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1952-02-22 第13回国会 参議院 通商産業委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年二月二十二日(金曜日)    午前十一時三十九分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     竹中 七郎君    理事            中川 以良君            結城 安次君            栗山 良夫君    委員            松平 勇雄君            山田 佐一君            加藤 正人君            山川 良一君            小松 正雄君            島   清君            境野 清雄君            西田 隆男君            松浦 定義君   政府委員    公益事業委員会    委員      宮原  清君    公益事業委員会    事務総長    松田 太郎君    通商産業省通商    企業局長    石原 武夫君    通商産業省通商    機械局長    玉置 敬三君   参考人    全国纎維機械産    業労働組合連合    会執行委員長  笹島  守君    全国纎維産業労    働組合連合会生    産部長     瀧  貞雄君    豊田自動織機製    作所東京出張所    所長      伊藤 芳三君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○ポツダム宣言受諾に伴い発する命  令に関する件に基く公益事業委員会  関係命令措置に関する法律案  (内閣送付) ○企業合理化促進法案衆議院提出)  (第十二回国会継続) ○通商及び産業一般に関する件  (纎維機械に関する件)   —————————————
  2. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 只今より通産委員会を開会いたします。  公報にてお知らせいたしました通り、三つばかりありますが、順序を変更いたしまして、ポツダム宣言受諾に伴い発する命令に関する件に基く公益事業委員会関係命令措置に関する法律案を議題といたします。  本案に対する政府側提案理由説明を求めます。
  3. 宮原清

    政府委員宮原清君) 私宮原委員でありますが、今日実は委員長松本委員が出席し、皆さんに親しく申上げるべきでありますが、あいにく少しく疲れておりますので、勝手ながら私が代つて説明申上げる次第であります。どうぞ御了承を願います。  それでは只今委員長から御提示になりましたポツダム宣言受諾に伴い発する命令に関する件に基く公益事業委員会関係命令措置に関する法律案提出に当りまして、その提案理由を申述べます。  日本国民が久しく待望しておりました平和条約は、先の第十二回臨時国会において我が国の比准を完了し、その効力発生を見られる日の遠くないことは、我々として誠に喜びに堪えないところであります。この平和条約発効に伴いまして我が国は完全な独立国家として国際社会に復帰することとなり、終戰以來六年有余継続されて来た連合国による管理行政から解放されることとなるわけであります。  従つて昭和二十二年九月、連合軍最高司令官の要求に係る事項を円滑に実施する目的を以て制定されましたポツダム宣言受諾に伴い発する命令に関する件(勅令第五百四十二号)は、平和条約効力発生の日において廃止することとし、別途右勅令廃止に関する法律案国会提出されていることは、すでに御承知通りであります。この法律案によりますれば、勅令第五百四十二号に基く幾多の命令は、別に法律廃止又は存続に関する措置がとられない場合においては、平和条約発効の日から起算して百八十日間に限り、法律としての効力を有するものとされております。  勅令第五百四十二号に基く公益事業委員会関係命令といたしましては、一昨年十一月十四日制定され、同年十二月十五日から施行されました公共事業令及び電気事業編成令の二政令があります。このうち、公共事業令は、電気事業及びガス事業の健全な発達を図るため、これら事業に対する規整の根拠規定を設けると共に、電気事業及びガス事業運営調整機関である公益事業委員会の組織、権限、所掌事務等を定めるものでありまして、今後ともその効力を存続させる必要があると考えられるのであります。次に電気事業編成令につきましては、昨年五月一日、発送配電を一貫した新電力会社の発足により、一応所期の目的を達成したわけでありますが、再編成に伴う出資又は譲渡設備移転登記その他の事務を円滑に処理するため、なお同令中の相当部分規定効力を存続させる必要があるのであります。以上申述べましたような理由により、政府公共事業令及び電気事業編成令平和条約発効後も法律としての効力を有せしめることを適当と考え、今回この法律案提出することといたしました。右の事情を十分御了承下さいまして、愼重御審議の上、速かに本法案を成立させて頂くよう特にお願いする次第であります。
  4. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 只今説明に対しまして御質疑はありませんか。ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  5. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 本法案質疑はこの程度にいたしまして、公益事業委員会においてお考え電源開発に対する御意見を承わりたいと、こう思います。
  6. 宮原清

    政府委員宮原清君) 私もまるでわからないことはございませんが、より正確にお話のできる事務総長からさして頂くことをお許し頂きたいと思います。
  7. 松田太郎

    政府委員松田太郎君) 電源開発促進の問題につきましては、今日電源開発をあらゆる意味で急いで行わなければならんということは、もうどの面からも御異論のないことだと思うのであります。然らばどういうような形態によつて電源開発促進して行くのがいいかという点にまあ大きな点があると思うのでありますが、そういう点につきましては、経済安定本部なりその他関係各省一、公益事業委員会も入りまして、十分その間の意見調整図つて、何とか政府として案をまとめたいという意味で昨年末以来いわゆる電源開発連絡会議と申しますかが経済安定本部にまあできておりますのでありますが、今日まで余りまだ回を重ねた審議は行われていないのであります。そこでややもしますというと、公益事業委員会の案があり、又経済安定本部の案があつて、両方の案が如何にも対立しているように新聞等において世間に流布されている点もあるように思うのでありますが、まあ率直に申しまして、経済安定本部とせられましても又委員会といたしましても、要は講和条約発効後において電源開発促進して参ります場合にやはり先立つものは資金の問題でありまして、まあこれについては二十七年度におきましても従来に比べれば相当多額の見返資金等政府のほうとしては付けてもらつております。それから又いわゆる自己資金と申しますか、各電力会社において調達をいたしますべき金額についても、これは相当努力を要しなければならない多額金額を一応資金計画としては計画しておるのであります。併しながら今後三カ年なり或いは五カ年なり電源開發計画を立てまして進めます場合に、結局政府資金民間資金を通じまして、幾ら努力をいたしましても、やはり不足の金額は出て参るのであります。でそういう意味から申しまして、やはり外資に期待をしなければならん面が出て参ると思うのであります。  そういう場合に結局電源開発促進して参る、それに対してどういう機構を作るということが結局外資導入する場合に適切な受入態勢になるかというところに問題の鍵があると思うのでありまして、まあそういう意味でいろいろ安定本部安定本部として考えており、又私どものはうは私どものほうとして、従来の経緯等から一応の考え方を持つておるのであります。そういう意味で一応今日は公益事業委員会としては、大体こういうまあ考え方を持つておるという点を御披露だけしておきたいと思うのでありますが、つまり、この電気事業の再編成をいたしまして、従来の日発形態をやめまして、いわゆる発電、送電配電を一貫して運営する独立電気事業会社というものを九地域に別々に作りまして、どこまでも民有民営という形態で、いわゆる民間企業としての性格をはつきりして進めて参ろう、こういうことになつたのであります。従つて今申しましたような点とそれを結び合せますならば、一番の理想論は、結局電力会社が今後仕事をやつて参ります上において一番の隘路が先ほど申しましたように資金の点にあるのでありますから、この資金民間企業として調達し得ない部分については国がこれを援助するという行き方が一番いいであろう、そうして実際の運営は現在の電力会社が、或いは公益事業として県がおやりになつておる事業でありますとか或いは自家発として各社のほうでいろいろお考えになつております方法なり、そういう方法はそれぞれの必要に応じてやればいいのでありまして、結局今申しました資金の面を国のほうから足らずまいを何んとか出してもらうという形にするのが一番いいのじやないか、要するに資金は足らずまいを国がみて、運営はそれぞれの既存企業形態においてやるのが一番いいのじやないか、こう思うのであります。まあそのときに例えば只見川開発でありますとか、或いは天龍川の開発でありますとか或いは四国の吉野川の開発でありますとか、そういうような相当大規模な電源開発について従来の電力会社既存計画を一方において行い、而も他方においてそういう大電源地帯開発を並行して行い得るかどうか、又先ほどから申しますようにできるだけ速かに開発をしなきやならん場合に、いわゆる二兎を追う者一兎を得ずというようなことにならないかという点から、委員会といたしましてはやはり今申しましたような地点については、例えば只見川については東京東北電力会社がお互いに協力し合つて出資合つて、そうして又或いは化学工場でありますとか金属工場でありますとか、今後の産業として特に電力消費が非常に多い、そういう需用家については各人会社に対して出資その他の形式で協力をして頂く、そうして必要な足りない資金については国のほうから貸してもらう、そういうような形で進めて行く必要があるのじやないか。又同じような形態が例えば天龍については東京と中部両電力会社出資をして、今申しましたような方法を附加えて考えて行けばいいのではないか、他の地点についても同じようなことが言えると思うのでありますが、そういうようなつまり水系別にそれぞれの新らしい開発会社作つてそうしてこういう具体的な開発計画を立てておる、これに対してはどうも日本国内資金というものではここまでしか賄えない、従つて足らずまえ幾ら幾らについて外資を入れてもらわなくちや困るという、要するに問題はどの地点外資を入れてもらうかという点についての具体的の計画を立て、従つてそれに対して外資を入れてもらうにはどういう受入態勢でそれをやつて行くのが適当であるかという点を考えます場合に、先ほど申しましたような精神から申しますれば、今述べましたような形態にして進めて参るのが最も適切な方法ではないかと考えておるのであります。併し最初申上げましたように、結局この問題は外資問題を期待しての構想でありますので、外資を入れてやろうというアメリカその他の国々がこの方法を是とするか否とするか、結局最後はそこにかかつて来るのだろうと思うのでありまして、従つて安定本部の行うで考えられておられるような形態においてやる場合でも、それが外資導入に最も適切な方法であるということになれば、何も委員会としてもただ抽象的に観念的な論争をして、それではいかんのだということを言うつもりは毛頭ないのでありまして、もう少し今申しましたような大きな目的を達成するためには、委員会としては今申しましたような線で進んで参ることが最も適切な方法であり、又従来の経緯、又現在司令部等意向等から推してそれでいいのじやないか、こう考えておるのであります。又この問題につきまして、将来詳細御説明する機会もあるかと思いますので、大体の考え方だけを、時間もございませんので、お許し願いたいと思います。
  8. 西田隆男

    西田隆男君 今の松田さんの御説明一つ考え方だと思うのですが、その中に実際の消費者の面から考えたらもつと大事なところが抜けておると思うのです。先ずその第一は電力融通に関する考え方、それから第二は地域差料金をどう考えて今のような構想をとつておられるか、この二つの点についてちよつと公益事業委員会考え方一つ承わつておきたい。
  9. 宮原清

    政府委員宮原清君) 十分でないかも知れませんが、私から御返事申上げます。消費者のかたがたがこの所在的の地域差があるため、若しくは電力料金がどういうことになるかということを痛切に懸念しての御質問御尤もだと思います。これは実は再編成した精神一というか、又その裏付になりました各電力会社地域的に独立するということと、従来発送電が一本で、日本中の電気に対する料金の均一であつた時代のその移り変りについての各人の認識の相違しておるところから来るものだと感じております。この点は恐らく将来とも相当な論議の種になることだと思うのであります。只今まで委員会のほうでとつて参つた方針と申しまかす、措置はやはり再編成精神から申しますと、各地域独立、これを認める、地域的の幸、不幸については必ずしも度外視するわけではありませんが、重点的にそれを主とするということでないというのが今までの実際であります。その点については御承知のことだろうと思います。但し地域における差が如何に消費者における自分の仕事の成立に影響するかということは、これは申すまでもないことでありまして、それらについていろいろ御事情があり、殊に過去においてさような電気料金をもらつてつたということを一挙にそこまで変えるということについての議論は大方今までも相当濃厚であつたと思います。又委員会はたしかその法令によつて定められた中に、調整しなければならない地域における差等を余り激しくしないという事柄がございますので、これは相変らず相当な努力をいたして、その差等の必ずしもないということではありませんけれども、できるだけ少くするように努力するということが使命だというふうに考えておる次第でございます。なおそれから今のお話電気料金に関する地域の問題ということになれば、或いは火力地帯水力地帶が違うということに対する調整方法というようなこともございますので、現に水、火力調整金相互交付をしておるようであります。この程度議論を残すとしましても、要するに各自の独立をそれほど制約されて恰もプールに等しいようなところに行くことをただ潔しとしないだけでありまして、この現状については国の状態からすれば今のところはまあまあいたし方ない部分が多いと思います。西田委員の御懸念の点については、恐らく又別個の見地から御議論があると思いますが、委員会がとつております只今の態度はさようなことでありますから、御了承願いたいと思います。
  10. 西田隆男

    西田隆男君 宮原さんのお話を聞いて、どうも電気の再編成当初において公益事業委員会のお考え方、並びに国会等において論議された問題について若干あいまいな点があるように私には受取れるのですが、電気の再編成当時において地域差料金をどうするか、水力火力調整料金の問題をめぐつて随分論議された問題であつて、要するに日本産業構造実態そのものが、あなたがたが今お考えのような九電力会社独立採算制ということだけに重点の置かれないような実際の状態にあるということは、これは言うまでもなく御承知のことかと思います。なお又今回考えられておる電源開発会社の問題にいたしましても、松田さんは今外資導入外資導入という言葉を使われましたが、主として水力電源開発に対する外資導入考えられておるようで、火力電源開発に関する外資導入ということは、おくびにも考えておらないようにしか受取れない。そうすれば日本の現在の水力電源状態から考えてみまして、火力によらざれば産業を賄い得ないというような、例を挙げれば特に九州のごときこの電源開発について公益事業委員会がどう考えておられるか、而も水、火力電源開発には一キロワツト当りの単価にどういう差が付くか、私は詳しくは知りませんが、若し差が付かなければ将来の電力料金の問題に対して大して懸念する必要はないと思います。若し差が付くということになれば、これは調整料金の問題が今までよりももつと大きくクローズ・アツプして考えられなければならないと思う。あなたの考えでは電源開発ができれば、ただ水、火力地域差料金というものを公益事業委員会が或る程度調整はするけれども、今までのような水、火力調整ということに重点を置いては考えられないというように私には聞えたのでありますが、むしろ水力電源開発重点を置いて開発すれば開発するほど地域差料金というものは大きく取上げて考えられなければならん問題ではないかと私は考えております。殊に九州ばかりを例にとつて恐れ入りますが、九州産業の将来の開発発展電源開発がなくて、電力融通が完全に行かなくて水、火力料金差がべらぼうに付いたならば、九州産業自体がつぶれてしまう、九州産業がつぶれて日本産業の興隆は考えられない、日本経済の安定も考えられないというほど九州は非常に重要な産業地帯でもあり、この産業設備そのもの水力電源の多いほうに松田さんの考えておられるように、或いは司令部考えておるように逐次移転をして、電源のある所で事業をやつたらいいじやないかというようなことは、それは言うべくしてなかなか実行のむずかしいものだと思う。従つて私お尋ねしております電力融通をどうするかという基本的な考え方、それから水、火力調整料金をいつまで大体続けて行くことによつて電源開発が完了して、そう差のない料金日本産業が生きて行けるかというこの二つの問題は、電源開発会社を作られれば作られるのに並行して、公益事業委員会としては基本的にもつとはつきりした考え方で善処して参らないと、電力の再編成当時と同じような紛糾を巻き起す虞れが十分にあると思うのです。そこで一つ、おきまりになつたわけではありますまいけれども、基本的な考え方一つもう一ぺん電力の再編成当時に遡つて水火力料金調整は五年なら五年これはやるんだというふうな基本的な考え方なのか。或いはできるだけ早くやめたい、実情はどうあつてもやめたいというお考えなのか。それから電力融通の問題にしたところで、九州なんかについては結局送電幹線を作らなければ火力が余つた場合に火力が送れない、水力が余つた場合も水力が送れないという状況です。この問題については委員会としては何らかの結論を持つておられると思うが、その点を御面倒でしようが、もう一ぺん御回答願いたい。
  11. 宮原清

    政府委員宮原清君) 大きな問題でありますので、私がここで即座にお答えをして割り切れるようなことはできないと思いますが、只今お話の中で、水火力調整は当初において約束した五年を継続するのかという点に対しては、継続することだと承知しております。  それから今の通り差等を成るべく少くするということにつきましての考え方もやはり私どもは堅持いたしております。ただ御承知通りここで今の公益事業委員会存在自体についての議論もあるくらいのことでありますから、そういう曉において根本的に或いは人も変りましようかも知れませんから、併しこれは国全体の非常な問題でありますと私は感じております。相当愼重に我々の間にも重ねて論議をいたしまして、西田委員のお説として今は傾聴したということにとどめておきまして、追つて十分な事柄については、篤とこれはただ一つの一人一個の考え方だけできめるような小さな問題じやないと思いますので、御懇談申上げて、いわゆる日本における重要な人々の御意見を総合的に考え、むしろ国際的な問題にまで発展し得る事項だとも考えております。いささか仕事をしている者から言えば、今のお感じは御尤もでありまして、これに対してどうするかということは單なるイデオロギーに終始すべきものではないと思うのでありますが、併し九州地帯といえども水力はおいおいに開発されつつあります。同時に又この再編成当時における決定の事項については御推察はできようと思いますが、必ずしも日本だけの考え方でできなかつたよな事情も、そういうことも申していいかわかりませんが、その部分は除いて頂かなければならんかも知りませんが……というようなこともありますので、これは今御意見がありますように、どしどし御意見を述べて頂くことによつて、若し委員会がそういうことに対して間違つておるということであれば、十分な御指摘を頂いて、共にこのことが国内的に誠に都合がよく行くという方向に少しでも近付けなければならんと思います。現にある地域差も相当御苦情があります。又その他のことについてもいろいろありますが、ただ電気というものは生産品全体のどれだけの部分を持つておるかという、品物によつても条件が違つて参るのでありますから、司令部あたりが言うことは、結局電源の所在地においてこそ電気を多量に使うものを製造すべきである。距離が遠い所において興るべき産業はおのずから別だ。ここにただ一つ過去においてそういう仕事をしておるものに対する非常な制約であるということは、極端なことを言えば或る程度の賠償を求めるというようなことも成立つかも知れない。要するに国の政治の全体の問題に属することのように平常から感じておりますから、これは私一個の意見としてのお答えにさして頂きまして、この程度でお許しを頂きたいと思います。
  12. 西田隆男

    西田隆男君 もう一点、さつき申しました中に、外貨の導入ということは電源開発に関しても水力電源開発だけが大体目標になつて考えられておるようですが、火力電源開発に対して公益事業委員会としては外資導入なり、或いは国内預金部資金とか財政資金その他の注入によつて火力電源開発するということを基本的に考えられておるのか、或いは火力電源開発は各電力会社の自由というか、電力会社資金作つて開発せよという考え方でおられるのか、その点をもう一ぺんお答え願いたい。
  13. 宮原清

    政府委員宮原清君) 松田君からお答えしてもいいのでございますが、ついでですから私から申上げます。現に九州とか中国とかの火力地帯において火力設備をするということは我々の開発の一環でありまして、決して水力だけということではございません。松田君が例にとられました東北だとか東京を以て只見川開発するというふうに、ひとり水力だけを申したものですから、それは特殊会社を作る場合のことでありまして、今の開発全体の考え方のうちには勿論次第にもつと大きな火力を作らなければならんと思います。なおこれは私の素人考えでございますが。日本の昨年にあつたような渇水事情考え及びますというと、いわゆる何十年目の渇水だというふうなことだけでは仕事の上にすべての問題が不都合になるのでありますから、そういうことがありとすれば、そういうことが来たときに処する面において予備的な火力というものが十分な水力のある地帯においてもなお必要だということを、むしろまざまざ見せられたという感じもいたしますので、火力をゆるがせにしておるということは委員会考え方としてはないのでありますから、その点はどうぞ御了承願いたい。
  14. 西田隆男

    西田隆男君 もう一点、これは松田さんで結構です。二十六年度の各電力会社の総販売電力量といいますか、それと大体二十六年度の総収入予定がわかつてつたらこれを一つ知らせて頂きたい。
  15. 松田太郎

    政府委員松田太郎君) 今その点の資料を持つてつておりませんので、資料にいたしまして正確な点を御覧に入れたいと思いますが、恐らく今のところでは二十六年度全体とは行かんと思いまして、二十六年の一月から十二月、一年間とお考え願いたいと思いますが、大体電力量につきましては、一月から十二月まで二百九十七、八億キロワツトアワー出ております。そのうち販売電力量がどの程度になつておるかというような点についてはなお検討いたしたいと思います。それから今の総収入金がどうなつておりますかはちよつと今ここに資料がございませんので、改めて調べまして御提出させて頂くことをお許し願いたいと思います。
  16. 西田隆男

    西田隆男君 御面倒でしようがもう一点、これは最近新聞で見ますと、事業者間に電力料金を値上げしなければならんという考え方が強いようです。公益事業委員会も値上げをしなければならんというお考え方を持つておるようです。新聞で三割とか二割五分とか言われておりますが、これの日本の物価に及ぼす影響は非常に大きな影響がありますが、事業者側から申請されたものに対して公益事業委員会では十分御検討をされたと思いますが、仮に三割電力料金が上ると仮定した場合の日本の諸物価に及ぼす影響等に関する資料を、公益事業委員会としても電力料金をおきめにるな場合、公聴会等での意見を聞かれて決定される場合にはお作りになるでしよう。できましたら一つできるだけ早く委員会提出して頂きたい。これをお願いしておきます。
  17. 山川良一

    ○山川良一君 先ほど松田さんからの説明もありましたが、私は大体いろいろな点では各方面の意見は一致している、ただ問題は最後に言われた大水系等の開発をどうするかというこの開発というものについての様式、従つてその内容についてだけ異論があるように考えておりますが、その点公益委員としてどういうふうに考えておられますか。大水系の開発計画だけが問題になつておる。小さい点は別でございますが……。
  18. 宮原清

    政府委員宮原清君) ちよつと失礼ですが、今の御質問の趣旨がぴたつと私に入りませんが、つまり委員会考えておる世間の論議の対象になつておるものは、大水系に対する会社を幾つにするとか、そういうようなことだけかと思つておるかという御質問でございますか。
  19. 山川良一

    ○山川良一君 そうではないかと私感じておるが、如何でございますかということです。
  20. 宮原清

    政府委員宮原清君) 問題になつておるのはそれだけかということですか。
  21. 山川良一

    ○山川良君 ええ。
  22. 宮原清

    政府委員宮原清君) そういうことなら非常に大きな問題でありましようが、委員会は自分の考えておるこの今の電源開発論は、各地区に対する所要のものに充てるように如何にして配分するか、つまりその所在についての議論がそこに出て来るわけでありまして、それが今申上げたように、火力の問題をも考慮しておるということと併せてお考え願いたいと思います。
  23. 山川良一

    ○山川良一君 わかりました。私細かく申上げますが、只今宮原委員から御説明なつたように、いろいろなことを開発しなければならないが、今の政府といえども、自由党案といえども、その他各方面で言われておるのも民営、これはまあ九電力会社も入れば、自家発も入り、或る場合には公共団体も入りますが、それに政府資金等を入れてできるだけは開発するんだ、結局大水系はそういう民営ではできそうもないから、特殊会社或いは公社でやる、それが又一社、数社の意見はありますが、あとの問題を公益委員のほうでは民営みたような恰好で行きたい、それも水系別に行きたいという、大水系をどうするかということであつて、その他のことは公益委員考えておられることと、或いは政府その他で言われておることの大体細目については別でございますが、大局から見て異論はない。だから大水系だけをどうするかということが大きな問題として残つておるのだと、私はこう考えますが、松田さんはどうお考えになつておりますかということです。
  24. 松田太郎

    政府委員松田太郎君) 大体のお考えはよくわかりましたが、そうほかにやはり一つ大きな問題が残つておると思いますのは、結局まあ資金その他の問題が十分円滑に行きましても、実際に具体的に開発します場合の問題は、水利権の問題だと思います。それで現在経済安定本部考えておられますのは、先ほど申しましたような電源開発の連絡会議というものを法制化いたしまして、電源開発調整審議会でございますか、仮称でありましようが、そういうような審議会において、水利権等の問題についてそれぞれの地点開発担当者の間にいろいろ意見の合わん場合には、そこで大体協議をして、そうしてまあその協議をした結果によつて、或いは建設大臣に対して一つ命令をすることができるというような恰好になつておるようでありますが、その点についてなかなかこれは電力問題もございますし、或いは治水関係、或いは灌漑用水の関係、要するに水の力の大きいだけに、各方面における利害関係が非常に大きいわけであります。特にこの国土総合開発というような点から見ますと、その辺の調整がなかなかむずかしい問題だと私は思うのです。そのてんがいろいろの利害関係の上からして、どういう工合に最後の処理をして行くかということが、決定が遅れれば遅れるほど実際の電源開発は遅れて参ります。併しその水利権の問題について、各関係当事者の間で話が付かん場合には、例えば水利調整委員会と申しますか、現在土地収用等の問題で審議会とか委員会がございますが、そういうようなやはり特別の調停機関があつて、そうしてその調停機関で第三者として、公正に申出を十分検討した上で結論を出す、その決定に対しては誰もそれに従つて行くのだというような、そういう制度を併せて研究しておかなければ、この水利権の問題で実際問題としてはいろいろ難関に逢着することがあるのじやないかという点を懸念いたしまして、私のほうはそういう案は経済安定本部のほうに出しておりますが、その点が実際の運営の問題については大きな問題じやないかと思つております。
  25. 山川良一

    ○山川良一君 私の申上げたのは、開発に附帯するほかの問題がありますが、同時にどういうような形態開発するかという点についてお尋ねしたので、その点は同じようでありますから申しませんが、それから先ほどの御説明の中に、公益委員案が司令部で支持されておるようなお話がありましたが、それは実際でありますか、この点お示し願いたい。
  26. 松田太郎

    政府委員松田太郎君) 公益事業委員会の案が司令部で支持されておるという表現はしておらんつもりであります。要するに従来の経緯その他から見まして、又司令部が従来からいろいろ電気事業の再編成とか、公益事業のあり方等について話しておるような線をこちらで考えて見ればという程度のことでありまして、何もこれに対して向うが支持しておるとか、支持していないということは申上げません。
  27. 山川良一

    ○山川良一君 もう一つ、これは希望かも知れませんが、実はこの委員の中の松永さんは、九つの電力会社に分けても外資導入に差支えない、できるのだということをあの当時極力言われたわけであります。公益委員として言われたわけであります。そのときに私は、本州は二分断のほうがいいということを実ははつきり申上げておるかと思いますが、ケネデイ氏自身がそのほうがいいだろうということを最後に認めておりまして、それはともかくといたしまして、その九電力会社に分けても外資導入ができると言つておりながら、それでは外資導入資金が思うように行かないから、又何やら作る、それならできるのだという主張だけでは、九つの電力会社に分断しても外資導入ができると言つておきながら実際できなかつたように、今度も水系別に民営みたような会社を作れば外資等の導入ができるはずだと言われただけでは、私どもは納得できませんので、やはりこういう会社を作る、こういうふうに資金計画がなつてつて、それにはこういう裏付があるのだということを一つあとではつきりして頂きたい。と申上げますことは、或る会合の席上で、そういう計画が具体的におありになりますかということを私、電力関係の人の出席している会合で申上げたところが、一つも具体的な説明がなかつたのであります。ですから具体的な裏付がないものをできるはずだと言つたところで、私ども納得しかねますので、私は具体的な裏付の御説明ができるように御準備願いたい、これはお答えはよろしうございますから。   —————————————
  28. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) この問題はこの程度にいたしまして、企業合理化促進法案を議題といたします。この企業合理化促進法案に対しまして、大蔵委員長から申出がありましたので、皆様のお手許に配つてありますが、読み上げまして御協議を願いたいと思います。  昭和二十七年二月二十一日       大蔵委員長 平沼彌太郎  通商産業委員長竹中七郎殿  「企業合理化促進法案」に関する申入   「企業合理化促進法案」については目下当委員会において審議中の租税関係法案と密接な関係があり、これら租税関係法案との関連において、「企業合理化促進法案」を更に検討致したいと思いますので、速かに結論を出したいと存じますが、本法案の貴委員会における決定を暫らくお待ち願いたい。   右、当委員会の総意を以て申入れする。 こういうことになつておりますので本日はこの企業合理化はこの程度にしますか、どうですか。
  29. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 企業合理化促進法案審議資料一つ私お願いしておきたいと思いますが、実は一昨日でしたか、我々が要求しておりました第六条の指定業種の機械の明細表を頂いたのでありますが、あれについて資料をお願いしたいと思います。企業合理化促進法案第六条の規定による指定事業です。業種の種類、特別償却の適用を受けるべき設備、私が伺いますのは、この企業合理化促進法案政府側説明は、今までのところ終始しまして大企業、中小企業等の差等を設けることなく及ぼして行きたいということに一貫しておつたと思います。ところが実際この第六条の規定による指定事業の案を見ますると、相当設備としては大企業に属するものに関係するものが多いように私は思うわけであります。従つて資料としてお願いしたいのはここに提示されたこの特別償却の適用を受けるべき設備ですね、こういうものを将来取得する事業体が大企業と中小企業に分けまして、大体どれだけほどの比率になるのか、その見通しを立てて頂くということであります。  法人税の軽減は大体十億乃至十五億予定をされておるように承つておりますから、従いまして、大体通産省のほうにおいては各企業別にどういうような所にどういうような機械が入るの  か、これは予定されておると思いますので、その意味一つ御作成を願いたい。それから中小企業の定義は中小企業庁が作つておりますところのあの程「度の定義で分類は結構だと思います。さようにお願いいたします。
  30. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 只今の大蔵委員長からの申入に対しましては、如何取計いましようか。
  31. 山田佐一

    ○山田佐一君 折角大蔵委員長からの申入がありましたから、決定は暫らく遠慮して然るべきかと考えます。
  32. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) さようで御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  33. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 御異議ないものと認めましてさよう取計います。  午後は一時から証人が参つておりますので、どうかさよう御承知下さいまして、暫らく休憩いたします。    午後零時三十二分休憩    —————・—————    午後一時四十八分開会
  34. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 只今から休憩前に引続きまして会議を開きます。丘  公報でお知らせ申上げました通り通商及び産業一般に関する調査「繊維機械に関して」を議題といたします。先ず栗山委員から参考人の御出席を願  いましたその経緯その他につきまして御発言願います。
  35. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 別に私から取分けて御説明をいたすこともない百わけでありますが、要するに一口で申しますと、我が国が終戰当時殆んど零に近かつた繊維産業に対しまして、当時司令部の特別な計らいもありまして、四百万錘までの設備が許されたことと同時に、戰時中スクラツプとして滞貨されました優秀な我が国の繊維機械が再び生産に入りまして、長年の蓄わえられた技術が直ちに芽を吹きまして、機械のほうにおいても、漸次急速な角度で増産に入つてつたわけであります。そうして御承知のように最近におきましては、私の知るところでは最高能力が月産三十万錘に及ぶと言われておるのであります。そして国内の需要を完全に国産によつて充足しておるばかりでなくして、遠くパキスタン等に対しましても、英国の織機と競争いたしまして、我が国の繊維機械の面目を遺憾なく発揮しておつたのであります。ところが最近の状況は、こういうような工合にいたしまして、我が国の繊維機械というものが、技術的にも、又生産的にも非常に優秀を誇つておるのにもかかわらず、繊維業界の不況によりまして、国内の需要は殆んどストツプの状態にあることは御承知通りであります。四百万錘の枠もすでにはずされております。それに特需関係のものも入つておるにもかかわらず、そういう状態にあるわけであります。又一方海外の輸出先でありますところの、主としてパウンド地域でありますが、こちらの方面におきましては、パウンドの値下り、そのほか。パウンドの不安定に原因をいたしまして、その引合いが成功をしない、新らしい輸出契約が締結されないというような状況によりまして、輸出も一頓挫を来しておる状況であります。そうして、このまま行きまするならば、恐らく割合に近い機会に七万人の優秀な機械技術者を擁しておる全国の繊維機械メーカーというものは、その煙突から煙を消さなければならんというような状況に立ち至るやに聞いておるのであります。非常に重要な問題でありまするので、今日は直接これに関心を寄せておられるところの豊田自動織機製作所の会社側の代表のかた、並びに全国繊維機織産業労働組合連合会の委員長、並びに生産部長の三君に細かく研究の結果を述べて頂きたい、こういうわけであります。そうしてその結果、幸いに通産省の玉置機械局長も御出席になつておりまするから、こういう窮況をどういうような方法で以て打開をいたして行くか、そういう点についてもはつきりとした見通しを得られれば、私ども委員といたしましても非常に仕合せだと存ずるわけであります。大体さような意味合いでお願いしたわけであります。
  36. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 本日参考人として、全国繊維機械産業労働組合連合会執行委員長笹島守君、同生産部長瀧貞雄君、豊田自動織機製作所東京出張所、伊藤芳三君、三人にお願いいたしましたのでありますが、豊田自動織機の伊藤さんがまだお見えになつておりませんが、笹島さん、瀧さんお二人にお願いいたしたいと思います。御両君といたしましては誠に御多用のところわざわざ御出席頂きまして有難うございました。大体十分乃至十五分ぐらいずつで陳述を願いまして、それから委員各位から質問その他がありましたならば御答弁願いたいと思います。  では先ず第一に笹島君から発言をお許しいたします。
  37. 笹島守

    参考人(笹島守君) それでは御指名に預かりまして、説明申上げたいと思います。請願書の内容のほうを一応読上げさして頂きます。    繊維機械産業振興に関する件  戰後繊維機械の飛躍的増産は日本の紡績産業の世界の脅威となる増錘を完了し又輸出機械の中に於ても最大の比重を占めるに至り、現在従業員六万余を抱擁する産業となりましたが、最近に至り国内紡機の設備過剰のため国内需要の激減又輸出関係に於てもポンド不安定或は出超のため契約まとまらず、一部に於ては既に人員整理すら生じている現状であります。若しこのまま推移するならば当然労働不安を生じ徒らに労使関係を尖鋭化するのみであり、早急に繊維機械産業の安定を計らねばならないと信じます。  そのためには  一、繊維産業の中共市場拡大により国内設備の増錘をはかる  一、ブラジル等出超国に対しては貿易協定の改正を行う  一、印度、パキスタン等東南アジア市場はポンド不安定のため契約まとまらずそのため輸出価格の安定を図る  一、中国よりの紡機需要に応じるため中共貿易を許可すること   特にバルト法制定に関し純然たる平和産業である紡織機を禁輸品目より除外すること  一、輸出価格は一時一錘三六・五弗となつたものが現在需要逼迫のため二一弗程度まで降下しそのため低賃金、赤字経営を余儀なくされている。これを防止するための緊急なる措置を講ずること  以上の措置を早急に講じることにより繊維機械産業の安定化を計つて頂きたい。 こういうのが内容であります。
  38. 瀧貞雄

    参考人(瀧貞雄君) それでは私から具体的に御説明申上げます。只今栗山先生から御説明になりましたので大略  はおわかりになつたと思いますが、この問題に関しまして最もよく御存じの玉置局長を目の前にして私から申上げるのもどうかと思うのでありますが、  一応私ども考えましたことを申上げたいと思います。  御承知のように戰前は一千二百万錘余りの設備を持つておりまして、発表  されておりますところによりますと、そのうち約八百万錘は稼働しておつた、こういうような状態になつておりましたが、戰時中に約二百六十三万錘にまで減少したのでありまして、これは御承知のように、繊維産業が平和産業であるという理由から軍需工場に転換されまして、順次削減されて行つた結果がこうなつたわけでありまするが、戰後先ず最初に日本の経済の建直しのために手を付けられましたのが繊維産業の復興であります。四百万錘の復元が許可されまして、直ちに繊維機械の生産が要望されたわけなんでありまるが、御存じのように、戰時中に機械工業は非常に膨脹いたしまして、戰後最も確実なる見通しを持つておりました繊維機械産業に対しましてメーカーが殺到した、そういうふうな形になりまして、その増錘も戰前に比べまして飛躍的な増錘を完了したわけであります。具体的に申上げますと、一九四六年には二百六十三万二千錘ありましたのが、一九五一年には六百四十九万錘、すでに六百七十万錘を超過しておる、こういうような状況になつております。最高時におきましては、只今栗山先生からお話がありましたように、三十万錘を超過するというふうな生産高を挙げたわけであります。それに応じまして、労務者のほうにおきましても、平常なる状態におきましては約四万人の労務者が必要であつたのでございまするが、最高のときにおきましては七万人を超えるという状態になつております。現在すでに人員整理が行われまして、六万台になつているじやないか、こういうふうに考えておりますが、これは正確な調査は現在のところできておりません。この七万人の労働者と申しますと、機械産業の中におきましては最大の大きな産業になつておりまして、鉄鋼製造業におきましては六万六千人、それから強電機器関係におきましても六万七千人、それから繊維機械におきましては約七万人、こういうふうに機械産業の中におきましても最大の人員を占める産業と、こういうふうになつたわけであります。又輸出関係におきましても、これは一九五〇年の四月から五一年の七月までのトータルでありますが、繊維関係が機械産業の中の二五・八%を占めておる、こういうふうな輸出産業におきましても最も大きな比率を占めるくらいの産業に成長して来たわけなのでありますところが先ほど栗山さんが申されましたように、国内にすでに六百七十万錘程度でストツプされております。又輸出関係におきましても今までの輸出の約七五%を占めておりましたパキスタン、これがポンドの不安定、そのための英国繊維界との価格の競争、こういう関係で約三十万錘の引合いがあるというお話でありますがそれが契約がまとまらない。又ブラジルにおきましては、これはすでに輸出超過になつておりますので、これ又契約がまとまらない。アルゼンチンも同様であります。このように大口の輸出関係が全部契約がまとまつておらない、こういうふうな関係になつております。約七万人を擁しております繊維機械の需要が全然ストツプされた、こういうような状態になつております。大体見通しとしましては、私の聞くところによりますると、約年間百二十万錘の生産を上げる見通しがあるとかいうお話を聞いておりまするが、現在の陣容から行きますと、平常なる状態で約二百四、五十万錘というものができ得るのではないか、そうしますと、その半数の人員設備でその計画がなされる、あとの半数は当然転換か或いは整理、こういう形になつて行くのではないか、こういうふうに思うのであります。現在工作機械の転換が盛んに言われておりますが、繊維機械のメーカーは御承知のように工作機械專門ではございません。戰時型工作機械は或いはできるかも知れませんが、アメリカの要望するがごとき精密なる工作機械がすぐ生産できる、こういうふうには考えておりません。たとえできましてもそれは一年先、或いは二年先、そういうような状態にありますので、その間どういうふうにして繋いで行くか、これが私たちの最も心配しておるところなんであります。これに関しまして、只今笹島委員長が申しましたように、国内の需要を拡大する、これは我々として一番最初に要望したい問題でありまするが、この点につきましても是非お願いいたしたいのであります。又中国方面から相当な需要が来ておる、すでに五万錘二口向うから正式に話が来ておる。そのバーターとして適道炭二十万トン、合計五十万トンの適道炭のバーターが来ておる、こういうような話もありまするし、中国の本当の需要はどうかといいますと、約四億からの人民がおりますので、これに対する相当大幅な需要があるのではないかと考えております。現在中国方面にはスイス、西ドイツ、英国製品が入つておる、こういうような状態になつておりますので、若しこのまま置きましたならば、隣りの中国におけるこの繊維機械は外国により占められてしまう。一旦外国の製品が入りました以上は、中国という国は御承知のように統制経済を実施しておりまするので、同じ機種の、同じ種類の機械が続いて要望される、こういうような結果になるのじやないか、日本が進出する余地が全然なくなるのではないか、こういうふうに考えておるのでありまして、是非この際中国に対する需要に応ずる輸出の許可をお願いいたしたい、こういうふうに思つて請願したわけであります。バトル法におきましては、幸いにアメリカから示されました機種の中には繊維機械は現在のところ載つておりませんが、併し長官と申しますか、長官が決定する、品目の中に若しこれが載りますならば、中国に対する需要が全然なくなつてしまう、そうなつて来ますと、当然縮小或いは閉鎖という形になつて来ます。この点是非お願いしたい、こういうふうに思つて請願したわけであります。つよろしくお願いいたします。
  39. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 豊田自動織機の伊藤さんが今来られたそうですが、ちよつと入る手続がありますから遅れて来ますから、お二人に対しまする質問をお願いいたします。
  40. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 大体質問と申しましても何ですから、この請願書に五つばかり要望事項があるようでありますね、いずれこの請願書を処理するときに改めて問題に取上げなければならんと思いますが、局長のほうからこの五つの問題について、大体日本政府側としてどういうふうな考えでおられるか、それを併せて伺つて、それから両者に質問をするようにしたら如何かと思いますが……。
  41. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 只今栗山君の御提案の通りにいたしまして御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  42. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) さよう取計らいます。それでは玉置機械局長
  43. 玉置敬三

    政府委員(玉置敬三君) いろいろ中身を拝見いたしますと、私ども機械担当者からも実は他の部門に要求したいことが入つてございます。同じ立場で申上げるようなこともあるのでありますが、大体私のこれに対するお答えを申上げておきたいと思います。  中共市場に対する拡大と同時に中共貿易に対する繊維機械の許可、一と四番の問題が関連した問題かと思いますが、実は相当輸出許可の問題は現在のGHQとの関係から見ますと、日本政府というものに対して或る程度事務の移行がされるようであり、又されつつあるように聞いておりますが、内容的に申上げますと、余り変つていないような状況でございまして、私どもも繊維機械につきましては、最も許可を外さすのに一番いい対象のものと実は考えておりますが、これを例示いたしましていろいろ交渉いたしましたところ、我々の要求通りまだ実は行つていないのであります。或いは少し時間を経たせまして、更に交渉その他了解を得ますれば可能かと存じますが、現状のところではやはりOIT物資でありますとか、稀少物資を或る程度使つているということで、そういう意味合いからだと推測いたしますが、直ちに許可を排除すると言いますか、よすということは目下のところその通りにはなつていない次第であります。  それからブラジル等中南米諸国に対するオープンアカウント諸国に対する出超の問題でありますが、御承知のようにブラジルとの通商協定改定というのが近く再開されることになつておりまして、その日本の代表者と申しますか、というものがここ数日のうちに出発することになつております。これは官庁側の関係者でありますが、でき得ればブラジル方面の業界のかたも、いわゆる民間のミツシヨンといいますか、民間の立場において向うへおいで願つて、その通商協定をバツクアツプして頂くことがいいのではないかというふうに私ども考えまして、経営者の一部のかたに通商協定の改定に一つ十分御協力を願えるようにということをお願い申上げ、同時に販路の開拓というようなこともおやり願つたら如何というふうに措置を現在とつております。  それから輸出価格の安定の問題ということがここにも強調されておりまして、私も全く同感でございます。日本の現在の輸出価格といいますか、向うにオフアーする価格はイギリスその他から見れば相当安くなつておるのであります。国内が非常に苦しくなればなるほど安くお互いに鎬を創つて行くという状況は、これは他の商品についても同様であります。繊維機械につきましてもそういう点が十分感知されるのであります。特に先刻パキスタンから  ミツシヨンが参りましたときなどは、実に私ども遺憾至極ということを申上げたいほど、一人のミツシヨンをつかまえてお互いに縞を削つて、より以上に安くと言いますか、必要以上に安くサービスをしたということも或る程度肯定せざるを得ないのではないかと思います。そういう情勢と同時に、いろいろな海外の状況がここに指摘されますように非常に不安定で、ますます下るという状況が看取されましたので、私自身の立場から業界の意見を参考に聞きまして、現在はまあむずかしい言葉で言えば勧告と言いますか、そういうことで、業界のかたがたに対しましても、これ以上安値をしないようにということを私として十分注意、警告を発して現状は来ておるというのが状況であります。  大体御質問の内容の点はそういうことであります。
  44. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 豊田自動織機製作所東京出張所所長伊藤芳三君の発言を許します。
  45. 伊藤芳三

    参考人(伊藤芳三君) 私豊田自動織機製作所の伊藤でございます。現在におきまする繊維機械の輸出に関しましては、今まで一番私どもとしては強敵でありましたのが英国のプラツトでございまして、今まで相当日本とプラツトとの間に価格の競争をいたしておりましたけれども、現況におきましては、大体プラツトのほうのデリヴアリの問題が非常に遅れて参つたために、私どもとしてはプラツトに勝ち得る程度で今引合を行いつつある状態でありまして、特に最近現地のほうからの情報によりますと、ドイツとかベルギーでございましたか、何か相当我我日本に対抗して来ているという情報だけを得まして、その確実なる数字とかその他のデータに関しましてはまだ未入手でございますけれども、現況におきましては、繊維機械が一応今の状態で輸出はやつて行けるんじやないかという考えでおりますのでございますけれども、将来イギリスが立直つた場合におきましては、価格面においても相当私どもとじては研究して取りかからなければならない将来のことがただ一つ残されておるだけでありまして、その他そう大した不安なしに行けるんじやないかと考えておりますけれども……。
  46. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 同じ繊維機械を扱つておられるわけでありますが、先ほどの労働組合側のほうのお話と、只今の豊田自動織機の会社側を代表して発言されておるかたとは、現在の輸出状況の分析が大部違うようでありますが、これはいずれが本当なのか、一つこれを先ずお聞きしないと問題にならんと思いますが、どうですか。局長は今この請願書の説明で、大体この請願書の趣旨を諒としてお話なつたわけでありますが、どうでありますか。もう一度重ねて生産部長の瀧君と局長から今の御発言に対して一つ意見があつたらば伺うと、こういうことにしたらどうでございますか。
  47. 瀧貞雄

    参考人(瀧貞雄君) じや私から一つ。このパキスタン方面に輸出が可能かどうかという問題でありまするが、現在の業界の情勢におきましては、受註が少くなればなるほど価格で競争して行く、各業者が価格の値下げ運動の競争をやつておる、こういうふうな状態に現在なつておるのであります。従いまして輸入国としましては、これを長期に延せば延すほど日本の輸出価格が下つて行くんじやないか、こういうふうな見通しがあるんじやないか、こういうふうに考えております。勿論その原因はポンドの不安定によりまする価格の不安定、これが原因になつておるのであります。それと同時に国内需要のなくなつたこと、こういう二つのことが原因になりまして値下げが行われておる、こういうふうになつておるんじやないかと思います一時一錘当り三十六ドル五十セントという、こういうような輸出価格になつておりましたものが、最近は二十ドル台になつております。これは私確実に見積書を調べたわけではございませんが、そういう噂も出ておりますし、二十四ドル程度ならば喜んで輸出しようというふうな噂も一部聞いておるように思います。このように時期が延びれば延びるほど価格は安くなつて行く、こういうふうな私は見通しがありましたので、何とかこの辺で価格の安定化を図つてもらわなければ、輸入国にしましても積極的に契約をしようという気がまえは出て来ないのじやないか、こういうふうに私は考えております。
  48. 玉置敬三

    政府委員(玉置敬三君) 繊維機械のみならず、価格の不安定のときには向うが非常にそれを運用しましてやるということは当然想像できる問題だと私は思つております。ただ今の豊田自動織機の東京出張所長のお話の面も、これは一部私はあると思うのです。これは非常に繊維機械というものは会社のマークというものがいろいろありまして、或る会社は概して非常に世界的に有名と言いますか、市場別に有名であるとか、或いは宣伝その他が行届いておる場合には、相当向うに與える信用性というものがあつて、各会社別に見ればその判断が違つて来るのもこれは当然だと思います。又全般的から見るとそれをひつくるめて楽であるか苦しいのであるかということになると、個々の観察とは又違つた結論が出て来る、こういうことが真相じやないかと思いますので、今お話の点の違うところはそういうところにあるんじやないかと思います。
  49. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 私ちよつと局長にお尋ねしたいんですが、現在の繊維機械の生産能力の点から言つて、通産省としては国内向け、輸出向けについてどういうような生産指導をしようとしておられるのか、その計画を先ずちよつと伺いたいと思います。
  50. 玉置敬三

    政府委員(玉置敬三君) 国内のほうは御承知のように紡機その他関係が六百数十万錘に達して、飽和と言いますか、遂に生産制限のような現在状況になつております。これはもつぱら先ほどもお話がありましたように、過去の最高時を考えれば千二、三百万錘もあつたのでありますから、若しその他の条件が可能ならば更に又伸びる余地はあろうかと思いますが、最大の原因はやはり綿花の需要というものがチエツクされておりまして、フルに動かすわけにいかん、或いは繊維関係の輸出価格の不安定、いろいろな要素が集まつてフル稼働ということが困難な、状況になつているのではないかと思います。従つてその問題が繊維機械の全体の問題について、国内需要として増錘できるかどうかということは大きな問題になるのじやないかと思われます。併しながら織機その他におきましても相当古い機械も実はあるのでありまして、この設備の更新ということが、繊維機械そのものから見れば国内に対して期待し得る面じやないかと私は思つておりますが、これも併し金融その他の状況を考えまして、繊維た業者のかたが簡單に設備機械の更新ができるかどうかということになると、更新はして頂きたいのでありますが、机上の論に終る面もあろうかと思いますが、国内的に見ればそういう面で、他の原因で解決すべき重大要素があるのじやないかと思つております。  輸出につきましては先ほどもお話がありましたように、海外状況というものは相当の需要がまだ続くものと私は考えております。本年度は大体二十数万錘でありましたが、二十万錘を少しオーバーするくらいの輸出計画をいたしておつたのでありますが、来年度は私どもは四十万錘ぐらいにも、少くとも倍程度までにも輸出を伸ばしたいというふうに私は考えております、従いまして過般もパキスタンにミツシヨンを送りましたときにも繊維機械関係の重要性から、そのメンバーにもお入り願いまして、又三月早々インドにミツシヨンが参ります場合にも、経営者の御参加を願つており、先ほど南米のことを申上げましたが、南米につきましても、今度は政府のミツシヨンというわけじやありませんが、民間のミツシヨンという立場から、官民相呼応して通商協定の改訂と販路の開拓に当つて頂いたらどうかというように、輸出の問題に対しては重要性を感じているというのが現状であります。
  51. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 国内用は輸出の四十万に対してどのくらい予定されているわけですか。
  52. 玉置敬三

    政府委員(玉置敬三君) これはちよつと紡績関係の増錘ということに関係して来るわけですが、こちらのほうから先ほどお話のように、若しそれが増加すれば製造能力のほうは如何ようにも相当できるのじやないかというふうに考えておりますけれども、紡績関係計画というものが綿の市場、原料に相当制約されて来ると思います。ちよつとその測定は現状のところでは困難で、逆に現状から簡單に判断すれば、国内需要は相当足踏みであると、その問題が多少継続するのじやないかというのがはつきりした見通しじやないかと思います。
  53. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 要するに今のお話を伺つていると、国内需要或いは海外需要の推移のままに、海外需要は一〇〇パーセントオープンになつているわけじやありませんから、それを念頭に置いて推移のままにしておくということは要するに今の繊維機械メーカーの生産が非常に計画上不安定になるということになるわけです。そこで先ほどマキシマムで二十万という計算を言われたのですが、仮にこれを二十万とすれば、年二百四十万錘ぐらいになるわけです。そうすると二百四十万錘ぐらいなければ現在の繊維産業工場が一応やつて行けないというふうに仮定した場合に、輸出用として来年度はつきり見通しの立つのが大体四十万錘とすると、残りの二百万錘というものは国内用も駄目、輸出用も見込がないということになれば、これはもうこの数字だけで来年度の繊維機械産業の見通しというものは簡單につくような状況になると思うのですね。今申上げましたような工合に、せめて年二百四十万錘ぐらいを是非とも生産確保の対象にしよう、こういう気持で行つた場合には一体どうしたらいいのか、このときについて一つ局長に伺いたいと思います。
  54. 玉置敬三

    政府委員(玉置敬三君) どうもむずかしい御質問なんでありますが、繊維関係のこれは興亡と言いますか、それに依存しておる面が多いので、この面から綿花の輸入、その他の輸入が増進されることを期待しておりますが、それが簡單にできないということになれば、輸出はこれも二百数十万錘まで突破することができないということになれば、お話のように悩みの時代が非常に続くことも考えられます。従いましてこれは私が経営者的な考えを申上げるのも如何かと思いますが、一部の所では、やはりこれはどういうことになりますかわかりませんが、先ほどの工逓機械の需要に対しては繊維機械は転換が非常に困難であるということも考えられると思いますが、繊維機械の中には曾つての経験者も、工作機械メーカーとしても優秀なかたがおられる、昨日帰りましたアメリカの調査団のかたの大阪方面で見た会社もございます。こういう会社は若し工作機械の需要その他が喚起されるならば、或いはそちらの方面にも転換は可能だと思います。併しこれは全般的なことではございませんので、そういう会社も中にはあり得ると思います。又そういうことで準備もされておるのではないかと思われます。一部のほうではやはり特需関係のほうと結ばれましてそれの部品といますか、更にそれの下請をやられるというところに一部転換を考えておる所もございます。そういう状況でありまして、どの機械に転換をしろということは非常に困難な状況でこちらからこうやつてみてもいいと言つても、それがくつつかないと、やはり転換そのものもできないので、やはり我々の一つの希望とすれば、特需というものが将来更にもう少し活発になれば、そちらの方面に直接或いは間接として入り得ることが必要であろうと、こういうふうに申上げるより……今そういう考えを持つております。
  55. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 それは対策としては、ちよつと一段階を踏み越えてお話しになつたわけですが、要するに終戰後あれだけ非常な苦労をして技術回復をし、世界的にも非常に高度の水準にある日本の繊維機械を、折角市場の開拓の努力もしないで、工作機械に切替えて行くということは、技術的な損失でもあるし、又国としても、大変な損失であろうと思います。そこで何らかの形でこの市場の開拓というものを考えなければいけないと思うのですが、そのうちで、これは局長或いは参考人のほうでも結構でございますが、今一番問題になつておる中共貿易等でありますが、中共地区ですね、台湾が若し入るならば入つてもかまわないわけでございますが、中共地区に対して終戰後日本以外の国から繊維機械がどれだけ入つたか、まあ日本から入つていないわけですが、現在日本の商社との間に中共と何かそういつたような引合の話でもあるのですか。その点を伺いたいと思います。
  56. 瀧貞雄

    参考人(瀧貞雄君) 何万錘入つたかという確実な数字は玉置さんのほうが御存じだと思いますが、現在引合が来ておるという問題に関しましてちよつと御説明申上げますと、これも直接私が引合書を見たわけでも何でもありませんが、五万錘二口現在来ており、その他一万錘とかそういう細かいのが多少来ておるような状態になつておる、こういう話でありました。而もそのバーターといたしまして適道炭が五万錘に対して二十万トンのバーターの交渉が進められておる、こういうふうな結果になつておるらしいのでございますが併し二十万トンやそこら、四十万トン程度の適道炭のバーターでありますると大した刺戟にはならないが、これが百万トン、二百万トンという大口になつて来ますと、現在アメリカから買つております石炭と或いはかち合いまして、相当なアメリカの何といいますか、反対があるのじやないかこういうふうに考えております。
  57. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 英国かどこかから中共へ入つた調べはございませんか。
  58. 玉置敬三

    政府委員(玉置敬三君) 中共の内容については全然私ども承知いたしておりません。
  59. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 これは局長にお尋ねをしても非常にお困りだろうと思うので、又機会を改めて大臣にでもお聞きしてもいいと思いますが、先ず当面の責任者である局長にその肚の底を伺つておきたいと思うのですが、いわゆる中共貿易がバトル法なんかを読んでみましても、その流れている精神は、ソヴイエト並びにソヴイエトと同盟或いは衛星国にある国々へ自由民主主義国家の戰略資材が流れないようにしようという精神で貫かれているわけなんです。従つて石けんだとか或いは綿布だとか、或いは人絹、スフ、それから機械にいたしましても、こういうような繊維機械であるとか、或いはそういつたような平和産業的な製品が中共へ入ることは、このハトル法案でも一向差支え、支障を来たさない二とであろうと私は思います。又戰略物資の点からいえば、繊維機械を出して向うから適道炭を取るということになれば、適道炭のほうがこれは却つて戰略物資……こちらから戰略物資でないものを出して中共から日本が、戰略物資をもらつて、そうして鉄の生産をやるということになれば、バトル法の逆を行くわけです。その面からもそう困難な問題ではない。共産国家に対して我々は思想的に相容れないことは私ども全く同感ですけれども、如何に高邁なそういう考えを持つていましても、食つて行かなければ問題にならないので、経済的な取引だけは許された範囲内だけでやるという、そういうやはり強い政府の意思を示して頂いて、司令部ともこれは相談して行かなければならないのであります。今のお話を聞いておりますと、繊維機械はだんだん先細りでなくなつてしまう、止むを得ないから多少不慣れであるけれども、アメリカの工作機械でも作つて少し繋いで見たらどうかというのでありますが、これはどうも国民生活の安定というか、経済自立というか、大方針に対しては誠にどうも心もとないことであろうと私は思います。で世界のやはり日本は自由国家になるわけでありまして、従つこ経済的にはあらゆる市場をあらゆる努力を持つて開拓して行くというのが通産省の私は基本方針でなければならんと思う。現に貿易関係だけは英国と米国との間でも意見が完全に一致してないわけです。従つて我々も、成るほど米国と講和を結んだでしようが、英国とも又結んでおるのであります。やはり国の自主性というものを持つて、経済的に生き抜く途だけはこれはどうしても繋いで行かなければならん、こういう工合に考えております。私も最近二、三の経済界のかたがたとのお話合いの席にも出ましたけれども、吉田さんが国会で述べておられる中共観或いはソヴイエト観、イデオロギー的なソヴイエト観とは違つて経済人の中には真剣に経済取引についてはこれらを何とかしてやつて行かなければならんという空気が漸次強くなつていることを私は認めるのです。従つてそういうような産業界の指導的の立場にある通産省としては一つ肚をきめて、そういう工合にやつて行かなければならんと思うのであります。その辺のお考えは如何でしよう。
  60. 玉置敬三

    政府委員(玉置敬三君) 只今御指摘の通り、この物資が民主的な機械であるということで、輸出統制が始りました最初の頃は繊維機械は包含されなかつたのじやないかと思います。その後いろんな情勢から強化されて包含されたという過程をとつていると思います。そういう変化を見ますれば、許可の対象から除外するということについては十分考慮すべき機械の種類じやないかと思つております。併しながら現状では先ほども申上げましたように、ここで許可が外れるということを申上げるまだ時期にも至つていないことをお話し申上げておきたいと思いますが、併し一面におきまして、基礎物資がこれは量的に非常に少いといえば少いかも知れませんが、入つておるということも事実でありまして、その面から強く強調されるならば、やはりその面が続いて行くということも考えられるのであります。ただあらゆる場合におきまして、輸出統制の問題と日本の経済全体が輸出に非常にウエイトがあるという問題は、原則論として常に意見の相違を来たしている問題でありまして、私ども国内或いはいろいろな面で、使用その他の面におきまして、統制的な面があつても、輸出面については少くとも自立経済上必要であるのではないかという主張を繰返して来ているのでありますが、世界全体の割当物資の方針その他におきまして、必ずしもその要求が十分に考慮されたということに至つていない面があるのでありまして、これらの面につきましては、今御指摘の通りどもとしましても、十分考慮いたして行きたいと思つております。
  61. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 大体ドツジ氏が日本の経済自立のいわゆる指導的な原則を立てられたのは貿易立国であつたわけであります。貿易をやつて大いにお前は食つて行け、こういうことであつたと思うのであります。そうして大いにそういう基盤が漸次でき出したところで、今度は市場のほうについて、向うの御都合で以てうまく行かない。そうして東条さんが戰争中やつたような生産の配置転換をやつて、今度適当に食つてつたらよかろうというようなことでは、日本の経済というものがとにかく講和条約成立後独立しないことをはつきり示すものであつて、これじや日本人は従つて行けないと思うのですね。だからこの問題は局長にこれ以上お尋ねしても困られるだけであろうと思いますから私はやめますが、とにかく近い機会に大臣を一遍ここへ呼んで頂いて、最近の政府のやる産業経済政策はなつておらない、はつきり言つて……。先ほども私はお話しているのだが、そこらのルンペンの著物と同じだ、あちらこちら継ぎぎは一ぱいになつて、二軍にも三重にもなつて、全く処置がなくなりつつあるという表現に盡きると思うもつと独立をもるならを独立するような形における産業経済、貿易を中心とした産業経済です、これをはつきり立ててもらわなければ駄目なので、通商産業大臣にはつきり聞かなければならんと、こう思うのです。通商産業大臣だけで駄目ならば、安定本部長官に来てもらつて政府産業政策の本当のところを一つお聞きしたい、こういう工合に考えております。  それでこれは私どももこういう大きな問題は專門家でもございませんので、よく全部を総括することは困難であると思いますから、そういう点を一つこの委員会でかずかずの参考人の陳述求めたり、或いはその他いろいろな形でこの委員会で研究をいたして参つたのでありまして、そういう産業政策の好ましくない点は相当明らかになつたはずでありますから、專門調査員を中心にして、委員長に御一任をいたしますから、この委員会としてまとめて頂いて、そうしてそれによつて政府の政策を質して行くようにしたいと思います。こういうふうな動議を提出いたします。
  62. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 只今の栗山君の動議に対しまして御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  63. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) さようでありますならば、委員長におきまして取計らいます。  私から伊藤さんにお伺いをいたしますが、あなたのところは豊田織機という世界に知れたメーカである。そのために、ほかのところでは相当苦しんでいるが、まだ我々のほうでは少し余裕があると言われますが、聞くところによりますと、やはり非常に昔のようなわけではなくて、この頃におきましては苦しんでおられるが、その隘路というものはどこにあるかということ、特に今労働組合のかたがたが陳情書としてお出しになつておいでになりまする五つの問題もありますが、その他何かいわゆるポンド地域の輸出抑制、そういうようなものから関係いたしまして陳述がありましたら、申述べて頂きたいと思います。
  64. 伊藤芳三

    参考人(伊藤芳三君) 今のお話で、急激にこういう現状になつたのは、やはり国内紡績界の製造の問題で、こういう現状に立ち至つたと思いますけれども、私どもとしましては、輸出を以て立てて行かなければならないと思つておりますけれども、現状におきまして、いわゆるこのポンドの不安なときにおきまして、そのポンドの不安な分を我々業者が負担しているということに関しましては、これは又輸出振興の対策を以ちまして、政府のほうで何とか御援助下さつて一つ輸出振興の御援助を頂きたいと思うておりますけれども、いわゆるポンドの市場不安のために、従来よりレートがだんだん下つてつております。これ皆我々業者のほうにかぶさつて来ておりますものを、政府のほうで御援助下さつて、我々も繊維機械の輸出振興をお図り願いたいということを私は望みたいと思つております。
  65. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 私通商機械局長にもう一言聞いておいて頂きたいことがあるわけであります。それは終戰後間もない時代ですね、いわゆる四万錘の許可の問題が出る出ないというあの当時の状態におきまして、私はやはり当時国会通商産業委員をいたしておつたときに、こういう発言をしたことがありますが、国内で競つて繊維機械の復活をやり、その輸出をしようという空気が出ておつたときに、我が国の将来の貿易は、やはり機械の輸出でなくして紡績或いは繊維品の輸出が中心になるのではないか、従つて今インドとかパキスタンにたくさんの機械を輸出をすれば、そこで製品ができてしまつてつて日本の紡績業者、繊維業者が困ることが出て来はしないか、その辺の注意はよろしいかということを念を押したことがある。そのときに当時の政府のほうでは、まあ世界的に繊維製品が不足しているのだから、さようなことは当分の間心配する必要はなかろうということを私は記憶しております。ところが最近の国内の繊維事情が惡くなり、海外も勿論工合が惡くなるというようなことになると、恐らく繊維機械のこういうような非常に大きな生産数量を維持して行く、国内でさばけないから輸出のために非常な努力をするというようなことをすると、国内の繊維業者のほうから、繊維機械ちよつと待つたというような声が私は起きやしないかと心配をいたしているわけでありますが、そういうことがあるのかないのか、若しあるとすれば、これはやはり国の政策が今まで間違つて来たのでありますから、今頃になつて、伸びた繊維産業機械に対して工作機械を作れということは僭越の話である。そういうような点を一つ……。
  66. 玉置敬三

    政府委員(玉置敬三君) 繊維関係の業界からそういうことは全然聞いておりません。
  67. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) ほかのかたどうですか。
  68. 山田佐一

    ○山田佐一君 私はこれは最近通産へ来たものですから、初めから承わるわけですが、結局月産三十万錘或いは二十万錘とおつしやるのは、メーカーはどのくらいあつて、何か基礎のものが、確実なものがありますですか。
  69. 瀧貞雄

    参考人(瀧貞雄君) 大体七〇%程度は五大メーカーで占められておるじのやないか、こういうように思います。それから他の電気関係とか、車輌関係と違いまして、繊維機械産業は比較的中小企業が多いのであります。総工場数で一千以上になつております。従業員が約七万人でありますから、一工場に対しまして七十人ですが、中小工場のほうが非常に多い。だから現在の五大メーカーで殆んど大部分が占められカおります。あとは五名か十名の中小工場が多い。こういうことになつております。
  70. 山田佐一

    ○山田佐一君 それは繊維機械というのは織機も入つておりますか。
  71. 瀧貞雄

    参考人(瀧貞雄君) 入つております。
  72. 山田佐一

    ○山田佐一君 紡機だけでも百二十万錘なり、月産二十万錘というのは。紡場機だけのお話ですか。
  73. 瀧貞雄

    参考人(瀧貞雄君) そうです。
  74. 山田佐一

    ○山田佐一君 紡機だけは幾つのメーてーがあつて、どのくらいになりますか。
  75. 瀧貞雄

    参考人(瀧貞雄君) 紡機が大体五大メーカーになつております。我々は紡機と織機を別に考えておらない。と言いますのは、紡機が殖えましたら、当然それに応じて必要な織機が殖えて来る、こういう考え方を持つておりますのと、それから紡機、織機の兼業メーカーがある、それは紡機は紡機だけ、織機は織機だけのメーメーがありますので、何名が紡機にかかつておるか、何名が織機にかかつておるかというような具体的な細かい調査は恐らく通産省でも出ておらないと思います。全然機種が同じようになつておりまして、人員の交流もやつておりますから……。
  76. 山田佐一

    ○山田佐一君 そうしますと、大隈鉄工、或いは毛織織機を作つておる、こういうのも繊維機械に入つておりますか。
  77. 瀧貞雄

    参考人(瀧貞雄君) 全部入れております。
  78. 山田佐一

    ○山田佐一君 そうしますと、今局長さんの言われる通り、大隈鉄工は大体織機のメーカーでなくして工作機械のメーカーである。これはよほど転換がしやすい。それともう一つの中小の五人、十人という所は、これは又ほかに兼業がある。日米経済協力によつて、工作機械というものはまとまつたものでなしに、もう少し小さい、信管、弾丸のようなものまでもできるのじやないかというような気もいたしますけれども、転換可能性のものがどのくらいあるか、本当に百二十万錘ということになると、非常に憂慮するわけでありますけれども……。
  79. 瀧貞雄

    参考人(瀧貞雄君) 私は大隈鉄工所を調べたわけでも何でもないのでありますけれども、繊維機械の專門メーカーにつきまして、戰後六年たつておりますが、工作機械というのは、たとえ優秀な機械であつても、それには相当な技術者が必要である。繊維機械には、工作機械ほど技術者は必要ない。従いまして戰後六年間紡機をやつております過程において、すでに工作機械專門の技術者というものは相当整理された。だから設備が現在残つておるから、直ちに戰前通りの工作機械ができるというふうには考えておらない。それから戰前の材料と現在の材料とにおきましても多少の質の変化もあると思います。そういう点から考えまして、成るほど大隈鉄工所は工作機械メーカーだからすぐできるだろう、こういうようにお考えになれば、少し現実と離れた考え方じやないか、こういうように考えております。それからアメリカの要望しておりまする工作機械というのは、ベツドが中心になつております。あれは鑄物をふきましてから相当年月間シーズニングをやらなければならん。紡機をやつておりますときにすでにその計画をしてベツドをふいておりましたら、すぐに製作が可能だと思いますが、恐らく大部分のほうのメーカーはそういう準備をやるだけの資金は持つておらない、こういうように考えております。ですから只今からかかりましても、その製品ができるのは一年先或いは二年先、まして金になるのは相当先になるのじやないかと考えております。であるから私どもは、工作機械に転向するのは絶対反対するというのじやない。併しそれまでにその工作機械が、我々の生産をば潤すまでにおける過程におきまして、人員整理とか或いはそういうものが起つて来る。それで最も望ましい状態ならば、やはり我々が最も得意としております繊維機械を引続きやつて行きたい。その可能性がないかといいますと、私たちの考え方では、中共方面には相当ある、パキスタン方面におきましてのある。又ブラジル方面に貿易協定さえ開始されたならば輸出ができる可能性がある。こういうふうな努力を我々繊維機械業者としては先ずしなければいかんのじやないか、そういうふうに私は考えております。
  80. 山田佐一

    ○山田佐一君 おつしやることはよくわかります。私もそれはこういう工場の転換というようなことは非常に難事業だということはよくわかつております。今おつしやるように、十七万錘できておるものは年に二百万錘できる。そのものが今のように輸出四千万錘よりない、百六十万錘はここで、内地で消化せよといつても、これは無理じやないか。
  81. 瀧貞雄

    参考人(瀧貞雄君) その点に関しましては、栗山さんのお話も多少数学的にはつきり割切つておられましたけれども、なぜ月産三十万錘できたか、こう言いますと、非常な労働強化をやつたわけです。八時間労働ではないんです。一週間に二十時間、三十時間というような残業をやつておりますが、我々としましてはそういう残業をやつてまで生産を上げるということは考えておらない。だからこれは平常の状態になりますと相当生産高も下つて行くだろうが、それで我々の生活もやつて行けるようにと考えております。それと三十万錘できました原因のもう一つは外注工場を非常にたくさん使用した。現在すでに外注工場は整理されておる、その点から行きましても、すでに生産高は三十万錘ではなくて、相当削減されておる。それからもう一つは、臨時工を使用した。この臨時工もすでに整理が行われておる。この点からも現状においてはすでに三十万錘の線は遠く離れておる、こういうふうな状態になつておる。そういうような状態ですからあえて現在の人員で三十万錘をやる、そういうふうな考え方は持つておらないのです。とにかく現在までの人員が、普通に今までの収入を得られるだけの生産さえ上げさせてもらえばそれでいいわけですから、その数字が幾らになるかということは、これは販売価格の点にも関連して来るのでありますが、その点についてはまだはつきりお答えはできないと思うのです。
  82. 山田佐一

    ○山田佐一君 大ざつぱにおつしやるのを承わつてみますと、下請工場は払つてしまつた、臨時工は出してしまつた、現在はどうです、半分もありますか、七万人の。
  83. 瀧貞雄

    参考人(瀧貞雄君) いいえ、そんなことはないと思います。この大体調査が非常に遅れるのです。それと、五名六名というような、中小工業の調査というのは非常に不可能です。だから実際には何ぼあるかということは私確実な数字は持つておりません。持つておりませんが、一、二の例を申上げますと、今まで生産高の約六〇%を外注しておつたという工場、それが現在二〇%になつておるとか、三〇%になつておるとかいうふうに、外注に関しては大巾な整理が現在行はれております。その人員が何ぼになるかということはちよつと数字的に今申上げかねますが、それでも先ほども申しましたように、普通の状態におきまして四万四千人という労務者を要しておつたのであります。この当時は月産が約七万錘か六、七万錘というような時代であつたのですが、その当時で約四万四千人の労務者を擁しておりました。その点から考えますと、現在まだ相当、約六万人程度の従業員がおるのではないかというふうに想像されます。
  84. 山田佐一

    ○山田佐一君 そうしますと生産が軌道に乘つて来たから、それだけの人員はなくても生産が上るんじやないか、以前の四万四千人で七万錘できたときには転換の途中であつた。それで七万錘であつたという。今の人員はもつと減つてつて、或いは生産高はもつと殖えるのじやないか、こう思うのですか、あなたのほうで。
  85. 瀧貞雄

    参考人(瀧貞雄君) いいえ、そうじやありません。現在でもうすでに六万人ぐらいの人間がいるのじやないかというふうに私たちは考えているのです。生産と申しますがね、そう無茶苦茶に上るものじやないのです。需要の多いときはマスプロの形式をとりまして、生産が急激に増産されるのです。併し現在において需要が非常に逼迫いたしまして、機種がばらばらのときにおきましては、人員の劇に生産が上つておらない、こういうのが現状です。
  86. 山田佐一

    ○山田佐一君 そうしますとお見込ですが、六万人の人員に対して本当はどのくらいできるお見込です。何錘ぐらい現在はできるんですか。
  87. 瀧貞雄

    参考人(瀧貞雄君) 大体これは確実な資料は持つておりませんけれども、大体二十万錘ぐらいでき得る可能性はあると思います。
  88. 山田佐一

    ○山田佐一君 でき得る可能性じやない、本当にできつつあるのはどのくらい……。
  89. 瀧貞雄

    参考人(瀧貞雄君) 現在で二十万錘できております。
  90. 山田佐一

    ○山田佐一君 そうすると今度は局長に承わりますが、二十万錘で年に二百四十方錐、現在のところ四十万錘でも過剰して四割の操塩をしようかと言つているときに、このまま造らしてどうなるおつもりですか。一体これは非常に必要とする鉄綱も使うのでございましようし、あなたのところの重要なものも使つて行く、而して二十万錘ずつ造つて行くというようなものをどうなさる。それとこの綿紡だけでなしに、繊維というと或いは化学繊維の機械も入つておりますか、これは。
  91. 瀧貞雄

    参考人(瀧貞雄君) ええ、入つております。
  92. 山田佐一

    ○山田佐一君 これなどもどういうふうなお見込を立てておりますか。この問題は本当は私は刻下の重大問題じやないかと、こう思うのです。
  93. 玉置敬三

    政府委員(玉置敬三君) 今、実際生産制限その他の法令措置もございませんし、物資の割当も実はないわけでありますが、まあ会社によりましては一時は一年分とか一年半分ぐらいの注文残を持つてつた。非常に盛んなときにはそういう時代もあつたかと思います。従つてその将来の見通しは、朗らかな見通しはございませんが、中にはまだ数カ月分と言いますか、或いは二、三カ月分の注文残を持つているところはあるわけであります。その間におきまして或いはもう少し輸出が伸びるとかいうような期待の下に、或いは見込的なものをやつておられる所もあろうかと思います。お話のように二百何十万錘できたものとかいうことになると、極めて不合理だということになるのでありますが、その辺は非常に私も判断がむずかしいので、どうですか、これは経営者のかたは一つ
  94. 伊藤芳三

    参考人(伊藤芳三君) 今の二十万錘というのはコンクリート二十万錘か、或いは各機種換算の二十万錘ですか、換算の二十万錘とおつしやられますと、ちよつと私のほうはぴんと来ないものですから……。私どもは混綿から製紡機までのコンクリートの話だとはつきりわかりますけれども、換算をいたしますと、いわゆる混綿の或る一つの機械何錘、それから紡の機械何錘というような換算方法だとしますと、又ちよつとはつきりわかりかねるのでございますけれども
  95. 山田佐一

    ○山田佐一君 そうすそると結局今おつしやつたようにコンクリートしたもので二十万錘、これは化学繊維でも何でもかまわなくて二十万錘ということになるわけですね。
  96. 瀧貞雄

    参考人(瀧貞雄君) そうです。
  97. 山田佐一

    ○山田佐一君 それで化学繊維のほうが非常に生産過剰になつている。どちらにしてもこれは飽和点で、個々の会社に行くというと、それは御自身はまた一年間契約があるとか何とか言いましても、国家全体から見ても私は重大問題だと思うのです。これはその個々の個人でやつてつてはできんわけだけれども、国家という上におけば、この総体がつかめて行かなければならない。貿易も管理貿易をやつている際でありますから、放任をして自由にやれということはできぬものだと思います。実際にこう考えて見て、今の栗山君の言われたように、紡機が本当に二十万錘ずつできるものなら、これは今すぐやめても半年はできてしまうのです。百万錘ぐらいのものは仕掛りのものでできてしまうのではないか、まして豊田さんのようなメーカになりますと、幾ら引合わんでもやめてしまうということはすぐに私はできんと思う。そうしますと百万錘や二百万錘はどうしなくても国内にストツクができてしまう。このまま放つておきますると、或いは四割操短せよとか或いは設備制限をせよとか、これは横破局長じやないかもしれませんけれども設備制限をしてやらにやならんということが私は始るのではないかと思う。そうするとそのときできたものは又熔鉱炉に入れて、ほかの物を作らんならんということになるのですが、そんなことをせずに、綿紡もこれも三部操業で、紡績は今二千六百四十万錘非常に余ると言つておるけれども、これは或る所では二交替制をとつておる。殊によると三交替制をとつておるかもしれん。こういうことも実際問題は片方よりやめてしまつて設備を殖やされたら、或いは固定に一応寐るということもありますけれども、本当に二百万錘できるものならば、何とかそういう方法を設けて、今から手を打つてもらわなければ大会社、今の五大メーカーは自分勝手で外注工場、下請け工場をとつとと捨てて行きます。本当の難儀する者は中小工場だけ難儀して来る。大会社だけは知らん顔して残つて、中小企業というものは皆参つてしまうから、この辺は情ある機械局長が何とかこの方法を講じてもらわなけば、どうかするというと大蔵大臣は、道端の草と一緒で、中小企業はつぶれればいい、死ねばいい、そんな薄情なことを言つてもらつては困る。何とか今から手を打つだけ打つてもらわなければ、これでは本当に中小企業に全部皺がよつてつてしまうのですよ。今豊田さんなんかでもその通りです。外注工場は切つている。又あなたがおつしやる大隈鉄工はそんなことはないと言つておりますが、大隈鉄工というようなものは外注もあり、社長も、この間アメリカに行つております。工作機械の注文も受けております。ああいうメーカーはどんどん変つて行くのです、大きなものはこれは困るのは本当に中小工場で、相当売れる、一年売れる、二年売れるといつてみんな転換したところが、一年の契約もくそもありやせん、要らんようになれば、すつすつと捨てて行くのですから本当に中小企業は困るのですから、今のうちに根本方針を立てて、これは工作機械だけでなしに、日米経済協力によつて、日立なんかは、日立製作は変つて来る。或いは古河も外注を受けて変つて来ますから、中小企業は転換が早いのですから、そのように指導して行つてもらえばその指導ができて行くと思います。やはり大所高所から見て、根本的に国策的にその方策をきめてもらわなければならないと、かように思うわけですけれども、もう一応一つ局長さんの抱負と経綸を承わりたいと思います。
  98. 玉置敬三

    政府委員(玉置敬三君) 非常にむずかしい施策を與えられておるのでありますが、まあ特需の例を引きますと、親工場のほうは、現在中小企業のことを考えますと、設備を増設するということは、仮に特需が増加いたしましても、又今お話のような工作機械が入りましても、親工場そのものが設備を増加するというようなことは、金融面から見ましても又将来の考え方におきましてもよほど明るい見通しが確立しなければ、長い見通しができなければやることは少いだろうと私は思つております。従つて実際の作業量が増加した場合には、それをやはり下請でありますとかいう協力関係にそれを求めるということが筋だと思います。従つてお話のように逆の場合には又下請のかたがその影響を受けられるということは甚だ遺憾でありますが、そういうことに今の繊維界も一部進んでおる面があろうと私も思います。どの機械業に転換するがいいかということは、これはなかなか実はむずかしい問題でありまして、私よりも非常に優秀な経営者のかたがたくさんやつておられるのですから、私がここで考えついた頃には、すでに先にお見通されて将来の対策もお考えつていることと思いますが、これに対するいろいろ金融措置その他のものが又可能な点も或いは多かろうと思いまするし、非常に重要問題でありまするので、私どもとしましても、勿論これを、昨年未までは大体繊維機械はよかつたのでありますが、非常に増すというと少し語弊があるかも知れませんが、昨年概していいほうだつたのですが、昨年の暮から今年にかけて今お話のような点があるので非常に悩んでおるところでございます。まあでき得る限り円滑に何とかできればということで、積極的に私ども考慮して行きたいと思います。
  99. 山田佐一

    ○山田佐一君 結局、私はどうかすると自由党は大企業へ肩を持つというような批評を受けるのでございますが、大企業のかたは初めから計画をしておりまして局長さんのおつしやるように労務者も一時という見通しで、殆んど新らしく入れた者は臨時工で入れておられる。すでにあの終戰のにがい経験をなめて見えますから、大企業のかたは事前にきちつとそれだけの計画を立ててやつて見えますが、中小企業の場合はそれだけの何がないものですから、本当にその大企業から外注もあればいつまででも続くような気になつてどんどんやつて行くので、本当に困るのは中小企業ですからその辺をよく一つ中小企業の本当の味方になつて施策を是非してもらいたいと、こうこうことを申して置くわけであります。
  100. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) この問題に対しまして参考人のかたがたがわざわざお出かけ下さいまして、いろいろその事情をその立場におきまして御説明願いまして有難うございました。  本日はこの程度で散会いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  101. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 御異議ないものと認めまして散会いまします。    午後三時七分散会