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1952-06-13 第13回国会 参議院 地方行政委員会 第51号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年六月十三日(金曜日)    午後二時十八分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     西郷吉之助君    理事            堀  末治君            中田 吉雄君    委員            岩沢 忠恭君            石村 幸作君            高橋進太郎君            岡本 愛祐君            館  哲二君            吉川末次郎君   国務大臣    国 務 大 臣 岡野 清豪君   政府委員    地方自治庁次長 鈴木 俊一君    地方自治庁行政    課長      長野 士郎君   事務局側    常任委員会専門    員       福永与一郎君    常任委員会専門    員       武井 群嗣君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○地方自治法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○参考人の出頭に関する件   —————————————
  2. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) それでは只今より委員会を開会いたします。  本日は昨日に引続きまして自治法質疑を継続して参りまするが、昨日は第二百八十一条の二までやりましたが、この条文は重要な条文でございますから、昨日に引続いて御質疑があれば二百八十一条の二からお願いいたします。  なお、条文が二百八十一条の二から極く僅か残つておりますから、その八十四頁の別表第一のところまで全部を範囲にして御質疑を願います。
  3. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 二百八十一条につきまして、区の性質並びに政府原案及び衆議院修正案憲法違反になりはしないかというので、昨日質疑応答をいたしたのであります。で月曜日に行政法並びに憲法の権威のある人に参考人に来て頂きまして、この問題をなお究明いたしたいと思います。それでこの問題は今日は触れないでおきたいと思うのであります。ただ二百八十一条の政府修正によりまして、区の事務として明記されたもの、どういう標準でこれらを区の事務とし、それから然らざるものを都に残したか、どういう標準であるかということをお尋ねしておきたいと思います。
  4. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 二百八十一条に掲げられておりまする特別区の事務でございますが、これらにつきましては、過般の神戸委員会勧告の線を中心にいたしまして、全体の都としての統一的な処理、一元的な処理というものを必要としないようなものについてはできるだけ区に委譲する。言い換えれば主として当該特別区の区域内の住民福祉以外に主として関係をするような、さような事務は、これをできるだけ区に委譲する、かような考え方で含みを持たしたのでございますが、併しながら都市行政全体といたしまして、都として一元的な、一体的な統一を図る、こういう点は大都市行政能率化というような見地から大都市の実態に即する上においてどうしても必要であると考えられますので、従つて原則としてはこの第四項にございますように、一般府県等におきまして市が処理しなければならぬ事務は都がこれを処理する、かような基本のやり方をやつておるわけでありまして、さような中で特に今の特別区以外に住民福祉関係をいたしますものを特に第二項に列挙した次第でございます。
  5. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 二十三区と東京都の間の事務分配につきまして、三、四年前からいろいろと紛議が起りまして、一昨年それが妥結に達し、両者の間に事務分配を大体協定いたしたのであります。それが十分にこの中に採入れられてあるかどうか、そういうことは考慮しなかつたのかどうか、それについて伺います。
  6. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 只今都区調整のために設けられました岡本さんなど委員になつておられました都区調整協議会審議の結果、都から区に委譲することを適当と認められました事務につきましては、これは地方行政調査委員会議におきましても、絶えず経緯、結論というものを十分審議いたしまして、委譲につきましての勧告案を用意したわけでございまして、私どもといたしましては都区調整協議会結論並びに地方行政調査委員会議勧告、両方を十分斟酌いたしまして、かような案を用意いたした次第であります。
  7. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 この清掃事業につきまして、公共の便所を設置し、及びこれを管理するというのが第六号に出ておりますが、清掃事業は都に残した。都区調整協議会におきましては、自分自分の区で処理できる清掃はその区がやつたらよかろうというふうに考えておつたと思うのでありますが、これは都に残しておいたほうがいいとお思いになりましたその根拠を伺いたい。
  8. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) この案におきましては、いわゆる通路の清掃事業はこの第五号におきまして特別区の事務にいたしておりまするが、清掃事務はやはり特別区の区域だけで処置をするということは困難でございまして、或いは海中にこれを抛棄いたし、或いは二十三区外の特定地帯に持つて行つて処理をする。或いは塵埃の焼却等にいたしましても、全体のものを統一的に処理をするほうが経済的に便宜だ。さような見地からこれはどうしても処理上一元的に行うほうが適当である、かように考えてたので委譲いたさない建前にいたしたわけでございます。
  9. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 現在区のやつておる事務で、この規定が出た結果区がやれなくなつた事務というものがあるかどうか。あればどういう事務であるか、それをお尋ねしたい。
  10. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 区の現在処理いたしておりますものを区から引上げて都に移す、さようなことは今までのところでは含んでおらないのであります。
  11. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 都と区と協定をして、市民税に当るものを区で徴収することとしまして、特別区民税というものを都で徴収しないで各区で徴収しておるのであります。そのなかから一部都のほうに、吸上げと言つておりますが、吸上げられるものもあります。併し区が徴収しておつて区の収入になる建前であります。それはこの九号に当るのかどうか。
  12. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) ここで書いておりまするのは「前各号に掲げるものを除く外、都の処理していない公共事務及び法律若しくはこれに基く政令又は第三項の規定による都の条例により特別区に属する事務」ということでございまして、法律に基いて特別区に属する事務ということになると思うのであります。言い換えれば地方税法に基きまして、都の条例によつて特別区が特別区民税として都民所得割りに関する部面を徴収する、かようになつておるわけでございまして、この規定との関連から申しますならば九号の、法律により特別区に属する事務というふうになつておるのです。
  13. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 この地方税法には特別区民税というものはないのです。市民税になつておりまして、それを特別区民税という名前は都の条例で出て来るのではないかと思うのです。
  14. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 特別区民税というものを、いわゆる市民税市町村民税を都が取ります場合には、これを都民税と言い、都の条例によつて特別区が取ります場合にはこれを特別区民税というふうに地方税法のなかにこれは規定をいたしてございまして、ただ特別区に徴収せしめるかどうかということは、都条例できめるというふうになつておるわけでございます。
  15. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 なお承わりたいのは二百八十一条の第二項に、「左に掲げる公共事務及び行政事務」、こういうふうに書き分けてあります。どういうものを公共事務と言い、どういうものを行政事務と言うのか。又この各号の中でどれどれが公共事務でどれが行政事務であるか、それをお尋ねしておきたいと思います。
  16. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 公共事務、いわゆる俗に固有事務と言いますものと、いわゆる行政事務と言いますもの、これは分界線になりますると岡本委員承知のごとくなかなかいずれがいずれに属するかということはむずかしいものがございまして、まあ傾向として特色の顕著なるものはこれが公共事務である、これが行政事務であるということの一、二を指摘することで一つ御了承願いたいと思います。公共事務といたしましては、大体まあ一号から七号に至りますものは、いわゆる行政事務として住民義務制限等に関しまする種類の性格を持つておりまするものは少いわけでございまして、いずれも直接には住民に対する役務の提供、サービスという形のものでございまするから、大体一号から七号までは、いわゆる公共事務に該当するものと考えております。八号はこれはやはり行政事務というふうに考えられると思います。
  17. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 昨日も質疑をしたのでありますが、この区が本来的に警察事務をやる職務権限があるか、又消防事務を本来の事務としてやるべき職責があるかという問題であります。これは二十三区は今連合してやつておるのでありまするが、その根本には私が昨日も述べたごとく、区が本来両者をやり得る権能があるから、それを基にして二十三区で連合してやる、こういうことに警察法並びに消防組織法精神はあるのだ、こういうふうに思うのであります。それでここにそれを一々掲げないのは警察事務及び消防事務について、それは二十三区で連合してやる今の法律建前になつておるから、ここには挙げない、こういうふうに見るべきだと思うのでありますが、それに対する御意見は如何ですか。
  18. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) ここの列挙いたしてありまする事務は、特別区として公共事務がこれはいずれも主体になつておりますが、まあ自治体住民一般福祉と申しますか、そういうものに関係の深いものをいろいろ並べておるわけであります。警察事務もそういう意味から申せば住民福祉利害休戚関係の深いものでありまするが、これは特別の法律があつて、特に規定がございませんので、九号で、先ほどの地方税法の場合と同じでございますが、法律によつて「特別区に属する事務」というふうに呼んでおるわけでございます。
  19. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 区会議員選挙とか、そういうことをやる事務はまあ選挙管理委員会がやるのでありますが、区の事務じやないのですか。
  20. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) これは勿論御指摘のごとく区の事務でございますが、これも公職選挙法にその点明確に定められておりますので、特に規定をいたさなかつたわけであります。
  21. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 そうしますとこの九号で「法律若しくはこれに基く政令」、どうもここは読みにくいのですが、これはどういうふうに読むのですか、それはここでは言つていないのですか。この九号がどうも読みにくいのですが。
  22. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) この九号の読み方でありますが、「都の処理していない公共事務」、これはまあ関係ありませんが、「及び法律若しくはこれに基く政令又は第三項の規定による部の条例により特別区に属する事務」、この中で、それから公職選挙法はまあこの「法律」に当ると思いますが、更に公職選挙法施行令は「若しくはこれに基く政令」に当るわけであります。そういうものによつて、特別区に属する事務というのにもよりまするし、それから附則十七条でございますが、他の法令中の市に関する規定を、実は法律なりこれに基く政令に特別の定めのあるもののほか特別区に適用するという規定、これからも今の公職選挙法規定は動いて来ると思います。
  23. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 二百八十一条の二につきましては、岡本委員が言われます通り次の機会において多数参考人専門的意見をいろいろ聞くことになつておるわけですが、憲法上の問題は暫らくおくといたしまして、それから離れて、衆議院が御承知のようなこれについての修正をしまして、要するに議会選挙によつてまあ選任……、議会選任するということに修正したわけであります。即ち間接選挙によつて選任するということをきめたのでありますが、それについての岡野長官の御意見一つ承わりたいと思います。衆議院修正案に対してどのようにお考えになつておるか。
  24. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。私どもといたしましては政府原案が一番いいと、こう考えておりますが、衆議院でああいうふうな御改正になりましたが、これはこれを削除してしまうよりはいいという程度でございます。少くともこれは都知事と区と協同して、そうしてそこに血が通つた関係ができるという意味におきまして、私は我慢はしてもいいだろうという考えを持つております。
  25. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 意見は申上げることを控えまして、一応承わつておくことにいたします。
  26. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 別表の前まで御質疑がございませんければ次に進みますか、それでは次に進みます。別表第一からになりまするが、これはどういたしましようか、これを条文のようにやりますか。これは一々説明を要しますか。それではこの別表につきまして当局から一応どういう建前でやつたか、そういう点について説明をいたさせます。
  27. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) 別表につきまして概括的に御説明を申上げます。今回の改正によりまして、地方団体義務的に国の法律又は政令によりまして処理を命ぜられるのみであつて、各省令等処理を命ぜられるということは厳にこれは排除するという基本建前をはつきりいたしますと同時に、法律又は政令によりまして義務的な処理に属せしめられますものも、これを一応のものは将来抑制をいたしたいという考えの下に、別表として本法に列挙することにいたしたわけでありますが、その中に大まかに申しまして二つに分かれておりまして、別表第一と申しますのがその一つでございまして、府県関係義務的な処理に属するものが別表第一として掲げられておるわけであります。それは八十四頁から九十二頁までの間にありますのが府県義務的処理に属する事務でございます。別表第二へ参りますと、その一が、九十三頁のところにございますが、市町村の中の市が処理するというのが九十三頁から九十四頁まで、これがいずれも現行法におきまして市の義務的処理に属せしめられるものとなつておるわけであります。二番目の九十四頁の中頃からございますのが市町村処理しなければならないというので、市町村処理させられるものが百一頁まであるわけであります。大体こういうふうにいたしまして、別表整理をいたしましたものは、先ず第一に現行法におきまして、地方公共団体事務処理を命じておりますものは、これはそのままこれを掲記したということが第一であります。今回は特別に整理はできなかつたのでございます。一応系統的にこれを掲げるに止まつたわけでありますが、次には法律別表でございますので、法律的、法律根拠法にあります用語に基きまして規定を掲げまして、その法律の現わします最も重要なる作用が現われるようにいたしたのであります。この別表第一は都道府県という地方公共団体或いは市町村という地方公共団体義務的に処理せしめられる事務ということでやつたのでございまして、次の百一頁の別表第三になりますと、都道府県知事或いは市町村長という機関委任事務として処理することになるものが掲げられているわけであります。従いまして例えば別表第一の都道府県処理しなければならない事務という中に、精神衛生法によりまして精神病院設置すること、この精神病院と申しますものは都道府県という自治体営造物になるわけでありますが、同じ精神衛生法によりまして、例えば百四頁の十二にありましては、病院を指定したり、精神衛生鑑定医を監督する等の作用は、やはり機関委任事務としての都道府県知事権限になつておる。現在このように地方団体自体機関事務というふうな建前がありますので、これもそのまま踏襲をいたしたのであります。将来事務配分という点から考えますと、どの府県事務整理をいたしまして、或いは機関委任事務整理をいたしましてというようなことが主になつて来るわけであります。従いまして、別表第三は、百一頁の終の所から百二頁の勧めに府県知事機関委任事務が始まつておりましてそれがずつと続いております。知事機関委任事務というのが現在は非常に数が多いのでありまして、これを殆んど全部網羅いたしたわけでありますが、百四十三頁の最初の所、百二十八という所まで、知事機関委任事務と認められるものが大体続いておるわけであります。第二番目が都道府県教育委員会機関委任事務として与えられておる仕事が続いております。三番目が都道府県選挙管理委員会機関委任事務であります。これは百四十八頁から百四十九頁に亙つております。それから百四十九頁の終りから百五十頁に都道府県公安委員会に委ねられておりますところの機関委任事務と称せられるものが加えられておるわけであります。百五十二頁には地方労働委員会、六番目が府県農業委員会が百五十二頁の終り頃から農業委員会機関委任事務として掲げられておるわけであります。百五十四頁から別表第四といたしまして市長機関委任事務、百五十九頁の終に市町村長機関委任事務、こう掲げておるわけであります。大体立て方はそういうふうにいたしまして、市町村教育委員会市町村選挙管理委員会市町村公安委員会市町村農業委員会というふうにいたしまして、機関委任事務整理をいたしたわけであります。ただこれらは現行法改正に伴いまして一々別表を変えなければならないという不便が生じますので、従いまして各法律の主たる作用のみに止めまして、おおむね概括的な表示をとつたような形になつておるわけであります。別表第五と申しますのが百七十八頁にございます。これは一は、府県知事が設けなければならない行政機関でございます。福祉に関する事務所、児童相談所病害虫防除所家畜保健衛生所というふうになつております。二が、市長が設けなければならない行政機関、三が、市町村公安委員会意見を徴して市町村長が設けなければならない行政機関警察署であります。別表第六が、特別な資格職名を有しておりまして、そうして設けて置かなければならない職員でございます。百八十頁から始まつておりますが、現在府県にはこのような特別な資格職名を持つております職員が並んでおります。但し現在の現行法におきましては、なおこれ以外に省令等によりまして衛生関係職員等で特別な職名を持たしておるのがございますが、これらはいずれも省令でございますので、ここには掲げないことにいたしておるのでございます。改正法施行になりますと、省令によつて地方団体義務を負わしておるものは一年以内にこれを改めなければならないことに附則にいたしておりますので、省令は一応問題にしないことにいたしたわけであります。百八十二頁に、市町村のそういう特別な資格職名を持つ職員を挙げております。百八十三頁が教育委員会の任命する職員中で、都道府県のもの、市町村のもの、これは主として学校関係でありまして、教育長指導主事、校長、教諭養護教諭というようなものであります。三番目が市町村公安委員会に属するもの、警察長警察署長等であります。別表第七が都道府県が置かなければならない附属機関でありまして、これは温泉審議会に始まりまして非常に数多く設けられておるのであります。百八十八頁の終り、百八十九頁の初めまで亙つております。百八十九頁の真中に市町村が置かなければならない附属機関が載つております。民生委員推薦会から始まりまして、百九十頁の初めの補償審査会に至つておるわけであります。これらはいずれも現行法建前上、地方団体義務的に設置をさせられまするものでございます。別表をこのように掲げましたのは、これによりまして、地方団体に将来法律又は政令によりまして義務を課するという場合には必ず地方自治法附則改正する。新たに義務を課する場合には附則改正することになりますが、そのようになりますと、国会で御審議を願います場合にも、ここの通産委員会とかばかりでございませんで、地方行政委員会で当然にそういう地方団体事務をどのように配分して行くかという観点から御審議が願えるということも非常に大きな長所になりますし、これによりまして、不当な事務を課することを抑制することになる、このように考えておるわけであります。大体以上でございます。
  28. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 これは別表は非常に結構で便利なようでございますが、これは漏れておりませんか。漏れたら大変だ。
  29. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) この別表につきましては、地方自治庁提案いたしますまでの法律は漏れなく拾い上げたつもりでございます。ただ今国会におきまして新らしい法律が提案をされまして、すでに執行されたものもありましようし、又これに掲げておりますものが重要な事項が改正になりまして、別表規定しておりますような機能はそのまま営まないようになつたものもあるかと思います。これはそういう場合には次の国会において、これを整理をして行くということにならざるを得ないのでありますが、できるだけは同時に整理をして行けるものは整理をして行くようにいたしたい。このように考えておるわけであります。
  30. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 よく見ないからわかりませんが、例えば都道府県が置かなければならないものという中で、林業とか何とかはあるけれども農業がないというのはどういうわけですか。農業改良普及員というのがやはりない、農業がない、やはり漏れておるのじやないのですか。
  31. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) 農業改良普及員につきましては、実は今までは府県条例でいろいろ作ることになつておりまして、法律義務としてあつたわけじやないわけでありますが、今度の改正法によりまして、農業改良助長法でございましたか、それによりまして初めて法律に置くことになつたわけでございますので、これはこの次のときに改めたい。
  32. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 それから消防署に置いておるところの消防吏員、あれはやはり特別の資格を持つものだと思うのですが、これがないのですが、それは必置じやないから置かないというのですか。
  33. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) 必置でありますもののみについて書きましたものでございまして、必置という制度になつておりませんのはこれを掲げなかつたのであります。
  34. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 只今説明いたしました別表につきまして全部を問題にいたしまするから、その間で御質疑をお願いしたいと思います。
  35. 中田吉雄

    中田吉雄君 今日はもうこれで打切つて頂きたい。
  36. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 中田ちよつとお待ち下さい。昨日岡本委員から御発議で衆議院区長任命制修正案について参考人意見を徴してもらいたいということでございまして、昨日の理事会で決定いたしましたが、理事会決定通り来たる月曜日に参考人を招致することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  37. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) さよう決定いたします。  それでちよつと氏名を申上げますが、今日只今まで承諾を得ておりますのが、杉村章三郎東大教授、それから衆議院入江法制局長、参議院の奥野法制局長、それから弁護士会の代表として島田武夫君、田中一郎教授辻清明教授はどうしても都合がつかない。それから金森国会図書館長はとにかく工合が悪いので、意見書でもお出し願えないかということを今申しております。その他欠席がございますので、新たに東大教授の宮沢君に交渉中でございます。その他これの選任その他この手続等委員長にお委せ願いたいと思います。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  38. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) ではさように取計います。速記を止めて下さい。    〔速記中止
  39. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 速記を始めて。
  40. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 各条の質問はございますのですが、各府県部制を定めるに当りまして、総理大臣の許可を要するような規定があるのですが、それはどういう関係でこの規定が必要なのか、この点を伺いたいと思います。
  41. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 府県部制の問題につきましては、現行法は御承知のごとく、必置部任意設置部に分けまして、必置部は必ず置かなければならないという形になつており、多くの府県におきましては、任意部につきましても相当多数置いておるわけでございまして、必置部は六部でございますが、任意設置部を最大限に置きますと十二部まで置けるわけでございまして、多くの府県が九部なり十部なり置き、小さい県でも七部ぐらい置いておる所があるのでございます。今回のこの改正案においては、部の設置都道府県条例で定める建前にしておりますが、ただ条例で定めまする場合の標準として、人口の段階によりまして都道府県の希望を分ちまして標準を定めたわけであります。併しながらこれは標準でございまするので、部の所掌事務を変更し、名称を変更するというようなことはこれは自由でありまするが、一面この行政簡素化というような見地から部の増設という場合には総理大臣に協議をしてもらう、こういうような形にしておるわけであります。なぜ協議を必要としておるかと申しますならば、只今別表でもおわかりになりまするように、都道府県知事処理しなければならない事務というのだけでも、これは百二十八になつておりまして、圧倒的に都道府県知事に対するいわゆる機関委任事務というのが多いのであります。これは七割なり八割なりが大体さような事務でございまして、これは日本の都道府県の性格が曾つてさようであつた関係もあると思いまするが、実は形式的な自治性を与えられながら、その実においては国の出先機関というような色彩が非常に強いわけであります。そういう意味都道府県部制を如何に編成するかということにつきましては、これはひとり当該都道府県だけの自主的な見地からきめる問題だけではなく、やはり中央政府といたしましても、関係の所管の各省におきましては自己の所管をするその責任に終局的には属しまするところの各種の専門の行政が、都道府県知事によつて如何ように処理されるか、如何なる部局において処理されるかということについては、非常に深い関心を持つておるわけでございまして、さような見地から内閣総理大臣府県の窓口になりまして、関係の各省との間の調節も図りつつ、一面又行政の簡素化というような見地から都道府県の部局を更に増設をして行くという場合につきましては協議をあらかじめ受けるようにしたいということで、今回総理大臣の協議を指定する立案をした次第であります。
  42. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 今政府委員説明をお聞きしますと、各都道府県が国の行政事務機関委任なり、或いは委任事務処理するというふうな見地もあるからというお話でありますが、これは本省が部を設置しました経過から見ますというと、大体本省は例えば昔内務省であつたものが厚生省なり或いは労働省なりができまして、逐次そういう中央における行政機関と相対応して殖えて参つたのがその実情だろうと思うのです。ところが今回の行政改革においても本省の機構については、何ら当初或いは六省案であるとか、或いは九省案であるとかいわれたのにかかわらず、何ら各省の整理統合ということのなかつたという点、それからもう一つ政府委員のような説明なら、そういう事務を置くために各都道府県は最小限度こういう部局は置かなければならない、こういう意味であるならば、これは了解ができると思うのです。併しながら要するに各自治体がその事務を運営する上において、運営の仕方によつて府県おのおの或いは部を余計に置いて処理するところもありましようし、或いは少く置いて処理するところもあろうと思いますが、それは各府県の自主性に委せていいのではないか、言い換えれば各府県条例に委せてよいのであつて、若し今のようなお話しであつたならば、その条例に指定する意味において最小限度こういう部局は置かなければならんのだという意味であるならば、今の国家の機関委任なりそういう関係において必要だと思うのでありますが、何か中央機関が、総理大臣がその部局の設置に対してまで認可をするというようなことは、或る意味から言えば自治体のそういう自主性を侵害するものじやないかという気がするのですが、この辺の御考慮はどういうふうに。
  43. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 都道府県がいわゆる公共事務だけを自主的に処理しておる自治体では、国の機関委任事務でございますとか、その他の各種の国の相当の統制を受けまする実質的な事務処理していないのならば、これはその組織を如何に定めるかということは全く自主的に決定せしめるべきものであろうと思うのであります。  併しながらかような別表にも示されておりまするような各種の拘束をされた姿において、又やりまする仕事がかように法律根拠に基いて処理されなければならない仕事がたくさんある、こういうような実態から申しますと、やはりさようなことを処埋いたしまする部局といたしまして、一面都道府県も自治団体でございまするから、そういう見地から組織の自主性というものを尊重しなければなりませんが、同時に半面国と地方公共団体というものは、やはり相協力し、相共になつて国家全体の、或いは住民全体の福祉のために尽さなければならん、さような使命の下に地方公共団体が存立すると思うのでございまして、そういう見地からはやはり中央と地方というものが、従来のような指揮監督の関係で立つということは、これは然るべからざることであると思いますけれども、相互の立場を認め合つたいわゆる協同的な関係、そういう意味において中央と地方とがその間に意思の疏通をして行く、殊にかような行政事務処理の組織についてこのような姿で疏通をして行くということについては、私はむしろこれを認めなければいけないのではないか、完全に相互独立して、互いの権益を犯すべからずというような考え方では、今後の地方自治というものは成り立たないのではないかというふうに考えられるのでございまして、さような見地から都道府県の実際上の性格を考え合せまして、かような協議という方式をとりますることは、私どもといたしましては実際に即することであろうと、かように考えておるわけであります。
  44. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 どうも私は鈴木政府委員のおつしやることに承服しかねるのですが、若しその議論であるならば、町村において仕事の部制をきめるなり、或いはやり方なり、係りなりをきめるということも、何か府県知事と協議しなければならんというような規定も必要になつて来るのではないかと思うのです、どうもこの規定は要するに今何か行政簡素化とか、或いは府県がそういうことをやるのにどうも危なつかしくて、何かやはり中央でそこに一つの干与権を持つてコントロールして行く、こういうところに出発しているのではないか、若し各省がその各省の機関委任なり何なりの関係で、若し機構が、どうしても各府県においての整備が必要だというなら、私はむしろ最小限度においてこういう部は置かなければならんという規定の仕方は了解できると思うのですけれども、それが増加する場合においては、総理大臣の一々認可を要するということになれば、要するに府県のような相当発達した行政機関でも、そのちよつと手の挙げ下しまで中央の指示を得なければやれんというような、依然としていわゆる昔の内務省時代の感覚を一歩も出でないのではないかという感じがするのですが、その辺はどうなんでしよう。
  45. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) この案は今お話のような考え方でできておるものではないのでありまして、その他の点も併せて一つ御検討願いたいと思うのでございますが、第十章に監督という規定が従来あるわけでございますが、その監督というところに各種の助言、勧告に関する規定を今回設けておりますが、要するに指揮監督という権力的な中央政府地方公共団体との関係ということではなく、ここでもあらかじめ総理大臣に協議をしてもらいたい、こういうことでございまして、認可とか許可とか、今お話しのごとく箸の挙げ下しについてまで一々許可を必要とするというような、さような観念は私ども絶対に持つておりませんので、これは他方行政委員会議の勧告におきまして、中央と地方との関係につきまして、協同的な関係、技術的な助言勧告関係、或いは模範の条例を提示するというような関係、そういうような関係で中央と地方との将来の結びつきを考えるべきである、こういうことを言つておるわけでありまして、さような考え方を全体の根底にいたしましてこれは立案をいたしたものなのでございます。
  46. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 私は現在地方自治体が育つて行かないという大きな原因は、終戦前と同じように各省が多くの出先機関を堅持し、若しくは出先機関を配置して、或いは権限等を委任した場合においても、いつも紐付きになり、而もその各省の紐付きが更にその背後には大蔵省があるというような、二重にも三重にも中央官庁が許可とか或いは協議という形において紐を付けておるというのが今日の自治体の発達を非常に阻害している大きな原因だと思う。従つて自治体というものをやはりいつまでも十二歳の子供扱いにせずに、もつと成人として先ず自治庁自身がその範を示して育てるべきじやないかと思う。そういう点を自治庁みずからが協議というような形において各省と同じように紐を付けて行くということが、私は各省に対する関係から言つて自治体の成長を非常に阻害するのじやなかろうかと思うのでありまして、むしろこういう中央における協議或いは許可、認可というようなものは補力排除して、以て自治体の成長をせしめるべきではなかろうかと考えるのであります。これ以上は意見の相違になりますから打切りますが、その点に十分御考慮を願いたいと思います。
  47. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) それではこの程度に本日はいたしますが、明日は午前十時から労働委員会と連合いたしまして、地方行政の質疑の日でございますから、その点を一つ御了承願いたいと思います。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時十二分散会