○森八三一君
只今の
大蔵当局の御
説明の
砂糖の
統制が
廃止になると、おおむね
小売価格が八十円くらいになるので、その
程度であれば
統制中における
一般砂糖の
配給価格に対比いたしまして、
国民生活を圧迫するとか、
国内における
砂糖を
原料とする各種の
工業に重大な
影響を與えないであろうというような前提に立たれまして、
統制廃止後における
海外の
砂糖市況と対比して
関税定率法を一部
改正いたしまして、一〇%なり一五%の
関税を高めて行くというような
施策、更に
砂糖消費税一千円を一千七百円にするということによ
つて、そういう結果が大体生まれるであろう、今度の
衆議院の修正されましたものによると、二百五十円上る
程度であるから大して
影響はないというように御答弁があ
つたのでありまするが、最近における新聞の報道によりまする
海外の
砂糖の
市況は、国際的に非常な
増産でありまして、
政府がこの
原案をお作りに
なつた当時は大体百五十ドルから七十ドル
見当の
取引だ
つたものが、最近では百十七ドル
見当に低落をして来ております。更にこれが今後、申上げまするような国際的な大
増産ということを受けまして更に低下をして行くであろうということに我々は想像をいたしておるのでありまするが、そういうことになりますると、
政府原案による
関税定率法の
改正と
砂糖消費税の七百円アツプということだけでこれをとどめるといたしますれば、恐らく
国内における
砂糖の
小売価格は、
業務用に例をとりますれば、
統制中の
価格に対比いたしまして半分にも下つちまうという現象が起きるのではないか。今度の二百五十円上げるという
修正案が実施されるということに相成りましても、恐らく現在の趨勢で行きますれば、
統制中における
一般家庭配給の
最低価格でありました一片六十八円をも更に下廻
つて行くというような情勢が生まれて来るのでわないかということに我々は非常に
心配を持
つております。勿論
国民生活を豊かにして承りまする点から、
消費資材である
砂糖が安くなるということは非常に結構でありまして、これを拒否するわけではありませんが、それによ
つて関連的な
立場に立
つております
国内生産の
甘味料である
水飴が非常に圧迫をされるということになり、及んで
いも類の
生産に非常に大きな
影響がある。昨年は御
承知のように
いもが一貫匁が四十円前後で
取引をされたのでありまして、これは我々は
生産者の
立場に立
つて考えて見ましても不当であ
つて、
昭和十一年の
基本年次の対
米比価から
考えまして、この
提案理由にも出ておりまするように、
いも類の
価格は大体三十円を中心として
取引をされるというような段階を作ることが望ましいと思うのです。そうでなければやはりこれは
国民生活に非常に重要な
影響があるわけでありまして、殊に
いもの
消費が
醸造方面にも
相当に使われているわけでありまして、そういうようなことを
考えまするというと、不当な高値で
取引されるということはよく知らないが、三十円
程度は対
米比価から
考えましても妥当であろうと
考えております。その三十円を維持いたしまするためには、恐らくこの
施策を以ていたしましても、到底これをカバーすることはできない。勿論
いもの
価格は
水飴だけを以て律するわけには参りません。この
提案理由にも出ておりまするように、全国の
生産量約二十億貫の半数が飴に処理され、残りの五〇%中の二五%が
醸造原料になり、更に二五%が
澱粉にな
つているということでありますが、
水飴だけの
関係において
いもの
価格をここに規制をして論議をするというわけには参りません。でございますが、仮に
澱粉だけでこれを推進して参りますると、今度の諸般の
改正が全部実施されたといたしましても、逆算をいたしますれば
いもの
価格は九円を前後するというような
価格にな
つて、
いもの
生産は全く壊滅に瀕する
状態になると思うのでございます。現在の
国内の
食糧事情から申しますれば、
いも類の
生産は何といたしましても現在
程度のものは確保して置かなければ、
国民生活の上から申しましても非常に重大な結果が
予測せられるわけでありまして、何といたしましても維持しなければならんと思いますが、そう
考えて参りますると、
政府当局としてはこの
改正程度でそういう
目的を達し得るとお
考えになるのか。私はこの
程度のことでは到底
いも類の
生産を確保いたしまして、若し万が一の場合に
終戰前後を通じて
いも類が果しましたような
国民の生命を維持して行くというような重大な役割を負わせるということのためには、非常に遺憾な結果が生まれるのではないかということを
心配しているのでございますが。どうお
考えになりますか。これは
農林当局から伺うことで、
大蔵当局には非常に無理なことかも知れませんが、この辺
お話がございましたように、
関税定率法の
提案理由の
説明を見ましても、
国内価格に急激な変化を與えないように、而もそれによ
つて国内の
状況を維持育成して行くという見地から、
関税の
改正を
考え、
砂糖消費税の値上げを
考えた、こうおつしや
つておりますが、そのほかに前段申上げましたような現実の諸情勢からいたしまして、この
程度の
改正ではその御
趣旨を達することは困難だというように思いますがどうお
考えになりますか。