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1952-05-13 第13回国会 参議院 大蔵委員会 第50号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年五月十三日(火曜日)    午前十時四十七分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     平沼彌太郎君    理事            大矢半次郎君            菊川 孝夫君            木内 四郎君    委員            岡崎 真一君            黒田 英雄君            西川甚五郎君            小宮山常吉君            小林 政夫君            森 八三一君            大野 幸一君            波多野 鼎君            菊田 七平君            油井賢太郎君            木村禧八郎君   政府委員    大蔵省理財局長 石田  正君    大蔵省銀行局長 河野 通一君    大蔵省銀行局銀    行課長     大月  高君   事務局側    常任委員会專門    員       木村常次郎君    常任委員会專門    員       小田 正義君   説明員    大蔵省銀行局資    金運用課長   高橋 俊英君    大蔵事務官    (大蔵省銀行局    総務課勤務)  橋口  收君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○連合委員会開会の件 ○長期信用銀行法案内閣送付) ○日本開発銀行法の一部を改正する法  律案内閣送付) ○国民貯蓄債券法案内閣提出、衆議  院送付) ○設備輸出為替損失補償法案内閣提  出、衆議院送付) ○貸付信託法案内閣提出)   —————————————
  2. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) それでは第四十九回の大蔵委員会開会いたします。最初に連合委員会に関する件についてお諮りいたします。去る十日通商産業委員会より日本開発銀行法の一部を改正する法律案について連合委員会を開くことの申出でがありました。ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  3. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 速記を始めて下さい。本件につきまして通商産業委員会の申出通り連合委員会を開くことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 御異議ないようでありますのでさように決定いたします。なお連合委員会の日、時間等につきましては委員長に御一任願います。   —————————————
  5. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) それでは長期信用銀行法案予備審査)について内容説明を聴取いたします。
  6. 大月高

    政府委員大月高君) 長期信用銀行法案につきましては、先般政務次官から大体の理由及び概要を御説明申上げたわけでございますが、本日は條文につきまして大体の考え方をお話申上げたいと存じます。長期資金確保するということにつきましては、一昨年来政府機関といたしまして日本開発銀行日本輸出銀行、先般日本輸出入銀行なつたわけでございますが、その他見返資金活用預金部資金活用、そういうように政府資金活用することを考えて参つたわけであります。併し政府機関による長期資金の供給を申入れますことは、何といつて民間金融に対しまして補完的立場において物事を考えるのが適当と考えられるわけでありまして、一つ証券市場をできるだけ育成して行く、それからあとは長期金融機関を整備強化して行く、こういうことになるわけだと思うのであります。民間長期資金確保するために銀行等債券発行等に関する法律によりまして種々努力をいたして参つたのでございますが、金融制度といたしましては長期專門機関を育成するほうがいいんだということがこの一、二年来の経験に徴しまして明瞭となつて参りましたと同時に、各国の特に戰後の情勢を眺めてみますと、長期金融機関短期金融機関と分離する、その結果長期資金確保いたすという一つの面がございますと同時に、他面一般商業金融機関において負担が軽くなるという問題。それから一般金融機関預金者を持つておりますので、その預金者保護に万全を期することができるという問題。そういう観点から長期短期專門機関を別々に育成いたしましておのおのその特徴とするところに向わしめる、こういう方向になつておるわけであります。それで今般昨年の十二月以来臨時金融制度懇談会というものを設けまして民間のかたがたの御意見を承わつて参つたのでございますが、その御意見等も参酌いたしまして今般この長期信用銀行法案というものを作つたわけでございます。  第一條は、今申上げましたような趣旨法律に謳つたわけでございまして、主として「長期金融の円滑を図るため、」というのが一つ目標でございます。第二行目にございます「銀行業務の分化により金融制度の整備に資する」ということが第二の目標でございまして、この二つのことを目的としてこの法案を作つたわけでございます。  第二條は、長期信用銀行定義でございまして、これは第四條の規定によつて営業免許を受けた者を長期信用銀行という、こういたしまして形式的な概念をとつております。  それでこの第二條の裏はらをなします第四條は、第一項におきまして特にこの銀行の特質を明らかにいたしておるわけでありまして、営業免許といたしまして、長期信用銀行一つ特徴は、預金受入に代えて債券を発行するという点が第一点でございます。一般銀行預金資金源といたしましてそれを貸出に廻すのに対しまして、預金受入れることは禁止はいたしませんが、主たる資金源債雰に待つということが第一点であります。それからその資金設備資金又は長期運転資金に関する貸付に廻す、このことを主たる業務として営むということが第二の特徴でございまして、預金受入の面と貸出の面とこの二つの結付いたものが長期信用銀行の本体になるわけであります。第二項は、こういう種類銀行を作ろうとする者について大蔵大臣免許をいたします場合に考える事項を書いたわけであります。人的構成事業収支の見込、経済金融の状況その他ということでありまして、現実にそういう銀行を作る必要があるのかどうか、或いは経理の面において成り立つものであるかどうか、その経営者その他におきまして十分世間的な信用を博し得るものであるかどうか、金融関係の技能なり知識経験を十分に持つておるかどうか、そういうことを十分に考えまして、適格性を有する場合に限つて免許をすることができる、こういうように免許條件規定いたしたわけであります。  第三條は、その免許いたしますにつきましての形式的標準として、資本の額を五億円以上の株式会社と限つたわけであります。現在銀行法におきましては百万円が最低ということになつておりますが、現在の経済情勢からいたしまして非常に過少に失する。新らしく考えております普通の銀行法におきましても資本金を五千万円乃至一億円にいたしたいということが考えられておるのでありまして、特に長期金融をやる銀行といたしましては更に大きな資本金を以て事業を始めて行くのが適当であろう、こういうことから五億円となつておるわけであります。  第五條は、この長期信用銀行商号に関する規定でございまして、「その商号中に銀行という文字を用いなければならない。」としてあるわけであります。御存じのように銀行法におきましても商号銀行という商号を用いよ、そうして銀行以外のものは銀行という商号を用いてはならないというように規定してございますので、第二項におきましては長期信用銀行だけが銀行という名称使つてもよろしいという意味におきまして、銀行法の四條二項の規定が排除してあるわけであります。現在債券現実に発行いたしております銀行といたしましては、日本興業銀行日本勧業銀行北海道拓殖銀行、この三行がございます。現在予想されておりますものといたしましては、この興業銀行なり、勧業銀行なりというもの、それから北海道拓殖銀行、こういうようなものがこの長期信用銀行に転換するであろうということが考えられるわけでありまして、その場合に特に商号変更することを強制することは、制度を変えるために永年ののれんの変更を強いるということになりますので、その点は銀行というところだけを強制いたしたいというわけであります。勿論行政的な面におきまして商号は一切認可事項なつておりますので、一般商業銀行とまぎらわしいことになるということのないように十分注意して行きたい。それから長期信用銀行はその数は複数を予定いたしておりますけれども、必ずしも十も二十もということは考えておらないのでありますので、そのために一般大衆に対しましてこの名称の面から迷惑をかけるということはないものだと考えております。第六條は長期信用銀行業務に関する規定でございまして、最も中心となる條文でございます。その第一号はこの興信業務中心となる規定でございまして「設備資金又は長期運転資金に関する貸付手形の割引、債務の保証又は手形引受」ということになつております。いわゆる事業金融を主とするということを明瞭にいたしたわけでありまして、而もここで「関する」という表現を使いまして、形式的に手形は仮に三月、三月というように切り替るにいたしましても、実質的に予定されております資金設備資金なわ、或いは長期運転資金に関する貸付である、こういう場合にはこの銀行の主たる業務としてやつてよろしい。例えば社債の前貸資金というようなものが考えられるわけでありまして、社債御存じのように長期資金に使う建前のものであります。それの前貸に関する期限といたしましては短くてもこれは長期資金に関する貸付であるとしてこの銀行にやらさしたい、こういう意味でございます。それから第二号は、広義の証券業務でございまして、長期資金を出す銀行といたしましては、直接事業会社に按触する場合が多い。その場合に長期社債なり株式発行をいたします場合に、直接その業務に携わり得ないということになりますと幾多の不便がございますので、長期資金の融通と併せまして補完的にこの証券に関する事業を営ましたいわけであります。ただ証券業務に関しましては証券取引法がございまして、嚴重に金融業務証券業務とを分離いたしております。従つて現在証券業者に認められております分野をことさらに侵すという趣旨ではないわけでありまして、逆に短期金融をやります商業銀行証券市場の間に立ちまして相互補完の作用をなさしめたいという意味であります。従つて証券引受業務につきましてもここの但書にございますように、「社債その他の債券株式又は出資証券については、売出目的で取得する場合を除く。」こういうことにいたしまして、引受業務と申しましてもいわゆるアンダーライチングの仕事はここで排除する、従つていわゆるサブスクリプシコンと言つておりますが総額引受のみに限りたい。これによつて本来の証券業者との業務限界を立てたいわけであらます。ただ現実社債を発行いたします場合に、わざわざ証券者の手を通じて取得するという迂遠な方法だけは排除いたしたいわけでありまして、従つて直接社債を発行いたします場合にこの銀行社債引受ける、いわゆる業務のサブスクリプシヨンとして引受けるということをやらしたいわけであります。それからその引受けました社債は、売出をやらせない意味におきまして個々に売付ける場合、それから一般証券業者に売りましてそれから広く証券業者仕事として売出す場合、これらは認めたい趣旨でございます。  第三号は、預金受入制限に関する規定でありましてこの銀行一つ特徴をなすものでございます。長期金融と申しますとどうしても回収長期に亘る、いわゆる悪い意味でなくして固定するわけでございます。従いまして短期預金を預かつておるということになりますと、仮に預金の引出が急激に起るという場合には、資産の流動性に欠けております結果、払戻に困難な事態が生ずるわけでありましてそういうことがないためにこの銀行預金する人はこの銀行の性格を十分に承知した上で預金をしてくれる人に限りたい、そういう意味におきまして取引先という観念をここで使つておるわけでございます。主たるものは勿論融資先になると思うのでありますが、その他社債の募集の委託を受けた会社、その他この扱いをいたしておりますその御本人からの預金、そういうものはここで取引先と考えていいと考えております。  第四号、第五号、第六号、これらはいずれも一般銀行でもやつている業務でございまして、併せてやらしたいということでございます。  第二項は、一つはいわゆる事業資金でなく長期資金貸付、それから短期貸付に関する制限でございまして、事業資金以外の長期資金貸付につきましては不動産を担保とする貸付をすることができるということ、それからこれはただ第一項の主たる業務に妨げのない範囲においてやることができるのだということ。それから短期資金貸出受入れた預金及びこれに準ずるものの合計金額に相当する金額限度とするという制限を設けまして、主として長期金融をやるということを明瞭にいたしたわけであります。  第三項は、担保附社債に関する信託業務に関する規定でございまして現在も普通銀行でやつておる業務でございます。  第四項は、従いまして今までに申上げました業務以外の業務をやらさないということで、金融業務に專念いたさしめる趣旨でございます。  第七條は、こういう貸付特殊性に鑑みまして、保全及び回収確保を図るために特別に注意を払う事項といたしまして、確実な担保を徴する、或いは年賦償還或いは割賦償還、そういう方法によりまして十分に保全及び回收確保を図るように特別の考慮をするということをここで義務ずけたわけでありまして、銀行検査その他において十分監督をいたし得るような基本規定にいたしたわけであります。  第八條以下は債券資金源といたしましての債券発行に関する規定でございまして、主として現在ございます債券発行法規定とつたわけでございますが、一つの点は割増金をつけることができるという規定を外したわけでございます。これは一般消化先といたしまして、資金運用部資金一般金融機関その他一般大衆を予定いたしておるわけでありますが、最近の皆様の御意見もございますように、次第に割増金という制度はなくして行きたい、こういうことでありまして、純粋なコンマーシヤル・べースに乗つた債券という意味において割増金を付することができるということを外したわけでございます。それから債券発行限度計算いたしますにつきまして、現在の債券発行法預金債券合計額資本及び準備金合計金額の二十倍以内ということになつておりますのを、預金はこの銀行といたしまして特殊な制限をおきます結果、限度計算上から除外いたしたわけであります。従つて債券発行限度計算するにつきましては、資本及び準備金の二十倍以内におきまして債券を発行できる、こういうようにいたしたわけであります。  その他登記の点につきまして若干の変更がございますが、これは單なる技術的の問題でございます。その他は現在の債券発行法規定と同様でございます。  第十四條以下は現在の銀行法等と同様の趣旨規定でございまして、例えば合併をいたします場合に、その催告をする手続、或いは銀行合併をいたします場合に、従前長期信用銀行としてやれない業務をやつてつたものを合併いたしますと、暫くは経過的に旧来の業務を認める必要もございますので、その経過規定をおいたわけであります。  逆に第六條におきましては、現在長期信用銀行として業務をやつております銀行がほかの会社になるというような場合には、預金者或いは債券権利者を持つております関係上、なお一般公衆保護という意味におきまして特別の監督ができるということを明瞭にいたしたわけであります。  第十七條は銀行法準用でございまして、例えばここに書いてございます定義営業免許資本の額、商号その他今まで御説明いたしましたところで明らかなように特別な規定がおいてございます。この特別の規定のおいてない部分につきましては銀行法準用いたしたわけでありまして、重要な規定といたしましては例えば支店を設置いたします場合には認可をいたすということ、それから代理店設置監督規定、報告を徴するということ、検査をいたし得るということ、そういうことは一切銀行法準用いたすわけであります。  第十八條はこの銀行法準用の精神と一般商業銀行とこの長期信用銀行との特殊性を明らかにするというところ、その二つの間の限界をどうきめるかということでありまして、長期信用銀行銀行法にいう銀行ではない、併し一般金融機関ではあるわけでございますので、ほかの法令で銀行とあります場合には別段の定めがない限り長期信用銀行を含む、こういうようにいたしたわけであります。ほかの税法地方税法でございますとか或いは租税特別措置法或いは小切手法外国為替及び外国貿易管理法臨時金利調整法、そういうようなところには銀行とございますのは全部この長期信用銀行を含む意味でございます。その他の政令関係といたしましては銀行法特例法施行令、その他があるわけでございます。  第十九條はその実施規定でございまして、例えば免許いたします場合にその申請の手続その他をここで規定いたすわけでございます。  第二十條、二十一條、二十二條は罰則でございます。  次に附則について御説明申上げます。この長期信用銀行法が公布になりまして、新らしい長期信用銀行制度ができるとなるといたしますと、その間に転換を図る銀行もあると思います。併し新らしくこの種類銀行を作りたいという希望者もあるわけであります。この法律が完全に施行されますときにはそういう準備も十分できるし、或いはその移り変りにつきまして長期資金が一時的にもとだえる、或いは減少する、そういうことがないように万全の注意を払う必要があるわけであります。そのために必要な経過期間を一応一年と見ておるわけでありまして、一年以内で準備整つたところでこの法律施行いたしたいというのが第一項でございます。第二項はこの制度を立てるにつきまして、既存の銀行が転換するにつきましては特に現に債券を発行しておる三銀行のうちで希望する者がございましたならば、免許手続は特に希望を申出でせしむるだけにとどめたい、それを以て免許を受けたものとみなすといたしまして簡略の手続とつたわけであります。第三項はその場合の公告の規定でございます。  次に重要なのは銀行等債券発行等に関する法律廃止でございまして、この法律施行と同時に制度の切替りといたしまして、この債券発行法廃止いたしたわけであります。ただ現に債券を発行いたしておる銀行につきましては、その債券債券発行法によつて発行されておる。それから現在の債券発行法におきましていわゆる優先株式制度がございまして、現在見返資金によつて所有されておるわけでございます。これらの優先株式償還規定だとか、その他この優先株式に関する制度債券発行法廃止になりましてもやはり残す必要があるわけでありまして、その優先株式がなくなるまでその株式にくつついて債券発行法がなお生きておる。それだけのことを第五項に経過的に規定いたしたわけでございます。  それから第六項も同じくこれに類する経過規定でございまして、現にこの法律施行後も特殊の規定はなお効力を有することにいたしたいわけでございますので、それに基いて発行した債券につきましてもなおその債券が生きている間は効力を持つているのだということを明らかにいたしたわけでございます。  それから第七項は債券発行限度を二十倍にすることの特例でございまして、新しくできます長期信用銀行につきましては資本金最低は五億でございまして、仮にそのまま二十倍の規定を適用いたしますと百億になるわけでございます。で、百億としますと月に仮に十億ずつ発行いたしまして一年以内でその限度が来るということでも、債券発行限度のために資金源を失うということでも差支えがございますので、設立後五年以内を限りましてこの限度を三十倍にいたしておきたい、五年を経過いたしますまでには、準備金その他の自己資本も逐次積上げることになると思いますので、而も増資その他の便益もあると思いますので、五年以降は一般原則によりたいというわけであります。  第八項は長期信用銀行ができるにつきまして、仮に現在ございます銀行のうちの債券を譲り受けるというようなことが考えられるわけであります。例えば某銀行の第二銀行というようなものができまして、その銀行がもとの銀行債券引受けるというような場合におきましては、相当多額の債券引受ければそれだけで以て限度が一杯になるわけでございまして、これは現実の問題として、運用資金源の制約が強過ぎるわけでございますので、経過的にこの限度をなしくずし的に原則に入れたい、そういう意味におきまして債券発行限度計算について特例を設けたわけであります。第九項はその場合の特例設け方であります。  第十項以下はこの長期信用銀行制度を育成いたしますために、当分の間国優先株式を持つことができるという規定でございまして、その十一項以下におきましてその場合の商法特例を設けたわけであります。例えば商法によりますと無議決権株の総数は全体の株数の四分の一を越えてはならないということになつているわけでありますが、現に国がそれを持ちます場合にはその制限内である必要がないわけでありまして、現在例えば興業銀行に対しては一般民間資本と同額の優先株式を発行いたしております。勧業銀行も同様でございますので、そういう意味におきまして四分の一という制限を外すわけであります。  十二項は国が持つ前提で以て商法の例外を設けてあるわけでありますので、この讓渡を禁止しているわけであります。  十三項は国が引受けました優先株式について、従来の債券発行法規定の一部必要な部分準用いたしたいというわけであります。  第十四項以下はこの法律施行に伴いまして農林中央金庫、商工組合中央金庫債券発行規定を改正する必要がございます。現在債券発行法によりますと農中、商中につきましても同じく預金債券合計額自己資本の二十倍を越えないとなつておりますが、この長期信用銀行法におきまして預金をその計算の基礎から外したわけでありますので、それと歩調を同じくいたしまして農中法、商中法におきましても債券発行につきまして自己資本の二十倍を限つてこの債券を発行し得るということを規定いたしたわけであります。  第十六項は先ほどの銀行と書いてある場合の特例でございまして、特に普通銀行等貯蓄銀行業務又は信託業務兼営等に関する法律日本輸出入銀行法において特別な規定をおいたわけでございます。  十八項、十九項も同じくこの法律施行に伴いまして銀行等債券発行等に関する法律廃止になりますので、その間の調整を加えたわけでございまして單なる技術的のものでございます。以上簡單でございますが御説明申上げました。
  7. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 只今の御説明に対しまする何か簡單に御質問がありましたら……
  8. 波多野鼎

    波多野鼎君 法律形式ですが、今聞いていると附則のところで相当重大な修正をやつているわけなんですが、今の農林中金法修正にしろ商工組合中央金庫法修正にしろ、この法律の中の附則でそういう大きな法律修正をやるというような法律の作り方ですね、これはだんだん直して行つたらどうですか。今まで占領下で随分こういうことをやつて来たのだけれども。
  9. 大月高

    政府委員大月高君) この農中法、商中法の関係はこれに関連いたしまして、ここへ関係のないことを入れたという意味ではないわけでございまして、現在債券発行法によりますと、第十六條、第十七條、第十八條という規定において農林中金法を改正いたしておる。或いは読替規定をおいておるわけでありまして、第十八條におきまして、この法律規定が、農林中央金庫又は商工組合中央金庫が発行する債券についての農林中央金庫法及び商工組合中央金庫法並びにこれらの法律に基く命令の規定と矛盾し、又は抵触する場合においては、この法律規定が優先するとして農中法、商中法のこれに関する規定が殺してあつたわけであります。従いましてこの債券発行法がなくなりますと、もとの法律が生きるわけでございますが、これはいわば古くなつておりまして、新らしく長期信用銀行制度ができますならばそれと歩調を合わす必要がある、その限度におきまして農中法と商中法の改正をいたしておるわけであります。
  10. 波多野鼎

    波多野鼎君 僕の言いたいのは農林中央金庫法とか商工組合中央金庫法の改正がこの附則に出ているわけですが、そういう重要な法律の改正を長期信用銀行法案附則でやらないで、別に農林中央金庫法の一部改正、商工組合中央金庫法の一部改正として出せば法律を見る人が非常に便利なんですね。このようにぴよこんと附則の中に入れておくものですから、農林中央金庫法の改正がここにやられておるということを知るまでが大変です。そういう点、法律の民主化という点からいつて独立にやつたらどうかという意味です。
  11. 大月高

    政府委員大月高君) 農中法、南中法の改正はこの金庫自体の問題としていろいろ検討いたしておるわけでございます。いずれ全般の検討が終りまして大きく改正する機会もあるかと思うのであります。従いましてそれまでの暫定的な措置として取りあえずここへ入れさして頂いておるわけであります。
  12. 波多野鼎

    波多野鼎君 いやそういうやり方が、ほかの法律の中にぴよこんとしのび込まして、而も附則の中にしのび込ましちやつて、そうして重要な農林中央金庫法などの一部改正をやつているというそのやり方が、国民が法律を知る場合に非常な不便を感ずる。それは役人だけの法律なつておることになつてしまうです、こんなことをやつていると……。戰後の法律を見ていると皆こういうのが多い。我々だつてわけがわからなくなつてしまう。どこで修正されているのだか、そういう複雑な構成というものは簡單に変えて、今の法律においてはこういう修正案なりその法律自体について修正もやるべきであつて、ほかの法律に関連させて、ほかの法律附則の中で修正をやるなんて、そういうやり方は非常に法律を民衆に理解させるという点からいつてまずいと感じたのです。
  13. 大月高

    政府委員大月高君) その点は御趣旨通りだと思います。できればその本来の法律を一々改正するのがいいと思うのでございますが、こういうようにいろいろの一つ制度を立てるにつきまして、ほかの制度に全部関連がございます結果、例えば農中法、商中法以外の面におきましても輸出入銀行法、それからいわゆる普通銀行等の兼業の、法律、租税の法律、そういうものがございまして、これを一々單行法で出すということは、逆に法律の数も多いというようなことになりますので、便宜に従つておるわけでございますが、考え方といたしましましては、御趣旨通りその本来の法律の改正のほうが建前としては結構だと存じます。でき得る限りそういうように努力はいたしたいと思います。   —————————————
  14. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 次に日本開発銀行法の一部を改正する法律案予備審査)、一応内容の説明を聴取します。これにつきましては先ほど御説明頂きました通商産業委員会との連合委員会がございますので、そのつもりでそのときも説明して頂くことになりますので、簡單にお願いします。
  15. 橋口收

    説明員(橋口收君) 日本開発銀行法の一部を改正する法律案につきまして、その主要な内容を御説明申上げます。  日本開発銀行法の一部を改正する法律案の改正の第一点は資本金の改正でございます。お手許にございます日本開発銀行法の一部を改正する法律の第一ページの第四行目にございます第四條を次のように改正するということになつております。現在の日本開発銀行法によりますと、資本金は見返資金特別会計からの出資金百億円と、開発銀行が復興金融金庫から承継いたしました復金の資本金に相当するものが政府からの借入金になつておりますのを、毎四半期開発銀行資本金に振替えるということに相成つておりますいわゆる法定出資との合計額が、日本開発銀行資本金ということに相成つております。而して銀行法によりますると、更に日本開発銀行は必要あるときは大蔵大臣認可を受けてその資本金を増加することができるということに相成つておりますので、現在の日本開発銀行資本金は見返資金特別会計からの出資金百億円と、法定出資九十三億円と、大蔵大臣認可増資によります七十億円との合計額の二百六十三億円ということに相成つているのでございます。今回の改正によりますると、只今御説明いたしました現行法の規定を改正いたしまして、日本開発銀行資本金を現金出資と法定出資とに分けまして、現金出資につきましては、二十六年度において見返資金特別会計及び一般会計より出資がありました百七十億円と、本年度において一般会計から出資がある予定になつております百三十億円との合計額の三百億円を現金出資といたします。それに第二点といたしましては、法定出資等を加えたものの開発銀行資本金は、更に今御説明申上げました復金の関係の法定出資と、将来見返資金特別会計から私企業貸付に関する債権を承継いたしました場合に、その債権に相関する額が将来出資金となりました場合の法律規定による法定出資、この二つを合計いたしましたものが法定出資ということになるわけでございます。従つて開発銀行法の今回改正いたします第四條によりますと、只今御説明いたしました現金出資の三百億円と法定出資との合計額が開発銀行資本金、法定出資は復金の関係の法定出資と、見返資金関係の法定出資ということに相成るわけでございます。  改正の第二点は、業務に関するものでございまして、第一ページの終りから三行目にございます第十八條第一項云々の改正でございます。これは現在開発銀行が行なつておりますいわゆる肩替り業務に対して技術的な改正を加えたものでございます。御承知のように現在の開発銀行の肩替り業務は、私企業に対して銀行からの借入金を返済するために必要な資金貸付、いわゆる返済資金貸付という形をとつております。勿論今回の改正によりまして銀行から直接貸付債権の承継を受けるということにしたわけでございます。第一ページの終りから二行自に「その他の金融機関の開発資金貸付に係る債権の全部若くは一部を譲り受けること」というのが只今御説明いたしました肩替りの技術的な改正の趣旨でございます。  改正の第三点といたしましては、二ページ目の最初から三行目の四というところに「開発資金に係る債務を保証すること。」というのがございます。これはいわゆる債務保証業務でございまして、開発銀行が現在資金貸付及び社債引受をやつておりますのに加えて債務の保証を行うこととしたのでございます。  改正の第四点といたしましては第二ページの終りから三行目にございます債務保証等の限度でございます。これは只今御説明いたしました債務保証につきまして限度を設けたのでございます。その限度は債務保証と、あとで出て参ります借入金との合計額自己資本を超えてはならないということにしたのでございます。債務保証にいたしましても、或いは資金の借入にいたしましても、開発銀行としては将来に負担を残すものでございますので、それにつきましては資本金準備金との合計額限度とするのが適当であると考えてこれをおきました次第であります。  次に第三ページでございますが、第十九條第一項及び第三ページの一番終りの行にございます第十九條第二項の改正、これはいずれも債務保証或いは貸付債権の讓受というような業務の改正に伴う整理の規定でございますので説明を省略いたします。それから第四ページ目の初めから四行目の第二十條中の改正でございますが、これも債務保証或いは債権の讓受等に関する規定が入りましたので、業務方法書の記載事項を改正したので整理の規定でございます。  次に改正の第五点といたしましては、第四ページの終りから四行目の第二十一條の改正でございます。これは現在の開発銀行業務委託金融機関といたしましては銀行だけになつているのでございますが、将来における業務の断続的な運営も考慮いたしまして「銀行その他の金融機関大蔵大臣の指定するもの」に業務を委託することができるというふうに改正する趣旨でございます。それから第四ページの一番終りの行の第二十四條第二項の改正は予算の規定でございまして、やはり債務保証或いは債権讓受等の規定に伴う整理規定でございます。  改正の第六点といたしましては、第五ページの最初から三行目の第三十六條の改正の規定でございまして、この改正の規定は国庫納付金制度を設けることとしたのでございます。これは輸出銀行法の一部改正の際に御審議がありましたのと全く同趣旨でございまして、開発銀行の毎事業年度の「利益金のうち百分の二十」、或いは「貸付金の残高の千分の七」、「いずれか多い額」を納付金といたしまして残高は国庫に納付するということにしたのでございます。第五ページの終りから三行目「第三十六條に次の二項を加える。」の規定は今御説明申上げたのを改正法文で書いたわけでございます。  改正の第七点といたしましては、第六ページの最初から五行目の「(資金の借入)」のところでございます。開発銀行は現在資金の借入をすることは法律上禁止をされておりましたが、今回の改正によりまして日本開発銀行は「業務を行うため必要な資金の財源に充てるため、政府から資金の借入をし、又は外国の銀行その他の金融機関から外貨資金の借入をすることができる。」という規定を入れたのでございます。これも輸出銀行法の一部改正について御審議願いましたのと同趣旨でございまして、従来の借入の限度規定を解除いたしまして借入をすることができるということにしたのでございます。それから第六ページの一番終りの行の……。
  16. 小林政夫

    ○小林政夫君 新旧対照表によつて説明したほうがわかりいいのじやないですか。
  17. 橋口收

    説明員(橋口收君) それでは新旧対照表によつて説明を続行いたします。  次の改正は第四十四條の第三項の改正でありまして、これは今回の改正に伴う整理の規定でございますので説明を省略いたします。次に四十六條「(政府貸付金)」を「(復興金融金庫関係政府貸付金)」というふうに題を改めまして、第四十六條第二項を削除いたしております。これはあとで御説明いたしますが、見返資金特別会計からの貸付金の承継に関連いたしまして現在の復金の関係政府貸付金とほぼ同性格の政府貸付金ができて参ります。従いまして第四十六條は復金関係政府貸付金であるということを明示いたしまして、第二項はその政府貸付金に対して毎年度政令で定める利率、計算方法及び手続で利子を政府に払うということに相成つておりましたが、あとで御説明いたしますように、この政府貸付金はこの法律が通過いたしました曉には可及的速かに開発銀行資本金に一括して振替える措置をとることといたしております。従いまして昭和二十七年度におきましても政府に対して利子を支払うという義務を一応この規定を削除して免除したのでございます。  次に第四十七條の改正でございます。第四十七條の規定は非常に長い規定でございますが、一口で申上げますならば、復金から開発銀行が復興金融金庫の権利義務を承継いたしましたときに、その資本金政府からの借入金ということにいたしたわけでございます。而うしてその借入金は毎事業年度の毎四半期に復金関係貸付金について回収がございますと、その回収に相当する額を順次資本金に振替えることとして行くことに規定なつておるのでございます。その規定が第四十七條でございます。而うして今回の改正によりますると、毎事業年度、毎四半期についてそれぞれ一定の額を資本金に振替えるのでなくて、一括して貸付金を資本金に振替えるという規定をとりましたので、第四十七條の改正のところにございますように、昭和二十七年十二月三十一日、本年末までに政令で定める日に貸付金を資本金に振替えるということになるわけでございまして、その振替の行われますまでの間は従来と同じように毎四半期ごとに法定出資が行われるというのが第四十七條の改正の趣旨でございます。  次に第四十八條の改正、第八点といたしまして法定出資でございますが、この法定出資は今御説明申上げましたように原則は現在の開発銀行の貸借対照表にございます政府貸付金、即ち復興金融金庫の資本金に相当する額を、一定の日に、政令で定める日に日本開発銀行資本金に振替えるという趣旨でございますが、ただ開発銀行の現在の政府借入金には端数が付いておりますので、その端数の整理をするのが第四十八條の改正の趣旨でございます。即ち第四十八條によりますと、第四十六條の政府貸付金と申しますのは、開発銀行と復金と合併した日即ち本年の一月十六日における政府貸付金、金額にいたしまして八百五十二億二千とんで三十六万七千円ということになつておりますが、その貸付金のうち百万円に満たない部分に相当するもの、即ち三十六万七千円を除いた八百五十二億二十万円が指定日において政府に返済されたものとし、その返済されたものとされた政府貸付金の額に相当する額がその日に政府一般会計から開発銀行に出資があつたものとする。その出資があつたものとされた額が先ほど御説明いたしましたように資本金の額に加算されるわけでございます。第四十八條第二項におきましては今御説明申上げました切捨てられました三十六万七千円についてどういう措置をとるのかというのが第二項でございまして、切捨てられた三十六万七千円は一応準備金として積立てるという措置をとることといたしまして、第四十九條の改正は整理に関する改正でございます。  次に改正の第九点といたしまして第四十九條の二項でございます。これは見返資金特別会計の私企業に対する貸付債権は将来日本開発銀行が承継するという規定でございます。ただその承継の時期、内容及び順序につきましては政令によつて規定するということにいたしております。第四十九條の二の第二項は今御説明いたしましたように、米国対日援助見返資金特別会計の私企業債権を日本開発銀行が承継いたしました場合には、その承継した債権の額に相当する額が同じ日において政府の米国対日援助見返資金特別会計から日本開発銀行に対して貸付けられたものとするという規定でございます。即ち承継債権に相当する額は政府からの開発銀行に対する貸付金ということになるわけでございます。それが第二項でございます。第三項の規定は、そのようにして開発銀行に対して政府貸付をいたしました場合には、日本開発銀行政府に対して一定の利率計算方法手続等によりまして利子を支払わなければならないというふうに規定してございます。第四項は更にそのようにいたしまして見返資金特別会計から日本開発銀行に対して貸付けられた貸付金が、将来適当な時期において更に法律規定によりまして日本開発銀行に対する出資金に振替えるという規定でございます。最初に御説明いたしました見返資金関係の法定出資というのがこの四十九條の二の第四項の規定でございます。ただ出資金に振替わる時期等につきましては将来の情勢の推移に待つ必要もございますので政令に一応委ねたわけでございます。  それから改正の第十点は四十九條の三でございまして、只今御説明いたしましたようにして米国対日援助見返資金特別会計から私企業債権を開発銀行が承継いたしました場合には、その承継した債権の管理及び回収に関する業務を行うことができるという規定でございます。四十九條の三の第二項は、見返資金から承継しました私企業貸付に関しましては、日本開発銀行は、現在見返資金特別会計が業務を委託しております銀行信用金庫、農中、商中に対しましても業務の委託ができるという規定でございます。第三項は、業務の委託を受けた金融機関に対する会計検査院の検査等の準用規定でございます。  第五十一條は罰則の整理に関する規定でございますので、説明を省略いたします。  最後の附則でございますが、第二項の国庫納付金の規定は昭和二十七年度から適用するという趣旨でございます。これは現在となりましては当然のことでございますが、法律案を提案いたしました当時におきましては昭和二十六年度でございましたので、一応こういう規定をおいたわけでございます。それから附則の第三項は、法律案を提案いたしました当時が昭和二十六年度でございましたので、復金関係政府貸付金に対して利子をとらないという規定も、昭和二十七年度におきましても改正前の規定は適用がなくて、言い換えれば利子は支払わなくともよろしいという規定でございます。附則の第四項、第五項、第六項は所得税、法人税、地方税の免税の規定でございます。国庫納付金制度を設けましたのに伴いまして、所得税、法人税及び地方秘中の附加価値税及び事業税を免税することといたしまして、従つてこの規定附則第二項によりまして昭和二十七年事業年度から適用されるのであるということが規定してございます。  以上簡單でございますが、日本開発銀行法の一部改正の内容を御説明申上げました。
  18. 小林政夫

    ○小林政夫君 ちよつと簡單に一点だけ、いずれ詳細は何しますが、この外資を借入れることができるということになつておるのですが、この借入れた外資に対する責任は、若しこの開発銀行が払えないという場合には、当然国家が保証したと同じ効果があるのかどうか、その点をはつきり。
  19. 橋口收

    説明員(橋口收君) 日本開発銀行は御承知のように全額政府出資の政府金融機関でございますので、将来仮に開発銀行が外資を借入れますとき、何らかの理由によつてその外資を償還することができないというような事態に立至りました場合には、全額政府出資の政府金融機関の性格上、政府が何らかの措置をとつて返済することに相成ろうと私は考えております。
  20. 小林政夫

    ○小林政夫君 特に聞くのはあなたは常識的に言つておるのかどうか。この法律を作るときにそういう点を十分研究したのですか。法的に疑義がないのですか。当然政府が責任を負うという、外国のこの開発銀行に金を貸そうという投資家から見て、これは大丈夫だと保証して安心が得られる説明がつけられるか。
  21. 橋口收

    説明員(橋口收君) 御承知のように電源開発促進法におきましては開発会社社債の発行等にも政府保証の規定がございますので、開発銀行につきましては只今お話がありましたように政府保証の規定は別段この法律には規定してないわけでございます。ただ先ほど申上げましたように開発銀行は全額政府出資の金融機関でございますので、政府が只今御指摘のあつたような場合には当然政府が責任を負うべきものであるというふうに考えて、この法律案の改正につきましては特に政府保証をつけるというようなことは規定しなかつたのでございます。
  22. 小林政夫

    ○小林政夫君 政府が保証する以上は、例えば今これが提案されてこれが通るか通らないかわからないが、電源開発の特別会社、これについても予算の定める範囲において保証をする、こういうことになつておる。そういう規定がなければ、あなたのようにこれは全額政府出資のまあ特殊法人なんだから当然政府が責任持つべきであるということは常識的には考えられても、本当にこの開発銀行に金を貸そうという相手は納得しないじやないか。やはりその電源開発促進法にある特殊会社に対してきめられておるような一條を入れなければ十分相手が納得しないということについてなお研究をして次回に答弁願いたい。   —————————————
  23. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 次に国民貯蓄債券法案について内容説明を願います。
  24. 高橋俊英

    説明員(高橋俊英君) 国民貯蓄債券法に関しまして大体條を逐いまして御説明申上げたいと思います。  この貯蓄債雰は初めて発行するわけではありませんで、今までに大きく分けまして三回発行した経験がございます。日露戦争当時、関東大震災における復興貯蓄債券、それから支那事変以後太平洋戰争における貯蓄債券、まあ大きく分けて三回発行の経験があるわけであります。今回発行いたす趣旨といたしましては、資本蓄積、大きく申上げれば、まあ資本蓄積を幾分なりとも高めたい。勿論一方に郵便貯金とか簡易保險とか政府の行いますいろいろな資金吸収の方途がございまするが、そのほかにまあ従来の経験もありますので、こういう種類の特別な債券を発行することによつてそれだけ余分に資金の吸収ができれば結構であると、こういう趣旨に出るわけでございます。勿論嚴密に申しますときには、こういうものを発行することによつて、その分だけが純粋に、ネツトにプラスになつたかどうかという点は非常に判定はしにくいことでございまするが、やはりいろいろ形の違つた方法をやればそれだけの効果はまあ期待できるのじやないか、こういう趣旨に出るわけでございます。又一方でこの貸金に対する需要の間におきましては、特に政府資金を主として行いまするところの電源開発等には見返資金の新たな蓄積もございませんし、又一般会計からの支出ということもそう大きくは期待できない現状でございますので、こういうものを出してそれによる資金をそちらのほうに廻すと、こういうことが資金の需給関係からも必要になつて参つたわけでございます。これが債券の発行の主なる目的でございます。  この債券につきまして今回は発行の限度を定めておりますことと、それから方法といたしまして実質的には政府資金になるという点は従来と何ら変りはありませんが、従来はいずれの場合も日本勧業銀行をして発行せしめましてそれを当時の預金部に預入させるという方法をとつておりましたが、今回のは政府の直接発行でございます。すでに勧業銀行というものも特別銀行ではございませんし特にこれを選んで発行させなければならんという理由もございませんので今回は直接に政府が発行を行うことといたしました。又その限度でございまするが、ここに書いてあります非常に面倒な書き方でございまするが、その意味は要するに一年間の純増の残高の総額が百億円を超えない範囲でやるということにいたしております。非常に消極的なような印象を與えるものでございまするが、一面におきましてこの債券の持つ特徴その他から考えまして、こういう債券を余りに多額に発行することは結局は他のいろいろな資金源との競合を来たします。資金の横流れというふうなことになつ意味がない場合がある。戰争中のような非常に積極的な貯蓄の傾向がある場合にはかような消極的な態度は好ましくないかも知れませんが、今の段階で申しますると、まあ資金コストも余り安くなりませんし、そういうものを多額に発行して、一方で郵便貯金や何かがくわれてしまうということでは全体として資金のコストが高くなるだけで余り意味がない。そういう意味からして百億円という純増の範囲内でやりたいというふうに考えておるわけでございます。  で、この資金は本来政府が直接発行するものであります以上、これは一種の国債であることは申すまでもないのでございまするが、これを普通の国債のように扱いますといろいろ不便もございます。そこでこれは国債ではあるけれども通常の国債とは全く違つた扱いをすることになつておりまして、この売上金は資金運用部資金とする。現在の規定によりますると資金運用部資金というのは、預託された金を中心といたしまして資金運用部自身の余裕金や積立金等から成つておるわけでございますが、そのほかにこの発行による收入金を資金運用部資金とする。こういう意味一般会計の歳入ということにしない、或いは普通の予算に計上せられるところの歳入金とはしない、歳入歳出外現金として扱うという意味でございます。これを資金運用部資金として把握いたします関係上、これを償還いたします場合には、最初の売上金に相当するものは資金運用部資金から払出しますし、又発行価格と償還価格との差額、つまりいわば利子に相当するものは資金運用部特別会計の負担とする。資金運用部特別会計の歳出となるわけでございます。いわば元本に相当するものは資金として歳入歳出外現金として払出され、利子に相当するものは資金運用部別会計の歳出とする、ちよつとややこしいのでございますが、そういうことになつております。勿論これを発行いたします場合の経費も償還の場合の経費も資金運用部特別会計の歳出となるわけでございます。この債券の殆んど大部分と申上げてもよろしいのですが、私どもといたしましては、いわゆる庶民金融機関の御協力も得るつもりではありますが、大部分郵便官署で売りさばくということにいたしておりますので、その郵便官署が取扱つた貯蓄債券の手数料は資金運用部特別会計から郵政事業特別会計に繰入れるという形で以て支払うということにいたしております。  次に発行の條件でございますが、これは無記名の債券でございます。額面金額はその目的が主として零細な資金の吸収ということでありますので額面において一万円以下、従いまして売出価額は一万よりもよほど下廻ることになります。実行上は大体売出価額で千円のものを中心としたいというふうに考えております。それだけでは不十分な場合には、売出価額において五千円くらいのものまでは考えてよろしいが、種類をあまり多くいたしませんでせいぜい二種類以内というふうに考えております。この債券の狙いは多少とも長期に安定した資金を獲得したいということでございますので、償還期限は五年ということに一応いたしておりますが、現在のいろいろな債券或いは社債等の例を見ましても五年というのが最も長いのでありまして、これよりも長くするということは現状ではまあ実情に即しない。実際はそういう五年の間金を本当に寝かしておくというだけの落着きがあるとは考えられません。そのためにそのあとのほうで別に買上の規定を作つたわけでございまするが、最終償還期限は五年ということにしたわけであります。この債券は割引の方法売出しますし、場合によつて或いは割増金を付することができることになつておりまするが、実際は割増金を付けて最初はやらないというふうな構想であります。併し法律の上では一応かようなゆとりをつけて頂いたほうが便利である、かような意味でこの規定といたしましては割増金規定をつけております。  そういう條件の今度は詳しい問題でございますが、これは政令で定めることになつております。今のところの考えといたしましては、これが五年の期限のものであるということを考慮に入れまして、大体額面金額は千四百円、それを十円で売出すというふうな考えをいたしておりますので、これによつて計算いたしますと六分九厘四毛程度の利廻りになるわけであります。最終まで持つておればそれだけの利廻りにたるわけでございますが、途中でこれを売却いたします際にはそれよりもよほど下廻るというふうにいたすつもりでおります。この金利の利廻りの点につきましては、一般の金利水準というものを十分考慮に入れましてそれとの権衡を失しないようにするわけであります。只今申上げた程度のものでございますれば、例えば興業債券の割引もの、或いは商工債券の割引ものと比べますれば期限は五年であつて民間のそういう類似した債券の場合には一面で貯蓄債券よりも少し利廻りがいいという状態でございますからして、七分を下廻る程度であればさほど高いとも言えませんし又一概に低いとも言えない、大体その程度であれば何とか売りさばくことができるのではないだろうかというふうに考えております。併しそれよりも下廻ると売りさばくことが非常に困難であることは認めます。  それから問題の買上はここにただ買上ができるという規定があるのでございますが、これは一定期間経過後におきましては所持人の請求に応じて買上ができる、この制度は実はアメリカにおける貯蓄債券の例をまねたといつてもよろしいのでございまして、アメリカの或る一つの貯蓄債券の例では二カ月間据置きましてその間は買上げいたしませんが、そのほかはいずれも政府に対して売却できるということになつております。つまりそういうことによつて零細段階が五年間必ずその資金を据置かなければならんというような不便を除く。それが結局或る程度この債券の売りさばきを容易ならしめることになる。而もその條件はだんだんに條件がよくなつて来て最終まで持つておれば最もいい條件になる。途中で政府に買上げを請求すれば利廻りは大分下つて来るというふうな方法を講じまして、できるだけこれを長く所持人が保有するようにいたしたいと考えております。  次は取扱機関といたしましては先ほど触れましたが、主としてはこれは郵便官署で売りさばくつもりでおりまして、予算の上で申しますと、実際はこの売出総額が、今年度は一部若し買上げをするような場合でも手取り六十億円という計画をいたしておりますから、その六十億のうち、予算上はこの手数料を計算いたします場合には九割五分は郵便局でございます、あとの五分だけを庶民金融機関で扱つて頂く、こういうことにしております。実際のところ郵便局以外の相互銀行信用金庫或いは証券業者、こういう機関のかたがたがどの程度売りさばきを希望されるかということがよくつかめません。そこで大事をとりまして郵便官署の分を非常に多く見たわけであります。どんなことがあつても五%ぐらいであればこれは金融機関にも売りさばいて頂くことができるのではないかと考えております。この売りさばきの場合には相互銀行信用金庫その他政令で定める金融機関につきましては売りさばきのほうはお願いするのでございまするが、買上をしたり償還をしたりするというような事務はそれらの民間機関では行いませんで專ら郵便官署でやる。これはいろいろ償還や買上に伴うところの資金の交付関係、或いはその手数料その他の関係を考慮いたしまして売りさばきの場合にはできるだけ広範囲にいろいろな機関を利用したいのでございまするが、償還はそう一時に売りさばきの場合ほど短期間に行うとは考えられませんし、郵便官署は全国に一万四十以上もございますのでこれで一向不便はないと考えております。  それから貯蓄債券収入金の運用目的の際に申上げましたように、これは電源開発その他の資源の開発となつておりますが、当時実を申上げますと電源開発公社の構想がまだはつきりきまつた段階にありませんので、ここに資源の開発というふうに直してございまするが最初は電源の開発とまあ書いてあつた、これは資源の開発というふうにして一応電源開発以外のものも含むように書いてありますが、実際上はこの程度の発行手取額でありますならば、恐らく当分の間全額を電源開発に使うことになつて他のほうに廻るだけの余裕はないと思いまするが、まあ電源開発のほうが一段落してなお且つ資金の需要が下つている、こういう国家資金を導入する必要があります場合に、この貯蓄債券発行を継続して行く。そういう場合には他の緊要な産業施設の建設を図るためにも運用がで、きるというふうに余裕を持つている必要があるのでございますので、多少電源開発以外のほうにも巾広く規定してございます。勿論これは資金運用部資金法の規定によつて運用するのでありまして、その理由は、一応全体をプールされておりまするからして特にこれだけについて特別勘定を設けてどうこうするという意味ではございません、目的がそういうふうに扱われておればよろしいということでございます。  それからその次は細かい規定なつて参りまするが、第八條は、大蔵大臣は貯蓄債券償還金、割増金に支払うに必要な資金、貯蓄債券の買上に必要な資金を郵政大臣の指定する出納官吏に交付することができる、これは非常に技術的な規定でございます。  この次に消滅時効はそれほど特別な例ではございませんが、償還年月は償還金については十年、割増金については五年ということになつております。先ほど申しましたように割増金を直ちにつける考えはございませんが、つけた場合には割増金に対しては所得税を課さないことにしております。  なお十一條におきましては、この債券は一種の国債ではあるけれどもかように資金運用部資金としてこれを運用いたしまする関係上、一般の国債に関する法律は適用しないほうがよろしいことになりますので、関係法律をここに挙げましてそれを適用しない、ただ国債整理基金特別会計法の適用に関する限りは国債でないものとみなすという規定をいたしております。つまりこれを発行償還いたします場合には、普通の国債でありますれば国債整理基金特別会計に一ぺん入れましてそこから歳出としてもう一ぺん支払うということになつておりますので、これは前にありましたように、元本は資金運用部資金から払出し、利子に相当するところの金額資金運用部特別会計から支出するということになつておりまして全然普通の国債の取扱とは違つております。なおこの関係法律うちで国債に関する法律等の障害から起つて来る結果といたしましては、紛失した場合に通常の国債のような救済の規定を除外することになつております。これは無記名でありまして、額面千四百円或いは売出価額千円というような非常に小額なもので枚数から申しましても相当な枚数になります。それらにつきましてその無記名債券を紛失した場合において、一々これを普通の債券のような扱いをいたしまして救済をするということになりますると、丁度通貨をなくした者に対してこれを無効にするというようなことは流通を阻害するということとになりますので、まあ通貨とは違いますけれども無記名の小額のものであつて紛失の場合にも救済の規定はないわけでございます。丁度通貨をなくした場合と同じことになるわけであります。  それから十二條は日本銀行に事務の三都を扱わせることができるという根拠規定でありまして、この規定があれば当然日本銀行がその事務の一部をやるということになるわけであります。  次の附則の点は、関係の大蔵省設置法を改正いたしましてとにかくその権限をただ加えただけであります。つまり特に内容に関するようなものはございません。  以上で簡單でございますが御説明を終ります。
  25. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 資料の要求ですが、資金運用部資金資金運用状況の明細をお出し願いたい。
  26. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 簡単にちよつとお尋ねします。これと財政法との関係ですね、どういうことになりますか。第一は、財政法十四條の歳入歳出はすべて予算に計上しなければならん、その予算の問題ですね。それからもう一つは、これはまあさつきのお話の公債といいますかこれは今度剰余金の半分を償還することになるわけですけれども、そういう場合の公債の対象になるのか、公債償還ですか……。
  27. 高橋俊英

    説明員(高橋俊英君) 財政法との関係におきましては、これは一般の国債の例外となるというふうに考えております、法律の解釈といたしまして。これはこの法律によりまして、財政法であれば国億の関係は皆歳入歳出に計上しなければなりません。それを資金建部用資金とするという点で、資金運用部資金というのは元来一般の歳入歳出からの例外を原則としております。その意味なつております。ですから歳入歳出とはしないという意味であります、これの例外であります。従いまして償還の場合にも、今までの剰余金の半分を償還資金にするということも対象になりません。資金運用部資金から払うという規定を入れております。資金から払う、元来利子に相当するものは資金運用部特別会計の負担となりそこの歳出となる、こういうことになつておりますから。又第十一條の二項におきましては、「国債整理基金特別会計法の適用については、貯蓄債券は、国債でないものとみなす。」こういうふうにして一切普通の国債とは違つた取扱いというふうにいたしております。
  28. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それはまあわかりましたが、違つた取扱をするということはわかつたのですが、この国債の資金の使い方が成るほど御説明通り違います。併し債券の性格そのものはやはり国債でこれは日本銀行のやはり担保になるわけですね。そういう普通の国債と同じようにこれは担保力もあるし融通力もある、こういうふうに見ていいわけですね、性格については。
  29. 高橋俊英

    説明員(高橋俊英君) 関係法律から申しますると、この国債関係法律を一切排除しておりますので、この貯蓄債券法に書いてあるような性格のものになつてしまう、一段の国債としてのそれとは非常に違つたことになります。例えば国債につきましてはいろいろ紛失の場合の州所定もございますしまあこの債券が国債であるかないかという点が非常にデリケートな問題になります。つまり国が発行して国の債務となるという点においては、これは国債でございます。併しいわゆる国債ではないということも言えるわけでございます。非常にむずかしいことになります。
  30. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 まあわかりました。それは後で伺います。
  31. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 速記をとめて下さい。    〔速記中止
  32. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 速記を始めて下さい。  設備輸出為替損失補償法案について内容説明を聽取いたします。
  33. 石田正

    政府委員(石田正君) この法律案趣旨につきましては、提案理由の説明におきまして概要申上げてはありまするが、なおこの際若干の補足をするという意味におきまして條を逐つて説明申上げたいと存じます。  第一條は、この法律目的といたしまして、重要物資の輸入に貢献するところの設備の歳出者が、為替相場の変更に伴いまして受ける損失を補償するということを定めたものでございます。  第二條定義でございまするので、説明を省略させて頂きたいと思います。  第三條でありますが、為替損失補償契約というものは、政府が、設備の輸出をする者又はその損益が実質的に帰属いたしまする立場にある製造業者を相手といたしまして締結することとなつているのでありまして、なおこの設備輸出の対価というのは分割払というのが原則でございます。従いまして補償契約というものを分割払の各部分ごとにそれぞれその受領予定までの期間について締結する、かようにいたしまして結局一つの輸出について数本の契約ができる、かようなことにいたしたいと考えておる次第でございます。それから補償契約の対象となる輸出といたしましては、第一項におきまして限定をいたしておるのでございまするが、これは要するに重要物資の輸入市場を国際収支上有利な地域に新しく開拓するという場合が一つ、それからもう一つは、従来ありまするところの輸入市場を国際収支上有利な地域に転換するということになります場合、かような二つに分けておるわけでございます。それから第三項におきましては、各補償期間は五年以内といたしまして、たとい後で申上げます九條第一項の規定によりましてその延期が行われる場合におきましても、通算して五年を超えることができないものといたしております。それから同じ第三項におきまして補償契約の総額に限度を設けてございまするが、これは補償契約の対象となつた輸出対価の額の累計総額というものが百億円を超えない限度内において、政府が補償契約を締結するということにいたしたのでございます。  次に第四條でございますが、これは補償料に関する規定でございます。補償料率は政令で定めるということになつておりますが、これは大体年二%ということを予定いたしておりまする次第でございます。  それから第五條と六條のこの二つ條文は補償契約の内容でございまして、これによつて補償金を支払うとか、或いは納付金を徴収するとかいうことが行われるわけでございます。大体為替相場が変更いたしましたために、輸出者が受取るところの代金に初めの予定よりは不足を生ずるというときには、政府がこれを補償する、逆に過剰となるというような場合には、これを政府に納付させるということでございます。  第六條におきまして輸出保険との関係について規定してございます。これはこの補償契約を締結いたしまする業者は、通常輸出信用保険をかけておるのであります。従いまして、そのほうの原因で輸出の対価を輸入者が利用できなくなつた、そうしてその保険に基いて保険金を充用するというような場合におきまして、仮に為替相場の変更がございまして、その関係においては損失を補償する、或いは利益を納付するというような筋合になるということが予想されるのでございます、そういう場合におきましては、保険金が支払われた部分に対応する輸出対価について、補償金の交付とか或いは納付金の納付とかいうような規定を適用することが不適当であろうと考えまするので、この規定を設けたわけでございます。  それから第八條、九條及び十條につきましては大体お読み願いますれば自明のことでございまして、改めて説明する必要もないかと存ぜられまするので省略させて頂きまして、次に第十一條について御説明申上げます。  第十一條は、補償契約の対象としました輸出為替については、為替の売予約を禁止するということでございます。これは先ほども申したのでございますが、設備輸出の代金の対価というものは、これは分割払でございます。そうしますると、第一回のものにつきましては一年以内といようなことも予定せられるのでございます。この分につきましては、現在は外国為替特別会計におきまして為替の買予約、業者のほうから申しますれば売予約をするという制度があるわけでございます。その分につきまして、仮に業者のほうで売予約をするということに相成りますれば、この補償契約とダブリまして、まあ二重利得をするといいますか不当なる結果をもたらす慮れがありますので、そういうことを禁止いたしたというのがこの十一條趣旨でございます。  十二條規定、十三條、十四條等につきましては、大体常例に従つて規定してあるのでございますが、なお十三條につきましては、こはは民法が引用してございまするが、要するに、これは契約が解除になりました場合には将来に向つてのみ効力がないものがあるという趣旨でございます。  第十五條におきまして、日本輸出入銀行に関するところの事務委任の規定でございまするが、大体現状から申しますると、設備輸出につきましては殆ど日本輸出入銀行から融資を受けるというのが現状でございます。日本輸出入銀行につきまして手続につきましていろいろと審議をいたしておるのでありまして、これを利用いたしますることが実際の運用上適当であろうかというふうに考えまして、この規定を設けた次第でございます。  附則につきましては特段の説明を要しないかと思うのでございます。  以上要点のみ極めて簡單に申上げた次第でございます。本案の他の点につきましての御質疑に対しましては更に御説明をいたすことといたして、この際の御説明といたしましてはこれで一応終らさして頂きたいと思います。
  34. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  35. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 速記を始めて下さい。それではこの程度にして一時半から委員会を再開いたします。    午後零時三十九分休憩    —————・—————    午後二時十一分開会
  36. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) それでは午前に引続いて委員会を開会いたします。  貸付信託法案について質疑を行います。
  37. 波多野鼎

    波多野鼎君 この信託法の第八條ですがね、政府委員のほうでこの受益権の云々とある、「受益証券をもつてしなければならない。」という意味はどういうのですか、これはわざとこんなことを書いているのは……。
  38. 大月高

    政府委員大月高君) 第八條におきまして、「受益証券をもつてしなければならない」と書きましたことは、受益権の譲渡及び行使は受益証券を以てするということでございまして、この権利が有価証券たる受益証券に化体されている、こういうことを意味しているわけでございます。従つてこれは持参人払いの証券であるという意味でございます。
  39. 波多野鼎

    波多野鼎君 そうするとあれですか、持参人払いの有価証券だというということを、この受益証券で現わしているということを確認する意味で第八條を設けたとこういうことですか。
  40. 大月高

    政府委員大月高君) この受益証券にはここの規定にもございますように、第二項は「無記名式とする。但し受益者の請求により記名式とすることができる。」とございまして、無記名式と記名式と二種類に分れるわけでございます。そのうちの無記名式は今申上げましたような持参人払いの有価証券であるということを明示いたしまして、ただ「記名式の受益証券をもつて表示されるものを除く外、」とございます。記名式の場合はどうかと申しますと、この権利の化体されたものではなくして、一般の証書に過ぎないということを裏から表示しているわけでございます。
  41. 波多野鼎

    波多野鼎君 この記名式と無記名式は同じ銀行或いは信託会社が同一の信託契約に基いて二種類、この二種類を出すことができるのですか。
  42. 大月高

    政府委員大月高君) 原則として発行いたしますときに無記名式で出すわけでございますが、請求がございましたならば記名式にするという趣旨でございます。
  43. 波多野鼎

    波多野鼎君 それからこの受益証券の流通性の問題ですがね、第十條ですか、それが書いてあるのは……。これは無制限に流通いたしますか。
  44. 大月高

    政府委員大月高君) 無制限に流通するわけでございます。
  45. 波多野鼎

    波多野鼎君 そうしてこれはですね、受益証券については一定の時価というものが生れて来るのじやないかなあ、そうすると……。
  46. 大月高

    政府委員大月高君) 有価証券でございまして、而もこれの報酬は実績配当ということになつておりますので、配当の高いものは時価として高く譲渡されるということになると思います。
  47. 波多野鼎

    波多野鼎君 これはあれですか、私はよくわからないのだが、今の投資信託なんかの信託証書と言いますかね、あれなんかもこういうふうな時価が出ているはずですかね。ああいうものはどこできまるのですか、どういうふうにして……。
  48. 大月高

    政府委員大月高君) この貸付信託の受益証券証券投資信託の受益証券との違いますところは、証券投資信託のほうは運用の対象が有価証券でございまして、主として株式でございます。株式証券市場において種々時価の変動がございますので、従つてこの証券投資信託で表示される受益証券は、株価の変動に応じて実質元本の面で変動するのと、その上に配当の変動によつて報酬が変動するという二つの変動要素を持つております。従つて現実証券の時価といたしましても、相当の変動があることは予想されるわけでございまして、ただ数種類、数十種類株式が入つております関係上、比較的その変動が調整されるという点が株式と異なつているわけでございます。この貸付信託のほうでは、軍に報酬の実績配当という点の変動があるだけでございまして、元本は貸付運用される結果、元本については変動がないということを一応予想していいと思うのでありまして、従つて報酬が多いであろうかどうであろうかという点において、若干の変動を予想されるという点が違うところだと思います。
  49. 波多野鼎

    波多野鼎君 そういう変動をする時価ですね、時価はどういうふうにして形成されているかということを聞きたいのです。
  50. 大月高

    政府委員大月高君) 証券投資信託のほうは、主として株価の変動に応じて変動すると思います。現に五千円で売出されているものが今七千円見当現実にいたしております。併し貸付信託のほうは、一般の例えば割引興業債券或いは預金の利子、そういうものとの比例において逆算して時価が算出されるだろうと思いますが、これは将来の見通しにもかかわるわけでございますので、ただ幅が比較的少ないのであろうという以外には、具体的に出て来ないとわからないのです。
  51. 波多野鼎

    波多野鼎君 ちよつと質問のあれが外れているのです。つまり株式だの国債であると、証券取引市場でそういうものが形成されますね。そういう時価が常にこういう受益証券などはどういうふうになつてきまつているかということを聞きたい。どういう機構できまつているか。
  52. 大月高

    政府委員大月高君) これは譲渡性はございましても、特に証券市場において取引されるということは、そう多数は予想されないわけでございますが、若し相当量が出まして、現にそういう需要供給が非常に多くなるということになれば、当無有価証券でございますから、証券取引所によつて上場は可能でございます。但しこういう変動が少いことが予想される証券は、証券市場でそう多重の需要と供給によつて取引されるということは一応は予想されておらないのでございます。
  53. 波多野鼎

    波多野鼎君 今の投資信託の受益証券ですね、あれは取引所に上場されておりますか、どうなのですか。
  54. 大月高

    政府委員大月高君) 今現実には上場されておりません。一般に売りたい人は証券会社のほうで買つております。
  55. 波多野鼎

    波多野鼎君 十一條、その次の條ですね、この第九頁の最後の行ですが、十一條の「その固有財産をもつて時価により工という、その固有財産というのはどういう意味ですか、わざわざそういうことが書いてあるのですが、受託者が買戻す場合ですか。
  56. 大月高

    政府委員大月高君) それはただ受託者ということを示す意味に書いたわけでございまして、受託者は結局は信託会社でございますので、それは信託財産と固有財産と二つに分かれます。それでこの証券に基く財産は信託財産でございまして、これをその信託会社の自己の責任において、その責任に帰属する財産を以て買取るということを示すために固有財産という表現を使つたわけでございます。
  57. 岡崎真一

    ○岡崎真一君 ちよつと今日の貸付信託と少し離れる問題なんですが、ちよつとこれはまあ伺いたいのですが、前に投資信託がありましたですね、あれは証券業者が発行しておる、それでこれは少し理論的な問題でございますが、あれはむしろ証券業者がああいうものをやるというのでなしに、その信託会社なり或いは投資信託をやるような別の会社がこれはやるべきであつて、そうしてあれは一極の証券業者の救済だと思うのですが、ああいつたような形のままで将来もずつと置いておかれるというような大蔵省としての方針でありますか、それについて一つお伺いしたいと思います。
  58. 大月高

    政府委員大月高君) この証券投資信託の関係は、実は証券取引委員会のほうの所管に属しておりまして、私のほうの直接の関係ではございませんが、あの制度のできましたいきさつから申しまして、結局この信託関係を受益者と受託者と委託者とこの三つに考えますれば、そのコンビをどうするかということが一つの技術的な問題でございます。当時相当考究されましてあの制度が信託の本義にかなつて面も簡便であるということでできたと承知いたしておりますが、今この制度を改めるということは問題になつておらないように聞いております。正確なことは私として只今のところはつきりわかりません。
  59. 岡崎真一

    ○岡崎真一君 私の申上げるのは、今それが問題になつておるとか何とかという意味でなしに、ああいう投資信託証券というようなものの性格から考えて、現在ああいうような制度を飽くまでやつて行くのがいいか、今後において何らか改良を加えて、投資信託なのですから、今は要するに証券業者が銘柄として売込んでおりますが、こういう行き方というものがいいのか、それとももつと厳正なものにして、そうして要するに証券業者というものは、つまりいわば自己を張るための資金といつた形、これは変な言葉ですが……。そういつたような意味合いも私はあると思います。そういうような点から考えて、信託証券というものの将来について再検討を加える必要があるのじやなかろうかというような意味から大蔵省としてこの問題の将来について何かお考えであるか、こういう意味なのです。
  60. 河野通一

    政府委員(河野通一君) お尋ねの点は先に銀行課長からお答えいたしたのでありますが、私どもは信託の当事者と申しますか、委託者と受託者と受益者と三つあるわけでございますが、これをどういうふうに結び付けるかの問題でありまして、貸付信託におきましては証券業者を通さないことなつております。併しこの投資証券信託におきましては、その受益権の内容をなしておりますものが、非常にその有価証券、特に株式が多いわけであります。従いましてこれらの株式の取扱い等につきましてはやはり証券業者というものがいろんな形で一番慣熟をいたしておる、そういつたような履歴と内容に鑑みまして証券業者活用して行くと言いますか、本来のその経験なり、技術なりを生かして行くということがやはり一つ方法として考えられるのじやないか。従いましてこの貸付信託におきましてはそういう証券業者を中に入れることを考えませんでしたが、証券信託におきましては今申上げましたその実態に鑑みまして証券業者がやはり当事者の一つになることがむしろその性質から言つて適当でないかというふうに考えられて立案されたものと思います。又現在でもその考え方は更に続けて行かざるを得ないのではないかと思います。尤も将来弊害が非常に起るような兆しでもありまするならば、これは十分注意しなければいけません。又その仕組についても考え直す必要があると思いますけれども、只今のところでは証券業者自体もだんだん充実をいたして参つております。而もこの投資証券の取扱い証券業者というものは十分選択されたものでやつておりますので、私どもといたしましては只今こういう仕組を変えなきやならないという必要も現在のところではないと考えております。
  61. 岡崎真一

    ○岡崎真一君 今の御説明はよくわかりました。併し今有価証券そのものはどつちかと言えば上向いておりますから、今後先はどうなるかということについて弊害があるようであれば変えにやならんということの御説明があつて、それはよくわかりましたのですが、一体その証券業者というものは、こういうふうな資金運用と申しますか、資金運用というものを扱うべき本来の性格を持つておるのか、飽くまで証券の取扱い業者として窓口的な役目を証券業者がやつて行くのが本筋かということが結論になると思いますけれども、これについて今は問題でありませんけれども将来についてどんなお考えかちよつと伺いたいのです。
  62. 河野通一

    政府委員(河野通一君) 証券業者は元来どういう仕事をやつて行くのがいいかというようなお尋ねのように伺つたのでありますが、この問題はなかなか実は、形式上は簡單な問題なんですけれども、実質的には非常にむずかしい問題だと思います。併しながら一方で現在あります証券取引法に基きまする証券会社というものの機能、使命というものは私ははつきり出ておるわけでありまして、この使命なり機能に従つて証券会社を逐次充実をして行く、そうして公衆に対していやしくも迷惑をかけることのないように証券業者の質を向上することがこれが何よりも先決問題である。そういう方面に向つて私どもといたしましては現在全力を挙げて参つておるわけでございます。今後におきましてもそういう方針で進んで参りますならば、お話のような証券業者業務のうちに投資証券業務の取扱い者としての地位を認めることについてはさしたる支障はない。併しおのずからお話のように今非常に株の相場等がいいものですから、ここらあたりの空気に乗じて何と申しますか、大衆に結局において迷惑をかけるというようなことがあつたらばこれは大変でありますので、これらの点につきましては常時十分なる監督も加え、又自制もしてもらつて行かなきやならんというふうに考えておる次第であります。
  63. 岡崎真一

    ○岡崎真一君 実は私がそういうことを申上げたのは、あれが非常にむしろ特殊のやり方であつて、まあ今アメリカあたりでやつておるのとは非常に違つた意味を持つておるものですからそれについてどうかという意味で実は伺つたわけです。結構です。
  64. 黒田英雄

    ○黒田英雄君 今までどういう御質問があつたかちよつと私聞きませんでしたが、私は先ず第一に大蔵省が信託業に対して将来どういう考えを持つておられるかということをお尋ねしたいのでありまするが、それは御承知のように、信託業はその附帶業務としていろいろな業務を兼ねておつて銀行業務は兼営は絶対に許さんということで最初あつたのですが、それが昭和十八年でありますか、いろいろ資金を集める必要上から、一かどの銀行には、手が揃つておるという意味から、銀行業務を兼営をさせられたのです。もともと信託業というものはいろいろな業務を本来にも持つておりますが、金銭信託が一番発達するであろうということは最初から予想されておつたものであるのです。従いまして銀行等に対して、いろいろな当時も圧迫をかけやしないかというような議論もあつたように記憶しておるのですが、いよいよ信託業が銀行業を兼ねることになつて来れば、信託業を兼ねている銀行と、その他の銀行との間には、いろいろまあ状況が違うと思うのですね。それに信託筋に先般投資信託ができたんですが、これはまあ信託会社が直接やるのじやない、証券業者がやつてそれを信託業に投資する、信託するということであつて、信託会社の固有の信託を助長するようになるのでありまするが、今度更に貸付信託をやるということになれば、直接信託会社には一般の受託者というものは信託で直接やるようになつて行く。そうしてこれは、この関係というものは、いずれ皆さんから御質問があると思いますし、私も後に御質問がなければ伺うところですけれども、貸付信託において元本を保証する、或いは利益を保証する、一定限度に保証するというようなことになつているので、この点をどの程度やられるかということによつて違いますけれども、これをやれば銀行のつまり定期預金と結局同じようなものになつて来るのではないかと思うのです。その上に今朝も御質問があつたようですが、私途中からでよく聞きませんでしたが、貯蓄債券も出して、そうして一般の不動の資金を吸収しようという、これもどの程度の利廻りになるものをやられるのか御質問にあつたようですけれども、私丁度聞きませんでした。それらの利廻り等の関係があるのですが、これらをどんどんやつて行けば、銀行のほうの資金がすべて信託業のほうに行くということになつて来やしないかと思うのです。今までも定期預金と殆んど同じような金銭の信託が、利子歩合も或る程度銀行預金の利子よりは幾らか低いということではあるのですが、そのために定期預金というものがよほどそれに私取られているのではないかと思うのです。資金を吸収する点においてはいい考えかと思うのですけれども、信託業は殆んど銀行と同じような金銭信託ばかりに行つて、そうしてほかの業務に余り手を出さん。又一般にそれを大衆に宣伝をするということがないようになつて来て、銀行と同じようなものになつてしまうというような点も考えられるわけであります。殊に銀行法の改正案が、大分何回か改案されてできつつあるようですが、案の或る段階のときには、拝見しますれば信託業法は廃止する……、銀行をどんどんやるというようなことがなくて信託業というものを、将来固有の信託を大いに助長して行くということは、もう大蔵省は見限つてしまつてただ金銭で銀行と同じようなものにしてしまうというような考えのようにも見えるのですが、一応それのお考えを伺つて、又あとお伺いしたいと思います。
  65. 大月高

    政府委員大月高君) 只今黒田委員からのお尋ねでございますが、大体においてお尋ねの趣旨は、現在の信託業務の傾向が次第に銀行のプロパーの業務に近ずいているのではないか。それに対して果して固有の信託関係業務を助長する方針をとるのか。或いはもうこれは一般銀行並みに指導して行くという方針をとるのか、という大体のお尋ねであつたかと存じますが、この点に関しましては、只今お手許にお配りたしました資料の最後の二枚に数字がついております。御存じのように、この信託業法ができましたのは大正十一年でございまして、その翌々年の大正十三年に三井信託が最初にできて以来、或る意味におきましては保険会社銀行、それに対抗する一つの大きな力としてどんどん発展して来たわけでございます。この表にございますように、昭和十年の欄を御覧願いますと、十年末でございますが、当時の信託会社の総額が約二十億であります。そのうち金銭信託が十七億でございまして、当時信託会社銀行業務をやつておりませんので、その次の欄にございます定期預金というのは、当時の各銀行の定期預金の総計であります。その数字が六十五億幾らということになつております。これで比較いたしますと、金銭信託は全定期預金に対しまして約四分の一程度の分野を占めていることがわかるのであります。この当時が信託会社としての最も全盛期であつたわけでございますが、その後次第に戰争を経まして、而も敗戰ということになりまして、一般の国民の財産、本当の意味の財産が次第になくなつて来るということに伴いまして、信託の力というものは次第に落ちて来ております。仮に昭和二十三年の数字を御覧願いますと、当時の金銭信託が八十一億、それに対して定期預金が旧勘定合せまして七百三十四億でございます。約一割一分くらいのところになつておりまして、ウエイトとしては半分以下に下つているわけであります。そのとき信託会社本来の仕事だけでは業務はなかなかむずかしいであろうという見通しもございまして、たまたま二十三年の七月に再建整備が終了いたしましたので、その機会に信託会社を全都銀行ということにいたしまして、信託業務はその銀行が信託業も兼営するという逆の態勢に切替えたわけでございます。その後次第に銀行業務も別に発展いたして来たわけでございますが、併し信託の定期預金に対する割合はその後もまだ低下いたしておるわけでございます。昭和二十六年の最も最後の欄におきましても、金銭信託の三百四十七億に対しまして定期預金は四千百六十九億でございまして、八%程度に下つておるわけでございます。次の表を御覧願いましても、丁度二十三年の七月に今申上げました再建整備後の性格の変換があつたわけでございますが、当時いわゆる専業六社と言われておりますこの六社の割合を見ましても、銀行預金が最初十八億に対して金銭信託四十億となつておりましたのが、銀行のウエイトが次第に大きくなりまして、昭和二十四年の九月におきましてはその数字が逆になつております。銀行預金が百千一億に対しまして金銭信託は八十二億、こういうふうに減つて来ておるわけでありまして、現在におきましても、専業と言われておるいわゆる六社におきましても、銀行預金の数字が遥かに大きいというところへ行つておるわけでございます。まして金銭信託でない信託の分野におきましては非常に小さいということは言えるわけでございます。これに対しまして只今まで考えておりますところでは、やはりこの六社のほか現在信託をやつております銀行といたしましては十一行ございますが、これは本来の業務銀行であつて信託業務合併その他の関係で旧来から若干ずつ附加的にやつておるというものが十一行ございます。併し信託自体として考えますと、いわゆる専業六社と言われておりますものの信託財産は今年の一月末におきまして四百二九十億あるのに対しまして、残りの十一社合計で百十四億しかございません。従つて信託を考える直におきましても、主としていわゆる専業六社の数字を御覧願えばいいと思うのであります。  それで今般貸付信託の制度を考えましたにつきましても、やはり信託の制度自体には本来の使命もある、信託会社として本来の特色を発揮させる面が適当であろう、従つて銀行業務の兼営も認めてはおりますけれども、主として信託本来の仕事を以て立つて行けるようにということを考えたいと存ずるわけであります。従いまして今般の貸付信託の制度をとることにいたしましても、勿論利益の補足はできるという建前になつております。現在の信託業法によりましてできるわけでございますが、指導といたしましては利益の補足契約もしないで本来の信託の恰好で実施いたしたいと、そういう意味におきまして実績主義の、信託業務を信頼して金を預けて来る、それを有利に確実に運用して委託者に返してやる、こういう少くとも信託の本来の精神というものに応じた運営をさして行きたい、こういうふうに考えておるわけであります。  いわゆる金融業法の段階で信託業務をなくするという考えがあつたかというお話でございますが、これはやはり法案形式といたしまして、大きな意味金融業法というものは考えたことがございますが、信託という仕事をこの際金融界からなくするということは未だ考えたこともございませんので、信託業務の存在価値というものは、少くとも将来我が国力が次第に回復いたしまして相当の資産、財産というものもできるという段階になれば、十分活用し得る余地があるんじやなかろうかと、こう考えております。
  66. 黒田英雄

    ○黒田英雄君 お考えは大体わかりましたが、銀行で信託業を兼営している者は十一行のようでありまするが、貸付信託とか、或いは投資信託を引受けるというようなことをすれば、非常に銀行は一方の定期預金が減つても、そつちのほうで補うことができて非常に有利な立場になると思われるのです。ほかの銀行がそれによつて圧迫を感じるということがあれば皆信託業を兼ねてやりたいという希望を持つことは当然だろうと思うのですが、それはお許しになるつもりでありますか、どうですか。
  67. 大月高

    政府委員大月高君) 先ほど御説明申上げましたように、現在の金銭信託の分野というのは非常に小さいわけでございます。総額におきましても一月末で三百九十六億、それに対しまして銀行預金は現在一兆六千億あるわけでございまして、この信託の制度によつて預金業務に進出する、或いは預金業務を侵すということになれば、そのくらいになるほどならば日本のために非常に結構であろうかと考えておるわけでございまして、現在ウエイトといたしまして、この貸付信託自体の予定といたしましてもこの一年間に約六十億程度を消化さそうということでございます。従いましてこの信託の制度はますます活用いたして参りたいと思うのでございますが、それでは現在やつておらないところの銀行が非常に希望するかと申しますと、やはり信託は信託としての技術なり経験というものが相当重要でございまして、今すぐ銀行業務をやつておるかたが信託をやつてもうまくすぐには行かない。現にその数字といたしまして兼営の信託銀行十一行ございますが、その数字も非常に計数的には小さい。これも従来からございました信託会社合併した、吸収した、そういうことから従来からのスタツフが残つておるという意味においてやつておる程度でございまして、現にほかの銀行におきましても積極的に信託業務によりまして業務を発展さして行きたいという希望はないようでございます。
  68. 黒田英雄

    ○黒田英雄君 預金と金銭信託との関係についてはいろいろ御説明があつたのですが、大体は金銭信託のほうは期限が長い、定期預金と比較しても長いと思うのですが、定期預金は大体六カ月とか、長くて一年というふうになつておるので、いわゆる動的な資金がそれに向き得ると思う。金銭信託のほうだというと、どうしても一年よりも二年、三年というもののほうが利益が多くなるようになつておる。自然静的資金というものがそつちに向くということをしてあると思うのですが、この金銭信託というものが、将来は勿論ですが、従来どういうふうに監督されておつたか、投資を限定しない、無條件の金銭の信託をしたものについて、利子歩合が或る程度の保証はあるのですか。これは本当に有利に投資されて行けば或いは一割とか、或いは一割以上の利益が生じて来る、手数料を引いてもあると思うのですが、併し殆んど銀行預金と同じような或る程度の利益だけを配当しているように思うのですね。それなぞは本当に分離計算されて厳重にその投資がいわゆる善良なる管理者の注意で最も有利に運用されておつたものかどうか。今後この貸付信託などを許されれば一層それが起つて来ると思う。初めて銀行の兼営を認めなかつたのは、有利な貸付銀行貸付にしてしまつて、不利なものを信託の貸付に廻す危険があるというようなことも言われてございますが、今後も本当に有利にやつて行ければよほど利益が多くなつて、銀行預金の定期預金の比ではないと思うのですね、それが本当であろうと思うのです。そうなつて来れば自然信託のほうに定期預金も廻つて行くというふうになつて来るので、今までのただ推移では、今までは金銭信託が本当の定期預金みたいなものであつて、而もその利子歩合が低い、そして期限が長いというために定期預金が相当多かつたと思われるのですね。今度貸付信託などをやつて、これが本当の信託の本旨に従つて、受託者が善良なる管理者の注意を払つて最も有利に運用して行くということになれば、その利益も保証利益の率どころではない、遥かに上の利益が配当されるというようなことが起つて来るように私は思う。そうなればよほど定期預金に影響すると思うのですが、その点はどうですか。今までの検査などはそういう点も十分やつておられますかどうですか。
  69. 大月高

    政府委員大月高君) 信託の本旨といたしましては只今のお尋ねのように、長期資金を集めまして長期運用するというのが建前でございます。従いまして最初信託業法ができました場合に、施行規則を以ちまして二年以上というように正式に制限がついておるわけでございます。先ほどお尋ねのように戰時中以来この制限が次第に緩和されまして、現在におきましては信託の期限というものには制限がございません。その結果現在は相当短期の信託契約というものもあるわけでございます。それに対しまして本来の信託の精神から申しますれば、できるだけ長期なものを信託によつて吸収したいということは御趣旨通りでございますので、今度の貸付信託の法案におきましても、この貸付信託の信託契約の期間は二年以上という制限をつけてあるわけでございます。これによりまして少くとも定期預金資金上の競合がないようにということを考えておるわけでございます。現在定期預金は全体の定期預金を一〇〇といたしますと大体におきまして七〇%あたりが六カ月ものでございます。一年の定期預金というのは大体一〇%程度のものでございまして、主として全部が、殆んど大部分が六カ月ということになつております。従いましてこの貸付信託による制度を二年以上といたしますれば、原則としてそこに資金の性格的な区別がはつきりすると思うのでございますが、こういうようになりますと、現実貸出す先につきましては信託においては長期に固定的に貸せる、そういう意味で確かに有利な貸付に廻せ得ると思うのであります。そういたしますれば長期資金長期の時日がもらえ得ると、こういうことによりまして次第に短期の金が長期に転出し得るきつかけができるのじやないか。こういうことを考えておるわけでございまして、現在の短期の金銭信託によりましては利益の補足及び元本の保証をやつております。そういたしますと預金と殆んど性質を同じくいたしますので、金利につきましても現実に同様に扱つておりますわけであります。こういう長期の性格なものといたしまして利益の補足をやらない、こういうようになりますれば、性格をはつきりして金利の方法につきましても独自性を発揮し得るようになる、こういうように考えております。
  70. 黒田英雄

    ○黒田英雄君 まだ質問ありますけれどもちよつと休みます。
  71. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 第一番にお尋ねしたいのは、最近投資信託ですかこれは時代の花形になつて来て、一般の金銭信託、信託会社は大分押され気味であるので、信託会社は何らかの活路を見出さなければならんという必要に迫られてこういう貸付信託という方法を考案せられたように私は直感的に受けるのですが、具体的に第三條の二項に「信託約款においては、左に掲げる事項を定めなければならない。」こうなつておるのでございますが、一つ具体的に今の投資信託の分がああいうふうになつて大体我々のほうにわかつておるのですが、これが施行されることになりますと、大体具体的にどこの会社へ、今度はどこの社債を持つためにその投資信託を集めるというふうにやるのか、それともただ貸付をやるという貸付と、手形の割引というのがございますけれども、そういうために会社を指定してやるというのか、そのやり方を一つお話願いたいと思います。募集の方法……。
  72. 大月高

    政府委員大月高君) 具体的に経過を追つて説明申上げますと、先ず第一に信託会社といたしましては第三條に基きまして信託約款を作りまして大蔵大臣の承認を受けるわけでございます。その信託約款の記載事項形式的にこの第二項に出ておるわけでございますが、これだけでは実際は中味がわからないのでございまして、具体的に例えば今回何億の金銭貸付信託を募集する金額を書くわけでございます。そういたしまして、この集めた金をどの事業に廻すということを書くわけでございますが、その事業の範囲として考えておりますのは、第一條にございますように「資源の開発その他緊要な産業に対する長期資金」こういうふうに限定してございますので、目下考えられておりますのは電源でございますとか、或いは造船の資金でございますとか、或いは石炭、鉄鋼、そういう方面の資金に廻したい。従いましてその重要な産業を具体的に鉄鋼であるとか、電源開発であるとか、或いは電気、こういうように書いて来るわけでございます。その場合には具体的にAという会社、Bという会社までは書かせないというわけでございまして、これは相当多額の金銭を集めます以上、府県分散の意味におきまして一社に固定するというようなことは逆の意味において希望されませんので、業種ということでこの融資の対象を限りたい、そういたしまして、その次にはその廻した結果一つの利殖収入があるわけでございますので、その利殖の中から信託会社は信託報酬を差引くわけでございますが、報酬を差引いた残りを実績に応じて年に二回見当になると思いますが、毎配当期を定めまして、その配当期の末期にこれを一般の受益証券の所有者に分配をする、こういうことになると思います。そういたしましてこの制度といたしましてはオープン・エンドも考えておるわけでございまして、例えば電力ということを考える際も、オープンと申しますか、その次に追加いたしまして更に三億を追加する、こういうことも場合によつては考えてもいいのじやなかろうか、それから場合によつては電力に金を運用しておりました後に、造船のほうに金を廻したいということも可能なわけでございまして、この場合には、この法律の信託約款の変更、第五條以下の規定によりまして正式に変更の承認を得まして、又別のほうに運用するということも考えております。
  73. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 そういたしますと、今のお話では電源とか、船舶とか業種を限るというお話ですが、危険分散を考えて一社というふうにしない。併しこの場合、船舶にもいろいろあります。それから電源は大して数はないと思いますが、船舶や鉄鋼ということになると数は多いと思うのですが、その場合には、それはただ鉄鋼という業種たけであつて、ABCDEFGというように指定して、この方面へ廻したいというようなことをするのではなしに、鉄鋼なら鉄鋼、石炭なら石炭、石炭にもピンからキリまであると思いますが、今のお話ですとただ石炭ということだけですか。
  74. 大月高

    政府委員大月高君) これは大蔵省といたしましては、承認するという立場になりますので、どういう恰好でもつて来るかわからないわけでありますが、これは一條の精神によつてやります。ただ、今考えておりますことは、鉄鋼のうちのどこというところまで、若しそれが宣伝価値があり、消化するために鉄鋼のうちでどれと、どういう方面ということまで掲げてやることが、募集上有利であるというようなことを信託会社のほうで判断をいたしまして、書いて参りましたならば、非常に業種が限定されて、而も事実上、これは一社か二社にしか廻らないというような事実上の制限がない以上、認めてもよいのではないかと思います。
  75. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 そうすると、第三條の規定は、これは業種で申請をしてもよろしいし、それから限定してもいい、宣伝価値を狙つて……。それから又、投資を一つ十億設定するとして、その場合三億は電源開発、それから三億は船舶、三億は鉄鋼で、あと一億は石炭、こういうようなやり方も認めるのですか。
  76. 大月高

    政府委員大月高君) 最初の限定いたしますにつきましても、ABCというような具体的な会社としては認めない方針でございまして、例えば鉄鋼と申しましても何と申しますか、圧延設備なら圧延設備というふうに限定するかということでございます。それからあとのほうのお尋ねの、鉄鋼と石炭と船舶、仮にそういうことで参りましても、これはちつとも差支えないと思うのでございまして、そこらのところは現実運用に待ちたいと思つております。いずれも法律の精神としては差支えないと思います。
  77. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 そういたしますと、妙味というものをどこに見出そうとしておられるか。これは午前中説明があつた国民貯蓄法案でしたか、あれでも金利の水準というようなことを言つておりましたが、これでまあ投資信託なんかは、これは株の値上り、値下りというようなことで危険もあるかわりに妙味もある。これは一般の大体貸付の場合には金利というものは、これはもう水準があると思うのですが、そこでどういうところにこの社債、例えば貸付を受ける会社社債を発行するのと、その場合には個人が選択して行くのですが、そういう選択眼もないというような無知な大衆だとか……或いは危険をそれだけ会社が負うということにおいては安全かも知れないが、一体妙味をどこに見出そうとしておられるのか、ちよつとわかりにくいのですが……。
  78. 大月高

    政府委員大月高君) 今法律的に可能であるということを申上げたわけでございますが、現実に信託会社といたしまして、この貸付信託を運用するということになりますと、現在計画いたしておりますのは、主として電力に廻したいというように思つております。これは最近の情勢といたしまして電源の開発ということが非常に重要なことだということを一般に認識されておりますので、それによつて愬えることが一番いいんじやないかということが、第一回の法案を通過いたしまして募集いたすといたしますれば、そういうことになると思います。そういうように今信託会社では計画しておるようなわけでございます。従いまして妙味と申しますのは、その業種の選択におきまして、そのときどきにおいて非常に国民大衆の関心を持つておる業種を選択する、それによつて一つの魅力があると思います。それから金利の点でございますが、先ほど黒田委員の御説明にもございましたように、これは本来長期の金でありまして、金利の面から申しましても金利調整法では現在一年以下の金利について制限がございますが、一年以上のものについては現在無制限でございます。ただ日本興業銀行勧業銀行、その他に貸しております一つの金利水準がありまして、そうべらぼうな金利にはなつておりません。三銭一厘あたりを中心にいたしまして二厘とか、高いところでは三厘ということになつておりますが、少くとも短期に商業金融で廻しております金利に比べましては相当有利に廻つているわけでございます。従つてこの実績配当も一年物、二年物、五年物あたりまで出して見たいといつておりますので、相当長期の融資ということになりまずれば相当の実績が上る。そういう意味におきまして、自分で業種を選択し、自分で貸出先を見出せない大衆におきましては、この信託会社の信託能力というものに信頼いたしまして、比較的有利に安全に利殖を図り得る。そういうところに丁度銀行預金、或いは社債あたりの中間というところで比較的銀行預金に近いところと、そう考えているわけでございます。
  79. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 今のお話でしたら、例えば電源開発に主として廻す、そうするとその電源開発をやる会社社債を大いに発行をさして、それを消化させるふうにしたほうがむしろ端的に行くんじやないかと思います。わざと信託会社に信託し、電源開発のほうに貸付をするのとこれはどう違うのですか。その点はいわゆるそういう社債に対する知識というようなものもない階層を狙う、こういう意味であるか。それとも或いは社債を選ぶくらいの人ならまあ銀行預金、郵便貯金というものは本当になんだと思いますが、大体信託会社を選ぼうとかいうクラスになると、社債くらいには興味を持ち得るのではないかと思いますが、その点がどうもはつきりしないのですが、社債より有利になりますか。
  80. 大月高

    政府委員大月高君) 社債よりも必ずしも有利だとは言えないと思います。やはり社債よりも若干下のところだと考えていますが、それは丁度今のお尋ねのように、すぐに社債に向い得る大衆と、まあ銀行預金までしかやらない階層と丁度その中間の繋ぎになるかと考えるのでありまして、これは一つの信託であると同時に、有価証券化するわけでありますが、その性格が信託であるという点におきまして銀行預金に近い。で、預金者階層から、社債を買うという階層の丁度繋ぎにする。次第に社債をみずから持つようになれば非常に結構ではなかろうかと思います。
  81. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 次に、この頃大分経済雑誌でもやかましく言われるようになつたが、この四月頃にはオーバー・ローンの解消策とか、何とか盛んに言つておりますが、銀行では、今オーバー・ローンのことをいろいろ言われて困つておりますが、これは先ほどのいろいろの金融法案が出て来て、これはむしろどうも取り合いをするということになると思うのですが、はつきり申しますと、今あなたのお話でも、階層すれすれのところだと、どつちに行こうかと思つてる人も、新らしいのができたというのでそつちに取られるということになる。定期預金よりもよいというのでこつちに廻るということになると、これに更に拍車を加えるというような危険があるのではないか、この法案に対して銀行方面からはどういう声が出ておるか、あなたのほうに何の反響がなければいいと思いますが、率直にこれを一つ聞かして頂きたい。
  82. 大月高

    政府委員大月高君) このいわゆる資本蓄積の面、或いはもう少し限定して申しますと、資金吸収の面から見て、この貸付信託がどの辺の位置に来るかというお尋ねかと存ずるのでありますが、最近銀行預金関係で措置せられましたものは無記名定期預金制度でございます。これによりまして銀行方面におきましては積極的に預金の吸収を実行いたしておるわけでございます。それから政府としていわゆる資金運用関係において考えておりますのが、只今御提案申上げております国民貯蓄債券関係でございます。それから証券界へ、直接株式投資までは向わないけれども、併し何らかの意味において有価証券に興味を持つておるそういう人たちを狙つておりますのが、昨年から実施されております証券投資信託でございまして、これは比較的株式に近い面におきまして、比較的安定な資金というものを狙つておるわけでございます。そういたしますと、現在信託業界として何らかのこういういわゆる無記名方式をとつても、決してほかの分野を侵すということにはならないで、逆に言えば信託業界において一つの、そういう一連の系列から申しますると、穴があいておると、それを逆に補充するという意味を持つておると考えております。で資金吸収の方式といたしましては、全体のそういう一連の方策が一つの系列を持つておりまする限り、できるだけいろいろの投資の対象を作りまして、その好みに応じたところに赴かしめるほうが、単一の制度であるよりもなお一層有効であろうかというのが根本的の考えでございまして、決して一つの定まつた資金を全部奪い合うということでなくして、この手段が多ければ多いほどその歩留りはあるのである。而ももう一つの考え方といたしましては、只今お尋ねのように長期資金が特に困つておる。そういたしますと、仮に資金の量が百で同じであるといたしましても、そのうちの長期の占める分野が次第に多くなるということが特に望ましいわけでございまして、この制度によりまして、現在の預金が、仮に短期のものがこの貸付信託の長期のものに移つて来るということだけにおきましてもプラスではなかろうかと、現に無記名定期預金を実施いたしまして、どんどん殖えておるわけでございますが、これは専門家の観測によりましても短期預金、普通預金あたりからの振替がまあ半分ぐらいはあろうかというような観測をいたしております。然らばその半分の振替が意味がないかと申しますと、これはやはり普通預金でその日その日に引出せるものが半年なり一年なりになつておるということにおいて重要な意味があると思うわけでございまして、そういう意味におきましても、この貸付信託の制度一つの存在意義を持つておるのじやなかろうかと、こういうふうに思います。  それから銀行その他のほうからの意見ということでございますが、この法案の作成につきまして、御存じ臨時金融制度懇談会にかけまして御了承を得たのでございます。で最後に問題になりましたことは、銀行預金との競合をどうするかということでございまして、その点において銀行預金と競合しないようにということが強く銀行界から要望されまして、その結果できておりますのが第三條の三項の「貸付信託に係る信託契約の期間は、二年以上」ということでございます。ただこの制度を実施いたしますにつきまして、直ちに二年から始めて、果して消化できるかどうかということが一つの疑念でございます。而も制度を作ります以上、やはり消化はできるというところにしておかなくちやならないということでございまして、この附則におきまして、この法律施行の日から一年を限つて一年ものを出してもよろしい、こういうようになつておるわけでございます。で一年間の試験期間をおきまして、その結果定期預金と非常に競合するというようなことになりますれば、この附則を外して、本来の二年に返す、で一年があつても特に競合ということはなくして、両々相待つて資金吸収ができるということならば、引続き御審議によりまして又この規定を置いて頂く、こういうことでございまして、この法案自体といたしましては、銀行界としてそう歓迎されるということはないと思うのでございますが、まあ今のところ止むを得ないというところかと存じております。
  83. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 まあこのように今の大蔵省は盛んにこの金融機関の、銀行には無記名定期、それから証券会社には投資信託、それから信託会社には貸付信託というような、いろいろの新規な方法一つ認めて、そうしてまあそれぞれ競合させ、又一つ許したら何らか目新しいことをやらんと押されて来るというようなところからおやりになつておる金融政策だと、私はまあ直感的に思うわけです。そこで最後に一つお伺いしたいのは、まあこういうふうにして、今後は成るべく……銀行局長に尋ねたいのだが成るべく新規の、国民のこう何といいますか、すぐ飛び付きそうなものをいろいろ考え出して、今後こういつた方法をどんどん殖やして行つて、そうしてまあ資金を吸収して行くと、資本蓄積ということについては、資本主義社会においてはこれは当然やらなければならん。これはまあインフレ抑制のためにもまあ生産の拡大のためにもこれは必要だということはわかるのですが、今何らか金融界に対する一般大衆の、どちらかと言いますと批判といいますか、非常に強い面もあると思うのです。というのは、預金をしたりするときには、まあ幾らでも喜んで預つてくれるのだが、今度貸付ということになるとなかなかそう思うように行かんというところから、非常に金融資本に対する批判も、特に中小商工業者あたりはまあ嚴しいものがあると、これは我々地方に参りましてもその訴えがあるわけであります。そこで問題はこういう金融業者が闇金融をやつてもあの通り儲かるのでありますから、何らかの金融業者保護方法を次から次へとこう考え出して、まあ来年になつて来ると又いろいろの方法を考える。大蔵省ではまあ頭のいい人が寄つて考え出されるので、一つの業界に與えると、又次の業界に與えるというふうにして、いろいろ新しい手を以て今後の金融政策というものはやつて行く方針であるかどうか、この点を一つお伺いしたいと思います。
  84. 河野通一

    政府委員(河野通一君) 資本蓄積の方法として、まあ今銀行課長も申上げたのですが、まあ言葉は非常に惡いのですが、やはりあの手この手でいろいろな手を使つて行くのが私はいいと思います。一つの筋道を一本立てて、これに皆預金したい人は集まつて来なさいというのでなしに、まあ好みに応じてこういうやり方もその人の好みに合う、或いはそうでない、こういうやり方のほうがいいという人もあると思います。従つて私はそれが非常に先般来の当委員会でも問題になりましたような、特に射倖的なものまで入れてやるかどうかという問題になりますと、これはいろいろ問題がございますけれども、そうでなくして、正常なルートで資金を吸収できる途がいろいろありますならば、私は幾らでも新しい手を作つていいと思います。ただ問題は、私ども幾らない智慧を搾りましても、そういい手というものはたくさんないのでありまして、今後又いろいろな新しい手を考えるかと言われますけれども、今のところ実はまあこれ以上いい手はないので、今後におきましては資本蓄積のために必要な方途といたしましては、やはり税と資本蓄積との関係をどういうふうに調整して行くか、この問題について更に私どもは検討を加え、更に必要なる調整をいたして参りたいと、この点だけは私ども希望もし、今後努力したいと思つておりますが、今御提案申上げておりますようないろいろな方法以外に、更に特別な新しい手というものは現在のところ私思い付きません。金融政策として私どものほうはそうふらふらしたいろいろな波動するような政策はとりたくございませんが、事資本の蓄積に関する限りは、安定した資金、特に零細な安定した資金をできるだけ集める、インフレーシヨンを抑えながら経済界の必要とする、特に中小企業が必要といたしまする資金を円滑に供給するためにも、どうしてもこれは資本を集めるということが第一でございます。この資本を集めますためにできるだけ新らしい手があればどんどん私は採用して差支えないのであります。併しながら現在では、現実に御提案申上げている以上の新らしい新手というものは思い付いておりません。
  85. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 それに関連してちよつとお尋ねしたいのですが、これに載つているのは皆……、保險のほうでは今新らしい……、この金融業で何とかあんたらにおみやげを差上げなければならないものがあると思うのですが、保險がちよつと考えなければならんのじやないのですか。今度の郵政委員会で五万円を八万円にした。これは大反対している。むしろわしらは十万円ぐらいにしてもいいと思うのだが、八万円に満場一致であるのじやないかと思うが、だから保險料については考えなくちやならんのだが、これはあんたの関係じやないかも知れんが、この点保險業界から相当意見があると思うのですが、今度簡易保險の八万円の問題、この点は特にお考え及びになつたかどうかということをお伺いいたします。生命保險の……。
  86. 河野通一

    政府委員(河野通一君) 簡易生命保險の保險金の限度、現行五万円を八万円に引上げる問題につきましては、これは実は政府の提案によつてお願い申上げておるのであります。政府としてはこの程度の引上げは必要であろうと思つております。なお保險の問題につきましてもいろいろ、これは私の実は所管になつておりますが、いろいろなことをお願いいたしております。今度の国会でも法律上税との関係が十分ありますが、一つは払込保険料の所得税から控除の問題、これの引上げの問題、それから死亡保険金の相続税法上の非課税の限度の引上げ、これも相当引上げを実施いたして頂いたわけであります。併しその程度につきましては、実は私自身としてはまだ足りないと思つております。併しまあいろいろ財政上の都合等もございまして、あの程度になつたのでありますが、今後におきましては、先ほど申上げましたようにこういう資金の蓄積と、殊に長期資金の蓄積と税との関係調整、これは保険の問題とも併せて、保険資金とも併せてこれらの問題については更にこれは引上げをして行かなければならん、そのために努力をして参りたいと、かように考えておる次第であります。保険の問題ではそのほかに新らしい問題と申しましても、新手の保険の問題等もございますが、一応今のところでは新らしい保険のやり方というものは大体出盡しております。二、三新らしい、何と申しますか、一種の生存保険と年金とを合せたような一つの構想が非公式に私のほうに話がございますが、これは或いは今菊川さんのお話はその点をおつしやつておるのかとも思いますが、これらの問題についても研究を今続けております。必要に応じまして或いは法律の御提案を申上げることになろうかと思いますが、少くとも本国会にはどちらにしても間に合いませんが、そういう新らしい保険と銘打つか、少くとも保険に準じ得るような新手の構想等におきましても、現在検討いたしておるものはございます。
  87. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 私の申上げるのは郵便年金が一時非常に魅力があつた時代があるのですが、今では殆んどありませんが、従つてあの保険会社に年金制度あたりを、五十か六十ぐらいまで毎月掛けて、それで六十歳ぐらいになつてから一つ年金をもらつて、もうどこへ行つても働くわけに行かん。併し働いておる間に保険へ掛けて、年金制度を……。もうそろそろ出て乗ると、それを保険会社が言い出そうかと私は思うのでお尋ねしたのですが、研究しているということですからその程度にしておきまして  最後に資料を一つお願いしたいのです。この信託会社、今度の法案が通過しましたら、適用を受ける信託会社名称資本金、それから本社の所在地、代表者、それから支店数、支店の数、これを一つ。それから最近におけるこれはまあ各社ということになると信用問題だと思うので困るから、全般としてで結構です。利益の利益配当が大体どういうことになつておるかということを一つ、各社平均で結構です。そうぜんと各社ということになつて来るとちよつと銀行局長発表できまいと思うから、又そんなこと知つてもしようがないから、平均的のもので結構です。それから資本総額を、これも各社ということになると困ると思うから、総額を一つどれぐらいの資産になつておるか、それからその運用方法はどういうふうに運用されておるか、今信託財産がどういうふうに運用されておるか、貸付はどんな状態、株式或いは国債、社債、どういうふうな方面に今運用されているか、信託総額の運用はどういうふうにされておるかということを、これも総額で結構ですから一つお示し願いたいのですが、これを資料として一つお出し願いたい。そうしませんと、この本法案を審議するに当りましても、将来これが殖えるとか減るとかいうことで大きな問題だと思いますので、一つお示し願いたいと思います。
  88. 河野通一

    政府委員(河野通一君) 今その数字をちよつと……信託勘定だけでよろしうございましようか。
  89. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 ええ、よろしうございます。これを一つお出し願いたいと思います。  それから次にお尋ねしたいのは、ちよつと逐條的に二、三お尋ねいたしますが……これをこの次の委員会までに資料を一つ……。
  90. 河野通一

    政府委員(河野通一君) 実はここに数字がございますから、口頭で御説明申上げまして、あとで資料を御配付することでは工合惑うございますか。
  91. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 ちよつと印刷して頂けませんか。
  92. 河野通一

    政府委員(河野通一君) それではあとで廻りしますから……。
  93. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 ほかの人が要らなければ私一人でもよろしうございますけれども、簡單に書いて一つお廻し願いたいと思います。  それから次にこの第一條の「資源の開発その他緊要な商業」というのは、これは大体大蔵大臣として先ほどはまあ金額だとか何かお話がございましたが、これはどの程度まで、政令ででもきめるのですか。別に政令ででもきめるということも何ともないのですが、これはその認可をする、第三條運用の際にやつて行かれるということになるだろうと思うのですが、政令できめるとも何ともきめてないのですが、これは範囲はどこまでが一体認可する予定ですか。
  94. 大月高

    政府委員大月高君) これは具体的に今どの業種、どの業種というように正確に線を引いてございません。ただ一般にこの趣旨に合うところで希望に応じてそれを審査して参りたい、こういう方針でおります。只今考えておりますところでは、現実に第一回あたりでは電力関係になると思うのでございますが、その他やはり造船の関係だとか或いは鉄鋼、石炭、そういうところは少くとも申上げることができるかと思います。
  95. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 いや、それで、これははつきりしておりませんと、ややもするとまあ住宅の建設だとか、そういうところへは今金が廻らずに、ビルディング、大ビルディングのほうに廻つたり、待合や旅館がどんどん建つて行くのが現実な実際問題の姿として、折角法案としてこの法律の第一條にはしつかりと「その他緊要な産業」にということを書いてありましても、限定して大体どの程度までだということがわかつておれば別ですけれども、実際ああいうところへ余り廻りそうにないと思うのだが、資材も資金も廻つて、待合や料理やがどんどん建つて行くということはこれが実際の姿なんです。で法律にはこう明らかに「資源の開発その他の緊要な産業」と、こう書いてあるのだが、そういうところへは廻る危険はございませんか。
  96. 大月高

    政府委員大月高君) 現在の例えば銀行業務として考えますと、その貸付先について法律上何ら制限はございません。従つて勿論料理屋等に金を貸していけないということは言えないわけでございますが、この法律ははつきり第一條目的として掲げてございまして、第三條では大蔵大臣の承認事項といたしまして、「信託の目的」が出ておるわけでございます。従つてこの目的には、確実に電力であるとか鉄鋼であるとかというものを書いてないと、大蔵大臣としてはそれを審査しないで通すことはできないわけでございまして、少くとも例えば料理屋に金を貸すという申請を仮に出すといたしましても、当然これは却下せざるを得ないという制限をいたしておるわけでございます。
  97. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 今は成るほど電源開発、電源開発ということを盛んに言つているのですが、すぐ問題が起きて来ますのは先ず航空機の生産、それから武器の生産ということはもう当然起きて来るわけです。ダンクやそういうものを、例えば中重あたりの航空機生産、これも重要産業と同じになりますか、その点を一つ聞かして頂きたいと思います。
  98. 河野通一

    政府委員(河野通一君) 只今のところでは私どもこの重要産業と言つておりますのは、一つの基準は開発銀行資金運用の基準といたしまして、閣議の決定を経て定めております基本計画というものがあります。この中に挙げておりまする業種を大体考えております。従いましてこれは一般にもよくわかつておることでありますので、それによつて御承知を頂きたいと思います。
  99. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 で将来の問題としてこれはもう一番当面どうしても……、現実に運んでおるのでありますが、武器の生産は近い将来これはもう当然課題となると思うのです。それはこのうちに含む、このままだつたらこれは重要産業に相成ると思うのですが、これは今はやるという、あなたの開発銀行でも認めるという、こういうお話なんですが、近き将来にこれは幾らでも殖し得る発展解釈ができ得ると思うのですが、そういうふうに解釈してよろしうございましようか。
  100. 河野通一

    政府委員(河野通一君) 只今のところは、先ほど申上げました開発銀行について示しておるあのラインによつて重要産業と判定しております。将来の問題につきましては、只今私としてはつきり御答弁申上げる段階にございませんから、御勘弁願いたいと思います。
  101. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 それじや大蔵大臣にこれはお伺いすることにいたしますから保留します。
  102. 黒田英雄

    ○黒田英雄君 この元本の補填契約をするということができるようになつておりますが、この割合はどのくらいになるのか、全額を補填するような契約もできるのですか、どうですか。これは元本の補填をするようになれば、現行法の第七條のその損害の担保として、「受益者二生スルコトアルヘキ損害ノ擔保トシテ命令ノ定ムル所二依リ資本金ノ十分ノ一以上ノ金額二相常スル國債ヲ供託スヘシ担シ其ノ金額ハ百萬圓ヲ超ユルコドヲ要セス」というふうになつているのは、どうも百万円なんていうのじやもう今日はそう効果がないように思うのですが、これを何か改正されるというお考えはなかつたのですか。
  103. 大月高

    政府委員大月高君) 現在この信託業法のできましたあとの特別法によりまして、この規定は適用がないと思います。具体的な條文は今……。
  104. 黒田英雄

    ○黒田英雄君 どうも如何にも少いように思うのですが、もう少しこの金額を上げさして然るべきじやないかと思うのですがね。
  105. 大矢半次郎

    大矢半次郎君 今の黒田委員の御質問に関連して伺いたいのですが、元本に損失の生じた場合の補慎というのは、元本にどんなに大きな損失を起しても、全額補慎をさせる趣旨なのですか、どういうことを意味するのですか。
  106. 大月高

    政府委員大月高君) これは補填の仕方にはいろいろあると思います。全部、又は一部もあり得るわけでございますが、若し全額の補慎契約をいたしますれば、勿論その損失も全部を補填する必要があるわけでございます。
  107. 大矢半次郎

    大矢半次郎君 これはですね、結局レートと申しますか、それが非常に影響して来ると思います。一方において又信託会社が果してそれだけの資産といいますか、能力があるか、非常に影響が大きいものだと思いますが、そこらの点についてはどういうふうにお考えになつていますか。
  108. 大月高

    政府委員大月高君) この元本の補填契約をやりました場合には、第十四條の規定によりまして、特別留保金を積ますことになつております。従つてこの特別留保金は当然信託の分配金として分配するもののうちから留保することになるわけだと思うのでございまして、そういう意味におきましてこの損失補填を、元本の補填をやる契約をいたしますれば、当然それだけ受益者といたしましては逆に安全性が増す。従つてその配当はそれに応じて減る、こういうことになると思います。で、信託会社の保有勘定の側から申しますれば、この補慎契約をすれば、それだけこの特別留保金を積むことによりまして、将来の安全性に備える。備えてその間に補填契約をして、比較的安定した配当をして、低いところでやるか、或いは補填契約をしないで、実績に応じて相当高額に配当をして行くか、その二つのとり方があると思うのです。実際の今後の運用の方針といたしましては、補填契約をしないで、実績主義に応じて運用するというふうにして行きたいと思います。ただ法律的な制度といたしましては、第十四條の規定によりまして、補慎契約はしてもよろしいということたけは附けておきたいと思います。
  109. 大矢半次郎

    大矢半次郎君 大体今の御説明でわかりましたが、併し補填契約にも行かん、或いは特別留保金、これをどの程度積み立てて行くかということは、先ほど来いろいろ問題になつておる銀行の定期預金との関係が非常に影響して来ることでなかろうかと思いますが、この点については大蔵省としても十分お考え下さつて適切にやつて頂きたいと思います。
  110. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 第三條の二項の十五号について一つお尋ねしたいのですが、「その他公益又は受益者保護のため必要且つ適当であると認められる事項で大蔵省令で定めるもの」というお話がございますが、これは受益者の保護をしてくれるということで結構だと思うのでございますが、どういうふうにして保護をしてくれるのですか、大体構想はできておるようですが、政令で何とか……。
  111. 大月高

    政府委員大月高君) この第三條二項十五号は大蔵省令で定め得ることになつておりますが、現在検討いたしましたところでは、ここへ一号から十四号までの事項を掲げまして、それを承認することで十分だと考えております。ただ将来これは相当公益に影響する事柄でございますので、どうしても脱法的に何らかの方法を講ぜられるというような情勢がございまするときには、ここで記載事項を更に追加いたしまして、厳重に監督いたしたい、それだけの将来の含みでございまして、現在は一号から十四号までで十分だと考えております。
  112. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 わかりました。第八條について「記名式の受益証券をもつて表示されるものを除く外、受益証券をもつてしなければならない。」、この点についてでありますが、これは記名式になつておつても、他の名義人が受益証券を呈示した場合には、受益権の譲渡又は行使ができる、こういう意味でございますか。名義書替等の必要はない、こういう現わし方ですが、ちよつとこれは僕らには専門家でないのでわからんのですが……。
  113. 大月高

    政府委員大月高君) 先ほど波多野委員からの御質問に対しましてお答えいたしましたように、この受益証券はこの二項によりまして、原則は無記名式でございます。で但書によりまして、受益者が請求すれば記名式とすることができる。でこの法律上の性格は無記名式の場合と記名式の場合と異つておるわけでございまして、これは昨年通過いたしました証券投資信託の場合も全然同じですが、無記名式におきましては、この受益権の譲渡及び行使は受益証舞を以てするということは、持参人払の有価証券になるわけでございまして、必ずこの証券を以てしなければ権利の行使ができない、併し使途によりましては無記名では危い、自分の名前を出したい、こういう人がございましたならばこれは記名式にいたします。そういたしますと、これはやはり原簿にも登録されるわけでございまして、誰が権利者であるということがはつきりいたしますので、これは証券を離れてこの権利の行使ができる。従つてこれを落した場合におきましても、必ずしもこの証券なしでこの配当ももらえる、元本ももらえる、こういうことになるわけでございます。
  114. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 わかりました。今度は第十一條でございますが、六條の四項は、これは約款の変更を受託者がやる場合に、異議を申立てた場合には一年以内でも時価で以て買い取らなければならないということになつているのですが、併しその他の証券発行の日から一年以上を経過している場合は、その固有財産を以て時価により当該受益証券を買い取ることができる、こうなつているのですが、この時価という表示でございますが、この時価とはどうもわかりにくいのですが、この時価の判定というものは、別にこれは相場は立つておるわけでもないと思うのですが、これは額面のことを意味するのですか、どういうことですか。これは相当叩かれるという意味でございますか。例えば千円になつておつても期間満了でない場合にはこれは九百円なり八百円なりくらいで叩かれる、こういう意味ですか。時価の判定、これは大蔵省監督されることになるのですか。若し時価に異議があつた場合に、一応五名や五名の極く少数の委託者の場合にはあえて受託者に対して抗議を申込んだつて、なかなかうまく行かないと思うのですが、時価はどういうふうに、そしてその時価について成立しない場合、示談が成立しない場合吉にはどういうふうに調整されるか、この点お聞きしておきたい。
  115. 大月高

    政府委員大月高君) 受益証券が発行されましてから一年以上経過いたしておる場合に限つて固有財産を以て時価によつて買取るわけでございますが、この時価は先ほどもお尋ねがございましたように、多分この証券としては、時価の変動ということによつて手離したり或いは買つたり、そういうような性質のものではないと思いますので、一般証券取引市場で取引されるものでもなく、個々的に稀な場合に譲渡されることであろうと思います。従つて一般にわかる時価というものはないわけでございますが、併しその各組各組の貸付信託によりまして、配当の実績というものが過去に出て参ります。そういたしますと、この一般の金利水準その他から逆算いたしまして、自然に時価というものが出て来る、それによつて買い取るなら買い取る。その時価がどのくらいになるかということは、ここでは買い取ることができるということになつておるわけでございますから、一般証券の所有人と信託会社との話合いできまつて来るわけでございます。信託会社がそれでは叩くかということになりますと、ほかにも競争の会社がございますので、そういうことをすれば当然次の受益証券の消化に関係する。従つて、需要供給の関係から申しまして、自然に一定の妥当なところへ落着いて来る、こう考えております。
  116. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 そういたしますと、これはできるだけでありまして、こちらから、受益証舞の保有者から請求をして、必ず一年以上たつたら買つてもらうことを請求することができるものであるかどうか、この点を一つ。ここには一方的に受託者はできるということになつているのですが、反対のほうの委託者のほうからそれを請求することができるものであるか、これを二つお伺いしたい。
  117. 大月高

    政府委員大月高君) 第十一條規定は信託会社のほうから規定をしてございまして、これは買い取ることができるわけでございまして、義務はございません。第六條の場合に信託約款を変更いたしまして、大蔵大臣の承認を受けた場合に、若し買つてくれという場合には、これは買い取る義務があるわけでございまして、十一條の場合とは性格が異なるわけでございます。十一條規定を置きましたゆえんは、若しこの十一條規定いたしません場合には、「この場合においては、」云々とありますように、信託法第九條によりまして、受託者と受益者とは同一人、共同受益者である場合のほかこれを兼ねることができないという一つ條文がございますので、信託会社が買取つていいと思つて法律上買取ることができない、買取つちやいけないという規定を外すためにこの十一條を置いたわけでございます。従つて現実にそれを買取るかどうかということは相対の話でございまして、この受益証券を持つておる人といたしましては、必ずしも信託会社に持つて行かなくても、ほかの人に売るなり或いは自分で持つておるなり、こういうことができるわけでございます。信託会社といたしましては、若しそういう希望が、買つてくれという希望があり、而も買つてもいい、こういう場合に、それは妨げないのだということを十一條で書きまして、消化の促進の一助にいたしたい、こういうように思つております。  先ほどの黒田委員のお尋ねでございますが、供託の規定現実にはやはり生きております。これは「普通銀行等貯蓄銀行業務又は信託業務の兼営に関する法律」という法律の第四條によりまして信託業法の第七條から第十條までの規定準用いたしております。従つて現在銀行であつて信託業務を兼営いたしておりますものにつきましては、この規定の適用があるわけでありまして、その金額は今御指摘の通り低いことになつております。ただ実際の問題といたしまして、現在銀行資本金は相当大きなものになつておりまして、いわゆる固有勘定でそれを待つておるわけでございますから、実際上の必要といたしましては、国債を供託するかどうかということにかかわらず、十分にカバーされておる、こういう状況になつておりますので、実際面といたしましては支障がない、こういうことになつております。
  118. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 この十一條の狙いは今の御説明で大体わかりました。私の考えでは十一條規定をもう少し拡大しましてですね、特にこれは悪い意味で申上げるのじやなしに、たくさん貸付信託に集まるように、特に受益証券の所有者が受託会社に向つて買取りを請求した場合にはもう少し買取つてもらう、買取らせるようにしたほうが却つて融通性も得ていいのじやないか、こういうふうに思うのですが、そうすると又取付けるというような騒ぎもあつて、期間の帳尻ということに関係してこれはちよつと困難でございますか、この点を一つ
  119. 大月高

    政府委員大月高君) これは現在国民貯蓄債券法、今御提案申上げております貯蓄債券法でも買取る義務ではなくして、買取れるということによつて若干の消化の便に資し、それから証券信託投資法によりましても、あの制度におきましても、現に証券会社がどんどん買つておるわけでございますが、これは買取る義務があるからではなくして、商売上或いは消化を助けるという意味におきまして、時価が下つて来るということになりますれば、将来の自分たちの仕事に影響するという意味で自衛上買うわけであります。従つてこれは法律上の義務ではなくして、法律上の義務にしなくても、そこはおのずから商売上の必要と需要供給と、その両方面から円滑に動き得るものと考えております。
  120. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 そういたしますと十一條規定は、自由に買取らせることも認める、これは受託者が自衛上必要と見た場合には自由に買取らせることを認める、こういう意味でございますか。
  121. 大月高

    政府委員大月高君) そうでございます。
  122. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 その次に十二條についてちよつとお尋ねしたいのですが、貸付信託の信託財産は、ほかの信託財産と分別して運用しなければならない。この「分別」という意味はちよつとよくわからんのですが、別の計算ではつきり受益証券保有者にわかるようにいつでも明示できるよりにして行くという意味でございますか。それとも「分別して運用」というのは、例えば信託会社は先ほどの説明の、電源開発の会社貸付けたというのと、一般の金銭信託の金を貸付けたのと……、それも五億貸付けた、貸付信託のほうの金を十億貸付けたという場合に、一体「分別して運用」ということはどういうことを言つておるのか。貸付けの金利も別にしなければならない、或いは担保も別にしなければならない、こういう一意味でございますか。
  123. 大月高

    政府委員大月高君) この第十二條規定は、この制度の本来の姿を規定しておるわけでございまして、一般の金銭信託は、今全都、計算だけをはつきりすればいい、全部一つなつ運用しておるわけでございます。従つてこの委託者の金はここへ貸してあるということは必ずしもはつきりする必要はない。併しこの制度におきましては、先ほどから申上げておりますように、これは電力へ融資するための金、だ、そうして集まるわけでありますから、そうしてその場合には今回は五億なら五億募集する、そうすると、而もそれには売出期間がございまして、その間に何億集つたかということは非常に明瞭になるわけでございます。その集つた結果は大蔵大臣に報告するということに規定なつております。従いまして例えば第一回の電力用の貸付信託は五億集つた、こういうことになりますと、この五億の金がどこへ行つておるかということは明瞭にしなくちやいかん、ほかの信託財産、金銭信託と別に扱うというのがこの規定趣旨でございまして、若しそれが仮に電力用の貸付信託でございまして、Aという電力会社に仮に貸されておる、然らばその信託会社のほかの金銭信託で会社に貸しちやいかんかと申しますと、それはかまわない。ただそれは別の金銭信託から貸したものであるということをはつきりいたしまして、別個の計算において実行すればいい、こういうことであります。
  124. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 次に十三條の手形の割引ということは認めているわけてすね、貸付のほかに。この手形の割引というようなものはこれは短期だと思うわけですが、これは二年、三年ということはないと思う。これはどちらかというと、先ほどからの御説明によると、成るべく長期資金を集めたいというのでありますが、それは手形の割引なんというものは、募集するときに、果してこの会社は、申込んで来た場合には必らず手形を割引きして行くのだというふうにして置くものでありますか、これはちよつと運用上、いつも突発的なものだと思うのですが、手形の割引というものは……。例えば或る程度、五億集まつたらその中の一億くらいは手形割引して来るかも知れないからというので保留するというようなことはお認めになるのですか。そうすると最初の投資信託の約款とは非常に違つたものが出て来ると思うのですが、この点一つ……。
  125. 大月高

    政府委員大月高君) この貸付信託の制度といたしましてはできるだけ長期の金を長期に固定して貸す、それによつていい金利を取つて、或るべく高い配当をしたい、こういうことでございます。従つて信託会社の側といたしましても、こういう短期手形を割引くというような運用をいたしておりますと、その間の収益というものはそう上らない。従つていずれかと言えば長期貸付に自然に廻して行くということになると思います。ただ現実貸付でございますから、今直ぐに貸すといつても相手のない場合がある。そういう場合にはそれが見付かるまで短期手形運用するというようなことを、そういうようなことは認みておかなければ資金運用上困る、そういう意味でございまして、この手形の割引が主になるということでなくして、貸付のほうが実際問題の運用上としては血になつ運用される。併しこの手形の割引を禁ずる必要もない、大きい意味におきまして貸付手形の割引を以て貸出という表現を用いておりますので、その貸出に向ける金であるということを法律上現わしたものであります。
  126. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 そうしますとこの信託約款でそういうものもきめて置くというのですか、どこの手形を割るというようなことは、その点はどうなりますか。
  127. 大月高

    政府委員大月高君) この信託の目的では業種程度しか縛らないという方針でございますので、ましてどこの会社のどれを割るというようなことは勿論制約するつもりはございません。言わば余裕金的に余つておるものを、この割引によつて無駄な金が遊ばないように運用する一つのクッションであるとお考え願えればどうかと思います。
  128. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 その場合には、そのクッションになるときには、別の目的以外のところの手形も割る、こういう意味でございますか、それは認める……。目的は電源開発ということになつておる。あなたは、電源開発がらうまく貸付の何がないから、一月、二月遊ばして置くのはもつたいないから……、ところがそのときたまたま電源開発の目的会社から手形を割つてくれと申出のあつた場合にはいいが、申出のないときには、それ以外のところでも一月、二月遊ばしておくのはもつたいないから割ることは認める、こういう意味でございますか。
  129. 大月高

    政府委員大月高君) この十三條の但書におきまして、信託契約の取扱期間中における信託財産、それから信託財産の運用上生じた余裕金はこの限りでないというふうに外してございますのも、今申上げました気持と同じでございます。この但書によりますと、場合によつては一定期間国債を持つてつてもいいということになるかと思います。或いは社債を買つてつてもいい、併し大体の趣旨といたしまして、一つの電力なら電力ということが主になるわけであります。ただ資金はきちんと、今日は入つたから今日は全部出せるというようなものでもございませんので、その程度のゆとりがなければ実際に運用できない、これだけの意味でございます。
  130. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 そうしますと、この取扱期間中における当該信託契約による信託財産はこの限りでない、これは期間中ですからどんどん集まつて来ます。銀行預金して行くとか又株を買つても、二、三カ月に上る見込が立つたら株を買うのもいい、自由にこれはやらせるというのだが、この手形の割引というのは、これはその但書じやないほうで、これは本文のほうに入つているのですが、本文のほうに入つておるから、これは約款の目的に合致したようにやるのか、それともそうでもないほうへでも廻すのか、そうするとこの第一條目的とずれて来るようなこともあり得るのじやないか、こう思うのですが、この手形割引というようなことは、実は抜いても、その間に銀行預金して置くとか、又その他で、取扱期間中のやつは流用をいたしてもいいと思うのですが、そうすると一体募集をする場合に、一定貸付がなくても電源開発に投資するとか船舶に投資するのだといつて募集を、これは相手方を見つけてやるのではなしに、大体ここでは借りるだろうというお考えだけでやる、こういうことになるのですか、この目的というのは……。
  131. 大月高

    政府委員大月高君) 今の目的の点でございますが、勿論十三條の本文に入つております手形の割引は、その業種の中に入つておる必要はございます。その場合におきましても、貸付の期間というものは制限してございませんので、話の交渉の途中で運用資金的なものを割るということも、これはあり得るかと思うのでございます。それから……。
  132. 河野通一

    政府委員(河野通一君) ちよつと附加えてお答え申上げておきますが、例えばこういう場合があるわけです。貸付信託の契約期限が大体五年なら五年という、個々の受益権の内容をなしております。電力会社なら電力会社というものに対する貸付期間は、ものによつては三年でございます。或いはものによつては二年で期限が来ます、金が返つて来ます。そうしますと次に五年の見通しで他の電力会社運用する、或いはその他の貸付運用するという必要が起つて来ます。そういつた場合に一時それをたまたま手形を持つているという電力会社があれば、新らしい長期貸付契約ができるまで手形の割引をするという、これは遊ばしておくよりやはり手形の割引をして繋いでおくほうが信託財産の運用の上にはそのほうが有利なわけでございます。そういつた繋ぎの場合に、貸付の期限が来るとか、或いは貸付の期限の前の場合もありましようし、そういつた場合に繋ぎとしては短期手形の割引ということを、信託財産の運用として認めてやることが、認め得るような余地を残しておくほうが便利であろう。信託財産を有利に運用するという観点から行つて便利であろうというのでそういう制度を認めたのであつて、本来の趣旨としては、御指摘のようにやはり長期貸付ということが原則になる。こういうふうに御了解願いたいと思います。
  133. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 それに関連して、この目的の点についてでありますが、先ほどもいろいろ聞いていると窮屈なようでもあるし、又えらく、それに対して余り縛らんといつたふうな関係で、どうせそれなら余り窮屈にしなくても、今銀行局長のお話のように、信託の目的の際に、電力会社だけというふうにしてやつたところが、二年ぐらいしてあと三年残つた、そういうときにはこれは船舶へやればいいというふうに思うのですが、そのときになつて来ると第六條をすぐ適用しなきやならん。これはもう面倒くさいと私は思うのであります。従つてこれは約款のときには、最初の銀行局長の話では、一つにかかつておるのだと、電力というふうにかかつておるのだと言うのだが、こういうものは複数に電力、鉄鋼、船舶その他と書いておけば、又第六條によつてこの公告をやつてする必要はない。従つてその重要産業……銀行局長はいわゆる輸出銀行ですか、輸出銀行の当てはまる條項が大体重要産業だと言うから、そのところを大体目標にして一今の五年ぐらいというふうにやるのだつたら何も別々に、最初の説明では電力会社並みというふうに設定するのだというのだが、これは三つ四つ複数制にしても、それは認めてもいいと思います。却つて楽にやれると思うのです。そうせんと、約款に基いて設定した貸付信託と同じような條件、期間その他でその会社資金需要というものは起り得るとは考えられないと思いますが、そこにずれが来る。ずれが来ました場合に、運用をもう少し縛るようで縛らんようで、聞いているとさつぱりどうも一貫していないように僕は思うのですが、最初のときにはえらい縛るようなことを言つてつて、あとになりて来ると或る程度幅を持たせると言う。どうせ幅を持たせるならば、電力会社の責任においてやらせるというふうにしたほうがいいと思いますが、この條文ではどちらにも解釈できると私は思う。併しさあといつた場合に、六條で一々公告をしたり又異議の申立もできるというようなことをしておるようでは、却つて混乱するのじやないかと思いますが、この点どうですか。
  134. 大月高

    政府委員大月高君) 先ほど第一條の解釈について申上げましたことは、複数でもいいというようにお答え申上げましたつもりでございますから、或いは表現がまずかつたかも知れないと思います。正確にお答え申上げますと、鉄鋼、石炭、造船というように複数でもいい、或いは鉄鋼のうちの一部分、例えば圧延とか何とかいうようなことでもこの法律で差支えない。それに対してそれじや魅力がないじやないかという御質問がございましたので、差当り今第一回発行をするとすれば、今信託会社で考えておりますのは電力のことをまあ考えておるというように申上けたつもりでございます。従いまして資金運用を楽にいたしますためには、少くとも二つなり三つなりくつ附いているほうがいいと思うのでありますが、併しそういたしますと、この受益証券売出すにつきましていわゆる魅力があるかないかという問題にかかります。従つて営業政策の面として一業種でうまく運用できるという自伝があれば一業種をとるでありましようが、或いは一業種で二年という見通しがある、併し期限は五年であるということであつて、或いは勿論一時括つておいてもいいということを信託会社のほうで判断いたしますれば複数でやつていいと思います。そのときどきの情勢によりましてこちらとしては緊要な産業という範囲に入ればこれを承認して行けばいいかと考えます。  それから前の御質問の、それじや融資先もきまつておらないのに、ただ五億とか三億とかいうように募集するのかというお尋ねでございますが、現実に今準備いたしておりますところでは、やはりこういう制度ができるとなりますと、借りるほうでやはり信託会社のほうに貸してくれということが今現に進行いたしております。電力会社或いは公益委員のほうで、これで募集するならば電力のほうへ貸してくれというように、公けの行政委員会からもお話があるようでございまして、実際に募集いたしますときには、大体幾らぐらい集まればここで借りてくれるだろうという見通しを以て募集するだろうと思います。それが又資金を効率的に運用する途かとも存ずるのでございますが、併し先ほど局長からも申上げましたような、一時的な余裕金というものが当然できるわけでございまして、そういう場合に貸付以外に運用の途がないということも窮屈でございますので、手形の割引ということをここへ入れてあるわけでございます。
  135. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 今のに関連して、割引方法以外というと、例えばコール・ローンにするとかそういつたようなことは、何も現金を置かなくても他の一般金融機関に預けるということが運用と見られるのですか、そう解釈していいのですか。
  136. 大月高

    政府委員大月高君) これは但書のほうで御解釈願いたいと思います。業務上の余裕金ということでございますね。この場合にはコールに出すとか、今の一時、社債に廻すということでございまして、本来ではいわゆる貸付信託という制度が広い意味貸出に使う信託であるという意味において、この二つに限定いたしております。
  137. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 それでは但書の余裕金というものは、利益金を生じたその利子というのではない、広る解釈するのですね。
  138. 大月高

    政府委員大月高君) そういう意味です。
  139. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 大分こんがらがつてよくわからんのですが、私はどうせこの法案を通すならば余り縛らぬようにせんと、今度は貸すほうで、これは募集して、余り大蔵省の承認を得るときに縛つてしまうと、もうこつちはいかんというので足下を見られるので、或る程度幅を持たせるということは、運用の妙味を発揮する上に必要だと思うのです。大して縛る必要はないのではないかと思います。先ほどの要求した資料を見ましても、そういうふうに縛る必要はないと思います。それで余りどうも何だつたらというときは別問題ですが、そう思うのですが、さて、それでは先ほどの手形の割引というやつは、別の電源開発で募集したやつでも、一時運用するときは船舶のほうの手形を割引いてもいい。ただ種目は主要産業ということに合致しておつたらいいと、こういう意味ですね。
  140. 河野通一

    政府委員(河野通一君) 誤解のないようにお願いいたしたいのでございますが、信託契約の目的にはつきり電力だけと書いてあれば、電力に対してでなければ手形割引はできないのであります。緊要産業中には勿論造船も入りますが、それを信託の目的にはつきり業種として船舶又は電力と書いてあれば、電力に貸付けておつたものが返つて来た場合に、一時それを造船に手形の割引の形で出すことはいい、こういうことであります。
  141. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 そうしますと、大蔵大臣のあらかじめ承認を得る場合には、目的には成るべくたくさん書いておいたほうがいいのであつて、それは別にたくさん書いておいても、その範囲内であつたならば大して大蔵省としては文句を言わん、こういう意味でございますか。その点関連が非常にあるのであります。
  142. 河野通一

    政府委員(河野通一君) その点は程度問題になると思います。余りそこを、範囲を広くいたしますと、何に貸すのだかよくわからない。重点がはつきりしないという点がある。そこを余り縛り過ぎると、今のように窮屈なこともありますので、まあ言葉は非常に悪いが、ほどほどということで、一種の業種に限る必要もないし、又十も二十も列べてみたところで仕方がないので、そこを募集に応じる準備をはつきりさせる便宜のためと、それから運用ができるだけ弾力性を以てできるという、両者の要請を適当なところで調整して考える。私どもは必ずしも厳格に業種は一種でなければいかんというふうには考えておりませんが、これも非常に広くするにしてもおのずから程度問題である、こういうふうに考えでおります。
  143. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 私は最後に第一條目的の「資源開発その他緊要な産業」という言葉については、これは非常にそれに規制されて、貸付の対象になり得るものは非常にいいだろう。今後利用する場合におきましても……。ところがこれに除外される部面においては、それは化学関係も必要だと、そのときどきによつてこの緊要というものが変つて来るだろうと思う。今あなたは開発銀行と言つているが、僕は開発銀行ばかりがそうじやないと思う。例えば、繊維の会社につきましても、今繊維がああいうふうになつておりますが、これは当然に情勢の変化によつて変らんとも限らん。又化学の面におきましても変らんとも限らんのであつて、どんどん変つて行くと思うのですよ。石炭とか鉄鋼が重要であるかも知らんが、繊維だつていつまでもあれでいいわけじやないし、日本のほうだつて輸出はああいう方面に充てなければならん。それから中小企業だつて、中小企業というのも限度もあるだろうが、そこらの雑貨はアジア貿易の今後の動き如何によりましては、この緊要産業というものもいろいろ変つて来るだろう。開発銀行で重要産業を保護し、又今度こつちのほうも緊要産業だというので、銀行局長によつて、開発銀行の対象になるということになりますと、余りにも片寄り過ぎるという心配がある。  それからもう一つ僕は大蔵大臣に聞きたいのは、いわゆる緊要産業としては、今の政府の政策、外交方針が続く限りにおいては当然軍鶏生産、軍需会社は緊要産業になると思うのです。これはなりつつあるのだが、これをどうするかというのが今後の大きな問題だと思う。これはあとで大蔵大臣にお聞きするのですが、その点についてこの緊要産業というものを金縛りにするという……、輸出銀行法といつて、これと法律が違うのに、輸出銀行のものが緊要産業だというのではなしに、大蔵省としては相当幅を持つて考えているのかどうか、この点を一つ伺いたい。
  144. 河野通一

    政府委員(河野通一君) お話のように、何が緊要産業であるかということは、そのときどきの情勢によつてつて来ると思います。私は先ほど開発銀行に対する政府の基本計画が、この際としては一つの基準になると申上げたのは、それも必ずしもそれと同じような考え方でこの緊要産業というものを考えるという意味じやないのです。仮に何か政府としてそういうものを公にきめたものがありとすれば、それは開発銀行について基本産業としてきめたものがある、こういうことを申上げたわけです。お話のように経済の動きに従つて、何を以て緊要産業と言うかということにつきましては彈力性を以て考えて行かなければならんと、かように考えております。
  145. 菊川孝夫

    ○菊川孝夫君 大体事務当局に対する質問はこれで終りました。一般金融機関に対する保護の対策と関連しまして、それから第一條目的について若干大蔵大臣に質問したい。その質問を留保します。
  146. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 一点だけ伺いますが、第八條の無記名式の場合ですね。その課税は源泉課税二〇%となつておるのですが、金銭信託の場合は無記名式は五〇%という、この違いです。これはどういうわけですか、資料が来ております。
  147. 大月高

    政府委員大月高君) 今の無記名定期の場合には、源泉選択の課税によつて選択をやる場合には五〇%の課税という法律制度なつております。今度の貸付信託におきましては、昨年施行になりました証券投資信託の受益証券と同様に扱うという意味におきまして、前回の証券投資信託から二〇%の源泉課税ということになつておりますので、その例に倣つて均衡をとつたのであります。
  148. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 無記名式ですからね、やはり五〇%という選択課税の方法をおいてもいいのじやないかと思うのですが、まあ証券投資信託の場合も今度の場合も、そういう方式を入れる考えはないのですか。
  149. 大月高

    政府委員大月高君) この源泉選択の五〇%の場合には、これで取り放しでございまして、総合課税にならないわけです。二〇%はこれは源泉課税だけでありまして、あと信託によりまして、総合課税にするという建前でございまして、二つの考え方があるわけでございます。いずれに倣うかということでございますが、証券投資信託のほうと性質を同じくするということで源泉選択で源泉課税をやつて、そのあと総合課税をするという方式をとつたのであります。
  150. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 総合課税のことはわかるのですが、なぜ無記名式というものがわざわざあるのに、源泉課税で選択式を採用しなかつたか、将来それはやはり採用する意思があるかどうか、その点或いはあなたのほうの係ではないかと思いますが……。
  151. 河野通一

    政府委員(河野通一君) この点は証券投資信託の例に実は倣つたわけであります。無記名預金だけ、或いは無記名信託だけの源泉につきましては、この委員会でも大蔵大臣から申上げたように、この税率自体について相当適当な時期に緩和したほうがいいではないかという考え方を持つております。従つてそういうような問題とも兼ね合せて考えて参らねばならんと思いますが、差当りの問題としては、現在この貸付信託と実際同じような性質を持つております証券投資信託の受益証券、これと同じ取扱いをするのが最も似つかわしい、最も類似の制度としては一番近いのではないかというのでこの制度によるわけでありまして、源泉選択をいたしました場合の税率、それに応じましてそれをどう直すかという場合には、源泉課税をいたしました場合の税率については総合的な再検討を加えるのが至当であると考えております。現在といたしましては、現在ある制度の中の一番近いものにしたということに御了解を願います。
  152. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 大蔵省に同じような性質のものについてこういうふうに二通りのやり方があるというのは、我々ちよつと腑に落ちないのですがね、無記名式である以上は、受取る場合にでも架空な名義を使つて受取つてもそれは差支ないことになりはしないかと思うのです。一方は、金銭信託の場合では無記名式で源泉選択権を與えて、殆んど同じような性質の貸付信託には今の五〇%という源泉選択権をやつておかないという二通りのやり方ですね。これは大蔵省から両方とも出ている。同じようなケースであると思いますが、それを二通り全然違うようにしておくというのはおかしいと思うのです。何か問題になつていないですか、大蔵省の省内では……。
  153. 河野通一

    政府委員(河野通一君) 主税局長からお答え申上げたほうがいいのかと思いますが、私はこれは金銭信託或いは預金と、有価証券たるこの貸付信託の受益証券はやはりおのずから性質が違うものだろうと思います。従いまして一方では源泉選択で、源泉一本で、あと総合しないという制度一つある。源泉を選べば、これは預金においても同じであります。御承知のように一般の記名式の預金につきましては、やはり源泉で課税を二〇%して、あとは総合する。それと同じような仕組の制度が有価証券たるこの受益証券についてあつても差支えないのじやないか。併し実際問題としては、申告によつてその総合課税の対象に実際なるものは実は少いのではながろうかと思いますけれども、制度としてはそういう三本建の制度が、有価証券と一方は預金というものでありますので、別々にあつても差支えないのじやないか、こういうように考えております。なお全体の基本的な問題としては、源泉選択の税率自体を十分毒検討しなければならんということをはつきり大蔵大臣も言明いたしております。これらの問題を解決いたします際に総合的な調整を加えて参りたい、かように考えております。
  154. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) ちよつと速記をとめて。    〔速記中止
  155. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) それでは速記を始めて下さい。ちよつと皆さん町お諮りしますが、明日の午後の電源開発の連合委員会は、本委員会としては一応打切ることに交渉しても差支えございませんか。
  156. 小林政夫

    ○小林政夫君 将来問題によつて要求することはあるが、一先ず打切ることにして。
  157. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) それではそういうことで交渉することにいたしまして、本日の委員会はこれを以て散会いたします。    午後四時三十一分散会