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1952-07-26 第13回国会 参議院 地方行政委員会 第70号
公式Web版
会議録情報
0
昭和二十七年七月二十六日(土曜日) 午前十一時七分
開会
—————————————
委員
の異動 本日
委員溝淵春次
君辞任につき、その 補欠として
堀末治
君を議長において指 名した。
—————————————
出席者
は左の
通り
。
委員長
西郷吉之助
君 理事 岩沢
忠恭
君
中田
吉雄
君
岩木
哲夫
君
委員
石村 幸作君
高橋進太郎
君 堀
末治
君 宮田 重文君
岡本
愛祐
君 館 哲二君 若木 勝藏君 原
虎一
君
吉川末次郎
君 岩男
仁藏
君
政府委員
地方自治政務次
官 藤野 繁雄君
事務局側
常任委員会専門
員
福永与一郎
君
常任委員会専門
員 武井
群嗣君
法制局側
法 制 局 長
奧野
健一
君
国立国会図書館側
専門調査員
(
調査立法考査
局)
藤田
嗣雄
君
参考人
大 阪 市 長
中井
光次
君
—————————————
本日の会議に付した
事件
○
公職選挙法
の一部を
改正
する
法律案
○
地方行政
の改革に関する
調査
の件 (
警察
の
装備拡充
に対する
財源措置
に関する件)
—————————————
西郷吉之助
1
○
委員長
(
西郷吉之助
君)
只今
より
地方行政委員会
を
開会
いたします。 最初に
公職選挙法
の一部を
改正
する
法律案
について
審議
をいたしますが、
速記
を中止して
懇談
の形で
審議
をいたしたいと思いますが、御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
西郷吉之助
2
○
委員長
(
西郷吉之助
君) 御
異議
ないと認めます。それでは
懇談
に入ります。
速記
をとめて下さい。 午前十一時十分
速記中止
—————
・
—————
午前十一時五十九分
速記開始
西郷吉之助
3
○
委員長
(
西郷吉之助
君)
速記
を始めて下さい。ではこれにて休憩いたします。 午後零時休憩
—————
・
—————
午後一時四十九分
開会
西郷吉之助
4
○
委員長
(
西郷吉之助
君) それでは
只今
より
委員会
を再会いたします。 本日は
公職選挙法
の
改正案
に関連いたしまして各
府県知事
或いは
各省政府機関
の
事務次官
、
局長等
の
選挙制限
に関する問題につきまして、
国会図書館調査立法考査局
の
専門調査員藤田嗣雄
君並びに本
院法制局
の
奧野健一
君の
意見
を聽取いたしまして御両人の御
意見
の御
発表
が終りましたら
質疑
をお願いいたします。では
藤田
君。
岩木哲夫
5
○
岩木哲夫
君 その前に。本尊の自由党が一人もお見えにな
つて
おりませんがいいのですか。
西郷吉之助
6
○
委員長
(
西郷吉之助
君) 今呼んでおります。
岡本愛祐
7
○
岡本愛祐
君 それから
吉川
君が要求したのですから出席されるまで……。
西郷吉之助
8
○
委員長
(
西郷吉之助
君)
吉川
君は会合に出ておられますので連絡しております。
中田吉雄
9
○
中田吉雄
君 お忙しいときに公述して頂いて大変恐縮ですが、申すも恐縮ですが、一つ純法理的に展開して頂いて、有益なる御示唆をお与え願いますようにお願いいたします。
西郷吉之助
10
○
委員長
(
西郷吉之助
君) そろそろ見えると思いますから、それでは
藤田嗣雄
君お願いいたします。
藤田嗣雄
11
○
国立国会図書館専門調査員
(
藤田嗣雄
君) 昨日急にこの問題について
意見
を申述べるようにという
お話
でありまして、昨晩遅いことでありますので、
十分準備
もできませんでしたが、簡単に申上げて責を果したいと思います。御
承知
の
通り日本国憲法
におきまする
基本的人権
と申しまするものは、自然法的の
基本権
でありまして、
憲法
に先立ち、又は
憲法
を超越する
基本権
として認められておりますからして、その
制限
は
原則
としてなされないという建前であります。その
趣旨
は
憲法
の第九十七条ですかに見えております。
従つて基本権
の
制限
は成るべくしないという
立て方
でありまして、
権利
の
制限
に関する
規定
が明確には
憲法
上
規定
されておりません。
従つて
この問題が起
つて
来るものとも考えられます。
ヨーロツパ大陸
の
憲法
、例えば今ドイツで行われております
ボン憲法
のようなものを見ますると、
権利
の
制限
の
規定
が明確に
規定
してありますからして、
権利
の
制限
をしようと思えば、その
条項
によ
つて権利
の
制限
ができるのであります。ところが今の
日本
の
憲法
は
アメリカ式
と
言つて
もよろしいでしようが、
権利
の
制限
に関する明確な
規定
がないものでありますから、しばしば問題を起すのであります。
原則
として
権利
の
制限
をしないことにな
つて
おりますから、例えば
非常事態
のようなときにどう処置していいかということも、
憲法
上必ずしも明確ではありません。かたがたこの問題を一層困難ならしめておる次第であります。それで今日問題とな
つて
おりますところの
離職
後の
立候補
の
制限
の問題でありますが、御
承知
の
通り憲法
第十四条には、「すべて
国民
は、法の下に平等であ
つて
、
人種
、
信条
、
性別
、
社会的身分
又は
門地
により、政治的、経済的又は
社会的関係
において、差別されない。」それからこれを受けて御
承知
の
通り
第四十四条に、「両
議院
の
議員
及びその
選挙人
の
資格
は、
法律
でこれを定める。但し、
人種
、
信条
、
性別
、
社会的身分
、
門地
、
教育
、
財産
又は
収入
によ
つて
差別してはならない。」この四十四条の
規定
は御
承知
の
通り
、十四条より更に詳しく
議員
の
資格
、それから
選挙人
の
資格
について明確に
規定
してあるのであります。こういう
条項
の下で
特定
の人に対して
被選挙権
を
制限
することができるでありましようか。それで
国民
の
権利
は第十三条にもありますように、
立法
の上で
公共
の
福祉
に反するときに
限つて
これを
制限
することができる、こういう条文があります。
従つて公共
の
福祉
に反しない限りは
制限
することができない。それで
制限
すれば、
憲法違反
になる、こういう解釈になるのであります。
只今日本国
においては
軍隊
はありませんけれども、例えば
軍隊
のある国で考えますると、
現役軍人
は
選挙権
は持
つて
おりますけれども、
被選挙権
は持
つて
おりません。これは
軍人
に
被選挙権
を与えまして、
現役
でありながら
議員
になるということになりますと、例えば
中隊長
が
議員
であ
つて師団長
は普通の
軍人
である。政治的に動かされる。それでは軍の規律が保てないという
関係
上、
軍人
の
被選挙権
は
制限
されております。これは
公共
の
福祉
に反するから
制限
が行われておるものと解釈すべきでありましよう。それでこの問題の核心に触れるのでありますが、
政府
、高級の
官吏
は、
国家公務員法
の下ではそれが
一般職
である限り、
政治活動
はすることができない。
従つて事前
に
選挙
のために行動を起すようなことはあり得ないのでありまして、若しそれをするようなことがありますれば、
公務員法
によ
つて処罰
を受けるということにな
つて
おります。それから
知事等
の
地方
の職でありまして、この
人たち
はいわゆる特別の職でありまするからして、
政治運動
はいたすことはできまするけれども、
特定
の利益を供与するということは私はできないであろうと考えます。それで
特定
の
地位
を利用して
選挙
のために有利な立場を作るというようなことがありますれば、
特定
のそれは
行為
でありまして、全般に通ずる
行為
ではないと考えまするからして、若しかそういうような人が
選挙
上面白くないというならば、そういうものを対象とする何か
立法
が望ましいのじやないかと考えます。それでこれと同様な範とうに属すると思われる
規定
を
ちよ
つと考えますると、
弁護士法
にありまして、それは
弁護士法
の第十二条第二項に、
弁護士
の
登録進達
の拒絶というものがありまして、
特定
の
公務員
であつたものは
弁護士
の
登録
をすることが拒絶されるというような
規定
がございます。併しこれは
特定
のものに
限つて
の
行為
でありまして、全般的の
規定
ではありません。それからもう一つあるのは、
日本専売公社法
第十七条の二というのにありまして、その
専売公社
の
役員
及び
職員
の
一定
のものが
離職
の
制限
を受けております。これは両者は
特定
のものについての
規定
であります。一般的の
規定
ではないと私は解釈いたします。
従つて知事
のような場合において一般的に
規定
するということは、
憲法
第十四条、或いは四十四条、それから十三条に違反すると考えますので、こういうことを
規定
するということは穏当でないと考えます。若しも、逆説的に考えられることでありますが、全部に、例えば
国会議員
、或いは
国務大臣
その他に対してもこういうことを
規定
するということならば、或いは公平になるのかも知れませんが、これ又法の行き過ぎでありまして、こういうことも考えられないと思います。
従つて
私の見解といたしましては、今問題にな
つて
おる
立候補
の
制限
は、
日本
の
憲法
の下ではなすことができないものと考えまするけれども、これは私一個の
意見
でありまして、その
最終決定権
は
最高裁判所
にあることは申すまでもないことであります。 大体私の
意見
を申上げますとかくのごときものでございます。
西郷吉之助
12
○
委員長
(
西郷吉之助
君) 今の
藤田
さんの御
意見
の、
一般事務次官
とか
局長
、そういうものに対する御
意見
は如何ですか。
藤田嗣雄
13
○
国立国会図書館専門調査員
(
藤田嗣雄
君) 私に御質問でございますか……。同様に考えます。
岩木哲夫
14
○
岩木哲夫
君
公職選挙法
に関する
公述人
の御
意見聴取
最中に甚だ恐縮でありますが、
警察法
に関連する
警察装備
の特別の経費、
財源
の問題について、
五大市
の市町村のかたが特に
地方行政委員長
以下に
陳情
いたしたいと来られておるのですが、
ちよ
つと
陳情
を五分間ほどお聞き下さるようにお計らい願いたいと思います。
—————————————
西郷吉之助
15
○
委員長
(
西郷吉之助
君) それでは
只今岩木
君からお聞きの
通り
の御
意見
がございましたから代表のかたから簡単に
趣旨
をお述べ願います。
中井光次
16
○
参考人
(
中井光次
君) 大変御予定のある中にお邪魔さして頂きまして誠に有難うございました。
ちよ
つと時間を拝借してお願い申上げます。 今日は、実は
京都
、
神戸
、
横浜並び
に
大阪
、名古屋の
五大都市
の市長並びに助役が
陳情
に参つたわけでございますが、事柄は、実は現在の
自治体警察
の
状況
からして、
国家
において何分の経済的な負担を願いたいということであります。 承わりますれば、今度
警察法
の
改正
に
伴つて
、東
京都
の
警視庁
に対しましては十億円の
国庫
の
補助
を与えます。
補助
でありますか、名目は何でありますか、
国庫
の
下渡金
があるそうであります。
五大都市
の
状況
を申しますると、私から申すまでもありませんが、最近における非常な、集団的な暴力的な
活動
がありまして、これの鎮圧に対し
警察
は相当苦慮をいたしておる。殊に
京都
のごときは、御
承知
のように最も早くから騒いでおります。
神戸
は殊に
朝鮮人
の問題で顕著なのであります。又
大阪
は比較的静かでございましたが、先般は
大阪市内
ではございませんが、近郊の吹田で以て
事件
が起つた。極く最近には七・一五の
記念日
に当りましての取締りは相当な
警察力
を使つた。その一例を申しまするというと、時間
外勤務手当
と申しますか、動員に要した費用が一晩に
手当
だけでも五百万円
要つた
というようなわけでありまして、その他
装備
の点から考えましても、こういう
国家
的な
警察活動
に対しては、
国家
が相当な、これを負担して下す
つて
然るべきものではないかと考え殊に
警視庁
における実例がさようなことでありますから、この際当
委員会
におかれましては、何とぞこの
五大都市
の
財政状況等
につきましてはしばしば御
陳情
申上げましたような次第でありますから、適当なる御勘案を願いまして、適当な御処置を願いたいと思うのであります。前は各
府県警察
に対しまして、古いことを申上げますと、
警察費国庫下渡金
と申しますか、
国庫
の分担があつたのであります。そういうことも考え合せ、あえて
自治体
だけの問題でありますれば、私
たち
も御無理は申上げたくありませんが、今日のような
国家的警察活動
の非常に多い場合におきましては、特にお願い申上げたいと思う次第であります。どうぞよろしくお願い申上げます。
西郷吉之助
17
○
委員長
(
西郷吉之助
君)
只今
の御
陳情
に御
質疑
がございますか。
原虎一
18
○
原虎一
君
中井
さんにお伺いしますが、
五大都市警官
の
給与平均額
と、
国警
の
給与
の額の相違、それから
装備
に必要な差、こういう統計を
大阪
なり、
京都
なりできているのがありますれば頂きたいのです。これは
国警
は
国警
のほうから取寄せますが、あなたのほうでできておればそういうものが欲しいのです。
中井光次
19
○
参考人
(
中井光次
君)
国警
と
大阪
或いは各
都市
との
給与
の状態につきましては、私は実は今数字を持
つて
おりません。これは直ちにわかりますからお届けをさせます。
原虎一
20
○
原虎一
君 できれば
給与
の差と
装備
の差を合計いたしまして、
国警側
が例えば三十万円要るとすれば、
地方
が二十万円或いは二十五万円で済むということがあります。そういう点を
市側
から作つたものをもらいたい。
国警側
からは又
国警側
のを作
つて
もらいますから……。
中井光次
21
○
参考人
(
中井光次
君) それから今の
給与
の点でなく
装備
の点でありますが、これは自動車とかピストルとか或いはその他の
放水車
とかいろいろなものがあると思うのですが、これは実は
五大都市
で以てそれぞれの連合の
協議会
を開きまして比較いたしておりますが、それぞれ
程度
が違
つて
おります。
大阪
と
京都
とは違うというような工合で、
装備
の
完成程度
が違うわけであります。それらを取調べまして……、併しながら
最小限度
のものは如何なるものが必要であるかということを
只今打合せ
をしておりますから、その資料も成るべく早くお届けするようにいたしたいと思います。
—————————————
西郷吉之助
22
○
委員長
(
西郷吉之助
君) それでは
只今
の
陳情
はその
程度
にいたしまして、次に本院の
法制局長
の
奧野健一
君。
奧野健一
23
○
法制局長
(
奧野健一
君)
只今
問題にな
つて
おります
都道府県知事
或いは
事務次官等
の
高級行政官
の
国会議員
の
立候補制限
に関する問題について、
憲法
との
関係
についてどういうふうに思うかという問題と考えます。 そこで
国会議員
の
立候補
についてこれらの
知事
或いは
高級行政官吏
が
離職
後
一定
の
期間立候補
することができないということが
憲法
上どういう問題になるかという点につきましては、恐らく
憲法
四十四条の「両
議院
の
議員
及びその
選挙人
の
資格
は、
法律
でこれを定める。但し、
人種
、
信条
、
性別
、
社会的身分
、
門地
、
教育
、
財産
又は
収入
によ
つて
差別してはならない。」こういう
規定
の
但書
の
社会的身分
によ
つて差別待遇
ではないかという点が一点、それと同じような
関係
におきましては
憲法
第十四条の法の下にすべて
国民
は平等である。そして
社会的身分
というようなことによ
つて
差別されないという
憲法
の十四条の条章に違反しないかどうかという点が一点と、第二点は
憲法
第二十二条の「何人も、
公共
の
福祉
に反しない限り、居住、移転及び
職業選択
の自由を有する。」という二十二条の
憲法
の
趣旨
に違反しやしないかという二点が
憲法
との
関係
において考慮すべき点ではなかろうかと思います。そこで先ず第一点の
憲法
第四十四条若しくは第十四条の
社会的身分
によ
つて差別待遇
にはならないか、いわゆる
都道府県知事
或いは
事務次官
といつたような
身分
を有するが故に、
国会議員
の
立候補
が或る
程度制約
を受けるということがこれに該当しやしないかという問題であります。勿論
国会議員
に対する
立候補
ということは、
国民
に与えられたる
参政権
の中の重大な問題でありますから、これはできるだけ平等に
制限
をしないようにいたすということは、
憲法
の
趣旨
と考えます。併しながらこの四十四条の
但書
といえども、合理的な、言い換えれば
公共
の
福祉
の
要請
によ
つて
は、場合によ
つて
はこれを
制限
することも認められて然るべきではないかと思うのであります。現に
公職選挙法
八十九条におきましては、
選挙事務
に
関係
する
職員
の
立候補
を
制限
しておりますし、又
在職
中の
公務員
、
一般職
であろうと、
特別職
であろうと、同条に
規定
している以外の
公務員
は
立候補
を
制限
されております。これは申すまでもなく
選挙事務
に
関係
するものが
立候補
をすることは
弊害
のあることは勿論であります。又
在職
中の
公務員
が
立候補
いたすことは、その
公務員
たる
地位
及び何と申しますか、特権と申しますか、
地位
及び
職権
をまあ利用する、少
とも危険性
があるという、
従つて公務員
としての自己の
職責
を空しくするという
危険性
と同時に、又
公務員
たる
地位
と
職権
を利用して
選挙
に不当な
影響力
を与えるという
弊害
、この二つの
弊害
が一応考えられますので、そういう
弊害
のある以上は、
現職
中における
立候補
を
制限
するということはやはり合理的な
公共
の
福祉
に基く
要請
としては、
憲法
四十四条
但書
の
例外
として認めても
憲法違反
ではないというふうに考えていいではないか。そこで
憲法
四十四条
但書
といえども無
制限
の
要請
ではないということが言い得ると思います。 然らば
都道府県知事
或いは
事務次官等
の
現職
中ではなく、
離職
後
一定
の
期間立候補
を
制約
することはどうかという問題に相成るであろうと思います。この問題はあとの
職業選択
の自由についても同様でありますが、いやしくも
弊害
の
危険性
というものを当然に制度的に包含する場合におきましては、そういう
制限
をするということも又
憲法
上是認されるのではないか。従いまして
知事
若しくは
次官等
の
離職
後といえども、
一定
の
期間
はやはり
現職
中の
立候補
に準ずるような
弊害
が当然に予定され、包蔵、内蔵しておると見られるような制度的なものでありますれば、やはりそれを
制限
するということは必ずしも
憲法違反
ではないかと思いますが、私は事実
知事
その他
上級官吏
と
選挙
ということについて、制度的に必然的にどういう
弊害
があるかという具体的な問題については実は詳かにいたしておらないのでありまして、でありまするから抽象的に、これは制度的にこの
弊害
を予定されるように考えられる危険があれば、
公共福祉
の
要請
として或る
一定
の
期間立候補
の
制約
ということも許されるのではないかと考えますが、ただ
知事
というものの或いは
次官
、或いは
局長
とかいうものの
職責
の遂行と、当然に
選挙
に対する不公正なる
影響力
を与えるものであるという必然的なこのつながりというものは果してあるかどうか。制度的に見て、むしろそれを肯定することが困難ではなかろうかと、実は個々的には場合によ
つて
はそういう
弊害
を醸す人もあるかも知れませんが、制度として考えた場合に必然的にそういう
弊害
を伴うものであるという断定はなかなかいたしかねるものではないかというふうに考えます。この点は
国務大臣
或いは
政務次官
、
現職議員
というようなものとの
関係
も考慮して、やはり平等に考えなければならないのではないか。ただ
知事
は県政のために非常に若し努力したとするならば、非常に人気を博して
選挙
に有利であるというようなことはあり得るとは思います。併しその
関係
は
国務大臣
或いは
現職議員
、或いは
政務次官
といつたような人々と同様なものであるのではないか、若しそうであると仮定すれば、
知事
なるが故に、
次官
なるが故に
制限
するということは、法の下に平等、或いは四十四条の
趣旨
から
言つて
平等に取扱うという点についてやはり問題が起るのではないかというふうに考えます。要は
知事
というものが、或いは
次官
というものが当然に
選挙
に不公正を来す
危険性
を包蔵しておるかという、そういう
蓋然性
を持
つて
おるかということによ
つて
、若しそうだとするならば、これを
制限
することは必ずしも
憲法違反
ではないのではないかというふうに考えるわけでございます。 次の
職業選択
の自由との
関係
につきましては、これ又無
制限
な
職業選択
の自由を
憲法
二十四条は保障しておるとも考えません。
先ほどお話
がありましたように、
国家公務員
につきましては百三条におきまして或る
一定
の
職員
については「
離職
後二年間は、
営利企業
の
地位
で、その
離職
前五年間に
在職
していた
人事院規則
で定める国の
機関
と
密接
な
関係
にあるものにつくことを承諾し又はついてはならない」というのが
国家公務員法
第百三条二項にあります。いわゆる天降りを禁止する
規定
であります。これは
国家公務員
としてその
職務
の取扱いの
事務
並びに
監督関係
にあつた直接
密接
な
関係
を有する
営利企業
へ天降りすることを禁止しておるのでありまして、
公務員
の
職責
上これを放置することは
弊害
があることは明らかでありまして、こういうふうに直接
密接
の
関係
の
監督関係
或いはその
事務
に携るというものについては、そのコネクシヨンの
関係等
から
言つて
当然に
弊害
を予想されますので、こういう二年間の
職業
の選択自由をその部分だけに
限つて
制約
するということもこれは又合理的な根拠があるものとして是認せられるのではないか。又先ほど
藤田
さんの
お話
もありましたように、
弁護士法
第十二条第二項で、例えば
判検事
がやめてその
勤務
の土地ですぐ
弁護士
をやるというようなことについてはいろいろ
弊害
があると言われて、この
規定
ができたのでありますが、その地域内において
弁護士
の
職務
を行わせることが特にその適正を欠く慮れがあるものについては
弁護士
の
登録
をさせないという
規定
であります。これも
在職
中の
判検事
、まあ
公務員
とな
つて
いて
判検事
とありませんけれども、この法文の狙いは大体
判検事
であつたのでありますが、すぐ
在野法曹
とな
つて
弁護士
の
職務
をとるということについて臣、
弊害
が大体必ずしも予想されないというわけのものではないのでありまして、併しすべてがこれを
制約
するというのではなくて、特にその適正を欠く虞れがあると認められるものについてだけ
登録
をさせないことができるという
規定
で、これは具体的に、一般的ではなくして、具体的に適正であるかどうかということを判断した上で
就職
を
制限
せしめるような
規定
であります。又それと同様な問題は、
日本専売公社法
第十七条の二で「
公社
の
役員
及び
職員
は、その
離職
前五年間に葉たばこ、
製造たばこ用巻紙
」
云々
々々といつたような「物資の
割当
の
事務
に従事し、文はその
事務
を直接監督していた場合においては、
離職
後二年間は、その従事し、又は監督していた
割当
の
事務
と
密接
な
関係
にある
営利
を目的とする会社その他の団体の
役員
又は
職員
にな
つて
はならない」、
但書
がありまして、「但し、」
云々
々々の「場合その他特に
弊害
がないと認められる場合において、
公社
の総裁の
申出
により
大蔵大臣
の承認を得たときは、この限りでない」というのでやはりこの場合も
弊害
がない場合は
例外
としておりますが、大体これらの直接
密接
の
関係
の、まあ
監督関係
におるようなものについては一応
弊害
が予想せられるという場合に
就職
、言い換えれば
職業選択
の自由を
制約
しておるのでありまして、これはやはり先ほど言いましたように、その
弊害
が
職務
上当然に予定せられると思われるものについて
公共
の
福祉
の
要請
から
職業選択
について或る
制約
を設けることは必ずしも
憲法
二十二条の
職業選択
の自由の
制限
ではなく、即ち
憲法違反
にはならないのではないかというふうに考えられます。 そこで今回の
知事
有しくは
事務次官等
の
立候補
の
制限
につきましてでありますが、これも先ほど申上げましたと同じように
知事
なり、
事務次官
なりその他の
高級行政機関
の
職務
の執行が当然に
国会議員
の
選挙
の公正に悪影響を及ぼす
弊害
をそれ自体内蔵しておると思われるかどうかによ
つて
、苦し肯定されるといたしますならば、そういう
制約
をすることが又必ずしも
憲法違反
ではないと考えますが、具体的に果してそういう
弊害
の当然に伴う
蓋然性
を持
つて
おるかどうかというこについてはつまびらかにいたしませんので、若しそういうものでないとした場合において、
知事
或いは
事務次官
なるが故に
立候補
を
離職
後
一定
の
期間
制約
するということは、やはり先ほど申しましたように
憲法
四十四条の
但書
或いは
憲法
十四条の法の下に平等であるという
原則
或いは
憲法
二十二条の
職業選択
の自由の保障といつたようなものと牴触する、言い換えればやはり或る意味で
憲法違反
の虞れがないとも言えないというふうに考えます。
西郷吉之助
24
○
委員長
(
西郷吉之助
君) 以上を以ちまして御両名の
意見
の
発表
を終りましたから御
質疑
がありましたらどうぞ。
中田吉雄
25
○
中田吉雄
君
藤田
さんにお伺いいたしますが、第十四条ですね、「すべて
国民
は、法の下に平等であ
つて
」
云々
それから第四十四条の
但書
の
関係
からいたしまして、十四条と四十四粂との
関係
からして、
知事
並びに
局長
、
次官等
の
制限
は
憲法違反
の疑いがあるではないかという御
意見
ですが、そういう観点からして
公職選挙法
の八十八条
選挙事務
関係
者の
立候補制限
、
国家公務員法
の百二条、それから
人事院規則
の政治的
行為
、昭和二十四年九月十九日にできました
人事院規則
十四から十七ですか、そういうようないろいろな政治上の
制限
というものとの
関係
はどうなりますか。そういうものはやはり
憲法違反
にはならないですか。
藤田嗣雄
26
○
国立国会図書館専門調査員
(
藤田嗣雄
君) つまり一般的に前におつしやつたようなものについて奥野さんの詳しくおつしやつた
通り
一般的に
知事
なり或いは
政府
高級
官吏
の
離職
後の
立候補
というものに
弊害
があるということが抽象的に立証されれば、
制限
しても差支えないと思いますが、それはどうも困難のように思います。 又後段のような場合にはそれが説明ができるためにそういう
規定
があると私は考えております。
岩木哲夫
27
○
岩木哲夫
君 私さつき
藤田
さんにお伺いいたしましたが、一般的にやることは
憲法違反
の虞れがある、かような工合に一般的に及ぼすときのやり口は
憲法違反
の虞れがあると言われておりますが、今この場合においては両院
議員
のその
被選挙権
の
資格
についての限定、
特定
のことであります。 それからもう一つは、都
知事
とか、或いは
知事
、副
知事
とかいうものが全般的にその
立候補
の
制約
を受けるのでなくして、
知事
のような場合においては、当該
関係
府県以外のところは自由であるとか、それからその他についてもおよそその
公務員
たるの
職責
の勢力の延長、温存されておる、いわゆるぬくぬくの
期間
の六ヵ月、こういつたような場合に対する
特定
の
制限
方法であるから、これは先ほど
中田
君の言われたような工合に、
公務員法
のいろいろの箇条、或いはその他
選挙
管理
委員
の
立候補
の
制限
の周題であるとか、
人事院規則
の問題であるとか、
弁護士
の問題であるとかいつたような工合に、
特定
の場合に
限つて
の
制限
が
憲法違反
でないというならば、この場合も同様ではないのですか。
藤田嗣雄
28
○
国立国会図書館専門調査員
(
藤田嗣雄
君) つまりまあ
意見
の相違になりまするけれども、私の申上げましたのは、
知事
であるとか、或いは
事務次官
であるとかいうことによ
つて
、その人が
在職
中から後の
選挙
のために有利な態勢を作
つて
おるということを一般的には認められないという立場から申上げたので、
特定
の人についてはそういうことがあり得るかもそれは知れませんが、実際の
状況
を私は存じませんから、一般的に抽象的に申上げたまでであります。
岩木哲夫
29
○
岩木哲夫
君 ですから私がお尋ねしておることで、
知事
とか
局長
がその
在職
中に、次の
選挙
に引続いて有利ないろいろの公費を使い、いわゆる
地位
権力を利用してやるというようなことは、現在
国会議員
に
立候補
しようという意図のあるものは、もう公然の状態として展開されておるのであります。
従つて
こうしたような両院
議員
の、
憲法
第四十四条にある両院
議員
の
立候補
資格
、即ち
被選挙権
の
資格
については、これは
特定
のことである。決して全般的の問題じやない、或いはそれが永劫、永久的な問題じやないのであるから、今私が重ねて申上げたような工合に、
一定
の期限においてのみこれを
制約
するのであ
つて
、六ヵ月経過すればこれは自由に
立候補
でき、又地域が違えば
立候補
が即日からでも可能であるという問題は、これ即ち
公共
の
福祉
に沿うゆえんである。であるから若しこれを
憲法違反
であるという疑いを言うならば、先ほど来も言う
公務員法
のたくさんな条文、たくさんな
制限
規定
、或いは
人事院規則
、専売法、
弁護士法
、あらゆる問題について全部人権の
制約
をしておるのであります。これもやはり
特定
のことを
制約
しておるのであ
つて
、全般を
制約
しておるのではない。例えば
判検事
が
弁護士
をやらないで漁業をやるのだ、百姓になるのだということは
制限
しない。
特定
の場合にのみ
制限
するということは、今私が申上げる、こうした役人が
特定
の両院
議員
に
立候補
する場合の
被選挙権
の
資格
を
一定
限度で
制約
するということは、共通性のある問題で、私は、若しこれが
憲法違反
だというならば、先ほど来申した
公務員
、
人事院規則
、
弁護士法
、専売法は
憲法違反
の疑いがあるのです。これはまあ同様であると私は思うのですが、如何でしようか。
藤田嗣雄
30
○
国立国会図書館専門調査員
(
藤田嗣雄
君) つまり私の申上げたのは、一般的と
特定
の問題でありまして、私は政治上の実際について存じませんから申上げたまででありまして、今質問をなされたかたのごとく、全部の
知事
、或いは全部の
事務次官等
についてそういうことが立証されるならば御説の
通り
でありましようけれども、それができない限りにおいては、一般的にはそういうことを認めることは
公共
の
福祉
に副わないということになりはしないかとそう考えます。つまり
意見
の相違でありまして、私は現在の政治の実際を知らないために起る議論であるかも知れませんが、私が今持
つて
おりまする考えは、全部のものがそれであるということが立証されるならば、御説もそうでありますけれども、そうではないと考えますから、私も議論をしたわけであります。
岩木哲夫
31
○
岩木哲夫
君 私はあなたが政治的に詳しいということを前提としてお聞きしておるのでもなく、又全般的政治情勢を知
つて
から話せということを申しておるのでもない。ただ全部の
知事
がそういう不正
行為
をやるということがあるから私は怪しからんということを申しておるのと違うのであ
つて
、
知事
であろうが、
局長
であろうが、今私が申上げるような工合に
制限
制約
をせられると、
一定
の期限……、永劫永久のものじやない、
一定
の期限
制約
するということは、私は
公務員法
、それからいろいうな問題などの条文を
憲法違反
でないと言うならば、これも
憲法違反
でないのであ
つて
、共通する問題であり、全部の
知事
が不正な
行為
をしておる、これを取締るということを私は申しているのではない。そういう全般的な虞れがあるということは世間熟知のことであるから、こうした殊に
公共
の
福祉
の観点から見ても、こうしたかたがたはいわゆる公費を以て、その
地位
、
職権
、あらゆる機会を利用して、
公共
の仕事もするが、自分の次の
選挙
の場合にもその何一〇%かは
活動
いたしておる虞れがある、或いはいたしつつある虞れがあるから、そういう虞れがあるから、
公共
の
福祉
の観点から六ヵ月間
制約
し、或いはその当該
関係
府県以外のところでないと、即日
立候補
できないという
制約
をするということは、前段に申上げた各
公務員法
、或いは
人事院規則
、
弁護士法
、専売法などと何ら相違はない。これは
一定
のことを
制約
制限
をしておる。だから
公務員
、例えば大蔵省の役人が銀行の
役員
に就くという場合は限定しておるが、大蔵省の役人が農業会などの役人に就くのであつたら差支えない。ですから私は
特定
の方法を
制限
しておるのとこれは同じことである、こういうことを考えるのですが、それが
意見
の相違と言えば
意見
の相違かも知れませんが、もう少しこれは純理的に、一つ法理学的にお聞かせ願いたいと思います。
藤田嗣雄
32
○
国立国会図書館専門調査員
(
藤田嗣雄
君) いつまで申上げても、一般的と
特定
の問題でありまして、普遍妥当性があるかないかの問題でありますからして、これ以上申上げても、そうじやない、ああじやないと、もうきりがないと思いますから……。
中田吉雄
33
○
中田吉雄
君
ちよ
つと……。
国家公務員
ですね、これを全般的に禁止しているのですがね、それはどうなのですか、私は……。あなたの立場として伺
つて
……。
藤田嗣雄
34
○
国立国会図書館専門調査員
(
藤田嗣雄
君) つまり
政務次官
と
事務次官
を区別したということが全般について認められたら差支えないという立場からではないでしようか。つまり政務官は政治のほうを担当しているし、
事務
官は
事務
のほうを担当している。
事務
しかやらないのだ。それが政治に没頭しちやいかん、つまり政務官の指導の下に
事務
官は働く、こういう
立て方
であるのじやないですか。
原虎一
35
○
原虎一
君 これは奥野さんの
意見
をお聞きしておるのでずが、
知事
の場合だけを考えて、こう一般的に今まで……、今度問題にな
つて
いますのは、
次官
、
局長
、
知事
というふうにまで及んでおりますから、全般的にお考えにな
つて
おる御答弁、御見解だと思うのですが、その中から取上げて、最も今日
弊害
を認める部分の大きなのは
知事
です。私は具体的に申上げて御見解を伺いたいのは、一県が、某県の
知事
が、その府県は
選挙
区が仮に三区もあると、その県内のいずれかの区で
立候補
する場合・
知事
が六ヵ月なら六ヵ月の前に辞職しなければ
立候補
できないという
制限
をした場合において、あなたが今日陳述なさいましたような、一般的なものと同様な観点でいいかどうかという問題がある。これはもう一遍具体的に申しますというと、埼玉県の一区で、三区、四区なんかもありますが、その中の一区で、現任の
知事
が辞めても、告示があつた日にやめて立つということは、これはそういうことはできない。六ヵ月前にやめていなければ、現任の県のその中の一つの区で立つ場合は許されないというような場合においては、今のあなたの一般的な御見解は適用できないのじやないかと私はこう考えるのですが、この点はどうですか。
奧野健一
36
○
法制局長
(
奧野健一
君)
知事
と、それから
事務次官等
との
関係
が
ちよ
つと
お話
に出ましたが、この問題は私は更によく検討して見ると、
一般職
である
事務次官
或いは
局長
というものと、公選によ
つて
出て来る
知事
というものを必ずしも一本に考えるということも実はどうかと思
つて
おります。むしろ公選で出て来る
知事
のほうがやはり総理大臣或いは
政務次官
、
現職議員
と同じように、もう
政治活動
というものが前提として大体許されているわけでありますから、
一般職
の
公務員
の
政治活動
が禁止されているのと非常に違うのでありますから、むしろ
次官
、
局長
なんかの
制限
よりも
知事
のほうが緩やかであ
つて
いいのではないかとまあ思
つて
いるのですけれども、それと、
只今
の或る区の一区と二区というふうなあの或る区の中から
立候補
されるのととの
関係
でありますけれども、若し
法律
として制定される場合には、やはり制度的に画一的に
規定
しなければ
ちよ
つと困りはしないか。それで或る県のうちのどの区から
立候補
するのはいいが、そのほかの区からは悪いといつたようなことが果してうまくやれるかどうか、その点までは……。
原虎一
37
○
原虎一
君 それは前段の
局長
と県
知事
との相違する点については検討を要すると思いますけれども、その後段の、その現任地のどの区でもいいのです、私の申上げるのは……。現任地のどの区からか立つということは、立
つて
もかまわないのですが、現任地の県内の
選挙
区から立つということに対して
制限
を加えるということは、前段の
局長
、県
知事
というものはこれは別個に考えることは私はそういう場合におけるところの考え方は、ただ
次官
であるとか或いは
局長
という
国家公務員
というものと県
知事
というものは
身分
が違うということ、選任の形が違うということだけでは、混乱していかんという考えがあるのであります。これは別です。ただ現任の県下のどの区でもいいのですが、どこから出るということは、そう今
岩木
委員
が言われましたように、
判検事
がその管轄区内における
弁護士
に
登録
できないというのと似ておるのじやないですか、その点はどうですかということをお聞きしているわけです。
奧野健一
38
○
法制局長
(
奧野健一
君) 若し
知事
の
立候補
を
制限
するということになれば、恐らく全県ということになるだろうと思います。併しその選定は問題がありましようけれども、若し
制限
すべきものであるということになりますと、全県に対して
影響力
を持
つて
おつたのでありますから、そのうちの所在地とか何とかというのでなく全県に対して
制約
をするということになるのではなかろうかと思います。
原虎一
39
○
原虎一
君 その場合における違憲論は薄弱になりはしないかということを申上げているのです。
奧野健一
40
○
法制局長
(
奧野健一
君) やはりそれと問題が少し違うかも知れませんけれども、その
知事
に全国区の
立候補
まで
制約
するということになると、よほど又
ちよ
つと違
つて
来るのではないか。その県だけから立つ
選挙
というのと、まあ全国区と
言つて
も事実上或いはその一県だけでも票が集まるかとも思いますけれども、建前として全国区からの票というような場合に、それとその
地方
区からと両方同じようにや
つて
いいかどうかということになると、
影響力
という面から
言つて
もよほど違
つて
考えなきやならんかと思いますがその点は直接にはお答えにならないかも知れませんが……。
原虎一
41
○
原虎一
君 奥野さんが意識的に逃げているような感じが私はするのですが、我々一番問題になるのは、ざつくばらんに申しましてこれは
速記
をやめてもら
つて
もいいと思いますが、県
知事
が、成るほど公選
知事
でありますから、
局長
、
次官等
とは違いますけれども、県
知事
が衆
議院
であろうと参
議院
であろうと、その現任の県内で勝手に
立候補
ができるというそのために起る
弊害
というものは、これは事実あるわけですね。まあ我々の体験からいたしますと……。でありますから、今具体的に申しました現在の県の県内で
立候補
を
一定
期間
認めない、許さないということは、
判検事
が
弁護士
になるときの
制限
とその部分だけにおいては似ているのではないか。
従つて
その部分だけを考えれば、違憲論というものは成り立たないのではないか、こうお聞きしているわけですね。
奧野健一
42
○
法制局長
(
奧野健一
君) その
判検事
から
弁護士
になる、その現任の場所でなることについては場合によ
つて
は
制限
を受けるのです。併しながら特に不適当であるとまあ
弁護士
会等においてこれを認定した場合でございまして、丁度その
知事
なんかの場合でも、いろいろな
関係
からその人が非常に今後の
選挙
に不当な
影響力
を与えておると認められるような人だけについて何か
選挙
管理
委員会
か何かで認定してやれるというような制度のものであれば、それは私はいいと思うのです。ただ一網打尽に全部を一律に
制限
するといううちには、非常に正当なものもあるし、不当なものもある。併し
法律
ということになると、一律的にやらなければならないというところにむずかしい問題があるのじやないかと思います。
岩木哲夫
43
○
岩木哲夫
君
藤田
さんにお聞きしたいと思いますが、これは見解の相違と
言つて
話にならないから、必要がないからお聞きするのを略して奥野さんにお尋ねしますが、今私が
藤田
さんにもお尋ね申上げた
通り
、
憲法
第四十四条に謳
つて
おる両院
議員
の
被選挙権
の
資格
というものは、これは先ほどあなたが言われたと思いますが、
弊害
の
危険性
が制度上当然あり得る立場、それから
職責
遂行上
選挙
に対する不公正なことが直接間接に与えられやすい虞れがある職域の者に対して
一定
の期限を設けて、或いは
一定
の地域を
限つて
被選挙権
の
制限
をするということか若し
憲法違反
と言うならば、同じく
被選挙権
の
制限
規定
はたくさんあります。これは先ほど来申上げました
通り
年齢二十五歳以上だとか、参
議院
は三十五歳以上だとか、これは
被選挙権
の
制限
規定
であります。或いは
立候補
の届出については供託金十万円納めなければいかん、そういつたようなこともこれはやはり
被選挙権
の
制限
事項であります。又
公職選挙法
の第八十八条においても投票管理者、開票管理者、
選挙
長、及び分会長等の者はその
在職
中その
関係
区域で
立候補
が禁止されておる。その他
公務員
のいろいろの
規定
、それから今も話が出ましたが、
弁護士
会長の問題にいたしましても、その他においても、この
被選挙権
の
制限
というものは
弊害
の
危険性
が制度上多い。
職責
の遂行上
選挙
に対する不正
行為
が起りやすいというが故に、この
被選挙権
の
制限
している部面も多くあるのであります。であるから第四十四条においても
弊害
の
危険性
が制度上多いという虞れあるもの、
職責
遂行上
選挙
に対する不公正が起りやすいといつたようなものについては、
特定
……、
一定
に限らず全般的に永劫末代でない、地区又は
最小限度
の期限を附してこれを
制約
するということは何ら
関係
ない。若しこれがいかんと言うならば、先ずこの問題から明らかにしてもらわないと筋が立たないと思う。前の問題十把一からげに、これはこういう解釈だといい工合に解釈してお
つて
、そうしてこの問題だけひつかか
つて
やるということは筋が立たないと思うのです。ですから前の筋を明らかに溝をきれいに掃除してからかからないと、やつばりこの
意見
は筋を立ててもらわんと話がわからん。
奧野健一
44
○
法制局長
(
奧野健一
君) お説のようにまあ具体的に言いますと、
知事
というものが当然、丁度たとえば
現職
の
公務員
が
現職
のままで
立候補
するということは
公務員
の
職責
遂行をおろそかにするという点及び
現職
の圧力なり、権力の濫用の虞れがある。
従つて
公正なる
選挙
を害する
危険性
があるという理由で
立候補
の
制限
をするということは、これは
憲法
四十四条
但書
の
例外
としてやはり認めて、
憲法違反
ではないというふうに思うのでありまして、それと同じような
弊害
が
離職
後も
知事
についてあるという前提が立つということでありますれば、やはり同じように
立候補
を
制約
しても
憲法違反
ではないというふうに考えております。ただ、その
知事
という制度が、或いは
次官
、
局長
という制度がそういつたような
弊害
を当然持
つて
いるものであるかどうかということについては、事実いま少し検討してみないと、ただ制度の上からだけみるとやや肯定がむずかしいのではないか。
従つて
そういう前提に立てば、やはり
憲法
に牴触する虞れがあるのではないかというふうに思うのでありまして、結局その前提の
知事
という
職責
遂行、或いは制度と
選挙
の公正という
関係
上、そういう
危険性
があるかどうかということによ
つて
きまる問題であろうかと思います。
岡本愛祐
45
○
岡本愛祐
君 奥野
局長
に伺
つて
おきたいのですが、実は
公職選挙法
を作りますときに
知事
、又大市長なんかの
国会議員
に
立候補
する準備と言いますか、
弊害
が余りに甚だしいということで、何かこれは
制限
をする必要がありはしないかという問題が起りまして、仮に私は一つの案を立てて見たのであります。それは今おつしやつた
憲法
四十四条、
憲法
五十四条、
憲法
二十二条、この
規定
をよく噛みしめた上で
憲法違反
にならないように考えてみたいということで出発した。そこで先ず或る県の
知事
を例にとりましてAの県の
知事
を例にと
つて
、A県
知事
がその任期中に、つまり四年間の任期があるのでありますが、これはまあ契約で、四年間務めますというので、この県民の投票を得て当選をした。その四年の任期を振切
つて
二年とか何かで今度は参
議院
議員
に又は衆
議院
議員
に出る。そうして直前まで務めてお
つて
事前運動的なことをや
つて
、そうしてその県の
知事
に出る。これはどうも
公共
の
福祉
に反するのじやなかろうか。なぜならば四年のこういう任期があるのですからそれを務めるべきは当然であります。それが四分の三まで務めたというならば、まだいいかも知れません。半ばならずしてやめてしまつた。そうすれば県民が又何千万という負担をして
選挙
のやり直しをしなければならない、こういうことで
公共
の
福祉
を害することになりはしないか。それで本人が而も自発的にそれをやめたと前提をする、リコールとか何かでやめた。それじや県民に信任を問うて丁度参
議院
選挙
があるから自分は出てみようというので、それは大したことではないと思いますが、而もいよいよ参
議院
選挙
に出たいなら、任期四分の三以上務めなければならんということを設けるとして、四分の三済んだ後、幸いにその時期的に半年あれば早くやめたらいい、半年前にやめよう、而もぎりぎり一ぱい務めてほかの県から出ることはちつとも差支えない。任期中早くやめてほかの県、自分のインフルエンスの及ばない自分のくにとか又自分の身寄りの人の地盤のある地区から出ることは
知事
としてのインフルエンスはないのですから、これはちつとも拘束をしない、こういうふうに考えてみる。つまり
知事
が
知事
全部じやない、任期の
一定
期間
を務め上げ得ずして、そうして自発的に退職して、而も退職してから半年ならずしてその地区から、自分の
知事
をしておつた地区から参
議院
の
地方
区に出、又は衆
議院
議員
に
立候補
するということは、
公共
の
福祉
を害することになりはしないか、こういうふうに考えてまあ一つの仮案を作
つて
みた。ところが参
議院
のほうじや皆さんの賛成を得ておつたのでありますが、衆
議院
との
懇談
会のときに、これは
憲法違反
だということが衆
議院
の連中から出まして、又それをGHQに持
つて
行つたところが、GHQもそれはいけないということでやめたという歴史がある。併しこういう問題を振返
つて
見て、今それを私のほうでやるわけじやありませんが、そういう
程度
であつたならば、あなたは今までのお説の中でいろいろ説明をしておられるそれと照し合せて見て、
憲法違反
であるとお考えになりますかお考えにならないか。それを念のために伺
つて
おきたい。
奧野健一
46
○
法制局長
(
奧野健一
君) 実はその問題はまだよく考えてみたこともございませんが、参
議院
議員
が途中でやめて衆
議院
議員
になるという問題も同じ問題であろうかと思いますが、若し
知事
の場合にあと残りだけは待たなければならんということになると、参
議院
議員
から衆
議院
議員
に出るときもやはりあと六年までは待たなければならんということになると、又いろいろ問題があるのじやないかと思います。その
知事
の場合と区別すべきかどうかというような問題についても、いま少しく研究してみたいと思います。
岡本愛祐
47
○
岡本愛祐
君 そのとき
知事
、市長……大市長ですがね、つまり任期のある人に限つたのであります。それですからそのときの衆
議院
の反駁の
意見
としてお説明の
通り
出ました。衆
議院
議員
や参
議院
議員
でもそれを振り捨てて参
議院
から衆
議院
に変る、衆
議院
から参
議院
に変るということは同じ問題になるのじやないかという
意見
もありました。だから或る
一定
期間
経つた人、つまり任期の半分経つたら変る、或いは四分の三経つたら代るという人はいいというふうにしてもいいのではないかということも考えられる、議論としてはですね……。併しそのときには衆
議院
、参
議院
も同じようにやらなければならんのですからそういうときにはどうであろうかという問題なんです。
奧野健一
48
○
法制局長
(
奧野健一
君) なおよく研究したいと思いますけれども、
ちよ
つと必ずしも
憲法違反
……、その場合にあと残りだけ待
つて
おれということが
憲法違反
かどうかという問題でございますね。
岡本愛祐
49
○
岡本愛祐
君 つまり
公共
の
福祉
をそういう人は害しやしないかという面、つまりまだ四年の任期の半分くらいも経つか経たないのに、その任期を振り捨てて今度は衆
議院
のほうへ出る、参
議院
のほうへ出るということになれば又すぐ
選挙
しなければならん。そうすると県民は二年間は損しておるわけです、費用をですね。だからそういうことがやはり
公共
の
福祉
を害するのじやないだろうか、こういうふうに考えるわけです。そこに私どもの疑問があるわけです。それは衆
議院
でも参
議院
でも同じことです。
奧野健一
50
○
法制局長
(
奧野健一
君) なお一つよく研究して見たいと思います。
若木勝藏
51
○若木勝藏君 私お二人にお伺いしたいと思いますが、全国の
知事
会或いは全国の市長会から出ておる反対
意見
の場合においては、明らかに
憲法違反
であるということを指摘しておる。ところが今お二人の御
意見
を伺
つて
おりますと、私はよくそれを突きとめ得ないのでありますが、
藤田
さんのほうではそういうふうに
制限
することは不当であるというふうな言葉を使
つて
おつたようですが、不当であるということは
憲法違反
であるということを意味しておるものであるかどうか。それから
藤田
さん……、奥野さんのほうは違憲の虞れがあるということをおつしや
つて
おりますが、これは違憲の虞れがあるという場合と違憲であるという場合とは明らかに差があるわけです。そういう点をはつきりお述べ願いたいと思います。どちらかですね。
藤田嗣雄
52
○
国立国会図書館専門調査員
(
藤田嗣雄
君) 不当であるという言葉を使
つて
おるかも知れませんが、つまりさつきからも問題にな
つて
おるように、特別のものを以て一般を、全部を律するということが
憲法
上認めがたいということを申上げたつもりであつたのですが、それから私は議論の都合上虞れとは言わなかつたと思います。
憲法違反
であると私は申上げたつもりでございます。若しも虞れがあると言つたらば私が言い違えたと思います。つまり私は議論を進める上において虞れという字を使
つて
或いはいいのかも知れませんが、
憲法違反
であると
言つて
も、最終の決定は我々としてはわからないので、最高裁の決定されるところであるというように言つたつもりであります。
奧野健一
53
○
法制局長
(
奧野健一
君)
知事
或いは
次官
というものが
選挙
の公正を害する
危険性
が当然に
職責
遂行上
只今
言われるような
関係
があるならばというふうに認定されれば、
立候補
の
制限
をしても
憲法違反
ではないと思いますが、そうでなくして
制限
をするということは
憲法
四十四条とか十四条とか等から
憲法
の精神に反するじやないか。
従つて
まあ
憲法違反
の虞れがあるのではないか。これはやはり虞れと言いましたのは、結局はこれは
最高裁判所
等によ
つて
確定されるので、そこまでこの席で断言するのは如何かと思
つて
虞れがあるということであります。
若木勝藏
54
○若木勝藏君 わかりました。もう一つお伺いしたいと思います。そういたしますと、あなたの御
意見
を通して聞いて見ますと、結局
職務
執行の上の
弊害
が伴わない場合は、これはこれを
制限
することは明らかに
憲法違反
であろう、こういうふうな御説明ですか、奥野さん。
奧野健一
55
○
法制局長
(
奧野健一
君) 丁度先ほど申しましたように、直接監督の
関係
にあるものが天降りを民間にするとか、或いは先ほど
専売公社
の例を挙げましたように、そういう一応その
職責
とそういう
関係
で
蓋然性
として相当
弊害
があるのではないかと思われるような
関係
のものについては、
憲法
に保障されておる
職業選択
の自由といつたようなものを
制限
するとか、或いは又
公務員
で
現職
にありながら
立候補
するということは、その公務をおろそかにし、なお且つ権力と
地位
を利用して
選挙
の公正を疑わしめるというふうなことになりやすいので、中には
現職
から
立候補
しても非常に正しくやる人もあるかも知れませんし、或いは
職務
上監督の
地位
におる人が天降りをしてもなおいい場合があるかも知れませんが、
蓋然性
としてまあそういう
弊害
があるというのでそういう
制約
をする、そういつたようなことが考えられるなれば
制限
をしてもいいのではないだろうか、こういうふうに考えます。
若木勝藏
56
○若木勝藏君
蓋然性
としてそういう場合があるとあなたはお認めになりますか。
奧野健一
57
○
法制局長
(
奧野健一
君) その前提はここで御認定されるよりほかないと思います。
岩木哲夫
58
○
岩木哲夫
君 そういう
職責
遂行上の
弊害
がある場合においては
憲法違反
であるということについてはこれはわかるわけですが、問題はそういう公職遂行上に
弊害
のあるような問題かどうかということについては、私はこれは議論が相当まあ細密に分れると思うのですが、私はそのことよりももう一歩前提として、
弊害
があるなしにかかわらず、いろいろの
被選挙権
のい
制限
規定
があるのであります。これは先ほどたくさん私が列挙したのですが、これも
弊害
があるかどうか。これは議論の問題ですが、この参
議院
は三十五歳とか、衆
議院
は二十五歳以上でなければ
被選挙権
がないということは、どこに
弊害
の根拠があるか、これは非常に困難な問題でありますけれども、およそ常識として衆
議院
は二十五歳、参
議院
は三十五歳というものが
被選挙権
があるということが社会通念の一般論であります。
従つて
この場合も社会通念の一般論として、大きな
弊害
の虞れある公職遂行中のこうしたものが
一定
期間
だけは一つチエツクするということは、これも又その一般概念として成立つことなんで、こういう観点から見るというと、
被選挙権
の
制限
規定
は全部
憲法違反
というならば、今までの
被選挙権
の
制限
規定
は全部
憲法違反
の疑いがある、或いは
憲法違反
である、こう言わなくてはならん。その問題には触れずにこういつた問題を列挙するということは、私はどうも解釈上にがてんの行かん点があります。
従つて
いろいろの御
意見
は拝聴しておりますけれども、どうもその点にまだ我々は徹底を欠いておるような憾みがあると思いますが、この点は私は奥野さんは明確に私
たち
に御教示願えることができますかどうか、承わりたいと思います。
奧野健一
59
○
法制局長
(
奧野健一
君) 年おの問題とかその他まあ
被選挙権
の
制約
がそれぞれ恐らく合理的な根拠があるのじやないか、まあ犯罪者であるとか、或いは又
選挙事務
の従事者であるとか、今言つた
在職
中の
公務員
であるとか、まあ今ありませんけれどもパージの問題であるとか、おのおの極めて合理的な根拠があ
つて
公共
の
福祉
から見てそういう
制限
をするのは合理的であ
つて
止むを得ないと見られることであればよろしいと思うのであります。結局
知事
なり
事務次官
というようなものについて
立候補
の
制限
が今言つたような
趣旨
で合理性ありと認められるかどうかという問題に帰着するかと思います。
岩木哲夫
60
○
岩木哲夫
君
ちよ
つと合点が行きませんが、そういつたことに合理性あるかどうかということに対する問題点だとおつしやいますが、そんならなぜ
公務員
がその
関係
営利
機関
に
就職
はできないとか、
判検事
が
弁護士
になれないかといつたようなことは、やはり
弊害
がある。
弊害
があるからそういう禁止
規定
を設けておる。これはいわゆる
職業
に就く場合、
公務員
が一般民間企業或いは関連事業に直ちに天降
つて
来るということについては
弊害
があるということは認めているから、こういうことが合理性があると確立されておる。これと同様にこの虞れがある。広い
弊害
の虞れのある者が
被選挙権
の立場に直ちに一夜にして瞬時にして塗り替えられるということも
弊害
がある、これは五十歩百歩で同じことなんです。ただ
被選挙権
の
制限
をするかしないかということが今話題とな
つて
おるから、いわゆる議題とな
つて
おるわけであ
つて
、
公務員
がその
営利
機関
とか天降りに職域に入るということは合理性がない、
危険性
がある。
弊害
があるからしてそういう
規定
が現にたくさん設けられておるのと裏返しすれば同じことなんだからやはり
公務員
が
弊害
を及ぼす直後、或いはそれと引続いてこういう
被選挙権
を獲得するということもやはり私は
弊害
がある。そこに合理性が結びつく、こういう工合に解釈できると思うのですから、ですからその点がどうももう一つぴんと来ないのですがね。どうも何とかわかりやすいようにおつしや
つて
頂きたいと思うが、僕はどうしてもわからん。
奧野健一
61
○
法制局長
(
奧野健一
君) 結局
現職
の
公務員
が
立候補
するということが
弊害
があることは、これはもう疑いは大体ないと思うのでありますが、
知事等
の高級の
公務員
がやめて間もなく
立候補
するということがそれと大体同じような
弊害
を伴うものであるという御認定であれば、そういうことになろうと思います。
中田吉雄
62
○
中田吉雄
君 お二人の方にお伺いしますが、仮に
地方
自治法を
改正
して参
議院
や、衆
議院
に
立候補
しようとする者は
選挙
の日何ヵ月前にやめて
立候補
するという
規定
はどうお感じになりますか。
地方
自治法の
改正
でですね。
奧野健一
63
○
法制局長
(
奧野健一
君)
地方
公務員
でございますか。
中田吉雄
64
○
中田吉雄
君
特別職
の
知事
ですね。
奧野健一
65
○
法制局長
(
奧野健一
君)
公職選挙法
の八十九条から……。
中田吉雄
66
○
中田吉雄
君 ええ、
関係
があるのですがね。
奧野健一
67
○
法制局長
(
奧野健一
君) 八十九条も、
現職
中はできないので、退職してから初めてできる。尤もその間に辞職の手続をすれば当然五日の間に退職したものと見なされるといつたような
規定
があると思いますが、その問題でございますか。
中田吉雄
68
○
中田吉雄
君 それを自治法の
特別職
と
一般職
と、
知事
は
特別職
というふうにしてはありませんか。
藤田嗣雄
69
○
国立国会図書館専門調査員
(
藤田嗣雄
君) ええ、そうです。
奧野健一
70
○
法制局長
(
奧野健一
君)
特別職
も
一般職
も同様に八十九条で取扱
つて
おるわけですね。
岡本愛祐
71
○
岡本愛祐
君
藤田
さんに念のために御
意見
を聞いておきたいのですが、先ほどの私の出した問題ですが、
藤田
さんも
憲法
第十四条その他の
規定
は
公共
の
福祉
に反しない限り尊重するのであ
つて
、
公共
の
福祉
に反すると認めるときは
制限
はしてよろしい、こういうふうにおつしやつた。現に
軍人
の
選挙権
を
制限
するということはまあ
公共
の
福祉
に反するから
制限
をした。結局
軍人
の
選挙権
の
制限
は
公共
の
福祉
に反するという点からしても当然だというようなお説のように伺つた。そこで
知事
が
現職
のままでは勿論どこの
選挙
区からも出られません。ところが
選挙
の直前にやめまして、而もそのやめたのは自発的にやめて、そうしてそれが自分の四年の任期のうちの例えば二年近く、そうしてそこの自分が
知事
をしておる県を
地方
区として参
議院
の
選挙
に出た、又衆
議院
の
選挙
に出た、こういうことはやはり
公共
の
福祉
に反すると言えやしないか、余りに影響が大き過ぎる。それから又四年の任期があるにかかわらず二年しか済んでいないということは、その県に対してその
選挙
に負担をかけるというような、まあそういうような見地で、結局
知事
は
立候補
するならば、その県から
立候補
するなら半年前におやめなさい、他県から
立候補
するのはちつともかまわん、又任期が満ちておる人は勿論直前でもよろしい、こういうような考え方はどうでしようか、やはりそれは
憲法
に違反するでしようか。
藤田嗣雄
72
○
国立国会図書館専門調査員
(
藤田嗣雄
君) 今の問題ですが、任期満了前に辞職するということは二十二条の公職に就く自由のほうで以て、あの裏で以てやめることも自由なのじやないかと思いますが、それでそのほうの問題はむしろ
選挙
法でなくて
地方
自治法のほうから取上げられる問題じやないかと思います。それから任期満了だというと、今の問題にな
つて
おるところの長ければ長いほどやはり
選挙
的地盤ができるのじやないかと思いますが、その県から言えばやはり早くやめる方も勢力のある方もありましようし、又任期一ばいや
つて
非常にその県にいわゆる功績を残したかたはやはり初めから何かそういう意思があるようなかただつたらば、
選挙
的のいい地盤を培養せられておるのじやないでしようか。
岡本愛祐
73
○
岡本愛祐
君 だからそういう人は
制限
しないのです。ちつとも
制限
しない。ただ任期中にみずからやめる。それは確かにやめられる
権利
はあるでしよう。あるでしようが、一応
知事
に出た以上は、任期の全部を通じて県のために一生懸命やるというのが
公共
の
福祉
に合致するのであ
つて
、勝手にやめるということは工合が悪いと私ども思う。
藤田嗣雄
74
○
国立国会図書館専門調査員
(
藤田嗣雄
君) 公職の
就職
の自由というものを今のようなことで
制限
できるかどうかということは大いに疑問があるように思いますが、病気の場合はやめてもいいのですし、つまり
立候補
するためにやめてはいかんということだけになると思います。そういうことがやり得るかどうか疑問だと思います。
岡本愛祐
75
○
岡本愛祐
君 わかりました。
中田吉雄
76
○
中田吉雄
君
ちよ
つとほかのことなんですが、知りませんのでお尋ねしますけれども、
憲法
二十一条ですね、「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。」という
関係
と、新聞にあ
つて
は
選挙
の公本前に一ヵ年や
つて
おらなければ一切の評論はできんとか、新聞協会に入らなければできんという
規定
との
関係
は、
ちよ
つと問題外ですが、どんなものでしよう。
奧野健一
77
○
法制局長
(
奧野健一
君) まあ今度の
選挙
法の新聞雑誌の報道の
制限
というのはなかなか問題があるのじやないかと思います。その点も実は……、
中田吉雄
78
○
中田吉雄
君 これは公職
選挙
の
立候補
の一年とか六ヵ月というのと……、
奧野健一
79
○
法制局長
(
奧野健一
君) 違いますけれども表現の自由、言論の保障ということとの
関係
で、やはり相当の問題はあるんではないかと思
つて
おつたのですが。
中田吉雄
80
○
中田吉雄
君 どうですか違反ではないのですか。
藤田
さんの正論だけで言うと……。
藤田嗣雄
81
○
国立国会図書館専門調査員
(
藤田嗣雄
君) 今の問題は実は研究しておらないのですから申上げられない。
中田吉雄
82
○
中田吉雄
君 一つ月曜日頃にこの問題をお願いしたい。それから奥野さんもう一遍一つ恐縮ですがお伺いしますか、ほかのことなんです、二十五人以上候補者を有する政党その他の団体等でないと政談演説を一
選挙
区で一回するとか、ポスター一
選挙
区で千枚するとか、いろいろなことができないことにな
つて
いるのですが、これも問題じやないか。例えば尾崎行雄さんのように議会始
つて
以来当選されている人も二十五人以下ということでこの
規定
できないことになるのですか。これは
憲法
上どうなんですか。
奧野健一
83
○
法制局長
(
奧野健一
君) その点も非常に問題だとは思
つて
おりますが、結局いろいろな語弊がありますが、つまらん雑誌なんかがよく出て来て困るからやむを得ずという
趣旨
だということを承わ
つて
おりますけれども、
憲法
論をいたしますとやはり相当問題があるんじやないかと思
つて
おります。
中田吉雄
84
○
中田吉雄
君 これもそういうふうな一般的な
規定
に
なつ
ちや
つて
、そうでないものもあるかも知れんし、一つこの問題も
藤田
先生月曜日でも結構ですから二十五人以下の候補者しか持
つて
いない場合は
選挙
運動ができない……。
西郷吉之助
85
○
委員長
(
西郷吉之助
君) 他に御
質疑
ありませんか。
岩木哲夫
86
○
岩木哲夫
君 今御両氏の御
意見
を拝聴しておると、結論を今この席上で出すことはどうかと思うのですけれども、結局どうも
弊害
があるというようなことが全般的に認められるならば、そういつたことも差支えないだろうというように要約できることと思うのだが、そうすると問題は
憲法違反
であるかという基本線より少し外れて、そういう
公務員
と
被選挙権
との問題に対する
弊害
があるかどうかという問題に問題点が少しずれて来ていると思いますので、
従つて
両証人のかたがたの問題点はもう尽きたような感じも持ちますので、なお必要があつたら来て頂くこともあるかと思いますが、
ちよ
つと問題点が基本線から変
つて
来ておりますので、よろしくお諮りを願いたいと思います。
西郷吉之助
87
○
委員長
(
西郷吉之助
君) それでは
参考人
のかたどうも有難うございました。 それでは本日はこの
程度
で散会いたします。 午後三時二十五分散会