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1952-04-26 第13回国会 参議院 地方行政委員会 第27号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年四月二十六日(土曜日)    午前十一時三分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     西郷吉之助君    理事            堀  末治君    委員            愛知 揆一君            石村 幸作君            岩沢 忠恭君            高橋進太郎君            館  哲二君            若木 勝藏君            吉川末次郎君            林屋亀次郎君   国務大臣    国 務 大 臣 岡野 清豪君   政府委員    地方財政委員会   事務局税務部長  後藤  博君   事務局側    常任委員会專門    員       福永與一郎君    常任委員会專門    員       武井 群嗣君   説明員    地方財政委員会    事務局税務部府    県税課長    柴田  護君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○日本国アメリカ合衆国との間の安  全保障條約第三條に基く行政協定の  実施に伴う地方税法臨時特例に関  する法律案内閣提出・衆議院送  付)   —————————————
  2. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) それでは只今より委員会を開会いたします。  本日は昨日に引続きまして、日本国アメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定実施に伴う地方税法臨時特例に関する法律案につきまして質疑を継続いたします。なお、昨日御要求がございました資料につきまして、只今手許資料を配付いたしましたので、これに関しまして説明いたさせます。
  3. 柴田護

    説明員柴田護君) お手許にお配りいたしました資料でございますが、これは現在政府側においてわかつております米国軍駐留しておりますところ日本以外の国と、その国と米国の同に結ばれた、日本に対する行政協定と同じような協定の抜萃であります。内容は、ここに掲げておりますのは米英協定、それからその次が米比協定、それから米国とイタリアの米伊相互援助協定、一番最後参考に挙げましたのが北大西洋條当事国間の協定というのがございますが、この中で日本行政協定を結びます前に参考にされましたのが、実際上はまだ発効しておりませんけれども、一番最後北大西洋條約の当事国の間の協定、これが一番参考にされております。併しながらこの協定日本行政協定の場合と比較いたしますと非常にあらいのでございまして、日米行政協定のほうが遥かに具体的であります。遥かに細かい規定が載つかつているわけであります。米英協定から参りますと、米英協定第十四條に「関税及びその他の税」というものが一応挙げてありましてそこでは「内国消費税消費税またはその他の公租公課は課せられない」という原則をとつております。中に書いてありますものは、内容日米行政協定の場合に比べまして、これと似ているものもございますし、似ていないものもございますが、大体日米行政協定の場合より遥かに漠然としているということが言えると思います。それからこれに対して十七條の課税ところ課税に関する所得関係の、或いは財産関係の税、これに対する非課税規定を設けておりますが、これも日米行政協定の場合と比べまして非常に規定があろうございまして、これだけからは非常に漠然とした感じを受けます。日米行政協定の場合のほうがもつと具体的であるし、もつと内包も外延も非課税対象はつきりしているということになつております。それから米比協定におきましては、これは相当具体的でありますが、日米行政協定等の場合と比較いたしまして大体似通つた点もあるのでございますが、これは所得税規定が大体主でありまして、その他の規定はむしろ非常にあらい。所得税につきましては非常に詳細にここで規定をいたしております。この米比協定の十八條が「基地内における販売及び役務」ということであつて、「合衆国は、合衆国軍隊並びに許可された文民職員及びその家族の專用のため、譲許施設を含めて、販売部及び酒保、食堂及び社交クラブのような政府施設を、すべての免許料手数料売上高税消費税若しくは他の税又は課金を要しないで基地に設ける権利を有することが、相互に合意された。」と書いておりましてこれは丁度日米行政協定のPXに関する條項と大体同じわけであります。この米比協定とやはり日米協定と比べますと、まだあらいのでございまして、日米行政協定のほうがまだもつと具体的に書いてあるのじやないかということが言えると思います。いわゆるこの三つの行政協定の中では、まだ米比間の協定日米行政協定に非常によく似ているということが言えるのじやないかと考えます。米伊相互援助協定はこれは全く漠然としておりまして、これは具体的に課税内容を見なければ何とも言えないのであります。一般的な規定だけを載せております。なお米仏協定を実は調べたのでございますが、適当な資料が手に入りませんので、遺憾ながら本日ここにお持ちすることができなかつたのであります。それぞれの国につきまして、それでは如何なるこの協定に基きまして国内法を制定しているかということにつきましても資料が十分でございませんで、御希望に副うように間に合わせてここへ今日お出しすることができなかつたわけでございます。時間的等制限もありまして、調査が十分に行かなかつたことをお詫び申上げます。現在までの調査いたしておりまするところでは、今概略申上げましたのは大体日米行政協定と類似の協定に関する非課税範囲等に関する資料内容について御説明申上げたわけであります。
  4. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 昨日私が要求いたしまして、早速この資料を頂いたのでありますが、今御説明下さつたのは自治庁のかたですか、外務省のかたですか。
  5. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) こちらは財政委員会府県税課長です。
  6. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 そうですが、それなら結構ですが、それで差当りたち要求は、今我々の前に賛否を求められている地方税法臨時特例に関する法律案でありますから、今お話もありましたが、特にこの法案内容としています地方税特例に関する他国アメリカとの行政協定の事項を專ら参考にしたいのでありますから、その点についてまだ今もらつたばかりで十分よく読んでおりませんが、今の御説明にもありましたが、各協定について私たちが今一番問題にして知ろうとしている地方税関係條項のことだけもう一度はつきりこの参考資料の何頁のどこに出ているかというように、一つ指示してもらつたらいいかと思います。そのように一つお願いします。
  7. 柴田護

    説明員柴田護君) 他方税に関しまする條文というのは、この参考資料の中では、関税部分を除きますれば大体全部該当するわけであります。特に地方税に関する部分という恰好で取上げて行きますと、一応すべてのものが該当すると申上げざるを得ないのであります。と申しますのは法定外普通税というのがございまして、あれは所得でも物件でもすべてのものが課税対象になり得るわけであります。それを考慮に入れますと、全部の條文がやはり該当して来る、関税部分関係でございませんが、関税以外のものにつきましては、所得につきましても、物件につきましても、或いは手数料売上高税につきましても、全部該当いたしております。まあこれで眺めて頂きますと、米英協定で申上げますと、十四條「関税及びその他の税」と書いてあります。この「その他の税」の中でやはり「内国消費税消費税又はその他の公租公課」と書いてありまして、内国消費税国税だけかと申しますと、地方税の場合には法定外普通税としまして内国消費税がないわけでもないのであります。従いましてここに書いてありますが、こういうものを対象にして特に消費税を課そうと思えば地方団体は課し得るわけなのでありまして、やはり該当しているわけであります。併し主として地本税の場合は、米英協定で申上げますと、十四條の(4)、それから十七條は大体全部地方税関係でございます。それから米比協定は十二條でございますが、これは地方税関係では所得税はございませんが、所得に関する課税は、所得課税標準にしておりますところの税は事業税もございますし、市町村民税があるわけでございますが、それ以外は法定外普通税を課し得る余地があるのであります。内国所得税に関する免除ということはこういう意味から大体地方税関係があります。それから十八條の基地内における販売及び役務、これは全面的に地方税関係している條文でございます。それから米伊相互援助協定、これは非常にあらいのでございまして、これは参考にはならないと思います。それからその次の「軍隊の地位に関する北大西洋條当事国間の協定」でございますが、これはこの協定において第一條の(a)(b)(c)というものが大体日米行政協定一條によく似ている。それから十條の一項につきましても、同じような規定国税地方税を通じまして日米行政協定に類似しております。それから同じく十條の二項もやはり地方税関係するものと考えられます。それから十一條は、これは大体において関税関係でございますが、十一條の二項の(c)、これもやはり自動車税等関係地方税関係すると言い得ると思います。同條の四項以下五項、六項、これは主として関税のことを書いておるのでありまして、内国税には直接の関係はございませんが、大体そういうものが北大西洋條約の関係では問題になり、参考になるところでございます。あとは大体北大西洋條約の関係候文関税のことが主でございまして、内国税のことは余り出ていないのであります。簡單でございますが、大体地方税関係いたしまする條父について御説明申上げました。
  8. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 それで今資料を頂いたばかりで、よく読んでみないとはつきりわかりませんが、併し概略我々の前に提出せられておりまする地方税臨時特例に関する法律案内容としております非課税対象については、米軍駐留についての諸外国の行政協定において又同様に非課税とされておる、課税免除されておる、こういうようなことに、今の御調査の結果は概略を言つて頂くとそうなるわけなんですか。それをもう一度お答えを願いたい。
  9. 柴田護

    説明員柴田護君) 規定が非常にあらいものでございますから、全部この点とこの点は違う、この点がこの点と違うといつたように具体的に御指摘申上げますには、その内容をこの協定に基きまする国内法がどうなつておるかということを調べる必要があるのでございますが、大体において御趣旨の線に沿つておると思います。
  10. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) この参考資料並びに法案全体について御質疑をお願いいたします。他に御質疑ございませんか。
  11. 若木勝藏

    若木勝藏君 今の御説明のあつた分については、私も吉川さん同様まだ十分読んでおらないのではつきりしたことはわかりませんが、今の御説明の中にあつたところに、いわゆる日米行政協定の場合に比較して、漠然としておる、或いは非常にあらくできているというようなことは、これは日米関係におけるいわゆる本法案のごとくに非常に厳密に非課税対象としている、こういうふうにはできておらない、どいうような意味ですか。
  12. 柴田護

    説明員柴田護君) 日米行政協定のほうが非常に具体的である、こう思います。大体の方向におきまして、この協定日米行政協定との線は相違はありません。日米行政協定のほうが遙かに具体的である、こういう意味であります。
  13. 若木勝藏

    若木勝藏君 私も遙かに具体的であるというようなことを考えるのでありますが、その点から見ましてそれだけにこちらのほうは非課税が厳密である、こういうふうに思うのですが、その点はどうですか。
  14. 柴田護

    説明員柴田護君) ものによつては必ずしもそうと言えないものがあるの参じやないかと思うのでありますが、大体において日米行政協定につきましては非常に嚴格に制限されている、且つ非常に厳しくなつているということが言えると思います。
  15. 若木勝藏

    若木勝藏君 第五條について伺いたいのでありますが、「その公認調達機関証明様式は、地方財政委員会規則で定める。」そうすると、この証明は誰がするということになるのですか。証明様式地方財政委員会規則で定める、同時にそれは証明することも財政委員会規則で定められるか、その点を承わりたいと思います。
  16. 柴田護

    説明員柴田護君) 証明することは財政委員会として定めるのではございませんので、法律証明のある者という規定から、公認調達機関なり或いは合衆国軍隊なり、その権限ある機関なりが証明するわけでございますが、ここに五條規定を置きましたのは、地方税の場合は非常に課税団体が多うございますので、証明様式等も一定しておりませんと、課税上非常な混乱が起きたり、或いは課税さるべきものが課税されなかつたり、或いは二重課税が起るというような問題が起る虞れがありますので、証明害様式委員会において統一しておきたい、こういう意味五條を置いたのであります。
  17. 若木勝藏

    若木勝藏君 それで証明様式を作るというのは地方財政委員会規則でやるということがはつきりしましたのでございますが、それは向うとの連絡が十分保たれて、この様式が十分適用するということははつきりするのですか。
  18. 柴田護

    説明員柴田護君) 予備作業班におきまする課税委員会で以て様式等の詳細を打合せておりまして大体こちらのほうから原案を示しまして、向う承認を求めるようにいたしております。
  19. 若木勝藏

    若木勝藏君 承認を求めるようにしておるわけですね。
  20. 柴田護

    説明員柴田護君) 現在打合中でありまして、大体その打合せが終り次第財政委員会規則を制定公布するつもりでございます。
  21. 若木勝藏

    若木勝藏君 昨日私の質問いたしましたところ契約者関係する事業税、それから特別所得税免除の場合でありますが、結局事業又は業務が果してそういうものである、それに該当するものであるということの認定はなかなか困難であると私は思うのです。と同時にこれは地方公共団体認定するというような御答弁があつたのでありますが、若し徴税官あたりが見まして、明らかにその業務を超えておるというような場合には、或る場合においては裁判問題というような方面も関係して来るのではないかと思うのでございますけれども、そういうような場合においては裁判管轄権というふうなものは向うのほうにあるということになりますか。その点をお伺いしたいと思います。
  22. 柴田護

    説明員柴田護君) その場合におきまして課税の違法、合法の問題が起りました場合には、行政協定に伴う民事訴訟法特例に関する法律案適用になりまして、若しそれが民事訴訟法上の問題ですと、民事訴訟法上の特例適用になりますし、刑事訴訟法上の問題ですと、刑事訴訴法上の特例適用されることになるのでありまして、その場合には裁判管轄権向うのほうにあると、こういうことになります。
  23. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 他に質疑はございませんか……質疑がなければ昨日お諮りいたしました通りに、この法律案討論採決に入つて頂きたいと思いますが、異議はございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  24. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 御異議ないものと認めます。それでは質疑は終了したものと認めまして御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  25. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 御異議ないと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のおありのかたはそれぞれ賛否を明らかにしてお述べを願いたいと思います。なお修正意見等がございましたら、討論中にお述べを願います。
  26. 若木勝藏

    若木勝藏君 私は党を代表いたしまして本法案反対意見を申述べるものであります。  我々は先に政府が締結いたしまたところ行政協定は、これは或る場合には再び戦争の惨禍に巻き込むところの憂えがある。特にアメリカ他国と戦争するというような場合におきましては、直ちに原爆の危險にさらされる。更に合衆国軍隊公益事業及び公共的な役務を常時優先的に使用するところ特権、又裁判管轄権をめぐつていわゆる治外法権的な特権が認められる。その他免税或いは軍票の使用国有財産無償使用、そういうふうな特例におきまして、経済的な特権から全くこれは日本行政経済等に強大な支配権アメリカのほうに許すものである。そうして日本自主性を喪失するものであつてそのために我々は反対して来たのであります。ところが本法案関税法であるとか、或いは所得税法、或いはたばこの專売法、そういうふうなものと同様に、この行政協定一つ内容といたしまして合衆国の軍人、軍属、家族契約者等に無期限、無制限亘つていわば租税上の治外法権とも言うべきところ特権規定するものであつて、基本的には日本自主性の確立、その意味から言いまして絶対反対しなければならないものである、こう考えるものであります。  次に、法案内容について総体的に見ますと、これは先般来いろいろ国際慣例によつたものである、こういうふうに御答弁があり、本日又それらに関する所要の資料が提出されて御説明もあつたのでありますが、これらに比較いたしまして、極めて不利な條件で制定されている。そういうふうに私は考えるのでありまして、いわゆる広汎に亘るところのこの免税規定は、これは常に国民が重税に悩んでいる状態から見まして、非常に国民の惡感情を釀成するところのものではないか、こう考えるのであります。  更に細部に入つて検討して見ますというと、契約者がいわゆる合衆国軍隊と結んだところ契約に基いて行うところ事業又は業務に対しまして、事業税又は特別所得税固定資産税免除するようになつているのでありますが、これらが果してその事業たり、業務たりがこれに該当するものであるかということの認定は甚だ困難である。又それらのことによりまして、日本経済に及ぼすところの不利益な影響というようなものが考えられるのであります。そういう点と、次には又先般私もこの点について質問したのでありますが、自動車税であるとか、或いは自転車税、これの徴収について合衆国軍隊の所有する自動車、又は自転車のうち、專ら合衆国軍隊以外のものが使用するものについては、その使用者に対して課税する、こうなつておりますけれども、公用、又は公共の用に供する場合は除外した。そういうことによりまして、その識別がなかなか困難である。でありますからして、事実上これは徴収が不可能になるわけですが、こういうことが予想されるのであります。これは全く地方税賦課原則から見まして、私どもは容認できないところであるのであります。こういう理由から考えまして、私は本法案反対するものであります。
  27. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 私は今議題となつておりまするこの法律案に対して賛成の意を表明いたすものであります。その賛成理由を申述べるに先立ちまして、この法案日米安全保障條約に基くところのものでありますから、只今反対論を述べましたる若木君らと異なる我々の講和條約並びに日米安全保障條約に対するところの態度の相違につきまして、これに附加えて申述べることをお許し願いたいと思うのであります。  先ず、我々は過般の臨時国会の最大なる議案でありました講和條約及び日米安全保障條約に対しましては、我々は講和條約に賛成の意を表明いたしたのであります。それは、その講和條約の内容に不満な点がありましても、我我が今日の軍事占領下から脱却して独立の契機をつかむということの必要上、これに反対することは許されがたきものであるという観点におきまして、講和倹約賛成をいたしました。同時に日米安全保障條約に対しましては、若木君らと共に国会におきましては反対青票を投じたのでありますけれども、併しながらその根本的な趣旨といたします点におきましては非常に異なるところがあつたのでありまして、これに私ども反対いたしましたところ理由は、第一には時期尚早であつて講和條約の発効によつて日本が完全なるところ独立国形式的條件を具備したときにおいて、アメリカ合衆国と対等の立場において日米安全保障條約が結ばるべきところのものであるということと、第二には行政協定内容の公開を政府要求し、日米安全保障條約の内容が明確になつたときにおいて米軍駐留を認めるところ安全保障條約が締結さるべきものであるという立場において我々は青票を投じましたけれども、併しながらこの條約の基本的な趣旨といたしておりますところの條約の前文に掲げられておりますような、日本講和條約の発効によつて独立国となつても、世界においてはなお無責任な軍国主義侵略が跡を絶たないから、日本自衛力ができ上るまでこれに代つて米軍駐留するということにつきましては、我々はこれを大体において承認いたす立場とつたものでありまして、これに反対するところの人が平和主義的な見地から、日本がいわゆる軍事的な真空状態になつてもこの條約の前文規定されておるような無責任なる軍国主義的な侵略というものはあり得ないというような考え方は極めて非現実的な、極端に言うならば、世界の現実的な政治の情勢に全く無知識なるところの人の見解であつて、我々はそれに賛成することができない。又もう一つ日米安全保障條約に反対したところ人たちが、仮に無責任なる共産主義者その他の軍事的侵略があつた場合においても、手を挙げて日本人がそれに反抗さえしなかつたならば、日本は再び戰場化するところの憂いがないのであるからして、平和主義を守るという建前からこれに反対するのであると言われておりまするところ見解というものも、これは我々が一時も早く国連に加入することを要求し、又国連憲章がそうした無責任なる侵略者、アグレツサーに対しては国連軍軍事力以つてこれを反撃するということをばきめておりまする限りにおいて、又その行動を現実的な世界平和の維持のために必要であるという立場をとりまするところの我我といたしましては、かくのごとく非現実的な又その結果においてはむしろ日本を一番早く戰場の巷とするような誤まれるところ見解をとつている人たちのむしろ強き反省を要求いたしますると共に、そのような誤まれる僞の平和主義的見解反対する意味におきまして、骨子においては我々は日米安全保障條約によるところ米軍駐留をば肯定いたす立場とつたものであります。そういう見解に立ちまするならば、ここに無責任なる軍国主義的侵略防止のためにアメリカ軍駐留を肯定いたすのでありまするから、常識的に考えまして、大体においてこれくらいの私は地方税に関する非課税特例というものは承認しなければならないのではないかと考えておるのであります。  なお、北大西洋條約及び米比軍事協定並びにイギリスにおけるところ米軍駐留に関するところ協定等内容におけるところの同様なる事例につきましては、当局から今若干対照的な説明がありましたけれども、なおその提供されたところ資料については熟読するところのいとまを持つておりません。併しながら不十分ではありまするが、責任を持つた概括的なところ説明を信用いたしまして、なお後日この法律ができ上りました後におきましても、明後日行政協定は効力を発生するのでありまするから、時間の関係上審議は必ずしもみずから完全であるとは思つておりませんが、賛成いたしたいと思つておりますが、或いは後日更にこの法律改正の必要を認めました場合においては、改正案を提示しなければならないようなことになるかも知れないと思つております。  なお更に、行政協定に対しましてこの機会に一言申上げることをお許し願えまするならば、昨日も申しましたことでありまするが、行政協定全体といたしまして、これは国会承認を必要とするものであるということは、憲法第七十三條の明確に規定いたしているところでありまして承認を要しないというところのしばしば本国会においてなされましたるところ政府答弁は、明らかに法律上誤まつておる見解であるということを私は深く信じておるところのものでありまして、これは新憲法におけるところ憲法学上坂初のケースでありまするから、いわゆる職業的な日本憲法学者の中におきましても意見が分れているようでありまするが、私の信ずるところ、明らかにこれは七十三條によつて承認を要すべきものであるということを確信いたしております。この承認を要するというところの決議案に対しまして、ひとり与党とみずから称しておる者のみならず、平素公正なる中立的立場を持することを誇りとしておられるところの緑風会の多数の諸君がみずから明らかに憲法違反行為をなされたということにつきましては、私は日本の憲政の記録上末代に亘つて、汚辱的な歴史を残されたものであるとして、私は緑風会のために惜しむものであるということを一言申上げておきたいと思います。  結論的に申しまするならば、本法案に対しましては、今日におきまして賛成いたすものであるということを繰返して申上げまして、私の討論を終ります。
  28. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 他に御意見はございませんか……なければ討論は終局したものと認めまして御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  29. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 御異議ないと認めます。  それではこれより採決に入ります。日本国アメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定実施に伴う地方税法臨時特例に関する法律案について採決をいたします。本法案を原案通り可決することに賛成の諸君の挙手をお願いいたします。    〔賛成者挙手〕
  30. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 多数と認めます。よつて法案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、本会議における委員長の口頭報告の内容は、本院規則第百四條によつてあらかじめ多数意見者の承認を経なければならないことになつておりますが、これは委員長におきまして、本法案内容、本委員会における質疑応答の要旨、討論の要旨及び表決の結果を報告することとして御承認願うことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  31. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 御異議ないと認めます。それから本院規則第七十二條によりまして委員長が議院に提出する報告書に多数意見者の署名を附することになつておりますから、本法案を可とせられました方は順次御署名をお願いいたします。   多数意見者署名     堀  末治  石村 幸作     岩沢 忠恭  高橋進太郎     愛知 揆一  吉川末次郎     館  哲二  林屋亀次郎
  32. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 御署名洩れはございませんか。御署名洩れはないと認めます。  本日はこれにて散会いたします。    午前十一時四十九分散会