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1952-03-05 第13回国会 参議院 地方行政委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年三月五日(水曜日)    午前十一時十二分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     西郷吉之助君    委員            岩沢 忠恭君            石村 幸作君            高橋進太郎君            岡本 愛祐君            館  哲二君            若木 勝藏君            原  虎一君   政府委員    法務政務次官  龍野喜一郎君    刑 政 長 官 草鹿浅之介君    国家地方警察本    部長官     斎藤  昇君    国家地方警察本    部刑事部長   中川 董治君   事務局側    常任委員会專門    員       福永與一郎君    常任委員会專門    員       武井 群嗣君   —————————————   本日の会議に付した事件北海道地震災害に関する件 ○ポツダム宣言受諾に伴い発する命  令に関する件に基く警察関係命令の  措置に関する法律案内閣提出、衆  議院送付) ○地方行政の改革に関する調査の件  (治安問題に関する件)   —————————————
  2. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) それでは時間が経過いたしましたから、只今より委員会を開会いたします。本日は、現在御出席のかたは少いのでありますが、多数登院になつておられますから、審議を開始いたします。  本日は、議題に載つておりませんが、御承知のように、昨日北海道におきまして震災による災害が起きましたので、その資料をお手許に配付してあると思いますが、それにつきまして先ず最初国家地方警察から御報告をお願いいたします。
  3. 中川董治

    政府委員中川董治君) 只今御配付いたしました資料に基きまして御説明を申上げたいと思います。こういつた災害でありますので、逐次一報、二報、三報と、こういうふうになつておりまして、現在通信その他の状況が必ずしも意のごとくありませんので、逐次詳細明らかにして参りたいと思つております。私ども警察関係方面は、警備の万全を期し、又災害救助関係連絡を密にして救護に努めておりますが、被害状況は、先ず地震の気象台的な状況は、最初一報に書いてございますように、中央気象台では、三月四日十時二十五分、震源地は青森県の八戸北東百キロの地点と思われる地点地震があり、北海道及び東北地方に相当の影響を及ぼしたと、こういうことに相成るのでありますが、その被害状況は、先ず列車転覆状況を申しますと、根室本線の尺別トンネル内で混合四九一列車が脱線し、機関車と貨車三輌が転覆し、後の客車には被害がなかつた。そのほか温別白糖間で貨物列車九、四六八号が脱線しております。そのほかに止若、利別間客車四一一列車が土地の陥没により立往生しております。その他にも脱線等被害がございますが、これに記載してある通りでございます。なお駅、機関車修繕工場におきましても、ここに記載してありますような被害があつた旨報告になつております。なおこちらの東北のほうでは、岩手県、宮城県等におきましても、ここに書いてあるような被害報告が来ております。その第二報によりますと、三月四日十七時現在では被害状況は、札幌方面隊管内釧路方面隊管内がここに記載してあるような状況でございます。救護状況は、道知事札幌方面本部日高方面毛布等を輸送いたしておりますし、医療班トラツク等によつてそれぞれ現地に参つておるような状況でございます。その他家屋被害状況等につきましても、第三報でここに速報として印刷してあります通りでございますが、その後逐次被害状況只今入りつつありますが、関係政府委員がそれを持つて参りまして皆さんに御報告するような手筈になつておりまするので、只今のところこの印刷物によりまして第一報、第二報、第三報の状況を申上げた次第であります。後ほど更にその後の状況と詳細につきましては、只今資料を取りまとめ中でございますので、取りまとめましたものにつきまして御説明申上げたいと思います。
  4. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 只今説明申上げました通り、今刑事部長が来ておりますけれども、もう近く災害説明のため担当官が見えるそうでありますが、今の刑事部長に対しまして何か質疑でもございましたらこの際お願いいたしたいと思います。
  5. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) 昨日のいわゆる十勝沖地震につきましては、只今刑事部長から便宜御説明をいたしましたが、今回の地震は襟裳岬の南方五十キロが震源地であつたそうであります。その震度は五度と称されております。これは五度と申しますると、石燈籠が倒れたり、或いは天井、屋根瓦が落ちるという程度のものだそうであります。それで今朝来新聞等に出ておりまするが、只今まで私のほうで入手いたしました被害状況は、先ほど説明をいたし、又只今手許にお配りいたしたはずでございまするが、人畜、家屋その他の被害はそう大したものでないように見られます。鉄道、道路等被害がむしろ大きかつたように考えられるのであります。北海道庁におきましても警察と密接な連絡の上に応急の、例えば毛布でありますとか、或いは医薬品であるとか、そういつた救助につきましては昨日からすでに開始をいたしておるそうであります。地方住民の気持も極めて落着いておりますし、治安上何ら心配がないという報告に接しておる次第でございます。今度の災害におきましては応急無線が非常によく活躍をいたしまして、被害状況も非常に早く入つて参りました。一時苫小牧通信不通になりましたので、どんな状況かと思つて心配をいたしておりましたが、その後の様子によりまして、苫小牧被害は極めて軽微であります。大体の被害の多いところは釧路中心といたしました附近でございます。  以上今までわかつております点について申上げた次第であります。
  6. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 国警長官にお伺いしたいのですが、何か地震伴つて治安上憂慮すべき事態とか、そういうものの発生はなかつたのですか。
  7. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) 只今申しました通り、こり震災に伴いまして治安上憂慮すべき事件は何もないそうでございます。極めて平靜である、かような報告に接しております。
  8. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 只今北海道災害についての説明を終りましたが、これについて何か長官に対して御質疑があつたらお願いいたします。
  9. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 もう一点、この震災発生伴つて救助その他の手配という点については今のところ何かこう欠けているところ、或いは憂慮すべき点があるのですか、その点。
  10. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) その点につきましては、北海道庁において知事中心といたしまして早速昨日から活動をいたしております。ただ救護品その他につきましては、これは厚生省方面連絡をしておると考えまするが、併しこの程度死傷者でありまするならば私は大体北海道で賄い得ると考えまする。昨日もすでに毛布を二百枚ほど釧路のほうに届けたそうであります。知事以下関係者釧路中心とする震源地のほうに昨日飛行機で現地行つたということも聞いております。又医療班札幌大学中心として編成をして送つたということも聞いておりまするから、私は応急措置といたしましては先ずやれておるのであろうと考えております。ただ今度の被害は非常に広い範囲に亘つておりまするから、そして点々といたしておりまして、或いは遠い所で一個所二個所と倒れた、死んだというのもこれは恐らくその部落内で十分できることだと思いまするが、道庁の手が余り広い所まで全部及べるかどうかと考えますが、併し何と申しましても先ほども申しましたように、死者が十五名、負傷者が八十六名、家の全壊もこれは北海道全部で九十七戸、半壊が四百八十四戸、なお今後報告によつて若干は殖えるかも知れませんけれども、ひどいところにおきましては大体これ以上、そうこの何倍になることもなかろうと考えますので、その点私のほうは応急対策といたしましては先ず大過なくやつておるものと、かように考えております。警察管区本部長知事とよく連絡いたしまして、その点については遺憾なきを期しておるという報告に接しておりまするから、只今のところでは安心をいたしておる次第であります。
  11. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 地震伴つてよく津浪のようなものがあつて、昨日の情報を見ますと、岩手県の釜石或いは三陸方面にそういう状況があつて避難者等も出たことを聞いておりますが、その方面被害等については何ら心配のことはないのでしようか。
  12. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) 津浪三陸方面最初警報が発せられましたが、このほうは津浪らしい津浪はありませんでした。釧路方面高潮が若干参りまして、三陸方面では釜石市で漁業会水揚場約百坪が決壊をしたという程度でございます。で、間もなく三陸方面津浪警報も解除になりました。釧路では若干の高潮が参りましたが、浸水家屋、私は二百戸くらいだつたと記憶いたしておりますが、船が二隻ばかり沈沒をいたしました。その程度で一般の家屋或いは陸地に対する被害も極めて軽小であつたようでございます。
  13. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 災害につきましての御質疑はほかにございませんか……それでは災害の問題はその程度にいたしまするが、非公式に委員長まで災害に対する委員派遣の件を言つて来られたかたもございますから、それにつきましては本日委員会散会理事会におきまして協議したいと考えております。   —————————————
  14. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 本日は首都警察の問題や特別保安法の問題につきまして法務総裁の御出席を求めまして質疑応答を重ねて参る予定でございますが、法務総裁が公務のため十一時四十分ぐらいまでどうしても来られないという報告がございますので、それは後ほどに廻したいと思います。  なお公報で御覧の通り、すでに二つの法案が衆議院を通過いたしまして、委員会は本審査となつておりますので、只今国警政府委員が出ておりまするから、そのうちポツダム宣言受諾に伴い発する命令に関する件に基く警察関係命令措置に関する法律案につきまして資料等も出ておりまするから、この問題について質疑応答を重ねたらどうかと思いますが、如何でございましようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  15. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 御異議がなければこの法案に対して審議を開始して参りたいと存じます。なおこの法案につきましては、先般一応の政府当局説明がございましたが、なおそれに関連して、政府からこの資料等に基いての御説明があればこの際承わりたいと思います。
  16. 中川董治

    政府委員中川董治君) この法律案提案理由及び内容等につきましては、過般の予備審査委員会の席上御説明があつた通りでありますが、この銃砲刀劍類等危險物でありますために、これによりまして殺人傷害等の罪が行われる例が少くないのであります。勿論殺人傷害等になると、刑法によりまして、それにより処断されるのでありますが、そういうような刑法犯を未然に防止いたしまして、なおこういう危險物状態を顯在化いたしまして、国民生命財産の安全を期しようという、こういう趣旨から、かねてこういう危険物取締につきましては、従来から法律が一応整備しておりまして、殊に日本では明治四十三年に、銃砲火薬類取締法、こういう法律が施行されまして、四十年間に亘りまして、この法律によりまして銃砲火薬類等取締が行われて来たのであります。この法律銃砲火薬類ということになつておりますが、それには戎器、えびすと書きますが、戎器を含んでおりまして、これにつきましていろいろな、七首その他につきましても取締が行われて来たのであります。ところがその後終戰になりまして、占領軍のほうから、連合国最高司令部からの、国内日本人の所有銃砲刀劍類回収しようという、こういう趣旨指令に接しまして、昭和二十一年に銃砲等所持禁止令、こういう政令ポツダム政令として施行されたのであります。この銃砲等所持禁止令は、こういう危險物回収しようと、こういう趣旨に出ておりますので、禁止建前といたしておりまして、強力な取締がその後行われて参つたのでありますが、その回収目的もおおむね達成せられましたので、昭和三十五年五月二十九日附を以ちまして、この従来の回収思想に基く占領軍最高司令部覚書等が廃止されまして、この危險物に対して適正な取締を加え、禁止という思想から、取締という思想に変化いたしまして、大体こういう危險物を顯在化しよう、こういう趣旨覚書に接しましたので、昭和二十五年五月二十九日附の指令に基きまして、現行銃砲刀剣類等所持取締令、これが公布に相成つたのであります。こういうポツダム政令が施行になりました関係上、私が最初申上げました銃砲火薬類取締法を廃止しまして、昭和二十五年十一月には火薬類だけを日本国内法として制定されまして、銃砲等危險物等につきましては一にポツダム政令に任されておつたのでございます。そういつた関係上今後このポツダム政令が全面的に別な法律で廃止される方途が講ぜられるにつきまして、これが廃止されますと、銃砲刀劍類に関し、これを顯在化し、住民生命財産を保護する見地の法律体制がなくなりますので、この現行銃砲刀剣類等所持取締令法律として、将来もこういつた危險物を顯在化し、以て住民生命財産を保護しようと、こういう趣旨に出ておりますので、その趣旨によりまして法律案提案された次第でありまして、その内容といたしますところは政令一條に掲げております。その一條に掲げておりますものにつきまして、同令二條によりまして、左の各号に掲げているもの以外のものは一応所持禁止するという、こういう建前になつておりますけれども、殊に二号、三号、四号等におきまして許可を受けたもの、或いは文化財保護委員会登録を受けたものにつきましては、勿論合法的に所持が認められる、こういう建前になつておりまして、三條の表におきましては所持禁止という建前をとりつつ、三号、四号におきまして、必要なものにつきましては許可又は登録制度によりまして、これを顯在化することによつて危險を防止し、この必要がありますものにつきましては、その所持を認めて参る、こういう思想に立つております。こういうふうに銃砲刀劍類は、そういう必要なものにつきましては登録許可によりまして顯在化し、真に危険なものにつきましては、その禁止に当つて参る、こういう建前であるのでありますが、こういう建前をとりつつ、なお且つ説法を防止する意味におきまして、第四章の第十三條、第十四條、第十五條等におきまして、この禁止の説法的なことを防止するために、例えばこういつたものを変装して持つことを禁止するとか、こういつた條項を制定いたしまして、こういつた危険物を顯在化して、真に非合法の目的等のために持つているものの禁止図つて参ろう、こういう趣旨に出ております。先般の提案理由内容説明いたしまして御審議の参考に供したいと思います。
  17. 石村幸作

    石村幸作君 そのように、回収目的が達せられたと、そんなふうにお話がありましたが、その回収した刀劍類銃砲、こういうふうなものは一体どういうふうに処置されたのですか。
  18. 中川董治

    政府委員中川董治君) 終戰直後におきましては、回収目的のための指令に接しまして、日本国警察におきましては專らこの回収に任じまして、連合国最高司令部のほうにこれを提出いたしたのでありますが、その後大体その回収目的が達しましたので、占領軍におかれましては、非常に危険なものにつきましては廃棄処分に付されたように承わつております。それから美術的価値があるもの等につきましては、日本政府に返還頂きまして、日本政府におきましては成るべく所有者の発見に努めまして、できるだけその所有者に返還するという、こういう方途を講じておる次第でございます。
  19. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 拳銃は別ですが、刀劍類所持につきましては、ポツダム宣言受諾に伴う命令が出る前もやはりこれと同じような取締をやつてつたものでございますか。
  20. 中川董治

    政府委員中川董治君) お話のように拳銃につきましては、大体同じようなやつが従来あつたのでありますが、刀劍類につきましては法律上では戎器という観念で扱つておりまして、戎器につきましては地方庁令でそれぞれ一応の規制をやつてつたのであります。従つて地方庁によりまして若干の相違があるのであります。携帶禁止している地方庁令もありますし、携帶禁止譲渡について必要な制限を加える、こういつた方面地方庁令におきまして処置しておつたのであります。但し全面的に禁止するということでなしに、刀劍類につきまして危険の強度なもの等につきまして譲渡について制限を加え、又は携帶について制限を加えるということを地方庁令によつて処置しておつたものでございます。
  21. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 私もそう考えておるのですが、要するに終戰後刀劍類まで非常な厳格な規制をするというのは、いわゆる占領治下若しくは終戰後情勢によつて然からしめたものと考えるのです。然るに平和回復になつて平和効力発生しても、なおそうしたいわゆる刀劍類までもこれを厳重に占領下と同じように取締らなければならん一体事情というものがどこにあるのか、その点を承わりたい。
  22. 中川董治

    政府委員中川董治君) 刀劍につきましては、今日におきましても厳重な取締という観念に当るかどうか、この点は一応検討を要するのでありますが、実体は、刀劍につきましては文化財保護委員会に対する登録制度を設けまして、文化財保護委員会におきましては非常に彈力的文化財としてこれの登録制度を大いに活用されておるのであります。登録されました以外のものにつきましては、危険度が非常に高いものでありますし、殊に最近の凶惡犯罪等の趨勢を見ましても、こういう私凶器による犯罪が逐年増加しておる傾向にありますので、こういつた文化財保護委員会登録されないような、人を殺傷することのみが目的であるような刀劍類につきましては、所持禁止いたしまして、こういつた凶惡犯罪の防止に努めることが適当ではないかと考えるのであります。お話趣旨にありました一般的な刀劍類の多くは、文化財保護委員会登録が今日におきましては非常に彈力的に認められておりますので、お話のような趣旨につきましては文化財保護委員会登録の線におきまして所持が合法的に認められる、こういうふうに相成つておるのであります。附加えて申上げますが、この政令は一時禁止令という時代がありましたので、国民観念の中には禁止令時代観念が非常に濃厚に響いておりますので、このポツダム政令に如かずという観念は現在濃厚に支配しておるのでありますが、二十五年以来禁止令という観念を廃しまして、取締令という観念に改めまして、取締令におきましては、刀劍類につきましては登録制度によつて所持の方法を非常に彈力的に認めておる、こういうふうになつておりますので、御了承願いたいと思います。
  23. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 今のお話文化財という観点登録制度をとるということは、これは全く治安関係ない、別の観点だと思うのです。これはもう全く観点が違うので、本当はこの中へ規定するのはおかしいので、むしろこれは別に一種の文化財保護でそれは刀劍類であろうと、骨董品であろうと、むしろそういつたような形においてこれは観念されるべき問題であろうと思う。従つてこの中で問題になつておる現在において刀劍類すらも取締り、或いはその所持等について登録をしなくてはいけないという必要はないのじやないか。言い換えるならば、そこまで問題を言うならば、或いは庖丁でも小刀でもいやしくも人を殺傷するものは何でも登録しなきやならんということにまでなるので、現在の状況から見れば、いわゆる銃砲とかそういうものについてはこれは考えられると思うのですが、刀劍まで非常にやかましくこういう法律によつて縛るということになりますと、言い換えれば国民がそういう制度のために、日常の簡單なことまでも一々取締対象なつたり、登録対象なつたり、非常に煩瑣じやないか。言い換えるならば、それらのものはいわゆる刑法上の形において初めて処罰なり何なりの対象になるのであつて、現在のそういう状況から言えば、刀劍までこうした法律によつて厳重に取締つて行かなければならんというどうも事情がわからないのですが、何かそこにこういうものこそ、平和が克復したのだから、国民をして何か占領下から解放してやる、こういう朗らかな気分にすべきじやないかと思うのですが、その点の事情をもう少し長官からお話し願いたい。
  24. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) 誠に御尤もな御意見だと考えます。併し現在におきましては刀劍類は、終戰後措置によりまして、現在文化財として持つことを許されておる刀劍以外はないはずになつておるのであります。勿論文化財と申しまするけれども、実際の扱いといたしましては、何か理由がつけばこれを合法所持として認めるというので、その措置を終つておるのであります。従つて今日ありまする刀劍は、そういつた届出て来れば大体合法的に所持ができるにもかかわらず届出て来なかつたいわゆる隠しておるという刀劍以外はないのであります。ただ今後新らしく製造するという問題はあります。これは一つの私は問題だと考えておりまするが、只今の段階といたしましては、治安の面におきましては、やはりこれは、只今七首や何かと同じじやないかとおつしやいましたけれども、併し実際のあれといたしましては、ただ個人的な強盗殺人というだけでなしに、集団犯罪としてこういうものが多数に集められるということでありますると、非常に危険は倍加すると考えおるのでありまして、できるだけやはり従前のように持つことを一々登録によつて許すという以外は、やはり禁止状態においたほうが私は非常に望ましいと考えております。今日でもいわゆる集団暴力行為を行うであろうと考えられるような場所を捜索いたしまする際に、数多く出て参るのがこの刀劍類でありまして、むしろ我々はそういつた方面における取締をもつと厳重にやつて行かなければ危険だ、かように考えておるような現在の情勢でございます。
  25. 高橋進太郎

    高橋進太郎君 どうも長官の御意見には承服できないのですが、どうも刀劍まで取締らなければ、或いはそれを登録させなければ日本治安が維持できないのだというと、何か日本治安維持状態が今非常に幼稚である、いわゆる明治時代以上一歩も高まつていないのじやないかというような感じがするのでありまして、丁度戰争竹槍戰争をするような能の程度でしかないような気がするのでありますが、まあこれ以上は議論になりますが、どうも我々といたしましてはもう少しいわゆる治安上の装備なり何なりを近代化することによつて、むしろこんな刀劍などは持つていても何らもう治安上は、丁度普通の小刀なり或いはちよつとした刃物なりが一般人に所持されても、それは何らの治安影響がないという程度まで私は近代的な治安の態勢を整えることによつて、一日も早くこういつたようなものから国民を解放してやる、こういう取締令から解放してやるということを希望いたしまして私の質問を打切ります。
  26. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) ちよつとお諮りいたしまするが、先ほど申上げましたように、法務総裁は十二時前にはお見えになる予定でありましたが、先ほど連絡がありまして、本日はどうも出席が困難である、従つてその代りに龍野法務政務次官が出ておられますから、今このほうの法案審議を一時中止しまして、御質疑がございましたら龍野法務政務次官にお願いしたいと思います。
  27. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 斎藤長官にこの銃砲刀劍類等所持取締令についてお聞きしたい、質問を続けたいのであります。
  28. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) それではどうぞ。岡本君。
  29. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 高橋委員から只今質問ありましたが、私も御同感の点が多いのでありますが、いつかこの委員会に、たしか国立博物館から陳情か請願がありまして、この政令について改正を要望されたのですが、その点はどういう点であつたか、福永專門員ちよつと御説明願いたいのです。国立博物館からの刀劍類のことについての陳情、請願がありましたね、
  30. 福永與一郎

    ○專門員(福永與一郎君) 只今岡本先生から御質問の点でございますが、私の存じております範囲内でお答え申上げたいと思います。  当時国立博物からの御意見の要点は二点に分れるようであります。第一点は、先ほど高橋委員からもお話がありました美術骨董的な価値のある刀劍を、銃砲などの戎器と申しますか、凶器と申しますか、そういう危險物と一緒の、同じ扱いをせられることは適当でない。文化財としての価値を持つておる刀劍類についてはその観点から、文化財としての観点から適当な管理の方法を別途講じてもらいたい、こういう趣旨でございます。第二点は、仮に現在のようなやり方で、登録とかいうようなことをやるにしても、その検査と申しますのは、当時はまだ文化財のほうでやらない時代であつたように記憶いたしますが、警察方面で手数料その他について、必ずしも合理的でない取扱が行われておるので、これをもう少し合理化し、適当な国民の納得し得るような方法に改めてもらいたい。かような趣旨であつたと記憶いたします。大体以上であります。
  31. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 それではその陳情、請願の趣旨が取入れられて、この取締令ができた、改正になつたのでありますか、そういうことになるのでしようか。
  32. 中川董治

    政府委員中川董治君) 只今岡本委員からの御指摘になりました陳情が、禁止令以前にございましたが、当時は警察許可になつておりました、警察許可は非常に文化財としては困るという、こういう御趣旨がありましたことが一つ、それからこういつた重要な文化財につきましては專門の審査員でやつて頂かなければ困る、警察ではちよつと困る、こういう御趣旨がございましたので、そういう趣旨を十分忖度いたしまして、現行取締令を制定するときに先ず文化財保護委員会登録につきましても、それから審査についても、警察官の審査によらずして、刀劍審査委員の鑑定に基くと、こういうことを明記したような次第でございます。
  33. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 それでその点はわかりました。それから銃砲刀劍類等と「等」の字が入つておりますが、これはどれを指すのでしようか。変装して所持する十三條を指すのであるか、どうですか。
  34. 中川董治

    政府委員中川董治君) 「等」という点は、第四章におきまして第十四條の短銃ということが「等」の概念に含まれております。第十五條の「刃渡十五センチメートル未満のひ首又はこれに類似する刃物」もこの「等」の概念によつて規定された條文であります。
  35. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 斎藤長官にお尋ねするのですが、この取締令に違反して所持をして。る人々が大分あろうと思います。その取締をどういうふうにしておられるか。又火薬類取締法、この二十一條に「火薬類は、法令に基く場合又は左の各号の一に該当する場合の外、所持してはならない。」こういう禁止になつておるのでありますが、それに違反してダイナマイトなどを秘匿しておる者が大分あるようであります。これが近頃の暴力革命的な色彩を帯びた時代においてますますそういうものを蓄積する傾向にあるのじやないかと思いますが、そういうものの取締はどういうふうになつておりますか。
  36. 斎藤昇

    政府委員斎藤昇君) 大体一年に一回又は二回、こういつた取締……全国一斉に取締強化月間というものを設けまして取締に特に留意をするというやり方をやつております。その期間は勿論、そうでないときでありましても絶えず只今岡本委員がおつしやいますように今日の治安状況からこういつたものの不法所持をできるだけなくするという必要がありまするので、こういつた方面に対する情報、内偵というものに特に力を入れまして、そうしてそういつた内偵線からどこに銃砲が隠されておるらしい、どこに火薬が隠されておるらしいということを調査をいたしまして、そうしてこれを捜索し、押収し、又所持者を処罰するというやり方をいたしております。又そういう、先ほど申しましたように情報がありませんでも他の犯罪、例えば共産党の非合法の機関紙の頒布先を捜索しますといつたような場合に、こういつた銃砲刀劍類が多数に発見をされておるのであります。それらの調査の結果の数字につきでましては、担当のほうから。
  37. 中川董治

    政府委員中川董治君) この現在銃砲、火薬、こういつた危險物取締の結果の状況等につきましては、お手許に配付しておきました資料にあるわけでありますが、この銃砲刀劍類所持違反の全国集計、こういつたような横書の統計を差上げてございますが、これによりまして、こういう結果が出て来ておるような状況でございます。
  38. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 ついでに火薬類はどういうふうになつておりますか、その調べはありませんか。わかつてなければあとで出して頂きたいと思います。
  39. 中川董治

    政府委員中川董治君) 火薬類につきましては通産大臣所管の法令で通産大臣の許可、府県知事許可等の行政行為がありまして、違反につきましては警察とこれと密接な連絡をとりまして、強力に違反の摘発を主管庁と共にやつておるわけでありますが、現在その違反の統計を持合せておりませんので、よく研究いたしまして後ほど御説明申上げます。
  40. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 龍野政務次官にお尋ねいたしたい。先頃木村法務総裁が見えられましたときに、警察法を改正する必要がありはしないか、あるとすればどういと点を改正しようと思つておられるかということをこの委員会でお尋ねしたところが、そのときに、法務総裁は、速記録に残つておりますが、今は警察法は改正したくない、それはいろいろの混乱をこの大事なときに起してはいけないと思つておる、それで小さな点の改正というようなことは考えるかも知れないが、大きな点については改正をしないというような御答弁があつたのです。そういたしましてその直後に二月二十一日の反植民地闘争デーにおきましてはあのような全国的な暴動騒ぎが起つたのでありますが、その直後新聞で見たところによると、もうすぐ警察法の改正の必要がある、而も首都警察はこれは国の国家警察にしなければならんというようなことが、本当かどうか知りませんが、木村法務総裁の談として載つておる。こういうふうな情勢であります。私はそこで非常に不思議に考えることは、法務総裁に現在の治安状況の確たる見通しということが欠けておるのではないか、そういうふうに感じ、非常に不安を感ずるのであります。そういうことは当然起るべき情勢であつたように私どもは承わつてつたのであります。起らないときには改正する必要はない、あのくらいの騒ぎは大した騒ぎでないと私は思つておる、起るとすぐ首都警察を国家警察にしなければならないというように新聞に発表されるというふうなことは定見がないので非常に不安に思います。政務次官にそういつたことを言つても仕方ないと思いますが、要するに警察法を大きく改正せられる準備をしておいでになるのであるか。或いは政務次官御存じなければ御存じないとおつしやつて頂けば結構です。それについてお伺いします。
  41. 龍野喜一郎

    政府委員龍野喜一郎君) 只今岡本さんの御質問でございまするが、あいにく法務総裁は渉外関係のためにどうしても出られませんので、代つてつたような次第でございますが、目下警察法全体について大幅に改正するという意見政府部内にも起つていないのでありまして、その意味において法務総裁は先般根本的に改正するというようなつもりはないということを言つたのではなかろうかと考えます。併しながら今に始まつたことではございませんが、この首都に関する警察は大阪や或いは京都と同じように完全な自治体警察のままでいいものであろうかどうだろうかという疑問は持つております。従いましてどういうふうに首都警察を改正するかなんとかという問題でなくて、このままでいいかどうかという問題につきましては、法務総裁はあらゆる方面意見を目下聞いておる最中でございます。従いましてその結果、これが首都警察に関する具体案を提案するという意味ではないのでありまして、ただそういう問題を研究しておるということを御承知願いたいと思います。従いましてどういうふうな内容首都警察にするとか、しないとかいう問題まではまだ全然到達いたしていないのであります。さよう御了承願います。
  42. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 大体事情はわかりました。実は私も昭和二十四年に警察法改正試案というものを一部発表いたしました。そのときには首都警察は国家警察にしたほうがいいというふうに考えておつたのであります。その当時は御承知の通り警察予備隊というものはなかつた警察予備隊というものがなかつたからそういう考えを余計に起したのでありますが、現在はそのときの状況と違つて警察予備隊というものがある。これは主として国内治安維持のために置かれたものである。それが一つであります。それから龍野さん等と一緒にアメリカに参りましてアメリカの警察制度を調査、視察をいたしました。我々は日本におるときは簡單にアメリカの首都警察は国家警察だから日本首都警察を国家警察にすればアメリカと一致すると簡單に考えておりましたが、よく考えて見るとワシントン市は即ちデストリクト・コロンビアで、コロンビア区で、これは自治体でなく政府が直轄しておる地域である。従いましてその首都警察は自治体警察であるわけはない。仮にワシントン市という略称であつてもそれが自治体警察であるわけはないのであります。国家の直轄であるからやはり国家警察であるわけであります。だから東京とワシントン市を直接に比べるわけには行かないと思いますが、それでは東京なる首都は今のままの自治体警察でいいかということを考えて見ますと、必ずしもあれでいいとは言い切れない点もあります。併しこれを国家警察に切替えるということについては非常に私は現在躊躇するのであります。その躊躇するのは二つの点、即ち日本で一番大きな自治体であるということと、もう一つは警察予備隊というものができたということであります。警察法で自治体警察というものがなくなつたときには、当然首都警察も国家警察にならざるを得ないが、自治体警察という制度をとる以上はやはり東京が首都であつてもやはり自治体警察という本旨は崩せないというふうに考えます。然らばそれにプラスして強化することができるかということになるのであります。私も考え中でありますから、今日軽々に意見は発表できませんが、法務総裁がお考えになりますときに龍野さんが丁度政務次官をしておられて、いいコンビでありますから、ワシントンの例は例にならんということを一つよくおつしやつておいて頂きたいと思うのであります。特に龍野さんに質問したゆえんであります。
  43. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) それでは時間も経過いたしましたから本日はこの程度で散会いたしたいと思います。    午後零時十一分散会