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木村禧八郎君 私は
衆議院の修正を含む
関税定率法等の一部
改正案に
賛成するものであります。私は
討論は差控えようと思
つたのですが、先ほどどなたかの反対
討論におきまして、これに反対することが
国家的立場に立
つた意見である、逆に言うと
賛成する人は何か一部の
特定の業者の運動に動かされて
賛成するがごとき御
討論がありましたので、(「ノーノー」と呼ぶ者あり)私は自分が
賛成する立場としてその
賛成の論拠をはつきりしておきたいと思うのであります。
この関税の問題は、それぞれ各業者に利害
関係がありますので、非常に複雑であり、私もそういう専門的
事業に素人でございますので、実は判断に非常に苦しんだのであります。従いまして私はこの
委員会に出ておりまして、率直に、例えば建染染料につきましての染色業者の
意見、或いは染料製造業者の
意見或いは
政府側の答弁をよく聞きまして、自分は公正な認識を持つのに努めたのであります。又新聞用紙につきましても、私は新聞
関係出身でありますから、新聞協会からも陳情を受けましたが、実情をよく私は聴取いたしまして公正な結論に到達したつもりであります。決して一部の業者に動かされてどうこうというのじやなく、我々としては今後の
日本経済自立の大局から考慮して、この関税の問題は考えなきやならん、そういう立場から我々は結論を持
つたわけであります。
先ず新聞用紙につきましては、私は
要望があるのでありますが、成るほど
政府原案では一カ年間免税
措置を又実施するということにな
つておりますし、
衆議院修正ではこれは半カ年といたしましたが、その半カ年にしました理由は、アメリカから輸入した印刷用紙が不適格であ
つて、それがストックにな
つて市場を圧迫すると、こう言う。ところでその不適格品が処分されたのちにおいては又関税をかけるという
意味において半カ年としたように
説明されておりますが、私はこの点について、そういう
意味だけでこれを半カ年延ばしたいというならば、これは先ほど
大野君が
討論されたように私はおかしいと思うのです。やはり関税政策の
建前上、もつとしつかりした
建前がなくちやならないと思います。私は一応半カ年、これは免税
措置が講ぜられましたので、その半カ年制は
政府においてもよくこれは考究して頂きたいと思うんです。成るほど製紙業者のほうから言えば関税をかけてもら
つたほうがいいと思うんです。又新聞社側としてはこれは無税で安く入
つて来るのがいいと思うんですが、これについて一番問題になるのはIMCの割当があ
つた場合、これは輸入ですが、これに対して外貨を割当てるとか、割当てないかの問題、これは私はIMCの割当があ
つた場合、これは為替を割当てて輸入すべきであると思うんです。それは先ほど私はちよつと触れましたが、
政府では緑の週間とか、それから伐採制限をやりまして、
日本の木材の資源について保護、育成に極力努めておるんです。そういう際でありますから、
外国の木材資源が利用できるならば、勿論国内の製紙業との関連もありましようが、やはり輸入して、国内の木材資源のその保持に努めるべきだ、そういう
意味で私はやはり半カ年の延長期間については十分
検討される必要があると思うのです。で、半カ年延びましたから、私はその
意味で
賛成しますが、これを
希望として述べておきます。更に世界がプロツキズムに
なつたから
日本もブロツキズムにな
つて関税をかけるべきだ、こういう結論もありますが、併しながら今日の
日本の外貨收入というものは何であるかと言えば、
日本はこの條約の結果、基地経済にな
つて、もうすベて明らかなことは、輸出收入よりも特需收入、或いは又
外国商品による収入というものが大
部分です。そういう特需收入がたくさん溜
つて、これの裏付物資がない場合には、これは
日本として困るわけでありまして、従来のように
日本が貿易によ
つてどんどん得た收入をこれを使うのと違うのでありまして、ややもするとこの特需収入、いわゆるこれは基地経済における現地調弁主義です。そういうものは前に
日本が満州を占領したり、或いは北支を占領していたりした場合に、向うに落ちた円
資金、その円
資金に
日本としては裏付け物資を行な
つて、これの価値維持を図りましたが、アメリカと
日本との場合、必ずしもそうではないでしようけれども、最近における実情を見ますれば、特需で得たこの外貨収入は、
日本がそれによ
つて物資を輸入するのに困難なわけです。そういう
意味からも世界がブロッキズムに
なつたから、
日本も関税をかけて何でも防壁を設けなければいけないという
意味で、新聞用紙にも関税をかけろ、建染染料にも高い関税をかけろ、こういうことはこれは論拠にならないんです。講和後の
日本経済の非常な変態的な実情というものをよく認識して、そうしてこれに対処すべきだ。それで具体的に建染染料については私は実際のことは知りません。この
委員会においてよく私聞いておりましたが、やはり
衆議院の一五%の修正案はこれはいろいろな苦心の存したところでありましよう。そうして大体私は、これが染料製造業者にと
つては不満であるかも知れません。又染色業者にと
つても不満であるかも知れませんが、まあいろいろな事情を総合すれば私は大体現実の問題として止むを得ない線ではないか、こういうようなまあ結論に到達しましたので、私は
賛成したわけです。
最後に
簡單に
一つ要望したいことは、この新聞用紙の不始末から生じたこの処理の問題、これについては国際商事紛争仲裁
機関、こういうものは通産省
関係でありましようが、これを今後十分確立されることを
要望しまして、私の
賛成討論を終ります。