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1952-07-22 第13回国会 参議院 地方行政・法務連合委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年七月二十二日(火曜日)    午前十一時八分開会   —————————————  委員氏名   地方行政委員    委員長     西郷吉之助君    理事      岩沢 忠恭君    理事      中田 吉雄君    理事      岩木 哲夫君            石村 幸作君            高橋進太郎君            宮田 重文君            溝淵 春次君            岡本 愛祐君            館  哲二君            若木 勝藏君            原  虎一君            吉川末次郎君            林屋亀次郎君            岩男 仁藏君   法務委員    委員長     小野 義夫君    理事      宮城タマヨ君    理事      伊藤  修君    理事      一松 定吉君            石原幹市郎君            入交 太藏君            左藤 義詮君            長谷山行毅君            岡部  常君            中山 福藏君            内村 清次君            栗山 良夫君            齋  武雄君            鬼丸 義齊君            羽仁 五郎君   —————————————  出席者は左の通り。   地方行政委員    委員長     西郷吉之助君    理事            岩沢 忠恭君            岩木 哲夫君    委員            石村 幸作君            高橋進太郎君            宮田 重文君            館  哲二君            若木 勝藏君            原  虎一君            吉川末次郎君   法務委員    委員長     小野 義夫君    理事            宮城タマヨ君            一松 定吉君    委員            左藤 義詮君            中山 福藏君   衆議院議員            野村專太郎君   国務大臣    法 務 総 裁 木村篤太郎君   政府委員    国家地方警察本    部長官     斎藤  昇君    法務刑政長官 清原 邦一君    法務検務局長 岡原 昌男君   事務局側    常任委員会専門    員       福永與一郎君    常任委員会専門    員       武井 群嗣君    常任委員会専門    員       西村 高兄君    常任委員会専門    員       堀  眞道君   —————————————   本日の会議に付した事件警察法の一部を改正する法律案(内  閣提出、衆議院送付)   —————————————    〔西郷吉之助委員長席に着く〕
  2. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) それでは只今より地方行政法務連合委員会を開会いたします。  警察法改正案につきましてはすでに地方行政では説明を聞いておりますが、法務委員会の諸君の御希望もございますので、提案理由説明要点を先ず原案につきまして法務総裁より求め、又衆議院修正案につきまして提案者として野村專太郎衆議院議員より修正点について説明を求めます。
  3. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 昨日提案理由説明申上げたのでありますが、只今御要求によりまして簡単にその要点だけを申上げることにいたします。  先ず第一に、国家地方警察本部長官内閣総理大臣国家公安委員会意見を聞いてこれを任免することにいたしたのであります。これが第一であります。  第二は、特別区警察の長即ち警視総監は、内閣総理大臣が特別区公安委員会意見を聞いて任免することといたしたのであります。  第三は、内閣総理大臣は特に必要があると認めるときは、国家公安委員会意見を聞き、都道府県会安委員会又は自治体警察公安委員会に対して公安維持上必要な事項を指示することができるということといたしたのであります。  第四は、特別区警察に要する経費の一部は国庫で負担するということにいたしたのであります。  さよう四点が今回の警察法一部改正法案要点であります。
  4. 野村專太郎

    衆議院議員野村專太郎君) 衆議院の本案に対する修正部分に関する修正理由説明を昨日地方行政委員会提案者代表であります川本君から御説明をいたしたのでありますが、本日は代つて提案者の一人として私から御説明さして頂きたいと思います。  只今議題となつております警察法の一部を改正する法律案は、御承知のように政府提案にかかるものでありますが、衆議院におきましては去る六月十日修正議決をいたしましたので、その修正部分につきまして私から修正の内容並びに理由について御説明申上げます。  先ず修正の第一点は、改正案では警察法第十二条第二項について国家地方警察本部長官任免権者を「国家公安委員会」から「内閣総理大臣」に改め、更に同条に一項を追加いたしまして、この場合「内閣総理大臣は、国家公安委員会意見を聴かなければならない。」としておるのでありますが、これを修正して第二項はこれを現行法通り国家公安委員会」を任命権者にすることといたしまして、第三項はこの場合「国家公安委員会は、内閣総理大臣意見を聴かなければならない。」と改めることといたしたのであります。  修正の第二点は、改正案では、警察法第五十二条の次に五十二条の二として「特別区の存する区域における自治体警察警察長は、内閣総理大臣が、これを任命し、一定の事由により罷免する。」「前項の場合においては、内閣総理大臣は、特別区公安委員会意見を聴かなければならない」という一条を加えておるのでありますが、これを修正して、特別区の存する区域における自治体警察警察長を任命し又は罷免する場合においては、「特別区公安委員会は、内閣総理大臣意見を聴かなければならない」と改めることといたしたのであります。  これを要するに、国家地方警察本部長官並びに警視総監任免権内閣総理大臣の手に収めることとして、ただこの場合、それぞれ国家公安委員会又は特別区公安委員会意見を聴くこととした改正案を、逆に任免権現行通りそれぞれの公安委員会にあることとして、ただ内閣総理大臣意見を述べるという消極的権限を持つことに修正しようとするものであります。国内治安の最終の責任政府にあることは申すまでもないところであるにかかわらず、現行警察法上の建前からは、警察行政責任が直接には公安委員会に帰属し、内閣責任は間接的で、而も不明瞭でありまして、今日まで治安確保について政府責任ある措置に出ずることを妨げて来たことは事実なのであります。今回政府がこの点を改めて、政府治安確保に対する責任を明らかにしようとした趣旨は、治安の現状から見ましても誠に当然でありまして、これを諒とするにやぶさかでないのであります。併しながらその実現の方法として、一方内閣総理大臣指示権を与えると共に、前述の任免権をも与えようとしたことに対しましては我々は同意を表し得ないのであります。その理由といたしましては、第一に警察行政民主的運営を保障するために設けられた公安委員会の重大な権限を取上げて、これを内閣総理大臣の手に移すということは、現行警察法の精神から考えまして如何かと存ずるのであります。のみならず厳正公平なるべき警察権運営政党的干与の途を開き、曾つて選挙干渉のごとき事態を生ぜしめる虞れもあり、少くともそのような印象を与える結果となることは厳に戒めなければならないと思うからであります。そうして内閣総理大臣意見国家公安委員会の見るところとは結局において一致を見るものと存ぜられますので、任免権国家公安委員会に持たせて置いても、政府の意図するところは失われないものと考えるのであります。  第二に、今回の改正案では、特に必要ありと認めるときは内閣総理大臣は、国家公安委員会意見を聞いて都道府県又は市町村公安委員会に対して、公安維持の上に必要な事項について指示することができるという新らしい権限を認めているのでありまして、この指示権を適当に運用いたしますならば、大体において政府治安維持の上に責任ある措置を講じ得ると思うのでありまして、あえてその上に人事権まで掌握して無要の誤解を招くがごときことは賢明ではないと思うからであります。  第三に、我が国将来の治安を更に国際的、社会的情勢を考えます場合に、現行警察制度には首都警察の問題をも含めて、更に一層根本的に検討すべき問題があるのでありまして、かかる根本に触れず、単に任命権について改正を加えようとする態度には賛成し得ないのであります。  以上の理由を以ちまして修正を加えた次第であります。何とぞ速かに御審議をお願いいたします。
  5. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) それでは以上を以て説明を終りましたので、通告順によりまして発言を許します。中山福藏君。
  6. 中山福藏

    中山福藏君 私は政府一つお聞きしてみたいのであります。大体国警自警と二本建で現在地方警察制度が賄われておるわけでありますが、このままの制度で果して警察本来の面目を発揮せしむることができるかどうか、その点について先ず総裁の御意見をあらかじめ承わつて置きたいのであります。
  7. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) お答えいたします。御承知通り現在の警察法はいわゆるアメリカの警察制度を元にして作られたのでありまするが、国家警察自治体警察とを完全に区別いたしまして、この両建で治安確保に当つておるのであります。もとより実施後その実績を見ますると、これがいい面もあるが、又甚だしく不便な面もあるということは各位御承知通りであります。殊に最近に至りまして大阪におけるあの吹田事件なんかを見ますると、如何にも自治体警察運営がまずかつたということは眼のあたりにこれを見せられるのであります。又一面において各小さい市町村におきましては  自治警察を返上いたしまして国家警察にこれを編入させて行くということも新たな事実であります、これは十分に再検討を要すると我々は考えておるのであります。併し何分にも警察運営というものは極めて民主的でなくてはならん。自治警察にいたしましても、本来の意図するところは、いわゆる民主的に警察運営して行こうということが主たることでありますから、このいい面はどこまでも我々は主張して行かなければならんと思うのであります。従いまして只今国家警察自治体警察と二本建で行くものを直ちに一本にするということは、これは我々は考えておりません。国家警察自治体警察が十分に連絡を密にいたしまして治安確保に邁進いたしたい、こう考えておる次第であります。
  8. 中山福藏

    中山福藏君 すべて警察制度というのは民衆生活に直結しておる次第でありまするから、政府責任はもとより極めて重大なものであるということはよくわかるのであります。併しながらこの警察本来の性質から申しまして、極めて急速を要するような場合において、あらかじめ指揮系統とかその他諸般の事情につきまして一応その標準というものをきめて置くということが必要であると私は考えるのでありますが、只今総裁の述べられました先般吹田市に起りましたあの不祥事件であります。あの実際を私は取調べてみましたところが、茨木市、或いは高槻市、或いはこの吹田市、あそこに三つ市がある。それから、池田のほうから人民電車に乗つて山越えをしてやつて来ておるのでありまするが、あのときの実際の動きを見まするというと、各自治警察が事勿れ主義で、お前さんのほうでやれ、お前さんのほうでやれというような按配で譲り合つておる。そうして一つトラックに乗つておりました二十七名の警官隊に対しまして一つ火炎びんが投げられておつて、そうして鉄兜に当りまして、その火炎びんが破裂をして四人が重傷で、総計二十七名ことごとく重軽傷を負つておるのであります。こういう場合に、そのときの状況を仔細にあとから点検してみまするというと、そのトラックうしろに四百名という警察官がちやんとトラックに乗つて控えておつた。それが自治警国警というような按配にそれが違つておるから、まあ待て、まあ待て自分のほうへ迷惑がかかつてはいかんというので待機して、それをただ見送つてしまつた。だからあの事情というものが、非常に一方の暴徒と申しますか、そういう連中が乗気になつてあれが拡大したと、こういうことになつておるわけなんですね。それで、自警国警との指揮権というものが、例えば国警長官がその場合に指揮権があると、自治警国警の双方に対して指揮権があるというような場合に、あの吹田事件のときには両方出向いておるのでありますが、そのときにあわててしまつて、どつちがどつちかわからないようになつてしまつておる、実際に見ますというと……。だから一方のほうは命令違つてあとのほうへ待機しておつた四百名のトラックというものは全然手をつけておりません。こういうことは実際面から私どもは帰  納して行つて、生きた法律というものを制定するということが最も私は必要じやないかと思うのであります。こういうふうな実績に鑑みて、これは自治警察国家警察とが合同して一つの行動を始めるという場合には、その指揮系統というものはどちらのほうにあるか。例えば自治警のほうに警部補がおり、一方の国警のほうに、まあ昔の言葉で言えば巡査部長がおるというような場合には、国警のほうに指揮権があつて官等の違いから向うのほうに逆に命令を受けるというようなことになつて来はせんかと思うのでありますが、だからそういうふうなせつぱ詰つた場合においては、どちらのほうが指揮するか、官等の上下を問わず、どちらのほうに指揮権があるかというようなことをあらかじめ一本にまとめておくというふうなことが必要じやないかと考えるのであります。これは全くこの警察制度の欠陥から来た、あれだけの重軽傷者を出したということになつておるのであります。いわば制度人間を怪我さしたということに私はこの吹田事件から推して考えられるのであります。あのときに、うしろのほうに控えておりました四百名というものがすぐ突進して、そうしてその暴動というものを押えたのであるならば、かくのごとき重大な結果はなかつただろうということが一般の識者の申すところでございまするが、すでに吹田方面からの報告が法務府には来ておると考えますが、この実績に鑑みて、もう少し突つ込んだ制度改正というものをなさるということが必要じやないかと思うのであります。単に私どもは机の上で理想を論じ合つてもしようがないのであります。生きた実績に鑑みて生きた法律を作る、こういうことが必要じやないかと考えますから、その点について、一つ総裁の御意見を改めて一つ承わつておきたいと思います。
  9. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 誠に御尤もな御意見と思います。そこで政府差当りこの警察法の一部改正法案を提出いたしまして御審議つておるのであります。この一部改正においては、我々は万全を期し得るものとは考えおりません。ただただ現下の急迫した時局に、何とかしてこの治安確保に任じたいということで、必要最小限度改正案を御審議を願つておるのでありまして、今お話のような警察制度の根本的の改正ということについては十分慎重審議いたしまして成案を得たいと、こう考えておる次第であります。
  10. 中山福藏

    中山福藏君 私は早急に一つ根本的な改正をなさるということが必要であると思うのです。民主政治というものは、民衆に媚びるという意味じやなくて、民衆の幸福と利益を図るということに私は民主政治本当の狙いがあると思うのであります。民衆の輿論というものに引ずられまして、それに媚びて、そうして十分になすべき手を打たないということは、これは本当民主政治ではないと考えております。どうか一つその点に御留意願いたいと思います。  それから、先達つて吹田事件に、これは警察法に関係がありますからお尋ねするのでありますが、関連して申上げておくのです。これは警察法改正をするには、現在人員というものがすでに限られておつて検察庁においても、或いは警察においても、すべて人員が限られておる。それからこの問吹田で検挙されました連中検事局に送られまして拘留された。そのときに、拘留理由の開示を弁護士から要求しておるのであります。そうすると、これが奪回されては困るということで、何百人という警官を裁判所前に待機さした。そうしてその暴徒の来るのを防いでおるのであります。一方においては、拘留されておる者は黙秘権を使つておる。五十名の検事がおつて、三日も百五、六十人の人が対峙して睨合いをやつておりまするというと、三日もすると、大概五十人くらいの検事は参つてしまう。一週間も続いて黙秘権を使われますものならば、何にも調べができないということになる。これが千人とか、二千人とか拘留された場合において、この黙秘権を使われた場合に、検事の数に限りがある場合に、こういう人間能力には限りがあるのですが、そういう不祥事がないということは、今日から私どもは確言できない立場にある。今日の社会状況から申しますというと、そういう場合においては、どういうふうにしてお取調べをお進めになるつもりであるか。それに対してあらかじめ御用意があるのかどうか、それも承わつて置かんと、これは相当の人数に私は殖えて来るのじやないと思うのです。一方においては刑事訴訟法黙秘権の規定がありまして、みんな神経衰弱になつて、ものの十日もすれば殆んど取調べは不可能ということになるのじやないかと思われる。その場合において、政府としてはどういう手を打つ準備があるのかどうか。これは一応承わつておく必要があると思います。  それから、先達つて私は検事当局に面会しまして、いろいろ調べてみたのでありますが、大体徹夜をする。一日も二日も何百人という警官徹夜をする。そうすると、一つ検事局の区内において、僅かに五万円くらいの臨時手当しかないということを聞いたのです。これでは全く徹夜をする腹ごしらえもできないというようなふうになつて、十分なる機能の発揮はできないのじやないかということを痛感するのであります。どれくらい一管区に要るのだと聞いてみましたところが、五十万から百万くらいの臨時費というものでは到底運用ができないのだと、例えば相当の人に寄附金を仰ごうかと考えておるが、そういうわけに行かないから、実際困つておるのだということを検察当局は申しております。そういう点も一つ考慮の上に御考慮を払われて、一応一つその点も併せてお伺いをしておきたいと、こう考えております。
  11. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) この点については、実は我々は非常な関心と共に憂慮しておるのであります。集団犯罪で以てたくさんの人間を検挙した場合、これが果して今のような状態検察庁で賄つて行けるかどうか。私は到底賄つて行けんと考えております。調査の問題もありまして、今お話のような人員の問題、限られた人員で、思いもよらん多数の人員取調べなければならん。これは人の能力には限りがあるのでありますから、恐らく神経衰弱にかかつて殆んど立つこともできない者も出て来るだろうと思います。誠に遺憾に思うのであります。平常な状態においてすら検事人員の不足をかこつてつたのであります。いわんや現在、又将来も予想されるのでありますが、多数の犯罪人を検挙いたしましてこれを取調べるということについては、今の状態ではどうしても賄い切れんと私は考えております。従つて検察官の増員、又これに対しての手当の問題が出て来るのであります。いずれ大蔵当局と十分に交渉いたしまして、待遇改善について図りたいと思います。御助力を願いたいと思います。  なお一点この点について御考慮を私からお願いしたい。警察官であります。御承知通り集団犯罪が各所において行われる場合に、警察官が出動するのであります。これは自治警においても国警においても同様でありまするが、殆んど昼夜を分たず、この働いておる警官に対して出場手当すら十分に出すことはできない。これは警官自身がそういうことを言うのでありません。私のところへ向いて数県の県会議長、或いは知事、副知事からさようなことを言つてつておる実情なんです。誠に私は考えさせられることであります。要するに身命を賭しておる警官に対する出場手当すらろくに出せない。誠にあわれむべき状態と思います。これらに対して、我々は何とかして解決の途を図りたいとこう考えて、閣議におきましてもその点について十分御考慮願いたいと申出ております。我々に御援助を願いたい。この機会に申上げておきます。
  12. 中山福藏

    中山福藏君 私が先だつて取調べたところによりますと、或る警部でございますが、部下の者に対して進めと言つた。お前一つあれに行つて逮捕しろと命令を下しましたときに、私は妻子がありますからということをその巡査が言つた。これは要するに煎じ詰めまするというと、自分が死んだら妻子を養うところの金がないから、生活費がないからちよつと考えなければならんという意味じやないかと私は考える。これは言うと言わざるとにかかわらず、心の中にはこういう考えを持つている人が相当数私は現在の日本においてはあると見ております。官吏の中で大体百万円とか、幾らとかいうものを警察官で死んだ場合においては、慰藉料として、或いは家族扶助料としてやるということになつておるという噂は聞いておりますが、大体もう少しこれはそういう場合においては総額を二、三百万円、少くとも三百万円ぐらいの割で、この家族が、例えば長男なら長男というものが一定年限に達するまで補給してやるというような思召は今政府当局にはないでございましようか。又そういうことに努力するというお気持があるのでございましようか、ないでございましようか。これを一つついでに聞いておきます。
  13. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) その点につきましては、私は非常に憂慮いたしまして、数ヵ月前に閣議の席上でその点を打ち出しまして、少くとも職に倒れた警察官に対しては、一人当り百万円、負傷した者についてはその負傷程度に応じまして五十万円以上出すことを要求した。それがこれは認められたのであります。そこで私は問題が一つあります。東京のような大きな自治体であれば、それくらいの金額は出し得るのであります。併し地方自治警察におきましてさようなことが起つた場合に、自治体財政能力がそれを果してできるかどうか。今のは国家警察のなんでございまするからできるのであります。これに伴う自治警察について、それだけの果して財政的の余裕がありや否や、これであります。従いましてそれらのバランスをよく考えまして、今後とも十分それらの点について考慮を払いたい、こう考えております。
  14. 中山福藏

    中山福藏君 私は一つ野村さんにお伺いしておく、あなたのほうでは修正案として国家公安委員会、或いは地方公安委員会というものによつて警察の長を定める、そうして総理大臣のこれは意見を聞くというのですかね。意見を聞かなければならん。こうなつておるわけですね。それで私ども地方公安委員会構成員、或いは国家公安委員構成員の大体の人物識見能力というものを大体知つておる。その人と常に接しておればなお更よくわかるのでありますが、中には尤もな委員だと考えられるところもあるのです。併し中には実に構成員というものは、世間の相当の批判を受けるべき立場にある人によつて組織されておるところもあるのであります。従つて国家治安を維持する点から考えまするというと、常にこの社会の表裏並びに社会の内在的なすべての犯罪の流れというものを知悉しておる必要があると思うのであります。いわんやその長となつて警察のいわゆる長となつて、すべての犯罪行為を取締るという場合においては、相当これはその方面においての能力と申しますか、知識というものがなくちやいかんと思うのでありますが、それを公安委員会の人々の会議の結果選ばれるでありましようが、理想の人が得られるという確信の下にこういう修正案を出されたのですか。そこを一つお聞きしたい。そうしてその選んだ人間をいいか悪いかということを総理大臣意見を聞くと、こういうことになつておるわけですね、そうですね。
  15. 野村專太郎

    衆議院議員野村專太郎君) そうです。
  16. 中山福藏

    中山福藏君 どうですか、あなたは確信を持つておやりになるということをこの場合断言できますでしようか。そうして選ばれた人間がこれは輿論だから、民主政治だからとおつしやいますけれども、先ほど言うように、民主政治というものは、輿論にへつらうということではないと考えておるが、それについての一つ識見をこの場合披瀝して頂きたいと思うのです。
  17. 野村專太郎

    衆議院議員野村專太郎君) 只今の御質疑は御尤もであろうと思つております。公安委員会の構成なり、その能力の発揮という点に対するいろいろの考え方もあろうと思います。併し今日の警察法の精神、制度、こういう点から一応今日の段階では衆議院側といたしましては、この程度の修正をいたしまして、同時に併し今お指摘のような心配もございますので、その任免につきましては、内閣総理大臣意見を聞く、こういうことに対して今の御心配のようなことを補うようにいたしておるわけです。政府みずからこの治安責任をみずから筋金を入れてこの改正案を出したことの熱意はよくわかるのですが、半面において、警察法の今日の制度、このことを一応衆議院側としてはこれを尊重し根本的の改正は将来に譲るといたしまして、今日の現行法では、最善の修正をいたしたつもりでございまして、公安委員会の人選そのものに対しては、人柄、それぞれについては、それぞれ立派な閲歴の者もあると思いますが、併し実際問題として御心配の向きもないではない、このことを考える。そこで内閣総理大臣意見を聞くと、こういうことにできてございますので、御心配の点をこれで補える、こう考えて修正案を出したわけです。
  18. 中山福藏

    中山福藏君 そこでもう一つ念を押して野村さんの意見を聞いておきたいと思います。大体この人選に疎漏がない、少くともこれくらいだつたらよかろうというお見込みをつけられるということは、これは要するに公安委員会構成員であるところの人間能力により、或いは又識見によつて、或いは人物の見通しによつてお選びになることと考えますが、あなたの御意見では、この公安委員会というものは、一通り完全なものというお見込の上に、任しておけば差支えないと、こういう御意見だろうと思うのですが、現在公安委員会というものは私の見るところでは、そう感心するような制度ではないと私自身は考えておるわけです。委員長なんというのは相当の俸給を取つておる。行政改革の上から行けば、これは第一に政治家として考えなければならんことだと自分は思つております。併しこの場合には関係ありませんから申上げませんが、将来国民全体の負担減という点から見れば、行政改革の面に現われて来るのは、この委員会というものが大きくそこに画き出されるのではないかと思うが故に尋ねておきますがですね、この公安委員会によつて選ばれるところの人間がいいか悪いかということは、要するに公安委員の手腕、識見、力量の如何にあるということになつておりますが、この点について手腕、識見、力量についてのお見通しは一先ずできておるわけでございましようか。これは一つ衆議院を代表してと申しますか、或いは提案者を代表してこの場合この席に連なつておられるのですから、一応その意見をお聞きしておきたいと思います。
  19. 野村專太郎

    衆議院議員野村專太郎君) 只今のお尋ね、私個人としては非常に同調の点が多いのですが、提案者の一人としまして、今日代表者に代つて説明に出ておるわけですが、公安委員の人選なり構成されるものについては、私個人としては大いに意見もあり又今のお尋ねの点に対しても同調の点が非常に多いのです。併し一応今日の警察法なり今日の現行法を尊重しながら治安確保をやつて行かなくちやならん。そういう点から一応この程度の修正をいたしまして、その任免或いは罷免をする場合に対して、十分内閣総理大臣意見を得て十分これを補う、こういう意味において、公安委員の構成なり、他面それらの今お尋ねの点に対しましては、警察制度の根本的な工夫が講じられなくちやならん時期もあろうと思います。一応今回の政府改正案に対しまして、衆議院としては今日の時期におきましてはこの程度の修正案を以てしたい、こういう考えで修正をいたしたような次第でございますので御了承願いたいと思います。
  20. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 委員長、ちよつとそれに関連して発言したいと思いますが……。先ほど来中山委員と野村衆議院議員との間における質問応答を聞いておりまして、感じられますことは、中山さんが最近まで政界から御引退になつてつたためか、警察法の目的を十分によく御了解になつておらないような、まあ失礼ですが印象を受けるわけです。警察法の前文には国民のために人間の自由の理想を保障する日本国憲法の精神に従い云々ということが書いてあり、又総則の第一条の中にもそうした抽象的な一つの目的が出ておる  と思われるのですが、特にこの具体的なこととして、先ほど来の質問の趣旨に公安委員というものが非常に不適任な人間がおるというようなお言葉があつたと思うのですが、それは警察法をよく読んでおいでになるならば、そうしたことは私は出なかつたのじやないかと思うのですが、或いは今ここに我々の前に提示されておりまするところの警察法改正は、即ち首都の警察、東京都の警察についての問題が中心になつておるわけなんでありますが、それでそうしたお言葉がある以上は、この改正案の目標になつておりまするところの現在の国家公安委員になつておられる人、委員長には最近まで学界に非常に令名があり又実際の工学家としても非常に有名であつた辻二郎氏がなつておられる。今は品川煉瓦の青木さんでありますか、公安委員長になつておられるのでありますが、その他の私は国家公安委員の人々もそれぞれ日本におけるところのこれは第一流の人物であると言うても決して過言ではないと考えておるのであります。又もう一つは東京都の特別区の存する地域におけるところの自治体警察のことが問題になつておるのでありますが、この東京都の公安委員も、中山さん御承知かどうか知りませんが、早稲田大学の総長の島田さんそのほか、私は東京都というこの中央の都会が持つておりまするところのやはり都民としての第一流の人物がそれぞれ選ばれて国家自治体の公安委員になつておられると思うのでありまするが、あなたは国家公安委員と東京都の自治体警察の公安委員の中で明らかにそうした言をお吐きになる以上は、具体的に誰が、あなたが意味されたところのその任に堪えないようなつまらない人物であるかという名をお挙げになる必要があるのじやないかと思います。而もこういうことを質問しておるときに(「討論するのか」と呼ぶ者あり)野村君の御答弁も又中山さんのそうした質問の意見を御尤もでありますと、如何にもそれを承認したような答弁をしておられることは、私は甚だ怪しからん御答弁であると思う。あなたは今日の警察制度というものが、どういう精神でこの制度ができたかということの、この警察法の前文を一つお読みになつたならば、そんな馬鹿げたところの答弁はできないはずだと思うのであります。あなたが選出されているところの東京都においての自治体警察の公安委員が、誰がそれほどあなたが中山さんのそうした質問を承認されるようなつまらない人がなつておられるのか。あなた非常な責任のある言を答弁していらつしやるが、名を挙げて言つてごらんなさい。
  21. 中山福藏

    中山福藏君 私は討論を今吉川君がやられるような言論でありますが……。
  22. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 私は野村君に質問しているのです。
  23. 中山福藏

    中山福藏君 公安委員というものは褒貶相半ばしておる立場にあるということを私は言つております。(「どこの公安委員だ」と呼ぶ者あり)そういうことを言う必要はない。そんなことわからん。黙んなさい。(「警察法を読んでいやしないじやないか」と呼ぶ者あり)
  24. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 吉川君お静かに。
  25. 中山福藏

    中山福藏君 そういう工合でありますから、吉川君が一々名前を挙げろということについては、そんなことは言う必要はない。(「君にはわからん、追放解除者に何がわかるか」と呼ぶ者あり)それで私が申上げるのは、ことごとく悪いということは少しも申上げていない。或る者は評判が悪い、或る者はいい。だからその公安委員というものは、行政改革の上から相当の問題になつて来るから、そういう事柄に鑑みて責任を持つて御推薦ができるかどうかということを申上げている。又警察法なんかというものは、議員に出て来る以上、そんなものは読まない人はない。基本的人権というものは書いてあるから、それを守つて行くのは警察でしよう。(「君にはわからんよ」と呼ぶ者あり)そういう幼稚なことを言つて、茶化してはいけない。(「追放解除者にはわからん」と呼ぶ者あり)馬鹿なことを言うな、それで私は申上げるのでありますが、要するにこの修正提案をお出しになる以上は、そういうふうな一つ責任感を以てこれは提案されただろうということをお聞きしただけでありまして、それを以て吉川さんとかれこれ私はここで以て喧嘩したくない。それでそれ以上のことはここで申上げません。ただ人を侮辱したような政界云々ということは言う必要はない。(「追放解除者にはわからんよ」と呼ぶ者あり)君は余りくどいからいけない。  そこでお尋ねしておくのでありますが、将来総裁のお心持は、自治警察国警というものを一本にまとめて迅速果敢な犯罪の予防をなさるというような考えはございませんか。それを一つお伺いしておきたい。
  26. 吉川末次郎

    吉川末次郎君 委員長私は野村君に答弁要求しております。
  27. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) ちよつとお待ち下さい。
  28. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 自治体警察国警とを一本にする考えはないかどうかという御質問でありますが、これは相当重大な問題であろうと考えております。自治体警察はこれはいい面もあるのであります。これを民主的に運営して立派な自治体警察を作り、一方において国家警察を十分強力なものにいたしまして、双方の連絡調整をうまく図つて行けば、私は国家治安の上において相当に効果を達成し得るものじやないかと考えております。それらの点についてはいろいろ考え方もありましよう。折角我々は今考慮中であります。ただ、これを一本にするということについては、直ちにそういたしたいということは私は申上げかねるのであります。
  29. 野村專太郎

    衆議院議員野村專太郎君) 吉川先生の御質問に対してお答えいたします。先ほど私が中山さんの御質疑に対しまして御答弁をいたしたことが、非常に言葉が拙劣のために、私の気持を表現し得なかつたことを残念に思いまするが、私は国家公安委員会、東京の二十三区の公安委員会を構成する公安委員のかたがたの人格の非常に高いことはよく承知いたしております。併し今日の公安委員制度そのものは、折角立派な人格、立派な識見をお持ちになつておる委員の能率を発揮することに相当骨の折れることも私個人としても考えられます。決して今の国家公安委員なり、二十三区の特別区の公安委員のかたがたが不適格だという考え方から申上げているのでない。むしろ更に将来警察制度改正を待つて十分今日の警察法の精神に副つて、そうしてその委員のかたがたが十分なる人格と手腕を発揮できるようなものにしたいとさえ考えておるのでありまして、決してそれらの公安委員のかたがたが不適格だという考え方を毛頭持つておりません。私の先ほど答弁申したことがそうでなかつたといたしたら、それは私の考え方と違うのでありまして、ただ今の制度そのものは非常に或る程定制約を受けておりまして、そういう点から更に内閣総理大臣意見を聞いて更に十分これを措置してやつて行こうという修正をいたしたのでありまして、先ほどの御質疑に……私の考え方は決して変つておりません。その一点を一つ御了承を願いたいと思います。
  30. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 中山君の御質疑は終了いたしましたか。
  31. 中山福藏

    中山福藏君 まあこれで一応結構です。あと又微細な点は後ほどお伺いいたします。
  32. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) それでは正午でございまするから、午前中はこの程度で休憩いたしまして午後一時より再開いたしまして、一松君にお願いいたします。   これにて休憩いたします。    午前十一時五十四分休憩    —————・—————    午後一時三十九分開会
  33. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) それでは只今より委員会を再開いたします。   午前中に引続きまして質疑を続行いたします。宮城君。
  34. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 私は予算のことに  ついてちよつと伺いたいと思つております。第五十二条の三「特別区の存する区域における自治体警察に要する経費は、都の負担とする。但し、国庫は、予算の範囲内においてその一部を負担することができる。」とございますが、恐らく今までも平衡交付金の中から手当はしてあつただろうと思つておるのでございますが、今度はどういう形で、どういう名目でこの予算措置ができておるのでございましようか。そうしてなお大体「負担することができる。」と、できることになつておるのでございますけれども、その予算措置の点についてどなたからでもお答え願いたいと思つております。
  35. 斎藤昇

    政府委員(斎藤昇君) お尋ねの通り只今自治体警察に要する費用は、当該自治体の負担でありまして、財政上の調整は平衡交付金によつて調整をいたしているわけであります。ところがこの「特別区の存する区域」、即ち東京の二十三区の区域における警察の仕事を検討いたして見ますると、国会を初めといたしまして政府各機関、或いは外国公館その他直接国の治安に関係をする部分を他の自治体警察に比べまして、特に著しく多く東京の警視庁には仕事をさせているわけでありますので、さような本来ならば他の自治体警察においては見ることの少いような特別なものにつきましては、その費用は国で一部を負担するという途を開くべきではないかと、かように考えましてこの条文を入れたいと考えておるのであります。現在予算の措置といたしましてはまだとられておりません。一部を予算の範囲内で負担することができるというこの法律が若し御承認を頂けまするならば、これによりまして予算を新たに提案をいたしまして御審議を頂く、こういう順序になる予定でございます。
  36. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 その提案なされたいという高は大体どのくらいな御予定でございましようか。
  37. 斎藤昇

    政府委員(斎藤昇君) まだ大蔵省と十分話合つておるわけではございませ  んが、今日東京警視庁の負担をいたしておりまする警察費は七十億を上廻つておるのであります。殊に最近のように群衆的な犯罪が非常に多くて、警視庁におきましても警察官の出動が殆んど毎日あとを断たないというような状況から見まして、この七十億の予算では、非常に本年度においても不足を来たすような状況にあるのでありますが、先ほど私が申上げましたようなことから、殊に警視庁の警察予備隊が頻頻と出なければならないというようなもの応対しましては、その一部を負担するのが適切ではないかと、かように考えまして、これらの費用を総合いたしますると相当の額になりますが、先ず大体十億前後ではなかろうかと、かように私どもとしては心づもりをいたしておりますが、まだ公に幾らが適当であるという結論には達しておりません。
  38. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 現在まで事故があつて、そうして命を取られたというような場合には、一人に対してどのくらいの手当がなされているのでございましようか。
  39. 斎藤昇

    政府委員(斎藤昇君) これは各国家地方警察と、それから自治体警察、それぞれにおきまして相当相違がございます。国家地方警察国家公務員でありまするから、先ほども御質問があつたのでありますが、国家公務員が公務遂行のために死傷を受けた場合の災害補償の規定がございまして、これによつて補償を受けるのでありますけれども、今日の治安状況に鑑みまして、先ほど法務総裁から御答弁がありましたように、特にそのほかに死んだ場合には百万円を限度として別個に賞恤金を出す。自治体警察においてもこれに準じて出してもらうというように只今いたしておるのであります。公の金といたしましてはこの二通りでありまするが、そのほかに警察官等がお互いに出し合いまして、状況に応じまして、共済の実を挙げておるというのが今日の現状でございます。
  40. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 重ねて伺いますけれども国警のほうは大体わかりますが、自治体警察国警と比べますと、東京都あたりは多いのではございませんでしようか、その亡くなりましたというような場合でも手当は如何でしよう、その点を伺わせて頂きたいと思います。
  41. 斎藤昇

    政府委員(斎藤昇君) 東京の警視庁におきましても、公の金といたしましてはこれより多いということはございません。そのほかに東京の警視庁におきましては相互救済の規定によつて相当額を出すという慣例になつております。公の金といたしましてはこれは全国を通じまして最高だと思つております。他の京都その他におきましても国警の行う規定に準じまして最近それぞれの条例において出すという規定を今設けつつあるような状況でございます。
  42. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 私は甚だ素人でございますので伺いたいのですけれども、今まで大体国警とそれから自治警のほうで、東京ではどのくらい亡くなりましたときに、その事件にもよりましようけれども、大体においてどのくらいの手当をもらつておるのでございましようか。
  43. 斎藤昇

    政府委員(斎藤昇君) 只今調べましたものを手許に持合せておりませんので、後刻調べましてお手許に御報告申上げたいと思います。
  44. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 委員長にお願いしておきたいのでございますが、委員長のほうからこの材料を請求して頂きたいのでございますが、それはこの東京都内だけでなくて、全国の自治体警察国警との一般の手当金、それから特別事故がありましたときに、つまり命を取られたというような場合に、大体において今までどのくらい手当をもらつているかということを全国的に恐らくそれはわかつておると思いますが、材料を一つ出して頂きたいと思います。
  45. 左藤義詮

    左藤義詮君 関連して一つ……。只今五十二条の三で特別区の自治体警察に対する国庫の負担のことがございましたが、それ以外の、例えば大阪のごとき外国公館とかというものはございませんけれども、非常に重要な治安責任を持つている、今月の十五日なども非常に大きな事前に手当をいたしましたために騒擾等に至らずに済んだのでありますが、これに対しては非常に大きなそのたびごとに費用を出しておるのですが、こういうものに対しては何らかこの五十二条の三に準ずるような処置をなさるお考えはないものでしようか。
  46. 斎藤昇

    政府委員(斎藤昇君) 御指摘のように他の自治体警察におきましても相当只今お示しになつたような事例が多いのでございます。このたびの地方財政法の改正によりまして、警察費に対しまして国が補助することが可能に相成つたように考えまするので、今後大蔵省と折衝をいたしまして、できるだけ他の自治体警察につきましても補助のできるようにいたしたいというので大蔵省と今折衝をいたしております。できるだけ実現を見たいと思つております。
  47. 左藤義詮

    左藤義詮君 警視庁に対しては十億前後というお見通しをなすつたが、それ以外の自治体警察に対してはどれぐらいの大体の概算で折衝をされておりますか。例えばそれを来年度の補正予算とか、いつからそれをおつけになる予定でありますか。
  48. 斎藤昇

    政府委員(斎藤昇君) これは自治体警察の連合会とも相談をいたしまして、自治体にもそれぞれ事情がありまするので、どういう費目についてどの程度の補助を要求することが適当であるか一つ研究してもらいたい。私のほうでも研究するというので合同で只今研究をいたしております。大蔵省に対しましては、補助の途を開いてもらいたい、その内容については今自分のほうでも勉強しているという程度に今進行をいたしております。
  49. 左藤義詮

    左藤義詮君 いつからの見込でございますか。
  50. 斎藤昇

    政府委員(斎藤昇君) できたら来年度の予算から実現を見たいと思つて調査を進めております。
  51. 左藤義詮

    左藤義詮君 地方税の改正等が相当響いて来ると思いますが、一例を挙げますなら、大阪の吹田という先日相当の騒ぎを起した所がありますが、この市のごときは殆んど町の真中に大きな操車場がございまして、こういう国鉄の建物が税の対象にならないために非常な迷惑をしております。それだけじやなくて今非常に事故が多い。特に先日のようなああいう思想的な背景を持つた事故がしよつちう繰返されておる。非常な今度税の減収になる上に、又そういう負担がますます大きくなつて行く傾向があるのです。ここに平衡交付金とか何とか特に警察のほうが積極的に努力をなすつて、こういう重い負担を持つている自治体警察に対して特別な措置をなさる、そういう具体的な個々の各都市にそれぞれ事情があると思うのですが、そういう特別の事情を調査なり或いは何らかの特別の処置をなさるようにそういう努力をしておいでになるかどうか。
  52. 斎藤昇

    政府委員(斎藤昇君) 吹田の市警についてどうというわけではございませんが、特に普通の自治体警察が負うべきよりも余計重い負担を負うというようなことも一つの基準にいたして考えておりまして、そういう場合にはそういうものも当然に入つて来るであろうかと考えております。ただこれの実現につきましては、大蔵省、地方財政委員会、相当困難な事情があると考えられまするので、皆様がたの一つの御援助を切にお願いいたしたいと考えます。
  53. 左藤義詮

    左藤義詮君 無論国会もそうですが、特にそういう問題に対しては国警のほうからこれは国家全体の治安の上からも、よほど積極的に一つ何か明年度から、今まだ準備中だというお話でなしに、相当私は努力する決心をして頂きたいと思うのです。お互いに責任のなすり合いのようなことをして、現場が非常に困つておる。もうしまいには警察力というものの十分な発揮ができないというような事態になつて非常に困ると思うのでありますが、その点はもう少し積極的に、来年度と言わんでも、地方税はいつから実施になるということに問題点がありましようが、一つ先手を打つようによく御努力を願いたいと思うのです。その御意見一つ伺いたいと思います。
  54. 斎藤昇

    政府委員(斎藤昇君) 大いに努力をいたしたいと思つておりますからよろしくお願いをいたします。
  55. 左藤義詮

    左藤義詮君 結構です。
  56. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) 宮城君は御質疑もう済みましたですか。
  57. 宮城タマヨ

    宮城タマヨ君 済みました。
  58. 一松定吉

    一松定吉君 少しばかり大体の総論的の質問を先ずいたしまして、それから各論のほうに入りたいと思います。  警察法の第六十二条によりますと、国家非常事態の宣言ということが規定せられております。これは御承知通り治安維持のために必要があると認めるときは、「総理大臣は、国家公安委員会の勧告に基き、全国又は一部の区域について国家非常事態の布告を発することができる。」こういう規定がありまして、この警察法運営について成るたけ自治に任してやるということがこれで明らかになつておる。成るたけ総理大臣自分からすぐに手を出すということをせずして、国家公安委員会の勧告があつたときにこういう非常事態の宣言をやる。ところが今度のこの改正で見ますと、六十一条の二で「内閣総理大臣は、特に必要があると認めるときは、」これこれ「公安維持上必要な事項について、指示をすることができる。」とある。この警察法の六十二条の国家非常事態の宣言の総理大臣権限以外に六十一条の二のこういうような規定を設ける必要のあることについ  て一つ説明を願いたい。
  59. 斎藤昇

    政府委員(斎藤昇君) 第六十二条によりまして、非常事態の宣言が行われますると、その区域内における全警察総理大臣によつて統轄をせられて指揮命令をせられ、あらゆる警察機能が総理大臣の下に帰一をするのであります。公安委員会はその間におきましては機能が一時停止をするという形となるのであります。併しながらさような重大事態になりませんでも、これに準ずるような場合、例えば大きな災害でありまするとか、或いは地方の擾乱でありますとかというような場合に、公安委員会の機能を停止させることなく、それぞれ現在の警察法のままに運営はしてもよろしいけれども、その一部の処理について国としての最終責任を全うする上から、その内容について指示をする必要が又考えられるのでありまして、従いまして非常事態のような事態に至る程度でないような場合に、而も平常のような状態における運営ではうまく行かんというときに総理大臣が指示をされるという必要があるのであります。先ほど申しました一部の災害の場合とか、或いは大災害の場合とか、擾乱の起つた、又起る虞れがあるというような場合にその警備の実施について特に注意を促す必要があろうと考えるのであります。
  60. 一松定吉

    一松定吉君 「特に必要があると認めるとき」というのは、この警察法六十二条の「国家非常事態に際して、治安の維持のため特に必要があると認めるとき」と一致するのですか。範囲の広さとか、狭さとかどうなるのですか。
  61. 斎藤昇

    政府委員(斎藤昇君) 国家非常事態というそれほどの事態でないけれども、特に総理大臣が指示をして、そして警察責任を全うしなければならん、かように認められた場合には、今度の改正法によつて指示ができる、かように解釈しております。
  62. 一松定吉

    一松定吉君 六十二条の「国家非常事態に際して」ということでなくて、それ以外の「特に必要があると認めるとき」と、こう解釈するというのですか。
  63. 斎藤昇

    政府委員(斎藤昇君) さようでございます。
  64. 一松定吉

    一松定吉君 然らばその一つ例示をして下さい。「国家非常事態に際して、」というこの以外に「特に必要があると認めるとき」とは、どういうときであるか。
  65. 斎藤昇

    政府委員(斎藤昇君) 只今申しましたように、非常災害の場合であるとか、或いは情報によつて一部の治安相当撹乱される虞れがあるというような場合でございます。
  66. 一松定吉

    一松定吉君 災害の場合とそれと……。
  67. 斎藤昇

    政府委員(斎藤昇君) 一部地方における擾乱といいますか、或いは騒擾と申しますか、大規模な集団暴力行為が数警察区域に亘つて行われる虞れが濃厚である、或いは国家的に見て非常に重要な犯罪が犯される虞れがある、そういうような場合であります。
  68. 一松定吉

    一松定吉君 それは治安維持のために特に必要のある場合とは違うのですか。
  69. 斎藤昇

    政府委員(斎藤昇君) 同様でございます。
  70. 一松定吉

    一松定吉君 何ですか……、
  71. 斎藤昇

    政府委員(斎藤昇君) 違いません、それは……。
  72. 一松定吉

    一松定吉君 違いありません……、「治安の維持のため特に必要がある」場合と、ここに「特に必要があると認めるとき」はというのはイクオールだと、こういうのですか。
  73. 斎藤昇

    政府委員(斎藤昇君) さようでございます。
  74. 一松定吉

    一松定吉君 そうすると、治安維持のために特に必要のあると認めるということは災害と騒擾というだけですか。あなたの今事例を上げたのは……。
  75. 斎藤昇

    政府委員(斎藤昇君) 重大な国家犯罪が犯される虞れがある……。
  76. 一松定吉

    一松定吉君 その重大なというのはそれはどういうときでありますか。
  77. 斎藤昇

    政府委員(斎藤昇君) 例えば外国使臣でありますとか、或いは重要な国家的人物に対する暗殺であるとか、そう  いうような計画が相当進んでおるという場合には、注意を喚起して事前に警備の措置をとらせるというような場合もあろうと思います。
  78. 一松定吉

    一松定吉君 騒擾とか、災害とか、それからなんですか、今度通過したところの集団的破壊行為とかいうようなことも含むのですか。
  79. 斎藤昇

    政府委員(斎藤昇君) あの破防法の適用如何は別でございまするが、集団的な虞れ、そういう場合には或いはあの破防法の適用も同時に見るかも知れませんが、事態といたしましては、集団的に破壊的な活動をやるという虞れの濃厚な場合には、やはり該当をすると存じます。
  80. 一松定吉

    一松定吉君 そうするとね、この六十二条の国家非常事態じやないのですか。
  81. 斎藤昇

    政府委員(斎藤昇君) そういう場合を非常事態と認定をいたしまして、そうして非常事態の宣言を発し、全警察を全的に統括をしてしもうのがよろしいかどうか。と申しますと、まだそれほどの事態ではない、従つてそれほど強い総理の警察の統括権を発動する必要はないが、部分的な行為において、例えば警備計画を講じて、こういうふうにやつて欲しいというような事柄を非常事態宣言によらないで、その以前にむしろ非常事態を避ける、起ることを避けるという意味で発動をする必要があると考えられます。
  82. 一松定吉

    一松定吉君 そうすると非常事態まで行かない前の話ですか。
  83. 斎藤昇

    政府委員(斎藤昇君) その通りでございます。
  84. 一松定吉

    一松定吉君 そうですが。
  85. 斎藤昇

    政府委員(斎藤昇君) そうです、さようでございます。
  86. 一松定吉

    一松定吉君 非常事態まで行かないときであると同時に、警察の全部を総動員する必要のないときに六十二条の運用をしようという意味なんですね。
  87. 斎藤昇

    政府委員(斎藤昇君) 総動員と言いますと、ちよつと言葉がどうかと思いまするが、一時的にこういう警備計画を樹てて、こういうふうに警備して欲しいという場合に、警察の全機能を統括してしもう必要はない。
  88. 一松定吉

    一松定吉君 何も非常事態宣言に警察の全機能を総動員しなければならんという場合に限らない、六十二条は一部の区域についてやることができる、あなたのは全部の警察の総動員ということに限るように御解釈ですけれども、非常事態宣言のときには、全地域に亘りて全警察を総動員する場合もあれば、或る一部の地域に対して一部の警察官を動員する場合もあるのですからね、そういうところの区別はどうなるのですか。
  89. 斎藤昇

    政府委員(斎藤昇君) 御説の通り区域を指定して、その非常事態の宣言もできるわけであります。併しその場合には、その区域内の警察公安委員会の管理を離れて、総理の管理下に属して、そうしてその警察区域内の警察もいろいろ機能を持つておりますが、その機能を全部総理の指揮下に置いて、一元的にそれを運営するのが非常事態の場合の効果であります。
  90. 一松定吉

    一松定吉君 六十二条は公安委員会の勧告があつてから勧めて総理大臣の非常事態宣言がある。今度の改正案は、公安委員会の勧告がなくても、進んで特に必要があると総理大臣が認めたときは、この手続をとることができるという、今までの手の届かなかつたところを総理大臣がそこまで公安委員会の勧告がなくてもやれるのだということを規定するための改正じやないのですか。
  91. 斎藤昇

    政府委員(斎藤昇君) 非常事態の規定は、これは只今説明申しましたような、なかなか効果を発生いたしまするので、普通の場合には到底なかなか公安委員会も非常事態の宣言をするのが適当であるという勧告はできがたいのであります。これは我々といたしましても、できるだけこういう非常措置によらないで、通常の必要最小限度の何と言いますか、方法によつて処理をして行くのが適当だと、かように考えまして、従つて非常事態の宣言をするようなそれほどひどい事態がなくても、警察の非常に所要な事項の処理については、国家公安委員会意見を聞いて総理が指示できるということをいたすことが、昨今の情勢からどうしても必要であると我々考えておるのであります。
  92. 一松定吉

    一松定吉君 つまり総理大臣は六十二条の規定によつて、いわゆる国家非常事態の布告をする権限を持つておるのだ、而してそれは国家公安委員会の勧告に待つのだ、そうしてそれは国家非常事態に際してあるのだ、ところが国家非常事態に際してはおらんけれども総理大臣が特に必要があると認めるときであり、且つ国家公安委員会の勧告はないけれども、非常事態の布告であつて全く警察権総理大臣が負うだけでなくて、警察権の行使はやはり地方公安委員会にさせようという必要のあるときに、現行法ではそこまで手が届いておらん、だからその手が届いておらんところを補充するために、六十一条の二が必要だと、こういうことじやないですか。
  93. 斎藤昇

    政府委員(斎藤昇君) その通りです。
  94. 一松定吉

    一松定吉君 よろしいです。そこで国家公安委員会意見だけでよろしいのでしようか。私はもう少し慎重にやるためには、全国自治体公安委員会の連絡協議会というのがあなた御存じですね、これが決議しておるね。この決議によると、つまり国家公安委員会だけの意見では少し物足りない、或いは考えが間違つておるということにならんとも限らない、だからそういう重大な指示をするときには、今少しく慎重にやつてもらいたい。慎重にやつてもらいたいについては、この連絡協議会の決議によると、いわゆる国家公安委員長、東京都特別区公安委員長国家地方警察本部長官、東京都特別区警察長、最高検察庁検事総長、法務府特別審査局長、こういうのを以て特別の公安審議会というようなものを設けて、その意見を聞くということが、非常に正しく公平に誤りなからしめる措置になるんだが、そういうようなふうにこ暮れを一つ改めてもらいたいという決議をして我々のところへ配布して来ているね。これはあなたも御関係して御存じでしようが、私はこういうように慎重にやつたほうがいいと思うのですが、あなたのお考えはどうですか。
  95. 斎藤昇

    政府委員(斎藤昇君) 警察の仕事は、御承知のように非常に急速を要する場合が極めて多いのであります。さような場合に、そういつた審議会というようなものにかけて審議をいたしておるということは、時期を失する虞れが多分にあるので、それは自治体警察公安委員会の御意見と思いますが、自治体警察長のほうでは、必ずしもそうでなくても警備治安は急を要するのだから、それでも差支えないじやないかという意見もあるくらいでありまして、我々といたしましては特にこれが権限を取上げてしまうというわけではないので、公安委員に対して指示をするだけでありますから、従つて公安委員というものに対して、さような非常識な、無理な指示はできませんし、迅速を要するわけでありますから、常設の国家公安委員会意見を聞くだけで十分であろうかと思つております。
  96. 一松定吉

    一松定吉君 あなたの御意見は、警察行動は迅速果敢を要するんだ、然るに今連絡協議会の決議みたいなような複雑な委員会を設けるということにすると、緊急処置が困るから、むしろそれよりも国家公安委員会意見を聞いて、迅速に処理したほうがよろしいから、その連絡協議会の決議よりも、この原案のほうがよろしいとこういう意見なんですね。
  97. 斎藤昇

    政府委員(斎藤昇君) さようです。
  98. 一松定吉

    一松定吉君 そこは意見の相違だからその程度にしておきましよう。そこで六十二条の非常事態の宣言のときには、その事態宣言をしてから後二十日以内に国会の承認を経るということが規定してあるね。よほど事態を慎重にやると……。本件の場合にはそういう国会の承認を得んで、総理大臣のやりつぱなしでよろしいとお考えですか。やはり国会の承認を得て慎重に総理として行動し得ることがいいとお考えですか、そこはどうですか。
  99. 斎藤昇

    政府委員(斎藤昇君) 非常事態の場合には先ほど申しまするように、各都道府県或いは自治体警察の公安委員の機能を一時失わせてしまうわけですから、かような慎重な手続きは必要と考えまするが、総理の指示権はそれほどの効果はありません。公安委員会に対してこういうように警察措置をしてもらいたいという趣旨でありますから、私は国会に対して報告、承認を求めるほどのことはなかろう、それで結構であると思います。
  100. 一松定吉

    一松定吉君 警察法は国会の承認を経て、国会の決議によつて警察法という法律ができるのですね、その国会が立法した警察法の運用を制限するというやり方を総理大臣という行政官がやるのだね。そのやつたときに国会の承認は経んでもいいとあなたはおつしやるのですが、そうすると国会無視ということになりはしないでしようか。
  101. 斎藤昇

    政府委員(斎藤昇君) この法律を国会で御審議を頂き、この法律を御成立といいますか、御承認を、御決議を頂くということになれば、私は国会がそのことを認めたと承知しております。
  102. 一松定吉

    一松定吉君 この法律があなたの言うように、原案の通りきまつたらそれでいいのでしようが、これは原案通りきめるか、或いは修正するかが今問題になつているので、この法律をこの通り国会が承認したとするならば、国会の承認によつて総理大臣が勝手にやればいいとおつしやるけれども、国会無視ということが、この原案が国会無視ということになるとするならば、この原案はいかんから国会の承認を得るように直すことがいい、こういう議論になるのたね。あなたのこの通り法律が国会で承認されれば、国会の承認を得る必要がないというのは、それはこの法律が成立したときの話だ。これは今から我々が立法しようというときなんだから、それに対してあなたがたの御意見はどうですか、こういうことをしておると国会無視ということになりはしないかということを聞くんですよ、どうですか。
  103. 斎藤昇

    政府委員(斎藤昇君) 私は国会無視ということになるまいと思います。
  104. 一松定吉

    一松定吉君 ならん……。その次に国家公安委員会意見を聞いて云々とあるが、国家公安委員会意見とは、今総理大臣、あなたがそういう指示をすることは必要でありません、そういうようなことを今するときではありませんという意見を述べたときに、総理大臣はそれを用いずして、これを指示することができるということですね、これはどうなんですか。
  105. 斎藤昇

    政府委員(斎藤昇君) 法律の解釈といたしましては、意見を聞けば、よろしいということに相成りますが、実際問題といたしましては、公安委員会総理大臣の意思の合致がなければ、事実上はさようなことは行われないであろうと思います。
  106. 一松定吉

    一松定吉君 意見を聞きさえすれば、もうあとは勝手に総理大臣がやれるとこういう規定ですか。これは意見を聞いて、その意見に従わなければならんとか、意見を尊重しなければならんとかということは、この立法の精神には含まんでもいいというのですか、どうですか。
  107. 斎藤昇

    政府委員(斎藤昇君) 立法の精神といたしましては、意見を聞いた以上は、尊重するのは当然であろうかと思いますけれども、併しそれを尊重しない場合に違法だということはできないと思います。
  108. 一松定吉

    一松定吉君 そうすると、これはこういうようなことをしてごまかして、ただ形式を整えるということにだけになるのかね。
  109. 斎藤昇

    政府委員(斎藤昇君) 国家公安委員会という機構は、私はやはり国会において認められ、又相当の権威を持たされている委員会と存じますので、その意見を軽視をいたしました場合に、果して政治上問題があるかないかという政治的な判断を総理大臣が打たされるものであります。
  110. 一松定吉

    一松定吉君 国家公安委員会というのは、いわゆる非常に権威のある国家機関だと、その国家機関が今総理の指示しようとすることに対して意見を聞かれたときに、権威ある意見を発表したときに、それは総理あなたのやることはよくありませんと意見を述べた。然るに総理はそれを用いず、意見だけ聴いたのだから、意見に従う従わんはおれの勝手だということは、あなたの言う国家公安委員会の公平無私な意見を尊重しないということになるのだが、どうですかと聞くのです。
  111. 斎藤昇

    政府委員(斎藤昇君) 私はそれは総理大臣の政治的見識に任せるべき問題であろうと思います。
  112. 一松定吉

    一松定吉君 総理大臣が最も公平無私な、いわゆるワンマンでない限りは公安委員会意見を用るのだよ。けれどもただ法律の上で公安委員会意見を聴けとあるから聞いた。併しおれは公安委員会意見に従わんでもいいというワンマン振りを発揮するような総理大臣がないとも限らん。そういうときにこの六十一条の二というのは空文に属するようなことになるのだが、そうすると何かここに公安委員会意見を聞き、その意見を尊重するとか、その意見に従わなければならんとかいうようなことは要らんのですか。これで書きつ放しで今のようなワンマン振りでよろしいというような立法の精神になるのですか、ここをあなたにお尋ねしておるのだがね。
  113. 斎藤昇

    政府委員(斎藤昇君) そこらは私はやはり政治常識によつて処理をして然るべきじやないか。公安委員会意見を尊重しなければならんというように書く必要はないと、かように私といたしましては考えております。
  114. 一松定吉

    一松定吉君 尊重しなければならんということが必要ないということは、聞きさえすれはよろしい、こういう意味だね、そうだね。  それからこの十一条の次に左の一項を加える、「国定地方警察本部は、前項に規定する事務の外、第六十一条の二の規定による指示に関する事務を処理する。」、そうすると総理大臣の六十一条の二による指示、その指示による事務は、国家地方警察本部がこれに関する事務を処理するということになると、この事務を処理するときに総理大臣の威をかりて、いわゆる虎の威をかる狐というようなことで勝手なことをするというようなことで、この国家地方警察本部と、それからこの関係の国家公安委員会だとかその他の地方警察とかの間に相剋摩擦を生ずるようなことがあるような場合が起り得べきことだと私は思うのですが、どうでしようか。
  115. 斎藤昇

    政府委員(斎藤昇君) この事務部局と国家公安委員会との関係は、事務部局の長は国家公安委員会が任命をいたしますので、従つて私はその間において意見の齟齬を来し、関係がまずくなるということはないと考えます。又このために都道府県及び自治体警察公安委員会との関係が若しまずくなるということでありますれば、事後の警察の処理がうまく参りませんので、さような指示はおのずから慎まれて、又慎しむことが総理を補佐をする重要な責任一つだとかように考えますので、その心配はなかろうかと思います。
  116. 一松定吉

    一松定吉君 国家地方警察と、各いろいろな市警察と、その特別警察との間において、法律は互いに緊密な連絡をとつて事務の支障を来たさんようにせよという規定があるけれども、やはりこれはうまく行かないことはあなたおつしやつた通りだね。それはつまりお互いが自分権限を主張し合い、そうして相手方の意思を軽視するというようなことから、そういうような間に溝を生ずることは、これは明らかなことた。それならばこういう指示に関するようなことをやるときに、このそういう事務をとるときに、国家地方警察本部にやらせるよりも、特別に市に関する特別機関を設けてやらせるということのほうがよくはないかと私は思うのですが、どうですか。
  117. 斎藤昇

    政府委員(斎藤昇君) それも一つの立派なお考え方だと考えまするが、さようにいたしますると、その補佐機関は常時全国の警察状況について報告を受け、又それを分析し考え、治安責任について相当な人的のスタッフを持たなければなりませんので、丁度国家地方警察本部と殆んど同様なくらいな人的な組織が必要だと思います。又なしまする仕事は、今日国家地方警察本部のやつておりますものと同じ仕事になりまするので、むしろ現在の公安委員会の下にある事務部局にこれをやらせることが能率的であり、又よろしいとかように考えます。
  118. 一松定吉

    一松定吉君 あなたのその御意見も御尤もだと思うが、それならは今私の心配しておるような弊害の起らないように何かここに一つの枠をこしらえてはどうだ。例えば破防法について木村法相が決してそういう越権しちやいかんとか、いや慎重にやらなければいかんとかいうて、非常に厳密な条件をつけて破防法を通過せしめた。ああいうようなふうにこの規定による指示に関する事務を処理する、その処理に当つてはいわゆるこれこれに相当な注意を用いて、いやしくも他と相剋摩擦を生ずるようなことがあつてはならんというようなことでも書いておれば、僕のような心配は起らんが、そういう必要はないか。
  119. 斎藤昇

    政府委員(斎藤昇君) この規定を運用いたしまするについての一番の念頭に置かなければならんのは、只今申されました点でありまして、我々といたしましては当然のことと……、この配慮のないのは総理を助ける資格はないとかように考えておりますから、別になくてもよろしいと考えます。
  120. 一松定吉

    一松定吉君 そこでまあそれはその程度にとめておきまして、今度は五十二条の三の経費の負担ですね。これは「特別区の存する区域における自治体警察の要する経費は、都の負担とする。但し、国庫は、予算の範囲においてその一部を負担することができる。」、これは大変いい規定です。これはなぜに特別区の区域自治体警察の費用に限るのですか。いやしくも総理大臣指示権を行使するのは、特別区の存する区域における自治体警察だけじやない、例えば青森のようなところとか、宮崎のようなところとかいうようなそういうところのやはり警察の特に必要であると認めるときに、公安維持上必要な事項の指示をするのですから、東京都のような特別区の自治体警察だけに費用を国家が負担してやらせることができると言うて、そのほかの地域の市町村警察に要した経費というものを全く除外しておるというのはどういうわけですか。
  121. 斎藤昇

    政府委員(斎藤昇君) 先ほど宮城先生にお答えを申上げましたように、東京都のような特別区は、特に国家治安に直接関係する警察の仕事が非常に多いのであります。宮城を初め国会或いは政府の各機関、外国の公館、又政治におきましても中心地でありますから、従つてこの治安は、特別区の治安は、他の自治体警察とその点におきましては格段の相違があるのであります。従いましてこの警察長、いわゆる警視総監の任免につきましても総理大臣が、他の自治体警察においては何ら触れなくても、この東京の警視総監につきましては任免権を持つ必要がある。費用におきましてもさようでありまするから、他の自治体警察とはこと変りまして、少くとも個々の国家的費用については一部を国庫が負担するのが当然であるとかように考えておるのであります。
  122. 一松定吉

    一松定吉君 そうすると今の御説明によると、東京都のような自治体警察に関する治安維持上必要な事項に対する関係というものは、他の地方における公安維持上必要な事柄について生じた費用と比べてみても、東京都のほうに重きを置かなければならんのだから、特に東京都のような自治体警察に関する費用は、予算の範囲内において一部を国庫が負担する。併し他の方面のことは、どういうように公安維持上必要な事項で非常な費用を要した場合でも、国庫はその費用の一部を負担することはよくないのだ、こうおつしやるのですか。
  123. 斎藤昇

    政府委員(斎藤昇君) 負担をすることはよくないというわけではございませんが、先ほども説明いたしましたように他の自治体警察につきましては、できるだけ補助の途を開いて行くように努力いたしたいと只今考えておりまするが、併し現在の何におきましては、これは財政の調整が平衡交付金において行われますので、その基準財政の算定の中に警察費は今度これだけの事件があつたから平衡交付金はそれをも見てこれだけ、こういうことを算定をいたしまして平衡交付金を出しましても、その地方自治体の財政によりまして、それが必ずしも警察のために使われるかどうかわからないという現状でありまするので、少くとも、東京の警視庁におきましては、国庫でこれを負担するからこの費用はこの装備に使つてもらいたい、或いは今度要したこの経費に使つてくれというように使途を指定をして負担をする必要が、東京においては特にあるとかように考えております。
  124. 一松定吉

    一松定吉君 あなたのおつしやることは私はよくわからんのだけれども、特別区の存する区域における自治体警察に要する経費は、この法律においてちやんと規定しておいて、予算の範囲内で国庫がこれの一部を負担する、ほかのところは法律に規定しなくても補助の方法でやることができるというようなことであれば、何も五十二条の三も要らんのじやないか、補助の規定でやればいい、然るに特別にこういう法文を設けて、他の警察についての費用をまるで国庫が我関せず焉というような態度をとることは不公平ではないか。殊に地方の財政の窮乏しておるときに、予期しないような特別の治安維持上必要な費用を要したというときに、国家はそれは補助の形式でやればいいのだというようなことで、東京都みたような所に限つては、法律に規定するのだということが不公平だと私は思うのです。だから同じ経費を負担するならばだ、何も特別凶に限らず、こうこうして自治警察に要する費用はそれだけは都道府県の負担とする、但し必要に応じて予算の許す限りにおいてその一部を国庫において負担するということのほうが正しいやり方であり、公平であるのじやないか、特にこういうことを書き分けてやるのがよくないのじやないか、こう言うのです。それをあなたはこれでいいとおつしやるのですか。悪いなら悪いけれども、一時こういうことをしなければならんのだとか、或いは予算の関係上そうしたとか、或いは今回はこうしておいて、次の近い機会にこれを改正して全都道府県の費用を場合によつては国庫が一部負担するというように改正するということをやるつもりだとおつしやるのですか。その点を聞くのです。
  125. 斎藤昇

    政府委員(斎藤昇君) 御意見も誠に御尤もであると考えます。我々といたしましては、差当つて東京都の警察長任免権まで総理が持つというくらいに政府として関心を深くしなければならん点でありまするから、少くとも警視庁の分については、先ず法律できめておく、あとはできるだけ事実上さような措置をとりたい。将来できるならば、この法律においても補助をするということが立法化されるということになるならばなお望ましいと考えますが、現段階においては不可能と考えております。
  126. 一松定吉

    一松定吉君 現段階においてもしたいのだけれども、国庫の金が思うように行かんから、取りあえず一時的にこういうことをするのだという説明じやないのですか。それなら納得が行くのですが……。
  127. 斎藤昇

    政府委員(斎藤昇君) その点は私が只今説明申上げました通りであります。
  128. 一松定吉

    一松定吉君 そこでもうあなたに対する質問はやめまして、法務総裁にただ一言だけ伺つておきたい。政府の出した案は御承知通り内閣総理大臣国家公安委員会意見を聞いて任免黜陟をやる、或いは内閣総理大臣公安委員会に対してこういうような指示をするとかいうようなことになつておるのを、衆議院ではそれを改めて、「内閣総理大臣は、国家公安委員会意見を聴かなければならない」というのを「国家公安委員会内閣総理大臣意見を聴かなければならない」と、こううらはらに引繰返してある。五十二条の二も「自治体警察警察長は、内閣総理大臣が、これを任命し、一定の事由により罷免する。」とあるのを修正は「特別区公安委員会が、これを任命し、一定の事由により罷免する。」と、こう引繰返してある。それから「前項の場合においては、特別区公安委員会は、内閣総理大臣意見を聴かなければならない。」といつてこう原案より引繰返してあるが、私は衆議院修正案は原案よりも非常にいいと思うが、あなたはどういうお考えですか。
  129. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) お答えいたします。国家治安の最終責任者は総理大臣なることは言うを待たないのであります。従いましてかような重要な人事問題、又国家治安の必要上指示権を行使するのに当りまして、総理大臣が最終責任者として最も自分の信頼し得べき者を任命したいのはこれは当然なことであります。併しながら現今の警察法は、最も民主的にこれを運営することになつておりますので、国会の承認を得ましたところの国家公安委員、これを尊重して、それをその意見を聞いた上で任命する。又特別区においては、都の特別区の公安委員意見を聞いて任命する。これは勿論公安委員総理大臣とは密接不可分の関係にあることは論を待たないのであります。委員意見というものは十分にこれを尊重して、そうして総理大臣国家地方警察本部長官を任命し、又特別区の公安委員会意見を徴し、そうしてその意見を尊重した上でこれを任命するということが、極めて妥当であろうと私はこう考えておるのであります。修正案におきましては、それを逆に国家公安委員総理大臣意見を聞いて国家地方警察本部長官を任命することになつておるのでございます。併し私は原案が妥当と考えておりまするが、修正案におきましても、これはもとより国家公安委員と総理との間はこれは極めて円滑に行かなくちやならんわけ合いのものであります。現在においても極めてその間の調整はとれておるのでありますから、実際の運営上においては余り変らんものと私はこう考えておる次第でございます。
  130. 一松定吉

    一松定吉君 もう一言でいいですが、そうすると政府原案通りでなくて、衆議院修正案通りでも異議がない、これでも自分は承認するのだと、こうおつしやるのですか。やはり政府の原案でなければ承認ができんので、衆議院修正案には賛成せんと、こういう意味ではないように聞えましたが、我我が今申しましたように衆議院修正案のほうが非常にいいと思うから、あなたのほうがそれでも結構だということであれば我々のほうもそういうふうに考えますが、どうでしようか。
  131. 木村篤太郎

    国務大臣木村篤太郎君) 私は原案が至当であると考えております。併しながら修正案においても、これは十分に調整がとれて運営そのよろしきを得ることであろうと考えておりますから、修正が本院においても認められますれば、私らとしては別段異議がありません。
  132. 一松定吉

    一松定吉君 これで私は済みました。
  133. 西郷吉之助

    委員長西郷吉之助君) それでは只今御出席の法務委員のかたの御質疑は全部終りましたが、先ほど伊藤修君より本日は歯が痛むために出席できないから他日に機会を与えてもらいたいということでありましたから、このことは我々のほうといたしましても理事会等によく諮りまして御希望に副いたいと思います。  本日はこれにて連合委員会を終ります。    午後二時四十一分散会