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1952-07-17 第13回国会 参議院 地方行政委員会 第63号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年七月十七日(木曜日)    午前十一時五分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     西郷吉之助君    理事            中田 吉雄君    委員            岩沢 忠恭君            石村 幸作君            高橋進太郎君            宮田 重文君            岡本 愛祐君            館  哲二君            若木 勝藏君            原  虎一君            吉川末次郎君            岩男 仁藏君    衆議院議員   川本 末治君   政府委員    国家消防庁長官 新井 茂司君    国家消防庁管理    局長      瀧野 好曉君    地方自治政務次    官       藤野 繁雄君    法務府法制意見    第二局長    林  修三君   事務局側    常任委員会専門    員       福永與一郎君    常任委員会専門    員       武井 群嗣君   衆議院法制局側    参     事    (第一部第一課    長)      藤野 重信君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○消防法の一部を改正する法律案(衆  議院提出) ○消防組織法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○本委員会の運営に関する件   —————————————
  2. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) それでは只今より委員会を開会いたします。本日は予定表のごとく、最初消防法の一部改正案につきまして衆議院川本末治君の説明を求め、次に消防組織法の一部を改正する法律案につきまして、政府並びに修正案につきまして川本衆議院議員より説明を聞きたいと存じます。  消防法の一部を改正する法律案につきまして、最初川本君より御説明をお願いいたします。
  3. 川本末治

    衆議院議員川本末治君) 消防法の一部を改正する法律案提案理由の概要を御説明申上げます。  先ず改正案大要を申上げますれば、これは消防法第二十五條第二項、第二十九條第五項、第三十六條に関係を持つものでありまして、消防法規定の上から義務ずけられているところの一般民間人が、所定の事由により死亡したり、負傷したり、疾病にかかつたり、或いは廃疾なつた場合を顧慮し、これらの者のために対処しようとするものであります。即ち火災その他の災害が発生した場合、当該消防等対象物関係者、その他命令で定めてある者は、消防隊災害現場に到着するまで、消火延燒防止人命救助を行うべき義務を負わされており、そしてかような場合には、災害現場附近にある者も同様に、消火延燒防止人命救助協力すべき義務を負わされているのでありますが、これによる災厄に対して現行法上は補償規定がないのでありまして、このままでは消防法の運用上支障を来たす虞れもあり、又被災者に対して誠に気の毒であることも考えられますので、その人たち消防その他消防作業等に従事したために死亡したり、負傷したり、疾病にかかつたり、或いは廃疾なつた場合には、市町村はその條例の定めるところによつて療養その他の給付を行うものとすることを規定しようとするものであります。  なお消防吏員又は消防団員は、緊急の必要あるときは、災害現場附近にある者を消火その他の消防作業等に従事させることができることになつているのでありますが、当該災害現場附近にある者がその消防作業に従事したために死亡したり、負傷したり、疾病にかかつたり、或いは廃疾となりました場合にも右と同様に処遇されることにいたそうとするものであります。  以上本改正案提案の経過、理由並びにその大要でございます。  何とぞ御審議の上御可決あらんことをお願い申上げます。
  4. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 次に消防組織法の一部を改正する法律案につきまして、政府側提案理由説明を求めます。
  5. 新井茂司

    政府委員新井茂司君) 内閣より提出いたしました消防組織法の一部を改正する法律案提案理由を御説明申上げます。  今次の行政機構改革の一環といたしまして、国家消防庁については、その名称を変更しますと共に、内部組織を簡素化する等の必要から、国家消防庁設置法である消防組織法の一部を改正する必要があり、政府といたしまして検討の結果、成案を得ましたので、ここに提案いたした次第であります。  改正の主な点を申述べますと次の三点に要約いたされます。第一に、国家消防庁は、総理府の外局であります国家公安委員会の下に置かれるものでありまして、国家行政組織法上の外局ではありません。従いまして「庁」という名称を用いることは適当でありませんので、これを「国家消防本部」に改め、その長である「長官」を「本部長」に改めようとするものであります。  第二に、内部組織を簡素化するため、管理局を廃止いたしますと共に、消防研究所国家消防本部に附置することであります。  第三に、以上の改正伴つて関係法律中の字句整備を図ることであります。  なお、この法律が成立しました場合、国家消防庁職員である者は、別に辞令を発せられませんときは、同一の勤務條件を以て国家消防本部職員といたすこととしております。  以上が本改正案の主要な内容でありますが、行政機構改革趣旨を諒とせられまして格別の御審議を與えられ、速かに御可決あらんことをお願いいたす次第であります。
  6. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 次に消防組織法の一部を改正する法律案につきまして修正の部分につき御説明を求めます。
  7. 川本末治

    衆議院議員川本末治君) 簡單に衆議院におきまする修正の要点について御説明を申上げまするが、第一点は国家消防本部所掌事務整備を図つたことであります。国家消防本部所掌事務は、元来、消防組織法に列記してありまするもののほかに、消防関係法令に根拠を有するものはもとより、消防に関する市町村指導面における單なる事実事務として行なつていたものでありますので、これらを整備して明確にするために、第四條及び第二十條を修正しようとするものであります。  第二点は、市制施行地には財政その他の事情の許す限り消防本部消防署を設置することとしたのであります。市制施行地におきましては、原則として消防本部消防署を設置するという第九條に但書を設け、消防力平均的向上を期する次第であります。もとよりこれによつて市における消防団の存在を否定するものではありませんが、署と団と両々相待つて消防使命達成を狙つているのであります。  第三点は、消防に関する都道府県所掌事務を明確化すると共に、市町村消防育成のために都道府県知事が積極的に指導をなし得る途を開いたことであります。都道府県消防関係所掌事務につきましては現行消防組織法中殆んど何も規定がありませんので、都道府県は国と市町村との中間的の行政機関としての性格上、事実事務として消防事務を取扱つて来たことが多いばかりでなく、市町村消防に対しては勧告指導及び助言を與えることの必要も認められまするので、第十八條の二、第二十條の二を新設いたしまして、市町村消防育成のため都道府県所掌事務を法文化した次第であります。  第四点は、地震颱風水火災等非常事態の場合において、都道府県知事災害防禦のために必要な指示をなし得る途を開いたことであります。地震颱風水火災等の規模が大となつて、被害が増加し、一市町村消防力による措置ではどうしても完璧が期せられないと認められるような非常事態に当りましては、都道府県知事が、国家消防本部勧告指導助言趣旨に反しない限りにおいて、市町村長市町村消防長及び水防管理者に対して、災害防禦措置に関し、必要な指示を與えることは妥当と認められますので、第二十四條の二を新設した次第であります。  第五点は、都道府県設置訓練機関に関する義務制の問題であります。都道府県消防職員及び消防団員訓練機関については現在は任意設置制となつておるのでありますが、教養訓練の重要なることは申すまでもないうことでありますので、都道府県單位又は数府県共同での義務設置制に改めることであります。  以上簡単でございまするが、修正趣旨説明を申上げた次第でありますが、何とぞ御了承の上よろしく御審議のほどをお願いいたします。
  8. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) それでは消防法の一部を改正する法律案につきまして御質疑をお願いいたしたいと思います。
  9. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 只今説明を承つたのですが、これの修正案その他から見ますると、相当、府県における消防或いは町村における消防組織なり、事務なり、或いは訓練なりを強化しようとなさるようですが、この財政的裏付のほうはどういうふうな措置をせられたのか。その辺の関係一つつておきたい。
  10. 川本末治

    衆議院議員川本末治君) お答えいたしますが、今の消防補償の問題に関しましては、従来も消防団員の場合には、これは特別平衡交付金を以て昨年の鹿兒島県災害の場合などは出してもらつております。今までの例から行きましても大した額には上つていないように考えられまするので、市町村財政が許しますれば、独自のものでありまするから市町村でお支拂を願うことになりまするが、できない場合には政府のほうでもよくその点は了解を衆議院のほうでは得ておりますが、特別平衡交付金を以てこれに充てるということで大体措置はできるのじやないか、かように考えておる次第であります。
  11. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 そこの特別平衡交付金というと、何かいわゆる特別な場合のあれなんですが、これはいわゆる全般的な一般的な平衡交付金算定の中ではどういうような財政措置をとつていられるのか、その点を一つ……。
  12. 川本末治

    衆議院議員川本末治君) 御質問趣旨はちよつと私……特別平衡交付金はどういうものに充てはめることができるかという御質問でございますか。
  13. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 いや、私は今度新らたにこの法律によつて、例えば消防訓練とかそういうようなものが、例えば府県によつて義務ずけられるわけですね。従つてそういう義務ずけられるようなものはこれは特別平衡交付金でみるというのはおかしいのであつて、やはり各府県共通の問題であるのですから、丁度義務教育と同じように一般平衡交付金のいわゆる普通平衡金の中で十分算定基準を設けて考慮すべきものでなかろうかと思うのですが、その辺の関係措置はどうなつているかということです。
  14. 川本末治

    衆議院議員川本末治君) その点につきましては、すでに本年の場合には二十七年度の平衡交付金算定はもうきまつておりまするので、将来の問題といたしましては御趣旨の点至極御尤もと思いまするので、私ども今日の場合におきましてはやむを得ませんので、市町村財政から一応支拂いを願うことにして、不足の分は特別平衡交付金と、かように臨時的に考え措置をいたした次第でございまするが、次年度におきましては十分御趣旨のようにするのが当然であろうと、かように考えられますので、十分御趣旨のように我々のほうにおいても努力したいと考えております。
  15. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 重ねてお伺いしたいのですが、今年は財政的な措置というものは特別に考えていないから、従つてまあ一般町村が何とかやりくつて、やりくりのできないところは特別平衡交付金考えようと、こういうお話のようですが、追加予算か何か、要するに消防組織法をお作りになつてそういう修正をなさるときに、その点について大蔵当局と何かいわゆるこの分については、将来平衡交付金の、例えば来年度なら来年度、或いは補正予算があるなら補正予算において十分増額を考慮するという、こういうような話合いはなかつたのですか。その辺はどうですか。
  16. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 高橋さん、便宜上最初消防法質疑を……
  17. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 ああそうですが。
  18. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 組織法はその次にしたいと思います。
  19. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 これは川本さんでおわかりになつていればお答え願いたい。若しおわかりになつていなければ国家消防庁のほうから統計によつてお答えを願いたいのですが。本件に該当するような一般の人、そういうのはどのくらいあるものか。それから民間人がこういうような事由によつて死亡したり、負傷したり、疾病にかかつたり、又廃疾になるような場合は一年間にどのくらいあるのですか。
  20. 新井茂司

    政府委員新井茂司君) 消防協力をいたしましてそのために災害を被むるというようなことについての全般的な統計は現在整つてございません。併しながらそう多くないということは言い得るのでありまして、而もそれは偶発的にしか出て来ないような状態で発生しておるのであります。最近の事例を一、二申上げますると、本年の二月に北海道で四十五歳になる者が火災の発生に駈けつけまして殉職をした事例がございます。又四月の末にも岩手県の赤沢村というところにおきまして、消防作業協力中、屋根が落ちたために一名死亡したという事例があるのでありまするが、遺憾ながら現在のところ全般的な統計ができ上つておりません。
  21. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 これはやはり国家消防庁の職責として消防統計に関する事項というのがあるのでありますから、こういうものはやはり整理しておいてもらいたいと思うのであります。一般人消防協力して死亡したり、負傷したり、廃疾なつたりというようなことは消防統計の重要な事項ではないかと思うのです。  それから川本さんにお尋ねするのですが、まあ條例市町村が定めて給付を行うようにしようと、こういうわけですが、この標準というようなものは、どこでどういうことになるか。どういうふうにお考えになつておりますか。
  22. 川本末治

    衆議院議員川本末治君) この給付標準に関しましては、別に御当院のほうへ、警察協力しました人の一般人災害補償法律案をお願い申上げておるのでありますが、それなどを大体中心に参酌いたしまして、今までの従来の労働基準法などを参酌して、そして市町村できめてもらうようにしたいと、こういう考えでおりますので、額にいたしますると、大体死亡した場合に一時的に、大体一時金になるのですが……、怪我の程度によつて二十万とか五万円にしたい、こういうふうに考えております。
  23. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 それでは大体條例の定めるところによつてやらせるのだから、その市町村の状況によつてまあ差異ができても仕方がない、別に標準なんかこういうものだから定められないと、こういつたことだと思うのですが、その御意思でありましようか。
  24. 川本末治

    衆議院議員川本末治君) 大体御質問のように思うのでありますが、これらの点につきましても、従来も消防団員などの場合にもありますけれども、そう大きな差異町村によつて付けられないだろうと思いますので、一般市町村のものはほぼ基準国家消防庁のほうから何してもらえれば、それで市町村はそこまでやかましく言わなくてもやつて行けるのではないかというので、そういうことがないように立案者のほうとしては考えておる次第でございます。
  25. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 御承知の通り消防組織法の第十五條の四に、これは消防団員非常勤のものが公務によつて死亡し、負傷し、若しくは疾病に罹り、若しくは廃疾なつた場合の損害補償規定が過般の改正によつて設けられておるのであります。それはその市町村消防吏員の、つまり非常勤でない消防吏員のほうの例に準じてやれということで大体標準がこれできまつて行く、消防吏員を置かない市町村にあつては、財政その他の事情の類似する他の市町村消防吏員に準ずる等々丁寧に書いてあるわけであります。今度のような立法であれば、そういうことは一切書いてないのでありますから、今、私が言いましたように、この市町村財政上のいい悪いによつて適当にというふうにどうしても読める。これについてまあ国家消防庁のほうで標準を定めるというわけにもこれはできないだろうと思うのですが、なぜそういう消防吏員の例に準じとか何とかいうことをお入れにならなかつたのか。その点を伺つておきたいのです。
  26. 藤野重信

    衆議院法制局参事藤野重信君) 只今の御質問の点につきまして立案担当者といたしまして一言御説明申上げます。明日多分御審議頂く予定になつておりまする警察協力援助した者の災害給付の場合におきましては、先ず国家警察関係については政令で定めるということで政令に讓つておる。それから地方関係におきましては條例できめるのでありますが、その政令規定参酌して定めるという規定がございます。ところで、ここでその参酌も落してあるというのはどういうわけかというのは、当然御質疑が出ることと思いますが、私どもの一応の考えといたしましては、消防におきましては消防準則というものが従来ございまして、国家消防庁準則に大体則つてやるという規定の仕方がきめられておりますので、参酌ぐらいの程度であれば、まあ参酌してもしなくてもいいということにも殊更に言えばなるわけでございますので、準則でいいのじやないか。もつと拘束力を持つた規定の仕方なら別としまして、まあそういうふうに一応考えたわけであります。そういう関係で、この点についてはまあ意識的にその規定を設けなかつたのであります。こういう点御了承頂きたいと思います。
  27. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 改正法律案の案文を読みまして、提案理由の御説明を承わつて、大体常識的に人情的に考えて無理のない改正であると考えられるのですが、もう一つの付議されております消防組織法の一部を改正する法律案に対し、修正理由及び説明衆議院としての速記録のこれは抜萃かと思われるのでありますが、それによりますると、討論の場合においてのこれに対する反対意見内容は書いてありませんが、どこの政党は反対したとか或いは賛成したとかいうようなことが書かれておるわけでありまして、大変参考になるのでありますが、只今質問中の消防法の一部を改正する法律案については反対論等討論採決の場合にありましたかどうか。若しあつたとすれば反対者の論旨はどういうところにあつたかということを、一つどちらか、川本さんからお聞きするのがいいのか、或いは消防庁のほうからお聞きするのがいいのですか。或いは一応今日来るときにこういうものは我々のほうで調べて来るべきであつたかと思いますが、専門委員会のほうで衆議院速記録等がありましたらお示し願いたい。参考にしたいと思います。
  28. 川本末治

    衆議院議員川本末治君) 今の御質疑に対しましてはたしか反対党の御意見としては共産党だけでありまして、討論はなかつたように記憶いたしております。
  29. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 共産党だけですか。
  30. 川本末治

    衆議院議員川本末治君) そうです。
  31. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 もう一つお尋ねしておきたいのですが、これは文句の末でどうでもいいようなことですが、この「條例の定めるところにより、療養その他の給付を行うものとする。」とあるのです。その前に「そのため死亡し、」ということが出ているのですが、死亡に対しては療養でないのだから、字句の問題とすれば、何といいますか、「弔慰療養その他の給付を行うものとする、」と、こう行くのが当然だと思うのですが、なぜそうなさらなかつたのか。それを伺つておきたい。
  32. 藤野重信

    衆議院法制局参事藤野重信君) お答え申上げます。只今の御質問誠に恐縮次第でございますが、私ども立案のときの考えといたしましては、一応一般的に療養その他死亡弔慰金、それから廃疾と申しますか、そういういうふうなものも多少あるだろうけれども、この際、文面に出すのは療養だけで、あとは一応省略して條例等に詳細を讓つたらいいのじやないか、そういう考えで例示的に療養だけをやつた次第であります。或いは療養死亡を入れたほうがいいと思いますが、一応そういうふうにしたというふうに御了承をお願いいたしたいと思います。
  33. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 まあ言葉の末だからどうでもいいのですが、法律案の体裁としては、死亡最初に出ているのだから、「弔慰療養その他の給付を行うものとする、」とするのが、当然ですね。そうでなければ、わざと弔慰を避けたように規定上は見えて、まずいと思うのですがね。
  34. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 この中に消防団員と、それからこういう場合に弔慰するということになつているのですが、一般人消防団員協力してこういうような災害を受けた場合にはどうなるのですか。その点についての関係はどういうふうになりますか。
  35. 川本末治

    衆議院議員川本末治君) これは一般人のものを規定いたした法案でございまして、すでに団員その他のものは消防法規定されております。それで一方におきましては消防協力しなければならないことを法律義務づけておいて、何らのそれに補償がございませんので、それで一般人のものでございますから、どうぞ御了承願います。
  36. 原虎一

    原虎一君 弔慰療養費の支給ですね、これは年間どのくらいの予算で、どの程度のもので、どのぐらいの経費を必要とするのか。例えば「療養その他の給付を行うものとする。」それで條例で定めるわけですが、大体療養費半額にするのであるか。全額にするのであるか。弔慰金ならばどの程度のものにするのであるか。そういうところを一定の標準を置いて考えれば年間予算どのくらい必要とするのか、御説明願いたいと思います。
  37. 川本末治

    衆議院議員川本末治君) お答えいたします。その数字につきましては便宜上国家消防庁のほうで調査したものがあるので、国家消防庁のほうから……
  38. 新井茂司

    政府委員新井茂司君) これらの給付市町村條例によつて給付をいたしまするので、その予算市町村予算に相成りまして、而もこれは市町村によりましては、これらの事例というものが年間非常に僅かなものでございますので、毎年一市町村当りどの程度のものができるかということは全く予測できない事情にございます。従いまして一時に或る市町村にかかる事故が起りまして、そうして莫大なる給付をしなければならんということに相成りますと、市町村財政に相当響くわけでありまするが、一方におきましてあらかじめ予定することができませんので、これらの経費特別平衡交付金を以て裏付をするというふうにいたしたいと考えておるのであります。
  39. 原虎一

    原虎一君 特別平衡交付金でやるということは決定されておるでしようか。そういうお考えだけであつて、その点はお考えだけなんであるか。その点をはつきり願いたい。
  40. 新井茂司

    政府委員新井茂司君) この点は地方財政当局のほうとも折衝をいたしておりまして、異論がないようでございます。
  41. 原虎一

    原虎一君 これは特別平衡交付金で結構だと思いますが、実際は保險制度が理想的じやないのですが、保險制度にするということは考えられないのですか。僅かの数だから特別平衡交付金でやつたいいというお考えなんですか。保險制度の問題については全然お考えなつたことはないのですか。その点お伺いしたい。
  42. 新井茂司

    政府委員新井茂司君) これと非常に似通つております消防団員給付に関しましては、保險制度趣旨を汲みまして、只今府県毎に消防団員公務災害援護会というような組織を作ることといたしまして、市町村が互いに救済し合う制度を勧奨しておるのでありますが、一般人協力の場合の給付につきましては、事例消防団員の場合に比較いたしまして極めて少いこともありまするし、又どの程度給付をしなければならんかというはつきりとした見通しも只今つきかねますので、只今はそういう保險制度のものを以てそれを救済するということは考えておりません。併しながら将来の問題といたしましては、相当の経験を積んで、そうして運営上の自信がつきましたときに、やはり保險制度というものは十分考慮しなければならん問題だと考えております。
  43. 原虎一

    原虎一君 療養その他の給付を行うという、條例に対する基本的な政令を作る御意思はあるのかないのか。町村に委しますと自由ですね。或る県は非常に療養費全額財政全額持てる、半額しか持てないという、まちまちのものができるということは、折角こういう法律作つても無駄だと思いますね。特別平衡交付金でやる場合には基準を設けなければいけない。それ以上のものとか、基準療養費半額基準として特別平衡交付金を支出するとか、この点は、やはり一つの法を作る以上は政令によつて條例基準を作らなければいかんと考えるのですが、その点の用意はどういうふうになつておりますか。
  44. 川本末治

    衆議院議員川本末治君) 今の点でございますが、これは先刻どなかの御質問にお答え申上げておきましたように、労働基準法又は明日あたり御審議頂きます警察官に一般人協力いたしました場合の災害給付等のものを基準として参酌いたしまして、そうしてこれらを標準にして準則を定めて、そうして市町村のほうに国家消防本部から示してもらうようにするよりほかには、御承知のように消防市町村のものであるから、そうしてそれによつて條例を拵えてもらいたいということにいたしたい、かように考えておる次第であります。   —————————————
  45. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 消防法の一部改正につきまして御質疑がなければ、この法案の質疑はこの程度にいたしまして、消防組織法質疑に入りたいと思います。  なお消防法の一部を改正する法律案につきましては午後再開の最初討論、採決に入りたいと思います。では消防組織法の一部改正案につきまして御質疑をお願いいたします。
  46. 館哲二

    ○館哲二君 組織法の一部改正ですが、私は消防組織法ができたときには参画しておらないのでありますが、大体自治体消防という行き方で、日本の消防に関して官僚的な中央からの統制を外して、画期的な行き方をしたということになつているようであります。各地方における消防関係の者も、その意気込みで自治消防の特色を発揮しようというのでやつている。そういう際でありますから、できるだけその気持を伸ばして、自分の町村を自分の手で守るのだという気持を伸ばして行かなければならないと思うのでありますが、今度のこの改正をなされます際には、そのお気持は十分考慮の上であるとは思うのですが、その点は如何でございましよう。
  47. 川本末治

    衆議院議員川本末治君) 御趣旨通りに我々は考え改正案提案した次第であります。
  48. 館哲二

    ○館哲二君 法全体から見まして、私どもちよつと受ける印象は、中央の統制と言いますか、又中央から府県を通じての各自治体に対する消防の統制が少し強くなり過ぎているのではないかというような感じを受けるのですが、如何ですか。
  49. 川本末治

    衆議院議員川本末治君) 見方によりましては衆議院におきましてもそういう御議論を拜聽いたしたのでありまするが、私どもといたしましては決してそういう考えを全然抱いてもおりませんし、なおこれはすでに御承知のように従来も国家消防庁のほうで殆んどいたしておりました問題は、ただ規則の上にはつきりされていなかつたためにいけなかつた点と、それから府県関係の問題でありまするが、各府県消防課を設けておつて相当指導をいたしておりまするが、これ又現状は御承知のように町村單位のものでありまして、消防団に対しましては見方によりますると非常に封建的な思想を持つておる諸君もないとは言えません。そこに又かなり革新的な気持のかたもおありになるのですが、そこでどちらかと言いますると、今のままでおきますると個々ばらばらのものになりまして、一たび災害などの大きな問題が起きましたときなどにも、何かどこか拠りどころが必要じやないかという意味から、改正全般を、御質疑のようにちよつと見た感じは、何だか府県が権限を多く持つてみたり、国家消防本部のほうが非常に指令を出すようなことが、勧告助言などがあつて、如何にも干渉することが多いようなふうに受取られますけれども、十分御検討頂きまして現状の消防団を御研究頂きますると、私どもはこの程度指導助言は與えてやらなければ真に育成し得ないのじやないかというような気持から、かような改正を試みようとした次第であります。
  50. 館哲二

    ○館哲二君 まあ今のお話がありましたが、現在の各町村消防団が或いは封建的な空気が残つておるかのようなお話があつたのですが、私ども関係しておる地方消防団の様子から見ますると、今日は非常な民主的な行き方をしておりまして、その意味の心配というものはないような気がするのであります。非常な自分の自治消防としての行き方を貫いて行きたい、それを強化して行きたいという熱意に燃えておる際であります。ですから、それに余り冷や水をかけるような行き方をするということはどうかと思われます。今お話がありましたように非常災害などの場合に各連絡をし、協調を保つて行く、一致協力して行くということの必要であることは尤もだと思うのであります。その意味におきまして、今度の改正の中に都道府県知事の幾らかの勧告なり、或る場合における指導というようなことについて織込んであるということは、私は非常に賛成なのでありますが、ただその行き方につきまして、先ほど申上げましたような空気が漂つているのじやないかというような気がするものですから、その点について御意見を、御修正になりましたお気持を拜聽しようと思つたのであります。
  51. 川本末治

    衆議院議員川本末治君) この点につきましては只今申上げましたように、どの点がどうであるかという御質疑にお答えを申上げて行かないと、私ども考えは毛頭そういう考えは持つておりませんので、只今委員の御質疑のお言葉の中におきまして、現在の地方消防団の中には相当民主的な新しい空気があるものもあれば、又一面、消防団員は如何なる法律の下において如何なるものが行われておるということをすら知らないような消防団の幹部も必ずしもないとは言えません。私は消防に関しましては極めて日は浅いのでございまするが、而して当選似来衆議院におきましては消防委員長をいたしておりまして、全国あらゆる会合や又講習などにもお邪魔して見まして、いま少しく消防団員の諸君には指導を十分にしてあげなければいけないのじやないかというようなことは常々考えるのであります。これは、はつきりした事例を申上げるとお差障りがあるかも知れませんけれども、岐阜県などへ参りますると、今でも警察の中に消防が同居をしておるというようなことが一つも不思議でなく行われておるというような実例などを考えて見ましても、又この府県知事の会合で白晝公然と消防警察の下に置くべきではないかというような知事があるというようなことを、而も知事会議の席でそういうことが言われるというような現状にありましては、折角消防警察というものが同じ資格を以て発足をし、警察は今日のごとき極めて微力な現状でありまするが、過去三年におきまする消防育成されて来た現状を見ますると誠に微々たるものでありますので、私どもといたしましては、これを一層過ちなからしめるようにこの際親心を以てよく指導してあげるような何か拠りどころを考えてあげないといけないのじやないかという気持から、いろいろな各條的に手を入れて見た次第でございまするので、飽くまでも中央にその力を持つて来させるというような考えはございません。ただ府県知事が指導助言などの勧告をいたしまする場合に、これを国家消防本部長の指導勧告の線に反するものじやいけないという言葉を入れましたことなどが、或いは何だか中央からの線に紐をつけたのではないかというようなお気持もおありになるかとも思いますが、それはただ府県まちまちの、ばらばらになりますること自体を憂えての今日の改正でございまするので、穏健な中央からの指導の面などに余りに突飛な方向にならないようにすることがいいのじやないかと思いますることは、極端なこれは実例でございまするけれども、公選の知事でありまする以上、これらの諸君が選挙などに際しまして必ずしも消防団員を悪用しないとはこれは保証できません。過去におきましてもそうした実例は、悪い例は二、三ございまするので、私どもそういう意味合いから、中央から紐のついたような感じのようになる点も考えていたしましたような次第でございます。
  52. 館哲二

    ○館哲二君 今川本議員からのお話で、私は今度の改正案が根本的に悪いという意味には申上げないつもりであります。現在お話のように消防団員がもつと啓発して行かなければならん、従つて地方における消防訓練機関、教養機関を充実して行かなければならんというような問題は非常に必要だと思うのであります。それと共に今までお話があつた或る知事の、どこかの会合でありますか、警察の下に入れなければならんというような話が我々の地方にも伝わつて、非常などうもシヨツクを起したというような問題もあることを承知しておるのであります。只今お話申上げましたように、全体として折角発達して非常な意気込みに燃えているのに、折角いい改正ができながら、それに水をかげるような形になつて消火が少し過ぎるというようなことになつてもどうかと思うのであります。その意味で一つこれからお聞きしたいと思つておるのであります。
  53. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 今ちよつと衆議院のこれについての議事録を調べて見ますと、政府から出しました消防組織法の一部を改正する法律案は、ただ單なる行政機構の改革に伴うところの名称の変更だけの問題であつて、大した内容を含んでおるほどのものではない。ところが衆議院におけるところの修正案は極めて重要なる内容を含んでおるものであつて衆議院修正案がむしろ重点を置かるべきところのものになつておるということを言つている人があるのでありますが、全くそれは私その通りだと思われるのであります。それで衆議院政府原案に対するところの修正案について、国家消防庁の諸君はどのようにお考えになつておるかという点の一つ意見をお漏らしを願いたい。  それから、もとより衆議院委員会における討論採決における反対者、社会党及び共産党等の諸君の言つておるところも、私が見ましたところ相当に論拠があると思うのです。これは傾聽すべきものがその中に含まれていると思われます。例えば統計の下に情報というようなものを持つて来てやるところの必要はないのじやないかというように、社会党左派の八百板君が言つておられます。それから共産党の諸君はこういういろいろな消防指導に関する重要なる多くの規定を設けたのは、これは消防の器具屋との利権あさりの結託が基礎になつておる。要するにポンプ屋なんかとの結託からこういう案を出して来ているんだということの、まあ共産党一派の暴露的なことを立花君などが言つておりますが、これは私は賛成とも反対とも、今ここに、にわかに申しませんが、併し必ずしも全面的に否定し去り一蹴し去る無価値な私は推測であるとも考えていないのであります。長官はもとより終始衆議院のこの修正案を、衆議院のほうで出された政府案の修正案には大した問題はありません。衆議院川本さん等が中心になつてお出しになつたところの修正案は、今申しまするように極めて重要なる事項を含んでおると思われるのであります。終始御出席になつてそうした質問討論等は長官は十分よくお聞きになつておると思いますので、それを中心としての国家消防庁側の衆議院修正案に対する御見解、又問題になりました反対者が申述べましたようなこと、その一例は只今私申しましたが、そのそれぞれについて政府側としてはどういうようはお考えになつているかということの御所見を一つ披瀝願いたい。
  54. 新井茂司

    政府委員新井茂司君) 私の意見ということでございまするので、忌憚のないところを申述べさせてもらいたいと思います。全般的に申しまして、我々といたしましては、衆議院おいて修正されましたものには異議はございません。特にこのたびの修正されました重点となりましたものにつきましては、我々として希望しておつた点と合致いたすのであります。このたびの修正案の第一の重点でありまする消防都道府県並びに都道府県知事が参與するということでありまするか、これは従来消防市町村自治に相成りまして、而も都道府県並びに知事がそれに関與する方法が極めて薄かつたということにつきましては、いろいろの弊害があるように思うのであります。大雑把に申しまして、国といたしまして従来国家消防庁というような機関を置きまして、市町村消防を常時管掌せしめておきましたゆえんのものは、恐らく消防の責務というものは市町村の負うべきものであるといたしましても、やはりその善意、良否というものは国家に至大なる関係があるので、特にこの機関を設けてやらせることだと我々は考えているのでありまするが、そういうことから申しますると、都道府県、或いは知事というものは国家以上にこの市町村に近い関係があるのでありまして、管内の市町村消防の良否というものは、都道府県或いは知事に至大なる関係があるわけでありまして、国においてもかようなる処置を講ずるといたしまするならば、それ以上の意味におきまして、やはり都道府県、或いは知事というものは管内の消防の発展向上というものに関與する途を開くのが適当ではないかというふうに考えているのであります。なお、さような意味におきまして、このたびの修正案におきまして、都道府県並びに知事が消防のことについていろいろと関係を持ち、指導に当るというようなことは結構だと思うのであります。それから、このたびの修正案の中で、都道府県知事火災或いは地震台風というような非常事態の起つた場合におきまして、緊急の必要があるときは、消防機関に対しまして災害防禦措置に関して必要な指示をするということができるという強い権限を認められることと相成りました。これも実は従来の経験から照しまして、相当大規模の災害に相成りますると、一市町村のみの力を以てしては処置できない場合が多いのでありまするし、又あらかじめ協定を作つておくということにいたしましても、なかなか十分に行われ難いというような事情もありまして、かような強い指示が行い得ることとなりまして、災害防禦の力を集結できるようになりましたことは、誠に我々といたしましても、希望いたすところであるのであります。  それから、それに次いで重要な事柄は、市に原則として常設の消防機関を設けるということであるのでありますが、現在の消防上最も憂慮すべき状況にありまするものは、言うまでもなく都市であります。特に中小の都市の状況であります。大火はいずれもこれらの中小の都市に起つているのでありまして、その原因を検討して見ますると、消防力が非常に微弱である。都市を守るための消防としては力が足りな過ぎるというようなことが見出されまするし、特に消防団のみを以てこの防備に当るということは、消防団の性格からいたしましても、消防団のみの責任にするということは無理な点が生じて参るのでありまして、消防団の上に大きくプラスする力を加えるということをいたしませんと、都市の消防というものは十分な責任を果し得る状況になり難いというふうに思うのであります。従いまして、特にこの都市の消防で最も必要でありまする時間を迅速にして災害を局地にとどめるということのために、常設の消防というものを原則として置くことといたしまするならば、消防団の力と協力をいたしまして、災害の防禦に非常な貢献をすることができると信ずる次第であります。さような重要な事柄につきましては、我々国家消防庁といたしましても深く念願するものでございまして、なお一般的に申上げますれば異議のないところでございます。
  55. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 なお私がお尋ねしたことに対する御答弁がないのですが、ちよつとこの速記録を読みますと、こういうことが言われておるわけであります。先にお伺いしたい点だけを抜いて、余り長くなるようですから……。読み上げて見ますが、「総選挙の迫るに従いまして、この法案はやはり選挙に利用しようとする意図は明白だと思います。従来の選挙におきましても、地方消防団が與党の線に沿つて動いたことは明白なんです。而も選挙法によりましても、地方公務員の選挙運動は全面的に禁止いたそうといたしておりますが、消防団員に対しては何ら制限がありませんので、全国的な消防団組織を作り上げまして、それに公然と選挙運動をやらせまして、今度の総選挙に臨もう、こういう意図は明白だと思うのです。このように、この法案は警察を一体化しまして、政府が人民を彈圧する、」これはまあ私は賛成でありませんから省略しておきます。併し以上述べました選挙運動との関係があり、地方公務員は選挙運動は中止されているけれども消防団員はそうでないので、これに使わそうということについての御答弁を第一に伺いたい。  それから、この次にこういうことが書いてありまするが、「選挙対策であることは明白なんでありますが、而もそれにからみまして、一部少数議員が、自己の、全く利己的な立場から、或る消火器具の製造業者と結託いたしまして、全国的な消火器具の販売網を作り上げようとしていることは、全くこれは腐敗、堕落の極みだと私は言えると思います。」これもさつき申しましたように消防に対するいろんな定期刊行物等を見ますると、大体においてその発行の財源はポンプ屋さんのようであります。で、ポンプ屋との何らかの危險性がありはしないかどうかということを露骨に言つておるのですが、私はこんなに露骨に断定的なことは言いませんが、併し世人が或いはそういう疑いの眼を以て見ておる人も実はないではないと思いますから、そのことにつきましての自信ある一つ御答弁を願いたいと思います。まあ、ほかのこともありますが、その二つだけ一つ御答弁願いたい。両方からお聞きいたします。川本さんと国家消防庁長官からも承わります。
  56. 川本末治

    衆議院議員川本末治君) 最初にそれでは私からお答え申上げます。第一点の、消防団員一般地方公務員と区別しておるのはどういうわけかというように承わりました。これはもうずでに吉川さんがよく御承知のように消防団員一般公務員と同一に過去において取扱つて来ておつたことが非常に苛酷であるという意味合から、先般消防法改正のときに、特に公職選挙法の面で、これはその枠を外して頂いたことは、その当時の委員の皆さんがたはよく御承知のことでございまして、決して地方公務員の選挙権に対して云々と言つておる矢先に消防団員に対してのみ新らしく選挙権を附與しておるわけでも何でもないわけであります。従来消防団員は公職選挙法によりましては立候補することが自由にできるような趣旨に相成つておりますので、何ら今回の改正において、これに特別の方法を講じたことではございません。それから第二の、これは、はつきり申上げますると、共産党の、衆議院におきまする立花委員が言つた言葉であると信じまするが、これは大変立花君はどこかで考え方を違えて来て誰かの投書によつてその話を、ああいう演説をしたというので、私はこの委員会で演説しましたことを後で立花君、君の話は少しおかしいじやないかと、そういう事実は、どこで君は何の根拠で言つたかと言うと、実は投書をした人間があつたんで、それで多分そんなことがあるんじやないかと思つて僕はやつたんだ。それは君一流の話で以てそういう事実は何びともしないし、なお特に衆議院地方行政関係の、特にこの消防などに関係をしておられた人たちに対しましては、何びとも、消火器業者、又はポンプ業者などといろいろな因果関係のある人はただの一人もございません。この点につきましては、私、衆議院地方行政委員の、私の関係をいたしておりまする消防関係の諸君を代表いたしまして、はつきりと、衆議院地方行政委員の名誉のために申上げる。責任を以てこれは御答弁申上げておりまするが、共産党の立花君の言動のごときは、全く自分が一投書によつてせられたことでありまして、我々衆議院委員におきましても、一名もそういうことに関係をしている者もなければ、又国家消防庁のいろんな役人などに、そういう因縁を持つている者もないことを重ねて御答弁を申上げておきます。
  57. 新井茂司

    政府委員新井茂司君) 今度の衆議院修正法案が選挙に関連して行われるのではないかというお話でございますが、我々はさような感じを受けておらないのであります。消防団員が個人といたしまして政治活動、特に選挙運動等をすることは、これは勿論、前の国会の法律改正によりまして自由に相成つたところでありまするが、一面我々の指導といたしましては、これは我々から始まつたことではなく、従来の消防関係のある先輩の方々の指導から引続いてさようであつたのでありまするが、消防団の中に政治を入れる、消防団として選挙に熱中するという、又選挙に係わるというようなことは極力排撃をいたしているのであります。個人としてやるのはこれは勿論当然でありまするし、結構でありまするけれども消防団が政治団体化する、或いは政治色を帶びて参るというようなことは望ましいものではありませんので、これは排撃をいたしているのであります。従いましてそういう線でいろいろな指導をやつているのでありまするが、消防団の優劣をきめる基準の中にも、そのことを特に重要視いたしまして、消防団が政治的であるということはマイナスである。そういうものは消防団としての資格がないとまで極言いたしまして、指導をいたしているのでありまするが、さような考えを我々は持つているのでありまするけれども、このたびの修正案を拜見をいたしまして、選挙或いは政治というものにさようなる事柄は何ら受けておりませんので、これはその心配がないのではなかろうかと信ずるのであります。なお消防の用に供する設備、器械、器具等の性能試験を都道府県でやるように、修正案で相成つておりまするが、これも市町村といたしましては、やはり他のもつと設備の整つたものを持つているところに性能試験をやつてもらつて、そうして安心をして使いたいというような希望が多いわけでありまするし、又ものによつて国家消防庁の試験に持つて来るというのも具合が悪いという事情もあるものもございまするので、都道府県にこのことをやらせるといううことは、やはり便利であろう、且つ有益であろうと考える次第であります。
  58. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 第一の消防団員の政治運動のことにつきまして、川本さん及び消防長官から御説明がありましたが、川本さんの御答弁では、本来消防団員というものは政治運動ができることになつておつたというようなお話でありましたが、これは長官の御答弁にありましたように、最初は要するにできなかつた。国家公務員としての制約を受けておつたのでありますが、のちほど改正されてできるようになつたんで、これは長官が言われた通りであります。もとより川本さんよく御承知のことだと思いますが、ちよつと聞いておりますと、そうでないようなお言い方でありましたから、その点をはつきりいたしておきたいと思います。お二人とも消防団員が政治運動ができると、国家公務員の制約から外れて、できるということと、この政党の選挙運動との実際上の関連性が全然ないというような御答弁でありましたが、そういう御答弁ももとよりお座敷答弁としてはできると私は思いますけれども、これは私の見るところお座敷答弁でありまして、政治運動や、選挙運動の裏の裏まで知つておりまする私からいたしまするというと、必ずしも現実に即応したところのものでないと考えております。明らかに消防団というものは各選挙区におきまして、それぞれ有力な、特に意識水準のどちらかと言えば低い政治運動の有力なる地盤であり、又選挙運動の前衛的な活動を有力に展開いたしておりますることは事実でありますから、そういうことから無関係であるということは、私はそのようには考えておらぬ者であります。併しそれは認識の相違でありますから、これ以上は御答弁を得たいとは思いません。  それから府県が新たに消防器具の検定に関するところの権限を持つ規定に、衆議院では政府案から全く離れた大修正、或いは新法案を御提出になりまして、そういう要綱を列挙的にお掲げになりました中へ入れていらつしやるのでありますが、これは共産党の立花君にも言うていることであります。私はもとより共産主義には反対の者でありますが、併し先ほど申しましたように、立花君が言つておりますることは、これは全面的には否定する自信は持ちません。ありそうなことだという気もいたします。又世間の人もありそうなことだと思つている人は私以外にも相当あると思います。明らかに消防に関するところのいろんな運動には、財源として経済的にポンプ屋さんが応援いたしておりますることは事実であるということは、大体世間の見ているところではないかと思います。これにつきましてお座敷答弁以上の御答弁を得ることはむずかしいことだと思います。又立花君が言つておりますように、誰かが臭い関係があるというようなことは、私は衆議院の諸君はいずれも紳士でいらつしやるということは信じておりまするから、そんなことは考えませんし、そんな大胆なことは立花君のように申しておりません。併しそれ以上の御答弁を得たくありません。要求はいたしません。併し長官にこの際もう一つお尋ねいたしたいと思いますことは、消防組織法警察法と同じように、やはり自治体警察市町村消防というものが本位になつておるような法律になつておると思うのでありますが、先ほどの御答弁にもありましたように、都道府県が余り深く介入しておらなかつたことは、政府としては遺憾と思つております。ところが衆議院修正案ではありません、これは有力なるところの新法案であります。忽卒の間に突如としてこういうような修正案、新法案をお出しになつたのだろうと思いますが、この新法案では、都道府県が非常に有力なる権限を持つて、自治体本位に運営されておつたところの消防組織指導権を持つようになつたということには、賛成であるという政府の御答弁でありましたが、これは大きな問題であると思います。いいか悪いかは、これは突然こういう修正案討論の間際に出して来て、そしてイエスかノーかの決定を早急の間にするのは、余ほど私は考究を要する問題であると思います。これは現在の消防に関するところの法律消防法及び消防組織法の基本的なあり方に触れて行くところのものであると思うのであります。基本的なシステムをこれは変えて行こうというところの、極めて重大なる、改正案ではありません、衆議院の特にお出しになつたこれは新法案であります。我々は十分これは検討しなければならんと考えております。併し今私は、私の論断をここに申上げることは避けますけれども、お尋ねいたしたいことは、警察法を改正して、自治体警察本位の警察行政のシステムから、国家地方警察の権限を強化して行くというようなことにつきましても、いろいろの異論はありますけれども、ただ併し警察行政の対象になつておりまするところのものが、市町村という極めて狹い限定されたところの地域の出来事ばかりではありませんから、それのほうはむしろ広地域に、例えば府県地域に、或いは国家本位に犯人の捜査その他のようなことを考えるというようなことについての合理性は、十分に一面において考えて行かなければならんと思いますから、長官の先ほど来のお話にもありましたように、消防行政の対象になりまするところの火災ということは、これは警察行政の対象でありまするところのものに比べまするというと、地域的には極めて狹いものである、市町村單位で、市町村中心で考えて行つて私は十分なものであると考えるのであります。そういう観点からいたしまするというと、この衆議院修正案にあらざるところの、現在の消防に関する法令の原体系を基本的に破壊しようというところのこの新法案は、極めて重大な意味を持つておるものであると思いますが、これについての政府の御意見、及び要望は、飽くまでもやはり市町村單位で考えて行くのがいいのじやないか、そんな広範囲の府県というようなところに中心を置いて、そこに強い権限を持たすというようなことはよくないのじやないかと、私の意見として今申上げるわけじやありませんが、そういう意見が十分成り立ち得ると思いますが、それについて多少先ほどお述べになりましたけれども、もう一度はつきり一つ詳細にあなたの、政府意見を述べて頂きたい。吉田内閣意見を述べて頂きたい。
  59. 新井茂司

    政府委員新井茂司君) 只今の御意見を拜聽しておりますると、私の先ほど申上げましたことが、言葉が足りなかつたために、結局私は全く同じ気持でおるのじやないかというような気持さえ持つのであります。併しもう一度はつきりと申上げまするので、繰返すようになりますが、申上げたいと思います。消防制度が改善をされまして従来の警察機構の中にあつた、而もその警察機構の、いわば一種の国家警察機構であつた中から分離いたしまして、完全なる市町村の自治の仕事として発足をいたしたわけであります。この消防市町村の自治の仕事として今後もやつて行かなければならんということは、現在においても少しも変つておりません。消防を真に今後充実せしめようと考えますならば、やはり消防の対象とする火災、この火災の防圧組織という点に重点を置きまして、市町村に基礎を置かなければなりませんし、その市町村を愛する気持というものが凝つて消防の充実となつて参るのでありまして、この市町村の自治の根本に立たなければ、消防は今後発達充実して参ることはできないと信ずるのであります。ただこの修正案に関連して申上げたいのは、かようにこの消防というものは、将来におきましても市町村を基盤として、その自治の仕事として発展向上を期さなければ相ならないのでありますけれども市町村自治ということから陷りがちな欠点というものは、やはり是正する必要があるのではないか、その陷りがちな欠点と申しますことは、消防に非常に理解を持つて、その充実に努力をしておりまするところにおきましては、これが異常なる発達振りを示しておりまして、自治の成果を十分に挙げておるのであります。併しながらこれは例外でありまするけれども、一部のものにつきましては、自分のままになるということのために、消防の充実、又はいろいろな技術的な事柄等につきましても、放任の状態になつてしまいまして、そうして一大事を惹起すという虞れがなくもないとところも間々あるのであります。勿論これは一般的な傾向ではございませんが、さようなところもあるわけでございまして、さようなところにつきましては、この市町村関係の深い都道府県、又は国のようなところにおきまして、消防の充実向上のためにいろいろの刺戟を與えるとか、或いは指導を與えるというようなことが必要となつて参ると思うのであります。併しこの際におきましても、飽くまでもそれは市町村の自治というものを壊してはならない。統制をしたり、或いは監督をするというような、そういう方式ではなくして、飽くまでも市町村消防の発選を刺戟するような方法、又指導するような方法、力添えとなつて行くという、その自治の建前というものを育成して参るという方法で以つて協力して参らなければならんと思うのであります。今後都道府県消防に関與すると申しましても、都道府県單位の消防組織を作るとか、或いは都道府県が管内の消防を指揮監督するというようなことではなく、管内の市町村消防に、そういう意味において協力をするという制度を作るならば、一面におきましては市町村の自治消防という建前を破壊することなくして、今後の発展を期待することができるのではなかろうか、かように考えておるのであります。飽くまでも今後の消防市町村の自治消防として、その土台の上に立つて発展を期さなければならんと信じておるものでございます。
  60. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 まあ一応承わつておきます。
  61. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 もう時間が経ちましたから、このくらいにして午後にお延ばし願いたいと思うのですが……。政府提案につきまして質問するために、法務府の法制意見局第二局長、林君が見えておりますので、それに対して便宜上少し質問したいと思うのであります。林君にお尋ねしますが、この消防庁長官が代つて読みました木村国務大臣の説明要旨に、「国家消防庁国家公安委員会の下に置かれるものであつて国家行政組織法上の外局ではありません。従いまして庁という名称を用いることは適当ではありませんので、これを国家消防本部と改めた」と、こういうふうに言つておる。そうすると、この国家消防本部というものは、国家行政組織法上、国家公安委員会の何に当るのか。それを先ず御説明願いたい。
  62. 林修三

    政府委員(林修三君) これは消防組織法上、従来も国家公安委員会国家消防庁を置くという工合になつておつたわけでございますが、このときにおきましても、国家行政組織法上の外局国家公安委員会でございまして、国家消防庁はその国家公安委員会の下に置かれておつた機関になつておるわけでございます。従いまして、従来といえども、やはり国家行政組織法の上から申せば、外局についてのみ庁という言葉を使うことから言えば、多少適当でない点があつたかと思うのでありますが、これは御承知のように、消防組織法のできましたきのいろいろな沿革もございまして、最近まではそのままになつておつたのでございます。今回行政組織全般に亘りましてこの規定整備をいたします際に、やはり国家消防庁というのは、外局の機関である関係上、庁という言葉を使うのは余り適当ではないのではなかろうか。かように考えまして、別な名前にいたしたわけであります。従つてこれは国家行政組織法上何になるかということでございますが、行政組織法で申せば、国家行政組織法では、三條で、省と庁と委員会というものを置いております。庁と委員会とは省の外局である。こういうことになつておるわけであります。そのほかの機関といたしましては、行政組織法の八條に、いろいろまあ俗に附属機関と申しておりますが、いろいろの種類の機関を法律で置き得るようになつております。それから九條で、地方支分部局を置き得ることになつておりますが、これは地方支分部局でないことは明らかでございます。結局これは八條の機関である、かように申さざるを得ないのではないか。かように考えております。
  63. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 そうしますと、国家消防本部というものは国家公安委員会の下に置かれておるのであるが、国家公安委員会の内部機関であるか、外部機関であるか、附置機関であるか、何ですか。
  64. 林修三

    政府委員(林修三君) これは内部機関じやないことは明らかでございますが、国家行政組織法上、外局外局を置くという制度を認めておりません。従つて外局外局は結局その八條の機関ということになりますので、外局外局でありましても、或いはいわゆるその附属機関でありましても、どちらも八條の機関として扱つておるわけであります。性質から申せばこれは国家公安委員会の一種の外局的な性質を持つておるものだと思いますけれども、行政組織法の上から申せば八條の機関、広い意味の附置機関と言わなければならんと思います。
  65. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 そうすると、国家消防本部国家公安委員会外局的存在であるが、外局外局であるから、外局とは言わず、第八條の機関、広い意味における附置機関である。こういう意味ですね。そこで、今度はお尋ねするのですが、これは従来からの欠陥じやないかと私考えておつたのですが、国家消防庁というものができた以上は警察法における国家公安委員会の職務権限といいますか、警察法の第四條ですね。これに洩れていやしませんか、権限が……。
  66. 林修三

    政府委員(林修三君) これはまあ立法技術のいろいろ問題があると思うのでございますが、警察法は大体まあ警察を主として考えておりまして、警察法上の国家公安委員会の権限がすべて第四條に列記してあるわけでございます。そのほかにこの消防組織法法律におきまして、国家公安委員会国家消防庁を置いておりましてここで公安委員会が、この一種の……、具体的な権限はこれは消防組織法を御覧になりましておわかりのように、具体的な権限は国家公安委員会は持つておりません。消防庁長官の任命権、或いはその人事に関する権限だけでございまして、具体的な権限は消防組織法から申せば消防庁の権限になつております。併しそういう意味におきまして、やはり、任命権を持つております関係で、国家公安委員会に関する組織規定警察法で全長網羅するとすれば、そういう点がおつしやる通り抜けておつたのであります。これはどちらも、警察法は警察に関する法律でございますし、消防組織法消防組織をきめた法律でございまして、必らずしも警察法の四條の規定では国家公安委員会組織法と……、まあ組織法をきめてはおりますけれども、独立した組織法とまではなつておりませんので、かように二つの法律に亘つて書いてありましても、これは両方読めばわかることでありまして、おつしやる通り立法技術上には問題はございましても、必らずしもとやかく取上げて言うほどのものではないのじやないかと考えております。
  67. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 それから今度は、国家消防庁という名前をやめて、国家消防本部となるのですね。で、まあ一般の観念とすれば、本部があれば支部があるというのが大体の観念ですね。まあそうは言えないという理由説明して頂きたい。国家消防本部には支部がないのですね。それでも本部と言つていいのかということを説明して頂きたい。
  68. 林修三

    政府委員(林修三君) まあ何という名前を付けたらいいかということは、いろいろこれは議論のあるところでございまして、国家消防庁というふうに、庁という名前が付けられないとすれば、何という名前を付けるか、これは本部があれば支部があるべきじやないかというお話でございまして、これは誠にお説御尤もでございまするが、従来のいろいろの官庁の名前の経緯を見ますと、例えば新給與実施本部というものが一時ございました。これも必らずしも実は支部を持つておらなかつたわけでございまして、各省からいろいろ人を集めて、そこに本部を作つて新給與実施をやる機関を置いておる。あの経済安定本部というものも、これもまあ多少総合調整というような意味で、本部という意味を、実は名前を付けておりました。まあ皇宮警察本部というものも、皇宮警察のあれではございますけれども、それに対照すべき支部をもつているわけではない機関もあるわけでございます。本部という名前が適当かどうかということであります。これは問題があろうかと思いますが、必らずしも支部がなければ本部という名前を付けてはならないというほどのこともないのじやなかろうか、一種の官庁の名称としては従来使われている例もあるのではなかろうかと、かように考えております。
  69. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 皇宮警察本部の例が出ましたが、この皇宮警察本部は京都のほうにやはり出先を持つておる。これは小さなものなんでありますが、支部というほどのこともないと思いますが、とにかく支部という、出張所とか、分遣所とか言つておる。それから経済安定本部のほうは、この経済、何と申しますか、調査庁……、調査庁じやない、出先機関です。そういうものがやはりある。今度のは国家消防本部地方出先機関は何もない。そこで本部という名前があることによつて、何かこう地方に出先機関を持つておるような気持、つまり今吉川さんが言われた地方府県消防課というものが出先なんだというような気持じや困るのですが、その点はどうですか。
  70. 林修三

    政府委員(林修三君) 今の皇宮警察本部の場合、或いはその経済安定本部の場合でも、必らずしもその本部に対する地方機関というほどのものではないのじやなかろうか。例えばそのように存じます。経済安定本部の場合でも、地方経済局、或いは管区経済局は、やはり中央経済安定本部の中の機関でございまして、その中でいわゆる本省と又地方に分れております。経済安定本部という名称は、いわゆる本省機関だけを指しておるわけではございませんで、全体を包含した名称になつております。いわゆる省と同じような意味の名称になつております。これは官庁の名前の付け方でございまして、一種のそういう……、多少総合調整的な仕事をする役所では、本部という名前をつけることは、今までも例のあることでございまして、この国家消防本部は勿論地方に自分の出先機関を持つておるわけじやございませんけれども、やはり国家的見地で多少いろいろの指導等をやることになつております。こういう意味においては本部という名前も必らずしも不適当ではなかろう。まあいろいろと名前の付け方はあると思いますが、かように考えております。
  71. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 もう一つお尋ねしておきますが、警察関係の国家地方警察本部につきましては、その長を本部長官と、こう言うのですね。
  72. 林修三

    政府委員(林修三君) そうです。
  73. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 これは警察の任命権を……、第十二條に「国家地方警察本部に、長官を置く。」で、今度のこの政府提出の改正案法律案では、この長、国家消防庁長官国家消防本部長に改める、こういうふうに言われるのですね。片一方は、警察のほうは長官消防のほうは長、同じ本部でもそういうふうに区別をしてあるのですが、これはどういう理由ですか。
  74. 林修三

    政府委員(林修三君) これは別に実は法律的な問題ではないのでございまして、むしろ或いは行政管理庁のほうからお答えすべきかとも思いますわけでございますが、結局この警察法、国家公安委員会……、その下におきます部局でありますところの国家公安委員会、国家地方警察本部及び国家消防本部の仕事の内容、或いは仕事の分量、大きさといつたようなものから考えられたものじやなかろうか。行政管理庁において、或いは野田大臣の下において、そういうお考えの下にこういう名称にされたようにされたのじやなかろうか。こういうふうに考えております。
  75. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 そうしますと、本部長官というような、殊に国家行政組織法上の中にあるのと、本部長というふうになつておるのと、そこには軽重の差がある。片一方は規模が大きく、重く、片一方は規模が小さくなる。従つて低いから、この職階制なんか随分違いが出て来ますか。
  76. 林修三

    政府委員(林修三君) これは職階制は必らずしもその名前で付くものではございませんで、仕事の内容から参るわけでございまして、職階制上この長官と長で違うかどうかという問題は又別問題であろうと存じます。国家行政組織法の上では長官というのは外局のものだけに認めております。その意味におきましては、この警察法のほうの国家警察本部長官も必らずしも行政組織法上の名称ではございません。警察法で特に與えた名称でございます。それで、その仕事の内容によりまして軽重が出ておりますのじやなかろうか、かように考えまして、必らずしも名前だけで、名前は多少そういうことを現わす意味も多いのでございますが、名前のみを以て職階制の格付けがきまるものではこれはなかろうかと思つております。
  77. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 そういたしますと、他の国家行政組織におきまして、この本部長というのは皇宮警察本部長というのがありますが、そのほかにありますか。
  78. 林修三

    政府委員(林修三君) 只今のところは、ほかにはなかつたかと存じております。ちよつとはつきり記憶しておりませんが、大体考えましたところ、本部長というような名前の職はなかつたかと思います。
  79. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) それでは午前中はこの程度にいたしまして、午後は一時四十分より再開いたします。これにて休憩いたします。    午後零時四十七分休憩    —————・—————    午後二時十三分開会
  80. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) それでは委員会を再開いたします。国家消防組織法の一部改正案につきまして質疑を続行いたしまして、後ほど消防法の採決をいたしたいと思います。  なお消防団からの要望事項がございますから、専門員から御紹介申上げます。
  81. 福永與一郎

    ○専門員(福永與一郎君) 北海道消防協会長であり、岩見沢市消防団長でありまする深見松太郎君ほか、宮城、栃木、神奈川、千葉、その他の各県の消防協会、及び消防団の代表者から、消防組織法一部改正法案に対して修正を要望する陳情書が出ておりますから、それの要旨を只今御報告申上げます。  「今回衆議院を通過した消防組織法の一部改正法律案は、自治体消防を本旨とする法の精神に反し、徒らに国家消防本部の権限の強化擴大が見受けられ、自治体消防の官僚統制に陷る危險が大であるのみならず、ややもすれば都市消防を偏重して、消防団を軽視し、消防署を優先して、義勇的消防団を従とする傾向を助長せられるのは甚だ遺憾である。かくては消防組織法制定以来、折角成長しつつある自治消防の基盤を根底より破壊するの素因ともなる虞れがあり、我々消防団員が等しく納得し難いところである。我々はここに全国二百万消防団員を代表して、これが修正方を強く要望する。どうぞ貴院、つまり参議院におかれましてはこの事情を御賢察の上、万全の御措置をお願いいたしたい。」かような趣旨で、改正案の中で第四條の第九号の「斡旋」を削除すること、第四條第十三号の「消防功労者の表彰に関する事項」を削除すること、第九條但書を削除すること、第十八條の二、第六号の「消防功労者の表彰に関する事項」を削除すること、それから第十九條を「市町村消防国家消防本部及び都道府県知事の運営管理又は行政管理に服することはない」というふうに修正すること、第二十條及び第二十條の二の国家消防本部長及び都道府県知事が行う指導助言は現行の通り、要求があつた場合に限定すること、もう一つ最後に第二十四條の二の都道府県知事指示権は、法第二十四條第二項により、関係者が協定しある範囲において行うことに限定すること、以上の諸点につきまして、始めに申上げましたように修正方を御配慮願いたいという趣旨のものでございます。
  82. 館哲二

    ○館哲二君 今読み上げられましたその消防団のほうからの陳情の趣旨が全く私ども考えている方向なんでありますが、今度のこの衆議院においての修正案の全体の骨子については、私はこれは疑念は実はないのでございますが、それで先ほどからちよつと御質問申上げましたように、この自治消防というものの本来の性質が何か中央なり、何なりで統制をされ過ぎるという、自治消防の本来のあり方が傷つけられるという心配があるのであります。その意味においてまあ御質問を申上げてみたいと思うのでありますが、最初の第四條のこの九号、「及び斡旋」という文句が入つて来ておるのであります。これはまあ非常に資材がない時期などにおきましては、これは斡旋ということはあり得たと思うのでありますが、今日になりますれば、特に中央の官庁である国家消防本部側がその権限として斡旋ということまで書き上げる必要がないのではないか。却つて斡旋などと書いておくということが、午前中に吉川委員から御質問があつたような誤解を起すようなことにもなるのです。又現在の規定でも「斡旋」ということが多分二十條かどこかにあつたのでありますが、或いはそういう誤解を起すことを考えると、そういうことを除くことも必要かと思いますが、ここに特に列挙的に「斡旋」というものを一つ加えて、新らしく行くというほどの必要はないのじやないかというふうに思うのであります。
  83. 川本末治

    衆議院議員川本末治君) この点につきましては、便宜上国家消防庁のほうから、従来これを取扱つておられました方面から、一つ御答弁を頂くことにいたしたいと思います。
  84. 新井茂司

    政府委員新井茂司君) この第四條の中に「斡旋」の項目を挙げまして、国家消防庁所掌事務の中にとして明記することになりましたのは、一つには法文の体裁の点からだと考えるのでありますが、従前からも第二十條に、消防庁は「機械器具及び資材の斡旋をすることができる。」ということに相成つておりまして、やつておつた事柄であります。勿論この法律の制定されましたときには、物資の統制の嚴しかつたときでありまして、消防のあらゆる器具機械というものが統制されておりましたので、我々のほうで消防に関しましては、この代表機関といたしまして、消防のほうに斡旋をしておりました。その後、統制が次第に外れまして、つい、この間までありましたガソリン類も統制が外れることとなりまして、現在は何もなくなつたわけであります。この法律に基くものの統制による斡旋というものは、現在はありません。  併しながら、それでは全然ないのかと申しますると、やはり国家消防庁として行わなければならんようなものもまだ一、二残つておるのであります。例えば駐留軍関係の自動車等を拂い下げを受けまして、これを消防ポンプに変改するというようなときに、やはり我々のほうでそれを斡旋してやつたほうがよい場合が残つておるのであります。こういうことを現在まあやつておるだけでありまして、その他のものの多くは外れておるのであります。今後の国内における物資の需給状況がどういうふうに変化して参りまするかわかりませんが、非常に窮屈になりまして、やはり国家機関において斡旋をして参るほうがよろしいという時代になりましたら、さような方面に努力する考えでおりまするが、そうでない状態で推移いたしまするならば、我々といたしましては、かような方面の事柄はむしろ消防協会その他の団体において行うということが適当であると考えておりまして、国家消防庁において行なつたほうが適当、或いはその必要があるというものだけについてやるというふうに取扱つて参りたいと考えております。
  85. 館哲二

    ○館哲二君 まあこの問題は、特にここに列記された中に新らしく付加えるということが、著しく内容的にはそう大したことでもないのに、著しく何か斡旋の仕事に乗り出すようなふうに見受けられます。二十條にすでに「設備、機械器具及び資材の斡旋をすることができる。」というのがあれば、ここに挙げる必要もないのじやないかということも考えられるのであります。その一点。  それから、その次には、その同じ列挙されておりますうちで、十三の消防功労者の表彰に関する事項というのでありますが、この消防功労者の表彰というのは、国がいつ頃からやつておられたのでありますか。前に私ども関係しておつたのでありますが、何大臣かが会長になつてつている時分でも、恐らくは国がやつたのじやなくて、その団体が私はやつておつたと思います。何々大臣の名前じやなかつたと思いますが、その点はどうですか。こちらの長官から一つ
  86. 新井茂司

    政府委員新井茂司君) 前に内務省のありましたときにおきまして、内務大臣賞ということで行なつておりましたものは、たしかお言葉のように、或いはあの団体の……。
  87. 館哲二

    ○館哲二君 消防協会……。
  88. 新井茂司

    政府委員新井茂司君) その賞としてやつておられたように私ども了解しております。我々国家消防庁におきましては、国家消防庁の発足いたしましたあとで、たしか二十四年からだと思いますが、全国の消防団の中で、特に優秀と認められるものを表彰することといたしまして、その功労をねぎらい、又一般の刺激となることをも考えまして、表彰するということをいたしたわけであります。
  89. 館哲二

    ○館哲二君 これは意見を申上げるのもどうかと思いますけれども、私どもは、やはりこれは民間に消防協会というのができておるので、今まで消防協会かずつと表彰を続けてやつておるのだというときに、若しも国が表彰をもう少し効果的にしようというなら、それに適当な保証でも與えられるという行き方があるのじやないかと私は思うのでありますが、その意味において、私は、国が消防功労者の表彰をするという規定をこの仕事として挙げられるのはどうかというような気がするのでありますが、これは私の意見であります。  その次に、もう少し気のついたところだけ御質問申上げますが、第九條のこの規定の但書、先ほどの消防団からのあれにも但書を削つてくれということになつておるのでありますが、この但書を入れることによつて、何か消防本部なり、消防庁が必要であつて消防団が必要なのじやないというような印象を受け易いのであります。恐らく書かれたかたは、その意味において、消防団も必要なものだということだと思うのであります。併し全体の消防の行き方としては、自由消防が私はやはり根底にあつていいのじやないかということを思うのであります。殊に私は冨山県ですが、今度の水害の場合などを考えまして、單純に消防署の僅かの人の活動よりは、義勇消防団の活動というものを非常に痛切に必要さを感じさせられております。それから鳥取県の際は、私は、はつきりしたことはどうも最近の事情は知らないのですが、これは消防団がたしかなかつたのじやないかと思うのでありますが、やはり單純に僅かの人数の消防署だけが存在して、消防団がないということは、完璧を期した消防陣営ができないというふうに思うのであります。本来のこの第九條のそのままの規定で行つて、その必要に応じて、その全部又は一部を設置するのだという書き方でいいので、特にここに市としては消防本部及び消防署を設置しなければならないのだという書き方をして、このような誤解を起すよりも、却つてないほうがいいと思いますが、どうでしよう。
  90. 川本末治

    衆議院議員川本末治君) 御承知のように全国で二百七十八の市の中で、すでに二百十七が消防本部を設置しておりまして、僅かに末設置の所は六十一市しかありません。そこで私どもこの問題は衆議院で相当議論がありまして、如何ようにしようかというので、かなり研究をいたして参りましたが、結局消防団がしつかりしておれば、消防団そのものがすべてをやつて行けばいいじやないかという意見と、今の近代都市の形成をしておりまする、いずれにしても戸数が相当小さい都市でも殖えて参つております関係上、そこに常時常任の消防かいませんと、火災の発見などについても、相当そこに、現在の日本の木造家屋の面から行きますれば、御承知のような現状ですから、成るべく早期発見という意味からしまして、消防団だけでなく、実際の活動は消防団によつてやられるのだけれども、その最初消火の発見するようなことについての予防査察というようなことをやらせるには、常時常任のものを置いたほうが置かないよりはいいのじやないかという考え方なのです。それならば前の法文のままでいいのじやないかという御意見も出るかと思いますが、なかなか日本人は御承知のように、どこかで、けじめを付けておきませんと、私の浅い経験ではございますが、地方の理事者は、とにかく火事がないから消防は要らないという考え方を持つているということが言い得ると思います。消防があるから火事がないのだという考え方でないところに、本年度になつてから松阪市とか、小田原、又は鳥取のごとき、全く鳥取のごときはこの第九條を悪用しておつたような形があるのでありまして、そういう面でなく、真に消防というもののあり方の、要は予防消防に重点を置いて頂くために、九條を今までの任意でなく、併しこれも財政の伴わないところはやらないのであつて、一応財政事情の許す範囲でお置きになつて、そうして大分市などへ行つてみますると、あそこは常設消防はあります。あるけれども消防団長なり連合団体が一切の指揮をとつて、これは市会議員ですが、相当正副団長ともそれでおやりになつているように私は調査に行きましたときに見て来たのでありますが、そういうふうに行かれる意味においてこれを置いたらどうか。これは但書をかように直したらどうか。かような單なる考えで私ども直した次第でございます。
  91. 館哲二

    ○館哲二君 まあ今のお話で、全国二百七十余の市があと僅か六十ほどになつておるというならば、現在のままで勧奬よろしきを得ればだんだん設備もできて行くのじやないかというように思われるのですが、ときに今あなたの言われた誤解を起し易い但書を付加えるまでのこともないと考えるのです。これは私の今考えている意見なのでございますが、先に進んで行きまして、この十八條の点ですが、私は都道府県消防についてまあ或る意味の立場をはつきりさせるということは、非常に必要だと思うのであります。今まで全然これが抜けておつたということはこれは事実上或いは消防課というものを設けておき、地方課で消防の仕事をやるということをやつていながら、何か明文化されたものがないということは、非常にあれだと思うのです。できることは非常に結構だと思うのでありますが、ただそれにつきましても、先ほどから申上げますように、余り都道府県がそれに関與し過ぎるという行き方は、よく注意して行かなければならんということを考えるのであります。その意味で並べてあります三の「消防に関する市町村相互の連絡調整に関する事項」というのがあるのです。これは「連絡」は意味が大いにわかるのですが、「調整」という意味は、これはどういうことを意味せられるのでありますか。ちよつとお聞きしたいと思います。
  92. 川本末治

    衆議院議員川本末治君) 今の第十八條の二の第三項の「市町村相互の連絡調整」この「調整」という文字でありまするが、これは余りにも町村によりまして、消防の隣村との比較上かなりひどいところもあるというような場合、これをうまく隣りと均衡のとれるように調整をして行きたいということから、それをやり得るように、ここにそういう文字を入れておる次第でございます。
  93. 館哲二

    ○館哲二君 まあ今のお話ですと、その横にあります四の「消防施設の強化擴充の指導及び助成」という問題も解決できると思うのです。ただ連絡調整というのが、とかく調整が行過ぎになり易い傾きがあるのを私ども心配をするのであります。併しこれもなかなか議論といいますか、いろいろな考え方があろうと思いますが、私はそういう感じを受けます。  それから、これは前にも申上げたように、六の「消防功労者の表彰に関する事項」というのも、先ほど申上げましたような意味において、府県知事が消防功労者の表彰をやるということよりも、むしろそのところどころにあります消防協会がやつて、知事がそれに副賞でも出すというような行き方のほうが、面白味があるのじやないかというような気持がすることも申上げておきたいと思います。  それから、この二十條の問題なのですが、これは従来は、都道府県知事、又は市町村長消防長から要求があつた場合には、消防に関する事項について指導又は助言を與えることができるというふうになつておつたのが、今度は、特にこちらから要求がなくても、適当な指導なり、助言を與えるということになつておるのです。これは、前に市町村なり、又は都道府県に関して国家消防本部長から勧告ができるのだということがありとすれば、その上に、更に指導助言というものが、従来通りに何か要求があつた場合に行くというような行き方のほうが穏当なのじやないかと思うのでありますが、これを変えられましたお気持を一つ……。
  94. 川本末治

    衆議院議員川本末治君) この点は、前のほうの今の国家消防庁のほうから大体助言勧告ができるからいいのじやないかという御意見のように拜聽いたしまするが、国家消防庁それ自体が全国の現状から行きまして、極めて少数な人間で取扱つておりまして、各府県の各町村にまでなかなかそう手が行き届いていないという憾みは、これは一応お認め頂けると思うのであります。そこで、そういうことと相待ちまして、町村消防団から、要求をして来るところは要求をしてなかなか発達して行きまするが、先刻申上げましたように、火事がないから消防は要らないという無用の長物視しておりまする地方の理事者というものは、なかなか要求どころじやないのでありまして、現状から行きますると、消防団長それ自体が、一体消防組織法消防法の区別すらも付け得ないような団長が必ずしもないと言えない。私どもは日本消防の現状を憂えまして、でき得る限り行き過ぎにならないように、国家消防本部長の助言勧告の線に副う程度までは、要求がなくてもこれを、或る程度までの助言をしてやつてもいいのじやないか。やれるようにしてやらなければ、実際の消防育成して行くのに親切な方法にならないのではないか、かように考えまして、この面を修正いたしたような次第でございます。
  95. 館哲二

    ○館哲二君 これは一応その前に勧告ができるようになつておりますが、その上に更に指導をして、助言を與えて行くというほどの必要はないのじやないか。余りこれが行き過ぎることになりますと、先ほどから申上げている消防の行き方について差支えが起つて来はしないか。中央の統制が強くなりはしないかというような心配をされるのであります。  その次に、二十條の二の新らしく都道府県の知事が必要に応じて勧告をする、そうして更に指導助言もするというような行き方、これなどにつきましても、私は先ほど十八條の二が設けられることに対して賛意を表した意味と同じ意味において都道府県知事市町村に対して勧告をせられるということは、これは非常に結構だと思われますが、これも今申上げましたように、指導助言にまでも及ぶということはどうかというような気持がするのであります。これは大分そういう程度まで必要だという御意見と、それほどではないという意見との違いがあると思います。ただその二十條の二の指すところの、この場合における勧告或いは指導助言は、国家消防本部長においての勧告指導及び助言の精神に副うものでなければならないというように書いてあるのですが、これは何か中央からずつと町村の末端まで、本部長指示なり、勧告なりが矛盾なく通らなければならないという意味だと思いますが、これはそういうことを書いてあるために、何か中央が町村の末端まで統制をし、何らかの力を及ぼすのだという誤解が起りはしないか。却つて知事がやる勧告助言と矛盾したものが起りそうもないことを思いますれば、特にこの規定もなくてもいいのじやないかというふうに思うのでありますが、如何でございましようか。
  96. 川本末治

    衆議院議員川本末治君) この点につきましては、最初には私どももこれを設けずに、いろいろ検討いたしておりまする間に、午前中にも一言触れておきましたように、公選の知事でありまするために、いろいろな党派の人が出ておる。従つて極端なことを申上げますると、この場合、共産党の知事はおられませんけれども、若しも共産党の知事が出て来て、これがこの法を悪用した場合に、一体どうなるかというようなことまでも考えました結果、一応今、館委員の御懸念のように、国家消防本部長の、どうも紐つきの勧告助言でなければならんような感じを與えるということにつきましては、私どもも誠に言葉を返すこともできない状態でございますが、事実は、趣旨はそこにはございません。ただ今後公選知事というものがなくなれば、これは別でありまするけれども、現在の状態にありまする以上は、或る程度までは国家消防本部庁の言う線に副つて助言勧告をしてもらいませんと、権限を高度に発揚せられることのほうが、国民に及ぼす、地方府県民に及ぼしまする悪弊は大であろうと、こういうことを天秤にかけて参りまして、多少の何かそういう御懸念はありましても、本質においてそうでない以上は先ずこの法を置くべきほうがいいのじやないかということに衆議院のほうでは意見が多数になりましたので、かようにいたしました次第であります。決して中央統制ということを考えたのではない、その逆を考えてやつた次第であります。
  97. 館哲二

    ○館哲二君 まあ今の御発言を聞くにつけましても、私はやはり都道府県知事のやりますのは勧告にとどめておいたほうがいいので、余り指導をしたり、助言を強力にやられるというのはどうか。やはり現在の第二十條にありますのと照応して、消防庁からの要求があつた場合においてのみ指導をし、助言を與えるというほうがそこの危なさがないのじやないかというように思うのであります。  それからまあちよつと疑問のあります点をもう少し言わして頂いて、あとのかたに御質問願いたいと思うのですが、二十四條の二でありますが、これはまあ大災害の場合で、非常に結構だと思うのでありますが、この二十四條の規定であらかじめ災害に際しては災害の協定ができておるわけであります。でありますから、この災害措置に関して必要な指示をすることができるというのは、余り任せ過ぎた措置をやられても困ると思うのでありまして、ここに何か少しはつきり付加えておいたらどうかというように考えられるのですが、まあたとえて申しますならば、この四十條の二項の規定による協定の実施、そのほかの災害防禦に関して必要な指示をするというような行き方というものがどうかと思うのでありますが、その点はどういう考えでありましようか。
  98. 川本末治

    衆議院議員川本末治君) この点につきましては、私どもは現在のところかように定めておいても弊害がないというふうに考えておりまするが、若しこれに対しましてのいろいろな実際の取扱い上、法執行の上におきましての何か支障ができて来るのではないかとか、行き過ぎになるのではないかというようなお考えの点については、むしろ実際その衝に当つておりまする国家消防庁政府委員の人の意見を聞いて頂くことのほうが妥当じやないかと、かように思いまするから、そのほうから一応御説明をして頂くことにいたしたいと思います。
  99. 新井茂司

    政府委員新井茂司君) 非常事態の起りましたときにおきまして、市町村の要するに消防の勢力を総合して運用しなければ災害防禦措置ができないというような法律に関する立法措置が、従来不完備であつたように我々は感ずるのであります。その意味におきまして、この地震とか台風、水火災難の相当大規模の事態が起りまして、一市町村の力のみを以てはやれないというようなときには、止むを得ざる措置として都道府県知事災害防禦措置指示することができるようになりましたのは、非常に結構なことだと思うのでありますが、これはお言葉のように、濫用されますると、とんでもない弊害もまた生じて来るので、相当嚴格な條件が必要だと考えます。第二十四條の二を見まするとその條件がかなり規定されておりまして、この指示をする場合は非常事態の場合でなければならんし、又緊急の必要があるときでなければならない。それから、その指示災害防禦措置に限られる。そういう限定がなされておりまする上に、なお、こういうときにおきましても、国家消防本部長の行う勧告指導助言趣旨に副うものでなければならないというふうに、相当に嚴格に規定せられておりまするので、これをそのまま行うということになりますれば大きな弊害はないのではなかろうかと思います。又このことは、やはり厳格にこの條件のうちにおいて行わなければならん問題であると考てえおります。
  100. 館哲二

    ○館哲二君 これはまあ第二十四條のものと照応した規定だと思うのであります。第二十四條においては、非常事態の場合における災害防禦措置について協定をすることになつておるのでありますから、この二十四條の二という場合にも、やはりこの協定の範囲内、協定の実質の範囲というような意味でやつて行かなければならないのじやないかと思うのでありますので、まあそれにおいて内容等に第二十四條との関連を付けておくことが必要だと考えるのでありますが、ただ今この場合これも前から言つておりましたように、本部長勧告云々という文句が入つておるのですが、特に非常事態にあらかじめ協定をやつておる場合のことでもありますし、そこに特に言わば本部長勧告指導助言に矛盾してはいけないというような文句は、誤解を起し易い文句じやないかと思うのであります。それはまあ同様に私も考えておるのであります。私、大体今まで見まして、その疑問だと思う点についていろいろ御意見を伺つたのでありますけれども、他のかたに又御発言があろうかと思いますから、この程度でやめておきます。
  101. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 先ほど来いろいろ問題になつている点でありまするが、要するに衆議院改正案によりますると、都道府県消防に関する管掌事務をこの法律案によつて列挙的に規定されたわけであります。これを見てみますると、大体において現行法において国家消防庁事務として列挙されていることと大体文字の上においては共通の事項が非常に多いわけなんでありますが、事務配分といいますか、それはどういうような基準に基いておやりになるのであるか。ちよつと見れば、今まで国家消防庁が国本位でやつておられたことが全部府県のほうへ取られてしまうようなことになつて長官初め余りお仕事がなくなつてしまうようなことになるのじやないかというような、法案の條文だけ見ますとそういう疑いが起つて来るわけなんですが、それについての御答弁が得たいと思います。なおお尋ねしたいことは順々にお尋ねしますが、先ず第一に……。
  102. 川本末治

    衆議院議員川本末治君) この点につきましては別段に事務配分が国家消防本部から府県に移るものではございませんので、むしろ従来国家消防庁がやつておりました仕事はそのままでありまして、更に今度の新しくなりまする国家消防本部地方に流しまする勧告助言の線を府県のほうでもう一遍これをはつきりして町村にやるというに過ぎませんので、別段にこの点は国家消防庁のほうの仕事が府県に移るものではありません。私ども立案趣旨といたしましては、便宜よくその府県の実情を知つておりまする府県の者にいろいろなことを言わせるということのできるようにしたほうが消防育成のためにいいのじやないか、こういう意味合いで府県のほうの問題を規定いたしたという次第でございます。
  103. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 国家消防庁長官から一つ御答弁を得たいのですが、先ほどお尋ねいたしましたことを中心としまして、更に川本さんの御答弁によつて先ほどの私の考えを補足いたしますと、勧告助言というようなことだけでなしに、例えば「消防の用に供する設備、機械器具及び資材の性能試験に関する事項」そういうのがありますが、それと同じような事務として、国家消防庁の仕事で、第四條の九に「消防の用に供する設備、機械器具及び資材の検定に関する事項」というようなものがございますし、或いは「消防思想の普及宣伝に関する事項」等、都道府県事務として第十八條の二に列挙されておりまする同様なことも、これは第四條に列挙的に規定されておりまするし、まあそのほか共通事項が極めて多いのでありますが、例えば第十八條の二の七号にありまする「消防の用に供する設備、機械器具及び資材の性能試験に関する事項」等というようなことだけを中心にしても、それはどうおやりになるのかという事務配分ということを中心としての国家消防庁からの御答弁、それから先ほど来のお話で、先ほどのお話の中にもありましたが、都道府県の中には消防課というものがあつて、現在でも大体消防に関するいろいろなことをやつておる。それで現在はどのようなことを大体全国の都道府県がやつておるか。ここに列挙されている事項は全部現在すべての全国都道府県がその消防課を通じてやつておるのか。現実的にやつておることをただ法律規定を設けて法律上再確認したような形になるに過ぎないものなのかどうかというようなことを、併せて一つ御答弁頂きたい。国家消防庁長官から伺いたい。
  104. 新井茂司

    政府委員新井茂司君) このたびの改正によりまして、都道府県の仕事が明確になりまして、中には国家消防庁において行なつておるものと同様な事柄も掲げてあるのであります。これは国家消防庁の立場から申しますると、同じような事柄が掲げてありましても、国家消防庁のやろうとしておりまして手を付けたことでも、都道府県の手を煩わさない、その徹底が期し得られないものが非常に多いのでございまして、さような事柄でありますると、国家消防庁において企画立案してこれを実施しようとする事柄を都道府県においてこれを行うということになりますれば、十分に効果が挙るように考えられるのであります。従いまして、勿論都道府県の仕事としては国家消防庁において行わざるものもありまするけれども、重復するものにつきましても都道府県の列挙された仕事であるから国実消防庁の仕事でなくなるというようなことは、そうないのではなかろうかと思います。やはり国実消防庁といたしましては国家消防庁としてやつて、そうしてそれを都道府県事務として徹底をするということになりますれば、相当効果を期待することができるのではないかと思うのであります。  それから例えば都道府県事務内容等の一つといたしまして、「消防の用に供する設備、機械器具及び資材の性能試験に関する事項」、これは実は国家消防庁において行つておりまする消防機械器具の検定とは必ずしも同様なものであるとは思わないのでありまして相当その間に違いがあるのではないかと実は考えております。と申しまするのは、都道府県のこのことは、主として、まあ都道府県消防の機関が市町村の求めに応じまして管内の消防の機械の検査をいたします。と申しまするのは、相当不完全な形のまま市町村消防機械が放置せられておるものが多いのでありまして、そういうものについては、その消防機械器具の知識のある者が臨時的にこの性能試験等を行なつて指示をいたしませんと、その改善がほつたらかされるものが相当ございますので、さような点を行うこと、或いは市町村消防におきまして消防機械を購入するというようなときにおきまして、消防機械の知識、経験のある県の技師が立会い検査をして、損の行くことのないようにするというような事柄を、実は主として考えらるべきではなかろうかと思うのであります。さようなわけでありまして、都道府県の仕事として新たに加えられましても、国家消防庁の仕事はさように減少するとは考えられません。むしろこれによつて得られる利益は、国家消防庁の施策というものが従来よりももつと徹底する。又国家消防庁において考えられなかつたような事柄をも都道府県という市町村にもつと密接した関係のところにおいてお世話をするなら、その世話が行届くというところに効果があるように考えられるのであります。
  105. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 現行法国家消防庁の所管事務として第四條に規定されている「消防の用に供する設備、機械審具及び資材の検定に関する事項」と、改正案の第十八條の二の第七号に掲げられている「消防の用に供する設備、機械器具及び資材の性能試験に関する事項」とは別であるという御答弁でありますが、それで更にお尋ねいたしたいのは、改正法案の第十八條二の第七号にありまする性能試験に関する事項というのは、ポンプであるとか或いはそのほかの消火器材というようなものを検定する。丁度薬品が、いい薬品であるか、悪い薬品であるか。日本薬局方に適合するのであるか、否かというようなことを検定すると同じような、検定的なことをおやりにならないのですか。やらないことになるのですか。この改正案の第十八條の二の第七号は、例えば一つのポンプの試験は、性能試験はやるわけですね。ところが試験をやつた結果この消火器或いはポンプは性能非常に優秀であるという一つの常識的な、物理的なオーソドツクスを與えるというようなことはしなのですか。
  106. 新井茂司

    政府委員新井茂司君) 国家消防庁で行なつております検定のほうは、或る検定の基準というものを定めまして、それの基準にその機械器具は合致しているか或いはそれ以上の性能があるかどうかということを、判定をいたしまして、合格、不合格ということを定めているのでありまするが、都道府県においてはさようなことをするということは一般的に適当でないと考えまして、この都道府県において行う性能試験というものは、先ほど申上げましたように、消防団が現に使つておる機械器具等の、どういう状態にあるかということを判断して、その悪いものについては適当なる処置を講ぜしめるというようなことをするわけです。或いは具体的にこの機械器具を購入するというようなときに立会をいたしまして、この機械ならば心配ないというような個々の事案につきまして試験をして消防のお世話をする。かようなふうにやつて参りますればよろしかろうと思つております。
  107. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 どうも私たち素人ですから、消防屋さんじやないですから、そういう点、はつきりわからないのですが、ちよつとこの法案だけ見ますと、又今の御答弁によると、その点がはつきりしないのですが。例えば一つ消火器なら消火器を検定せられる。検定してこれは性能優秀であつて十分使用に耐え得るものであるという合格、不合格を国家消防庁でおきめになるわけですね。検定というものは……。ところが都道府県でも性能試験はやるのだが、その性能試験の結果によつて実質上合格、不合格或いは性能優秀なり或いは性能不良なりというようなときに、物理的なものを與える結果になるようなことを業者等に知らされることにならないのであるかということの質問なんですが、どうもその点はつきりしないのですが、衆議議院のほうではどうですか。これは合格、不合格というようなお示しを與えるようなことは全然しないのですか。ただここに試験をするというのは、そういう業者に一つのクレジツトを、信用を與えるような結果を来たすような行為は都道府県はやらないのですか。その点一つ御答弁を願いたい。
  108. 川本末治

    衆議院議員川本末治君) この点につきましては、私どもも、これを業者に悪用せられること、又業者と結託してよからぬ公務員が悪用をすることを非常に憂えますので、この場合の性能試験ということは、むしろ私どもは、消防団の持つておりまする、現存しておりまする機械器具の性能の試験は府県においてする。それから商品に対しまする性能の試験は、これは権威ある国家消防庁消防研究所でやつております。商品に対する裏付はすべてそういう所でやる、かように考えております。
  109. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 業者の出しまする試験は、国家消防庁の試験場で必ずやるのであつて都道府県は全然そんなことはやらぬという御答弁、そういうふうに了解してよろしうございますか。
  110. 川本末治

    衆議院議員川本末治君) 大体私の申上げたのは、今の御趣旨通りであります。  但し或いは業者が府県消防課などへ持ち込んだり、消防署などへ持ち込んで試験をしてもらうというようなことはあり得るかも知れないと思うのでありますが、それが直ちに府県からそのために性能に対する裏書をするかということはこの法律によつてすべての線であるとは考えておりません。
  111. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 それから先ほどお二方にお尋ねいたしました、現在の都道府県のやつております消防事務についての御答弁がなかつたのでありますがもう少し具体的に言いますると、館さんが御質問の中にお話しになりましたような消防課のようなもの、或いは部のようなところがあるかも知れません。係のようなところがあるかも知れませんが、この消防課なら消防課というようなものは全国都道府県に必ず置かれているかどうか。必ず全部置かれていなくても、どれだけくらいの数が置いてあるかというようなこと。  それからここに第十八條の二として列挙されているところの事務の中でどれだけのことが然らば現在の都道府県消防課なら消防課が現在やつているかということについての御答弁がなかつたようでありましたが、もう少しはつきり御答弁願いたい。新井長官から一つお願いします。
  112. 新井茂司

    政府委員新井茂司君) 現在における都道府県消防を取扱う機関の規模というのは府県によつて非常にまちまちでございます。消防課を設置してあるところもありまするし、又七、八人の職員を以て消防係を設置してあるところもありまするし、又非常に少い三人くらいの職員を以てこのことを処置しているところもございます。それで消防課を設置してありますところは全国で多分十六道府県であつたと思います。その他は係を以てやつているようでありまして、その仕事の内容としておりまするところは、最も充実をしたところにおいて、十八條の二に掲げてありまする「消防職員及び消防団員教養訓練に関する事項、」そのために消防学校を設置してやつているところがあるようであります。  それから消防統計はこれは各都道府県で行なつております。又その消防情報というものでございますが、特殊の火災、又特殊の火災と申しますると、非常に大きな火災とか或いは原因その他が特異なる火災というものについての事例を情報として送り、又これを頒布している例が多いのであります。  それから消防に関する市町村相互の連絡に関する事項は、大抵の都道府県におきまして消防協会と一緒になりまして行なつております。全国それに伴いまして消防施設の強化擴充の指導及び助成というものも行なつているところが多いのでありまして、県によりましてはポンプの購入等の場合に県費の補助を以て助成するというようなことを行なつているところもございます。  それから消防思想の普及宣伝に関する事項一般に行われていることでございます。消防功労者の表彰は、これは県によつて行なつているところもありまするし、又県によりましては知事が消防協会長というような肩書を持つて行なつているところもありまするし、又、所によりましては協会に助成をいたしましてこの表彰を協会の名において行なつているところもあるのでございます。「消防の用に供する設備、機械器具及び資材の性能試験に関する事項」は、これは行なつているところはそう多くございません。  消防の機関が相当充実をしておりまして、技術者も備えているというようなところにおいてやつている所がございまするけれども、そう多くございません。  大体さような仕事を現在都道府県において行なつているのでございまするが、冒頭に申上げましたように、都道府県によつて非常にまちまちでございます。非常に力を入れてくれているところもありまするし、さほどでもないところもありまするので、この法律が成立いたしますということになりますれば、又都道府県消防に対する関心というものも相当に深まることだろうと信ずるのであります。
  113. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 午前中申しましたように、この衆議院改正案内容から見て別個の法案として出すべきものであるのを、多少便乗的に政府改正案にくつつけてこういう重要な政正案をお出しになつている。而もその内容としては、消防の対象は火災であるからして、火災というものは警察行政等と比べるならば小地域のものであり、従つて市町村が中心になつて考えて行くべきものであるにも拘わらず、府県という広地域の公共団体の事務として、非常に地域的に擴大して、そうして統一する方向へ改正せられることによつて、現在の消防組織法の全体のシステムに非常に基本的な大きな変革をしておられるように思われる。この点が一つのよし悪しは別として大きな課題であるということを申されますが、特に私は十八條の二の七項の「消防の用に供する設備、機械器具及び資材の性能試験に関する事項」という、この府県の所管事項を新たにここに規定しようとせられていることに関連して、衆議院委員会において共産党の立花委員が暴露的なことを言つておりますことと多少結びつけて午前中お尋ねして、若干の御答弁は得たのでありますが、実は十分私はまだ満足するような気持になつていないわけなんで、この点を私は少し掘り下げてやはり考えて見る必要があるのじやないかと思うのです。それは午前中も申しましたように、このポンプであるとか、そうした消火資材の性能試験とか検定とかいうようなことは、これは非常に利権を伴なうところの問題であるということは、これは誰でも考えられると思うんです。朝、言いましたように、消防に関するいろいろな定期刊行物等に経済的に後援をしているものは消火器具屋やポンプ屋でありますことと並んで、丁度これは再軍備を主張するところの人は軍需工業資本家であるのと、スケールは小さいけれども、私は全く同じような形にあるのじやないかと思うので、この点は国会とて嚴正に一つ考えて行く必要があるのじやないかと思われるので、繰返して質問をいたしているわけなんでありますが、それで川本さんの御答弁では、この消火器県の不合格、合格というような検定は都道府県ではやらぬ。それは国家消防庁の試験所がやるのだといわれますが、併し実際上この法律によりますというと、消防のことについて都道府県市町村に対していろいろな勧告助言をするのでありますから、やはり性能試験の結果一つ消防器具の性能は優秀であつたとか何とかいうようなことの決定をこの助言勧告と結び付けて、これは悪い考え方でありますけれども、やはり業者の利益に副うようなことが行なわれる憂いが非常にあるのです。そうして又事業者がそれを利用して、そうして何々県庁の御証明であるとか何とかいうようなことをやはり宣伝広告に利用するということは、販路擴張に非常に貢献するということが私は起つても来ると思うんです。それからもう一つ市町村が中心になつてそういうこともやるべきであるにも拘らず、今度は広地域の地帯である都道府県のやることになりますから、消火器具を売るとか買うとかいうような立場からしても、そうした業者がそういう助言勧告或いは性能試験の決定というようなものをば販路擴張に利用しますときには、非常に数がまとまつて来るのです。消火器なら消火器というものが一つの村で買うだけなら知れたものでありますけれども、これが都道府県でまとめて買われるということになりますと相当な数になりますから、従つて儲けも大きくなるというようなことと結びつけて、私はこの点に非常にこう何か要心しておかなくちやならんものがあるのじやないかと思うのですが、もう一度長官から私の申述べましたようなことについて、重複するかも知れませんが、もう一度御答弁が願いたい。
  114. 新井茂司

    政府委員新井茂司君) 先ほども申上げたのでありまするが、都道府県において行いまする消防器具及び資材の性能試験というものは、検定のように、その機械一般について検定合格品というようなことにするものでないのでありまして、この消防が現に使つているポンプが工合が悪い、それを見て貰いたいというようなときに、県庁から然るべき技師が出張いたしまして、そうして助言をして、悪いところを見出し、その是正方を促すというようなことを第一といたしまして、その他は新らしい物を買込む場合におきまして、国家消防庁におきまして行なつた検定合格品を買うというような場合にはこれは大体問題ではなかろうかと思いまするが、検定もすべての物について行なつているようなわけではございませんので、検定を受けておらない物をも買わなければならん事情のところも相当ありますので、さようなときにおいてはその購入品の性能試験は過ちのないようにするというように、一品一品についての性能試験を行なうというようなことにいたしまするならば、業者との腐れ縁というものは出て来ないのではなかろうかと思います。まあ検定でありますると、公明正大なるこの規格というものが公表されまして、その規格に合致しているかどうかということを調べるわけで、そう不正な問題は割合に防げるのでありますけれども、若し都道府県がこういう公明正大な規格基準というようなものを持たずして、ただ自分だけの判定において多くの物を性能試験して、その合格品を一般に推奬するというようなことになりますると、お尋ねのような危險がありまするので、さような点はやりたくないと考えております。
  115. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 私は新井長官の人格は非常に信頼するものでありますから、あなたが非常に公明正大なお考えを持つていらつしやること、又そういう公明正大な人格からしてそういうことが起らぬことを望むといわれることは十分私は了解するんです。併しながら現実的にこの都道府県が、国家消防庁と同じように、この法律規定に盛つているところの、二十條の二によるところの指導助言或いは勧告というようなことによつて、あの消防器具の性能は都道府県で以て試験して見たところが非常に優秀だからというので、結局業者の請求に応ずるような、都道府県がポンプ屋の手先に使われるようなことが、私は、あなたの下では起らないけれども都道府県では私は相当やはり起つて来るのじやないか。それは私自身がそういう前例を経験しているからであります。それは曾つて戰時中に東京市役所で、大阪市役所でも京都の市役所でも、その他の市役所でも起つたかも知れません。私の知つているのは東京、大阪、京都でありますが、或る怪しげなるところのやはり業者が消火彈を市に売り込み、又市を通じてそれを民家にそれぞれ備え付けしめるようなことを約束さして、その間に涜職事件が起つて、そうして現在自由党の幹部である大久保留次郎君なんかも取調べを受けたようなことがあつたのです。大久保君は青天白日だつたんですが、ともかく取調べを受けられて、そうして少なくとも京都、大阪、東京の市会の市会議員が数名、ともかくよくないことをやつておつたので、刑を受けたり、嫌疑を受けたりいろいろいたしました。それから理事者の間にもそういうことが起つたんです。それと同じようなことがこの消火器具の性能試験ということと、それから助言指導勧告というこの法律の案文の規定によつて起る可能性が非常にあるということを、私は悪い推察ですけれども、実はそういう経験から推察するんです。それであなたは公明正大であるという気持を持つていられますから、そういう御答弁をせられますけれども、私はどうもそのままそれが行われるものであるというようには考えられないのですが、併しこれは将来に対する意見の相違でありますから、これ以上はお答えを求めませんが、併しこれは審議の上において相当重大視しまして私は考えて行かなくちやならんものだと考えております。それで、これは同じことに関連性があるわけでありますが、私はこの際、委員長に要求いたして、皆さんの御賛成を得たいと思うのでありますが、午前中、私が引用しました衆議院地方行政委員会のこの法案審議についての討論速記録であります。言うている人は共産党の議員であります。私は共産党には反対であります。共産主義にも反対でありまするが、併しながらその言つている立花君の議論は私はまだ一〇〇%全面的にこれを否認するところの自信を持ちませんということは、先ほど来、申した通りであります。明らかに共産党の立花君は、こうした衆議院のこの消防組織法改正案改正案については何と言つておりましたか。少なくとも不正な事実が結びついているということを明言いたしているのであります。これは衆議院に対するところの侮辱であるばかりでなく、又国家全体に対する私は大なる侮辱であると思うので、川本さんの御答弁によると、全く無責任なるところの放言であるという御答弁でありましたが、無責任なる放言であると私も信じたいと思います。又そうあるべきであります。併しながら若しこれが無責任なるところの放言であつて、而も国会を侮辱する重大なるかくのごとき発言をいたしまして、それが速記録に儼然として記載されているのでありますから、ともかくもかかる言論をいたしました当該立花議員を、参議院の地方行政委員会は、この法案の審議に関連いたしまして、参考人でありますか、或いは証人でありますか、ここへ召喚いたしまして、何故こういうことを言つたのであるかということについての、私は当然にこの責任を以て究明しなければならんと思います。そうして究明の結果、全く無責任なるところの放言をしたものでありますならば、私は国会はかくのごとく無責任なる放言をして国会の名誉を傷つけたるところの議員に対しては懲罰委員会に付して、当然この懲罰をしなければならん問題であると考えますので、参議院は衆議院地方行政委員会におけるこの消防組織法の一部を改正する法律案討論に際して発言したる立花議員の発言を究明するがために、同君をこの委員会に召喚せられるの手続を一つお取りを願いたいということを、委員長に御要求いたしたいと思います。
  116. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 只今お聞き及びの通りの御発言が吉川委員よりございましたが、これにつきまして御意見を承りたいと思います。
  117. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 吉川さんのお説至極御尤もですが、ちよつと速記を止めて頂きましようか。
  118. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 速記を止めて。    午後三時三十七分速記中止    —————・—————    午後三時五十一分速記開始
  119. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 速記を始めて。
  120. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 もう一つこの間の資料の提出についてお願いしておきたいのですが、資料の提出に関連して御答弁を得られるならば得ておきたいのですが、先ほど来、館さんのお話の中に、消防協会というような話がいろいろ出ましたが、消防協会というものは非常に有力な消防の補助機関であつて岡本さんや館さんがいろいろ熱心に尽力していられることを私は尊敬しているわけなんですが、こういう役所がやつております仕事の補助機関としての団体は、各種の部門について非常に日本では沢山あるわけです。まあ古いもので言えば、赤十字社であるとか、愛国婦人会とかいうようなものがありますが、まあ大体そうした線に沿うた団体だと思うんですが、消防について全国的なもの、我いはわかるならば各都道府県單位くらいで、そうした公的な行政の補助機関的な団体の代的なものにどんなものがあるということと、そうしてその内容等についても直ぐにこれは消防庁のほうではおわかりになると思いますが、そういうリストを一つ出して頂きたいと思います。それから質問として御答弁を得たいと思いますことは、館さんの先ほどのお話で消防協会の副会長をしていらついやるように聞いているんですが、その建前から第十八條の二の都道府県消防に関してやる消防功労者の表彰に関する事務というのは、これは消防協会に委して、これから都道府県事務から抹殺したほうがいいのじやないかという御意見質問の中に現われたように思うのですが、これも一つのお考えだと思うんですが、併し大体パブリツク、アドミニストレイシヨンで、公的な行政事務に属すべきものをばプライヴエートの機関に委ねるということは、むしろ旧式な考えに現在大体なつているのじやないか。又それはよくないという方向ヘリードして行くのが私はやはり行政の考え方じやないと思う。たとえて言えば、消防にしてもそうでしよう。消防にしても、発生的に言うならば、これは皆プライヴエートの機関であつたものから発達していると思う。現在でも子供にやはり拍子木を叩かしているところもあるのですか、そういう状態では能率も上らないし、又当然に公的行政として必要なものであるから、それはそれぞれのガバーメントが、能率の上からも費用の負担の上からも公平を期するために、役所がやるということが、これは行政の近代的な傾向だと思うので、その意味から言うと、館さんの御意見に敢えて反対するわけではありませんが、まあ当然に消防の功労者の表彰に関する事項はどんなプライベートの団体、消防協会がどういう内容であるかも私は知らんのですが、プライベートの団体であるならば、これが実際に必要であるならば、私は今都道府県がやることがいいとは必ずしも考えておりません。パブリツク・ガバーメントがやる、国なり或いは地方自治体がやはりやるということの考え方のほうが正しいんじやないかと思うんですが、それについて消防長官に一つお聞きしたい。資料のほうは一つまとめてお出し願いたいと思います。
  121. 新井茂司

    政府委員新井茂司君) 消防功労者の表彰は、消防の充実発展を期する上からも相当の効果がありまするので、この消防功労者の表彰をやるということにつきましては御賛成の御意見だと拜聽いたしました。それで、然らば消防功労者の表彰をやるといたしまして、パブリツク・ガバーメントにおいて行うのか適当か、或いは消防協会というような団体において行なうのが適当かということを尋ねられますと、私は現在のところにおきましてはいずれもこれは効果があると思うのであります。と申しまするのは、国或いは都道府県等のごとく、直接消防の責任主体ではないけれども消防というものについては非常に深い関心のあるパブリツク・ガバーメントにおいて向上を希うのは当然なわけであります。従いまして、その向上に有益な消防功労者を選び出して、そうして表彰をする。まあ一面におきましてはその労をねぎらうわけでございますが、又一面におきましてはさようなことを顯彰いたしまして一般消防の向上を期するということは、一面に又都道府県において行うのも非常に適切なことであるというふうに思うのであります。然らば、この消防協会は、大まかに申しますると、消防団員の、或いは消防団の共助機関であり又共励機関であるのでありまするが、さような共助或いは共励の団体におきまして、自分の仲間の中でいいものを採り上げまして、そうしてそれを表彰するということは、やはり団体員の励みにもなることでありまして、消防の充実にはやはり効果があると思うのであります。これを必ずしも消防協会というような団体一本にまとめる必要もなければ、又、国或いは都道府県一本にまとめる必要もないのでありまして、消防関係のあるところにおきましてそれぞれ表彰を行うということはそれぞれの意味においてこの効果があるというふうに私は考えているのでございます。
  122. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 これに関連して消防協会の表彰のことが出ましたから申上げたいのですか、館さんから詳しく御質問があり、担当の方々から御回答がありましたが、何も国家が表彰をしてはいかんという意味じやないのでありまして、こういうふうな組織法の所掌事項として普通表彰の項を掲げる必要があるかないかの問題であります。一体、国家消防庁と、それから自治体消防との関係は、例をこの公安委員会に取つて見れば、国家地方警察本部と自治体警察のようなものであると思うのであります。丁度その関係は似ているんです。そういうときに、国家地方警察長官が自治体の消防署長を表彰するというようなことを、この国家地方警察本部か又は国家公安委員会の職務に書いておいたらどういうことになるか。これはおかしなことだろうと思うのであります。だから、こういうところでそれを積極的な職務として書く必要は私はないのじやないかというのであります。これは斡旋も同様でありまして、斡旋事務というものは、先ほど館さんから御説明がありましたように、現行の消防組織法の二十條におきまして、この国家消防庁消防に関する事項について指導し、助言し、設備、機械器具資材の斡旋をすることができるとあるのだから、これで足りはしなかというのであります。それじや、こうあるのだから、この職務権限の中に積極的権限の中に書くということは、資材の斡旋を積極的権限にするのはおかしいじやないかというふうに考えるのであります。それを書くならば、この二十條に消防に関する事項について都道府県又は市町村勧告することができる、こういうふうにも挙げていかなければおかしいのじやないか、そういう意味でありまして、何も積極的権限職務の中にこの幹旋ということを書く必要はないじやないか、こういう意味であります。それから、先ほど吉川さんがお触れになつ都道府県の知事の権限にいたしましても、私も吉川さんがおつしやつたので気がついたのですが、七の消防の用に供する設備、機械器具及び資材の性能試験に関する事項、これも積極的にこれをしなければならない義務にする必要があるかどうか。こういうことができるということで足りやしないかというふうに自分は今思つて来たのでありますが、ともかくそういうふうに私どもは、国家の消防団に対する表彰、それは決して排撃をするものではない。ただ積極的権限の中に書くということが不穏当であるということを申しておるのであります。  それから、ついででありますから、これは川本さんに伺うのでありますが、現在の消防組織法の第十九條に「市町村消防は、国家消防庁の運営管理又は行政管理に服することはない。」と、こういうふうにあります。ところが今度はこの都道府県というものの職務権限がここに掲げられたと、そうなりますと、この国家消防庁の運営管理又は行政行政管理に服することはないという明文があつて、ここに都道府県というものを除けておけば、都道府県の運営管理又は行政管理に服することがあるかどうかという問題になつて来る。これは、やはり国家消防又は都道府県の運営管理又は行政管理に服することはない、こう書くべきじやないだろうか。なぜそれをお挙げにならなかつたか。その点を伺つておきたい。そういう問題があるのですから、消防の方面におきましては、この幹旋とか、或いは表彰とか、そういういろいろなことによつて官僚統制を又やられる、それは自治体消防として非常に困ると、こういう意味なんでありまして、それを恐れるのであります。そこなんかは、やはり「国家消防庁又は都道府県の」ということはどうしても十八條の二が入つて来れば私は要るだろうと思うのですが、その点はどうですか。
  123. 川本末治

    衆議院議員川本末治君) それが国家消防庁の本部の「運営管理又は行政管理に服することはない」という親の規定がありまする以上、当然府県のほうも、これに書くまでもなく、これによつて服するようなことはないというふうに私どもは解釈をいたしまして、これは入れなかつたのであります。なお、今の、そうすれば助言勧告云々の問題も出て来るじやないかというのでありますが、これは飽くまでも助言であり勧告であつて、服するとか服しないとか権利義務関係ではないのでありまして、かように考えまして、私どもはこれを入れなかつた次第であります。
  124. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 只今のお答えちよつとわからないのですが、国家と都道府県とは違うのです。元は都道府県はこれは国家の仕事も多くやりました。併し、今、都道府県の自治というものは純粋の地方公共団体でありまして、国家と違うのであります。だから国家消防庁と書いてあれば当然この都道府県を含むのだということはどうしてもとり得ないというふうに私は感ずるのであります。  それから先ほど新井長官が吉川さんでしたか又館さんの質問に答えて、重要なことをお答えになつております。基本方針は私は非常に結構だと思うのでありまして、それは市町村の自治の根本に立たなければならないと考えておる。つまりこの消防組織法の根本理念というものは市町村自治の根本に立たなきやならない。国家が監督をやつたり、統制をしたりしてはならないのだということを言つておられます。又市町村自治の陷りがちな欠点は是正する必要がある、併しそれは力添えの程度でなければならない、まあ育成というくらいなところでなければならない、都道府県が指揮監督をしてはならない、協力するのだ、こういうふうに言つておられます。誠にそれは御尤もである。その程度ならば満腔の賛成をするわけであります。そこで今度の法案についても、大体は私どもは実は賛成であるのでありますが、併し今おつしやつた根本理念からどうも逸脱しているように見えるような虞れがある。それは館さんが指摘しているような点でありまして、要するにそういうふうな衆議院のほうの立法の御趣旨、それから国家消防庁のほうの考え方、その考え方にかかわらず、どうもそうでないようにとれる心配の面を、これはやはり除去して行かなければならない、こういうふうに考えて来ておるのであります。根本理念については私賛成であり、又館さんの言つた数点について、又私の附加えた一、二点について、私どもはやはりそういうことを通じて国家統制、官僚統制ということの虞れが出て来る面がありやしないかということを考えるのであります。それで吉川さんのおつしやつた消防協会の性質、これは消防団の自発的意思によつて結び付いた都道府県消防協会、それを又集めて自発的に作つておる全国的な消防協会、こういうのでありまして、まあ法的の性質ということは非常に少いのであります。で、自分の仲間が自分たちのいい者を表彰するということは、民主主義に反しておるのじやなしに、それも又民主主義のやり方じやなかろうか、私どもはかように考えております。併しそれだからと言つて国家の表彰というものを排撃するわけではありませんということを言つておきたいと思います。  先ほど事務のほうの人がそうじやないという声が上つておつたのですが私の引いた例において国家消防庁と自治体消防との関係か国家地方警察本部と自治体警察との関係と違うということがあつたらお話し下さい。そこら辺でそうではないとおつしやつたのですが、その点を……。
  125. 新井茂司

    政府委員新井茂司君) 岡本委員のお話、全く根本的には私ども同感でありまして、別に申上げるほどのことはないと思うのでありまするが、ただこの消防警察との面におきまして、自治体消防国家消防庁との関係、又は自治体警察と国家地方警察との関係ということになりますると、私どもは多少関係が違うのじやないかというふうに従来から理解しておりまするので、私の考えをも申述さして頂きたいと思います。と申しまするのは、警察関係におきましては、あの立法の趣旨というものが、自治体警察につきましては国家地方警察がこれにできるだけ関與しない。従つて自治体警察の担当する部面と、国家地方警察の担当する部面というものが判然と分れまして、そうして自治体警察と国家地方警察というものは、まあ理論的には並行的な立場にある別個の警察というふうに立てられたのではなかろうかと思います。若しその点間違いがありますればお教えを願いたいと思うのでありますか、ただそれが消防になりますると、消防は全部自治体消防だけでございまして、国家地方警察に相当する国家消防というものがないのであります。国家消防庁という名前の役所はありまするが、これは消防の責任体というものではないのでありまして、消防の責任体というのは、日本の全国津々浦々、市町村消防というものがこれに当つておるのでありまして、国家地方警察が担当しておるような区域又は仕事というものを国家消防庁においては担当しておりません。国家消防庁を特に我が国におきまして設けましたのは、消防の力が従来非常に弱かつた、そうして消防の責任を果すに足りない、何とかしてこの消防というものを十分に強化して参らなければならない、その必要のために、消防が全部自治体でありまするけれども協力させるために国家消防庁というものを置きまして、そうして地方自治消防の発達を図る。ただそれだけの事柄でありまして、国家消防庁市町村消防につきまして活動をする、又責任を以て仕事をするというようなことに相成つておらないわけであります。併し又一方におきまして警察につきましては、さような意味におきましては国家消防庁に匹敵するような国の機関はないと思うのであります。それは警察が強かつたため、又警察におきまして国がさような指導を與える必要も、或いは與えるということが弊害を招くというようなことを考慮せられましてさようになつたのではないかと推量いたしますが、その関係消防警察とはかなり異つておるように思うのであります。従いまして警察がさような状態でありまするので、自治体警察に対して国家地方警察から表彰をするというようなことはこれはないと思いまするし、又そういう場合においても少し意味が違つて来るのではないかと思うのでありますが、消防においては国家消防庁というものは自治体消防育成強化ということを仕事としておりまするので、国家消防庁において消防の功労者の表彰をしたり、その他の斡旋指導というようなことをやるということは、自治体消防と、それから国家消防庁とのそういう生れて来た関係からして当然にできるのではなかろうかと考えまして、実はさような気持を以て事務に当つておる次第であります。
  126. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 そこでこの重大なことがだんだんわかるのでありますが、つまり国家消防庁は国家消防組織法の第四條にその事務の所掌に関することが規定してある。国家地方警察本部、これは国家公安委員会事務局ですからこれは国家公安委員会事務そのものが義務である。そういたしますと、それを比較してみますと、「消防に関する市街地の等級化に関する事項」というものがありますが、「消防準則の研究及び立案に関する事項」、これは警察法の立案とかなんとかいうことは皆国家地方警察がやつておる仕事である。それから又教養訓練なんかにおきましても、国家地方警察のほうで全国的な教養もやつておる。それから犯罪鑑識及び犯罪統計というようなこともこれはやはり消防統計その他と同じように全国的にやつております。国家非常事態に対処するための警察の統合計画の立案及び実施に関する問題、これも国家警察がやつておるのであり、そのほかに特典のものとして、消防のほうにもありますが、警察のほうにも全国的の警察通信施設の維持管理に関する事項、こういうものが特異的にある。ただおつしやるように国家警察のほうは勿論自分の直接の部下というものを持つております。それが国家地方警察でありますが、自治体警察に関する限りも今申しましたようなことはやつておるのでありまして、大体国家消防庁と同じような組織でやつておるのであります。ただ違うのは、あなたが最後におつしやつた、「できる」のところであります。それが二十條であるので、それは「国家消防本部長は、必要に応じ、消防に関する事項について、都道府県又は市町村勧告し、都道府県知事市町村長又は市町村消防長から要求があつた場合は」、「場合は」ですよ。「消防に関する事項について指導し又は助言を與え、設備、機械器具及び資材の斡旋をすることができる、」だから、こういうとき用心して要求があつた場合に限つておる。それを要求がなくてもどんどんやつて行くということは非常に正確を欠いておるとしておられるところだと思う。今あなたがおつしやつた、語るに落ちるで、非常に重要なことでありまして、今まではその要求があつたときでなければできない。それを要求がないのにどんどんやつて行くということは、飛躍的に国家消防庁が国家官僚統制を自治体消防によつてつて行く虞れがある。こういうふうに言えるのであります。これはあなたが今御説明なつたところだということに考えるのであります。それは今申したように、国家地方警察のほうは二面を持つている。一つは国家地方警察として吉川さんのよく言われる田舎のほうもやつておられる。併し警察がやはり中心として、今言つたような国家消防庁消防についての中心と同じようにこれはあるのであります。その点は違わないのであります。そこで、そういう指導助言ということができるから表彰もやれるのだと、こういうふうにおつしやる。そのやることについてとやかく言うのではありません。それを積極的な職務権限の中に加えることについて我々はやめてもらいたいということを申しておるわけであります。   —————————————
  127. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) それではお諮りいたしまするが、消防組織法の問題につきましては更に来週の月曜日に時間がございまするから、この程度にいたしまして、消防法の一部を改正する法律案について「けり」がつきましたら、討論採決の運びにいたしたいと思いますが、如何でございますか。(「異議なし」と呼ぶ者あり)それでは只今より消防法の一部を改正する法律案につきまして討論採決に入りたいと思います。本法案につきまして質疑は終了いたしたものと認めまして御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  128. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 御異議ないものと認めます。それではこれより討論に入ります。御意見のおありのかたはそれぞれ賛否を明らかにしてお述べを願いたいと思います。なお修正意見等がございましたる際は、討論中にお述べを願いたいと思います。
  129. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 賛成であります。理由は別に詳しく申上げることもないかと思います。
  130. 若木勝藏

    ○若木勝藏君 私も賛成するのでありますが、ただこの法の最後のほうにある「市町村は、條例の定めるところにより、療養その他の給付を行うものとする。」これに対する国家としての十分なる財政的な裏付け、こういう点を十分考慮してもらいたい。そうでなければ貧弱町村においてこれの実行をなし得ない場合もあると考えまして、その点を附言いたしまして賛成するものであります。
  131. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 他に御発言ございませんか。
  132. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 先ほど賛成を表明いたしましたが、只今若木君が附帶的に申述べられましたことは私も全く同感でございまして、重ねて賛成の意を表明すると共に、若木君の御意見にも賛成するものであるという意思を表明いたしておきます。
  133. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 他に御意見ございませんければ討論は終つたものとして御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  134. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) それでは御異議ないと認めます。これより採決に入ります。消防法の一部を改正する法律案につきまして採決をいたします。消防法の一部を改正する法律案につきまして衆議院送付通り可決することに賛成の諸君の挙手をお願いいたします。    〔賛成者挙手〕
  135. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 全会一致と認めます。よつて本法案は衆議院送付通り可決すべきものと決定いたしました。  なお本会議における委員長の口頭報告の内容は、本院規則第百四條によりましてあらかじめ多数意見者の承認を経なければならないことになつておりまするが、これは委員長において本法案の内容、本委員会における質疑応答の要旨、討論の要旨及び表決の結果を報告することとして御承認願うことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  136. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 御異議ないと認めます。それでは本院規則第七十二條によりまして委員長が議院に提出する報告書につきまして多数意見者の署名をすることになつておりまするから、本法案を可とせられましたかたは順次御署名をお願いいたします。  多数意見者署名     中田 吉雄  高橋進太郎     岩沢 忠恭  宮田 重文     若木 勝藏  吉川末次郎     岡本 愛祐  館  哲二
  137. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 御署名漏れはございませんか。署名漏れはないと認めます。
  138. 中田吉雄

    ○中田吉雄君 日程の問題なんですが、皆さんに御了承をお願いして御賛成を得たいと思うのですが、明日やつて、十九日は一つ日曜の前ですし、何とか二十一日に集中的にやるというようなことで一つ……。或いは二十七日の日曜をやつても、しまいですから構いませんし、ここで一つ息ぬきとは申しませんが、一つ寛大なる慈悲を(笑声)お願いしたいと思うのですが。(「賛成」と呼ぶ者あり)どうもこれは大変なんですよ。内閣委員会でもあの河井委員長が、非常に重要法案が残つているので強行突破するということだつたのですが、多数意見によりまして二十一日から再開後にやるということになつて、まあここだけ強行して、もう議事の遷延策も握り潰しも引延しもこれはできないわけなんですから、一つの土曜日は警察法の説明を聞くだけで、ですから二十一日に一つずつと勉強しても構いません。丁度土、日と日程もいいですし。
  139. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) それでは只今中田君からお聞き及びの通りの御意見がございましたが、日程にございます二十二日、二十三日は法務、労働等の連合の議事を向うに通達してございますから、土曜日のこれを月曜日に持つて来まして、従つて月曜日の消防組織法案は午後に廻すということにいたしますれば別段日程は崩れないと思いますが、その程度でよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  140. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) それではさようにいたしまして土曜日は休息いたすことにいたします。なお本日いろいろ質疑をいたしました消防組織法案につきましていろいろの御意見ございますと思いますから、修正その他の御意見がおありのかたは一つ御研究願つておいて頂きたいと思います。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十一分散会