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1952-04-24 第13回国会 参議院 大蔵委員会 第46号
公式Web版
会議録情報
0
昭和二十七年四月二十四日(木曜日) 午前十一時七分開会
—————————————
出席者
は左の通り。
委員長
平沼彌太郎
君 理事
大矢半次郎
君
伊藤
保平
君
菊川
孝夫
君
委員
岡崎
真一
君
黒田
英雄
君
西川甚五郎
君
溝淵
春次
君
小林
政夫
君 森 八三一君
下條
恭兵
君 菊田 七平君
油井賢太郎
君
政府委員
大蔵省銀行局長
河野 通一君
大蔵省銀行局
総
務課長
福田
久男
君
大蔵省銀行局銀
行課長
大月
高君
事務局側
常任委員会專門
員
木村常次郎
君
常任委員会專門
員 小田 正義君
—————————————
本日の会議に付した事件 ○
信用金庫法
の一部を
改正
する
法律案
(
衆議院提出
) ○
当せん金附証票法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
、
衆議院送付
) ○
貸付信託法案
(
内閣提出
)
—————————————
平沼彌太郎
1
○
委員長
(
平沼彌太郎
君) それではこれから
大蔵委員会
を開会いたします。
信用金庫法
の一部を
改正
する
法律案
について
質疑
を行います。
ちよ
つと
速記
を止めて……。 〔
速記中止
〕
平沼彌太郎
2
○
委員長
(
平沼彌太郎
君)
速記
を始めて……。
小林政夫
3
○
小林政夫
君
本案
についてはすでに
相当質疑
を重ねたので、この
程度
で
質疑打切
をいたしたいと思いますが。
平沼彌太郎
4
○
委員長
(
平沼彌太郎
君)
只今小林委員
からの
質疑打切
の動議が出ましたが、その通り決定して差支えございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
平沼彌太郎
5
○
委員長
(
平沼彌太郎
君) 御
異議
ないと認めます。 それではこれより
討論
に入ります。御
意見
のあるかたは賛否を明らかにしてお述べを願います。
小林政夫
6
○
小林政夫
君 私は
本案
の
修正
をいたしたいと思います。
修正案
を朗読いたしますと、 第五十三條の
改正規定
中「及び前項」を削り、「
会員
以外の者に対する
資金
の
貸付
又はこれらの者のためにする
手形
の
割引
」を「
地方公共団体
又は
銀行
その他の
金融機関
に対する
資金
の
貸付
」に改める。 というふうに
修正
をいたしたいと思います。この
修正
の
理由
は、
会員
以外の者に対する
資金
の
貸付
又はこれらのものに対する
手形
の
割引
ということで、勿論
大蔵大臣
の
認可事項
ということにはな
つて
おりますが、
運用
の如何によ
つて
は拡張されて
会員
に対する
貸出
が圧縮される。
従つて相互扶助
の
建前
である
信用金庫
の本旨に悖るような結果になる虞れがございますので、
はつきり提案者
の
意図
も、私が
修正案
を提案したような
地方公共団体
、又は
銀行
その他の
金融機関
に対するコール・ローンの提供というような
程度
のことしか
考え
ておらないということでありますので、この際
貸出先
を
はつ
きりと法文の上において明示をいたしたいと思うのであります。
従つて
この
貸出先
を明示します
関係
上、第五十三條の第三項において
大蔵大臣
の
認可
を要するという必要もない、それは特に
地方公共団体
に対する
貸出
についてはこれが拡充され、又滞りになるというような心配もございますので、その点については先般の
質疑
の際に
大蔵当局
に対して、万一我々がこういう
改正
をした場合に
大蔵当局
としてはどういう
方法
をとるかという
質疑
の際に、
業務方法書
において十分その
貸出
の枠を制限し、又
経理監査等
において指導するという責任ある言明もあつたのでありますので、この際
貸出先
を明示すると共に、
大蔵大臣
の
認可
ということは必要がないと思いますので、先に申述べた
修正案
にいたしたいと思います。
平沼彌太郎
7
○
委員長
(
平沼彌太郎
君) 他に御発言もないようでありますから、
討論
は終局したものと認めて御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
平沼彌太郎
8
○
委員長
(
平沼彌太郎
君) 御
異議
ないと認めます。それではこれより採決に入ります。先ず
討論
中にありました
小林委員
の
修正案
を議題といたします。
小林委員
の
修正案
に
賛成
のかたの御
挙手
をお願いいたします。 〔
賛成者挙手
〕
平沼彌太郎
9
○
委員長
(
平沼彌太郎
君)
全会一致
であります。よ
つて小林委員
の
修正案
は可決せられました。 次に、
只今
の
修正部分
を除いた
原案
について採決いたします。
修正部分
を除いた
原案
に
賛成
のかたの御
挙手
をお願いいたします。 〔
賛成者挙手
〕
平沼彌太郎
10
○
委員長
(
平沼彌太郎
君)
全会一致
であります。よ
つて本案
は
修正
議決するものと決定いたしました。なお諸般の
手続
は先例により
委員長
に御一任願います。それから多数
意見者
の御
署名
をお願いいたします。 多数
意見者署名
森 八三一
下條
恭兵
小林
政夫
岡崎
真一
菊川
孝夫
黒田
英雄
大矢半次郎
伊藤
保平
油井賢太郎
溝淵
春次
—————————————
平沼彌太郎
11
○
委員長
(
平沼彌太郎
君) 次に
当せん金附証票法
の一部を
改正
する
法律案
について
質疑
を行います。
小林政夫
12
○
小林政夫
君 この第三條の
目的
を「
社会福祉
の
増進
のために要する
費用
の
財源
に充てるため必要があると認めるとき」ということをこの際新らしく設けるわけでありますが、これは先般
厚生委員長
が本
委員会
に
出席
しての
意見
もあり、又実質的に
政府
はそのような
予算
の組み方もしておらないという点から
考え
て、この点今私が読上げた点を
條文
から削除した場合に
政府
は河か支障があるかどうか、これを
改正
していろんな準備を進めておるというふうな問題があるかどうか。
福田久男
13
○
政府委員
(
福田久男
君)
提案理由
の際その他
質疑
の際にお答え申上げたように、「
社会福祉
の
増進
のために要する
費用
の
財源
に充てるため必要があると認めるとき」と入れました
趣旨
は、宝籤当籖金附証票なるものの
目的
を限定し、
範囲
を
狹め
る、自粛するという
意図
であつたのでありますが、併し
只今
の御
意見
につきましては、特に積極的に私どものほうでは
気持
としてはそういう
気持
でありましたけれども、特に申上げる
意見
はございません。
油井賢太郎
14
○
油井賢太郎
君 この第三條に三十五億円という
金額
をきめた問題ですが、大体この間の御
説明
では今年は二十七、八億円を
発行
して、そのうち売れない分も見越して、大体
政府
の
予算
の八億円というような
收入
になるという話なんですね。而もこれは将来だんだんと縮小して行くというような
方針
であるというのなら、三十五億円というものを毎会計年度
発行
できるようにしてあるのは
ちよ
つとおかしいのじやないですか。これはむしろ
発行限度
は三十億円とか、或いは二十五億円というくらいなところのほうがいいんじやないですか。又余地があるということを認めるわけですね。来年例えばこの
法律
で行くというと、今年は二十七、八億しか
発行
しなくても、来年或いは三十五億
発行
するまあ
ゆとり
があるというふうにな
つて
しまうのですね。どういうわけでこれは三十五億ということをここに謳
つて
あるのですか。
福田久男
15
○
政府委員
(
福田久男
君) 過去における
実績
を勘案いたしまして、例えば一年前に四十億を超えた場合もあつたのでありますが、そういつた過去の
最高
というような高いところではなくて、それよりも
相当
内輪のところで
最高限度
を一応きめておいて、その
範囲
内でできるだけ
予算
を狭めた、
予算
の
歳入
に計上いたしました
金額
は確保しなければ
歳入欠陥
という問題も起りますので、確保したいということと、売行の
状況等
も睨合せますと、大体最近では八〇%ぐらいの
消化率
にな
つて
おりますが、その今後の
推移等
をも勘案して、まあ若干の
ゆとり
をと
つて
おきたいという
気持
で三十五億、まあ
腰溜
の数字でございますが、そういつた
趣旨
で三十億といたした次第でございます。
菊川孝夫
16
○
菊川孝夫
君 こういう
当籤金附証票
というようなものは、一体これはインフレを退治する
一つ
の
目的
として発売されたと思うのでありますが、いつまでもこんなものをや
つて
行くつもりか。それとも
政府
はうんと宣伝してこういうものを徹底さして行くつもりか、これは
根本方針
を一遍承わりたいと思いますがね、
改正案
に関連しまして……。
小林政夫
17
○
小林政夫
君
ちよ
つと
議事進行
について……。今の
菊川委員
の
質疑
でありますが、私も何回も繰返した
質疑
であ
つて
、
説明員
のほうから一応できるだけ早い機会にというような御
意見
もあるが、これは
説明員
であ
つて政府委員
じやない。私も
菊川委員
と同じ疑問を持
つて
いるわけで、この
当籤金附証票
に限らず
割増金附貯蓄
の
取扱
に関する
法律
に基く
割増金附定期預金等
についても、一体いつまでやるつもりなのかということについて
政府
の
根本方針
を聞きたいと思うので、この
法案
を審議するに際して、結論を出すに際して
大蔵大臣
の
出席
を求めて
はつ
きり全般的な問題として尋ねたいと思います。なお引続いて提案されている
国民貯蓄債券法案
についても
割増金
を附けるというようなことにもな
つて
おりますし、一括してこの
割増金附
の問題について、
大臣
の見解を聞くように取計ら
つて
もらつたほうがいいのじやないかと思います。(「
賛成
」と呼ぶ者あり)
平沼彌太郎
18
○
委員長
(
平沼彌太郎
君) それでは
大臣
が来るまで、この
法案
は一時
質疑
を見合せます。
—————————————
平沼彌太郎
19
○
委員長
(
平沼彌太郎
君) 次に
貸付信託法案
についての
内容説明
を聽取いたします。
大月政府委員
。
大月高
20
○
政府委員
(
大月高
君) それでは
貸付信託法案
につきまして概略の御
説明
を申上げます。先般
提案理由
の
説明
におきまして、政務次官から大体の
考え方
について御
説明
申上げたのでございますので、本日は
條文
につきまして大体の
考え方
を御
説明
を申上げます。
貸付信託法案
の
目的
が第
一條
に掲げてあるわけでございますが、この
法案
は最近
政府
で実施いたしました無
記名定期預金
の
制度
或いは昨年から実施にな
つて
おります
証券投資信託
の
制度
、それからやはり今
国会
に御審議を願
つて
おります
国民貯蓄債券法
、これらのものと 一連の関連を持
つて
おるわけでございまして、いずれも
一つ
の無
記名
の
有価証券
を使いまして
資本蓄積
に役立てようとするものでございます。この第
一條
に掲げてございますところもその
趣旨
でございまして、
貸付信託
の
受益権
を
有価証券
に化体するということが第一の
要素
でございます。そのことによりまして、転々流通する
有価証券
を使いまして
資金
を集めることを容易にする、そういたしまして、その集まりました
資金
を
経済
の要請に従いまして、最も現下必要とするところの緊要な方面に
貸付
をする、これによ
つて我が国
の現在必要でございます
産業復興
に役立たしたい。これが第
一條
の
目的
にな
つて
おるわけでございます。 第二條は
定義
でございまして、その
要素
としては三つございます。
一つ
はこの
貸付信託
に基いて
信託
されました
金銭
は主として
貸付
又は
手形割引
の
方法
によ
つて
運用
されるということでございまして、
証券投資信託
におきまして、その
信託
された
金銭
が
証券
のほうに
運用
されるということと、その点において違
つて
おるわけでございます。それからこの
貸付信託
は、
信託
の部面から申しますと、
合同運用
の
金銭信託
の一種でございますが、この
合同運用金銭信託
は、
一般
におきまして
一つ
の
信託会社
につきましては一本にな
つて
運用
される
建前
にな
つて
おります。それがこの
貸付信託
の
制度
におきましては、
一つ
の
信託約款
に基きまして募集された一組の
信託財産
、それだけを別個に分別いたしまして
運用
し、その
收益
をその
グループ
の
委託者
及び
受益者
に
分配
する、その点が
一般
の
合同運用金銭信託
と異な
つて
おるところでございます。又
一般
の
信託
と異なりますところは、先ほど申上げましたように、その
受益権
が
有価証券
に化体されておる、その点において
一般
の
信託
と異な
つて
おるわけであります。
経済
的の効果といたしましては、
預金
が
元本
及び利子が確定いたしておるというところで、
確定利付
という点において
はつ
きりいたしておりますのに対しまして、逆の面におきましては、
証券投資信託
が
元本
の価額も移動する、
收益
も移動する、そういう点において、言わば株式に近い
相当危険性
もある代りに、又有利でもある、こういう
性格
を持
つて
おる、その
中間
の段階といたしまして、
元本
の移動はない、そうして
收益
については、そこから上ります
收益
の実態に応じて
分配
を受けるという
意味
におきまして、
預金
と
証券投資信託
との
中間
を行く
投資層
を
考え
ておる、そういう
経済
的の
意味
を持
つて
おるわけであります。第三條は、今申上げましたような
考え方
におきまして、第一は
委託者
兼
受益者
を保護する必要がございますので、この
貸付信託
を実施いたします際には必らず
信託約款
を作りまして
大蔵大臣
の
承認
を受けさせる、その
信託約款
に基きまして、個々の
信託契約
を結んで行く、こういう
制度
をと
つて
おるわけでございまして、第三條はその
関係
と
信託約款
において記載すべき
事項
を掲げてあるのでございます。第三條の三項はこの実体の中の
期間
の問題でございまして、二年以上ということにな
つて
おります。この問題は
預金
と、この
信託
との
性格
を
はつ
きりいたす
意味
におきまして、
信託
は主として
長期資金
を集めるのである。そういう
意味
において
信託契約
の
期間
を二年以上といたしてあるわけであります。ただ最近の
経済情勢
から申しますと、
長期
の
資金
はなかなか集めにくい。又この
制度
がそもそも
最初
の
制度
でございまして、
一般
の大衆にどの
程度魅力
があるものか確実にはわからない。そういう
意味
におきまして、この
附則
におきまして、この
法律
の施行から一年を限りまして、この
信託契約
の
期間
を一年以上にすることができるということにな
つて
おるわけであります。併し本来の
建前
といたしましては、二年以上であるということが望ましいわけでございますので、一年間の
試験期間
を経ましたならば、次の
国会
においてもう一年延長するかどうかということを愼重に御審議願いまして、
原則
に帰るかどうかということをきめたいというのがこの精神でございます。第四條は
信託約款
の
承認
ということでございまして、その
手続き
が書いてあるわけでございます。 第
五條
は、この
承認
を受けました
信託約款
を変更する場合の
手続
でございます。ただ
信託約款
は、いわば
受託者
である
信託会社
と、
委託者
である
一般
の
投資家
との間の憲法にも
相当
するものでございまして、單に変更があつたからというだけでは
委託者
の保護に欠けるわけでございます。
従つて大蔵大臣
の
承認
を要するというほかに、
承認
を受けましたならば
信託会社
はこれを
公告
しなくてはいけないということ。而もこの
公告
を受けたことに対しまして、
受益証券
の
権利者
が
異議
があるときには
一定
の
期間
内に
異議
を申出ろということまで書いて
公告
をする。その結果
異議
がなければ
承認
したものとみなすわけでありますが、どうしてもいやであるという
受益証券
の
権利者
がございましたならば、公正な価格で以て
買取
つて
くれということを、
発行者
である
信託会社
に
請求
することができるという
制度
にな
つて
おるわけでありまして、その
請求
を受けた場合におきましては、
信託会社
はこの
有価証券
を
買取
る義務があるわけでございます。例えて申しますと、
最初
この
証券
を
発行
いたします場合に、この
グループ
は
電力
に廻すのであるということが、仮に
信託約款
に書いてございます。ところが途中に、これは例えば
造船事業
に金を廻すことにしたいと、こういうことになりました場合に、
証券
の
所有者
といたしましては、
最初
の
考え
と違うんだ、船のほうならばものこの
証券
を持たない。こういうようなことになりましたならば、
信託会社
にこれを
買取
つて
くれと、こういうことを言える、こういう
制度
でございます。次に第七條は、この
信託約款
がきまりました後、その
信託契約
を締結する
手続き
でございまして、
公告
する
事項
がここに
規定
してあるわけでございます。それから第八條は、この
制度
によ
つて
発行
されます
受益証券
に関する
規定
でございます。
原則
として無
記名
で
発行
できる。但し
受益者
の
請求
によ
つて記名式
とすることができる、こういうことでありまして、この
受益証券
は
一般
の
証券投資信託
の
受益証券
と同じく、
有価証券
として転々流通し得る
建前
にな
つて
いるわけでございます。次に第九條は、
受益証券発行
の
届出
でありまして、
最初
例えば二億の
発行
を
予定
いたしておりまして、それが仮に一億八千であ
つて
も、この
契約
は成立するという
建前
にな
つて
おりますので、一体
幾ら集まつ
たであろうかということをすぐに
届出
をなさし
むるという制度
でございます。 第十條は、この
受益証券
を持
つて
おります者の
法律
的な
地位
を
規定
したわけでございまして、この
受益証券
を持
つて
いる者は
委託者
の
地位
と
受益者
の
地位
を兼ねている。で、若しこの
証券
を譲渡いたしましたならば、これを譲り受けた者は
委託者
の
地位
と同じく、
受益者
の
地位
を取得する、そういう
制度
でございます。これは例えば
異議
を申立てるという
意味
におきましては、
受益権者
の立場においてこの
異議
を申立てる。そういう
意味
におきまして、この
委託者
の
地位
と
受益者
の
地位
とを常に相伴な
つて
転々し得るようにいたしているわけでございます。それから第十
一條
は、この
証券
の
消化
を容易にいたしますために、
発行者
である
信託会社
が
発行
後一年以上経過いたしました場合には、
証券
の
所有者
から
買取
ることができるということが書いてあるわけでございまして、ただこの場合現在の
信託法制
から申しますならば、
受益者
を保護いたしますために、
受託者
の
地位
と
受益者
の
地位
とは、
共同受益者
の場合を除いたほか兼ねてはいけないということにな
つて
おりますので、その
規定
を排除いたしまして、
信託会社
がこの
証券
を持つことによ
つて受益者
の
地位
も取得する、そのことは差支えないのだということを明らかにいたしたわけでございます。第十二條は、この
貸付信託
の
一つ
の特徴でございます
運用先
について
規定
したわけでございまして、この
貸付信託
によ
つて
集められました
信託財産
は必ずほかの
信託財産
と分別する。そうしてその
貸付先
は
原則
として
貸付
と
手形割引
の
方法
以外の
方法
によ
つて
運用
してはならないということにいたしまして、
証券投資信託
その他の
信託
と区別いたしたわけでございます。第十四條は
特別留保金
の
規定
でございまして、
信託
の
制度
といたしましては、
一般
の
信託
では
元本
に
損失
を生じた場合にこれを補填する
契約
もすることができますし、或いは
收益
に対しまして或る
一定
の
予定
の利廻りに廻らない場合におきまして、これを
補足
する
契約
もなし得るわけでございますが、この
制度
といたしましては、先ほど申上げましたように、
收益
については
実績主義
によりたいという
意味
におきまして、
收益
の
補足
はささない
方針
でやりたい、ただ
元本
につきましては、安全な
投資
という
意味
におきまして、場合によ
つて
は
元本補填
の
契約
はなさしめてもよろしいという
考え
を持
つて
いるわけであります。
従つて元本
にそういう
損失
の生じた場合に、これを補填する
契約
をいたします場合には、仮に何らかの
意味
におきまして、
元本
の
損失
を来たしました場合には
信託会社自体
としてその
損失
をこうむることになりますので、その将来に備える
意味
におきまして、毎
收益計算ごと
に
一定
の
金額
を積立てまして、将来の
補足
の事態に備えるというのがこの
制度
でございます。第十
五條
は、
一般
の例に倣いまして、
有価証券
でございますので、
通貨及証券模造取締法
の準用をいたしているわけであります。 最後に
附則
の
関係
は、
税法
との
関係
でございまして、
原則
といたしまして無
記名
の公社債に準じた
取扱
いをするというために、
所得税法
及び
租税特別措置法
の
改正
が行われているわけでありまして、例えて申しますと、この
收益
に対しましては二〇%の
源泉徴收
をするということ、それから
支拂い
の
手続
といたしましては、
支拂調書
に代えまして
配当受領
の告知を以てすることができるということ、それを
海外支拂手段
によ
つて
取得した
受益証券
の
配当
に対しては税率を百分の十にするということ、それから
外資法
の
関係
におきまして、
一般
の
証券投資信託
と同様に扱います
意味
におきまして、
受益証券
或いは果実或いは
元本
の
回收金
、こういうような
定義
の中に
貸付信託
を含ましめる
意味
におきまして、
外資法
の一部を
改正
する、こういうように
考え
ているわけであります。 簡單でございますが、
條文
につきまして御
説明
申上げました。
平沼彌太郎
21
○
委員長
(
平沼彌太郎
君)
ちよ
つと
速記
をとめて下さい。 午前十一時三十六分
速記中止
—————
・
—————
午後零時一分
速記開始
平沼彌太郎
22
○
委員長
(
平沼彌太郎
君)
速記
を始めて……。
油井賢太郎
23
○
油井賢太郎
君 この
貸付信託
の具体的な
発行方法
は
政府
ではどんな
程度
に認めるつもりなんですか。
大月高
24
○
政府委員
(
大月高
君) この
貸付信託
の
具体的手続
は、この
法律
によりますと、第三條から第四條にかけて書いてございます。具体的に申しますと、仮にAという
信託会社
がございまして、この
法律
に基きまして一組の
貸付信託
を始めようということに
なつ
たといたしますと、どのくらいの
金額
を
発行
するかということ、それからこれによ
つて集まつ
た金をどこの
業種
に流すかということ、例えば
電力
なら
電力
ということを書きまして、
大蔵大臣
の
承認
を求めるわけでございます。そのときに仮に
收益
の
分配
時期は年に二回とするとか、或いはこの
信託財産
はほかの
信託財産
と別個に掲示するとかいうことを書かすわけでございますが、それが第三條の二項に
記載事項
として一連並んでいるわけであります。その結果
大蔵大垣
が
承認
いたしますと、その
條項
に基きまして、
受益証
券を印刷をいたします。それからこれの
募集期間
が二カ月以内というふうにな
つて
おりますので、例えば五月一日から
期間
といたしますと、五月、六月中を
取扱期間
といたしまして売出をする。その結果
予定
いたしておりました
金額
が集まりますと、そこで
予定
いたしておりました
業種
に融資をする。その結果
半期ごと收益
の
分配
があるといたしますと、
收益
の中から
信託報酬
を差引きまして、残りをこの額面に応じまして均等に
收益
を
分配
して行く。その場合には実際に入りました
金額
を基礎として
分配
をして行く、
実績
收入
によること、こういう
手続
になるわけでございます。
油井賢太郎
25
○
油井賢太郎
君 その場合常識上
考え
られるのは
金利
ですが、
金利
は例えば
日歩
二銭六厘とか、二銭八厘とかいうのが
銀行
の
貸付日歩
としましても、今の
費用
や何かを差引かれると配分というものはそれ以下になるわけですね。それはそれに対して何か特別に
貸出日歩
を高く認めるとかいうことはどうなんですか。
大月高
26
○
政府委員
(
大月高
君) この
貸付信託
の
配当
は
実績主義
によるわけでございますので、実際に高く貸せまして、その結果
信託報酬率
も
相当
低いということになりますと、
分配
する金は高くなるというわけでございます。それで具体的には
貸付
の利率につきましてはこれは
長期
になる
予定
でございます。
長期
につきましては、
金利調整法
が適用になりませんので、現在は自由にな
つて
いるわけでございますが、現在
勧業銀行
、
興業銀行等
で
長期
の
貸出
をや
つて
おります。
長期
の
金利
は大体において三銭から三銭二厘
見当
、
平均
三銭一厘くらいに廻
つて
いるわけでございます。その実際の
運用
は、これの
予定
いたしております対象の
産業
は
電力
でございますとか、海運でございますとか、鉄鋼でございますとか、
相当
重要な
産業
でございますので、普通の
金利
以上にとるということは適当でない、
従つて
少くとも
平均
の
金利
くらいのところを
予定
いたしているわけでございます。それで
信託報酬
といたしましては、長いほどこれは安くなる、手数がかからないわけでございまして、そういう
信託報酬
の率を差引いて
考え
て見ますと、現在若干試算いたしたのがございますが、一年ものにいたしまして大体二銭二厘
見当
になろうか、それから二年ものあたりは二銭三厘
見当
になろうかと思います。で、最長今のところ五年
程度
のものを
最初
から出して行きたいということを
考え
ておりますが、この結果二銭五厘少し欠けるところくらいになろうかというのが大体の
見通し
でございます。これはただ本当の
見通し
でございまして、
実績主義
にな
つて
おるわけでございますから、
大蔵省
として、これはどのくらいにしろということは言わない
方針
にな
つて
おります。
油井賢太郎
27
○
油井賢太郎
君 次に先ほど
業種別
に
政府
で必要と認めた方面へこれを許可するらしいようなお話ですが、
業種別
ということは、会社別とは違
つて
どういう会社にということは
規定
しないのですか。
大月高
28
○
政府委員
(
大月高
君) これは
一定
の一億とか、二億とか固まつた金がございまして、これを
運用
するわけでございますから、必ずしも特定の一会社に
運用
するということがいいか惡いかということは、危險の分散という
意味
で問題でございます。
従つて
最初
提出させます
運用
計画は大体において
業種
單位
程度
にいたしたい、
従つて
例えば
電力
と申しましても、東京
電力
に出すとか、或いは中部
電力
に出す、こういうことではなくして、そのときの情勢に応じて適当に会社に
運用
する、こういうように
運用
方針
をきめて行きたいと
考え
ております。
油井賢太郎
29
○
油井賢太郎
君 その
業種別
はどういうところへ
政府
としては流したいという現在のお
考え
ですか。
大月高
30
○
政府委員
(
大月高
君) 大体におきまして、現在
信託会社
に検討させておるところでは、
電力
会社からの要求が非常に多いということでございまして、公益事業
委員会
のほうからも是非この
信託
は
電力
へ廻してくれというような要望があるようでございます。現在
考え
ておりますところでは、差当り
発行
するものは
電力
が中心になると思うのでございますが、
業種
として将来も
考え
得るものは、やはり造船の
関係
、機械の
関係
、鉄鋼或いは石炭というような緊要
産業
に限
つて
行きたい、ただ例えば電話の施設の改良のために金が要るというような話もございますので、そういう
範囲
におきましても、必ずしもこれを
運用
してはいけないということは言うつもりはございません。ただ出て参りました希望に従いまして、緊要
産業
という
範囲
において適宜
運用
して参りたいと
考え
ております。
油井賢太郎
31
○
油井賢太郎
君 その
業種
の中に纎維などの輸出
産業
関係
は余り対象とはしない
方針
ですか。
大月高
32
○
政府委員
(
大月高
君) この
貸付信託
によ
つて
集まります金は、主として二年乃至五年という大きな
長期
のものでございますので、できる限り基礎
産業
のほうに廻してやることが適当かと
考え
ております。
油井賢太郎
33
○
油井賢太郎
君 次にこの
法案
によ
つて
具体的に集まる
資金
というものはどの
程度
第一年度は
見通し
を付けておりますか。
大月高
34
○
政府委員
(
大月高
君) 現在試算いたしておりますところでは、昭和二十七年度、この
法案
が通過いたしましてから、大体におきまして六十億前後ならば十分
消化
ができるだろうということを
考え
ております。ただこの問題は
預金
との競合の問題もございますし、一挙に大量の
消化
を図るということでなくして、徐々に
消化
可能の
範囲
において拡げて行きたいという
考え
を持
つて
おります。
油井賢太郎
35
○
油井賢太郎
君 次にこの
証券
発行
をできる資格者は
信託会社
とな
つて
いますが、この
信託会社
というものは
銀行
というようなものも含んでいるようですけれども、その他の
金融機関
には及ぼさないのですか。
大月高
36
○
政府委員
(
大月高
君) 現在
信託
業務をや
つて
おります機関といたしましては、
一般
に專営
信託
といわれております昔からの
信託会社
、現在
信託
銀行
と申しております
銀行
であ
つて
、
信託
を主としてや
つて
おる会社、これが六社ございます。そのほかに
一般
の
銀行
といたしまして
信託
をや
つて
おる、昔
信託会社
を合併した、その他の
関係
において
信託
業務を若干や
つて
いる
銀行
が十一行ございます。で、この十七行だけがやれるわけでございまして、現在
信託
業法がございまして、これは全部
大蔵大臣
の免許事業にな
つて
おりますので、ほかの機関では自由にやれないことにな
つて
おります。
平沼彌太郎
37
○
委員長
(
平沼彌太郎
君) それでは本日の
委員会
はこれで散会いたします。 午後零時十三分散会