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1952-04-17 第13回国会 参議院 地方行政委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年四月十七日(木曜日)    午前十一時五十七分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     西郷吉之助君    理事            中田 吉雄君            岩木 哲夫君    委員            岩沢 忠恭君            石村 幸作君            岡本 愛祐君            館  哲二君            林屋亀次郎君   政府委員    地方財政委員会    財務部長    武岡 憲一君    地方自治政務次    官       藤野 繁雄君   事務局側    常任委員会專門    員       福永與一郎君    常任委員会專門    員       武井 群嗣君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○地方財政法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) それでは只今より委員会を開会いたします。本日は地方財政法の一部を改正する法律案につきまして質疑を開始したいと存じます。すでに大臣の提案理由説明を聞き、事務当局からの補足説明もございましたので、質疑をお願いいたしたいと思います。
  3. 石村幸作

    石村幸作君 第一番に、この割当的寄附金等禁止の問題ですが、強制割当してはならないということになつておりますが、従来もやや軽い意味で、この強制的徴收することをしてはならないということがあつた。これを受け継いで詳しく載つているのですが、この強制割当というのでなく、形式的に任意に寄附をするというような恰好で作為的というか、こしらえて寄附を募る。こういう実例が事実全国にあるのですが、これをどこまでも禁止するかという点と、それから今度全然この寄附なしで、寄附を全然禁じたとするならば、例えば国家警察自治体警察もそうです、学校運営、こういうふうな面に対する、まあ警察だと昔は後援会、現在は協力会学校だとまあPTAというような名前の下にこれは寄附をみんな、事実これは全国的に普遍的にやつておりまして、事実これがないと警察なり学校なりが運営がむずかしい。こういうふうな状況なんでして、例えばこの警察の場合に、事実調べて見ると、国警のごときはこの後援費、早く言えば寄附ですが、これがないと事実において運営がやつて行けない。国家予算面が非常に不足しておるというのは事実であります。学校において然り。こういうようなものに対してでも、例えば外郭団体のような恰好寄附を集めておる。こういうようなものまで必ずこれを禁止するという御意図ですか、伺いたい。
  4. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) いわゆる割当的寄附金等禁止に関しまして只今の御質問でございますが、この規定趣旨といたしておりますところは寄附金のようなものを割当て強制的に徴收する、或いはこれに該当するような行為を含めての意味でございます。こういうことを禁止しようというのがこの規定主眼でございます。従いましてどこまでも各団体なり或いは住民意思に反して、言葉惡いかも知れませんが、公課公租のごとくどうでもそれだけのものを出さなければならんというやり方で寄附せしめるというようなことを禁止しようというのが狙いでございます。従いまして他面只今指摘のようにそうでなくて協力するというような意味で、その行為の目的なり、或いはその団体なり、或いは住民財政経済等の状態からして無理がないというような程度におきまして任意的に行われます寄附金まで全部全面的に禁止しようという狙いではないのでございます。
  5. 石村幸作

    石村幸作君 今の御説明御尤もですが、これは当然そうおつしやらなければならないのでして、今の世の中にこの寄附強制的に割当てて、そうして公課税金のようにこれを強力に取る、そういうふうなことはあり得べからさることだんで、どうしても国なり、又は公共団体なりがこれを寄附を仰ごうとすると、又今言つた警察のごときことをするとなればそこに強制割当でない方法を皆作為的に使うわけです。それで住民の自由意思によつてこれを寄附するという恰好にはなる。今おつしやつたようなこの文句にある強制的に割当てるということは事実あり得べからざることで、そんなことをしたらこれはとんでもないと非難を受ける。そこをやんわりした方法を講じて強制割当と結果においては同じ寄附行為を、皆募つているわけなんです。例えば今地方大学ができる、国の国立大学、これは皆地方寄附を仰いでいる。それで一つ強迫ですね。寄附を出さなければ学校をこしらえないぞ、拡張しないぞともつて来る、それで仕方なしに市長村長のごときはまあ国立大学々我が県にも一つ欲しいというところで不満ながらこれを了承するというような状況です。特にこの国家警察のごとき、或いは県のごとき、殆んど町村住民から取らずに、まあ住民から取るのではなく、住民から取るのでは煩に堪えないから町村予算の中からこれを支出しておる。これは各方面にそういう事実がはつきりある。町村費からこれを出しておる。出さなければならないから出しておる。それを出して行かなければその国家警察のごときは警察署に與えられた予算では事実運営ができない。それは決して警察吏員に給與的な、又は厚生面というだけでなく、主として捜査面、又犯人を留置する費用なり、それから又消耗品、又特に冬になると、薪炭というようなものを現在の国の予算では事実やつて行けないから、どうしても取らなければならん。そうすると、警察というものは金ボタンにものを言わせてやる。決して強制割当というような恰好にしないで、住民又は町村その他組合というようなものからこれを醵出させておる。これは全国全部恐らく如何なる警察署でもそういうことのないところはないと思います。これは税金にも等しい。つまりこれはもつと国が出さなければならん予算を、警察なんかは多少不足があつてもそういうような寄附で補えるだろうという見通しをつけてやつておる。こういうことではこの條文が恐らく空文になりはしないかと思つておるのですが、その点どうですか。
  6. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) 誠に御指摘通りでございまして、実際に行われます寄附金強制的に行われておるものであるか、或いは任意的なものであるか、実際の認定は非常にむずかしい問題だろうと思います。そういう問題につきましては、結局この規定精神といたしますところは地方の健全な財政維持運営を図つて行くということにあるわけでございまして、国なり或いは公共団体なりに対しまして、こういう行為禁止する、一種の言つて見れば訓示的な規定でございますので、それらの個々の問題につきましては、結局それを行うとする国なり或いはその他の各機関の道義的な判断と申しますか、そういうものに任せざるを得ないのではないかと存ずるのであります。実際問題といたしまして、それが不当なものであるかどうかというようなことは、結局一つ社会通念に照しましてこれを認定する以外にはないかと存じます。
  7. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 只今石村君の御質問に関連して、皆様のお手許に参つておると思いますが、兵庫県におきまして寄附金調査集計表というものを二十五年度、二十六年度の両年度に亘つて詳細に調査して送付してあると思いますが、それを見ますと、二十六年度で申しますと、国及び国の機関に対する寄附金が二千九百八十五万円。それから県及び県の機関に対する寄附金が一億一千三百八十九万。それから諸団体に対する寄附金、これが一億三千八百三十六万円。それからその他の寄附金と申しますのは国連軍慰問金であるとか、国民体育大会選手派遣に対する寄附金PTAに対するもの、衛生方面に対する寄附金、こういうものでそれが一億二千百三十九万円、税に代る寄附金、例えば小学校校舎建築費、中学校のもあります、保育所に対する寄附金役場庁舎建設に対する寄附金、そういうものが二億七千五百四十九万円、合せて実に六億七千九百万円余になつておるわけであります。そこで今度の改正の第四條の二は国はこういう寄附金強制してはいかんということになるのですが、要するに非常な寄附金でありまして、これでは殊に市町村財政がたまつたものではないということになるのでありますが、殊にこの国警寄附金が非常に多い、そのうちで二千百九十一万円ということになつておりますが、これはどういうものでありましようか、わかつておりましようか、国警に対する寄附金は……。
  8. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) 警察寄附金の詳細な調査をいたしておりませんが、よく聞きます例は例えば国警地区署の各市町村駐在所を建ててやるとか、或いは又そのほか経営的ということではございませんが、その捜査に関する経費、或いはその他いろいろな科学的な研究等をいたしまするために不足する資金を提供する、そういうようなものがいろいろ含まれておるように聞いております。
  9. 中田吉雄

    中田吉雄君 その問題なんですが、私も実は数件自分でも拜見しておるのですが、これは結局單価増を認めないということが私は非常に大きな、このインフレーシヨンのときに單価増を認めない、單価が上ればスライドで認めてやるという制度があればいいんですが、私もやはり国警の新築で関係いたしましたのは、先ず全部の数百坪の敷地を地元で持たせる、更にそこにある家を移転する費用負担させるというようなことで、全町村二十何カ村に十万円ずつくらい割当てた体験も持つています。更に裁判所もそういうふうにして、検察庁もありまして、検察庁自体が非常にいろいろなやりくりをして法務府に請求しても来ないからやはりやつていますし、それから労働省関係の基準局その他でも例えばこういうふうにしてやるのです。たくさん各県から申入がある。予算の枠はこれだけしかない、あなたのところが敷地を出せば、或いは局長の住宅を寄附するのならあなたのところから優先的にやりましよう、ということになつて切羽詰つてやらざるを得ない。表面は強制ではありませんが、事実上それは石村さんが言われたような方法を毒しての、例えば丁度講和條約の二十六條には二つの中国のうちどちら々選ぼうが日本の自由だということになつていながらいろいろ方法を盡してやらざるを得んというふうに、これはもう土木の工事なんかは全部行われておるのです。一つの各県の災害復旧の要求が大きいのですが、その半分もやれませんから県で割当てた中でできるだけ手広くやろうそこで負担率をやはり下のほうに負わして国のきめました負担率以上にきめて、せめて災害が拡大するのを防止しよう。全く余儀ない。全体の枠が国がやはり予算を絞る点と、軍備増を認めない点が私は非常に大きな原因だと思うのであります。これはそういう弊害を痛感されてやられた当局の苦衷は察しますが、財源措置を伴わずしては、これは依然として実際空文に帰する危險性が大だと思うのですが、一つそういうことを兵庫県ですか、今発表されましたのは有益ですので、そういうことを一つ全国的にやつて、どれくらいそういう負担が嵩んでおるかということも一つしてもらいたいという希望質問というよりも希望です。私も国の出先機関が県にできる場合に、そういうふうに裁判所検察庁警察大学労働省関係、数件体験して皆その費用の斡旋をやつて、これは随分体験していますので、一つこれは実際意味ないなんだと思うのですがね。
  10. 石村幸作

    石村幸作君 もう一度言いますが、これは非常に矛盾が多いんでして寄附を取つてはいけない、これは原則ですけれども、寄附を取らなかつた場合にはその住民がやはり非常な迷惑をこうむるという恰好にもなり、寄附をすることも迷惑であるし、寄附しないことも迷惑だと非常に矛盾がある。寄附してやらなければ自分たちの生活に直接関係のある役所の運営が円滑に行かないということになるのですから非常にむずかしいのです。もう一つは、この寄附のために市町村財政なんかは特に平衡交付金等の算定の面から見ると、これでやつて行けるという恰好には地方自治庁なり地方財政委員会なりではそう御覧になり、又大蔵省なりではそう見るわけですが、事実はやつて行けない。というのはそういう多額の寄附行為が伴つておる、これが住民個人寄附という場合もあるし、多く市町村がそれを背負い込んで支出しておるのです。つまり市町村一般経費の中から出しておる。これは大きな問題です。そのために地方財政の中央で表を作つて睨んだ数字と、末端の本当の事実の財政面とが食い違つておることはそこなんです。そういう点を一つ丁度いい機会でこういう非常に心配をしていられるのだから、自治庁が主になつ地方財政委員会等協力なすつて、こういう面を何とかして一つ打開するというところまで検討して頂きたいと思うのです。
  11. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 強制的に徴收するようなことをしてはならない、こういうのですが、どの程度までを強制的というのか、そのお考えがあれば、わかりやすい標準ですね、それをお示しになつて頂きたい。私はちよつと考えたのですが、その是非とも自分のところへ裁判所を持つて来てくれとか何とかいうので全町民が熱望した、それで而も折角来てもらうのだから町から土地も寄附しよう、又建物も予定よりももつと立派なものを寄附しようというのは強制したものではないと思えるのですが、ところが大体裁判所規格がありますれば、その規格のものを作るについても寄附をするというようなことは、やはり強制なつておるだろうと私は思うのです、一つ標準として……。どうお考えになりますか。
  12. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) どの程度以上が強制であるか、どの程度までは適当であるかという基準は今仰せの通り非常にむずかしい問題であろうと存じます。結局問題としては個々の場合に当りまして認定する以外にはなかろうかと存ずるのでございまして、ただ全体の場合を通じて一応の尺度を作るという工合には行かない問題だろうと思います。只今例にお挙げになられました問題については私も同感でございまして、住民が自発的にと申しますか、その村なり町なりの事情からして是非こういうものは欲しい、そのためには住民は多少の負担をすることは止むを得ないんだ、こういうような全体の意思に基きまして寄附するというようなものは受入れるべき筋合いのものじやないと思いますが、ただその額をどうするかとか、或いはそれをしなければ先ほどお話がございましたように、その半面町村にとつて非常に不利なことがあるのではないかというような、一種の間接的な強迫と申しまするか、そういうことのために意思が歪められるというようなことがありますれば、それはもういけないというような判定をする、非常に抽象的な言い方でございまするが、結局そのようなことの以外には認定方法はないのじやないかと考えております。
  13. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 それから国はいやしくも強制であろうが強制でなかろうが、寄附をもらい、又寄附を受けてはならないというふうに強く規定ができないものでしようか。これについては府県とか、その他の団体、これはまあ止むを得ないとして、国家自分機関を作り、又自分機関運営して行く上に寄附金をもらつちやいかん強制的であろうが強制的でなかろうが、そういうものはすべて国で出すのだ、こういうふうなことにならなければ確定しないのですが、そういうふうになぜやつていないかということをお尋ねしておきたい。
  14. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) 誠に御尤もでございまして、できることならば国としてはほかの公共団体なり、或いは住民等にそういう迷惑をかけて国の施設を行うべき筋合いではないのでありまして、本来大体今回の地方財政法改正にもはつきりございますように、直接国の利害に関係のあるような行為又国のそのために設けられまするところの一切の施設というものにつきましては、国自身負担をするというのはどこまでも大原則であります。そういう意味合いにおきまして、国のための施設を作り、又その施設運営して行くための所要経費というものは当然国が責任を持つて支弁するのが当然でございまするが、又その牛面におきまして実際予算上の問題その他からこれはまあ実情の問題でございまして甚だ好ましからんことではございまするが、実際問題といたしましては、住民なり、或いはその団体が自由な自発的な意思と申しまするか、或いは好意的に国に協力をしようというような意味で以て行われまする寄附でございますならば、あえてそれを全面的に拒否しなければならんというのも現在の段階としては如何かと考えられまするので一応こういう恰好規定なつておるのであります。併しながら基本的な精神といたしましては、御指摘通り本来国がそういうものを団体なり或いは住民から受けるべき筋のものではないとこれは私もさように考えます。
  15. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 殊に国の中で権力を強力に伴うもの、検察庁、それから法務府もそうでしよう、法務局、それから裁判所、税務署、それから国家地方警察、こういうものに対しては実は私は国はそういう今挙げたようなものに対しては寄附を受けてはならないという規定があるのが当然だと思うのです。強く国家地方警察なんかが発動ができないというような例が往々にしてあるのですが、それはやはり寄附金をもらつておるのに対してはそれはできないというような人情的な弱味があり、又そういうふうな住民間に誤解があるのです。やはりこれは検察庁についても同様であろうと思うのですが、これは財政法という大きなこの概括的な法律の中に規定すべきものでないかも知れません、国家地方警察なら国家地方警察に関する警察法の中に規定すべきものかも知れませんが、まあこの財政法の第四條の二の次にそれを置いてもいいくらいに私は思うのですが、その点どうお考えになりますか。
  16. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) 御趣旨の点は全く御尤もだと思います。ただこの法律地方財政法という建前からいたしまして、地方団体ということを主体とした書き方をいたしておりまして、地方団体財政に好ましくない影響を及ぼすようなことを禁止しようというのが主眼でそういう書き方をいたしておるわけであります。従いまして国等地方公共団体からそういうその意に反した寄附を受ける、寄附を受けるというよりは寄附を仰せつける、求めるということを禁止する、つまりそれを、そういう行為を受ける地方団体財政ということに主体を置いて書いてございまするので、国自身地方団体或いはその他の機関等、或いは民間機関等考えられるかと思いますが、地方団体にしろ、或いは民間の会社とかそういうものから寄附を受けるとか受けないとかいう問題は、これはむしろ反対に国なら国、例に引かれました国家警察なら国家警察という見地からそのほうの法律で以てそのほうにまあ主体を置いた考え方でそれを禁止するか禁止しないかという法律を作るということはこれは誠に御尤もだと存ずるのでございまするが、これはこの地方財政改正といたしましてはどこまでも地方団体中心にした書き方なつておりますので、一応こういうふうな書き方にしたものと存じております。
  17. 中田吉雄

    中田吉雄君 私は岡本委員の言われた点は非常に賛成でして、それぐらいなことを入れんと、非常に強固な権力を持つものでないと、国がやはり財源措置をして、威圧とは申しませんが、そういうことによつてやられるようにしてもらわないと、これは実際予防もできないと思いますが、例えば私が知つていますが、簡易裁判所なんかは郡内における最適地ということがわかつておりながら、裁判所も巧妙に二、三カ所の候補地を物色して、どちらにやろうかということで競市みたいな競争をさせて、これは実際私体験しておりますが、そういうことがあつて非常に困る。それから府県予算の中に公安委員会公安協力費というような名目で必ずそういう警察なんか建てるときにはかなりまあ折衝されて合意の上にはまあなるのですが、半ば強制的なことでかなり組まれるんです。公安委員会費用を見て頂くとこれは各県ともまあそういう費用が組まれておるわけで、そこでいろいろ事情があると思いますが、少くともそういう点は一つつてもらいたいと思います。これは特に大蔵省に言うのですが、兵庫県の例を以て見てもなかなかこの政府の見られておるような地方財政寄附でない、実際の寄附でないということが端的にわかつて照るわけです。そこで一つその問題を委員長にお聞きしたいのですが、これは実際もう絶対禁止する、自発的な意思禁止する規定裁判所検察庁で入れられるような方法を技術的に検討して見て頂いたらと思うんですがね、どうです。
  18. 石村幸作

    石村幸作君 今の岡本委員質問に対しての武岡部長の御答弁はちよつと私腑に落ちないのですが、この第四條の二は地方自治体を中心にして作つたんだと、こうおつしやるのだが、この條文を見ますと、国は「地方公共団体又はその住民に対し、」こういうことがはつきりしてあつて、このあとは一応「地方公共団体は」云々とありますけれども、やはり住民に対しても、又公共団体に対してもというのでして、この今の寄附の制限をされた、法律ごとに例えば検察庁なら検察庁法律裁判所、……警察警察法にそういうふうに書いたものがあるというようなことをおつしやつたのだが、そうでないものはそういう精神があるならば、国は地方公共団体又はその住民に対してとここですぐ謳われるわけなんです。個々法律々々に謳わなくてもここで一括してやれるわけなんですと私は思うのですが、どうですか。
  19. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) 私の申上げ方が足りなかつたかと思いますが、地方財政法自身考え方がどこまでも地方団体財政運営ということを中心にして考えておりますので、ここでも狙いといたしておりまするところは、そういう不当なことによりまして地方団体維持運営が乱されると言いますか、困難になる、或いは少くとも不当な抑制を受けるということを禁じようというのが主眼であると存ずるのであります。勿論これに対してそういうような不当な行為禁止するために、もつと強い方法を書くべきであるという御意見は全く同感でございますが、まあ法文の書き方の問題よりも、殊にこういう性質の規定でございますから、国がこの規定精神を酌みまして、実際そういう不当な行為をなすべきでないということが調われておりますならば、その規定をもつと強くして、何と申しますか、国がそういうことをやつた場合にむしろ処罰でもするというような意味の非常に強い規定にするのがいいかどうかということは結局程度の問題かと思いますが、結局はこの精神に現われておりますところを、国の機関としてそういうふうな不当なことはしないようにというふうな一種精神的な訓示的な効果はこの規定でも酌めると思うのであります。それ以上強くいたしましても、国が仮に不当な行為をやつた場合に処罰するとかどうするということは実際問題としてはなかなか困難な問題が起つて来ると思いますが、多少そういうところは言い方が弱いかも知れませんが、そうした行為を一方に禁ずることによつても法の精神を守つて行くという気持を持つて国の事務を行なつて行く限りにおいては法の目的は達せられるのではないか、かように考えます。
  20. 中田吉雄

    中田吉雄君 お尋ねしますが、四條のこのしまいのほうですね、「割り当てて強制的に」という、「強制的」を取つたら大体行けやせんですか。この「強制的に」ということがやまじやないかと思うのですけれども……。
  21. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) 中田さんのおつしやいますのは、「強制的に」という言葉を取つて上まえば強制であろうが自発的であろうが、寄附というものはこれは絶対しない、やつちやいけないという御趣旨であろうと思います。全くそこまで行けば非常に徹底するのでありますが、先ほど申上げましたように現在の段階の、実際の国が持つておりますところの予算状況とかいうふうなもの、それから又仮にその団体なり或いは住民が自発的に協力的に好意的な意味で以てやる寄附まで絶対にこの際禁止しなければならんことを明瞭にすべきであるかどうかというところにまだ幾らか問題があるのじやないか、かように考えます。
  22. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 今中田委員の御質問に関連するのですが、この四條の二の強制的にというのを取つても、これは割当ててというのがある、寄附金を割当てて徴收するようなことをしてはならない、こういうので、割当でなくて個人が好意的に寄附するというのはかまわないというのだから差支えないのじやありませんか。  それからもう一つ、実は個人が任意に寄附をするのでも、権力的な国家機関というものはこれは受けてはいかんという趣旨を私は言いたいのでありまして、それは成るほどあなたのおつしやるように地方財政法のほうに書くべきではないかも知れません、これは他の法律に書くべきであつて、それも恐らく国が強制的に割当てて徴收するようなことをしてはならないという意味は、地方財政法だからこう書いたということもわかるような気がします。個人が任意に寄附をするようなこと、又個人に強制的に割当なくて寄附をして行くことを禁じてないのでありますが併し恐らくそういうことはさせない趣旨だろうと思うのですが、これは財政法だからこう書かざるを得なかつた、こういうふうに読めるのですが、その点はどうですか。
  23. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) 大体お考え通りであると思います。問題は今いろいろ御意見がございましたように一体国というものがほかから自分予算以外にいやしくも寄附を受けるというようなことはそもそもいけないので、如何なる事情にあつてもこれは絶対に禁止しなければならない、こういうような趣旨法律を作るのか、或いは先ほど私が申上げましたように、特に非常に不当な結果になることのないように、自発的な、好意的な寄附というものについてはこれを受ける余地を残して置くかどうかという点が結局違いであろうと存じます。で、勿論そういうような言葉としては、好意的であるとか、或いは自発的であるとか言いましてもそういう余地を残して置くことが、実際はそれが強制であつて、結局ここに警察でありまするとか、或いは法務府でありまするとかいうような権力を持つ機関に対しましては事実上の強制になる虞れがある、従つてそういう虞れをなくする意味でこれをどうしてもこれからやめておいたほうがいいという御意見も誠に御尤もな御意見でございますけれども、一応この法文の書き方といたしましては、そこまでは実は徹底いたしておりませんので、強制的割当の寄附はいかんということの半面には、好意的な自発的な寄附は受ける余地を認めておる、こういう点に違いがあるのでございまして、現在の段階におきましては一応この程度で止むを得ないのではないかと存じております。ただ実際の運営に当りましては、どこまでもこの法の精神に則りまして団体に不当な影響をもたらすようないわゆる強制的な寄附というものは、その形式の如何を問わず禁止して行くように運営さるべきものであると、かように考えております。
  24. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 よく御趣旨はわかりましたが、問題は強制的に割当てて徴收することはいけないということを言つておるのであつて、その半面裏必ず真ならずですか、それでは割当てて任意的に徴收するのはかまわない、これが一つと、割当ててなければ強制的に寄附金を個人からもらつてもよろしいということになるのかどうか。それから個人から強制的にもらうことは、この規定から当然いけないということになるのかどうか。その点をお尋ねしておきたいと思います。
  25. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) 法文の解釈の問題であろうと存じますが、私の解釈としておりますところでは、割当ということと、強制ということは、これは一緒に結び付いた観念ではないかと思います。割当はするが自由に出すというのも非常におかしな話でありまして、やはり強制的に、例えば一定の金額、一億なら一億という金額を目安にいたしまして、これを何カ町村で幾ら幾らというのは、それだけのものを達成しようというやはり意思があつてやることでありまして、程度は別といたしましても、大体強制的にやはりそれだけのものは受入れたい、こういう意図に出ておるものと思います。そうでなくて、全く或る施設について幾ら必要とするとか、何とかいうそういう所要額というような目標を置いておるわけではなくて、ただ団体のほうで以て任意的にこの程度のものは今の財政としては寄附はできるというような意味で以て、五十万円でも百万円でも集めて、これは五十万円なら五十万円の金額というものを任意的に提供するというようなものは別にここに言ういわゆる割当或いは強制に当らないことは当然ではないかと、かように考えます。
  26. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 そうしますと、割当ててということと、強制的にということは、二つのことでなくして、一つの事柄である、つまり割当をするということは、即ちこれは強制だ、だからまあ割当のほかに強制もある、併し割当その他強制的に徴收するようなことはしてはならないというふうに読むべきだ、こういう御意見のように思いますが、それは間違いありませんか。そうすれば私の質問した趣旨はよくわかるのでありますが……。
  27. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) 割当ということが即ち強制的というよりは、割当てるということは、強制的にやるという意図の下にやるのではないかと、こういうふうにまあ考えるわけであります。
  28. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 それでは割当てた以上は、それは強制だ、それだから割当ということはしてはいけないということが一つ、それから割当のほかに勿論強制はあるのですから、その強制をしてはいけない、こういう二つのことを、割当てて強制的に徴收するようなことをしてはいけないという字句で現わしたのだ、こういうふうに解釈していいのですね。
  29. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) さようでございます。
  30. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 それならわかりました。
  31. 中田吉雄

    中田吉雄君 やはりこれはいろいろ考えても、寄附強制であろうが、任意であろうが、受けることによつて、法の権威を一般民衆から失つたりするものと、そうでないものとは、やはり何かより多く制限するような措置を私は入れたほうがいいと思う。例えば私見まして、検察庁警察署裁判所とでは、寄附の求め方が違うのです。それから見ると、裁判所は非常に單価を高く見ておるので、割合裁判所は少いようであります。検察庁警察署なんかは非常に、これは行政庁ですから、非常に固く踏んでいる。ところが、それが最も弊害を受けるのです。やはり特に統制の嚴しいようなときには、大きな会社では統制違反をやらんと、採算がとれんということで、まあ寄附をして行くとその御利益があるというふうたことで、かなりあるのです。そのことが一般民衆に対して法の権威を非常に失う。例えば保健所でありましたら、これは強制的であつても、やはり一般民衆から不平も強くないし、あの人が高く売つたから少し病気のときにというようなことは、割合弊害が少いのですが、このやはり検察庁警察署裁判所なんというもの、それから労働省の監督局、税務署というようなものは、これは何らかもう少し一般のものとは別個な、やや禁止的な形をもつと強く打ち出したほうが、今の財政難のときにはいいじやないかと思いますが、まあこれは意見でありますから、質問ということではありませんが……。
  32. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 もう一点聞いておきたいのですが、国警に対する寄附金の中には、都市の自治体警察の附近にある国警、これは自治体警察警察員の俸給などよりか俸給が少い。そこでその差額を交際費とか何とかというような名目で、国警にその所在管轄の町村から寄附をしているということがあるのじやないかと思つておりますが、そういうことは、その事実は認識しておられませんか。
  33. 武岡憲一

    政府委員武岡憲一君) 具体的な、正確な調査をしたわけではございませんが、仰せのような事例が、県によりましては、地方によりましてはあるように思つております。
  34. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) それでは本日はこの程度にいたしまして散会いたします。    午後零時四十五分散会