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1952-05-30 第13回国会 参議院 地方行政委員会 第42号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年五月三十日(金曜日)    午前十一時二十一分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     西郷吉之助君    理事            中田 吉雄君            岩木 哲夫君    委員            岩沢 忠恭君            石村 幸作君            高橋進太郎君            宮田 重文君            岡本 愛祐君            館  哲二君            原  虎一君            吉川末次郎君   政府委員    国家地方警察本    部警備部長   柏村 信雄君    地方自治庁次長 鈴木 俊一君   事務局側    常任委員会専門    員       福永与一郎君    常任委員会専門    員       武井 群嗣君   —————————————   本日の会議に付した事件地方公務員法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○派遣議員報告道路交通取締法の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付) ○参考人の出頭に関する件 ○本委員会の運営に関する件   —————————————
  2. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 只今より開会いたします。  本日は前回に引続きまして、地方公務員法の一部を改正する法律案について質疑を継続いたします。又質疑が終了いたしましたら引続いて討論採決に入る予定であります。御質疑をお願いいたします。
  3. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 今回人事委員会又は公平委員会事務処理について所要の改正規定があるのですが、一体根本的に今度の国の行政機構におきましては、この種の委員会というものを相当整理いたしまして、そうして行政簡素化をまあ図つておるのでありますが、地方においても同じように人事委員会とか公平委員会とか、こういう点については簡素化図つてこれを廃止する意思がないのかどうか。そういう根本についての政府のお考えをお聞きしたいと思います。
  4. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 人事委員会の今後のあり方或いは公平委員会の今後のあり方という問題でございますが、これは国の場合の人事院或いは今回提案しております国家人事委員会制度あり方ともまあ関連をいたす問題でございまして、将来公務員の身分上の取扱をどういたすか、現状のままでいいかどうかという点は確かに一つの検討を要すべき問題であると思いますが、政府としてはこれにつきましてまだかようにするという結論には到達していないのでありまして、これらの点に関しましても、地方制度調査会におきまして何分の審議を願いまして、その結論を得て政府としてはこの問題を検討して成案を得るようにいたしたい。かように考えております。今回の地方公務員法改正はかような根本の建前には触れ幸せんで、現制のままにおきまして可能なる調整を図つたものでございます。
  5. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) それでは御質疑がなければ討論に入りたいと思います。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) それでは御異議ないものと認めましてこれより討論に入ります。御意見のおありの方はそれぞれ賛否を明らかにしてお述べを願います。なお修正意見がございましたら討論中にお述べを願いたいと思います。
  7. 原虎一

    原虎一君 私は本案に対して賛成するものでありますが、併しながらただ一つ希望条件を申上げて賛意を表したいと思います。それは先般の委員会におきまして岡野国務大臣並びに労働大臣出席を求めて質問をいたしました際に、附則第二十一項の単純労務に対する特例法を速かに制定すべきものであるにもかかわらず、これを今回除いて地方公営企業法並び労働関係法を制定するということは片手落ちである。法を忠実に実施するものでないということを申しましたところ政府は早い期間にできるだけ早くこれを実現するという言明をいたされております。この言明が一日も早く実現する、実施されることを要望いたしまして、賛成の意を表するものであります。
  8. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) ほかに御意見ございませんか。御意見がなければ討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) それでは御異議ないと認めまして、これより採決に入ります。  本法案について採決をいたします。本法案を原案通り可決することに御賛成諸君挙手をお願いいたします。    〔賛成者挙手
  10. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 全会一致と認めます。よつて法案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお本会議における委員長口頭報告内容は、本院規則第百四条によつてあらかじめ多数意見者承認を経なければならないことになつておりますが、これは委員長において本法案内容、本委員会における質疑応答要旨討論要旨及び表決の結果を報告することとして御承認を願うことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 御異議ないと認めます。  それでは本院規則第七十二条によつて委員長が議院に提出する報告書につき多数意見者署名を附することになつておりますから、本法案を可とせられたかたは順次御署名を願います。   多数意見者署名     石村 幸作  宮田 重文     高橋進太郎  原  虎一     中田 吉雄  館  哲二     岩沢 忠恭  吉川末次郎
  12. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 御署名洩れはございませんか。……ないと認めます。ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  13. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 速記を開始して下さい。  それでは引続きまして、先般吉川委員ほか五名が京都騒擾事件について本院より派遣されましたので、その報告につきまして吉川委員より只今から聴取いたしたいと思います。吉川君。
  14. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 去る五月一日の我が国独立直後のメーデーは、全国四百七十余箇所、参加者百四十余万人と推定されている参加の下に行われたのでありますが、不幸にして東京京都その他におきまして不祥事件が発生いたしましたので、当委員会といたしましては治安維持見地から、先に東京事件についての実態を調査し、その真相並びに原因を究明して来たのでありますが、今回更に京都事件調査するために、去る五月十九日より四日間に亙りまして院議によつて現地に派遣されまして、自治体警察及び国家地方警察並びに同公安委員検察当局、法務府特審局メーデー主催者側、市長及び議会側代表等関係者に面接いたしまして、つぶさに事件実情を聴取いたしましたので、それにつきまして調査の結果の大要を御報告申上げたいと思うのであります。この事件概貌等につきましては、先に国家地方警察本部からその大要につきまして本委員会において当局から、報告がありまして、すでに速記録に掲載されておりますので、そうしたことは重複を避けますために申上げることを省略いたしたいと思うのであります。で、調査いたしました結果、我々が見ましたところは、今申上げました東京における五月一日の、かのメーデーをきつかけといたしまする宮城広場における騒擾事件はいろんな方面から現下日本政治問題といたしまして極めて重大なる意義を持つものであると考えるのであります。それは、ひとり治安警察行政見地よりのみならず、その関連いたしておりまするところ現下世界政治における二大勢力の対立から派生しておりまするところ一つの現象でありまして、而もそうした騒擾事件を惹起するに至りました騒擾者意図というものは、世界政治におけるいわゆる反共産主義勢力或いは西欧民主主義勢力に対するところの彼らの挑戦的な意図を表白しておるばかりでなく、それとの関連性におきまして先に日米両国間に締結されましたる日米安全保障条約並びにソ連とその衛星国を除いての連合国側と締結されましたところ講和条約に対するところ反対意思をも包蔵し、特に日米安全保障条約に基くところ米軍日本に駐留するということについての強烈なる反抗の意思表示を現わすものであるという、そうしたことで政治外交政策上の関連性におきましての一つの大きな反対的な意思の表白であるということであると共に、又それが日本社会に対するところの全面的な、革命的な意図を包蔵して行われておるということであると考えるのであります。而もその騒擾事件は類例のないような市街戦的な外貌を呈しましたばかりでなく、そうした騒擾に直接的に、積極的に参加いたしました者の数よりいたしましても、警視総監の語るところによれば、即ち八千といい、共産党諸君からはその数、十万に及ぶとまで言われておるのでありまして、そうした点からも、これは最近における極めて重視すべき内政、外政に関連性を持つた大きな事件であると考えられるのであります。さればにや、これとの関連性を多少持ちまして、目下国会において審議されつつあるところ破壊活動防止法案或いは労働法改正法案等との関連性をとらえまして、政府当局首班者でありまする吉田総理大臣の談として、昨日の夕刊に伝えられているところによれば、当参議院のこれらの法案に対する審議状況と照応して、国会を解散して総選挙をなすところの挙に出るというようなことをも言つていることが、報道せられておるのであります。で、破壊活動防止法案、或いは労働法改正法案等は、直接的にこのメーデー事件関連性を直ちに持つものではありませんけれども、実質的には、何らかの政治的な関係が全然ないということも又言い得ないと思われるのであります。で、東京におけるメーデー事件というものが、そうした見地から極めて重大視すべきものであるばかりでなく、そのスケールにおいて比較するには余りに小さな事件であつたのでありまするけれども、関西におけるところのそうした左翼運動中心として、今日まで諸種の同様の騒擾事件を惹起して参りました京都においても、類をひとしくするところ事件が起りまして、以上申しましたその重大性に鑑みまして、東京の本事件を我々が精査いたしますると共に、又地方におけるその代表的な事件実情と、その真因を究めることは、当委員会の職務の上からいたしましても、又我々が日本政治家であるという見地からいたしましても、その緊要性を感じまして、特に私個人といたしましてもこれが調査派遣を要求いたしたような次第であります。それで先に申しましたごとく、その概貌につきましては、速記録に載つておりますところ当局報告にこれを委ねまして、我々が調べました書類、談話その他のものは、書類だけでも相当長文であり、広汎に亙りますので、その一節をここに読上げまして、読上げましたものを通じて全体を一つ多少とも髣髴することができますることの一助にもなると思いまするので、読上げてみたいと思うのであります。それは五月の十日頃に日本共産党京都府V、これは暗号でありますが、ビユーローという意味だそうであります。で、それは相当長文の文書を秘密のうちに発しておるのでありますが、その一節をここに読上げますというと、「今年のメーデーの第一の特徴は、アメ帝アメリカ帝国主義のことだろうと思います。「アメ帝吉田、これに連なる一切の反動勢力の必死の分裂策にもかかわらず、下部労働者実力統一メーデーを守り抜き、府下十万の国民的大メーデーを敢行したことである。昨年の市電労働者先頭とする越年闘争以来の労働者高まり、二・二三、三・二〇闘争に発揮された労働者農民を主力とする実力行動が更に破防法粉砕の四・一二、一八ゼネストと発展し、特に金属日電島津寿輸送機労働者成長と、私鉄奈良電京福)の瀕しい闘争は全国民を奮起させた。この偉大なる力はさすが札付き悪質民森川一派さえもこの統一行動を妨げることができなかつた。かくして京都、宮津、東西舞鶴福知山周山宇治七地区とも統一メーデーが実現した。特に周山におけるメーデーには府職」、府の職員組合と思います。「教員」、教員組合と思います。「国鉄、全逓、電産、周山運輸製材所等、すべての経営が参加し、農民学生共闘意図で行われた。これは歴史始まつて以来であり、北桑」、北桑というのは丹波の北桑田郡でありまして、京都府における北海道といわれておる辺鄙な所であります。「北桑の山深く住む敵に与えた影響は大きい。第二の特徴として言えることは、昨年のメーデーは平和を守るメーデーであつたが、今年のメーデー民族解放メーデーであつた。七万の大衆革命を意識し、アメ帝の支配を実力ではね飛ばし、吉田を打倒する決意に燃えていた。殆んどのプラカードは民族独立国民政府を作れ、吉田打倒、再軍備反対のスローガンが書かれていた。このことは新綱領が国民のものになりつつあることを示している。公然とデモンストレーシヨンを指導した我が党のトラツクには熱狂的であつたし、再刊された「アカ八タ」はまたたく間に売切れ、固定を申込みに来る労働者すらあつた。第三の特徴は、終戦後最大の尖鋭的な戦闘的メーデーであつたことである。労働者は至る所で警官隊の挑発と戦い、特に祇園石段下では五回に亙つて警官隊を追つぱらい、包囲し、実力で粉砕した。丸山公園でも実力で私服をやつつけ、応援に駆けつけた武装警官隊と対峙して戦つた。而もこれは組織されたものではなく革命的大衆の自然発生的な戦いであつた。このことは現在の情勢の厳しさと、金属労働者中心とする全京都労働者革命的高まり成長の現われである。職制の脅迫と戦い、悪質分裂主義者をはね飛ばし、参加し、農民は封建的な縛りをふりほどき、学生朝鮮人は敵のおどかしを粉砕して参加した力である。動員も多く、戦闘的に争つた労働者は皆現在まで戦つて来た都、相互、彌生等自動車労組、第一製薬、日本新薬中心とする化学労組、高島屋、大丸を先頭にした百貨店労組奈良電京阪バス中心とする私鉄中央染工日本クロス倉紡京染労等中小繊維工場労働者日写」、日写というのは印刷会社でありますか、写真会社でありますか、「日写中心とした印労連」、これは印刷労働組合連合会だと思います。「全官公系では自労、府職教員区職労組が元気であつた。特に金属労働者は全体として戦闘的であり、動員も多かつた。島津、三谷、日新、日電、寿、日本輸送機、山科精工宮本電機等に至る社会民主主義者影響を受けた労働者までが非常に勇敢に戦つた。このことは京都労働運動の質が変革化され、労働戦線統一の基礎が成熟しつつあることを証明している」、こういうことを先ず書いておるのであります。なお、それに付加えて、このメーデー闘争におけるところ共産主義者見地からしての欠陥ということについても相当書いております。又更に「メーデーの成果をかちとり、欠陥の克服こそ我が党の緊急任務である」という見出しの下に、今後の京都地方における共産党員活動を如何にすべきかということにつきまして、このメーデー関連しても書いておるのでありますが、非常に長文に亙りますから、ここに口で報告いたしますことは省略いたしまして、若し必要がありましたならば、委員長等においてこの全文或いは一節速記録の中へ留めて頂ければ結構だと思われるのであります。今申しましたことと、先に国警本部から報告いたしましたこととをつき混ぜてお考え下さいまするというと、大体五月一日メーデー当日における京都共産主義者によつて指導された騒擾のまあ外郭だけはおぼろげながら御了解願えるかと思うのであります。我々が当局から同地方におきまして聞きましたところによりまするというと、当日メーデー参加いたしましたところの者は約二万と言い、或いは三万と言われておりますが、大体において二、三万見当であつたようでございます。併しその他の宇治周山福知山等府下の諸工業地帯を含みますところの都市においての動員人数を加えまして、この共産党の書いておりますところは或いは七万と言い、或いは十万と言つておりますが、京都市の会場に集まりました者は大体二、三万であつたようであります。而も初めは御所会場予定いたしておつたのでありまするが、而も御所会場に使うということにつきましては京都府の知事の蜷川君も、労働部長池上専君と共にこれを肯定する態度をとつたのでありますが、御所管理者でありまするところ厚生省でありますか、宮内庁でありますか、どちらでありますか、これには厚生省という言葉が書いてありますが、許可するところとならなかつたので、会場が二条離宮前に移されたのであります。それは丁度東京におきまして宮城広場予定いたしておりましたのが、それが拒否されまして明治神宮外苑に変えられたということを以て、又当局に対するところの反感を激成する一つの戦略に利用いたしましたことは、京都地方メーデーにおける会場の変更問題につきましても又同様なものが窺われたのであります。国警本部からの報告にもありましたように、東京のそれと比べまして規模も極めて小さいのでありまするけれども、併しながら特に違つておると私の感じましたことは、東京におけるメーデー騒擾事件総評等中心といたしまして、メーデー大会等が行われましたあとで、宮城前に集まりましたその参加者の一部の者だけが別個にああした騒擾事件を起したようでありまするが、京都におきましては二条離宮前に集まりましたところメーデー参加者の全部が大会終了示威行列をして練り歩きまして、そうしてその途中におきまして、裁判所前、或いは四条大橋の際の交番所破壊であるとか、或いは市役所の入口の破壊であるとか、或いは祇園石段下、円山公園その他の所において暴動的な行動に移りましたので、そうした暴動を行いましたところの者は、その数は聞き及びましたところでは二、三千くらいであつたようであります。参加者全体が仮に三万といたしまするというと、その約一割くらいの者が暴動をいたしたのでありますが、爾余の者はそうした積極的な、暴動的な行為はいたしておりませんけれども、集団的にはむしろ傍観的な態度をとりつつ同一の示威行列をして行進していたように大体聞き及んだのであります。このことが相違点でありまするが、又考え方によりましては私には極めて重視すべきことではないかと思われるのであります。で、考え方によりましていろんな方面からの重要性考えられると思うのでありますが、このような問題は各派の立場から自ら見方も異ると思いますので、現地に参りました他の委員の方々からも御意見等をお述べ願いたいと存じます。なお詳細に亙る報告書を用意してありますが、これは速記録に掲載することをお許し願いたいのであります。  以上を以ちまして私の報告を終りたいと存じます。
  15. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) それではこの程度で午前は休憩いたします。    午後零時二十五分休憩    ——————————    午後二時十五分開会
  16. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) それでは委員会を午前に引続きまして開会いたします。  これより道路交通取締法の一部を改正する法律案につきまして前回に引続いて御質疑をお願いいたします。
  17. 原虎一

    原虎一君 当局にお尋ねするのですが、第七条の二項の一号から五号、即ち故障車運転した場合とか、或いは無免許、酒に酔つて運転した場合、或いは速度制限違反、その他五項目あるのですが、この違反を第二十八条で三ヶ月以下の懲役又は五千円以下の罰金にしておりますが、これは当然その情状によつて科料程度で済ますべきものだと思うのですが、それが懲役又は罰金に処することになつておるのでありますが、この点について重大なる事由がありますれば御説明を願いたいと思います。
  18. 柏村信雄

    政府委員柏村信雄君) 只今このお尋ねでございますが、第七条はいわゆる無謀操縦についての規定でございます。その次の第八条が無謀操縦に至らない程度の不当な操縦についての規定をいたしておるわけでございます。只今指摘のように第七条の違反につきましては第二十八条を以ちまして二ヶ月以下の懲役又は五千円以下の罰金に処する旨を規定し、第八条の違反につきましては第二十九条の規定を以ちまして三千円以下の罰金又は科料に処する旨を規定いたしておるわけでございます。この第七条に申しまする無謀操縦は、只今お読上げになりましたように、構造、装置に重大な故障があるというようなものであつて、安全に操縦できないということがはつきりしておる車を操縦すること、又運転の資格を持たないで運転する、それから酩酊して運転をするというような、操縦者としては最も注意しなければならない又心掛けなければならないことを強いて犯したという者についての罰則でありますので、これを只今の二十八条の規定によりまする懲役罰金のほかに科料制度を認めますることは、さなきだに交通違反事項の相当多数に上り、交通事故の累増をいたしておりまする現在において、私どもとしましては当を得ないものであるというふうに考えておるわけでございます。尤もこの無謀操縦に至らない程度のものにつきましては第三十条の規定によりまして軽い罰則規定いたしておりますのでありまして、やはり交通事故防止という大局的見地に立ちますると、こうした違反事項についても段階を設けまして、処罰についての区別をいたしておくということが必要ではないかと考えるのであります。なお実際上の取扱といたしまして、情状あるにかかわらず、何でもかんでもこれを送致し、処罰をするというような考えではなく、十分に警告措置等をとるようなことにいたしておるわけでございまして、例えば昭和二十五年中におきまする交通軌道巡邏隊によりまする交通取締処置でありまして、只今指摘の七条八条に限りませんのでございますが、検挙件数の総数が二十一万九千、このうち送致をいたしておりますものが一万三千三百三十六件。従いまして検挙に対する送致比率は六%と相成つておるのであります。なおこのほかに行政的な処置といたしまして警告書免許証に対する記入、違反カードの交付というような措置も含めまして、送致件数と合せて約四万九千件に上つておるわけでございますが、この処置の全体の率が検挙に対しまして二二%ということになつております。従いまして二二%の処置のうち六%が送致件数ということになつておるような状況でございます。私どもといたしましては機械の整備とか、或いは操縦に対する確実な技術を持ち、適性を備えている者によつて安全な操縦が行われることを念願いたしておるのでありまして、強いて処罰を厳にするという意図は毛頭ございませんが、現在程度処罰規定はこれを存続することが必要であろうというふうに考えておるようなわけでございます。
  19. 原虎一

    原虎一君 実際の問題として検討して行かなければいけないので、例えば第七条の第二項一号で、故障車、安全に操縦できない車馬又は軌道車には乗つていないはずですから、途中で壊れたというものに対する認定ですね、そういう点から何らか多少小さい事故のときには七条の二項第一号の注意が足りなかつたということでやられる場合もあるかと思うのです。そういたしますと、我々が数字的に事故比率を知りたいとすれば七条違反検挙数が、例えば最近の二十六年においてどれだけあつてどういう刑罰に触れたかということが七条違反の問題では必要じやないかと思います。全国の八条違反も含めた検挙数二十数万に対する何%ということよりかです。従いまして警視庁管下における八条違反と七条違反の一ヵ年の統計が出たものがありますれば、それを頂いて判断して行くべきじやないかと、こう思うのです。もう一つその資料をできるだけ早く頂きたいと申しますのは、委員長審議予定といたしましてもこの法案を一両日中に上げたいという御方針でありますから、我々も早くやりたいと思います。それから問題は八条のほうは罰金科料ということになつております。七条のほうに科料を入れる、科料に処すということにするために違反件数が殖えるような心理的影響を与えるという何か立証されるべきものができておりますれば、お聞かせ願いたいと思うのであります。
  20. 柏村信雄

    政府委員柏村信雄君) 只今御要求になりました資料はできるだけ速かにお手許に差上げたいと存じます。  次に第二十八条の罰則科料を加えることによつて違反件数が殖えるようなことについての立証上の資料があるかというお尋ねでございますが、そこまで具体的なものは持合わせておりませんが、やはり罰則の緩和ということが心理的に取締の緩和というような印象を受けることは自然であろうと思いますのでこの点については先に申しました通りの意見を持つておるような次第であります。
  21. 原虎一

    原虎一君 こういう問題は、議論と申しまするよりか的確な資料に基いて判断を下すのが妥当だと思いますので、一応取急いで警視庁管下における先ほど申しました七条、八条の違反件数とその違反行為の種類等の統計を頂いた上で、なお検討したいと思いますから、これは委員長にお願いして審議の期間を許しますならば運転手の代表的な者を一応参考までにお呼び願つて、そのほうの意見もお聞き願つた上で御決定をして頂きますればよろしいかと思います。私の質問はこれで打切ります。
  22. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 只今の原委員の御意見御尤もだと思いますから、いずれ今の会期は多少は延びると思いますので、皆様がその御意見であればさように取計らいますが、如何いたしますか。岡本さん、分ちよつとおられなかつたので申上げますが、原委員より道路交通取締法の今の第七条違反罰則科料を加えるかどうかということ、それについていわゆる運転手その他の直接参考人を呼んで意見を聞けば、一方的でないから非常に明瞭になるという御意見なのですが、そうすれば来週に持越して日をきめて、そういう人を呼びまして……。
  23. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 大変私は遅れて失礼いたしましたが、今原さんのおつしやるのは運転手の罰金刑は次第によつては苛酷過ぎるものもあるから科料制度も併用し得るような方法にやつてもらいたいという多数の意見があつたと思うのでありますが、それについてのお話でございましたか。……ああそうですが、私も同感でございまして、それは配慮されるべきだと思いますので同感の意を表します。
  24. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 私はこれは大体我々の常識と申しますか、交通関係の普通の規則をやつてみて、この程度のものは府県の条例等においてもすでに決定されておる問題でありますので、わざわざ呼ぶ必要がない。むしろその衝に当られる当局より詳細お聞きになればそれで足りるのではないかと、こう思います。
  25. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 今高橋さんからもこれについての御発言がございましたが、これは政府委員のほうにもちよつと私から尋ねますが、あなたのほうの、例えば交通関係の人ですね、そういうふうなかたに出て頂いてもう少し詳細に説明を伺えませんか。交通関係を専門にやつていられるかたが警視庁から来ておられますか。
  26. 柏村信雄

    政府委員柏村信雄君) 今申上げた資料は、これは警視庁からすぐ取寄せます。その他技術的な点につきましては説明をいたしてあれして頂きますればよろしいと思います。
  27. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) どういたしますか、今の点を当局からも、交通関係の人が来ておるそうですから、それからも意見を聞きまして……。
  28. 岡本愛祐

    ○岡本愛祐君 私もこの罰則で、七条について科料制を設けるということですが、それは賛成ですね。だからもうそういう参考人を呼んで聞くという、それほどのこともないじやないですか。
  29. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) そうしてそれを加えますか。
  30. 岡本愛祐

    ○岡本愛祐君 加えるようにしたらどうですか。
  31. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 更に今日会期が迫つておるときに、これはもうやはり罰金にことごとく行くというやつじやない、ほんの右廻り左廻りがずれたとか、信号が赤だつたとかいうような僅かな場合まで罰金刑よりはやはり科料というようなことを……、ことごとく私は科料にせいというのじやないのであつて、まあそういうことも併用し得る途を開くということは、もうそれは修正したら如何ですか。
  32. 柏村信雄

    政府委員柏村信雄君) 先ほど原委員の御質問に対してお答えいたしたのでありますが、第七条の規定はいわゆる無謀操縦に対する規定でございまして、構造装置等に重大な故障があるというようなことで安全に操縦することができない車を操縦した者とか、免許証を持たないで運転した者とか、泥酔して運転した者とか、そういうふうな交通事故を極めて惹起しやすい、いわば悪質なる運転に対する規定でございまして、只今お話のありましたような軽微なものについては第八条によりまして別個の規定をいたしておるわけでございます。従いまして罰則におきましても第七条については懲役又は罰金ということにして、第八条については罰金又は科料というふうに区別をいたしておるわけなんでございまして、その点を一つ御了承の上御検討を願いたいと思います。
  33. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) それでは速記をとめて。    〔速記中止
  34. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 速記を始めて。
  35. 岡本愛祐

    ○岡本愛祐君 私も二、三点お尋ねしたいのですが、この「第二条第六項を次のように改める」とあつて、「軌道車とは、道路において、軌条又は架線により運転する車をいい」と、こう書いてあるのですが、これじやおかしいのじやありませんか。軌条がなくて架線だけのものは無軌条電車でしよう。だから「軌条及び架線により運転する」と言わなきやおかしいのじやないのですか。その架線は要らないかも知らんが、軌条だけでいいかも知れんけれども、架線だけのやつは無軌条になるのだから、これじや不正確じやないのですか。「軌条又は架線により」と言うのは「又は」ですから、軌条だけのものと、それから架線だけのものと、それから「及び」で読んで軌条及び架線のものと三つあるわけですね。だから「軌道車とは、道路において、軌条又は軌乗及び架線により」と、こう来るのじやないのですか。何か理由がありますか、「軌条又は架線により」と言うのは。繰返すけれども「又は」ですから、軌条だけによつて運転するものも軌道車、架線によつて運転するものも軌道車、軌条及び架線によつて運転するものも軌道車、こう読んでいいわけですね。すると架線だけのものはここに取除けてあるように、無軌条電車になるわけだから、書き方が不正確になると思う。
  36. 柏村信雄

    政府委員柏村信雄君) 只今のお尋ねでございますが、軌条のみによつて運転するものでもよろしい。それから架線のみによつて運転するものでもよろしいわけでございまして、これがいわゆる無軌条電車になるわけでございます。
  37. 岡本愛祐

    ○岡本愛祐君 そうすると、軌道車であるものと無軌条電車との関係はどうなりますか。
  38. 柏村信雄

    政府委員柏村信雄君) 無軌条電車はこの軌道車に含まれることになる。
  39. 岡本愛祐

    ○岡本愛祐君 ああ、そうですか。それじやもう一度承わりますが、軌道車の中において架線のみによつて運転するものを無軌条電車と言うと、こういうわけですね。間違いありませんね。
  40. 柏村信雄

    政府委員柏村信雄君) ええ。
  41. 岡本愛祐

    ○岡本愛祐君 それじやわかりました。次に第十五条について承わりたいのですが、十五条は踏切におきまして「車馬は、鉄道又は軌道の踏切を通過しようとするときは、安全かどうかを確認するため、一時停車しなければならない。」、という規定なんです。それでここに車馬だけしかないのですが、そのほかやはり通行の人も通過しようとするときに安全かどうか確認するために一時停るということを明確にしてもらつたならば、事故者が非常に少くなるだろうという陳情があるのです。これは私鉄経営者協会からの陳情でありますが、それに対する当局考え方をお述べ願いたい。
  42. 柏村信雄

    政府委員柏村信雄君) 十五条の車馬のほかに人も一時停らなければならないという趣旨の規定をしてはどうかというお尋ねでございますが、勿論人につきましてもそれだけの注意を促すということは必要でありまするし、事実自分の生命身体についての注意をする者でありますれば当然にそういう注意を怠らないことであろうと思うのでありますが、只今お述べになりました点はできるだけ一般の指導、交通道徳の普及という点においてこれを励行するように仕向けて行くのが適当ではないだろうかというふうに考えるのであります。勿論、人をここに加えた際にこれについての罰則というところまで行くのは行過ぎだというお考えかとも存じまするが、人について罰則を設けてまでそれを強制するということは如何かと存じまするし、そうでない場合におきましては事実上道徳規定になるというわけでございまして、これは事実上の指導で参るのが適当ではないかというふうに考えておるのであります。なお只今お話のように、私鉄の側からそういう要望があるというお話でございますが、これは私鉄のかたがたのお考えがどこにあるかは存じませんが、場合によつてはこの轢かれたほうの人に責任が転嫁される、停まつたならば轢かれなかつたであろう。従つて轢かれた以上停まらないという一つ法律違反の行為があり、過失に基くものであるというようなことになりまして、勿論そういうことはその人の損害賠償請求とか何かに若干の影響があるかどうか。そういうことは私どもの特に意見を申上げる筋合いではございませんが、そうした面で主張されるとすればこれはやはり問題なのではないかというふうに考えるのでありまして、やはり人につきましては法律によつてこれを強制するという態度をとらずに、十分御趣旨の点は一般の指導によりましてこれを励行せしめるようにして参つたらよいのではないかと、こう考えておる次第であります。
  43. 岡本愛祐

    ○岡本愛祐君 この道路交通取締法令というものは、まあ道徳に待たなければならん点も大分含んでおるのですね。勿論その踏切において人が通過するときに一々立停まつて大丈夫なことを見極めて通る。そういうようなことに違反した場合に罰を設けるのは私ども行過ぎだと思うのですが、今までの道路交通取締法の中に道徳的規定は全然含んでいないんだということなら一貫するんですが、必ずしもそうでない、而も事故は相当通行者にあるようです。だからその事故の責任を通行者に転嫁をして、私鉄又は国鉄が損害賠償を免れるためというふうな悪意があるならば非常に考えものですが、こういう規定を設けることによつて、そういう事故が少しでも少くなれば、それに越したことはないのである。どういうふうにしてそれを転嫁……挙証責任なるものはどういうふうになります。そういう規定を入れるか入れないかによつて、死んだのはわかりませんが、怪我したときに、その人が踏切を通過するときに一時止まつて安全を確かめて、そして通過するというような規定を入れることによつて、そのときの挙証責任がその人にあるようになりますかしら……。
  44. 柏村信雄

    政府委員柏村信雄君) 私もそこまでははつきりと申上げるだけの知識を持合せませんが、法律にまで書かれておるということでありますると、これは少くとも轢かれる状況というものは法律違反法律に反しておるということでなければ轢かれるような状況にならなかつたであろうという推定は当然付き得るのではないかというふうに考えます。
  45. 岡本愛祐

    ○岡本愛祐君 じや、この問題は明日まで調べて、そういうことを入れれば挙証責任が人のほうにあるようになるかどうか、つまり車のほうは無罪ですね。そういう規定があることによつて挙証責任が、事故を起したその車のほうにあるか、或いは私鉄とか国鉄のほうにあるか、それを調べて頂けばわかりますからね。それから次に移りまして、今度の改正には勿論出ておりませんが、右側通行、左側通行、この前道路交通取締法を制定するときに対面交通ということをしきりに言われて、そして暴く人は右側通行になつたのですが、そのときも左側通行でいいじやないか、何も改める必要はないじやないかという議論が当委員会に随分あつた。そこで数年間右側通行でやつて来たのですが、私どもの見ている範囲内においてはなかなか右側通行は困難である。非常な広い道では右側通行をやろうと思えばやれますけれども日本の道は狭いのが多い。そこで右側通行をやろうとすれば非常に困難だ。それで今に至るまで右側通行がなかなかできない。而も模範道路なんというのを作つておりまして、朝夕右側通行、右側通行といつて奨励しておる所でも、警察官がいなければ皆左側通行になつてしまうというような状況である。こういうような状況政府当局はよく御存じだと思いますが、その原因は長い間の我が国の慣習と、それから鉄道の構内におきましてはもう左側が多いのですね。これは鉄道が左側通行だから、従つて左側に自然になるだろうと思うのです。そういうような関係でなかなか右側通行は励行できない。これに対してこのまま右側通行でやつてつて交通の整理が完全にそういう右側通行でやつて行けるかどうか。その見解をはつきり聞かして頂きたいと思います。
  46. 柏村信雄

    政府委員柏村信雄君) 只今左側通行、右側通行の問題についてのお尋ねでございますが、御承知のように現在の制度昭和二十四年の十一月から実施いたしておるわけでございます。その以前におきましては車馬も歩行者も同様に左側を通行しておりましたのでございますが、諸外国の事例等に鑑みましても、車馬と歩行者が対面になつて交通する、いわゆる対面交通の制度が交通上合理的な制度であるということを感じまして、この制度をとつたわけでございますが、その際車馬を右側にし、歩行者を左側に、従来通り左側にしておきますということにつきましては、施設経費の面において莫大なものを要するという点から、習慣を是正するということによつて、歩行者をして右を歩かせるということにすれば、施設経費の面においての負担を省き、なお且つ理想的な対面交通の実を上げ得るに至るという見地から、現在の制度をとつたわけでございます。只今お話のように、左側交通が長年の慣習でございますので、これを全面的に右側に改めますることにつきましては相当の困難が予想され、現在においても只今指摘のように十分の成果を挙げていないことは甚だ遺憾に存じておるわけでございますが、併しながら小学校、中学校等の児童のごとく左側通行の長い習慣を持たない者は比較的容易に右側通行の実践者になり得るわけでございますし、そういう数は率の上におきましても非常に成績が上つておるように見受けられるのであります。この点は何と申しましても長い習慣でございますので、一挙に全体的にこれを是正するということは相当の困難は伴うと存じますが、我々といたしましては二年有半の実績を見まして今後ともこれを持続し、十分に指導して参りまするならば近く対面交通の実績が上つて参るものというふうに考えておるわけでございます。本年の四月におきまする全国の交通安全旬間におきましても特にこの対面交通の励行と、踏切における事故防止というものを二大目標にして宣伝指導に努めたような次第でございまして、絶えざる努力によつて対面交通の実を上げて参りたいというふうに考えているわけでございます。
  47. 岡本愛祐

    ○岡本愛祐君 政府が御努力になつておる点は承知いたしておりますが、この右側通行に限つてなかなか実効が上らないというのは実情だろうと思うのです。それで右側通行にしてから左側通行の場合よりか事故が減つたかどうか、それは車の多い少いによりますが、そういう調べができておりますか。それから欧米の例を引かれますが、殊にアメリカは道が広いのです。道が広い所は右側通行も可能なんです。ところが道が日本では狭いものですからそこに車馬と人と一緒に対面交通をするということはなかなか困難です。もうどぶ板の上でも歩かなければ右側は歩けない。そういうような所が多いのでありまして、それで自然に左側になつてしまう。そういう状況であつて、安全旬間などもつていらつしやいますが安全旬間をやつていらつしやるときでも、警官がいなければ左側通行になつてしまう。まして安全旬間でない場合は左側通行で堂々と車馬と人と通る。この道路において公然とやつておるのでありまして、我々だけが右側をやろうといつてもなかなかできない。統計がありましたら御披露を願いたい。
  48. 柏村信雄

    政府委員柏村信雄君) 交通事故の数字でございますが、これは遺憾ながら逐年増加をいたしておるわけでございます。勿論自動車台数も飛躍的に殖えまして、それに終戦後における人口の増加というようなことも加わりまして、交通量が非常に殖えておるということのための事故増加ということになると思うのでありますが、二十四年度におきまする事故件数が二万五千百十三、それから二十五年度におきまして三万三千二百十二、二十六年度が四万一千四百二十三、この増加率をとつて見ますると、三十三年から二十四年に対する増加率が一七・七%、二十四年から二十五年におきまする増加率が三二・三%、二十五年から二十六年におきまする増加率が二四・七%ということになつておるわけであります。次に自動車の増加状況でございますが、二十四年度におきまする自動車数が三十一万二千八台、それから二十五年度が三十八万七千五百四十四台、二十六年度におきまする自動車数が五十万二千八百三台こういうことになつておりまして、二十三年度に対しまする二十四年度の増加率が二三・九%、それから二十四年度に対しまする二十五年度の増加率が二四・二%、それから二十五年に対する二十六年が二九・七%ということになつておるわけでございます。これは勿論自動車の全国的な調べでございますので、これを以て一概にどうこうということは申上げられませんが、対面交通に直接関係のあるものといたしましては、左側通行に起因する事故が四九%という数字になつておるわけであります。これは対面交通を守らないで起した事故でございます。右側通行が従たる原因若しくは間接の原因となつて発生した事故もあるかと存じますが、統計面にちよつとこれを求めることは無理でありまして、現在まで特に目立つた例はないように存ずるのであります。
  49. 岡本愛祐

    ○岡本愛祐君 今その左側通行によつて起された事故が四九%といわれるのは、すべての事故の中の四九%ですか。
  50. 柏村信雄

    政府委員柏村信雄君) これは対面交通をいたしておりまするところにおける歩行者の事故でございます。
  51. 岡本愛祐

    ○岡本愛祐君 ちよつとこれはあいまいなんですが、つまり対面交通が原則であるけれども、対面交通ができにくいというので、左側通行をやると、まあこういうことになるだろうと思うのですね。そこでその事故が起る。それがその何の四九%かわかりませんが、ともかく非常なこれは実態だと私は思うのです交通事故の……。だからこれは右側交通は非常に危ないのだ、守れないということから、又守つてつても危ないんです、ほんとを言うと。だからもつと根本的に政府考えたほうがいいのじやないかと思うのですがね、ちよつと申上げます。
  52. 柏村信雄

    政府委員柏村信雄君) 先ほどから対面交通が日本の道路においては技術上しにくいというお話でございますが、歩道のある所についての問題ではなくて、歩道のない所の問題といたしましては、右側が励行されるということになれば、決して左側通行で対面交通でない場合よりも事故が多くなる、或いは歩きにくいという問題は技術的に起らないだろうというふうに考えるのであります。
  53. 岡本愛祐

    ○岡本愛祐君 どうも私の言うことがおわかりにならんと思うのだが、つまり日本の長い習慣とそれから鉄道構内なんかにおける殆んど左側通行である事実と、そういうことから右側通行というものは日本人としてなかなかやりにくい。それに加えて日本では道が狭い。で、対面交通即ち右側通行、人が右側を歩こうと思えば衝突しなければならんというところが多い。だから止むを得ず左側に行くというのが現況なんです。殊に少し繁華なところがそうなるのです。そこでいろいろな車のほうがそのつもりで来ないし、それで事故が起きるということが多いんじやないかと、それを指摘しているのであつて、まあ今すぐこれは左側に直すという意味ではありません。もつと本気になつてこの調査をせられて根本的な対策を立てる時期が来ておるのじやないかと、こういうことを申しておるのです。
  54. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 私もこの問題は前から参議院が取上げてみてもよい問題ではないかと思つてつたのですが、とにかくこうして人口は殖える、自動車は戦前より何倍になつているか、とにかくすばらしい状態であつて、今もう道路拡張もできず、市区改正も貧弱な自治体財政や国民負担の状態ではやれないというようなことから見て、国民多年の習性等から見てこれを検討しますと、この左側通行というものは一つ抜本的に考慮すべき問題であると思われるので、この際参議院の地方行政委員会がこれを取上げて、合い間合い間に公聴会でも開いてやはりこれは検討すべきじやないか。公聴会を一つこれはやつてみたらいいじやないか知らんと思うのですが、どうでしようか。
  55. 岡本愛祐

    ○岡本愛祐君 岩木君のお説に賛成、公聴会をやりましよう。
  56. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 これは公聴会を息の詰るように急いでやらないでもいいが、予定日程によつて一日ぐらいのものはやつてもいいと思うのですが。
  57. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) それではお諮りいたします。只今岩木委員並びに岡本委員より只今この法案のうちの左側通行並びに右側通行と言いますか、この問題について公聴会を開いてはというお話がございましたが、これに対しまして御意見を承わります。……それではこれにつきまして公聴会を開くことに決定いたしまして御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  58. 岡本愛祐

    ○岡本愛祐君 この問題は角立つたものでなくても参考人を呼ぶという程度でもいいかも知れませんよ。どうでしようか。今の交通量では行当るのですよ。そのために道路の狭い所での対面交通というやつはいいのかどうか。そう自由党の面目にはかかわらんよ、これは。この問題は実はこの法律を作るときに非常に問題になつたのですよ。これと今ここに改正が出ているが、この交叉点を迂回しないで直近を回つたほうがいいんじやないか。これはもう社会党の三木さんが非常に主張されたのです、今副議長をしている三木さんが。我々も賛成でそれはそのほうがいいじやないかということを言つたのですが、まあ政府の原案通り早く通してくれということで通した。ところがこの交叉点の直近を近回りするやつは、これはこういう改正が出て来た。もう一つの右側通行もやはりできない。だから今おつしやるように公聴会でもなお結構ですが、公聴会又は参考人を呼ぶという程度でどうでしようか。
  59. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) それでは只今の点は、来週中に適当な日を選びまして午前中でも半日つぶしまして参考人を呼ぶことにいたして御異議ありませんか。
  60. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 異議ありますけれども……。
  61. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) それでは大体参考人程度にしなさつたようでございますから、参考人を呼ぶことにいたします。
  62. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 公告して各界からもいろいろ関係方面も……。
  63. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) まあ一つ手続その他の点はお任せを願いたいと存じます。  それではその他につきまして御質疑のおありのかたはお願いいたします。
  64. 柏村信雄

    政府委員柏村信雄君) 先ほど歩行者の事故の四九%と申上げましたが、これは誤まりでございまして訂正さして頂きたいと存じます。事故の原因としまして左側通行、信号無視、車道通行、歩道外横断それから斜横断、車の直前直後横断、踏切の不注意、路上の遊戯とか酩酊、徘徊、心身欠陥、その他というふうにいろいろ事項が挙げてございまして、そのうち最も多いのが車の直前直後の横断、これが千七百三十二件になつております。歩行者の事故が全体で三千九百八十件のうち千七百三十二件が車の直前直後の横断でございまして、次に多いのが車道の通行と踏切の不注意、踏切の不注意のほうがちよつと多うございます。踏切の不注意が四百三十、車道の通行が三百六十人、酩酊、徘徊、が二百八十五、それから斜横断が二百十九、で、その次に左側通行による百九十四という歩行者の事故があるようなわけであります。なお附加えて申上げておきますが、宮崎県におきましては対面交通の導守率が八〇%という成績を挙げておるわけでございますが、この宮崎県におきましてはむしろ今年度において交通事故の発生が前年よりも減少している。全国的に増加しておるにかかわらず宮崎県において減少しておるというような実情もありますので、御参考までに申上げておきます。
  65. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 他に御質疑ございませんか。
  66. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 今日はこれを上げるのですか、上げないのですか。
  67. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) この問題は岩木さんからも先ほどの参考人を呼べということがございますから、今日は上げるようなことにはなりません。
  68. 岡本愛祐

    ○岡本愛祐君 明日この道路交通取締法の一部を改正する法律案を又審議する御予定のようですが、今のような問題がありますから、別のものをやられたほうがいいと思います。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  69. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 今の岡本君の御意見通り参考人を呼ぶということにいたしましたから、この予定は変更いたします。  それではなおこの点以外について御質疑がございませんか。なければお諮りいたしますけれども、明日は道路交通取締法予定でございましたが、参考人等を呼ぶ関係もありますから、そうすると一応明日の午前中にでも地方税の衆議院修正案の説明でも求めますか。
  70. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 私かねて委員長にお願い申上げておるのは、地方税もいいかも知らんけれども、かねて建築基準法で府県から市町村に委譲すべき行政事務を未だに府県が渋つて渡さないということから全国各府県に摩擦が起つて来る。非常に急いでおるような地方もあるらしいので、この際建設大臣及び自治庁の大臣、当時の建設次官である岩沢参議院議員を証人に喚問してこれが解決を図らんと欲しておるわけですが、お諮りを願いたい。
  71. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) そうすると岩木さん、この間承わりました建設大臣と自治庁の大臣……。
  72. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 それから当時の岩沢次官、併しこれは来週でもいいのです。
  73. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) それでは今の岩木さんのは適当な機会にいたしますが、明日は地方税法の説明を聞くか、地方制度調査会設置法案、これはまだ聞いておりませんが、これをしますか、どういたしましようか。
  74. 岡本愛祐

    ○岡本愛祐君 私の意見としては、今委員長が御発言なすつたように地方税法の修正が衆議院からもう廻つておるのですし、又今陳情も多く来ておりますから、ここで早く説明を聞いたほうがいいと思います。
  75. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) それでは明日は午前十時から地方税法の衆議院の修正案の内容につきまして野村專太郎君が説明するそうですから、その説明を聴取いたします。  それでは本日は御質疑がなければこの程度にいたしまして、これにて散会いたします。    午後三時十九分散会