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参考人(瀧貞雄君) それでは私から具体的に御
説明申上げます。
只今栗山先生から御
説明になりましたので大略
はおわかりに
なつたと思いますが、この問題に関しまして最もよく御存じの玉置局長を目の前にして私から申上げるのもどうかと思うのでありますが、
一応私
どもの
考えましたことを申上げたいと思います。
御
承知のように戰前は一千二百万錘余りの
設備を持
つておりまして、発表
されておりますところによりますと、そのうち約八百万錘は稼働してお
つた、こういうような
状態にな
つておりましたが、戰時中に約二百六十三万錘にまで減少したのでありまして、これは御
承知のように、繊維
産業が平和
産業であるという
理由から軍需工場に転換されまして、順次削減されて行
つた結果がこう
なつたわけでありまするが、戰後先ず最初に
日本の経済の建直しのために手を付けられましたのが繊維
産業の復興であります。四百万錘の復元が許可されまして、直ちに繊維機械の生産が要望されたわけなんでありまるが、御存じのように、戰時中に機械工業は非常に膨脹いたしまして、戰後最も確実なる見通しを持
つておりました繊維機械
産業に対しましてメーカーが殺到した、そういうふうな形になりまして、その増錘も戰前に比べまして飛躍的な増錘を完了したわけであります。具体的に申上げますと、一九四六年には二百六十三万二千錘ありましたのが、一九五一年には六百四十九万錘、すでに六百七十万錘を超過しておる、こういうような状況にな
つております。最高時におきましては、
只今栗山先生から
お話がありましたように、三十万錘を超過するというふうな生産高を挙げたわけであります。それに応じまして、労務者のほうにおきましても、平常なる
状態におきましては約四万人の労務者が必要であ
つたのでございまするが、最高のときにおきましては七万人を超えるという
状態にな
つております。現在すでに人員整理が行われまして、六万台にな
つているじやないか、こういうふうに
考えておりますが、これは正確な調査は現在のところできておりません。この七万人の労働者と申しますと、機械
産業の中におきましては最大の大きな
産業にな
つておりまして、鉄鋼製造業におきましては六万六千人、それから強電機器
関係におきましても六万七千人、それから繊維機械におきましては約七万人、こういうふうに機械
産業の中におきましても最大の人員を占める
産業と、こういうふうに
なつたわけであります。又輸出
関係におきましても、これは一九五〇年の四月から五一年の七月までのトータルでありますが、繊維
関係が機械
産業の中の二五・八%を占めておる、こういうふうな輸出
産業におきましても最も大きな比率を占めるくらいの
産業に成長して来たわけなのでありますところが先ほど栗山さんが申されましたように、
国内にすでに六百七十万錘
程度でストツプされております。又輸出
関係におきましても今までの輸出の約七五%を占めておりましたパキスタン、これがポンドの不安定、そのための英国繊維界との価格の競争、こういう
関係で約三十万錘の引合いがあるという
お話でありますがそれが契約がまとまらない。又ブラジルにおきましては、これはすでに輸出超過にな
つておりますので、これ又契約がまとまらない。アルゼンチンも同様であります。このように大口の輸出
関係が全部契約がまとま
つておらない、こういうふうな
関係にな
つております。約七万人を擁しております繊維機械の需要が全然ストツプされた、こういうような
状態にな
つております。大体見通しとしましては、私の聞くところによりますると、約年間百二十万錘の生産を上げる見通しがあるとかいう
お話を聞いておりまするが、現在の陣容から行きますと、平常なる
状態で約二百四、五十万錘というものができ得るのではないか、そうしますと、その半数の人員
設備でその
計画がなされる、あとの半数は当然転換か或いは整理、こういう形にな
つて行くのではないか、こういうふうに思うのであります。現在工作機械の転換が盛んに言われておりますが、繊維機械のメーカーは御
承知のように工作機械專門ではございません。戰時型工作機械は或いはできるかも知れませんが、アメリカの要望するがごとき精密なる工作機械がすぐ生産できる、こういうふうには
考えておりません。たとえできましてもそれは一年先、或いは二年先、そういうような
状態にありますので、その間どういうふうにして繋いで行くか、これが私たちの最も心配しておるところなんであります。これに関しまして、
只今笹島
委員長が申しましたように、
国内の需要を拡大する、これは我々として一番最初に要望したい問題でありまするが、この点につきましても是非お願いいたしたいのであります。又中国方面から相当な需要が来ておる、すでに五万錘二口向うから正式に話が来ておる。そのバーターとして適道炭二十万トン、合計五十万トンの適道炭のバーターが来ておる、こういうような話もありまするし、中国の本当の需要はどうかといいますと、約四億からの人民がおりますので、これに対する相当大幅な需要があるのではないかと
考えております。現在中国方面にはスイス、西ドイツ、英国製品が入
つておる、こういうような
状態にな
つておりますので、若しこのまま置きましたならば、隣りの中国におけるこの繊維機械は外国により占められてしまう。一旦外国の製品が入りました以上は、中国という国は御
承知のように統制経済を実施しておりまするので、同じ機種の、同じ種類の機械が続いて要望される、こういうような結果になるのじやないか、
日本が進出する余地が全然なくなるのではないか、こういうふうに
考えておるのでありまして、是非この際中国に対する需要に応ずる輸出の許可をお願いいたしたい、こういうふうに思
つて請願したわけであります。バトル法におきましては、幸いにアメリカから示されました機種の中には繊維機械は現在のところ載
つておりませんが、併し長官と申しますか、長官が決定する、品目の中に若しこれが載りますならば、中国に対する需要が全然なくな
つてしまう、そうな
つて来ますと、当然縮小或いは閉鎖という形にな
つて来ます。この点是非お願いしたい、こういうふうに思
つて請願したわけであります。つよろしくお願いいたします。