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1952-03-20 第13回国会 参議院 地方行政委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年三月二十日(木曜日)    午前十一時六分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     西郷吉之助君    理事            堀  末治君            岩木 哲夫君    委員            岩沢 忠恭君            岡本 愛祐君            若木 勝藏君            原  虎一君            林屋亀次郎君   国務大臣    国 務 大 臣 岡野 清豪君   政府委員    地方財政委員会    事務局長    荻田  保君   事務局側    常任委員会専門    員       福永與一郎君    常任委員会専門    員       武井 群嗣君   説明員    地方財政委員会    市町村税課長  松島 五郎君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○地方税法の一部を改正する法律案  (内閣送付)   —————————————
  2. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) それでは只今より委員会を開催いたします。  本日は予備審査に付せられております地方税法の一部を改正する法律案について提案理由説明を求めます。
  3. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) 只今上程されました地方税法の一部を改正する法律案につきましてその提案理由及び内容概略を御説明申上げます。  申上げるまでもなく地方税制都道府県市町村がその負託せられた事務を遂行する上に必要な財源を調達する最も有力な手段であります。従いまして地方税制改正考えます際にこれによつて地方団体は幾ばくの財源を得ることができるかということが地方財政計画上極めて大切な問題であります。今日国民租税負担の重いことを訴えております。殊に高率課税を行なつております税種につきましては、その引下げを求める声が特に強いのであります。ひるがえつて個々地方団体財政状況をながめますと、若干の例外を除きましてはひとしく戦後新たに課せられた諸制度運営に要する経費や戦争中放置せられた諸施設補修に要する経費財源捻出に苦慮いたしておるのであります。而して昭和二十五年度の決算においては形式上も赤字を出している団体は四十六都道府県のうちでは四団体五大市のうちでは三団体、その他の二百六十有余の市のうちでは約三割に上る八十一団体、一万町村のうちでは約四百の団体に達しているのであります。形式上は赤字決算をいたしませんでも実質赤字であつた団体は恐らくこの数倍に上るものと想像せられるのであります。もとよりこれが原因につきましては見る人によつて所見を異にするかもしれませんが、地方団体財政的に異常の窮迫状態に置かれているという事実については何人もこれを認めないわけには参らないと考えるのであります。よつて政府におきましては一面地方行政簡素化を図つて参りますことによつて地方負担軽減を期しますると共に、他面来年度における地方債発行額の増加を図るほか、地方税収入の減少を来たすような措置は努めてこれを避けようといたした次第であります。この結果地方税収入見込額は二千九百二十四億円となるものでありますが、なお本年度地方歳入見込額の総額七千五億円中に占める割合は四二%弱でありまして地方財政平衡交付金各種国庫負担金補助金を含む国庫支出金は三九%強の多きに及んでおるのであります。もとより同一に論ずるわけには参らないのでありますが、国の一般会計におきましては専売益金を含む租税収入が八九%強を占めていることと比較いたしまして、地方財政自主性に乏しいことを指摘せざるを得ないのであります。地方団体において住民の自覚に基いた地方自治の発展して行くことを期待して参りますためには、地方行政運営に必要な経費財源は、可及的に多く住民直接の負担に求めて行くようにいたさなければなりません。国税であれ地方税であれひとしく国民負担に帰することに思いをいたしまするならば、国庫支出金を減じても将来地方財政は、地方税を主体として運営されて行くよう改善せられて行かなければならないと考える者であります。  以下地方税法改正事項個々につきまして御説明申上げます。改正の第一は附加価値税実施を更に一年間延期すると共に、その間事業税及び特別所得税を存置することとしたことであります。御承知通り附加価値税は本年一月一日から実施せられることになつているのでありますが、一面には未だ経済界が十分安定するに至つておりませんときに、転嫁を予定するとはいえ、負担の激変を来たすことは適当でないと認められますのと、他面には事業税をそのまま実施した場合に比較して相当の減収を来たすのみならず、徴税費増嵩を招き窮乏にあえぐ府県財政運営支障を来たさしめる虞れがありますので、いま一年その実施を延期し、その間事業税及び特別所得税を存置することといたしたのであります。  改正の第二は市町村民税に関するものであります。その一は法人税割税率の調整を図つたことであります。即ち先に法人税税率法人所得の三五%から四二%に引上げられたのでありますが法人税割標準税率法人所得の五二五%に据置くことといたしますために現行の百分の十五を百分の十二五に引下げることといたしたのであります。これに伴い制限税率現行の百分の十六から百分の十五に引下げることといたしております。その二は老年者等でその前年における所得が十万円以下のものでありましても、これらのものがいわゆる家業専従者として壮年者を有している場合においては、当該老年者等に対しても市町村民税を課することができる道を開いたことであります。即ち従来特に農村方面におきましては老年者等がいわゆる家業専従者を有しております場合、名義上の所得者老年者等であるため市町村民税課税されず、その結果他の納税義務者との間に負担の不均衡を生じ、税務行政運営上種々支障を生じておりましたので、このような場合には実情に応じ老年者等に対して市町村民税課税することができることとし、所得者名義の如何によつて他納税義務者との間に税負担の不均衡を生ずることを避けることといたしたのであります。  改正の第三は固定資産税に関するものであります。その一は都市計画法又は特別都市計画法による土地区画整理施行に係る土地については、課税台帳面において、所有者の変更が行われるまでの間は換地予定地又は換地に対応する従前の土地土地台帳上の所有者を、当該換地予定地又は換地に係る土地台帳上の所有者とみなして固定資産税を課することができるものとしたのであります。現行法の下においては都市計画法又は特別都市計画法による土地区画整理施行に係る土地につきましても、土地台帳又は土地補充課税台帳に登録せられておる所有者固定資産税が課せられることとなつているのであります。併し区画整理施行中の土地は、区画整理事業の進行に伴い将来その土地所有者となる者がその土地を現実に使用収益することとなつて参りますため、現在のように実質上の所有関係を全く無視して課税することは、負担の公平という見地から適当ではありません。そこでこのような場合においてはこれらの者が土地台帳所有者として登録せられるに至りませんでも、その土地に対する固定資産税納税義務者とすることができるものとしようとするのであります。その二は固定資産課税台帳縦覧期間等に所要の改正を加えたことであります。現在の固定資産課税台帳の十日間の縦覧期間はやや短きに失するため、これを二十日間に延長し課税の円滑を図ると共に、これに伴い審査委員会審査のための会議開会期間審査決定期間等をそれぞれ延長いたしまして、徴税合理化に資するごとといたしたのであります。  改正の第四は木材引取税に関するものであります。木材引取税素材の引取に対し、価格課税標準として素材生産地市町村において引取者に課するものでありますが、その課税標準である価格は時期によつて極めて変動し易い上にその算定が必ずしも容易でありませんので、価格に併せ容積をも課税標準とすることができるものとし、徴税簡易化図つたのであります。  改正の第五は国民健康保険税に関するものであります。その一は現行国民健康保険税は、みずから国民健康保険を行う市町村がこれを課することができるものとしておりますが、一部事務組合を設けて国民健康保険を行う場合におきましても、これに加入している市町村国民健康保険に要する費用の組合分賦金に当てるため国民健康保険税を課することができるものとしたことであります。その二は納税義務者一人当りの最高賦課制限額一万五千円を、その後における物価の変化、受診率上昇等を考慮して三万円に引上げることといたしたことであります。  改正の第六、附加価値税実施を一年間延期することにいたしたことに伴い、その間存続することとなつ事業務及び特別所得税に関するものであります。その一は、個人事業税及び特別所得税について、従来の二万五千円の免税点制度を改めて、新たに三万八千円の基礎控除を認めることにいたしたことでございます。これらの税率はかなり重いものでありますので、その所得免税点を僅かでも超えるごととなれば一躍相当租税負担することとなり、所得免税点以下で租税負担しないものとの間に均衡を欠くこととなる結果、徴税上多くの困難を来たしていたのであります。そこで各人の所得から一律に三万八千円ずつ控除したものを以て課税標準とするこことし、この困難を打開すると共に併せて少額所得者負担軽減を図ることといたしたのであります。その二は、青色申告法人限り繰越損金控除を三年間行うことができるものとしたことであります。現行法は一年間に限り繰越損金控除を認めているのでありますが、法人税税率引上げ等をも考慮し負担合理化を図るために、帳簿の記載の信頼できる青色申告法人に限り、特に二年間控除を認めることといたしたのであります。その三は二つ以上の都道府県において事業を行う法人昭和二十五年度分以前の事業税及び同附加税について仮徴収を行うことができるものとしたことであります。御承知通り昭和二十五年度分以前の法人事業税及び同附加税徴収現行法と異なり、賦課処分によるものとされているのでありますが、これがためすでに申告納付制度を採用している法人税に比較するときには、その徴収相当に遅延せざるを得ない現状にあるのであります。政府におきましても、かねてからその促進に努力いたして参つたのでありますが、府県財政窮乏はこれ以上放置することを許さない実情にありますため、特に著しく決定の遅延している二つ以上の都道府県において事業を行う法人の、昭和二十五年度分以前の事業税及び同附加税に限り、法人税申告額決定額又は更正額に基いて、本年十月末日までに事業税課税標準額又は事業税附加税の本税額を仮に定めて徴収することができろものとし、従来の徴収上の隘路を打開し、徴収の確保を図り得る措置を講ずろこととしたのでおります。  改正の第七は雑税の廃止等に関するものであります。その一は、漁業権税広告税及び接客人税は、その税額も少く且つ普遍的な税源でもありませんので、法定普通税としてはこれを廃止することにしたことであります。その二は市町村民税法人税割及び法人事業税について徴収猶予が行われる場合、徴収猶予を受けた税額について徴収される延滞金の額を法人税法改正に準じ、従来の日舞四銭を日夢二銭に減額し負担合理化を図つたことであります。  以上が本改正案内容概略であります。何とぞ慎重御審議の上速かに議決せられんことを希望する次第であります。
  4. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 只今更に荻田事務局長より説明を補足してもらいたいと思いますがまだ見えませんので、只今大臣提案理由説明に対しまして御質疑がございましたら、この際お願いいたします。
  5. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 大臣にお尋ねいたしますが、この提案理由説明要旨に書いてありますように、二十五年度の地方公共団体決算において赤字を出しておる団体が、四十六都道府県のうちでは四団体五大都市のうちでは三団体云々と書いてあります。これが原因については、見る人によつて所見を異にするかも知れませんが、地方団体財政的に非常な窮迫状態に置かれておるという事実については、何人もこれを認めないわけにはいかんとまあこういうふうにお述べになつておるのであります。そこで二十五年度の都道府県財政状態を見てみますと、今ここに書いてありますように赤字が四団体しかない。ところが二十六年度の決算はできておりませんけれども、大体の見込となりますともう殆んどことごとく赤字を出しておる。が東京と大阪府、これは別にしまして奈良県だけが赤字を出してない。ほかの府県はことごとく赤字、その赤字相当大きな赤字。これはどういうところに理由があるのか私は判断に苦しむのでありまして、この公務員のベースアツプなんかはそれぞれ措置がしてあるはずであります。又平衡交付金都道府県については、特に市や町村違つて大幅な増額がしてある。然るに二十五年度と比較して二十六年度がことごとく赤字を出しておる。これはどういうふうに御了解になつておるか、単にこの公共団体財政的に非常な窮迫状態にあるということばかりはいえないのじやないかと思うのです。その点を大臣にお伺いしたい。
  6. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。  この点につきましては、今地方財政委員会のほうで克明にどうしてこういうような赤字なつたかということを調べておるわけでございます。併し私といたしましてほかのこともいろいろそうでございましようが、先ず第一に考えなければならんことは、国が地方に対していろいろな施設を押しつけろ、そしてそれに対する補助金が足りない、その点において地方団体が金は持出さなければならん、これがまあ第一番に挙げられる原因だろうと思います。そのほかいろいろ災害がございます。それから又今まで十年間もうつちやらかしておきましたところのいろいろな道路とか河川とかいろいろな方面でこわれつばなしになつて修繕ができておらんそういうものを一気に早くこれを直して住民の不便を取除こうというような非常な努力をしております。それにつきましてもやはり金が足りない、そういうふうなことから赤字が出ておるのだと思います。詳しいことはまだよくわかつておりません。今事情をよく調べておりますけれども、大体において大きな原因はそういうところにあるのじやないかと私は考えております。
  7. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 今岡野国務大臣の御答弁になりました理由の第一として挙げられた、国が地方公共団体事業を押しつける、その押しつけるときに財政的の措置がしてない、してあるけれどもそれじや足らない、だからだんだん赤字が多くなつて行くのだと、今こういう御説明がありましたが、確かに一面はそういうことがあろうと思います。併しこれはもう前年来やかましくいわれておることでありまして、まあ国会におきましても地方行政委員会におきましてもこの点は留意をしまして、他の委員会なんかでそういう立案をするときには、必ず連合委員会を持込んでその点について質すというふうにいたしておるのでありますが、地方自治庁としてそういう場合にどういう措置をとつていらつしやるか、そのやり方一つお伺いいたしたいと思います。
  8. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。  地方自治庁といたしましては、できるだけそういう場合には起債の枠を多く増してもらうとか、負担金をもう少し増してもらうというようなことをいろいろ努力しておるわけでありますが、なかなかそれが思うように参りません。それで恐らく今国会に私は出したいと考えておりますが、地方財政法の一部を改正する法律案というものを出しまして、今申上げましたような欠陥を法的に是正する、即ち国がこういうことをするという場合には、これを全額とか一部とかというものを十分実情に即してそうして金を出す、こういうことにしてもらいたいというようなことを、実は法案を今練つておりまして、その是正策を講じておる次第でございます。
  9. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 政府のほうのやり方としてこういうふうな措置には今なつてないのでしようか。それは外の各省において立案をする法律案であつて地方公共団体のほうに財政的負担をかけるというような虞れのある法案については、必ず地方自治庁にあらかじめ会議をして出すというようなことになつておるのであるか、なつてないのであろうか、そういうことをお尋ねいたします。
  10. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答えいたします。  在来の慣行といたしましては、地方自治庁に必ず連絡しまして、そうして事務当局の間でよく出所を検討してやろようになつておるわけでございますが、先般閣議で私が発案しまして今後特にそれを強化する、即ち地方負担をかけるようなことがある法律を出す場合には、十分事前地方自治庁並びに財政委員会と連絡をとり、同時に財政委員会から財政的の見地からこれではいかんというようなことを発言し得るように閣議で幾つか申合せをしておる次第であります。
  11. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 荻田事務局長が見えましたから又別に質疑をするごとにいたしますが、連関しますからもう一言岡野国務大臣に質しておきたいと思います。  私はこの質問をいたしますゆえんは、どうも地方財政平衡交付金制度が出まして、都道府県のほうで成るべくたくさん分前にあずかろうということで割合財政が豊かになつた、そこでやつぱり気がゆるんで、今おつしやつた……まあ継続ができるように事業をやつてしまおうというようなことで赤字が多く出て来るのじやなかろうか。又ここに財政が豊かになつたについて、まあ全部とは言えないかも知れませんが、その金ずかいが荒くなつて来ておるのじやなかろうか。殊に陳情やなんかを名目にしてずいぶん都道府県議員かたがた、市の議員かたがたが見えるのでありますが、岡野国務大臣承知通り大阪市の市会議員のごときは毎日のように波状攻撃で特別市の問題で見えておる。これが各二十人くらいずつ見えまして、そして各会派控室を戸別訪問しておられる。こういうことは、私はそういうかたがた苦言を呈するのでありまして郡部側にも苦言を呈しております。郡部側は余り来なくなつたと思います。私は来ても各会派控室には成るべく行かせず追い返しておるのでありますが、つまり地方財政余裕ができたから、そういうことがのべつ幕なしに行われるのじやないか。そうして赤字が出る、赤字が出ると言つておるのじやないかと思うのですが、この点はどういうふうに考えておりますか。
  12. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。  私は、余裕ができたからそういうことをするというのじやなくて、今の制度といたしまして中央に陳情すれば何か少しでも余計にもらえると、こういうような制度上の欠陥があるからそういうことをやるのじやないかと、こう私は考えておりますから、ゆくゆくは私は陳情なんかによつて物事が動くというようなことはでき得ないようにしたいと思います。これは昨年のいつ頃でございましたか、夏頃と思います。閣議において私から発言いたしまして、陳情というものは何も人が出て来なくてもよろしい、書いたものでよこせばそういうことで足りるのじやなかろうか、でありますからできるだけ陳情なんかということは廃させようじやないかというような申合せをしましてやつた次第でありますけれども、併し地方自治団体でございまして、向うのやることを強制的にとめるわけにも参りませんのでそのままになつておりますが、併し問題の根幹は、私は大きな立場から見ましてもう少し陳情とかなんとかいうようなものによつて物事が動かないような制度に変えて行かなくちやならん、こう考えております。
  13. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 只今質問は、勿論国会議員のほうでも十分注意しなければならん問題だと思います。今日も大阪府から出ておられる改進党の一松議員とも話合つたのでありますが、一松君にしてももう大阪市から出て来る人には弱り切ると、それで昨日も苦言を呈して、もう君らは余分の金を使つて来なくてもいいじやないか、こういうことは住民負担をかけるだけのことなんだからやめたほうがいいということを言つておるのでありますが、私のほうの京都府におきましてもそれを極言しておるのでありまして、これは勿論国会のほうでも十分その点を考慮しなければならんと思いますが、やはり私はその金がなければそうむちやくちやには来れないのであつて、金が何とか都合ができるのでむちやくちやに来るのじやなかろうかという気がするのでありまして、二十六年度の都道府県並びに市町村財政収支を御検討になるときに、よく御検討になつて頂いて、どういう結果であると結論が出たか御報告を頂きたいと思います。
  14. 若木勝藏

    若木勝藏君 今のに関連して私は大臣にお伺いしたいと思うのでありますが、非常に地方公共団体赤字が多く出ておるということに関しましては、今岡本さんからもお話がありました通り私も非常に重大なことだと考えておるのであります。これの解決策につきましては、特に自治庁としてもお考えにならなければならんと思うのでありますが、今大臣からのお話解決策一つとしてとにかく起債の枠を拡げるとか、そういうふうな方法が考えられておる。これは御尤もなことだと思うのであります。元来私よくわかりませんけれども、地方公共団体起債というようなことに対して国が枠をきめるということは、地方自治の上からどういうものかと私は考えるのであります。更にその上に現在私の考えておることは、許可制起債のほかに自由に地方公共団体起債のできる、融資を受ける機会があるのじやないかと思うのです。それは在来簡易保険積立金であるとか、そういうふうなものを市町村辺りで自由にこれを借りて財源に備えておつた、ところがそれが戦時中のことでありましようか、これは殆んど大蔵のほうに引上げられてしまつて、そうして起債の枠をきめて一本にしてやつておる、許可制にしておる。これは元は郵政省関係で自由に市町村で借受けることができた。借受けて市町村が潤沢になれば、更にこれは又簡易保険などの事業が拡張されて更にそういう方面も助かつて行く。こういうふうな工合になつてつたものでありますが、今大蔵引上げられて非常に国の枠をはめられておる。こういうことは当然戦時中と違つて今の地方公共団体財政規模と言いますか、事業規模が拡大されて来た場合においては、元のように復帰されなければならんのじやないか。殊に今回の北海道の震災のような場合を考えてみましても、今岡野大臣も御承知通りつなぎ資金とかそういうふうな方面では四苦八苦しておるのでありますが、そういうふうな機会には特にこれを復帰させるということになりますれば、災害対策上も非常に有意義な立場をとるのじやないかと、私はそういうふうに考えるのでありますが、岡野国務大臣といたしましては、その起債の件についてどういうふうにお考えになるか伺いたいと思うのであります。
  15. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) お答え申上げます。  先ず第一点といたしまして、起債の枠を非常に厳格に国が統制しておるということでございますが、これはインフレ対策といたしまして、国家資金並びに市場資金というものを全般的に見まして、そしてどのくらいの資金というものを予算としましてはこれを利用するということによつてインフレを防ぐためにこのくらいの程度にしたらいいだろう、こういう方針から起債の枠を実は規制しているわけでございます。でございますから、インフレがこの前均衡財政でとまつたということも一面にはそういうふうに全国の資金計画というものを一応きめまして、そしてその資金計画によりまして幾らいつてもこれ以上金を出してはインフレが出て来るからこれくらいの程度にしてと、こういうことが出て来たものと私は考えております。  それから簡易保険の問題でございますが、これは戦時中やはり、戦時中と申しますかインフレ防止のために、簡易保険のほうでは勝手に出しそれから預金部資金のほうではこれを非常に厳格にするということになりましては、金融政策上統一がとれないという意味で、やはり簡易保険の分も大蔵省の方面の預金部資金のほうへ加えるということになつておりますが、併し大体におきまして今の情勢から申しまして私どもの考えといたしましては、これは一時の権道であつて簡易保険簡易保険、預金部資金は預金部資金、別のものでありますから、これは分けたほうがいいんじやないかというような考えを持つておりますが、まだそれは国の決定にもありませんし又そういう方針がまだ熟しておりません。併しながらお説の通りにやはり簡易保険というものは別枠にし、まあ地方公共団体が必要とする資金なんかはその方面でも借りられる、こういうことにしたほうがいいと、これはもうお説に全く同感でございます。
  16. 若木勝藏

    若木勝藏君 今の御答弁を伺いまして簡易保険の取扱いで岡野大臣がそういうふうにお考えになつておるということにつきまして、私は非常に何といいますか力強く思うのでありますが、是非この問題はそういうような方面に解決さして頂きたいと考えております。
  17. 岡野清豪

    国務大臣岡野清豪君) 私は、この前もこの委員会で申上げまして一部ではございますが発言した次第でございます。と申しますことは、今までは地方起債というものは国家資金でなければどうしてもいかんということにきまつてつたのでございますけれども、併し自由経済の世の中になり独立して自由に仕事をして行く世の中になつたわけでございますから、地方起債も預金部資金ばかりでなしに公募公債にしたらいいんじやないかという希望を持つてつたのでありますが、今回二十六年度の地方財政赤字を補てんするために起債の枠をきめます場合にこの私の意見が通りまして、そうしてまあ五十億は預金部資金から出し、併し三十億は公募公債でやつてよろしいと、こういうようなことに実は内々、内定しておる次第でございます。こういうふうに私自身といたしましては地方財政窮乏を救うためにあらゆる方面資金を利用して、そしてこの赤字を埋めて行つて地方財政窮乏を少しでも救つて行きたい、こういうような私自身の個人の希望を持つておりますから、若しこういうことを私たちが言い出しますときには皆さんの御声援を得たいと存じます。
  18. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) それでは荻田事務局長より更に先ほどの説明を敷えんして頂きます。
  19. 荻田保

    政府委員荻田保君) 地方税につきましてお配りしてございます現行法との対照表がございますので、それによりまして御説明申上げたいと思います。  先ず初めの頁に目録の削除がございまするが、これは漁業権税広告税接客人税この主税を削除、廃止するところの改正でございます。本文に参ります。第四條、第五條、これは今と同様の法定課目から主税の削除をいたします関係であります。三十一條の二以下七十四條の二まで、三頁から十二頁まで、これは附加価値税を一カ年更にその施行を延期するための所要の改正でございます。全部日付だけの改正でございますので、説明を省略いたします。次に十二頁の百四條でございまするが、あと百三十六條、百六十九條、二百二條、次の二百五十五條、二百八十七條等にございます「国税徴収法第二十一條の二」とありますのを、「第二十一條の三」と改めておりまするのは、これは先般国税徴収法の改正がございましたので、それによりまして引用しておりました條文が変更になりましたのでこれの改正でございます。こういう改正はあと相当たくさん出ておりますので省略さして頂きます。その前に途中でございますが、十四頁の初めの漁業権税の削除でございます。これは漁業権税廃止に伴う削除でございます。それから十五頁の初めにございます二百九十五條の改正でありますが、これは市町村税の所得割の非課税につきましての範囲の改正でございます。で、御承知のように、現在では不具者、未成年者、六十五年以上の者又は寡婦等は、その所得が十万円未満の時には非課税になるわけでございまするが、中にはそのようなものが壮年の、而も何ら不具でも何でもない健全な人をいわゆる家業専従者としまして雇つて使つてつているという場合があるわけでありまするが、その場合に実体的にそれを見まするとむしろそのような普通の人のほうがその業の主体をなしている名義上は老年者なり未成年者なりがその事業の主体になつておりまするが、実際はそうではなくて普通の人のほうが主体をなしている。こういう場合におきまして単に国税、所得税に対しまする所得者はどちらにするかということをきめたことによつて免税になる、或いは課税されるということになりますことは、これは一般住民からしまして非常に実際上の免税の上からも適当でないわけでございます。この例は殊に農村等におきまして相当ございまして、地方団体より強く要望もございますのでこういう改正をしたわけでございます。つまりここにございまするようにそのような不具者、未成年者或いは老年者、寡婦等でありましても、その親族が所得税法第十一條の二、いわゆる家業専従者の適用を受けている者、これにつきましては実体を究明いたしましてその者がむしろ案質的の納税事業の主体者である場合には、その者に市町村民税を課することができる、つまり必ず課すのではなくてそういう実体をきわめてそれが適当と考えればそのような者にかけてもよいということを書いておるわけでございます。次に二百九十六條の改正規定でありまするがこれは市町村民税の非課税者のうち、木船保険協会とか、次の頁にございます 森林組合或いは信用金庫というようなものにつきましてそれぞれ基本の法律改正がございましたのでそれに伴います改正でございます。次の三百四條でありまするが、これは引用しておりまする條文、同法四十九條の五項、これは條文の改訂の関係上一項ずれましたのでこの改正、それから次の均等割の税率軽減というところに、二号の改正でございまするが、これは元になりまする所得税法に改訂がありましたので、それに応じまして、改正しただけで実質的の変りは全然ございません。  次の三百十三條の五項の改正でありまするが、これは今回の改正一つの大きな基本でありまする大きな改正点でありまする、法人税割の標準率を百分の一五を百分の一二・五と国税法人税の引上に伴いまして、これのほうの税率を引下げ、実質的には市町村民税には影響を及ぼさないという範囲において修正したわけであります。更にこの標準率を超えて課する場合の制限について、これも従来百分の一六でありますから、標準率が百分の一五が百分の一二・五に下がりますると、もつと下げなければならないのでありまするが、市町村課税権を奪うというようなことは成るべく避けたいという趣旨におきまして、百分の一六を百分の一二・五に下げ、従来の標準税率と同じ程度制限税率をしたい、こういう考えでございます。三百十四條の二は、これは昭和二十七年度の市町村民税課税の基本が昭和二十六年の所得税になりましたので、その際には臨時特例によりまして所得税が修正されておりまするので、それを引ぱつてくることができるという技術的な改正でございます。次に三百二十一條の五項、六項でありまするが、これは昨年から行なつておりまする市町村民税につきましてのいわゆる源泉徴収地方税法では特別徴収と申しておりますが、この場合に国の機関、政府の官庁がこれを行います場合に、いつ納税義務が消滅するかとか、どういう方法で行なつて行くかということがはつきりしておりませんでしたので、五項と六項とにその点を明確にしたわけでございます、次の二百二十七條の改正でありまするが、これは法人税割、これは延滞金の場合の、加算金の延滞金に対しまする加算金の問題でございまするが、この場合にこの前の国会改正をお願いいたしました、いわゆるこの法人について徴収延期をするというこの場合、この場合も従来ありまする現行法では、一日四銭の割合延滞金をとつておりましたが、これはそういう場合に限りまして半減いたしまして一日二銭といたしまして、これは大体国税の改正に歩調を合わしたのであります。それから三百三十三條は国税徴収法関係の改正でありますから省略いたします。  三百四十三條の六項でありまするが、これは大臣説明にもございましたように、都市計画法によりまして、換地処分が行われるという場合に、実質上に換地処分が行われましても、登記の上におきまする整理がなかなかつきません、ひどいのは五年も六年もかかるというような場合が予想されます。その間現登記面の台帳を標準にいたしますると、実質的に土地を持つていない者にかかつたり、持つておる者に課税されなかつたり非常に実際上不便を感じておりますが、次に適例といたしましては、名古屋市のごとき大きな都市計画の換地処分を行いました所は、相当大きな問題となつております。これははつきりと法律によりまして現在の実質上の所有者に対して税がかかるようにしたいということであります。三百七十五條は省略いたします。三百八十一條は先ほど申上げました関係についての登記の技術的な規定でございます。  それから四百三條及び四百十四條、この二つ改正でありますが、これはこの前改正いたしました規定によりまして、大規模資産につきまして県知事が分割ができるという場合を書いたのでございますが、それに伴いまする條文の整理が洩れておりますので、この際これを改めるということであります。四百十五條以下数條は、固定資産課税台帳縦覧期間を、十日間を二十日間に延ばす関係上、順ぐりにその後の関係が十日ずつずれて行くわけであります、四百二十九條の二までが。それから四百三十二條でありますが、これは今まで申上げました規定の改正によりまする條文の整理であります。四百三十三條もこれも審査期間の……、縦覧期間が十日延長したことによるものであります。四百六十一條、四百八十三條、これは省略いたします。四百九十七條も、條文の整理が洩れておりましたのでこれを改めます。五百十一條、五百四十三條、これは省略させて頂きます。  五百五十一條は、木材引取税課税標準が従来価格だけでありましたが、それでは不便でございますので、価格又は容積と改めます。それに伴いまして五百五十二條におきまして容積を標準とする場合の標準税率を書いたわけでございますが、この場合には価格を標準とする場合の負担と著しく均衡を失しないように定めるということであります。  五百七十四條は省略いたします。第八節広告税は全部削除いたします。六百三十八條も省略いたします。第十節接客人税、これも全部削除いたします。六百九十七條、これも省略いたします。  それから七百三條の二以下国民健康保険税でありますが、従来、現行法は、国民健康保険を行う市町村だけに限つておりましたが、市町村が直接行いません、この括弧にございますように、一部事務組合を設けて国民健康保険を行う場合がございますので、そういう場合には、そういうような組合に加入しておる市町村もとることができるというふうにいたしてあります。それから二項もそれに伴います改正であります。それから五項は一人に対しまする課税額が従来「一万五千円をこえることができない。」という規定がございますが、物価の変動等がありまして三万円に引上げたい、上のほうの制限を引上げませんと下のほうの者に余りにかかり過ぎるというようなことになりますので、大体物価を考えまして倍に延ばしたものであります。七百三十條は省略いたします。  それから次の第六章は事業税及び特別所得税附加価値税の一年施行延期に伴いまして、更にもう一年延ばしたいという趣旨によりまして、その中にそれと見合いまする規定を整理いたしておるわけであります。単に一年延ばすという規定は説明を省略させて頂きまして、それ以外のところを申上げますと、七百四十二條でございます。これは証券投資信託法というのが新らしくできましたので、これに伴いまする修正でございます。それから七百四十三條の六項の、これも信用金庫等の法律が変りましたので、それによります改正でございます。それから七百四十四條、これは一年延期に伴います改正でございます。四項もそれと同じでございます。それから六項は、これは信託法の改正に伴います改正でございます。七項、八項は、これは商法の改正がございましたので、解散とか合併の場合の規定が変りましたのでそれに合わしただけであります。それから九項、これが大きな改正でございまして、三万八千円の基礎控除をするという規定であります。ここに書いてございますように、十二カ月分として三万八千円でございますから、一年間まるまる事業を行わなかつたものは月割で減ることになります。それから次の十三項でありますが、これにこの損金の繰越を一年だけ認めておりましたが、更にこれを二年にいたしたい、国税のほうは五年になつておりますが、事業税はこれは一年限りの法律になつておりますので、初めの現行法がそれで一年とあつたのでありますが、それを更に二年ということになりますので、二年だけに認めるということにいたしたいと思います。  それから七百四十七條の二は個人が第一種事業、第二種事業を、或いは特別所得税というようなものに該当するものを一緒に行なつておる、一人の人が行なつておるという場合には、これは三万八千円は全部ひつくるめて一回だけ引くという考え方であります。  次の七百四十八條は免税点でありまして、これは基礎控除が変りましたので、全部削除いたしました。それから七百四十九條は、これは一年間延期に伴います規定であります。七百五十條もその通りでございます。  それから七百六十二條の三というのは新らしく入れたわけでありますが、これは従来も法人税についてございましたが、同族会社を作つたという場合に、いわゆる合法的と申しますか、脱税というような目的で作つたというような場合がございますので、その場合には行為又は計算について否認ができるという規定を設けたのであります。  それから七百六十三條の三の延滞金の計算でございますが、これは先ほど市町村民税法人税割について申上げた点と同じでございます。徴収猶予を認められる法人について日歩四銭を二銭に引下げたのであります。七百六十九條は條文の整理であります。それから七百七十七條も、これは特別所得税以下は特別所得税をやはり一年延ばし得る、或いは三万八千円の基礎控除を入れたという点でございますから省略いたします。  それから次は五十頁の附則に参りまして、一項は適用の……。三項はやはりこれも直接的に事業税につきましての経過的な規定であります。それから四項、これが新らしい規定でありますが、従来事業税或いは又事業税附加税等につきまして、いわゆる賦課課税法人につきまして賦課課税制度をとつておりましたので、そのものにつきまして国税のほうの法人税決定がはつきりいたしませんと、その賦課を差控えるというような例がございます。そのために古い税の滞つたものが相当ある。これは徴収するほうからも困りますし、納税するほうからも困るということがございまするので、ここに特例を設けましてそのようなものにつきましてはいわゆる仮の決定をしておいてそうして国税がはつきりきまりましたときに本決定をするという規定でございます。これが四項から七項まででございます。六項は計理士法自体の改正をいたしておりますためのこの條文の関係、大体今回の改正内容でございます。
  20. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 法人税割を引下げた理由はどういう意味ですか。
  21. 荻田保

    政府委員荻田保君) 昨年二十五年度の国税地方税を通じます改正によりまして、法人に対してこういう直接税をとるほうがいいか悪いかということが、非常に大きなな方針の問題として論議されたのでございまするが、大体法人は個人が所得を得る手段だというので、従来よりも法人負担を軽くしたわけであります。その後の種々の事業の状況等から見まして、先般法人税自体が引上げなつたわけであります。その負担だけを法人税引上げになりました額だけを、市町村税としての法人税割にも反映させるかどうかという問題が起つたわけでありまするが、その後いろいろ国税関係等と合せて考えますと、そう法人負担を重くすることも適当でないという趣旨からいたしまして、市町村民税においては異質、従来とつまり法人税税率引上げの前の負担と変りがないようにする、従つて収入もそれと増減しないというような趣旨で、実質従来と同じだけの負担にするという趣旨で一五%を一二・五%に引下げたわけであります。
  22. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 そうしますと、法人税割税率引上げられたから元の一五%では重くなる。それで一二・五%にすれば元通りに大体なるから引下げる、こういう意味ですか。
  23. 荻田保

    政府委員荻田保君) さようでございます。
  24. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 それからもう一つ土地台帳縦覧期間を二十間にしたことは非常にいいと思う。併し東京都の二十三区における人口の稠密な所におきまして、区役所なんかに行つてみると非常に困難であつて二十日でも困難だと思うのですが、そういうのは二十日間だけはどうしても展覧をしなければいかん。それ以上はそこの地方公共団体の状況によつて適当に延ばすんだというふうにはなぜ規定しないのですか。
  25. 荻田保

    政府委員荻田保君) この縦覧期間につきましてお説のような点がございます。そこで我々が考えまして、いわゆる台帳主義、縦覧というようなことをやつて行くのがいいか、或いは初めに決定した額を全部通知して、その通知に対する異議をとるというようなところまで行つたらいいかというような根本的な問題も実は検討したのでございまするが、差当りにおきましてはこの十日間だけ延長する、依然として台帳主義をとりたいという考えを持つたのであります。おつしやいますように、この十日を原則にして地方ごとにそこに適当な差を設けることを認めるということも考えたのでございまするが、やはりこういうものは一応全国的にはつきりしておいたほうが却つて混乱を起さないのじやないかというので、全部二十日間に延ばすという規定にとどめたのでございます。
  26. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 この固定資産税の基礎となる土地台帳の縦覧という問題は、小さいようで非常に大きな問題だと思うのです。それで我々の例にいたしましても、区役所へ毎日のように行つたけれどもとても満員で見られるどころの騒ぎじやない、とうとう見ずにしまつた。こういうことになるのでありますが、これはひとり私どもだけでなくて大部分の人がそうであつたのではなかろうかと思うのです。決定せられてからその異議の申立というのはらちがあかないのであります。やはり今お触れになつた納税者に知らしてそしてその異議を求めるという方法をとることがどうしても必要だと思うのです。どうしてその手続がとれないのか、これは相当に大きな税になるのでありますからそのぐらいの親切はしてよかろうと思うのです。どうしてそういう方面には触れないのか、その理由を御説明願いたいと思います。
  27. 荻田保

    政府委員荻田保君) 通知を出しますことは、勿論手続をとつてとれないことはないのでございますが、先ほども申上げましたように、やはりこの固定資産税に関します根本をいわゆる台帳主義と申しますか、台帳を以て一切のものをきめて行く、ほかの税と少し違うやり方をしておりますので、若しそういう方法、いちいち通知するというような方法をとりますと、この台帳そのものを相当変えて行かなければならんし、根本の考え方を変えなければいけないというようなことがございますので、少し早急に我々としまして結論を出すことは適当でないと考えましたので一応先ほど申上げましたように十日間の延長にして、将来の研究に残したわけであります。
  28. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 次に木材引取税についてお尋ねするのですが、今度改正をされようとして、価格のみならず容積を標準として課税をする措置をとられたのでありますが、これは選択であつてその市町村のどちらをとるか任意に任かされてあると思うがその点どうですか。
  29. 荻田保

    政府委員荻田保君) さようでございます。
  30. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 そういたしますと、或る地方で今までも行われておつたのですが、協定価格といいますかその標準税率が百分の五となつている。だからこれは標準でありますから、それ以外に材種によつて段階を設けて税率を変えて行くというようなことが行われていい。それは現行においてもやられていると思うのですが、その容積を課税標準とするというのとどういうふうな関係になりますか。容積を標準とする場合でも、「ひのき」とか又「すぎ」とか「まつ」とかそういう材種によつてその市町村で適当な段階を設けて課税をするということが可能であるかどうか。それを伺つておきたい。
  31. 荻田保

    政府委員荻田保君) 仰せになりますように我々も考えております。材種なり等級なりによりまして差等をつけましてそれぞれ容積に応じてとるということになります。できれば全国的にそのような価格等の基準になるものを我々のほうから示したいという考えでおります。
  32. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 その基準になる、示される基準の案ですね、それを持ち合せがあつたら出して頂きたいと思うのですが。
  33. 荻田保

    政府委員荻田保君) いろいろ調査して来ているのでありますが、まだその結論的にお出しする程度のものまでも持つておらないと思いますので、できるだけ進めまして若しこの会期中に間に合いますれば出したいと思います。
  34. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 その基準はもとよりこういうふうにやつたらいいじやないかという、勧告よりももつと弱い程度であつて、そうしてそれは市町村の事情によつてやればいいというふうに了解していいと思いますがそれで差支えないかどうか。
  35. 荻田保

    政府委員荻田保君) 法律の規定がここにもございますように、当該市町村におきまする価格というものが、結局容積を標準にする場合でも基準になるのでありまするから、勿論その差等があつて然るべきだと思います。
  36. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 雑税の廃止が大部ありますが、漁業権税も廃止になつたのですが、これはなぜ漁業権税を廃止することになつたのか。広告税とか接客人税とか、それらの廃止はわからないこともありませんが、漁業権税をどういうわけで廃止したかその理由を承りたいと思います。
  37. 荻田保

    政府委員荻田保君) 先般漁業法の改正がございまして、漁業権というものが農地と同じような意味の改革が行なわれたことは御承知と思います。そういう事情で二十七年度からはこの改革が全部完了いたしますので、いわゆる賃貸というようなことがなくなる。これは技術的な問題になりますが、現在の漁業権税課税標準が賃貸価格ということになつておりますので、その賃貸というものがなくなり、専用料をとる、許可料をとるといつたような恰好で入漁することになる。そういうこともございますし、なお根本的にこの税を考えましても、いわゆる財産権というようなもの、一つの私有財産的なものでなくなる、公法上の一つの権利というような恰好にむしろ変つたということも考えられます。又漁業自体に対しまして、単に漁業権を持つておるものにだけ課税するということは、必ずしも漁業者全体に対する課税負担の公平を期するゆえんではないという意味をもちまして、これを法定税から除きたい、漁業者に対して課税できるものならこれは法定外税目で許可して差支ないというような考えを持つております。
  38. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 前にこの委員会に請願が出まして、狩猟税を廃止してくれ、又は廃止ができなければ軽減してくれ、又は国税にして市町村税はやめてくれというような請願がたびたび出たのであります。大体この委員会では採択して内閣に送付したのでありますが、このたび狩猟税についてお触れにならなかつた理由をお聞かせ願いたい。
  39. 荻田保

    政府委員荻田保君) この狩猟税についてはいろいろの陳情請願等がございます。国会における御論議も承知しておりますが、このような一種の特権を与える行為に対して税をとるということは、必ずしも地方税として適当でないとも考えられます。それから又請願も、いろいろな御意見もありましたが中で最も強いのは、要するに、負担が重いということであつたと思いまするが、重い、軽いという問題でありますが、少くともその後におきまして、いわゆる貨幣価値の下落と申しますか、相対的には成る程度軽くなつておる、この金額で課税税率がきまつておるものは一般的に物価に応じて上げなければ逆に減税をするということになる。こういうようにも考えられますので、この際は従来の規定を全然いじらないことにしたわけであります。
  40. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 狩猟者税はこういう地方税として果して適当であるかどうか、一つの特権を与えるのだから或いは手数料というようなことでいいじやないか。一面から言えばスポーツみたようなものでもあるし、スポーツには課税していないのであるから狩猟者税というようなものはやめて、狩猟の許可はせざるを得ないでしようから、そのときに手数料にすることはどうかというようにも考えられる。で、狩猟者税の廃止ということでいいのではないかというふうに考えておるが、その点はどうですか。
  41. 荻田保

    政府委員荻田保君) いわゆる狩猟者税というものが手数料、つまりそれを許可することに対しまする経費を賄う範囲にとどまつているというような程度でございましたならば、手数料にしてもいいわけでありますが、更にその上にいわゆる先ほど申上げました特権に対する課税というような、手数料以上のものを含んでおるということでございますので、今まで大体日本のいわゆる手数料は少くとも経費を支払うという程度にとどめるのが原則でございますので、この際は、狩猟者に対しましても税の負担相当するものをやはり負担してもらうという趣旨から、手数料に改めることなく税にしたいと思います。
  42. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 狩猟者税についていろいろ当委員会で請願を採択した関係で私ども議論がありますが、一応それだけに今日はしておきたいと思います。ついで森林組合というものが昨年の森林法の改正に伴つて性格がかなり変つて来たのであります。そこで今一々まだ検討しておりませんが、大体国家でそういう組合が必要であるとして作ることを奨励し作らしておる組合、これは森林法の施行についていろいろの役目をしております。それがほかのそういう類の組合と団体と同等な地方税の減税を受けておりますかどうか、その点も検討しておりますかどうか、それを伺つておきたいと思います。
  43. 荻田保

    政府委員荻田保君) 大体従来からの條文の法律改正に伴いまして整理したのでございます。先ず我々均衡がとれておると思いまするが、只今おつしやいましたような趣旨によりまして、もう少し研究いたしましてあとで具体的なことを申上げたいと思います。
  44. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 入場税、遊興飲食税の引下げということが業者及び関係者を中心にして従来国会に非常に請願をされ、又陳情されておるのでありますが、このたび採上げられない理由を伺つておきたいと思います。
  45. 荻田保

    政府委員荻田保君) おつしやいますように入場税、遊興飲食税につきまして確かに税率が他に比べて高過ぎるのじやないかということも我々も考えております。何分大きな税でございましてこれを引下げますことは地方財源にも相当大きな影響を与える。先般の岡野大臣説明にもございましたように、地方財政としても必ずしもゆたかなときでなくむしろ苦しいときでございますので、附加価値税を延期し事業税に代つたために百七十億程度財源は出たのでありまするが、それをむしろそれよりも先順位となります事業税の少額のものを軽減さすための基礎控除制度と、それから先ほどの法人税割の引下げ、これに当てまして、他に十分の財源も残りませんので、入場税及び遊興飲食税には手が付けられなかつたような次第でございます。
  46. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 まだまだ質問したいことがありますが、今日は岡野国務大臣も帰つてしまわれましたしこの程度で。
  47. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 本日はこの程度で散会いたします。    午後零時二十三分散会