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政府委員(
石原武夫君) 川崎製鉄の千葉工場の問題につきましてはこれは鉄鋼
局長から御
説明申上げるほうが適当なんでございまして、私の
お話で御納得は行かんかも知れませんが、さようでございましたら別の機会に
一つ鉄鋼
局長から御
説明させて頂きたいと思います。一応私の
承知しておるところで申上げますと、千葉の製鉄所を川崎製鉄が作るという問題が起りまして、
会社からもさような
計画を出して参りました。
通産省内部で慎重に検討いたしまして大体、結論を出しまして新聞等にも出て、御
承知の
通りあの建設の第一期工事では
通産省としては建設することが適当と認めて
促進をしたいという態度をきめたわけであります。あの問題を研究いたしますのに問題になりますのは、第一番に御
承知のように千葉の
計画は熔鉱炉を作るという
計画であります。それで現在現存しております熔鉱炉で動いておらんものがまだ
相当数あるわけであります。従いましてすでに現存しておる熔鉱炉に火を入れずにああいうものを作ることは、二重投資と申しますか、過剰投資と申しますか、国家的に見て不経済になるのじやないかというのが第一の問題であります。これについては今後一、二年後の銑鉄の需給バランスがどうなるかということがポイントだろうと思います。現在なお稼働しておらない高炉がございますが、今後鉄鋼の
生産を進めて行きます上において銑鉄が一年、二年先にはどの
程度要るか、その場合に現在動いておりません高炉を入れましても、なお銑鉄が足りないのか、或いは十分あるのかという点が一番根本の問題であります。これは今
数字的に御
説明する
資料を持合せておりませんが、銑鉄の需給バランスにつきましては民間の鉄鋼の
業界等とも相談いたしまして、一、二年の需給の推定を作
つておりますが、それによりますと現存の高炉に火を入れましてもなお不足するという結論にな
つておるわけであります。ただ念のために申しておきますが、現存高炉の中におきましても経済的に見て殆んど火入れをし、稼働することがむずかしい、又その所有の
経営者もその高炉に火を入れるつもりはないというのがございますので、それはもとより
計算はいたしております。銑鉄の需給バランスの問題が一応民間等の
業界の御意見も聞きまして想定いたしましたところ、なお川崎製鉄に新高炉を作る余地があるという結論に到達いたしたわけであります。それから第二点は、今回の
計画が非常に合理的と申しますか、近代的であるかどうか、御
承知のように
日本の既存の高炉は命数が
相当古いものでありまして、たしか一番新らしいものが、まとま
つておりますのが、富士製鉄の広畑工場、これは昭和十六年頃に完成しておりますが、その後輪西に一基作
つておりますが、これは全く広畑と同型のものでありまして別に技術的な進歩はございませんので、
日本に現存しております高炉は少くとも十年前のものであります。最近の欧米各国の例で調べますと
相当進歩し、いろいろ原単位等も向上しておる実例が多々ございますので、今回の
計画はさような意味におきまして意義があるかどうかということを検討したわけでありますが、さような意味においても意義がある。それからもう
一ついろいろ問題にな
つております造船用材等につきまして熔接材が
日本で十分できておりませんが、それを作るにつきましては現存の
会社でも例えば八幡製鉄の八幡工場等でも今工場の拡充をいたしまして仕事の
計画をいたしておりますが、現在のところではまだ十分さような熔接材の的確なものができておりませんので、今回の
計画は殆んど全部熔接材になり得るような
計画にな
つております。そういうようなところからいたしまして、
計画自身を検討いたしましたが、
計画としては合理的な
計画であるという点であります。第三点は、資金的な問題でありまして、
計画が非常によくても、資金的に調達能力がなければこれは実現いたしません。その資金的調達能力についても
政府といいますか、国家資金をどの
程度出せばできるのか、非常に多額のものを国家資金に頼らざるを得ないということであれば、その国家資金の供給ができなければ中途半端な工事に終る虞もありますので、その辺の見通しも一応いたしたわけであります。それで先ほど申しました第一期工事というものは、そこに五百トンの熔鉱炉を作り、それに続きまして平炉分解までをするものであります。これは百二十億前後のものでありますが、その
程度のものとしては一応
会社の収支その他の
数字を見て我々のほうでも検討いたしましたが、そう多額の国家資金を注ぎ込まなくてもその辺までは一応完成ができるだろうという見通しを得たわけでございます。なおあすこに最後の圧延まで参ります
計画でありますが、これは三年或いはその後になりますので、今からなかなかその先の見通しまでつきかねますので、一応第一期というところで打切りまして、そこまででも
相当の効果もありますし、資金的その他の面から申しましても難点はないということで、一応
通産省といたしましてはあの工事を進めさせて行きたいという態度をと
つたわけでございます。