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1952-03-31 第13回国会 参議院 大蔵委員会 第34号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年三月三十一日(月曜日)    午前十時五十一分開会   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     平沼彌太郎君    理事            大矢半次郎君            伊藤 保平君            木内 四郎君    委員            岡崎 真一君            黒田 英雄君            西川甚五郎君            溝淵 春次君            小宮山常吉君            小林 政夫君            田村 文吉君            森 八三一君            野溝  勝君            大野 幸一君            波多野 鼎君            菊田 七平君            油井賢太郎君            木村禧八郎君   衆議院議員            奧村又十郎君            小山 長規君   国務大臣    国 務 大 臣 周東 英雄君   政府委員    大蔵大臣官房長 森永貞一郎君    大蔵大臣官房文    書課長     村上  一君    大蔵省主計局長 河野 一之君    大蔵省主計局法    規課長     佐藤 一郎君    大蔵省主計局給    與課長     岸本  晋君    大蔵省主税局長 平田敬一郎君    大蔵省主計局税    関部長     北島 武雄君    大蔵省理財局長 石田  正君    大蔵省銀行局長 河野 通一君    大蔵省銀行局総    務課長     福田 久男君    農林省農政局長 小倉 武一君    通商産業政務次    官       本間 俊一君    通商産業省通商    雑貨局長    徳永 久次君    通商産業省通商    化学局長    中村辰五郎君    通商産業省通商    纎維局長    記内 角一君   事務局側    常任委員会專門    員       木村常次郎君    常任委員会專門    員       小田 正義君   説明員    農林省農政局農    業保險課長   久宗  高君   食糧庁総務部長 松任谷健太郎君    通商産業省通商   化学局有機課長  入江  明君   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件 ○小委員長報告ポツダム宣言受諾に伴い発する命  令に関する件に基く大蔵省関係諸命  令の措置に関する法律案内閣提出  (衆議院送付) ○農業共済保險特別会計法の一部を  改正する法律案内閣提出衆議院  送付) ○食糧管理特別会計法の一部を改正す  る法律案内閣提出衆議院送付) ○関税定率法等の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○在外公館等借入金の返済の実施に関  する法律案内閣提出衆議院送  付)(在外、第十二回国会継続)   ―――――――――――――
  2. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 第二十三回の大蔵委員会を開会いたします。  ポツダム宣言受諾に伴い発する命令に関する件に基く大蔵省関係命令措置に関する法律案につきまして昨日の小委員会における経過を御報告願います。
  3. 小林政夫

    小林政夫君 昨日午前十一時十分から午後四時二十五分まで、食事を抜いてぶつ通しで審議をいたしました。従つて相当詳細に検討審議いたしましたが、審議の結果を成るべくかいつまんで簡單に御報告さして頂きます。  先ず審議方法は、政府委員並びに説明員から、お手許資料として提出されておるポツダム宣言受諾に伴い発する命令に関する件に基く大蔵省関係命令措置に関する法律案概要というのがございます。これによつて一応の説明を聞いたわけであります。そこで今回改正して存続をしようとするものが六件ございます。それからそのまま存続しようとするものが十三件ございます。そうして全然廃止しようとするものが二十二件あるわけであります。この主として問題となつた点だけを御報告いたしますと、先ず閉鎖機関関係のものでございますが、閉鎖機関整理状況清算進歩状況について別途お手許閉鎖機関特殊清算進捗状況並びに将来の見透しという昭和二十七年一月三十日現在の大蔵省管財局閉鎖機関課の提出しておる書類がございます。これは一月三十日現在でございますが、昨日現在においては、清算結了機関の数は六百十五機関となり、最終処理段階中の機関数は二百七機関となつております。その他の清算中の機関は二百六十六機関となつております。今後の処理方法といたしましては、従来は土地土地建物建物というような横の関係整理を進めておつた。今後は縦に掘下げて整理をやつて行く。従つて閉鎖機関に指定されておるものを四つグループに分けまして、在外活動をやつてつた関係のものとして、特殊法人関係在外活動閉鎖機関として五十一、特殊法人関係として十二、それから大阪以西本店等を持つておるもの、又事業活動所を持つておるもの、これがグループとして八十九、一般法人関係として百十四になります。従つてその四つグループがおのおの一人の特殊清算人を置いて清算をやつて大阪以西のものについては、閉鎖機関の支所が大阪にありますから、そこに一人の清算人を置いてやつて行く、こういうように清算を進めて行く予定のようであります。そうして第二條関係で以て、閉鎖機関整理委員会を明日から実は廃止したいという含みがあるのであります。閉鎖機関整理委員会令の二十條の改正規定で、「整理委員会は、大蔵大臣命令によつて解散する。前項に定めるものの外、整理委員会の解散に関し必要な事項は、政令でこれを定める。」、こういう改正を七ようとしているわけでありますが、この二十條の発動によつて三月二十一日限りでこの閉鎖機関整理委員会というものは廃止をして清算段階に入りたい、こういうのであります。そこで是非この法案を本日に上げてもらいたいということが政府側要望であります。それでは整理委員会を廃止した後においてはどういうふうにやるのかというと、先ほど申しましたような特殊清算人を置く、これは閉鎖機関令の第九條によつて閉鎖機関に指定されたものの清算閉鎖機関整理委員会、又は大蔵大臣の指定する特殊清算人ということになつております。その又はのほうで四人の特殊清算人を置いて清算を進めて行く、そうするとこの閉鎖機関整理委員会整理されますと、そこに働いておる従業員はどうなるかと申しますと、現在八百人の従業員がおるそうであります。閉鎖機関整理委員会はすでにこの事あるを予想して、一月に第二人事部というのを設けて、いわゆる職業斡旋就職斡旋ということを専門にやりつつある。退職した職員に対しては政府職員と同じように十八割の退職金を出すということであります。将来なお八百人のうち五百四十人くらいは一応第二会社等において直ちに就職は可能である。五十人ほどは嘱託にしておいて整理事務をやつてもらいながら、逐次転職を考えて行く、残りのほうについては、今の第二人事部において積極的に就職方について努力をする、こういうことを申しております。  それから概要によつて説明して行きますと、改正存続するものの(3)に参りまして、閉鎖機関に関する債権時効等特例に関する政令、これで問題なのは、もともとの政令に、時効の進行を停止する最終の区切りとして、昭和六年一月一日以後時効完成等により消滅した債権を復活させる、この昭和六年一月一日というのは何によつて生れたのかということについては、これは別に意味がないので、向うのメモランダムのものを写したに過ぎないので、少し長きに失しておるように思いますが、一応これは元のままとすることにいたしました。それから(4)の旧日本占領地域本店を有する会社本邦内にある財産整理に関する政令、これについては在外資産について整理した場合に、その整理できた、その金が整理ができた際に、一応在外資産在外債務を睨み合わせて見て在外債務超過額に相当するものを一応日銀へ供託をするということになるのであります。そこでこれは政令で行きますと、この次の(5)の国外居甘外国人等に対する債務弁済のためにする供託特例に関する政令、この政令によつて(4)の在外活動会社本邦内にある財産整理する場合においては、その在外資産に対して在外負債がオーバーしておる額、即ち在外負債超過額だけを供託するということになるわけでありますが、供託とたものが一体誰に最終的には帰属するのであるかということが問題になるわけであります。そこで多くの在外活動会社について見ると、在外債務と言われるものの大部分は、結局日系関係日本人又は日本人の出資したもの、或いは特殊会社というふうなものであるのではないか、従つてその供託資産が誰に帰属するかということについては、将来の外交折衝によるのであつるけれども、今から十分、その帰属者個人であろうと、営利法人であろうと、或いは国家であろうとかまわないが、要するに日本側に帰属するように十分注意をして資料等の作成に当つては配慮するようにということを強く政府担当官希望を附しております。(5)の国外居住外国人等に対する債務弁済のためにする供託特例に関する政令、これについてはですね、現在総額にして一億八千七十七万円ほどであります。そのうち朝鮮関係が六千七百七十二万円、台湾関係が九百九十四万円、琉球関係が九百五十七万九千円、中国関係が千二百六十一万一千円、その他国籍不明のものが八百九十万円ほど供託されておるわけですが、これについてもいろいろ平和条約等関係において、一体供託したものが最終的には誰に帰属するのかということに問題があるのであります。従つてその外交折衝によつてはつきりするのでありますが、これも前の第(4)と同じように、是非個人であれ、或いは営利法人であれ、国家であれ、ともかく日本側に帰属するように努力するようにとの強い要望を附しております。(6)の日本証券取引所有価証券売買取引事業特別会計に属する財産管理に関する件、これは現在邦貨にして二千万円ほどの株が残つておるわけがありますが、これは殆んど市場性のないものであつて実際に処分するとなれば二、三十万円ほどのものになつてしまうのであります。大体四月末には終了の見込であるというので、その四月末までの間、この政令を残す必要があるのでありますが、この中で問題は、整理担当者閉鎖機関整理委員会だけということになつております。そこでその閉鎖機関整理委員会を廃止するということになると、清算人がないということになりますので、又は大蔵大臣の指定する特殊清算人ということを入れるように変えるものでありまして、大蔵大臣の選任する清算人清算に当ることができるというようにしようというのでありまして、大体四月末までには完全に結了する見込であります。それから次にそのまま存続するもののうちで問題になりましたのは、横浜正金銀行の旧勘定の資産整理に関する政令、これは横浜正金銀行特殊清算をやつておるわけですが、東京銀行とは全然法的には別個だ。国内法的には別だということが、これによつて言えるのでありますが、多少その横浜正金銀行資産負債東京銀行が全然別会社建前で引継いだことになるのでありますが、日本の法的にはこれによつてよいわけですが、外国から見てはどうなるか、問題のアタッチメントの関係から少しデリケートな問題が対外的にはあるようでありますが、将来というか、当面日本為替金融機構整備等とも関係して、一体旧横浜正金銀行はどういうような整理状況になつておるのか委細が知りたいので、その関係資料を要求いたしておりました。それから第(7)の特定在外活動閉鎖機関等引当財産管理に関する政令、この関係に該当する閉鎖機関在外債務引当に相当する引当財産というものは、大体現在百億以内あるそうであります。それから第(8)の特別調達資金設置令による特別調達資金七十五億、これが一応進駐軍特別調達進駐軍日本労務者雇用の場合の回転資金として組み入れらつれるわけでありますが、今度講和條約が発効すれば、それが駐留軍に変るわけであります。従つてその雇用料等においても変化するわけでありますが、一応そのまま乗り替えるということにいたしたい。七十五億円等についても将来検討を要するわけでありますが、一応この際は特別調達ということにおいては、それが推駐軍であれ、駐留軍であれ、変りはないという解釈で、日本側から考えれば、これは特別調達ということだけから言えば変化はないのだという意味で所要の改正を一応そのまま存続するということにしたわけであります。  それからあとは罰則等においてそのまま存続するということがあるのでありますが、過去の違反行為に対する罰則の適用は従前通りとしておくというような規定を残すのが多いのでありますが、この点については大体今度の平和條発効と同時に大赦によつて、いわばそういつた行為は全部処罰されない、許されることになるので実際問題として、いわゆる平和條約の効力発効と同時に効力が発生するという法律案でもありますし、実際的には意味がないわけでありますが、一応処罰の根拠法はおいておく、その上で大赦されるということにするのが建前じやないかというので、そういう罰則規定を設けたという点であります。(11)の学校及び保育所給食用ミルク譲與並びにこれに伴う財政措置に関する政令、これももうすでに事柄は済んでおるわけであります。まだ未收金が一億円ばかりありますので、その徴收完了までこの規定を置いておきたというわけであります。次に廃止するもの二十二件はおおむね一回限りのものでありまして、一回限り或いは特定のものを対象とした法令であり、政令であつて、すでにもうその事柄は終結しておるというものでありますから、全部廃止して差支えないわけでありますが、ただ一つこの第(2)にあります臨時軍事費特別会計の終結に関する件、この分について問題がございますのは、昭和二十五会計年度以降について、一応一般会計とは別にそれを経理して行く。支出、歳入、歳出を経理して行く。それは先ず当分この整理がつかないのでそのまま置いておこうというわけであります。併しこの会計年度決算書類には、この臨時軍事費特別会計決算も併せて添付して出すということにしようというわけであります。現在のところこの臨時軍事費特別会計には百九十八億の赤字があるわけであります。これは現在は剰余金等で操作しておるようでありますが、この百九十八億の赤字があるということは、自然増收等が三百億あつても、実際には百九十八億、約二百億というものは使えないということでありまして十分に我々は明記して置く必要があると思います。  以上で大体小委員会において問題となり、或いは特に又皆さんに御報告する必要のある事柄について大体のことを簡單に御報告いたしましたが、なお我々は殆んど逐條的に審議をいたしましたので、御疑問の点があれば御質問に応じてお答えしたいと思います。以上を以て報告を終ります。
  4. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 引続いて質疑を行います……。別に御発言もないようでありますから、質疑は終了したものと認めて御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 御異議ないと認めます。それではこれより討論に入ります。御意見のあるかたは賛否を明らかにしてお述べ願います。別に御発言もないようでありますが、討論は終局したものと認めて御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 御異議ないと認めます。それではこれよりつ採決に入ります。ポツダム宣言受諾に伴い発する命令に関する件に基く大蔵省関係命令措置に関する法律案を原案通り可決することに賛成のかたの挙手をお願いいたします。    〔賛成者挙手
  7. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 多数であります。よつて本案は原案通り可決することに決定いたしました。  なお諸般の手続は前例によつて委員長に御一任願います。それから多数意見者の御署名を願います。   多数意見者署名     岡崎 真一  油井賢太郎     田村 文吉  大矢半次郎     黒田 英雄  小宮山常吉     伊藤 保平  小林 政夫     大野 幸一  菊田 七平     波多野 鼎  森 八三一     西川甚五郎   ―――――――――――――
  8. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 次に農業共済保險特別会計法の一部を改正する法律案について御質疑を願います。
  9. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 只今ポツダム宣言受諾に伴い発する命令に関する件に基く大蔵省関係命令に関する法律案は可決されましたが、それで異議ございませんが、実は質疑したい点がありますので何かの機会に、これは余りほかの法案審議に支障を来たさない範囲において質問しますから、質疑を許して頂きたいと思います。この中でまだ質疑するものがありますから……。
  10. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) ポツダム宣言関係はもう一法案残つておりますから、そのときにお願いいたします。それでは御質疑をお願いいたします。
  11. 森八三一

    ○森八三一君 農業共済保險特別会計の問題につきましては、同様の措置がこの前の国会におきましても付議せられまして、その際に農業災害につきましては、日本農業それ自体の本質から考えまして、私は殆んどその大部分異常災害に属するものではないかというような考え方に立ちまして、災害補償法に基く共済組合制度があるので、一応組合員農民掛金という問題が起るわけでありますが、本来的には全部政府負担をして、農民負担というような問題をなくするように考えるべきではないか。それが更に及んで米価等の問題にも及ぶわけであつて建前上そういうようにいたしますことが妥当と思うような意見申げたのでありまするが、それに関連いたしまして今年度改訂さるべき政府負担農民負担との負担割合につきましては、少くとも前年度における農民負担実額を増さないように処理さるべきであるということの希望を強く述べまして、その当時原案に賛成をいたした記憶を持つのでありますが、この際お伺いいたしたいことは、本年度と申しまするか、二十七年度以降におけるその措置はどうなつておりまするのか、その実態を一つ伺いしたいと思います。
  12. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) 今の森さんのお話は、農民負担をこれ以上増額しないという御趣旨でございますが、差し当りの問題といたしましては、二十七年度出納料率の改訂がございますので、その際には御趣旨のように措置をいたしておりまして、農民負担といたしましては、ほぼ絶対額といたしましては従来通りといたしたのであります。従いまして国家負担農民負担割合から申しますと、むしろ減少しておるということに相成つております。
  13. 森八三一

    ○森八三一君 更に一つ伺いいたしたいことは、この共済組合の経理の関係でございますが、この事業のために昭和二十五年度は大体締めくくりがついておるかと存ずるのでありますが、昭和二十五年に例を取りまして、政府のこの事業に対する負担幾らであり、農民の掛け込みました負担総額幾らであるか、その金額、更に共済組合運営に要しました経費がそのうちから幾ら支弁されておるか、この三つの数字につきましてお伺いをいたしにいと思います。
  14. 久宗高

    説明員久宗高君) 二十五年度数字を今手許に持つておらないのでございますが、二十六年度予算と二十七年度予算について申上げますと、二十六年度におきましては、共済掛金国庫負担予算面におきましては五十一億六千三百万円程度になつております。それが二十七年度におきましては六十億九千三百万円、これは国庫負担でございます。それに対応します農家負担といたしましては、二十六年度におきましては六十三億九千七百万円、二十七年度におきましては六十六億百万円ということになつております。又共済団体事務費に対する負担でございますが、これにつきましては、二十六年度におきましては十五億六千五百万円でございますが、二十七年度におきましてはベース・アップだけがふくらみまして十八億九千四百万円になつております。
  15. 森八三一

    ○森八三一君 今の数字で申しますると、二十六年度に例を取りました場合に、国庫負担が五十一億六千三百万円、規約によりまする農民掛金が六十三億九千七百万円、このトータルのうちから共済組合事業運営のために支出いたしました金が十五億六千五百万円と理解してよろしいのか。国の負担は五十一億六千三百万円のほかに十五億六千五百万円あつて、更に組合運営のために農民負担が別途にあるというように理解さるべきか。若し後段のように理解されるといたしますならば、お伺いいたしたい点は、十五億六千五百万円に対応する農民負担は全国的に幾ばくであるかという数字をお伺いをいたしたいのであります。
  16. 久宗高

    説明員久宗高君) 只今私お答えいたしましたのは後段のような趣旨でございまして、このほかに共済団体といたしましては、その事務費に充てますために賦課金を徴收いたしております。その二十五年度におきます実額につきましては、現在手許数字を持つておらないのでございますが、いずれにいたしましても、その場合基本的な組合活動につきましては、事務費国庫負担があるわけでございますが、その他の業務運営のために若干の賦課金が加わつておるわけであります。
  17. 森八三一

    ○森八三一君 若干の賦課金が加わつておるという点は、勿論数字を集めなければ明確なことはお答え困難と思いますが、事業運営のために国庫が十五億六千五百万円の負担をしておるということは、大体この共済事業運営のためにどの程度費用が入り用かということを想定せられ、その何%くらいが国庫補助費になつておるかという計算になつておると思うのであります。そういうような観点からいたしまして、十五億六千五百万円に対応するお見込農民負担はどの程度になつておろうか、概算で結構なんですが……。
  18. 小倉武一

    政府委員小倉武君) 国庫負担の大部分共済組合職員人件費でございまして、それが補助率が三分の二となつておるのでございます。従つて人件費の三分の一は共済組合員担、なお事務員も若干ございますが、それは大体組合員担というふうに考えてよかろうと思うのであります。従つて国庫負担部分に比べまして農民負担がどのくらいになるかということは、ほぼ想像がつくのでございまして、大体三分の一以上にはなつておると思うのであります。
  19. 森八三一

    ○森八三一君 三分の一以上であるということは、今のお答えではつきり想像がつくのでありまするが、その具体的な数字の大体の見当がどういうふうになりますか、これを実はお伺いいたしたいと思うのであります。と申しまするのは、折角こういうような施設が行われ、特別に災害のありました場合に、農民の直接負担が増加をいたしませんように処置をされるということになるわけでありまするが、聞きまするところによりますると、国の負担農民負担との合計が大体これで百二十億余になりまするが、そのうち組合事業運営のために相当の多くの金が消費されるというように承わるのでありまするが、そういうようになりますると、共済組合というような制度を持つことがよろしいのかどうかというような本質の問題を十分に考える必要もあるのではないかというように思われます。もつと端的に申しますると、国が五十億を負担し、農民が五十億を負担をして、百億の資金ができましてその組合運営のために三十億も四十億も事務的な費用に使つてしまつておるというのであるなれば、私はむしろ農民掛金というものはやめてしまつて国庫負担金災害のために配分してやるという制度を作つたほうが、国のためにも農民のためにもよいのではないかと、こういうような感じを持ちまするので、そういうことをお伺いしておる。ところが、その事務費というものが極く僅かなものであつて総額の三割にも充たないというような程度のものでありますれば、これは又必要なことと思うのですが、そういう関係をはつきりいたしたいということで数字をお伺いいたしておりまするが、三分の一以上だろうということでなしに、農林省といたしましては、共済組合の経理の面についても十分に監督がなされておるはずと思いますので、わかる年度で結構でございますから、その年度における事務費国庫負担幾らで、そうして農民負担幾らであるかということを、一つわかつておりますれば……。
  20. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) 只今誠に申訳ないのですが計数が揃つておりませんので、計数を揃えて提出することにいたしたいと思います。
  21. 大野幸一

    大野幸一君 今私森委員の御発言で思い出したのですが、農民組合に行きましたところが、数カ所からこれに対する非難が出ております。今思い出しました。そうして、各年度によつてどのくらい農民負担が増加して来ておるか、こんなに増加するくらいならやめてもらつたほうがよいということが言われておることを今思い出しましたから、その点を各年度別にはつきり数字を現わして、この基本的な制度に対する疑問が農民の声から起きておるということは事実だから、その点をしつかり一つ説明してもらいたい。
  22. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) 先ほどの委員のかたのお尋ねとほぼ同趣旨と存じますので、只今の御質問のお答えと併せまして計数を揃えたいと思います。
  23. 波多野鼎

    波多野鼎君 今の問題は農業災害保險の根本に横たわる問題で、実は役人の俸給手当を我々農家が負担しておるというようなことになつておるということが非常な不平のもとなんですよ。そういう点があいまいであつては駄目だと私は思う。事務費のうち農家負担分がどんなふうになつておるかということは正確に早く出さなければ、これは審議は進まんです。いつまでに出しますか。
  24. 小倉武一

    政府委員小倉武一君) 只今本省のほうに連絡いたしまして、できれば午前中に間に合うように取寄せたいと思います。
  25. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) それでは資料が提出になつてから御検討つて採決することにして、これは一時質疑を打切つておきます。
  26. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 次に食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案について質疑を行います。
  27. 森八三一

    ○森八三一君 この改正の第一点が、農産物の検査に要する経費の財源に充てるために一般会計から特別会計にその所要額を繰入れる、これは現在の制度から申しますれば、当然やらなければならん問題だと思うのでありまして、この点については別に異議はございませんが、将来順次今の政府の方針に基いて食糧統制が廃止になつて行くということになりますると、現在では強制供出でありますので、検査手数料は政府負担に相成つておりまするが、今度生産農民負担に転嫁をされて来るという形を生んで来るものと思います。その場合において、現在の規定から申しますると、單位当りの検査手数料が二十円ということになつておると存ずるのでありまするが、現在の貨幣価値から申しまして、二十円というものは大きなものでないようには思いまするが、経営收支成立つておりません農民の立場から考えますると、單位当り二十円という検査手数料は非常に負担が重くなりまして、農民の経済関係を圧迫するというようにも考えられまするのでありまするが、検査関係における経費はそういうような負担がなければ成立たないものであるのかどうか、そういう見通しにつきましてお伺いをいたしたいと思います。
  28. 松任谷健太郎

    説明員松任谷健太郎君) お話のような筋がございますので、現在主食の、例えばお話にございました米麦等の統制品目につきまして、検査手数料というものが、今は国の検收との関係におきまして取つておらないというような現状でございまするが、これが漸次外れて参りました場合におきまして、一般の農家の立場を考えまして検査というものが、農家のためにやつておるといつたような、農家の全体の希望に基いて実施されておるというような趣旨から申しまして、検査は継続して参るのでございますが、その場合に、検査手数料の負担というようなことにつきましては、買入の際の価格の関係で調整を図つて参るというような方針で、現在準備をしておるのでございます。
  29. 森八三一

    ○森八三一君 今お話の点は、政府に買上げになりまするものについては、まだそういうような具体的な法律が提案になつていませんので、はつきりしたことはわかりませんが、承わるところによると、お話のように政府買入は、検査手数料は加算をして買入れるというように措置されるように承わつておりますので、政府買入という部面につきましては、問題はございませんが、一般自由に処分されますもの、或いは将来長糧の買上げということがなくなるというような時代にでもなりますれば、全額が農民負担になるという関係になると思いまするのであります。そこでお伺いいたしたいことは、米麦等の主食はひとり生産者の関係だけではなく、都市勤労大衆の生活に直接繋がる極めて重大な関係を持つものでありまするので、検査事務をいわゆる独立採算制というように考えて行くということが正しいのか、検査手数料等は一般会計負担において農民負担からこれを除外するというような建前をとることが正しいのかという根本問題を考えなければならんと思うのでありますが、私は検査手数料等は、たとえ自由な時代が参りましても、農民負担からこれを免除するというような建前をとることが、日本の食糧事情から考えますれば適当な措置ではないかというように存ずるのでありまして、農林事務当局といたしまして、今後本当に自由になつた場合にこれをどう取扱つて行くかということについての御計画なり、見込等ありますればお伺いをいたしたいと思います。
  30. 松任谷健太郎

    説明員松任谷健太郎君) お話のように、検査の問題に関連しまして、手数料を農民負担と申しまするか、農家が希望して検査をする場合の経費について、国が面倒を見るべきであるというような考え方と、それから検査は飽くまで農家の希望に基いて、一般の農家の利益のために検査が行われておるのであるからして、その経費は農家が持つてむしろ積極的にやるべきであるというような御意見と二つあるのでございまするが、現在の建前といたしましては、今申述べましたような後の趣旨で実施をされておるのでございまして、将来農家経営その他農家の負担といつたようなものが、全体として問題になりました場合に、この検査手数料をどう軽減すべきかという問題が起つて来るのではなかろうかと考えておる次第であります。
  31. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 改正の第二点ですね、これは計数について御説明願いたいのですが、残余財産のうち、どのくらいで、それから政府から交付金の財源として一般会計から繰入れた資金、これの計数について、それともう一つ食管特別会計の収支計算ですれ、これがわかりましたら今すぐでなくてもいいですが、資料として頂きたいのです。
  32. 松任谷健太郎

    説明員松任谷健太郎君) 只今お尋ねの食管の收支計算につきましては、資料がございますので後ほどお答えを申上げたいと思います。それから公団の関係改正部分数字的な問題でございまするが、これは従来のこの特別会計法にございましたのは、一応年々公団から特別会計に納付する関係と、それから国から交付する金との関係規定があつたのでございまするが、公団が清算終了するといつたようなことになりますので、その関係は全然なくなりましたので、これが削除に相成るということでございまするが、この附則の二項に規定してございまするのは、従来そういつた、年々の交付金なり納付金なりを計算して見ますると、なお公団に多少の交付の行き過ぎがあつた、それを特別会計のほうに過渡的に取上げるというような関係規定に相成るのでございまして、これを数字的に申上げますると、昭和二十三年度に交付金が百九億三千百五十九万九千円というものが交付され、それから昭和二十四年度には交付金がございませんでしたのですが、一方これに見合うところの交付金の関係を考えますると、納付金としまして二十三年度に二十九億八千七百五十三万三千六百六十九円、それから二十四年度に六十一億三千四十九万三千九百五十六円というものが納付されまして、合計百一億一千八百二万七千六百二十五円というものが納付されておりますので、この交付金の、先ほど申上げました百九億三千百五十九万九千円との差額が今度入るべき金になるわけでございますが、そのうち、その交付されました百九億のうちの七億一千八百三十五万二千円というものが食糧配給公団の給與ベース引上げのために要したものでございまして、これは別途一般会計が財源を負担いたしまして、食糧管理特別会計に財源の繰入れをしておりますので、実質上財源を負担しております金額は、それを差引きました百二億一千三百二十四万七千円という金額に相成るのでございます。従いましてこの額と、納付金の先ほど申しました二年の合計額、約百一億との差額に当る金額の九千五百二十一万九千三百七十五円というものを今回食糧管理特別会計に納付させる、こういう数字に相成つておるのでございます。
  33. 野溝勝

    ○野溝勝君 松任谷さんにちよつとお伺いしますが、広川農林大臣は農林予算が百億ぐらい殖えたと言つてばかに高言しておるのだが、これは物価はどこを單位においてさようなことを言うのか、その点を一つお聞きしておきたいということと、それから今度の百億が事実とすれば、その百億増額されたと言うのだが、食糧関係にどのくらい一体増額した予算が廻つておるか、それからその増額された予算は、食糧関係のどういうほうに使われるか、これを一つお聞きしておきたいと思います。
  34. 松任谷健太郎

    説明員松任谷健太郎君) 甚だ申訳ないのでございまするが、農林大臣のお話になられておりまする百億というものの内訳等につきまして、まだ事務的に承わつておりませんので、至急に調べましてお答え申上げます。(笑声)
  35. 野溝勝

    ○野溝勝君 広川放言大臣の言うことだから、どの程度まで本当か、予算の内容を分析して見ないと私にもわからんのでちよいとお伺いしたのでございますが、今説明員のおつしやる通り、それはあとで資料をもらうといたしまして、調査してお答えを願うといたしまして、食糧関係だけは前年度の対比関係はおわかりだろうと思いますから、この点一つ……。
  36. 松任谷健太郎

    説明員松任谷健太郎君) 食糧庁の関係といたしましては、一般会計と特別会計と両方ございまするが、只今つてございまする資料を後ほど提出いたしたいと思います。
  37. 波多野鼎

    波多野鼎君 麦の統制撤廃をやるということを、まあ方針としてきめておるようですが、この食管の予算を見ていると、統制は存続するものとして予算を組んでおるわけなんです。ところが、六月一日から統制撤廃するというのだが、その場合には当然予算の補正をしなければならんと思うのだが、そういう準備はしておるのですか。
  38. 松任谷健太郎

    説明員松任谷健太郎君) 二十七年度予算を作ります基本方針といたしましては、米につきましては供出、配給統制が継続するということを前提といたしておるのでございまするが、麦につきましては、すでに統制を廃止いたしまして、農家の買入希望に応じまして無制限に国で買入れるというような建前で進んで参つておるのでございます。
  39. 波多野鼎

    波多野鼎君 そうすると食管特別会計の小麦、大麦、裸麦などの買入数量というのは、あれは農家が売つて来れば買うという数量なんですが、農家が希望して売つて来れば買うという……。
  40. 松任谷健太郎

    説明員松任谷健太郎君) 買入価格の問題等に関連すると思うわけでございまするが、農家が売却を希望して国に売つて参るという場合につきましては、條件を付せずに、無制限に買入れて行くというのが建前になつておるわけであります。
  41. 波多野鼎

    波多野鼎君 それではあそこの予算に出ておるのは、あれぐらいは農家が売つて来るだろうという見込数字でございます。
  42. 松任谷健太郎

    説明員松任谷健太郎君) さようでございます。
  43. 波多野鼎

    波多野鼎君 そうすると單価はどういうふうになつておりますか、あの小麦、大麦、裸麦の……。
  44. 松任谷健太郎

    説明員松任谷健太郎君) 予算関係いたしまして一応見込んでおりますのは、昭和二十六年度関係と比較しますと、パリテイを二五五に押えまして一応算術的に計算をしておるのでございまして、八月以降にはなお多少の値上りを見込んで考えたらどうかというような趣旨の下に予算單価が考えられておるのでございまするが、数字的に申しますると、小麦につきましては、六十キロで千八百二十四円、裸麦につきましては六十キロで千九百七十七円、大麦につきましては、四十五キロで千二百二十五円というような計算になつて算出されておるのでございます。
  45. 波多野鼎

    波多野鼎君 そうすると八月以降農業パリテイ指数がもう少し上るということを見込んでの予算單価ですか、見込まないものですか、どちらつですか。
  46. 松任谷健太郎

    説明員松任谷健太郎君) 最初申上げました通り、全体といたしまして二五五の農業パリテイを基準にして計算しておるのでございます。
  47. 波多野鼎

    波多野鼎君 そうするとこれは二二五のパリテイを基礎にしておるというのですから、八月以降にもこれは上らないものとして予算單価は組んでおる、これはたしかに事実ですね、その通りですか。
  48. 松任谷健太郎

    説明員松任谷健太郎君) 予算関係といたしましては、年間ならしての單価になるわけでございますので、この予算を立てました関係全体といたしまして、農業パリティが四月一日以降二五五であるというふうな前提で計算しておるのでございます。
  49. 波多野鼎

    波多野鼎君 飼料の問題ですが、これは食管特別会計で扱つておるのがどうか、私もよく知らないのですけれども、農家のほうで非常に要望しておることは、飼料が不足し、飼料値段が非常に高い、白米供出はこの頃余り認めてくれない、玄米のまま出してしまう、そうすると政府のほうでどこでやるか知らんけれども、米糠をとる、この米糠を非常に高い値段が農民が買戻さなければならん、こういう不合理は何とか是正できないかという希望が非常に多いのですが、今米糠はどういうふうになつておりますか。その機構をはつきり一つ……。
  50. 松任谷健太郎

    説明員松任谷健太郎君) 飼料関係につきましては、現在畜産局で所管をいたしておるのでございます。なお只今の御質問に関連しまして米糠の問題がございましたが、食糧の、今米の供出関係にいたしましても、農家飼料等の関係も考慮いたしまして、一部精米供出という点を認めているのでございます。
  51. 波多野鼎

    波多野鼎君 いや、精米供出を一部は認めているかも知れんけれども、これは極く一部に過ぎないと僕は思うのですね。で、玄米のまま、つまり米糠をつけたものを買うのは食糧管理特別会計で買うのでしよう。そうしてこれを精白業者というのか、それに搗かせるのでしよう。その糠は一体どうしているというのです。
  52. 松任谷健太郎

    説明員松任谷健太郎君) 只今の御質問の糠等につきましては、工場の副收入といつたようなことで原価計算をいたしているのでございまして、私ども米糠につきましては、別に政府が買上げるといつたような措置を講じておらないのでございます。
  53. 波多野鼎

    波多野鼎君 工場の副收入というのだが、米糠がこの頃のようにべらぼうに高くなつているときに、副收入というものの見方は、政府のほうで相当厳重にやらなければならんと思う。そうして精白の手数料というものはそれから差引いて行くのが当然だと思うのだが、これはあとでいいからその辺り事情を詳しく説明する機会を一遍持つてもらいたいと思う。農家のほうでは非常に不満ですよ、これは……。
  54. 野溝勝

    ○野溝勝君 もう一、二点簡單に私は質問したいのですが、今の波多野委員の質問の中で、この予算單価を年間を通して二五五の指数で押えて算術計算をやつたというお話ですが、まあこの問題など質疑していると相当長くかかりますので省略いたしますが、まだきまらんのじやないのですか。私はこの二五五というのも決定的なものじやないと思うのです。御承知のようにまだ米価審議会というものがやつております。昨日も米価審議会の委員報告を見ますと、このパリティ計算でやるかどうかということで計算基礎が決定になつておらんそうですよ。だからそういう点から見ると、一応不安があるわけです。併しそれがきまるまでどこかに根拠を置いて、その算出基礎を置いて予算を立てなければならないからこうしたというなら私はこれは呑み込みます。併しこれが決定したもののごとく言われますると、昨日の米価審議会の経過のあれから見ても私は承認できないのです。ですけれども、あなたの答弁が一応そういう意味でやつたというふうに報告を受取つたので、私はそれ以上はまあ質問しないのですが、そういうふうに呑み込んで差支えありませんか。
  55. 松任谷健太郎

    説明員松任谷健太郎君) 野溝委員のお話の通りでございまして、予算を算出します場合の一つのファクターといたしまして推定をしたという程度でございます。
  56. 野溝勝

    ○野溝勝君 第二点は、この米糠の問題について、片一方は裸麦を供出させて、この米糠の問題に対しては統制するのはひどいじやないかというお話のように聞き取れるのですが、たしかにこの問題は畜産界で問題になつております。併し私はこの点をはつきりしておかなければいかんと思うのです。若し米糠というものを取るならば、私は先に米糠などの統制をやはり行わなければならんというふうに考えております。そうしないとちぐはぐになつてしまつて、どの程度において供出数量と米糠との境をするのかということになると、これは又別な機関のようなものを作らなければならない。こういう点から見て、今政府が一部を精米供出させるというようなことについて私はやはり反対なんだ。やるなら徹底しなければいけないと思うのですよ。部分的なやり方では……。それでその場合はやつぱり一つの、何と言いますか正確な一つ機関ができないと又混乱を起す、こう私は思うのです。ですから片方は統制をやり、片方は不自由をするというようなちぐはぐなやり方は考えなければならないと思います。そこであなたに一つ聞いておきたいのは、今後米糠の問題に対する飼料用と言いますか、これに対する取扱については、米の統制の問題と関連して考えるか、別に考えて行くつもりか、この点を一つお聞きしておきたいと思います。
  57. 松任谷健太郎

    説明員松任谷健太郎君) 只今の御質問でございまするが、飼料の関係につきましては、これは畜産局が主管でやつておられるのでございますが、農林省全体からいたしまして、農家の現在の経営から見ますると、餌の手当というものを何とか考えて行かなければいかん、こういう方向でいろいろと研究をしているのでございますが、その場合に米麦等の統制とどういう関係があるかということになりますると、これは関係はございまするが、物そのものといたしましては、まあ飼料対策といつたような大きな面で研究を進めているのでございまして、むしろ統制を外す、外さんといつたような問題と別問題に餌の対策が研究がされ、準備がされているというようなことになつているのでございます。
  58. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 他に御発言もないようでありますが、質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  59. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 御異議ないと認めます。それではこれより討論に入ります。御意見のあるかたは賛否を明らかにしてお述べ願います。
  60. 森八三一

    ○森八三一君 私は政府の原案に賛成するものでありますが、次に二点を強く希望いたしまして、その実現されることを要望いたしたいと思います。  その第一点は、検査手数料の問題でございますが、何と申しましても日本農業は米麦等主食生産がその根幹をなしているわけであり、国の食糧事情は極めて困難でありまして、国内生産を増強いたしまして需給のバランスがとれまするように自給度を高めて参らなければならないことは万人異論のないところであろうと思います。そういうような関係に置かれておりまするので、日本農民とは一体どういうものかということが曾つて衆議院におきまして論議をされた。そのときに政府御当局の答弁は、農民とは国家国民に奉仕をする企業であつて、純然たる営利を追求する私企業ではないという定義が明確になつたと承知をいたしているのでありますが、そのことが真に事実であるといたしますれば、申上げますような関連からいたしまして、検査手数料につきましては、農民の生産物に対する商品価値を高めて、農民の利益を、生産者の利益を守るべきであり、それは希望において行われておるのだから、当然受検者の負担にするのが本来の建前であるといつた、検査手数料そのものの理論的な本質を貫いて考えますることは妥当ではないというように思われまするので、検査手数料につきましては、将来統制が廃止になりまして農民負担になるというような事態の発生する場合においてこれを軽減し、或いは免除いたしまして、農業生産、特に米麦生産の増強が速かに行われますような一助として御考慮を願いたいということを希望するのであります。  第二点は、波多野委員からも御質問がありましたように、米麦搗精に関連して生産されまする副産物でありまする糠の処理の問題でありまするが、現に麦糠のごときはそのふすまが麦の値段よりも高くなつておるという事態を招来いたしておるのであります。こういうようなことでは、農民といたしましては納得ができんのであります。五斗の麦を売るよりも同量のふすまを買うほうが高いといつたようなことはどうしても常識的に納得のできんことでありますので、米麦等の搗精に、搗精と申しますのは搗くということでありまするが、搗精に関連して生じまする副産物でありまする糠につきましては、これが畜産農家に正しい姿において還元されるような措置を十分に講じて頂きたい。承わると、そういう措置を講ずるために畜産飼料としての処理をしておるんだということでありまするが、それが一部の配合飼料製造の工場等へ供給せられて、農民へ還元されるときには非常に高い価格になつて餌として還元されておるというような事実もあるように承わりますので、公正に農民手許に還元されまするような措置を講ぜられたいという希望を申上げるのであります。
  61. 野溝勝

    ○野溝勝君 本案に賛成するものであります。但し希望を述べて置きます。  この農産物検査に対しましては、これは必要なことでありますから、当然これに対する経費を計上することが承認できます。ただ問題は、たまたま農産物検査に当りましてややともするというと、必要以上に農民の地位を脅かす検査制度が今日までやられて参りました、と申すのは、強いて必要以上の規格を作るわけです。というのは、一応農村予算を圧迫するために、表向きは相当の予算が計上されても、規格の点において農民を牧奪する制度が今日まだあるわけです。例えば、米におきましても一等米、二等米、三等米、四等米、こういうような多くの規格を作つて、そうして二等米、一等米というのは殆んどありません。大体三等米に叩き落しておる、こういうような制度を今日までやつて来ておる。この検査制度の内容については深くまだ検討しておりませんが、前車の轍を踏まないように一つこれは注意してもらいたいという点が一つ、第二の点は、副産物の点につきまして、今森さんからもいろいろ意見がありましたが、私は別の角度から政府に警告を発して置くものであります。と申しますのは、成るほど業者は、配合飼料などについていろいろ問題があります。併し先年外国から大量のポミーが来たわけです。そのときにこのポミーの配給をどういう方面にやつたかというと、第一は畜産協同組合、併し聞くところによると、同畜産協同組合には大量を單味で流したにかかわらず、それが……、これは自由党の人が会長をやつておられるが、それが流されたのが明らかに示されておらない。例えば愛知県を中心に行われた畜産協同組合では大量のポミーを受取つた。これは小笠原八十美君らが会長をやつてつた。具体的にその内容を一つどこへ流したかを明らかにしてもらいたい。後刻私はその資料をもらいたい。そういう点がありますから、配合飼料を責めると同時に、單味々々と言つても、本当に私は生産者の所に渡るのでなければ、ただ單に協同組合であるというだけでは私は承認ができません。これは今後末端にどういうふうに流れたかということの具体的の事実を本委員会に提示してもらいたい。これだけ申上げて、本案に賛成するものであります。
  62. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 他に御発言もないようでありますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  63. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 御異議ないものと認めます。それではこれより採決に入ります。食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案を原案通り可決することに賛成のかたの挙手を願います。    〔賛成者挙手
  64. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 全会一致であります。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお、諸般の手続は、先例により委員長に御一任願います。これから多数意見者の御署名を願います。   多数意見者署名     溝淵 春次  黒田 英雄     木村禧八郎  伊藤 保平     森 八三一  大野 幸一     小林 政夫  波多野 鼎     小宮山常吉  西川甚五郎     野溝  勝  油井賢太郎     岡崎 真一  大矢半次郎     田村 文吉   ―――――――――――――    〔委員長退席、理事大矢半次郎委員長席に着く〕
  65. 大矢半次郎

    ○理事(大矢半次郎君) 次に、関税定率法等の一部を改正する法律案を議題といたします。先ず通産政務次官から、紙に関する関税改正と将来の見込について御説明を聴取いたします。
  66. 本間俊一

    政府委員(本間俊一君) 例の紙の問題につきまして御説明をいたしたいと思うのでございますが、御承知でもあろうかと思うのでございますが、新聞の建頁を八頁建にしたいというような考えもございまして、国内の生産の関係もいろいろ検討いたしておつたのでございますが、多少不足するのではないかというような考えから、一部外国紙を不足分につきまして輸入したらどうかというような考えをいたしておつたのでございます。ところが新聞紙の建頁のほうも、そう急に殖やすというようなことでもないようでございまするし、それから国内紙の生産のほうも、当初予定をいたしましたよりも生産が上昇するような傾向もございまするので、そう急に新聞用紙が国内において不足するというような事態も起らないのではないかというふうに実は予想いたしておるわけでございます。衆議院のほうで、半カ年だけは新聞用紙につきまして税を課さないという修正があつたのでございますが、これは私どもが聞いておるところによりますると、御承知のように、三月までに入りました九千五百トンの用紙は新聞紙に使えないというような問題がございまして、まだ保税倉庫に入つたままで問題が継続しておるわけでございます。そういつたような事態もありまするので、向う半年だけは無税にいたしておきまして、その後税をかける、こういうようなふうに修正をいたされたように伺つておるのでございます。この関係が国内産の紙にどういう影響を與えるかということでございますが、只今IMCのほうの割当のほうもまだ未決定でございまするし、仮にこのほうが決定をいたしましても、先ほども申上げましたように、新聞用紙が急に非常に逼迫をするというような事態もそう急に起るというようなふうに私どもは考えないのでございます。従いまして外貨の割当、その他いろいろな行政上の措置も勘案をいたしまして、国内で生産をいたしておりまする国内紙に、何と申しますか、非常な脅威を與えるというような事態が向う六カ月の間に起るようには考えないのでございますが、併しいろいろな御意見もあつたようでございまするから、これらの御意見を尊重いたしまして、適当に行政措置をとつて参りたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  67. 波多野鼎

    波多野鼎君 新聞のほうで、急に八ページ建にするようなことはない、而も国内の生産は増加しておると認めておられますか。それなら多少不足するというような点はどういうことになるか、丁度周東さん来ておられますから、安定本部でこの需給関係についてどんなふうな見通しを立てておられるか、一つはつきりお聞きしたい。
  68. 小林政夫

    小林政夫君 委員長、議事進行について。今波多野委員のような質問が起るのも、結局衆議院で修正案が、紙の問題については半カ年無税というような修正案が出たからでありますが、順序として、丁度衆議院側の修正提案者が見えておられるようですから、修正案の内容について一応聞いて、それから個々の問題について説明を聞くというふうにしたらどうですか。
  69. 大矢半次郎

    ○理事(大矢半次郎君) 小林君の意見に御異議ございませんですか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  70. 波多野鼎

    波多野鼎君 どちらでもいいですよ、順序は。
  71. 奧村又十郎

    衆議院議員奧村又十郎君) 只今議題となつております関税定率法等の一部を改正する法律案につきまして、修正案の御説明を申上げます。  案はすでにお手許に配付してあると存じますので、この際朗読は省略さして頂きたいと思うのであります。そこで、修正案の概要を申上げますと、第一点は、印刷紙に対します減税期間が原案におきましては三月三十一日で期間が切れますのを、更に四月一日から明年三月三十一日まで延長しようというのでありまして、この考え方を持ちました当時におきましては、相当に新聞用紙の輸入ということが必要な事態も若干推定されたのみならず、一般の物資と同様に、IMC物資以外の通常物資としての輸入が期待されておつたのでありますが、只今では国際割当物資、いわゆるIMC物資となりまして、一般市場からいわゆる灰色値段、グレー・マーケットによりまして購入するというような事態もなくなりまして、従いまして価格の点におきましても、あえて国内市場のものより高額であるというような事情も解消されて来るであろうという事態であります。特に本年三月三十一日まで収に一〇%の課税を免除いたしました有力な理由は、国内の需給が不安定である、殊に電力問題から来ますところの危機ということを配慮したのでありますが、この充足を図りますため大体三月三十一日までこの措置を講じたわけでありますが、然るところ、その後輸入の実績というものがいろいろな事情によりまして、必ずしも十分ではないのみならず、当時成立いたしました輸入契約の九千五百トンのうち、僅かに国内に現に輸入されたものは千トン余りに過ぎないということが明らかになつておるのであります。従いまして今後これがすでに契約済みの分を順次輸入すると共に、その契約の未引取の分だけを輸入いたしまして、これは免税といたすべきでありますが、然らざるいわゆる新規の需要につきましては、輸入というものはもはや免税を継続する必要がないという情勢になつたと見られるのであります。そこで原案の一カ年はやや長きに失するというきらいがありますので、これを六カ月に修正いたしまして、すでに免税の條件において輸入を契約いたしましたものについては免税いたしまして、おおむねその他の新らしい用紙はあえて輸入に待たずとも国内充足ができるのでありますから、これは保護関税の目的の下に、国内産業の育成のために、本年の十月一日以後は一割課税する、こういう要旨であります。  次に染料の点でありますが、これは主に輸出振興のために、特にこの輸出製品の大宗とも申すべきところの繊維品の染色の問題に重要な関係のあるものでございまして、勿論日本の染料工業の現状を見ますると、染料の生産者であります染料業者と織物業者という面においては、双方が必ずしも利害が一致しておるわけではありません。この見方につきましては或いは異論があるかも知れませんが、現状の段階におきましては特定の染料、特に特許の関係等によりまして、その自主権が未だ日本の国内に及んでおらないような、例えて申しますると、ピグメトレジンカラー用のエキステンダーというような染料につきましては、勿論日本の国内産業においてこれに代るべきものの生産が勃興いたしますことは我々は期待いたしておるわけでありまするけれども、現状の段階におきましては、輸出綿布の堅牢度の向上を望みまして我々が海外市場におきまして、曾つて我々の先輩のやつて参りましたような繊維品の市場獲得等に十分な競争の力を蓄える意味におきまして、是非ともこれらにつきましては輸入を容易ならしめるために免税すべきであると信ずるのであります。従いましてこれを長期に亘つて行うということにつきましては異論がありますので、暫定措置といたしまして、新たに一カ年だけ免税の措置を講じたいというのが修正の要旨であります。    〔理事大矢半次郎君退席、委員長着席〕  これに伴いまして、同様建築染料につきましては、一カ年間の暫定の税率を原案は二〇%となつておるのでありますが、諸般の実情を勘案いたしますると、一五%というふうにいたすのが妥当のように考えられますので、この際関税定率法を制定いたしました昨年の国会の状況を見合いまして一五%に引戻しまして、減免の措置を講じて参りたいと考えるのであります。これは飽くまでも繊維製品の加工原価をできるだけ低くいたしまして、他国との競争に優位な地位を占められるという観念から出た修正案であります。  以上の二点が大体の修正の要旨でありますから、何とぞ提案者の趣旨を十分御了解の上御賛成願いたいと思うのであります。
  72. 波多野鼎

    波多野鼎君 修正の意見は承わりましたが、先ほどから問題になつておる先ず紙について、それでは安本のほうから需給の見込一つ聞きたいと思います。
  73. 周東英雄

    ○国務大臣(周東英雄君) 新聞用紙の問題でありますが、先ず長い間二ページで、而も朝夕刊別々に売つてつたような関係であります。オール四ページ建ということが最初の目的であり、今日夕刊、朝刊一緒にして六ページで配布するというこの計画を進めるには、随分従来から新聞用紙が国内産のみでは足らないような状況にあつたようであります。一面におきましては、新聞用紙に関する国内生産というものは、国内における販売価格が非常に抑えられておつたために、国内の生産が伸びなかつたということもあるようであります。併しそれが自由に、撤廃されましたので、順次国内における新聞用紙の供給も増加しつつあるような状況であります。従つて今日のところ問題になります点は、夕刊、朝刊併せてオール八ページ建にということでありまするが、それを急速にやるとすれば国内だけでは不足というような状況にあるようであります。併し聞くところによりますと全部八ページ建ということは相当外紙の供給もあつてということのようであります。それらに関しまて、それが急速に実現できなければ今のオール四ページを継続して行くことになる。その関係でありますと非常な不足するという関係にない。従つてその間におきまして国内における製紙家の協力を得てできるだけ新聞用紙の増産を図つてもらうことを進めて行けば、おのずから次第に外紙は減つて行くと思います。私どもとしては文化財としての新聞級が、できれば紙きれのような形でなくてオール八ページになるということは望ましいことでありまするけれども、それをやるがために特に禽に外紙を入れて国内産業を圧迫することがないようにこれは努力する必要バあると思います。従つて只今提案になつております九月までの免税関係は、主として従来オール四ページにする場合における国内生産の不足分を補うために入れることになつてつたのが、実は寸足らずか何かで輪転にかからないものが入つて来た。そういうような残りのものを入れるということも考うられておる。そういう面から見てこれが衆議院において必要最小限度に半年だけにとどめるということになつておるようでありまして、従つてその間において無茶苦茶にそれを入れようというようなこともないと思います。
  74. 波多野鼎

    波多野鼎君 今周東さんのお話で八ページ建にするという場合には外紙の輸入が前提になるというお話があつたが、それはどういう意味ですか、外紙が入つて来るということが前提にならなければ八ページ建はできない、それはどういう意味なんですか。
  75. 周東英雄

    ○国務大臣(周東英雄君) 国内だけで急速に八ページ建にすれば勿論少し不足になつて参る。これで外国用紙が入つて来れば、外国用紙が入つて来ればやる、こういう話であります。
  76. 波多野鼎

    波多野鼎君 それでは事務的な問題ですが、四ページ建にした場合、今の国内の生産能力、それから需要関係、そういつたものについての事務的な計数を一つ出してもらいたい。
  77. 徳永久次

    政府委員(徳永久次君) 計数は後ほど御配布申上げますが、只今の朝刊四ページ、夕刊二ページにつきましては、現需給関係は国内で十分間に合うという状況でございます。
  78. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 これは直接関係するわけではないのですが、只今周東長官から寸足らずのものを輸入したという、例の九千五百トンですか、約六億円に達するとかいう問題ですが、これはこういう問題の処理ですね、処理については通産省関係になるのか知れませんが、一体どういうふうに日本としては処理するのか、これは裁判ということも占領下では困難であると思うのですが、何かこういうものを処理する機関があるのかどうか、こればかりではないと思うのですよ。新聞用紙以外に、これは別な問題か存じませんが、東京螺子で進駐軍に納入したところがアメリカ側のリ・ネゴシエーシヨン・ボードから、あとで原価計算をしてどうもこれは原価計算高いのじやないかというので又再調ベが来ておる。それから東亜紡織というところも、羊毛は高いときに買つてそれを使つて今度は織物にして納入した。ところが又再協議局というのですか、あそこから原価が高いじやないか、こういう通達が来ているというのですね。そういう問題の処理ですね、今の紙の問題もあるのです。それから東京螺子、東亜紡織、こういう処理する何か機関というものが国にあるのですか、国として或いは何かこういうものを処理するものがなければならないはずだと思うのですが、そういう場合ですね、ただ業者が、利害関係者が個々に折衝しているのかどうか、この間の御説明では、政府が間接に援助するということであつたのですけれども、それは具体的にはどういう形でその問題に関して援助するのか、こういうケースは今後直接調達みたいなことになるといろいろあるのじやないかと思うのです。それで今丁度新聞用紙の問題が出ましたが、それと関連しまして、新聞紙については具体的にどういうふうなこの問題の解決方法ですね、占領下においてどういうふうにやつているのか、それをお聞きしたいのですが……。
  79. 徳永久次

    政府委員(徳永久次君) 多少事務的な問題でございますから私から答弁さして頂きます。  この前申上げました本問題の経過につきましては、只今資料を用意いたしておりますが、遅くも明日配布申上げることにいたします。この問題の経過とそれから政府の処理ぶりというものを御了承得るようにできると思います。今お尋ねございましたこのポイントでございますが、今お話ございました本件は純粋な貿易上のクレイム問題、クレイムに附随して一種の詐欺事件があると予想されているというような事態等に関して、今御引用なさいました占領軍当局に対する納品といいますか、いささか事情を異にいたしております。向うも商売人であります。こちらも商売人であります。その間の契約違反の始末の問題でございます。これは一般に私契約上の問題として、或る程度合理的に処理されておるわけでございます。ただ本件に多少詐欺事件的な疑いもありますので、それがその処置も十分されるようにということ、それから金額なども日本としても大きうございますので、商事事件として処理されるとしましても、関係方面でも日本の重大な問題であるということを十分考慮して、公正に且つ合理的に解決されることを希望するという意味におきまして、日本側在外公館等を通じて関係のいろいろな方面の注意を喚起する。そういうところに政府としてお手伝いして努力しているというようなことでございます。
  80. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私はそのお話はわかるのですが、何かそういう国際的な紛争が起きたときの機関というものがあるのかどうか、政府が間接的にこういうだけでなくて……。
  81. 徳永久次

    政府委員(徳永久次君) これは政府機関ということではございませんが、国際的な商事仲裁につきましては、外国では商工会議所がよく当事者間の話合いのまとまりのつかない場合は仲裁に立つて、第三者的な判断を下すというようなこともやつておるようでございます。日本にも同種の機関日本の商工会議所ではなしに、別に公益法人で、名前は何と申しましたか、同種の機関日本にもございます。で日本側の当事者に客観的なアドバイスをいろいろするような仕組があるわけでございます。
  82. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それは通産省は補助を與えているわけですね。予算を見ますと非常に僅かな補助ですね。一体そういう国際紛争を処理する場合、一つの件についてアメリカへ行つて調べるという場合、一件だけでもあんな補助では問題にならんと思うのです。ですから真剣に政府はそういうことを考えているのかどうかということを伺いたかつたのです。そういう機関があることは私たちも聞いておつたのです。政府機関でなく、民間でそういう国際的、商事的な紛争が起つた場合……。ところが通産省の予算を調べて見ますと、それに該当するところが一つつたのです。この新聞の問題が起きたものですから調べて見たのです。ところが補助金が一件の問題を調査するだけでも著しく足りないと思うのです。ですから通産省としては今後そういう問題が起きたときに、どういうふうにそれに対処して行くか、新聞用紙だけなら問題じやないでしようけれども、今後やはり相当そういうことが予想されるのじやないかと思うのです。そのことをお伺いしたいのです。
  83. 徳永久次

    政府委員(徳永久次君) 私直接の所管でございませんので、どういう程度のことになつておりますか、その点詳細申上げ得ないのでありますが、ただ私承知いたしておりますのは、国際的には先ほど申しましたような商工会議所のような機関が、これはまあ政府の作つたものではございません、民間の業者の作りますそういう機関が当つてつて、フエアーに処理しているということでございますので、日本の場合も政府が財政援助を大いにやつて行くということも考えられますが、もつとそれよりも民間においてそういうものが育つほうが国際的にもいいのではなかろうか。育つ過程におきまして国が若干の補助をしてやるというような気持ではなかろうかと想像いたしておるわけでございます。
  84. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 これは時間も無駄になりますから、もう少し詳しく具体的にお調べになつて、その名前なども私も調べてわかつておりますが、具体的に調べて、今後どういうふうにするか、今後の問題について方針を、後ほどで、別の機会でもよろしいですから明らかにして頂きたいと思います。
  85. 田村文吉

    田村文吉君 今用紙の問題になつているようですが、用紙の問題としてお尋ねいたしたいのでありますが、先ず雑貨といたしまして今度の契約は九千トンの契約で、そのうちすでに入つたものが千トンくらいということですが、これがさつき衆議院の御修正になりました委員のほうからのお話があつたのですが、それはその数字に間違いありませんか。
  86. 徳永久次

    政府委員(徳永久次君) 今のは少し間違つておるかと思いますが、契約総量が九千五百トン、到着しておりますのが七千五トン……。
  87. 田村文吉

    田村文吉君 七千トン着いておるのですか。
  88. 徳永久次

    政府委員(徳永久次君) ええ、それが保税倉庫に入つておるわけであります。そのうち紛争の対象になつておりますものが、契約の量でいいますと九千五百トンのうち六千五百トン、六千五百トンのうち、到着はしておりますが、通関されないで保税にうろうろしておりますのが五千五百トンになつております。
  89. 田村文吉

    田村文吉君 その数字衆議院の御修正になりましたときにそういう数字のもとで御修正になりましたか。
  90. 奧村又十郎

    衆議院議員奧村又十郎君) お答えいたします。無疵でつまり引取られたものが千トン余り、残つたものは保税倉庫へ入つておりまして、この中には不良品もある、こういうことでございます。
  91. 田村文吉

    田村文吉君 そうすると私が伺い偉いしておつたので、全体の数量は九千五トン、そのうち満足に入つた千トンは使える、あとの五千五百トンが新聞紙としては問題になるので、保税に入つている、こういうふうに承知してよろしうございますか。
  92. 徳永久次

    政府委員(徳永久次君) 大体今の溜りで結構だと思います。
  93. 田村文吉

    田村文吉君 なおそういたしますと、衆議院で御修正になりました御趣旨は、そうするとあらかた入つて来た。なお千トンの六千五百トンとしますと七千五百トンですから、もう二千トンくらい入るという可能性があるのだということに御承知になつておるわけですか。
  94. 奧村又十郎

    衆議院議員奧村又十郎君) お答えいたします。千トンばかりの数字の合い違いがありますが、これは提案者の調べた時期と、それから政府委員の御答弁の時期との食い違いではなかろうかと思つております。
  95. 田村文吉

    田村文吉君 要するにそれまでのものは為替がすでにできておるということに承知いたしてよろしいですか。これは雑貨局長にお伺いいたします。
  96. 徳永久次

    政府委員(徳永久次君) ここに数字がございますのでお答え申上げますが、今後入りますもの、これはまだ日本に着いてないもの、通関されてないという意味ではなしに、入りますものが千百五十トン、これは大部分は契約通りの品物で、直ぐに使えるであろうという品物でございます。それから六千五百トンの紛争の対象になつておりますものが、六千五百トンであります。そのうち到着済のものが五千五百六十トンでございます。残りの九百何十トンはキャンセルになつております。これが入らないということになります。これが紛争の解決を待つて通関されるわけでありますが、このうちこれら少量が新聞紙として使えそうだということでございます。
  97. 田村文吉

    田村文吉君 そういたしますと為替を許可なさるのは、これは一体経本でなさることになるのですか、通産でなさるのですか。
  98. 徳永久次

    政府委員(徳永久次君) 只今申上げましたものにつきましてはすでに為替許可の下りたものでございます。
  99. 田村文吉

    田村文吉君 今後はどうですか。
  100. 徳永久次

    政府委員(徳永久次君) 今後のものは今直ちに予想いたしておりません。
  101. 田村文吉

    田村文吉君 大体令すでに入つたものに対しては、さような意味で九月まで延期して処理をする、それ以後のものに対しては為替の許可はなさらんということのように承知いたしてよろしいですか。
  102. 徳永久次

    政府委員(徳永久次君) 将来新規に為替許可を全然下さないかというお尋ねでございますが、我々事務的な問題としては、立場を御了承願いたいのですが、御承知のようにI・M・Cに要請をいたしておるわけですが、これが要請に対してどういう扱いになりまして、返事が来るか来ないかということが前提になるわけです。只今のところI・M・Cは何とも態度をきめていない。又進行状況が非幣にスローモーであるというのが現状でございます。これは従いまして直ぐにどうこうなるということはにわかに予想し得ないことでございますが、仮に来月なら来月中に幾らかの割当があつたという場合まあ事務的にどう解決するかということになるわけですが、先ほど安本長官或いは政務次官からお答えございましたように、もともとこの新聞の建ページ増加という問題も、私ども推測いたしますと、闇の紙まで買つて建ページ増加ということを考えておつたわけでもないし、又私のほうといたしましてもそれまで貴重な外貨を使つて建ページ増加ということを援助したいと考えたわけでもないわけでございます。I・M・Cの割当があるということが一つまあ前提でございます。であつたといたしまして建ページの増加が行われるということでございますが、割当があつても直ぐ建ページの増加はできるわけじやございません。それが到着してということになるわけであります。そうなりますと、その間における事実問題として時期がいつ頃になるかということがこの問題をきめるポイントになるわけです。割当がなければ建ページ増加はやらないので、又それ以上する必要もないということを考えられますので、そうなりますと結局割当があつたとしましても、それが到着する時期における国内の紙の増産の状況ということを見て、本当にその分を輸入しなけばならんかどうかということを事務的にきめればいいわけです。私ども最軒の増産の状況から見まして、そうなりました場合に、恐らく当初予想して知りましたより増産が順調に行きそうでございますが、そうなりますれば仮に割当があつたとしても必ずしもそれを輸入するために為替を組んでやるというようなことは必要でなくなりはしないかと考えております。
  103. 田村文吉

    田村文吉君 それが実は問題なのでありまして今グレー・マーケツトかいろいろなものを入れたから大変まずかつたというようなふうにとれるのでありますが、一体新聞の八ページ建とか十ページ建とかということは、一体どういう基礎からそういうことを仰せになつているのか。昔は成るほど新聞というものは十ページぐらいの新聞を我々は読ませてもらつた、又それに対する数量というものは四千五、六百万ポンドぐらいの数量を毎月使つてつた。それで現在は今年の状況から言えば、大体基準年度の数量に到達する数量が国内で生産されるということでかりますが、如何にも発行部数が非常殖えている。殖えておるためにページ数はそう殖えないけれども部数だけ骨殖えている、こういうような現況に去ると思うのでありまするが、要するこ文化財でございますから、できるだけこれは多く使うということは結構なことで、私どもそういう意見には賛成するわけでございますが、併し国力というものがあるので、国の力が一体それに堪え得るかどうか。高い米貨を使用してまで入れなければならないほど八ページ建というものがやかましく言われなければならんのか。こういうことがまだどうもはつきりしておいでにならないので、ただ八ページ建が絶対必要なもんで、これを動かすベからざるもののようにお考えになつているようでございますが、私が若し新聞社側に立つならば、今八ページ、この次は十ページだこの次は十二ページだとどんどん新聞紙というものは無限に増加したい希望を持つていられると思うのです。これはただ国力というものがそういうものに相応して、幸いに過去においては全部国内産で間に合せておつた。ところが今伺うというと、I・M・Cの割当さえあれば持つて来てもいいんだというようなことで、何かそこに目安がないと、新聞の需要というものは無限に殖える性質を持つているものなんだから、そうすると無限に外紙を輸入しなければならんということになると、又それによつて税金をかけないということになりますると、国内で紙の生産に従事している人たちは非常に不安な状況になりまするから、新聞紙の生産というものは増産しないほうがいいというようなことになる慮れが多分に出て来るのであります。こういう点が通産当局としてもう少し八ページ建、十ページ建ということを、又I・M・Cの割当というようなことに非常に重きを置いておいでになる考え方がどうかと思うのでありますが、強いてそういうことをお考えになつて行こうとするのでありますか、どうですか、それをちよつとお伺いして置きたい。
  104. 周東英雄

    ○国務大臣(周東英雄君) 便宜私からお答します。成るほど日本の国力相応な新聞を出せばよいので、国内産が足らんのに高いアメリカの用紙を使つてまで八ページ建にせんでもいいじやないかという御意見は御尤もであります。ただできるならば今の二ページから四ページになりして来る過程におきましても、新聞社等としては報道機関の任務を果す文化財としてかなり活字等も小さくなつて、あのページに数段余計になつておるようです。これを適当な活字を使つてもとへ帰すということが、一つの文化財として行くベき道だろうと思います。そういう意味合いにおいて私どもも大体田村さんと同じ意見でずつと進んでおりましたが、だんだん国内用紙の増産に伴い、これを二ページが四ページになり、朝夕刊を合同して出すというような形に進んで参りましたのであります。やはりこの目標は一つつてもいいのじやないか、それは何も十ページや十二ページにすることはなかなか大変でしようけれども、小さい版に活字を小さくして余計に織込むということよりも、順次回復するに従つて、持つて行くことの狙いだけはあつてよいと思う。従いまして今度の措置といたしましても、通産当局の考えもそこにあるのでありましてとにかく四ページ建というもの、夕刊を寄せて六ページになつておりますが、この範囲まではとにかくこのままで進んで来たが、これ以上はもう少し殖えたときにやるので、特に免税等の関係におきましても、従来の約束されたる範囲にとどめて置くということも、こういう考え方も、そこに無理をせんという考え方の趣旨が現われておると思います。従つてお尋ねの点において、将来それでは為替を組むか、こういうことであります。これは今為替は絶対組みませんとも組むとも私は言うべき時期ではなくて、それは今後における国内の生産も殖えて参りますが、どういう機会において国内の生産に支障が起きるというようなこともないとも限りません。去年のような電力問題のこともありますので、そういうときには国内の生産が減るかも知れない。ただその際において免税の関係は今度の法律で六カ月だけ延長するので、それ以後もできないことになるかも知れませんが、そこには国内の関係との競争といいますか、国内の産業に対する保護の問題も併せ考えてあると私は思うのであります。併し御趣旨の点はその線に沿つて国内においても増産を図つて頂いて、これに対して協力をお願いをして、できるだけ外からの紙を入れないようにするという方針は政府は堅くとつておる考え方であります。
  105. 田村文吉

    田村文吉君 御説明了承いたしましたが、さつき衆議院の御修正なされました御趣旨としては、今入つておるものの善後処理としても止むを得ないからなさる、こういう意味だけでお話を承わればよいのですが、IMCの割当があればいつでも持つて来るようなことをおつしやると、それじや国内の産業がどうなつてもいいのだというふうに通産局でお考えになつていらつしやると非常に大きなこれは間違いで、又それならば内地の業者という者も、いつやられるかわからない、殊にIMCの割当で来るものというのは非常に値段が安いのです。安いものが若し許可がとれれば、その安いものになお無税にしてまで入れるということになりましたならば、とてもなかなか国内の中小メーカーだけじやない、大きなメーカーも皆参るということになると思いますので、私はそういう割当があつたらいつでも入れるのだというようなことは困るのでありますという意味をお尋ねしたのですが、今長官の御答弁でそういう意味ではいらつしやらない、こういうふうに私は解釈して、非常の場合、非常の変化があるというような場合、これはどういうことが起るとも限らん、これは私ども納得ができるのであります。ただ今後の産業方針としてそういうふうのことを考えて頂いては困るということを私は強く申上げた意味なんでありまするので、この点が周東安本長官のお考えが私と同じふうであれば、私はそれで納得して質問孝打切りたいと思うのであります。
  106. 大野幸一

    大野幸一君 紙の関係が起きて来たということは、やはり米国人と日本人間の商取引間からこれは起きて来たのであろうと思います。ところがそれが取引に不正があり、詐欺事実があつたという、こういうだけの報告では物足りないので、而もこれが問題になつたということは、この国会で、日本国会で問題になつたということは私は非常にいいことだろうと思う。これもやはりアメリカの正義観に訴える特にいいチヤンスであろうと思う。そこでその具体的なことをもら少しどういう経過を経てどういう取引をして、どこに不正があつて誰が詐欺行為をしたのか、こういうことを説明願いたいと思います。
  107. 周東英雄

    ○国務大臣(周東英雄君) その点は先ほど政府委員から答弁いたしましたように、書類にして詳しく御説明するようであります。明日提出するそうであります。
  108. 大野幸一

    大野幸一君 いや、それは私の言うのはそれを特に速記録に載せてもらいたい、そういうことであるから、概略でもよろしいが……。
  109. 徳永久次

    政府委員(徳永久次君) この取引の当事者等の事情を申上げますが、新聞社は全新聞社ではございませんが、相当多数の新聞社の注文に基きまして、輸入商社といたしましては東邦物産、それから扶国商事、協和交易の三社が日本の輸入商社としてタッチしたものでございます。発注しました相手かたはトランス・アメリカン・インダストリーズ・カンパニーという商社でございます。その商社に千五百トン発注したところが、到着いたしましたものが新聞の標準サィズに合致するものは殆どない。殆ど全部がそれよりインチが大きかつたり或いは小さかつたりして、紙質も極めて不同であるというようなものが入つて来ているわけです。余りに紙の違いが激し過ぎるので、いろいろ調べたところによりますと、相手かたの商社は故意にそういう寸法のものを、日本側の注文のものと違います寸法のものをカナダの国内の製紙メーカーに注文をして、それを積出させているというような事実がわかつているわけであります。その点が私ども先般来申上げましたような、軍純な契約違反、ミスに基く契約違反ということでなしに、或る程度計画的な、詐欺的な計画があるのではなかろうかと十分推測し得るのではないかと考えておるわけでございます。そういうような経過でございますので、この問題の解決には直接の当事者でありますトランス・アメリカン・インタストリーズ・カンパニーをクレイム問題として、早速相手かたにその契約通りの履行を要求する措置をとつているわけでございます。その需要者でございます、日本で言えば発注者であります新聞社としても、一部これの輸入商社の為替銀行への取引の連帯保証といいますか、というようなことをして信用を與えているというような関係もございますので、注文者であります新聞社も被害者の一人になるというような事情もございますので、より痛切にこの相手方の不信行為に対しまして利害関係を感じているわけでございます。従いまして新聞社としましても、アメリカの国内の新聞の輿論といいますかに訴えるような措置をとつているわけでございます。  政府としましてもこの解決につきまして、外務省から在外公館を通じて米国の政府当局にこの問題についての公正な解決についての援助を日本政府として懇請しております。司令部に対しましても援助方を懇請いたしておるわけであります。なおこの刑事事件の、先ほど申しましたような詐欺の疑いもございますので、アメリカ国内において詐欺罪としての告発という措置もとられているようになつておりますか、とろうとしておりますか、その辺あいまいでありますが、というふうに承知いたしております。
  110. 大野幸一

    大野幸一君 その関係者のうちに商人ばかりでなくて、何か向うからこつちに来てこつちの検事をしていた男が関係している、日本の婦人も関係しているということであるが、そういう事実もあるのですか。
  111. 徳永久次

    政府委員(徳永久次君) 先ほど申上げました取引先でありますトランース・アメリカン・インダストリーズ・カンパニーの副社長のキヤフェロという人が日本におります際に、CIDの検事をしているというふうに聞いておりました。
  112. 大野幸一

    大野幸一君 その規格に合わない紙でありますから、それは新聞紙の用途には将来使えない、そういうことになると、ほかのところへこの紙が流れて行くということになるので、今のこの免税によつてそれを何ら救済することにならないと思う。この事態は……。政務次官の話によると、保税倉庫にあるものを引取らなければならない、それを保護しなければならない、こういうことは全然矛盾するようだが、その点はどうか。
  113. 徳永久次

    政府委員(徳永久次君) ちよつと申落しましたが、先般来申上げたのですけれども、六千五百トンのうち五千五百六十トンほど輸入されて、保税でうろらろしておるのでございますが、そのものとその以外のものが、すでに入りましたものが約千五百トン、今後入りますものが千百トンほどあるわけであります。このいずれも入りました値段は現在国内価格より高いわけであります。で今後入りますものは、免税が御承知の通り三月一ぱいで切れるといたしまして、国内より高いわけでございますし、而も三月実は入るつもりで契約して、いろんなことで遅れた、これは免税しても、国内の製紙業界には少くとも値段の上の影響を與えないということは言えようかと思います。更に現にこの保税でうろうろいたしております五千五百トンのうち、全部が新聞紙に使えないということじやございませんのです。このうち一部標準寸法の倍くらいになつておるものがあります。それを申分に切れば使えるというようなものもあるわけであります。而もその紛争の解決と見合つて、或いは他方、国内のインポーターの金繰りの関係もあると思いますので、そこらとまあ見合いながら、数カ月内に通関の手続が今後なされるものと思います。而してもともとその値段が高いのもで、当初予定いたしておりました免税の措置、その限度においては十分與えて然るべきじやないかと思います。
  114. 波多野鼎

    波多野鼎君 聞いているとだんだんわからなくなるのは、大体こちらへ来て保税倉庫へうろついておるのを、その紙を引取るまで、九月まで免税にしてくれという話、それが衆議院の修正の基本の考え方じやないかと聞いたんですけれども、ところが、その保税倉庫にうろついているのを引取るのは、紛争が解決したあとじやなければ引取れない、今後一、二カ月に解決する見込はないと思う。そうだとすると、又六カ月過ぎた後文六カ月の延長をする、何だかいつまでもそれに引つかかつているような気がするのですが、どうなんですか、衆議院のほうの修正の意味は……。
  115. 奧村又十郎

    衆議院議員奧村又十郎君) 私ども修正の考えは、一応三月三十一日まで輸入する分は無税という予想の下に輸入した分が今問題になつておる。ところが現に保税倉庫でうろうろしておるもののほかに、なお既契約で未到着のものが千百トン余りある。こういうものの処理を予想いたしますと、九月三十日ということで一応打切つたほうがよかろう、こういうふうに考えた次第であります。
  116. 波多野鼎

    波多野鼎君 そうすると保税倉庫にあつて紛争の種になつておるものの、これの解決が付くか付かんかということは別にお考えになつていないのですね。
  117. 奧村又十郎

    衆議院議員奧村又十郎君) 提案者としては、この保税倉庫の紛争の種になつておるものについて深く立ち入らずに、一応三月三十一日で免税を予想し輸入した分の処理ということをまあ眼目に置いた次第であります。
  118. 波多野鼎

    波多野鼎君 三月までに免税を予想して輸入契約をしたというものの中には、保税倉庫で引取りようもないものも入つておるのですね。それはどういうふうにお考えですか。それも九月が来れば、引取らないまま、紛争の種のまま打切つてしまう、元の原案の一割に帰るというお考えですか、提案者の意向は……。
  119. 奧村又十郎

    衆議院議員奧村又十郎君) 大体九月三十日までにそうした問題も解決が付くという予想を持つております。
  120. 波多野鼎

    波多野鼎君 そうすると保税倉庫でうろついておるものも対象の中に入つておる、今後到着する一千何百トンですか、これも勿論対象の中に入つております。同時に保税倉庫に入つておるものも、まだ引取つていない以上は輸入したとは言えない、輸入の途中ですが、それも勿論お考えの中に入つておるということになると、同じ趣旨で行けば、九月までに解決しなければ又半年なり一カ年なり延ばして行け、この紛争が解決するまで延ばして行けということになるのですか、その辺はどうですか。
  121. 奧村又十郎

    衆議院議員奧村又十郎君) 九月三十日までにさような紛争は一応片付くものと予想いたしておるのでありまして、十月一日以後のことは、紛争の問題に関連してどうしようというふうには考えておりません。
  122. 大野幸一

    大野幸一君 それではそのときにその紛争が解決しなければ、又六カ月延ばすということもあり得るという趣旨に提案をしておるのですか。
  123. 奧村又十郎

    衆議院議員奧村又十郎君) 九月三十日現在で紛争が片付かない場合には、いま一度免税の措置をするというふうなことは、只今のところ考えておりません。
  124. 大野幸一

    大野幸一君 そういう特定の物品に対する免税を図るために、一般的な関税の定率を免除するというようなことほ、これは国際的に非常に損なことである。それならそれで附則でなぜ……何も法律であるから、特定のこの事件についての免税をするということもあり得ると思う。そういう点についてどうも意見が一致しないようだが、どうですか。そういうことを考えなかつたのですか。
  125. 奧村又十郎

    衆議院議員奧村又十郎君) 提案者といたしましては、先ほども申上げましたように、この保税倉庫における紛争の問題には深く考慮しておるわけではありませんので、ただこの無税を予想して一応既契約された分の輸入の完了までの時期を見越して九月三十日ということを考えた次第であります。
  126. 波多野鼎

    波多野鼎君 今保税倉庫に入つているものもまた未輸入でしよう。輸入されたとは言えない。今後船で積んで来る一千何百トンのものは勿論未輸入ですけれども、それと性格は全く同じものです。保税倉庫に入つてつても……。ですからそれを考えなかつたというのは少しおかしいのであつて、当然お考えになつて然るべきものだと私は思う。同時にこういう詐欺事件に引つかかつた問題についての関税の特別措置を講ずるということは、別の方法でもできたのじやないかというふうに、関税定率をいじらなくても、別の方法をお考えにならなかつたかということをもう一度伺いたい。
  127. 奧村又十郎

    衆議院議員奧村又十郎君) この保税倉庫に現に紛争の起きている問題を考慮に入れて、九月三十日に延ばしたわけではありませんので、この九月三十日に紛争の問題が処理付く付かないにかかわらず、九月三十日までは免税にする、十月一日からは一割課税するという、こういう提案者の考えでありますから、紛争とは切り離してお考え願いたい。
  128. 大野幸一

    大野幸一君 それは表面だけで、この問題が起きて来たのは、その問題からこういう問題が起きて来たということは、先ほど安本政務次官が言われた。仄聞するところによると、衆議院ではそういうことがあつてこういうことになつたのだと、ちやんと言われているのです。そこで業者のことはともかくとして、業者の運動やら業者のいろいろな陳情や、いろいろなことからこういうことをいじられては困る。我々はとにかく国際関税協定に入る場合の日本の権威のために、それでこういう問題について愼重を期しているのだ。そこでこれは特別なら特別で、何も正々堂々と特別法によつて救済すればいいのじやないかということを、意見をあなたに申上げている。  もう一つ、通産省の政務次官にお聞きしますが、一体こういう取引をするときに、通産省は何らの斡旋、アドバイスもしないのですか、無関係でいるのですか、こういう点は……。その点はどうですか、責任はないのですか。
  129. 本間俊一

    政府委員(本間俊一君) 取引をいたしますときに、商取引の條件その他はいろいろ検討いたしまして許可をいたしておるのでございますが、御承知でもあろうと思いますが、コンマーシヤル・べースでやつておることでございまして、それが両方の業者の間で紛争が起きまして、直ぐ役所が責任を負うということにもできんかと思いますが、先ほど局長からお話を申上げましたように、今できるだけ援助をいたしまして、いろいろ面倒を言おけるわけでございますが、一々為替の許可をいたしましたから、直ぐ通産省がその責任を負うというふうには考えておらないわけでございます。
  130. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私は別の角度から提案者にお伺いしたいのですが、それはほかの、関税をかけるときに、日本の木材資源というものの保存という点も考えられておると思うのです。先ほどの御説明を聞きますと、何んでも国内で自給さえつけばいいのだと、それで今後国内でパルプを使つてどんどん新聞紙を増産される。ところが片方において伐採制限というのが出て来るのですね。木材を制限しなければならん、その目的は治山治水とかそういうところもあるでしようが、結局は木材の消費制限ですね。そういうものと勘案して、そうして何でも外貨を使つちやいかんぞ、貴重な外貨だから国内で自給できるものに成るべく外貨は使つちやいかんと、こういうわけにはいかんと思うのです。やはり国内の資源保存という点からも考えなければならない点があると思うのです。併し外貨も物に換えられない外貨だけ持つてつても何もならないと思う。そういう点もあると思うのです。ですからそういう広い見地から見て、私は片方でほ、それはパルプ材と建築材とは違いますけれども、木材全体として何か足りないということを聞いているのです。窮屈になる。それで伐採制限というものが出て来るのです。ところが一方ではパルプ材をどんどんつかう。新聞用紙のほうに使つて、国内的に自給できる程度になる。それは外国から輸入しなくてもいいようになる。こういう点がどうも私どもはわからないのです。木材の需給関係についてよくわからないものですから……、こういう点からもやはり考える必要があるのじやないかと思うのですが、そういう点一応御検討されたのかどうです。
  131. 奧村又十郎

    衆議院議員奧村又十郎君) さようなつまり国内の資源を保存するという点本考慮すべきだとは思いますが、併し関税の問題を考えるのに、ただ関税の面から国内の資源を保存するために考えるのだということではいけないのじやなかろうかと思うのであります。今回特に九月三十日まで無税にいたしまして、十月一日から一〇%課税するということは、一応電力の危機なども解消いたしまして、新聞紙の需給の状況が、安定度がかなり増して来たということの面に重点を置いて提案した次第であります。
  132. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それは関税だけからじやないのです。関税を考える場合に、御承知のように国内産業の保護、それから財政収入の確保、それから国内資源の保存、こういうものも勘案して考える必要があるのじやないかと思います。私は関税だけを言つておるわけではないのです。ところが他方で伐採制限というものが出て来なければいいのです。それは木伐が非常に豊富にあつて、いいというならいいのですが、ところがどうも最近のように片方では新聞用紙を作るのには非常に豊富になつて来ておるような、国内でどんどん増産ができるような態勢……、ところが他方において伐採制限が出て来る。これは農林省の人にでも聞かなければならないんでしようが、その点を十分私は考える必要があると思うのです。関税を考える場合はそれも一つの考慮に入るべきであると思う。そういう意味で御質問したのであります。それでは木材の需給関係その他については又別に農林省あたりに質問いたします。
  133. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 印刷用紙に対する質疑はこの程度にして切上げて御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  134. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) それでは印刷用紙に対する質疑はこれで打切ります。  それでは時間も大分経過しましたから休憩にいたします。    午後一時十六分休憩    ―――――・―――――    午後二時三十七分開会
  135. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 午前に引続き委員会を開会いたします。  関税定率法等の一部を改正する法律案、これについて一つ、新聞紙のほうは済みましたですが、建染染料、これについて質疑をお願いいたします。
  136. 波多野鼎

    波多野鼎君 修正案についてちよつとお伺いいたしますが、修正の第二の点ですけれども、建染染料以外の例の何とか言いましたですね、ちよつとむずかしい名前だから覚えていないが、ピグメント・レジンカラーの問題ですが、これは国内でできないとか、特許の問題があるとかいうお話ですが、政府からその点を一つ説明して頂きたい。
  137. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 事務的に御説明申上げます。  特許の関係につきましては、先にドイツのイーゲー会社が一九三一年、昭和六年日本で顔料捺染、即ちピグメント・レジンカラーの特許を取つておりました。これは特許は御承知の通り十五年で期限が切れますので、すでにイーゲー会社の特許のものは日本では自由に作れるわけであります。終戦傍アメリカのインター・ケミカル・コーポレーションという会社日本に十の特許を申請して参りまして、いずれもピグメント・レジンカラーに関するものでありまして、その中の九つの点につきましては登録済みでございまして、確定いたしております。ただ十の中の一つについては、日本側から異議の申立が出ておりまして、まだ確定いたしておりません。その一つと申しますのは、ピグメント・レージン・カラーの組成及び使用方法等に関するものでありまして、およそピグメン・トレージン・カラーに関する根本的な問題の点であります。一方又日本側におきましては現在特許庁に四つのピグメント・レージン・カラーに関する特許の申請が出ておりまして、特許庁で一応審査いたしまして目下公告いたしておりますが、これに対しましては反対にアメリカ側のインター・ケミカル・コーポレーションが異議の申立てをしておる、こういう状況でございます。
  138. 波多野鼎

    波多野鼎君 これは、こういう話も聞くのですが、ケミカル・コーポレーションとの話合いを業者が進めておるというような話も聞きましたが、それはどうなんですか。
  139. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 私の仄聞いたすところによりますと、これは昨年中に化成品工業協会がインター・ケミカル・コーポレーションへ特許権の譲受けの申入れをいたしておりまして、これに対しまして近くインター・ケミカル・コーポレーション会社の副社長が日本にその問題について来られるということを聞いております。
  140. 波多野鼎

    波多野鼎君 特許権の問題はいろいろ複雑な問題があると思いますが、インター・ケミカル・コーポレーションの話合いがつけば、日本で生産の能力がありますかどうですか。
  141. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) ピグメント・レージン・カラーは御承知の通りに顔料を合成樹脂で溶かした塗料でございまして、顔料は勿論日本で生産を現にしております。それから合成樹脂は日本の新興産業でございまして、いずれも日本において技術的には製造可能でございます。
  142. 波多野鼎

    波多野鼎君 このピグメント・レージン・カラーの生産は国内では可能である。問題は特許権の問題にかかつている。その特許権の問題についてもいろいろ話合いが進んでおるということは確認していいのですね。
  143. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 通産側からもお答えがあると思いますが、確認してよろしいと思います。
  144. 波多野鼎

    波多野鼎君 もう一つ建染染料の問題ですが、これを二〇%を一五%に引下げるという衆議院の案でありますが、これは主たる理由はどういうところにあるか、一つ説明下さい。
  145. 奧村又十郎

    衆議院議員奧村又十郎君) お答えいたします。最近国際的に織物の染色の堅牢度が高まつて参りまして、堅牢度の低い製品はだんだん輸出ができかいということになつて参りましたことは御存じの通りであります。そこで通産省といたしましても、今年の一月には特に染色の堅牢度を高めるということについて業者に勧告をいたしておりまして、今年の六月からは堅牢度の低いものについては輸出を禁止するというふうなことの通牒まで出しておるほどであります。従いましてこの堅牢度の高い染料でありますところの建染染料についての必要度が高まるということであります。而もこの建染染料の大部分は国内ではできない、輸入に待つほかないという実情であるのでありまして、私どもといたしましては、輸出を促進すると申しますか、加工貿易を促進する面からして一応一五%にするのがよかろうと、昨年の衆議院の案もそうでありましたので、これを実現いたしたい、こういう趣旨であります。
  146. 波多野鼎

    波多野鼎君 堅牢度を高めるということは同感なのであります。その必要はあると思うのです。ただ今の御説明では、日本で需要される建染染料の大部分が国内で生産できないという根拠に立つて関税を一五彩下げるという御説明と承わりましたが、去年から我々のほうでもこの問題はいろいろ議論した点でありますが、この国内需要の建染染料は一体どの程度生産供給ができるのかということについての政府側の御説明を願いたい。
  147. 中村辰五郎

    政府委員中村辰五郎君) 大体需要関係から品種の点を申上げますと、大体七十から百くらいの品種が需要せられると考えます。この建染染料に対しまして、二十六年度以来その増産対策をとつておるのでありますが、二十六年度末においては生産能力は二十品種で百十四トンでございます。実績は十六品種で二十二トンでございます。二十七年度末には生産能力は三十一品種、二百二十四トンとなる予定で、二十五品種八十六トンを生産する計画を持つております6  なお念のために申し添えますが、配合によりまして得られるものを挙げますと、品種は四十二品種に上ると思います。なお品種的に申しますと以上のようでございまするが、この四十二品種を数量的に見ますと、需要の七〇%建染染料の需要の七〇%から八〇%を充足するものと考えております。更に企業家の立場から、これらの需要品種のうち、企業家において企業化の意思のない品種がおおむね二十品種でございます。なお企業家において研究等をいたしておりまするものが二十品種程度でございます。
  148. 波多野鼎

    波多野鼎君 そうしますと先ほど修正案の根拠とせられました大部分は国内で供給できないという一つの根拠は、今の政府側の答弁によりますとこわされたと思うのですが、如何ですか。大体今国内需要の七〇%乃至八〇%は国内生産で賄えるという実情にあるのだという政府側の答弁であります。衆議院側においてはこういう事情を考慮せられた上でなお一五%に下げる必要があるという結論に到達されたのであるかどうかということを一つ伺いしたい。
  149. 小林政夫

    小林政夫君 今の政府委員の肩書は何です。
  150. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 化学局長です。
  151. 奧村又十郎

    衆議院議員奧村又十郎君) 政府の御説明は、つまり能力があるということの御説明であつて、現実に生産は能力ほど行つていない。この能力を現実に生産に持つて行くということについてはほかにも條件があると思います。第一に能力があつてもそれを注文しなければできない。つまり特にこの安定需要がなければ能力を発揮することはできないというふうな問題もあるようであります。而も一方染織業者の、つまりこれを使用する側に言わせると、必ずしも能力があるとは見ていない。その点が問題になるのでありますが、現実に昨年の実績で行きますと約百八十トンの需要に対して実際生産の行われたのは三十トンこういうことでありまするので、今のところは必ずしも国内生産品で充足するとは私ども考えていないのであります。
  152. 小山長規

    衆議院議員(小山長規君) ちよつと補足して説明させて頂きたいと思います。大蔵委員会の理事であります。  只今奥村委員からも申上げましたように、衆議院側がいわゆる建染染料を引下げることを考えましたのは、染料を作る側の人たちの意見を聞き、それからこれを使用する人の意見を聞いて総合参酌してきめたのでありますが、先ず第一の問題は生産能力はある、それから現に品物は作つているのであるという製造業者の説明に対して、使うほうの染織側の言い分は、どの染料を使うかということは注文先の注文によつてきまつて来るのである。従つて例えば今年は黄色の色がはやるだろうというので黄色系統の色を製造業者のほうが用意しておりますと、案外そうでなくて赤の系統がはやる。それで赤を注文しようとすると、今度は赤系統のものは出ないという実情にあるのである。こういう説明であります。そして製造業者のほうに、然らばあらゆる品種の色を用意しておいたらどうだろうかということを我々のほうから質問いたしますと、資本が足りないのでそれらのものを全部用意しておくだけのカがないのである、こういう話であつたのであります。  そこで私どもが考えましたのは、現在高級染料を使いました品質の生地は国際的に非常な競争になつております。而してその値段は一ヤールについて一セント、二セントを争りような激しい国際競争にさらされている。そこで国内で無理に必要があるかないかをわからないままに見越生産をやつていると非常に高いコストになつてしまう、それを使つたのでは染織業者の輸出能力が阻まれてしまう。こういうところに我々が判断の基礎を下しまして、先ず染織業者が激しい国際競争の中に入つて行くのには少しでも安い染料が手に入る方法を講じてやる必要がある。そこで安い染料ということになりますと、外国品ならば自由に、例えばそれが赤であろうが黄色であろうが、緑であろうが、自由に手に入る状態にあるにかかわらず、国内業者にそれを注文しようとすると見越生産が間違つておりました場合には改めて作る関係上時間が非常にかかるのと、仮にそれができても非常にコストが高くなる。こういうことでありますからして、先ず染織業者と染料の製造業者との問題を考えた場合に、これは両方共互いに共存する立場にある関係業者なのでありますが、先ず助けるのは染織業者じやないか、染織業者が立行き、而してそれが非常な勢いでそのまま日本で染めた物が外国へどんどん輸出されるということになれば、この染料の安定需要というものはどんどん殖えて行くのじやないか。従つてそれは最後には日本における染料の製造業者の利益に合致する。若しそれを反対に、染料製造業者が今出来るのであります、能力はあります。それからやろうと思えばできる資金さえ十分にあればできるのでありますというふうなこの言い分を聞いておりますと、一セント、二セントを争うという場合には間に合わないのではなかろうか。そうして結局染織業者その者があつちでつぶれこつちでつぶれて、国際競争に勝てないような状況が起つて来る。従つてそれは染料製造業者自身の不利益になつて来る。従つて終局の目的は染料製造業者の救済にあるが、差当りは染織業者その者を活かす途を講じ、そうしてそれによつて安定した需要を與えて、染料製造業者自身を最後に救済する遂に持つて行きたい。これが衆議院が二〇%の関税を一五%に引下げようと考えた主たる点なのであります。
  153. 波多野鼎

    波多野鼎君 私は今の御説明を承わりましたが、もつと大きな日本の経済再建の見地からものを考えているつもりなんです。日本が軽工業で立つのか、或いは軍化学工業を今後発展させなければならんかということは、国策として非常に大きな問題であろうと思つております。軽工業の見通し等につきましては、私はそんなことは申上げませんが、とにかく日本の吉田内閣においても電化学工業を中心に経済政策を立てなければならんということははつきりした線として打ち出されております。最近の経済安定本部の資金の需給計画を見ましても、そういう考え方で資金の需給をやつて行こうというような考え方が出ていると思います。そこでそういう見地から私はものを考えているのでありますが、今成るほど国際貿易が非常に、特に綿業界においては非常に競争が激甚であるということは私も十分承知いたしておる。同時に又これが單に染料化学の問題のみで解決できる問題であるとは考えておりません。そうでなくて諸外国が、特にイギリスあたりが、イギリス帝国ブロック政策をはつきりとつて来ているということ、それから又アメリカあたりにおきましても、日本からの輸出品に対して相当高い関税をいろいろな品物についてかけ始めて来ている。第二次世界大戦以後における通商の自由という大原則は片端からぶちこわしておつて、それから各国とも経済的な自衛手段をはつきりとりつつある。その経済的自衛手段をとりつつあるときに、日本においては重化学工業というものの本当の基礎を培わなければならないという考え方を自由党がとつているのは非常に結構なことだと私は賛成しているわけなんです。そういう経済的な自衛手段をとる場合に、関税問題というものは一時の問題でなくて、相当私は恒久的な見通しを立てて、日本経済をどう再建するのかその方針からこの問題は取扱わなければならんと思つております。応立場だけ申上げましたが、とにかくこの染料の関税の問題につきましては、ドイツのイーゲーが世界的に制覇をいたしております。イーゲーの独占会社が世界的な威力を振つている。アメリカあたりでも勿論現在の染料では足りない。足りないからアメリカあたりではあのような染料工業が、日本に比較して高い染料工業を持つているアメリカにおいてすら、重課税として四五%を課けているという実情に我々は眼を蔽うことはできないと思う。  少し討論のようになりましたので恐縮でありますが、私は衆議院における今お考えの点、こちらを助けておいたら結局こちらも助かるというそういうお考えにはちよつと同感ができないのでありますが、それはそれといたしまして、政府側に一言聞いておきたいのは、これだけの七〇%乃至八〇%の生産能力を持つておるという企業が一五%に関税が引下げられたことによつてどういう影響を受けるかということと、それに対して政府はどういう対策を持つているかということと、それから他方染織業者のほうは一五%に引下げられたことによつて、例えば従来からしばしば起つおつた外国商社のクレイムが完全に防ぎ得るのか、それから又これによつて多少でも輸出が伸びる見込ができるのか、そういう点の見通し、この二点について政府側から答弁を願います。
  154. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 只今お尋ねのございました第一点の、関税率が、二〇形の現行率が仮に一五%に引下つた場合に、最終製品にどの程度の価格的な影響があるかという、その点だけにつきまして私から御説明申上げますと、建染染料を使用いたしまして最も濃く染め上げました場合と、中程度の染め上げの場合と、それから薄い染め上げの場合と三つに分けて計算をいたしてみたのでありますが、その場合に、最も濃い染めの場合におきましては、最終製品に及ぼす五%の相違は、最終製品の価格に対して一%でございます。それから中等程度の染め上げの場合におきましては〇五%、薄い染めの場合には〇二%の影響がございます。その点だけ私から取りあえず先ずお答え申上げます。
  155. 中村辰五郎

    政府委員中村辰五郎君) 只今波多野委員の御質問のうちの、税率引下げの後における染料工業に対する対策と申しますか、そういうものについてお害え申上げたいと思います。建染染料のうち、特に高級染料としまして政府が助長しておりますいわゆるスシン系染料につきましては、従来法人税免除の保護をいたしておりまするし、国産化に必要な資金につきましては開発銀行等の国家資金によりまして従来助成して来ております。二十七年度においては、新らしい品種につきましての計画は国家資金の立場から考えておりませんですが、将来このスレン系染料の国産化について必要な、又適正な計画がございましたら、そういつた資金的援助を図る考えでございます。なお染料工業と申しましても、建染染料もその中核をなすものでございますが、染料工業自体の基礎を固めるというような意味合いにおきまして二、三政府が考えております事項を申上げ、染料工業全体の確立と申しますか、そういうことの方策についての二、三を申上げたいと思います。一つは、先般企業合理化促進法が制定されまして、このいわゆる特別償却の措置によります助成方式を中心とする法律でございますが、この法律の適用業種といたしまして、染料工業の基礎になつております染料中間体製造業を指定いたしまして、これが所要の施設に対する政府の保護措置を考慮いたしております。なお染料工業に直接結び着きまして、同時に染料工業と裏腹をなします染色加工と申しますか、この方面に対します企業の合理化という面から、間接的に染料工業に重要な役割を果して、関連を持ちます染色整理業というものも、この企業合理化促進法に指定せられまして、今後におきます染色工業の技術の高度化というものについての効果を所期することができるのじやなかろうかと思うのであります七なお、更に原料でございますベンゾール、或いは工業塩というような重要な、染料工業にとつて大事な重要原料についての価格のできるだけ低下を図るという意味で折角今努力中でございます。なお更に、こういつた輸入税を引下げる措置というものが、輸入関係からいたしまして、折角今日まで国産化して重要な形まで伸びて参りました建染染料、特にスレン系染料というものが相当著しい影響を受けて、この染料政策というものに非常に困る結果が起るというようなことがございます場合においては、従来輸入染料の資金の割当方式が、原則として自動承認制というようなことになつておりますが、特に高度の高級染料についての輸入方式というものを、この際、再検討するというような必要が起つた場合、我々としてはそういつた検討を、何とかしてこういつた国産化について重要な部面の必要な措置をとりたいという工合に考えております。
  156. 波多野鼎

    波多野鼎君 政府のほうの、関税が引下げられた場合にとるべき方策について承わりましたが、まあ細かいことは今時間がないから聞きませんが、とにかく折角ここまで国産化の途を進め、そうして経済自立の方針を進めて来たものを、ここで挫折させるというようなことがあつてはならないと思うので、万全の措置をとつてもらいたいと思うのです。なおもう一つ伺いしておきたいのは、日本がこの激しい国際場裡に立つて、繊維製品にしろ、染料工業にしろ、何にしろ、この国際場裡において伸びて行くためには個々の業態に着目した政策だけでは私は駄目だと思う。そんなことではあつちが立つたらこつちが立たぬというようなことで、いつもあつちを変え、こつちを変えるというようなことになりまして、国際場裡では勝てないと思う。最も大事なことは、この問題については例えば紡績業、それから染色加工業、それから染料製造工業、この三つを総合的に救い上げて、そうして国際競争に勝つ体制をとる、これが一番大事ではないか。この前、昨年この問題が当委員会において討議された場合にも、私はそれをやかましく言つた一つ一つの業態を取上げてああだこうだと言つてつたのでは、この国際関係では敗ける。そうでなくて、関連する産業は全部一括して、総合的にこれを保護して行く、総合的に保護して行くという政策をとらなければ駄目だということを繰返しこの委員会でも主張しておつたのでありますが、そういう点について紡績、染色、染料、この三つについて、何か総合的に話合わせるというような方針は、政府のほうでは持つておらんかどうか。それを聞きたいと思います。
  157. 記内角一

    政府委員(記内角一君) 私繊維局長でありますが、染料等の総合のことになりますが、染色の繊維の輸出は漸次これを高度化しなければならん。自然生地よりも晒しの物、晒しの物よりも染色関係の物を出して行かなければならんということは、我々も絶えず気を配つているところでございます。自然その関係においては紡績、織布並びに染色の関係を十分合理化し改毒して行くと同時に、その染色の原料でありまする染料についても同じような見地がら、これらの発達を望んでおるわけであります。自然三者の総合的に並行して伸展して参ることを我々としても十分希望しておるところでございます。
  158. 波多野鼎

    波多野鼎君 何かそういう対策というか、政策をただ希望しておるというだけの話ですか、そういう考え方がいいということを言つているだけなのかそれとも具体的に何かしようとしておるのか。
  159. 記内角一

    政府委員(記内角一君) そういう考え方の下にあらゆる施策をしておるわけであります。特にこれが具体的にこの案だということはございませんけれども、大体そういう方向の下に、只今お話のありました企業合理化促進法の面においても染料工業並びに染色工業を業種に指定してやつておりますし、又開発銀行の融資の対象としてもこの両者を取上げておる、或いは又税金関係で償却の年限の取扱というふうな面におきましても、こういうことを頭において、いずれもこういう問題を取上げておるというような点でございます。
  160. 波多野鼎

    波多野鼎君 僕の言うのは、こういうことなんですよ。紡績は紡績業として独立して高率の利潤を挙げる、染色業は染色業として立つて行かなければならん、染料製造業者は染製造業者として立つて行かなければならんというようなこと、或いはお互いに利益を取り合うというようなことではいかんじやないか、そういう点について何か調整の方法を考えておるかということなんです。つまり国内で争つてつたのでは外国に対しては弱い。国内が一本になつて、こういういろいろな業態が一本になつて協調して進まなければ、海外貿易には勝てないという意味なんですがね。そういう点についての何か対策は講じておられるかということです。
  161. 記内角一

    政府委員(記内角一君) その問題につきましては、染料業者と輸出商社或いは紡績業者或いは染色業者方面と絶えず緊密な連絡をとらして、今申上げたような見地から協力をさしておるわけでございます。
  162. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 この際、ちよつと化学局長にお伺いしておきたいのですが、先ほどの御説明では、大体日本の染料は七、八〇%賄い得るというお話ですが、それは賄い得るというだけであつて、価格の面であるとか或いは品質の面については外国製品とどのような懸隔があるのですか。
  163. 入江明

    説明員(入江明君) 少し話が概括的になりますけれども、染料の価格と申しますのは、厳密な意味から言つての原価計算では行つてはおりませんので、大体が国際的に競争が激しい所は安く輸出する、競争のない所は高くするというのがドイツ染料以来の慣例でございましたので、価格につきましても、必ずしも輸入品と国産品とで、国産品が高いとか或いは輸入品が高いとか言い切れないのでございまして、或るものは国産品が安くなつております。或るものは国産品が高くなつております。一般的に申しますと、やはり原料等が諸外国に比べて日本割合に高いものでございますから、割高となつております。そこでまあ関税率をどのくらいにきめるかという問題になつて来るのでございますが、なお品質につきましては、必ずしも日本のものが全部悪いというわけじやなくて、十分これで使えるという認定を得たものも相当品種ございます。建染染料の輸入等につきましては、常に染色業者と染料業者と懇談いたしまして或る程度きめておつたわけでございます。現在二十品種ばかり国産でできるということになつておりますが、これらも或るものは数量的にまだ足りないというものもございまして、これらについての輸入数量を如何にするとかいうようなことは、相当な議論はございますが、大体毎期染色業者と懇談の上きめておつた実情でございます。なお能力は百トンもある、併し生産は二十トンしかないじやないかというような話が先ほど出たわけでございますが、これは同様に、私のほうで見込みました需要が百数十トンあると言つてつたものが、現実には五十トンくらいしか使われておらない、こういう点も見逃してはならないと、こう思うのであります。
  164. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 なお、この際伺つておきたいのですが、まあ染料関係ばかりでなく、日本の化学工業界が発展しなければならないということは、先ほど波多野委員がおつしやつた通り、同感なんです。併しながら国家としてのあり方が、單なる先ほどお話のように課税面において多少恩恵を施すとか、金融面においてまあ何か便宜を図ろうというだけでは、これは化学製品界の向上発展にはならないと思います。それに対しましてやはり或る程度の補助政策なり助成方策というものを講じなければ、実際積極的な発展は見込み得ないと思います。従つて関税等において外国製品が安く入る、いいものがどんどん入つて日本の化学工業界に影響を及ぼすとか、そういつたような小さい考えから関税政策ばかり論ずるということは、私は間違つておると思うのですが、政府当局といたしまして積極的に助成なり或いは補助政策ということに向われる意思があるのか、或いは今回の予算措置等においても、そういう点において積極的な方針が示されたかどうか、これを一つお話願いたいと思います。
  165. 中村辰五郎

    政府委員中村辰五郎君) 只今の御質問、誠に御尤もな趣旨でございまして、私どもも関税問題だけで万事を解決するという問題ではございません。化学工業、特に古い歴史を持ちます染料工業につきましては、終戦以来染料工業再建具体策というようなことで順次助成して参つておるのでございまして、それらの関連からいたしまして今日高級染料特にスレン系染料については先ほど申上げましたような進歩をして参つたものと思うのであります。なおこの際、先ほど申上げましたいろいろの対策以外に、国家が補助金政策をとるかどうかというような御意見がございますが趣旨としては誠に結構なことでございます。今日予算等にそういつた計画は立ててはおらんのでありますが、今後の推移如何によりまして、そういつた問題につきましても検討を加えて参りたいと考えております。
  166. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 なお繊維局長が見えておられるのですが、昨年の丁度三月末におきまして建染染料はまあ二〇%というようなことになつたのでありますけれども、その結果日本の繊維業界に及ぼす影響は相当大きかつたと言わざるを得ないのであります。即ち建染染料が関税が高いために使われなくて、代用品の安いもの々使つたために外国に輸出する繊維製品がクレームがついて契約が破棄されたといつたようなことが多分にあつたのでありますが、それによつて実際生じたところの損害はどの程度になつてつたのか、この際発表願いたいと思います。
  167. 記内角一

    政府委員(記内角一君) 去年のキャンセル問題は、いろいろ原因がございまして、單に染料の点ばかりではないわけでありますが、従いまして染料が悪いためにどれだけキャンセルになつたかという数字は、実は的確にわかつておらないのであります。
  168. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 正確にわからなくても、やはり関税が障壁になつて相当の影響があつたかどうか、或いは関税のためには何らの影響がなかつたか、そこの見解はどうですか。
  169. 記内角一

    政府委員(記内角一君) 只今御指摘になりましたように、染料が高いため悪い染料で補つて参る、自然先方のほうで、最初の注文は受取つたけれども、次の注文を断つたというふうな例はしばしば耳にいたしておるわけでございます。染料の高いということは、軍に関税だけの問題でもございませんけれども、やはり関税問題も相当な影響を来たしておるであろうということは推定できるだろうかと考えます。
  170. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 それでは、今回衆議院においては一五%というふうに修正されているのですが、提案者にお伺いしたいのですが、まあこんなところで、実際面において、将来日本の繊維業界がクレームとか、そういつたような不安のないことの一助になるとお思いになつているのですか。或いは、もつとこれを引下げて、大きな意味で繊維業界の発達に資したほうがよいと思われるのかどうか。その辺、まあ衆議院においてどのように御検討されたかどうか、一つ……。
  171. 奧村又十郎

    衆議院議員奧村又十郎君) 單に染色のためということで行きますならば、これは一五%の率でもまだ不十分であると存じますが、一方又国内染料工業の保護という面もあるので、今回は一五%ということにいたしたのであります。
  172. 波多野鼎

    波多野鼎君 今の油井君の質問に関連しておりますが、ドイツのイーゲーの染料が世界を制覇しておる事実は誰でもこれは認めておることだと思います。なお、先ほどお話のありましたように、染料の価格というものは生産費によらないで、例えば、競争の強い国、例えば、日本で染料ができておる、建染染料ができているとすれば、日本へは安く売つて来る。併しできないとすれば高く売つて来る。これはドイツの貿易政策の伝統的なやり方であるということは、これも皆さん御承知の通りなんであります。政府のほうに伺いたいのだが、一体一五%に下げた場合に、やはり売込み値段がきつと上るというふうに私思うのですが、それは見通しだからわからんとも思いますが、従来のドイツの染料業者のやり口から見ると、そういうことを想像するほうがたしかじやないか、こう思うのですが、どうなんですか、政府のほうはどう見ているのですか。
  173. 入江明

    説明員(入江明君) どうも只今のお話は見込でございますので、私どもも的確な想像はつきかねるのでございますが、大体その国に染料の生産が可能であるということによつて割合に輸入価格というものは下るものでございます。従いまして、現在まで生産されて、すでに日本で工業化されておるという品物に対しては、この際一五%になつたからすぐに上げて来るということには即断いたしかねますが、これから企業化しようというものに対する競争ということがむしろ重要なことになるのではないか、そういうふうに考えております。
  174. 大野幸一

    大野幸君 物の見通しがなくてやつてみたつてしようがない。これは常識だが、安くなるか、高くなるかがわからないで関税だけをきめる、五%だけは必ず損する、その見通しがなくてやつてみたつてしようがない。それが上るかもわからないというならばこれはナンセンスのように思いますが、どうですか。それは関税政策の根本問題だろうと思うね。
  175. 北島武雄

    政府委員(北島武雄君) 一応單に算術的に申しますれば、関税率が下れば、それだけこちらの国内で引取られる価格が下る、こう申し得られるかと思いますが、併し、何分にも価格の問題につきましてはいろいろなことも考えなければなりませんし、仮に日本でできないということになるならば、高いむのを売り付けられる慮れもあるかと思います。その辺は力と力の関係で、或いは需要供給の関係できまるかと思います。簡單に申上げることはできないじやないかと思います。
  176. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止〕
  177. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 速記を初めて。それでは理事会の結果を御報告申上げます。三案とも五時までには一つ委員会を上げたい。何とか一つそれまで本会議も待つてもらいたいということを今議院運営に要求いたしましたので、そのつもりで一つお願いいたします。
  178. 小林政夫

    小林政夫君 もうこのスレン染料についても只今波多野委員から質問を兼ねた討論的な質問もあつたわけでありますが、私もいろいろ言いたいことはあるけれども、すでに言い盡しておりますので、皆さんも同様と思いますので、先ずこの辺のところで質疑の打切りをお願いをいたしたいと思います。動議を提出いたします。
  179. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 只今小林委員の動議に御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  180. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 御異議ないと認めます。それではこれより討論に入ります。御意見のおありのかたは賛否をそれぞれ明らかにしてお述べを願います。
  181. 大野幸一

    大野幸一君 私は社会党第二控室を代表して本法案に反対するものであります。質疑応答中に波多野委員からすでにその趣旨を述べられてはおりまするが、一年間の暫定措置として本法を行なつて来たのであります。それはやはり講和との関係において考慮されて来たのでありまして、独立を回復すればおのずから、我が国の貿易の自主性も回復するであろうというので、一年間はやつて来たのであります。すでに講和も成立する、而もこの委員会においてもうこれが解決できるときに当りまして、更にこれを一年間延期、こういうようなことは好ましくなく、我々が賛成し得ないところでありまして、一年前の委員会におきまして、この建染染料については参議院の大蔵委員会は二五%案を全会一致を以て議決いたしまして、わざわざ衆議院に回付いたしまして、両院協議会の結果二%に妥協して成立しておつたのであります。その後の国内生産は下廻つているのじやなくて、だんだんと上廻つていて、これのみならず、一般の、政府は事あるたびごとに生産が向上されたと、こう言いつつも、この法案に当つては特に衆議院においては政府原案より五%更に下げられた。こういうようなことに対しては、我々はむしろこれを去年の大蔵委員会の決定を尊重し、その後の生産状況からして二五%に復活すべきものである、こういう意見を持つているために、これを反対理由の一つとするのであります。特に遺憾なことは、何といいましても新聞用紙に対する免税の点でありまするが、これは商人間の取引における不始末から、それが動機となつて、本法案が、政府の原案によれば一年間停止され、漸く衆議院において半年にこれを短縮いたしましたけれども、そういう突発事件を考慮したという点は否むことのできない事実であります。そういう動機から関税政策にこれを用いるというようなことは、関税政策の体系を崩すものである。こんなことが一体世界にあるものであろうか、私はないものだと考えるのであります。我々は関税を全世界が全部撤廃してしまつて、本当に世界連邦国家というようなものができるときこそ、これは人類の幸福であり、大理想かも知れませんが、併し惜しいかな、今の世界情勢は、先ほど波多野委員から言われたように、終戰後の自由貿易主義から、世界の情勢に即応して、世界の国々は各々もう障壁を設け始めたのであります。関税の低いことは決してその国の名誉のことでなく、戰後敗戰国は常にその低率を強いられているのであります。我々はこの講和を機会に世界経済から日本の経済を防衛する、單備で国を防衛することも主張せられる人々が、経済に至つては丸きり未だ占領中にあるかのごとき迷夢にまだ陥つている、こういうような感がするのであります。こういう意味におきまして、我々は真に国内全体の、国民のために、と申上げますのは、こういう問題が起きますれば度々この業者からの陳情或いはいろいろ運動があるのでございましよう。併し我々国民全部を代表する国会へここに陳情団が押しかけて来なくても、又運動のできないような国民の声も聞かなければならない。大きな資本を持つているところの人たちは自由に運動の機会を作るでありましよう。小資本でやつている人たちはその運動も又十分でないでしよう。併しそういうことを我々が考慮に入れなかつたならば、本当に将来国会というものが権威を失うと我々は考える。この際、我々の今反対する理由は、そういういろいろな業者の間の利害の衝突はあるでしようが、国全体、経済自立のため、国の独立はこれからの経済の自立にある、こういうわけで、成るほど国内においては甚だ業者によつては気の毒な人もあるでしようし、これから日本を建て直そうとするにはやはり耐乏生活をやつて行かなければならん。苦しいところも又これを忍んで、そうして貿易もみずからの力でやつて行かなければならん。各々国民が心掛けて行かなければならん。官僚政策に頼つて自分の研究努力を怠るようなことがあつては、私は国の再建、経済の自立、嵐のごとき世界経済から日本のこの弱小な経済を防衛するということはできないと思うのであります。而も又一番憂うることはやはりこれは何といつても、講和発効後はすぐ国際関税協定があるでありましよう。そういうところに至りますれば、これは政府事務当局の説明によりましても、やはりこの実績が影響して、そうしてそのときには不利益なる協定に参加せぜるを得なくなる。こういうふうに考えますので、我々は国民全体のために権威をここに現わして関税は関税として課する、そして国内産業に対する保護は、我々国内法でこれを又保護すればよろしい、こういうことで本当に独立の燃える熱情から我々は本法案に対して反対をするものであります。
  182. 小林政夫

    小林政夫君 私は緑風会を代表して、衆議院修正案を除く関税定率法等の一部を改正する法律案並びに衆議院提出の修正案に賛成をいたします。  先ず賛成するに当つて多少の希望を申述べたいのでありますが、第一に印刷用紙の件でありますが、これは衆議院における修正の趣旨賛成をするものであります。この半カ年間の免税期間の延長ということは既契約品処理の暫定的処置として認める。こういう意味における半カ年間の延長であるということを了承いたしまして、その半カ年間の延長に賛成をいたします。なお先般来、問題になつておるところの保税倉庫にある不良品が、新聞用紙以外の用途に流れる虞れがあるので、この処理については十分愼重を期されまして、処分するに当つては業界等とも十分にお打合せになつて、無用の摩擦混乱を業界に起すことがないように善処願いたいのであります。更に半年後においてこの期間を延長するというようなことは考えてもらいたくない。又考えてはおらないというふうに了承をして新聞用紙の半カ年間免税に賛成をいたします。  次に建染染料でございますが、いろいろ御意見もあるようでありますが、私はやはり衆議院修正の趣旨通り繊維製品の輸出の重要性を考えまして、前年の本院における修正は、その後において修正したものは、今大野委員からもお話のように二五%に引上げたい、それが両院協議会において衆議院側と妥協の結果二〇%ということに落着いたのでありますが、その後において我々といたしましても、メーカーの実情等も実地調査し、又その後における繊維製品の輸出というものが堅牢染に移行しなければならない、又近く国営検査によつて一定の堅牢度以上の堅牢度を持つた染色織物でなくては輸出はできないというような措置も講じられ、又海外の情勢が堅牢染織の織物でなくては輸出の需要が起きない。而もそれもかなり高級な染織技術を有するものに注文が集まるというような傾向を考慮いたしまして、一年前の状態よりも多少メーカーにおいても製造量は殖えたかも知れませんが、それにも増して、そういつたコンシューマー側における需要の内容、量等の変化等も考えまして、私は衆議院の修正原案に賛成をするものであります。又ここの一五%という率をおまとめになるについても、恐らく衆議院側においては、この染料メーカーと、又コンシューマーである染織業者等といろいろ両者の意見の調整については多大の苦心を拂われたことと思うのです。又その苦心に対しても敬意を表して、衆議院修正の原案を呑みたいと思います。更に政府としては、染料メーカーに対する助成措置として、いろいろ質疑応答の際に各委員の所見は述べられましたが、私が一言付加えるならば、いわゆる安定需要がないということが、この建染染料メーカーの製造量が殖えないし、又コンシューマー側からいつても、できるできるといいながら、実際に注文してみるとできないというふうな結果になつておるので、そういう安定需要を育成するという意味においても、メーカー側に一定の規格のものを作らして、それをどこかでプールして持つておるというようなことも、対策として考えるべきではないかと思うのであります。そのほかいろいろ委員から言われた設備資金の問題等についても、万全の助成策を講ぜられることを望みます。  最後に菜種及びからし菜の種については、緑風会といたしましては一応この一カ年間免税という措置を省きたかつたのであります。併し特にこれだけを取上げて修正をするのも如何かと思いますし、なお事実問題として輸入も余りないということであり、又国内における菜種の生産も急激に増大しておることでもありますので、本来ならばこの一年間の暫定的免税措置を省いて、本法通りの税率で税を課するということが建前であると思いますが、これだけを取上げて修正をするのも如何かと思いますし、又事実輸入ということも余りないという最近の情勢であるので、これは次の修正の機会においては当然菜種及びからし茶の種については一年間免税にするという暫定措置をとらるべきものであるという希望を附しておきます。以上の希望を申述ベて衆議院の修正案に賛成をいたします。
  183. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 私は民主クラブを代表いたしまして、衆議院の修正案を含む原案に賛成いたすものであります。先ず第一に提案にあります砂糖の関税の引上げでありますが、これは希望を申述ベますならば、今一段高い関税にいたしまして国の税収の一助とするということをやつてもらいたかつたような気がいたすのであります。大体砂糖は国際情勢において相当値下りを来たしておりますから、こういうものこそ関税を思い切つて遠慮することなく引上げて、我が国の財政のために資するような方策をとるべきであつて、将来又、二の関税についてはよく検討する必要があると思うのであります。  次に新聞用紙の点が問題になつたのでありますが、これも半年間というふうに衆議院は修正されましたが、半年後においてこういう措置によりまして新聞業界が或いは更に値上げをしたり、更に又内地の製紙業界が便乗して国民生活に必要な紙の値上げをするというようなことの絶対にないように、政府当局においても十分な方策を講じられることを特に希望しておく次第であります。  次に建染染料でありますが、昨年、丁度一年前に我々は二割という関税を了承したのでありましたが、その当時はさほど大きな影響を来たさないと思つてつたのであります。ところが一年の間におけるところの成績を見ますというと、この二割の関税をきめたがために建染染料界の長足な進歩をしたかというと、これは全く期待外れといつたような感じがするのであります。而もその半面におきまして、建染染料が関税が高いために繊維業者はこれを使用することが幾分遠慮がちとなり、従つて不良な染料を使つたために海外におきまして日本の繊維製品に対してクレームをつける一つの言いがかりとなつたというようことができて、日本といたしましては大変な経済界の波乱を来たしたようなことがあつたのであります。こういう見地からいたしましても、今回一割或いはもつと低いくらいにこの関税を引下げてもよかつたのではないかと思われるのでありますが、現在の政府といたしまして、特に世界情勢下から日本の化学工業等において積極的な助成方法を講ずることも、早急には困難な場合、この程度の関税政策によつて染料業界のためにも資する点もあり、かたがた一割五分見当のところは止むを得ないと思つて衆議院の修正案に賛成するものであります。併しながら将来におきましては個々の関税のみに囚われず、大きな見地から、国際上から日本の財政的見地、或いは日本の産業の発達ということを大きく睨み合して関税に対する根本的方策を立てる必要があると思うのであります。我が国の情勢におきましは先ほど大野委員からも言われましたけれども、敗戰後の今日、我々の力は世界各国に比して非常に低下しております。従つて自衛政策等の点について強固な体制が整えられた曉におきましては、世界各国の関税戰に打ち勝つだけの確信を持つて関税政策を打立てて行くといろふうに、今後我々の方針を定めるべきであると思うのであります。さような見地から、今回の政府提案の原案並びにこれに対する衆議院の修正案は止むを得ないところであるという見地を申述ベまして、賛成するものであります。
  184. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私は衆議院の修正を含む関税定率法等の一部改正案に賛成するものであります。私は討論は差控えようと思つたのですが、先ほどどなたかの反対討論におきまして、これに反対することが国家的立場に立つた意見である、逆に言うと賛成する人は何か一部の特定の業者の運動に動かされて賛成するがごとき御討論がありましたので、(「ノーノー」と呼ぶ者あり)私は自分が賛成する立場としてその賛成の論拠をはつきりしておきたいと思うのであります。  この関税の問題は、それぞれ各業者に利害関係がありますので、非常に複雑であり、私もそういう専門的事業に素人でございますので、実は判断に非常に苦しんだのであります。従いまして私はこの委員会に出ておりまして、率直に、例えば建染染料につきましての染色業者の意見、或いは染料製造業者の意見或いは政府側の答弁をよく聞きまして、自分は公正な認識を持つのに努めたのであります。又新聞用紙につきましても、私は新聞関係出身でありますから、新聞協会からも陳情を受けましたが、実情をよく私は聴取いたしまして公正な結論に到達したつもりであります。決して一部の業者に動かされてどうこうというのじやなく、我々としては今後の日本経済自立の大局から考慮して、この関税の問題は考えなきやならん、そういう立場から我々は結論を持つたわけであります。  先ず新聞用紙につきましては、私は要望があるのでありますが、成るほど政府原案では一カ年間免税措置を又実施するということになつておりますし、衆議院修正ではこれは半カ年といたしましたが、その半カ年にしました理由は、アメリカから輸入した印刷用紙が不適格であつて、それがストックになつて市場を圧迫すると、こう言う。ところでその不適格品が処分されたのちにおいては又関税をかけるという意味において半カ年としたように説明されておりますが、私はこの点について、そういう意味だけでこれを半カ年延ばしたいというならば、これは先ほど大野君が討論されたように私はおかしいと思うのです。やはり関税政策の建前上、もつとしつかりした建前がなくちやならないと思います。私は一応半カ年、これは免税措置が講ぜられましたので、その半カ年制は政府においてもよくこれは考究して頂きたいと思うんです。成るほど製紙業者のほうから言えば関税をかけてもらつたほうがいいと思うんです。又新聞社側としてはこれは無税で安く入つて来るのがいいと思うんですが、これについて一番問題になるのはIMCの割当があつた場合、これは輸入ですが、これに対して外貨を割当てるとか、割当てないかの問題、これは私はIMCの割当があつた場合、これは為替を割当てて輸入すべきであると思うんです。それは先ほど私はちよつと触れましたが、政府では緑の週間とか、それから伐採制限をやりまして、日本の木材の資源について保護、育成に極力努めておるんです。そういう際でありますから、外国の木材資源が利用できるならば、勿論国内の製紙業との関連もありましようが、やはり輸入して、国内の木材資源のその保持に努めるべきだ、そういう意味で私はやはり半カ年の延長期間については十分検討される必要があると思うのです。で、半カ年延びましたから、私はその意味賛成しますが、これを希望として述べておきます。更に世界がプロツキズムになつたから日本もブロツキズムになつて関税をかけるべきだ、こういう結論もありますが、併しながら今日の日本の外貨收入というものは何であるかと言えば、日本はこの條約の結果、基地経済になつて、もうすベて明らかなことは、輸出收入よりも特需收入、或いは又外国商品による収入というものが大部分です。そういう特需收入がたくさん溜つて、これの裏付物資がない場合には、これは日本として困るわけでありまして、従来のように日本が貿易によつてどんどん得た收入をこれを使うのと違うのでありまして、ややもするとこの特需収入、いわゆるこれは基地経済における現地調弁主義です。そういうものは前に日本が満州を占領したり、或いは北支を占領していたりした場合に、向うに落ちた円資金、その円資金日本としては裏付け物資を行なつて、これの価値維持を図りましたが、アメリカと日本との場合、必ずしもそうではないでしようけれども、最近における実情を見ますれば、特需で得たこの外貨収入は、日本がそれによつて物資を輸入するのに困難なわけです。そういう意味からも世界がブロッキズムになつたから、日本も関税をかけて何でも防壁を設けなければいけないという意味で、新聞用紙にも関税をかけろ、建染染料にも高い関税をかけろ、こういうことはこれは論拠にならないんです。講和後の日本経済の非常な変態的な実情というものをよく認識して、そうしてこれに対処すべきだ。それで具体的に建染染料については私は実際のことは知りません。この委員会においてよく私聞いておりましたが、やはり衆議院の一五%の修正案はこれはいろいろな苦心の存したところでありましよう。そうして大体私は、これが染料製造業者にとつては不満であるかも知れません。又染色業者にとつても不満であるかも知れませんが、まあいろいろな事情を総合すれば私は大体現実の問題として止むを得ない線ではないか、こういうようなまあ結論に到達しましたので、私は賛成したわけです。  最後に簡單一つ要望したいことは、この新聞用紙の不始末から生じたこの処理の問題、これについては国際商事紛争仲裁機関、こういうものは通産省関係でありましようが、これを今後十分確立されることを要望しまして、私の賛成討論を終ります。
  185. 野溝勝

    ○野溝勝君 泥棒にも三分の理窟があるのでございまして、どうも賛成した者は何かうまいことがありはしないかと言われると、これは一言なかるベからずでございますから一言します。反対する者は何かありはせんかという疑いもまた持てるのであります。こういう点はお互いに識見を尊重し合つて一つ意見を吐くことにいたしたいと思います。  私は衆議院修正案に消極的ではありますけれども、賛成をいたします。その理由は、私たびたび申しているので詳細は省略しますが、現下日本のおかれている状勢から見て民族資本を擁護しようということに反対するものは、これは経済理論としてはおかしいと思うのです。日本が特に自立経済がやつて行けない現下におきましては、より一層私はこの点考えなければならんと思う。特に講和後さような点関心を拂わなければ日本経済の再建ということは容易でない、併し、だからと言つて日本に生活必需物資、或いは社会的公共性の必要な物資がないのもあえて顧みないというこの画一的な考え方にも私は反対です。こういう点からこの関税定率法等の一部改正法律案につきましては、いろいろの角度から検討すれば各々意見があると存じます。私はさような考え方から種々検討した結果、勿論この内容的には利害関係が含まれておりまするが、大きな柱といたしましては、日本の民族資本というものが、この法案によつて非常に圧迫される、乃至は危険性を孕んでいることです。こういう点から私はこの法案に対しまして大いに検討を加えて参つたのであります。併しこの法案の内容乃至は理由におきましては欠けている点は今申上げたような関税政策に対する一貫性の点が欠けているのです、この点誠に遺憾なことであります。併し、例えばこの内容をなすべき品目の点でございますが、新聞用紙のような社会的公共性を持つものも、或いはその他社会性、公共性でなくて営利一本の追求的なものも、こういう味噌も糞も一緒に織込んだものを関税定率の画一な対象に置くということは、これは今後考えなければならないじやないか。特に政府においては平田君から今後根本的に関税定率の改正をしたいという考えもあるやに答弁があつたので、私はそれを信じて、この点に対してはこれを諒としたものであります。併し特に私がこの案に賛成する理由というものは新聞用紙の点であります。確かに社会的公共性を持つものであつて、この点に関しては国内の原料産業家である諸君の意見によるというと、九月になるというと需給のバランスはとれるやに言われておるが、私としてはそこにまだ一抹の不安があると思う。特に先般の電力危機によつてさえも、あのような不安があつたのであるから、私はこういう点からみて今後電力危機、その他天災が起つた場合には大いに影響する、かくては私どもの生活品としての新聞の発行にも支障を来たす危險性もあるので、私はどういう点を勘案して、私は衆議院の修正案を承認した関税定率法等の一部を改正する法律案に暫定賛成をいたすものであります。
  186. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 他に御発言もないようでありますので、討論は終局したものと認めて、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  187. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 御異議ないと認めます。   それではこれより採決に入ります。関税定率法等の一部を改正する法律案衆議院送付通り可決することに賛成の諸君の御挙手を願います。    〔賛成者挙手
  188. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 多数であります。よつて本案衆議院送付通り可決すべきものと決定しました。  なお諸般の手続は前例により委員長に御一任願います。  それから多数意見者の御署名を願います。   多数意見者署名     岡崎 真一  小宮山常吉     黒田 英雄  田村 文吉     伊藤 保平  小林 政夫     西川甚五郎  森 八三一     大矢半次郎  木村禧八郎     木内 四郎  油井賢太郎     野溝  勝
  189. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 御署名漏れはありませんか。……御署名漏れはないと認めます。   ―――――――――――――
  190. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 次に在外公館等借入金の返済の実施に関する法律案を議題といたします。
  191. 森八三一

    ○森八三一君 昨日の委員会で今日御説明を聞くことになつておりましたが、本件に関する予算は二十六年度に成立をしており、それを繰越明許で処理されておるというのでありますが、その基礎法が成立しない場合に、その予算の支出がどうなるかというような法規的な解釈を承わりたいと思います。
  192. 河野一之

    政府委員河野一之君) 在外公館等借入金の返済に関する経済は、御指摘のあつたように予算明許繰越の承認を前国会において補正予算において得ておるわけであります。この経費が繰越ができるかどうか、只今のお尋ねの点でありますが、或る経費の繰越ができるかどうかということは、或いは法律規定或いは繰越明許を許して承認を求めている事由によるものでありまして、大蔵大臣の勝手な自由裁量でできるものではないものであります。この具体的な経費については債権者の返済請求の時期が明らかでないとできないということになつておりまして、当然年度内にこの支出の権限が確定する、支出の権限を得るということを前提としておるのであります。つまりこの実施に関する法律においても昭和二十六年度中に所要の各般の措置を講ぜねばならないというような法律が現にあります。その実施細則としてのこの法律でありますので、この法律通りません場合においては、この経費の繰越ということは困難ではないか、少くとも適当ではないというふうに我々は考えております。
  193. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ちよつと伺いますが、これに似たような前例というものはないのですか、こういうようなケースが、これまでにないのですか。
  194. 河野一之

    政府委員河野一之君) 今までと申しては何ですが、年度が押詰つてこんなようになつた例はちよつと存じておりませんが、大体繰越明許をするときに、目的を、どういうことが起り得るであろうかということで目的を考えて事由を書いておるので、若しその事由で以ていけないが、併し繰越しする必要があるという場合には、その事由を変えるような予算的な手続が要るのではないかというふうに我々は考えております。前例はちよつと私只今のところ思い当りません。
  195. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 只今河野さんのような御説明はわかつたのですが、併し非常にはつきりしているわけでもないのですね。今の御説明によりますと、無理ではないかと、こういうような御意見なんですが、この繰越明許の規定を解釈する場合、もつとはつきり何かできないのですか、これは今後我々参考のためにもお伺いいたしておきたいのです。
  196. 河野一之

    政府委員河野一之君) 繰越の規定は、財政法の二十五條にございまして、経費の性質上とか、それから事故とか、いろいろ法律には書いてあるわけであります。大蔵大臣の承認を経てできる。大蔵大臣は、例えば事故繰越でありますならば、これは契約をしておつたならば、止むを得ずいろいろな事由で以て年度内に支拂ができなかつたと、これはもうはつきりいたしておるわけであります。継続費についても今度は財政法で繰越を認めておりますが、継続費でありますれば幾らでも繰越が当然できるような規定になつております。それから特別会計法におきましては、支出未済は、例えば保險会計なんか全部繰越ができることになつております。そうでないこの予算明許繰越というものは、結局どういうために繰越すのであるかということを、つまり経費の性質というものをこの説明で書いて、こういうために單年度予算の例外にするのだと、こういうことになるわけであります。それは一応不用にして、もう一回改めて出直すというのが私は性質論じやないかと思うのです。
  197. 木内四郎

    ○木内四郎君 河野さんにちよつと伺いたいのですが、予算にはこの法律によつて出す経費だと書いてあるのですか、それとも在外公館の借入金を返す経費だと書いてあるのか。
  198. 河野一之

    政府委員河野一之君) これは在外公館等借入金返済のため必要な経費と書いてあるのでありますが、この借入金の返済は法律がなければできないわけです。
  199. 木内四郎

    ○木内四郎君 法律がなければ……仮になくてその予算を執行するということは不可能なんでしようね。
  200. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 他に御発言もないようでありますから、質疑は終了したものと認めて御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  201. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 御異議ないと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のおありのかたは賛否を明らかにしてお述べを願います。
  202. 大野幸一

    大野幸一君 私は参議院社会党第二控室を代表して、本法案賛成するものであります。  そもそも在外公館が引揚の際に居留民から借りたものは、その引揚の費用として有益に使つているものと推定されるものであつて、国が信用上これは全額を支拂うべきが当然だろうと思うのであります。然らざれば、国のむしろ詐欺的結果に終つたということになるので、私たちは全額を主張し、希望するものでありますが、この委員会に十万円までの増額を要求するつもりであるが、話合いの結果は七万円で各派が折合つたような経過もありましたので、大蔵当局の説明によりますと、この法案が本日通過しないと、更に補正予算を組む等、この支拂が相当延期されるという実情に至ります。それによつて迷惑を受ける人が十三万人、若し五万円を上げまして十万円にいたしましても二千二百人というような人の数から言つて、まあ少数の人は多数の人の利益のために忍んで頂くと、こういう意味からして、この支拂が成るべく速かに交付できるようにと、こういう意味で本案に賛成するものでありますが、但しここは一点の疑点を残しつつ賛成したいと思うのであります。この借入金債務法律によつて打切ることができるかどうかということについては憲法上の疑義があります。従つて、この点について権利者が更に請求する場合には、その判定は最高裁判所に一任しておくと、こういう疑義を附加しつつ本法案賛成する次第であります。
  203. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私は恐らく少数意見になりますが、反対いたします。少数意見としての理由を述べておきたいと思います。話合いの結果妥当な線に解決つけば我々も譲歩しようと思つたのですが、併しそれも困難になりました。非常にぎりぎりなところで、本日これを上げなければ今河野主計局長の話によれば、どうしても予算措置できないという結論になつたので、非常に私実は困つたのです。もう少しよく検討すべきだと思いましたが、余裕がないので、今反対理由を述べて反対の意を明らかにしておきたいと思います。  結局この法案は、政府が終戰後において借りた金を全部返済しないで、五万円という線で打切るということになつておりますが、これがどうしても私は納得行かないのであります。大体まあ五万円で打切るという理由としては、在外財産ではないと区別しておるけれども、やはりこれを拂う過程においては在外財産というものとの均衡というものも一つ考えられたということ、それから公平負担の見地から、国内では戰時補償なんか打切られておる、保險金が五万円で打切られておる、そういうことから考えて、やはり五万円程度で打切るのが妥当ではないか、こういうような論拠、更に引揚げて来る際には千円しか持つて来られない、持つて来られなかつたから、残つた債権についても五万円に打切つても不当ではないであろう、こういうような論拠でありますけれども、これを大蔵大臣にも質問をいたしましたが、在外財産として処理しておるのではないと、こういうお話でありますので、在外財産との関連をつけてこれを五万円として打切る論拠がどうも私は乏しいと思う。それから公平負担の原則については、これは戦時中に契約した補償の問題と戰後に起きた問題とを一緒に混同しておるので、これも正しくないと思う。なお換算率についても、いろいろ更に問題があると思うのです。要するに、これは非常に重要な問題であるにかかわらず、審議期間がもう極めて僅かなんです。衆議院においても、余り審議ざれなかつたと聞いております。参議院に廻つて来ましても、この審議期間が著しく短かいのであつて、十分この法律案審議されて、納得されたとは申しがたいと思うのです。で、私は、その論拠が確かでないし、又審議期間も非常に短かくて、審議が非常に不十分である。こういうような形でこの法律案を通すことには私は反対せざるを得ないのであります。
  204. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 他に御発言もないようでありますが、討論は終局したものと認めて、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  205. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 御異議ないと認めます。それではこれより採決に入ります。在外公館等借入金の返済の実施に関する法律案衆議院送付通り可決することに賛成のかたの御挙手を願います。    〔賛成者挙手
  206. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 多数であります。よつて本案衆議院送付通り可決すべきものと決定いたします。  なお、諸般の手続は前例により委員長に御一任願いますそれから多数意見者の御署名をお願いいたします。   多数意見者署名     森 八三一  西川甚五郎     小林 政夫  木内 四郎     田村 文吉  大野 幸一     小宮山常吉  伊藤 保平     大矢半次郎  黒田 英雄     油井賢太郎  岡崎 真一     波多野 鼎   ―――――――――――――
  207. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 次に農業共済保險特別会計法の一部を改正する法律案、これに対して質疑をいたします。(「質疑打切り」と呼ぶ者あり)  別に御発言もないようでありますが、質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  208. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 御異議ないと認めます。それではこれより討論に入ります。御意見のあるかたは賛否を明らかにしてお述べを願います。……別に御発言もないようでありますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  209. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 御異議ないと認めます。それではこれより採決に入ります。農業共済保險特別会計法の一部を改正する法律案を原案通り可決することに賛成のかたの御挙手を願います。    〔賛成者挙手
  210. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 全会一致であります。よつて本案は原案通り可決すべきものと決定いたしました。  なお諸般の手続は前例により委員長に御一任願います。  それから多数意見者署名をお願いいたします。   多数意見者署名     大矢半次郎  木村禧八郎     油井賢太郎  森 八三一     西川甚五郎  小林 政夫     大野 幸一  田村 文吉     伊藤 保平  小宮山常吉     黒田 英雄  波多野 鼎     木内 四郎  野溝  勝     岡崎 真一
  211. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) ちよつと速記をとめて。    〔速記中止〕
  212. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 速記を始めて。本日はこれで散会いたします。    午後四時二十六分散会