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1952-07-30 第13回国会 参議院 地方行政委員会 第73号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年七月三十日(水曜日)    午後一時四十八分開会   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     西郷吉之助君    理事            堀  末治君            中田 吉雄君            岩木 哲夫君    委員            岩沢 忠恭君            石村 幸作君            高橋進太郎君            宮田 重文君            岡本 愛祐君            館  哲二君            若木 勝藏君            原  虎一君            吉川末次郎君            駒井 藤平君            岩男 仁藏君   衆議院議員            川本 末治君   国務大臣    法 務 総 裁 木村篤太郎君    国 務 大 臣 大橋 武夫君   政府委員    国家地方警察本    部長官     斎藤  昇君    国家消防庁長官 新井 茂司君    地方財政委員会    委員      木村 清司君   事務局側    常任委員会専門    員       福永与一郎君    常任委員会専門    員       武井 群嗣君    参     事    (議事部請願課    長)      土屋 政三君   説明員    国家公安委員会    委員      金正 米吉君    国家地方警察本    部企画課長   桐山 隆彦君   参考人    警 視 総 監 田中 榮一君    特別区公安委員    長       橋本 寛敏君   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件 ○本委員会の運営に関する件 ○消防組織法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○地方議会制度改革反対に関する請願  (第三八号) ○地方自治法改正案反対に関する陳情  (第六三〇号) ○地方自治法改正反対に関する陳情  (第六九一号)(第八六四号)(第  八七〇号) ○地方自治法改正法案に関する陳情  (第七二三号)第九六〇号) ○地方自治法中一部改正に関する陳情  (第八二九号) ○地方自治法改正法案に関する請願  (第一九三五号) ○警察法の一部を改正する法律案(内  閣提出、衆議院送付) ○理事補欠選任の件   ―――――――――――――
  2. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 只今より委員会開会いたします。  本日は御承知通り三件残つておりますので、最初にどれから、取扱いますか、皆さんがたの御意見を伺います。
  3. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 三つ法案と、なおそれ以外に請願及び陳情審議残つておると思われるのであります。昨日委員長は、委員長にその処理を任して頂きたいというようなお話があつたのでありますが、その節申上げたのでありますが、請願陳情はこれは憲法規定されておりまする重大なる国民権利でありまして、国会は又これを慎重に審議して、その民意に副う措置を講ぜなければならない義務を持つておると思われるのであります。私の乏しき経験からいたしまするというと、委員長にこの処理委員会が一任して、何ら議員それ自身が委員会を通じてその審議をいたさないというような例は、西郷委員長は或いはそういう前例をお持ちになつておるか知りませんが、私はそれを存じません。私の知つている範囲内におきましては、それぞれその請願陳情の案件につきましてはやはり意見を開陳し、又討議をいたしまして、そうしてこれの採択を決して、内閣へ送るなりその他のことを委員会において大体決定いたしておるのであります。請願陳情をこれを軽く取扱う、或いは何らの審議委員会においてしないというようなことは、これは許さるべからざることであると考えますので、法案審議も勿論しなければなりません。これは熱心にやろうと思つておりますが、それに先んじてこれらの三法案よりも以前に少くとも請願陳情を我々が受付けましたものだけにつきましても、その三法案に先んじてこれらの請願陳情審議に先ず入られるようにして頂くということが順序ではないかと思いますので、そのようにして頂きたいと思います。
  4. 堀末治

    堀末治君 私ば只今吉川さんの御意見もございましたが、決して請願陳情を軽視するものではございませんが、会期も全く迫つておることでございますから、成るべく法案審議を先にいたしまして、できるだけ法案審議を、特別の重要な質疑のあるものはいたし方ありませんが、さもないものは成るべく審議を簡略にして頂いて、然るべき後今の陳情請願審議に入ることを希望いたします。
  5. 中田吉雄

    中田吉雄君 これは非常に三つ法案と三百有余の請願とあつて、どれを先にということは非常に困るのですが、私も吉川委員の言われた点では同感なんですが、これを全然やらないということになりますと憲法違反に私はなると思うのです。憲法の十六条ですか「何人も、損害の救済、公務員の罷免、法律、命令又は規則の制定、廃止又は改正その他の事項に関し、平穏に請願する権利を有し、何人も、かかる請願をしたためにいかなる差別待遇も受けない。」、こういう規定がありますので、どつちを先にするかということは問題で、私は吉川議員の言われたのと折衷で、集団デモ取締規則消防組織法、その他が衆議院から送付された、参議院に送付されました以前に請願陳情が出ているものは、そのほうを優先順位にすることが議事の取扱上妥当ではないかというふうに考えるのですが、どんなものでしようか。
  6. 駒井藤平

    駒井藤平君 私はやはり会期も切迫しておりますので、重要法案として残つておるこの三案を先ず先にやつて頂くということの堀議員意見に私は賛成するものであります。それはそうでないとですね、請願でぐずぐずしておつたら時間的にもなくなつてしまうし、重要法案であるというものが残される心配もありましようから、先ずこの三法案を先にやつて頂きたいということを強調いたしたいのであります。(「賛成」と呼ぶ者あり)
  7. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 重ねて申上げますが、成るほど三法案は決してこれを軽視しておるわけではありません。併しながら実はこれらの三法案質問は少しもこの委員会で殆んど行われておらんので、質問は例えば警察法の一部改正法においてもありましたが、それはほかの委員会の諸君が連合委員会の形においてなされたる会合を通じてせられただけのことでありまして、我々地方行政委員はいろいろな質問点を持つておるのでありますが、それに対する当局の答弁はまだ得ておらんのであります。で時間が切迫いたしておりまするということについては十分わかるのであります。併しながら若しこの法案審議で、私は質問に相当時間がかかると思うのでありますが、それで以て会期の延長が国会において議決されるならばよろしうございますが、されないで終りまして、そうして三法案に対するところの多くの質疑残つてつて、そうして二百数十件か三百数十件かの憲法第十六条に基くところの国民権利でありまする請願陳情が何ら審議されないで終つてしまうというようなことになりまするというと、それは余りに大きな、何と言いますか、政治的なよくないことを我々することになるのではないかと思われるのでありますが、でありまするから三法案審議は、私は質問を展開して行きまするならば、これは今日だけでは相当困難ではないかと予測いたしております。殆んど我々は質問しておらんのでありますから、警察法一部改正或いは集団示威に関する法律等につきましてはこれから始まるのであります。でありまするからその意味におきまして請願陳情を先に議了してしまう。そんなに時間はかからないと思うのであります。これを一つ先にやつて頂くということは、当然に私はこの際に我々の委員会がなさなければならない処置であると考えますので、そのように一つ処置が願いたいということを、堀さん等の御発言に対して自分意見を申述べ、重ねてここに申上げます。
  8. 若木勝藏

    若木勝藏君 私も吉川さんそれから中田さんの言うことが理があるのじやないかと思うのでありまして、在来の例から見まして、会期が切迫して審議しておるものが流れたということはありましたが、請願だけは審議未了終つたというような例が余り、殆んどないのではないかと思うのであります。そういう点から見まして、やはりこのほうから先に片付けて行くことが本当じやないかと思います。
  9. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 これは吉川さん及び若木さんの御意見がありますけれども、この法案審議理事会なり打合会なりで大体の予定を組んで進行して来たわけなんで、従つて本日は一応会期の末なんだから、若しここで陳情請願ということになりますれば、恐らくこれから時間等もないことになると思いますので、これは前にもお打合せの通り、而も必ずもう遅れさせることはしないという話合いもあつて今まで来たのでありますから、これは是非一つ法案を先議して頂きたい。かようにお願いしたいと思います。
  10. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 それは自由党さんの立場からは、政府の意を受けて政府案、まあ政府案でないものも一つありますが、主として自由党としてでありますが、それを今日最後の期日になつております日に是が非でも議了してしまいたいというその気持は、我々十分わかるのであります。我々も与党であつたときもあるのでありますが、併し国会の本来の職能から考えまして、それを早く上げたいというような念にかられて、十分の審議を尽さないで終つてしまうということは、これは断じてしてはならないと思うのでありまして、例えば昨日議了いたしました公職選挙法改正案につきましても、我々は決してあの法案に対する審議は十分であつたと考えておりません。非常に不十分であつたと考えております。それと同じようにこの三案、特に集団デモに関するところの法案及び警察法の一部改正法川茶は重大なる  自由党のかたもたびたびお漏らしになつておるように非常に重大なる法案でふりますけれども、重大なるところの法案が、我我その法案に対して当局意見地方行政委員はまだ少しも聞くところの、質問地方行政委員としては誰もいたしておらんのであります。その実情に鑑みますならば、ただ与党のそうした政治的な見解ばかりが国会を支配して、十分な審議を尽さないで、みずからおつしやるところの重大な政治的意味を持つたところの法案を、ただ議了するということの念にのみかられて事を決するということは、これは非常に誤りな結果を来すということを深く考慮しなければならんと思うのであります。請願陳情憲法十六条によりましてこれを審議未了に終らしては断じてなりません。そんなに長い時間はかからないと思うのでありますから、何よりもほかの法案はひよつとすれば審議未了になるかも知れません、なつても私はこれはいたしかたがないと思います。若しなりまするならば、次の国会更め政府が提案せられればいいのであります。いずれもその三法案とも今日直ちにそれを明日から実施しなければならんというような急に迫られているところの法案ではありません。それは必要があるからお出しになつているのでありますけれども、その内容からいたしますならば、暫らくそうした空間の時間がありましても、その所期の目的は十分速し得られる内容法案なんでありますから、その意味におきまして同じことを繰返すことでありますから、やはり請願陳情を先に取上げて審議しなければならんという建前を飽くまでも私は主張しなければならんのであります。
  11. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) それでは先ほど来の各位の御意見はいずれも御尤もな意見だと思いますので、この際休憩いたしまして、談話室において理事会を開催いたします。  暫時休憩いたします。    午後二時二分休憩    ―――――・―――――    午後二時三十八分開会
  12. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) それでは只今より再開いたします。  理事会におきまして決定したことを御報告いたします。只今まで理事会で協議いたしました事項は、最初消防組織法法案審議いたし、それが終了いたした後に請願陳情を大体只今より、この法案のあとに請願陳情をやりまして、四時を目当に大体終了する。その後において次の警察法改正案に入る。そういうようなことを大体目安としてやるというふうにきまりましたから御報告いたします。  それでは只今より消防組織法の一部を改正する法律案について質疑をお願いいたします。
  13. 中田吉雄

    中田吉雄君 ちよつとまだ四時まで間があるのですからお願いいたしますが、警察法の一部改正法案審議を促進しますために、いろいろ質問したいと思いますので、関係の木村法務総裁大橋国務大臣、都の公安委員長田中警視総監、それから自治体警察国警との財政の比較の問題から、地財委のこれに対する担任者の人を一つ四時から出席してもらうように手配をお願いいたしております。
  14. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 議事進行について。中田さんと同じような意味で、大体において委員長の報告にありました四時を目当に開始いたしまする警察法審議に関連いたしまして、外国の警察制度資料を頂いておるのでありますが、警視庁明治初年からいろいろその行政体制が今日まで変遷しておるのであります。それで初めて大体ああいうことができたのが明治二年だと思いますが、それ以来の警視庁行政組織の変化の沿革というようなもの、これは斎藤君の手許或いは警視庁にあるだろうと思いますから、それを極く簡単に書いた資料をそれまでに用意しておくように一つさして頂きたいと思います。
  15. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) では只今の手続をとります。  それでは消防組織法の御質疑をお願いいたします。衆議院より提案者川本議員が見えております。
  16. 堀末治

    堀末治君 先ほどの理事会申合せにありましたのですが、消防組織法は大体質疑を終了したように聞いております。今委員長発言に対して御質疑はないようですから、直ちに質疑打切つて討論採決に入ることの動議を提出いたします。    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  17. 若木勝藏

    若木勝藏君 今の動議もありますけれども、私二ヵ所ばかりちよつと伺いたいと思います。長くかかりませんから……。
  18. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) それではどうぞ。
  19. 若木勝藏

    若木勝藏君 衆議院のかたに伺いたいのは二十条ですが、この二十条において、「国家消防本部長は、必要に応じ、消防に関する事項について、都道府県又は市町村勧告し、」、この勧告事項ですね、もつと具体的に私は聞きたいと思います。この前の質問のときに私はおらなかつたものですから……。
  20. 川本末治

    衆議院議員川本末治君) これは現行法のままでありまして、今回の私どものほうの改正には全然この問題は出ておりません。若しお尋ねでございましたら国家消防長官がおられますから……。
  21. 新井茂司

    政府委員新井茂司君) 現行法におきましても国家消防庁におきましては、必要に応じて消防に関する事項について市町村勧告することに相成つておりまするが、その勧告する事項は相当広いのであります。そしてこれを大まかに申しますると、一般的に勧告する場合と個々の市町村につきまして具体的に勧告する場合と、この二通りあります。一例を申上げますると、都市消防に関する状況を国家消防庁におきまして検討いたしておりますが、その検討の結果、市町村消防において著しい欠点はどこであるか、又これをどういうふうに是正するのが適当かというような事柄勧告しております。それからそれは勿論具体的にやる場合でございます。それから一般的にやる場合の一例といたしましては、都市においては大体どの程度消防力を持つのが消防的な見地から不安がないかということを検討をいたしまして、消防の人員或いは機械、或いは水利というような事柄について、都市は大体この程度の基準で以てやられたほうがよろしいというような勧告もいたしておる次第でございます。
  22. 若木勝藏

    若木勝藏君 その勧告ということは指示ではないのでしようね。
  23. 新井茂司

    政府委員新井茂司君) 指示でございません。
  24. 若木勝藏

    若木勝藏君 だけど実際において指示に亘るような部面が今の情勢では出て来るのではないのですか、その点はどういうふうにお考えですか。
  25. 新井茂司

    政府委員新井茂司君) これは勧告と申しますると、その勧告を受けた者がこれを実施するや否やというこの責任の主体は、勧告を受けた者、その取捨選択のできる者が負うものと考えます。勿論この勧告を聞いてなお且つ工合の悪い点が起りましたときには、勧告をした国家消防庁においても当然その責任を負いますけれども、それを採択して実施するや否やという事柄は、この勧告を受けてやる市町村が持つものと我々は考えております。然るに指示ということになりますと、指示を受けた者は指示に従うべき法律的な責任が出て来るように考えますので、これは指示ではないので、勧告をしても勧告を実施する義務は生じない、さように考えます。
  26. 若木勝藏

    若木勝藏君 そこで「国家消防本部長は、必要に応じ、消防に関する事項について、都道府県又は市町村勧告し、」、今度は「都道府県知事市町村長文市町村消防長に対し、消防に関する事項について指導し又は助言を与える」とありますね。この勧告の場合と指導助言というような場合と分けてありますが、これはどういうような実際上の違いが出て来るのでありますか、その点伺いたいと思います。
  27. 新井茂司

    政府委員新井茂司君) 指導助言、これは従前からある事柄なのでありますが、勧告というのは、先ほど申しましたようなことでございまして、指導するということは、指導の方法はいろいろありまするけれども消防力充実強化になるように、具体的な事項について事項を示してその実施を促しまして、この指導を受けた者ができるようにしてやり、欠こういう市町村によつては、実は欠点がわかつておりましても、自分だけのヵを以てはそれが切り開けないというようなときに、国家消防庁のほうにおいてあらかじめ検討研究しておりまする結果に基いて、その欠点を除去し得るようにいろいろ助言をする、さようなことをいたしておるのであります。
  28. 若木勝藏

    若木勝藏君 そこで私は第二十条で勧告なり或いは助言なりというふうなことをなす場合においては、こういうことを勧告し或いはこういうことを指導しようとしてもなし得ない場合がたくさんあると思います。それは主として財政的な裏付けのない場合にはなし得ない、やろうとしても……。こういうふうな立法に際しまして、そういう財政方面裏付けにして勧告するというようなことについては、衆議院ではお考えになりませんか、この点を伺います。財政上の問題をどうするか。
  29. 新井茂司

    政府委員新井茂司君) 消防充実強化ということになりますると、当然に財政問題に関連をして参るのであります。それで現在の消防組織は申上げるまでもなく、市町村自治に相成つておりまするので、建前といたしましては市町村の思う存分にやれるということに相成るのですけれども、実際上はいろいろ拘束を受けるというのが、これは事実上の状態でありまするので、財政の点で消防に関する発達向上を期するのに障害が起るというようなときにつきましては、我々も市町村消防経費の、例えば起債の獲得というような事柄につきまして側画から斡旋をしておるような状態でございます。
  30. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 他に御質疑ございませんか。
  31. 原虎一

    原虎一君 十八条の二の三号にあります「消防に関する市町村相互連絡調整に関する事項」とありますが、調整とは如何なるものであるか、具体的な事例を挙げて御説明願いたいと思います。
  32. 川本末治

    衆議院議員川本末治君) 十八条の二の三号のことでありますが、これは「消防に関する市町村相互連絡調整」ということでございますが、御承知のように小さな町村などにおきまする消防の現状から行きまして、財政の面、すべての面から十分に消防設備一つの村を以てやり得ないというようなところも出て参つておりますので、そうした場合に隣村消防設備などの点又は消防活動の点などについて連絡をし、又はそれらの点についての相互の、かようにしようではないか、これはこういうふうに持つて行つたらいいじやないかということの調整、こういうことをすることかできるというような意味調整という言葉を入れたのであります。
  33. 原虎一

    原虎一君 具体的に事例を挙げますとどういう問題になりますか。現に必要が感ぜられたからこの項目を入れられたのですか。現に必要な事態はどういう事例があるのですか、この点を御説明願いたい。
  34. 川本末治

    衆議院議員川本末治君) 現にどの点をどういうふうにという御質問でありますが、その点につきましては、消防相互連絡調整をしなければならないというような問題がその場合に生じて来ることが間々ありますので、今申上げましたように、一村において消防それ自体を十分に保持し得ないというような山村などの問題で、相互話合いをして、仮に一村で消防ポンプを付台持つとか、それは隣の村とどういうようにするとかいうようなことの調整であります。今どの村にどういうものができておるからということを申上げるのは非常に困難じやないか、かように思います。
  35. 原虎一

    原虎一君 大体法律は、こういう法律は、将来起り得る問題について予想して条項をきめると思うのでありますが、大体消防なんかというもので「市町村相互連絡調整」ということ、この条項を謳う以上は、現実にどういう必要性が迫つておるかということがあつて然るべきだと思うのですね。それがないので、例えば市町村相互連絡に関する事項ということになれば、これはわかりますが、そこに調整ということになつて来ますと、私どもから言えば、現実調整を必要とするどういう事項が……、全面的でなくても、どういう事例がある、こういう事例はどの地方にもどの地方にも起るのじやないかということを考えるから、そこで調整という二字を入れる、そういうことならわかるのですが、この調整範囲がどれだけの具体的なものでありますか。今日起きておる事例から考えるということはなかなか困難である。この点はちよつとわからないのですが……。
  36. 川本末治

    衆議院議員川本末治君) 御説明を申上げる仕方が悪いからおわかり頂けないと思いますが、再三申上げておりまするように、小さな町村などの場合に、隣村と共同して一つ消防設備を持つというような場合に、そういう点が起きましたときに、ただ連絡だけなれば別個の問題でありまして、連絡だけなら……、調整をするということは、相互話合いをして、適当なものを適当な数量においてこれをするとか、仮に一例を言えば、水槽なら水槽村境に必要な場合には、これは双方話合いで買うとかというような事例は、全国に小さな町村には幾多必要を感ぜられておるのでありますから、そういう点を規定して行きたい、こういう点であります。
  37. 原虎一

    原虎一君 その問題は当該市町村でできないことを予想されて、都道府県がこれをやらなければならんというふうに考えられるのですが、そういう場合における都道府県市町村に任して置けないというところですね、この点については私どもから言いますと、必要上市町村隣村と自主的に調整考えるのですが、それが今までうまく行かないということがあるからこう出されたんじやないかと思うのですが、この点を事実そういう問題が諸所に起きておるかという点をお聞きしておきたい。「都道府県は、消防に関し、左に掲げる事務を掌る。」というのですから、これから積極的にそういうふうに都道府県がやつて行かなければならん。今までうまく行かないからこれを都道府県にやらすんだ、こういう点をお聞きしておるのです。
  38. 川本末治

    衆議院議員川本末治君) 御質問の点は、現在のところ各府県が乗り出して調整をしなければならんというような事例はないように考えまするが、将来ともそういう問題は先刻申上げたように双方に利害の伴う問題でありますので、この場合そういうふうにやれるように規定をして置くことはあえて無駄ではなかろう、こういう考えから来ておるのでありますから、現在はそういうものは起きておりませんし、又強権を以てそういうことをしなければならないことが将来起るとも断言でき得ないと思います。話合いで大体はできるものと思いまするが、万一いろいろな問題のときにそういうことを掲げて置くことは、別に弊害はなかろうという考え方からこうしたわけであります。
  39. 原虎一

    原虎一君 それではその次に移りますが、六の「消防功労者の表彰に関する事項」、これは具体的に申しますと被表彰者は知事の名前によつて表彰したいというお考えでこういう項目を入れられたのでしようか、まあそうすることが非常に効果があるとおつしやるのでしようか、この点をお伺いして置きます。
  40. 川本末治

    衆議院議員川本末治君) 御質問通りでありまして、私どもも現在の日本の消防団員の思想などから勘案いたしてみまして、やはり功労者の表彰を知事の名前においてなされることは、決して彼らが弄ばないものではないという意味合いから規定を掲げておる次第であります。
  41. 原虎一

    原虎一君 そこで又三に帰つて参りまするが、知事の言うことをよく聞いて三の調整なんかに応じた者は表彰を受ける、知事の言うことを聞かないで連絡調整に反対しておるというような者は表彫されないと、うこともあり得ると思うのです。ですから三の調整というものは、意識的ではないかもしれませんけれども、六の消防功労者の表彰に関しては関連ができるのです。知事の指示市町村相互連絡調整もなかなか聞かないような人間は表彰されないということ、これは意識的に関連性があるとは私は思わないけれども、ないとも言えないですね。従つて連絡という程度なら私どもは理解できるが、調整というものの範囲というものをこう法律できめますというと、都道府県が積極的にやるわけですね。聞いても聞かなくてもこうやれああやれということを言えるのですね。これはその必要性がどれだけあるかということは、先ほどの御答弁でば、現在まではそういうことがなかつた、これからそうしたほうがいいと思う程度において三号が人れられたというふうな御答弁であります。表彰の問題についてはいろいろまあやり方を批判すれば批判の余地はありますが、あなた方が消防功労者の表彰に知事から、知事の名の書いてあるものを表彰に出す、これはどういう手続によつて表彰がなされるか、こういうものの表彰の規定等についてお伺いしたいのです。というのは、我々が昨日まで夜遅くまで審議したのですが、知事がどうもその任地の衆議院選挙なり参議院選挙なんかで出る場合非常に弊害があるから、離職後半年なり一年なりは任地において立候補できないことにしたいということは、相当参議院においても多数者の意見があつたんです。こういうものがやはり利用されるんです、消防員の表彰なんということは。大して金がかからないけれども、利用されるんです。功労者ですから、常識的に言えば何でもないことですけれども、こういう条項が入るときには我々誠に細かいことを心配するんですけれども、知事の立候補の制限をしなければならないというような社会情勢から考えて行きましても、表彰の濫発ということもあり得るのです。そこでこの表彰はどういう審査とかどういう規定の下になされるかということをお伺いして置きたいと思います。
  42. 川本末治

    衆議院議員川本末治君) 従来も知事の功労者に対する表彰というものは行われておりますので、事新しく今ここに規定として掲げましたけれども、従来すでに行われておる問題でありますから、その手続云々というような問題につきましては国家消防長官のほうから御答弁をして頂くことにいたしまするが、今のお話のうちにありました連絡調整の場合の第三号の御引用もありましたし、なお先日来お話のあつた公職選挙法の立候補制限の問題などにつきましての、知事がこういうものを濫発する慮れがあるというような御意見もこれは至極御尤もな御意見だと拝承いたしまするが、これは重ねて申上げまするが、事新しくここに規定をいたしましただけで、従来すでに数十年の間慣例的にこれは行われておる事項であります。又これを規定いたさなくても、行なつて悪いという取扱いはありませんので、私どもはいずれにしましても、下心得な人間ができればやはりそうしたこともやり得るでありましようし、これは又はかの方法において批判されるでありましよう。ただ現在の日本の消防団員の思想からいつて、少くともこういうことを規定してやることそれ自体がむしろ消防思想を高揚する上において、法律規定されておる条項によつて表彰されたということのほうが、彼らがやはり感じがいいだろう、こういう考え方で今回ここへ新たに入れただけでありまして、手続などの問題はすでに従来行われておりまするから、そのように国家消防庁長官のほうから御答弁を願います。
  43. 新井茂司

    政府委員新井茂司君) 只今質問の問題は都道府県或いは都道府県知事のなす消防功労者の表彰についてでございますが、その前にこれと関連がございまするので、この法案通りますと国家消防本部長の行うことになりまする消防功労者の表彰の状況はどんなふうにして行われるかということを申上げたいと思うのであります。と申しまするのは、都道府県におきましての従来行われておりまする表彰は、大体国家消防庁の行なつておる表彰に準じて行なつておる事例が多いのでありまするので、その点を先ず御説明いたしたいと思います。  国家消防庁において行なつておりまする表彰は団体表彰と個人表彰でございます。団体表彰は各都道府県の中より特に優秀なものを選びまして、消防団又場合によりまして消防本部というものを表彰をいたしております。いずれも都道府県の推薦によるものでありますが、この推薦をする場合には都道府県の県庁側、又消防協会その他の消防団体等の間におきまして厳重なる審査をして推薦をして参つて来ておるのであります。それから個人の表彰は永年勤続の優良なる消防従事者、消防団員並びに消防吏員でありまするが、消防団員につきましては、三十年以上の永年勤務員で且つ勤務の態度が非常に熱心であるというような条件を附けて行なつております。それから消防吏員につきましては、二十五年以上の永年勤続者で、やはり勤務成績の良好という者を条件といたしまして表彰を行なつております。そのほかに消防の機械、器具について非常に優秀な機械、器具を発明する。そういう者に対しても表彰を行なつております。なお消防の現場活動等におきまして身を犠牲にして活動をして、そのために死傷するというようなときには表彰或いは顕彰ということを行なつておるのであります。大体国家消防庁においてはさようなふうにして行なつておるのでありまするが、都道府県のほうにおきましても大体これに準じて表彰を行なつておるように聞いております。なお都道府県によりましては、火災予防に非常な実効を挙げまして、無火災の実績を挙げたというようなところについても表彰を行なつておるというふうになつておるのでありまして、いずれも表彰規定によつてこれらのものは行うのが適当だと考えております。
  44. 原虎一

    原虎一君 今のお話によりますと、市町村消防に対して従来知事或いは市町村長の推薦があれば国家消防庁長官は表彰状を出しておつたのですか、その点はどうですか。
  45. 新井茂司

    政府委員新井茂司君) 表彰は、国家消防庁において行なつておりまする表彰は、非常にまあ数を限定をいたしまして、その功労抜群の者に限つておりまするので、たくさんある被表彰の候補者の中から厳選をいたしまして、例えば消防団でありますると、一つ都道府県から一団体というふうに厳選をいたしまして表彰を行なつておる状況でございます。
  46. 原虎一

    原虎一君 そういたしますと、今までの国家消防庁長官が表形をしたもの以外に、今度は都道府県の知事が表彰をするということになりますか。
  47. 新井茂司

    政府委員新井茂司君) さようでございまして、国家消防庁におきましては数も少うございまするので、これに次ぐものを都道府県において表彰をしておるのが実情でございます。
  48. 原虎一

    原虎一君 国家消防庁長官が、当然都道府県の知事が表彰をしても然るべしというような者を、申請があるにもかかわらず、表彰ができないというのはどういう理由ですか。
  49. 新井茂司

    政府委員新井茂司君) これは優良な者ということになりまするといろいろ段階がございまして、個人につきましては、例えば消防団の中において優良な者はその市町村で表彰されるというのも結構なことだと思います。更に一つ都道府県全般を見渡して、そうしてその中でも優秀であるというような者につきましては都道府県で表彰されるというのも非常に結構だと思います。更に全国的に見ましても、非常に功労抜群であるというような者につきまして国家的に表彰をする。而もその数も国家的な表彰ということになりまするので、そう数を多くするということも必ずしも適当ではございませんので、限定をいたしておりまするが、さような階段的に表彰をして行くというのは全般の消防を鼓舞激励するのに適当ではないかと考えておる次第であります。
  50. 原虎一

    原虎一君 簡単に考えますと、全国的に表彫に価しないが、県下においては表彰に価するものは知事がやる、こういうお考えですか。国家消防庁長官が表彰したくても費用が足りないから厳選しなければならない。厳選すればいい者も漏れるから、そういう者は県のほうでやつてもらう、こういう考え方ですか。
  51. 新井茂司

    政府委員新井茂司君) 費用の点もございまするけれども、それよりも先に県が表彰し、天国が表彰するというふうなことのほうが適当だと考えております。
  52. 原虎一

    原虎一君 ここは率直に申しますが、知事がやるのも国がやるのも削りたいという御希望があるのです。でありますから、従来やつておつたのを法制化したと、こう言われますが、それは法律がなくてもやつておられたことは事実かも知れませんが、これを入れることに反対するという意見があるから私はくどく聞いておるのです。従来は法律に基かずに国家消防庁長官が表彰されておつた、それから父知事もやつておつたのですか。
  53. 新井茂司

    政府委員新井茂司君) やつておりました。
  54. 原虎一

    原虎一君 それを今度は法律化する。法律がなくてもできるわけですね。これは強い反対の御意見がありまするので、くどく聞いているのであります。
  55. 新井茂司

    政府委員新井茂司君) これは法律に必らずしも明文がなくてもできると考えて従来行なつて来ておりました。
  56. 原虎一

    原虎一君 もう一度お聞きしますが、法文化したらば予算上でも便宜になるというようなお考えではなかつたわけですね。ただ法文化されれば慣例を、今までやつて来ている慣例を法文化するというだけでございますか。
  57. 川本末治

    衆議院議員川本末治君) お説の通りであります。
  58. 原虎一

    原虎一君 それから先ほど若木委員が聞かれておつた問題で、これも非常に強い反対があるところでありますから、二十条の二であります。「都道府県知事は、必要に応じ、消防に関する事項について、市町村勧告し、」と、「消防に関する事項」ということでございますと非常に広くなると思うのでございますが、まあ勧告ですから聞かなければよろしいということになりますけれども、聞かなければほかのほうで、江戸の仇を長崎で討つぞということもよく使われる手でありますから、気に食わん勧告は必ずしも聞かなくてもいいというわけには行かないのです。そこで問題は、必要に応じて消防に関する事項について市町村勧告しと、この消防に関する事項についてというこれは実に広いと思うのですが、どういうものですか、具体的に御説明願います。
  59. 川本末治

    衆議院議員川本末治君) これは字に書いてありまする通り消防全般のことでありまするから、具体的に申上げて、どれとどれということは申上げられません。消防に関する限り必要に応じて勧告をする、こういうことであります。
  60. 原虎一

    原虎一君 そういたしますと、まあ具体的に一つの例を考えますと、お前の村の消防機械は悪いからこういう機械を備え付けたらよかろうという勧告も当然入つて来る、それから消防署の建物も悪いからこれも建て直せ、そういうことも、消防に関する限りはあらゆるものがやれるということになると思いますが、そうなりますか。
  61. 川本末治

    衆議院議員川本末治君) さようでございます。
  62. 若木勝藏

    若木勝藏君 今のに関連して……。令の消防に関する事項ということは非常に広汎に亘るというような御説明があつたようでありますが、これは運営管理とか行政管理とかそういうすべてに亘つて勧告になりますか。その点を伺いたい。
  63. 川本末治

    衆議院議員川本末治君) そういう管理には関係ございません。ただこの場合、消防設備などについての必要なことというふうに、すでに消防組織そのものの性格から言いまして、法律の精神から管理などはこれに全然人づておりません。さようなことでございます。
  64. 若木勝藏

    若木勝藏君 消防の設備に限るわけですか、今のお話私ちよつとそういうふうに聞いたのですが。
  65. 川本末治

    衆議院議員川本末治君) 消防組織法そのものが……、今の御質問の問題は、消防に関しては管理やいろいろなことまでもというように承わつたのですが、この場合は主として消防設備ということにお考えを頂けばよろしいのじやないか、かように消防組織法の精神から行きまして御勘案を頂くことが適当じやないかと思います。
  66. 若木勝藏

    若木勝藏君 それでわかりました。そうすると設備ですか、主として……。
  67. 石村幸作

    ○石村幸作君 質疑も大分進みましたので、ここらで質疑打切つて討論採決に入つて頂きたいと思います。
  68. 若木勝藏

    若木勝藏君 ちよつと待つて下さい。原さんの質問するところをちよつと隣からやつたものですからね、原さんが帰つて来るまでちよつと待つて下さい。(「今の動議はどうした」と呼ぶ者あり)
  69. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 今ちよつと原君が来ませんから……。
  70. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 それは法案の、国家消防庁政府案としては、政府より出されたのは、行政機構の改革に伴うこの法の改正が主なるものであつたと思うのですが、それでこんなことを聞くのは甚だ私の知識の迂遠なことの証明になるので、甚だ恥入る次第でありますが、この国家消防庁ですね、新井君は長官をしていらつしやるのですが、大体その職員は四十人くらいがいるということを聞いているのですが、大体現在どれだけの職員がいらつしやつて、それから最近のお使いになる経費の予算というようなものは総額幾らになつておりますか。
  71. 新井茂司

    政府委員新井茂司君) 国家消防庁の人員は現在総体で百十二名でございまして、うち管理局が四十名、それから研究所が七十二名ということになつております。両方合せて百十二名、それから予算は約三千万円でございます。両方でございます。
  72. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 それで行政機構の改革といつてもまあ行政整理的な縮減が基本になつておりますから、その機構をまあ小さいものに縮めるということが目標になつていると思うのですが、第五条によつて消防研究所と管理局が相並んで置かれておるのが、消防研究所が管理局の下に附くようになる、その中に包括されるようになるというのがこの機構改革の主要な一点であると考えるのでありますが、そのことについていろいろ世間に噂が飛んでおるわけなんですが、私が間接の知識でありますけれども、現存の研究所の所長は学者であつて、非常に人格的にも信頼のできる人である。ところがそうした人がその研究所が持つているところの権限に基く消防の用品、器具、ポンプであるとか消火器であるとか或いは消火弾とかいう、そういうものだと思うのですが、そういうもののまあ検定をやるということに伴うて、これを邪推するならば、いわゆるいろいろな利権が伴つて来る憂いがあるのですが、そういう消防研究所が持つておるところの消防器具、機械の検定の権能に関連して、そうしてまあ人格的にも非常に信頼されているところの人が所長になつているその研究所を、管理局の人が、これも私は噂を聞いているだけでありますから、直接にどういう人かも知らないのですが、その人がよくない人か立派な人か悪い人か、まああなたの部下ですからいずれも立派な紳士に違いないと思いますが、そういう今申したような関連性において管理局の下に、そうした利権を伴うところの消防機械器具の検定権限を持つておるので、言わば持つて行ごう、自分のほうに持つて行こう、自分というとおかしいですが、ともかくそうした機構に変えてしまおうという、そういうことが非常にこの機構改革の動機になつているというとおかしいのですが、関連性があるというようなことが伝えられているのですが、これは世間の単なる噂だと思いますが、何かそんなことに関連して衆議院の行政監察委員会にも数通の投書なんかも来ているということも聞いているのですが、あなたはそのことについてどのようにお考えになりますか。新井長官の御答弁を願います。
  73. 新井茂司

    政府委員新井茂司君) 只今古川さんのお話は噂ということでございまするので、私どももそれは噂に世間でどういう噂が行われているか、私自身としてはよく存じておらないのですが、全くそれは噂に過ぎない事柄でありまして、このたびの行政機構の改革というものは、全く政府の一般の行政機構改革の一環として行われて、そうして行政簡素化の線において管理局を廃止する。そうして消防研究所は国家消防本部に附置するということにきまつたものでございまして、その他の事情は全く噂に過ぎないということを申上げたいと思います。
  74. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 あなたの立場からはそういう御答弁以上のことはできないと思いますから追及はいたしませんが、それで今度はこれも非常に立入つたような質問でありますが、あなたの御身分に関することをちよつとこの機会に伺つておきたいと思うのですが、この法案が通過しますると、長官が、あなたが即ち本部長という名に改められるわけでありまして、あなたの地位がそうすると、これも噂ですが、新井君は首を切られるのだというようなことも実は聞いているのですが、そういうようなことになるのですか……。  それともう一つ長官と本部長という名称の変更が即ち身分下りになることになるだろうと思うのですが、これはほかの公務員の人事に関する法律で、長官と本部長とが、例えば俸給であるとかランクであるとかいうふうなものについていろいろな規定があるのですが、結局長官が本部長になることによつて非常に俸給も或いはランクも下るというような形になるのじやないですか。その意味て言うて頂いても結構です。あなたに関したことじやなくて……。
  75. 新井茂司

    政府委員新井茂司君) 個人的なことは申上げるべき席でもございませんので、その点はお許しを願います。この法律が成立いたしますると、国家消防本部の一番の頭は本部長として任命されるものでございまして、その任命は当然に国家公安委員会において任命されるということに相成ります。又これはこの法律の実施に伴いまして長官及び管理局長というものはなくなりますので、そうして新らしい本部長というものが任命されるということになると考えております。
  76. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 それは人事に関する法制等からいいますと、まあ俗語ですが、身分下りになるのですか、その本部長というのは長官よりも低いのじやないですか。
  77. 新井茂司

    政府委員新井茂司君) その点は法律と関係のない事柄だろうと思います。又実際上も身分下りになるというふうには必ずしも考えておりません。名称が長官が本部長ということに改められまして、又長官が本部長に改められました結果、その待遇も異、つて来るというようなことには必ずしもそれは関連しておらないと考えております。
  78. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 もう一つこれは川本さんにお尋ねをいたしたいのですが、先ほど若木さんの御質問に関連して「都道府県は、消防に関し、左に掲げる事務を掌る。」として、改正案の第十八条の二にある事項でありますが、都道府県はこの規定によつて次に列挙されておるような事項を、事務を掌るのですが、これは行政管理でもなければ運営管理でもないというような御答弁があつたと思うのですが、例えば警察法によるところの国家地方警察本部は行政管理をやる、併しながらみずから運営管理をやらない、運営管理は都道府県の国家地方警察が運営管理をやる。自治体警察は行政管理と共に運営管理をやるというように言われておるのでございますが、その警察法上に言われておる行政管理及び運営管理と照応いたしまして、「都道府県は、消防に関し、左に掲げる事務を掌る。」というのは、運営管理でも行政管理でもないとおつしやるのはどういう意味ですか、ちよつと十分にわかりかねるのですが。
  79. 川本末治

    衆議院議員川本末治君) この問題は従来も、事実上は各府県の消防課のあるところは消防課でやるということであつて、やつていないところはこれは地方課でやつておることなんですから、これもやはり事務上のことを明らかにしただけのことであつて、先ほど御質問のような……。
  80. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 それは運営管理でも行政管理でもないのですか。
  81. 川本末治

    衆議院議員川本末治君) そうむずかしく解釈されると……、先ほどの御質問の問題は二十条の問題でございます。二十条の二に対しての御質問でございましたのでさようにお答えしたわけでございます
  82. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 原君、先ほど原君が不在中に質疑打切りの動議が出ましたが、御不在でしたのでお帰りを待つておりました。
  83. 原虎一

    原虎一君 理事会で運営上のことをおきめになつておるということを先ほどちよつと用足しに行つたときにお聞きしたので、それを妨害するようなことはいたしたくないと思うが、もう一点だけお許しを願いたいと思います。  と申しますのは二十条と二十条の二の関連でありますが、これで行きますと、問題は消防本部長が都道府県又は市町村勧告ができる、又都道府県知事市町村長父は市町村消防長指導又は助言ができる、これは二十条、それから二十条の二に来ますと、そのほかに又都道府県の知事は市町村勧告し、市町村長、又は市町村消防長勧告指導助言ができると、そういたしますとこれは丁度警察法にあります、ように国警長官がいろいろな指示ができる、総理大臣がいろいろな指示ができると同じように、消防組織法におきましては、今度は国家消防本部長が末端の市町村消防長までに直接又は知事を通じて指導、監督ができる、これは要するに国家消防の下に統一するというふうに考えるのですが、これは自治体の本義から考えますと、上から統制を加えるということも不必要とは申しませんが、大体消防などというものは最も自治的に発達すべきものです。ですからそういう統制を加えて行くならば、国が相当の経費を持たなければならん。それから逆に相当に効果が挙るものを作らすために指導助言をするならば、要するに経済的な財政的な裏付けがなくしてこれは達成しないのです。だからこの法律で行けば、日本の今までの古い観念、慣習から行きますと、県知事が、県がこう言うからやらなければならん、それは金はないけれども金は何とか工面しなければならんということになつてしまう。だから消防の完備ということを考えるときに、指導助言も必要でありますが、その財政的な麦付けというものが考えられずこういう法律ができますと、ただ県が、県庁、県知事を通じて統制して行くことのみが強化されて行く慮れが多分にある。こういう点についてのお考えはどうですか。そうならないというお考えだと思いますけれども、ならないならならない裏付けを教えて頂きたい。
  84. 川本末治

    衆議院議員川本末治君) 一応御説は尤もな点だと思います。一方において国家消防本部のほうから指導勧告があり、又府県知事から指導勧告がやれるというような点になつておりまする点は、如何にも何でありますが、これは先ほど表彰の面において新井長官が御説明を申上げましたように、あの意味を広く御解釈頂けばよいと思いますことは、国家消防庁の面だけで十分手の届かない点があると思う。こういう点やはり府県知事が、その府県における町村の実態をよく把握することができませんから、府県知事にも必要な問題又適切な問題などについて指導勧告をすることができるようにしたほうがどうかということでありまして、決して統制を加えるということよりも、むしろ現在の日本の消防団の現状におきましては、これを指導し助長して行く、育成して行くというような面に本法を十分活かして行きたい、かように思います。  それから今の財政の問題でありますが、これは先刻御承知のように、自治消防団でありますので、自治体の財政の許さないことは恐らく県からも云々するわけにも参りますまいし、又これをやり得ないという問題もありますし、なお平衡交付金の問題もありますし、更に特別平衡交付金の適用を受ける場合も消防に関する場合にはまま出て来るだろうと思いますし、更に起債又消防に関しまする公共事業費も僅かながらも今日では国家予算の中にも入つておりますので、こういうものを無駄のないように、善用して行けるように助長して行きたい、こういう考えからこの本条を設けた次第であります。
  85. 原虎一

    原虎一君 これは先ほど吉川委員からも他の面から質問されましたが、私どもの懸念する点は、日本の今までの古い観念と申しますか、慣習と申しますか、県なんかから一つ指導勧告を受けるときには、これは大体それを聞かなければならない。又県も或いは国家消防本部長勧告を聞かなければ侮辱されたような感じになる。問題は、先ほど私は消防に関する事項について一切、機械、器具までこういうものでなければいかんと言われると、これは私は大問題だと思う。それができるようになつているというふうにも考えられます。先ほどの御答弁だとできないことはない、あとは常識に訴えるという以外にない。これはむしろ非常に法律としては危険です。これは先ほど言いましたように、消防で使う資材に利権が伴う、こういう統制して、県知事なり本部長がこういうことにこういうものを使うということを勧告する、これは恐るべき結果を来たす危険が多分にある。これを防ぐためには日本の、殊に地方において活動される諸君で、消防長なんかですね、この勧告は強制を意味するものでないという事項を入れておけばそれでいいのです。御承知のように、労働組今法は加入をすることも加入をせざることも自由です。この法律はこういうふうにちやんと謳つてあります。こういう勧告を作るときに、この勧告は強制を意味するものでないということを言つておけば、先ほど言いましたような心配はないのです。これはどうでしようか。
  86. 川本末治

    衆議院議員川本末治君) これは十分法運営の面におきまして良識を持つ知事の名前において行われることでありますし、更に他の法にも謳つてありますように、このすべて府県知事の勧告助言などは国家消防本部長勧告助言の線に沿つてやるということにいたしておりますから、お説のように余り無理なことは実際上なされないだろうし、父現在の日本の自治体の人たちが、明治時代、戦争前の時代のような考え方を持つておるとも考えておりませんので、御意見は至極結構なことだと思いますが、私どもはこの程度で差支えなかろう、かように思いまして、規定した次第でございます。
  87. 原虎一

    原虎一君 時間がないから成るべく簡単にしたいと思いますけれども、それは国家消防本部長勧告なり指導助言範囲内において知事がやるとなつていますが、私の考えでは逆になる、二重になる。国家消防本部長もこう言つている、知事もこう言つている、聞かざるを得ない、こうなる。御承知のように我々の考えからいえば、勧告勧告だ、我々議員でも、御承知のように占領下におきましては占領軍は勧告で来ています。勧告だから聞かなくてもよかろう、それは命令だ、勧告は命合にひとしいというふうに言つておる。これはアメリカの慣習と日本との相違か知りませんが、併しながら地方におきますところの消防隊員と消防長というものは、これはもう本部の本部長や知事との二重勧告をしたことを聞かんわけにはいかない。だからこれを活かすならば私は強制を意味するものでないということを入れておけば活きますが、これをこのままということになれば強制される虞れが多分にあるから強く反対がありますよ。強い反対がありますから申上げている。まあこれだけ申上げておきます。
  88. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 委員長ちよつと一つだけ、約束に反して悪いですが、どうしても我々結論をつけるために聞いておかなければなりませんが、これは政府案が行政の簡素化に伴つて出された案であります。それで長官は本部長になつて、管理局の下へ研究所が附くという、機構の簡素化と言えば簡素化というようなことに名目だけなるのですが、簡素化の目標は主として経費の節約ということにあるだろうと思うのですが、こういうようにすることによつてどれだけ経費の節約になるのですか、例を挙げて一つお話を願いたいと思います。実証的に……。
  89. 新井茂司

    政府委員新井茂司君) これによりまして節約になりまするのは人員において一人であります。国家消防庁の幹部職員でありまする者のうち一人が節減されるということに相成ります。それから機能の点から申しますると、長官の下に管理局長というのと研究所長というこの三人を排列いたしまして組織せられておつたのでありまするが、管理局がなくなりまして、消防研究所が附置機関となつて国家消防本部長が直ちに掌握することになりますので、その点で事務が簡素化せられるわけでございます。
  90. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 そうすると人事の上においては一人の職員が減るということですね。そうすると金の上ではその月給が要らんということになるくらいのことですね。それだけ承わつておきます。
  91. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) ほかに御質疑はございませんか。
  92. 石村幸作

    ○石村幸作君 先ほど私が質疑打切りの動議を出しましたが、それに関連いたしまして、先ほど来各委員の御質問の焦点を聞いておりますと、緑風会から出ております修正案、これを見ますと、そこに殆んど焦点がそれているように思うのでありますが、一つここいらで質疑を大体打切つて、そうして緑風会の修正案を討論の中へ入れてでもようございますから、一つここで発表して頂いて、そうすると先ほど来からの質問の、この法案に対する御不満の点等が大体この中へ盛り込んで修正してあるように思いますので、ここらで一つ質疑打切つて、そうして討論の中にこの修正案を盛り込んで、討論採決に移つて頂きたいと思います。(「賛成」「異議なし」と呼ぶ者あり)
  93. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) それでは御質疑は尽きたものと認めます。それではこれより討論に入ります。御意見のおありのかたはそれぞれ賛否を明らかにしてお述べを願います。なお修正意見がありましたら討論中にお述べを願います。
  94. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 これまでに修正案があるのですから、修正案を一つ先に述べて頂きまして、修正案に対しては当然に質疑をしなければならんと思いますから、先に修正案を、討論の過程の中に入つているわけですけれども、討論の過程に入つたものといたしまして、第一に緑風会から修正案の御提示を願つて、そうしてその御趣旨説明を願い、なおその修正案に対してお尋ねしなければならない点があれば尋ねることにして頂きたいと思います。
  95. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 吉川君に申上げます。岡本、館両君の修正案につきましては先般本委員会におきまして御両君から提案理由の説明をよく聞きまして、質疑を重ねたわけでございますから……。
  96. 若木勝藏

    若木勝藏君 その際にまだ質疑は全然されておらない。私はこれに対して質疑しようとしている。多くの時間は要らないのです、私は……。提案理由の説明だけだつたのです。    〔「いや、やつたよ」と呼ぶ者あり〕
  97. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 大分吉川君や何かも質疑されまして……。
  98. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 それは併し修正案が今提議されるのですから、討論の過程の上においてそれに対して質問議事の進行上するということは許され得る私はことだと思われます。
  99. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) ちよつと討論に入りましたが、折角の御希望でございますから、提案者に対しましてこの際御質疑を願います。
  100. 館哲二

    ○館哲二君 今お話がありました、先に岡本委員及び私の名前で修正案を各委員のお手許に御配布申上げておきましたのでありますが、それを一応この機会に修正案を読み上げさして頂きます。   消防組織法の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。   本則の改正規定中「本則」の下に「(第十九条及び第二十条を除く。)」を加える。   第四条の改正規定中「第九号中「検定」の下に「及び斡旋」を加え、」を削り、「四号」を「三号」に改め、第十三号を削り、弟十四号を第十三号とする。   第九条の改正規定及び第十条第二項の改正規定を削る。   第十八条の二の改正規定中第三号、「調整」及び第六号を削り、第七号を第六号とし、第八号を第七号とし、同規定の次に次の改正規定を加える。   第十九条中「国家消防庁」を「国家消防本部長文は都道府県知事」に改める。   第二十条の改正規定を次のように改める。   第二十条中「国家消防庁」を「国家消防本部長」に改める。   第二十条の二の改正規定中「海防長に対し、」を「消防長から要求があつた場合は、」に改める。   第二十四条の二の改正規定中「水防管理者に対して」の下に「前条第三項の規定による協定の実施その他」を加える。   附則第一項中「七月一日」を「八月一日」に改める。   附則第八項中「(昭和二十七年法律第  号)」を「(昭和二十七年法律第百六十号)」に改める。  こういうのが私どもの修正案であります。これにつきましては大体過日来の委員会の途中で、これを立案した要旨を申上げていると思いますので、御承知頂いているかと考えるのでありますが若しも御質疑などがありましたならばお答え申上げることにいたしまして、私どもはこの修正案を除く以外の衆議院送付の原案については賛成をするという考えでおります。
  101. 若木勝藏

    若木勝藏君 私は先ほど質問した第三十条の二は非常にこの法案に取つて重要な事項であると思うのであります。二十条で以て本部長が都道府県勧告して、更に又府県知事、市町村長、又は市町村消防長に対して指導助言をすることができると、それから二十条の二において又同様なことが都道府県知事において行えるということは、先ほど原さんからも言われた通り、非常にこれは消防に関する中央集権的な統制というふうな点が強く我我考えられるのであります。それに対しまして、緑風会から出ました修正案で、二十条の二において「市町村勧告し、市町村長又は市町村消防長に対し、」、こういう所に「消防長から要求があつた場合は」ということを人れたことは非常にこれはいい修正だと思うのであります。その同じようなことが二十条でも考えられると思うのでありまするが、恐らく緑風会としてこの点を考えられたのは、この十九条のここから発したものだと思うのでありますが、「市町村消防は、国家消防庁の運営管理又は行政管理に服することはない。」というこの条項によつてこういう修正が行われたものであろうと思うと同時に、この消防の中央的な統制ということを避けるためにそういうことを入れられたものだと思うのであります。そういう意味から言えば、二十条においても同じようなことが入れられるべきであるのに、こつちにどうして入れられなかつたか、その点を伺いたい。
  102. 館哲二

    ○館哲二君 今お話のありましたよりに、第十九条におきまして「市町村消防は、国家消防本部の運営管理父は行政管理に服することはない。」そこへ私どもはやはり府県知事の運営管理、行政管理に服するものでないということをはつきりするために、この第十九条の修正案としまして「国家消防本部長又は都道府県知事」というのを入れまして、両方の管理に服するのじやないということを明らかにしまして、第二十条はこれは元の法律そのままなんです、私どものほうは……。第二十条は、「第二十条の改正規定を次のように改める。」と、衆議院の送付案は別になつておりますが、私どもは第二十条のうちでただ変えるのは、「国家消防庁」とありますのを今度消防本部に変りますから「国家消防本部長」と改めるということにするだけでありまして、現行法通りなんです。でありますから、従つて勧告はできるが、そのあとのほうで、「都道府県知事市町村長又は市町村消防長に対し、」とあるのを元の条文の通りに、「消防長から要求があつた場合は、消防に関する事項について指導し、助言を与え、又は設備、機械器具及び資材の斡旋をすることができる。」という元のを残しておこうというのであります。
  103. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 御提案者の岡本さんと館さんにお尋ねするのでありますが、どちらからお答えになつても結構でありますが、先にこの印刷物を配付になりまして、若干提案の理由の御説明がありました。気付きました二、三の点を御質問申上げて御答弁を得たのであります。それと重複するような点があるかも知れませんが、なお腑に落ちない所がありますのでこの機会にお尋ねいたしたいと思いますけれども、その節にも岡本さんが有力なる消防行政の補助団体である、半公け的な団体とも見なされる消防協会の会長でいらつしやるし、館さんは副会長でいらつしやる、だからしてこれは消防協会案であるというような、まあ多少言い過ぎであるかもわかりませんが、そういうことを申上げたのでありまするが、今御提案になつておりまする「第四条の改正規定中「第九号中「検定」の下に「及び斡旋」を加え、」を削り、」ということでありますが、これは先ほど来の委員会における質問等にもほかのかたからお話が出ておりまするように、現在の国家消防庁及び改正案によつてでき上るかも知れないところの国家消防本部等が現行法及びこの改正法案によつて規定されておりまする検定及び斡旋ということがいろいろな利権を伴うところの憂えがある。又事実G・HQの消防部の部長でありましたエンジエルがおりました時代でも、いろいろな方面からポンプの検定或いは消火器の検定等を国家消防庁へ持つて来まして、そうしてその検定を頼むと同時に地方への販売の斡旋を非常に依頼して来たようなことがあるということを私は相当に聞いておるのでありますが、それはさもありなんことでありますが、従つてこれは悪く考えまするならば非常に利権を伴うことであります。それを掌りまするところの当路者がよろしくない人間でありまするならば、それから起るところの十分なる弊害を我々は想定することができるのであります。併しながら消防器具の性能の検定を政府がいたしまして、或いは地方自治体がいたしまして、本当によいものであるならば、これをよいものであるというような証明をいたしまして、広くそれが使用されるような途を講ずることは、そうしたよろしくないところの、営利的な精神に符合するところのものでなければ、全くこれは結構なことであると思われるのであります。仮にそれに伴つてここにいろいろな疑わなければならないようなことが発生する憂えがあるといたしましたときにも、これが政府機関でありまするところの国家消防庁或いは国家消防本部がやつておりましたときには、政府機関といたしましてのいろいろな国家行政組織上の監査の眼の標的にならなければならないのであります。国会がこれを暴露していろいろな手段を講ずることもできるでありましようし、そのほか会計検査院であるとか諸種の監査機関等もありますから、そういう場合を考えましても、十分に公的な監査を通じてその弊害を除却するところのシステムは一応できておるのであります。併しながら消防協会の目的の一つは、こうしたことの斡旋をするということが挙げられておりまして、特に提案理由の御説明の中ではなかつたかと思いますが、或いは岡本さんのこの法案審議の過程における御発言の中に、この法律案では、斡旋ということではありません。これは表彰であります。表彰は消防協会にやらしたらばよいのではないかというようなお言葉もあつたと思うのでありまするが、そういう半公け的な、世間によくありまするところの、いわゆる主として古い役人であつた人が中心になつて組織いたしておりまするところの世間多くの財団法人、社団法人等の団体、そういう私的団体が政府に代つてそういうことをやりまするということは、近代の行政の傾向に反対するところのものである。本当に国民自治体居住民に必要なことであるならば、私的団体がやらないで政府みずからがそれをやるべきであるという立場をとらなければならんと思うのでありますが、何か消防協会が表彰のごときはやつたほうがいいんだというお言葉もあつたのでありますが、同様にこの斡旋のこともここに政府の手からこの改正案で削つてしまおうというお考えの中には、表彰の権利をば政府から奪うということをあとのほうの御提出の改正条項の中にも盛つていらつしやるのですが、それと相並んで何かそういう私的団体、特に会長及び副会長でいらつしやるところの消防団体の目的及び事業として掲げられておりまする斡旋、表彰、表彰はインクルードしてありますが、消防協会のほうに奪い取つてしまう、政府のほうにやらせないで自分たちのほうでやろうというようなお考えでこの改正法案を出していらつしやるというような多少疑惑を持たせる余地があるように考えられているのでありますが、それについての一つ御答弁を承わりたいと思うのであります。
  104. 館哲二

    ○館哲二君 大変その提案いたしました岡本委員なり私なりが消防協会に関係をしておりまするのでありますから、いろいろな誤解も生んでいるかと思うのでありますが、私はこの国家消防本部が検定をやられるということは私は非常にいいことだと思うのであります。有力な消防研究所を持つていられるところで検定をやられるということは、これはまさに国家的な権威を以てやるべきものだと思うのであります。ただ斡旋という問題になりますと、国家機関がそういう斡旋をせられるということはほかにも余りないことであろうと私は思うのであります。斡旋の仕事をやられるのは国家機関としては適当でない、で、それを消防本部の職権の中に特に選り出して挙げるということは面白くないのじやないか。ただ現在二十条には器具、機械の斡旋をするということが前に国会できめられました中に入つておりますから、その程度に残しておいたらどうかというのでそれは削らずに、ただ職権としてここに特にまあ羅列されるような、この際改めて斡旋に力を用いるのだという行き方は面白くないというので斡旋を削ることにしたのであります。  それから何か消防協会が自分らのあれだから、表彰は国のほうを押えて消防協会に独占するのだというような意味の誤解もおありのようでありますが、私は本来表彰というようなものは国家的にやられるということは、国家の表彰権というものは認めていいと思うのであります。それはその筋で適当な方法でおやりになればいいと思うのでありますが、各官庁にも別に表彰の規定をその職権に羅列してあるのは恐らくないのじやないかと思います。これは却つておのおの消防の団体、消防団が寄つて組織しております自治団体並びに消防協会が、表彰をやつて行くということが正しい行き方じやないかと思う。私は先ほどどなたかからか御質問がありましたように、それによりまして、中央の統制を強化して行くとか、権限拡張をやるとかいうような疑いも生じて来やしないかということも考えられますので、表彰については却つて自治団体である団体にやらせられるほうがいいという意味で削除をして出したわけであります。(「了承」と呼ぶ者あり)
  105. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 他に御質疑ございませんか……、それでは質疑は終了いたしたものと認めます。先ほど館君より御発言がございましたが、あれは討論あつたものと考えてよろしうございますか、(「賛成」と呼ぶ者あり)他に……。
  106. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 私は衆議院より回付されて参りました消防組織法の一部を改正する法律案及び岡本、館両君の提案の修正案に対しまして共に反対であります。社会党第二控室を代表いたしましてその反対の理由を簡単に申述べてみたいと思うのであります。  第一は、この衆議院回付案の法案としてのお出しになつて来ました形が甚だアブノーマルであるということであります。形が非常に異常なものであつて提出の正しい姿を現わしておらんという意味であります。それは最初政府案といたしまして直ちにおわかりになりまするように、新井長官が先ほど来説明いたしておりまするような行政機構の改革に伴うところの単なる名称の変更に過ぎない極めて簡単なるところの法案であつたのであります。で、政府最初出して参りました法案等よりいたしましても、政府案は極めて単純な内容法案でありまするが、先般来の新井長官の私の質問に対する答弁でも明らかでありまするように、「長官」を「本部長」と直し、又現在管理局と研究所が並立しているのを一本にいたしましてその消防研究所を管理局の下に置く、その中へ含めてしまうというだけの先ず改正案でありまするが、併しそういういわゆる行政の簡素化というようなれいれいしい掛声をかけておりまするけれども、その結果は何も経費の節約になるのでも何でもなくして、ただ一人の職員が減ることについてのその月給を出さないで済むということになるというだけのことであります。実にばかげ切つたる私は行政機構の改革であり、そのいうところの行政簡素化というものが大体今日においては、そうした内容のものであるということの私は一面を暴露いたしているものと考えるのであります。こんなこの法案それ自身がどうでもいいところの法案であります。むしろ行政簡素化、必然的にそれは大きな経費の余剰ができるのであるというような印象を受けるようなことを言つて、こういう法案を出して来て参りましたことによつて紙だけでも大変なこれは月給一人分以上の紙が要ります。我々が費す時間だけでも大変なわけであります。ばかな法案であると考えます。ところがそういう極めて簡素な、単純な内容を持ちましたところの行政機構の改革案の一部として、消防組織法の一部を改正する法律案政府が出して参りますと、衆議院議員自由党の一部のかたがたはこれに便乗せられまして、極めて広範なるところの内容を持ち、消防組織法の基本的な精神を没却してしまうような極めて大規模のこの消防組織についての改正内容、むしろ改悪内容をば内容といたしておりまするところの案に作り替えて我々の手許に出して来られておるのであります。それは即ち今まで消防について大した権限を持つておりませなんだ都道府県にこの消防についての広範なる、ここに列挙しておりまする事項についての権限を附与しようとするものであります。消防のごときは警察行政と比べましても、その及びまするところの範囲というものが極めて小地域でありまして、基礎的公共団体であるところの市町村が飽くまでも単位であり、市町村中心にその消防の運営というものが考えられて行くへきものでありまして、府県が現行法において大きな権限を持たないということは当然のことであると私は考えるのであります。然るにここにこうした広範なる権限を新たに消防とはそれほど縁の直接的にないところの都道府県にお認めになつてこうした規定を置き、そうしてその中には第十八条二の第七号といたしまして、これ支いろいろなスキャンダルを起す疑いを持たれまするところの資材の性能試験に関する事項ということをば挙げて来ておるのであります。こうした都道府県にこういう新しい消防に関する広範なる権限を規定いたしまするということは、消防が基礎的公共団体である市町村を飽くまでも本位にすべきものであるという建前からいたしまして全く無用なるところの修正であり、これは現行法の改悪であると私は断ぜざるを得ないのであります。  なお館、岡本両君御提出の修正案につきましては、先ほど来の質問の中にも若干我々の意思を申述べたのでありますが、私は両君が有力なる消防行政の補助団体であるところの消防協会の会長、副会長であるというようなことにからんだいろいろなことはくどくは申しません。ただそういう考えもあり得ると言うだけにとどめておきますが、併し私が質問の中にも申しましたように、真にここに規定しようとせられておりますところの、この政府及び地方公共団体から表彰や或いは斡旋の権能、これをば特に削除しようとせられておりますところの趣旨につきましては館君より御答弁がありましたけれども、私は十分にそれに賛成することはできません。真にそうしたことが必要がありまするならば、何もそんな古い役人が中心になつてつておりまするところの、世間にありふれた官僚的な財団法人、社団法人、数限りなく今日日本の社会に存在いたしまして、そうして政府と手を組んで官僚のなわ張りを拡げ、又日本国民の封建思想の温存に努力しておりまするところの多くの団体があります。これは私は日本の民主化のために破壊しなければならないところの団体であると考えておるのでありまするが、そういう考えとも結びつけまして、必要なるところの行政事務でありまするならば国や公共団体がやつたならばいいのであります。それがやりまするならば、たとえそこに起るところの弊害がありましても、これを十分に公的な機関を通じて矯正し得るところの組織と途はついておるのであります。政府がやることがいかんからといつてそうした半封建的な官僚一体がいたしますることは、より大なる弊害を社会にもたらすものであると私ば考えておりまするので、そういうことを包蔵いたしておりまするところのこの館君や岡本君の提案の改正案に対しましては、断固反対であるということの意思表示をいたしておきたいと考えます。
  107. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 他に御意見なければ討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  108. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 御異議ないと認めます。それではこれより採決に入ります。消防組織法の一部を改正する法律案につきまして採決いたします。この討論中にありました岡本、館両君の修正案を議題に供します。岡本、館両君提案の修正案に賛成の諸君の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  109. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 多数と認めます。よつて岡本、館両君提出の修正案は多数を以て可決せられました。  次に只今可決せられました岡本、館両君の修正部分を除きました衆議院送付案は修正議決案であります。岡本、館両君提案の修正部分を除いた衆議院送付案全部を問題に供します。修正部分を除いた衆議院送付案に賛成の諸君の挙手を求めます。    〔賛成者挙手〕
  110. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 多数と認めます。よつて消防組織法の一部を改正する法律案は多数を以て修正可決せられました。  なお本会議における委員長の口頭報告の内容は、本院規則第百四条によつてあらかじめ多数意見者の承認を経なければならないことになつておりまするが、これは委員長において、本法案内容、本委員会における質疑応答の要旨、討論の要旨及び表決の結果を報告することとして承認を願うことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  111. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 御異議ないと認めます。  それから本院規則第七十二条によりまして、委員長が議院に提出する報告書について多数意見者の署名を附することになつておりますから、本法案を可とされたかたは順次御署名を願います。   多数意見エ署名    堀  末治   高橋進太郎    岩沢 忠恭   宮田 重文    石村 幸作   駒井 藤平    若木 勝藏   中田 吉雄    岩木 哲夫   岡本 愛祐    館  哲二
  112. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 御署名漏れはございませんか。御署名漏れはないと認めます。   ―――――――――――――
  113. 中田吉雄

    中田吉雄君 理事会議事の運営を諮つたのですが、四時になつてしまつたわけであります。(「四時半だよ」と呼ぶ者あり)そこで私は事情変更の原則を一つ御考慮を願いたいと思います。それは私の張つておりまする情報によると、(笑声)自由党で非常に問題になつておりまする幹事長の問題が、衆議院議長がおやめになつて林さんが幹事長になり、大野伴睦氏が議長になられるということが大体仄聞するところによると誤りのない情報だと思うわけであります。そこで議長の改選が行われるということで会期が延びる公算が極めて大であるという新らたなる事情が発生したわけであります。従つて四時までということですが、そういう事情変更のことを了とされて一つ自由党の各位に新らたなる考慮をお願いしておきます。
  114. 原虎一

    原虎一君 中田君の御動議に対して賛成するのでありますが、理由は少し違うのであります。自由党の幹事長の問題からいろいろ御意見がありましたのですが、それとも多少関連いたしますが、私の聞くところによると、参議院において全会一致できめました常任委員会改正いたしまする問題が、衆議院の先ほど来議運におきまして同意が得られない。そこでそういたしますと、これは常任委員会の構成が参議院として非常に問題になつて参りますので、そこで私の会派といたしましても、この問題を如何にするかということを先ほど来役員会を開き、総会を開いて協議するから来いという呼出が何回も参りました。委員を交代すればよろしいのでありますが、その間が今までにありませんしいたしまして、私ども会派の役員をいたしておりますので、そういう関係もありますし、参議院全体にとつてもこれは大問題でありますから、一応休憩を短時間でもよろしいから願つて、そういう問題の見通しをつけて、中田君の今言われました理由も非常に審議の上においては関係のある問題でありますから、そういう的確なる情勢を把握いたしますために御休憩を願いたいと思います。(「賛成」と呼ぶ者あり)
  115. 堀末治

    堀末治君 今原君並びに中田君から休憩の動議がございましたけれども、私どもは先ほど理事会でいろいろ相談した事項もあり、それが不幸にして時間が大分ずれておりますけれども、四時から大体警察法審議をやる、こういうことでございますので、とにかく警察法を一ぺん審議にかけて、然るのちそういう点について考慮をすることにいたしたいと思います。
  116. 原虎一

    原虎一君 その前に何かあれがあつたのじやありませんか、警察法警察法ですけれども請願陳情もかける……。
  117. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 先ほどの理事会で、申合せは二時半でございましたが、二時半から消防組織法の案件を審議し、それが終了いたしましたらば請願陳情を四時までいたすという大体の申合せでございましたが、先ほどより消防組織法審議を開始いたしましたところ、各位より御熱心なる質疑がありましたために時間が経ちまして、四時をすでに過ぎましたので、今のような新らしい御希望が出たわけであります。
  118. 駒井藤平

    駒井藤平君 前の懇談会によつて、まあ四時というのがずれて来たので、あの申合せによつて休憩には私反対であります。ずれただけの時間三十分を請願陳情審議する、それから五時になれば直ちに警察法にかかる、こういうふうに改めて動議を提出します。(「賛成」と呼ぶ者あり)
  119. 原虎一

    原虎一君 動議が二つ出ちやつたのですね。前の動議はまあ中田君の休憩動議、私賛成しているわけです。と申しますのは、これだけ何件とあります請願陳情でありまして、まあ似通つたものも多数あるようであります。併し先ほど中田君が言われますように、自由党の事情によりまして会期が一日でも延長されるという情勢にありますならば、慎重にこの請願陳情審議する時間があると思うのです。それがあるのにも簡単にやつてしまうという、時間がなければ簡単にやらなければならない、正直のところ。そういうことを考えますれば、これを直ちに、休憩を何時間もやるというわけじやありません、今申しましたような情勢変化、我が参議院にとりましては、常任委員会制度の改正というものが通らないかも知れんという状態にあるとき、又会期が一日、衆議院自由党の事情によつて延びるかも知れんというような点を確かめた上で、そしてただ三十分でも四十分でも休憩願つて確かめた上で、それでは時間がないからこの請願陳情は時間の許す範囲でやるという方法をとるのが、幸いにしてか不幸かはまあ申しませんが、一日でも延長できるということになりますれば十分にこの請願陳情審議の時間があるわけです。そういう点を一つ委員長において然るべく考えて、動議によつてどうこうということはいたしたくないとも思いますけれども、折角動議が出たのですから、私は賛成いたして申上げて、これは事情は十分あると思うのです。あとは委員長の御判断によつて然るべくお計らい願いたいと思います。
  120. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 如何でございますか。実は今休憩の動議と、継続して審議をやつてくれという二つの動議がありますが、これはまあ両方の意味が違いますので、委員長といたしますれば妥協案といたしますか、今四時半でありますが、今与党のかたにも延長かどうかということをお聞き願いまして、五時まで休憩して、五時から審議に入るということで如何ですか。    〔「反対」と呼ぶ者奉り〕
  121. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 私はやはり先ほどの申合せもあるのですから、駒井委員からお話があつたように、時間のずれ等を考えて、やはり五時まで請願陳情をやるということで一つ継続を願いたいと思います。
  122. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) ちよつと、今から五時まで請願陳情…。
  123. 中田吉雄

    中田吉雄君 どうですか、本会議で消防法案を上げてしまつたらすぐあつちのほうへ廻るわけでしようから、衆議院のほうの処理の問題もあるでしようから、そうしてすぐ開くならば開いて、後はどうですか、その間に一服できやせんかね、丁度……。
  124. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 それですから中田さんのおつしやるように、本会議に上程になつて委員長がその説明をなさるときには、それは休憩なり何なりしてもよろしいと思いますが。
  125. 中田吉雄

    中田吉雄君 それが休憩になりはせんか。
  126. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 とにかく今日の申合せ通り継続をお願いしたいと思うのですがね。というのは会期延長とか、それから今の国会法の問題は、これは運営委員のほうでやつておられるのであり、会期延長ということは、これは何ですか、まあ……。
  127. 中田吉雄

    中田吉雄君 一応処理すれば丁度休憩できるじやないですか。委員長の報告される間……。(「まだ本会議を開いていない。それまでに……。」と呼ぶ者あり)
  128. 石村幸作

    ○石村幸作君 とにかく、会期延長のごときものは我々与党や者はまだ聞いておりませんし、そういうことはないということをはつきり本部のほうからも質しておきます。特に時間が非常な貴重なときでから、わざわざここで三十分貴重の時間を休憩するよりも、すぐに警察法その他を上程してここで審議に入つて頂いて、そうして先ほどの消防法が本会議に上程されるような場合には、自然委員長が不在ですから休憩ができるわけです。一つ引続いて三十分請願陳情をやつて、それから五時から法案に移つて頂きたい。
  129. 原虎一

    原虎一君 その請願陳情をやるということは議運で、理事会で大体おきめになつておるのですから、我々は強いて反対ばしませんけれども、情勢が先ほど申しました一日でも延長されるような情勢だということは、これは事実であります。それを確かめる時間もよこさないで請願をやられる、そういう状態において三十分しか請願審議しないという条件付で請願審議されることには私は反対であります。これはそれで審議を済ますというならば反対です。請願審議に一広かかるというならばこれはわかりますけれども会期延長も問題になりつつあるという情勢は作り事ではありません。自由党のかたがたが御存じなんで新聞記者から私ども聞いている。新聞記者がいい加減のことを言つておれば別ですが、林議長がやめられて大野伴睦氏が議長になられて、そうして林議長は幹事長になられる、そのことを吉田総裁は承諾したと、それには会期延長は止むを得ないのだ、衆議院のほうは議長選挙などをやればとても今日中に多くの議案の審議はできないだろう、こういうことを新聞記者諸君から私は情勢を聞いておるわけです。だから申上げておるわけであつて、時間がありますれば陳情請願を三十分でやる必要はないのであります。でありますから理事会で一応きめたことであるから続いて請願審議に入つて行くということならば、これは私ども理事会の御決定を本委員会でみだりに蹂躪するということはやりたくない。
  130. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) それではいろいろ御意見がありまするから、只今より請願陳情審議に入りましてその間委員長並びに理事政府に延長の意思があるかどうか確めてみては如何でしようか。
  131. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 私どもの話に原さん異議があるようですが、先ほどの申合せもありますから請願陳情に入つて頂いて、大体三十分やつて頂いて、そうして警察法集団デモ審議に入つて頂く。仮に一日延長ということになつて法案が上りますればあと陳情請願はそのときにお考え頂くということにして頂いて、先ほどの申合せ通り御配慮願いたいと思うわけであります。
  132. 若木勝藏

    若木勝藏君 今の高橋さんのお話を私の聞いたところでは、会期が一日延びれば法案が上つた場合には、というふうな前提があつたようですが、それを前提にして今請願に入るのですね。それはちよつとおかしいな。
  133. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) それで今高橋さんも言われましたが、延長になるかも知れないからという御意見があるものですから、委員長としてはそれを確かめるために、この請願陳情審議しておる間に代つて頂きまして、委員長理事政府にそれを確かめたい、こういうふうに考えるわけです。私どもは確かめなければわからんわけですから、そういう意見があるからそれを確かめるわけですから、如何ですか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  134. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) それではさように取計らいたいと思いますから、これより与党理事なりに代つて頂きまして、委員長理事政府にその点だけ確かめたいと思います。    〔委員長退席、堀末治委員長席に着く〕
  135. 堀末治

    委員長代理(堀末治君) それでは会議を続行いたします。  只今議題となりました請願陳情でございますが、この請願陳情の一覧表を見ますと、すでに取扱つたものも多数あるのでありまして、成るべくそういうものは後廻しにして、さつき理事会でもいろいろなお話がありましたが、これから警察法等が審議されることでございまするから、成るべく警察法に関係のある請願陳情審議いたしまして、然る後その他のものに入つたらどうかと思いますが、如何でございましようか。
  136. 原虎一

    原虎一君 請願陳情がずつと出ておりますが、地方行政委員会は大変忙しいので、請願に一々目を通しておる暇がないくらいですから、事務当局をしてその列記順に一応御説明を願いたいと思います。
  137. 堀末治

    委員長代理(堀末治君) それでは御説明を願つて逐条に……、そうして採択、不採択をきめて参りましようか。
  138. 原虎一

    原虎一君 これを説明するだけでも三十分かかりますよ。
  139. 堀末治

    委員長代理(堀末治君) 大体同じなのがありますから……。
  140. 石村幸作

    ○石村幸作君 こうやつて見ますと、殆んどこの中の大半はすでに法案等で済んでいるものが多いのですよ。そういう法案として解決済みのものはどうしますか。
  141. 原虎一

    原虎一君 でありますから例えば地方議会制度改革反対に関する件、この内容はこうこうこういうものですでに法律によつてこういうふうになりましたということを事務当局から報告してもらえば早いのじやないか、それを言つておるんです。どういう請願内容であるか……。
  142. 堀末治

    委員長代理(堀末治君) それじや逐条にやりましよう。それじや一つ説明を願います。
  143. 武井群嗣

    ○専門員(武井群嗣君) 請願第三十八号地方議会制度改革反対に関する件、これは北海道札幌市会議長の提案でありまして、常任委員会を廃止したり或いは議員の数を減らしたりするというようなことは、地方自治の進展を阻害するものであるからしてこの際反対するという意見の趣旨であります。
  144. 原虎一

    原虎一君 例えばこの陳情地方自治法改正で大体請願の願意は達せられておるというのでありますればそれはどうするかというのですね。採択するか、しなくてもいいのじやないかという問題がありますから、その点をお聞きしなければならんわけです。
  145. 武井群嗣

    ○専門員(武井群嗣君) これは政府の原案は御承知通りでありまして、それに対しまして、本議会におきまして大体政府の原案を否認するような趣旨の修正が行われたのであります。従いましてこの請願の趣旨は採択されましてその書類を内閣に送付されることに御決議になつて然るべきものじやないかと存じております。(「採択賛成」と呼ぶ者あり)
  146. 堀末治

    委員長代理(堀末治君) 如何ですか。    〔「採択賛成」と呼ぶ者あり〕
  147. 堀末治

    委員長代理(堀末治君) ではさよう、決定いたします。次。
  148. 武井群嗣

    ○専門員(武井群嗣君) 陳情の六百三十号は、地方自治法改正案反対に関する陳情でありまして、東京都議会議長の陳情であります。同様、内容は今申上げたと大同小異のものでありまして、御採択送付せられて然るべきものと存じます。
  149. 原虎一

    原虎一君 都議会議長から来ておりますのは、東京都ですから、例の区長任命制の問題ですね、これはどういうふうになつておりますか。
  150. 武井群嗣

    ○専門員(武井群嗣君) 区長任命制の問題は後に又別に出ております。この問題は地方自治法改正の例えば議会に関する事項とか、先ほど申上げたことに対する反対の陳情でございます。
  151. 原虎一

    原虎一君 それだけですね。
  152. 武井群嗣

    ○専門員(武井群嗣君) さようでございます。
  153. 原虎一

    原虎一君 それは前の札幌と大体内容は同様ですね。
  154. 武井群嗣

    ○専門員(武井群嗣君) さようでございます。
  155. 堀末治

    委員長代理(堀末治君) 如何ですか。    〔「採択賛成」と呼ぶ者あり〕
  156. 堀末治

    委員長代理(堀末治君) ではさよう決定いたします。次。
  157. 武井群嗣

    ○専門員(武井群嗣君) 陳情六百九十一号も同様であります。    〔「採択」と呼ぶ者あり〕
  158. 堀末治

    委員長代理(堀末治君) さよう決定いたします。次。
  159. 武井群嗣

    ○専門員(武井群嗣君) 陳情七百二十三号、地方自治法改正法案に関する件、都議会議長、これも内容は同趣旨であります。
  160. 原虎一

    原虎一君 これは二つになつたのはどういうわけですか。陳情請願は違うのですか。同じ陳情ですね。どういうわけですか。と言いますのは、多少内容が違うがらじやないですが。
  161. 武井群嗣

    ○専門員(武井群嗣君) これは内容も殆んど同文同種のものが出たのであります。提出者も都議会議長でありまして内容も殆んど変らないものであります。
  162. 原虎一

    原虎一君 そうするとちよつと同じようなものが二通でも三通でも来れば受付けるというようなやり方をしておるのですか。請願課はどうですか。
  163. 武井群嗣

    ○専門員(武井群嗣君) これは請願課で調べたところによりますと、時を異にして出た場合におきましては、受付の番号等は別になるようであります。文書表につきまして、同じ趣旨のものにつきましては、この趣旨は第何号と同じ趣旨のものであるということが幸いてあるようでありまして、大体今お話のような取扱をしておるわけであります。
  164. 若木勝藏

    若木勝藏君 令の御説明で時を異にして受付けるということでありますが、我々の経験によると、時を異にしても受付けないですよ、同じようなものが出ておると。地域給などでよく経験しておるのですよ。何か変つた内容があるのじやないですか。
  165. 武井群嗣

    ○専門員(武井群嗣君) 六百三十号は「政府は今国会に提出の地方自治法改正案中、議会に関する事項の中、議員定数を縮減し、議会の定例会開催制度を改正するよしであるが、かかる改正は新穂法の保障する地方自治の精神にもとり、議会の権能を縮少弱化するものであり、地方住民の意思機関たる議会軽視を示すもので時代に逆行する措置であるから、真に民意の反映と議会運営の実状に即するよう改正せられたい」というのであります。七百二十三号は「現在伝えられている地方自治法改正案によれば、議員定数を縮減し、議会の定例会開催制度を改正する意図であるとのことであるが、このような改正地方自治の精神にもとり、地方住民の意思機関を軽視するものであるから、この改正案を撤回し、議会閉会中も積極的に活動できるよう地方自治法改正せられたい」というような大体の趣旨でございます。
  166. 堀末治

    委員長代理(堀末治君) 如何でございますか。請願課を呼んでよく聞いてみましようか。    〔「採択賛成」と呼ぶ者あり〕
  167. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 この機会に一度聞いておきましよう。
  168. 堀末治

    委員長代理(堀末治君) それじやこれは採択するといたしまして、請願課長を呼ぶことにいたします。次は八百二十九号。
  169. 武井群嗣

    ○専門員(武井群嗣君) 八百二十九号は地方自治法中一部改正に関する陳情で二通を一括したものでありまして、政府が提案しておる地方自治法改正案の中には、議会に関する事項のうち、議員定数を縮減し、議会の定例会開催制度を改正する由であるが、これには反対であるというり陳情であります。(「採択賛成」と呼ぶ者あり)
  170. 原虎一

    原虎一君 もう一通は何ですか。
  171. 武井群嗣

    ○専門員(武井群嗣君) これは富山県議会議長須河信一外一名となつておりまして、同文のものであります。
  172. 原虎一

    原虎一君 富山県会議長が同じものを二通よこしたというのですか。ですから番号は一つになつておる、八百二十九号、それで二通になつておるのですか。内容は全然同じですか。
  173. 武井群嗣

    ○専門員(武井群嗣君) 陳情の八百二十九号は原文によりますと、同職名同名の人が参議院議長にあてて二通陳情を出したわけであります。内容は同じであります。
  174. 堀末治

    委員長代理(堀末治君) 採択よろしうございますか。    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  175. 堀末治

    委員長代理(堀末治君) さよう決定いたします。次、八百六十四、題名が同じだから八百七十も併せて一つ説明下さい。
  176. 武井群嗣

    ○専門員(武井群嗣君) 八百六十四と八百七十の陳情は、地方自治法改正反対でありまして、提案者は一覧表に書いてある通りであります。内容は先ほど申上げたと同文同種のものであります。
  177. 堀末治

    委員長代理(堀末治君) 如何でございますか。    〔「採択賛成」と呼ぶ者あり〕
  178. 堀末治

    委員長代理(堀末治君) 採択。  次、九百六十号並びに請願千九百三十五号、これはやはり題名は同じですから一緒に御説明下さい。
  179. 武井群嗣

    ○専門員(武井群嗣君) 陳情九百六十号は前段の陳情と同様に、地方自治充実強化のために、議員定数を減らすとか、議会の回数を減らすことには反対であるという陳情であります。請願の千九百三十五号は、文章は相当長くなつておりますけれども内容が同様に定例会六回以上を一回に改めるとか、議員の定数を減らすとかというようなこと、その他地方自治の進展を阻害するような改正案には反対であるということの請願であります。
  180. 堀末治

    委員長代理(堀末治君) 如何でございましようか。    〔「採択賛成」と呼ぶ者あり〕
  181. 堀末治

    委員長代理(堀末治君) ではさよう決定いたします。請願課長が来ましたから、先ほど留保になつた問題を一つお尋ねいたします。陳情の六百三十号並びに陳情の七百二十三号、これは同名で同じように出ておるのだが、それに対しての受付の状況の説明をおつしやつて頂きたい。
  182. 土屋政三

    ○参事(土屋政三君) 私、突然に参りましたので皆さんのピントに合つたお答えができるかどうか、ちよつと危惧に堪えないのでございますが、六百三十号と七百二十三号、東京都議会議長菊池民一から出た陳情書でございますが、大体趣旨とするところは同じようでございますけれども陳情書の原本を見ますると、多少文書に違いがございますので、我々事務を扱つているほうにおきまして多少検討の点におきまして粗漏の点があつたかと存じますが、六百三十号と七百二十三号は前文が同じで、七百二十三号のほうは前文のそのあとに、記として列記事項が一から三まで余分に付いておりますので、従いまして原文も少両者おのおの特色があるという関係で別に出したと思うのでございます。
  183. 堀末治

    委員長代理(堀末治君) 如何でございましようか。
  184. 原虎一

    原虎一君 何だかわからないですね。
  185. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 要するに趣旨は大体同じだが表現が違うということを言つておるわけだな。
  186. 土屋政三

    ○参事(土屋政三君) さようでございます。
  187. 原虎一

    原虎一君 これの表題は六百三十号も七百二十三号も全然同じで、而も提出者が同じという場合に、ここにこういうふうに表に出したときには我々は疑問を持つわけです。同じものという説明があると、同じものならば請願課が受付けるはずはない、全然同じものでも受付ける場合はあるということは知つておりますけれども、一応我々は違うから請願課が受付けたのではないか、然らば内容はどう違うかということを請願課長が来て説明してもらわなければわからない、こうなつたのです。内容の全然同じものを一々調べることはできないから、内容の全然同じものでも受付けるか、受付けたあとでどういうふうに処理されているかということをお聞きしたい。
  188. 土屋政三

    ○参事(土屋政三君) 只今原先生の御質問でございますが、大体我々の取扱の方針といたしましては、同一請願者で或いは同一陳情者でありまして同一のものが時期を異にして提出された場合におきましては、あとから提出されたものにつきましてはそれを受理しないというような扱いで来ております。ところが同じようなことでございますが、件名も異なり、又大体趣旨は同じように見受けられますけれども、中の文章が違うといつた場合におきまして、同一の日に一緒に出た場合にはそれを同じものであるとして同一件名の下に一括するのでございますが、これは受理の日にちにおきましても十四日と十九日とその間五日間のへだたりがあつて提出されておりますので、受理したような次第でございます。
  189. 原虎一

    原虎一君 ちよつと説明がはつきりしたようなしないところがありますが、まあ簡単に申しますれば、内容は全然同じものならば二度は受付けない、併し多少でも違つておれば或いは記載の方法が幾らか変つているというような場合においては受付ける、こういうふうになつているわけですか。
  190. 土屋政三

    ○参事(土屋政三君) 大体さように心得ております。
  191. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 富山県議会議長から出ております陳情八百二十九号に括弧して二通と書いてありますが、これは内容が全く同じものかと思うのですが、同じものを二通受付けるというのは……違うのですな。
  192. 土屋政三

    ○参事(土屋政三君) ちよつと取調べてお答えいたします。
  193. 武井群嗣

    ○専門員(武井群嗣君) 富山県議会議長から出ました二通は、請願課において陳情文書表八百二十九号に一括処理しているのでありますが、内容は……。
  194. 土屋政三

    ○参事(土屋政三君) 八百二十九号の地方自治法中一部改正に関する件二通は、提出者が富山県議会議長になつておりますが、本件につきましては富山県議会議長のほか神奈川県議会議長から同様なものが出ておりまして、たまたま四月一日の同一の日に一緒に提出されて来ましたので、神奈川県のものと富山県のものを一括いたしまして、そうして件名は地方自治法中一部改正ということにいたしまして、一件で陳情書は二通であるということに処理したわけでございます。
  195. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 提出者は違うのですね。
  196. 土屋政三

    ○参事(土屋政三君) さようでございます。    〔委員長代理堀末治君退席、委員長着席〕
  197. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 只今御報告することがございますが、今中田君もすぐ来られますかちちよつとお待ち下さい。速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  198. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 速記を始めて下さい。  それでは先ほど政府側と交渉いたしました、会見いたしました内容を御報告いたします。実は私この席を立ちまして政府当局者と会うべく参りましたところ、丁度岡本委員と出会いまして、その際公職選挙法の修正案が衆議院でもこれを又三分の二で再議決されて、我々の修正案がつぶれるようなことも伺いましたので、会期延長の問題と併せて最初に佐藤郵政大臣とお会いいたしましたが、両方の問題が明確でなかつたので、それを確めるべく衆議院の議院運営委員長の石田博英君に会いましてその問題を尋ねましたところ、会期の問題は到底延ばし得ないという答えであり、公職選挙法の問題は今議運で呑むことにきめて来たという解答がありましたので以上御報告いたします。
  199. 原虎一

    原虎一君 御承知のように衆議院の議運の委員長は石田君ですけれども、私の先ほど申しましたのは新聞記者諸君の情報ですが、大野伴睦氏が議長になられることもほぼ確定的だ、そうして林衆議院議長がやめられて自由党の幹事長になられるのだ、そうする場合には時間が非常にかかるので、会期一日ぐらいの延長は必然的になつて来るのではないかという情報があつた。今委員長の御報告で行きますと、石田博英君のお話だと、そういう今言つたように議長の交替の問題等を併せお聞にならなかつたのでございますか。ただ会期の問題等はどうするのだという程度では、当然もうこれは三十日では参議院においては延長しないということを何回もきめた会期でありますから、石田運営委員長としては会期を延ばすようなことはないということを答弁するのはこれは政治家の常識ですから、この点はどうも委員長のお働きを多とするのでありますけれども、結論的な簡単な御報告では私の情報よりかあやしいというような感じがいたしますのでお聞きするのです。
  200. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) その通り、原君の御意見は御尤もだと思います。私も向うの言うことを一応信じてそう御報告するだけでございまするが、今幹事長の問題とかというような自由党の党内事情でございますから、それをはつきり尋ねるのもどうかと思いましたが、その結果一衆議院議長が更迭するというようなことは私も聞きましたが、そういうことがあり得ると思いまするけれども会期延長の問題等は刻々の情勢によつて違うことでもございまするが、現段階では議院運営委員長意見もさようなことでありましたけれども、それが果して今日中はそのままであるかどうかはやはり原君と同様に確言はできないと思います。現段階ではさような状態にあるという程度でございます。  それでは先ほど来請願を御審議つておりましたが、これを継続して……。
  201. 原虎一

    原虎一君 食事時間をお与え願いたいと思います。(「まだ早い」と呼ぶ者あり)
  202. 石村幸作

    ○石村幸作君 丁度中田さん、原君等が要求になつていた政府委員の人たちも大分見えておられますから、ここで一つ警察法を上程して審議されたらどうかと思います。(「賛成」と呼ぶ者あり)
  203. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) それでは警察法審議に入ることに御異議ございませんか。(「これをちよつとやつて飯にしてもらいたい」と呼ぶ者あり)請願はその上のほうの千九百三十五というところまで進んでおります。食事時間は大体見当をつけて御希望の時間になりましたら……それでは六時半になりましたら休憩して食事にいたします。
  204. 中田吉雄

    中田吉雄君 私はこういう順序で質問しようと思つているのです。先ず所管は木村法務総裁だと思いますが、木村法務総裁に一般的な質問をやつて、それとからんで合同何とかいうようなものを大橋さんが作る構想を話していられるので大橋さんにやるというように順次下に下りて行くような、緒論から説き起してずつと行くような構想を持つているのです。木村法務総裁おいでになつていますか。
  205. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) すぐ参ります。
  206. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 緒論から説き起して下に及ぼすというような何か如何にも長くなるようなお話ですが、私たちはそんなようには考えていないので、計画的に長くやるというようなことは考えていませんが、併し大体お言いになつたように、私も先ず全面的なことについて木村法務総裁にいろいろお尋ねしたいことがあるのです。それで大体中田さんのお考えになつていると同じような順序で質問したいと思つていますが、それに先立ちまして資料を御提出を願つておるのでありますし、只今火先ほど請求いたしました警視庁の行政機構の沿革についての資料を請求いたしましたところ直ちに手許に出してくれられまして、警察法一部改正案を一日も早く上げたいという政府の御誠意の現われだと思つて誠意は十分了といたすのでありますが、この資料国警本部のほうで御作成を願つたのでありますか、或いは田中警視総監がおいでになつているところを見ますと或いは警視庁のほうの手許で作られたのでありますか。いずれにいたしましても若し警視庁のほうでお作りを願つて国警を通じて我々の手許へ出して頂いたのでありましたならば、先ず第一にその警視庁の行政機構の沿革についての資料についての御説明を願いまして、なおその他の資料の御提出もされておるのでありますから順次先ず提出されました資料説明から審議を進めて行きたいと思いますが如何でしようか。
  207. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  208. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) それでは田中警視総監がおられますが、お聞き及びのような吉川君からのお尋ねがございますので、これはどこがお作りになつたものか、それをお答え願つてこの資料に基きまして沿革について御説明を……この警視庁の沿革は今国警長官からお話がありましたが国警でお作りになつたものであります。それでは国警のほうからこの資料に基いて沿革を御説明願います。それでは説明員国警本部の企画課長。
  209. 桐山隆彦

    説明員(桐山隆彦君) 警視庁の沿革につきまして只今説明をするようにというお話でございますが、特にここに書きました通り歴史的な事実をずつとそのまま書いておりますので、御覧を頂けば御了承を頂けることと存じます。初めからこの東京に首都が移されましてから、首都の特異性に鑑みまして一般の地方警察制度とは違つた制度を置いて参つておるのであります。当初の時代におきましては或いは護親兵の時代でありますが東京に……。
  210. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 読みますような形で言つて下さい。そんなに時間がありませんから。
  211. 桐山隆彦

    説明員(桐山隆彦君) そうですが。読みながら御説明申上げます。  警視庁は維新後首都の治安維持の総元締の大任に当るものであり、且つ廃藩置県前すでに藩主ともいうべき徳川氏が失脚していたので、通常の各地方府県とは警察取締の問だおいても制度の上においても異なつたものがございまして、従つてここに特に警視庁の成立発展の状況をかいつまんで書いた次第でございまするが、第一の時代は明治元年の四月から明治二年の十一月、この時代におきましては、各藩の兵士を交替で江戸に即ち東京に出しまして、これが交替に警護に当つた時代であります。その当時は尾州藩、紀州藩、薩藩、長藩というような十二の藩が順番に東京市中の警備に当つて東征大総督宮がこれを御指揮になつたという時代であります。  その次の時代は明治二年十一月から明治四年の十月に至ります時代でありまして、東京府兵時代と我々は呼んでいるのでありますが、明治二年十一月にこの東京府というものから申出がありまして、それを太政官のほうで受入れて府兵という制度を作つて今までと違つて恒久的な、輪番交替でない府兵というものが常任的に警備に当るということになつたわけでございます。面してその指揮は東京府がこれを司るという時代でございます。  次に明治四年十月から明治五年八月まででございますが、丁度これは廃藩置県のときに当りましたので、従来廃藩置県以前の武士の制度というものを中心にいたしまして警察が構成せられておりましたのが、武士階級というものがなくなつて参りましたので、ここに初めて邏卒という制度ができまして、これが今後警備に当る、かようになつているわけであります。  その次の時代は明治五年八月から明治七年一月に亘る時代でありまして、漸く西洋の文物を入れまして各省制度あたりが緒についた頃でありますが、当時は司法省におきましてこれを担当いたしているというようなことで警保寮というものを置きまして、ここが邏卒を統卒いたしまして、そうして東京府下の警察の仕事を扱つておつた。従来は御覧になりましてもわかるよう心府兵とか邏卒という如何にも軍隊的な言葉を使つておりますが、武士を中心として考えられておりました関係上、兵部省の支配が及んでおつたのでありますが、この時代に初めて司法省に入つた、かようなことでございます。  その次の時代は明治七年の一月から明治十年の一月にかけまして、当時欧州から向うの制度を見て帰つて参りました大警視川路利良の建議に基いて初めて警視庁という制度ができたわけであります。それでこの前に明治六年の十一月に内務省が設置されておりますので、司法省と内務省とがこのとき漸く仕事をはつきりと分けまして、警視庁の仕事は内務省に移された次第でございまして、この年に同じく邏卒という名前が初めて今同様に巡査という言葉に変えられた次第でございます。  その次は明治十年一月から明治十四年の十月までの時代でありまして、内務省警視庁と申した頃でございます。明治十年の鹿児島の事件というようなあたりからだんだんと治安の問題がむずかしくなつて参りました関係で、特に内務省に警視局というものを置きまして、東京の警視庁は廃止してこれと合併をする。そして警視局に大警視を置いて東京の警察を指揮いたしますと共に、大警視が全国を又指揮をするという形になつたものであります。  その次の時代は明治十四年十月以後の時代でありますが、今申上げましたように大警視が全国の警察と共に首都の警察も合せて指揮をしておつたという状況を改めまして、再び東京に警視庁を置くというような形になつて参りました。これが大体ずつと今日まで続いて参つている形でございます。  その間にいろいろと或いは職制上の細かい点は変つて来ておりまするけれども、大体この考えが今日まで及んで来ている。これは御案内と存じまするが、フランスの行政制度におきまして、パリの所在地でありますセーヌ県につきまして、セーヌ県知事を置くと共にセーヌ県警察知事を置いている。この形と非常に似た形になりまして、東京府知事に東京には別に警視総監を置いて、府知事をして警察行政を担当せしめないで、別に警視総監が警察業務に当るというような形で参つた次第でございます。その部の部制の問題等は余り細くなりまするので御覧頂くことといたしたいと存じます。  その後の改正といたしましては、御案内のように昭和二十三年三月七日に施行されました現行警察法制度によりまして新しい国家地方警察、自治体警察という建前に相成りまして、警視庁もこのときから特別区二十三の連合の警察となつて今日に及んでいる。さような次第でございます。
  212. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 以上をもちましてこの説明が終りましたが、御質疑がありましたらこの際お願いいたします。
  213. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 私はほかのかた御質問がなければ私も質問がないのですが、ほかのかた御質問がありましたら何ですが、御質問がなければ次の資料の御説明を願いたいと思うのであります。それは英米独仏等の諸外国の首都警察の組織についての資料が出ておりますので、それについての御説明をお願いいたします。
  214. 桐山隆彦

    説明員(桐山隆彦君) 先ず英米独仏等におきます首都の警察制度の概要について、私のほうでわかつております範囲だけを申上げたいと存じます。  先ずイギリスでございますが、これはロンドン市だけは全部国家警察になつております。いわゆるグレイト・ロンドンと称する地域を管轄しておるイギリスの警察制度は、県の警察及び市の警察から成つております。全部自治体警察の制度でありますが、ロンドンの警視庁だけは国家警察という形になつております。ロンドンの警視庁は、全国的な治安関係の捜査等についても権限を持つている。かような状況でございます。  アメリカの制度でございますが、これもワシントンの所在地でありまするコロンビア区の特別警察という形で、ほかがF・B・I・〇を除きましては州若しくは市町村自治体警察、こういうものに対しましてワシントンの警察だけは、直接大統領の下にある国家の警察という形をとつております。  フランスの制度でありますが、フランスは今日自治体警察、日本で今日ございます意味自治体警察というものは全然存在をいたしておりません。パリの警視庁は全国を管轄いたしておりまする国家保安警察と共に内務大臣の下にあつて、国家警察の一翼をなしておる形をとつております。  それからイタリーの警察でありますが、ローマの市におきましては、憲兵と国家警察と市の警察とがおのおの一緒になりまして治安の維持に当つている状況でございます。但しローマ市の警察、自治体警察としてのローマの警察は、権限が極めて極限せられておりまして、これは私の知つております範囲では道路交通の取締一それから衛生警察及び街頭における軽微なる現行犯の取締だけを行なつているという状況でございます。  それからドイツの警察のうち西独の関係でございますが、只今のボンが一応西独の首都ということになつておりますが、御案内のような事情で未だに仮の首都のような形をとつておるものでありますから、特別に首都警察として構想せられておるような警察にはなつておらん。ほかの都市の警察と同じく自治体警察の形をとつている。かように存じております。
  215. 中田吉雄

    中田吉雄君 こういうときでないと勉強できんのですが、あまり急がれずにもう少し詳しく一つ
  216. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 お急ぎにならんでも結構です。それからローマが抜けているから……。それからベルリンは今こんな状態になつておるが、戦前のこんなに分割統治されない前のベルリンのことなんかもわかつておれば、ちよつと簡単に、日本は非常に関連しておるし、分つておれば……。
  217. 桐山隆彦

    説明員(桐山隆彦君) 戦前のドイツ警察の制度につきましては調査いたしておりません。
  218. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 ローマの場合は……。
  219. 桐山隆彦

    説明員(桐山隆彦君) ローマにつきましては先ほど申上げた通りでございます。
  220. 中田吉雄

    中田吉雄君 ソビエトはどうですか。
  221. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 それは注文しなかつたのだけれども、言うてもらつてもいいですね。
  222. 桐山隆彦

    説明員(桐山隆彦君) ソビエトのほうにつきましては私のほうの調査が行届いておりませんので申上げることはできませんのを遺憾に存じます。  次は英米独仏における非常事態の問題でございまするが、御案内のようにこれは日本とかなり国情が違つておりまして、軍隊はちやんとしたものを持つておりまするし、その他制度も万般が違つております関係で、曾ての日本の非常事態、つまり戒厳令の下におけるようなものが多くとられているように私どもは了承いたしております。イギリスの制度につきまして、極く最近調べてみたのでありますが、十分の資料がまだ手許にございませんので、ここに提出いたしました程度の極く大雑把なものしかございません。非常事態につきましては、或いは内務大臣が権限を持つてつて行う場合がある。或いは総理大臣が非常事態を宣言して治安の維持に当る場合があり、或いは国王が自身で意思を表明せられてそれによつて非常事態に当る場合もあり、権限の範囲の問題につきましては非常にいろいろなイギリス特有の慣習や何かが一緒になつておりますので、細かい点になり過ぎると思いますので、ここでは申上げずに提出申上げました資料一つお読み頂きたいと存じます。  アメリカにおきましては御案内のマーシャル・ローというものがございまして、これによつて今日のところ非常事態的のものを賄うという建前になつております。これもいろいろと内容がございますのでむしろお読み頂いたほうが私が御説明申上げるよりおわかり頂けるのではないかと存じまするので、その点を申上げておきたいと存じます。
  223. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 読む時間がないから、あなたが説明して下さい。
  224. 桐山隆彦

    説明員(桐山隆彦君) フランスの制度につきましては、先ほど申上げましたようにフランスは全部国家警察の国でございまするが、いざ非常事態のようなことがございました場合には、内務省の管轄の下にもそのための共和国保安隊というものがございますし、国防省の所轄の下にございます憲兵隊或いは共和国警備隊というようなものがございまするので、軍と警察とが共同して非常事態の治安に当るという建前をとつておるようでございます。  ドイツの制度につきましては西ドイツにつきましての僅かな資料しかございませんので、これだけしか提出できなかつた次第でございまするが、ここに示しました通り、或いは連邦の国境警備隊でありまするとか、或いは州の警察予備隊でありまするとかいうようなものが西独九州の非常事態に当る形になつております。  イタリーにつきましては、イタリーの警察制度はかなり複雑でございまして、或いは都市警察もございます。或いは国家警察もございます。それに憲兵、国境警察隊、財政警察隊、鉄道警察墜といろいろなものがございますが、こういつたものが共同して当るというような形になつているように聞いております。特にローマには国家警察の中に機動隊的なものがございまして、かなり重装備を持つた警察隊が存在いたしておるのでありますが、これが中心になつて特に治安上非常事態に当るような場合には、その暴動鎮圧に当るということを聞いております。以上でございます。
  225. 中田吉雄

    中田吉雄君 あとでも御質問いたしますが、今回政府の意図されております改正法がだんだんと行き着くところは、やはり首都警察といいますか、そういうものに警視庁が発展する可能性を含んでいると睨んでいるわけですが、そういう関係で非常に能率が高いこと、その他で世界的に優れていると称せられる首都警視庁と申しますか、ロンドンの一つその制度を御説明願いたいと思うわけであります。
  226. 桐山隆彦

    説明員(桐山隆彦君) 御案内のように、イギリスにおきましては国民性と申しまするか、兇悪な犯罪も非常に少うございますし、国民性が冷静な関係もございまするのが、いわゆる騒擾めいたことも殆んどないというような関係で、イギリスの警察はふだんにおきましては全然武装せずに何らの火器を持たずに当つているような状態でありまするので、まだイギリスにおいては実際問題として日本に見られましたような大きな暴動的なものばないように私ども承知をいたしております。現実にそういつたものが起りました場合どういうような形になりまするか、この点につきましては或いは軍隊等の出動を見るのではないかと考えておりまするが、それ以上のことは承知いたしておりません。
  227. 中田吉雄

    中田吉雄君 それ以上のロンドンの警察についてはあなた御承知ないのですか。
  228. 桐山隆彦

    説明員(桐山隆彦君) ロンドンの警視庁の機構等につきましては、先ほど申上げました通りでございます。
  229. 中田吉雄

    中田吉雄君 これはやはり我が国の東京都の警察機構をどうするかということにからんで、法務総裁以下に質問いたすことと関連してやはり伺つておきたいのですが、ロンドンの警視庁の管轄区域はどうなつておりますか。
  230. 桐山隆彦

    説明員(桐山隆彦君) この点につきまして存じておりますことだけを申上げておきます。丁度東京都の場合と同じように、いわゆる二十三区に当るような市街地がございまするが、それとその周辺の三多摩地区に当るような田園地帯、これを全部一緒にいたしましてグレイト・ロンドン地域ということを申しております。ここには内務大臣の指揮下にあるロンドン警視総監があつて治安の維持に当つておる。大体人数におきましては二万二千名程度であつたと記憶いたしております。
  231. 中田吉雄

    中田吉雄君 大体どういう、この職務権限といいますかを持つておりますか。
  232. 桐山隆彦

    説明員(桐山隆彦君) 通常警察が持つております権限で、別に他国と違つたところはございません。
  233. 中田吉雄

    中田吉雄君 警視総監というのですか、その任免の形式ですね、それはどうなつておりますか。
  234. 桐山隆彦

    説明員(桐山隆彦君) 国王の任命でございます。
  235. 中田吉雄

    中田吉雄君 国王の任命の前にいろいろな手順があると思うのですが、その形式はどうなつておりますか。
  236. 桐山隆彦

    説明員(桐山隆彦君) 紬かい任命の形式等については存じておりません。
  237. 中田吉雄

    中田吉雄君 これはやはり国王が任命されるということだけでは、非常に我々としては総理大臣に任免権を持たせるような一つ意味を持つて、非常にこれは重大なことだと思うのです。この点を一つもう少しはつきりして頂きたい。
  238. 桐山隆彦

    説明員(桐山隆彦君) ロンドンの警視総監は先ほど申しましたように国家の官吏でございますから、皇帝によつて任ぜられるわけでございますが、内務大臣の奏請によつて任命せられるという制度になつておるように存じております。
  239. 中田吉雄

    中田吉雄君 ちよつと私がおぼろげながらに解しているのと非常に違うのですが、間違いありませんか。
  240. 桐山隆彦

    説明員(桐山隆彦君) 私ども承知しているところではさようになつておると思います。
  241. 中田吉雄

    中田吉雄君 これはやはり私は総理大臣が任免権を持たれようとする方向へのこのたびの改正にからんでなんですが、私聞いておるのでは、市会が選任して、それを王が裁可されるような形式に聞いておるのですが、そういうことと違いますか。市会が持つておるように聞いておりますが、そういうことはありませんか。
  242. 桐山隆彦

    説明員(桐山隆彦君) 先ほど御説明申上げた通りでございます。
  243. 中田吉雄

    中田吉雄君 間違いありませんか。一つ福永さんは専門員ですから、この点一つはつきり夕食後でも又改めて質問しますからお伺いいたします。  それからこのたび国が東京の警視庁の経費を幾らですか持つということとからんで、ロンドンの警察は市警察であるが自治体と国とがどういうふうな負担関係になつていますか、そういうことも一つのサゼツションになると思いますが、お伺いいたします。
  244. 桐山隆彦

    説明員(桐山隆彦君) 財政上の点で細かいことは存じませんが、国家の警察でありまする関係上すべて私は国家が負担しておるのではないかと考えております。
  245. 中田吉雄

    中田吉雄君 その点私の理解とは少し違うように思うので、これもやはりそこの自治体と国とがどういう割合で持つかという判断に非常な重要な参考になると思うのです。私はやはり必ずしもそうではないんじやないか、やはり東京都だけに十億国持つというようなこととからんで、やはり世界で模範的な警察と称せられるロンドンが歩んで来たいろんな任命の形式、或いは費用の負担区分というようなものは、やはり我々が今後経費の問題を只今出されておるのを審議するのに参考になると思いますから、只今とは申しませんが一つ休憩後でも結構ですから調べて頂きたいと思うわけであります。大体全額が国庫負担ですか。
  246. 桐山隆彦

    説明員(桐山隆彦君) 先ほど申上げましたように、財政的の点につきましてまだ戦後十分の資料等が手に入りません関係上十分の研究はできておりませんが、只今中田委員からその点は違うであろうということを仰せになりましたので、今後の参考にもいたしたいと存じまするので、むしろ御教示を仰げれば幸いであると存じます。
  247. 中田吉雄

    中田吉雄君 一つこの点はやはり千億ですか政府が持たれるということに関連して、それと国が自治体警察に及ぼす指揮監督といいますか、そういう関係から私はやつぱり重要な問題だと思います。私は若干ロンドン市が負担しておるように聞き及んでおるわけであります。その点では私も確たる証拠を持ちませんので、一つ御調査願いたいと思います。  次にこのロンドンの市警察に対する中央官庁まあ政府の容喙する関係は、どうなつておるのでしようか。その点をお伺いいたします。これも非常に私重要な問題だと思いますので。
  248. 桐山隆彦

    説明員(桐山隆彦君) 御案内のようにロンドンの警視庁の管内に極く象徴的な小さな区域でございますがシテイ・オブ・ロンドンという区域がございまして、ここには数にいたしましても数百を出ない警察吏員からなる自治体警察がございまするので、この点の経費の負担は恐らくその自治体の負担ではないかと存じておりまするが、国家警察としてのスコットランドヤードの経費の負担はすべて国庫負担であると、私どもは従来得ました資料ではさように承知をいたしております。
  249. 中田吉雄

    中田吉雄君 ちよつともう一ぺんその点恐縮ですがお願いします。
  250. 桐山隆彦

    説明員(桐山隆彦君) ロンドンの中に丁度東京で申しますると日本橋区に当るような地域でございますがシテイ・オブ・ロンドンという地域がございます。この地域だけは伝統と申しまするか昔がらの慣習によりましてロンドンの警視庁の管下に入らず、特別にシテイ・オブ・ロンドンの警察を持つており、この警察は国家警察でなく自治体警察である、むしろ象徴的な恰好の警察でございまするので極く小さな警察でございますが、ここでは自治体警察でありますので、恐らくは費用の負担にしましても、自治体の経費負担になつておるのではないかと存じます。
  251. 中田吉雄

    中田吉雄君 私も休憩のときに国会の立法考査を通じて調べてみようと思つておるのですが、私は大体半分ぐらい、国と自治体との大体半々ぐらいじやないかと、こう記憶しておるのですが、その点は別にやはり総理大臣が今度公安委員に対する指揮権の問題で問題になると思うのですが、ロンドン市警察への中央官庁のこの指揮容喙といいますか、そういうものの大まかな変遷、その点がわかりましたら一つ
  252. 桐山隆彦

    説明員(桐山隆彦君) 特にロンドンの警視庁に関します変遷につきましては、今日資料を十分に用意いたしておりませんので、御要求がございましたら後ほど更に詳しく取調べて、できるだけの資料を提出いたしたいと思います。
  253. 中田吉雄

    中田吉雄君 私は片山内閣のときに、総司令部のサゼツシヨンで、警察制度が日本に移植されて、その際にこういう関係を聞いておるわけであります。それはイギリスの警察制度がアメリカに行き、アメリカの警察制度が日に移植されたのだが、実はアメリカにイギリスの警察制度が移つた際には改悪されたので、イギリスの制度が日本に直輸入されたらもつと日本の実際に適したのじやないか。こういうような専門家の話も聞いたので、一つ総理大臣がどの程度の指揮監督といいますか、そういう権限を持つても、なお自治体警察の本質と矛盾しないかということで、私はやつぱりロンドンの市警察に対する中央官庁の指揮監督の、この大まかなアウトラインのような大観的な変遷を見ることは、我々の判断に必らずしも無駄ではないというふうに考えるからお伺いする次旬でありますが、わかりませんか、その点は。
  254. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 ちよつとそれに関連してお伺いいたしたいのですが、質問者とお答えになるかたとの間に多少食違いを来しております。というのは、ともかく外団の一行政組織のことでありますから我々初めみんなはつきりしないわけであります。ただロンドンと申しましても、私の乏しい知識からいたしますと、今答えた国警の人の話のように、シテイ・オブ・ロンドンという、一つの象徴化されておるイギリス内の一独立個であると言われておりますシテイ・オブ・ロンドンの、夜間の人口は一万に足らんような独立国的な自治警を持つておりまするシテイ・オブ・ロンドンと、それかれそれを取巻く二十八のメトロポリタン・ボローズというものが、それぞれ一つ一つの市のようなものでありますから、それをひつくるめてカウンテイー・オブ・ロンドン、ロンドン行政県と言われており、それから警察の行政区域はメトロポリタン・ボローズ・エイリアというのであると思いますが、更にそれより広い、これに書いてありますようないろんな広大な地域になつておると、私はまあ寡聞でありますが記憶いたしておるのでありますが、そういうロンドンの地方行政機構というようなものを、国警のほうからお答えにならないと、どうもちよつと質問者と答えられるかたとの間の意見の食違いを来しておるのであつて、答えられる国警のかたがそれに対して非常に不親切であるような感じがしますので、ほかのかたのもつと親切な答えのできるような長官その他からお答えになつては如何かと思われます。
  255. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) 只今のロンドン及びその周辺の地方行政の制度は古川委員から御説明になりました通りだと私は承知いたしております。
  256. 中田吉雄

    中田吉雄君 私がこういうことをいろいろ詮索的に聞くことをあたかも議事遷延のようにとられるかも知れませんが、私はこのたびの改正の中心の一つはやはり東京の警視庁の改革にからむ極めて重大な改革でありますので、どうしてもそういう際にはやはりややそれに匹敵するような大きな組織を持つロンドンの機構に鑑みながら批判することが非常に私は必要だと思つて、中央官庁の指揮監督の問題、経費の分担、任命の形式というようなものを聞いているのは決してこの議事を遷延するためではないわけでありまして、私も実はロンドンの地方行政の区域の組織については余り知らんので、実際そういう点で只今国警のかたの説明で、吉川さんの言われておるようにぴちつとしない点があると思うのです。その点を一つもう少し懇切丁寧に、啓蒙的に斎藤長官に……。
  257. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) 只今吉川委員がお述べになりましたような組織になつておりまして、私も余り詳しいことは存じませんが、ロンドンのいわゆるスコットランド・ヤードと言われておりまするものは小さなロンドン・シテイのほかに周囲の市及び郡部も含めた広い区域をスコットランド・ヤードの区域として、その区域の警視総監は内務大臣の奏請によつて王が任命をした官吏である。そうしてこれは国の計画としてやつておる、かように御了解を願いたい。
  258. 中田吉雄

    中田吉雄君 これもはつきりしないので、一つ吉川議員ちよつと恐縮ですが、さつきの非常に参考になると思います。全体の三つくらいですか、もう一ぺん代つて一つ
  259. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 私が答える限りではないのですが、質問者に対する答弁者が非常に不親切であるという印象を受けるのでありますが、中田さんが特に一番問題にしていらつしやる点は、そのロンドンの首都警察区域、メトロポリタン・ポリス・工ーリヤという名だと思いますが、そのロンドンのいわば警視庁の警察費というものをばどういうようにして支弁しているか。即ち国か全額を負担しているのであるか、或いはその区域に包括されるところのシテイ・オブ・ロンドン、メトロポリタン・ボローズその他の自治体が或る部分、或いはその全額を負担しているのじやないかというような点を知りたいとお思いになつているのだろうと思います。私はその警察費の財政的な負担の割合その他そういうことにつきましては、よく只今すぐ。答えするほどの知識を持つておりませんが、併しこれはそういうことを書いた本くらいは数種私も直ちに名を挙げることができますが、それは同時に国警本部の諸君がよく御存じだろうと思いますが、併しお尋ねになつておりまする目的が警察費の支弁方法ということでありますならば、これはやはり同法案に関連いたします重要な御質問だと思いますので、少くともそんなことはすぐわかるはずでありますから、例えて申しますれば小川市太郎君が書きました本とか或いはそのほかに英語の本でもたくさんありますから、直ちにこれはもう十分、二十分で間に合うことでありますから御用意を願いまして、後刻我々にも聞かして頂きたいと思いますし、又質問者にも聞かして頂くようにこれは調べて頂ければいいのじやないかと思います。
  260. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) それでは只今吉川委員の御提案通り至急お調べを願いまして後刻御答弁を願います。
  261. 若木勝藏

    若木勝藏君 英国における非常事態の宣言についてちよつと伺いたいと思いますが、これにはいわゆる内閣総理大臣によつて宣言される場合と国王によつて宣言される場合と二つあるのですが、これはどういうふうな理由があつてこの二つの場合が行われるか。
  262. 桐山隆彦

    説明員(桐山隆彦君) 実は非常事態の問題につきましては、今まで全然私どものほうに資料がございませんでしたところ、昨日御要求がございましたので急遽取調べまして漸くこれだけのことがわかりましたような次第でございまして、不行届の点は誠に申訳なく存じまするが、如何なる場合に国王によつて非常事態が宣言せられ、如何なる場合に内閣総理大臣によつて宣言せられるかというようなことは、その資料によつても十分窺い得ませんような状況でございます。御了承を頂きたいと存じます。
  263. 中田吉雄

    中田吉雄君 やはり私は今度のような警察制度の基本に触れるような、やはりマツカーサー元帥のサゼスションによつてできた警察制度の根本にメスを入れるような際には、我々はやはり非常事態の関係、政府自治体警察との関係、経費の負担区分というようなことにはやはりイギリスやその他の主要な参考になるようなところの制度との比較研究くらいはやつて頂かずに、ちよちよこと考えて、不用意は申しませんが出されることは私はこの国警のためにとらないところでありまして、一つそういう点はもう少しはつきりして頂きたいと思うわけであります。
  264. 若木勝藏

    若木勝藏君 今の御答弁ではその点がどうもこの資料程度しかわからんというお話でありましたが、当然これは宣言した以上は執行というようなことも伴つて来るだろうと思うのであります。それで総理大臣が宣言した場合と国王が宣言した場合とにおいて、その執行の様式なりそういうようなものがどういうふうに違うか、或いは同じであるか、その程度もおわかりになりませんか。
  265. 桐山隆彦

    説明員(桐山隆彦君) 誠に申訳ない次第でございますが、今まで殆んどこういつた資料が手に入つておりませんで、漸くに入りました資料によつて調べた範囲ではこの程度のことしかわかつておりません。
  266. 若木勝藏

    若木勝藏君 それでは非常事態が宣言によつて認められることになるのでありまするが、非常事態の一歩手前というふうな、どうも非常事態に入りそうだ、そういうふうな場合にはどういうふうにしてこれが治安が保たれるようになつておるか、この点を伺いたい。
  267. 桐山隆彦

    説明員(桐山隆彦君) イギリスにおきましては私の承知いたしておりまする範囲ではロンドンの警視庁を除きましては、州の警察も或いは市の警察もいずれも勿論自治体警察でございまするが、これは内務省に監察官が置かれております。一面におきまして補助金を出しておるやに聞いておりまするが、又警察官がいろいろと勧告指示のようなものを与えることによつて常時警察の足並をそろえさせて、不幸な事態の起らないように持つてつておるというようなことを聞き及んでおります。
  268. 中田吉雄

    中田吉雄君 ちよつと御調査の関係もあるようですしここで夕食にして頂いたらどうでしよう。もうそう延す気はありません。精根尽きておりますから。
  269. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) それでは只今から休憩に入りまして七時に再開いたします。    午後六時十一分休憩    ―――――・―――――    午後七時四十四分開会
  270. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) それではこれより委員会を再開いたします。  最初にお諮りいたしますが、本会の理事岩沢忠恭君より、都合により辞任を申出られましたので、その補欠をきめたいと思いますが、成規の手続を省略いたしまして、指名を委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  271. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) それでは指名申上げます。岩沢理事の補欠として、堀末治君を理事に指名いたします。   ―――――――――――――
  272. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) それでは先ほどの、答弁を留保しておられましたのを国警側からお願いいたします。
  273. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) 先ほどロンドン警視庁の費用の負担の点を調べるようにということでございましたが、私のほうの手許の資料でわかりました点は、ロンドン警視庁の費用の約半額は国費でありますが、約半額はその管轄区域内の自治体に分賦をして地方費がら賄うというようになつておるようであります。それ以上の詳しい点につきましては、只今資料を持合せておりませんので、残念でございまするが、以上を以つて御答弁といたします。
  274. 中田吉雄

    中田吉雄君 このたびの警察法の一部改正法案は極めて簡単な数点にまたがるものでありまして、休憩前私が質問いたしました点は、やはり東京の警視総監の任免の形式についての根本に触れることとの比較研究で、非常に私は重要だと思つているのですが、桐山課長さんですか、更にどうもはつきりしないので、この任免の形式について私は休憩中に吉川さんからはつきりいろいろ聞いたのですが、シティ・オヴ・ロンドン、カウンテイー・オヴ・ロンドン、グレーダー・ロンドン地区、メトロポリタン・ポリス・エリアですが、この三つのやはり関係があるのですが、この任免の形式というものはどうなつていますか。一つこれはやはり東京都の警視総監をどうするかということの、私は参考になる非常に重要な点だと思いますので……。
  275. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) このメトロポリタン・ポリス・オヴ・ロンドンの警視庁の総監の任命は、先ほどお答えいたしましたように、内務大臣の推薦によつて勅任せられておるというように、我々の資料では相成つております。
  276. 中田吉雄

    中田吉雄君 どうもその関係ですね、シティ・オヴ・ロンドン、カウンテイー・オヴ・ロンドン、それからメトロポリタン・ポリスのほうの関係と、これは皆そういうふうになつているのですか。その関係ですね。
  277. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) シティー・オヴ・ロンドンは先ほど吉川さんからもお話がありましたように、非常に小さな、いわゆる何と言いますか、ロンドンの昔の象徴的なものとしての自治体になつておりまして、これは完全な自治体警察だと思います。従いましてこれの警察長の任免は、これはイギリスの国家とは何ら関係がない。でそれ以外の地域ですね、只今おつしやいましたカゥンテイ・オヴ・ロンドンとか、それからいろいろなボロー、これらを含みました広い地域の管轄をする警視庁、これをスコットランド・ヤードと言つておりまして、普通ロンドン警視庁というものはこの大きな区域を管轄しているのをいうのでありますが、これの警視総監の任免は、先ほど申しましたように内務大臣の推薦で勅任せられるということに相成つているのであります。そのほかにロンドン・カウンテイとか、そういうところは警察を持つておりません。
  278. 中田吉雄

    中田吉雄君 その任期とか、任命とこの内閣の更迭、政治的な背景との関係はどうなつていますか、政治的な中立性といいますか、内閣が変るたんびに変るというようなことになつていますか、そういう任期とか内閣の更迭と任命の関係というようなものはどうなつていますか。
  279. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) これには任期がないと承知をいたしております。そして又政府の更迭とも実際上は関係がないようであります。
  280. 中田吉雄

    中田吉雄君 この首都ロンドンの市警察と中央官庁の指揮監督はどうなつていますか。それと補助金とどういう関係になつているか。それは今回東京の警視庁に十億出されるということの判断に一つしたいと思うのですが、そういう関係はどうなつていますか。
  281. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) 先ほど申しておりまするいわゆるスコットランド・ヤードという、これは先ほど申しまするように、国で任命された警視総監がやつております一種の国の警察であります。費用は約半額くらいはその区域内の自治体に分賦をしているわけでありまして、半額は国費ということになつております。先ほど申されましたシティー・オブ・ロンドン、日本橋区ぐらいに相当する警察はこれはまあ昔の飾りのような意味であるわけでありまするから、そこには通常の警察があるわけでありますけれども、併し大きな事故等につきましては、このスコットランド・ヤードが行つてこれを処理をするということになつているのであります。
  282. 若木勝藏

    若木勝藏君 先ほど伺つた英国における非常事態のことになるのでありまするが、これはまあ警察法の今度の一部改正に関連を持つものでありますが、先ほどの御答弁では非常事態の場合でなしに、非常事態のような様相を呈するというような場合に、処理する方法として答弁があつたのでありますが、その際に内務大臣がこれに対して勧告をすると、こういうふうな御答弁があつたようであります。これはよほど今度示されたところの警察法と、こちらの警察法と違うようでありますが、その際にはあちらで総理大臣の指示とか、或いは内務大臣の指示とか、そういうふうなはつきりしたものがあるのでしようか、その点をお伺いいたします。
  283. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) 先ほど説明員から説明をいたしましたように、英国の警察はスコットランド・ヤードを除きましては自治体警察にはなつておりまするけれども、併し補助金とか、ふだんの監督とか、いろんな点から常時監督の規定があるわけでありますので、従つていわゆる日本の戒厳令に相当するというような場合以外には、特に自治警察を統制をするとか、指示をするとかいう必要がないだろうと思つているのであります。アメリカにおきましてもさようでありまして、ふだんの警察の組織が日本の組織と違いますので、従つて非常事態に準ずる場合に内務大臣なり或いは総理大臣の指示というものは必要がないのであると、かように解釈をしております。
  284. 若木勝藏

    若木勝藏君 先ほどの御答弁では十分研究しておらないからというふうなことでありましたが、国王と総理大臣の非常事態の宣言について、長官がどういうふうに研究されているか伺いたい。
  285. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) あの国王のやる場合とそれからそうでない場合、これは私にもまだよくわかりません。十分研究しまして、適当な機会に申上げたいと思います。
  286. 中田吉雄

    中田吉雄君 この審議に入りまするまでに、極めて重要だと思いますが、六月八日付の神戸新聞の記事であるわけであります。これによりますと、斎藤長官はこの警察法を通して辞任すると、自分がやめることによつて自治体警察を国家警察に吸収するところの一つのチャンスを作ると、こういう重大な記事が出ているわけでありまして、我々としては政府が国家警察と自治体警察との二本建にして行くと、こういうことを主張されていながら、こういう小出しの改革によつて実際この自治体警察をなくする一つの大きなチャンスになるのではないかというふうに考えるわけでありますが、そこで国警長官にお伺いいたしますが、六月八日の神戸新聞の国警長官辞任の噂ということになつていまして、それによりますと警察一元化の見地から警視庁をはじめ自治体警察国警吸収を強調し、このためには先ず自分がやめることが  一つのきつかけになる、こういうような観点から、このたびの警察法が意図されているという重大な記事があるわけであります。私はこの国会、前の国会、その前というふうに毎国会ごとに出される警察法改正といテものを通覧いたしますると、やはりこの記事も単に巷間の浮説だけとはとれない大きな意図を持つた全体の一環であるというふうにとられるわけでありますが、斎藤長官、そういうことはありますか。一つこの点をはつきり、私はそういうふうにやめるような人が、長くやる気のないような人が、こういう重要法案を通して、無責任な立場をとられるということはこの審議に対して重大な関係があると思うので、はつきりして頂きたい。
  287. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) 私は只今お読みになりました新聞記事は、一体どこから出たのか全く了解に苦しむのであります。私はさような考えは毛頭持つておりません。又私がやめたところで、自警と国警が一本になるとは毛頭考えておりません。
  288. 中田吉雄

    中田吉雄君 併しこれは何も私の投書して書かした記事でもないんですし、たまたま郷里に帰り、大阪の駅で買つた新聞に書いてあつて、非常に重要な政府の意図がはつきりしているわけであります。私はやはり自治体警察と国家警察とが二本建になつていることによつて、いろいろ犯罪捜査、治安維持上障害があるから、そういう二本建の基本原則を守りながら、それを調整するという立場なら一応考慮に値いするわけでありますが、そういう考えを持ちながらやはりやられるというのでは、これは非常に、そういう今やめてしまうような人に質問して見ても、どうもこれは困つたことだと思うのです。この点をやはりはつきりしてもらいたいと思うのです。私は単に想像や何かで言つているのではなく、全部そういう関係記事を切抜いていまして持つているわけなのであります。例えば昭和二十七年の、今年の七月十八日の毎日新聞、東京新聞等におきましてもやはり戦前のごとき警察一本化が理想である、現在の国警部内においてはこの強い要望があるが、一面警察の民主化、中立性保持の建前から旧制度復活に強い反対があるので、こういう漸進的な改革でやはり持つて行きたいということがはつきりこの記事に出ているわけなのであります。こういうなし崩しの……、警察制度の根本的な全貌を示されてのならば我々も四つに取組んでやるのですが、こういうこつこつとやつて、知らず知らずの間に、国会を二、三回やつていると警察制度が根本的に変つてしまつたということでは非常に問題があるわけですが、これは一体戦前の警察一本化を理想とされて、現在警察部内にはそういう強い要望があるということになつているのですか、そういう要望がありますか。下の者を監督される立場からどうですか、その点は。
  289. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) 私は前の警察制度改正、昨年の臨時国会審議されました改正案の際にも、又その他にも申しているのでありますが、現在の警察法建前自治体警察と国家地方警察が互いに存立を認めながら連絡を保つてつて行くということは、少しでもよくやれるようにということを主眼として参つているのでありまして只今一本化がいいという考えは持つておりません。私の部下の中にそういうものがあるといたしましても、それはあるという噂のようでありまするが、我々の意図に反した考え方を持つているものはないと考えております。
  290. 中田吉雄

    中田吉雄君 どうも我々から見ると、なかなか巧妙なこれは小出しにやつて、全貌を示してやるとすぐ問題になるものですから、匍匐前進のような形でやつて行かれる、巧妙な智能犯なんかよく捜査されているから、そういうことに倣われたとは申しませんが、非常によく似ているわけで、私はこれは非常に問題だと思うわけであります。一身上のことで恐縮ですが、やはり私はこの法案と四つに組んでいろいろとこれから質問いたします際に重要なんで、本格的な審議に入ります前に、それでは神戸新聞の六月八日の旧の警察制度に一元化する見地から警視庁をはじめ自治体警察国警に吸取を強調するために自分がやめて犠牲になつて大きく前進するというようなこと、更に毎日新聞の七月十八日号は、国警に一本化することが理想であるが、それがなかなか世論の反撃でできないから逐次やるというようなことは全くありませんか。その点を一つはつきりして頂いて、それからいろいろ御質問したいと思うのです。
  291. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) この神戸新聞の掲載の点は、これは私に関することでありますから、私ははつきり責任を持つてさようなこと絶対にないということを申上げたいと思います。何らか中傷のためにやる場合は格別として、少くとも私自身から見まするならは誠に心外な記事だと考えております。又警察を一本化したほうかよろしいというような我々は考えを持つて今日この法案を提案いたしたり又考えているわけではないことをはつきり申上げておきます。
  292. 中田吉雄

    中田吉雄君 木村法務総裁にお伺いいたしますが、弊祭担任の主管大臣は吉田内閣において一体どなたですか、その点を一つはつきり承わりたい。
  293. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 私であります。
  294. 中田吉雄

    中田吉雄君 木村法務総裁が吉田内閣における警察の主管大臣であるということを確認したわけであります。ところが七月十八日の同じ毎日新聞におきましては、大橋国務大臣が合同警備本部というものを設置する。そうして出汁体警察と国家警察がいろいろ重大な治安上の問題が起きた際にどういうふうにするかというようなことをこういう合同警備本部を設けてやるということをたくさんの新聞は書いて、私数種の新聞を切抜いておるわけですか、これは一体木村法務総裁が主管大臣であられることとの関係はどうなんですか。
  295. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) さようなことはありません。大橋君が言つたかは知りませんが、私はさようなことは存じておりません。
  296. 中田吉雄

    中田吉雄君 ないといわれるのでしたならば、この毎日、朝日東京日々その他にみんな大橋法務総裁の写真入りで出ているのですが、警察担任でしたらば犯罪捜査その他のことはうまいわけですが、一体これは非常に問題で、記者団会見で大橋さんが発表しておられるのです。一体我々が警察法の一部改正法案審議している過料に、次々に国家警察と地方警察の改正になるような基本的な問題を投げかけられて来られるというようなことでは、我々といたしましては警察法改正とどうとつくんでいいか、全く去就に迷うわけであります。まあ鳩山さんに言わせると命旦夕に迫つたという吉田内閣のことですから、閣内の不統一はあり得るということは考えられるのですが、はつきりこれをやつてもらいたいと、そういう意味において一つ私は委員長にお願いしておつたのですから、大橋国務大臣一つ出席してもらつて大橋国務大臣は十七日にこの問題を警察予備隊の首脳部会議に諮つて、そうして自治体警察と国家警察が非常事態に際してどうするかということを諮つて、合同警備本部という現行警察法の基本に触れる問題を決定されているわけであります。そういうことでありましては、我々としてはこの御提出になつていますところの警察法の一部改正法案をどうここで判断をしていいかわからない、少くともこういうことでは困るわけでありまして、一つ早急に議事進行の立場からもお願いしたいと思うのですが、それではもう一遍木村法務総裁にお尋ねいたしますが、これは全然木村法務総裁のほうとは御関係なかつたわけですか。その点をお伺いします。
  297. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) さような話は出たことは事実であります。併し私は責任大臣として只今さようなことの計画を持つておりません。私を信じて下さい。この法案において、審議を進める過程においてはさような問題は私は責任を持つて今出ていないということを申上げておきます。
  298. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 中田君に申上げますが、大橋国務大臣先ほどから出席を督促しておりますが、今衆議院委員会に出ているので、もう少しお待ち下さい。
  299. 中田吉雄

    中田吉雄君 木村法務総裁のお言葉を信ずるわけですが、少くとも責任内閣の下でこういう重要法案が参議院に出ています際に、これは私は考え方によつて大橋国務大臣が実際この国家警察と自治体警察を巧妙な方法で合同警備本部という形を通じて握られる一つの配慮とでもまあとれんことはないわけですが、非常にこういうことでは実際我々はどこかで毎回もう次々にこの法案改正を出されて、実際枚挙にいとまがないというようなことで困りますので、一つ今後こういうことのないようにしてもらいたい。尤も大橋国務大臣も近くおやめになる……今日の読売新聞では大橋さんはやめて緒方さんがなるということに内定したというような記事も出ていますので、まあ去る人を追及してもしようがないと思うのですが、実際参議院なり、衆議院なりを侮辱する私は態度だと思う。こういうことがあるのでしたら、やつぱりはつきりそういう吉田内閣としての最終決定をされて、もう今後半年や一年くらいの先を見通しての改正案を出して、議会が混乱しないようにして頂きたいと思うわけであります。その点を一つ希望しておきます。
  300. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 この法案警察制度の全般との関連性から切り離して考えることのできないものだと考えております。ただ単にこの法案に盛られておる内容だけで以て政治家としての立場からは解すべからざるものであるというように考えておるわけでありますが、今も中田さんの御質問の中にも多少そういうような言葉が出たと思うのでありますが、斎藤国警長官は国警一本化というような地方新聞の記事については自分責任を持たんということでありまして、全く私は斎藤長官の平素の人格を信頼いたしておりまするから、その御証言はその通りだと信じておるのでありますが、併しそれはひとり斎藤長官の諮り伝えられたところの意見というようなことだけでなしに、国警一本化、現在の警察制度はいけない、昔の警察制度のほうがよかつたのだから昔に帰るべきであるという警察制度に対する見解は、相当広く広まつておると私は推断いたすのであります。それがいい、悪いということは私は今申上げたくはないのでありますが、確かに現存している有力なる一つの見解であるということはこれは疑うべからざる事実であると思うのであります。で又その論拠とせられておるところも頷くべき点が全然ないということも私は言いかねるかと思われるのであります。確かに戦前の日本の警察制度というものはその能率の点から申しまするというと或る人はこれは世界第一であるとまで言つておつたのでありますが、半面においていろいろな弊害もありましたが、泥棒をつかまえるとか、犯人を捜索するとかいうようなたちのことからいたしまするというと、これは確かに優秀なる能率を発揮し得る力を持つていた警察であつたと思われるのであります。それで木村法務総裁にお尋ねいたしたいことは、警察の能率を発揮するという点からいたしまして、現行警察法規定いたしておるような能率主義の見地からすれば、非能率の原因となるようないろいろな制度を復元してしまつて、そうしてほめ称えている人が世界に冠絶しておるとまで一部に言われておりました昔の警察制度をば、再びここに出現させるというところの御意思はお持ちにならないかどうかということを一つお伺いいたしたいと思います。
  301. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) お答えいたします。只今吉川委員の御質問に対しましてはそういう趣旨の質問は前からしばしばありました。その際に私はそれに対しまして、警察力の集中というものはできるだけ避くべきものである、従いまして今の国警と自警とを一本にするというようなことは考えていない、できるだけこの二本建で行つて調整連絡をうまくとつて、そうして警察力の行使を果させたい、こういうことを言つておつたと申しておる次第であります。国警、自警を一本にするというような構想は只今つておりません。
  302. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 そういう御答弁が或いはあるのじやないかと人体予測いたしておつたのでありますが、これと同じようなことをもう一度繰返してお尋ねするようでありますが、これはこの委員会が去年警察制度改正審議いたしました時に参りました或る警察の特定の専門家の人の公聴会における証言の一節として私は記憶いたしておりますが、アメリカから来たところの現在の警察制度を……時の片山内閣総理大臣に対するところのマッカーサーの書簡或いは視察に来たところのヴアレンタインでありますか、或いはホーランダーなんという人、ニューヨークの警視総監のようなことをしていた人、或いはミシガン市でありましたか、州かのやはり警察の当路者であつた人がチーラになりまして、そうして視察をしておつて、その報告書等におきまして日本の警察制度というものはとてもよくないというようないろいろなことをアメリカ的な立場から列挙いたしておるのであります。その一節は、この警察制度の原案を作ることに参加いたしました加藤陽三君が書きましたこの本の中にも書かれておりますが、併しその人が言うのには、非常に悪いものだと言うけれども決してそんなものではない、現行警察制度の英米的な警察の考えとは違う考え方の上に立つたシステムの上に作られたものであるが、決してアメリカ人が誹謗しているようなそんなつまらないものではない、非常にいいところを持つておつたものであるということを言つておりましたが、全く私もその点は成る程度まで認めるのであります。一例を挙げますと、この加藤君が引用しておりますホーランダーでありますか、ヴアレンタインの批評の中に日本の警官の服装、例えば肩章であるとか、下げておりまするサーベルというような服装を実に奇怪に感じてそれを馬鹿に嘲笑したような批評をいたしておるのでありますが、古いことでありますが、パリーあたりに参りますと、やつぱりサーベルは下げておるのでありますが、アメリカのように必ずしも今の警官のように警棒だけではないのでありまして、そういう批評も私は必ずしも当つておらんと思う。そうしたこのアメリカに偏した、欧州大陸の警察制度というものをば十分に理解しない、又それに則つた日本の過去の警察制度というものをば十分によく理解しないでいる人たちの観念か基本になつて、そして今日の現行警察制度が作られておるというようにはお思いにならないかということについての御答弁を一つ……。
  303. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 私は日本のこの警察法、現在の警察法の成立した詳しいいきさつはわかつておりません。併しながらこの警察法はアメリカの警察を模倣したものであるということだけは私は承知しておるのであります。御承知通りアメリカにおいては、非常に自治が発達した、その自治の発達した下にできた警察組織でありまして、これは今後日本の民主国家として出発する過程において、アメリカのこの民主的な、而も自治組織の発進した下にできた警察組織を日本に持つて来るのが一番妥当でないかというような構想の下に、現在の警察法ができたものと了承しておるわけでございます。併しこの警察法の施行につきましては、現実の問題として相当の欠陥があることと考えております。自警、国警連絡がややもすればうまく行かない、末端においてさような事実のあることも承知いたしておるのであります。併しこれらの点は十分調整連絡をとつて行けば、その欠点を補い得るものと考えておるのでありまして、先刻申上げました通りこのアメリカ式の警察制度を今後日本の身につけて、そうして発達せしむるということが最も好ましいことであろうと考えております。
  304. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 日本は民主主義の国になつたのであるから、民主主義の原則に則つたアメリカの警察制度を取入れたということは、日本の民主主義の発展のためには、非常に局部的には、弊害がある点は直して行くならば、非常にいいと考えておる、こういう御答弁てあると了解してよろしいと思うのでありまするが、併しながら口では実はその御答弁のように常になるのであります。あなたのみならず、あなたの部下である斎藤君も又その他の警察の行政の従事者がそういうことを言うのでありますが、我々には如何にもそれが何といいますか、お座敷言葉であつてそらぞらしいような感じに打たれざるを行ないのでありまして、若しその通りでありまするならば、中田君も先ほど引用されましたその後の警察制度改正というものは、全くそれに背馳したところの方向へ行つておるということを考えざるを得ないと思うのでおります。それはあなたよく御承知でないかも知れませんが、斎藤君はよく承知しておると思いますが、昨年の六月に国会を通過いたしました住民投票を通じての町村警察の廃止であります。もうすでに町村の警察の八割までは廃止されてしまつたのであります。全国千三、四百あると思いますが、そのうち千百足らずはすでに自治体警察は廃止されてしまつておるのであります。これは現行警察制度中田君も言われましたように国警と自警とが併立して行く、そして警察法の精神からいたしまするならば、国警と自警とは併立でありまするけれども、重点はむしろ自治体警察に置かれておるということは、これは法律を見るならば明らかであると思います。ところが千何百かの、千三、四百かと記憶いたしておりますが、そのうちの千百足らずまではもうすでに現行警察制度の主体的勢力をなさなければならないところの自治体警察が廃止されて国警に移管されてしまつておるのであります。又そうした国警自治体警察が移管するということは私は警察ばかりでなくして、ついこの間間国会を通過いたしましたところの市の警察においても、その手がすでに伸ばされて、市の警察も又住民投票で以て、過去においてその自治体警察の廃止をきめたところの町村を含んで新たに市になつたところはできるというような法案が、私たちは非常に反対したのでありまするけれども、そういう法律が通過いたした。これは議員提出案でありまするけれども斎藤君その他の警察の当路者はこれに賛成いたしておるというようなことであります。こんなようなことで、あなたの只今おつしやいましたことと違つた方向へ政府の警察行政の動向が行つておるということであります。今度の行政機構の改革の問題につきましても、政府は多くの行政委員会の廃止案を出したのであります。私はそれに反対いたしました一人でありますが、やはりそれと同じように相並んで国家地方警察の公安委員会もこれは行政委員会として廃止するということは、行政機構の改革に関連して、あなたもそれに主力になつてお働きになつたところの首脳者の一人であると思いますが、新聞紙上に頻りに伝えられたのです。これは恐らく又私が国家警察本部の国家公安委員会をば廃止するのかどうかということを聞いたら、そんな二とは廃止する意思はないというように又お座敷言葉でお答えになることかと思いますが、実際は必ずしも私は多少の政治的直感力を持つておるものであれば、その方向が廃止の方向に進んでおるということは言えると思うのであります。地方におけるところの自治体警察公安委員会或いは府県の公安委員会等も、これは廃止の方向へ持つて行こうという行政ばかりやつておるじやありませんか。これについてはどうです。実際の現実は、あなたのお座敷言葉にかかわらず、それと反対の国警一本化、自治体警察の廃止、公安委員会の廃止という方向へ進んでおるとあなたはお考えにならないかどうかということを一つ御答弁願いたい。
  305. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 末端の市町村の自警の多分に廃止されたことは事実であります。併しこれが現在の日本の実情にそぐわないからであろうと我々は考えております。而もこの廃止について政府は何ら干渉をしていないのであります。その土地の住民の総意で以てこのような措置をとられたわけであります。これから見ても或る程度はこの末端において真にこの自警というものは日本の国情に副わないということは私は現われておるのじやないか、こう考えております。これは全く住民の総意に応えて廃止されたわけで、政府は何らこれに干渉した事実はないのであります。又委員会制度につきましては、これはアメリカの制度を採り入れたのであります。民主主義のアメリカにおいても、只今この委員会制度について非常な批判的態度に立つておるということは私は承知しておるのであります。日本においては、行政の責任委員会においてとらせるようなことは、これは私はよくないと、こう考えております。従いまして政府といたしましては、行政改革の際に委員会をやめるという方針をとつたのであります。
  306. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 始まりには、現在の自治体警察をむしろ国警よりも重点を置いておる。現行警察制度の精神は、日本の民主化を実現するということのためには必要である、だからその方向に推進したいというふうに考えておるというような御答弁があつて、だんだんと質問して参りますと、もう一、二回の質問のあとには本心多お出しになつておる。しつぽがすでに出ておるのであります。今のお言葉の中には、自治体警察は日本の国情に副わない、そうしてその理由として挙げられるところは、住民が勝手にそういうことをきめたのであつて何も政府がそういうことをしたのではない、これ又非常なる欺瞞でありまして、これはあなたはおいでにならなかつたと思いますが、斎藤君の前にはたびたび私は今まで言うたことでありますが、住民投票というものが、丁度ワイマール憲法下において、ヒトラーが人民主権を規定したところのワイマール憲法の形式だけをうまくつかみまして、そうして議会政治を通じて、多数の投票という形で以て独裁権というものを確立したのと同じに、日本の封建的な残り滓的な観念が国民の間に強く根ざしておる。殊に地方の小都市や或いは農村にそれが頑固として根を張つておるのに乗じて、そういう形だけの民主的な住民投票という欺瞞を通じてあれをおやらしになつた。若し民主主義を育成して行きたいというならば、その自治体警察について、能率の上からいろいろ機能の阻害を来たすようなことがありますならば、他の方法で幾らでもこれは私は矯正して行く途が考えられるし、或いは財政的の面からも、或いは附近の自治体警察を共同させて、その地域でその機能を発揮させるというような方法も考えられる、いろいろな方法が考えられると思うのですが、そういうことを少しも考えないで、何らかの欠陥が暴露されるというと、直ちに奇貨措くべしとして、そうして自治体警察を廃止する方向に行く。今のあなたのお言葉つの中にすでに出ておる。自治体警察は日本の国情に合わん、それがあなたの御本心、吉田内閣の御本心なんです。そういうような本心で、そうしてただ国民をごまかすために、ああいう住民投票というような制度をとつたに過ぎないのです。而もあなたは、この現行警察制度を飽くまでも育成して、民主主義の発展に資さなければならんという見解をおとりになりますならば、又政府はそういうことを、それに反対するような方向に警察制度の改革を考えていないとおつしやいますが、あの警察制度政府案として出されたのであります。議員案として出されたのではない。我々が出したのではない。政府が出して来たのです。政府自治体警察を一年の間に八割までは廃止することができるところの法案政府みずからが出して来たのではありませんか。そういう行動をしながら、千三、四百ほどの自治体警察の中の千百足らずまで一年の間に廃止するような法案政府みずからが出しておいて、自治体警察を育成するのであつて自治体警察を廃止するということは考えていないということがどうして言えるか。又公安委員会の廃止の問題についてもそうであります。今日の警察制度の基本をなしておるところは何でありますか。自治体警察公安委員会です。警察行政の対象になるところの人民が、警察官吏というものを指導するところの立場に立つということであります。バイ・ザ・ピープルのポリスであるということです。それが即ちデモクラシーの上に立つところの警察制度の基本的な精神であります。ところが自治体警察に対しては、今あなたがしつぼをお出しになつたように、これは御反対であります。国警一本化にしたいというところの本心は、今の御答弁に完全に暴露せられておるのであります。公安委員会についても、或いは行政委員会というものは、これはあなたは日本に合わんものである、つまらないものである、よくないものであると御答弁になつたのであります。アメリカにおいても行政委員会というものが非常に批判の的になつておるということをお言いになりました。非難の的になつておるのではない、批判があるということは、私も多少存じております。併しながら私はそういうことを答弁いたしました野田君にもそのときにいろいろな資料の提出をして、軽率にそういうことを申したことは、何らの根拠のないところの政府当路者の、アメリカの行政組織に対するところの無知識の暴露以外の何ものでもなかつたということは、その後におけるところの内閣委員会審議の状況、我々から提供いたしました資料、我が党から出ておりますところの内閣委員会の諸君等の活動を通じて、又その他の会派の諸君の活動を通じて、野田君のその暴露いたしましたところの、アメリカの行政委員会に対するところの無知です。そういうことと、更にしんにゆうをかけたような無知に根ざして、今あなたは公安委員会の廃止的な意見を述べていらつしやつた。これこそは私は民主主義を否認し、現行制度の基本であるところの公安委員会も、自治体警察も否認して、最初に私の質問いたしましたところの、戦前の警察制度への復帰、国警一本化ということをあなた自身が今私に御答弁になつておるのであつて、私はそのように解釈いたします。なお私の解釈に対して御不満がありますれば承わりたいと思います。行政機構の、行政委員会に対するところのアメリカには非常な批判があるということであります。それはあります。一部あります。併しそれは全部を支配するような意見ではありません。フーバー委員会というものが、戦時中の行政機構の拡大化されたものを整理するために、フーバーが委員長になりまして、いわゆる行政整理の委員会が開かれて、そうして各方面に亘つていわゆる行政整理が行われたのであります。その一環といたしまして、行政委員会に対するところの批判があつたことは、それは事実であります。併しながら野田君が無知を暴露いたしましたように、あなたもまたそれに対するところの、失礼ですが無知を暴露していらつしやる。あなたの無知を証明するところの資料を持つて来いと仰せられますならば、私は今すぐには出せませんが、幾らでも資料を出します。それは非常な間違いであります。そういうことはありません。又そういう見解をとられるならば、明らかにそれは自治体警察公安委員会のその根本の精神にしておるところの現行警察制度の全面的な否定そのものであります。
  307. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 吉川君は公安委員会と行政委員会とをお間違いになつておるのです。私は公安委員会を廃止するということは言いません。公安委員会はどこまでも尊重して行く建前をとつておるのであります。公安委員会ではありません。いわゆる行政的性格を帯びた委員会であります。今度の行政機構の改革の目標はその意味における委員会であります。この国家公安委員会、或いは地方公安委員会を廃止するということは断じて言いません。それはあなたのお間違いであろうと思います。又地方の末端における自治警察の廃止、これは私は自治警察或いは国警のこの二本建で行くことは、原則として立派に堅持して行きたいという考えを持つておるのであります。併しながら末端における自治警察において、実際において実情に副わないところがある、従つて副わないところは、その住民の総意によつてこれを継続すべきか、廃止すべきかということをきめるのである。これは民主的である。あなたはこの住民投票は非民主的であると言われたが、私はこれは民主的であると考えております。住民が総意によつてそれをきめるということは、これほど民主的なものはないのであります。私はそう考えるのであります。従つて末端における自治体警察は、住民の総意によつてこれを廃止すると言えば廃止すべきである。政府はその廃止について何ら干渉はしていない、こう申上げたのであります。
  308. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 公安委員会が行政委員会でないという御答弁でありますが、行政委員会と名を打つておるところの委員会はないのであります。これは通例、行政機構上の言葉といたしまして行政委員会の一種であります。行政委員会の特徴はどこにあるか。それはその行政の対象になるところの人間がコミツテイを組織して、そうしてエグゼクティブ・パワーを持つということが、行政委員会の特徴であります。その意味から言えば、国家公安委員会も、地方公安委員会も、これはこういう意味においての行政委員会の一種であります。あなたがそういうことをお言いになるのは、むしろ私はあなたの、失礼でありますが、イグノランスを語るものであると思います。  第二に、住民投票が民主主義的であるということをお言いになりましたが、そんなことは私が先ほど申しましたように、そのフォームは民主的なんです。形式は民主的なんです。そんなことは誰でもわかりきつたことです。併しながらフォームが民主的であるからということは、民主主義の実現ということにはならんのです。私が引例いたしましたように、昔の、あなたが学校で習つて来たようなビスマルク、モルトケ時代にどうしたというように、そういう時代のプロシアの軍国主義や帝国主義の基本になつたところの、それと結びついたその政治の考え方や法律考え方、それはあなたはそれによつて育成されておいでになつたのです。それと同じように、ワイマール憲法は第一条第二項において、主権は人民より発するものであるということを規定しておるにもかかわらず、そういう日本人と同じように、長い間プロシアの軍国主義や帝国主義で教育されて来たところのドイツ人には、人民主権の大精神というものは、大部分のマジヨリテイのドイツ人にはわからなかつた。わからなかつたからその議会政治を通じてヒットラーの独裁政権が樹立されたのである。それと同じなんです。現在の住民投票というフォームを利用して農村におけるところの、漁村民の封建的な依存性に依存して、そうして住民投票という見せかけの形式だけを利用して、その実は専制政治の実現を図つていらつしやるのがあなたの内閣なんです。それを私は言つているのです。それが重大な問題なんです。それが今日の日本が当面している最大の政治的なクライシスなんです。それを私は申上げているのです。住民投票という形式が、フォームとしてはデモクラチックなものであるということは、そんなことは三つの子供でもわかつております。その三つの子供が容易に民年的であると言う欺瞞的形式を利用して、その民主主義に反するところの専制主義の実現をあなたたちが企図せられているということが大きな現在の日本の当面しているところの政治の害悪で、それがここに現われているということを言つているのです。あなたの御答弁は私の言つていることに対する御答弁になつていないということを申上げます。
  309. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 私は更にあなたに反問したい。そうすると憲法改正は人民投票によるとこれは非民主的ですか。
  310. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 私は申上げたいと思いますが、この間も言つたのです。今憲法改正するといたしましても、憲法の精神をば飽くまでもリアライズしたいということが民主主義の要求であるといたしまするならば、例えば婦人参政権の問題についても、婦人は男子と同権であるということを新憲法規定しておりますが、これをまだ非常に政治的意識の未成熟であるところの農村や或いは漁村に持つてつて人民投票をさして御覽なさい。婦人に参政権なんか与えるということはこれはいいことじやない、悪いことだ。丁度自治体警察というものは悪いことだと宣伝して歩いているのと同じです。そうしていて、ここに農村や漁村で、このいわゆる十二歳の、民主主義のいわゆる少年期にあるところの日本で、その形式だけの民主主義の人民投票をやらしたならば、私は農村や漁村における大部分の人間は婦人参政権に反対の投票をいたします。婦人みずからも私はするかと思います。それを考えて頂きたいというのです。私の言つていることに対するあなたの御答弁はちつとも御答弁になつておりません。あなたは法律家であるから、ただ法律形式だけばかり考えていらつしやる。政治家は法律の中に包蔵されているところの精神をどうして社会的に、政治的に実現するかということを考えるのでなければ、それはステートマンでないということのあなたの証拠であります。
  311. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) そうすると、あなたはこの普通選挙は否定するのですか。普通選挙を非民主的と言うのですか。
  312. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 それよりも重大なことは、この制度の内包する……。
  313. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) あなたは選挙を否定することになる。我々は住民なり或いは一般民衆の総意に問うて来るということが一番民主的だと考えている。
  314. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 それは形式ですよ。
  315. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 形式なら……。
  316. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 形式を通じて反対のことを実現しようとあなたはしていらつしやる。
  317. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 静粛に興奮しないで一つつて頂きたい。
  318. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 もつと質問があるのですが、中田君に譲ります。
  319. 中田吉雄

    中田吉雄君 木村法務総裁は昨年ですか、この住民投票によつて自治体警察を廃止するということについて政府が何ら干渉していないということを言われましたが、決してそうではないのです。誰がこの県庁の地方課に命令したか知りませんが、必ず地方課長は自治体警察のある町長、議長を呼び出しまして、これまでは平衡交付金で警察官に対して一人当り十幾万出して、そうしてそれで足らん場合は特別交付金で考えておつた。併し今度からは特別交付金は全然考えませんぞ。十人警察官を置けばあなたがたの町は百万円経費がたくさんかかりますと、ここういうようなことを言つて、先ず町村長や議長を説得し、更に国警の、県の隊長が必ずいろいろな工作をして、裏面でそういうことをやつておいて、そうしてフォームは民主的な投票という、そういう形式をとられている。そういうことをその当時所管大臣でなかつたがら御存じでないかと思いますが、どの県でも、あなたの前任者である大橋法務総裁の島根県において、どのようなことが国家地方警察の隊長でなされたかというようなことを、私は隣県でよく調査しているのです。そういうフォームは古川さんが言われたように、非常に民主的なフォームなんです。併し裏面ではそういうことがあるということをはつきり申上げて、私啓蒙の意味において申上げておきます。  そこでお伺いいたしますが、我々がこの法案考えます際の基本的なこの問題は、このマツカーサーから一九四七年の九月十六日に片山総理に出されました書簡の基本的な原理であるところの国家地方警察、それと自治体警察の、この二本の線を依然として死守されて、ずつと守つて行かれて、その二つの性格の違つたものがあることによつて、いろいろな治安上の障害が起るから、基本線は守つてそれを調整して行くというのか、その点。そうでなしに、やはりだんだん一本にされて行く、そういうふうな改革に持つて行かれるのか。そういうことは、私がこの法案と対決する基本的な問題になるわけであります。それともう一つは、このマッカーサー書簡にもありますように、中央集権的に統制された国家警察機構が再び形を変えて現出することを防止するために、国家地方警察と自治体警察との間に、何らの指揮命令の関係ができてはならない。自治体警察と国家警察とは対等な平等の関係で、上下の関係がないのだ。この二つの点がどのように貫かれ、将来どうなるかということが非常に大きな問題です。とにかく国家地方警察と自治体警察との二本の線を貫かれ、そうしてその二本が対等の立場で、上下の差がなしに行くという、マツカーサー元帥がサゼツシヨンした基本的な線を守られるかどうかということが非常に大きな問題になるわけです。そこでお伺いいたしますが、木村法務総裁は御在任中に、そういう基本的な自治体警察と国家地方警察とのこの二つが併存する形がとられている現行制度を根本的に変えられるような構想はないかどうかということをお伺いいたします。
  320. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) その点についてはしばしば申上げました通り国警と自警とを原則的に二本建で行つて、そうしてその間の調整連絡を守つて行きたい。これが精神であります。
  321. 中田吉雄

    中田吉雄君 そこでお伺いいたしますが、今年の五月八日の朝日新聞に治安立法と政府という題でかなり広汎な記事が出ているのです。それは五月一日のメーデーの混乱があつたあとに開かれた、この五月七日の閣議におきまして、吉田総理から警察制度の改革はもつと根本的にやつてみないか、こういう質問を吉田総理が発言をなされているわけであります。その際に、ここに御臨席の木村法務総裁は、今回の改正は序の口である、今回の改正は飽くまで第一段階であつて、差当りのことだ。もつと大きな改革を考えているということが言われている。もつと大きな改革というものはどんなことが予想されるのですか。どつちに行くのですか。どういうことがもつと大きな改革になるのか、我々としてはちよつと我我の持つている知識では、判断ができない。吉田総理の発言に対して警察制度を根本的に改正して見ちやどうだ、こういう質問に対して、今回の改正は第一段階である、差当りのものであるということを言われているのですが、差当りの改革とすれば、今度改革されるでしようが、その全貌はどういうような改革でしようか。
  322. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 先ず中田委員にお尋ねいたしたいが、あなたその新聞を如何なる根拠によつて言われるのですか。新聞の記事として言われるのですか、又閣議の内容を知つて言われたのですか、それをお聞きしたい。それについて私は答弁いたします。
  323. 中田吉雄

    中田吉雄君 私はもう木村法務総裁から再質問を受ける必要はない、治安立法と政府というテーマで朝日新聞が五月八日に報道している。新聞記事に出ている。それですから吉田総理がこういう質問をされたか、あなたが答弁されたかということを承わればそれでいいわけです。
  324. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) そうすると記事の内容が真実であつたかどうかというお尋ねですか。あなたが新聞記事を真実なりとしてその前提の下に御質問になるのですか。
  325. 原虎一

    原虎一君 木村法務総裁質問にお答えになればいいのでありまして、質問の趣意がわからなければ、質問者に再び聞いたらよろしい。私が今まで聞いておる範囲においては、質問内容ははつきりしている。ですから委員長から然るべく木村法務総裁に対する御注意を願いたい。(「賛成」と呼ぶ者あり)  もう一つは、どうもお互いに頭が疲れているらしいのであります。もう九時になります。聞くところによりますと、衆議院の議運では会期一日の延長を決定したという確かな情報が私どもの耳に入りましたので、そうだとしますれば、疲れた頭で御答弁願うことも恐縮ですから、今晩この程度で打切り願いたい。(「賛成」と呼ぶ者あり)
  326. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 只今各派の議員をして一日延長したかどうかを確認しておりますが、只今のところまでは延長したことは事実のようであります。それで原君の今の御動議もありましたが、時間の余裕も多少それでつくわけでありますから、この際今の動議もございますから、暫時休憩して理拝会を開きたいと思います。暫時休憩いたします。    午後八時五十五分休憩    ―――――・―――――    午後九時四十四分開会
  327. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) それでは日六今より委員会を再開いたします質疑を続行いたします。
  328. 若木勝藏

    若木勝藏君 木村法務総裁質問しますが、この法案審議において非常に重要な事項は、先ほどもいろいろ質問があつたように、自治体警察国警との関係、まあ二本建てで行くか、或いは国警に統合するかというようなことが、非常に重要な問題になつて来るのでありますが、これは大橋総裁の頃かと思うのでありますが、その際、私の耳目に映つたところのものは、大体こういうような構想をもつておつた。国の重大なる治安に対しましては国警は自警の領域に職権を行使するようにする。それから他の応援のあつた場合にはその費用を負担する。或いは犯罪情報の事務はこれは国警がやる。自警の定員を減らしていわゆる法定化するというようなことを止めて、国警の方面を非常に増加して行く、それから小都市における自警はこれを廃止して国警とする。更に町村の警察を自治体の決定によつて廃止して行く。それから警視庁の費用はその半分は岡が負担をする。その運営の管理は都の公安委員会にやらして、行政の管理は国の公安委員会でやる。国家公安委員会委員或いは委員長に大臣級を入れて行く。こういうふうなことを聞いておるのでありますが、これは、こういうことはあつたかないかは確かなことではないのでありまするけれども、併しこれまでの警察法の、昨年来の改正から考えますと、何だかこれと連関した而も巧みな方法によつて、この構想が実現されて来ておるのではないか、そういうふうなことが考えられるのであります。昨年来続いて来ておりますところの法の改正に際しまして、先般私のこの委員会委員になつてからも、町村の警察の維持に関するところの法案、或いは市の警察の、つい、この間、通つた臨時のいわゆる措置、こういうふうなことは今申上げたような構想が一つ法律案となつて具体化されて来ておるのではないか。自然にいわゆるこの日治体警察が、国家警察に統合されて行くような形を持つておる。更に警視庁の費用の半分は国で持つ。そういうふうなことは、今回のこの改正案に、いわゆる五十二条の三の中に、国庫は予算の範囲内においてその一部を負担することができる。いわゆる特別区の自治体警察に対するこういうふうなことが考えられるし、それから国家公安委員会委員或いは長に大臣を入れるというふうなことは、これはいわゆる国警長官の任免に対して、内閣総理大臣が国家公安委員会意見を聞いて、そうしてこれの任命権を握る、或いは内閣総理大臣が市町村公安委員会に対して、いわゆる指示をして行く、こういうふうなこの法案の形は、巧みに先ほども申上げたようなことを現わして来ておるのではないか。こういうふうに私は推測するのであります。そこで法務総裁に伺いたいのは、前任者の大橋法務総裁から、事務引継ぎとか、或いは閣議とか、そういうふうなところにおいて、大体こういうふうな構想の話があつたのか。その点を伺いたい。
  329. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 大橋君がどのような構想を持ち、又どのようなことを発表いたしたか、私は存じません。大橋君からこの警察法の一部改正について何らの引継ぎを受けておらないということを私は言明いたします。全く我々独自の見解において、現段階において最も必要な最小限度においての改正と我々は考えてやつたのであります。
  330. 若木勝藏

    若木勝藏君 そういたしますというと、今回のこの法案に現われて来たところの構想なり、或いは先般提案されたところの町村の警察の維持の法案、又は市の警察に対する設置の特例法、こういうふうなことから考えまして、大体その提案の奥底に私が先ほど申上げたようなことが考えられるのでありますが、その点に対しては、総裁において、基本の考え方として、そういうところを持つておられるのではないか、こういうふうなことも考えられるのであります。その点をお伺いします。
  331. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 私は、警察の制度を国警一本化する構想の下にかようなものを立案したわけではありません。ただ現在の日本の治安状況に鑑みまして、最終的責任者である総理において、かような任命権を持ち、又指示権を持たせることが適当であろうと、こう考えたのであります。
  332. 若木勝藏

    若木勝藏君 それでは別な観点から大臣に伺いたいのでありますが、どうもこの国会におけるところのいろいろな法律考えて見ますときに、私の腑に落ちないところがあるのであります。と申しますのは、いわゆる保安庁法案におけるところの保安隊の設置ですね、これはまあよく陸海軍ではないかと言われておる問題でありますが、而もその統帥権に相当するものを首相が握る、或いは先般の破防法、今回の警察法の一部改正、こういう治安に関するところの法律について考えてみますと、どうもそういうところに国家的に統一して行こうという形跡が見える。今度は別な法律について考えてみまするというと、又自治庁の設置法においては、これは地方財政委員会を廃止して、そうして地方財政政府において掌握しよう、こういう節が見える。更にその設置法におきましては、選挙、いわゆる全選管を廃止して、選挙の管理権を自治庁が握る、こういうふうなところが見えるのです。又先般大問題になつたところの、地方自治法の一部改正におきましては、いわゆる東京都の特別区の任命制の問題、こういうふうなものを合せてみますと、一貫したものが見られるのでありますが、こういうことは、何かそういうものの立法の基本原理というか、方針というか、そういうふうなことは、一旦閣議で打合せて、そこにそういうふうなものを作つたとも考えられるのでありますが、こういう点についてはどういうふうにお考えになつておられますか。
  333. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) お答えいたします。政府提案の各種の法案については、勿論閣議によつてこれを決定いたします。併しながら今度のこの法案につきましては、決して警察を一元化するというような下に構想されたものではありません。又破防法との関係において、この警察制度の組織というような問題とは別に関係はないということを私は申上げたいと思います。
  334. 若木勝藏

    若木勝藏君 どの法律を見ましても、只今申上げた通り非常にその基本方針に一貫したものがあるように考えられるのでありますが、その基は、それらの考え方は、いわゆる新憲法というようなものに非常に関連をして来るだろうと思うのです。新憲法の精神から言つたならば、今提出されたところのそういうふうな法律は、そういう形も現われないはずだと私は考えるのでありますが、そういたしますというと、現在のこの憲法に対して非常な政府としては不満なり、或いは大改正をしなければならない、そういうふうな考えを持つておられるのではないかということも私は考えられるのでありますが、どうも今の新憲法の精神の現われて来る法律とは原理的に一致していない、そういうところからそういうことが考えられるのですが、その点についてお伺いします。
  335. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 我々は新憲法の精神をどこまでも堅持いたしたいと考えております。この政府提出の法案におきましては、新憲法に牴触したものではないと考えておる次第であります。
  336. 若木勝藏

    若木勝藏君 今の御答弁では私は了解ができない。これはいわゆる一つ法律家でなしに、一般の国民の常識から考えて、或いは我々のような議員の立場から考えたら、今の御答弁のようなことは考えられないのです。どうしてもそこに、憲法の基本精神というものと、現われて来るところの法律というものの中に、その新憲法が生んだその子供でないように私は考えられる。あなたはとにかく御答弁として新憲法の精神に牴触するところがないと、こうおつしやるかも知れないけれども、具体化されて来ておるものは、その反対の食い違つた形で出て来ておると私は考えるのです。その点をもう少し挙聞きしたい。
  337. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 今申上げました通り、私はさように考えておりません。何ら新憲法の精神に牴触しておるものではないと確信しております。
  338. 若木勝藏

    若木勝藏君 それでは、先般の地方自治法の一部改正においても、今回のこの警察法の一部改正におきましても、輿論といたしまして、或いは又地方行政に携わつておるところの責任者といたしまして、挙げてこれに反対して、いわゆる輿論が反対して来ておるというようなことは、これは私の今申上、げたようなことと同じようなことを考えているからであろうと思うのです。これに対する総裁のお考えを承わりたいと思います。
  339. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 輿論と申しましても、いろいろ考え方があるのであります。一部の輿論の反対はありましようが、又一部において賛成しておるものもあると見ております。必ずしも私は輿論が全部反対しておるとは考えておりません。
  340. 若木勝藏

    若木勝藏君 輿論ということで巧みに逃げられたのでありますが、私の質問の点からそういうふうなことは考えられると思います。それでは地方行政に携わつておるところの知事であるとか、或いは治安に関係しておるところの公安委員会であるとか、全国的な組織において反対したというようなことについては、どういうふうに考えられますか。この点をお伺いいたします。
  341. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) この警察法改正にいたしましても、全部反対とは考えておりません。賛成のものもあるやに見受けられるのであります。
  342. 若木勝藏

    若木勝藏君 賛成のものもあるやに見られるということは、極めてあいまいな言葉でありまして、我々の手許に来ておる陳情から言いますと、殆んど大多数のものがこれに反対していると考えられるのです。それでも、あなたは、その行政官であるというような、そういうような方面が多くは反対しておらないとお考えですか。
  343. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 精密にどれだけの部分が反対で、どれだけの部分が賛成かということは申しかねますが、必ずしも全部が反対とは考えておりません。
  344. 若木勝藏

    若木勝藏君 それではその次に伺いたいのでありますが、先般の法務委員会地方行政委員会におけるところの連合委員会において、中山委員質問に対して木村法務総裁は、今度の警察法改正は、これは根本的な改正ではない、ほんのまあちよつとした改正であると、こういうふうな差当つて改正であるというふうな御答弁があつたように思うのですが、これは併し私は根本的な改正でないかと考えられるのです。いわゆる国警長官の任命権を首相が握り、或いは自治体警察に対するところの内閣総理大臣の指示権を認める。こういうふうなことは、差当つてのこれは改正でないように思う。最も根本的なものであるように思うのでありますが、その点は如何でありますか。
  345. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 私はさように考えておりません。やはり先刻申上げました通り自治体警察と国家警察の二本建でやるというこの根本精神を貫いて、その下に差当りの必要最小限度においての改正であるのであります。
  346. 若木勝藏

    若木勝藏君 なかなかはつきり答えられるようでありますが、私は、この法案の条文から考えても、又現在の具体的な事実について考えても、そのように考えないのであります。現在の警察法においては非常にいわゆる民主的にできており、これは、警察の民主化というふうな保証のためには、公安委員会というふうな一つのこの会議制のものが考えられておる。これを一体、首相の長官の任命、こういうふうな点において打破つているのではないか、こういう点が考えられるのであります。更に警察の事務処理のためには、これに当る本部長官は御案内のことくに公安委員会の指揮監督を受けております。その長官の任命を総理がするというふうなことになれば、これは全く公安委員会の指揮監督権を剥奪することになるのじやないか。そういうような点から考えまして、これは警察の根本的な変革であると、こういうふうに考えるのでありますが、その点如何ですか。
  347. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 総理大臣が任命いたしましても、その任命された国警長官は、終始国家公安委員会の監督の下に行動するのでありますから、決して非民主的とは考えられていないのであります。
  348. 若木勝藏

    若木勝藏君 それは非常に表面的な議論であると思うのでありますが、実際において本部長官というようなものを首相が任命するということになれば、いわゆるその長官は任命権者に対して一つ責任を負うというふうな形になつて公安委員会に対するところの責任というものは非常に微弱なものになつて来るのではないか。そういうふうに考えるのですが、この点如何ですか。
  349. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 国家の治安の最終責任者は内閣であります。内閣の首班は総理大臣でありますから、その国家最高の、又最終の責任者である総理大臣と国警部長官と密接な連絡をとらしめることが最もいいであろうと我々は考えているのであります。
  350. 若木勝藏

    若木勝藏君 その密接な関係をとるということと責任を負うということとは私は違うと思うのであります。法理的に考えたならば、その場合誰が一体責任を負うか、私は任命権者にこの責任を負わせるということが至当であろう、こういうふうに考えるのですがその点如何ですか。
  351. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) それは責任は国家公安委員に対して負うのであります。内閣総理大臣が任命権を持つのであります。
  352. 若木勝藏

    若木勝藏君 そういうふうになつて来ると、私はどうもその辺が改正案の趣旨がはつきりして来ないように思うのであります。改正案では何のためにそれでは総理に任命権を与えようとするのであるか。責任を負う場合は公安委員会にあつて、そうしてただ総理大臣が任命するだけだ、こういうことになつたらば、この改正案意味というものはなくなつて来るのではないか。そういうふうに考えるが、この点如何ですか。
  353. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 内閣総理大臣が最も自分の適任であると考えた者を国警部長官に任命することによつて、私は最もこの警察の運営はうまく行くと、こう考えておるのであります。つまり自分の適任者なりと考える者を国家公安委員意見を聞いて任命する、この形がすつきりしたものであると考えておるのであります。
  354. 若木勝藏

    若木勝藏君 どうもその点は、私には、はつきり受けとれないのであります。私、この法文についてどう考えてみましても、そこに今の御答弁のようでは改正の何らの意味を持たない。なぜそれでは首相に任命権を与えるのであるかというふうなことがどうしても解釈が付かない。公安委員会にやらしておいたらいい、こういうふうに考えるのでありますが、その点如何ですか。
  355. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 総理大臣が最も適任なりと信頼し得る人を国警部長官に任命するということは、私はその繋がりがスムースに行くと、こう考えておるのであります。
  356. 若木勝藏

    若木勝藏君 そこが私にはわからない。公安委員会といういわゆる会議制の民主的なものがあるのに、なぜ一体総理大臣が最も信頼するところの人を選ばなければならないか。責任はとにかく公安委員会が負うし、又指揮監督は監督権が公安委員会にある。そういうことがはつきりしているならば、何のために一体総理大臣の信頼するというような人を入れる必要があるか。而もこの公安委員というふうなものは総理大臣の選んだものである。そのものを信じないからして、そのものを選んだものはいわゆる総理大臣の信頼するに足るものでないと、こういう結果になると思うが、それは如何ですか。
  357. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) もとより総理大臣は国家公安委員を信頼しておるのでありますが、直接に自分が信頼し得る者と考えた者を任命することが、より適切であろうと考えております。
  358. 若木勝藏

    若木勝藏君 どうもそこがいわゆる老婆心に過ぎないように思うのだが、老婆心が却つて非常に民主的なこの公安委員制度というふうなものを骨抜きにしてしまうというふうなことが恐れられるのでありまするが、あなたはそれに対して何らの危惧の念もお持ちにならないのか、その点伺いたいと思う。
  359. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 任命するに当りましては自分の信頼しておりまする国家公安委員意見を徴してやるのでありますから、この間の関係は極めて円滑に行くと私は考えております。
  360. 若木勝藏

    若木勝藏君 どうしても私にはその点が納得行かないのでありますが、まあその点は何度繰返しても、どうも意見が喰い違つておるようでありますから、その問題はこの程度にして、更にあとで又別な方面で質問したいと思います。
  361. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) この際申上げますが、大橋国務大臣が出席されておりますから……。
  362. 原虎一

    原虎一君 大橋国務大臣御出席ですが、公安委員金正君が見えておるようでありますから、金正君をお呼び下さつて質問いたしたいと思いますが、お呼び願いたいと思います。副議長の控室に先ほどまではおつたはずであります。それから、これは先ほど来若木委員が、総理大臣が公安委員意見を聞いて国警長官を任命するこの問題について、いろいろ御質疑がありましたが、私の記憶する範囲におきましては、総理大臣の責任権限の問題を議するに当りまして一度も総理大臣の御出席がございません。でありますので、今日は審議の最後の日でありまするし、総理大臣の責任所管の問題を議するのでありますから、総理大臣の出席を直ちに要求を願いたいと存じます。この点、委員長のお計らいを……。その間金正公安委員の答弁を聞いて頂きたいと思います。
  363. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 金正公安委員只今呼びに行つておりますから……。
  364. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 先ほどから前提条件的なことについて木村法務総裁の御答弁を促しまして、いろいろお座敷的なお言葉をお使いになりまするけれども、その実は木村法務総裁は、公安委員会というものは無用なものである、自治体警察は廃止すべきものであるということを、言葉の中に、又言外の意味においてお漏らしになつて、それは速記録にも残つておりますが、これが御本心であるということが明らかになつたと考えるのでありますが、そのことについてはこれ以上追及いたしませんが、もつとこの法案の案文につきまして具体的なことを更にお尋ねいたしたいと思うのであります。この法案の御提出になりました動機の一つといたしましては、世間にも伝えられておるごとく、破防法の提出なんかとも相絡みまして、最近の治安状態に対する対策というようなことも多少は私は入つておると考えることは事実だと思うのであります。例えば去る五月一日の宮城前広場並びに京都その他の地方で行われましたような火焔びんの投げ合いのような暴動事件、そうした、殊に東京の警察機構に関する問題も入つておるのでありますが、こういうふうに警視庁の警察長の任命の形式をば変えて行くというようなことが恐らくメーデー事件のような首都におけるいろいろな治安、最近における暴動事件というようなものの取締りと言いますか、治安の維持というようなことに貢献し得るとお考えになつているかどうか。又こういうような改正をするということによつてメーデー事件のようなものをばなくすることができるというようにお考えになつておるかどうかというような点について、お答えを願いたいと思います。
  365. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) この法案改正によつて一挙にメーデー事件のような事件を解決し得るとは考えておりません。但しかような兇悪な騒擾事件が起つた場合においては、この警察法一部改正によつて適宜な処置は取り得るものと考えております。
  366. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 そうすると、こうした警察法改正は、メーデー事件のような事件の鎮圧と言いますか、ああいうことをなくするということに非常に大きな貢献をするものであるというふうにお答えを願つたものと解したいと思うのでありますが、それで、それに関連いたしまして、この本法案の六十一条の二に掲げてありまする「内閣総理大臣は、特に必要があると認めるときは」ということであります。これは現行警察法の第六十二条の非常事態に関するところの規定、「国家非常事態に際して、治安の維持のため特に必要があると認めるときは」こういう言葉がありますが、六十二条の規定の国家非常事態と、この法案の六十一条の二に掲げておりまする「内閣総理大臣が特に必要があると認めるときは」という、その場合との相違点は、どういうところにあると法務総裁は御解釈になつておるか一つ伺います。
  367. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) 六十一条の二の「特に必要があると認めたときは」と申しますのは、公安維持上特に必要あるときはと解釈いたしておるのでありますが、六十二条の場合には、国家非常事態というようないわゆる全警察を統一指揮をするというような場合は六十二条の二項で処理をいたすのでありまするが、その程度に至らない場合であつて、そして内閣総理大臣が特に指示をする必要がある、かように認めた場合であります。即ち非常事態ではないが、併しそれに準ずるような場合、或いは非常事態にならないように事前に措置を要すると特に認める、こういうような場合でありまして、いわゆる六十二条の二項になるような、その前の状態と、かように解釈いたすのであります。
  368. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 私は実は木村法務総裁の御解釈を承わりたいので、名指しで法務総裁の御答弁を促しておるのであります。木村法務総裁からこの解釈についての相違点をお答え願いたいと思うのであります。
  369. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 今斎藤長官が申上げた通りであります。
  370. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 それに関連性のあることで、この機会に更に木村法務総裁から承つておきたいと思うのでありますが、現行警察法第七章に規定いたしておりますところの国家非常事態の規定、国家非常事態という、こうした規定を現行警察法規定いたしました立法の精神はどこにあるかということでありますが、これはこの立法の事務上のことにあずかりました若い人であります加藤陽三君の書いております逐条解説を見ますと、過去においては日本には軍隊というものがあつた。であるからして、軍隊が存在いたしておらぬところの戦後の日本においては、軍隊がないということの前提として、こうしたところの非常措置の規定を設ける必要があるのであるというように書いておるのでありますが、それは、少くともこの警察法が作られまして、マツカーサー元帥が片山総理大臣に書簡を出しました当時におきましては、加藤君が書いておるその通りであると考えます。ところがその後になりまして、軍隊と言うことはできませんけれども、実質上特に警察力の不備をその背景にあつて補充するための治安のための軍事力というと誤解がありますが、ともかく強力なるところの力を装備いたしておりますところの一群の兵力、強権力であります。そういうものといたしましては警察予備隊がその後になつてできておるのであります。でありまするから、立法当時におけるところの軍隊がないということを前提として作られました現行法第七章の国家非常事態のこの非常措置というものの規定は、それとの関連性においていろいろ考え方が変つて来なければならないんじやないかと思うのでありますが、それについて木村法務総裁はどのようにお考えになつておるかということを、明解に御答弁を願いたい。
  371. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 私はそれとは関係はないと考えております。現在警察予備隊が、明後日から保安隊となりますが、それがありましても、この非常事態の規定というものは必要であろうと、我々はこう考えておるのであります。
  372. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 なお、それに関連して、この機会に承わつておきたいと思うのでありますが、この警察法には、この改正案にも同様でありますが、今お話になりました警察予備隊、保安隊、明日からでありますが、十月からでしたか、要するに保安隊であります。その保安隊は、保安隊のことを規定いたしておりまするこの保安庁法、特に保安庁法の中での保安隊の持つておりまする職能との関連性というものが警察法上少しも規定されておらないのでありますが、保安庁法の第六十一条によりまするというと、「内閣総理大臣は、非常事態に際して、治安の維持のため特に必要があると認める場合には、保安隊又は警備隊の全部又は一部の出動を命ずることができる。」、こういうように書いておるのでありますが、この非常事態と警察法上の非常事態というものは全く同一のものと解すべきであるかどうかということについての御解釈を承わりたい。
  373. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) この保安庁法に規定してありまするいわゆる非常事態と、警察法規定してあります非常事態と、大体において我々は同一であろうと考えております。
  374. 原虎一

    原虎一君 金正公安委員が見えておりますのでお聞きする点は、大体あなたは五年近く国家公安委員をやつておられるのでありますが、斎藤国警長官が、曾つてたしか増田甲子七氏が官房長官時代に斎藤国警長官の罷免問題が届きたと思いますが、そのときにおけるところの実情等をお聞きいたしたいと思うのが一点であります。  いま一点は、非常に重要な点は、改正案によりまする第六十一条の二に「内閣総理大臣は、特に必要があると認めるときは、国家公安委員会意見を聴いて、都道府県公安委員会又は市町村公安委員会に対し、公安維持上必要な事項について、指示をすることができる。」、これに対しまして、地方自治警側、殊にその他の改正条文とも関連がありまするが、東京の警視総監は、国家公安委員会意見を総理大臣が聞いて公安維持上必要な指示をするというが、公安委員は専門的に警察の機能を動かす専門家ではないのであります。従つて田中警視総監意見ではここに特別審議委員会のごときものを作つて、即も最高裁判所長官であるとか或いは国警長官であるとか、まあ数人の警察、治安の直接責任者を以て委員会を作つて、その委員会に諮問したほうがいい。これは先ほども申しますように、今晩は非常に遅くて私共は大分疲れておりますので、この点につきましては田中警視総監も見えておりますから、田中警視総監から説明を願つて、それに対するあなたの御判断を、御意見をお伺いしたい。先ず田中警視総監のこの第六十一条の二に対する考え陳情書にもありますが、お考えをお聞かせ願いたい。これについて金正公安委員の御意見を伺うのですが、この点の田中警視総監の御答弁をよくお聞き願いたい。現行十二条と改正十二条との関係等について金正公安委員にお尋ねしたいと思いますから、今申上げます順序にお聞きいたしますから、さよう御承知おき願いたいと思います。
  375. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 原君にこの際申上げますが、特別区の公安委員会の委員長の橋本君も来ておられます。
  376. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 政府委員じやないのですから、どういう形でこれを聞くのですか。
  377. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 参考人という意味でいいと思います。
  378. 田中榮一

    参考人田中榮一君) 今回警察法の一部改正につきまして、全国の自治公安委員会の連合会といたしましては、種々法案内容につきまして検討いたしましたところ、内閣総理大臣が国家公安委員会意見を聞いて、特別に必要なるとき、又は公安維持上必要と認めたときに、ここに公安委員会の意見を聞いて都道府県並びに市町村公安委員会に指示をなすことができると、こういう法案になつておつたと考えますが、この点につきまして全国の自治公安委員会連合会といたしましては、先ほど御質問のような趣旨を策定いたしまして陳情申上げたのであります。その趣旨は勿論、国家公安委員会意見を総理大臣が聞かれまして、そうしてそれを都道府県並びに市町村公安委員会に指示することも、これも私は結構だと考えておるのでありますが、全自公連の考え方といたしましては、実際に総理大臣がいろいろ極めて重要な問題につきまして意見をお聞きになるのでありますから、むしろ実際に治安の面を担当しておる国家公安委員長、それから自治体の公安委員長の代表者若しくは国警長官及び自治体警察の代表者、それから今度できました公安調査庁の長官一それから最高検察庁のいわゆる検事総長、こうした方々は毎日治安の実際の面に取組んでおられる方々でありますので、こうした方方の意見を十分に、あらゆる角度から総合的な意見を持ち寄り、又総合的な情報を持ち寄つて、その適正なる、妥当なる答申に基いて、総理大臣がその意見を聞いた上で指示をするということが、治安確保の上において実際的な適正妥当な意見となつて指示できるのじやないかと、かような趣旨で全自公連として意見の具申をいたしたような次第でございます。全自公連の意見としましては、一応公安審議会というような、これは仮称でございまするが、一応こうした名前を付けて提出いたしたのでありまして、これは必ずしも公安審議会というような名前でなくても、何か適当な名前があるならその名前にされても結構だということでございます。以上私から極めて簡単でありまするが、御説明いたした次第でございます。
  379. 金正米吉

    説明員金正米吉君) お答え申上げます。先ず最初斎藤国警部長官の問題でありまするが、大体、本部長官の任免権というものは国家公安委員の手に属しております。然るにその当時の内閣が、而も国家公安委員会を所轄しておる総理大臣の手を経ず、時の官房長官から高圧的に長官の罷免を強制されたのでございます。而もその理由というものが非常に薄弱でありまして、ないといつても可なりというような状態でありましたから、私たちは、本部長官は何ら従来職務上において越権がない、而も治安を担当するに適しておるという認定を下しましたので、私たちの法律上与えられておる任務を遂行する上におきまして、断乎として官房長官の申入れを拒否したのであります。  次に審議会の問題でありますが、御承知通り国家公安委員会自治体警察と何ら関連を持つておりません。従つて法文上の解釈から申しましても我々はこれに関与したくないのであります。又いろいろな意見を申上げることも差控えたいと思いまするけれども、御質問がありましたので思い付くがままを申上げますが、あえてさような複雑な審議会というものの必要はない、国家公安委員会は、繰返しますが、総理大臣の直轄下におかれておりまして、国家公安委員会といたしましては、事務当局に十二分に注急いたしまして、刻々と治安の状況は内閣に絶えず報告をしております。従つて総理大臣は十二分に治安に対しては御承知の筈でありまするし、この総理大臣の指揮命令というものが法律上許されるとするならば、あえてほかに委員会を持つまでもなく、国警本部の事務当局に十二分に照合し又研究させて、適当の御処置を講じられれば、それで結構だ、こういうふうに公安委員としては考えておるのであります。
  380. 原虎一

    原虎一君 前の問題につきましては重ねてあとでお聞きいたしますが、今の六十一条の二のいわゆる全自公連代表者として田中警視総監の陳述によります、仮称公安審議会のごときものを作るということについては、絶えず国家公安委員会が総理に治安上の実情を報告しておるから、その必要はなかろうという御意見でありまするが、これは御存じだと思いますが、先般斎藤長官からこういう答弁がありました。福井地方の大震災がありましたときに、国家公安委員会としては非常事態宣言というようなものが必要だということであつたが、むしろ今度第六十一条の二で規定いたしまするように公安委員会が非常事態宣言の意見を持ちましても、むしろ総理大臣が応安維持上必要な指示をやるということが適当であるという陳述が、答弁があつたわけであります。非常事態の宣言が必要ではなかろうかというような事態が過去五カ年間におきまして何回ありまして、これに対して今斎藤長官がこの席で答弁をされましたように、そういう結論が出て来たということについての経過を、我々は法理上研究をいたす必要もあると同時に、机上の法文であつてはなりませんので、現に公安委員として国家の公安を維持する建前において責任を持たれる諸君の過去五カ年間における経験を相当に尊重して法律を作らなければならないと思いますので、お伺いするわけであります。斎藤長官の答弁が私の聞き間違いだといけませんから、斎藤長官がもう一度この説明をされることは差支えないと思いますが、この問題について金正公安委員のお考えをお伺いいたしたいと思うのであります。
  381. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) 只今お述べになりました点につきまして、私は前に述べました事柄を若干誤解しておる点があろうかと思いますから、申上げておきます。福井震災のような場合に、一部にああいう際に非常事態宣言をいたしたほうがいいのじやないかどうかというような意見があつたと私は申上げたのであります。公安委員会で非常事態宣言をしたほうがいいという結論に達したけれども、宣言は行われなかつたのだ、こういうのではありませんので、あの際に非常事態宣言をして、そうして事態を収拾する必要はないのだろうかという意見が一部にあつたことはある、併し公安委員会におかれましては、この際非常事態宣言をやつて、そうして福井市の公安委員会の権限をなくしてしまつて、総理の下に警察を統轄してしまうという行き方はひど過ぎるから、それはやらんで済ましたほうがよろしいという結論になつたと申上げたつのであります。あの際にもう少し治安の状況が悪いと仮定をいたしました場合に、その場合においても非常事態宣言をしないで、必要な総理の指示だけで済ましたほうが事態の処理上よろしいであろうと、かように申上げたのであります。非常事態宣言を発せられました際には、総理の下に警察が一元的に統轄されるわけであります。その際においても、国家公安委員会は、この法律の六十六条にありますように、常に必要な助言国家公安委員会が総理に対してするという建前にもなつておりますから、従つて非常事態宣言に出るような場合に宣言をしないで、そうして必要な指示を総理がいたされ、その場合に総理大臣の諮問機関である国家公安委員意見を聞かれたということならば、そういう意味からも符節が合うと、そういう意味で私は申上げたのであります。
  382. 原虎一

    原虎一君 多少私の誤解があつたようでもありますが、誤解するような答弁であつたことも事実でありまして、福井の震災の場合に一部に非常事態宣言をするのが適当だという意見もあつたかと思いますが、一部にということは、この場合においては公安委員が言う……責任を持つておるのであります。公安委員以外に言う者もあつたかも知れませんが、我々この法案審議いたしまする実情から行きますれば、斎藤長官の答弁は公安委員にそういう意見があつたというように我々が理解するのもこれは当然なのであります。そこで私は、公安委員会においてどういう事態であつたかということを御記憶があればお聞きいたしたいのであります。この点は申すまでもなく金正公安委員は御存じと思いますが、非常事態宣言のできる総理大臣がそれをしないで、公安委員会の意見を聞いて、地方市町村公安委員に対し、都道府県公安委員に対して、治安上、公安上必要な指示がなかつたのであります。でありますから、公安委員会の過去の経験からこの点を一つ十分お聞きして、我々が法律を作るのに参考にしたいという考えであるということを御理解の下に、御意見の開陳を願いたいと思うのであります。
  383. 金正米吉

    説明員金正米吉君) 福井の問題が出ましたが、只今国警長官が申されたのが本当だと私は考えます。それは福井の震災が報ぜられだその夕方、私は視察に福井まで出張しました。御承知通り運輸機関は全部止つておりましたので、ジープに乗つて徹夜をして夜明けに福井に到着したのであります。そうして治安を視察いたしましたが、決して治安の上では憂慮すべき事態はなかつたのであります。従いまして報告の中にもその点を十二分に報告しておきました。それは無線を利用いたしまして報告してありまするから、一部公安委員の人の中にそういう危惧の念を持つた人もありますけれども公安委員会としてはその必要なしということに決定したのであります。  ここで申添えておきたいことは、私たち公安委員といたしましては、余ほど重大な問題でなければ軽々しく我々に与えられておる非常事態宣言を総理に勧告するということはやりたくないという信念を持つております。それは却つて人心を混乱に陥れて、これが逆に治安上由々しき問題を招来するであろうというふうに考えるのであります。従つて成るべくそういうことはせずに、総理大臣なら総理大臣が軽く指示を与えるということが実際的には非常に効果的ではないか、こういうふうな意見を持つておるのであります。
  384. 原虎一

    原虎一君 先ほどお話がありました問題は、今度は御承知のように現行法の第十二条におきましては、「国家地方警察本部に、長官を置く。長官は、国家公務員法の規定に基き、公安委員会がこれを任命し、一定の事由により罷免する。」と、こうありますものを、今度の改正案は、「国家地方警察本部に長官を置く。長官は国家公務員法の規定に基き、」「内閣総理大臣が、これを任命し、一定の事由により罷免する。」となつており、前項の場合においては、内閣総理大臣は国家公安委員会意見を聞かなければならない、こうなるのでありますが、御承知のように、任免権は、この改正案で行きますれば、総理大臣が持つて公安委員意見は聞くだけであるということになるのでありますが、警察国家にしてはならないのでありますから……今申しましたように、第十二条で総理大臣がまあ公安委員意見を聞く程度で任命もできれば罷免もできるということになりますれば、国警長官は、非常に現在より私はいろいろな点におきまて総理大臣の御機嫌を損じてはならないという気持が強化して来て、公安委員諸君よりか総理大臣の鼻息を窺うということが強くなつて来る。勿論総理大臣といえども国家の治安の責任はあるのでありますから、最終的責任を持つておるのですから、それがいかんと申すわけじやありませんが、現行のこの警察法上、あなた方が国家の治安責任上、国家の治安に当られている点からお考えになつて、こういう場合におけるところのいわゆる過去におきますところの一つの例でありますけれども、官房長官の首切り、増田官房長官が斎藤国警長官を罷免するというような問題等から考えまして、民主警察の立場、警察国家に至らしめてはならんという立場から判断いたしますれば、公安委員の一人として如何なるお考えを持たれるか。この点につきましては非常に事柄は重大でありますから、どうせ会期は延長になつて明日もこの委員会は継続するのでありますから、お疲れのところでありますから、今晩無理に聞きたいとは申しませんけれども、一応これを申上げまして、御都合によりましては明日慎重に御答弁願つてもよろしいと思いますけれども、一応お伺いしておきたいと思うのであります。
  385. 金正米吉

    説明員金正米吉君) 只今お尋ねにあずかりました総理大臣が直接本部長官の任免権を持つということに対しては、御意見通り公安委員会は賛成できません。それは警察国家になる虞れもありまするし、申すまでもないことでありまして、民主主義の基本線というものは議会主義にあります。議会政治は選挙に基くものでありますが、やはり戦前のように政府に警察権があるということになりますると、選挙取締に名を借つて相当強いところの選挙干渉が行われるということを私たちは考えるのであります。かくのごとき事態が生ずるということになりますると、民主主義というものの基本線というものを壊すことになりまするから、かような新らしい警察法が生れた、こういうふうに私たちは考えております。従つてこの線は断乎として私たちは守りたい、若しこれが押して議会で決定されるというのであれば、公安委員としては重大な決心をしなければならん、こういうふうに考えております。
  386. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 原君にちよつと申上げますが、先ほど原君の御意見の中に田中警視総監が自公連の代表と言われましたけれども、自公連、即ち自治公安委員の連合会の代表はここにおられます特別区の公安委員長の橋本君でありまして、さつき原君の、田中総監の御指名がありましたから適宜田中総監が代つて説明されたのであります。
  387. 原虎一

    原虎一君 うつかりいたしまして誠に恐縮でありますが、自公連の代表が御出席ならば、これは先ほど金正公安委員の御陳述もありましたのでございますから、もう一度お伺いしたいと思いますから、是非とも自公連の代表として、先ほど田中警視総監のお述べになりました点に対し、金正公安委員が率直にお述べになつておりまして、こういう点について自公連の御意見もお述べ頂きたいと思います。  それから又委員長に申上げますがこれは非常に総理の権限の問題を審議しているのでございますが、総理は一体御出席になるのかならんのか、大分先ほどからお待ちしているのですけれども御返事がないのです。ならないということになれば、この質問は明日でもしなければ、総理がおるところでしなければならない。と申しますのは、先ほど田中警視総監はお話になつておりませんが、第六十一条の二の内閣総理大臣が特に必要であると認めるときに国家公安委員意見を聞いて都道府県公安委員に或いは町村公安委員に対し公安維持上必要なる指示をやるという場合に、総理みずからが、これは勿論公安委員会の意見を聞くのでありますけれども、この場合においては国警長官というものが総理と打合せすることが理の当然であります。こういう場合における国警長官の意見というものが、逆に申しますれば総理の考えを動かす場合があるのであります。従つてこういう大事な条項の法文の審議といたしましては、総理に対する質問というものがなされ、総理の意見が聞かれて、始めて法の審議は完全になされるということが言われるのであります。その責任の、又法文を適用すべき、法文化されますれば、法を適用すべき総理大臣の出ないところでこれが審議されるということは、誠に私は遺憾であり、不本意極まることであります。でありますから、少くともこの審議を今晩中に終りたいという与党の方々の熱意がありますれば、当然総理をここに出席せしめる責任があろうと思います。これはお互いに個人上の事情を申上げますればいろいろあります。我々はそれを乗越えて、法を作るためには、やはり国民の前に十分な審議を尽して責任を持つた法を作らなければなりません。而も今日会期を延長するかどうかというような重大な問題があり、衆議院におきましては、自党の御都合ではありましようけれども、議長を交替するか云々というような問題があつて、総理はおいでになつておるはずであります。こういうときに出席なくして審議を進行するということは、私ども議員としての職責を果した運営にならんと思います。そういう点から、先ほどから総理の御出席に対して要求をいたし、而も相当の時間を要するであろうと思いますので、他の方々に対する質問をいたしておるのでありますが、未だ何らの御回答もない。甚だ残念であります。でありますから、この点をついでにお伺いいたしておきたいと思います。
  388. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) それでは最初の自公連の会長たる特別公安委員長橋本寛敏君から意見を求めまして、その次に只今の原君の総理の件について法務総裁から述べて頂きます。
  389. 橋本寛敏

    参考人(橋本寛敏君) 只今田中警視総監から述べられたことが自治公安委員のすべての意見と同じであるかという御質問がありましたが、それは同じであります。私が自公連の会長といたしまして申上げますが、只今田中警視総監の言われたことは内容において私ども考えておることと同じであります。
  390. 原虎一

    原虎一君 そこで私どもは疑問を持つのであります。先ほど金正公安委員は、国家公安委員会意見を常に内閣総理大臣に目申しておるし、総理も聞くのであるから、別にこういう非常事態を宣言するには至らないが、それに近い事件が起きて公安維持上必要なときに、その特別な仮称公安審議会というものを作つて、それに総理はその意見を聞いて、すべての行動を指示をなさるべきだと、こういう意見と、その必要はないということでございまして、この相違点をもう一度、先ほど金正公安委員の陳述もお聞きになつておつたのでありますから、この点の相違点を、なぜあなた方は仮称公安審議会というものが必要であるかということを、もう一度御説明願いたいと思います。
  391. 橋本寛敏

    参考人(橋本寛敏君) 只今国家公安委員からのお話がありまし、絶えず首相に対して要望をしておるのでありまして、国家公安委員意見だけで差支えない、指示を与えられて差支えない。特に自公連の意見といつたような面倒くさい審議会なんというものの意見を聞く必要がないという御意見でありましたが、誠に遺憾でありますが、私どもはそうは考えておりません。総理大臣の指示が、実際に即した片寄らない意見であつて、その指示を受けて誠に適当であると我々自治公安委員が思つて、直ちに実区するに役に立つような指示を与えられたいという希望からして、こういうようなものを見出したのでありますが、この構成となつておるいろいろのものが挙げてありますが、その一つ一つについては決して固執するのではないのであります。要するに、私どもの望むところは、単に国家公安委員だけの意見でなくて、もつといろいろの方面の意見を聞いて、よい指示を与えて、最もその指示が効果を挙げるようでありたい、こういう意味であります。
  392. 原虎一

    原虎一君 まあ先ほど金正公安委員は、やはりその陳述の前提に、自治体警察に対する意見を余り言いたくないし、その実情を見聞把握しているわけではないという前提の下に言われておつたのでありますから、その点に私は相違点があろうと思いまするが、要するに、国家公安委員会だけの意見では、自治体警察は、指示を総理がやる場合において満足なものができないと、満足なものとは思えないという御意見のようであります。それはなぜかということをもつと詳しくお聞きしたいと思いますが、過去におきましても、或る程度はお聞きいたしております。できますれば、なぜそれが必要であるか。国家公安委員会が物足りないという非難ではなくして、自治体警察側から言えば、こういう自治体警察の運営上、或いはそういう事態が起ればこういう情勢を生ずるから必要であるということがあると思います。殊に先日田中警視総監の、その自治体警察の、殊に五大都市でありますか、六大都市の警察費を国家補助にしてくれという陳情がなされました。いわゆる今日火炎びんを投げたり、いろいろな問題が起きておりますが、そういう問題は、自治体警察が第一線において国家治安を維持するために働いている、国警はそれをやつていないとは言われませんが、そういう立場に遭遇する機会が国警としては少いというような事実から行きますれば、やはり先ほど言われますところの、国警ばかりでなしに、自治体警察意見が総理大臣の指示権を決定する前の前提条件として十分に反映したいという気持はわかるのでありますが、実際におやりになつてつて、我々が公安委員だけの意見だけではいけないと肯かせるところのものが、今日まで勿論十分ではなかつたのであります。従いまして、幸いに国家公安委員も見えているとこでありますから、冷静に、而も我々の判断を誤たないように、事実から生れて来る問迫を御説明願いたいと思うのであります。
  393. 橋本寛敏

    参考人(橋本寛敏君) 只今お話のうちに、只今問題になつておりますいろいろの騒擾事件というようなものが、主として大都市に起つておる。僅かの国家地方警察の地域であるからして、その経験から滲み出した意見、そういうものが基調であろうというようなことが今の御質問の中にありましたが、第一に私ども考えるのはそれであります。その他いろいろあるかも知れませんが、とにかく片寄らない意見、それがまとまつて、そうして大方針を立ててもらいたいというような意味であります。  なお今の御質問の中にはございませんでしたけれども、附加えてもう一つ申上げますと、こういうような大きい審議会などを開いたならば、緊急の場合にこれは役に立たないのじやないかというような御意見も聞くのでありますが、私ども指示を受けたいというのは、事件が起つたから右へ行けとか、左へ行けとか、何をしろとか、かにをしろとか、そういう具体的のことよりも、大方針、大方針を聞きたいのであります。例えて申しますれば、昔の時代で大本営の会議がありまして、そうしてその大方針が、作戦の大方針がきまつた、そういうようなことを総理大臣から聞きたいのであります。総理大臣からの指示というものが、いつ幾日どこに何が起つた、そうしたところが、そのときにピストルを射つていいとか悪いとか、そういうような細かいことでなく、もつと大きい、ピストルを打つということも或る場合には大方針であるかも知れませんが、そういうようなことについての大方針を総理大臣から聞きたい。こういう意味に私どもは理解しております。
  394. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 議事進行について。今聞きますように、要するに本会議に我我を召集するベルが鳴つております。まだ質問は、私は原君が質問中でありましたけれども、外出されましたので、その時間の隙にちよつとしたことをただ時間塞ぎにお尋ねしたわけで、なお数項目について木村法務総裁からも御答弁を承わりたいと思つております。まだ中田君も多少質問をお持ちになつておるわけでありますが、我々議員といたしまして、本会議に入つて、そうして恐らくは明日に延びるであろうという会期の延長、その他の議案の審議に加わらなければなりません。これは議員として我々の義務であります。でありますから、本日はこれを以て議事を打切りまして、明日改めて質問を続行するように動議を提出いたします。(「反対」「賛成」と呼ぶ者あり)
  395. 堀末治

    堀末治君 先ほどから承わりますというと、大分質問終つたように思われます。(「終つておりません」と呼ぶ者あり)従つて、この機会におきまして質疑打切つて討論採決に入ることの動議を提出いたします。(「終つていませんよ」「本会議が終つてからやればいいんだ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し)
  396. 原虎一

    原虎一君 只今聞きますと、衆議院ではすでに本会議で一日会期を延長したということを聞いております。それから我が参議院におきましては、議運におきまして多数決によつて会期一日延長を決定した、そのために開かれる重大なる本会議でありますから、この本会議が終りましてから再開してもよろしいのですから、本会議に出席するために一つ御休憩願います。
  397. 中田吉雄

    中田吉雄君 私もやはり同感でありまして、今回改正されました法案は殆んど総理大臣が一切の権限を掌握されるのです。非常に重要なものです。それについて原委員がお尋ねでありますが、総理はおいでになつていない、そういうような関係もありますので、特に会期が明日になるというようなことでありましたなら、私はやはり日本を誤らしめたものは政治と結び付いた往年の警察制度である。再び私はそういうことになる虞れがあるのじやないかということを非常に憂慮するわけでありまして、会期が一日延びたら問題の所在をやはりはつきりしておきたい。私たちは、やはり議会政治は先ず言論による説得……十分提案された理由をあらゆる角度から完膚なきまでに批判する、そして提案者は反対派を説得する、それから少数意見に対する寛容、そうして最後には多数決原理に対する服従、この三つがやはり議会政治を守るところの基本的な原理であろうと思うわけであります。破防法その他の関係で非常に審議が遅れた点は恐縮でありますが、併し何と言つてもこれに対する十分な説得がなされていない。それから少数派に対する寛容、多数決原理に対する服従というような議会政治の根本がまだ十分この法案に貫かれていない。そういう点から言つて委員長とされてはいろいろ与野党の立場を考慮されて苦慮される点があると思うのですが、衆議院はすでに一日の会期延長を決定し、参議院もそのために会期延長の議題が上程されるということですから、何も今日急いで審議する必要はないと思います。
  398. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) それでは只今本会議開会のベルが鳴つておりまするから、十分協議する時間がございませんから、一応休憩して、本会議が終りましたら再開いたします。暫時休憩いたします。    午後十一時十三分休憩    〔休憩後開会に至らず〕