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1952-02-27 第13回国会 参議院 通商産業委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年二月二十七日(水曜日)    午後二時五十七分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     竹中 七郎君    理事            古池 信三君            中川 以良君            結城 安次君            栗山 良夫君    委員            山田 佐一君            小松 正雄君            島   清君            境野 清雄君            西田 隆男君   政府委員    通商産業政務次    官       本間 俊一君    通商産業省通商    企業局長    石原 武夫君   事務局側    常任委員会專門    員       山本友太郎君    常任委員会專門    員       小田橋貞壽君    常任委員会專門    員       林  誠一君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○企業合理化促進法案衆議院提出)  (第十二回国会継続) ○通商及び産業一般に関する調査の件  (繊維事情に関する件)   —————————————
  2. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 只今より通商産業委員会を開会いたします。公報にてお通知申上げました先ず第一の企業合理化促進法案議題とい私します。
  3. 島清

    島清君 昨日頂きました企業合理促進法案指定事業通産省関係)に関する調査、この資料によりますると、三十二品目の業種指定がございまして、更に大企業中小企業とこれを分けて比率を出しておられますが、まあ大企業よりも中小企業比率が高いのが染色加工業の八一%で、全部今の産業構造からいたしますると非常に驚異に値するほど中小企業の率が低いわけなんでして、今の企業構造から言いまするならば、私たちは全工場数におきまして中小企業が九八%の地位を占めており、更に総生産量からいたしまするなら七〇%を占めておると、こういう工合承知をしておりまするが、どうもこの減税額比率などの算定から見ましても、中小企業が非常に殊更に低いように思えるのですが、この算定基準をどういうふうに出されたか、これをちよつと承わりたいと思うのですが……。
  4. 石原武夫

    政府委員石原武夫君) お手許に差上げました、この間御要求がございました、いわゆる大企業と申しますか……業界に大きな企業とそれから小さい企業とございますが、各業界で例えば石炭につきまして年産五万トン以下のものをまあ大体中小企業と言つておる通例の分け方に倣いまして一応業種別に分けてこの数字を出しておりますが、この数字を出しました根拠は、通産省で現在までに一応判明しておりますこれの、各業種対象となります機械設備等の新増設計画、それを拾いまして、今申しましたような基準で大、中小と分けましておのおの件数、金額或いはそれに基きまする税収軽減というようなものを弾き出して一応資料として差上げたわけであります。ただ一つお断りいたしたいのは、今後の企業のかような機械設備の新増設計画でございますので、まだ全般的に十分確実にはわかつておりませんので、現在我々の手許でわかつておりますところで一応作りましたので、実際の場合には多少の食い違いが当然起るかと思いますが、まあさような含みで一つこの表を御覧頂きたいと思います。
  5. 島清

    島清君 これは、何ですか、大企業中小企業のその減税額の対比を出しておられますが、これは今大蔵省あたりと御了解を頂いて予想しておられまするところの減税額からいたしますると、との金額比率はどうなるのでございますか、お見込はどうなんですか。
  6. 石原武夫

    政府委員石原武夫君) これは資料にも書いてございまするように、通産省関係だけのものを一応我々の手許で作りましたので、他の省の所管産業もございますので、全体の比率がまだ出ておりませんので、例えば十七億前後の税収軽減になるということが出ておりますが、このうち大企業幾ら中小企業幾らということは、またその資料はできておりません。
  7. 島清

    島清君 石原さんが所管されますところの中小企業関係だけならば見込は立つておるのでございますか。
  8. 石原武夫

    政府委員石原武夫君) 今お手許に配付いたしました資料にありまするように、通産省所管産業につきましては、一応かように大企業及び中小企業を分けて、業種別算定をいたしましたので、これを集計すればわかります。通産省の分に限りましてはわかります。今ちよつと数字を通算しておりませんので、今直ちに申上げかねますが、これは計算すればすぐ出て参ります。
  9. 島清

    島清君 その減税額は十七億前後というのは、通産省関係だけの減税額の予想ですか。全部ですか。
  10. 石原武夫

    政府委員石原武夫君) 全体でございます。
  11. 島清

    島清君 全体ですね。わかりました。  石原さん、今の通産省関係だけの中小企業と大企業減税額比率ですね、それを大体おつしやつて頂けませんか、大体でようございますが……。
  12. 石原武夫

    政府委員石原武夫君) 委員会が審議されておる間に大体の計算をいたして申上げたいと思います。この会議が終るまでには計算をいたしますから、ちよつと時間を一つ……。    〔委員長退席理事結城安次委員長席に着く〕
  13. 島清

    島清君 どうもこれは石原さんにお聞きしてあれするのはちよつとどうかと思いますが、政令という問題が大変に私たち委員会のほうで関心の的になつてつてこの法案の審議が思わしく進まなかつたわけなんですが、大体政令の作業といいますか、何といいますか、そういうものが進んでおるのですか。
  14. 石原武夫

    政府委員石原武夫君) この法律に基く政令というのは三カ条かとたしか記憶しておりますが、それは一応草案ができております。たしか当初に資料として差上げたかと記憶いたしておりますが、若しお手許になければ後ほどお届けいたしますが、主たるところは、問題点はこの業種の問題であります。あとは極く手続的な問題で、実体的な問題は極く僅かなものがあるだけであります。
  15. 山田佐一

    山田佐一君 ちよつと承わりますが、この企業合理化促進法案指定事業で、このうち繊維工業の分は入つておりませんが、これは何か除外されておるのですか。
  16. 石原武夫

    政府委員石原武夫君) 繊維関係業種といたしましては、染色加工というのが一つつておるだけでございます。
  17. 山田佐一

    山田佐一君 紡績とか織機とかいうものには償却というものを更に見んというおつもりですか。
  18. 石原武夫

    政府委員石原武夫君) この業種は、法律の六条で、緊急に設備等近代化するための必要なる重要産業ということになつておるわけでございまするが、一面さような意味におきまして設備等を緊急に近代化する必要のある産業ということで選びまして、かたがた税收減収もございますので、それと睨み合せて最もこの際かような短期償却制度を取上げる必要性が多いと思われるものを取上げたわけでございまして、その他の業種につきましてもかような短期償却制度が若し布かれれば望ましい産業があると思いまするが、税の減収との関係見合つて政府としてかような案にきめたわけでございます。
  19. 山田佐一

    山田佐一君 紡績などは、急激に拡げて、やはり短期償却の必要があるように思いまするが、御当局ではこの行詰つておる繊維工業に対して短期償却の必要なしという見込ですか。
  20. 石原武夫

    政府委員石原武夫君) 紡績に限らず、その他の繊維産業につきましても、短期償却が認められれば産業の立場といたしまして将来のコストに占める償却比率が減少することにもなりますし望ましいということは、当然一般的に言えると思いまするが、先ほど申しましたように、税収に響く限度も一応大蔵当局考えておられますので、その範囲内でということで業種を選びました関係上、紡績その他の繊維関係業種はこの際取上げることができなかつたという状況でございます。
  21. 山田佐一

    山田佐一君 ただ税収関係上その業種を取上げないということは、どの業種でもこれをやれば減収にはきまつておるのですから、特に取上げなかつたという理由は何ぞありますか。もう少し……。
  22. 石原武夫

    政府委員石原武夫君) 紡績等につきましては終戦後相当大きな増錘計画がほぼ最近までに完成をいたしておりまして、勿論古い機械設備等もございまするが、終戰後新らしい設備相当もうすでに増設されておる。その他の産業につきましては、例えば、例がよろしいかどうかわかりませんが、鉄あたりにつきましては、相当十数年前の機械がまだ主力として動いておる。これは国際的な関係考えましても早急に近代化をする必要があるというような点からいたしまして、他のここに列挙しております業種よりもその緊要性は少いのじやないかという考え方で一応紡績は入れなかつたわけでございます。
  23. 山田佐一

    山田佐一君 お説御尤ものように聞えまするが、紡績業はすでに戦時中殆んど企業整備で打壊されて、戦後政府及び民間の非常な協力で拡張して来ておりまして、今の一流会社といえども、負債勘定を見ると、非常に負債を背負つておる。紡績業でなしに、或いは織機にしろ、何にしろ、非常な債務を背負つて経営をして来ております。而して今や行詰つて、これはどうするか、政府に頼つている。これはどうして行詰つて来たかと申しますれば、やはり儲けることは非常に儲けて来ておる。儲けては来ておるけれども税金で殆んど取られておる。収益上つた、漸く昨年三五%だつたが、すでに本年は又法人税は四二%に上げて来た。税金で取り、配当で取つて行つて、本当の償却というものがそうできないのじやないか。内容においては随分一流メーカーでも経営に困難を来たしておるようなわけである。それに対して促進の必要がないということも、今後或いは拡大の必要がないかも知れない、操短をすると言うておるくらいですから。それで取つたと言えばまあそこまででございましようが、何だからよつと割切れないものがあるような気がしますが、その辺はどういう……、これは昨年度の設備のものに対しても本年度で償却を認めるわけですね。そうしますと二十六年度に拡張計画したというものは私随分あるのだろうと思います。この間の日銀の営業局長お話でも、一社で百七十七億の手形割引残高があるというようなことを言うておるのですから。これはやはり償却と同じように見なければ、今まで儲けたものが本当に資本の蓄積ができておればよろしいのですが、随分税金配当とでその割に残つておらないのじやないかと思います。而も又今回の何で、商社の負債を背負つておる、或いは不良手形を持つておるというようなことになると、これにも入れるべきものじやないか。今まで納めた税金を戻すというようなことはとてもできますまいから、私はやはりその辺の措置考える必要があるのじやないかと思いますが、一応御当局の御見解を承わります。
  24. 石原武夫

    政府委員石原武夫君) 只今お話のように、紡績といえども最近の状況ではいろいろ経済界の変動のために収益があるにいたしましても非常に不良の債権があるとか、資金の金繰り上非常に困難であるというような事情もございますし、二十六年度中における収益相当部分税金に汲い上げられておるという事情お話通りだと存じます。従いまして今お話のように例えば紡績につきましても、二十六年度に相当設備増設をいたしておりまするので、仮にこの法律適用いたしますと、短期償却恩典に浴する部分相当あるかと思います。今後は、今のところ増錘計画はないようでございますから、主として今までの分でやろうと思いまするが、それにいたしましても、若し仮りに適用いたしますれば今後の収益からプールし得る金額というものは或る程度出て参るかと思います。さようなことで、紡績にいたしましても、確かにさような制度適用になり得れば業界として非常に望ましいこととは思いまするが、同じような事由はその他の一般産業の大小を問わず必ずあるわけでありまして、各産業に非常に広くこの制度を拡げますと、それに基きまして非常に大きな税の減収になるという結果に相成りまするので、一応税収の減少のほうも見合せまして、或る程度のところで絞らざるを得なかつたわけであります。さような趣旨でこの際最も設備近代化身至急に進める必要のあるというものを先ず優先的に取上げました関係上、紡績等はこの業種に一応差当りのところ入れることはできなかつたという状況でございます。
  25. 山田佐一

    山田佐一君 御説御尤もと思いまするが、とかく政府やり方は、自分の欲するときだけはこれをやれやれと言つておいて、行詰るともう知らん顔をしておる。物事は必ず進めて行けば飽和点に達するのは当然である。或いは繊維工業等すべてのものは進めるときだけは進めておいて、或る程度飽和点になると知らん顔をしていて、潰れるものは潰れて行けというようなことをせられますと、先の繊維工業のときにも言われたごとく、大企業のものはパニックの来たときに通つて行きまするが、中小企業はその際にいつでも潰れて行く。犠牲になるのは中小企業であります。やはりつい昨年までは進めて来て、而も枠をとつてだんだんその枠の範囲内に入つたものは融資の線になりまして非常な進み方をしておつて、漸くここでややそこの域に達したかと思うというと、もう必要がないから顧みないというのは、余り薄情なやり方ではないか。今後はこれだけの企業合理化で進めて行きたい、片方の場合は放つとけばいいというのは、これは産業形態を立てて行く上にどうかと思うのですが、やはり通産省としては中小企業なり、或いはその産業を盛り立てて行く、決して繊維工業ももうこれで放つといていいというものじやないのでありまして、戦前千二百万錘あつたものが六百万錘、その中には急にやつたところで焼けた機械を修理をしてやつておるものもあると思います。企業合理化をすべきものも仔細に見て行けばたくさんあると思います。その辺もとくと御考慮のほどお願いいたしまして私の質問を終ります。
  26. 栗山良夫

    栗山良夫君 ちよつと質問いたします。過日お願いをしておきました資料につきまして一通り説明を頂きたいと思います。それと同時にこの指定事業がずつと分類をされておりますが、この減税額比率のうちで、大企業という欄区のところで、これの最近一カ年間くらいの総合した収益率がどの程度になつておるか、それを一つ伺いたいと思います。
  27. 石原武夫

    政府委員石原武夫君) 只今の御要求は、実は昨日お手許に配りました綴り込んだ資料がございますが、それのことでございましようか。
  28. 栗山良夫

    栗山良夫君 今日の……。
  29. 石原武夫

    政府委員石原武夫君) 今日の、ああそうでございますか。本日お手許にお配りをいたしました企業合理化促進法案指定業種に関する調査という通産省関係企業を大中小に応分けて、その数の比率及び減税比率を出しておるわけでありますが、これは先ほどもちよつと申上げましたが、通産省所管業種につきまして現在我々の手で一応各社の計画がわかつておる範囲内におきまして、    〔理事結城安次退席委員長着席〕 今回の指定をいたしましたときに特別の償却対象になる機械設備につきまして、企業別に集計をいたしまして、大企業、中企業に分けまして、それを更に減税額がどの程度になるかを計算をいたしまして、その減税額比率を次にパーセンテージで示したわけであります。大企業、中企業の分け方は労務者の数が三百人という一律の分け方ではございませんで、各ここに掲げております業種につきまして、通常世間で大企業、或いは中小と言われておるところで一応分類をしておるのでございます。例えば石炭につきましては年間五万トン以下の生産のものは大体これは中小企業というふうに考えておりますし、さようなことで必ずしも就業の人数に関係なくその業界の大中小に応じた分け方を、一応査定をいたしまして、その比率を出したわけでございます。  次のお尋ねのこれらのうち、大企業収益状況がどうかというお尋ねでございまするが、これは実はここに掲げてございます全部の収益状況がまだ資料としてお手許に差上げるほど手許に整つておりませんので、実は昨日御配付申上げました資料に、ここに主として列挙してあります業種につきまして、数個の会社収益状況を集計いたしたものを差上げておるわけであります。これは主として、大企業、いろいろ資料の入手その他の関係で、大企業について調べておるのでございますが、ここに掲げてありますものも、大企業中小企業分類に分けるほどの数はできておりませんが、それの代表と申しますか、例といたしまして数社につきまして、或いは十社前後のものにつきまして、その収益状況をお示ししたものがございます。それで御覧をお願いいたしたいと思います。
  30. 栗山良夫

    栗山良夫君 要するに、これはまあ昨年来首藤政務次官当時に、産業近代化法というものの構想を述べられた当時から私どもは了承しておるわけでありますが、それは、我が国のいわゆる各産業の原単位を近代化によつて上げまして、そうしてせめて材料費等アメリカとの比較において割高になつておる分を、操業率生産率において何とかアメリカの辺までも近付けたいというのが構想になつてつたわけでありまして、従つて、そういう観点からするならば、企業合理化というものは、むしろ弱体企業である中小企業に重点を置いて行かれるのが最も今の時勢で要望が強いのじやないか、こういう工合考えるのでありますが、又政府側答弁も、今までは大企業中小企業差等を設けるのでなく、中小企業といえども、大いにこの法律による恩典にあずからせて行きたいのである。こういう御答弁があつたわけでありますけれども、現実に指定事業者名の細目がだんだんと掲示されるに従いまして、大企業中心になつておることだけは否定し得ない問題だと思うのでありますが、この点は政府側のお考えはどういう工合にその調整をやつて行かれようとしておられますか。
  31. 石原武夫

    政府委員石原武夫君) 只今の御質問の点は、或いは提案者からお答えを願うほうが妥当かと思いまするが、今のお尋ねでございましたので、通産省としての一応のお答えを申上げておきます。この法律は、指定業種を選びますときに、従来からも御説明を申上げたかと思いますが、設備を急速に近代化をする必要のある重要産業ということで、主として基礎的な産業、その他重要産業を選びましたので、只今手許資料としても差上げましたように、実際の適用の上から申しますると、大企業に非常にウエイトが多くなることは御指摘通りでございます。そこで一体中小企業の問題をどう考えるのかというお尋ねかと思いまするが、この法律我が国産業の遅れております設備をできるだけ国際的な水準に早く引上げたいという趣旨でできておりますので、その結果、基礎的な重要産業限つてこの短期償却制度を認めておりまするので、先ほどのような結果になつたわけでありまするが、中小企業につきましては、先般来たびたびこの委員会でもお話がございましたのですが、同じ方式で中小企業設備近代化を図つて行くことは、更新を図ることはなかなか困難では豊いかと思います。現在租税特別措置法におきましても、すでに一部短期償却制度を認めておりまするが、それも現在の我が国産業水準から見まして、精度の高い機械指定するというやり方考えております。今回もさようなことを考えておりまするので、なかなかさような機械中小企業で取得することは、現状のままでは非常に困難だと思いまするので、中小企業設備更新をすることも我々としては十分必要と感じておりまするが、それにつきましては、さような構成の下において一律にすることはむしろ困難であつて、別途のそういう案を考えるべきかと考えております。まだここで私からはつきりしたことを申上げる段階になつておりませんが、今我々のほうでも、そうした中小企業設備更新一つ是非ともいたしたいということで大蔵省とも一応相談をいたしております。それはまだ具体的にはなつておりませんが、普通我々の希望といたしましては、現在、御承知のように、賠償機械相当多数国の所有に残つております。これはいろいろ教え方にもよるかと思いますが、一応二十数万台ということに言われております。この機械のうち、稼働しておるものは割合に小部分でございまして、仮に賠償が解除になりますれば、その機械が国の手許に遊んだ形で残るわけです、これを一つ中小企業の方面に是非活用したい。その場合にも、中小企業が十分それらの機械を入手できるような措置を講じた上でそういうものに活用して行くということで大蔵省に交渉いたして、おりますが、さようなことで、中小企業設備更新につきましては、もう一つ別措置を講じてやつて行きたいというように考えております。
  32. 栗山良夫

    栗山良夫君 これは又後日お伺いをすることにもなろうかと思いまするか、大企業中心育成政策というものが、最近私が耳にしておるところでも相当顕著になりつつあるようでございますけれども、やはり政府としてはそういう考えで今後行かれるものなんでしようか。と申しまするのは、最近電力の再値上げの問題が起きておりますが、この問題についても、大口の電力消費者のアロケーシヨンは、原価計算の域を脱しまして、相当大幅に附けたしをする、いわゆる加配をしよう、こういう動きがあるわけであります。非常に政府のほうから強く働きかけられておる。そうしますると、結局生産電力量というものは限りがあるわけでありまするから、会社の経理の安定をやるためには、結局小口需用、或いは電燈のほうへぐつとしわを寄せて来なければならんという結果が来るわけであります。片方では、減税のほうで大企業守つて、又そういうふうな材料電力等材料の供給においても過分な措置をするということになりますと、ますます弱りかけておる中小企業のほうに重荷が移りまして、日本全体の産業としましては、非常に敢行的な状態になる。丁度戦争中の軍需産業優先主義と同じような結果が飛出して来はしないかということを懸念するわけでありますが、そういう点について、局長としてどういう御構想をお持ちになつておるのでしようか。
  33. 石原武夫

    政府委員石原武夫君) 只今お尋ねの、大企業中心育成して日本産業の発達を図つて行くかどうかという点につきましては、これは或いは大臣から御答弁を願つたほうが適当かと思いますが、一応私の意見を申述べさして頂きまするならば、大企業につきましても、中小企業につきましても、それぞれ育成を図るべきと考えておりまして、この法案が先ほど御指摘のように、実際の適用面で大企業に非常に厚い、大企業のほうが適用のケースが非常に多いということで、この法案の実施によりましては大企業のほうへより多く恩典が向けられることは事実であると思いますので、先ほどちよつと申上げましたように、中小企業につきましても、設備更新につきましては別の措置を講じて、大企業中小企業も併せて産業設備更新を図るような措置をいたして行きたいというふうに考えております。  それから次にお話の、ございました電力割当の点につきましては、ちよつと私詳しく存じませんので、はつきり責任のあるお答えをいたしかねまするが、通産省といたしまして、特に中小企業或いは家庭用電燈等切つて企業にだけつけて行くという、はつきりした方針があつてさようなことで進めているということではないように承知しておりまするが、併し電力割当の問題につきましては、ちよつと私関係しておりませんので、責任ある御答弁をいたしかねますので、適当な機会に政務次官、その他から答弁をさして頂きたいと思います。
  34. 栗山良夫

    栗山良夫君 これ又私ちよつと総合した問題なので、委員長にお願いしておきますけれども、この前ですね、日本産業政策矛盾点を一点、お聞きすることになつておりますが、そのときに是非一つ取上げてやつて頂きたいと思うのです。  それからもう一つお伺いしますのは、この大企業ウエイトが非常に高くなつておることは頂いた表でも明らかでありますが、併し大企業が然らば全部くつわを並べて同じウエイト合理化ができるかと申しますと、大企業の中でもこの頃は収益上非常に差等が出つつあると思います。従つて企業の中でも合理化をしなければならんような企業割合に自己の経済力がないために合理化ができない、従つて税の軽減恩典にもあずかれない。そうして伸び伸びとしているほうは自己の能力で十分企業合理化ができるのに更に下駄を履かせて、国が面倒を見る。こういうような矛盾が私は出て来るのじやないか、数字的に私はキャッチするところまで行つておりませんけれども、そういう現象が必ず私は出て来るのじやないかと思いますが、この企業合理化について大企業に予定せられておるようなものについても、合理化の資金等がなかつたときには、何か別途の方法をお考えになつておるのでしようか。
  35. 石原武夫

    政府委員石原武夫君) 只今お話がございましたように、この法案によります減税は、近代的な設備ができて、運転をした暁に恩典が効果を現わして参るということは、お話通りでございまして、従つて先ずその設備をする差当りの資金がない企業につきましては、初めから問題にならんということに相成るわけであります。そこで今お尋ねの金融の惡い、或いは資金の融通と申しますか、力のあるものだけが伸びて行つて、而もそれが恩典を受ける、然らざるものについては、重要であろうとも、これらの関係は、この法案に基く措置というものは無関係になるわけでございますが、そこで我々といたしましては、一つは御承知のように開発銀行等がございまして、政府の資金を各民間企業に放出しておりますが、その際いわゆる市中の金融に必ずしも乗りにくいようなものについても、国家的に必要のあり、是非この際振興を図らなければならんというものについては、政府資金をその企業に融資することによりまして、当該会社の資金、金融力の弱いところを補つて、さようなものを更新して行きたい、かように考えております。もう一つ、資金的余裕のあるものが、自力でどんどん作るという点につきましても、何らか金融的措置によりまして、金融の民間の貸出の規正とか、さような方法を今後もう少し質的にさような産業的な政策に合うようにいたしまして、できるだけさような方面に金融が流れるという点を抑制して、半面必要なほうの金融は流す、それを促進して行くという方法で実施をいたしたいと考えております。
  36. 栗山良夫

    栗山良夫君 その開発銀行もやはり信用状態を無視してむやみに合理化に名を借りて貸出をするということは恐らく許されないと思いまするので、その点はまあ限度があろうかと思うのです。従つてにわかにそういうことをやるわけに参らんと思うのでありますが、問題はすでにこの委員会でもたしか松永委員、或いは西田委員等から指摘されておつたと思いますが、この大企業で而も非常にいい成績を挙げておるような企業ですね、そういうものについて少し配当が多過ぎやしないかというようなことをここで問題にいたしましたときに、たしか或る大臣のごときは、最近は資本構成が違つているのだから五割くらいの配当が高いとは決して思わんというようなことをおつしやつたことがあるわけでありますが、今普通の正しい見方で、どの程度までの収益率を挙げる会社が健全であると考えられ、そうしてその辺のところまで法人の収益率を揃えるような工合に努力をして、いわゆる指導をする、そういうような政府のお考えがありますか。或いは又自由競争の時代ですから、現在のように全く区々まちまちな収益率でもいたし方ない、こういうふうにお考えになつているのか、その辺一つ……。
  37. 石原武夫

    政府委員石原武夫君) 会社収益率がどの程度までが適正かということは非常に困難な問題だと思います。今お話ございましたように資本の構成を見ましても最近、特に終戦後相当資本的に膨れ、再評価もし、或いは無償交付株をやるとか、或いは増資等で非常に資本が殖えておる会社もございますし、同じ業種でも、殆んど増資或いは再評価の積立金の資本組入等全く行わずに従来のままの資本金で、そのままおる会社もございますが、現在の払込資本に対する収益率、或いは配当率に高低があるという数字だけで収益率が多過ぎるとか、少な過ぎるということは一概には申しかねると思います。従つて配当率が非常に区々になりますことは、それ自体非常に高収益で、会社経営上面白くないということを一概に言い得ないのであります。それで形式論は別にいたしましても、実体的な収益を何と申しますか、標準的な収益のところに各企業が揃うように指導するつもりがあるかどうかというお尋ねにつきましては、現在のところ各企業の内部に立入りましてさようなことをする考えはございません。
  38. 栗山良夫

    栗山良夫君 そうするとまあ結局ああいうようなですね、この法律を実施いたしました場合には、例えば中小企業に対しては賠償機械を後ほど成るべく使用するように仕向けたり或いは業績の惡い法人に対しては国家資金で面倒を見たり等いろいろ施設を持つておられるようですけれども、とにかく大企業ウエイトが移り、而も大企業の中でも、業績が優秀な会社がとにかく恩典に浴して行く、この傾向は否定し得ないものである、こういうように考えてよろしいわけですね。
  39. 石原武夫

    政府委員石原武夫君) 大体今お話のようにお考えつて差支えないと思います。
  40. 山田佐一

    山田佐一君 大体そのように承諾してよいとおつしやられるが、大企業をますます援助して中小企業は倒れ放題と、こういうことですか。
  41. 石原武夫

    政府委員石原武夫君) 或いは言葉が何でございましたかも知れません場が、その間を政府が、先ほど来私が申しましたように国家資金でありますとか、或いは中小企業対策ということで施策はいたしますが、その上に各企業収益を挙げるとか、或いはその結果大企業が伸びて行くということを特に積極的に抑えるということではなくて、大企業につきましても、中小企業につきましてもそれぞれ必要な施策を講ずることは当然いたしまするが、大、企業が伸びるのを特に制約するとか、さようなことをする考えはないという趣旨と思いましたので、そう申上げたのであります。
  42. 山田佐一

    山田佐一君 どうも修正資本主義の赴くところ大企業が伸びるということは自然の勢いであつて、これは私は資本主義の或る程度の欠陥だと思いまするが、それに対して当局が伸びるものは伸ばすのが当然であると、中小企業が弱体なんだからそれは仕方がないというような御観念では、誠に国民として頼りなく思うので、弱い中小企業を助けて頂き、大きな企業というものはやはり中小企業を餌食にして自然に大きくなつて行く、これは私は資本主義の持つ特質だと思うのでありまするから、御当局はもう少し中小企業に力を入れてもらわなければならんと、こう思います。その辺の見解が私たちの思うのとは根本に違うのですけれども、どうでしようか。
  43. 石原武夫

    政府委員石原武夫君) 私の言葉が足りないので甚だ誤解をして頂いたかと思いまするが、別に中小企業をないがしろにするというつもりはないつもりで先ほど来中小企業中小企業としてのそれぞれ施策は当然行うべきでありまして、ただ本法案に関連いたしましては、本法案のような制度をそのまま直ちに中小企業適用することが非常に困難だ、中小企業の対策としては機械設備の向上等につきましても別の方式を適用いたしませんと実際は効率が挙らない。この法律の建前といたしましては中小企業は別に排除はいたしておりませんが、同じ方式で参りますると、実際上の適用から申しますと大企業のほうが大きくなるということに相成りますので、中小企業中小企業としての特別な事業の形態その他に対応いたしまして措置をする必要があるということを申上げたつもりでございまして、ただ大企業につきましても国内におきまして日本中小企業との地位から申しますると、優位に立つことは一般的にさようかと思いまするが、国際的に見ますれば、日本産業はまだ非常に脆弱でございますので、大企業につきましても然るべき措置を講じて日本産業の発達を図る必要があるというふうに考えているのであります。
  44. 山田佐一

    山田佐一君 大体わかりますが、この企業合理化方針の法案についてはそういう工合になるが、政府全体の方針としては中小企業は決して放つて置くものではないというように承わりました。ついてはこの企業合理化の製鉄業ですけれども、これはこの間新聞で見て、川崎重工の千葉工場ができると、あとの製鉄業が非常な脅威を受けると、そのために融資の問題も、何か大蔵省日本銀行はそんなものができては却つてほかのものが困るからというような工合で融資を渋つておる、通商産業省のほうは承認を与えてそれをやるようにと言つておるように新聞に出ておりましたが、その辺の事情をもう少し明瞭に聞かして頂いて、これに対する方針はどうなりまするか、一応御説明が願いたいと思います。
  45. 石原武夫

    政府委員石原武夫君) 川崎製鉄の千葉工場の問題につきましてはこれは鉄鋼局長から御説明申上げるほうが適当なんでございまして、私のお話で御納得は行かんかも知れませんが、さようでございましたら別の機会に一つ鉄鋼局長から御説明させて頂きたいと思います。一応私の承知しておるところで申上げますと、千葉の製鉄所を川崎製鉄が作るという問題が起りまして、会社からもさような計画を出して参りました。通産省内部で慎重に検討いたしまして大体、結論を出しまして新聞等にも出て、御承知通りあの建設の第一期工事では通産省としては建設することが適当と認めて促進をしたいという態度をきめたわけであります。あの問題を研究いたしますのに問題になりますのは、第一番に御承知のように千葉の計画は熔鉱炉を作るという計画であります。それで現在現存しております熔鉱炉で動いておらんものがまだ相当数あるわけであります。従いましてすでに現存しておる熔鉱炉に火を入れずにああいうものを作ることは、二重投資と申しますか、過剰投資と申しますか、国家的に見て不経済になるのじやないかというのが第一の問題であります。これについては今後一、二年後の銑鉄の需給バランスがどうなるかということがポイントだろうと思います。現在なお稼働しておらない高炉がございますが、今後鉄鋼の生産を進めて行きます上において銑鉄が一年、二年先にはどの程度要るか、その場合に現在動いておりません高炉を入れましても、なお銑鉄が足りないのか、或いは十分あるのかという点が一番根本の問題であります。これは今数字的に御説明する資料を持合せておりませんが、銑鉄の需給バランスにつきましては民間の鉄鋼の業界等とも相談いたしまして、一、二年の需給の推定を作つておりますが、それによりますと現存の高炉に火を入れましてもなお不足するという結論になつておるわけであります。ただ念のために申しておきますが、現存高炉の中におきましても経済的に見て殆んど火入れをし、稼働することがむずかしい、又その所有の経営者もその高炉に火を入れるつもりはないというのがございますので、それはもとより計算はいたしております。銑鉄の需給バランスの問題が一応民間等の業界の御意見も聞きまして想定いたしましたところ、なお川崎製鉄に新高炉を作る余地があるという結論に到達いたしたわけであります。それから第二点は、今回の計画が非常に合理的と申しますか、近代的であるかどうか、御承知のように日本の既存の高炉は命数が相当古いものでありまして、たしか一番新らしいものが、まとまつておりますのが、富士製鉄の広畑工場、これは昭和十六年頃に完成しておりますが、その後輪西に一基作つておりますが、これは全く広畑と同型のものでありまして別に技術的な進歩はございませんので、日本に現存しております高炉は少くとも十年前のものであります。最近の欧米各国の例で調べますと相当進歩し、いろいろ原単位等も向上しておる実例が多々ございますので、今回の計画はさような意味におきまして意義があるかどうかということを検討したわけでありますが、さような意味においても意義がある。それからもう一ついろいろ問題になつております造船用材等につきまして熔接材が日本で十分できておりませんが、それを作るにつきましては現存の会社でも例えば八幡製鉄の八幡工場等でも今工場の拡充をいたしまして仕事の計画をいたしておりますが、現在のところではまだ十分さような熔接材の的確なものができておりませんので、今回の計画は殆んど全部熔接材になり得るような計画になつております。そういうようなところからいたしまして、計画自身を検討いたしましたが、計画としては合理的な計画であるという点であります。第三点は、資金的な問題でありまして、計画が非常によくても、資金的に調達能力がなければこれは実現いたしません。その資金的調達能力についても政府といいますか、国家資金をどの程度出せばできるのか、非常に多額のものを国家資金に頼らざるを得ないということであれば、その国家資金の供給ができなければ中途半端な工事に終る虞もありますので、その辺の見通しも一応いたしたわけであります。それで先ほど申しました第一期工事というものは、そこに五百トンの熔鉱炉を作り、それに続きまして平炉分解までをするものであります。これは百二十億前後のものでありますが、その程度のものとしては一応会社の収支その他の数字を見て我々のほうでも検討いたしましたが、そう多額の国家資金を注ぎ込まなくてもその辺までは一応完成ができるだろうという見通しを得たわけでございます。なおあすこに最後の圧延まで参ります計画でありますが、これは三年或いはその後になりますので、今からなかなかその先の見通しまでつきかねますので、一応第一期というところで打切りまして、そこまででも相当の効果もありますし、資金的その他の面から申しましても難点はないということで、一応通産省といたしましてはあの工事を進めさせて行きたいという態度をとつたわけでございます。
  46. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) ちよつと皆さんにお諮りいたしますが、本間次官は衆議院の本会議がある関係上、繊維関係で境野委員から何か御質問があるので、それを先にいたしましてお願いいたしたいと、かように考えております。
  47. 栗山良夫

    栗山良夫君 合理化に関する問題ですけれども、私は今日局長お尋ねする点は大体終つたわけでありますが、大臣に一遍出席を求めまして、そうして日米経済協力に関する特需関係のもので、大体アメリカ日本産業にどういうようなことを要請するのか、その内容を詳しく一つ承わりたいと思うのです。これは或いは司令部の関係がありますから、政府当局は余り詳しいことをお述べになることは好まれんかも知れませんけれども、もう現に各地の商工会議所等を中心にしまして、相当具体的に話は進んでおるわけです。特に賠償機械等の持出しが行われて、旧軍事工廠等が再活動を始めるというような情勢にもあるわけでありますから、これを一つ詳しくお話を願い、それとこの企業合理化法とはどういう関係にあるのか、その点も一つ明らかにして頂きたい。アメリカの例えば要望に応えてこういう工合に行われる事業は、アメリカの資本によつて行われるのか、或いは又日本国内で或る意味においては乏しいところから税金を注ぎ込んでそういうものをやらなくちやならんのか、この点も一つ明らかにされたいと思う。  それから第二点は中小企業に対する態度とか、それから成績の余り挙つていない大企業に対してはどういう工合にするのか、これもやはり企業局長のお考えを伺いましたけれども、それは事実を大体認定せられたのであつて政府としての対策はどうなのか、これをお聞きしたい。  それから最後に最近問題になつておる電力料金の引上げの関連でありますが、電力のアロケーシヨンの問題、電力料金の問題について私の聞くところでは、下に厚く上にますます薄くなりつつあるようでありますから、そういうような政策が国としてとられるのか、これは一種の政策料金のようなものでありますがますますそういうようなものがとられるのか、この点も方針として承わつておきたい。是非ともこの企業合理化の問題をやりまする前に大臣の出席を求めてそういう点を明らかにいたしたい。
  48. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 栗山委員に申上げます。只今大臣は政府委員室におられますから、出席を求めるように言つております。
  49. 栗山良夫

    栗山良夫君 これは或る程度資料を持つて来て頂かないと……。
  50. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  51. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 速記を始めて下さい。
  52. 境野清雄

    ○境野清雄君 私の質問したいと思うことは、先般次官が福井のほうを何か視察せられたような話がありますので、福井を視察した感想をお聞きしたいのと、同時に日本経済に出ておりますところによりますと、全国の絹人絹業界に対して二十一億円の商工中金からの救済融資を考慮しておるというようなことが次官のお話の中にありますので、こういうような問題に関しても事実がどうかという点、並びに福井の人絹織物業が沈滞しておるのをよく御存知だと思いますので、それに対してどういうような政策をお立てになるお考えか。この三点を取りあえずお伺いしたいと思います。
  53. 本間俊一

    政府委員(本間俊一君) お答えいたします。御指摘のように福井の機業関係が非常に不況にありますことは御承知通りであると思います。非常な不況にあるという感じを率直に受けて帰つてつたのであります。二十一億の融資の問題でございますが、これは実はちよつと新聞に意味を違えて書かれておるのでございまして、あそこで福井県と石川県でございましたか、両県に対して商工中金及び市中銀行を通じて五十億の融資を希望するというこういう実は御要求があつたのでございます。それに対しまして、私現在までのいろいろな経過を御説明申上げたのでございますが、自由党の政調会のほうで一月頃でございましたか、商工中金の資金源を殖やしたいということで、三つの方法がある、一つは割引債券を引受けてもらうということ、もう一つ政府の預託金を殖やしてもらう、もう一つ日本銀行の商工中金への資金枠を殖やす。この三つの方法があるわけでございますが、若し割引債券を引受けてもらうことが困難な事情があるならば政府の預託金を二十一億殖やす、こういう実はその内定と申しますか、話合いがあつたわけでございます。で、私どもといたしましても、一応その数字を実は根拠にいたしまして、一月以来大蔵大臣のほうと折衝いたしておりまするので、福井、石川両県に対しまして、仮にまあ資金源が中金にできても五十億というようなものとは非常な隔りがございまするので、その点は私どもの考えと皆さんのお考えと非常な隔りのあるということを実は申上げたのでございます。併し私どもといたしましては、できるだけ融資の面も能う限り斡旋をしたい、こういうことを実は申上げましたのが二十一億という数字になつておりまするので、その点は御了承賜わりたいと思うのでございます。それから御承知であろうと思うのでございますが、例の繊維関係の融資の問題は関係当局でいろいろ相談をいたしておつたのでございますが、商社側と紡績側と銀行側と三者で具体的な再建計画を立てつつ話合いをするということに一応話合いがまとまつたのでございますから、只今大阪のほうで私が申上げましたような線で話合いをいたしているわけでございます。それと只今中金のほうの、これは繊維というふうに限つているわけではございませんけれども、資金源を殖やしたいということで大蔵省のほうと折衝いたしているような次第でございます。今度福井に参りまして感じましたのでございますが、従来私どもが聞いておりますところが若し正確であるということでありますならば、生産会社のほうと商社と機屋さんの間にやはり感情的ないろいろな問題などもあつたようでございますが、今度行つて見ますというと、そういうような感情的な問題は大分解消しておりまして、人絹会社と商社と機屋さん、この縦の関係をできるだけ有機的な関係を結んで、そうしてそういう線からも是非とも再建計画を立てたいというような空気が非常に強いように実は感じて帰りましたので、その点は私も一つの進歩ではないかというような印象を持つて帰りましたような次第でございます。
  54. 境野清雄

    ○境野清雄君 今のお話の中の政府の預託金二十一億というお話が出たというのは、大体例の日銀の中小企業の別枠資金の十三億、それから農林中金への返却金五億二千万円、それからルース台風の二億四千万円、これを合計したものが二十億六千万円になつているのじやないかと思いますが……それから二月、三月の引揚げということになつているので、この二十一億を四月以降にずらすということの政府預託金というお考えですか。
  55. 本間俊一

    政府委員(本間俊一君) 私が聞いておりますところによりますと、大体十三億ばかりが償還期間の来ているものであるというように聞いておつたのでありますが、そこでその十三億のほうは大体話合いがつきまして引揚げないということになつたわけであります。そのほかに政府預託金で二十一億殖やして欲しいという話合いを只今いたしているような次第でございます。
  56. 境野清雄

    ○境野清雄君 そうしますと、日銀の別枠資金の十三億というのを切りますと、私の今申上げた数字から行きますと、多分農林中金とルース台風のやつが七億六千万円ばかり残つているのじやないか、二十一億の中から七億六千万円を殖やしたものの残額十三、四億というものが商工中金の資金源の増というふうな計算になるわけでございますか。
  57. 本間俊一

    政府委員(本間俊一君) 今まで出しておりますものと別に二十一億ぐらい出して欲しいという実は折衝いたしているわけでありますが、どの辺のところで落着きますか未定でございますけれども、できるだけ商工中金の資金源を殖やしたいという考えから折衝いたしているような次第でございます。
  58. 境野清雄

    ○境野清雄君 そうしますと、次官の福井へ行つて見て来た実情自体として絹人絹の状態は容易なものじやないということは率直にお認め願つたわけですが、そこでその問題の、融資問題の解決というものは今懸案になつている紡績会社と貿易商社と銀行とのこの三者の例の百二十億からの棚上げ問題が解決するまでは絹人絹の別の面の融資問題というものは考えられない。要するに三者の問題を解決した後にそのしわ寄せがどうなるかということを勘案してから、この絹人絹の機業地に対しての手を新らしく打たれる、こういうようなお考えでございますか。
  59. 本間俊一

    政府委員(本間俊一君) そうではないのでございまして、直接うちの役所が関係いたしておりますのが商工中金でございますので、繊維の不況打開も含めまして、商工中金の資金源をできるだけ早く殖やしたいという考えで折衝いたしているような次第でございます。
  60. 境野清雄

    ○境野清雄君 そうしますと、具体的には福井のほうをお廻りになつて窮迫した現状は認められたが、それに対して商工中金から具体的にどのくらいの額を福井、金沢に廻そう、或いは斡旋を通産省自体がせられるというようなことは、まだ具体的にはおきまりになつておらないわけでございますか。
  61. 本間俊一

    政府委員(本間俊一君) さようでございます。
  62. 境野清雄

    ○境野清雄君 それから今、次官からお話のありました生産会社と商社と機屋の感情問題、これはお説の通りもう解消しておる問題で、この縦の線から中小機業地としての福井あたりの再建というものはこれは相当考えにならなくちやならんということでありまするけれども、これはもう一歩掘下げて見まするならば、いわゆる生産会社というものに対して、通産省相当強力な線で機業地の再建というものに協力してもらうということをやつてもらいませんと、化繊会社自体は自発的にはなかなか出て来ないのじやないか、こういうふうに考えますが、そういうような面に対しても何か通産省としては早急にこの機業家と商社と化繊会社というものに対しても手を打たれるようなお考えなり、構想なりは持つておられるのでしようか。
  63. 本間俊一

    政府委員(本間俊一君) 御承知のように、化繊会社のほうが一月から約二割ばかり操短をいたしておりまして、福井の実は懇談会にも生産会社の六社が、代表者を皆それぞれ出して来ておりまして、特にいろいろな話合いもなすつてつたように思いまするから、人絹会社のほうも相当何と申しますか、覚悟をして話合いをしておるようなふうに実は見受けられたのでございますが、今すぐ政府のほうでどういう行政指導をするという方針、案をきめておるわけではございませんけれども、情勢に応じましては必要な行政指導は必要があればいたすほうがいいのではないか、こういうようなつもりにいたしております。
  64. 境野清雄

    ○境野清雄君 大体話はわかりましたが、いずれにいたしましても、これは次官に申上げてもなんですが、繊維局長でも来ておれば是非繊維局長の御意見を承わりたいと思いますが、大体生産設備というものが、絹、人絹織物は二十万台を越しておる、この供給原料でありますスフにしても、人絹糸にしても、或いは生糸にしても、その操短によつての、この運転率というものは大体十三万台乃至十四万台くらいきり動かないというのが現状になつておりますので、どちらにしても織機自体の生産設備のほうは過剰になつておる。言い換えればこれの生産調節を政府相当事業者団体法なり、独禁法なりに抵触しない範囲ごこれを強硬にやつて頂かないことには、今後根本的な問題は解決しないのじやないか、例えば輸出を旺盛にしましても、輸出を旺盛にして絹、人絹の織物が非常に旺盛に売れるという段階に来れば、直ちに化繊会社は六社か八社でありまするから、これは横の連絡をとつて値を釣上げするというような形になれば根本問題は解決しないと、こういうふうに私どもは考えておりますの竹、いずれ何か通産委員会からもこういう方面の機業地は視察しなければならないというような状態になつておりますので、いずれこの委員会からも派遣されると思いますが、派遣されたときには派遣議員の皆さんによくお調べを願つて再度通産省へいろいろ要求したいと思うのでありますけれども、そういう根本問題を解決されるように一つ次官も繊維局長と御相談願つて、今後特段のお力添えを願わないことには中小企業としての絹、人絹の機業者は息もつけやしないということを相当に心配いたしておりますので、一つ早急にそういう手をお打ちになるように繊維局長ともお打合せを願いたいと思います。
  65. 本間俊一

    政府委員(本間俊一君) 御指摘のように六、七万台織機のほうが多い実情にございますので、私どもといたしましても同じような実は感じを持つているわけでありまして、お説に従いまして努力をいたしたい、こういうふうに考えております。
  66. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 繊維関係でございますのでお諮りいたしますが、先般本委員会で石川、新潟、福井の三県の中小企業、主として織物業を中心として最近の実情を調査するために議員を派遣することにいたしまして御了承を得たのでありますが、最初の計画は二月下旬とあつたのを変更いたしまして、来月四日から六日間、山田、境野、小松の三君を派遣することにいたしたいと思いますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  67. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 御異議ないものと認めます。それでは手続その他は委員長に御一任願いたいと思います。  繊維に関しまして島君から御質問があるそうでありますが、ちよつとおられませんが、企業合理化のほうで先ほど島君から御質問がありましたのに対しまして企業局長からお答え申上げます。
  68. 石原武夫

    政府委員石原武夫君) 先ほど島委員から大企業中小企業通産省関係のトータルの分の、集計の数字はどうなつているかという御質問がありましたのでちよつとお答え申上げます。合計で申しますと、大企業が数では二百十一件、この大企業数字を足したものでございますが二百十一件、パーセンテージが五四%、中小企業が百八十三件、四六%。その次の減税額比率のほうで大企業のほう、これを実数で先に申しますと十一億四千二百万円、それから中小企業のほうが一億六千三百万円、比率で申しますと大企業が八八%、中小企業が一二%、こういう比率になつております。ちよつと御説明  いたします。
  69. 境野清雄

    ○境野清雄君 この減税基準大蔵省は十八億九千万円、通産省は十七億円というこの差がありますのは、どういうような問題によつて差があるのですか。
  70. 石原武夫

    政府委員石原武夫君) 只今お話申しました大企業十一億四千二百万円、それから中小企業一億六千三百万円でございますが、大体十三億ばかりになるかと思いますが、大蔵省が十七億五千万円と言つておられますのは通産省以外の産業がございます。例えば造船でございますとか、その他ほかの省の関係、農林省関係がありますが、それをトータルいたしましてたしか十七億ぐらいの数字になつているはずであります。
  71. 西田隆男

    ○西田隆男君 今の石原企業局長の申された数字は、ここに出ておりますこの資料に基いて出された数字ですか。
  72. 石原武夫

    政府委員石原武夫君) 今私が申しました件数、パーセンテージはこの資料を集計したものでございます。
  73. 西田隆男

    ○西田隆男君 それではお尋ねしますが、この欄の中の鉄製業の中小企業が2と挙げてございますね。これはどことどこです。
  74. 石原武夫

    政府委員石原武夫君) 中小と申しますのは、東京製鋼、鋼材を作る東京製鋼でございます。もう一つ、一件は東京亜鉛、針線を作る業者でございます。この二社でございます。
  75. 西田隆男

    ○西田隆男君 これは〇・二五となつておるが、設備対象は何ですか。
  76. 石原武夫

    政府委員石原武夫君) 両方とも針線設備でございます。
  77. 西田隆男

    ○西田隆男君 対象になる金額は、設備金額は……、おわかりでなければあとで調べてもらえばいいです。その次の石炭鉱業です。これも恐らくあなたのほうではおわかりになりますまい。わかつておれば中小企業炭鉱が七十六と書いてあるが、非常に数が多い。これは資源庁に聞いて資料を出して下さい。どんなものを指定されるのか……。
  78. 石原武夫

    政府委員石原武夫君) あとで調べて……。
  79. 西田隆男

    ○西田隆男君 相当金額にも上りますから、そのつもりで出して下さい。それから昨日質問で申上げたのですが、結局こういうふうな企業指定されれば、この各企業設備、施工、設備を使い始めてからの原単位というものが問題になつて来ると思うのですが、それも一つわかるだけお調べ願つて、この次一つ説明を願いたい。というのは、本日私は予算委員会に行つて来ましたが、安本から出た資料でいろいろの物資に対する生産指数の見通しが出ております。ところがこの通産省から出された資料の中で、減税対象にはしてあるが、安本から出た資料によると生産の量が減つていると、見通しが減つているというような資料がたまたま幾つがありました。結局原単位の問題も企業合理化の問題も近代化の問題も生産数量が殖えるという前提の上に立つての問題であろうと思います。生産数量が減つて原単位が殖えるということは考えられない。そういう点を安本とも一つもう一遍打合せをされて、そうして説明をお伺いしたいと思うのです。特に炭鉱のやつをお願いしておきたいのは、炭鉱の大手十八社の二十七年度の生産見通し、それからここに七十六も中小炭鉱が出ておりますが、中小炭鉱が七十六あれば、七十六の炭鉱の生産見通し、二十六年度の見通しと、実績がわかつておれば実績、一—三月の見通しなら見通しという数字一つ。その際安本の四千九百万トン石炭生産計画に当てはめられるならば当てはめて出して下さい。そうしてこれは資源庁に聞けばすぐわかると思いますから……。ほかのやつの資料はここで申上げるまでもなく、安本から資料を取られて減税対象にしておつて、なお生産数量が減つているもの、或いは殆んど変りのないもの、或いは殖え方の、殖える量の小さいものというようなことを拾い上げて、なぜこういうことになるのか安本と打合せてこれも御説明願いたい。例を一つ引いて見ましようか。例を引くと、安本では自動車、あなたのほうは自動車としてありますが安本のほうはトラックと響いてあります。この数字が殆んど増加していない。二十六年度、二十七年度の生産見通上は殆んど変らないという状態になつておる。それから精製石油業、これは石油業となつておりますが、これなんかも殆んど変つていない。原油を加えると減つているというような状態になつている。石油業に対する対象がどういうものか詳しく見ておりませんが、石油精製業と書いておるようでありますが、原油のほうは関係ないかも知れませんが、減つているというような数字が安本の資料では出ております。そういうものを一つ御検討を願つておきたいと思います。  それから同じく安本の資料で工作機械の製造業というのは、あなたのほうではこれは相当減税対象になることになつておりますが、安本の指数で行きますと、二十六年が二一〇、二十七年の見通しが一一四、僅か四%生産数量が殖えるというような指数が出ておるようであります。これは通産省との間に十分な連絡があつていないのだと思いますので、一つ安本と話合われて、これに基いてあなたのほうでお出しになつ資料の御説明のときに一つ詳しく調べて比べて御説明願いたい。
  80. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  81. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) それでは速記を始めて下さい。  本日はこの程度で散会いたしたいと思いますが御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  82. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 御異議ないものと認めまして散会いたします。    午後四時二十三分散会