委託火力が六十一万九千トンという数でありまして、結局石炭は重油換算一・八にいたしますと、八百三十四万四千トン
程度に相成る
数字に最後にな
つております。とにかく当初に私らのほうで計画いたしました石炭のトン数は、先ほど申しましたように、約八百万トン弱の数であ
つたのであります。そのような想定で以て、いろいろ
需給想定をやりましたが、それが今最後に申上げましたような
数字に最後的には訂正いたしたのであります。
それでなおその場合に、あとでもう少しその辺の詳しいことを御
説明申上げますが、その
最初の私らの
考えました案から最後に
考えました案は、石炭のトン数においてさように変更しておるばかりでなく、発電所の利用率等におきましても、当初私らのほうで
考えましたものと比べまして、相当の利用率の向上を図
つたのであります。これは利用率につきましては、去年の、二十六年度の
需給想定におきましては、全国平均九一・一%という
数字に相成
つておるのでありますので、我々が当初
考えました利用率は九一・二、去年の青本の
数字より多少上昇したという線をと
つたのであります。実は去年の青本の
数字は、私らとしては非常にシビヤーな数と
考えてお
つたので、今回も大体その
数字に準拠いたしたのであります。ところが需用の方面から見て、なお供給力の増加を必要とするという
考え方からこれを最後にとりましたのは九三・二%という利用率に上昇せしめたのであります。実は皆さん大体御案内の
通りでありますが、発電所の利用率というものは、現在電気
事業といたしましては、殆んど水力発電所の修理を放擲いたしまして、供給をしておる、或る某会社の某水力発電所等におきましては、隧道が壊れかか
つておるけれ
ども、これをとめて修理する余裕がない、時間がない、それをとめておると、
電力をその期間停止しなければならんということで、非常に無理やりに運転を持続いたしておるのであります。従いまして我々
事業者といたしましては、この利用率を九三
程度まで上昇せしめることは、非常に我々としては、危惧の念を抱いておるのであります。つまり我々としてはこんな利用率を上げることは発電所を完全に維持管理できない、維持管理するのに非常に困難であるというような見解をと
つておるのでありますが、併し二十七年度の
需給を見ますと、どうしてもそういう無理をしなければならない。このために発電所は設備に多少の危険と言
つては語弊があるかも知れませんが、多少の危つ気があることを押し切らなければならないというような状態にな
つておるのでおります。それでとにかく利用率をさように九三・二%まで上昇いたしております。その結果、水力発電所で先ほど申しました第一次案に比べまして最終のこの案は、第一次案が三百十三億三千二百万と先ほど申しましたが、その
数字に対しまして、最終案ではここに出ておりますように、三百十九億八千五百万という
数字に相成
つておりまして、相当、約五億キロワト・アワー
程度以上の水力を出すという結果にな
つて来たのであります。
次に送電
損失でありますが、これは去年の、二十六年度の想定におきましては、全国平均二五・七%という数でありました。実は去年のこの二五・七%という
数字は非常に無理な数でありまして、実際問題といたしまして、こんな
数字は大体それを目標としてここ両三年後に達成し得る目標数であると私らは
考えてお
つたのであります。そうしてその目標に向
つて我々
事業者は努力いたしました結果、かなり能率の、
損失率の上昇を見ましたので、当初の案では
損失率は全国平均二六・三にいたして、当初の案を出したのでありますが、最終案では二五・七七という
数字で以て
損失率を出した次第であります。かくのように、水力発電設備におきまして相当の無理をいたします。又火力発電所においては先ほど申しました
通り、前年度の六百五十二万トンに対して、今回は八百三十四万トン
程度の石炭を焚くという非常に無理な焚き方をするようなことにいたしましたし、又送電
損失の点におきましても、去年の目標に殆んど等しいような目標
数字で以て今回最終案を我々としてはきめたのであります。その結果といたしまして、今回の最終案では需要の総数は三百八億四百万キロワツト・アワーでありまして、去年の想定
数字二百八十四億七千二百万に比べまして約九%
程度の増加ということに相成りました。結局この三百八億八千万というトータルの需用
電力を我々は今回想定として最終的に
考えた数であります。それでこの
電力をどういうふうに需用に配分いたしますかということにつきましては、いろいろ途中のいきさつもありますが、少し話を申上げますと、先ず大口丙、つまり三千キロ以上の需用家の供給
電力は除きまして、それ以外の
電力につきましては、需用想定の需用量につきましてはできるだけ需用を制限しなければならんというか、去年の実績から余り殖やすことが困難であるのでありまして、成るべく新規の需用に対してはできるだけ御遠慮願うというようなことを想定せざるを得なか
つたのでありますが、併しそれにいたしましても、従来からそういう
方針で立てておりましても、実際は相当
程度需用が伸びますので、例えば電燈等におきましては相当家が立つわけであります。こういう需用に対しては何としても抑えるわけに行かないので、そういうことを考慮いたしまして需用数は想定いたしました。
それから需用
電力量につきましては、大体去年の渇水時期を除きまして、
昭和二十五年九月から
昭和二十六年の八月までの一カ月年間の原單位を大体考慮いたしまして、それを基準としてきめたのであります。それで当初私らが
考えました需用と、最終的にきまりました需用とはその間いろいろいきさつがありますが、その最も大きい点は、結局三千キロ以上の需用に対しまして、国の
生産計画から見て相当の
電力をそのほうに割かなければならないということのためにいろいろと試算を何回もや
つた次第であります。その三千キロ以上の需用につきまして当初私らのほうで
考えました需用と、最終的にきまりました需用とを見てみますと、当初我々が先ほ
ども申しました石炭を七百三十九万トン焚くというあの想定のときにおきましては、大口丙に対しましては特約
電力を合せまして、且つ又住友及び黒部の
電力等の供給する分を合せまして百二十一億六千万という
数字を出したのであります。これに二十六年度の青本の
数字、二十六年度の想定
数字百九億六千万キロワツト・アワーに比べましてかなり大きな数を想定いたしたのであります。ところがその後当局のいろいろの御内示もありまして、百二十一億六千万という
数字はもう少し上げなければならんというような結果に相成りまして、結局最後的にこの
数字は百三十三億二千九百万キロワツト・アワーにな
つております。そのために当初我々が
考えました発電計画、供給計画を先ほど申しましたようないろいろな点において
修正を行い、石炭の量も相当増加してこの需用に応ずることにいたしたのであります。勿論そのほかにこの供給を確保するために
一般の動力、小口動力等は、当初
考えておりました
数字よりは多少圧縮いたしております。これは特契需用を除きまして当初
考えました
数字を五%
程度圧縮いたしまして、その浮いた
電力を大口丙の
電力に供給申上げるというような操作をいたしたのでありまして、そのために大口乙以下の小口需用並びに業務用
電力等におきましては相当窮屈な需用想定に相成
つております。併しこれは現在の置かれておる我が国の現状から見て止むを得ないと
考えまして、さような想定を変更いたした次第であります。
それでその詳細な最終的な
数字は二十七年度
需給想定という、この
数字で見て頂きますとわかりまする
通りでありますが、これは最終の数でありますか、この
数字について少し申上げますこ、供給力のほうから申上げますというと、一番上に書いてあります流込式可能発
電力量、その
会計三百二十六億九千万、これは去年の青本の想定
数字に比べまして約四%増にな
つております。それから利用率等を書きましたその次の流込式発電
電力量三十億四千六百万、これは去年の青本に比べまして約六%の増にな
つております。それからその下の水力発電、計三百十九億八千五百万は、去年の想定に比べまして約一〇五・五%、五・五%ばかり多くな
つております。それから火力の委託発電
電力量四億六千九百万、これは去年の青本に比べまして約一五八%、五割八分の増加にな
つております。それからその次の自社系の火力発電
電力量八十四億五百万、これは去年の青本に比べまして一一八%、一割八分増にな
つております。
従つて発電
電力量、計四百十六億一千四百万は約九%増にな
つております。それからずつと一番しまいの需要端供給量、ロスを引いた最後の需要端供給量、先ほど申しました三百八億八千三百万キロワツト・アワー、去年の青本に比べまして大体九%増にな
つております。八・何%、約九%増にな
つております。
それからその次の需用のほうを申上げますと、進駐軍需用は、これは八億九千七百万キロワツト・アワー、これは去年の青本に比べまして約九五%、少し減
つております。これは現状から見まして多少減
つて行くものと想定いたしました。それからその次の電燈、計でありますが、電燈、計六十億三千九百万キロワツト・アワー、これは去年の青本に比べまして一〇一%、約一%の増であります。それから小口
電力二十一億四千万キロワツト・アワー、これは去年の青本に比べまして一〇七%、七%増、それから大口甲は一〇二%、それから大口乙は九七%、これは大口乙からして大口丙へ移りましたので、多少大口乙が減
つております。それから大口丙はそこにありますように百二十億二千四百万キロワツト・アワー、これが一一八%、一割八分の増であります。それからその下にあります特殊
電力六億三千二百万キロワツト・アワー、これは去年の青本に比べまして三四三%、約三倍の増ということに相成ります。
電力、計におきましては二百三十六億、これが一〇七%、約七%の増、需用総計は先ほど申しましたように約九%の増、こういうような数で、大口丙に対する需要の伸びが非常に大きく目立
つておりまして、そのほかの需用は大体去年の青本の
数字にほぼ近い数だと、こういうふうに御了承
願つてよかろうかと思います。それで
需給の想定等は大体御了解を願
つたことと思いますが、これの標準
電力量と追加
電力量の比率でありますが、これは今回の想定は別に
資料は出ていないのでありますが、完了した数で言
つて見ますると、今年の一月から十二月までの実績に比べまして、今回想定いたしております標準
電力量は、一月からして十二月までの実績に比べまして二十七年度の想定でありますが、標準
電力量は一〇六%、少し殖えております。それから業務用
電力は約一〇五%、ほぼ同じことであります。小口
電力は九八・八%、大口甲は九八・二%、大口乙は一〇・八%大口丙は一一二%というような、実績に対しましてそういうような想定になります。それから去年の小口
電力は青本に比べまして、今回の想定は一〇・六%、大口甲は一〇一・二%、大口乙は九七・六%、大口丙が一一五・三%というような
程度に相成
つておりまして、大体去年の実績から見まして、標準
電力量でお使い願うものは大体去年の実績
程度のものだと、こういうようにお
考え願つてよかろうかと
考えております。
大体そういうことでありますが、最後にこの
電力の
需給想定をやります場合の
事業者間の
電力の
融通計画のことでありますが、当初我々が
考えました
融通計画では、大口丙にこういう大きな需用がないと想定いたしたその当時の
考え方といたしましては、大体二十六年度の各会社の間の
融通契約量を大体二十七年度は量においてそのまま踏襲しよう、つまり各
事業者間の
融通電力量は、二十六年度の契約
数字をそのままフリーズするという
考え方で進んでお
つたのであります。ところがあとで
説明いたしましたように、大口丙の需用が非常に大きな需用にな
つたことと、地区間に当時想定したものと相当の食い違いを生じたのであります。そのために更に第一次の
融通電力のほかに、更に第二次的な
融通契約をやる必要が生じたのであります。その結果先ほ
ども申しましたように、各
電力会社の持
つておる発
電力の量率を挙げるとか、或いは又ロス率を減らすとか、或いは三千キロ未満の需用を圧縮するとか、そういうようなことをして、浮いた
電力を各
事業者間で相互間に
融通をする、そういう形態をと
つたのでありまして、その結果として
資料として配付申上げております
通り、中国
電力さんからして関西
電力さんのほうに三千万キロワツト・アワーを送
つて頂きまして、それだけの
融通を行いまして、それから関西
電力から更に自分の会社で以て三億三千万キロワツト・アワー
電力を捻出いたしまして、その
二つを合せた
電力を北陸
電力さんのほうに一億六千万キロワツト・アワーを
融通して頂きました。それからその残りを東北と東京に
融通して頂くわけでありますが、東京にはそのうち四千万キロワツト・アワーを東京
電力に
融通してもらう。関西さんから東京経由で以て北陸
電力さんに一億六千万キロワツト・アワーの
電力を
融通願う。それから中部
電力から四千万キロワツト・アワーの
電力を出して頂きまして、それを東北
電力の高田方面に送
つて頂くというような第二次
融通を行うことにな
つたのであります。大体こういうような
融通を、当初
考えました去年の、二十六年度の
融通契約にプラスして、プラスすると言うか、別途にそれだけ附加えて
融通することにいたしておる次第でありまして、この
融通契約につきましては、第一次の
融通契約とは別途で、この
融通契約は今年限りの
電力である、来年度からは
需給、勿論この大口丙の想定が動くことも
考えられるし、これは今年限りの
融通であるという
考え方で、こういう第二次
融通を行うことにいたしたのであります。この
融通につきましては、値段のことをそこに
ちよつと表に掲げておりますので申上げますと、値段は、特殊
電力は六十銭、それからして常時
電力は六円という電気で以て
融通願うということにいたしたのであります。特殊
電力六十銭という電気は、殆んどこれは
一般の産業にお使いになる特殊
電力の値段に大体近いのでありまして、近い値段で
融通する。それからこの六円という電気は、これは火力発電所の大体電気で
融通するという
考え方でありますが、併し火力の総原価でなくて、石炭費とそれから運炭灰捨費と、つまりインクレメント・コストだけ、それだけ多く焚くことによ
つて増加するインクレメント・コストだけと
つて、それの約九がけ
程度の單価で似て
融通願う、こういうようなことにいたしておるのでありまして、そういう第二次
融通を行うことにいたしまして、各社間の
需給のアン・バランスを調整いたすことにいたした次第であります。
大体二十七年度の
需給想定につきましては、以上のようなものでございますが、なお詳細なことにつきましては、いろいろ專門家も来おりますので、御
質問がありますればお答え申上げたいと思います。以上であります。