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1952-07-14 第13回国会 参議院 地方行政委員会 第60号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年七月十四日(月曜日)    午前十時五十五分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     西郷吉之助君    理事            中田 吉雄君    委員            岩沢 忠恭君            石村 幸作君            高橋進太郎君            宮田 重文右            岡本 愛祐君            館  哲二君            若木 勝藏君            原  虎一君            吉川末次郎君   衆議院議員            小澤佐重喜君   政府委員    全国選挙管理委    員会事務局長  吉岡 惠一君   事務局側    常任委員会専門    員       福永與一郎君   衆議院法制局側    参     事    (第一部長)  三浦 義男君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○本委員会の運営に関する件 ○公職選挙法の一部を改正する法律案  (衆議院提出) ○国会議員選挙等執行経費基準  に関する法律の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) それでは只今より委員会を開会いたします。  それでは最初理事会で大体予定案を作りましたから、法案審議予定表について御報告をいたしまして、皆様がたの又御意見を伺いたいと思いますが、本日は選挙法説明を聞きますが、片方の国会議員選挙等執行経費、これはもうすでに説明を聞いておりますから、本日は選挙法説明を聞きまして、できれば質疑をお願いいたしたいと思います。明日も引続いて選挙法につきまして御質疑を願いまして、十六日水曜日に地方制度調査会設置法案説明を聞きまして、できれば十六日中に説明質疑だけは終つておきたい、かように考えております。十七日木曜日は、消防法改正案消防組織法改正案説明を聞きまして質疑をお願いしておきたい。十八日金曜日は、市の警察維持特例案警察官等協力援助者災害給付法案、この両法案説明を聞きまして、質疑をお願いし、中でも市の警察維持特例案はかなり前に質疑をやつておりますから、できればその日に採決をお願いしたい。十九日土曜日は、地方制度調査会設置法案並びに消防法改正案は簡単でございますから、それらの質疑終了次第採決をお願いしたい。実は十八日金曜日に警察法集団示威秩序保持法案説明だけを聞きたいと思つてつたのでございますが、二十一日までは労働法務のかたがたがおいでにならないのじやないかと思いますから、便宜警察法集団示威秩序保持法案を二十一日の月曜日に、私のほうと法務労働連合委員会で両法案説明だけを聞きまして、警察法説明が終つたら、法務質疑をお願いしたい。二十二日火曜日は、集団示威につきまして午前中法務質疑をお願いし、午後は労働質疑をお願いしまして、火曜日あたり連合委員会を解きたい。二十三日水曜日は、警察法についに地方行政質疑をいたし、二十四日木曜日は、集団示威についてこちらで質疑をいたしまして、更に公職選挙法改正案について二十三日頃から修正案をおまとめ願つて、二十四日木曜日に修正案を決定いたして、できればそのあとで上げてしまいたい。二十五日は金曜日でございますが、これは消防組織法につきまして、修正案について協議をいたしまして決定いたしたいと思います。二十六日土曜日は、できれば警察法質疑終了次第、土曜日に上げてしまいたい。なお時間があれば請願陳情について大体調べておりますから、御決定を願い、二十七日日曜日は休みまして、二十八日は集団示威採決をして、二十九、三十日は二日間予備にとつておいたらどうか、かような大体案でございますが、これにつきまして、皆さんがたの御意見を承わりたいと思います。なお皆さんがたも御都合があると思いますから、若しあらかじめ、いつぱいないというような御予定がきまつておるかたは、あらかじめおつしやつて頂ければ、皆さんのお揃いのときに成るべく採決だけはいたしたいと思います。
  3. 中田吉雄

    中田吉雄君 これは一つ承わつておいて、明日の朝の最初にでも、各委員もいろいろあると思いますから、大体この基準で行くのでしようから、大体そういうようにしたらばいいと思いますが……。    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  4. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 皆さん賛成ならば、今の案についてお考えおき願いまして、明日の朝でも又お諮りいたします。ではさように取計らいます。
  5. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 ちよつと皆さんにこの問題についてお考えおき願いたいと思いますが、今拜見してみると、随分余裕があるのですね、この案については……。例えば十七日の木曜日は消防法消防組織法説明聽取及び質疑言つても、極く簡単なんです、問題は……。だからできるならば成るべく集約的にやつて頂いて、あと空けてもらうといいと思うのですが、そういうような意味で御相談を願つたらどうでしようか。明日御相談して、成るべく前に上げてしまつてあとは空けておくというようにしたらどうでしようか。そうして頂いて、しまいまで地方行政たけが何も上つていないというのはかなわんですから、成るべく上げてもらうようにして頂きたいと思います。
  6. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 地方制度調査会設置法案消防法改正案、それから市の警察維持特例案については大分質疑も終つておりますから、できればこういうものを今週中に片付けておくと、大分楽になつて参りますが……。
  7. 中田吉雄

    中田吉雄君 岡本さんの発言も結構だと思うのですが、明日そういうことを大体して、今日は小澤委員長も来ておられるのですから、一つ説明を承わることにしたらどうでしようか。
  8. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) それでは予定表につきましてはよくお考えおき願いたいと思います。  それでは選挙法改正本につきまして、衆議院小津佐重喜君より説明をして頂きます。
  9. 小澤佐重喜

    衆議院議員小澤佐重喜君) 只今議題となりました公職選挙法の一部を改正する法律案について提案の理由とその要旨を御説明いたします。  公職選挙法改正につきましては、衆議院におきまして、第十回国会の昨年五月八日に委員二十五名よりなる特別委員会が設置せられまして以来、引続き第十一回、第十二回国会を経て今次第十三回国会においても同一委員会を設け、その間一年有余にわたり継続して公職選挙法改正に関する調査を進めて参つたことは御承知の通りであります。先ず、本案内容説明に先立ちまして衆議院特別委員会における調査経過の概要を簡単に説明いたします。  委員会におきましては、先ず委員十二名よりなる小委員会を設けて改正案要綱審議立案に当ることといたし、又これと並行して、全国選挙管理委員会並び関係取締当局からも参考意見を聽取いたして審議に資し、更に又審査に入るに当りまして、先に行われた地方選挙実情現地について調査する必要を認め、委員を四班に分けて全国各地に派遣いたし、地方選挙管理委員会地方議会並びに現地取締関係機関とも十二分に意見の交換を行い、その選挙実情を質してこれらの生きた資料を参酌いたしまして、改正案要綱の作成に万全を期して参つた次第であります。かくして、長期間亘つて極めて熱心なる論議検討を重ね慎重調査の結果、去る四日、小委員会成案を得、ついで五日特別委員会成案を決定し、本案提出をみるに至つた次第であります。  由来、選挙法改正は、しばしば繰り返えされてきたのでありますが、畢竟するに、既往の選挙の実際に鑑み、且つ又当時の社会的、経済的諸情勢に照応しまして、選挙の自由と公正の適切なる調整を主眼として改正が行われたことが多いのでありまして、今回の改正案の眼目とするところも又ここにあるのであります。即ち、公職選挙法施行後行われた、昨年四月の地方選挙等の実際に鑑み、且つ又近時の社会的諸情勢を勘案いたしまして、現行法の欠陥を是正し、選挙公明刷新選挙運動の適正なる制限選挙運動費用の縮減、選挙管理執行についての整備等について、自由且つ公正なる選挙目的とする改正を企図したのでありまして、本案提出理由はここにある次第であります。  次に本改正案の重要なる部分について順次御説明いたします。先ず第一は選挙運動に関する改正案でありますが、選挙運動適正化をはかるための措置といたしまして、選挙運動期間を短縮した点であります。衆議院議員のみについて申しますれば、最大限現行三十日間の選挙運動期間を二十五日間とし、五日間短縮することといたしたのであります。なお、参議院議員につきましては、現行最大限三十日間を据置くことといたしました。選挙事務所につきましては、衆議院議員参議院地方選出議員及び都道府県の各選挙における選挙事務所の数を現行二個所を一個所に減少することといたしました。又、未青年者選挙運動禁止に関する規定を新設いたしたのでありますが、これは未青年者選挙運動及び未青年者を使用して選挙運動をすることを共に禁止いたしたのであります。次は戸別訪問でありますが、戸別訪問は、候補者といえども全面的に禁止し、選挙期日後の挨拶行為としての戸別訪問も又全面的に禁止することといたしました。戸別訪問につきましては、現行法において百三十八条に但書が設けられ、公職候補者が親族、平素親交間柄にある知己、その他密接な間柄にある者を訪問する場合の戸別訪問は、差支えないということと相成つておるのでありますが、この但書を削除し、戸別訪問禁止することといたしたのであります。なお、この禁止趣旨候補者が社交上の目的をもつて訪問することを禁止する意味でないことは理の当然でありまして、此の点特にここに明確にいたしておく次第であります。次に署名運動禁止でありますが、これは何人も選挙に関し投票を得、若しくは得しめない目的以つて選挙人に対し、署名運動をすることができないものといたしたのであります。次に自動車拡声機及び船舶の使用についての改正点でありますが、衆議院参議院地方区都道府県五大市選挙におきましては、現行自動車一台と船舶一隻並びに拡声機二揃でありますのを自動車又は船舶何れか一つ拡声機一揃に減らすこととし、参議院全国区の選挙につきましては、現行自動車三台と船舶二隻となつておりますのを、自動車又は船舶を通じて三台又は三隻とし、五大市を除く市及び町村選挙におきましては、自動車又は船舶禁止し、拡声機は一揃とすることにいたしました。次は文書図画掲示についてでありますが、文書図画のうち選挙運動用ポスター掲示は、参議院全国選出議員選挙の場合を除き、全面的に禁止することといたし、連呼行為に使用される諸車には、ポスター立札及びちようちんの掲示を認めることといたしました。次に新聞紙雑誌報道及び評論等の自由に関する新しい規制措置でありますが、これはいわゆる選挙目当て新聞紙又は雑誌選挙の公正を害し特殊の候補者と結びつく弊害を除去するため、選挙運動期間中に限り、選挙法上定義する新聞紙及び雑誌についてのみ、選挙に関する報道及び評論等の自由を認めることといたしたのでありまして、これは、新聞紙にあつては、毎月三回以上、雑誌にあつては、毎月一回以上、号を逐つて定期に有償頒布するものであること。第三種郵便物の認可のあるものであること。当該選挙選挙期日公示又は告示の目前一年以来引き続き発行するものであること。新聞紙にあつては、社団法人たる新聞協会会員雑誌にあつては、社団法人たる出版協会会員であること。以上の条件を具備することを要するものといたしたのであります。なお、言論買収取締として、新聞紙雑誌不法利用等制限規定を新設すると共に、新聞紙雑誌人気投票掲載禁止することといたしたのであります。次は選挙運動放送制限でありますが、この法律規定する場合の外一切の放送設備を使用して放送をすることができないものといたしました。  次に選挙公営に関する点について、以下簡単に申上げます。  先ず政見放送につきましては、新たに民間放送利用の途を開くこととし、公営立会演説会につきましては、市町村について開催標準たる人口単位を引き下げて、その開催の主体を拡充することとし、任意制公営立会演説会制度については、都道府県及び五大市議員選挙の場合にも拡充することと改め、選挙公報につきましては、すべての地方選挙についても原則として、選挙公報を発行し得るように改め、また投票所内氏名等掲示制度を新設し、投票記載所ボックスごと候補者氏名及び党派別公営により掲示せしめることといたしたのであります。  次に衆議院議員選挙特例に関する改正点について、以下簡単に申上げます。先ず無料葉書の枚数につきましては、現行三万枚を一万枚に減少することとし、選挙公報掲載文字数現行五百字から千五百字に増すことといたしました。個人演説会開催につきましては、その回数を候補者一人につき四十回以内に制限することとし、なお、個人演説会表示のための掲示については、公営において立札一個を、又候補者の負担においてちようちん一個を掲示し得ることとすると共に、個人演説会告知用ポスター候補者一人につき四百枚を交付することといたしたのであります。次に選挙運動のためにする演説会につきましては、この法律に定める立会演説会及び個人演説会以外の演説会はすべてこれを禁止することといたしました。又、選挙運動費用につきましては、経済の実状に即せしめるため、その基準額現行二円から四円に引き上げ、これを法定することといたしました。次は選挙運動期間中の政党、その他の政治団体政治活動について新たに規制を加えた点でありますが、先ずこの場合の政党、その他の政治団体とは、全国を通じて二十五名以上の候補者を有するものに限ることといたし、それらの政治活動のうち、政談演説会開催は一選挙区につき一回とし、街頭演説連呼行為をも含めて、所定の自動車上からでなければ行うことができないこととし、ポスター掲示政策普及宣伝用又は演説告知用として、一選挙区について千枚以内としてこのポスターには候補者氏名を記載してはならないことといたしたのであります。又政策普及宣伝及び演説告知のために使用する自動車については、政党、その他の政治団体の本部及び友部を通じて、所属議員候補者が二十五人以上百人未満の場合は三台以内、百人以上二百人未満の場合は五台以内、二百人以上は八台以内とし、以上の政治活動規制衆議院議員の総選挙に限つて適用し、再選挙及び補欠選挙については適用しないことといたしました。なお、政党、その他の政治団体の発行する機関新聞紙及び機関雑誌については、いずれか一つに限り、選挙に関する報道及び評論掲載の自由を認めることといたしました。以上が、選挙運動に関する衆議院議員選挙特例に関する改正点であります。  第二は、選挙運動費用に関してでありますが、先に述べましたように、衆議院議員選挙については、基準額を二円から四円に引上げ法定いたしましたが、更に一般的に選挙運動収支報告書提出簡素化を図るため中間報告を廃止し、選挙期日から十五日以内に清算の上、原則として一回報告させることといたしました。なお、実費弁償及び報酬基準額につきましては、当該選挙管理委員会は、選挙運動に従事する者に対する実費弁償及び労務者に対する報酬についての基準額を定めることができる旨の規定を新設いたしたのであります。  第三は、選挙管理上の改正点でありますが、先ず選挙期日公示又は告知期間を短縮することといたし、これは先に申上げました選挙運動期間の短縮と相待ち、衆議院議員及び知事都道府県会議員教育委員並びに五大市を除く市の長、議員教育委員につきましては、それぞれ現行より五日間を短縮し、町村の長、議員教育委員につきましては、現行より十日間を短縮することといたしました。次に、代理投票における補助者不正行為取締るための規定を設けると共に、不在者投票に伴う弊害を除去するため、いわゆる在宅投票を廃止することといたしました。次に、同一氏名等投票を有効とする途を開き、その投票開票ごとの他の有効投票数に比例して、按分加算することといたしました。次は、供託金及び公営分担金についてでありますが、公営分担金はこれを廃止し、供託金はおおむね現行供託金及び分担金の額を加えたものの倍額に増加することとし、例えば衆議院議員及び参議院議員については拾万円といたしたのであります。供託金の没収については、選挙期日前十日以内に立候補を辞退した場合に限らず、それ以前に立候補を辞退した場合においても、原則としてこれを没収することと改めたのであります。次に、長の決選投票制度を廃止することと共に、法定得票数を四分の一に引下げ、これに達するもののない時は、再選挙を行うものといたしたのであります。  第四は、罰則についてでありますが、詐偽投票罪の未遂を罰する旨の規定並びに禁止規定の新設に伴う所要の罰則を設けたのであります。  第五は、争訟に関してでありまして、当選の効力に関する争訟における潜在無効投票の処理に関する規定を新設いたしたのであります。  最後に、第六として、施行期日でありますが、政令を定めるための準備期間及び改正規定についての地方啓蒙期間を勘案し、本年九月一日より施行し、衆議院議員選挙に関しましては、次の総選挙から施行することといたした次第であります。  以上が、本改正案の要点であります。  何とぞ慎重御審議の上、速かに御可決あらんことを希望する次第でございます。
  10. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) なお国会議員選挙等執行経費基準に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、衆議院修正しておりまするから、この点について説明をいたさせます。
  11. 吉岡惠一

    政府委員吉岡惠一君) 選挙経費基準法律につきまして、衆議院において修正に相成りましたので、私のほうから便宜説明を申上げます。煩瑣に亘りますので、どういうふうに経費がかかつて行くかということを御説明を申上げます。公職選挙法改正案に伴いまして、選挙公報字数制限等が千五百字に増加に相成りました。この法律改正と一緒に選挙公報内容もよくしたらというお話がございましたので、従来五号活字を使用する経費予定しておりましたけれども、四号活字という工合にし、字数も五百字を千五百字に改めました結果、三千四百万円程度費用が余計にかかります。  それから次は氏名掲示の問題でありますが、選挙用ポスターが非常に制限が強化されまして、選挙人に対する候補者氏名告知は、主として公営氏名掲示によることになりましたので、その内容を充実いたしまするために、約九千三百万円余計に必要であります。  それから次は、個人演説会告知立看板ですが、これは公営演説会場でも、個人演説会場でも、四十回と制限されました範囲の演説会告知立札公営でやるということになりましたので、この金が約二千七百万円余計に要ります。  それから次は減少する部分でありますが、これは基準法の表面には、字句の上では出て参りませんのでありますが、従来六十回程度個人演説会公営会場開催する予定で、これは個人個人営開催する演説会でなく、公営演説会であります。これを四十回以上はできないことになりましたので、これで約二千三百万円浮いて参ります。  それから立会演説会標準を少し下げまして余計開催することになります。従来は予算の上では大体三十回程度開催するのを目途としておりましたが、これを四十回程度一つ選挙について四十回程度開催することに増加をいたします関係で、約五百万円、これは余計に要ります。  それから次はポスターの点でありますが、ポスター最初は全然掲示をしない予定でありましたが、これが四十回の演説会に応じて四百枚のポスターを渡す。公管で新たに書き込む事項を印刷して渡すということになりましたので、これが約二百万円新たに入用になります。これに伴いまして、従来ポスター用紙費用二百八十万円程度でありましたが、これを配つてつたのがこれが不要になるのであります。それから今国会で通過をいたしました国家公務員旅費規定改正に伴いまして、事務所事務経費であるとか、或いは投票所開票所経費等において多少動きがあります。これが約八百万円程度余計に要ります。これを全部総計をいたしますと、一億三千九百万円余計に要るのであります。その中で四百八十万円近くは調整費の中へ食い込んでおります。従つてこれを両方合せますと、一億四千四百万円余計に要る。これをそのうち一億三千九百万円は無料葉書が三万枚のが一万約に減少になりまして、それで浮いて中る金が一億三千九百万円、あとの四百八十万円は、これは調整費が二千万円ございますので、これを食つて辻棲を合せる、こういうことになつております。  それから法律修正の箇所で一つ問題になりまするのは施行期日の点であります。施行期日がまちまちになつておりまして、一つは本年の一月一日から施行するという規定がございます。この部分は本年の一月一日以後行われました補欠選挙、つまり衆議院議員選挙について申しますれば、東京区の第六区、参議院議員地方選出議員選挙について申しますれば静岡県、この二回の補欠選挙があります。これについてはやはり物価騰貴或いは公務員の給与の改善に伴う経費を見込んだ経費地方へ配付いたしませんと困りますので、そういう関係規定については一月一日から、それから旅費関係規定は四月一日から法律施行にたつておりますので、四月一日以後の規定に移す。それ以外は、次の衆議院講員の総選挙から、こういう規定改正になつております。
  12. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 以上にて説明を終りましたが、御質疑がございますればお願いしたいと思いますが、如何でございましようか。
  13. 中田吉雄

    中田吉雄君 今局長の御説明なつた数字を一つ印刷にして頂きたいと思います。
  14. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 質問をする便宜上、公職選挙法の一部を改正する法律案ですが、各事項まとめて行くごとに御説明願いましようか。小澤さんがお見えになつているのですから、それによつて質問したいと思います。
  15. 若木勝藏

    若木勝藏君 ちよつと資料の要求をしたいのですが。昭和二十四年における総選挙の場合、それから二十五年の参議院選挙の場合、それから二十六年の知事並びに地方議会議員選挙、これにおけるところの選挙違反の件数ですね、それを一つお願いします。それから公職選挙法改正に関する全選管の案があつたらこれも一つお願いしたい。それから同じく選挙制度調査会の案があつたらこれも一つお願いしたい。それだけ要求いたします。よろしくお願いいたします。
  16. 小澤佐重喜

    衆議院議員小澤佐重喜君) それでは今お話がありましたが、公職選挙法改正案要綱というのがお手許に配付してございますが、みんなお持ちでしようか。大体只今説明申上げたことを今度は要綱ごとに申上げますというと、第一は「選挙に関する区域」の問題であります。それは条文は十八条の三項でありまして、町村長及び町村教育委員選挙についても特別の事情がある場合には、町村区域を分けて開票区を設定し得るようにすることとあるのは、町にまで拡張した意味でありまして、これは大きな意味はございません。  それから二の「補充選挙人名簿」の問題も本当の純管理的な問題でありまして、特段に申上げる事項もございません。  第三が「選挙期日公示又は告示」でございますが、これは先ほど要綱でも申上げましたように、先ず選挙運動期間が長過ぎるという趣旨からそれぞれ適当に選挙期間を短縮したのでございます。例えば衆議院議員選挙期日現行法では三十日とあるのを二十五日にしたような次第で、漸次その選挙の実際に応じて期間を短縮いたしました。  それから第四は「代理投票」でございますが、これは代理投票が先般の選挙で相当に弊害がありまして、これに基く違反事件等も相当に資料によりますとありましたので、これには代理投票の場合は補助者二名を選任いたしまして、その一人に選挙人が指示をするところの候補者氏名を記載させ、他の一人はこれに立会つて公正な選挙が行われるようにいたした次第であります。それから二号のほうは罰則の問題でありまして、これはお読みになればおわかりと思います。  それから五は「不在者投票」でありまするが、その不在者投票も医師の証明書があれば、診断書があれば直ぐに代理の者が行つて投票できるというのが現行法でありますけれども、これは非常な弊害を伴いまして、相当に先般の地方選挙等においてもあるということを認めましたので、旅行等公務の証明によるいわゆる不在投票は認めますけれども、先般新たに設けられましたようないやしくも医師の診断だけで不在投票ができる制度は廃止することが適当だという意味からこれを廃止いたしました。  第六は「開票立会人及び選挙立会人」これは本当に事務的な問題であります。  それから第七の「投票の効力」でありまするが、これは例えば小澤という氏名が二人出まして、その場合に両方ともに何人であるか判断ができないというので無効にしておるのが現行法であります。併しこれは無効にすることは余りにも投票人の意思を無視するものであるという見地から、少くとも小澤小澤乙という二人の候補者がある場合におきまして、その肝腎の小澤甲を投票した者は、小澤小澤乙の現実の投票数に按分をいたしまして、有効投票にすることがむしろ適当ではないか、こういう趣旨から従来の無効投票を有効にいたすことにいたしたのであります。  それから八の「立候補の届出」は、これは当然第三項の選挙期日公示又は告示の問題と名じ裏腹の問題でありまして、結局選挙運動期間を短縮いたしました結果こういうふうになるのであります。  それから九は「供託金及び公営分担金」でありますが、これは供託金はないほうがむしろ民主的なのだという考え方もございますが、いやしくも或る候補者を妨害するために全然当選の見込のない候補者を徒らに立候補せしめるということも時々ございますので、むしろこれは供託金というものは高くして、而も何日前に立候補を辞退した考は返すなどと言わず、むしろ一旦出た者はいつよしても没収するということにしたほうがよかろうというので、実は十万円にした趣旨には大きな理論の根拠はございません。十万円も適当でありましようし、五万円も又適当だということの議論も出ましたが、経済的社会的の方面に実際上の点を考慮して、又分担金を廃止いたしましたという点から考えまして、十万円が適当であろうという結論に到達いたした次第であります。  それから「地方議会議員の再選挙及び補欠選挙」は、これは選挙の実際の便宜の問題でありまして、特段に申上げる必要もないと思います。  十一の「在任期間を異にする教育委員選挙の場合の当選人」、これもそうした意味でございます。  十二の「長の決選投票」でございますが、これは実に非常に大きな問題で、かなり議論等もございました。議論等もございましたが、実際上の決選投票の例を見ますというと、例えば第一番、二番になつた、三番になつた人との関係がいつも同じような姿に動いて、ここに本当の県民なら県民の投票でないような場合がたびたび出現いたしましたので、これはむしろ決選投票というものはなくしまして、その代り法定得票数を少し下げて、この法定得票数にならなかつた場合にはもう一回やり直したほうが適当だという見地から決選投票を廃止いたしました。  それから十三の「同時選挙の場合の選挙期日告示」これも選挙管理に関する特別の考え方であります。  十四の「同時選挙の場合の立会人」も本当に事務的の規定であります。  それから十五の「選挙運動期間」は、只今申上げました九の(2)並びに三の選挙期日公示と関連がありまして、要は運動期間を短縮いたしました結果こういうことになるのであります。  十六は「選挙事務所」でありますが、これは費用をできるだけかからんようにするという趣旨から、原則として選挙事務所は一カ所、併しながら現行法但書は生きておりますから、政令を以て指定する特別の北海道の選挙地域というような場合を限つては二カ所乃至三カ所を四カ所まで政令で定めるところに限つて増加することができるようになつております。
  17. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 そこまで。
  18. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) ちよつとその程度で……。只今の御説明になりました範囲内におきまして、御質疑がございましたらお願いいたします。
  19. 中田吉雄

    中田吉雄君 衆議院議員公職選挙法改正に関する調査特別委員会というものができているようですが、そのメンバーですね、それからその委員会にできました十二名から成る小委員会の各派別のメンバー、そういうことをあとからで結構ですから、一つお願いしたいと思います。  それから、これはその委員会で全会一致になつたものですか、多数決による議決に基いて本会議にかけられたものですか。その間の経緯をお伺いいたします。
  20. 小澤佐重喜

    衆議院議員小澤佐重喜君) 只今のメンバー並びに小委員会のメンバーは、追つて書画でお目にかけることにいたします。  それから審議途上における採決の分野のあり方でありますが、これは自由党、改進党、社会党二十三控室以外ですから、右といいますか、右が一致いたしました。その他社会党の左のかたは二、三の点で意見が合つたようでありますが、これは衆議院の分野の関係上社会党の二十三控室は小委員会に出なかつたのであります。お終いになつて一、二回武藤運十郎君が出て来まして、オブザーバーという意味でこの問題に参与いたしましたが、いろいろ意見書を出しましたが、十二、三カ所の意見がありましたけれども、そのうちの十カ所ぐらいは我々と同じ考えでありました。あと二カ所ばかりちよつと違つたところがありましたが、大体同調されました。併し本会議に行きましては、やはり結局小委員会のメンバーの自由党、改進党、社会党、だけが本案賛成いたしまして、その他は反対いたしております。
  21. 中田吉雄

    中田吉雄君 議会政治は数からできていると思うのでなんですが、小委員会にもそうですと、オブザーバー以外には出られなかつたということになつておるのですか。
  22. 小澤佐重喜

    衆議院議員小澤佐重喜君) それは要するに按分比例をとつて委員でも何でも出しておりますから、その按分比例をとつて行くことがよいか悪いかという問題になつて来ますが、衆議院では各分野の按分比例によつて委員も各委員もきめております。それがよいか悪いかは別といたしまして、現実はそうであります。併し私どもは、数が少くともできるだけ各代表が来て意見を述べられることが適当だというので、武藤運十郎君にも来てもらいまして、そうして発言や何かオブザーバーだから制限するという意味じやなく、自由な発言をしてもらつた。こういつた結果が只今申した通りの事情でございます。
  23. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 今までの十六条のところまで御質疑ございませんか。
  24. 中田吉雄

    中田吉雄君 非常に長期に亘る御研究並びに全国的な規模における調査に基かれて公正な選挙ができるように、こういう御努力に私は非常に敬意を表するのですが、このような規定で、現在行われているあの腐敗した選挙の実態がこれで矯正できる、改められるというふうにお思いになつているのですか、その点お伺いしたいと思います。
  25. 小澤佐重喜

    衆議院議員小澤佐重喜君) 中田さんにお答えしますが、これは私から申上げるまでもなく、選挙を本当に浄化しよう、或いは明朗な選挙にしようというようなことは、如何に何万条のこういう法律を設けても不可能だと思うのでありますが、要は、候補者或いは国民諸君の民度がどの程度まで進んだかという問題でありまして、これは非常に困難な問題であります。併しながら我々は現状のままで満足できません。どうしても選挙というものは民主政治の基本であるのでありますから、要するに明朗で公正な選挙が我々の民主政治の理想であります。でありますから、現行法律で効果を達成し得る程度規定改正したつもりでございます。併しこれは絶対とは言われません。又考えようによつて、これはなお考え方を要するのじやないかというような規定もございましようが、そうした意見がいろいろありましたけれども、お互いに検討した結果結論はこの通りになつたのでありまして、我々は現段階においてはこれ以上の規定はできないと思います。
  26. 中田吉雄

    中田吉雄君 御説明のあることはよくわかるのですが、私全国各地を歩いて見まして、例えば最近追放解除された人が政界に復帰しようというようなことでやつていることは、殆んどこういう苦心惨但から成る改正法の網の外に全部逃れてしまう。例えば私は鳥取県ですが、先般帰つて見ましたところが、追放解除された或る人が大きなトラックに魚を満載いたしましてずつと配つておる、先に行かして、そして候補者はずつとあとから遅れて挨拶しておる、今から魚を配つても腐つちやうよと皆言つておつたが、そういうことが広汎に行われておる。更に同じように追放解除された人が到る所で宴会を開いて五十円とか三十円とかいうような会費でかなり飲み放題、食い放題というようなことを広汎にやつているわけなんです。私はこういう改正と共にやはり何らかの措置でそういうものに対する饗応、買収等の厳罰規定と言いますか、そういうものを入れないと、画龍点睛を欠くのじやないかというふうに考えるのですが、その点は小澤委員長はどうお考えですか。
  27. 小澤佐重喜

    衆議院議員小澤佐重喜君) それは、今中田さんの例示されました事情は衆議院委員会でも各委員が口を揃えてその問題について憂慮したところでございます。従つてこの問題は是非この法律の適用によつてこうした腐敗した事実を除去しなければなりません。そこで衆議院委員会では一体この現行法で事前運動を取締り得るかどうかということが問題になつたのです。そこで大審院の判例等も調べまして、そうしてその立候補の六ヵ月前は時効がありますので、衆議院選挙が行われて、それから以前に遡つて六カ月までは明らかに事前運動になるということがはつきりいたしておるのであります。併しその六ヵ月が今度のように解散がどうとか、或いは近く解散があるだろうというような考えの下に置かれますというと、六ヵ月の起算点がはつきりいたしません。そこで今度の任期で解散する衆議院の場合の例で、一月二十四日には選挙しなければならないのですから、それから逆算いたしまして六ヵ月の間のあれは時効にかからんことははつきりしておる。でそういう計算をせずに取締ることは不可能ではないかという意味から、判例等も調べ、又お互いの意見も述べた結果、いやしくも立候補することが明白であつた場合においては、六ヵ月経つて立候補してもしなくても、客観的に見て常識的に見て立候補するものと認定し得る場合においては罰してもいいものと、こういう結論を衆議院委員会において見出し、同時にそれから同じような思想の下に判決された大審院の判例等もあつたのであります。従つて当時ここにおられる吉岡君等にもお願いして、そうして或いは国警の本部長官或いは検察当局を呼びまして、これは法律現行法でもこれを罰し得るのであるから極力これを調査場して、いやしくも悪質なものがあつたならばどしどし検挙して、そして選挙の粛正をやつてくれろということを委員会として要望いたしました。その結果管理委員会でも考えれば、又国警の本部でも考えまするし、検察庁のほうでも考えて、現在では余りに社会に害毒を流す違反等は厳重に取締ろうという方針になつておるわけでございます。その中間で、いろいろ新聞にも出ておりましたが、その場合には取締はできないのだという齋藤君の解釈等もちらついておりましたので、これではいけないというので解釈を一致いたしまして、国誓のほうでも地警のほうでも、検察庁も又管理委員会も罰し得るものであるという建前を委員会で考えて、従つて現行法を適用していいという建前をとつておりましたので、従つて今のお話のような点はこの法律改正になればなおのこと、改正にならん現行法でも只今のような事前運動は罰し得るものと考え、ただ検察庁が現実にこれを罰するか罰しないかだけの問題が残つておると思います。
  28. 中田吉雄

    中田吉雄君 私終戦以来殆んどの選挙関係していますが、私の狭い体験からすると、まあ昨年の亦行われました地方選挙からその腐敗が極に達しまして、県会議員選挙でももう百万以下で出たものは余りないというようなことになつて、加速度的になつて来つつあると思うのです。このことはやはりよほど検討を要するのじやないかと思うのですが、なおそれに関連しまして、イギリスの総選挙衆議院のほうでは調査に行かれたように聞いていますが、その調査報告書が一つありましたら頂きたいと思いますし、なおイギリスにおいてもやはり同じような饗応、買収、ああいう腐敗行為というものがあるか、そういう点わかりましたら一つお伺いしたいと思います。
  29. 三浦義男

    衆議院法制局参事(三浦義男君) イギリスの総選挙には衆議院のほうから参つたのでありまして、私も実はお供をして参りましたので、只今の点簡単にお答え申上げます。イギリスにおきましても、勿論腐敗というものは過去におきましては相当あつたようでございます。現在も規定といたしましては、選挙法の中にもそういう規定もあるわけなんであります。ところが実際の状況を管理委員会なり、イギリスのその選挙管理事務当局なり、或いは候補者なり、いろいろ聞いて見ましたところによりますると、全然最近におきましてはそういう違反行為、或いは腐敗行為というものは見られないというようなことを各方面から言われまして、実は私どもびつくりしたような状況でございます。それは要するに一般のいわゆる民度が高くして、選挙に対しまするところの批判力なり、自省力が強い関係上、或る人が腐敗をして違反行為をして選挙に出ようというようなことをいたしますと、結局それは全体から指弾を受ける。そうしてそういう人はああいう人を我々の代表として選ぶことはいかんというような、社会的な制裁が強い、こういうように聞いております。いろいろございましようが、さような感じを行きました人たちも一般に持つて帰られたように承知をしております。
  30. 中田吉雄

    中田吉雄君 私はやはりこの問題を何らかの方法でやらんと、実際これだけではどうもならんと思うのです。例えば地方議会で非常に腐敗行為が起る。それは選挙に百万も二百万も資本を投じていますから、それを何らかの形において回収しなければならんというようなことが土木工事その他と絡んだりして、地方議会並びに執行部なんかにいろいろスキャンダルが起るということになりますので、私はこういう改正も必要だが、これでは実際この滔々たる大きな流れの誤まつた方向に行くのじやないかという問題にメスが入れられんのじやないか。そこで小澤委員長にお伺いしたいが、こういうことは大体山を越して、だんだん選挙民の自覚で粛正の方向に向つて行くというふうに現下の情勢を御判断されているのでしようか、その点お伺いしたい。
  31. 小澤佐重喜

    衆議院議員小澤佐重喜君) 大変中田さんの御質問はむずかしい御質問でありますが、要はやはり人間というものは進化して行くのでありますから、私は正しいということが最終的には可能なことであろうと思うのであります。でありますから、選挙の粛正ということも、今三浦君が言われたように百年、二百年の経験を経、そうしてその自覚をし、進歩をして行きますれば、その段階は来ないものでもないと思うのであります。例えばイギリスあたりの選挙も丁度日本と同じであつた。併しながら、二百年の体験が、今は選挙というものはこうであるという自覚ができ、そこに腐敗した事実が一つも見られないということは、やはり可能の一つの先例ではないかと思います。日本はその点どの程度まで行つているかということが問題でありまして、ただ一片の法律改正だけではできないのであります。どうしてもお互いがあらゆる機会に、あらゆる問題をとらえて、そうしてこの民度の向上と申しましようか、政治というものに関心を国民自身が持ち、同時に選挙界の腐敗が自分たちの生活に悪影響をするのだという一つの強い自覚を持つことが何よりも選挙界の粛正に必要なわけでありまして、この法律改正を何条をどうした、或いはこの条文をこうしたからと言つてもこれはできないことでありまして、では法律はどうでもよいかというと、そうではなくして、やはりこの法律もその粛正に臨む何分の一かの力を持ちつつ進化の過程を辿つて行くのではないかと、かように考えております。
  32. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 小澤さんにお尋ねしたいのですが、政府のほうで選挙制度調査会というものを作つておられる。あなたのほうでも審議せられて御検討になつておると同時に、政府のほうでも検討をして、そうしてその結論を出しておる。それはどの程度まで進んでおられるか、伺いたいと思います。
  33. 小澤佐重喜

    衆議院議員小澤佐重喜君) 今岡本さんのお話の点については、政府のほうでも諮問機関を設けましてそうしてその選挙制度の改廃に関する結論を得たということは私も存じておりますし、委員会としても、その結論について、牧野委員長がわざわざその結論を説明して参りまして、そうしてその説明に対して各委員の諸君も質問をして、そうしてその結果、この際改正目的に副うべきよいところは取入れながら、この問題の提案をいたしたのであります。
  34. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 牧野現選挙管理委員長か、選挙制度調査会長の資格でだか存じませんが、新聞紙等に衆議院選挙区を小選挙区に、イギリス弐に一選挙区一人ということにしたほうがよいのではないかというようなことを声を大にして述べておられました。そういう点では、どういうふうにお考えになつておりますか。
  35. 小澤佐重喜

    衆議院議員小澤佐重喜君) この一選挙区一候補者という選挙区制がイギリスで行われており、又日本でも二大政党の対立のためにはむしろこの小選挙区がよいのだという議論は相当にございます。又私もそれを否定するものではありません。むしろ賛意を表しているのでありますが、併し今中田さんの御質問にもあつたように、小選挙にすることによつてますます選挙界が腐敗するという心配を私どもは十分に持つております。従つて衆議院委員会でも今お話のような議論が相当論議されましたし、この改正案を作るための特別委員会ができた趣旨は、一昨年の地方選挙の際における弊害、これを何とかして是正しなければならないということが主たる目的でありまして選挙の根本に関する問題は又この特別委員をこのまま残しておいてやろうじやないか。差当り急いでやめなければならない弊害をやろうというので、まだ四つ五つ大きな問題が議論はされましたが、改正案にならずに衆議院に残つているような始末であります。従つて根本的な選挙区或いは投票に関する比例代表とかなんとかいうような問題はすべて今後研究することになつておりまして、差当りこの一昨年の地方選挙に見られたような弊害がこれ以上になりますことは許すべきものではないという見地から、そのほうだけ重点を置いてやりました。従つてその分は結論を得ておりません。
  36. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 今度の衆議院のほうの御提案は、今まで承わつたところでは、公職選挙法改正の際に参議院側でもいろいろ考慮して議論があつた点を委員会においてお触れになつておるのでありますが、その中で要綱の三で、知事都道府県教育委員、それを現行三十日を二十五日に選挙期日公示を縮められた。参議院議員地方区は大体知事選挙区と同一であつたが、これを三十日とせられた意味はどういうところにありますか。単に全国区のほうに合わされたということでしようか。何かもつと強い政治的なものがありましようか。
  37. 小澤佐重喜

    衆議院議員小澤佐重喜君) これは大体全国区によらないで、地方区だけ入れるということもどうかということと、これはどうせ衆議院を主として考えて参議院はみずから体験された参議院があるのでありますから、参議院のほうで又つずめた意見があるという場合はそれでもいいじやないかということで、いろいろ意見がありましたけれども、参議院はこれはそのままにしたほうがよかろうと、こういう意味でございます。
  38. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 わかりました。
  39. 若木勝藏

    若木勝藏君 ちよつと一つ質問したいのですが、今提案の理由について御説明があつたのでありますけれども、これは非常に抽象的で、私にはぴんと来ないのであります。その点で伺いたいと思うのであります。まあ提案理由の最後のほうに、選挙の公明、選挙運動の適正な制限、それから選挙運動費用の縮減、選挙管理執行に関する規定整備等について自由且つ公正なる選挙目的とする改正を企図した、こういうふうに掲げられておるのでありまして、実際この改正の要点を見ますというと、ポスター禁止したり、街頭演説を非常に縮減したり、或は新聞の報道評論を制減したり、或いは政党或いは政治団体の活動を立候補者の数によつてこれを規制したり、或いは無料はがきを非常に制限したり、そういうふうなことは私らが考えるというと、丁度適正なる選挙運動というような方面から考えまして逆に思うのであります。何かこれらを制限することが非常な選挙の公正を期するために適切であると、そういうふうなことをお考えになつたとすれば、その理由について伺いたい。何かはかにその理由があるのでしようか。私はそういうことを禁止しないことが、或いは制限しないことが公明な選挙になるんではないか、こういうふうに思いますけれども。逆なようにとれるのでありますが、何か別に理由があるのでありましようか、これを伺いたいのであります。
  40. 小澤佐重喜

    衆議院議員小澤佐重喜君) 公明な選挙、公正な選挙というものは、要するにこの選挙が期待するような不正な事実がなくて、而もそれで選挙民の気持が如実に選挙の結果に現れることが公明な選挙、公正な選挙だと思うのであります。そこで今あなたのお話にもありましたように、この法律改正は主として費用が多くかかる、余り自由放任過ぎて費用がかかる。県会議員選挙が百万とか二百万とかいう金がかかるというのでは、金持は選挙に出られるけれども、貧乏人は出られないんじやないかと、そういうことを考えますならば、それだけじやありません、もつともつと弊害があります。そういうことから先ず費用が最小限度で当選できるというふうな法律を作ることが適当ではないか、こういう意味費用の削減のために運動を制限いたしたのであります。でありまするから、ただその自由にして公正ということになりますると、制限しないでやることが或いは自由公正かも知れませんけれども、お互いは一定の枠内における自由と公正を保つて行きたい、こういう意味で自由公正という言葉を使つたのであります。併し言葉自体はどうにも解釈できますから、あなたの解釈を否定する意味ではございません。
  41. 中田吉雄

    中田吉雄君 関連して。私もどうも若木委員と同じように、個別訪問を制限するとかいうことは、やはり買収したりする機会をネグレクトするという意味ではいいですが、大体見ますと、これは小澤委員長の言われたように余り野放図にやつて選挙費用が厖大になることを防ごうとするあまり、裏面で実際やはり不法買収等に追い込んでしまう、私はそういう結果にやはり若木委員と同じように思うわけであります。こういうことを制限して、政策を訴えたり演説をしたりして、個人の力量を判断するような機会を非常に少くして、まあ今の県会議員なんかに出るときに百万も二百万も使つたのだから、今度の選挙では元を取ろうと皆言つておるのです。これは誠に因つたことなのですが、こういう制限規定というものがむしろそういうチャンスを与えて、却つて候補者としては非常にたくさんな費用が要つて、如何に豊富な資金を持つておられる小澤さんの属しておられる自由党でも(笑声)これは相当困られるのじやないかと私思うのですがね。こういう規定が入れられたやはり背後には、饗応、買収した者は厳罰に処する規定のようなものがあつて、両々相待つのでしたらいいのですが、なかなか現行でもやれる害われながら、検察庁や警察も、私なんか見たところでは、殆んど構つていませんし、却つて費用が嵩むことになりはしないかというふうに、まあその点を非常に危惧するんです。私もその点では若木委員と非常に同感で、それは私はとにかく私があちこち廻つたところでは、県会の時にひどい目に遭つたから今度は元を取る、投下資本を回収すると皆言つているのです。これは憂うべき問題ですが、これは却つてその機会を与えるものではないかというふうに考えるわけであります。
  42. 小澤佐重喜

    衆議院議員小澤佐重喜君) 先ほども申した通りに、若木君や中田君の御意見を全然否定するわけじやありません。そういうことも考えられましよう、併し問題はなぜ金が県会議員選挙に百万も二百万もかかつたかというと、私はその一番根本的な問題は人海戦術であると考えております。たくさんの人員を総動員して、村全部を総動員した、隣りの村も総動員した、これに飯を食わすだけでも非常に金がかかつてしまうのでありますから、いろいろな点もあるが、人海戦術がいつでも選挙の勝敗を決するようでして、これはいつも金がかかつてしようがないという意味から、衆議院委員会では皆一致してこの人海戦術をなくしようということに重点を置いております。置いておりますが、人海戦術をとめたからと言つて公正になるか、公明になるかと言えば、それはいろいろあれが出て来ましようけれども、最も大きい弊害を先ず除去するという立場からこの法案を作つたのであります。だんだんと中田君の意見若木君の意見も考慮しながらお互いに研究して行きたいと思つておりますが、大きなポイントはそこにあつたということを申上げておきます。
  43. 若木勝藏

    若木勝藏君 私の第二に聞こうとした点を中田君のほうから御質問があつたのでありますが、私も、こういう公正にやろうと表面を制限して行けば、闇のほうに必ずそれが流れて行く、こういうふうなことを非常に憂うるものでありまするが、この点については中田君のほうからいろいろお話がありましたが、結局そういうことを考えたときに、金の面で以て、費用の面で以てこういうことを改正したということは、私は実際においては改正の点にならないのじやないか、そうして改正の点にならないばかりでなしに、そういうことが非常に日本の民主政治というふうなものに大きな制約を与えることになる、こういうことになりますると、新らしく出るところのいわゆる新人と称せられるところのような人は、全くこの思いやりの、蔭の費用を少くするというような点から、却つて非常に自分の考えを一般の大衆に知らせる機会を大幅に制限されてしまう、そういうふうなことを考えられるのでありまするが、実際においてまああなたのお考えは金がかかるのでこういうふうな改正をしたということをはつきり申されたようでありますけれども、それではそういう点で昨年の地方選挙あたりでもどれだけの一体こういう方面に金が使われておつたか、そういうふうなことについての何か御調査でもありましたか。その点について伺いたいと思います。
  44. 小澤佐重喜

    衆議院議員小澤佐重喜君) それは選挙費用は届けることになつておりますけれども、届かつて来る費用は法定費用でありますから、調査のしようはないのであります。併しながらそれはお互いに選挙というものは何十年もやつておるのですから、それですから、それは実際に百万円で上つたか二百万円で上つたかということは若木君がわかるように、中田君がわかるように、私もわかつておるのであります。衆議院委員もわかつておるのであります。でありますから、一昨年の選挙は非常にかかつたことは資料なくともわかつてくれると思うのであります。それと同じように衆議院議員も金がかかつておるものと……。別に資料はとりません、又とりようがない、本当のことを候補者から聞くよりほかはないのでありますから、それでありますから、資料はとつておりませんが、あなたが見ておる通り、私が見ておる通りのことは事実だと思うのです。そこで問題は金というものにのみ縛られて、本当の選挙の自由公正というものをなくしているのではないかというような御意見でありますが、それも一部おる。或る一つをそういうふうに抑えると、或る一つの欠点が出て来る、それは何でもそうであります。で私はできるだけそれをなくしようというので、立会演説会をうんと殖やそう、個人演説会をうんと殖やそうというような意味で、この弊害を考慮しつつこの修正案ができたのであつて、ただ一方に片付けてしまつてあと演説会なんかしないでいいのだというような考えは毛頭持つておりませんが、今この条文にもありますけれども、立会演説会が一番理想的であるという意味から従来の人口五千人を四千人にし、五万を四五に下げて、従つて吉岡君が費用の点でも申した通り、立会演説を三十回が四十回にし、こういうふうにして一方では極力弊害のないように考慮したつもりであります。併しその程度の問題についてはいろいろ御批判のある点もあると思いますが、可能な限り若木君の考えておるような中田君の考えている点を相当考慮してこの結論を得たつもりであります。
  45. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) それでは十二時ですから、午前中この程度にいたしまして、一時から再開したいと思います。午前中はこれにて休憩いたします。    午後零時十二分休憩    —————・—————    午後一時四十八分開会
  46. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) それでは只今より委員会を再開いたします。  午前中に引続きまして、十六までの御質疑がなければ先へ進みます。
  47. 中田吉雄

    中田吉雄君 この八で、八の二なんですが、委員長説明でも余りはつきりした基準供託金の額をこういうふうに増額されたことが御説明でなかつたようですが、分担金をなくされて供託金を殖やされるという趣旨賛成なんですが、この程度の額に殖やすことによつて泡沫候補を抑制できるというふうに思われてこういうふうにされたのでしようか。その点をもう少し御説明願いたいと思います。
  48. 小澤佐重喜

    衆議院議員小澤佐重喜君) この問題は数字のあれでありますから、十万円が適当だという議論も立てば、二十万が適当だという議論も立つのであります。従つて十万円がいいのだというような理論的な説明は恐らく困難だと思います。ただ常識的に考えてみますと、従来の供託金が三万円であつて、そうして分担金の二万円を加えて五万円を納めて立候補するというような実情であつたのです。で、一方選挙費用のほうを考えると、物価の指数その他から勘案をいたしますと、二円を四円にすることが適当だというふうにまあ修正いたしておりますし、そうしてみると、現在の倍額程度に懐から金が出ることになることが妥当ではないかというまあ意味から十万円というふうにしたわけであります。
  49. 中田吉雄

    中田吉雄君 あとから返つて来る額ですが、選挙の前の貴重な場合をとつて考えると、この額でも必ずしも少いということは言えないのですが、この額をずつと少くすることによつてやはり売名的な、実際やる気ではないが、まあやつてみるというような者があるのでしようが、法制局のかたにお尋ねしますが、実際この額にすることによつて、そういう売名的な、或いはガソリンをもらうためとかいうような、そういうことを防ぎ得る額であるかどうかという問題について、一つ意見を伺いたいと思います。
  50. 吉岡惠一

    政府委員吉岡惠一君) 今のお尋ねでありますが、衆議院選挙あたりはそういう事例が比較的少いと思います。ただ参議院の全国の選出議員の中には売名的と見られるのがややございます。それをその十万円で防げるかどうかということはちよつと私のほうは見当がつきかねるのですが、やはり五万円が十万円になるということは或る程度のチェックになると考えております。
  51. 小澤佐重喜

    衆議院議員小澤佐重喜君) 今のに関連しまして、当委員会委員の中から出た話ですが、前回の衆議院議員には三万枚の無料はがきを出した。ところがその三万枚の無料はがきを六万枚使うということは相当選挙運動として効果がある。そこで或る候補者立候補せしめて、そうして三万枚のはがきをもらつて、十日前に立候補をやめて、供託金の没収を免れる方法でこれを利用した、三万枚は幾らかというと、今度は五円になりましたから三かける五で十五万円になる。そうすると十五万円を仮に倍で売つてみたところでやはり十五万くらいしか儲からんじやないか、そういうことまでしてはがき三万枚のためにそういうことをすることはなかろうということと、今度は一万枚にしましたから、五万円になります。五万円で買つたものを仮に三倍の十五万円に売つても五万円しか儲からない、そんなばかなこともしないだろうというような、これは本当の速記をとつた議論ではありませんけれども、そうしたことも参考資料にして、又先ほど申上げた点も加えて、私が勘案いたしまして大体十万円、例えば選挙が済んでからお互いに金のないのを金が十万円返つて来ると非常にあと始末がいいというふうで、結局十万円ということになつた次第でございます。
  52. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 他に今までのところで御質疑がなければ、進みますか。
  53. 中田吉雄

    中田吉雄君 十一の決選投票なんですが、英米等の主要な国のこの制度についての調査一つお伺いしたい。
  54. 吉岡惠一

    政府委員吉岡惠一君) 決定投票は事例があるのでございますが、ただ外国の例はむしろ過半数ということを言つている。つまり八分の三ではなくて二分の一取らなかつた場合にもう一度やり直して二分の一取る、そういう事例があるので、この八分の三の事例はちよつとなかつたかと思います。
  55. 中田吉雄

    中田吉雄君 地方の決選投票を我々が二、三知つているのではむしろ高点人より次点の人が案外決選投票をやるとまあ当選している可能性が大抵と言つてもいいほど多いのですが、そういう事例を調査されていますか。
  56. 吉岡惠一

    政府委員吉岡惠一君) 只今ちよつとお見せする数字は持つておりませんが、我々が調べましたところでは、むしろ決選投票をやつた結果ひつくり返る事例のほうが少ないように思います。
  57. 中田吉雄

    中田吉雄君 一つ主要な知事とか大都市の市長なんかの決選投票をやつた最近の、昨年の春も地方選挙をやつていますから、その結果を一つ明日でも結構ですから、数字にしてお願いいたします。  十五の選挙事務所の問題ですが、選手事務所衆議院、参議院の地方選出並びに都道府県知事選挙事務所は、候補者一人について一カ所になつているのですが、これの選挙費用の節約ということなんですが、実際はむしろいろいろな面からしてはつきりした選挙事務所は二カ所ぐらい持つてやるようなことが、むしろ費用の節約というようなことにはならんでしようか、どうなんでしようか。実際こうなりますと、やはり秘密の事務所のようなものをどうしてもこれは作る。むしろ明らさまにやるというようなことが選挙趣旨に副いやしないか、まあ自分の県のことを出しては恐縮ですが、鳥取県なんかはもう細長くて四十里も五十里もある。それを参議院選挙では一県一区なんです。こういうのが一カ所でその丁度中間地帯から立候補してその選挙事務所をそこで持つ人は非常にいいのですが、非常に長いので東西のほうから出るというのには非常に無理で、これは必ず私は秘密のアジトと申しますか、そういうものを設けざるを得ない。さようなむしろ選挙費用の節約というよりか非常に不明朗な形になつてつて行くかと思うのですが、その点はどうですか。
  58. 三浦義男

    衆議院法制局参事(三浦義男君) 選挙事務所の数につきましては、衆議院におきましていろいろ意見がございまして、一番最初公職選挙法を作りますときにもやはり議論がありましたので、その当時は一カ所でありましたのを二カ所に殖やすと、こういうことにしたのです。ところが又最近におきまして、今度の改正におきまして元通り二カ所を一カ所に減らす、こういうことになつたのでありまして、見方によりましていろいろ御意見がある点であろうと思いますが、要するに選挙費用を節約するという点が主たる理由から一カ所になりまして、それ以外に地方実情によりまして、非常に地域が広いとか、或いは不便の個所が多いというような所につきましては、政令の定めるところによつて五カ所まで置き得る、こういうようなことによつてその間を調整して行こう、こういうことになつておるわけであります。
  59. 中田吉雄

    中田吉雄君 政府でということですが、大体の一カ所から五カ所までの基準はどうなつていますか。
  60. 吉岡惠一

    政府委員吉岡惠一君) 事務所基準はこの公職選挙法制定前の衆議院議員選挙法、これが一カ所が原則でございます。従つて二カ所の所はそれによりますと、三十幾つかの選挙区が二カ所にするというようなことになつております。
  61. 中田吉雄

    中田吉雄君 もうちよつとはつきり一つ……、三十幾つですつて……。
  62. 吉岡惠一

    政府委員吉岡惠一君) はつきりした数字は覚えておりませんが三十幾つだと思います。三十幾つの選挙区が選挙事務所を二カ所設けることになつております。
  63. 中田吉雄

    中田吉雄君 選挙区がというのは町村が三十幾つという意味ですか、どういう意味ですか。
  64. 吉岡惠一

    政府委員吉岡惠一君) 選挙区です。百十幾つかある選挙区のうち……。
  65. 中田吉雄

    中田吉雄君 ああそういう意味ですか。
  66. 石村幸作

    ○石村幸作君 今の事務所の数に関連して衆議院と参議院とを同じように考えたのはどういうのですか。
  67. 三浦義男

    衆議院法制局参事(三浦義男君) これは公職選挙法ができますときから、大体衆議院で参議院の地方選出議員と、それから衆議院議員選挙というものを同じような程度で従来とも考えて来ておるわけでございますが、厳密に申しますると、区域に大小が勿論あり得るわけでございます。衆議院におきましても一県一区の所が九県ほどありますので、なお又そうでない所は一県よりも小さい区域選挙区が分れておるというようなことがございまするが、やはり只今申しましたようなことから来ておるわけでございます。
  68. 石村幸作

    ○石村幸作君 例えば現行法だと一例を言えば、神奈川県なんか三ヵ所になつておりますね、事務所が。今度一ヵ所になる、そうすると現行法と前とは同じわけではない。
  69. 三浦義男

    衆議院法制局参事(三浦義男君) 神奈川県は三ヵ所になつておりまするが、これは私が先ほど申上げました政令の定めるところによる特例として五ヵ所まで設け得るという例として三ヵ所として指定したわけであります。原則現行法で申しますると、二ヵ所ですから、三ヵ所は置けないわけです。衆議院におきましては、神奈川県につきましては別に選挙事務所を余計に置くようにはなつておりませんので、衆議院選挙区でこの現行法で二ヵ所以上置き得るのは、つまり三ヵ所しかございませんが、北海道の第五区と長崎県の第二区が三ヵ所の所で、それ以外は衆議院選挙については特例がございません。ところが参議院の地方選出につきましては、相当各都道府県に亘りまして北海道は五ヵ所、少い所は三ヵ所というような特例が設けてございます。
  70. 石村幸作

    ○石村幸作君 その基準は政令に任してあるんですか。その基準はさつきどなたか質問があつたけれども、はつきりしなかつたんですが、何か現在この基準ができておりますか。
  71. 三浦義男

    衆議院法制局参事(三浦義男君) その点につきましては、全国選挙管理委員会から説明して頂くといいと思つておりますが、法律の上で考えましたことは、交通困難その他の状況のある区域ということで、その地域における交通の便不便というようなことを主たる基準として政令できめるということに一応法律ではしてございます。
  72. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 今の石村君の御質問に関連してお尋ねしておきますが、今までの選挙事務所原則衆議院選挙区、又参議院地方区選挙区におきまして二ヵ所までできるのでしたね。
  73. 三浦義男

    衆議院法制局参事(三浦義男君) そうです。
  74. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 ところが今度はそれが一ヵ所だけにするのだ、そうしますと、衆議院のほうは県で三つも四つも選挙区があるのです。だからその選挙区で一つということが原則でいいのですが、参議院の場合にして見ますと、地方区もその四つの選挙区が集まつて一つ選挙区をなしておる。だから二ヵ所というものが、政令でたくさん定められなければならないと思うのですが、十分それを用意してあるのですか。
  75. 吉岡惠一

    政府委員吉岡惠一君) 先ほどの説明が不十分でしたので或いはおわかりにくかつたと思いますが、先ほど私が説明申上げましたのは、衆議院お話でありまして、参議院の場合はやはり衆議院選挙区を幾つか合せたものが一選挙区になつているのが相当ございますので、只今およその標準といたしましては、現在の公職選挙法施行令の別表第五というのがございますが、これが教育委員選挙をやる場合の選挙事務所の数でございます。およそこの程度の数にするのが適当ではないかというふうに一応考えております。具体的に申上げますと、北海道が四ヵ所、三ヵ所の所が東京と新潟、長野、大阪、兵庫、福岡、長崎、この府県が三ヵ所で、あとがニヵ所であります。およそこの程度でいいのじやないかと考えております。
  76. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) その他十六まで御質疑ございませんか……それでは次に十七から二十一ぐらいまで一つ
  77. 小澤佐重喜

    衆議院議員小澤佐重喜君) 第十七は「未成年者の選挙運動禁止」でありますが、これは少くとも最近の法律では初めての事項でありますが、やはりこの選挙権の行使ができない人は選挙運動禁止をしたほうがよろしいのではないかという意見が出ましたが、ただ単純に選挙運動の労務に当る者、例えば選挙事務所でお茶汲みをしたり、或いは郵便局に郵便を持つて行くに必要なそういう人までも未成年者ができないということはいけないので、そういう単純な労務に従事する者は未成年者でも差支えない、こういう趣旨改正をしたのであります。  次の十八は「戸別訪問」でありますが、これは先ほどの提案理由にも説明申上げましたように、従来は但書がありまして、候補者は親戚知己、或いは特別の縁故関係だけは訪問をしても差支えないという規定があつたのでありますが、この問題は衆議院特別委員会でも非常に議論がありまして、一体戸別訪問とはなんぞやという問題から解き起しまして、この戸別訪問の問題だけでも三回か、四回委員会を開いたような次第でございますが、結局但書を削ることにいたしまして、併しながら社交上必要な、或いは社交上当然と認められるような、例えば遠隔の地に演説会に行つたところが、たまたまそこに親戚があつた。そうすると選挙じやなくとも、当然その場合は顔を出すような場合を、選挙ならば顔を出せなくなるというような戸別訪問の解釈の仕方はむしろ適当でなかろう。併し但書がなくてもそういうことは当然なんだから、あの但書があるというと、戸別訪問は自由だということの感じを一船国民に与えまして、それが延いては人海戦術の一部になるというようなことがありましたが、結局この戸別訪問禁止する建前をとる。ただこの戸別訪問というものの定義というものを、もう少し常識的に社交的に解釈するという建前で、衆議院ではその趣旨委員長報告の中に盛り入れまして、従来のような非常な厳格な狭い戸別訪問という趣旨でなくて、社交上の問題は除くというような解釈をとる建前において、この但書を削るような意味であります。  それから十九の「署名運動禁止」でありますが、これは戸別訪問禁止いたしますれば、当然こうした特定の候補者のための署名による選挙運動禁止するのは当然だという広い結論になつたのであります。  二十の「飲食物の提供の禁止」でありますが、これは現行法では、お茶に限つて事務所で認めておりますが、これも茶菓ということにしましたことは、日本の習慣といたしまして、湯茶というよりも茶菓という程度であれば、何も普通の常識から見ておかしくないし、大体選挙運動に関してお茶菓子程度はおかしくない。むしろ常識的に考えたほうがいいというので、湯茶というのを茶菓に改めたのであります。  それから二十一の自動車でありますが、これは衆議院の選手を基礎にして申上げますというと、いずれも街頭における選挙運動は、すべて自動車一台を以て、而もこれに対して候補者の特定の標旗を掲げまして、この標旗の下であれば、如何なる選挙運動をやつてもかまわない。即ち連呼をすることも自由であるし、演説会告知をすることも自由である、候補者の名前を呼ぶことも至当であるというような建前で、これも非常に議論がありましたが、結局自動車の一台の上で、而も標旗を持つておれば、屋外運動は如何なることもできる。併しこれを持たなければ何もできないという建前で、自動車一台で標旗を携えまして、その標旗の下でのみあらゆる運動ができて、標旗のない者は一切できない。即ち従来の別働隊というようなものは認めないという趣旨で、自動車を一台にし、従つて拡声機船舶等も、この標旗がある場合に限つて使用できるのであつて、標旗がなければ一切ができないという程度にしたのであります。この程度でなお御質疑があれば、二十一まで……。
  78. 原虎一

    ○原虎一君 最初の未成年の運動禁止ですが、但書のうちで「選挙運動のための労務に使用する場合は、この限りでない」選挙運動の労務というのは政令で定めるのですか、どの範囲ですか。
  79. 小澤佐重喜

    衆議院議員小澤佐重喜君) この問題、やはり衆議院でも非常に議論がありました。例えば自動車の中で候補者の名前を連呼する、或いはその演説告知をするものは単純なる労務か、或いはいわゆる選挙運動に当つて制限できるかできないかという議論がありましたが、結論においては、自動車の場合における連呼は未成年者はできないという考えの下にこれをやつたのであります。従つて労務とは何ぞやということになりますと、本当の機械的な、先ほど例を申上げましたように、選挙事務所内のお茶くみであるとか、或いははがきの名宛を書く程度のこと、或いは郵便局へ自転車に乗つてお使いをするとか、本当に機械的な労働だけを認めて、その他外部的に候補者のための得票を得るために、一切未成年の者を使わないという趣旨衆議院は考えております。
  80. 原虎一

    ○原虎一君 これは非常にむずかしいと思うのですが、例えば演説会場で、例えば雨が降つたから傘、下駄等の預りのために、十八歳か十九歳の女の子を使うというようなことが起きて来ると思う。従いまして、その善悪はいずれ我々検討してきめますけれども、やはりいわゆる選挙運動のための労務とはどの程度かということが明確になつていないと、我々判断に苦しむのですが、それよりもむしろそれがもつとこれを高等学校の生徒の上級生を考える場合、十八歳くらいまでに引下げたほうがむしろ問題が起きないというような気がするのですが、いずれ衆議院においてもそういう点は検討されたと思う。そういう満二十歳を十八歳に下げたらなぜいかんかという問題についても、衆議院の検討状況をお話を願いたいと思います。
  81. 小澤佐重喜

    衆議院議員小澤佐重喜君) 原君のような御意見もありまして、衆議院でもいろいろ議論が出ました。こういうような議論が出ましたが、各党でまとまつたのがこの線であつて、十八歳がよかろうとか、満十五歳までは刑法上認めておる意思能力がないから、それでもいいんじやないかという議論が出ました。而もこの選挙運動とは何ぞやということが公職選挙法では定義してない。だから選挙運動というものを列挙しようということが出ましたが、併しこれを列挙することはなかなか容易でないので、勢いどつちかというと、疑問な点が相当問題には包蔵されておると思うのであります。従つてこういう問題について、これならば誰が見てもこうだというような結論はちよつと付きかねるところでありますから、原君のような意見の見解をとるのも一つの見解であつて、ただ衆議院ではその点のほうが弱くてまとまらなかつたというようにお含み願いたいと思います。
  82. 中田吉雄

    中田吉雄君 未成年者が選挙運動をやつてどういう弊害がこれまで起つたと思われていますか、先ずその点をお伺いしたいし、私はやはり選挙費用を節約する意味から言つても、機械的な労務なんかはやはり成人、大人の人を雇用するよりか実際選挙費用の節約にはなると思うのですが、そういう点についてなぜこの禁止規定を入れたか。
  83. 小澤佐重喜

    衆議院議員小澤佐重喜君) 問題は、この選挙権の行使の年令をどうするかという問題につながつて来ると思うのです。要するに日本では満二十歳以内について選挙権を与えていない。この二十歳に選挙権を与えるということは、いわゆる選挙の本当の目的というものを理解して、そうして完全な行使ができるという考えの下に、現行法が二十歳というものをやつておるわけです。併しながら二十歳がいいか十八歳がいいかということは、その国の民度、或いはその国の民族の現状から見ていろいろ判断するわけでありますが、とにかく日本の現行法では二十歳を選挙権者と認めているわけでありますから、それ以下の者は選挙に対する考え方がまだ未熟であるという見地を現行法がとつておることだけは、はつきりできると思います。果してそれでそれがいいというのならば、やはり選挙権を行使することさえもあぶないというのに、選挙運動をさせるのは却つて同じような心配が出て来るのではないか。併しながら今お話申した通り、単純なる機械的な労務は何も選挙権を行使する判断、或いは常識等の必要はないのでありますから、何人からの命令或いは頼みによつて単純な労務をするのは差支えないという趣旨であります。
  84. 原虎一

    ○原虎一君 これは実際こういう法律を作ると、その適用に当る人が非常に困るのじやないかと思うのです。昔、単純なる労務者を選挙運動者というものを法律上区別した時代があつた。例えば立看板を運ぶのは単純なる労務である、或いはポスターを貼るというのも単純な労務である。演説をして有権者に候補者の可否の判定を与えるような運動はいかんという範囲の問題が出て来ると思うのです。まあ今中田君からも質問がありましたが、全く十三、四の子供を自動車に乗せて、小学校の先生をやめて県会議員に立つて運動をやつたのを私ども見ておりますが、それで当選しております。こういうこともありますから、全く可否の判定を与えるような運動に子供を使うということはどうかと思うのですが、このままではどうも我々も非常に困るんじやないかという気がするのです。昔の単純労務というのは一定のまあ基準があつたような気がするんですが、そういう問題について単純なる労務をどの範囲にするというようなことが政令なら政令できめられる、その腹案ができておれば我々検討するのに工合がいいのですがね、まだそこまで行つておりませんか。
  85. 三浦義男

    衆議院法制局参事(三浦義男君) 古い時代の選挙法でやはり労務の問題を取扱つておりまして、規定は単純な労務ということでなくして、やはり選挙運動のための労務という同じ用語でいつております。その場合に単純な労務がどうであるか、或いはそれ以外の選挙運動のための労務はどういうものかというような問題がいろいろあると思いますが、ここで考えておりますることは、いわゆる選挙運動というものは社会通念的には、又選挙法の全般の精神からは、特定の候補者の当選等を目的として投票を入れたり、又得せしめたり得せしめない行為というようなふうに通念されておりますので、そうでなくして、先ほどのお話がありました機械的な労務とか、或いはそれに類するような行為はすべて選挙運動でないと見られまするので、そういうものは選挙運動に関連はいたしまするけれども選挙運動でない、選挙運動のための労務、こういうように解釈いたしております。これは選挙法で同じ用語でずつと来ておりまするから、まあなかなかはつきりしない面もあるかも知れませんが、一応熟した用語だと、かように考えております。
  86. 原虎一

    ○原虎一君 少し具体的に言いますと、演説会の準備をする、演説会にスローガンを揚げさしたり、或いは受付の下駄をあずかる、そういうものは善支えあるかないか。それからポスター張りをやらせてもいいかどうか。はがきの宛名書きとか或いは事務所における給仕的な仕事ということはこれは常識的に考えますが、演説会場の準備、ポスター張りなんというものはどういうふうになりますか。
  87. 三浦義男

    衆議院法制局参事(三浦義男君) 只今お挙げになりましたような例はすべて選挙運動のための労務と、かように考えております。従いまして外部にポスターを張る場合は勿論のこと、場内におきまして演題等を掲示することもすべて労務だと、かように考えております
  88. 中田吉雄

    中田吉雄君 その点に関して、立候補した候補者事務所から街頭を流して行く際に、政策をきちんと書いてマイクで朗読させる、これも機械的な労務なんですが、それは委員長はやはり選挙運動のように言われたのですが、これはどうなんですか。
  89. 三浦義男

    衆議院法制局参事(三浦義男君) 読む行為自体は一つの機械的な事柄のように考えられますけれども、その訴えること自体が問題でありまして、それはその内容投票を依頼したりするような内容を含んでおる以上は、やはりそれに携る行為は選挙運動だと、かように考えております。例えば連呼行為をいたす場合におきまして、誰々さんに投票をお願いいたしますというような依頼の行為がその文言の中に現われておれば、やはりこれを選挙運動だというように従来考えておりますので、そういうような意味におきまして今の問題も選挙運動だと、かように解釈いたします。
  90. 中田吉雄

    中田吉雄君 もう一遍お伺いしますが、選挙権がある者が大体公平な判断のできる年令に達したという意味で、こういう規定を入れられたことも一応理解されるのですが、やはり最近の選挙でこういう弊害が多かつたんですか。
  91. 三浦義男

    衆議院法制局参事(三浦義男君) これは今度の改正案を作りますときに、小澤委員長の前の水田委員長のときでありましたが、衆議院選挙法委員のかたがたが全国手分けしてほうぼうへ参りまして、私もそのときに或る地方へお供して参つたわけでありますが、それから更に各方面を視察された結果の報告等に徴しまするに、やはり未成年者の選挙運動というものはこの前の地方選挙等におきまして相当弊害が現われたというような意見が出ておりまして、そういう結果からこういうことを規定したわけでございまして、例えばこれは連呼行為等とも関連いたしますけれども、いわゆる人海戦術と申しますか、そういうようなこととも裏腹の問題になる事柄でありますので、規定したほうがいい、こういうようなことからこの規定ができたわけであります。
  92. 原虎一

    ○原虎一君 十七はそのくらいにしまして、二十一の自動車拡声機の問題ですが、五大市選挙には自動車拡声機一台使えまするが、それ以外の市には拡声機は使えるが自動車禁止してしまうというのですが、この点はどういう理由でしようか。例えば川崎市のごとき人口三十万もあるというような所では自動車は使えない。これは私の考え違いかも知れませんが、その点御説明願いたいと思います。
  93. 三浦義男

    衆議院法制局参事(三浦義男君) たしかに仰せの通りに、市につきましては、五大市以外につきましては自動車の使用は今度の選挙改正では禁止される、こういうことになつております。従来はこの点につきまして規定を置いておりませんでしたから、いわゆる無制限と申しまするか、台数の制限がない、こういうように解釈しておつたわけであります。それで確かに或る相当広い市等におきましては、市長の選挙或いは市会議員選挙等におきまして不便な点が確かにあると思いまするが、市におきましても選挙区等が設けられることになりますので、必ずしも市の一つの地域だけが一単位の選挙区、こういうふうになるわけでもありませんので、そういう点から、それから更に費用の点等を考えまして、自動車は市町村選挙において禁止する、こういうことにいたしましたわけであります。
  94. 原虎一

    ○原虎一君 これは小澤さんのあなたのほうの率直に言つてミスじやないのですか。政党人としてちよつと考えられないですね。例えば川崎市の場合におきまして、市会議員選挙、市長の選挙という場合において、市長の場合は勿論ですが、市会議員つて選挙区はありません。そうすると東京湾の海岸から登戸のほうまで十里も十二里もある。拡声機をリヤカーや自転車で持つて来ても選挙運動になりません。今までの無制限に我々は必ずしもいいとは思いませんが、少くとも市と名のつくところで自動車が全然使えないというのは、日本の文化程度を余り低下せしめた選挙運動になりはせんか。これはまああとで御相談申して直すべきところじやないかという気がするのですが、ちよつと衆議院審議の事情をお聞きしておけばいいと思いますが……。
  95. 三浦義男

    衆議院法制局参事(三浦義男君) ちよつと私から附加えておきますが、自動車につきましては、この百四十一条で規定しております、いわゆる選挙運動自動車というものがなくなりまするが、全然自動車が使えないということにはならないわけでございまして、それは御承知の通り、百九十七条によりまして、これは従来からもあつた規定でありまするが、「候補者が乗用する船車馬等」には、その中には自動車が入りますので、候補者が乗る場合におきましてはそれは選挙法上認めておるわけであります。
  96. 原虎一

    ○原虎一君 その場合に候補者が乗ることはわかつています。併し拡声機を乗せて候補者が連呼して来るという場合においては、これは専用の自動車になりますから、そういう自動車は使えないのですが、ただ演説会場へ行くために、或いは候補者が用件があるから使うということは差支えがないのでありますが、拡声機をつけて候補者が連呼して行く自動車として使用はできない。こう私は解釈しておるのですが、その点はどうですか。
  97. 三浦義男

    衆議院法制局参事(三浦義男君) 拡声機をただ運搬するだけは可能だと思いまするが、それを使用しまして、それを途中連呼して行くということになると、それは仰せの通り不可能だと思います。
  98. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 今原君がお触れになつた点、それから未成年者の選挙運動禁止の問題、それから先ほど第一に掲げてあつた町村区域を分けて開票区を設定し得るという問題、これは実はこの前の公職選挙法改正のときに参議院側では大体こういうように考えておつたのを、衆議院との相談のときに衆議院のほうで同意せられなくて、実はやめたほうに属するのです。そのときに参議院の考えとしては大体こういうふうにしたほうがよかろうというふうに考えておつた。ただ原さんが触れられたように、五大市だけに選挙運動自動車を限定することには考えておらなかつたのであります。  それからお尋ねをいたしますのは、戸別訪問の定義ですが、これは衆議院側ではどういうふうにお考えになつておるか。委員長報告で詳しく御報告なつたというふうに承わりましたが、定義を承わつておきたいのであります。
  99. 小澤佐重喜

    衆議院議員小澤佐重喜君) 今の問題ですが、要するに先ほど一例をとりましたが、例えば候補者が遠隔の地に演説に行つた、そういう場合においてたまたま自分の兄弟がそこに住んでおつた、そこへ選挙でない場合に行つた場合でも当然寄ることが当り前だというような所へ選挙があつて寄つたということは、これは戸別訪問じやないというのはまあ一つの例であります。それを抽象的な文句で言いますと、候補者が、その他の運動員でもそうでありますが、社交上の目的をもつて訪問することを禁止するという意味ではないということを国会報告し、又只今報告申上げた理由でありまして、要するに候補者なり選挙運動員が一定の家庭を訪問さへすれば戸別訪問だというふうな形式的な戸別訪問ではなくして、社交上当然許されておつて、例えば知人の家の前を通る場合に、茶を飲んで行けと言われて茶を飲んで行けば、そういうことはすぐ選挙違反になるという趣旨ではないのだ。要するに日常と違つた趣旨選挙意味をもつて訪問したときに戸別訪問に当るというふうな意味に解してやつたのであつて、これは取締の判断の資料にするという趣旨でございます。
  100. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 百三十八条の第一項の但書を削つたということですが、そういたしますと、但書には、「但し、公職候補者が親族、平素親交間柄にある知己その他密接な間柄にある者を訪問することは、この限りでない。」こういう但書が付いておる。これは選挙に関しては、「親交の間柄にある知己その他密接な間柄にある者を訪問することは、この限りでない。」という意味でありますが、今度は選挙に関しては、自分の親族、平素親交間柄にある知己でも訪問することはできない、こういうお考えですか、今度の改正案では。
  101. 小澤佐重喜

    衆議院議員小澤佐重喜君) 今度の改正は、大体において但書があつた場合でもない場合でも同じ趣旨なのだという意味であります。但し但書があるというと、戸別訪問が全部許されてしまつたという感じの下に、一般人も堂々とこの戸別訪問をする傾向にある。それは決して但書戸別訪問を許したのではなくて、いわゆる従来もあの程度のものはよかつたので、徒らに戸別訪問というので、取締官が法を誤解して戸別訪問取締る虞れがあるから、あと但書が生れたのでありますが、但書が生れてしまうと、今度はもう一歩進んで戸別訪問は自由なんだということを一般の立候補者に与える虞れがある。そこで候補者が社交上の目的で、或いは親戚その他懇意の間柄にある者を訪問することは差支えないという趣旨で、これを現実の面においては変えた趣旨ではないのでありますが、ただその条文から来る一般の弊害というものをなくして、むしろその戸別訪問それ自体というものが、あの但書がなくとも当然そういうことができるのじやないか、これがあつたために別の弊害が出るから戸別訪問は何ぞやということを常識的に解釈しておいたほうがよかろう、こういう考え方であります。
  102. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 今の百三十八条は何分選挙に関しては戸別訪問をしてはいけないということが本分であり、但し選挙に関しては、公職候補者に限つては親族や友人を訪問することはこの限りでない、こういうことにまあなります。この点は確かだろうと思いますが、一応選挙管理委員会のほうでお答えになつて頂きたい。
  103. 吉岡惠一

    政府委員吉岡惠一君) やはり選挙に関してというあれがありますから、只今岡本委員お話通りであります。
  104. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 そういたしますと、今小澤さんから御説明になりました但書を削つてしまつて、併し但書があつたと同様のつもりだというふうに聞えるのですけれども、即ち但書を削つて候補者選挙運動に行つたついでに自分の兄弟の所、又兄弟以上に親しくしている友人の所に、選挙で出て来たから頼むぜと言つて行くことはこれは差支えない、こういう御趣旨でありますかどうか。衆議院側の御意見は……。
  105. 小澤佐重喜

    衆議院議員小澤佐重喜君) それはその趣旨であります。その趣旨であつて、それはいわゆる公職選挙法戸別訪問には当らんのだと言うので、ですから選挙のときに、例えば選挙で大変でしよう。こちらも一生懸命やつている、どうぞよろしくお願いいたしますと言うことは、むしろ選挙運動じやなくて、社交上の当然の常識なんだという意味なんであります。
  106. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 その点一番重要な点なんですが、これは現行法の百三十八条の法文が、戸別訪問とは何ぞやということが大分問題になつた。戸別訪問するというような場合、軒並みに、知ると知らざるとを問わず、戸別によろしく頼むと言つて歩くのが選挙戸別訪問である。こういうふうに一応は考えられたのであります。そこで選挙に関し、軒並みに、知ると知らざるとを問わず訪ねて行つてもいい。選挙運動期間でもいいのだ。だからリコールなんかの問題をその選挙期間中に故意に起して、そうしてその候補者に立つている者は選挙じやないので、リコールの目的だと言つて、よろしく頼むと言つて行くことがこの百三十八条では禁ずることができない。こう思うのであります。それから選挙に関してでありますが、今度は個々、知ると知らざるとを問わず訪問することはできないと言つているようでありますが、戸別訪問を解釈すれば、まあ知つている人に対してよろしく頼むぞと言つて、戸別でなくて、この区域では二人、あの区域では三人、こういうふうに頼んで歩くのは差支えない。それがこの但書に出ている、公職候補者が親戚、平素親交のある知己、密接な親交のある場合に、よろしく頼むぞと言つて、戸別的なものではなくて頼んで歩くのはいい、こういうふうに解釈しておつたのであります。ところが今度、今の御説明では、戸別訪問は、こういうふうに知ると知らざるとを問わず、各戸訪ねて行くのだという、こういうお考えになつているのかどうか。何かそうでないようにもとれて、非常にあいまいでありますから、その点を伺いたいと思います。
  107. 小澤佐重喜

    衆議院議員小澤佐重喜君) 先ほども一言申上げましたが、戸別訪問の定義というのは非常にむずかしいので、私ども昔から選挙をやつておりましたが、例えば昔の選挙は、出た以上は、町から町へ歩きまして、羽織、袴で一軒一軒廻つた。ああいうことはいかん。こういうところから戸別訪問はいかんということができたわけであります。戸別訪問のああいう訪問はいかんということが、今度は裁判所の解釈によつて戸別訪問とは何ぞやというと、特定の票を得る目的を以て、連続的に或る候補者が行くということになつて、それが岡本さんの解釈の例になつたように考えております。  私ども衆議院で考えたのは、例の行列を作つて、そうしてお神輿騒ぎをする戸別訪問は勿論禁止されております。  それから現在の戸別訪問というのは、今の知己程度の地区だけを寄りまして、而もその寄る目的が得票のためにそこまで行つたという場合と、或いはそこをたまたま通りがけたという場合と、ここを厳格に区別しなければ疑問だと思う。それが他の選挙がないと同じような場合に言葉をかけたり、或いは町の中でたまたま話をしても、国民常識のように考えて、そういうものは戸別訪問とは考えず、寄つた目的が特に票を得るために寄つた目的、或いはその他の社交上何ら寄る必要のない所に寄つた、そういう場合が戸別訪問になる。だから昔の戸別訪問よりは深く、又最近の戦争中の警官が取締つていたような戸別訪問ではなくて、その中間のものを考えております。それを理論化いたしますというと、特に選挙であるがために、戸別訪問したのは戸別訪問であるが、併し選挙目的じやなくても、例えば葬式に行つた。或いはお見舞に行つた。ところがたまたまそこで選挙の話が出た。そうした場合に、当然是非お願いいたしますという、単にお願いしますということは、それだけで言つたのじやなくして、他に親交上の問題もあるから、国民的儀礼と同じように思うから、そういうものも考えて行くべきだ、そういうことであります。
  108. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 そこで現在の百三十八条は、但書のあることによつて、二つのことがはつきりしていると思うのであります。それは、公職候補者以外の者が、平素親交のある間柄にあり、いろいろな密接の関係のものが訪問することは、これはいけない。社交上ということが選挙に関してですから……選挙に関して公職候補者以外の者が親類や知己を訪問することはいけない、公職候補者はいいのだということが一つであります。公職候補者の限りはいいのだということが一つ、それから公職候補者も軒並みに知らない人のところを歩くのはいけないということが一つであります。この二つのことがはつきりあるのでありますが、この但書を削つてしまうと、そういうことが一切わからなくなつてしまう。戸別訪問とは何であろうかということが第一わかりませんし、いろいろなことがありますから、一切いけないのじやないかというふうなことにもなりますと、そういう点が非常にあいまいになるのですが、この点、これは選挙運動の中の大きな目標でありますから、最も重要な但書を削られたことによつて、却つてあいまいになるのじやないかという気がするのであります。この点選挙管理委員会のかたはどうお考えになりますか。
  109. 三浦義男

    衆議院法制局参事(三浦義男君) 私からちよつと補つておきますが、大体委員長からお話のありましたような趣旨但書はとることにいたしたのですが、法律的に申しますと、但書をとることによつて戸別訪問を全面的に禁止する、こういうことの趣旨から但書をとつた。現在但書によりまするというと、岡本さんからお話がありましたような、選挙の際に投票を得る目的で、親族、平素親交のある間柄、知己なりその他密接の間柄にある者を訪問することは差支えないということになつているわけであります。表から堂々と投票を得る目的でこういう人に投票を依頼するために、戸別訪問をすることは差支えないというふうになつておりますけれども、但十をとることによりまして、それは表面上できなくなるということは当然のことでございます。ただ但書をとりますけれども、先ほど私どもの委員長から話がありましたように、社交上の目的を以て訪問する場合は差支えない。従いまして社交上の目的を以て訪問するというようなことを、この法律の上に書くつもりでありましたが、それは又いろいろ弊害も起りますので、これはやめまして、その意味法律の中に折込むということで措置されたわけでありますが、その社交上の目的が果してどういうことであるかということが問題のポイントであろうかと思つておりますが、先ほど例に出たように、たまたま何かの会合なんかで、そこで選挙の話が出る、そういつたような際に、よろしく頼むとかというようなことは、いわゆる社会通念上から考えましても、社交上の目的を以て訪問して、その際に頼むという、そういう話が出て来たという程度は、これは常識上考えてもそれを取締る必要もない、又弊害もなかろうというようなことで、そういう範囲のものは勿論許す。ここで禁止している範疇には入らない。併しながら表向き堂堂と行く戸別訪問はいけない、こういうことになつておるわけであります。
  110. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 そうしますと、三浦さんにお尋ねしますが、選挙に関しては、自分の親戚や知己を尋ねることはできない、こういうことになりますか、厳格に言つて
  111. 三浦義男

    衆議院法制局参事(三浦義男君) そういうことはございません。選挙に関して、投票を得る目的戸別訪問をするということはいけないのであります。
  112. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 私簡単に言つたのですが、選挙に関して、投票を得るというのですから、つまり選挙に関して投票をよろしく頼みますぞ。是非とも今度当選するように努力して下さいというのは、これはいけないということになりますね。
  113. 三浦義男

    衆議院法制局参事(三浦義男君) そういうことでございまして、そこのところは非常に大事なニュアンスのあるところでございまして、選挙に関しと申しますと、先ほど社交上の目的を以てどこかに行つたが、そこでたまたま選挙の話が出たということも選挙に関しとなりますので、選挙に関し投票を得る目的を、これはお縮めになつておつしやつたからあれだと思いますが、そういうことがいけない、こういうように考えております。
  114. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 もう一点、三浦君にお尋ねしておきますが、戸別訪問という衆議院側の御解釈は、町内で相当数の戸数を個々尋ねるという意味でなくて、知らない人までまじえて、あまり知己でない人まで混ぜて、この部落に一人、それから隣りの部落に一人、又はかの町に一人、こういうふうに尋ねることも、これは戸別訪問ですね。
  115. 三浦義男

    衆議院法制局参事(三浦義男君) さように考えております。
  116. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 これは非常に厳格なことになつたのですが、その意味で考えてみたいと思います。  次に伺つて置きたいのは、百三十八条の二というものをお作りになつて、「何人も、選挙に関し、投票を得若しくは得しめ又は得しめない目的をもつて選挙人に対し署名運動をすることができない。」こういうことになつておるのでありますが、そういたしますと、選挙期間中でも、今までの弊害があつたと同様、リコールとか何とかの署名運動候補者が持廻ることは禁じてない、こういうことが一つあろうと思います。それからもう一つは、百三十八条の本条の、今問題になつ戸別訪問することができない規定、それから新たに出た署名運動をすることができないという禁止規定と二つ揃つて来た。そのほかは差支えないということになると思います。そうすると、選挙に関し投票を得又は得しめない目的をもつて選挙人に対し署名運動やそれから戸別訪問でなければやつてもいいという反対解釈が生まれて来はしないか。今でもややともすれば行われているということでありますが、工場等において、例えば自由党の候補者には一切投票しないというような決議をするというようなことがやられても、そういうことはちつとも差支えないということになりそうですが、その点はどうですか。どういうふうにお考えですか。
  117. 三浦義男

    衆議院法制局参事(三浦義男君) その問題につきましては、選挙法のほうで特に禁止をするというようなことはいたしてございませんが、そういう事柄は、ほかのほうの罰則の条項等によつて選挙の公正を害する、或いは特定の候補者の当選を妨害するというような、罰則の他の条項に該当いたしますれば、取締りの対象になると考えておりますが、直接的にそういうことを禁止する規定は置いておりません。
  118. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 今の問題について、全国選挙管理委員会のほうから、これはかねて調べておいてくれと要求した問題であります。
  119. 吉岡惠一

    政府委員吉岡惠一君) 決議に対しましては、今三浦さんからお話のように、決議自体は問題にならないと思います。ただ決議をやる場合には、或る候補者の推薦みたいなことをやつたり、或いはその他演説をすることによつて演説会の回数に一回だけ勘定されるような場合が、決議自体でなくて、それに附随した行為としてやられる場合があり得ると思います。
  120. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 今の問題をもう少し具体的にお話願いたい。
  121. 吉岡惠一

    政府委員吉岡惠一君) 例えば或る工場の職員組合が会合をしました際に、長々とA候補者の推薦演説をやつて、そのあとで決議にもつて行くというような場合には、その前提の演説の行為は、やはり演説会ということの一回の勘定に入る。ただ突然、今度の選挙においては、誰々の候補者投票するかどうかという個人の意思の表明をするということ自体は、違反にはならないと思います。
  122. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 そういたしますと、選挙運動期間中において、或る工場において、職員組合、労働組合において、何々の候補者には投票しない、何々党の候補者には投票しないという決議をするということは、違法でないということですね。
  123. 吉岡惠一

    政府委員吉岡惠一君) 違法でないというのです。
  124. 中田吉雄

    中田吉雄君 戸別訪問の点なんですが、戸別訪問趣旨戸別訪問による弊害を是正されようとする趣旨はよくわかるのですが、ところが只今委員長が言われたような、社交上の目的を以て云々ということが挿入できないことによつて、却つて取締の警官なんかは、これが非常に問題になつて、そうしてむしろ濫用されて、特定の候補だけ全然訪問できないというように悪用されるような、却つて現行法よりかむしろ悪用されるようなことになりはしないかというふうに考えるのですが、その点はどうでしよう。
  125. 小澤佐重喜

    衆議院議員小澤佐重喜君) 今三浦君もちよつとお話しましたように、この問題については、但し書を削ることによつて、むしろ戸別訪問というものは、但し書がなくなつたのだから、厳重に戸別訪問取締るのだという解釈が反面的に出て来る。従つて中田君の言われるようないろいろな弊害が出てくるのじやないかという議論は、衆議院でも勿論あつた。従つてここに但し書を設けて、三浦君が言つたように、社交上の目的のための訪問はこの限りにあらずという結論を一旦出したんです。どうも併しその条文もおかしいというので、元に戻つて委員長報告通りになつたのですが、今お話のような議論は、確かに衆議院内でもあつて、一旦結論が出され、結論が出たのを又再検討した結果、こういうのは却つて訳のわからんものにしてしまうというので削つて委員長報告通りになつたのですが、社交上の目的委員会内でお話のような議論もあつて何回も何回も研究した結果、結論において今申した通りになつたのでありまして今お話のような疑問は、相当衆議院でも、一度も二度もそういう議論をなさつたことだけをお話申しておきます。
  126. 中田吉雄

    中田吉雄君 若しこの法律通りました際には、やはり取締当局に対してこの立法の趣旨をよくお伝えになるつもりですか。ただそのまま流して行かれて、社交上の目的を以てというような、十分な配慮を以て取締るようにされるのですかどうですか。私は、やはり法の前には平等に、誰もこの規定が公平に適用されると過ちはないのですが、一方の候補だけにこの規定が厳格に適用されるということは、これはもう警察官なんかの常套手段です。これは非常に問題になるのじやないかと思うのです。そこで社交上の目的を以てという、温かいそういう趣旨を一応流されて、濫用やその弊害を是正される用意があるのかどうか、その点を……。
  127. 小澤佐重喜

    衆議院議員小澤佐重喜君) お話の点は御尤もであります。従つて私が衆議院委員長報告をする際に、特に報告したその分ばかりではなしに、更に議長の許可を得てこの報告の詳細をすることになつて、現在そうした疑問の個所をいろいろ集めまして、それを委員長報告に代るものとして官報に掲載することに今準備しているわけであります。従つて今いろいろな、法文だけでは疑問になつて来る。例えば戸別訪問とかの問題については、こういう問題はこう解釈すべきだということを作つたものを私の報告として衆議院の本会議の速記録に載せ、同時にその速記録をすぐ出せば、一般に普及宣伝も可能なような方法をとるために、今法制局でも研究してもらつております。
  128. 中田吉雄

    中田吉雄君 結局この問題は、但書を抜くことによつて戸別訪問弊害をより是正できるか、或いはむしろ濫用される虞れはないかどうかという、比較考量の問題から来ると思うのですが、この点は戸別訪問の解釈が非常に困難ですし、まあ我々も研究してみますが、一つ十分お考え願いたいと思うわけであります。次に百三十八の二ですが、例えば電力料金の値上げ正反対とか、或いは再軍備反対というような問題で署名をとることは、これはどうなりますか、選挙運動として……。
  129. 三浦義男

    衆議院法制局参事(三浦義男君) その点は、別にこの条項には触れないと考えております。
  130. 中田吉雄

    中田吉雄君 触れないのですか……。
  131. 石村幸作

    ○石村幸作君 今の百三十八条の二に関連しまして、立候補の推薦ということは今制限ないのですか。お考えないのですか。
  132. 三浦義男

    衆議院法制局参事(三浦義男君) 現在推薦届出がございますから、御本人が届出をされないで、推薦者によつて届出をするという方式は勿論ございます。供しながらそれはいわゆる選挙運動ということでありませんので、ここに書いてある署名運動禁止の条項には触れないということになつております。
  133. 石村幸作

    ○石村幸作君 そうするとそれも推薦者の数は制限ありませんか。
  134. 三浦義男

    衆議院法制局参事(三浦義男君) 国会議員については、数の制限はございません。それから前には、教育委員と、それから町村長選挙だつたと思いますが、届出の場合には、そういう一定の数の推薦が必要だということもございましたが、公職選挙法制定の際に、その条項も削除しましたから、現在公職選挙法規定しておりまする選挙につきましては、推薦の数についての制限は何らございません。
  135. 石村幸作

    ○石村幸作君 そうしますと、推薦の名に隠れて、この署名運動ということが事実上行われる虞れがありますが、それはどうお考えになつておりますか。
  136. 三浦義男

    衆議院法制局参事(三浦義男君) それは、現在では数等の制限がございませんから、それが純然たる推薦届出の範囲内にとどまりますれば、勿論差支えないわけでございまするが、そこのところの限界が、実は実際の問題として、丁度事前運動と、そうでないのとの区別が非常に紙一重でありますように、むずかしい問題であると思つておりますが、法律上は、只今おつしやいましたようなことは、別にこの制限には該当しない、かように考えております。
  137. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 一点伺つておきます。署名運動に関してですが、よく後援会が作られて会員を募るわけなんですが、その後援会の会員を募つて会員名簿に署名さすことは、これとの関係はどうですか。
  138. 三浦義男

    衆議院法制局参事(三浦義男君) それが選挙に関して、自分が立候補しまして、自分の投票を得る目的というようなことでありますれば、この制限に引つかかりまするけれども、そうでなくして、純然たる政治家としてのその人を援助して行くための後援会ということの署名運動であれば、ここの問題外だと、かように考えております。
  139. 中田吉雄

    中田吉雄君 その点なんですが、例えば号堂会とかいうようなものが今からあちこちにできているのですが、これは明らかに投票を得る目的と思うのですが、それはどうなりますか。
  140. 三浦義男

    衆議院法制局参事(三浦義男君) それも先ほどから申しましたような意味で、ここに該当するような、選挙に関し投票を得る目的というものが中にひそんでおればともかくといたしまして、そういうことでなければ、それはこれに該当しないと、かように考えております。先ほどから申上げますように、その点の限界というものは、実際のそのときの署名を取る取りかた、或いはその会の目的や、どういう目的であつて、それによつて将来立候補しよう、或いは立候補している人の投票を得させようという底意があるかどうか、こういうようないろいろな客観的な事情等を総合判断いたしませんと、具体的にはきめかねると思つておりますが、法律上の問題としては、一応さように考えております。
  141. 中田吉雄

    中田吉雄君 拡声機衆議院並びに参議院の地方区、都道府県五大市選挙に一揃いにされたのは、これは、やはりこれも経費の節減という意味だというのですか。二つだつたの一つにされた理由、これもできるだけ経費を節約するという意味だけなんですか。
  142. 三浦義男

    衆議院法制局参事(三浦義男君) 経費を節約するという意味が主たる意味でございまするが、そのほかに、今度は街頭演説連呼行為等、すべて車の上でなければいけない。街頭演説は標旗を掲げなければいけない。一本の標旗がなければ、すべてそういう街頭演説連呼行為ができないということになつておりますので、大体拡声機はそういうことに使われるのが主たる目的で、選挙事務所等で勿論使いますけれども、そういう点を併せ考えまして二揃を一揃に減らしたのであります。
  143. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 この署名運動の定義はどういうのですか。これもあいまいですが、署名帳を用意しておいてそれに署名を求める行為をいうのですが、署名運動の定着観は。
  144. 三浦義男

    衆議院法制局参事(三浦義男君) 只今例にお挙げになりましたことは、最も明らかな署名運動だと思いますが、必ずしも一つのまとまりました帳簿を用意して、それを廻して行くということでなくして、個別に署名を求めておいて、それを集めて一つの帳簿にするというような場合も勿論署名運動となる、かように考えております。
  145. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 そういたしますと、これはまあ事前運動になればとにかくですが、事前運動でなくて、今申された号堂会の会員の募集とか、又はかにも随分行われているようですが、その会員募集をして、そうして往復葉書で回答を求めるというようなのはとうですか。
  146. 三浦義男

    衆議院法制局参事(三浦義男君) それは、ここにいう、選挙に関し投票を得る目的でない限りにおいては、この項には該当しないということであります。ただ、今例にお挙げになりましたようなことは、大体においてはここに入らないと考えておりまするが、選挙がいよいよ間近になつて来ました場合等におきましては、その限界が非常にむずかしいということは、先ほど申上げました通りであります。
  147. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 殊に衆議院議員の諸君の中には、自分の選挙区において、後援会というものをたくさん作つておられるのです。それで世話人があつてその後援会に往復葉書を廻して、そうしていろいろの後援をしてもらう団体を募つているわけであります。こういうものは造反でないと、こういうふうに考えておられるわけですか。
  148. 三浦義男

    衆議院法制局参事(三浦義男君) 大体現在行われている形態がどういう程度か、私もはつきりは存じませんけれども、今お話のありましたようなことであれば、まだここにいつておる署名運動禁止には該当しない、かように考えております。
  149. 原虎一

    ○原虎一君 戸別訪問の点に関連するんですが、その戸別訪問禁止趣旨から言えば、電話の依頼も禁止されていますか、そう解釈してよろしいですか。その規定がどこにもないようですが、その点をお伺いしたいと思います。  それからもう一つは、拡声機の問題ですが、これは全文を読んでしまえば、又判明するのかと思いますけれども、屋内演説会拡声機を使い、それから自動車街頭演説のほうにも使うという場合もあり得るのですが、この場合には、拡声機一つですから、屋内演説会には使えないということになるんですか。そういう点について御説明願いたいと思います。
  150. 三浦義男

    衆議院法制局参事(三浦義男君) 第一の電話の点でございますが、電話の点は、実は禁止はいたしてないわけでございまして、百八十七条に「立候補準備のために要する支出及び電話による選挙運動に要する支出を除く外、選挙運動に関する支出は、出納責任者」云々と、出納責任者のところで規定がございますが、この戸別訪問とは別個に、電話による選挙運動は一応自由だ、かように考えております。  それから第二の点でございますが、屋内と屋外と両方一緒に拡声機を使うというような場合におきましては、それは一揃でありますから不可能になりますので、どちらか一つのほうに重点を置いたほうにそれを使うというようなことにするより仕方がないと思つております。その場合におきまして、二揃にすることが候補者便宜ともまあ考えられますけれども、これは先ほど申上げましたように、選挙運動費用を節約するというような趣旨が相当に含まれている関係上、こういうことになりましたので、その点を考えないで、便不便ということを申しますれば、或いは二揃のほうがいいという御議論も成り立つかと思います。
  151. 原虎一

    ○原虎一君 演説会に、例えば立会演説会には当然候補者が行くのが普通ですけれども、今度の改正で行けば代理者でいいということになる。そういう場合になれば、立会演説会が夜二回あつても、もう一、二ヵ所候補者がほかへ行くというような場合には、全然拡声機自動車のやつを外さなければ使えんということになる。それからこの拡声機一台を選挙中仮に二十日間使うとして、どのくらいの費用が節減になるからしたほうがいいというお考えなんでしようか、費用節減の上から言えば、私は大したもんじやない。而もこういういわゆる文化文明の利器を余りに極端に制限するということはどうかという気がしますのでお伺いします。私ども、まあやはり一揃を借るたところでせいぜい五万円ぐらいのもので、それから五万円も出せば今普通のやつは一台作れるわけですね。五万円出せば、ちよつとしたいい拡声機が買えるわけです。それは、費用節減としては五万円の節減は大したものでありますけれども、そうならんと思います。ほかの、葉書なんかも三万を一万に減らすんですから、こういうものはできるだけ将来使つて行つたほうがいいじやないかという気がしてお伺いするんですが……。
  152. 三浦義男

    衆議院法制局参事(三浦義男君) 拡声機の点につきましては、これは国会においでになつておる皆さんがたのほうが、費用がどうで、それを取得することがどの程度に困難であるか、或いは楽であるかという点はむしろ十分おわかりになつておることと思いますけれども、衆議院におきまして、いろいろ議論されました経過から申上げますと、やはり費用が嵩むし、二、三揃となりますと、なかなかそれを手に入れるに困難でもあるし、又金もかかるというような点から、多少の不便は忍んでも一揃ということに減らそう。それから先ほど私が申しましたように、いわゆる街頭演説等におきましては、標旗が一本の標旗の下でなければできないというようなことになつておりますので、それと或る程度合わせる意味から申しましても、一揃に減らそう。その代りに、おつしやいますように、多少の不便は伴うことは事実だろうかと考えております。
  153. 原虎一

    ○原虎一君 これは小澤さんにお伺いしたほうがいいと思いますが、どうもこの点は、私ども貧乏な政党にしてからも考えて納得できないのです。今御説明がありましたように、費用の節減という点は、これは大事ですけれども、殊に衆議院選挙になつて見れば、三百、五百というような会場でやらなければなりません。殊にまあ四十四に制限されておりますから、そう小さい会場ばかりでなしに、できるだけ大きな会場でしなければならん。公衆にも聞かせるようにするということは必要なことです。費用の点から言つても、借りても三万円、新らしく作つても、五万円くらいです。そういう党から考えれば、第一に費用節減には、最も大事な部面に節減するのじやないかというような気がします。もう一つは、街頭演説には一つであつて標旗が要する。併し屋内演説には、候補者が例えば立会演説会にも行かなくてもいいのですから、屋内演説個人演説会のほうへ行けるのですから、これはやはり拡声機が許されるべきじやなかろうかというふうに考えるのですが、それを又無制限に何個でも使えるということになれば、これは一応弊害がありますが、一個はどうも、さつきの川崎市なんかの市長選挙自動車が使えないと同じように、どうも文化の利器を余りにも制限するという感じがするのですが、この点衆議院において今議論をされた点を伺えば、どうも余り徹底しないのではないかというような気がするのですが、委員長のお考えを承わつておきたいと思います。
  154. 小澤佐重喜

    衆議院議員小澤佐重喜君) この問題は、原君のお説のように、実は私、屋外運動を制限しようというのが主たる規定でありまして、従つて原君の心配されておる問題は、屋内演説の場合の拡声機を使えば、屋外では運動をストツプしていなければならないのだ、そういう場合には二個くらい許してもいいのではないかという御意見ですが、どうも皆さんと議論したのですが、屋内ではいいつもりであつたのです。ところが三浦君のお考えでそうなつたので、僕はそこをすつかり抜かつておりましたが、これは屋外を制限する意味であつて、屋内は何も制限するのじやないという、私はその気でおつたのですが、三浦君の説明を聞くとそうなんで、併しこれはまだ委員会ではつきりしたわけじやありませんから、一応三浦君のほうが法文を作つたかたですから……、ただ私の考えがそうであつたというのですが……、
  155. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 これはやはり費用節減という点から言えば、この小澤委員長法案の作成者との意見拡声機の使用について食い違つているようですが、やはりそれは、法案作成者の意見のほうが、そのように解釈するのが私はいいのじやないかと思います。  それからお聞きしたいことがあるが、一揃とありますね。一揃というのは、ラツパはまあ拡声機の一部分品になると思うんですが、ラッパは幾ら使つてもいいわけですか。
  156. 三浦義男

    衆議院法制局参事(三浦義男君) その点は、従来の取扱いは、ラッパの数は幾つあつてもいい、こういうことになつております。
  157. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 進行願います。
  158. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) それでは次に説明を願います。
  159. 小澤佐重喜

    衆議院議員小澤佐重喜君) 次に無料葉書の問題ですが、現行法では、三万枚の候補者のほうに衆議院では提供することになつております。この問題も、衆議院といたしましては、三万枚を存置すべしという意見と、全廃すべしという意見と、その中をとつて、一万か一万五千ぐらいを残すほうがよかろうという三つの意見がありました。その理由は、三万枚あつても、どこの選挙区にも有権者が約三十万から四十万くらいあるのだから、それに全部出せないものを、三万枚ぐらい出しても中途半端だ、それからこの葉書をもらうために、筆耕料が非常にかさむという意見がありまして、廃止する意見のほうが多かつた。併し折角公営の郵便葉書を断わるというのもおかしいじやないかという意味から、一万枚にしたのでありますが、ところが選挙事務のほうで聞いて見ますと、この葉書の十五万円というのは、一番大きな国家の支出になつておる。一人十五万円ずつの支出でありますから、候補者全部に出しますから、非常な国費の負担になつておる。そこでそういう意見もありましたが、それでは全部廃止するということも困難であるから、一万枚にしまして、二万枚を節約しますと、相当の金額が、国の費用が浮いて来るわけであります。その費用で公報のほうの改善をいたしまして、従来の五百字というものを千五百字にし、でき得るならば、簡単な政策ぐらいは表示できるというような公報にしたらいいじやないかということで、今のような三つの意見がありましたが、結局三万枚を一万枚に改めるような結論に達したわけであります。  二十二は、文書図画の問題でありまして、この問題につきましては、全国参議院議員のほかは一切ポスターを廃止する。これは演説会告知ばかりでなくて、立候補者ポスターも廃止するという建前で進んで参つたのであります。ところがいよいよ演説会を開くことになりまして、個人演説会を……立会演説会公営でやつてくれますが、街頭はそれは要りませんけれども、個人演説会を開く場合において、単純な、自転車で、今晩はどこの会場で演説会がありますという宣伝だけではどうも心細いのじやないか、やはり新らしく立候補する候補者もありますから、一カ所に対して十枚ぐらいを公営で出すのが至当じやないかということになつて、最終的に、一カ所十枚、合計四百枚というものを、立候補と同時に選挙管理委員会演説会の雛型を作つて、場所と日時と名前だけを除いたものを公職選挙法改正で各候補者に与えるという結論になつたような次第であります。それからこのポスターを廃止いたしましたから、従つて立候補公営による掲示板において掲示しなければならんのでありまして、従来はこの点は費用の点からまちまちであります。例えば紙に名前を書いたり、或いは板でなく、不完全な、雨が降れば倒れてしまうというようなものもありましたので、こういうものを拡充して、適当に、板に消えないような墨で書いて、完全なものを立てる。又箇所も殖やすというような意味で、ポスターを廃した代りに、宣伝方法を公営によつてこれを拡充しようという考えの下に進んで参つております。それから勿論全国参議院議員の問題は、どうしてもポスターを廃止することができないということは、何しろ一村の三カ所或いは四カ所或いは十カ所で、三百名以上の全国候補者を掲げるということは、事実上公営ではできない。こういうような考えで、最近全国区参議院のかただけは従前通りにやる、地方区でありますれば、立候補者がありまして、大体定員が一人ぐらいのところが多いのでありまして、多くても三人か四人でありますから、候補者が倍出ても、十人以内でありますから、これなら候補者掲示ができるというので、そうした選挙費用の節減の意味ポスターを廃止したのです。  二十三は、新聞紙雑誌報道評論の自由でありますが、これは非常に大きな問題を起しております。つまり当初取上げました理由は、どうも現行法では、新聞紙法というものがなくなつておりまして、選挙が始まつてから、何何新聞という新聞を一つこしらえて、そうして自分の利益のような宣伝をしてもいいし、例えば自分の応援に誰が来る、有名な人が来るという場合に、それの号外に名前を、小澤候補のために誰々来るというように号外でも出すと、こういう宣伝ビラ等の文書図画禁止しておりながら、新聞を悪用することによつて、特別の一定の候補者だけが利益を得ることになつて来るから、何とかそうした脱法的な、或いは新聞を目当てにして金儲けをしようと、こういう新聞の制限が必要じやないかという、これもかなり新聞社方面からも陳情があり、又新聞協会からもいろいろな意見がありましたが、その意見を聞きつつ、この四つの条件に適したものは評論ができるし、この条件に明らかに当てはまらんものは新聞の評論はできないのだというような規定がございましたが、この点については、大新聞社も相当反対をいたしております。反対をいたしておりますが、委員会としてはこれでよかろうということになつたものですから、進んで参つたのでありますが、恐らく本院に対しましても相当陳情があると思いまするが、何とか適当な方法で我々が希望しておつた点を補強しようと考えましたが、必ずしもこの四つの条項だけで私ども満足いたしておりませんけれども、どうもこれ以外にないものですから、この程度にやつたのでありますが、この問題につきましては、又本院で新らしい見地から御批判を願つたほうが結構じやないかと考えております。  それから二十四の放送の問題でありますが、これは一時小委員会審議過程におきまして、民間放送をどうするかという議論が相当出て来たのであります。民間放送選挙運動に使用するかしないかということは、非常に大きな問題になりましたが、いやしくも公平の原則、どの候補者も同時に均霑、而も公平ということは、経済的に恵まれた候補者も、経済的に恵まれない候補者も、同じ恩典にあずかるということが選挙法の一番大事な問題でありますので、現在のように、民間放送が広告料を主として許しておるような場合において、例えば先だつて衆議院補欠選挙の第六区でありますか、その候補者で利用した者が二人か三人あつたそうであります。一人の候補者はいい場所をとつたので二万円、片つ方は一万五千円ということを聞きましたわけであります。ところがこの民間放送を無制限に許すということになりますと、やはり値段が高いものはいい場所を利用します。でありますから金のある人が一番有利だということになる虞れが十分にありましたので、一応民間放送選挙放送には禁止するということに委員会はなつてつたのであります。ところがだんだん民間放送協会とも交渉いたし、又向うからも陳情等がありました結果、いろいろ相談いたしました結果、現在のNHKが取扱つておると同じような公平さを保つて、同じような均霑さを保つて、而も費用の点においてもそう違わない条件で民間放送が利用できるかどうかということを検討いたしたのであります。その結果、事務的な問題もございますが、大体NHKと多少値段は違うかも知れませんが、これは勿論公営であります。公営の金額が多少違うかも知れませんが、事務的にも可能であるという結論に到達いたしましたので、一応この民間放送においても、大体NHKと同じような条件の下に民間放送を使用することに最後の結論はなつたような次第であります。併しこの民間放送とNHK以外放送機関は、すべて禁止するという建前であります。例えば銀座の尾張町とか、或いは須田町とかに盛んに民間の放送で広告をやつておるのでありますが、ああいうものは使用しない、禁止するという建前で、使用できるのは、NHKと民間放送と、而も一定の規格の上に立つて、これを許可されたものに対してのみ許すという建前をとつておるような次第であります。
  160. 中田吉雄

    中田吉雄君 無料葉書の問題ですが、これは只今の御説明では、選挙公報字数を殖やすことと絡み合つていると思うのですが、やはりこういうような、できるだけ候補者の政見その他を滲透する、而もそれは公明な方法でやるという趣旨から言つて、やはりこの枚数を余り制限することは適当ではないじやないか。而もこの字数を殖やされたことによつて十分補いがつかんじやないか。それから又只今お話がありましたが、これを売つたりして非常に悪用されるような面を技術的に防ぎながらやるというような方法はないものでしようか、その点について……。
  161. 小澤佐重喜

    衆議院議員小澤佐重喜君) これはお話のように、そうした意見が相当衆議院でもあつたのであります。でありまするから、今お話したように、三万枚を現状通りにするというようなことと、極端に全部廃すという要請と、中をとつて、一万とか一万五千枚にしようという三つの議論になつた。どつちの議論も相当一利一害で理屈はある。理窟があつたのでありますが、丁度その場合に、選挙公報の問題と突つ込んで考慮を加えたので、幸いにその費用が非常に節減になるから、一応二万枚を削ることによつて、一億四千万円から違う、一万枚と三万枚では。併し公営の問題であるから、余り制限を加えずに、若しその他の公報とかその他の公営設備を増大するために費用がかかる場合には、政府と交渉してもいいじやないかという、議論までやりまして、私なんかも存置すべしという議論だつた。そうでしたが、結論において、まあ皆の大勢の意見が一万枚に落ち着いたのでありまして、恐らくあなたの考えも、衆議院でその存置説を立てた人とそう違つてないと思います。けれどもそういう議論があつたことだけを申上げておきます。
  162. 中田吉雄

    中田吉雄君 まあ私社会党に属しておるのですが、実は衆議院の社会党以外の人も、やはりこれはただどうも公報だけでは徹底しないし、もう少し考えてもらわなければいかんというような意見もあつたので、やはり一万枚と三万枚とで一億数千万円が違うということがあるにいたしましても、やはりこういう形で、できるだけ立候補者の人物、政策というようなものを徹底する趣旨から言つて、これはそれに宛名を書くのに相当な経費も要りますが、やはりこういうものはできるだけしたほうが公明選挙趣旨に副うのではないか。先にも小澤委員長は、一選挙区で二十万くらいもあるのだから、三万枚にしたつてどうもというようなお話がありましたが、私はやはり自分の属するグループと同じような人、そういうことをするほうがいいじやないかと思うのですが、まあこれは見解の相違になるかと思いますが……。
  163. 原虎一

    ○原虎一君 無料葉書の問題ですが、多いに越したことはないと思います。例えば当選得票数を標準に、どのくらいの葉書を使うかというふうに考えますと、これは地区参議院でも全国参議院でも割が悪い、五万枚では。御承知のように全国参議院は十八万くらい、地区参議院でも同様であります。そうすると、五万枚では地方区参議院は三万ですか。その率から言つても悪いですねえ。まあ標準を当選得票数ということに考えまして、衆議院としまして三万くらいならば、当然地方区参議院は十五万くらいの葉書を使わしてもらう、全国参議院も同様であります。多いに越したことはないですね。葉書が多いほど私は棄権が少いと見ておる。日本の民度、国民の選挙に関する民度、程度から言つて、葉書が多いに越したことはないのですが、国費の制限という問題がそれに関連しておるが、必ずしもこの率から言えば、参議院の選挙に使う葉書の数から言えば、衆議院必ずしも虐待されるとは言えない。併し多いほうのいいことは勿論ですから、それに代るべき公報というものが、今度これ又全条文を見ればわかると思いますけれども、ここでお尋ねしますが、公報はどういう形になるか。以前昔出ておりましたような公報になるというのですか。新聞を利用するのですか。その点はどういうふうになつておりますか。
  164. 吉岡惠一

    政府委員吉岡惠一君) 公報は、従来五号活字、新聞のような活字を使つておりましたが、四号活字で活字を大きく、それから法文の上には現われておりませんが、これは技術的に見て、全国全部について実行できるとは考えませんが、大部分の府県では写真が入れられるのではないか、こういうことで、成るべく写真を入れるように指導したいと考えております。そうしてその配る配り方でありますが、これは別に新聞の中に入れて配るというようなことでなくて、特別に配る予定をいたしております。大きさは大よそこれくらいの大きさになるのじやないかと思います。
  165. 原虎一

    ○原虎一君 一人前でございますか。
  166. 吉岡惠一

    政府委員吉岡惠一君) 一人の大きさです。
  167. 原虎一

    ○原虎一君 戦前にやつておりました公報、そのくらいの大きさは千五百字くらいと思つておりますが、そうしてそれを封筒に入れて郵送されたのですが、配付の方法はどういうふうに郵送される予定ですか。そうすると、費用は相当にかかるのじやないかと思います。葉書とどちらが一体節減されるのか。
  168. 吉岡惠一

    政府委員吉岡惠一君) 戦前の程度がよく私はつきり覚えておりませんので、お答えできませんが、配付の方法は郵送でなく、特別に使者を使つて配る。
  169. 原虎一

    ○原虎一君 これは相当に費用の問題で研究をされたと思いますが、葉書一万枚に減じて、公報をそれだけにされるということは、選挙民に対して候補者を認識せしめるにどの程度有効であるかということは、まあ非常に検討を要すると思いますが、費用の点では、私は葉書を減ずるのと、公報で出されるのと、どの程度プラスマイナスどうなるのか。その点検討されておるとすれば、これは参考までにお聞きしたいと思います。公報を出すことによつて候補者の政見なり経歴なりを選挙民に十分徹底させることができるという趣旨でありますれば、これは私どもよくうなずける。戦前におきましては、恐らく葉書は、これはいろいろな葉書を出しましたが、そういうものは見なかつたけれども、公報は丹念によく検討して見られたということがこれは通説であります。我々も昭和二年の普選以来、ずつといろいろなことをやつて来ておりますが、まあ公報だけは、編集はへたでありましたが、それを結局つぶさに検討したということは言われております。費用の点から節約して行くということになれば、公報は非常に金がかかるのじやないかという私は気がするのでありますが、その辺の計算はできておりますればお聞きしたいし、できていなければ別に今日聞かなくても結構です。
  170. 吉岡惠一

    政府委員吉岡惠一君) 今公報と無料葉書の計算の出入りのお話しでありますが、選挙公報を改善するために、新たに要します費用が約三千四百万円、無料葉書三万枚を一万枚に減少することによつて浮きまする費用が一億三千九百万円、差引約一億の違いが出て参ります。その一億は主として氏名掲示の改善の費用に当てる。
  171. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 原君が言われました言葉の中にありましたように、公報を改善して字数を殖やされたということは、私は非常にいいことだと考えるのです。原君が言われたように、やはり投票者からすると、公報が一番の基準になるだろうと思うので、その点は私は賛成でありますが、ちよつとお聞きしたいのは、二十五の、この放送の場合が、民間放送も日本放送協会の放送と同一形式において利用するということでありますが、これは当然やはり公営選挙運動の範囲内に属するものであつて、政府の費用負担において行われる。放送全部そうなんですね。民間放送も、
  172. 小澤佐重喜

    衆議院議員小澤佐重喜君) その通りでございます。
  173. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 この無料葉書の件ですが、衆議院のほうが三万枚が一万枚に減らされた。そして参議院の地方区のほうと知事選挙のほうは三万枚だ。ところが全県一区というのが、滋賀県とか奈良県とかあるのですが、それが衆議院選挙のときには一万枚しか無料葉書はない。参議院や知事選挙のときには三万枚出せるというのは少しおかしくはないかどうかというのでありますが、それは選挙公報のほうで斟酌してあるのだと言うかも知れませんが、そういう点はどうなんですか。その点をどなたかにお聞きいたしたいと思います。
  174. 三浦義男

    衆議院法制局参事(三浦義男君) 実は葉書の点につきましては、先ほど来話がございましたように、選挙公報の問題と絡めまして考えておりますので、一方を減らして、一方のほうの字数を殖やす、そういうように国費の節約という点から考えられるわけであります。それ以外の、参議院の地方選出議員選挙、それから都道府県知事選挙におきましては、この際触れなかつたのでありますが、その代り選挙公報のほうの字数を殖やすということも触れなかつたのであります。それらの点につきまして、衆議院のような構想がよければ、将来の問題として、そういうように検討した上で、さように考えてもいいのじやないか。この際は先ず衆議院だけの問題について、今のような観点からきめた、こういうようなことでございます。
  175. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 考え方としては、知事なんかの場合には、選挙公報は余計に要るように考えられる。地方自治の建前からいたしまして……。まあ葉書が二万枚も参議院、知事のほうが多いのだから、それでいいと言えばそれまででありますが、何か選挙の基本法である公職選挙法において、衆議院だけは臨時的にこうきめてしまえばそれまででありますが、何かそぐわないような気がするのであります。
  176. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 進行願います。
  177. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) それでは次をお願いいたします。
  178. 小澤佐重喜

    衆議院議員小澤佐重喜君) 次は二十六の公営立会演説会でありますが、この問題は、先ほども申上げました通り、先ず市は人口おおむね四万といたしまして、現行は五万を基準にいたしております。町村におきましては大体五千ということになつておりますが、これを四千に下げまして、その回数を殖やしました。而も規定には、現行法に交通経済上の見地からもつと殖やしてもいいということがありますが、原則はここにとどまつておりますから、できるだけこういう立会演説会は殖やすという建前で、進んで来て参つております。  それから二十七の任意演説会の問題でありますが、これはここに書いてあります通り都道府県及び五大市議員選挙の場合にも拡張するという規定を設けまして、その実際に合う町、市並びに都道府県は、この立会演説開催することができるように設けたわけであります。  それから二十八は、個人演説会でありますが、この回数の問題につきましては、衆議院では相当議論があつたわけであります。或る人は五十回が適当だ、或る人は三十回が適当だというような議論がありまして、結論として四十個所になつたのでありますが、五十カ所というのも、三十カ所或いは四十カ所といい、どちらも議論はわかるのでありますが、ただ運動期間を二十五日と短縮して、そうして立会演説会を殖やす。それから街頭演説制限でありますが、我々が一体どの程度個人演説会が可能性があるかというような問題について議論しまして、結局四十回程度すれば、候補者の運動期間等から斟酌いたしまして、この程度が適当ではないかという議論に落着いたようなわけであります。この個人演説会開催につきましては、(イ)(ロ)(ハ)(ニ)(ホ)(へ)と、いろいろありますが、(イ)は四十回にするということ、(ロ)の場合においては、従来例えば座談会とか、或いは一つの工場内でやつたような座談会というようなものは、演説会と認めずに考えておつたのでありますけれども、今度はどういう名目を以ていたしましても、候補者選挙のために話をする場合には、すべて演説会とみなしまして、そうしてそのカ所を一回ずつ選挙管理委員会で認定をいたしまして、四十カ所以上には殖えないようにする。但し個人演説会以外には、臨時の座談会或いは懇談会という一切のものは許さないという方針で進んで参つております。  それから(ハ)の問題でありますが、仮にAという候補者、Bという候補者が、お互いに共通の場所におきまして、例えば自由党同志或いは社会党同志お互いの共同地盤であるから、二人でやるよりも一人でやつたほうがいいという場合は、三人の分を一人分にすれば、何回でも個人演説会が可能であるという意味であります。勿論それぞれの個人演説会においては、候補者以外の者も演説いたしますが、その弁士の数等は制限をいたしません。それから個人演説会の場合におきましては、立看板を必要といたします関係上、その期日前二日までに、関係選挙管理委員会に届出をいたしまして、そうしてからの後でなければできないようにいたしております。それから(へ)の場合は、個人演説会の回数、天災地変とかのような場合でなければ、仮に一応は届出をやり、開会するつもりであつたが、候補者が来ないとか、或いはその他時間の関係上、遂に開催しなかつたのだから、この回数は四十回の除外にしろというようなことがないように、いやしくも一日届出でました場合には、実際上は演説会をしなかつた場合にも、一回に計算するように規定してあるような次第でございます。  それから(2)は個人演説会の表示、(2)の(イ)であります。これはまあ公営で実施さるべきである。それから(ロ)は、但し夜間なんかやる場合において、真暗な所でやるということも、非常に聴衆のためにも小便でありますので、ちようちんを一箇だけは候補者の負担において掲げることができるようにいたしました。これは公営にするということになりますと、非常に困難なので、ちようちん一箇くらいなことは大した費用じやないというようなことから、一箇に限りましてちようちんを掲示することができるようにいたしてあります。但しこのちようちんは、一定の制限を設けまして、そして規格にはまつた程度のものをちようちんとして候補者が自由にできるようにいたしました。ポスターは、この前お話通り、一カ所十枚ずつ、即ち四十カ所で四百枚といたしました。  それから三十でありますが、これは先ほども一言しましたように、この認めました個人演説会の四十会と、それから立会演説会の以外は、立会演説会であろうと個人演説会であろうと、一切これを禁止する。例えばよく選挙の実際にあることですが、或る青年団の主催とか、或いは農業団体の主催とか、或いは新聞社の主催という意味立会演説会をやつてつたのでありますが、こういうものをやりますと、非常な弊害がありますので、そういう主催者、即ち公営以外の立会演説会は一切これを禁止するという建前をとつたわけであります。  次は、三十一は街頭演説でありますが、街頭演説は、先ほど申しました通り、一定の標旗の下でやりますれば従前通り一切できることになつております。勿論その時間の制限は、夜の九時から翌日の六時までは禁止してありますが、それ以外でありますれば、街頭演説は、その標旗の下では如何なる場合でも自由にできるという建前であります。但し逆にその標旗がなければ一切のことができないという建前であります。
  179. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 この二十八の録音盤の使用の件ですがね。これは録音盤を使用して演説することを妨げないとするとなつていますが、一回の演説会場に定められた時間の範囲内において、候補者及びその他の弁士が数回演壇に立つて演説することができるとすれば、そのレコードを何回も何回も繰返して、連続してその時間の範囲内で回転さしておくということはできるだろうと思うのですが、それはできるわけですね。そうすると仮に、ラツパは十分一揃の中に入るわけですから使えるとして、非常に大きなラツパ施設を使いまして、東京ならば新宿であるとか、或いは銀座尾張町の角というような所で、電気蓄音機で以て大きな声で朝から晩まで或るレコードをぐるぐるぐるぐる廻して大きなラツパをつけてやつていることは許されることになるのでしようか。そういう選挙運動方法が考えられると思うのですがね。この規定で何か制限がありますかしら、こういうことについて。
  180. 三浦義男

    衆議院法制局参事(三浦義男君) 別にそういう意味制限はございませんが、この録音盤を使用しますのは、個人演説会の場合に限定してございますので、従いまして個人演説会でありますれば、或る特定の施設を使用してやる、従来でありますと…。今度は衆議院特例といたしましては、従来の公営施設以外に、それ以外の、公営以外の施設も利用して演説会をやれる。こういうように今度はなつたわけでありますから、この録音盤の使用をして個人演説会場でやりますのですから、そうおつしやるようなことが起らないように思うのでございますが、そういう例が起りますのでございますか。
  181. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 候補者は非常に真剣で、いろいろ法律規定内において許される最大限の効果を挙げる方法をいろいろ捻出しますから、ちよつと私の思い付きに瑕疵があるかと思いますが、そういうことも考えられるのじやないかと思うし、又それが許されるならば、やるだろうと思いますがね。そうすると多少弊害のようなことも考えられないわけじやないと思うので、そうすると何かの制限規定のようなものが必要じやないかと、ちよつと思い付きですが。
  182. 原虎一

    ○原虎一君 関連して、費用の点もありますけれども、例えば新宿駅前のビルの三階なら三階を借りて、毎日個人演説会をする。聴衆は三人でも二人でもいいのですから、一人でもいいのですから、これが朝から晩まで、それが拡声機を使おうとすれば拡声機が使えるのですから、自動車のを持つて来れば使える。そうするとそれをかけて、レコードを朝の六時から夜の九時まで一回の演説会としてやろうと思えばやることができますね。こういうことは法律のどこにも触れませんね。
  183. 三浦義男

    衆議院法制局参事(三浦義男君) 今度の衆議院選挙につきましては、回数を制限いたしましたので、結局四十回、現在の改正案では四十回の制限の中にそれは入ることになりますので、全体の選挙運動を集約いたしまして、一つの所だけでやることがその選挙運動として効果があるかどうかということは、候補者自身がお考えになることだろうと思いますので、余りに極端な場合を考えましても、四十回の中にどんどん回数を重ねられますから、結局候補者にとつては不利だと考えられますので、まあそう弊害が起るというほどのものはないのではないか、かように考えます。
  184. 原虎一

    ○原虎一君 四十回ですけれども、朝六時から晩の九時まで、届出を出せば一回でしよう。候補者のレコードを何回使つてもいいとすれば、これは一回です。一日一回です。これは効果がありますよ。やりますよ、これは。殊に新宿とか池袋なんという選挙区の人はやらざるを得ないですよ。やりますよ。これは四十回のうち、そういうのは、非常識ですけれども、違法じやないです。そんなことはやりますね。こういう点がレコードを使つて候補者なり代理者が一回やれば、これは一回とみなすならば、これは私の言うようなことはできませんよ。だけれども候補者なり候補者に代るべき者がやつたら、それはもう一回だということになれば、それは連続やれませんけれども、レコードを何回使つてもいいということになればやりますよ。朝から晩までどの時間でもやりますよ。そうするとそれは一回だ、一日一回だということになれば、その所だけで二十五回ぐらいやれる、こういうことはちよつと……。
  185. 三浦義男

    衆議院法制局参事(三浦義男君) それは使用いたしまする録音盤は、レコードのことでありますので、若しそれを街頭に向つて一般に聞かせようとする場合には、拡声機の使用が必要でありまするから、拡声機は先ほど申上げましたように、衆議院選挙につきましては、その他の場合につきましても一揃、こういうことに限定いたしましたから、その点で抑えられますので、拡声機を使つて街頭演説なり、選挙演説をやろうとすれば、今の録音盤を使用して一カ所でそういう大衆に聞える演説をすることは不可能だ、こういうことになりますので、事案問題としてこれは御懸念のようなことはないように考えております。
  186. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 それは、あなたは選挙をやつたことがないからそんなことをおつしやるのですが、選挙をやつたものからすれば、今の大きなラツパをつけて、電気蓄音機をつけて、朝から新宿駅頭で、朝から晩までやつておつたら、大変な人に聞かれるのだから必ずやります。だから若しそれを制限しようとすれば、レコードを同一演説会において一回しか使えない。或いは候補者演説は、一回しか演壇に立つことができないというような制限規定を設けなかつたら、これは原君の言われるようなことは当然にあると思います。
  187. 原虎一

    ○原虎一君 吉川さんが言われる通りですよ。我々から言えば藪蛇のようなことになりますけれども、拡声機は二つ欲しいのです。併しそういう今言つたような問題が悪用されて困るという点があるというので、拡声機一つにするということでは困るのであつて、これは悪用しないように、ほかの法律できめなければならない。拡声機を二つにすれば、今私が言つたように悪用されることがあるからということで、二つにせんということは困る。今お聞きしたところによれば、どうもそういう点を考慮なしに法律がきまつたようです。一回の演説会というものが何らかのもので法定されなければ、規定されなければ無理じやないですかな。
  188. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 小澤委員長は、勿論我々や原君と同じように、選挙を数回やられた玄人でいらつしやるのだから、どうですか。小澤君の考えは、今の問題について一つ御答弁願いたい。
  189. 小澤佐重喜

    衆議院議員小澤佐重喜君) まあそういうことも考えられると思うのでありますが、問題は、やはりその一回の演説会というものがどういうものかということが定義づけられていないからそういう問題が起るのであつて、これは衆議院のほうでは余りその議論は出ませんでしたけれども、こちらで定義づけられることは、衆議院も異存がないと思います。
  190. 中田吉雄

    中田吉雄君 私ちよつと中座しておりましたので、遡つて恐縮ですが、この改正案要綱に、二十四の新聞紙及び雑誌報道及び評論の自由の問題なんですが、これは非常に御説明のときにもありましたように、異論があると思うのですが、改正案の百四十八条の二、この規定で、この改正案で、前の四号のようなことはなくても大体濫用が防止できるんじやないか。これにありますが、この対照表なんですが、新聞雑誌不法利用等制限、百四十八条の二というので、大体余り前のような、左の条件を具備するものだけができるというような規定がなくても、大体百四十八条の二で防げばしないかというふうに思うのですが、この点について御所見をお伺いしたい。
  191. 小澤佐重喜

    衆議院議員小澤佐重喜君) この問題につきましては、実はその小委員会を開会中に一応結論が出ましたところが、この新聞協会、即ち日刊新聞の大新聞の編集長会議と言いますか、二、三十人集まりまして、それに選挙法で座談会をやるから来てくれというので私行きましたが、座談会において、今中田君の言われる通り、結局この親密が、こういう趣旨規定だけで十分じやないか。あとの四号は削つたらどうかという意見があつた。そのときにいろいろ話もいたしましたが、とにかく結論は私一人できめたのでないし、私だけでそれに対する返事ができないから、いずれ協会の代表でも小委員会にお見えになつてそうして委員諸君へあなたがたの考えを申述べてもらつたほうがいいんじやないかということになりまして、一応私は委員長としてその問題を委員会に諮つて、而も新聞社の協会の江尻君が新聞協会の代表として出て来で、いろいろ意見を交換をいたしましたが、いろいろ意見の交換をいたしましても、委員の諸君は、やはりこの条項を設けなければ、どうも我々の考えているいわゆる選挙目当ての新聞の制限はできないということになつて、このような結論が出たような次第であります。従つてお話のような意見は十分各委員が知つておられるはずでありまするが、知つてつてもこういう結論に出たのでありまして、従つて委員会といたしましては、全然中田君のような意見があることを知らずにきめたのじやない。必要だということで、こういうことになつたのであります。
  192. 中田吉雄

    中田吉雄君 お尋ねしますが、新聞紙にあつて社団法人日本新聞協会その他社団法人たる新聞協会会員であることが必要である。雑誌にあつて社団法人日本出版協会社団法人全国出版協会その他社団法人たる出版協会会員であるということが必要なんですが、これの加入条件は一体どうなつて全国に幾らです。新聞紙並びに雑誌にあつて、それぞれ加入していないものが幾らであるという一つ一覧表をこれは是非お願いしたいと思うわけであります。一体これを立法されたときには、いろいろ御研究になつたと思うのですが、日本新聞協会の数、加入の条件、雑誌のほうの日本出版協会の加入の条件というようなものを一つ御教示願いたいと思います。
  193. 三浦義男

    衆議院法制局参事(三浦義男君) この全国にどれだけの新聞紙があるかというようなことにつきましては、具体的に数字を持つておりませんが、これは御承知の通り、現在新聞紙法等もございませんので、全国の新聞が地方ごとに勝手にできておりますので、どの程度に数があるかということはちよつと抑えることが困難かと思います。併しながら日本新聞協会にどの程度に新聞が入つているというようなことはわかります。日本新聞協会の定款によりますると、日本新聞協会に加入いたしまする場合におきましては、第七条に規定がございまして、一、二、三項とございますが、その一から申上げますと「この法人が制定する新聞倫理綱領を恪守することを約束する日刊の新聞通信社及び放送事業を行うもの(以下甲種会員社と呼ぶ)並びに機関紙又は業界紙を除く非日刊新聞通信社(以下乙種会員社と呼ぶ)二、会員社の幹部(以下個人会員と呼ぶ)三その他理事会で承認したもの」、こういうようなことになつております。そういう資格があれば新聞協会に入れると、こういうことになつております。
  194. 中田吉雄

    中田吉雄君 有力な日刊紙で、入つておらんのはどんなのがありますか。そうしてそれが選挙評論をすることによつて、加入したものとの比較考量、そういう問題についての御所見を……。
  195. 三浦義男

    衆議院法制局参事(三浦義男君) 私の記憶しているところでは、有力な新聞で日本新聞協会に入つていないのはないと考えております。大概皆さんの御指摘になる程度の新聞は、すべて入つているように承知いたします。それから第四号の趣旨は、これはまあいろいろ衆議院のほうの委員会におきましてもいろいろ議論があつたのでございますが、これが置かれました趣旨は、最初は、新聞について申上げますれば、日本新聞協会会員に限ろうと、こういうような意見でありました。と申しまするのは、ほかの条項に該当しまするだけでなくして、日本新聞協会に入るくらいの新聞であれば、相当有力な新聞であるし、又新聞としても立派な新聞であるから、そういうものに限定して、選挙に関する報道をする。それ以外の新聞は制限したらどうか、こういうことが事の起りでありました。ところが先ほどお話がございましたように、非常に新聞というものは日本全国に数知れずございまして我々の知らない新聞が地方には続々と発行されているというような状況でございまするので、日本新聞協会だけに限りますというと、そういう新聞までもすべてを抑制する、こういうことになりますので、これでは又余りに行き過ぎではないか、こういうようなことから、日本新聞協会とか、その以外の社団法人としての新聞協会というものを作りまして、そこにお互に自主的に二社以上のものが加わりまして、新聞協会というものを作つた場合におきましては、そういう新町は認めてもよくないか、いわゆる新聞自体の自主的統制に任して、そういう会員であるものはこの選挙に関する報道を許そうじやないか、こういうようなことから、四号というものができましたことを申上げておきます。
  196. 中田吉雄

    中田吉雄君 只今の御答弁では、有力紙で新聞協会に入つておらんものはないであろうという御答弁だつたのですが、日本新聞協会から我々地方行政委員に来ました陳情書にはこういうことが書いてある。本年に入つて創立された発行部数七万以上の日刊紙と、三十年以上の歴史を有しながらいずれの協会にも属しないその地方における唯一の郷士誌なんかがこの適用に入つてしまつて選挙評論ができないということは重大な問題である。どの新聞が該当するか知りませんが、七万も出しておつて、三十年の歴史を持つてつて新聞協会に属しないということでそういうものがあるということが日本新聞協会の印刷物で来ている。これは非常に問題だと思うのです。そういたしますと、結局この結社の自由といいますか、憲法の規定の第二十一条には、集会、結社、表現の自由、通信の秘密、集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由はこれを保障するということになるわけでありますが、新聞協会に入らんということになるとできないということになつて、憲法二十一条との関係で非常に問題になる。こういうふうに思いますが、その関係は如何ですか。
  197. 三浦義男

    衆議院法制局参事(三浦義男君) その点の具体的内容についてははつきりは存じませんが、多分お読み上げになりましたのは雑誌の問題だろうと考えております。それは例えば朝日新聞、読売新聞、毎日新聞等が出しておりますいわゆるサンデー毎日とか、週間読売とか、週刊朝日というような問題だろうと思つております。それは雑誌の問題でございまして、私が先ほど申上げましたのは新聞紙の問題を申上げた次第であります。
  198. 中田吉雄

    中田吉雄君 それはこうなつているのです。有力新聞社の発行している週刊、月刊雑誌、或いは本年に入つて創立された発行部数七万以上の日刊紙で、三十年以上の歴史を有しながらいずれの何にも属しない有力な郷士誌というようになつて、初めのほうには週刊、日刊、月刊等の雑誌があるのですが、有力な地方誌で入つていないものがあるというふうにはつきりと書いてあるのですが、一つ調査して、今日でなくても結構ですから……。それから今お読み頂いたのですが、そういう協会に入る条件を明日でも結構ですから、加入の条件というものを一つお知らせ願いたいと思うわけであります。それからもう一つ、私も新聞難誌等の弊害は知つているわけなんでありますが、そういう弊害というものは、今度改正された百四十八条の二になつているのですが、現行法の第百四十八条の一項の規定があるので、これが実際警察官その他の取締当局が十分適用しないことによつて起る弊害ではないかというふうに考えるのですが、如何なものでしようか。むしろこの規定が、現行法の百四十八条の一項ですね。「但し、虚偽の事項を記載し又は事実を歪曲して記載する等表現の自由を濫用して選挙の公正を害してはならない。」この規定の適用ではやはり防ぎ得ないと思われますか。私はむしろ取締当局がこの規定を十分適用し活用しないということによつて起る弊害ではないかというふうに考えるのですが、如何でしよう。
  199. 三浦義男

    衆議院法制局参事(三浦義男君) お話の百四十八条第一項の但書規定の適用によりまして、或る程度事項は防ぎ得るということは申上げられると思つております。併しここで先ほどの、百四十八条第三項の四号に亘りまして条件を付けました趣旨は、必ずしも虚偽の事項を記載し又は事実を歪曲して記載する等表現の自由を濫用して選挙の公正を害するというような問題だけではございませんので、そういう虚偽の事項を記載いたしませんでも、いわゆる文書図画等の制限を一方においていたしておりますのを、それを潜りまして、特定候補者等のために表現報道の自由を濫用してと申しますか、或る特殊の人だけの肩を持つ、そういうような、選挙に当つて選挙日当ての新聞を抑制しよう、こういう趣旨でありますので、必ずしも但書規定だけでは、ここで今度の改正案の適用では賄い切れないと、かように考えております。
  200. 中田吉雄

    中田吉雄君 小澤委員長は、先に、そういうことはよく知つておつたがやらざるを得ない空気だということはどういう意味ですか。
  201. 小澤佐重喜

    衆議院議員小澤佐重喜君) それはそういう議論をいたしましたが、それも今三浦君が言つたように、なお防ぎ得ないから、これをやるべきだという委員諸君のお考えでそうなつたと、こういうのです。
  202. 中田吉雄

    中田吉雄君 私も最近あちこちに出て見まして、最近もう解散が近いだろうというので、実際全然なかつた新聞、或いは休刊した新聞が、最近立候補予定する人がちやんと金を出して、そうして他の自分と同じ地盤の競争者をいろいろな点で叩かしているという新聞を最近三つ見たわけなんですが、可なり虚偽な、歪曲された、誇大にやつているのですが、ああいうものは現行法ではどうにもならんのですか。
  203. 三浦義男

    衆議院法制局参事(三浦義男君) それは選挙に際しまして虚偽の事項を書きますれば、勿論百四十八条の一項但書規定違反ということで該当いたしまするが、現在特定の或る新聞を作つて、これから発行しようというようなことのために、成る人から金の援助を受けるというようなことは、それがここに書かれた、そういう新聞ができ上つて、そこで或る特定の人の当選を得せしめる目的とか何とかということで記事が書かれた場合は別の問題といたしまして、新聞を創設するというようなこと自体はこの選挙法の関知するところではございませんので、それは何ともしかたない問題だと考えております。
  204. 原虎一

    ○原虎一君 今中田君も質問しておりますね。第百四十八条第三項の一、二、三で大体新聞紙の濫用といいますか、悪用といいますか、そういう点は我々としては防げるのではないか、そこで第四号を規定しなければならん大きな理由をもう一度御説明願つておきたいということと、先ほど中田君が質問しました中で、サンデー毎日、週刊朝日等が選挙記事を書けなくなるというのは、いわゆる出版協会に入つていないために、そういうことは衆議院では余り問題にならいないで、当然まあ大新聞であるために出版協会に入つているものとみなされてこういう規定をなさるというようなことになつているのですか、まあお互にそういう点を忌憚なくお聞きした上で判断をしたいと思います。私は今の二つの点を、どうしても四項をきめなければ、一、ニ、三、だけでは不備だという大きな理由を御説明願いたい、如何でしよう。
  205. 小澤佐重喜

    衆議院議員小澤佐重喜君) この問題につきましては、お話のように、一、二、三でも我々の目的を一部は達せられないわけではないのでありますが、なおこの協会というものがあることによつて法律制限するのではなくして、協会みずからが自主的にそうしたその選挙目当ての新聞等はできるだけ新聞紙として望しくない、協会みずからが制限して行くのがいいのだという程度の問題で、それは議論としては三でも結構、四があつても結構という議論になるが、四があればなおこの目的が達成される。但し四があることによつて、今中田君の言つたように、他の問題がいろいろ議論されるということだけは否定できないと思うのであります。でありますから、ただ選挙目当ての新聞を抑えるという点には効果があつても、他の面から、例えば言論、集会、結社の自由という面からこうだという議論は成り立つと思います。併しその議論と、選挙に対してこうした新聞の実現がどの程度弊害があるかというものを秤へかけた結果、やつぱり四項があつたほうがいいという結論に衆議院なつたというだけであります。それから原君の言われた、例えばサンデー毎日とか、読売とか、いろいろな雑誌がありますが、これは入つておらんという事実もわかつたのでありますが、何しろこれから入つてもいいような規定になつておるのだから、それは法律の精神を見て、それを書こうとするというのならば入ることになるだろうというようなことを考えてやつたのであります。
  206. 原虎一

    ○原虎一君 その点は、衆議院と余り意見が違わないように、我々が修正する場合においても、あなたがたの意見を十分伺つた上でしたいと思うからお聞きするのですが、新聞社の陳情書なんかは、御存じだと思いますけれども、この四の規定があるために、特定の協会、或いは団体に入らなければ選挙記事が書けないということは、特定の団体を援助するというか、強制加入にも等しい条項になる。こういう通達が出ているわけであります。従つて先ほど来の御主張も、又衆議院でお考えになつた点は、私は又非常に大事な点を考えられたので、我々はもうかなり苦心をされたということがよくわかりますが、一、二、三でかなり防げるのじやないか、それで団体が自主的に規制するようにするために、団体に加入を或る程度まで勧奨するような規定も悪いとのみは言えませんけれども、又いろいろな過去の伝統や、過去の事情があつてできないというようなことも、これは事実、善悪は別にしてあるわけですから、それを選挙法に絡んで、一つの協会に入らなければ記事が告げないというふうにしてしまうことはどうかと、こういう点に我々は苦心をしているということを申上げるよりほかないのじやないか。
  207. 小澤佐重喜

    衆議院議員小澤佐重喜君) 原君の苦心、或いは委員の諸君のこの点に対する重大な関心を持つておることは私よくわかつております。わかつておりますが、併し私は衆議院委員会を代表して来て今それではこうしよう、ああしようという意見は申述べられませんから、私の苦心も御了承願いたいと思います。
  208. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 本日はこの程度で如何でしよう。
  209. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 ちよつと今伺つたことで確かめておきたい。吉川氏並びに原氏が言われた録音盤のことですね。これは私どもの考え方をきめなければならんから、一方の御趣旨を伺つておくのですが、この吉川氏の言われた、録音盤に自分の演説を吹込んで、そして屋内から街頭に向つて拡声器を使つてがんがんやると、そういうことは街頭流説としては許されるとこう思うのですが、その点はどうでしよう。勿論許される……。そのときに勿論証明書なんか持つておるのですよ。
  210. 三浦義男

    衆議院法制局参事(三浦義男君) それは街頭演説にならないと考えております。つまり屋内から外に向つてやりましたものは、個人演説会の中に含まれる。それは明瞭に規定の上にそう書いておきましたわけですから、個人演説会になると考えられます。その場合は。
  211. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 百六十四条の三はどうなんですか。選挙運動のためにする街頭演説、屋内から街頭に向つてする演説、この場合はレコードは使われないのですね。
  212. 三浦義男

    衆議院法制局参事(三浦義男君) レコードの問題は、これは個人演説会において録音盤を使用して演説することを妨げないというようなことがあるのでありまして、街頭演説においてこの百六十四条の二の規定は、個人演説会において録音盤の使用をすることだけ言つておるのであります。それ以外の街頭演説において、録音盤を使うか使わないかということは、これは制限がございませんから、使つても勿論差支えない。
  213. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 私の言うのは個人演説会の場合でなくて、演説者もその場所におる。おるが、屋内から街頭に向つてがんがん録音盤でする。するとそれが一回でなくて何回でもいいのなら、朝から晩までやると、それでときどきその演説者がそこで演説をやるというようなことになりやしないかというのです。
  214. 三浦義男

    衆議院法制局参事(三浦義男君) それはそういうことになるかと思つております。従いまして仰せのように、百六十四条の三にそれが該当いたしまして、屋内から街頭に向つてする演説というようなものも街頭演説に含まれるということになつておりますので、その場合におきましては、標旗を持つて、一定の証明書を持つていなければできないという制限をつける、こういうことになります。今度はそうでなくして、純然たる屋内だけにおける演説でありますれば、衆議院選挙におきましては、回数の制限の中に含まれる、こういうことであります。
  215. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 そういたしますと、今度は百六十四条の二へ帰つて来まして、これはまあ当然録音盤を使用できるのですが、それがこの街頭演説のためでなくて、個人演説会として録音盤を使用して、それが仕掛によつて街頭にも聞えるようになつておるというようなことはいけないのですか。
  216. 三浦義男

    衆議院法制局参事(三浦義男君) それは差支えないと考えております。併しながらその場合は、百六十四条の三の街頭演説になることになりますので、屋内演説としていわゆる個人演説会と考えておりますのは、中の聴衆を相手にいたしまして、それに必要な拡声器なんかを使つてやる場合でありまして、朝から晩まで屋外に拡声器を装置いたしまして、一般の通行人その他にそれが聞けるような装置をいたしますといたしますれば、それは街頭演説になりますので、標旗を掲げなければならない、そういうことで、この標旗で制限されますから、そういうことは余り、選挙運動としては不得策だから、実際問題としてそういう弊害は起らないのじやないかというふうに考えておつたわけです。
  217. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 それが又百五十一条の三にもかかつて来ると思うのです。百五十一条の三で、「何人も、この法律規定する場合を除く外、放送設備を使用して」、云々とありますね。これはよくやつておる、渋谷とか、新宿で大きな声を出して、放送のあれを言つておるのだと思うのです。つまりあれ式に個人演説会がなる場合がある。それは録音を使つておる。それは勿論街頭の大衆を目的とするのじやないと、こういうふうな建前で、屋内に向つてつておるのだが、それが街頭に洩れるようになつておるというような場合には、この百五十一条の三に触れるのか、或いは「この法律規定する場合を除く外」とあるから、この法律規定してあるこの百六十四条の二でやつているのだからという言い逃れができる危険がありはしないかということをお尋ねしておるのであります。
  218. 三浦義男

    衆議院法制局参事(三浦義男君) 百五十一条の三に規定してございます。「放送設備(有線電気通信設備を含む。)」と書いてございますが、これは百四十一条で許されております例の拡声機一揃というものは含んでいない観念であります。従いましてあの拡声機を、いわゆる百四十一条で許されました拡声機を使用している場合には、百五十一条の三の問題にはならない。これはそれ以外の、例えば街頭の広告とか、広告放送を利用してやるという場合は、百五十一条の三で禁止されるということになると思います。
  219. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 その問題はわかつている。そうでなくて、まあ建前は屋内の大衆を相手にしてやつているんだ、併し窓が開いておつて、大きな電気蓄音機を使つてつているから、よくそれが屋外にも聞えるのだというような場合にはどうなるかというのです。
  220. 三浦義男

    衆議院法制局参事(三浦義男君) それは、衆議院におきましても意見が或る委員から出たように記憶いたしておりまするが、個人演説会開催する目的でやりまして、その個人演説会演説内容が屋外に聞えた場合には、百六十四条の三に規定している「選挙運動のためにする街頭演説(屋内から街頭へ向つてする演説を含む。)」は該当しない。この場合は、初めから屋内から街頭に向つて演説すること自体を目的としましてやつている場合がここに書いてある屋内から街頭に向つてする演説であります。そうでなくして、屋内における個人演説会開催の際において、屋内の聽衆を主としてやつている。或いは場内に聽衆が入り切れないで外に出ているという場合に、便宜屋内の演説を外に聞かせるためにやるというようなことは、この立法の趣旨からいつて、そこまでを禁止している趣旨ではございません。
  221. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 もう一度確認しておきますが、屋内だけを目的として録音盤を使い、相当大きな音のする電気蓄音機を使つてやるという場合はこの百六十四条の二であつて、それがまあここで言つておりませんが、よく外の大衆にも聞えるというのはこの百六十四条の二の適用であつて、違反じやない、即ち百五十一条の三の禁止規定にも当らん、こういうことでいいんですね。
  222. 三浦義男

    衆議院法制局参事(三浦義男君) 今のお説のようなことになりますると、それは私は百六十四条の二の問題になる。つまり初めからとにかく録音盤をかけまして、そうして聴衆も誰もいない、そうして専ら屋外に向つてそれが聞えることを主として、そういう装置を施して選挙運動をやるということであれば、明らかにそれは百六十四条の三の問題として街頭演説の中に含まれる。街頭演説は、必ずしも本人が屋外においてやらなくても、今括弧書きで説明いたしましたものは含まれるわけでございますから、お話の点は百六十四条の三の問題になる。こういうわけでございます。
  223. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 今の問題、大体わかるようでまだ何かわからないような点もあるように思いますので、更にお帰りになつてから御研究願いたいと思います。それからもう一つ中田さん、原さんの御質問のありました、新聞との関係ですね。あの第四項は削つても、第一、第二、第三項だけを存置して置けば、立法者が考えられている所期の目的は達成し得るのじやないかという質問が残つているわけですが、それについて、まあ委員長衆議院を仲表して出ていらつしやるのですから、いろいろ御答弁に政治的なデリケート、な関係もあると思いますが、吉岡君のほうででも、事務当局としての法理品見解、それを実際適用すればどうなるかということについてのもう少し納得行くような、事務当局の純然たる見解を明日でも我々に一つ話して頂ければ結構だと思います。
  224. 中田吉雄

    中田吉雄君 その点なんですが、聞協会から来ている、長い伝統を誇る郷土誌なんかで、これに該当するものがあるということですから、これはやはり調べて頂けばわかることですから、こういう協会に、日本新聞協会とか、或いは日本出版協会に入らんで、そういう有力な郷土誌、長い伝統を諮る雑誌、週刊誌というようなものは、一つこれは協会に調べてもらえば、協会はやはり財政その他の問題で調べていると思うのですから、一つお願いしたいと思いますし、これは西郷委員長にお願いしますが、局長並びに知事立候補制限の問題が大きく取上げられて参りますし、実際事前運動は目に余るものも必ずしもないとは言えない。ここで私は、一つこれはかなり手のんだ資料になると思うのですが、知事が即ち厖大な都道府県費を使つて、自分が立候補しようとする場合に、かなり、私の知つている限りでも、数千万の金をやつぱり県で使つていると思いますので、昨年の知事選挙の前の半年の各都道府県の追加補正予算、それを一つ出してもらいたいし、その前の昭和二十四年の追加補正のときと比較すれば、これはもう直ちに、大体どれくらい余計使つているかということはわかると思いますので、昭和二十四年並びに二十五年の一つ都道府県別の追加補正の一覧表を一つお願いしたいと思う。これを見たら、なかなか知事さんは大きなことを言つて、我々が当選する可能性があるのは、善政に対する府県民の感謝というような詰問状が来ておりますから、一つそれを判定する資料として、是非地財委でも結構ですから、お願いします。
  225. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 資料要求を私もしておきたいのですが、事前運動が罰せられた件数、これをこの前の地方選挙参議院選挙それから衆議院選挙の場合において調べて頂いて、府県別でなくてもいいですから、これはすぐわかると思います。事前運動の罰せられたもの、恐らく殆んどないのじやないかと思います。
  226. 原虎一

    ○原虎一君 明日でいいんですけれども、演説回数、今度は個人演説回数が制限されましたから、そうして極端に申しますと、一日やつてつても一回ということが言えるのですね。それから昔は届出て、開会の時間から四時間したらやめなければ流会にするということがありましたが、今度はそれがありませんから、そういうことを、一回の演説会とは何時間かというような、こういうことを何か規定する条文があるのかないのか、その点を一つ研究して頂きたいと思います。
  227. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十九分散会