運営者
Bitlet
姉妹サービス
kokalog - 国会
yonalog - 47都道府県議会
nisalog - 東京23区議会
serelog - 政令指定都市議会
hokkaidolog - 北海道内市区町村議会
aomorilog - 青森県内市区町村議会
iwatelog - 岩手県内市区町村議会
miyagilog - 宮城県内市区町村議会
akitalog - 秋田県内市区町村議会
yamagatalog - 山形県内市区町村議会
fukushimalog - 福島県内市区町村議会
ibarakilog - 茨城県内市区町村議会
tochigilog - 栃木県内市区町村議会
gunmalog - 群馬県内市区町村議会
saitamalog - 埼玉県内市区町村議会
chibalog - 千葉県内市区町村議会
tokyolog - 東京都内市区町村議会
kanagawalog - 神奈川県内市区町村議会
nigatalog - 新潟県内市区町村議会
toyamalog - 富山県内市区町村議会
ishikawalog - 石川県内市区町村議会
fukuilog - 福井県内市区町村議会
yamanashilog - 山梨県内市区町村議会
naganolog - 長野県内市区町村議会
gifulog - 岐阜県内市区町村議会
sizuokalog - 静岡県内市区町村議会
aichilog - 愛知県内市区町村議会
mielog - 三重県内市区町村議会
shigalog - 滋賀県内市区町村議会
kyotolog - 京都府内市区町村議会
osakalog - 大阪府内市区町村議会
hyogolog - 兵庫県内市区町村議会
naralog - 奈良県内市区町村議会
wakayamalog - 和歌山県内市区町村議会
tottorilog - 鳥取県内市区町村議会
shimanelog - 島根県内市区町村議会
okayamalog - 岡山県内市区町村議会
hiroshimalog - 広島県内市区町村議会
yamaguchilog - 山口県内市区町村議会
tokushimalog - 徳島県内市区町村議会
kagawalog - 香川県内市区町村議会
ehimelog - 愛媛県内市区町村議会
kochilog - 高知県内市区町村議会
fukuokalog - 福岡県内市区町村議会
sagalog - 佐賀県内市区町村議会
nagasakilog - 長崎県内市区町村議会
kumamotolog - 熊本県内市区町村議会
oitalog - 大分県内市区町村議会
miyazakilog - 宮崎県内市区町村議会
kagoshimalog - 鹿児島県内市区町村議会
okinawalog - 沖縄県内市区町村議会
使い方
FAQ
このサイトについて
|
login
×
kokalog - 国会議事録検索
1952-06-18 第13回国会 参議院 地方行政委員会 第55号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
二十七年六月十八日(水曜日) 午前十一時二十六分開会
—————————————
委員
の異動 本日
委員岩木哲夫
君及び
岩男仁藏
君辞 任につき、その補欠として
深川榮左エ
門君及び
石川清一
君を議長において指 名した。
—————————————
出席者
は左の
通り
。
委員長
西郷吉之助
君 理事 堀 末治君
中田
吉雄
君
委員
岩沢
忠恭
君 石村 幸作君
高橋進太郎
君 宮田 重文君
岡本
愛祐
君 館 哲二君 原 虎一君
吉川末次郎
君
林屋亀次郎
君
石川
清一
君
深川榮左エ門
君
国務大臣
国 務 大 臣
岡野
清豪
君
政府委員
地方自治政務次
官 藤野 繁雄君
地方自治庁次長
鈴木
俊一
君
地方自治官庁行
政課長
長野 士郎君
事務局側
常任委員会専門
員
福永与一郎
君
常任委員会専門
員 武井
群嗣君
—————————————
本日の会議に付した事件 ○
地方自治法
の一部を
改正
する
法律
案(
内閣提出
、
衆議院送付
)
—————————————
西郷吉之助
1
○
委員長
(
西郷吉之助
君)
只今
より
委員会
を開会いたします。 本日は昨日に引続きまして
地方自治法
の一部
改正案
につきまして
質疑
を続行いたします。
中田吉雄
2
○
中田吉雄
君 議事の進行についてお伺いいたしますが、
東京新聞
の六月十五日附で
自由党
の
増田幹事長
と
西郷委員長
との打合せの結果、
地方自治法
は
継続審議
でもよろしいというような申入れがあつたように出ておる、本
国会
に必ずしもり通過を要しないというような
記事
が、大
新聞
である
東京新聞
に掲載されているのですが、そういうことがあ
つたの
ですか。
西郷吉之助
3
○
委員長
(
西郷吉之助
君) いや私も
只今
の件は家に帰りましてあの晩見ましたら出ておりましたので、私も意外に
思つたの
ですが、あのときは丁度
委員会
の部屋に
増田
さんが見えまして、どういう工合ですかということを聞かれた。それで具体的なことは何も私は話さなか
つたの
ですが、御
承知
のように
委員室
に入
つて
来られたのです。それでそれを見たので、きつと
推測記事
であろうと私は思いますが、恐らく
政府
としても全然そういう
考え
はなかつた、
岡野
さんなんかの
意見
をお聞きにな
つて
もわかる
通り
に、今や
つて
おります
自治法
には最も重点を置いて推進しておられるのですから、私もあの話を非常に意外に思いましたが、ここに来られたのを見て推測して書いたのだろうと思います。具体的な話は何らそこでございませんでした。そういう
経過
でございます
中田吉雄
4
○
中田吉雄
君
岡野大臣
に
お尋ね
いたしますが、そういう相談があつたんですか、
増田幹事長
なんかといずれどういう
法案
をどうしても通すとかいうようなことがいろいろあると思いますが、
重要議案
が山積しておるので、党のほうがそういう
意見
ならそういうふうに捌いてもいいのですか。
岡野清豪
5
○
国務大臣
(
岡野清豪
君) お
答え
します。これはそういうことは私は毛頭
考え
たことはござません。と申しますことは、
地方
の
行政簡素化
をするのについていろいろたくさんの案がございましたのですが、まあ
最小限度
この
自治法
の
改正法案
というものは
地方
の
行政簡素化
の一翼を担
つて
おるわけです。これは党とじましても、
内閣
としましても、特にこれは個人的なことを申上げては恐縮でございますけれども、総理もやはり非常な熱意を以てこれを
一つ是非
御
審議
を願
つて
くれ、こういうことでや
つて
おりまして、私の真意といたしましては、これは是非通して頂きたい、こういう
考え
で臨んでおるわけであります、それから党と話しましても、何らそういうことに触れていません。これははつきり申上げます。
中田吉雄
6
○
中田吉雄
君 それでは御
趣旨
もよくわかりましたから、その線に沿
つて
やることにいたしますが、次に私本日正式に聞きましたところによると、
参議院
が修正いたしました
地方税
につきまして、
衆議院
の
予算委員長
の塚田氏がかなり異論を持
つて
おられまして、
参議院
の
修正案
が否決されて
両院協議会
に持込まれる公算が必ずしもないではないかと思うのですが、
二院制度
の建前からいたしまして、双方が独自な
立場
をとるべきでありまして、容喙すべきではないと固く信じていますが、併し事前にも十分お打合せいたしまして、
衆議院
の御
意向
も尊重してああいうふうに練り上げられたと思うのですが、そういうことと絡み
合つて
、
西郷委員長
とされて本
国会
に付議されている他の諸
議案
との関連で
一つ
適当な捌きを私は希望したいのです。どんなものでしようか。それにつきまして……。
西郷吉之助
7
○
委員長
(
西郷吉之助
君) 私も昨日
中田委員
の御発言がございましたし、そのときにもお
答え
いたしましたが、私も
同感
に思
つて
おりまするので、あれは十分向うと打合せた上でやりましたので、
約束
は私も固く守
つて
もらいたいということを始終申上げておりまして、昨日も御
意見
がございましたから、一私
自身
も又
岡野国務大臣
を通しても厳重にこちらの
意向
を伝えまして今後といえとも、この
委員会
に重要な
法案
がたくさんかか
つて
おります。そういうふうなことから
考え
ましても、誤解を解くためにも、
衆議院
は
約束通り参議院
の
共同修正案
を呑んでもらいたい、そういうふうな
考え
にいささかも変りはございませんので、今後とも
委員長
といたしましても呑んでもらうことに努力したいと私は
考え
ております。
岡野清豪
8
○
国務大臣
(
岡野清豪
君)
委員長
のお
言葉
に補足して申上げます。あの案がこの
委員会
でパスしましてから、毎日朝晩のように
西郷委員長
から今の御
言葉
のようなことを私に
仰せ
付けにな
つて
おります。私も又微力ながらその点において党並びに
衆議院
の各方面に対してこれを
西郷委員長
のお
言葉
の
通り
に実現したい、こういうことに毎日努力しておる次第でございますから御了承願います。
中田吉雄
9
○
中田吉雄
君 たびたびで恐縮ですが、会期を再再延長するような一班の
責任
は、やはり大政党である
自由党
も当然こんなことになると思わざるを得んと思うのです。私は先ず
参議院
に山積しておる
法案
をできるだけ速かに
審議
して
結末
をつけると同様に、先ず
衆議院
て圧倒的な多数を持つ
自由党
が
一つ
率先垂範して、いずれにしても
結末
をつけて、そうして我々の態度の決定に
一つ
資して頂くように重ねての御善処をお願いいたす次第でございます。
西郷吉之助
10
○
委員長
(
西郷吉之助
君) 私は全く
同感
でありまするから、私もこれについては更にお聞きしたいと思います。
岡本愛祐
11
○
岡本愛祐
君 関連して質問いたしたい。
ちよ
つと
速記
をとめて頂きたい。
西郷吉之助
12
○
委員長
(
西郷吉之助
君)
ちよ
つと
速記
をとめて下さい。 〔
速記中止
〕
西郷吉之助
13
○
委員長
(
西郷吉之助
君) それでは
速記
を始めて。
岡本愛祐
14
○
岡本愛祐
君 私は二百八十一条について
岡野国務大臣
に
お尋ね
をいたしたいと思うのであります。この前一応
鈴木政府委員
から二百八十一条、二百八十二条の
改正
について承わりました。即ち
東京
都の特別区の問題であります。そのときに
質疑応答
したことを今
速記録
がまだ出ませんから、それがこうだつたんだというふうにここに断言しながら、言質をと
つて
進めて行くわけには行きません。 で
更め
て私は
岡野国務大臣
に
お尋ね
をいたすのでありますが、それは第一点は、特別区は
自治法
の第一条並びに二百八十一条に言います
地方公共団体
、その中には特別区が入れてあるのでありますが、その特別区が
憲法
九十三条第二項に言うところの
地方公共団体
であるのかないのか、現在の
地方自治法
並びに
憲法
九十三条によりまして特別区というものが
憲法
九十三条に言う
地方公共団体
であると
考え
ておられるのか、
考え
ておられないのか、それを
お尋ね
いたしたい。
岡野清豪
15
○
国務大臣
(
岡野清豪
君) お
答え
申上げます。 私はこの
東京
都におけるところの特別区というものは
憲法
九十三条の
地方公共団体
というものには入
つて
いない。こう解釈しております。
岡本愛祐
16
○
岡本愛祐
君 それはどういう
根拠
によ
つて
そういうふうにお
考え
にな
つて
おるのですか。
岡野清豪
17
○
国務大臣
(
岡野清豪
君) それは特別区というものは御
承知
の
通り
にいわゆる特別区でございまして、成るほど
自治法
におきましても市に関する
規定
を適用しておりまするけれども、もともとこの特別区ができましたときのいきさつから申しまして、同時に元
東京
市である、一体をなしておるところの一部分であるところのものである、こういうような実際上の情勢から申しましても、これは完全なるいわゆる
憲法
に言うところの
自治体
を以て遇するには
市政運営上
私は面白くないと思いまして、そうしてその特別区というものは、やはりできました当初から、成るほど市の
条例
、市に関する
規定
を或る程度できるだけこれを適用して行くという
自治体
には
考え
でお
つたの
でございますけれども、併しこれを完全なる
憲法
の九十三条に言うところの
地方公共団体
とは認めていなかつた。と申しますことは、それあるがために若しこれを
憲法
九十三条の
地方公共団体
であると
考え
ますならば、その後にできましたところの
警察法
とか
道路法
とか何とかいうようなものは、皆これは完全なる市であるならば、
只今
の特別区に適用せられているような
法律
が適用せらるべき筋合のものじやない。その
意味
におきましても
立法制度
の上から行きましても、法の運用から行きましても、
只今
までのところは特別区は
憲法
九十三条に言う
地方公共団体
じやない、こういうような
実体
を備えておるわけでございます。
岡本愛祐
18
○
岡本愛祐
君 それではなお
お尋ね
いたしますが、
地方自治法
が新
憲法
に基いて作り上げられた、そのときの特別区というものは、やはり今
岡野国務大臣
が御
答弁
になりましたような
性質
であるとして
規定
されておるのであるか、この
立法
の
趣旨
についてどういうふうにお
考え
にな
つて
おりますか。
岡野清豪
19
○
国務大臣
(
岡野清豪
君) 恐らく
立法趣旨
といたしましては、特別区というものを完全なる市というようなものに作り上げたいというふうな
考え
で、これは私の想像でございますが、
自治法
が組み上げられたものと思いますけれども、併しながらその
自治法
の中におきましても、やはりこれは完全なる市と同じような
立場
に置けないようなかずかずの
条文
も入
つて
おりますし、それからその後の
立法措置
といたしましても、特別区というものは完全なる市と同じような状態にはほかの諸
法律
はな
つて
おりません。でございますから特別区ができました当時から、その後におきます
経過
といたしまして、これは完全なる
憲法
に言う
地方公共団体
である
待遇
はいたしておりません。
岡本愛祐
20
○
岡本愛祐
君 それでは私は
地方制度資料
によりまして、これは、旧内務省におきまして
昭和
二十二年の十月に発行したものであります。それに
根拠
を置きましてこの
立法
の
趣旨
は
岡野国務大臣
のお
考え
にな
つて
いる
通り
でないのだということを証明したいと思います。この特別区というものは現在の
地方自治法
の上において、
憲法
九十三条に言う
地方公共団体
として立派に
取扱
われておる、そういうことを証明いたしたいと思うのであります。 先ず第一に
地方自治法案
が第九十二
帝国議会
に上程になりました、
政府
から
提出
をしました、その時の
内務大臣
、当時の
責任者
の
植原悦二郎
君が
提案理由
の
説明
をいたしております。その中でこういうことを申しております。先ず「本
法案制定
の
基本方針
に付て
説明
致します、
先づ
第一に、
地方公共団体
の
自主性
及び
自律性
を強化したのであります、即ち新たに特別市の
制度
を設け、
所謂
二重監督の弊を芟除し、
大都市
の自主的且積極的な活動を助長促進致しますと共に、
東京
都の区に対しては、
原則
として市と同様の
権能
を認めることとする等、第一次
改正
の精神を更に拡充強化し、
地方公共団体
の
自主性
の
原則
を更に貫徹することに努めたのであります、」こういうことを申しております。 そうして進みまして、「
東京
都に付きましては、区は之を特別区として、
原則
として市と
同一
の
権能
を認め、之と共に
東京
都は、
基礎的地方公共団体
でなく、」と、こう言
つて
おります。「
道府県
と同様に
市区町村
」、この
市区
の区は特別区であります。「
市区町村
を包括する
復合的地方公共団体
としたのであります、」こう申しております。 それから当時の
地方局長
は、
只今
の
警察予備隊
の総
隊総監
の
林敬三
君であります。それから
行政課長
はここにおられる
鈴木俊一
君であります。
政府委員
としてその当時も出ておるのであります。
貴族院
におきますその
質疑応答
におきまして、
鈴木政府委員
はこういうふうに
答弁
をいたしております。少し長いが大事な問題ですからお聞きを願いたいと思います。「第一条で
矢張り
「
地方公共団体
」と云ふ
言葉
を使
つて
居りますが、是は
憲法
の「
地方自治
」の章に、
矢張り
「
地方公共団体
」と云ふ
言葉
を使
つて
居りますので、それを承けて、
都道府県
、
市町村
其の他の所
謂地方公共団体
を総て「
地方公共団体
」と云ふ
言葉
で申すことに致して居ります]、この間を省略いたします。「「特別区」は
東京
都の現在の区であります、之を特に「特別区」と申しまして、大体市と同じやうな
権能
を認めることに致して居ります、」。 それから又次の第二回の
委員会
における
鈴木俊一
君の
答弁
であります。「次に特別区でございますが、是は
東京
都の区と従来申しました区であります、特別区の
制度
は、従来
財産
、
営造物
に関する
法人
区として、市制第六条の
法人
区として認められましたものを、左様な特定の市に関する
法人
区でなく、
一般
的の市と
同格
の
地方公共団体
と云ふことに致したのであります、即ち都を基礎的な
地方公共団体
でなく、
区市町村
の上に立ちます包括的の
地方公共団体
に致しましたのと相伴ひまして、此の区と云ふものは市と
同格
の
地方公共団体
に致したのであります」、ここに
至つて
これは明白であります。 それからなお進みまして、やはり
鈴木俊一
君の
答弁
、「
都道府県市町村
の全部に適用されますものを、それを
普通地方公共団体
と申し、特別市、特別区、或は
財産
区と云ふやうなもの迄含めて申します場合は、之を単に
地方公共団体
と申し、
所謂特別地方公共団体
としては特別市、特別区と云ふものを、又
地方公共団体
の組合と云ふものを特に
規定
致したのであります、
憲法
で
地方公共団体
と云ふ
言葉
を使用して居りますので、
地方公共団体
と云ふ
言葉
を使用致したのであります、」これは前にも出ました。「
唯東京
都に付きましては、従来新しいあれから申しますと、精々
特別地方公共団体
的のものの
性格
が、従来の儘で申しますとあ
つたの
でございますが、之を止して
一般
の
都道府県
と同じやうに致しまして、唯
都内
の特別区だけが
一般
の
市町村
と
稍々性格
が違ふと云ふので特別区と致しました、都としては
矢張り他
の府県と同様に
市町村
は包括する
団体
にな
つて
居るのであります。」、少しこうあいまいですが、それから
宮沢俊義
さんとのやり取りがありまして、こんな
特別地方公共団体
とか
普通地方公共団体
に分けるのはおかしいじやないかというような
議論
がなされております。それからそのとき、あとでやはり
鈴木政府委員
が、「従来の
大都市
の中の区の
制度
は、
東京
都に於ては
法人
であり、
京都
、
大阪
も
法人
でございましたが、
京都
、
大阪
に付きましては
法律
上
法人
と云ふことにな
つて
居りましたけれども、実際は今日何等の
財産
も持
つて
居りませぬ、学校其の他も、皆区のものではないことにな
つて
居ります、一切の
財産
が全く無い、
法律
上の以外のものに付きましても無いと云ふ状況でありまして、
五大都市
の区は従ひまして、
横浜
、
神戸
、
名古屋
の
行政
区と共に全く
実質
上は
行政
区と云ふ
実情
にな
つて
居るのであります、」。つまり
京都
、
大阪
も
法人
ではあつたが、実際は
横浜
、
神戸
、
名古屋
の
行政
区と同様である。「処が
東京
都の区に付きましては、是は
財産営造物
に関して、
法律
的にも
実質
上にも、
矢張り法人
区の実を備へて居るのであります、」、「都の区だけは、事実他の市におけると同様な
実情
にございますので、そこで特に特別区と致しまして、本来なら市と同じやうに
規定
して宜いと思うのでありますが」云々とこう言
つて
おります。 いろいろありますが、それから
内務大臣
の
答弁資料
というものが附いております。つまりいろいろの質問を予定しまして
内務大臣
が
答弁
をする、その材料であります。そこで明白にこのことが解説がついておるのでありまして、間として予定をしておりますのは、都を
道府県
と同
性格
のものにしようとする
理由如何
、そういう設問をしまして、答に、
東京
都のごとき厖大な人口を擁し、且つ相当広大な面積を占めている
地方公共団体
が
基礎的地方公共団体
であるということは如何にも無理であり、
都内
の
市町村
と都の
関係
は
一般
の
市町村
と
道府県
との
関係
と
実質
上何ら異なるところがないのにかかわらず、かくのごとくその
取扱
を顛倒しておるのは極めて不合理であ
つて
、理論には忠実であるが、実際に即しないものと言わなければならない。今回
東京
都の区を統合してこれに市と同様の
権能
を認め、都は必要において
条例
でその調節を図ることができるものとすれば、あえて三十五区の
区域
を総合して区の存する
区域
に人格の存するがごとき法制を維持する必要はなく、区を
一般
の
市町村
と同様に都の
基礎的地方公共団体
たらしめ、都は
市区町村
を包括する
地方公共団体
として何ら
支障
を見ないという
考え
方であります。これは非常に明白であります。 それから問といたしまして、特別区と市との
権能
上の差異如何ということの
答え
としまして、その
答え
のうちに、特別区の
権能
は
原則
として市と全く同様である。それから問を設けまして、都の区を市と同様に
取扱
うことは行過ぎではないか。
答え
が、
一般
の市に比較して何ら遜色なきに至
つたの
であ
つて
、これに市と
同一
の
権能
を与えることは何ら
支障
なきのみならず、
住民自治
の本旨に合致するものと
考え
る。 それから最後に、都を
道府県
と
同一性格
の
団体
とすることは都の
実体
に反するではないか、むしろ特別市と
同一
に
取扱
うべきではないかという問に
答え
といたしまして、都と
都内
の
市町村
との
関係
と
一般道府県
とその
区域
内の
市町村
との
関係
とは
実質
上何ら異なるところがなく、都を以て
基礎的地方公共団体
とすることのほうが
却つて
実際に即しないと
考え
られる、都は基礎的な
地方公共団体
でない。而して
東京
都の区は統合によりこれに市と同等の
権能
を賦与するに値いすると認められるに至
つたの
で、
原則
として市に関する
規定
を適用することとし、特に必要な事項は
条例
で調整する途を開いたので、
東京
都と区との
関係
も又これを
一般
の
道府県
と
市町村
の
関係
と同様にして
支障
がなくなるに
至つた
から、今回都を
一般
の
道府県
と
同一
の
性格
に変更したわけである。こういうふうに申しておるのであります。 以上引用するように、この
地方自治法
ができまして今に至るまでこの二百八十一条と二百八十二条とも
変更修正
がないのでありますが、
従つて
区の
性質
は
自治法
の
制定
当時と変
つて
いないと私は思うのであります。
警察法
とか
組織法
とか言われますが、それは殆んど同時にできた法でありまして、これも各区が連合して
警察
を設け、又消防署を設けようというのであ
つて
、この前ここで
質疑応答
しましたように、今こういうものがあるから特別区の
性質
が
変つたの
だという御
議論
には私は承服はできません。 そこで現在の特別区は、
地方自治法
の
制定
のこういう
資料
から見まして、疑いもなく
憲法
九十三条の
地方公共団体
であると、そう
規定
をされておるわけであります。そうすればこの九十三条の第二項の
地方公共団体
の長は「その
地方公共団体
の
住民
が、直接これを選挙する。」という
規定
は当然働いて来なくちやならない。そこで
政府側
から言いますれば、これは私が
緑風会
でも
岡野国務大臣
に申上げましたように、この二百八十一条、二百八十一条の二というようなことで特別区の
性質
を変えるにあらざれば
区長
の公選、直接
選挙制
をやめるわけには行かないのだ、そうしなければ
憲法違反
になるのだ。二百八十一条が果してそういう
意味
であるかどうかというと、そういう
意味
ではない、特別区の
性質
は前から変
つて
おるので……こういう御
答弁
であります。それでは我々は納得ができない。
政府側
の御
提案
に
憲法違反
でないとする
根拠
がありとすれば、唯一の途は今度の
地方自治法
の
改正
によりまして特別区の
性質
を
憲法
上の
地方公共団体
の地位から落しまして、そうでなくするということでなければジヤステイフアイできない。ただそれだけの大
改正
をここでや
つて
おるそういう御自覚がない。それが如何にも
政府
として何ら
かお考え
が足らないのか、又そういうようなことを言い出すと非常な紛糾を増す虞れがあるから、ともかくこれを通しておこうというような安易なお
考え
から出たのか知りませんが、ともかく私はそう
考え
るのであります。これに対するお
答え
を願います。
岡野清豪
21
○
国務大臣
(
岡野清豪
君)
縷々立法
当時の
速記録
をお出しにな
つて
御
説明
がありましたが、それにつきましては
立法者
は、特別区というものは
憲法
に言う完全なる
地方公共団体
であると、こういうことを御立証に
なつ
たわけです。 これを一応私
自身
考え
ますが、これに対しては
一つ
申上げたいことは、
法律
というものはどんな
法律
でも、
立法趣旨
はその
条文
を解釈する場合において一応
参考
のためにどういう
意味
でこれは書かれたのであるかということの
参考
にはいたしますけれども、併しその
法律
というものができ上つた以上は、その文理解釈によ
つて
当然第一に字句で優先的に解釈されるべきものと
考え
ます。
只今仰せ
のように、仮にあなたのお説の
通り
に特別区というものは
立法
の
趣旨
からい
つて
完全なる
自治体
である、即ち
憲法
に言う
地方公共団体
であると、こう御認定になるというならば、先ほどからもたびたび申上げておりますように
自治法
の附則の四条とかそれから
地方税法
の七百三十六条とか、
警察法
の五十一条とか、
消防組織法
の十六条とか、
社会福祉事業法
の別表とか、
保健所法
の第一条とか、
予防接種法
の第五条とか二十四条とか、
児童福祉法
の七十一条とか、
漁港法
の三十一条とかいうものは、これは
自治法
ができたときに同時にできたと
仰せ
に
なつ
たが、同時ではございません、やはり時期を変えて出ておるのです。同時に出たものもございます。併しながら同時にできたならば、
立法者
はそういう
考え
を持
つて
おりながら、同時にそれが
憲法
による完全なる
地方公共団体
でないという
取扱
をしておるのです。ですからここで
区長任命制
だけがこの際出て来て
違憲論
をおつしやるならば、その当時あなたがおつしやつたように
立法者
は完全な
自治体
であるという断定を下しておきながら、同時に完全なる
自治体
でないという
待遇
を
法律
上にはしておる。そのときに
違憲論
が出なければならないし、
立法者
に対して文句を言わなければならない。今までこれだけのことが出てお
つて
今まで問題にならずに、完全なる
自治体
でなくな
つて
おつた特別区というものに対して
区長任命制
ということが出たときに
違憲論
が戦わされるということは、甚だ以て心外千万でございます。私
自身
からいたしましては、とにかく若しお説のようならこれを一貫して全部
違憲
とおつしやるならまだ筋が
通り
ます。併し今まで完全なる
自治体
ということにお認めにな
つて
おりながら、両
国会
ともこういう
法律
をどんどんお通しにな
つて
おるということなら、その当時
違憲論
が出たはずです。
行政
というものは生成発展して行くべきものであ
つて
、たとえ
立法
当時にはそういう
趣旨
であ
つて
も、
実情
に合わなければ方向を変えて行くというのが、これが即ち法の
進展
並びに
社会
の
進展
でございます。でございますから
社会
の
進展
する
実情
に合わしてや
つて
おればこそ、あなたの
仰せ
になるところの反対、即ち
違憲
であるべき筋合いのこういう
法律
がだんだんと何ら
違憲論
が出ずに、
実情
に即して出ておるのですから、今回の
区長任命制
というものもやはり
違憲
でなく、この前例のごとき
法律
の
制定
並びに
改正
と同じようなものだと私は解釈しておるのであります。
岡本愛祐
22
○
岡本愛祐
君
岡野国務大臣
の御
議論
には二つの欠点があります。
一つ
はこの二百八十一条の
条文
を読んで下さい。第二項「特別区は、その
公共事務
及び
法律
若しくは政令又は都の
条例
により特別区に属するもの並びに従来法令又は都の
条例
により都の区に属するものの外、その
区域
内におけるその他の
行政
事務で国の事務に属しないものを処理する。」、こういうふうにこれは
制定
当時から書いてある。それにこういうふうに
提案理由
の
説明
にありますように、又
政府委員
が
答弁
しておりますように
憲法
上の
地方公共団体
として
取扱
う
趣旨
なんです。つまり今までのは基礎的の公共
団体
である……基礎的の公共
団体
でないということだけでありまして、それが完全の
自治体
、完全
自治体
というものは果してあるかどうか、
市町村
であ
つて
国の枠にはま
つて
おるのですから、完全
自治体
と言えるか言えないか、それは大いに疑問です。程度の問題です。だから完全
自治体
という
言葉
は使
つて
おりません。府県のごときは完全
自治体
であるか、これは非常な疑いを持つべきである。だからそういうことじやないのでありまして、つまり特別区はもとより二百八十一条によ
つて
「都の区は、」とこうあるのですから、都の枠にはま
つて
いる区なんです。それにもかかわらず
市町村
と同じように……
権能
は違います、すでに第二項において
権能
は普通の
市町村
ですから狭いし、そう予定してある、それにかかわらず
憲法
第九十三条の
地方公共団体
である、こういうふうに認めておるのであります。 それからもう
一つ
は、
法律
というものは固定したものじやない、フレキシブルのものである。これは私も肯定します。併しこれは言うと又激怒なさるだろうと思いますが、こういう
憲法
の解釈問題、そういうものを時の
政府
の解釈によ
つて
、而もこの民主
憲法
、民主
制度
、民主政治、そういうものの基本であるべき公選制というような重大事につきまして、そのときどきに
従つて
公選でなければいかん、而もそれを二度もや
つて
来ておるのです。それを何ら特別区の
性質
を変える
法律
上の措置をやらないでそうして公選を奪う、又公選が要らないのだと解釈するということは、これは大変なことだ。それこそ
憲法
擁護の旗印を挙げなければならん問題だと私は思うのであります。だからこの二点についてしつかり御
答弁
願いたい。
中田吉雄
23
○
中田吉雄
君 それに関連して
岡野大臣
の、この世の中の進むに
従つて
拡張解釈をして可なりという
意見
は、
岡野大臣
は
地方自治法
の担当大臣であります
国務大臣
として極めてこれは重大な問題である。大体
自由党
は全体として
岡野
さんのような解釈をや
つて
いるのです。例えば
憲法
の第九条にいたしましても、これは明らかに「前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。」というようなことを正しく解釈するのは、この
憲法
が
制定
された当時の
立法
精神に鑑みてやらねばならんのに、バズーカ砲を持つたり戦車を持つたり、アメリカから武器貸与法で六十隻の軍艦をもら
つて
も、そういうような解釈で
違憲
でないという
立場
をとり、そういう
考え
をとるなら、破防法にいたしましても、これは生成発展の過程においてやるというようなことで、
立法措置
、
憲法
改正
その他の措置をとらずにやるということは、私は極めてこれは破防法の
審議
にも影響するし、
地方自治
の担当大臣でなしに、
国務大臣
として……、吉田
内閣
は大体
憲法
の第九条並びに破防法などでもそういう拡張解釈をや
つて
、生成発展のこの流転する世の中で、基本的な
改正
を
国会
に諮らずに拡張解釈によ
つて
や
つて
行かれるのか、
一つ
お伺いしておきたいと思う。これは破防法の
審議
にも非常に重要なんです。
岡野清豪
24
○
国務大臣
(
岡野清豪
君) 私の
言葉
は非常に結論ばかり申上げまして甚だ誤解を起したので恐縮ですが、解釈を私は変えたのではないのです。と申しますことは、
憲法
第九十二条に
地方公共団体
の組織、運営は
法律
によ
つて
定めると書いてあります。そうして
地方自治
の本旨に
従つて
やれと書いてある。それで私
自身
は解釈を変えたのではなくて、一体我々といたしましては、
法律
によ
つて
とにかく組織、運営を変え得るということを委任されています以上は、
法律
によ
つて
生成発展して行くところの自治
行政
というものに合うような
法律
に直して行くことは、これは当然な仕事であります。でございますからこの解釈を変えたわけじやなくて、我々は最も特別区に適応し
東京
都に適応したような
行政
をして行くのには、どういうような組織並びに運営をして行つたら一番その時に合つたいい
行政
ができるか、而もそれは
憲法
では
法律
によ
つて
これを定めればいいということにな
つて
いるから
改正案
を出したのであります。何ら解釈は変
つて
おりません。
岡本愛祐
25
○
岡本愛祐
君 先ほど読みましたところでも、自治の本旨に
従つて
この特別区というものは
憲法
の
地方公共団体
にするのだと言
つて
おるのです。ここに
一般
の市に比較して何ら遜色なきに至
つたの
であ
つて
、これに市と
同一
の
権能
を与えることは何ら
支障
なきのみならず、
住民自治
の本旨に合致するものであります、こう言
つて
おるのであります。だから知らん間に又自治の本旨によ
つて
今度特別区でなくするのだというようなことを勝手に
立法措置
によらないで解釈でやられることは非常に困る。だから私は言
つて
おりますように、率直にこの二百八十一条並びに二百八十一条の二によ
つて
特別区の
性質
を変えるのだ、こういうことでなければ駄目です。如何に言われても、それでない限りは私は
憲法違反
だと思う。又
憲法違反
と言うと怒られますけれども、実際そうなるのです。つまり現在の
地方自治法
の建前では、特別区というものは
憲法
九十三条に言う
地方公共団体
である。これは一点の疑いもない。だがそれはいろいろ弊害が起る。又そういうふうに育成して行こうと思つたがなかなかできない。だからこの二百八十一条並びに二百八十一条の二によ
つて
憲法
上の
地方公共団体
でなくするのだ、こういうふうに御
説明
にならない限りは私は納得できないのです。
岡野清豪
26
○
国務大臣
(
岡野清豪
君) それはほかの条項を一々御覧になればおわかりの
通り
に、本当にあなたの御説を採用するとすれば、とにかく
性質
を変えたというような今度の
改正案
になると思います。
岡本愛祐
27
○
岡本愛祐
君 私は私の説を採用してくれとは言
つて
おりません。私の説でなくて、法理論として、私どもの学んだ法理論が間違
つて
おれば仕方がありません。併しそうならざるを得ないのであります、殊に重要な
憲法
の解釈などというものをそう勝手に今までや
つて
来たということと正反対に解釈するということはできないのです。それは
法律
措置によるのでなければできない、解釈だけではできないのです。
岡野清豪
28
○
国務大臣
(
岡野清豪
君) それでは
一つ
この
改正案
によりまして
性格
を変えたということを詳しく御
説明
申上げます……。
岡本愛祐
29
○
岡本愛祐
君 議事の進行について皆さんにお諮りするのですが、お聞きの
通り
特別区に関する限りは
岡野国務大臣
の
提案理由
の根本から違
つて
おるのです。だからこの
政府委員
の
答弁
でなくて、お帰りにな
つて
閣議をお聞きにな
つて
、そうして今までの
説明
ではいかないらしいと……だから法制
意見
局長官でも呼ばれて、私の言つたことが間違
つて
おるか、
岡野国務大臣
の今までの御
説明
が間違
つて
おるか、それが解決してからでなければこの
委員会
を続行することは、この特別区の問題については反対であります。
中田吉雄
30
○
中田吉雄
君 大賛成です。(笑声)
西郷吉之助
31
○
委員長
(
西郷吉之助
君) それでは時間も過ぎておりますから、午前中はこれにて休憩いたします。 午後零時十六分休憩 —————・————— 午後三時三十八分開会
西郷吉之助
32
○
委員長
(
西郷吉之助
君) それでは
只今
から午前の休憩に引き続いて再開いたしますが、
地方自治法
の
改正案
に対する
質疑
を続行いたします。
岡野清豪
33
○
国務大臣
(
岡野清豪
君) 先刻の
岡本
委員
に対する私の
答弁
において不十分な箇所があり、そのために誤解を生じましたことは誠に遺憾に存ずる次第であります。
地方自治法
制定
の際は特別区は
憲法
上の
地方公共団体
として発足したものでありますが、その後の特別区の
制定
に鑑みまして、
都道府県市町村
とはその
性格
が異
つて
おりますので、今回
改正
を加えまして、
憲法
上の本来の
地方公共団体
ならざるものとして立案いたしたのであります。従いまして
区長
の公選
制度
を廃止いたしましても
憲法違反
の問題は起らないと存じます。 以上の見解は法制
意見
長官とも打合せをした
政府
の統一的解釈として申上げる次第であります。
岡本愛祐
34
○
岡本愛祐
君
只今
岡野国務大臣
から改めて
政府
の統一的
意見
として、特別区に関してこのたびの
地方自治法
の
改正
によ
つて
特別区に
性格
の変更を加えた、そして従来は
憲法
上の
地方公共団体
であつたものをこの
改正
によ
つて
然らざるものとした、こういう御
意味
と了承いたしました。この
区長
の公選を廃止まして間接の選挙にいたしますか、又は知事の任命するということを
憲法違反
でなくするためには、
只今
改めて御
説明
のあつた途しかないのでございまして、その点ならば私は理論としては
憲法違反
でない、そういうつもりでこの二百八十一条、二百八十一条の二を以て、今までは
憲法
上の
地方公共団体
であつた特別区がこの
改正
によ
つて
そうでないものにした、こういう
意味
ならばわかるのであります。そこで問題は発展いたしまして、果して
政府
原案の「都に区を置き、これを特別区という。」というような二百八十一条第一項の書き方を変えられたこと、それから第二項によりまして「特別区は、左に掲げる
公共事務
及び
行政
事務で、」云々というふうに書かれて、そうしてその
取扱
うべき
公共事務
及び
行政
事務を列挙せられたこと、これによ
つて
今
国務大臣
のお話のような特別区に重大な
性格
の変更を来たし得るものであるかどうか、この点が問題になるのであります。いわんや
衆議院
で修正をいたしまして、二百八十一条の第一項は元
通り
、現行
通り
とする、即ち「都の区は、これを特別区という。」という表現は従来
通り
とする。第二項はこの
改正案
がそのまま活きているのであります。そういうふうなことによ
つて
果して今言われたような特別区の
性質
を非常に変える、特別区の
性質
を根底から変えて行くということになるかどうかという点を
お尋ね
いたしたいのであります。 なお附加えますが、第二項の
行政
区の
公共事務
及び
行政
事務の列挙主義、この一号々々につきましてこの間質問いたしました。で第一号は、これは現状のままだという御
説明
が
鈴木政府委員
よりあ
つたの
であります。それから第二号はこれは現状より広くしたのだという御
答弁
がありました。第三号はこれは現状のままだ、第四号はこれは拡大したのだ、第五号はやや広くした、第六号もやや広くした、第七号はこれは現在より広い、こういうふうに御
説明
にな
つて
いるのであります。要するに特別区が
憲法
上の
地方公共団体
である現状において
取扱
つて
いる所掌事務よりも、この列挙せられたところは広いのであるという結論に来ると思います。なお私はそのときに
お尋ね
したことを思い出すのでありますが、この列挙によ
つて
現状で所掌しているものを奪つた点はないかという質問をしておきました。奪つた点はないというお
答え
でありました。そういたしますと列挙しようがしまいが、現在の事務以上のことをやはり特別区は
取扱
うのでありますから、その
性質
が今お
答え
のような大変革をしたとは見られないのであります。そうすると一に
政府
原案の「都の区は」とあるのを「都に区を置き」と改めたことにあるように思うのでありますが、そういたしますと先ほど言いましたように、
衆議院
の修正によりまして元に戻るということになりますと、今言われた重大な特別区の
性格
の変更というものはどうしてこの
改正
法律
案によ
つて
でき上るのか、その点を伺いたいと思います。
鈴木俊一
35
○
政府委員
(
鈴木俊一
君) この二百八十一条の第二項につきましては、
只今
御指摘のあつた
通り
でございますが、第四項を御覧頂きますと、「特別区の存する
区域
においては、
法律
又はこれに基く政令の
規定
により市が処理しなければならない事務は、都がこれを処理する。」かようにな
つて
いるのであります。この点は現行法におきましては、古い
東京
都政の
規定
を引張
つて
いるのでございますが、市に関する仕事は都がやる、又市に関する仕事は
地方自治法
の附則の十七条におきまして特別区に適用するということから特別区もやる。要するに市に関する仕事が都も特別区も同じような
立場
でやれるように現行法上は相成
つて
いるのであります。それを今回この二百八十一条の第四項におきましては、区に身近な仕事、主として区内に関しまする利害
関係
のあるものは第二項に列挙主義で列挙したのでございますが、それ以外のものは都がこれを処理するというふうにいたしたわけでございまして、この点は
原則
が従来都と区が対等でありましたものが、都がより広くなる、こういうような建前に変更いたしたわけであります。この点が第一点の
性格
の変つたという問題でございます。 それから二百八十一条の二でございますが、二の第五項でございますが、「都の機関して処理する事務については、特別区の
区長
又は
委員会
若しくは
委員
は、都知事又は都の
委員会
若しくは
委員
の指揮監督を受ける。」かようにいたしております。この点は、都の事務を特別区に委任いたしました場合においては、これはやはり特別区の事務になりますので、従来の
考え
方といたしましては、これは都知事が指揮監督する、都の
委員会
が指揮監督するという
関係
にはないわけであります。
自治体
と
自治体
との間の
一般
原則
でございますので、そういうことは現行法上ないわけでございますが、この点を特に明らかにいたしまして、特別区の
区域
における都の
行政
の一体的処理が可能でありますように、かような指揮監督に関する
規定
をいたした次第であります。 それから更にこの二百八十二条でございますが、この点は現在「都は、
条例
で特別区について必要な
規定
を設けることができる。」かようにな
つて
おりますのを「特別区の事務について特別区相互の間の調整上」というふうにいたしておりまするが、これも現行法と余り特に変つたと申上げるほどのことはございませんが、若干調整をいたしているわけでございます。第二項に加えました点は、これは特に
性格
の変更というほどの問題ではないと思うのであります。これは要するに、更に細かい点を申上げますと、二百八十一条の二の第三項におきまして「都知事は、その権限に属する事務の中で主として特別区の
区域
内に関するものについては、都の規則により、これを特別区の
区長
に委任して管理し及び執行させるものとする。」こういうことを入れておりますが、これは特別区の機関である特別区の
区長
に対して主として区内に関するものを委任するという
原則
でありまして、やはりこれは
性格
の変更というほどの問題ではないのでありますが、併し一体的な
関係
をここでも明らかにしているわけであります。 今
お尋ね
のございました
性格
の変更に関する点と申しますならば、
実質
的な点といたしましては二百八十一条の第四項及び二百八十一条の二の第五項、これが実は中心でございまして、かような
実質
的な
性格
の変更に関連をいたしまして、今御指摘のございましたような二百八十一条の第一項の「都に区を置き、これを特別区という。」というような表現の変更、或いは適用を準用に直すというような問題も併せて
規定
をいたしたわけでございますが、根本は今申上げました二百八十一条の四項と二百八十一条の二の五項に
性格
変更の中心をおいているわけでございます。
岡本愛祐
36
○
岡本愛祐
君 だんだん御
説明
がありましたが、二百八十一条の四項、これが主たる
根拠
にな
つて
いるようであります。私は二百八十一条の二のほうの第五項は、これは第一項の結果やはりそういうふうになるのであ
つて
、これは理由にならんと思うのです。まあ主として二百八十一条の四項にある。これは併しこれだけの
規定
でそういう重大な
性格
の変更ができるかどうか、私はまだ多大な疑いを持
つて
おります。即ちこの二百八十一条の四項によ
つて
特別地方公共団体
の中の特別区が
財産
区又は組合というものと同じような
性格
のものに、弱い公共
団体
にするのだということにまだ納得の行かない点があります。 もう
一つ
お尋ね
しますが、私は
地方自治法
によ
つて
地方
の自治の本旨に基いてこの特別区を
市町村
と同様な基礎的な
地方公共団体
にするつもりが十分に
立法
の意思の中に含まれている。それをなぜ今までそういうふうに成長せしめなかつたか、
地方自治法
で企図しているごとき本当の
基礎的地方公共団体
にこれを成長せしめなかつたか。それは都の
責任
であり、
政府
の
責任
であり、
国会
もその
一つ
の
責任
を負わなければならない点があると思うのですか、その点はどうですか。
鈴木俊一
37
○
政府委員
(
鈴木俊一
君) 御指摘のごとく
地方自治法
の
制定
当時の
考え
方とその後できました各種の
立法
との間におきましては、実際問題といたしまして乖離があるわけでございまして、その後の
立法
はしばしば従来申上げました
通り
特別区に属する
区域
を
一つ
の市とみなすと同じような
考え
方で処理している法例が非常に多いわけでございまして、これは御指摘のように
政府
が立案いたしたものもあるわけでございますし、併しそれも
国会
において御可決にな
つて
いるわけでございまして、さような
意味
では
関係
をいたしたものに
責任
があると言えば
責任
があるということでございましようが、併しながらさようなふうな発展の仕方をして来たということは、やはり特別区が
大都市
社会
を構成いたしております一部分であるわけでございまして、さような
大都市
社会
を構成している分子という
性格
から、
一般
の独立いたしました市と同じような姿で現行
地方自治法
において
取扱
つて
おりましても、それをどうも実際問題として貫いて行くことができない。それを強いて形式的に普通の市と同じように扱うということになりますと、いよいよ
大都市
行政
の一元的な運営ができなくなるという実際上の必要から、さような
立法
的な措置或いは
政府
の
行政
措置が行われて来たと思うのでございまして、今回の
改正案
におきましてはさような実際の成長の過程、推移に鑑みまして、それらの各種の特別法と
地方自治法
との間の乖離、遊離している状態を実際の
実情
に即した姿にして行きたい、それこそが
大都市
における
地方自治
の本旨というものにむしろ合致するのではないかというふうに
考え
てかような立案をいたした次第でございます。
岡本愛祐
38
○
岡本愛祐
君
只今
の御
答弁
は我々は大いに疑問とするのでありまして、例を引いて、余り適切な例ではありませんが、満州において中共
政府
とソヴエイト
政府
が条約を結んで、そうして旅順、大連を一九五二年の末までソヴィエトに使用せしめるということにな
つて
いる。それが今後どうなるかわかりませんが、とにかくまだまだ延びそうな形勢にある。それで実力でそれを延ばしておいて、そうしてどうもそう
約束
したけれども、満州というところは中共よりもむしろソヴィエトが使
つて
いるほうがいいからというので、それが又正式な条約に直されて行くというのと同じようなことになりはしないか。つまり早く中共に返して、そうして中共の円満な領土権というものをやらなければならないのであります。それをやらないでおいて、実力でそれを占拠しておいて、そうしてどうも返すことが満州の状態から鑑みて不可能であるから又手を延ばして行くというのと同じやり方である。私はこれは主として
東京
都のやり方が悪かつた。
法律
の命ずるところに
従つて
早く自治権を区に拡充せしめなければならなかつた。この間も
政府委員
から御
答弁
がありましたが、都の職員というものを区に置くことができることにな
つて
おりますけれども、それをいつまでも続けて、殆んど区の職員はない現状のままでおいておいたというようなことがあ
つたの
であります。又その他におきましても早く区にやらせる事務をやらないで都がまとめておつた。そうして口を開けど一体性を欠くからそういうことはしないのだということでありますと、
法律
の企図しているところと大変違
つて
来る。その現状を取上げて、今度
法律
で特別区の
憲法
上の
地方公共団体
である地位を奪
つて
しまおう、こういうことですから甚だ私は不可解に思うのであります。殊にこういうふうなあいまいな態勢によ
つて
そういう地位を奪うということはどうであろうかというようなことが第二問。 そうして更に近く
地方
制度
調査会というものをお置きにな
つて
、そうして超党派的に各党からの
委員
を出されて、そうして
地方
制度
のあり方について検討なさる、やかましかつた特別区の問題もそれで片付くでございましよう。実はそこへ特別区の問題も送り込んでそうして超党派的にそれを検討する。現在
地方自治法
が持たしておつたところの特別区を基礎的公共
団体
とするその方向が正しいか、或いは
行政
区にしてしまつたほうがいいのか、そういう点も検討して行くべきだと思うのであります。現に
神戸
委員会
、即ち
地方
行政
調査
委員会
議におきましても区の問題についてはよう触れなかつた、大体よう触れなか
つたの
であります。だから今こういうふうな訳のわからんと言
つて
は失礼でありますが、二百八十一条の第四項の
改正
規定
というようなもので、そういう特別区の
性格
を大変更するということは非常に適当じやないのじやないかというふうに思うのであります。私はむしろそういう意図があるならば、
地方公共団体
でなくしてしまえばいい、
財産
区、それから組合、それから特別区、これは
地方公共団体
でなくするのだ、併し準
地方公共団体
として、そうして大体何々何々の
規定
はこれに準用する、こういうふうに堂々と書かれるべきであつたと私は思うのであります。この点について
政府委員
の
意見
を聞きます。
鈴木俊一
39
○
政府委員
(
鈴木俊一
君) 第一点の特別区のその後の成長の過程において
取扱
い方が不適当な点があるという御指摘でございます。先ほど申上げましたのは、主として現行法上の
制度
についてさような発展の仕方をして来ていないということを中心に申上げたのでございますが、御指摘のように現在都におきまして更に特別区の事務の移譲というようなものを、
法律
によらずして行い得るものもあるではないか、或いは御指摘のような職員の問題などについても若干調整が可能ではないかというような
行政
措置、都の内部における
行政
措置の問題は、これは御指摘のように更に適切な措置がとれたものもあ
つたの
ではないかと思うのであります。その点をつかまえまして、
政府
としてはさような
行政
措置がうまく行
つて
ないからその現状を
立法
化しようというのではなくて、やはり現在の
法律
上の特別区に関する
制度
全体を通観いたしまして、基本法である
地方自治法
におきまして特別区の地位もかようなふうに変更するのが適当であろうということで立案いたしたのであります。 第二点の
地方
制度
調査会にこの問題をかけたらどうかというようなことでございますが、これも
政府
といたしましては
地方
制度
調査会を設置いたし、これにおきまして
地方
制度
全体の根本的な問題を検討して頂きたいという
考え
を持
つて
おりますけれども、今回
政府
といたしましては、中央の
行政
機構の改革に即応し或いは関連をいたしまして、
地方
行政
の簡素化を行う、その一番いわば中心になるものとして
地方自治法
の
改正
を企図した次第でございまして、
政府
といたしましては
行政簡素化
というような見地からかような問題の一環として
考え
ているわけでございまして、
地方
制度
調査会に持込まないで、この段階においてこれを解決するということにいたしたいと
考え
た次第でございます。 それから
一つ
の特別区につきましての将来の基本的な方向についての御
議論
、御見解でございますが、これを
行政
区のごとき姿のものにすることがどうかという点でございますが、私どもといたしましては、純理論的に問題を
考え
まするならば、
行政
区にすることも
一つ
の行き方だと
考え
ておりますけれども、併しながら
東京
の場合を特に
考え
ますれば、この区の発展、過去の沿革、歴史というものは、常に
京都
、
大阪
の区と異りまして、
実質
的な
法人
区として少くとも
財産
、
営造物
の主体であつたわけでございまして、さような点からこれを
行政
区にして区議会を廃止するということは、理論的には可能のようでございますけれども、実際の問題といたしましてはやはり円滑なる都政の運用が困難になるのではないかというふうに
考え
ているわけでございまして、さような見地からこのような特別区の長の選任につきまして都区一体の
一つ
の方式を立案いたした次第でございまして、これによ
つて
現在よりも更に実際に即した運営が行われるだろうというふうに
考え
ているわけであります。
岡本愛祐
40
○
岡本愛祐
君 二十三区と都との間の争い、つまり二十三区の自治権の拡充の要望をめぐ
つて
の都区の争いというものは数年来あ
つたの
であります。そこで一昨年都区調整協議会というものが作られまして、私どももその
委員
にな
つて
、中立
委員
にな
つて
、その調停に尽力したのであります。勿論そのときにおきまして
地方自治法
にきめられている特別区の
性質
を変えようというようなことは都側も意図していなか
つたの
であります。即ち都側におきましても
憲法
上の
地方公共団体
で区があるという前提の下にこの協議が進められたのであります。そうして先ほども触れましたが、区が基礎的な
地方公共団体
であるにもかかわらず、職員は都が握
つて
しま
つて
いる。そうして都の職員を区に配属をしているに過ぎない。このようなことではいけない、速に都側は職員を移しなさい。区の職員に移しなさい、それは
承知
しましたというので、知事初め署名捺印までしているのであります。ところがそれが一向に守られてない。又事務の相当大きなものを都から区に移すように調整したのであります。これは両方とも承諾して、そうして捺印をしております。まあそのほうは総司令部なんかのいろいろな
関係
がありましてその
通り
に行かなかつた部分もありまして、これは都側が悪かつたとも言えません。それから税も市民税を特別区民税の名の下にその徴収に任した。そういうふうにしまして都区調整協議会の調整は、一面から言うとそういうような都側の意気込がそれほどでもなか
つたの
でうまく行かなかつた点もあります。又区側といたしましても受入態勢ができなかつた点もあ
つて
それほどうまく行かなかつた。とにかく従来の特別区が持
つて
おつたものよりか多くの事務を特別区に与える、多くの権限を特別区に与える、そうして自治権を拡充して来た。それを都側も認めてお
つたの
であります。ところが突如としてこの
法律
によ
つて
そういうような成長の仕方を阻もうとすることが私にはどうしても納得できない。これか
一つ
であります。 それからこの
改正
、即ち特別区を
憲法
上の
地方公共団体
から引下げて、
憲法
上の
地方公共団体
たらしめないようにする、その目的は、
行政
の簡素化だというお話であります。これはとんでもないことだと思うのです。つまり
地方自治法
によりまして区を
市町村
と同じくした目的は、自治の本旨に基いて、
憲法
に言う自治の本旨に基いて行われたのであります。民主主義というものは、自治というものは手数がかかります。民主政治は手数がかかり、暇がかかり、金がかかるのであります。これは
承知
の前なんであります。それは前にも言いましたが、
行政簡素化
ということが民主政治、民主主義に反してはいけないのであ
つて
、飽くまで民主主義を成長せしめるために
行政簡素化
をしなければいかん。だから思い切
つて
行政簡素化
をするならば、民主主義も何もかかわらないでするならば、それは官僚独善が一番いい簡素化になります。併しそれは民主政治の
原則
に反する。だから区の、特別区のあり方というものも単なる
行政簡素化
の目的ではいけない、区が
地方自治法
に言われておるような、
規定
されておるような線において自治権を拡充してやらなければいけない。この
行政簡素化
の目的のためにや
つたの
だということは甚だ私は不可解に思うのであります。それから……、その二つにしておきます。
鈴木俊一
41
○
政府委員
(
鈴木俊一
君) 特別区と都の間の事務なり
権能
の調整につきまして都区の調整協議会を設けて、そこでいろいろ検討をして来た方向と違うではないか、かような
性格
を変更するということは
考え
ていなか
つたの
だと、こういう点でございますが、特別区につきましては、いわゆる特別市の問題と異りまして、やはり元の育ちは同じ
東京
市といいますか、さような
一つ
の地域
社会
の中のいわば構成の問題でございまして、古くからの沿革によ
つて
東京
市として発展して参りましたその
区域
を如何に処理するかという問題であるわけでございまして、これはやはり多年相互の間に問題があつたわけでございまして、この点について
神戸
委員会
におきましては、特別区に対して事務の配分を明確にする、それによ
つて
都区の間の調整を行うという
一つ
の方向を示しておりまするが、
政府
といたしましては、その事務の配分による特別区の
権能
の調整、地位の変更ということを
考え
たのでございますが、更に実際の運営の
実情
から
考え
まして、特別区において
区長
の処理いたしまする仕事の非常に多くの部分が都なり、或いは都が国から委任を受けて処理しております事務を更に委任を受けて処理しておるというのが非常に圧倒的に多いわけでございまして、さような特別区の事務処理の
実情
等から
考え
て、やはりこれは都と特別区との間において、
行政
の執行機関の面においてはいま少し一体的な形における選任が行われていいのではないかということで、事務の配分のほかに更に選任の点についてもかような案を
考え
たわけであります。これがやはり第二の問題に移りますが、ひいては
政府
が今回全体の
行政
機構改革の方針にいたしておりまする
行政簡素化
という面におきましても裨益するところが少くないと
考え
たわけでありましで、ただ先ほど
行政簡素化
という
一つ
の命題でこれを
考え
たのだというふうに取れまするように申上げた点は、
言葉
が至りませんで不適当でございましたが、要するに終戦後のこの
地方自治
制度
につきましては、各種の点においていわゆる合理的な
制度
にするという面におきまして更に再検討を要する点が少くないと思うのであります。さような問題がやはり
一つ
であるわけでございまして、簡素化というのは、合理化と申しますか、御指摘のごとく民主王主義の基本
原則
には触れない限度において
行政
の能率化なり合理化なりを図る、かような
考え
方でありまして、かような
区長
の選任方法を変更いたしましても、これはむしろそれが
大都市
自治の本旨に合致するのであるというふうに
考え
ておるわけでございまして、これによ
つて
民主主義の基本に触れる
改正
であるというふうには
考え
ていないのであります。
岡本愛祐
42
○
岡本愛祐
君 次に、そういたしますと、
区長
の公選をやめる、
区長
の公選をやめて任命制にするためにこの特別区の
性格
を変えちまつたと、こういう逆なように見えるのでありますが、この任命制がいいか、或いは
衆議院
の、間接選挙といいますか、「選任」とこうありますけれども、間接選挙の
意味
でしよう、そのほうがいいか、どちらがいいと思うのですか。
鈴木俊一
43
○
政府委員
(
鈴木俊一
君)
政府
の原案は、都知事が特別区の議会の同意を得て選ぶということでありましたが、
衆議院
の修正はそれを逆転いたしまして、特別区の議会が知事の同意を得て選ぶ、かようにいたしたわけであります。この点は形式から申しますると全く逆転をいたしたように感ぜられますが、
政府
といたしましては、特別区の
性格
が、都との間に切
つて
も切れない密接な、有機的な一体的な
関係
があるという事実からいたしまして、特別区の
区長
の選任が、特別区と都との両方の意思の合致するところに基いて選任されるということに相成りまするならば、都の
行政
の一体的処理という見地から申しますると、やはり数歩の前進であると
考え
るのであります。
政府
案におきましてはその点を、都知事が候補者を出しまして議会の同意を得るというのでございましたが、
修正案
におきましては、特別区の議会が候補者を出して知事の同意を得る、こういうことでございまして、候補者を出す地位が変りましたけれども、少くとも選任せられるべき
区長
については両方の意思が合致することは明らかであるわけでございまして、かような修正によりましても、
政府
案において当初意図いたしておりましたところは実現し得るのではないかというふうに
考え
ておるわけでございます。
岡本愛祐
44
○
岡本愛祐
君
衆議院
の
修正案
によりますと、特別区の議会が都知事の同意を得て
区長
を選任する、こういうふうにな
つたの
であります。一種のシティ・マネージャー・システムを都知事の同意を得てやるのだという、そういうふうにとれる。ところが日本の
憲法
では、
都道府県
及び
市町村
についてはいわゆるマネージャー・システムということを禁じておる。それを特別区についてだけは許そう、つまり
憲法
の
地方公共団体
にしないが、併しそれに近いものとしてや
つて
行こう、こういうふうにとれると思うのであります。そこで私どもはそういうようなマネージャー・システムというようなものは、民主化がよほどでき上
つて
からでないといかんと思う。
一般
の
住民
、日本の民主化の程度で果してうまく行くかどうか、
言葉
が悪いですが、区議会議員の寵児であるというような人がな
つて
、寵児と言えば
言葉
はいいですが、そう父みたいな人がな
つて
、いわゆる腐敗堕落を招きはしないかという心配が今の民主化の程度では十分あると思う。まあ知事の同意を得なければならんから、それは知事が防止するであろうというふうに
考え
られない点もありませんが、今の民主化の程度ではそれはなかなかむづかしいと思う。そうすると私は
衆議院
の
修正案
というものは非常に悪い修正にな
つて
しまう、そういうふうに
考え
ますが、それをどうして防止し得られるか、それを承わ
つて
おきたいと思います。
鈴木俊一
45
○
政府委員
(
鈴木俊一
君) 御論旨につきましては大いに
同感
の意を表したい点があるのでございます。ただいわゆる間接選挙だけになりまして、議会が
区長
を選挙するということになります場合と、かような都知事の同意を得て議会が選任するというような
修正案
との比較において検討いたしますれば、御心配になりますような点は、知事の同意ということによ
つて
或る程度防ぐことができ、さような悪い方向に進みますものについての若干のチエツクになり保障になるのではないかというふうに
考え
られるのであります。従いまして単純な間接
選挙制
度に比較いたしまするならば、このほうがやはりよろしいのではないかというふうに
考え
るのであります。
政府
案におきましても、知事の単独任命ではなくて、必ず特別区の議会の同意を得るわけでございますから、やはり御心配になりまするようなことが全然懸念がないとは言えないわけでございますが、併しながらこの
政府
原案によりましても
修正案
におきましても、別個の都全体の
立場
からの
考え
方が加わるわけでございますので、それによ
つて
弊害の調整ができる、是正ができるというふうに
考え
られるのでございます。
岡本愛祐
46
○
岡本愛祐
君 もう
一つ
お尋ね
しておきますが、この間も指摘しましたように
衆議院
の
改正案
によりますと、特別市の
区長
は公選である、現在の法制に基くのでありますから特別市の
区長
は公選である建前であります。然るに特別区の
区長
のほうは公選でなくて、こういうような議会の選任
制度
にするということは、
地方自治法
が日本の
地方自治
の基本法であるに鑑みて一貫性を欠くと思う。彼比権衡を失すると思うのです。その点についてどういうふうにお
考え
になりますか。
鈴木俊一
47
○
政府委員
(
鈴木俊一
君)
衆議院
の修正によりまして、特別市の
行政
区長
の公選を廃止いたしました
政府
原案が現行法
通り
に修正を受けたわけでございまして、これと今回修正されました特別区の
区長
の選任の方式とは御指摘のように確かに矛盾をいたすと思うのであります。併しながら
衆議院
の修正が将来永久の措置といたしまして、特別市の
行政
区長
というものの公選をどうしても維持すべきである、かような見地から修正が行われましたものでございまするならば全く御指摘のごとく矛盾し、一貫をしないことになるのでございますが、修正の御
趣旨
がさようなことではなく、特別市の問題につきましては一応現行法のままにしておきまして、近く設置される
地方
制度
調査会において検討をした上で処理するという建前から、今回は特別市については
行政
区の選挙管理
委員会
の問題も含めまして一切触れない建前にしておく、こういう
考え
方に出でた修正であるように拝承しておるのであります。そういうことでございますると、形式的には御指摘のごとく確かに矛盾をいたす点があるのでありますが、将来の
改正
まで一応暫定的な
考え
方で現行法のままにしておくということでございますので、
政府
といたしましてはこれに同意いたしたような次第でございます。
岡本愛祐
48
○
岡本愛祐
君 その御
答弁
によると、特別市の問題は
地方
制度
調査会で検討するからそのままにしておく、特別区だけを急いだのはどういう理由ですか。私はそれも
地方
制度
調査会でやればよいと
考え
ておるのです。
鈴木俊一
49
○
政府委員
(
鈴木俊一
君) 特別区の問題は特別市の問題と異なりまして、いわば
一つ
の
団体
の中の内部的な
権能
の調整の問題であると思うのであります。特別市の場合には現在府、県、市と全然別個の
立場
にありますが、二つの
地方
団体
を如何に合一するかというような問題でございまするが、特別区の問題につきましては、先ほど申上げましたように
東京
の都ということで
考え
ますれば、旧
東京
市の
区域
の中における問題であるわけでございまして、さような
意味
では
一つ
の
地方
団体
の中における内部的な構成をどうするかという問題であるわけであります。さような
意味
で、
政府
といたしましては特別区の問題については、この際これを解決しておきたいというふうに
考え
た次第でございます。
岡本愛祐
50
○
岡本愛祐
君 私はその御
答弁
では納得ができないのであります。特別市の問題もあの
通り
府県側と市側と非常な争いをし、運動をし合つた当面の問題であります。又特別区のほうもその
通り
でありまして、これは片一方は
地方
制度
調査会でやる、片一方は今すぐやるのだということは、どうしても平仄がとれない、又もう
一つ
には、一時的にもこの基本法というものはちぐはぐがあつちやいけないのであります。一時的にもここに統一のあるものにな
つて
いなければ基本法というものはいけないのでありまして、何もこういうことをするならば、
政府
の原案
通り
特別市の
区長
はやはり公選によらないで市長の任命制にするのだというふうに当然すべきであると、こういうように
考え
るのであります。要するに、私は
政府
が正面切
つて
特別区の
性質
を変えるのだというふうに、多少は
国務大臣
の
提案理由
の
説明
にも触れておられます。触れておられますけれども、これを正直に主張されないで、何かこう我々に暗い陰を与えたということを非常に遺憾とすると共に、とにかく特別市と列んで特別区の問題は非常な大問題なのでありますから、これを
地方
制度
調査会に送り込んで、そうして超党派的に再検討すべきであると、こういうふうに思うのであります。じや私はこのくらいにしておきまして……。
中田吉雄
51
○
中田吉雄
君
只今
の
岡本
委員
の質問に関連して。特別市の
区長
は公選制であ
つて
、それをどうするかということはやがてできますであろう
地方
制度
調査会に譲りながら、これは譲らなんだ、譲らずに間接選挙に持
つて
行かれたというのは私は次のようなことが
立法
上の過程にあ
つたの
ではないか。消息通が伝えていますので、その真偽について
岡野国務大臣
に
お尋ね
いたしたいと思うのです。 この
区長
の間接選挙或いは任命制というようなことについては、良心的な事務当局は非常に消極的であつた、ところが
岡野国務大臣
は高等学校で安井知事と同窓であ
つて
、その切なる懇請によ
つて
これだけ持
つて
来た、これが実際このように
なつ
た
一つ
の経緯であるということを消息通は伝えておるわけでありますが、一体そういうことがあ
つたの
ですか、お伺いいたしたいと思います。
岡野清豪
52
○
国務大臣
(
岡野清豪
君) その点につきましては私は初めてそういうことを伺うのですから……。一応私の
考え
を申上げたいと思いますが、もともと
地方自治法
の
改正
というものに対しては非常に大きな構想を持
つて
我々としては臨んでおつたわけでございまして、それにはもう少し大きな
制度
の
改正
までも
考え
ておつた次第でございます。併しながらいろいろ
考え
て見まするというと、一気にそこまで行けない。殊にこの
法案
が出まするときにはまだ
関係
方面もお
つて
、そうしてそのOKを取らなければならんというような情勢にありまして、切りきざみまして、この最終案が出たわけであります。そうして私は成るほど、安井君とは同窓ではございません。ただ私が古いときに兵庫県に日本銀行の支店長をしておりましたときに、安井君が当時県の何か官僚であつたらしい、そのときに知
つて
おる次第でございまして、その後は県人会なんかがございますから、名前はよく知
つて
おりますけれども、安井君とそう懇意に話をしたことはないわけであります。それから今度の
自治法
が出ますにつきましても、これがいよいよ成案ができまして議会に
提出
した後に、安井君から私のところへ、これは都として非常に望んでおることなんだから、どうか
一つ
いい案ができましたらよろしくお願いしますというようなことを、総理官邸へ出て来て、そして私に挨拶をした。でございますから、この
法案
ができるまでの間に私は安井君と何らそういうような話をしたこともございませんし、又これに関して安井君の希望を入れて案を練るというようなことはしたことはございません。殊に私は公人として出所進退を明らかにしておりますから、そういう誤解がありますならば、
一つ
あなたの口から御弁明を願いたいと存じます。
中田吉雄
53
○
中田吉雄
君 私は
岡野大臣
のために弁明はしませんが、わかりました。 次に
お尋ね
いたしますが、
只今
岡野大臣
は非常な大きな構想を持
つて
、情熱を傾けて
地方
制度
の大改革をやりたい、併し占領下でもあるしなかなか思うようにならんので、なしくずしに小刻みにやつた、そういたしますと
区長
の直接選挙という一角は崩れたのですが、これはやがて
都道府県
の知事へまで発展する
一つ
の敷石ではないか、その点を
一つ
。そういう大きな全体の計画を抱いておられまして、氷山の一角として
ちよ
つぴり顔を出しておるようなことにな
つて
おるのではないか、我々はそういうふうになる虞れが非常にあるのではないかということを懸念することが、この
憲法違反
の容疑の問題と共に非常に心配するわけです。その点についてお伺いいたしたい。
岡野清豪
54
○
国務大臣
(
岡野清豪
君) 私といたしましては、
地方
制度
そのものを根本的に再検討しなければならんと申しますことは、御
承知
の
通り
に私過去二カ年間
地方
財政を担当しておるのでございますが、併し御
承知
の
通り
に平衡交付金という
制度
がありまして、而も平衡交付金につきましては
地方
財政
委員会
という、
政府
にして
政府
にあらず、又独立機関にして又何か
政府
と
関係
があると、こういうような機関が全権を握
つて
そうしてや
つて
おる。その間に立ちましてなかなか物事がしにくい、又
責任
がとりにくい、こういうようなことがございますものですから平衡交付金法並びに
地方税法
と国税との調整というような
意味
において大きな構想を持
つて
いたわけです。今大きな構想を持
つて
おる。それなら知事の公選を
考え
て、その氷山の一角として
区長任命制
が出ておるのじやないか、こういう御疑念でございましようけれども、それは毛頭ないことでございまして、無論私の構想の中には今の府県というもののあり方、
市町村
というもののあり方、これを概括的に再検討してみたいという
考え
は持
つて
おりますけれども、知事の公選を廃止するとかということは毛頭
考え
ておりませんし、同時にその先触れであ
つて
この
区長
の任命制をしたということは、これは私として毛頭そういう
考え
を持
つて
していなかつた、そういう
考え
ではないということをはつきり申上げます。
中田吉雄
55
○
中田吉雄
君 私は
岡野大臣
が二年余に亘りまして、派手ではない、
地方自治
のために努力されておる点では蔭ながら深く敬意を表しておるものであります。併し私は
新聞
に伝えられておるところと、
只今
岡野大臣
の言われたのと非常に違
つて
おるわけなんで、そこで改めて
お尋ね
いたしますが、四月二十四日附の朝日
新聞
には、
岡野国務大臣
は四月二十一日に大磯の私邸に吉田総理を訪ね、次の総選挙終了後に府県
制度
改革を行うことについて了解を得た。近く自治庁は具体案の検討を始めることに
なつ
たが、
岡野国務大臣
が吉田総理から了解を得たことは、
地方自治
体は
市町村
のみを単位として、それを自治
行政
の中心として、府県は
政府
の機関として、やはり知事を任命制に持
つて
行くということが、四月二十四日の朝日
新聞
にはつきり出ておる。これは私はたくさん
新聞
記事
を切り抜いておりますが、単にこれだけではなしにたくさんの
新聞
にはつきり出ておるわけであります。これは一体どうなんでありましようか、事情によ
つて
は吉田総理と
岡野国務大臣
とを同時においで願
つて
、
一つ
はつきり対決してもら
つて
おかんとこれは非常に大きな問題なんです。私たちはあとでも御質問いたしたいと思いますが、新情勢に伴
つて
いろいろな改革をやるということがありまして、新情勢をどう理解されるかということを
お尋ね
いたしたいと思うのですが、私はやはりこういう計画は必ずしも巷間の流説や誤つた
新聞
報道ではないのじやないかというふうに
考え
て深く憂慮するのですが、四月二十一日に大磯に参られまして、そういうことを吉田総理と了解を得られたというふうにな
つて
おるが、この事の真相をお伺いしたい。
岡野清豪
56
○
国務大臣
(
岡野清豪
君) これは御
承知
の
通り
に先ほども申上げましたように
区長
の任命制と関連のないことは事実、現にこの
法案
と申しますものはすでに三月中旬頃に成案を得ておる次第でございます。そうしてこれを
提案
しましたのが、たしか四月の二十二、三日頃と思
つて
おります。この
法案
というのは、その吉田総理との話合いというものは、この
法律
がもうすつかりでき上
つて
しまつた後のことであるから、関連がないということだけは御了承願いたい。と同時に吉田総理に四月二十百に会いましたのは、いろいろ所管事項につきまして報告やら
意見
の交換なんかをしなければなりませんものですから行つたわけでございますが、併しそのうちに雑談としまして、
地方
制度
というものは実は被占領下にできたので、そうしてなかなか立派な
制度
ではあるが、併し私の経験するところによれば、
地方自治
に対するいろいろな
法律
というものがばらばらにできておる、総合的にできていない、又時期を異にして出ておる、そういう
意味
におきましてどうも自分
自身
が過去二カ年間
取扱
つて
来たところによれば、これはやはりもう少し総合調整をした自治
行政
並びに財政
制度
に直して行かなければならんと、こういうことの話合いをしておりますとき、たまたま府県というものが一体日本には少したくさんあり過ぎるのじやないかと、こういうような吉田総理の話があつたわけです。と申しますことは、まあアメリカの一州の中へ放り込んでもすぽんと入
つて
しま
つて
、まだアメリカの州に余分が出て来るというほどの地域の狭い国である。ですからそういうようなところにたくさんの府県があ
つて
、そうして殊に
ちよ
つと自動車で十分か十五分行けばもうすぐ
行政
区が違
つて
そして
取扱
いが違う、こういうようなことでは、この交通の発達し、同時に経済情勢の非常に密接な
関係
ができている時代においてはどうもうまく
地方
行政
が行かないのじやないか、こういうような話から府県を合併してみたらどうか、こういうような話も出たり、合併するならば、もともと道州制というようなことの
議論
が世間にあつた、それなら
一つ
道州制というものはどんなものだろうかということで、いろいろ府県というものが少くとも数が多過ぎるから
地方
の
住民
が非常に困
つて
いるのじやないか、これは検討すべきことじやないかということで、結局府県
制度
のあり方というものを何とか
考え
てみようじやないかと、それなら
一つ
地方
制度
調査会というものがありますから、それに対して適当に
一つ
諮問して、そしてこれを研究してみましよう、こういうことで話は済んでおるわけでして、何ら深い大きな構想を持
つて
そういうことを
考え
たのじやなくして、雑談でや
つたの
でございます。そこで私が大磯へ行つたから何か話があつただろうとか、ないだろうとかいうことで、
新聞
記者と会見しましたときにそういうようなことがあつたことをお話しましたら、これは
新聞
記者が非常に頭がいいものですから、
中田
さんの頭のいいと同じように……(笑声)いろいろ想像してとにかく書いたものだと思われます。併しこれを取消すほどのことでもないと思いましてそのままにしておりますけれども、少くとも
地方
制度
調査会というものができました以上は、私は先ほど申上げましたように、どうも私の
考え
といたしましては明治二十二年頃にできた
市町村
、
都道府県
の
区域
というものが、幾度
地方
制度
の
改正
がありましても、市制とか町村制とか何とかいうものにつきましても従前の
区域
による、従前の
区域
によるということにな
つて
おります。まあ駕籠とは申しませんが、人力車の時代、即ち人力車を標準としたくらいな経済情勢であつた日本においてできたところの
地方公共団体
の
区域
というものが、飛行機でとにかくここから福岡まで何時間かかかれば行けるというように発達した今日の文明の情勢に応じては、
市町村
並びに
都道府県
の
区域
というものは再検討を要するものじやないかということは私信念として持
つて
おります。でございますから、根本的にこれは
地方
制度
調査会にかけてそして研究しなければならん、こういうことが結局総理と私との間の話合いの結果でございます。
中田吉雄
57
○
中田吉雄
君 そういたしますと、はつきりとは申されなんだのですが、改めて確認しておきたいと思いますが、それは
岡野大臣
が吉田総理から了解を得られた点は、
地方自治
体は
市町村
のみとし、これを
地方
行政
の中心とする。第二番目には、
都道府県
庁は国の出先機関としてその長は
政府
が任命するものとする。三番目は、全国を八つのブロック程度に分け、各ブロックごとに国の総合
行政
機関を置き、これまでの各省の出先機関はこれを統合するというようなことが話合いとしてついて、そういう基本的な
立場
から
地方
制度
調査会に諮問されようということに了解がついたというふうに理解していいですか。
岡野清豪
58
○
国務大臣
(
岡野清豪
君) それについては先ほど申上げました程度の話合いか総理とはしておりません。そこで
新聞
記者が集まりまして、私に対していろいろの質問をいたしました。そのときに、それじやお前は総理と
意見
が一致したのならどういうふうにして行くのだということでいろいろ質問しました。でございますから、それは総理との話合いでは何らそういうことはしていない、それじやどういうふうに
考え
られるか、こういうことを
新聞
記者あたりが質問しますから、その点につきましては、
考え
方としては幾らでもある、道州制を作ることも
一つ
の方法だろうし、それから府県を二つ三つ合せて、そうして四十六県を十四、五県にするという
考え
方もあろう、若しくは府県というものを全く国の出先機関にして、そうして
市町村
というものに重点をおいて、そうしてや
つて
行くのも
一つ
の
考え
方であろう、併しそんなことは挙げて
地方
制度
調査会に検討を任す
意味
である。それだから我々としては、
考え
方としてはあなたがたの御質問の
通り
にいろいろあるだろうと思うけれども、何ら決定した
意見
ではない。ただ
考え
方を聞かれれば、
考え
方としては、十分自治庁において検討し、成案を得たものを
地方
制度
調査会にかけるのだと、こう話したことがそういうように伝えられておるわけであります。
中田吉雄
59
○
中田吉雄
君 そうしますと、やつぱり
地方
制度
調査会で
審議
をするのですが、成案を作る方向としてはやはりそういう方向なんですか。
岡野清豪
60
○
国務大臣
(
岡野清豪
君) 方向としてはそこまで行
つて
おりません。
考え
方が幾らでも
考え
られるということを二つ三つ挙げたことを、これが
岡野
の根本的な観念であろうということで書いたものであろうと私は想像いたしております。
中田吉雄
61
○
中田吉雄
君 それではその問題は打切りまして、
鈴木
次長に
お尋ね
いたしますが、長い間
地方
制度
の問題に携わ
つて
おられて、この新らしい
自治法
の底に流れている基本的な理念、そういうものを古い府県制、
市町村
制、そういうものと比べてどこがその基本的な線であ
つて
、そしてそれはどういう点で守られねばならんか、どういう点で新らしい情勢にマッチせねばならんか、とにかく古い
地方
制度
の欠点を根本的に除去するという
意味
で私はこれが作られていると思うのですが、そういう観念を以ていろいろこの尺度で照らして
改正法案
を見ることが必要だと思うのですが、とにかくこの新
自治法
の底を流れている基本的な
立法
精神と言いますか、そういうものをどういうふうにして理解されているか、お伺いしたい。
鈴木俊一
62
○
政府委員
(
鈴木俊一
君) 大変むずかしい
お尋ね
でございまするが、
地方自治法
の基本的な
考え
方、これはまあ
憲法
にありまする
言葉
で申せば、
地方自治
の本旨に合致する
制度
であることがまあ基本であると思うのでありまするが、ただ先ほど大臣からもお話がございましたように、終戦後の
地方自治
制度
というものは
一つ
の非常に明確な方針に基いて立案せられたと申しまするよりも、古い思想と新らしい
憲法
に基きまする
考え
方との妥協と言いますか、さような面が相当に残
つて
おるのであります。でその
改正
のときのいろいろの事情から、今日それが集積いたしまして現行法のような
地方自治法
にな
つて
おりまするけれども、数回の大
改正
を経て今日のような形にな
つて
おるのであります。勿論根本の
考え
方には
住民自治
の本旨ということでありまするから、
住民自治
というのが基本でありまするけれども、その
住民自治
の表現の方法として、自治組織上如何ようにこれを具体化するかということはやはりいろいろな行き方があろうと思うのであります。
地方自治法
におきましてはいわゆる従来全然認められておりませんでした直接民主主義と申しますか、さような
考え
方からの各種のいわゆる直接請求の方式が認められて来ているという点がやつぱり一番大きな従来の方式に対する大変革であろうと思います。要するに上からの自治というよりも下からの自治ということに変つたという点が一番基本であろうと思います。併しながら同じ日本の国の中にありまするところの
地方公共団体
であり、国法を基礎に成立している
地方公共団体
であるわけでありまして、中央の
政府
と
地方公共団体
とが全く相対立した、
一つ
が他を動かすことができないというような、さような
意味
の、何と言いますか、絶対相対立の姿において
地方自治
というものがあるということは、これはもう国家の施政の根本から申して適当でないと思うのであります。ところが従来の、従来と言いますか、現在の
地方自治法
の中におきましては、或る面では非常に強く……、
地方自治
と申しまするよりも、現在の
地方自治
に関する全体の
制度
を通じてでございますが、或る面では非常に中央の
政府
の力が強く出ているかと思うと、他の面では非常に中央と
地方
との
関係
を隔絶した姿に置いている。
地方自治法
と他の各種の特別法との関連において見ますると、いずれかと申しますると、さような中央、
地方
の
関係
が隔絶するような姿にな
つて
いる面が相当に多いのであります。これに反してそれぞれの特別法におきましては、非常に強く中央の大臣の指揮監督権或いは許可、認可といつたような、いわゆる権力的な関与の方式が非常に強くとられているのであります。これらはやはり全体を通じて従来のような指揮監督、権力的な
関係
の方式でなくて、やはりあらゆる
地方
団体
が共同的な
立場
に立
つて
相互に全体の
行政
の水準を引上げて行くような形において協力し合わなければならんと思うのであります。そういう新らしい
関係
に立つた中央と
地方
との
関係
というものは、隔絶した姿ではなくて、もつと密接な
関係
にな
つて
然るべきだと思うのであります。まあさような形において今回の
地方自治法
は、国と
地方
団体
とのあり方について若干の
改正
を加えているものであります。
中田吉雄
63
○
中田吉雄
君
只今
古い自治
制度
との大きな差の
一つ
として、上からの自治よりか下からの自治ということを言われたのですが、これは極めて基本的なまあいろいろな改革がなされおりますが、やはり古い自治
制度
の基本的なものは、やはり強力な中央集権を基調としました官僚的な拘束と言いますか、統制をや
つて
行くということと、自治性が非常に稀薄であつたというようなことが、まあいろいろな現象形体を捉えて見て、要約しますとそういうふうな点に、中央集権から
地方
分権に、まあ自治制の強化というようなことが新らしく
自治法
を流れている基本的な
立場
だと思うのですが、私は今回
改正
されつつある、
政府
が計画されましたものは、全くこういうものをなし崩しに古い自治
制度
に持
つて
行くような、これは非常に、我々がこの
国会
を三、四回や
つて
しまえば、殆んどなし崩し的に古い自治
制度
に復活する虞れが極めて多いと思うわけであります。例えば
衆議院
のほうで修正はされましたが、定例会を通常会に改めて年一回にする、議員の定数を少くして、議長を任命し、副知事、助役の任命を任意制にするというような、いろいろな出ております個々のものをずつと集大成してみますると、そうして総理大臣のいろいろな権限の強化というようなものを見ますると、やはりこれらを全体的に集約しますると、曾
つて
の中央集権的な官僚的な拘束の古い
制度
を復活し、非常に自治政治を弱めて行くのではないか、これは我々が非常に多くの犠牲を払
つて
戦後から得たところの
自治法
であるわけであります。私はそういう点で
地方
制度
調査会等で根本的に研究して、一遍にこう諮られますといいわけでありますが、なし崩しにやられると、いつとはなしにやられて、もう五、六回
国会
を過ぎてみると、殆んど往年のものに変らないというようなことにな
つて
行くという憂いが非常に大ではないかというふうに
考え
まして憂慮するわけでありますが、あとでも御質問いたしますが、自治庁の設置
法案
等を見ましても、殆んど占い
制度
に、旧内務省のような形に一歩々々近寄
つて
行くというふうに
考え
るわけでありますが、そういうことはないものでしようか。
鈴木俊一
64
○
政府委員
(
鈴木俊一
君) この中央集権に対しまして
地方
分権という
考え
方でございますが、これは先ほど上からの自治、下からの自治というようなことで申したこととまあ同じ内容の表現であると思いますが、中央集権というものは、中央集権であるが故に一概にいけない、或いは
地方
分権というものは
地方
分権であるが故に一概によろしい、こういうような簡単な建て方では私どもは
考え
られないと思うのであります。従来の権力的な関与方式、即ち旧
地方
制度
時代におきましては、権力的な中央集権の建前であ
つたの
でございまして、これが終戦後の諸改革によ
つて
徹底的な
一つ
の
地方
分権の方式に切り替つた。これはやはりそういうふうに切り替つたことの
意味
は十分あつたと思うのでございますが、併しいやしくも
一つ
の国家として、或いは福祉国家、文化国家として全体の文化水準を引上げて行く、生活の水準を引上げて行くという国家でありまする以上は、これはやはり
地方公共団体
に任されておりまする各種の
行政
事務の水準というものも、その
地方
団体
だけの
責任
でなく、国全体の
責任
としてこれを引上げて行く、こういう建て方に持
つて
行かなければいかんと思うのであります。言い換えれば国と
地方公共団体
とが一緒にな
つて
全体の
行政
水準を、
地方自治
の水準を引上げて行く、こういうことであ
つて
いいと思うのであります。それをただ権力的な指揮監督とか、取消とか、許可、認可とかいつたような、そういう方式で中央
地方
の関与を行いますることは、これは特殊な問題については止むを得ないといたしましても、
一般
的にはこれを強く排除すべきものであろうと思いまするが、併し中央
政府
といたしましては、
地方
の
行政
についての各種の報告、情報の収集というようなことによ
つて
、
一つ
の新らしい
行政
運営の
考え
方、処理の仕方というものの探求をいたし、それを又更に
地方
に流して行きまして、そうして一カ所において
考え
られた非常にいい方式をできるだけ広く拡げて行き、そうして全体の水準を高めて行くというような
意味
の、何と申しますか、非権力的な中央集権、まあ知識的な中央集権、こういうような方式にこれからの国家といたしましてはどうしてもこれを
考え
て行かなければならんのじやないかというふうに
考え
るのでありまして、さような
意味
のいわゆる共同的な
一つ
の中央
地方
の相通ずる姿というものは、これは
神戸
勧告の中にもその
考え
方というものは明らかに現われている。今回の
改正案
は更に
地方
制度
調査会にかけてやつたらどうかというようなお話でございましたけれども、これはやはり
地方
行政
調査
委員会
議が、あの専門家の人達が集まられまして、二年間に亘
つて
研究をした結論を大体取入れて立案をしておるわけでございまして、これを更に
地方
制度
調査会にかけるという必要は私どもはないと
考え
ておるわけであります。
中田吉雄
65
○
中田吉雄
君
地方
分権を強く主張いたします私といたしましても、
社会
の進化につれて
法律
、
行政
に、或る
意味
の中央統制というような必要も認め、中央集権と
地方
分権との適度な調和ということの必要も認め、
鈴木
次長が今申されたように知的な集権はや
つて
も、権力的な分散をやるというミルの
立場
というようなことも理解するわけでありますが、併しこの中にいろいろ計画されているものはやはり知的な中央集権ではなしに権力的な中央集権のようなことにやはりずつと、私は
一つ
々々まあ明日でも時間が与えられますなら、私はそういうふうな知的な中央集権でなしに、権力的な中央集権になりつつあるということを随所に事例を挙げて指摘できるような
改正
があるわけであります。この点は我々としてはやはり
地方
分権と中央集権との調整の際には深く留意しなくてはならんと思うわけであります。大臣の
提案理由
の
説明
におきましても、我が国の民主主義はまだ漸くその基礎が確立したばかりで、
地方自治
のよ
つて
立つ基盤も未だ甚だ脆弱であることは率直に認めざるを得ないというような点からいたしましても、私は若干の能率上の問題はあ
つて
な、
地方
住民
がこの
地方
制度
に習熟するまでは、やはりトレーニングの
意味
においても、私は現在
改正
されている
立場
は、未だ習熟しない現在の段階においては多くの危険性を含んでいるものじやないかというふうに
考え
るわけであります。 その次に
岡野国務大臣
にお伺いいたしますが、これは自治庁設置
法案
に関連するのですが、
地方
財政
委員会
を議決機関から諮問機関にするということが、私はこれも
一つ
の大きな権力的な統制の、そして政党政治が必要以上にこの
地方自治
体に入
つて
、正常な
地方
政治のルールを破壊するものじやないかということを非常に心配し、時の
政府
に附かんと平衡交付金がもらえんのだというようなことによ
つて
、脆弱な
地方自治
体の批判精神を緩めて行くような心配が非常にあるではないか。これは権力的な統制の
一つ
である。そして政党政治の弊害を必要以上に
地方公共団体
に持込んで混乱させるものではないかというふうに
考え
るわけでありますが、そういう虞れはないものでしようか。
岡野清豪
66
○
国務大臣
(
岡野清豪
君) お
答え
申上げます。私は平衡交付金の
制度
もやはりこの次には相当に
改正
をするような方向に持
つて
行きたいと
考え
ております。が併し
只今
の場合におきましても、平衡交付金が悪意によ
つて
自由自在に分けられるというような
制度
には実はな
つて
おりませんで、厳格なる基準と又規則によりまして、そして公平に分けられるようなこれは法の精神ができておりますし、又法文もできておる次第でございます。 それからもう
一つ
私が
考え
なければならんことは、私は平衡交付金というものの
制度
によりますというと、
地方
の財政需要額というものとそれから財政収入というものがとにかく出まして、その差引によりまして、足りないところを国家財政のほうから
地方
に穴埋めをしてこれを使
つて
もらう、こういうことになりますが、併し私
自身
の信念から申しますというと、平衡交付金の財源はどこから持
つて
来るかと申しますれば、やはりこれは天から降つたり地から湧くものじやなくて、国民諸君の、まあ悪口をよく言われれば血税であるとか苛斂誅求であるとか言
つて
、税の非常に高いとか安いとか専ら問題にな
つて
います。本当に国民が苦しい思いをして納税されておるそのお金というものを、取るのは
政府
の
責任
で取
つて
おります。併しながらこれが
地方
財政
委員会
というものに、即ち
政府
の
責任
がとれないものに任しておくということは私はどうかと
考え
る。と申しますことは、成るほど規則によ
つて
そういうふうに
地方
に分けられるものではございますけれども、これに対しては慎重なる態度を持
つて
、
責任
を持
つて
納税者が国家に納めた金が最も有効に使われておるということをどこまでも
責任
をと
つて
分配すると、こういうような
制度
になるべきものだと私は
考え
ております。そういう
意味
におきまして、
只今
のごとく財政
委員会
が
政府
から独立したものであると、その財政
委員会
が誤ちはなかろうと思いますけれども、又非常な詳しい規則によ
つて
公平には分けておるだろうと思いますけれども、それを第三者に任して置くということは、徴税をする
責任
を持
つて
おるところの
政府
が片手落ちのような感じがしまして、その
意味
にお、きましては、根本論といたしまして、税を徴収するところの
責任
を持つ
政府
が又納税者に
責任
を持
つて
、そして公平妥当、而も最も有効に使われるようにすべきものだと、こう
考え
ておる次第でございます。そういう
意味
におきまして私は財政
委員会
というものはやはり
政府
が
責任
を持
つて
これを
取扱
うへきものである。同時に公平、即ち先ほども
仰せ
になりましたような政党の弊、即ち或る
一つ
の政党が自分
自身
の私利私慾のために国政を紊るというようなことがないために、特に自治庁には財政
審議
会というものを置きまして、その
審議
会の
委員
は、
地方公共団体
が推薦しますところの
委員
に過半数を占めさせまして、そうして公平妥当なる
意見
を自治庁長官にこれを与えると、こういうことにしてございますから、その
意味
によ
つて
もチエツクすることもできます。又同時に我々といたしまして国政を担当いたしております以上は、たとえそれが自由自在にできるといたしましても、これは道義的観念から行きましても、又政治
責任
から行きましても、無闇やたらに勝手な不公正な政治をするということはできないはずだと、若しそういうことをすれば、その人個人は十分世間から指弾されますし、又
内閣
一体といたしまして、
責任
を
国会
なり国民に対してとらなければならないような
責任
政治をと
つて
おる今日の
行政
機構といたしましては、財政
委員会
はむしろ自治庁の中に入れたほうがいいと思います。 それからもう
一つ
申上げたいことは、この財政
委員会
の
只今
のあり方といたしまするのは、丁度財政
委員会
が
政府
から独立してお
つて
、そしてその自分
自身
の
意見
を強行するために
内閣
並びに
内閣
を通じて
国会
に
意見
をぶつつけて、そして
国会
に裁断をさせると、即ち二重に行くという方向にな
つて
おりますが、これは今後は政党政治の
立場
から行きまして、
内閣
というものは大体において多数党がこれを組織すると、そうして多数党というものは結局又
国会
の意思であります。多数党の意思を代表するのが
内閣
であり、又その
内閣
を出しておるところの政党は多数党であるから、その多数党の意思というものは
国会
の意思である。
国会
は多数党を以て結成されるという
意味
でございますから、まあ私
自身
といたしましてはいろいろの方面から
考え
まして、この財政
委員会
というものは自治庁に入れたほうが平衡交付金をたくさん予算の中から取るというのに工合がいい。と申しますことは、
内閣
から独立の
立場
を以て勧告権だけを持
つて
やりますけれども、勧告しても
内閣
はその
国会
に多数を持
つて
おりますものですから、それとは喧嘩になりません。でございますから今の財政
委員会
の武器としまして、
国会
に裁断させるというようなことは、実際は理論的にはいいかも知れませんが、実効が上
つて
いないことは今まで御
承知
の
通り
でございますが、私
自身
は若し今後自治庁設置法ができますように、私
自身
が仮に自治庁長官といたしますならば、今迄のように財政
委員会
の言うことを尊重して、そうして閣議にこれを持込んで予算の決定をするというよりは、自分
自身
の
責任
において閣内において発言をすることのほうが、よほど強力に平衡交付金を確保する
意味
において役に立つだろう、こういうようなことから、いろいろの点から財政
委員会
というものを財政
審議
会に変えて、そして自治庁内部に設置するという方向に来たわけでございます。
中田吉雄
67
○
中田吉雄
君 いろいろこれに関連しても御質問したいと思いますが、もう遅いようですから明日いたします。
西郷吉之助
68
○
委員長
(
西郷吉之助
君) 本日はこの程度にいたしまするが、明日は午前十時から
質疑
を続行いたしまして、終了次第採決をして参りたい、かように
考え
ております。 本日はこれにて散会いたします。 午後五時十二分散会