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1951-12-12 第13回国会 参議院 通商産業・大蔵・経済安定連合委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十六年十二月十二日(水曜日)    午後一時四十七分開会   —————————————  委員氏名   通商産業委員    委員長     竹中 七郎君    理事      古池 信三君    理事      結城 安次君    理事      栗山 良夫君            入交 太藏君            重宗 雄三君            中川 以良君            松本  昇君            草葉 隆圓君            加藤 正人君            高瀬荘太郎君            山川 良一君            山内 卓郎君            佐多 忠隆君            片岡 文重君            小松 正雄君            島   清君            境野 清雄君            西田 隆男君            油井賢太郎君   大蔵委員    委員長     平沼彌太郎君    理事      大矢半次郎君    理事      清澤 俊英君    理事      伊藤 保平君    理事      木内 四郎君            愛知 揆一君            岡崎 真一君            黒田 英雄君            山本 米治君            小林 政夫君            小宮山常吉君            田村 文吉君            岡田 宗司君            菊川 孝夫君            野溝  勝君            松永 義雄君            菊田 七平君            櫻内 辰郎君            森 八三一君            木村禧八郎君   経済安定委員    委員長     佐々木良作君    理事      奥 むめお君    理事      永井純一郎君            泉山 三六君            九鬼紋十郎君            野田 卯一君            山田 佐一君            藤野 繁雄君            下條 恭兵君            稻垣平太郎君   —————————————  出席者は左の通り。   通商産業委員    委員長     竹中 七郎君    理事            古池 信三君            結城 安次君    委員            加藤 正人君            山川 良一君            片岡 文重君            小松 正雄君            島   清君            境野 清雄君            西田 隆男君            油井賢太郎君   大蔵委員    委員長     平沼彌太郎君    理事            大矢半次郎君            伊藤 保平君    委員            黒田 英雄君            山本 米治君            小林 政夫君            田村 文吉君            松永 義雄君            菊田 七平君            櫻内 辰郎君   経済安定委員    委員長     佐々木良作君    理事            永井純一郎君    委員            山田 佐一君            藤野 繁雄君            稻垣平太郎君   衆議院議員            中村 純一君   政府委員    通商産業省通商    企業局長    石原 武夫君   説明員    大蔵省主税局税    制課長     泉 美之松君    工業技術庁調整    部助成課長   秋山 保光君    中小企業庁指導    部長      小出 榮一君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○企業合理化促進法案衆議院送付)  (第十二回国会継続)   —————————————    〔竹中七郎委員長席に着く〕
  2. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 只今より通商産業大蔵及び経済安定の連合委員会を開きます。  連合委員会委員長ば、慣例によりまして通商産業委員長がこれに当ることにいたしますが、議事に至りましては甚だ不慣れでございますので、委員各位の御鞭韃と御協力をお願いいたします。議題は企業合理化促進法案に関する件であります。本法案は前国会末の十一月二十六日に、小金義照君ほか三十四名によつて議員提出の形式を以て提案され、同日予備審査として通商産業委員会に付託されました。通商産業委員会におきましては、十月二十八日提案者代表衆議院議員中村純一君より提案趣旨について説明を聴取いたしましたが、会期末の極めて切迫した時期で、審議時間も十分にありませんので、翌二十九日の委員会継続審査に態度を決定し、一方衆議院におかれましても継続審査の手続をとられ、今日に至つたものであります。衆議院においては閉会中にあつて審議が進められ、聞くところによりますというと、大体本日の通産委員会におきまして討論採決に入つておられるそうであります。参議院におきましては先ほど申上げました通り通産委員会提案趣旨説明を聴取したのみで、内容審議には全然入つておりません。従つて本日の連合委員会から初めて本格的な審査に入るわけでございます。  以上が今日までの簡單経過でありますが、右のような次第でございますので、質疑に入ります前に提案者から本法案全部に対してその骨子をなすところを概略説明をして頂きたいと存じますが、如何でございましよう。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 御異議ないものと認めます。それではこれより提案者の御説明をお伺いいたしたいと思います。
  4. 中村純一

    衆議院議員中村純一君) 私提案者の一人でありまする中村でございます。先般前国会におきまして、簡單提案理由の御説明を申上げておいたのでございますが、それに若干補足をいたしまして、本法案全体の主要なる概要を申上げたいと存ずるのであります。  この法律は、その目的と申しますか、趣旨といたしまするところは、我が国の主要なる産業が、特にその技術機械設備等の面におきまして、戰時中戰後空白期間を通じまして、甚だしく国際的水準から立遅れを来たして貼りますし、或いは又老朽化いたしておりますることは申上げるまでもないところであると思うのでありますが、講和條約の効力発生も間近に控えまして、何と申しましても、我が国が今後真の独立を維持して参りまするためには、経済自立ということが、その先決問題と申しまするか、基礎的な問題であると考えられるのでございます。而して、このままの状態におきまして国際経済競争場裡我が国産業が臨みますることは、只今申上げましたような甚だしい立遅れ、或いは老朽化状態を以ていたしましては、誠に心細い限りであると考えられるのでございまして、提案者といたしましては、この状態に鑑みまして、できるだけ早い期間我が国重要産業技術機械設備等の面におきまして、成るべく国際的な水準に近からしめるように持つて行きたい、これ即ち我が国経済自立基礎工事であると、かように考えたわけでございまして、さような趣旨から、又その目的を達成いたしまするために、本法案提案いたしましたような次第でございます。而して、只今目的を達成いたしまするための手段方法といたしましては、いろいろな事柄考えられるわけでございまするが、立案過程といたしましては、種々構想も浮んで参つたのでありまするが、いろいろこの法律案の成立後の運用を掌りまする政府部内といたしましては、関係省が極めて多数に上る複雑な関係を持つておるものでありますし、又私どもは、この企業合理化目的を達成いたしまする上から申しましても、できるだけ企業自体創造努力基礎として、それを伸ばして行く上において、国家として適当な助成方法を講じて行きたい。これを温室育ちにするとか、或いはいろいろな箍を嵌めるというようなことのないように成るべくしたい。かような種種の考慮からいたしまして、お手許に差上げてありまするような法案ができ上つた次第なのでございます。  法案内容につきましては、その概略を申上げますると、第一章におきまして、この法律目的を掲げておるのでございまするが、これは只今申上げましたような趣旨が第一章の第一條に盛られてあるわけでございます。それから同じく第二條は、これは言葉定義でございまして、本法律案の中に以下二、三の個所に事業者という言葉が出ております。その場合の事業者定義を掲げたに過ぎないのでございます。  それから次は第二章、これから実体規定に入るわけでございます。この第二章は、その見出しにありまする技術向上促進目的とした規定でございまして、機械設備等の面に関しましては次の章に譲つてあるわけでございます。第二章は技術向上に関する点、これは如何なる内容であるかと申しますると、これは、生産設備に対するものではないのでございまして、要するに試験研究段階における技術向上促進のための措置規定いたすものでございます。その対象となりまするものは、第三條の二行目のところに出ておりまするが、鉱工業等に関する技術研究工業化試験又は新規の機械設備等の試作、これだけのものでございまして、これらの事柄につきまして、或いは補助金を交付し、或いは短期特別償却を認めるということが第二章の規定内容でございます。随分長つたらしい規定が書いてございまするが、これは税法上の技術的な規定が入りまするので、かように長くなつておるわけであります。以上が要するに試験研究段階における技術向上促進対策であります。次は第三章に移りますと、ここにおいて生産設備生産段階にありまする機械設備に対する近代化促進措置をここに考えておる次第でございます。その内容は極めて簡單なことでございまして、特定産業におきまして使用いたしまする特定機械に対しまして、初年度五〇%の特別償却を認めるということがその内容でございます。これに関連する地方税措置もありまするが、主たる問題はこの特別償却規定でございます。  次に第四章に移りますると、これは見出しにありまするごとく、産業関連施設整備に関する事柄でございます。この第四章に事業者という言葉が現われて参るのでございまするが、冒頭第二條に掲げられました範囲の事業者のその産業関連をいたしまする公共事業施設に関しまして、特別な措置を講ずるということを内容といたしておりまするものであります。これは今日でも公共事業費支出面におきまして、産業関係のための公共事業費支出ということが或る程度実行されておるのでありまするが、それを法文化いたしますると共に、将来予算の許しまする限り産業関連いたしまする公共施設の増強を図つて行きたいということが立案趣旨なのでございます。次に第五章に参りますると、原單位改善に関する事柄でございまするが、これは前々国会でありましたか、熱管理法提案いたしまして、参議院の御協賛を頂いたのでございまするが、ここに掲げておりまするものは、熱以外の原材料、又は動力に関しまする原單位改善に関する勧奨的な措置考えておる次第でございます。  次は、第六章に参りますると、中小企業診断に関する規定でございます。その内容といたしまするところは、中小企業の経営に関する診断、勧告をその当該企業の申出に基きまして行うということが内容でございまして、これも実は現在或る程度実施をいたしておる事柄でございまするが、これも法文化をいたしまして、今後これ又予算の許しまする限り、この面の強化を図つて行きたいと考えておるのでございます。第七章に参りまして、雑則、これは報告及び立入検査等措置でございまするが、これは本法の適用を受けまする企業は、本法によりまする恩典をこうむるわけでございまして、従いまして、その本法運用上、その間に適正なる申告等が行われておりませんと、間違つた恩典を与えるようなことにもならんとも限りませんので、さようなことに対しまする場合の措置といたしまして報告を求め、或いは万止むを得ざる場合は立入検査もするというようなことを設けた次第でございます。第八章は、罰則の規定でございまして、これは御覧下さればわかると思います。  次に附則に入りまして、附則におきまして、附則の数箇條によりまして、租税特別措置法改正を行なつておるのでございまするが、これは先ほど申しました第三章の生産機械設備特定機械設備に対しまする特別償却内容方法をここに掲げたものでございます。その内容は先刻申しましたごとく初年度五〇%の特別償却ということでございます。以上が本法律案の大体の骨子でございまするので、何とぞよろしく御審議をお願いいたしたいと思います。
  5. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) それではこれより委員各位の御質問をお願いいたしたいと存じますが、本日は通告順位などやかましいことはいたしませんので、自由に御質問をして頂きたいと思います。但し慣例によりまして大蔵委員会並びに経済安定委員会に所属しております委員かたがたの御質問を優先的にしまして、それから通産委員会かたがた質疑に入りたいと、かように考えますから御了承を願いたいと思います。なお只今出席中の政府委員及び説明員は次の通りであります。通産省企業局長石原武夫君、大蔵省主税局税制課長泉美之松君、主税局長はあとから遅れて参ります。それでは質疑に入ります。実は通告がありますので……、小林君。
  6. 小林政夫

    小林政夫君 この法案の先ず体裁でありまするが、いろいろ税法上のことに関係して来るわけですが、特に租税特別措置法改正をこの法案附則で以てやられるということについてですね。大体前国会においても租税特別措置法改正案提案されたわけでありますが、どうしてそういう方法をとられないのか。
  7. 中村純一

    衆議院議員中村純一君) 御尤もなお尋ねでございまするが、実はこれは租税特別措置法改正法案が提出されておつたわけでございまするが、この企業合理化法は、実は約一年くらい前から企業合理化法自体として種々研究を重ねて参つてつたのでございまして、その後先ほど申上げましたごとく、研究過程におきまして、如何なる方法においてこれを行うかというような点につきまして、種々構想が生れて参つてつたのでございまするが、最後に至りまして、かような方法を、即ち特別償却方法によることが最も妥当であろうという結論に達したわけでございます。而してこれは、この企業合理化促進法只今その全貌に亘りまして内容概略を申上げました通り、いろいろな内容が盛られておるわけでございまするが、もとよりこの特別償却措置は、その本法目的を達しまする有力なる一手段であるのでございます。併しながら只今申上げましたような立案経過過程でありましたので、ここにお手許に差上げておりまするような形において、これは成るほど形は租税特別措置法改正でありまするが、内容的には、実質的には企業合理化の一手段ということで取上げましたのであります。そこでかような形において提案をいたした次第でございます。
  8. 小林政夫

    小林政夫君 それは、第六條ではつきり租税特別措置法の定めるところにより、特別償却を行うことができる。こういう第六條があるのでありまして、附則で以てこの同じ法案でやらんでも、租税特別措置法措置法改正としておやりになるほうが適当ではないか。特にこの点について主税局意見も伺いたいと思います。
  9. 泉美之松

    説明員泉美之松君) お尋ねの点につきましては、成るほど租税特別措置法の一部を改正する法律案を別途御提出することも一つの案かと考えるのでございますが、この企業合理化促進法、いろいろ手段がとられておりますが、そのうちやはり大きな問題は、その特別償却の問題であろうと思われるのでございまして、これを別に切離しますと、企業合理化法案で成るほど第六條におきましては、租税特別措置法の定めるところによつて償却ができるということが規定されておりますけれども、その内容が一体どういうものかということがおわかりにくいのではないかというふうに考えられるわけでございまして、従つて附則におきまして租税特別措置法の一部を改正することといたしたほうが法案全体として、どういうことで企業合理化促進を図るかということが却つてわかりいいのではないか、こういう意味におきまして附則改正することになつたものと考えております。
  10. 松永義雄

    松永義雄君 関連して、ちよつと主税局お尋ねするのですが、第六條は説明的なものになると、こういうようなお話でしたが、只今小林委員のおつしやつたように、特別措置法になぜ規定しなかつたかという御疑念に対して、私も小林委員と同じ考えを持つております。これは一事不再理になるのでありますか。    〔委員長退席通商産業委員会理事結城安次委員長席に着く〕
  11. 泉美之松

    説明員泉美之松君) この点が一事不再理になるかどうかということにつきましては、従来の慣例等につきまして法制局のほうの御意見を承わりますと、同じ名前の法案が出ましても内容の異なるものでありますれば、一事不再理にはならないというふうに解されているようでございます。従いまして本件が一事不再理になるというようなことはないと考えている次第であります。
  12. 松永義雄

    松永義雄君 只今主税局の答弁によると、第六條は同一なものであると、但し説明的にここに規定を置いたということをおつしやつたから、同一なものならばもつと詳しく措置法に書いて頂いて、ここに改めて載せる必要はないのじやないか。一事不再理に触れんのじやないか、こう思います。なお、私も研究余地がありますから、今小林委員が偶然質問されましたから……。研究余地がある。
  13. 小林政夫

    小林政夫君 今のは私もおかしいと思つておりますので、なお研究をお願いしたいのであります。  次に今日もらつた資料によつて大体わかる点もありますが、この試験研究設備、第三條の政令で定めるこの試験研究設備というものは、業種関係なく、どの業種であつてもいいわけでありますか。
  14. 石原武夫

    政府委員石原武夫君) お話通り業種を問わないことにできております。
  15. 小林政夫

    小林政夫君 それから第三條の「国の所有に係る機械設備」こういうのは現在国が持つている設備としてはどういうものを予定されているのか、で又新らしく国家の費用で買つて貸与する意思があるのかどうか。
  16. 石原武夫

    政府委員石原武夫君) 現在国が持つております機械設備は、御承知のように相当莫大な設備がございまして、そのうち大部分がまだ遊んでいるという状況でございます。これらの設備が第一に対象になると思います。将来国が買つてやるかどうかということは、それは将来の問題でございますが、現在直ちにこの規定予算等を以ちまして新らしく取得をいたしまして、買うということは現在のところは考えておりません。将来の問題としてはさような場合も或いは起るかも知れない、かように考えております。
  17. 松永義雄

    松永義雄君 ちよつと関連して……。国家の持つている機械とか設備を貸与して産業合理化に資しようというお話のように聞きました。ところで主税局関係かどうか知らないが、財務局関係じやなかと思いますが、そういうものの国家財産貸付ける場合の取扱官庁はどこですか。
  18. 石原武夫

    政府委員石原武夫君) 大蔵省でございます。国有財産大蔵省が所管しておりますので、大蔵省がその取扱をしております。
  19. 松永義雄

    松永義雄君 大蔵省のどこですか、局は……財務局でしようね。
  20. 石原武夫

    政府委員石原武夫君) 中央では管財局が所管しておりまして、地方では財務局であります。
  21. 松永義雄

    松永義雄君 そこでお尋ねしたいのは、従来機械貸付をやつておりますが、結論を申しますが、不正行為が相当行われておるようでありますから……。私はそれを暴露して快しとするのが目的ではない、財務部に一応そういうことについてお尋ねしたいと思いますから財務部出席を求めたいと思います。私は糾弾するのが目的じやないのです。従来の執行方法について誤りがある。私は掴んでるものがある。証拠は歴然としておりますから……。私は糾弾するのが目的じやないので、従来やつておることが間違いが多かつたということなんです。だから如何によい法案をお作りになつて執行を誤ると意味をなさないのじやないか、又外の点に引つかかつて来ますが、一応それだけのことを御伝言願いたい、こういうことであります。
  22. 結城安次

    委員長代理結城安次君) 松永委員只今お話泉税制課長からお取次願つてこの次あたりにでも御説明を願うことにいたします。
  23. 小林政夫

    小林政夫君 本法にはいろいろ予算措置を伴うようになつておりますが、第三條、第八條、第十三條、おのおのそれぞれ予算を伴うことになつておるのでありますが、大体二十七年度においてどういう予定でおられるか。
  24. 中村純一

    衆議院議員中村純一君) 第三條の関係におきましては二十六年度において合計四億五千万円計上せられております。又第八條関係といたしましては同じく二十六年度に約六億程度のものが予定せられております。二十七年度においては目下所管庁といたしまして大蔵省予算要求中であると思うのでありますが、まだ確定をいたしておりません。
  25. 小林政夫

    小林政夫君 十三條の地方公共団体に対する補助金は……。
  26. 中村純一

    衆議院議員中村純一君) 申し落しましたが、これは実は極めて僅かで、二十六年度にていて千四百万円でございます。二十七年度は同じくまだ未定でございます。
  27. 小林政夫

    小林政夫君 今承わつた程度の少額な予算本法目的が達成されますか。
  28. 中村純一

    衆議院議員中村純一君) 予算はもう只今のものは不十分と考えるのでありますが、今後財政の許す限り多額の予算を計上して最も有効に本法運用をいたして参りたい、かように考える次第であります。
  29. 小林政夫

    小林政夫君 そこでこの法案の通過と兼ね合つて、二十七年度においては実施できるかも知れません。二十七年度においてまだ決定に相成つておりませんが、一応主計局と折衝の模様もあるでしようし、大体どのくらいということでお考えになつておりますか。
  30. 石原武夫

    政府委員石原武夫君) 二十七年度予算については関係各省から大蔵省要求は出してございますが、今いろいろな事情でまだ大蔵省のほうと折衝する段階に本年度は来ておりませんので、主計局がどの程度のところで認めるかどうかという見通しが現在のところまだついておりませんので、およそというお話しでございますが、まだちよつとそこまで大蔵省の御意見が我々のほうに来ておりませんので、まだ申上げる段階に達しておりません。
  31. 小林政夫

    小林政夫君 大蔵省が認められる段階に達しておらないということは承知しておりますが、原局としてどれだけ欲しいというお考えであるのか……。
  32. 石原武夫

    政府委員石原武夫君) 第三條の初めにあります試験研究設備補助金本年度四億五千万円と申しましたのは、通産省といたしましては約倍、十億近くの要求をいたしております。それから中小企業補助金でございますが、これが約一億を少し越す程度であります。産業施設整備関係のものは、これは実は御承知のように公共事業費の中から道路産業関係道路とか港湾とかに予算がつけられますので、実は通産省としては予算要求の形になりませんものですから、現在通産省のほうで各企業からさような要望を取りまとめて集計をいたしましたものが、業界の希望全部で三十六億ぐらいであります。道路産業関係道路及び港湾合計約三十六億、道路港湾の区別は、約丁度半分くらいです。さような資料をこれは安定本部、建設省とか運輸省とかいう所で出しまして、こちらで予算要求をしておるわけであります。
  33. 小林政夫

    小林政夫君 十三條の地方公共団体補助金について……。
  34. 石原武夫

    政府委員石原武夫君) 先ほど申しましたように、中小企業関係補助金は約一億一千万円ばかりの要求をいたしております。
  35. 小林政夫

    小林政夫君 この第八條ですが、こういうことが一応法案としてはできるようになつておりますが、実際問題としてスムースに行きますか。その具体的な申請があつた場合におのおの公共事業費等の中において、予算の範囲内においてやるわけでありますが、具体的にはどういう方法でお運びになりますか。
  36. 石原武夫

    政府委員石原武夫君) これは現在やつておりますのは、所管省といたしましては運輸省、建設省が所管でございまするが、そこで各地方からの要望をまとめられまして、予算要求の形として公共事業費一本にまとめて要求をしておられるわけです。それで従来建設省或いは運輸省等におきましても、もとより産業関係の立場を御考慮の上予算を組んでいらつしやるわけでありますが、産業関係のものはやはり通産省におきまして非常に業界の希望も強いものでありますから、従来から各企業からの要望を集めまして、それぞれ所管の省に、或いは安定本部お話をいたしまして、できるだけその予算に織込むように努力をして来て参つております。最後的には安定本部で各公共事業費の配分をしていらつしやいますので、そこで決定されることになつております。今後も同じような手続を踏んで問題の処理を図つて行きたい、かように考えております。
  37. 松永義雄

    松永義雄君 ちよつと関連しまして……今第八條の御質問があつたのでありますが、この中で事業者とは一体どういうことですか。それから「受益の限度において工事に要する費用の一部」というのは一体どういうことですか。
  38. 石原武夫

    政府委員石原武夫君) 第八條事業者は先ほど提案者から御説明がございましたが、第二條定義を書いております。工業、鉱業、電気事業、以下これに書いてあります事業を行なつておる者ということでございます。それから受益の限度において受益者負担と言いますが、その費用の一部を負担させるというのは、これは現在でも他の法律にかような規定がございまして、道路港湾等に国家助成いたします場合はもとより公共的な色彩のものでございますが、その場合にそれが実施されますと、具体的に或る企業がそれ、によつて恩恵を受けるという場合が当然でございますので、これらは従来の法律にもございますが、同じような意味でその一部を負担させることができるという規定を設けたのであります。
  39. 松永義雄

    松永義雄君 ちよつと延びて行きますが、第二條の事業ということに関連して、政令で定める事業というのはどういう事業ですか。
  40. 石原武夫

    政府委員石原武夫君) この事業者定義は、ここで法律でできるだけその事業を明確にするということで、ここに明文で書いてあります。水産業まで明記いたしたわけでございまするが、現在のところ法律で明記しておる事業で大体十分だと考えておりますが、将来更にここに明記しております事業以外で事業者規定を適用したほうがいいという場合には、追加ができますように政令の一部に委任しておるわけでありますが、差当りは直ちにこの政令で事業を規定するところまではまだ考えておりません。
  41. 松永義雄

    松永義雄君 考えておらないから規定を置くというようなら、これは規定を抜いたらいいと思います。問題はこれが例示的であつて、これに類似する事業をやつてつたならば政令で定める、こういうことなんですが、或る点までこれは予想がついておらなければ、考えておらない規定なら置かないほうがいい、その点はどうですか。それから、これは受益者負担金というような感じを受けますが、その一部を負担させる場合に、全部を負担させてもいいということも考えられるかも知れないので、この一部を負担させる算定方法は一体誰がするか、どういう方針によるか。
  42. 石原武夫

    政府委員石原武夫君) 第二條のほうはお話通り今直ちに規定をする予定のものはございませんが、かような例えば八條でございますとか、或いは十二條でございますとか、かような規定については、これ以外の業種についても或いは適用したほうがいい場合があるかも知らんということで、他の法令にもかような例もございますので、  一応そうした場合を考えまして、この規定で政令という字句を一部入れたわけでございます。それから受益者負担の問題は、これは現在道路なり港湾なりでやつておられますところを、その法律に倣つて適用いたしましたので、詳しくはちよつとお答えいたしかねますので、後ほどこれらの担当をしております建設省、或いは運輸省からその間の事情をもう少し具体的に御説明をさして頂きたいと思います。
  43. 松永義雄

    松永義雄君 この受益者負担金というものは、或る点まで率がほかの場合においてはきめられておるんじやないかと思います。例えば補助金にしても何にしても、国庫負担は幾ら、地方団体負担は幾らと大体率がきめられておると思いますが、その場合場合において、それを受ける限度においてこれは負担させる、こういう意味かも知れませんが、一体誰がこういう負担金を実際の場合においてきめるのか。
  44. 石原武夫

    政府委員石原武夫君) 誰がこの受益者負金をきめるのかと申しますと、ここにございますように公共団体等が施行いたします場合には公共団体できめるということになりますし、それから国がやります場合におきましては一部国がさようなことをきめるということにもなろうと思いますし、国でやります場合にはそれぞれ建設省、運輸省というような所が決定することになると思います。
  45. 松永義雄

    松永義雄君 問題は私が心配するのは、負担金を命ずる場合に大き過ぎても困るし、少な過ぎても困るということじやないかと思います。問題はそういうところです。間違いが起るのですから、誰がそれを確実にやるか、無論これは負担金を取るほうの側からやるということはわかり切つたことですけれども、従来はそれで以て正しく行われておるかと言つたら必ずしもそうでないのでありますから、だから念のためにそれを聞いておるわけです。それから事業者というのはこれはプライベートのアンダーテーカーということですか。
  46. 石原武夫

    政府委員石原武夫君) 事業者とはここに書いてありますように、工業、鉱業を行なつておるということで、プライベートのアンダーテーカーというものと同一かという御質問でございますが、大体は同一と思いますが、これらの事業を行なつておれば個人であろうと法人であろうと、その企業形態は問わないということでございます。
  47. 松永義雄

    松永義雄君 そうすると地方公共団体で行なつている場合も想像される、こういうことですね。プライベートばかりではない。それについて聞いておるのですが……。
  48. 石原武夫

    政府委員石原武夫君) 先ほどのお答えが悪かつたのでありますが、ここでは「事業を営む者をいう。」というので、プライベートのもので、公共団体等は一応入らないというふうに考えております。
  49. 松永義雄

    松永義雄君 そこで第二條と、今の條文に引つかかつて負担金を命ずる場合には余り保護に失してはいかんし、同時に余りに過重にかけても気の毒だということなんですが、そういうことでしばしば間違いが起きているのですから私は聞いておるのです。
  50. 小林政夫

    小林政夫君 今の中小企業に対する関係ですね。地方公共団体に対する補助金一億円要求ですが、本年度のごときは千四百万円というような僅かな予算で、ここに書いてあるような十二條十三條の地方公共団体が果してやる能力ができるとお考えですか。
  51. 中村純一

    衆議院議員中村純一君) 御尤ものお尋ねでございまするが、これは国が支出いたしまする補助金は、先ほど申しましたように二十六年度僅かに千四百万円でございまするが、ほかに地方公共団体自体の負担において相当額を負担をいたして実施いたしておるのでございます。もとよりそれを合せましてもこれは極めて僅かなものでございまして、不十分であることは勿論でございます。従いましてまあ今後財政の許しまする限りこの面の補助金予算も増額をいたして参りたいと、我々提案者考えておる次第でございます。なお又それにしてもどんなことができるか、余りに僅か過ぎて問題にならないじやないかというお考えかとも考えられるのでございます。それにつきましてはもとよりこれは貧弱なものでありまするが、二十六年度までに、今日までに実施いたしておりまする実情等につきまして政府側から御参考までに申上げさせたいと思います。それは今関係官が参りますから後ほどにしたいと思います。
  52. 小林政夫

    小林政夫君 私も現状は承知いたしておりますが、ほとんど有名無実であつて行われておらない。又実際問題としてなかなか中小企業といえども、ここに書いておるようなことを……、指導能力のある地方公務員を得ることは私はむずかしいことと思つておる。それはいずれ係官が見えてからお聞きすることにいたしますが、もらつておる資料にないのでありますが、第六條の重要産業は一体どういう事業を指すのか。
  53. 中村純一

    衆議院議員中村純一君) これにつきましては趣旨といたしましては第六條に書いてありますような……これだけ御覧になりましてもお尋ねのごとく極めて抽象的であるのでありますが、併し狙つております気持はこれで御了解願いたいと思うのでありますが、それにつきましてはそれぞれ産業を所管いたしておりまする各産業庁といたしまして、この種のものを是非適用を受けるようにしたいということでいろいろ案を考えるわけでございます。同時に又一面におきましてこれは特別償却対象となりまするので、当然減收を伴つて来る財政的な関連を生じます。従いましてこの産業面から参りまする要求と、財政面から考えられまする限度とこの両方の面からいたしまして、適当なるところに調和点を求めなければならんということが、これが実際問題であると考えるのでございます。只今それらの点につきまして各産業諸官庁と大蔵省との間において種々検討中であるのでありまして、今日の場合確定的なことを申上げる段階にまだ達しておらないのでございます。悪しからず御了承を願います。    〔委員長代理結城安次郎君退席、委員長着席〕
  54. 小林政夫

    小林政夫君 それは政令で定めるということになつておりますし、他のことに頂いておる資料によつても殆んど政令の要綱的なことが網羅されておるわけなのです。勿論各省ともいろいろな要望を取りまとめるということで時間がかかるかも知れませんが、本案の審議の採決までには、是非これをその当時の各省の相談の結果まとまつた案をお示し願いたいと思います。
  55. 松永義雄

    松永義雄君 只今二條事業者説明によつて、この重要産業意味が明瞭になつた、こういうお話であります。そこで私の聞きたいことは、事業者の中に中小企業家が入るかどうかちよつと……。
  56. 石原武夫

    政府委員石原武夫君) 勿論中小企業も入ることになります。
  57. 松永義雄

    松永義雄君 ちよつと私、これから先は意見のなんですけれども、この法案が大企業家の保護にのみ偏しないということを私は特に注意いたしておきます。
  58. 小林政夫

    小林政夫君 さつき言つた法案の採決をするまでに今の案を取りまとめてもらいたい、そうしてお示し願いたいということを委員長は取上げて頂きたい。
  59. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 只今小林君の提議は委員長のほうで取上げます。
  60. 稻垣平太郎

    稻垣平太郎君 本法案趣旨に大体賛成でありますが、先ほど松永委員から中小企業も入るか入らないかといつた問題を提議されたわけであつて意見だとおつしやいましたが、その点について特段の希望をされておるのだろうと思います。そこで御提案者に先ず第一にお尋ねいたしたいのは、中小企業もできるだけこの法案恩典と言いますか、それによつて利益を得ることになるのでありますが、大企業では新らしい合理化のための機械設備その他を自分の蓄積において、又金融その他の措置においてそれを実行することが比較的容易であると存ずるのでありますが、中小企業者ではなかなか金を借りて新らしく設備をするとか、或いは又自己資金でこれる作るということはなかなか私は困難だと思うのであります。そこで或る中小企業者が何回かに亘つて事業年度ごとに設備資金と設備改善資金というものを積立てるということをいたさせまして、その積立金に対しては特別の免税その他の措置をとる、こういう方策をいたしますというと、その金によつて新しい機械設備改善ができるものと私は思うのであります。その免税の措置、つまり利益処分に対して設備改善資金を特別に積立てる、この積立金に対してはこれを何年間に使うというようないろいろな規定を設けることは必要だと思います。この積立金に対してこれを利益金とみなさないという措置をとることによつて設備改善ができると思いますが、御提案者はそういつたような点について何らか御考えになつたことがあるかどうか、一つ承わりたいと思います。
  61. 中村純一

    衆議院議員中村純一君) お答えを申上げますが、中小企業に対して差別的な待遇をしないようにという御趣旨の点は全く御同感でございまして、この法律全体を通じまして法定の適格條件を備えておりまする限りは、企業形態の大小にかかわりなく、公平無差別に本法を適用いたして参りたい、これがこの法律案趣旨でございます。運用面におきましてももとよりさように取計らわれることと確信をいたしておる次第でございます。而して又中小企業の経営上、金融的な面が最も重大なる隘路であるということもお示しの通りでございまして、いささか余事に亘るかも知れませんが、実は衆議院等におきましても、この法律の中を見ると、特に中小企業のことを書いたのは、僅かにこの診断の勧告ばかりではないか、かようなことで中小企業の育成が達せられるかという意味の御質問もしばしばあつたのでございます。併し只今申上げましたごとく、この診断ということだけは成るほどここに書いてありますが、その他の面は全部これは中小企業も適用をいたす事柄でありまするのみならず、いささか余事であるかも知れませんが、我々衆議院の通産関係の者といたしましても、中小企業の金融面の打開のために、先般も商工中金法、我いは保険制度の改善等を議員提出を以てお願いをいたしたわけでございます。なお又只今質問の点は、これは誠に産業経営の立場から申しますれば、極めて望ましいことだと思うのでございまして、私ども立案過程におきましても、さような点につきましてもいろいろと研究をいたしましたのでございます。併し一面におきましてこの法律の実施に伴いまする財政面に対する影響ということも、これ又現実の問題として考えなければならない面も相当にございまして、この法律はもとより議員提出ではございまするが、これのいよいよ実施、運用ということになりますると、政府部内といたしましても、関係者が極めてたくさんあるのでございます。従いまして私ども立案過程におきましても、議員立法ではございまするが、もとよりこの実施の場合におきまする関係をも考慮いたしまして、政府部内の関係各省とも随分長い間研究もいたし、討議もいたしまして、今日の財政関係等をも併せ考えまして、只今お尋ねの点は十分検討はいたしましたが、一応それは将来の問題として留保せざるを得ないという結論に達しましたのが実情でございます。御了承を願いたいと思います。
  62. 稻垣平太郎

    稻垣平太郎君 まあ私御提案者の御説明十分了承するのでありますが、併しながら財政面という点から申しますと、これはあとと先の違いだけであつて、財政面の上においては私は何ら影響はないと思うのであります。従つてこの根本的なここに免税措置なり、或いは特別償却を認めるということになりますれば、それは財政的の面から言えばあとと先だけの問題でありますので、これを根本的に認めている以上は、今私が申上げたような問題も当然認められて然るべきものだと私は思うのであります。御提案者がこの点についてもう少し突つこんで政府部内と御折衝下されば私はできる問題じやないか。これは今日この私は企業合理化法案は、非常に一口も早くできることが日本の経済自立のために必要と存じますから、これ自身を今日云々するのではなくして、将来でもよろしいのでありますが、今の問題は更に私突つこんで御検討が願いたい。この次の機会においてこれの修正案を出されるくらいのお覚悟がございますかどうかをもう一度私は承わりたいと存じます。
  63. 中村純一

    衆議院議員中村純一君) 御趣旨の点は十分私ども諒といたしまして、できるだけ御趣旨に副つて今後も行きたいと、かように考えております。
  64. 稻垣平太郎

    稻垣平太郎君 それから第二に御質問を申上げたい点は、第何條でございましたか、原單位の問題がここに提案されておると思つたのでありますが、一体原單位を公表するということが書いてございますが、原單位はこれは通産省においておきめになるのであるか、どうか。又通産省において何を基準として原單位をおきめになるのか、或いはどういうような方法によつて原單位を算出されるのであるか、その点についての御説明を承わりたいと思います。
  65. 石原武夫

    政府委員石原武夫君) 只今の御質問にお答え申上げます。原單位は現在でも実は一部通産省で業界と連絡をいたしまして、勿論原單位を民間から取つてもおりますし、それを検討した結果を公式と申しますか、業界にも発表をいたしております。これは稲垣議員がよく御承知通り通産省合理化審議会というものを大分前からやつておりまするが、そこで合理化の問題の一つといたしまして、原單位向上ということからいたしまして、戰前、或いは戰後、或いは諸外国等の原単位を調査いたしまして、現状においてこの程度まで原單位向上できるはずだ、企業の努力、或いは設備の改造等によりましてできるという目途をつけまして、原單位を算出しているわけです。それの算出過程におきましては、十分業界のそれぞれの御専門のかたがたに御参集を願いまして、御検討願つた上で決定をいたし、それを発表して行きたいというふうに考えております。別に参考資料として御配付申上げております合理化の現状というような資料にも、一部原単位が載つておりますが、それらはかような合理化審議会と、その業界の御専門のかたに御研究を願つた点等も考慮に入れまして、今資料に載つておりますのは現状でございますが、さように十分に原單位向上を見ておりますが、さような手続で今後もこの問題を取上げて行きたい、かように考えております。
  66. 稻垣平太郎

    稻垣平太郎君 今の原單位の問題は、これはまあ石原局長の御説明通り、私も十分了承しておるのでありますが、ただ新らしいこの企業合理化促進、いわゆる合理化された機械そのものの原單位という問題は、現在の設備における原単位と私は大分違うと思うのであり、ここのところを私としては問題にしたがつたので申上げたのでありまして、一体原單位を今通産省がもつておられるということが……企業合理化審議会なんかでおやりになつておる原單位というものと、新らしく設備が入りました場合に想定される原單位というものは非常に違いがある。そこで新たに機械を入れた場合の原單位というものに対する測定をどの形でおやりになるのか、この点についての十分の用意がないと、却つてあとで罰則等がありますから、非常な混乱を来たす虞れがある、かように私は思うのであります。そこで私は今申上げた原單位質問をいたしたわけでありますが、私の心配しておるところはその点であるという点を十分にお留め置きを願いたい、そうして原単位というものについての公表をなすつて頂きたいということを申上げておきたいと思うのであります。  それから、もう一つだけ……。私時間がありませんが、もう一つだけ御質問をいたしたいのでありますが、まだ四つ、五つ御質問いたしたい点がありますが、それはあとにいたしまして、もう一つだけ……。これは第四條に、設備試験研究者であつて、「その承認を受けた日から一年以内に」という、この「一年以内に」という制限がついておるので「ありますが、なぜ一年塚内という制限をされるのか、或いは非常にむずかしい機械設備、新らしいこの研究設備であつて、例えばアメリカあたりの機械を注文した、それが今日のアメリカの需要なんかの注文関係で後廻しになつて、なかなか入つて来ない、承認を受けた日から一年以上になつてつて来る場合がたびたびあると思う。これは一年以内ということは、是非御修正願いたいと思いますが、そうするというと、実際は試験研究設備というものは、適用を受けない場合が起きて来ると思うのです。これはその辺の御検討が、もう少し御理解がないかと、こう考えますが、提案者の御意見を承わりたいと思います。
  67. 中村純一

    衆議院議員中村純一君) お尋ねのような極めて例外的の場合もあるかと思われるのでございます。先ず通常の場合は一年以内ということで十分であろうかと考えられるのであります。而して又お尋ねのような場合がありまする場合は、これは本法運用上承認をもう一度出し直して、切替えるという方法もあると思われますので、その辺はよく実情に応じた運用をして行きたいと、かように考えておるのであります。
  68. 稻垣平太郎

    稻垣平太郎君 今極めて例外的な事項だとおつしやいますが、普通の機械設備の据付けその他をしますと、一年なら一年と区切つても楽だと思うのです。資金、設備その他は基本をなしますだけに、そう簡單には私は行かないと思うのです。私どもの持つております従来の経験からしますと、むしろこのほうは一年以上かかる場合が多いので、例外的ではないと思うのです。それなのにこういつた規定をなしておるところに非常に無理がありはしないか、かように思うのです。仮に今お話のように一年以内で行かなかつた場合、改めて承認を申請するということの規定も載つていないように私は散見するのでありますが、そうなればなお規定の上にそういつたようなことを一つ附加えられておかれないと、折角のこのいい法案が私は価値を非常に殺ぐものになりはしないか、かように思うのであります。この点について改めてもう一度御意見を願いたいと思います。
  69. 中村純一

    衆議院議員中村純一君) 提案者といたしましては、只今申上げましたように、運用面におきまする措置によつて、さような場合におけるやり方は解決できると考えておる次第でございます。
  70. 稻垣平太郎

    稻垣平太郎君 私まだ御質問したいと思うのでありますが、ちよつとほかに用事がありますのでやめますが、今の点は十分御検討願いたいことと、さつきの原単位の問題は、実際問題として石原局長にお願い申上げておきます。
  71. 松永義雄

    松永義雄君 先ほど財政問題に関するだけをおつしやつたのですが、同じことを又ダブらせるのですけれども、政府の機械を貸してやるという場合に、その選択よろしきを得ないと、本当に役立つ方面に向かないという虞れがあるのです。その点は一つ財務局で十分やつて頂きたいと思うのです。それから第二の今の原單位、これは非常にむずかしい点で、稻垣さんは専門家でいらつしやると思いますが、中小企業と言いますと、第十二條というか、企業診断という標題を持つた條文なんです。第十二條には「調査及び診断」ということを書いて、第十一條には「必要な指導又は勧奨を行うことができる。」と、こういつた、こういう取扱の差別をしておるのはどういうわけですか、ですから中小企業はどうかということを聞きたくなる。なお十四條に立入検査が認められているようでありますが、一応原則的にはこういうふうに十一條、十二條の違いがあるように思うのですが、取扱中小企業に対して一枚下に下ろしているような感じを受けるのですが、如何ですか。
  72. 石原武夫

    政府委員石原武夫君) お尋ねの点は一応御尤もでございますが、十一條のほうは原単位の問題について指導又は勧奨という字句を使つておるのでありますが、中小企業のほうは調査及び診断と言つておりますが、これは従来かようなことは、中小企業診断ということで言い馴れておりますので、従来のそうした経過からかような字句を使つておるわけでございます。中小企業の場合におきましては、いろいろ経営の内部に立渡つて調査をし、診断をしておるわけです。原単位等の場合においては、特に経営の全般に亘つて診断をするということでなくて、その原単位に関する設備の運行方法その他について極く一部的な問題で、診断というところまで実際問題として参りませんので、さような点もありまして、指導、勧奨というような表現にいたしておるわけでございます。
  73. 松永義雄

    松永義雄君 そこで僕はちよつとおかしいと思うのですが、指導と勧奨と、調査と診断と一体定義はどこにあるのかということになるんです。何となく中小企業に対して軽く扱つておるという感じを受けるのです。どうなんですか、先ほど中小企業も大企業も同一に扱うということをおつしやつてつて、そうして規定を見るというと、そこで何となく違つておる感じがする、これはどういうわけですか。
  74. 石原武夫

    政府委員石原武夫君) 十一條の原単位に関する指導、勧奨はこれは大企業中小企業共通の問題でございます。十二條はいわゆる企業診断と申しておりまして、これは中小企業に限りまして、特別に診断制度をきめて現在もおるわけであります。そういうような意味中小企業だけに診断というのは、中小企業について診断制度があるのをここに取入れておりますので、十一條と御比較願われるとちよつと字句は違いますが、十一條も原単位に対しては中小企業に適格である、こういうような意味でございます。
  75. 松永義雄

    松永義雄君 先ほど中小企業については特別に心配をしてやる、中小企業に限つて調査及び診断は特に親切に指導をしてやる、こういう精神だというお話でございますが、ところがそうすると、一体政府は従来いろいろ指示をしたり、いろいろ指導をするということになつておるんですが、ここでのこの問題ではないのでありますけれども、他の問題について政府はしばしば親切を欠いておる点があるのであります。例えば繭が今日どのくらいで売つたらいいのか、どれくらいに一体製糸家に買わせるか、こういつたような場合において、指示したらいいとこう思われるような場合において、その指示について親切が欠けるところがありはしないかという点が、事実あるというのではないのですよ、あるというのではないのですが、ないのですけれども、私自身としてはそういうことをもう少し親切にやつてもらつたらいいのじやないか、ということを考えておる場合があるのですよ。同じように本件の場合において如何にも親切にこう指導、勧奨して調査、診断してやる、こう書いてあつても、大企業のほうにばかり親切であつて中小企業のほうに不親切な取扱をするということがないか、そういう点を私はあらかじめ聞いておきたいのですよ。
  76. 石原武夫

    政府委員石原武夫君) 今のお尋ねでございますが、むしろ大企業のほうはいろいろ技術陣容が整つておるとか、経営能力も多いとかいうことで現状においては、むしろそうした面で政府の指導、勧奨を受ける必要性は少いだろうと思います。又民間におきましてもそれぞれ経営士とか、技術士とかいうものができておりまして、相当のそうした専門家に報酬を拂つて指導を受けるということも現にやつておりまして、政府が面接大企業にさような措置をとる必要性はむしろ少い、中小企業のほうが数からも多いのでございますし、いろいろそうした面で政府が面倒を見る点が多いと考えますので、むしろ我々といたしましては、中小企業のほうにむしろ多くかような措置を講じて行きたい、こういうふうに考えております。
  77. 松永義雄

    松永義雄君 そうして見ますと、第二條において、工業、鉱業、電気事業なんというものは、地方団体の中には小さい電気事業関係のものに指導するものがあると思うのですが、大体がここに出してある重要産業と称せられるものは大企業が多いのであります。大企業が多くて、そのあとへずつと来て十一條で指導又は勧奨をする、こういうことになつている。そこであなたがそういうふうに今御説明になつたのでありますが、その説明は諒とするのですが、本当にそのようにやる気があるからおつしやつたのであるかないか聞いて見たつてしようがないのですが、  一つその点は十分あなたの説明されたように、中小企業をもなお且つ産業合理化によつて日本の産業を進めて行くべきである、こう考えてその言葉通り実践に移して頂くことを希望いたします。  それから第十四條に立入権がありますね、これは証票を持つて行くわけですね、二項で……。この点なんかも大企業のほうはお辞儀をして行く、中小企業のほうはいばつて行くというようなこともないでしようけれども、こういう点は一つ地方団体とよく相談して、県庁なりとよく相談して親切にやつて頂きたいと思うのです。くどいようですけれども、政府の機械を借してやるにも適当なところに行つておらないのです。適当なところに行つておらないから私はそういうことを言うのです。くどいようですが、念のために関連して……。
  78. 石原武夫

    政府委員石原武夫君) 只今お話のございました点は誠に御尤もな点で、十分注意をして運用して行きたいと思います。
  79. 小林政夫

    小林政夫君 先ほどの提案ですが、はつきりさせておきたい。第六條の重要産業に属する事業、これは政令で定められるのでありますが、その種別をはつきりお示し願いたいということと、それからその種別をきめるに当つて、減税になる、甚だしく減税になつては困るから、その税の減り工合を兼ね合せて考えたいというふうな御説明でありましたが、それであると業種別に如何ような減税になるのか。特に法人、個人と分けて計算が明らかにされればなお結構であります。その委員長にお取上げ願つた先ほどの私の要求した資料でありますが、減税額と併せて提出して頂きたい。
  80. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 只今小林委員からの要求のありました資料はいつ提出できますか。
  81. 泉美之松

    説明員泉美之松君) この第六條及び租税特別措置法規定によりまして、初年度五割の償却を行うことができる特定事業の特定機械でございますが、これは先ほど提案者からもお話がございましたが、税收の減收ということとも、又企業合理化ということと双方睨み合せて考えなければならないのでございます。明年度の租税及び印紙收入全体の数字がまだなかなか固まつておりませんので、現在関係各省と協議して数字を固めておる段階にあるのでございますが、我々といたしましては、大体においてこの企業合理化促進法関係で法人税におきまして約十億乃至十五億の減收になるのではないかというふうに考えておるのでございますが、目下各省と検討いたしておりまする重要事業といたしましては、鉄鋼業及び石炭採掘業、それから金属工業、それから金属の精錬業そのほか工作機械或いは車両製造、それから船舶の造修業といつた機械工業の基礎的なものを事業として指定したらどうかというふうに考えておるのでございます。なおその事業が取得いたしまする機械につきましては、すでに小林委員に差上げておると思いますが、現在租税特別措置法におきまして、取得後三年間五割増償却の適用を受ける機械の品名を掲げておりますが、その機械の中から適用を受けるものを抜き出して来るということになろうと考えておる次第でございます。
  82. 小林政夫

    小林政夫君 あとの質疑は次回に譲ります。
  83. 松永義雄

    松永義雄君 主税局のかたの今御説明によりましてわかつたのですけれども、この法案で法人税が、何と言いますか、減税になるというようなことはないのですか、この法案だけで……。特別措置法関係の結果特別償却なら償却によつて減税というか、経費に見積られて税金を拂わなくてもいいということになつておる、そのままここに移したということになるのですか。特別措置法以外にこの法律でも又新たに経費と認めれる項が出て来て、それによつて税金を納めなくても済むという結果になるのですか。
  84. 泉美之松

    説明員泉美之松君) 企業合理化促進法関係におきましては、国税におきましては第四條におきまする試験研究機械設備等の三年間の短期償却、それから第六條と、及び附則において改正いたしまする租税特別措置法によりまして初年度五割の減価償却というこの二点から減收額が生ずるのでございまして、その額が先ほど申上げましたように、両者を合せまして十億乃至十五億程度になるのではないかというふうに考えておるのでございます。その内容特別償却のほうは、現在先ほど申上げましたように、取得後三年間五割増償却を認められておりますが、その機械の中から特に重要産業として指定いたしました事業を営む法人が取得いたしましたものについて、初年度五割の償却を認めるわけでございますから、その現在措置法の適用があります上に、今度の措置によつて減收になるのが、試験研究のほうを入れて十億乃至十五億ということになるのであります。
  85. 松永義雄

    松永義雄君 わかつたような気がするのですけれども、もう一遍……。特別措置法で経費と認められて税金を納めなくてもいい償却の外に、更にこの法文によつて又納めなくてもいい結果になると、こういうことなんですか。その点二重にも三重にも償却とか他の方法で税金を納めなくてもいい結果になつておるかというのです。
  86. 泉美之松

    説明員泉美之松君) 今度の企業合理化法及びその附則によりまして改正を行います租税特別措置法によつて初年度五割の償却を認める指定機械につきましては、現在五割増償却の適用を受けておるものの中から抜き出すわけでございますが、その機械につきましては、五割増償却は適用しないのでございます。そこでダブつて適用になるわけではないのでございますが、現在五割増償却を適用されておる機械の中から抜き出すわけでございますから、この措置がなければ五割増償却の適用を受けたであろうというふうに考えられるわけでございます。そこでそこから更に減收するのは試験研究費を合せまして十億乃至十五億というのであります。
  87. 松永義雄

    松永義雄君 この三年間のほうですね、これは特別措置法には何も関係ないのですか。
  88. 泉美之松

    説明員泉美之松君) 取得後三年間の特別償却につきましては、これは第十回国会におきまして御賛同を得まして、租税特別措置法規定いたしておるのでございますが、今回は企業合理化促進法附則におきまして更に初年度の五割償却という新たな特別償却規定を設けようというのであります。
  89. 松永義雄

    松永義雄君 率が違つて来たというのですか。
  90. 泉美之松

    説明員泉美之松君) 御参考までに申上げますと、定率法で償却いたしますると、耐用年数が長い短かいによりまして償却率が違うのでございますが、仮に耐用年数が十五年のものをとりますと、普通償却でございますと、初年一割四分二厘償却することができるのでございますが、租税特別措置法で現在規定されております五割増償却によりますと、この一割四分二厘の五割増でございますので、二割一分三厘の償却ができる、更に今回特定産業特定機械設備につきましては五割の償却ができるということになるのでございまして、その間差異があるのでございます。併し今度の償却は初年度五割償却いたしますが、その次からは半額につきまして普通償却を行つて行くことになるのでございまして、今の耐用年数十五年のものにつきまして三年目を比較いたして見ますと、現在の普通償却で行きますと、耐用年数が十五年でございますと、三年目には三割六分九厘の減価償却ができるのでございます。五割増償却の場合に五割一分二厘の償却ができることになるのでございますが、今度の新らしい措置によりますと、六割三分一厘まで償却ができる一このように年限がだんだんたつに従いまして差が少くなります。ただ五割増償却と、今度の初年度五割の償却によりますと、耐用年数十五年ときまつておりましても、法定償却額通りきつちりやつて行きますと、およそ十三年ほどたちますと残存価格一割に達する償却ができるというようになるように考えておる次第でございます。
  91. 松永義雄

    松永義雄君 そうしますと、大蔵省としては無論これは二十七年度からのことだと思うのですが、それとも二十六年度からこれを施行されてやるということかも知れません。そうしますと予算とはちよつと違つて来るということになりますが、予算歳入と……。
  92. 泉美之松

    説明員泉美之松君) これによる減收を考えて明年度の租税及び印紙收入を計算することになるわけでございますが、この特別償却の適用関係を申上げますと、初年度五割の償却は一応明年一月一日以後終了する事業年度の法人税から適用することにいたしておるのでございますが、御承知のように現在取得後三年間の五割増償却におきましては、昭和二十六年、本年の四月一日以後終了する事業年度の開始の日以後取得しました特定機械につきまして五割増償却を認めておるのでございます。その五割増償却を認められておる機械のうちから、今度初年度五割の償却をできる機械を抜き出して行くことになるわけでございますが、従いまして現在五割増償却の適用を受け得る機械を、昭和二十六年四月一日以後終了する事業年度の開始の口以後取得しておりました場合におきましては、明年一月一日以後終了する事業年度におきまして仮に取得しました事業年度におきまして五割増償却を行いましたならばどれだけ償却できたであろうかという額を計算いたしまして、それと実際に償却できました額との差額を、償却範囲額を昭和二十七年一月一日終了する事業年度の償却範囲額に加えて償却して行くことができるということにいたしておるのでございます。その意味におきましてこの適用は実質上は遡つて相当適用になるというふうになりますが、併し明年一月一日終了する事業年度分から減收になるわけでございます。
  93. 松永義雄

    松永義雄君 ちよつと方向を変えて聞きたいのですが、今専ら法人についてお話があつた。個人の企業はどうなんですか、中小企業、個人企業は。
  94. 泉美之松

    説明員泉美之松君) この初年度五割の償却に関する規定は、青色申告の提出を要することにいたしておるのでございますが、青色申告を提出いたします限りは、個人と法人とを問わず適用になるわけでございます。個人につきましては今度の措置は昭和二十七年分の所得税から適用することにいたしておるのでございます。個人のほうの減収額はそれではどの程度かという御質問がおありになろうかと思いますが、この点につきましてはまだ正確な計算ができておらないのでございますが、併し個人で取得します機械、又重要産業を営んでおるものは比較的少いように見受けられますので、その減収額は一億以下程度のものと考えております。
  95. 松永義雄

    松永義雄君 そこで結論が出て来るのですが、個人の場合には割合にこの法文は適用はないのだ。併しながら大企業の法人のほうには適用が多いのだ、こういうように私は今耳にした。然らば即ちこの法案は大企業のほうに傾いてはおりはしないか。財政面から言うとそういう結果に陥りはしないか。御承知通りに法人税は非常にやかましい問題になりまして、漸くにして説率の引上を見たのでありますが、徒らにこつちは法人をいじめたり、資本家反対を唱えるものではない。実際において利益が上つているから負担力のあるところの法人から税金を取つたらいい、こういうことを申上げて、そ号してとにかく政府案は通過を見たわけです。然るに、今こういう法案が出て来まして、大企業に対して殊に法人経営の大企業に対して幾らかでも負担の軽くなるということについては、これは相当慎重に考えなければならんと思うのであります。それは一体日本の産業復興の指導精神はどこへ持つて行くか、こういう根本の問題になろうかと思うのでありますけれども、大体が今あらゆる雑誌を拝見しましても、法人の利益金というものが濫費されている形になつているのです。その濫費を戒めてなお且つ産業合理化のために保護を加えなければならんというなら私は納得ができる。然るに法人、株式会社と称するものはこれは主税局の御説明たびたび大蔵委員会で御説明があつたことでありますから、くどく繰返しませんが、本年度の法人の利益金は六千億円だと言つている。来年度は恐らく一兆億円に達するであろうという予想を持つている。最近法人の濫費の模様については徒らにこれを道徳的にどうこういうことなくして、企業経営の上において不合理なことが行われていやしないか。その不合理なことを改めないでここに保護を加えると言つたつて結局それは私は何ら利き目がないのじやないか、私はそういうふうに考えるのですが、一体主税局としましても少し自己資本なら自己資本に向けて行くという考え方を少し強くして行くということが必要じやないかと、こういうふうに考えるのですが、如何ですか。
  96. 泉美之松

    説明員泉美之松君) 先ほど申上げました中でちよつと間違つておりましたので訂正させて頂きます。個人につきましては昭和二十六年分の所得から適用するのであります。私は二十七年と或いは間違つて申上げたかと思いますが、訂正させて頂きます。  それからこの措置は大企業保護に過ぎるのではないかというような御意見でございますが、この法律の建前といたしましては特定重要産業を営んでおりまする事業者でありますと法人、個人を問いませんし、又その指定された機械を取得しまする限りは大企業であると中小企業であるとを問わずに適用されることになるのでございます。たた失ほども申上げましたように実際問題としましてはそうした重要事業を営んでおる者の中には大企業が比較的多いし、又そういつた機械を取得する場合も大企業の場合が比較的多いのであろうから法人税におきまする減収は相当大きいけれども、個人の場合における減収は少いというふうに申上げたのでございます。法律上差別を付けておるわけではないのでございます。それから最近法人の収益が非常に増大しておるとい引ことは御指摘の通りでございます。ただ本年の法人の収益が六千億、来年は一兆円にもなるだろうというようなお話でございますが、勿論本年の法人の収益は朝鮮動乱後非常に殖えて参つておるのでございますが、現在の電力不足等の関係考えますと、今後昨年から本年にかけましてのように生産が五割も上昇し、或いは物価が五割も上昇するということによる増収は本年から明年にかけては期待できないのではないかというふうに考えておるのでございます。電力不足がいつまで続きますか見当がつきかねますので、私どもといたしましても明年度の租税収入の見積りには十分慎重を期しておるのでございますけれども、そのような急激な増収が今後も起り得るというふうに期待することは無理ではないかというふうに考えておるのでございます、なお現在法人の費用の濫費しておる向きがかなりあるようだから、これに対して何らかの措置をとることなしに、こうした特別償却を認めるのは如何かというような御意見でございます。現在におきましても同族会社につきまして、行為計算を否認する規定があるのでございますが、一般の会社につきまして交際費等をどういうふうに制限すべきかというようなことはいろいろ検討いたしておるのでございますが、資本金によつて制限をつけることも困難でございましようし、所得に対して一定割合というようなことをきめますと、そこまでは当然出してもいいのだというような逆作用も起りかねないというような点がいろいろございますので、いろいろ検討はいたしておりますが、まだ成案を得るまでに至らないのでございます。それから特別償却によりまして法人が社内留保をたくさんすることができまして、それによつて自己資本の充実が行われて行くということは申上げるまでもないことでございますので、それが結局近代的な機械設備の取得を容易にすることになりまして、日本経済全体のために裨益し得るところが多大であろうというふうに考えますので、若干の税牧減を生じましても結局においてそのほうが却つて日本経済全体のだめによくなるというふうに考えまして、この特別償却の制度を設けたほうがいいというふうに考えておるような次第でございます。
  97. 松永義雄

    松永義雄君 これはまあ私がここで今更らしく講義をするまでもないと思います。日本経済ができるだけ赤字公債を発行しないようにし、そうして税金の面から政府が長期の投資をするといつたはうな工合であつて、極めて若夫婦が初めて家を持つたときと同じような気持で日本の経済をやつて復興を図つて行きたいという考えで進んでおると思うのであります。くどいようでありますけれども、各会社の利益金というものは実際莫大であつて、いろいろな話を耳にするし、雑誌の面でもしばしば私は見ておるのでありますか、保護するのは結構ですよ、けれどもまじめな者を保護するなら保護の意味は達せられるけれども、不まじめな者を保護するというようなことになつたら徒らに我々の税金を浪費するに過ぎないじやないか。民間の諸君を徒らに攻撃するのは民間人としてはどうかと私自身も恥ずるわけでありますけれども、正しく経営をやつて頂けるなら私はそれは、国家のためになることであれば私はそれはどんな辛い税金でも出しても差支えない。然るに最近の会社の経営振りというものはここに第二條規定しておる中でいいものもあろうし、悪いものもありましようが、いいものの中には相当自己資本だけでもやつて行けると思われるものが金を借りて歩いているといつたような工合でありまして、会社の経営が非常に堅実性を欠いているのではないか。如何にしてこれは堅実にやらせようとしてここでこの法案考えられておつても経営者そのものが放漫であつたならそれは何ら意味をなさないことになる。ところが実情はどうかと言つたら今会社の実情はもう全くお話にならない。だからたたこの法案を見ていると償却して、そうしてできるだけ自己資本を殖やして、そうして経宮合理化に向わせる。それはその通り何も間違つたことがないことは言うまでもない。ただそれだけを掴まえて、そうしていい悪いを論じて行くというわけには我々は行けないと思うのでありまして、日本経済全般から見て各会社の経営振りを見て我々はこれは考えて行かなければならんというふうに思つておるのであります。折角大蔵省としては法人税は取つたが後から後から崩れて行つたんじやこれは大蔵省どうもならんですが、一つ我々専門外の者がこういうことを申上げては甚だ恐縮ですけれども、我々でも友だちの中には重役もあるしするのですから、どうかその点をお含みになりまして一つよろしくお願いします。
  98. 西田隆男

    西田隆男君 大分時間もたつたようですから一、二点お伺いします。提案者中村さんに聞きますが、第二條に業者として指定される中に鉱業が入つておりますが、この法案を見てみますと機械設備が大部分のように文字の上には現われておるのでありますが、炭鉱の主要坑道をどうお考えになつておりますか。
  99. 中村純一

    衆議院議員中村純一君) この第二條に現われております事業者は、この法律の中で「事業者」という言葉が出て参ります場合にのみ関連のあるこれは定義規定でございまして、それは第八條に「事業者」という言葉が出て参るのでございます。そこでお尋ねの御趣意のあるところは恐らくこの第六條による政令で或る産業を指定いたしました場合に、ここに第六條に「機械設備等」とありまするが、機械設備以外の只今御例示のようなものが入るかどうかという、こういう御趣意かと思うのでございます。
  100. 西田隆男

    西田隆男君 そうです。
  101. 中村純一

    衆議院議員中村純一君) そういたしますと、この点は実は先ほども申上げましたように、目下各産業諸官庁と大蔵省との間におきまして、具体的に検討を進めておるのでございまして、結論的に申上げかねる段階でございまするが、この「等」という言葉の中には機械設備以外のものも含まれておるという解釈で私どもはおるわけでございます。
  102. 西田隆男

    西田隆男君 それじや第二條の中に土建業というのが事業者の中に入つておりますが、第六條の関係でこの土建業の機械というのはどういう機械を大体想定されておるのですか。
  103. 中村純一

    衆議院議員中村純一君) 第二條にこの事業者定義を置きまして、これこれこれこれということを書いておりまするので、ちよつとこんがらがる場合が出て来るのでございますが、実はこの第六條によりまして重要産業を指定いたしまする場合は、法律的には第二條と無関係に、この第六條も重要産業は如何なる産業であるかということを指定する関係になつておるのでございます。従いましてこの第六條の指定の場合に土建業が入るかどうかということは、目下検討の段階にあるわけでございます。
  104. 西田隆男

    西田隆男君 ちよつと私はわかりかねたのですが、この法律において「事業者とは」ということではつきり明示してある。土建業が第六條の政令で記する場合に、入るとか入らんとかわからん、検討中であると言われると、第二條に表示されておるのはどういう意味合いで表示されたのですか。
  105. 中村純一

    衆議院議員中村純一君) 第二條は、この頃すべての法律の立法例がことごとくその中に出て参ります。言葉定義を掲げますので、それに倣いましてここにこの法律の中に事業者という言葉が出て来る場合のその事業者とは何ぞやという定義を掲げたものでございます。而してその事業者という言葉が出て参ります場合は、第八條及び第十條であります。そこで第六條におきまして「機械設備等を緊急に近代化する必要のある重要産業に属する事業」と申しておりますことは、これは第二條に掲げております「事業者」ということとは法理的には別問題でございます。そこで第六條といたしましては、第二條とは独立をいたしまして、この如何なるものを第六條に言う重要産業として指定するかということを別に考えなければならないということが、この法律の法理的な建前になつておるわけであります。
  106. 西田隆男

    西田隆男君 今あなたの御説、御意見わかるのですが、そうすると第二條に例示されておりまするこの事業者ですか、この中に入らないものもあるということですね。
  107. 中村純一

    衆議院議員中村純一君) 観念的にはさようなことになるわけでありまするが、事実問題としては大概の、まあ常識的に重要なる事業、広い意味の常識的な重要なる事業ということは第二條の例示の中には事実問題としては入つておりますので、事実問題としてはこの第二條に掲げております業種以外のものから第六條に指定されるような業種が出て来るということは事実上は考えられないと思います。
  108. 西田隆男

    西田隆男君 この第二條の表現の仕方を見ますといろいろ書いてあつて、「土木建築業、水産業その他政令で定める事業を営む者をいう。」というふうに定義付けられておるところを見ますというと、この入ることは勿論だ。これ以外に入るものもあるから、それは政令で指定をするのだというふうに石原局長は小林さんの質問に対してお答えになつたように聞いておるのですが、違うのですか。
  109. 中村純一

    衆議院議員中村純一君) それは事業者という言葉が出て参りまする條文の適用、即ち具体的に申しますると、第八條及び第十條の適用の場合に当りましては、第二條に掲げておりまする以外のものが今後出て来る場合の予備として「その他政令で定めるもの」というゆとりをここに設けたわけでございまして、第六條関係はそれとは法理的には全然別個にこれは業種を指定される、第二條とは無関係業種を指定される、まあ法理的な関係でございます。
  110. 西田隆男

    西田隆男君 松永さんの質問に対して大蔵省の税制課長はいろいろこの業種を指定して、指定してと言つてはおかしいが、発表しておられたようでしたが、発表しておられる内容を聞いておりますと、大体ここに書いてある事業者ですか、の内容のように聞きましたが……。
  111. 中村純一

    衆議院議員中村純一君) そこで私は今この法律の法理的なまあ解釈と申しますか、それを申上げたのでございまするが、然らば事実問題といたしまして、第六條において一応第二條というものを考えないで、第二條を御覧にならないで、いきなり第六條を御覧願いまして、然らばどういう業種が第六條における選定の候補者に入るだろかという実際問題を考えまする場合は、実際問題としてはやはり第二條に書いてあるようなものが一応候補者として考えられる事業ではなかろうかということは事実上の問題として考えられるのでございます。然らば第六條においてどういう産業が今候補者に上つてつて研究段階にあるかということは、これは提案者よりもむしろ政府関係のほうが少しはわかつておるかと思います。
  112. 西田隆男

    西田隆男君 中村さんの御説明はわからないではないのですが、政令に事業者を全部指定することを委ねるということは、これはいろいろな業者がたくさんあつてその中の重要産業というようなものがたくさんあつて、どれがこれかわからないというようなことであれば、これは一応考えられるのですが、この第六條に表現してあるような重要産業、「緊急に近代化する必要のある重要産業」というものは、これは大体常識的にわかるものなんで、少くとも政令に委ねてなくて法律の條文の中にこれこれこれと、これとこれだ、そうして若し別に突発的に重要産業に指定しなければならんようなものがあつた場合のことを、その他云々というような表現で現わすことのほうが私は法律の体系としては適当だと思うのですがね。あなたどうお考えになりますか。
  113. 中村純一

    衆議院議員中村純一君) 法律の書き方と申しますか、表現の方法としての御意見といたしましては一応御尤もに考えられるのでございまするが、西田委員お話のような表現方法をとりました場合におきましても、その他政令云々という、どうしてもそのリザーブがつきます。而して大体そのどんなものだということは常識的に大概皆そう大きな食い違いはなかろうじやないかというお話でございましたが、それは全くさようでございまして、そこでまあ大体その食い違いのなさそうなものはこれはまあ法律に書いても書かなくても大概これは共通的にわかる。さようなわけで、一応これは全部政令ということにいたしておるのでございます。なお今後、政府関係当局の研究の進捗状況に伴いまして、この御審議中に、政令で如何なるものを考えておるかというようなことは、政府部内の研究の進捗状況に伴いまして、申上げる機会もあろうかと思うのでございます。
  114. 西田隆男

    西田隆男君 これはただ單に法律を作るという建前からだけであれば、あなたのおつしやることは一応説明としてわかるのですが、松永さんからも再三再四質問があつたようですが、講和会議かできたあとでは、一般国民は相当に増税をされなければならないような余儀ない態勢になることは考えられます。そういたしますと、特殊なものに限り税法上の特典を与える、こういう観点から言えば、法律上の條文を読んだだけでも国民が、成るほど、こういう産業であればこれは仕方がないだろう、日本経済復興のためには、我々が税金を多少佛つても減税さして、資本の蓄積を余計にして、そうして我々の生活のために本当にいいのだということを明瞭に納得の行くように、特にこうした時期だから、私はそうしたほうが適当じやないかと思うのですが、法律の條文の体裁として、ただ体系的に考えて支障がないということだけで且つてされるのでなく、先ずこの法律に限り、これとこれとこれだと、第六條の政令できめるやつもできれば詳しく表示した上で、法律としてこれを施行されるようにしたほうが、この際は妥当じやないか、こういう考え方で特にしつこく第二條を聞いておるのですが……。
  115. 中村純一

    衆議院議員中村純一君) 御趣旨の点はよくわかるのでございまするが、その点はここにありまするように、緊急に近代化する必要のある重要産業という、まあ抽象的だというお叱りがあるかも知れませんが、一つの枠を設定をいたしておりまするのでこの解釈の幅というものが、或いは人々によりまして、或る程度の違いはあるかと思いまするけれども、大体においてこれは先ず社会通念的に把握し得る概念ではないか、よかうに考えましてこれをここに掲げまして、具体的な問題は政令に譲つた次第でございます。
  116. 西田隆男

    西田隆男君 まあその問題はそれくらいにして、それと関連性もあるかもわかりませんが、皆さんも言われたように、中小企業に対する表現は、第十二條ちよつと書いてあるだけで、何も書いてない。それから法の建前上大産業中小企業とは勿論平等である、中小企業の御説明はわかつております、それはまあその通りと思います。その通りと思いますが、日本の中小企業の中にも、急いで近代化し、経営を合理化することのほうが、日本の経済の安定のため、復興のためには、大企業に対するよりももつと必要なものが相当数あると思うのですが、それに対しては、ただこの十二條に書いてあるだけで、而も経費は一億一千万円が勧奨と、調査と、勧告ですか、そのために使われる補助金を出すということです。而もさつき大蔵省の税制課長が読み上げられた業種の中で中小企業が適用されるような内容を持つたものはなかつたように思うし、特にこれはただ「中小企業」だけの表現であつて、これらの産業の中でどの程度のものを造つておるか、どの程度機械設備改善をするか、資本金はどの程度のものかというような規定は何もないようですが、中小企業の申出があつたらどれもこれもやはり調査もし、診断もし、勧告もするという建前でお考えになつておるのか、或いは提案者のほうで或る一定の限界をおいて、そうしてこの一億一千万円という補助金をお考えになつておるか、この点についての提案者のお考え方を承わりたい。
  117. 中村純一

    衆議院議員中村純一君) お答え申上げますが、実はこの法律全般を通じまして、先ほど申上げましたごとく、企業の形体の大小を問わず、一律平等に適用いたす建前に相成つておることは先ほど申上げた通りでございまして、中小企業はそのプラス・アルフアーとして実は優遇したつもりで、この中小企業のプラス・アルフアーを加えたわけでございますが、只今のどの範囲のものかというような事柄につきましては、ここに中小企業庁の関係官が参つておりまするから、そのほうからお答えいたすほうが私よりももつと詳しいかと存じます。
  118. 小出榮一

    説明員(小出榮一君) 只今西田委員の御質問、それから先ほど小林委員から御質問に対しまして、留保になつております点を併せてお答えいたしたいと思います。  この法案の中に「中小企業診断」という一章を設けましたのは、中小企業を設けてあります趣旨は、恐らく中小企業の対策としてはいろいろございますけれども、その中で中小企業の経営の合理化という面に関連のある、特に深い部面を取出しまして、企業診断という制度を現在もやつておりますが、これを更に公の権威あるものとして法律基礎を持たせまし、今後企業診断制度を擴充して行きたい、こういう趣旨に基いておるものと考えるのでございます。従いまして予算上の措置といたしましては、今年度まだ僅かな金額でございまして、来年度要求といたしましては勿論これは單なる要求段階でございますが、一億一千万円ほど要求いたしております。勿論これで十分であるとは考えておりませんけれども、診断に関する限りにおきましては、相当の効果を挙げ得るものと考えておるわけであります。それで企業診断対象になります中小企業というものの定義につきましては、これはまあいろいろ説が分れると思います。例えば金融の対象になります、例えば商工組合中央金庫の貸出の対象になる中小企業の範囲でありますとか、或いは協同組合を組織する組合員の資格としての中小企業の範囲でありますとか、いろいろその場合々々によりまして、法律規定が異なつておりますが、診断に関する限りは、中小企業と一般的に常識的に考えられますものは、広く如何なるものも、その申出に基きまして診断を実施して参つておりまして、今日までに約七千工場ほどの診断を終うておりまして、勿論これは全体の厖大な中小企業の数から申しますれば極く僅かでございますが、企業の対策といたしましては、粘り強く断えず診断を行いまして、漸次合理化を進めて行きたい、かように考えております。なおここに中小企業診断のことだけしか書いていない点につきましては、中小企業の対策として極めて不十分ではないかという疑いを持たれるのは当然でございますが、先ほども申しましたように、中小企業の対策といたしましては、いろいろ金融の問題もございますし、或いは組合の組織化の問題もございますし、又組合の共同設備に対する補助金問題等もございまして、いろいろ他にも予算上の措置もあるわけでございますが、ただ経営の合理化という面に関連いたしまして、中小企業対策の中で企業診断という分だけを取り出しまして、この法律に書いてあるこういう関係になつておるわけであります。
  119. 西田隆男

    西田隆男君 私が重ねて聞きたいのは、この第六條の政会によつて規定される事業者の中でどういう中小企業が大体この法律恩典をこうむるかということです。その点について一つ御説明願いたい。
  120. 泉美之松

    説明員泉美之松君) 先ほども申上げましたように、中小企業でありましても、重要産業に入る事業を営んでおりますれば、この第六條の規定による特別償却ということができるのでございまして、石炭の採掘業にも中小企業が相当多いと思いますが、そういつた場合にも適用になります。それから金属工業なんかでも或いは金属精錬業なんかにも中小企業がかなり多いと思いますが、そういつた重要事業を営んでおりまして、現在租税特別措置法規定されてゐる機械を取得いたしますれば、適用を受けるということになりますので、別段中小企業を差別扱いしておるというわけではないのであります。
  121. 西田隆男

    西田隆男君 私は差別扱いをしておると言つておるのじやないので、内容をお聞きしたいと思つたわけです。今の御説明では余りに抽象的であり過ぎてわかりかねるのですが、大蔵省で一応税金の收入減を十五億と見ておるという、こういうことであつたのですから、その十五億の中で指定される中小企業の中から税金がどれくらい軽減されるという見通しもついておられると思う。大企業だけの見通しで十五億という額を決定されたのではないと思いますが、内容大蔵省としてはおよそこのくらいという見当はつい、ておると思いますが、ついておつたらそれをお伺いしたい。
  122. 中村純一

    衆議院議員中村純一君) お尋ねの点は大蔵省から答弁があると思いますが、それに関連いたしましてちよつと提案者といたしまして申上げておきたいのは、十五億とか何とかいう数字は、これは大蔵省の中の事務的な面におきまして一応仮想的な数字を考えておる程度のものと提案者考える。従いましてこの数字が如何ようになりまするか、これは産業側といたしましてはいろいろできるだけこれも入れてもらいたい、これも適用を受けたいという希望が随分あることと思うのであります。この法律趣旨から申しますれば、まあ財政事情の許す限りできるだけ取上げて行きたい。提案者側けさように考えておるわけでございまして、今の数字の点はさような意味において御了承を願つておきまして、仮に十五億とすればどうなるかという問題になりますれば、これは一つ主管片側からお答え願いたい。
  123. 西田隆男

    西田隆男君 それでいいと思う十五億と仮定した場合どれくらいのパーセンテージになつておるかということで結構だと思います。
  124. 泉美之松

    説明員泉美之松君) 我々が減收額を計算する場合には各省からその業種で現在措置法規定されておりますような機械を取得する設備資金の額を大きくしまして、その設備資金の額から現在の五割増償却の場合にして、初年度五割増償却をしたらどれくらいの減收になるかという計算をしておりますが、設備資金のうちでどれだけが大企業で、どれだけが中小企業であるという資料はまだないと存じます。大蔵省といたしましても税收のうちどれだけが大企業、どれだけが中小企業ということは計算ができておりません。
  125. 西田隆男

    西田隆男君 今日はこの程度でやめておきますが、資料がまだまとまつていないということですから、是非その資料をまとめて当委員会にその資料の御提出をして頂きたいと思います。
  126. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 委員長としてはさよう取計らいます。
  127. 加藤正人

    加藤正人君 第二章の三條でありますが、試験研究者に対する補助金の何でありますが、これは例えば機械設備等の試作というような発明的なものに限るのでありまして、海外が、すでに特に米国などは非常に発達しておるのであります。業種によつては約三十年も日本は遅れておるというようなときに、今から試作研究に補助するというようなことを言つてつては、アメリカなどでは三十年も進んでおるというようなものに対して、ぼつぼつ今から研究にかかるというようなことで、この法案提出の趣意に副うような結果が得られるのであろうか、どうか。先ず第一に我々はすでに相当高度に発達しておるアメリカの機械設備を輸入して、そうして日本のベーシスを高めて、その上の研究の補助をするというようなことはよいが、アメリカでどのくらい発達しておるかわからないのに、こつちでぼつぼつ今から日暮れて道遠しというような研究に移ることによつて果してこういう御趣意が達成せられるものかどうか、これは質問としては当つておるかどうかわかりませんが、この法案提出の趣意がそこにある以上、目的を達成せねばならんと思いますので、一つこの点について伺いたい。
  128. 石原武夫

    政府委員石原武夫君) 只今お尋ねは三條の機械設備の試作に関する御質問かと思いますが、実は機械設備の試作に補助金を出しておりましたのは本二十六年度は実はございませんで、二十三年度、二十四年度に石炭で炭鉱で使う機械の試作に補助金を出しておつたのであります。この法案では本年度は、さようなことも曾つてつておりましたし、さような必要もあるかということで入れておるわけでありますが、その場合やつてつたのは、炭鉱の機械お話のように向うのほうが遥かに進んでおるのでありますが、さような機械を日本に入れまして、ただ日本の炭鉱の実情に合うように多少モデイフアイする場合もございます。そういうような向うの機械をモデルにして日本で試作をいたす必要のある場合にその試作に補助金を実は出しておつたのであります。お話のように機械の試作等について全然新らしいアイデイアでやる場合が或いはあるかも知れませんが、むしろさような向うで発達している機械を、日本で現実に作る場合に、なお相当費用をかけて試作をするという必要がありますので、このような場合を主としてこれは考えているのであります。
  129. 加藤正人

    加藤正人君 向うですでに発達している機械を輸入する、そういう資金はどういうのですか。
  130. 石原武夫

    政府委員石原武夫君) これはすでに向うで発達している機械を入れて、そのまま生産に使う場合はこれは各企業の資金でやつておりますが、その資金は特別な補助金対象にしてはおらないのであります。
  131. 加藤正人

    加藤正人君 それだと、この本法案目的は達せられないだろうと思う。そのほうが、私は理由じやないかと思う。向うが相当発達しでいる機械を輸入して、それを土台にして更に研究をするということのほうが必要じやないかと思うが……。
  132. 中村純一

    衆議院議員中村純一君) 今の御例示の機械が直ちに生産に充用せられる場合でありましようか。或いは試作研究段階のものでございましようか。それによつて取扱方が違つて来るのでございます。
  133. 加藤正人

    加藤正人君 輸入して生産にすぐ使える機械も非常に多いだろうと思います。
  134. 中村純一

    衆議院議員中村純一君) 直ちに生産に充用いたします生産機械であります場合は、現行の制度においても物によつては輸入関税が免除せられているものもありますし、又現在も租税特別措置法によつて先ほど来お話になりましたごとく短期償却が認められるものがあります。更に又その機械本法第六條による規定を受ける場合においては、第六條によるいわゆる初年度五割の特別償却対象になる。かような措置考えられるわけであります。
  135. 加藤正人

    加藤正人君 そこで「予算の範囲内において補助金を交付し」とありますが、個々の場合における補助金というものは、その費用のどのくらいに当るのでありますか。これは全体の予算の範囲内ではわかりますけれども、個々の場合の費用に対する補助金の割合はどういうことになりますか。
  136. 秋山保光

    説明員(秋山保光君) では私からお答えいたします。試験費総額は工業化試験と、鉱工業技術研究補助金と二色ありますが、工業化試験企業化する一歩手前の大きな試験でありまして、一体一件あたり一千万円見当になつておりますが、その試験費の総額は大体の四分の一くらいの割合になつております。と申しますのは、交付の対象になります金額は大体設備資金の半額くらいを予定しておりますので、全体の約二分の一が設備資金で、あとが運転の資金、或いは原材料その他、そういうものになりますので、大体そうしますと約四分の一くらいになります。それから工業技術試験補助金と申しますのがありますが、これは、これも大体設備資金、研究のために特に設備をする設備資金のこれは半額とはきまつておりませんけれども、大体その見当でありまして、中小の企業であります場合にはその自己負担能力等を考えまして、八〇%或いは一〇〇%の場合もありますが、大企業で有用な研究をしております場合に自己負担が相当できる場合には金額を少くしております。割合少くしておりますけれども、ほぼやはり三〇%から四〇%くらいになつておるものと思います。
  137. 加藤正人

    加藤正人君 画一的なものでなくて、国庫補助を受ける対象によつていろいろ按配されるということなんですな。
  138. 秋山保光

    説明員(秋山保光君) それは補助金でありますので、委託研究と違いますので全額の補助を考えておりませんので、自己負担する分が補助金以外は全部自己で負担することになります。負担の能力を会社の経理の状況その他等から考えまして決定いたします
  139. 加藤正人

    加藤正人君 わかりました。
  140. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 本日の連合委員会はこの程度で散会いたしたいと思いますが、次回は大蔵委員会及び安定委員会の都合にもよりますが、大体において明十三日午後一時より開会の予定といたし、結果は公報を以て御通知申上げたいと存じます。
  141. 小林政夫

    小林政夫君 先ほどお取上げになつた私の要求した資料、これは一応泉税制課長からお話がありましたが、念のため書類にしてお出し願いたい。
  142. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) 只今小林君の動議に対しましては委員長のほうにおいて取計らいます。
  143. 小林政夫

    小林政夫君 中小企業庁に対する質疑は明日に保留いたしておきますから明日是非出席して頂きたい。
  144. 竹中七郎

    委員長竹中七郎君) それでは本日はこれを以ちまして散会いたします。    午後四時三分散会、