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1952-03-07 第13回国会 参議院 大蔵委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年三月七日(金曜日)    午後一時四十七分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     平沼彌太郎君    理事            大矢半次郎君            伊藤 保平君            菊川 孝夫君    委員            黒田 英雄君            西川甚五郎君            小宮山常吉君            小林 政夫君            森 八三一君            菊田 七平君   政府委員    大蔵政務次官  西村 直己君    大蔵省主計局法    規課長     佐藤 一郎君    大蔵省主税局長 平田敬一郎君   事務局側    常任委員会專門    員       木村常次郎君    常任委員会專門    員       小田 正義君   説明員    大蔵省銀行局総    務課長     福田 久男君    農林大臣官房農    林金融課長   林田悠紀夫君    農林省農政局農    業保險課長   久宗  高君   参考人    日本輸出銀行專    務理事     山際 正道君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○小委員長報告 ○満二十年以上の旧陸軍共済組合甲組  合員年金下附請願(第一八二  号)(第一九八号)(第二六五号)  (第二六六号)(第三〇一号)(第  三〇二号)(第三五二号)(第三九  四号)(第四三八号)(第六三九  号)(第六六三号)(第六八八号)  (第七二四号)(第七六一号) ○被接收船舶に対する補償等請願  (第二〇〇号) ○所得税軽減に関する請願(第一四八  号) ○理容美容業に対する所得税適正化の  請願(第六一六号) ○電気冷蔵庫物品税軽減に関する請  願(第三七七号) ○ラジオ受信機等物品税撤廃に関す  る請願(第四一三号)(第四五五  号) ○ラジオ機器物品税撤廃に関する請  願(第四一四号) ○清涼飲料等物品税撤廃に関する請  願(第四四四号)(第五三四号) ○火災原因調査用器材物品税免除に  関する請願(第五九〇号) ○捜査鑑識資材物品税免除に関する  請願(第五九一号) ○捜査鑑識資材物品税免除に関する  陳情(第二六四号) ○揮発油税軽減に関する請願(第五〇  号)(第六〇号)(第一五四号)  (第一八一号) ○国税改正に関する陳情(第一七二  号) ○在外公館等借入金支拂促進に関する  陳情(第一七一号)(第二三三号)  (第三〇三号) ○閉鎖機関整理委員会職員転用に関  する請願(第四六七号) ○帯広市に国民金融公庫支所設置の請  願(第六二〇号) ○呉市に国民金融公庫支所設置陳情  (第八六号) ○年度金融打開に関する陳情(第二  二〇号) ○葉たばこ收納代金前渡しに関する請  願(第一二号) ○葉たばこ收納金前渡しに関する請願  (第三九三号) ○福島浅川葉たばこ收納所復旧に関  する請願(第三二五号) ○加工用金地金自由販売制施行反対  等に関する請願(第八二四号)(第  八二五号) ○農業共済保険特別会計歳入不足  を補てんするための一般会計からす  る繰入金に関する法律案(内閣送  付) ○農林漁業資金融通特別会計法の一部  を改正する法律案内閣送付) ○日本輸出銀行法の一部を改正する法  律案内閣送付) ○所得税法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○法人税法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○相続税法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○砂糖消費税法の一部を改正する法律  案(内閣送付)   —————————————
  2. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) それでは第二十回の大蔵委員会を開会いたします。  請願及び陳情に関する小委員長報告を求めます。
  3. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 請願及び陳情につきまして小委員会における審議経過並びに結果を御報告申上げます。  去る三月の四日第一回の小委員会を開きまして、紹介議員より趣旨説明を受け、各委員の意見及び政府の見解を十分に聽取いたしまして愼重に審議をいたしたのでありますが、その結果は次の通りであります。請願の第百八十二号、百九十八号、二百六十五号、二百六十六号、三百一号、三百二号、三百五十二号、三百九十四号、四百三十八号、六百三十九号、六百六十三号、六百八十八号、七百二十四号、七百六十一号の各件は、いずれも旧陸軍共済組合甲組合員について終戰時年齢如何にかかわらず、加入後満二十年以上を経過しておるものについても年金受給資格を附與せられたいとの趣旨であり、これはほかの共済組合との関連から考えましても願意は妥当と考えられますので、採択すべきものと決定いたしました。  請願の第二百号は、終戰後外地において連合国に接收された本邦民有船の返還は殆んど絶望と見られ、その損害は誠に大きいのであります。従いまして一、本船接收時の保険価格による船価補償、二、本船接收以来の使用料損失補償等適切なる措置を講ぜられたいとの趣旨であり、将来研究を要するものと考えられますし、請願第百四十八号は、一般勤労所得税について基礎控除額の引上げ、税率の引下げ等措置を講ぜられたいとの趣旨であり、将来財政事情の許す限り善処する必要があると考えられますし、請願第六百十六号は、理容業收入勤労対価であるから所得税の課税に当つて勤労所得者とするか、又はこれに準じた取扱をせられたいとの趣旨であり、将来これも研究を要するものと考えられます。又請願第三百七十七号は、四分の一馬力以上の業務用電気冷蔵庫については物品税を免除せられたいとの趣旨であり、業務用のものに対しては、公衆衛生等の立場から免税いたしまして、これを普及することが適当と考えられます。請願第四百十三号、第四百五十五号、第四百十四号、第四百四十四号、第五百三十四号は、ラジオ受信機及び清涼飲料等物品税を免除せられたいとの趣旨であり、これらのうちで大衆向のものは免税することが妥当と考えられます。又請願第五百九十号、第五百九十一号、陳情第二百六十四号は、火災原因調査用器材及び自治体警察の使用する捜査鑑識資材は、教育用のものと同様に物品税を免除せられたいとの趣旨であり、科学的捜査充実を図る意味から言いましても、願意は妥当なものと考えられます。又請願第五十号、第六十号、第百五十四号、第百八十一号は、揮発油税軽減せられたいとの趣旨であり、軽減の方向に措置することは適当と考えられます。以上の各件はいずれも採択すべきものと決定いたした次第であります。  陳情第百七十二号は、現行国税体系実情に照しまして不合理な点があり、経済自立の達成を促進するためにも、資本蓄積促進等を考慮して改正せられたいとの趣旨であり、講和條約発効の際に再検討する機会に直面しておると考えられまして、速かに研究を要するものと考えられますので、採択すべきものと決定いたしました。陳情第百七十一号、第二百三十三号、第三百三号は、在外公館等借入金支拂促進せられたいとの趣旨であり、請願第四百六十七号は、閉鎖機関整理委員会職員は失業の危機に直面しておるが、その転用について適切な措置を講ぜられたいとの趣旨であり、請願第六百二十号、陳情第八十六号は、地方産業振興のために帯広市及び呉市に国民金融公庫支所を設置せられたいとの趣旨であり、陳情第二百二十号は、逼迫せる年度金融、即ち三月危機と言われているこの金融逼迫を緩和するために、金融上或いは徴税上の万全の措置を講ぜられたいとの趣旨であり、請願第十二号、第三百九十三号は、相当量輸出が期待される福島県産の葉たばこ生産資金調達のため收納代金前渡しができるよう適切な処置を講ぜられたとの趣旨であり、請願第三百二十五号は、浅川葉たばこ收納所燒失のために地方産業に重大な影響を與えておるので、地方民はでき得る限りその復興に協力をするから、速かに收納所を復旧せられたいとの趣旨であり、請願第八百二十四号、第八百二十五号は、金の地金自由販売制が実現せられますると、価格が上昇して輸出陶磁器関係業者は甚大な影響をこうむるから、加工用金地金自由販売制を取上げないか、又は価格一定の制限を設けるよう処置せられたいとの趣旨であります。以上の各件はいずれもその願意は妥当と考えられますので、採択すべきものと決定いたしました。  右御報告申上げます。
  4. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 只今小委員長より報告がありました請願及び陳情につきましては、小委員長報告通り決定することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) それではさよう決定いたします。   —————————————
  6. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 次に農業共済保険特別会計歳入不足を補てんするための一般会計からする繰入金に関する法律案農林漁業資金融通特別会計法の一部を改正する法律案日本輸出銀行法の一部を改正する法律案、三案とも予備審査であります。右三案を一括して提案理由説明を聽取いたします。
  7. 西村直己

    政府委員西村直己君) 只今議題となりました農業共済保険特別会計歳入不足を補てんするための一般会計からする繰入金に関する法律案外二法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。  昭和二十五年度において風水害等が異常に発生いたしましたため、農業共済保険特別会計農業勘定における再保険金支拂増加し、その支拂財源に七億一千七百八十七万五千円の不足を生ずる結果となりました。この財源不足を補てんするには、農業共済保険特別会計法規定により借入金をすることもできるのでありますが、均衡財政の見地から見まして、借入金によることは適当でないと考えられますので、これを一般会計からの繰入金によつて補てんすることといたしたいのであります。  なお、この繰入金につきましては、その性質に鑑みまして、将来農業共済保険特別会計農業勘定経理状態が健全となり、決算上の剰余を生じました場合には、この会計の再保険金支沸基金勘定に繰り入れるべき金額を除き、これを一般会計へ繰り戻さなければならないことといたしております。  以上がこの法律案提出理由であります。何とぞ御審議の上、速かに御賛成あらんことをお願い申し上げます。  次に農林漁業資金融通特別会計におきましては、一般会計及び米国対日援助見返資金特別会計からの繰入金を以て資本とし、これを以て農林漁業者に対する貸付金財源としているのでありますがこの外に貸付金を支弁するため必要があるときは、資本の額の範囲内で予算を以て定める額を限度として、この会計の負担において資金運用部から借入金をするこことができることになつております。  昭和二十七年度以降におきましては、米国対日援助見返資金特別会計からは従来の資本繰入に代えて借入金をすることといたしておりますので、見返資金特別会計から借入金をすることができることを規定いたすと共に、この会計資本の額を超えて借入金をすることができることを規定しようとするものでございます。  最後に日本輸出銀行法の一部を改正する法律案でございますが、日本輸出銀行は、我が国プラント設備等機械輸出促進を図るため昭和二十五年十二月二十八日、資本金百五十億円を以て設立をされたのでございますが、その後におきます融資状況、その他諸般の情勢に鑑みまして、去る第十二国会において日本輸出銀行法の一部を改正いたしましてその資本金を百七十億円に増加する措置とつたのでございます。併しながら我が国経済拡大発展を将来に亘つて確保するためには、輸出振興を図りますと共に重要原材料外国からの継続的な輸入を是非とも確保する必要があると考えられるのであります。このような観点から見まして政府はこのたび日本輸出銀行日本輸出入銀行に改めまして、これに一般市中銀行の行いにくいような特殊の輸入金融業務を行わせる等所要措置を講ずることといたしておるのでございます。  以下その要点をかいつまんで申上げますれば、第一番目に、日本輸出入銀行は、従来のプラント輸出促進のための輸出金融業務を併せて、我が国輸出振興に役立つ原材料その他の物資外国からの輸入に関し、その対価の一部の前拂いが行われるなど特定の場合について輸入金融業務を行うこととした点でございます。第二点は、我が国プラント輸出契約実情に鑑みまして、その融資期間最短期間六カ月から三カ月に短縮したことでございます。第三点としまして、新たに債務保証業務を行い得ることとした点でありまして、将来事態の推移によつてはこれにより外資の導入にも一層の便益を與え得るものと期待されておるのでございます。第四点として、業務拡充に即応し、その資力の充実に資するために政府からの資金借入及び外国からの外貨資金借入を認めることとした点であります。明年度予算におきましても、米国対日援助見返資金特別会計から三十億円の借入をすることになつております。第五番目に、その利益金一定割合を国庫に納付させることとしまして、これに伴いまして法人税等につき非課税の取扱をすることといたしておる点でございます。  以上が三法律案提案いたしました理由内容の概要でございます。何とぞ御審議頂きまして速かに御賛成下さいますようにお願いを申上げます。
  8. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) では農業共済保険特別会計歳入不足を補てんするための一般会計からする繰入金に関する法律案、右について内容説明を聽取いたします。
  9. 久宗高

    説明員久宗高君) 農業共済制度につきましては、御承知通り過去の二十年間の被害統計処理いたしまして、その被害内容通常被害率と、異常の被害率と、超被害率に分けて処理してあるわけでございます。この中で支拂の責任につきましては、御承知通り通常被害率までは連合会のほうで持つわけでございますが、通常被害率を超えましたる分につきましては国の特別会計において負担するという形になつておるわけであります。補償制度につきましては、昭和二十二年に発足いたしまして、不幸にいたしまして発足当時から異常な災害が累積いたしまして、毎年国の特別会計においても不足金が生じておつたわけでございますが、本日ここに提案してございますのは二十五年度に関するものでございます。この処理につきましては、先ほど御説明がございましたように二十二年、二十三年におきましては借入金によつて処理したわけでございますが、二十四年度から均衡財政関係もあり、借入金によらず損失を一般会計から補填いたしまして、ただ御承知通りこの特別会計保険計数上の長期均衡建前とつておりますので、将来黒が生じました場合にこれを返して行くという建前とつておるわけであります。そこで今日ここにお掛けいたしました二十五年度不足金につきましては、事務上の手違いがございまして、この七億の基礎数字はお配りしてないわけでございますので、これは極く詳細な数字を以て御説明いたしますが、簡単に御紹介いたしておきますと、二十四年度借入金によつて処理ができなくなりました当時、料率の関係から過去に相当不足金が出ておりますので、過去の不足金を考慮に入れまして一定割合のものを当初から予算に若干組むような仕組であつたわけでございますが、その年度の途中におきまして更に不足金が出ました場合に、補正予算でこれを埋めて行くという形をとつたわけでございますが、二十五年度におきましても、当初、過去の被害率、過去の不足金から考えまして、一定財源を初めから予算の中に組んだわけでございまして、この計数は先ほど申上げましたようにあとで詳しい数字を申上げますが、極く大ざつぱな数字を申上げますと、二十五年度におきまする支拂財源といたしましては、再保険料收入といたしまして、予算に二十八億六千五百万円を組んだわけでございます。このほかに予備費といたしまして十億二千二百万円計上いたしました。この内容の中には未経過保険料と、先ほどちよつとお話いたしましたように、借入金ができませんで不足金の予想がございますので、この過去の不足金から考えまして約九億のものを前以て計上したわけでございます。これがこの中に含まれております。このほか年度経過して行く過程におきまして、麦の異常な災害にぶつかりましたので、その関係不足金八億八千七百万円ほど途中で補填したわけでございます。これを合計いたしますと財源といたしましては四十七億七千五百万円あつたわでけでございますが、実際に二十五年度において支拂いいたしました再保険金額は五十四億九千二百万円になつておりますので、その差額が七億一千七百八十七万五千円ということで今回補填をいたして頂く形になつておるわけでございます。これは二十五年度の問題でございますので、今まで遅れた分につきましては、二十五年度産の農作物につきまして、実際の数字が固まりますのが二十五年度年度内の補正予算に到底間に合いませんので、これが次の年度に廻るわけでございます。ただ二十六年度におきまして補正を組みませんでしたのは、二十六年度における農作物勘定見通しを立ててそれと一緒処理したほうが合理的ではないかということのために、結局二十六年度不足金見通しのつきます時期、即ち二十七年度予算を組む時期にこの計数を出したわけでございます。これを二十七年度において補填して頂くことになつております。御承知通り二十六年度から特別会計におきましても不足金支拂のために二十五億の基金が含まれておりますので、この不足金補填して頂きますと、農業勘定に先ず入りまして、年度経過いたしまして農業勘定決算上の剰余が出ました際に、先ず基金のほうの補填に当て、更に残りましたものを一般会計のほうにお返しするという建前なつております。数字を特つて参りませんので大変恐縮でございますが、それは至急後刻印刷いたしましてお配りしたいと思います。
  10. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 次に農林漁業資金融通特別会計法の一部を改正する法律案について内容説明を聽取いたします。
  11. 林田悠紀夫

    説明員林田悠紀夫君) 農林漁業資金融通特別会計法十二條に規定しておりまする「第三條に規定する資本の額の範囲内」と申しまするのは、一般会計及び米国対日援助見返資金特別会計からの繰入金を予定しているわけでございます。それで二十六年度におきましては、一般会計が五十億、見返資金が四十億、合計いたしまして九十億資本として繰入れておるわけであります。二十七年度予算案におきましては、一般合計が六十億の資本の繰入れを予定しているわけでございます。それで合計いたしまして資本の額は百五十億ということになります。それから借入金十二億、借入金と申しまするのは、二十六年度におきまして資金運用部から三十億の借入をいたした次第であります。二十七年度におきましては、見返資金のほうが借入に廻りまして、見返資金三十億と資金運用部資金の百十億、合計百四十億、これが借入れのほうになるわけであります。それで、そのために十二條におきまして、今度の改正資本の額が百五十億で借入れが百七十億になりまして、二十億借入資本の額より超過いたしますので、この改正案提出いたしておる次第であります。それから又資金運用部のほかに、米国対日援助見返資金特別会計からも借入をいたしまするので、この対日援助見返資金特別会計を、借入を殖やす改正提案いたした次第であります。
  12. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 次に日本輸出銀行法の一部を改正する法律案について内容説明を聴取いたします。
  13. 福田久男

    説明員福田久男君) 日本輸出銀行法の一部を改正する法律案につきまして、先ほど大蔵政務次官から提案理由について御説明申上げた通りでありますが、その内容につきまして御説明を申上げたいと思います。一応條文の順序に従いまして申上げて見たいと思います。先ず第一條におきましては、あとで詳しく申上げますが、輸入銀行輸入金融業務を行うということに関連いたしまして、所要字句整理をいたしたのであります。  次に第四條は、現在資本金は百七十億円でございますが、来年度以降業務状況によりまして逐次資本増加ということも考えられますので、この機会に今後予算範囲内で、政府が出資し資本金増加をいたしまする場合には、大蔵大臣の認可によつてこれを行うことができるという趣旨規定を新たに追加いたしたのであります。現在日本開発銀行法におきましても、こういつた趣旨規定がございますので、それと並行をしてそういつた意味規定を新たに設けたということでございます。  それから第八條は條文字句整理でございますが、第十條から第十五條までにおきましては、現在日本輸出銀行法におきましては総裁一人、専務理事一人、理事三人以内及び監事二人以内になつておりますが、専務理事を副総裁に改めるということでございます。これは日本輸出銀行法ができます際のいろいろないきさつから専務理事ということになつておりましたけれども、実質的に考えまして、専務理事を副総裁に改めることにいたしたいという趣旨でございまして、それに関連する條項整理でございます。  それから第十八條以下は業務に関する観点でございますが、その中で新たに重要な事項として加わりましたのは、輸入金融業務債務保証に関する業務でございます。先ず輸入金融業務について申しますと、條文字句は非常にわかりにくくなつておりますので、実態的に申しますと御理解が早く頂けるのではないかと考えます。この規定を入れました実態的の趣旨は、主として東南アジア地方における鉱物性資源を、我が国が特に輸出振興のために必要な或る限られた範囲鉱物性資源を今後長期に亘つて継続的に入手するために、一定の場合、前拂金が行われるような場合にその前拂金を通じて、いわば紐付きで継続的に長期契約をいたしまして日本輸入したいということが主な狙いでございまして、これを分解して申しますと、先ず第一に、そこにあります物資等と申しますのは、本邦からの輸出振興を図るために必要な原料、材料その他の物資でありまして、プラントというような設備とか、或いは船舶というようなものは予定いたしておらないのであります。現在予定されておりますものは鉄鉱石、石炭、工業塩マンガン鉱石ボーキサイト等でございまして、これらの品目については、日本輸出入銀行法業務保証においてその範囲を限定いたすことに予定をいたしております。比較的に入手が困難であり、而も我が国としてはどうしても成るべく近い地域から長期に亘つて確実に入手したいという品目対象になるのでございます。それから第二に、その後に外国からの輸入が確実且つ適宜に行われることを促進するために、この輸入促進する、先ほど申しましたような輸出振興に必要な物資につきまして外国からの輸入促進するということが第二の要件なつておるのでございます。第三の要件といたしましては、前拂金が行われる場合であること、これは第三項に規定がございますが、その物資輸入代金があらかじめ一部が前拂される場合でありまして、而もその前抑を受ける者は、その資金資源開発その他事業の拡充に当てる場合でなければならない。その資金を以ちまして開発を行い、その開発によつて増産になる分を日本輸入するということと結付けられておるのでございます。それから第四といたしましては、輸出金融の場合と同じように、市中金融との協調融資ということが取入れられております。これは但書に規定されておるのでありまして、資金貸付を行いまする場合には、市中銀行輸出入銀行一緒資金協調融資貸付ける場合、或いは手形の割引という場合に限られておるのでございます。融資の相手方につきましては、本邦輸入業者或いは本邦製造業者に限定されておりまして、輸出金融の場合には外国に対する貸付対象なつておりますけれども、この場合には本邦側だけを対象にいたしておるのでございます。融資の條件等につきましては、法律的には輸出金融の場合と同様に考えておるのでありまして、融資の期間等につきましては一応法定の限度は輸出金融の場合と同様でございます。  次に債務保証業務につきましては、輸出入銀行が本来の目的に従つてなし得べき使命を果し得る場合、言い換えますと融資を行い得るような場合について、その融資を行うに代えて債務保証ができるのでございまして、広く如何なる債務についても保証ができるという意味ではなくて、輸出銀行の目的から見て、その條件なり範囲なりが限定されるのでありましてその趣旨のことが十八條の第五項として新たに附け加えられておるのでございます。  それから十八條の二という規定は、後で借入規定がございますが、借入金と、今申上げました債務保証との合計額が、自己資本の額を超えてはならないという趣旨規定でございまして、普通、会社等におきましては、そういつた強い趣旨規定はございませんけれども、成るべく自己資本とそういつた借入金或いは債務保証等を結び付けまして、債務保証したり、或いは借入れをしたりいたしました場合に、それに対して返済なり保証履行なりが確実であるということをまあ制限によつて明らかにし、濫りに、濫に流れないということを確保したい趣旨でございます。  それから第十九條は債務保証が入りましたことによりまして、條文整理をいたしたのでございます。第二十條は融資期限の規定でございますが、この中で先ほども提案理由の御説明を申上げた中にもありましたように、融資の期限は原則として最長期限は三年でありまして、最短期限は六カ月、六カ月以上三年ということになつておりますが、現行法では特別の場合には三年は五年までのものを融資することができるというふうになつておるのでありますが、現在までのところ貿易手形の取扱は二カ月乃至は三カ月、まあ三カ月を超えるものは事実上ないのでありまして、従いまして三カ月以上六カ月未満というものにつきましては、金融の取引の実情等から考えて見まして、四カ月とか五カ月とかいうようなものが非常にまあ困難な場合もありまするので、取引の実情なり或いは輸出契約の條件なりから考えまして、特に必要がある場合には三カ月以上、言い換えますと、四、五カ月のものでも取扱い得るということに改めたいという趣旨でございます。  それから二十一條、二十二條、二十三條、二十四條等は條文整理でございまして、三十八條に利益金の処分及び国庫納付金の規定がございますが、現在の日本輸出銀行の経理は、事業年度におきまして損益計算上出ました利益金一定の普通の法人と同じように、法人税、事業税等を課税いたしまして、残りの分は全部準備金として積立てることになつておるのでございますが、日本輸出銀行は全額政府出資の機関でもございまするし、その意味におきましては全額政府出資の機関でありまして、資金の調達と申しますか、そういつた面では他の市中の金融機関とは趣を異にする点もございまするし、又公庫その他との関連も考慮いたしまして、又他面金融機関としての特殊性、内部留保の充実というような面をも併せ考えまして、利益金のうち二割に相当する金額を準備金として積立てることにいたしまして、残りの分を全部国庫へ納付する。その代りに法人税とか、事業税とかいうものは課税をいたさないという趣旨に改めることにいたしたのであります。その第二号の千分の七に相当する金額と一号の百分の二十とを並べてございますが、千分の七という金額は、きまりの貸出残高の千分の七に相当する金額につきましては、少くともその金額は準備金として留保いたしたいという趣旨でございますが、これは現に市中の銀行におきまして、貸倒れ準備金として少くともその程度を留保することを一つの目安といたしておりますので、それとの関連をも考慮いたしまして、こういつた趣旨規定をいたしたのでございます。  それから第三十九條におきましては、借入規定を新たに規定したのでございますが、今までは一切資金借入をすることはできないことになつておるのでございますが、この規定によりまして、政府からの資金借入と、外国の銀行その他の金融機関からの資金借入ができることにいたしたいのでございます。資金借入につきまして、特に政府からの資金借入に限定いたした趣旨は、最近におきまする金融情勢から見まして、市中の資金政府機関において吸収することは、それほど蓄積資本が豊かでない現状におきまして、著しく市中金融に圧迫を加える虞れもございまするので、又過去におきまする復興金融金庫の前例から見ましても、いろいろな弊害を生ずる虞れもありまするので、政府からの資金借入ということに限定をいたしたのでございます。ここで、政府と申しまするのは、例えば対日援助見返資金とか或いは資金運用部資金等を予定いたしておるのでございまして、現に昭和二十七年度におきましては、見返資金特別会計から三十億円の借入を予定いたしておるのでございます。又外国の銀行その他の金融機関からの外貨資金借入につきましては、今後の情勢の推移によりまして、そういうことも予想せられまするので、規定をいたすことといたしたのでございます。  なお先ほども申上げましたが、この資金借入債務保証とを合計いたしました金額は、自己資本の額を超えてはならないという制限を置いてあることは、先ほども申上げました通りでございます。  なお附則におきまして、附則の第二項の規定は、今年の三月に終ります事業年度につきましては、今まで通りの経理の扱いをすることにし、今年の四月から始まる事業年度について、この新らしい改正規定を適用するということにいたしております。それからそのほかいろいろ附則に細かい規定がございますが、主として條文整理に属するものが大部分でございまして、ただ経理に関して先ほど申しましたように法人税或いは事業税、附加価値税等が課税されないというふうに、それぞれ関係の税法を直したことが主たるものでございます。以上簡単でございますが、説明を終ります。
  14. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 次に融資状況等について説明を求めます。山際参考人
  15. 山際正道

    参考人(山際正道君) 日本輸出銀行の最近までの状況と二十七年度の予想につきまして簡単に御説明申上げたいと思います。  日本輸出銀行は、昨年の二月一日から開業をいたしましたが、爾来去る二月末までの約一カ年間における業績に関しましては、別途お手許に表を以て差し出しましたので、それによつて御覧を頂きたいと思います。  その表にもございます通り、過去約一カ年間に資金の融通を承諾いたしました額は、件数において七十九件、金額において百八億六千四百万円に上つておりまするが、このうち現実に金を貸出しました金額は八十五億九千九百万円、そのうちすでに回收をいたしましたのが二十億一千六百万円、差引二月末現在におきましては六十八件、六十五億八千三百万円という残高になつております。で、この数字は当初の予定いたしました業績に比べますと、ややその成績が振わない感があるのでございまするが、これは各種の事情によりまして、プラントものの我が国輸出が余り伸びておらんということの結果がここに現われておるのでございます。併しながら、最近御承知通り、昨年の秋頃から海外からの油槽船、いわゆるタンカーの建造の注文が非常に増加いたして参つております。このお手許に差上げました表の最後に現在銀行が借入の申込を受けております状況についての表がございますが、これによりますと、電気機械が輸出契約金額において二億七千万円ぐらい、繊維機械が十一億二千三百万円ぐらいとありますのに対しまして、船舶、車両のほうは輸出契約見込金額において百七十八億九千万円という数字に上つておるのでございます。すでに当行といたしまして貸出しを了しました輸出船の関係のものにつきましては、九隻、輸出契約金額において百七億七千八百万円、融資承諾額が四十二億八千六百万円に上つておるのでございまするが、現在内談を受けておりまする輸出艦の建造計画は、そのほかに十隻、輸出契約額において百六十一億四千万円程度に達する借入申込の内談が進んでおるのでございます。かようにこの際輸出船に関する申込が増加いたしておりまする関係上、今日までの残高は六十五億円程度でございまするけれども、なおこの年度末までには、或いは貸出の金額はなお四、五十億を増加いたしまして、恐らく三月末の残高としては百十三億円程度を以て年度を越すのではないかという見込を以ちまして、予算書にもさような計算を掲げてある次第でございます。それにいたしましても、本年度資金は御承知通り百七十億円程度を用意いたしておりますので、相当多額の金額は二十七年度に繰越される関係なつております。  次に二十七年度の計画といたしましては、御承知のように政府が立てておられまする貿易計画によりますると、国際収支の受拂い計画において、機械類の輸出によつて二億四千万ドルを獲得することに計画されております。又通産省のほうの輸出計画に基きまして、いわゆる認証を標準にした計画を拜見いたしますると、二億一千六百万ドルの機械輸出を予定しておられるようであります。当今の経済界の状況から申しまして計画通り輸出を達成いたしまするためには、勿論相当の努力を要するわけでありまするけれども、輸出銀行といたしましては、一応この計画を標準といたしまして二十七年度資金の計画を立てております。従来の実績によりますると、機械類の総輸出額の約五〇%程度がプラントものでございまするので、今の計画を実行するといたしますると、約二百億円が必要となるという計算が出て参るのでございます。二十七年度輸出の特色といたしましては、従来のプラントものの輸出に加えまして、御承知通り東南アジア経済開発に対する協力関係、又いわゆる日米経済協力関係における機械類の輸出ということも新らしい命題として考えられておるのでありまして、この二百億円程度の輸出につきましては十分資金を用意いたしまして対処せねばならんと考えておるわけであります。その資金といたしましては、別途予算案において御審議を願つておりまする通り一般会計において二十七年度中に四十億円の出資を更に仰ぎまして、そのほかに三十億円の見返資金特別会計からの借入金を予定し、七十億円の新資金充実を計画いたしておるのでございます。その新資金に加えまして在来の貸付の回收金、運用利益金並びに先ほど申上げました二十六年度からの繰越の資金等を合せまして約二百二十億円の資金の調達計画を立てております。その資金の運用計画といたしましては、プラントものの輸出において百五十億円、そのほか東南アジア開発関係輸出資金として三十億円、合せて百八十億円を予定いたしております。そのほかに只今御説明のございました輸入金融業務を実施いたします結果としての所要資金、これを約二十億円と予定いたしまして、合計二百億円、資金計画上の余裕二十億円は、これを更に二十八年度へ繰越すという計画の下に、一応二十七年度の予定を立てておる状況でございます。  甚だ簡単でございまするが、最近までの状況と来年度見通しにつきまして御説明を申上げた次第でございます。
  16. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 輸出銀行の幹部が見えておられますのですから、御質疑ありましたらお願いいたします。
  17. 小林政夫

    ○小林政夫君 予算委員会でちよつとお尋ねしたのですが、この余裕金の運用について、まあ現在は法律で定められておつて、大部分が国債を持つておるということでございまするが、大体今どのくらいお持ちになつているか、ちよつと……。
  18. 山際正道

    参考人(山際正道君) 二月末現在におきまして、資本金百七十億円のうち未拂込の資本金として八十億円を残しております。従いまして実際に受入れました資本金は九十億円でございます。その九十億円の資金のうち、国債に運用をいたしておりまするのが、利附国債が四百九十万円、食糧証券が二十七億八百万円という数字なつております。両者を合計しますと、二十七億一千三百万円が国債証券に運用されております。
  19. 小林政夫

    ○小林政夫君 銀行局長にも聞いて見たいと思つたのですが、山際さんとして輸出銀行の余裕金、これは将来も起り得ると思うのですが、こういう国債を持つというような形で運用するのがいいのか、輸出銀行でありますから、輸出金融と関連をして、例えば外為の資金も、相当円資金不足しがちであるというようなことも考えられますから、一応山際さんの意見を承わりたいと思います。
  20. 山際正道

    参考人(山際正道君) 銀行という機関の立場から申上げますると、その余裕金に関する運用の方法は少しく広範囲に亘ることが望ましいと考えます。お話のように一般業務関係のあるような貿易関係金融方面にでもこの余裕金を運用できるということになりますれば、仕事の上からも関連性がございまするし、又金融界の実情においてもそれは歓迎されるであろうと存じます。ただ政府機関の余裕金を如何なる運用を許すかということにつきましては、これは恐らく政府のほうといたされましては、広く各種のものにつきまして大きな政府資金運用計画という政策からいろいろお考えの点もあろうかと思うのでございます。恐らく同種の金融機関、いずれもこの国債、日本銀行預金、運用部資金にその運用の方法を限定されておりまするのは、そういう広い範囲政府資金の運用方法というお考えから出ておることだろうと思うのでありまして、それ以上の政策の点につきましては、私どもとしても望ましいことではありまするけれども、それを是非実現しなければならんというふうには考えておりませんので、政府の御方針に従いたいと思つております。
  21. 福田久男

    説明員福田久男君) 只今御質問のありました点でございますが、考え方としては御指摘のようなことも考えられるのでございますが、先ほどもお話がありましたように、政府機関であるという立場から、その余裕金の運用につきまして、業務上の余裕金の運用につきましては、非常に強い制約を與えまして、本来の業務に極力邁進して頂いて、余裕金の運用については、非常に機械的ではございますが、国債の保有、或いは資金運用部への預託、日本銀行の預け入れというこの三つに限定されておるのであります。ほかの政府機関につきましても同様の趣旨規定がございまするのであります。御質問の点はそういうことも考えられまするけれども、つまり本来の業務に極力邁進して頂くという、おのおの政府機関としての任務に重点を置いて考えて頂くという趣旨から又余裕金の運用についての運用の確実性を保持するということも併せ考えられて、こういつた制限になつたのではないかと考えております。
  22. 小林政夫

    ○小林政夫君 それはまあ任務に忠実で、融資に專心してもらう、余つた金の運用に頭を使わずにというようなことになるのですが、併し輸出銀行は設立のときから言つて、成るべく、政府機関であるが、できるだけ自由な活動を、民間銀行並のような活動ができるようにやつて行きたいというようなこともあつたし、特に輸出入銀行というようなことになれば、将来為替金融機関の整備ということは今の日本金融界の問題だと思いますが、そういう点とも関連をして、当面の問題としては外為資金の円資金については相当寄與している点があるようでありますから、そのほうにまあこの余裕金があるということは余り望ましいことじやないのですが、二十七億、三十億に近い余裕金についても、やはりそういつた短期に使うという意味において、そういう少くとも外為の円資金に貢献するような途を輸出銀行の余裕金については開いておいたほうがいいのじやないかというふうに考えるのですが、特に政府機関だから何でも一方に集めてしまわなければならんという固い考えもしないで、国債なんかを持つていると、やはり超均衡の超均衡になるので、さなきだに金融逼迫、オーバー・ローンの問題なんかも起つているときにそれに拍車をかけるようなことになるのではないか、それでこれについて考えてもらいたいと思います。
  23. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 具体的にお尋ねしたいと思います。件数を見ますと極めて少いように思うのです。資料では七十九件となつております。一体輸出銀行に借入を申込むのはどういう必要からこれを利用するのであるか。主として利用されておるか。で、この七十九件というものは、日本輸出の件数からすると極めて私は少いように思うのでありますが、これは一体どういうほうから利用されるのですか。それから何カ月くらいでこれは回転が付いているか。第二点として何カ月くらいで回転が付いておるか。それから次に電気機械、繊維機械とありますが、その最後にその他とございますが、一体その他というのはどういう種類のものであるかという点をお伺いしたいと思います。第四点に、今商社の倒壊というようないわゆる問題が起きておると思うのですが、やはりそれが輸出銀行のほうに影響があるかないか、この点を一つお伺いしたいと思います。
  24. 山際正道

    参考人(山際正道君) 先ずどういう方面からこの融資の申込が行われておるかというお尋ねでございますが、御承知のように現在輸出銀行が取扱のできます融資は、いわゆるプラントものの輸出に限られております。プラントものと俗に申しますのは、各種の、例えば工場設備といつたような設備、重機械、即ちこれらのものを製作いたしますのに、相当長時間を要し、且つ相当巨額の資金を必要とする融資、そういう性質のものについてのみこの銀行は融資をするという任務を與えられております。その仕事の関係からいたしまして、申込は概して多額の申込が多いのでございます。この表でも御覧頂きます通り、現在残つております数字は六十八件に対して残高が六十五億でございます。大体貸出一件当り平均金額は一億円に近いのでごいざます。相当まとまつた大きな設備の注文に対する金融ということになつております。割合に長い期間をかけまして外国の注文によつて作り上げます機械設備類というものは、その交渉においても相当時間を要しまするし、又いろいろな注文関係の技術におきましても、相当この交渉のために巨額の費用を要するといつたような種類の契約が多いのでございまして、従つて細かい金額契約というものは、この仕事の性質上起りにくいという状況なつております。御参考までに申上げますと、過去において取扱いました件数のうちで、金額的に最高を申上げますと、一口で十一億円余のものがございます。最低は五百余万円のものもございますが、概して申しますると、只今申上げましたように、平均が一件当り約一億円に近いという大きなもののみになつておりますることは、その扱いまする仕事の性質からいたしまして、当然生じて参る関係なつております。  それから回転率は、現在の実績におきましては、十カ月半くらいになつております。併しながら先ほども申上げました通り、最近の申込におきましては、外国船の注文が多うございますので、この大きな船舶の建造になりますると、一年乃至一年半を要します。従つて今後はこの回転率がだんだん落ちて参るかと思つております。それから又東南アジヤの開発に対する協力の関係でありますとか、或いはそうでございませんでも、最近の世界のこの種の契約の趨勢といたしましては、各国が大体その回收期間を引延ばすことによつて競争するような傾向になつております。現に南米方面におきましては、ヨーロッパの各国は五年程度のクレジツトを出してその注文を取つて行くということにもなつておりますので、今後競争の立場から申しますと、漸次この期間は更に延長されるものと思わなければならんと考えております。それからその他という欄についてのお尋ねでございますが、これは例えばビルマの分は浮桟橋を輸出いたしました。それから沖縄は兵舎の附属の各種の設備、それからインドはデイーゼル・エンジンを出しております。さような内容なつております。  最後に最近の商社の各種の問題に関連をいたしまして、輸出銀行の貸出に影響はないかというお尋ねでございますが、仕事の性質上私のほうは主としてメーカーを相手に金融を付けております。従いまして商社に貸出をいたします場合に、必ずそのメーカーを保証人なりその他同じ列に置いて銀行に対して責任をとるような地位に置いてやつておりますので、その資金が、その注文を受けました機械設備の製作に用いられずして、他の商品の商業資金に廻るという余地はないように計らつておりますから、今回各種の問題が起きておりますけれども、私のほうについては何ら影響のない状況にございます。
  25. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 次にお尋ねしたいのは、パキスタンあたり向けの鉄道車両のお話を聞いて見ますと、どうもこれはイギリスとの競争が非常にむずかしくて、往々にしてこちらから送つた機関車にいたしましても、客車にいたしましても、特に機関車あたりがよく不合格になるということを聞いているのでございますが、この場合不合格になつて返されたようなときには、まるつきり損害になつてしまうのだろうと思うのでありますが、厖大な損害になるだろうと思うのですが、そういうのま一体担保その他はどういうふうになつているか、この点を一つお尋ねしたいと思います。  次に山際さん先ほどから東南アジアの開発ということについて非常にお話がございましたのですが、具体的に見まして東南アジアの開発というのはもうすでにあなたのほうへ融資申込として実際に出て来ているのを、お差支がなかつたらこれを一つお話願いたいと思います。将来アメリカの軍拡がちよつと中だるみになるということになりますると、どうしてもこれは中共貿易は閉されている。東南アジアヘの開発という面は重大関心を示さなければならんと思うのですが、果してどういうものが具体的に現れて来ているか、この点を一つお話願いたい。
  26. 山際正道

    参考人(山際正道君) 第一のお尋ねの、車両の輸出について不合格が生じたようなことを聞くけれども、さような場合の損害はどうなるかというお話でございましたが、幸いにいたしまして輸出銀行の扱いました関係におきましては、まだ一回も不合格品は出て参つておりませんので、従つて現在のところ何らその方面の損失はございません。ただ起り得る損失に対して一般の貸出の際に如何なる担保を考えるかというお話につきましては、事柄の性質上担保はなかなか取りにくい。又流動資産と申しますか、建造中のものが相手でございますので、特にその担保を取るということはなかなかむずかしいのでございますが、少くとも保証関係の人的な担保は取つております。なお必要に応じては物的、担保、工場その他の物的担保も取り得ることにいたしておりますけれども、仕事の性質上から申しますると、これは担保金融に向かない金融であると存じますので、よくよくの場合のほかは物的担保は取り得る状況には置きますけれども、取つてはおりませんが、相当融資に当りましては相手方の資産、信用その他十分調査をいたしまして愼重を期しておりますので、只今の状況から申しますると、特に担保を徴しなければ危險だというような融資には遭遇いたしておりません。今後は更に愼重を期するつもりでありますけれども、特に取扱の方計を変える考えは只今のところ持つておりません。  次に東南アジア開発に対する協力の問題に関しまして、具体的にどのような案件があるかというお尋ねでございますが、昨年実行いたしました一つの例は、ポルトガル領のゴアに対しまして、鉄鉱石開発いたしますための機械設備等を輸出金融の形において日本のメーカーに作らせまして、それを将来ゴアにおいて開発された鉄鉱石を相当長い期間に亘つて日本輸入契約を結びまして、その契約によつてつて参りまする鉄鉱石の代金のうちから、その輸出された機械設備の代金を償却して行く、こういう喫約によつて、昨年ポルガル領ゴアに対してプラント輸出の方法による開発に対する協力をいたしたのでございます。具体的に商談が成立いたしましたのはそれだけでございますけれども、現在いろいろと業者の間に研究が進められておりまして、事前に銀行に対して報告をいたし、或いは協議をかけております件数は、ぼつぼつ具体的に現われております。その例を申上げますと、例えばフイリピンのラプラプ島という所で銅鉱石の開発計画がございます。又その他台湾においてもこの銅鉱石関係研究が進められております。鉄鉱石といたしましてはフイリピンのシブゲイ、マレーのズングーン、ロンピン、テマンガン、インドにおいてはオリツサ、ビハール地区、香港においては馬鞍山、各地において研究が進められております。そのほか台湾においては石炭の話も起きておりまするし、又仏印において塩を開発するという問題も起きております。具体的な例といたしましては以上のようなものが主たるものでございます。
  27. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 もう一つだけ、次に融資の承諾の件数は御提出つてあるのでございますが、これは申込との比率が一体どのくらいになつているか。申込件数との比較がないのでございますが、これは大体どのくらいの申込があつて、承諾が一〇〇%ぐらいになつているのかどうか、この点を一つお聞きしたい。次に契約が成立いたしまして今度は融資に当つて金額は最高、最低一体どのくらいな平均になつておるか。それからどこまでが融資できるかと、こういう点を一つ……。それから次にプラント輸出についてより適用できないことはよく法律建前からわかつておるのですが、将来、将来じやない、今も直面していると思うのでありますが、こういうのは大企業は大いに利用できるけれども、中企業あたりの行いまするところの……もう少し程度を下げまして小さい輸出につきましても今後……輸出といいますと、何といつても中小企業が旧前でも六割五分占めたとか何とかいつて論議をされているわけですが、そういたしますると、そういう面にも輸出銀行が利用できるように、法律改正からという根本問題になるわけでありますが、これはできるものかどうか。これは山際さんの一つ御見解を、まあ個人的な見解になるかも知れませんが、或る程度拡張する方法を私は講ずるべきではないか。特に東南アジアの開発で本当に基本的なものは、まあ大きな基礎機械はこれでよろしうございますが、それに又附随する部分品、小さいものの輸出等につきましても考慮する必要が私はあると思うし、又しなければならんと思うのですが、輸出銀行法の改正の次の機会、速かな機会においてそれを改正して更にその業務を拡張することが考えられる、か。それは市中銀行との、今度は一般の為替銀行ですかな、との又競合いになるような危険があるかどうか。そのためにできないか。その他輸出銀行としてそういうのは適当でないのかどうか、この点について御見解を承わりたい。今まで扱つて来られたそういう方面からも割合に私は申込があつて法律建前から応じられないというような面もあるんじやないか、こういうように思うのですが、この点を一つお伺いして見たい。
  28. 山際正道

    参考人(山際正道君) 第一のお尋ねの、申込とそれから契約成立の割合との件でございまするが、過去一カ年間の実績におきまして、申込を受けまして、さまざまな理由によつてこれをお断りしたというような例は殆んどございません。と申しますのは、非常にこれは特殊なものでございまして、私どものほうへいよいよ具体的な融資申込として現われまする道程において、政府との間において輸出の許可でございまするとか、いろいろ各方面の審査を受ける段階がございますので、大体においてそれらの難関を通つて参りましたものはそこで実が結ばれるというのが殆んどもう全部でございます。特にその点については御報告申上げることはないように思うのでございます。  それから第二の金額に制限があるかというお尋ねに関しましては、これは何もございません。金額の多少にかかわらず取扱い得ることになつておりまするし、又私どもといたしましてもどこまでもそのつもりでやることに考えております。ただだんだん申上げておりまするように、この扱いまする仕事の性質上、余り額の小さい契約におきましては、或いは外国との電報のやり取りであるとか、仕様書のやり取りであるとか、技術者の派遣であるとかいうようなことを伴うケースが多いものでございますから、到底小さい契約では費用の点から申してもペイしないという関係で、どうしてもまとまつて参りまするものは大きな契約になるのでございます。そこでこの中小企業との関係の問題でございまするが、この仕事の性質から申しますると、勢い海外に信用のある大きなメーカーというものが代表になりまして契約を取つて、その実質の下請けなり部分品の製作なり等の点において、これに中小の企業家も協力をするという形にならざるを得ない性質のものが多いのでございまして、従つて実際から申しますと下請に出し、又中小企業の協力などを得てやつておるものが多いと思いますが、現われました融資の形から申しますと、大きな海外に名の通つたようなメーカーが自然主眼になつて参るという結果になつておるのでございます。先ほども申上げました通り、従来扱いました件数のうちで最低の金額は五百余万円というのがございます。これなどはかなり細かい費用に属する注文であつたように思うのでございますが、勿論さようなものもございまするし、又出て参ればことごとくこれに支援するのにやぶさかでないのでございますが、どうも全体から申しますると、そういうものは比較的少くなつて来るという実情にあることを御了承願いたいと思います。  更に法律上の制限といたしまして先ほども御説明がございましたが、従来は契約を受けまして、それを製作をして代金が回収されまするのに大カ月以上のものしか扱えないことになつておりました。これは勢い比較的大きな機械類の製造をするということになるわけでございますが、それを今回の改正案におきましては、場合によつては三カ月を超えるものでもよろしいということに改正されようとしております。三カ月以上ということになりますれば、自然それは比較的小さな機械類等についても銀行に働らきかけ得る余地を生じて参るということになりますので、今後はそういう点においても極力新しい規定を考えて参りたいと考えておる次第であります。
  29. 大矢半次郎

    大矢半次郎君 従来の実績から見ましても船舶に対する融資が一番多いようで、殊にパナマ方面が一番多く、又現在の借入申込等から見ましてもアメリカ方面が多くなつておりますが、これはどうしてこういう状況なつておるのか。むしろ資金的に米国方面は相当豊かだからこういうことをしなくてもやつて行けるのではないかという気がいたしますが、如何でございましようか。
  30. 山際正道

    参考人(山際正道君) 御指摘のようにこの船舶関係はパナマ、リベリアなどとなつておりますが、これは実質的には全部アメリカでございまして、ドル契約なつておるものでございます。現在申込を受けておりますものも或いはギリシアでありますとか、中にはアメリカ自身もございますが、いずれにいたしましても実質はアメリカの資本で扱われておるものでございますので、御指摘のようにアメリカの資金を以てすれば必ずしもこちらから融資をいたさんでもできそうなものだということになるわけでありますが、実際から申しますと、そこはその船舶の建造に関する何と申しまするか、メーカーと注文者の間の力の関係がございます。従来の船舶の建造におきましては、例えば契約成立のときに二〇%、起工のときに二〇%、それから進水すれば二〇%というふうに大体世界的に支排の標準があつたのでございますが、ここが需給関係で、若しこちらが非常に強くなりますれば、もつと前提金なり前渡金をもつともらえるということになるわけでございますが、現在のところでは漸次世界の船舶界の情勢から申しまして、日本側のメーカーに有利には展開いたしておりますけれども、主として建造資金をアメリカに依存して、それで大体賄えるという程度まではまだ強くなつておりません。相当部分はその建造に必要な資金日本側において用意いたしませんと契約に従つた建造ができないという実情にある状況でございます。
  31. 大矢半次郎

    大矢半次郎君 今日本の国内で第七次後期の造艦とか、或いは第八次造船の資金問題が非常に大きくなつておる。それから日本船舶をもつと増強しなければならんという、電力と同時に焦眉の急をなしておる。そういう場合に私よくわかりませんけれども、こういうふうにして外国向けの船に相当金融をするならば、国内のほうは何かあと廻しになつておるのではないかというような気がいたしますが、そういうことはないのでございましようか。
  32. 山際正道

    参考人(山際正道君) 御指摘の点は確かに一つの問題点であろうと思います。実情として私ども理解いたしておりまするのは、国内のほうの資金関係等によつて、国内船の建造というものは意のごとく進まない。これに対して造船所の建造能力乃至建造用の資材というものは比較的余つており、これらの結果としてむしろ外国船の注文を取つて、これによつて造船業なり、鉄鋼業なり、或いは各種機械のメーカーなどがその事業を継続して行かれるという実情にあるように思うのです。で、若し自国船の建造計画のほうが、各種の條件が整いまして、相当伸びて参りますれば、勢い外国船を受ける余地は少くなるのでございまして、これは又そうなつて然るべきだと思いますが、現在の状況におきましては、国内船の建造費がそれほど多くございませんので、努力を輸出船の建造に向けている実情にあると思います。なお先ほど申上げましたが、今引受けている輸出船は殆んどこれはドル契約でございまして、日本の国際牧支から申しまして、ドル獲得には相当役立つておるという状況にありますので、私どもといたしましては、できるだけ申込に対しましてはこれを応援する立場で臨んでおります。  なお念のために申上げますが、輸出船がきまりまして、私どものほうへ融資の申込をせられます前には、通産省、運輸省その他で御協議の上で輸出船の建造許可を與えられることになつております。私どもといたしましては、御指摘の点は、論議は十分政府においても許可を與えられます際にお盡しになつていることであろうと、実は信頼をいたしておるようなわけでございまして、その結果出て参りました注文に対しまして、私どものほうが融資をさしてもらう、こういう関係なつております。
  33. 大矢半次郎

    大矢半次郎君 私は当初よく呑み込んでいなかつたためか、輸出銀行の重要な事項はやはり東南アジアの開発関係のほうじやなかろうかと思つていたのでありますが、必ずしも今までの実績から見ると、どうもそう思わしく行かない。却つてこういう船舶関係のものに主力を注いでおる。それで遠い将来はとにかくとして、差当り明年度あたりは船舶が大部分をなしておるというような状況は、果して輸出銀行の本来の使命かどうかというような気がいたしますが、どうでしよう。
  34. 山際正道

    参考人(山際正道君) 現在のところは、昨年の暮以来輸出船の建造が盛んでありますことは申上げます通りで、ただ二十七年度もこの趨勢が続くかどうかという点につきましては、私どもは必ずこれは同じような状況が繰返されるだろうとは考えておりません。勿論東南アジアの経済開発に対する協力ということは、これは最も力を入れて臨む事柄でありますので、私どものほうではこれに対しても最善の努力を拂うつもりでおりますが、だんだん申上げますような資金の余裕関係もございまするし、かたがたドル獲得の重要な要素にもなつております現在といたしまして、これに対して融資を継続しておる、こういう実情にある次第でございます。
  35. 大矢半次郎

    大矢半次郎君 私大蔵省のかたにお伺いしたいのですが、ドル獲得に資するというお話でありますけれども、これは非常に近視眼的な見方であつて本当に努力をしてドルを獲得するには、やはり日本の国内船をたくさん昨つて、そうして運賃収入を図るというのが基本的なこれはものでなければ汁らんと考えておりますが、今輸出銀行のかたの御説明を聞いても、十分納得しかねるような点がございますが、どうでしよう。
  36. 福田久男

    説明員福田久男君) 御指摘のように国内の外航船を充実するということは勿論緊急であり、重要なる問題であると思いまするが、ただ国内船を造りました場合には、その見合となる資材の入手ということのためには新たなる外貨なり何なりが得られなければ、まあ次の裏付ができないということもありますので、まあ物資の面から見ましてもドルで輸出いたしますれば、そのドル資金を以て又鋼材なり或いは鉄鉱石なり、そういつたものを輸入いたしまして、それに製鉄業その他も関與て、次の鋼材に又回転するときの資源として、それらによつて得られました国内の利潤というものが、まあ国内における余剰のものという、残りという、サープラスというものが国内において本当に新投資に向け得べき資材となるのではないかと思います。仮に成る程度の資材がありましても、それを国内の新投資に向けてしまうと、次の入手という点において非常にまあ窮屈な状態になるのじやなかろうかというような観点から見ますと、ドル資金の獲得に寄與するものであれば、船舶といえどもこれを輸出することによつて、ますますそういつた国内の新投資に向け得べき余力を殖やすということには大いに役立つのじやなかろうかというふうに考えられるのでありますが、それらもまあ程度問題ということになるかも知れないと思いますが、それらの諸般の状況を勘案した上で、国内の新造船のトン数なり、或いは輸出に向けるべき船のトン数なりというものが判断されるべきじやなかろうかというふうに存じます。
  37. 大矢半次郎

    大矢半次郎君 まあその点はこの程度にとめておきます。それから日本の物価の関係から東南アジアの方面にどうもうまく契約が成立しがたいということを一時聞きましたが、最近はどんなふうになつておりますか。又今後そういう点は余り心配がないんですか。
  38. 山際正道

    参考人(山際正道君) 私どものほうへいろいろと報告されております実情から申しますと、この東南アジア開発に対する協力にいたしましても、日本の製品の物価が高いということが、相当大きな障害になつているということは事実であると思います。で、大きな機械類の輸出に関しましては、多く国際的な入札を以て行われているのでありますが、従来の実績によりますと、日本の重機械類はものによりまして、は、二、三割高、更にものによりましては五割から倍近いくらいの入札をするという結果が現れておるのでありまして、この価格問題というものは将来の日本プラント輸出の動向、更に又東南アジアにおける経済開発協力関係において重要な影響を持つものと考えております。なぜ高いかということにつきましては、御承知のようにそのもとになる主要原料である鋼鉄の値段が高いというのが主要な原因であると考えられてもおりまするけれども、だんだんいろいろお話を伺つて見ますると、必ずしもそれだけではないのでありまして、一般的に申しましてどうも日本の物価情勢というものが、輸出という観点から申しますると十分今後留意を要するという結論になるだろうと思うのであります。日本が東南アジアにおいてこのプラント関係で競争をいたしておりまするのは大抵イギリス、ドイツ、ベルギーなどでございますが、これらの最近における東南アジアに対する進出振りはもう目覚ましいものがあるのでございまして、これにつきましては今後も日本においては十分その原因を研究して、これを合理化するために努力を拂わなければ前途は必ずしも楽観を許さんというふうに考えております。
  39. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) それでは質疑はこの程度にいたしておきます。御苦労様でした。   —————————————
  40. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 次に所得税法の一部を改正する法律案法人税法の一部を改正する法律案相続税法の一部を改正する法律案砂糖消費税法の一部を改正する法律案予備審査)、右四案を一括して質疑をいたします。
  41. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 この所得税法の一部を改正する法律案審議に当つて先ず第一にお尋ねしたい思いますのは、今度の行政協定の締結に伴いまして、これが発効いたしますると、所得税法の一部改正という手続は私は生じて来るのではないかと思うのでありますが、例えばアメリカの占領軍が今度駐留軍に変ります。これが所得税法では、日本人にということは書いてないのでありまして、一番初めに「個人」ということになつておりますが、その家族なんかの場合に非常に複雑な問題が起きて来ると思うのでありますが、この点はいつ頃これを入れられるつもりであるか、一つお伺いしたいと思うのです。
  42. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) その点はお話の通りでございまして、行政協定の結果、アメリカの軍人及び家族に対しまして、課税上の特例を認めるということは、税法の特例を認めることに相成るのであります。従いましてこれに関係しまする法律案を目下取りまとめ中でありまして、別途に提出いたしまして御審議を仰ごうと、こう考えておるのであります。
  43. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 あの行政協定によりますると、軍人、軍属に、それからその家族、それからこちらでその軍を相手に商売をするような人も、すべてこれは所得税の課税対象外になるのですが、この点は限度はどの辺まででしようか。
  44. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 非常に細目の詳細なことはいずれ法律案提出の際申上げますが、極く大体のことを申上げますと、軍人、軍属及びその家族が、アメリカの軍並びに軍の関係機関から受ける所得、これに対しまして税金をかけない、それらの人々が他の日本の国内における源泉から生じた所得に対しましては、これは課税しないということにいたしておりません。例えば家族の人が、日本の商社或いはその他に働きまして所得のある場合は、これは免税いたさないのでございます。軍人、軍属及びその家族は、いずれもアメリカの軍の関係から受ける所得、これに対しまして免税しよう。それからもう一つは、今のお話の関係のコントラクターという一種のアメリカの軍との契約者の課税問題でございますが、これにつきましては、アメリカの本国で結びました締結、その履行のために日本に来る人ですね、こういう人人に対してはやはり同じくアメリカの軍が所得の源泉になつておる、その場合は、その分に対しましては所得税は課税しない、こういう基本的な考え方でおる次第でございます。その他の場合のおきましては、やはり一般所得税法法人税法等の適用を受ける、こういう基本的なラインになつておる次第であります。
  45. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 労務者の場合、日本人の労務者で日本政府から労務者として提供する場合と、それから直接軍が雇用する場合とあるだろうと思いますが、例えばPXとか、そこらの給仕、小間使い等で、日本人を直接軍人、軍属が雇用する場合は、これは軍属とは言えないと思いますけれども、雇用の場合ですから、当然日本所得税法を適用されると思うのですが、ただ問題なのは、軍施設なんかで、軍属待遇として、例えば朝鮮水域あたりへ今後出動するような船舶の従事員としてアメリカ船へ乗船した場合、その場合には一体どういうふうになるのですか。
  46. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) お話のような場合は、アメリカの軍人、軍属には該当しない、普通の使用人としまして使用しまして給料をもらう、そういう関係に多分なるのではないかと思いますが、そういう関係に関する限りにおきましては、これはひとり日本人であろうと外国人であろうと全部やはり課税の対衆になることになります。それは直接アメリカの軍が雇用する場合であろうと、或いは間接に日本の適当な機関で雇用しまして一定のサービスを提供する場合であろうと、両方の間には差別を付けておりません。ただ軍属になるかならんか、その辺はちよつと問題でありますので、アメリカの軍属としまして日本人を軍に雇用するということになりますと問題であろうかと思いますが、協定の一條にその点ははつきりいたしておりまして、アメリカの国籍を有しない人は軍属の資格はないということになつておるようでございますので、先ずお話の場合はやはり普通の日本人と同じような課税の場合であるということに相成ろうかと黒います。
  47. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 次に今回の改正の要綱の中の「源泉徴收所得の範囲の拡張と税率の引下げ、」こういう欄の三項目でありますが、「証券投資信託に属する株式の配当に対しては、原泉徴收を行わないものとすること。」、この「証券投資信託に属する」ということになりますると、これは山一だとか、野村だとか、日興とか、この証券会社が扱つておるのでありますが、これはその証券会社が自己の資金で以て資金運用上、この投資信託のような恰好にごまかし得る余地がこういうような場合には生じて来るのではないかと思いますが、その点をはつきり、一般の預託者から、金を預けた人からのものと、その証券会社の自己資金との区別をはつきりこれはできる余地があるのかどうか、その点一つお伺いしたいと思います。
  48. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) この点は実は前国会は臨時措置法で暫定的にいたしましたのを、今度は本法に織り込むんだ次第でございますが、所得税法の第十八條の第三項の法文をちよつと御覧願いたいと思うのでございますが、新旧対照表を御覧願いますとすべて非常に便利でございます。二十七頁であります。それの上の欄が改正なつておりますが、その十八條の第三項にはつきり今御指摘のようなことが問題がないように規定いたしてあります。即ち「信託会社がその引き受けた証券投資信託の信託財産に属する株式又は出資について利益若しくは利息の配当又は剰余金の分配を受ける場合において、当該信託会社が、その利益若しくは利息の配当又は剰余金の分配をなす者の備え付ける帳簿に、当該株式又は出資が当該信託財産に属する旨その他命令で定める事項の登載を受けたときは、」課税しないと、こういう趣旨にいたしておりまして、証券会社の普通の所有株式等とはつきり分けまして、投資信託に属するものであるということを一定の帳簿に登載せしめましてその登載したものに限りましてその非課税の規定を適用する、このようにいたしておる次第でございます。
  49. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 次に今度始めましたあの無記名定期ですな。これは大分論議をされておるところだと思いますが、一体これは税法の改正をせずに、大蔵大臣がそのときどきの情勢によつてその必要と認めて始め、又必要がなくなつたと言つてやめる。税金を取るか取らんかというような問題を、一体法律的な処置なしに、大蔵大臣の行政処置としてやり得るということは、今度の所得税法改正と関連して考えなければならん問題だと思うのですが、一体主税局長、そういうことはいいのですか。行政府が勝手に税金を取つたり取らなかつたりできるということになりますと、これは大きな問題だと私は思う。法律から行きましても、税金を取る取らんということは、憲法では明らかに法律によらなければならんと書いてあるにもかかわらず、こういう処置を、私は無記名定期がいい悪いということは別の機会に讓るとして、税法上からこれは一体どう考えられるか、この点について明快に回答を願いたいと思います。
  50. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 実は私どもは、今いいか悪いか別に論ずるというその点は実は大分問題にしたのでありますが、法律措置といたしましては大した問題は実はない。税は取るのでございます。法律措置といたしましては、この前の改正で、源泉で選択すれば総合課税をしないという規定は租税特別措置法に入れておる。普通ならば預金の源泉課税は二〇%ですが、五〇%の税率の選択をしますれば、もうその利子については大部分税金を取つたことになるから、総合課税をしないという規定は、実は昨年の租税特別措置法の改正ですでに入つております。そこで問題は、今回の措置の問題は、銀行法の運用の建前として、銀行が預金者から名前を言わないで預金を受け入れることを認めるか認めないか、その問題だけに問題はかつて来ておるわけでありまして、そういう見地から行きますと、そういう種類の預金を認めていかんという法律上の、銀行法その他の制限もない。従いまして今まではいろいろな監督上の都合、その他からいたしまして、銀行に対しましては大蔵大臣としまして銀行局長をしていろいろな通達を出さしめて指導監督を加えておりまするが、その一つといたしまして、今までは無記名預金はどうも預金として面白くないからというわけで、認めない、通牒を出して認めなかつたのでありますが、今回はいろいろな情勢からしまして、認めたらいいだろうというので、そういうことをやりましても銀行に対しては大蔵省はやかましく言わん、こういう通牒を出しまして、認めることにいたしたわけであります。認める結果といたしましては、当然これは五〇%選択はする。だから預金の利子自体に対しましては、税金を拂つていないどころか、むしろ相当高い税金を実は拂つているわけでございまして、従いまして法律的には問題はないのでございます。  それからもう一つの問題は、税法では預金者に対しましては銀行から支拂調書を出させる、こういうことになつております。或いは銀行に行きまして帳面を検査することができる。その際におきましては結局、税法におきましては勿論銀行に行きまして、牧税係員はこの預金は誰か調べることができるわけですが、銀行としましてはそのときに、これはどうもどなたか名前を書いておりませんので、無記名債券と同じように、ちよつとわかりませんがとこれが言い得ると、それだけのことなんでございますね。従いまして、そういうことのために税法で今度それを破ろうとしますと、税法の見地からだけは何か銀行は預金者の名前を調べておいて答える義務があると、こう規定しなくちやならんところですが、そこまでは今規定しておりませんので、これはどうも無記名預金を認めた以上、銀行に行つて調べた場合に、誰の預金かわからない、こう言われてもやむを得ない、そういうところでありまして、これも別に法律違反ではないのでございます。従いましてこの問題はむしろそういう種類の預金を運用として認めるほうがいいか悪いか、こういう問題と私考えるのでございまして、そういう問題でございますれば、恐らくいろいろな方面にいろいろな意見があるだろうと思います。大蔵省としましては、現下の貯蓄奨励の必要、資金蓄積の必要等の点を重視いたしまして、あのような処置を認めることにいたした次第でありますことを御了承願いたいと思います。
  51. 小林政夫

    ○小林政夫君 資料だけちよつと。勤労控除ですね、これを今最高限度三万円ですが、五万円にした場合にどれだけ減收になるかという計算を一つして見て頂きたいと思います。それから青色申告を出したものは、今度家族労働者、親族の従事者ですか、それが一人当り支拂給料について五万円の控除、これによつて事実上どれだけ減税になるか、この二つの計算をお願しておきたいのですが。
  52. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 正確なのはお出ししますが、先般衆議院で六万円にしたらどうかという要求がありまして、計算いたしたところが……。
  53. 小林政夫

    ○小林政夫君 ちよつと、あとで文書で下さい。
  54. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) それじやあとで。
  55. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 次に今度の税法の改正に関連してでありますが、国民所得五兆三百億というやつですね、あれが一体分配になつて参りますると、今度の税をどこから吸い上げるかという表がもうできておりましたら、一体勤労所得からどれだけ、それから農業所得からどれだけ、法人所得からどれだけ、これが、安本の国民所得と今度の税法との関係が一つ出ておりましたら、資料ができておりましたら、これを一偏御説明願いたいと思うのでありますが、どういうふうに大体パーセンテージがなつておるか、これは大分論議をされておるところだと思いますが。
  56. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 今のお尋ねは、所得税、法人税に関する限りにおきましては実はすぐできます。ただ酒とか煙草とか、これはまあ両方入れますと二千五百億かかるのですが、この負担を勤労者は幾らしておるか、これはなかなかむずかしい。従いまして所得税、法人税、これにつきましてそれぞれ勤労者の所得税が幾ら、農業所得者が幾ら、それはできますので、この次の機会に詳細御説明申上げたいと思います。大体今日お出しております俵を対照して御覧下さいますとおわかり願えるのでありますが、私どものほうで更によくわかりやすくいたしまして、御説明いたします。
  57. 菊川孝夫

    菊川孝夫君 今度の酒の税金と関係して来ると思うのでございますが労務特配というのが酒は安くやつておりましたですな。ところが今度は農業の報奨のほうは安くするが、労務特配のほうはやめになるようなお話でございますが、一つこの点を御説明願いたいと思います。どういうことになるのだか、それが大分問題になつておりますので。
  58. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 若干問題になつておるのでございますが、まあ私ども最近の状況になりますと、特別に安い価格で酒を配給するというのはどうもやはり如何であろうか。できますならば、もうここまで来ますと全部全廃するのも一つの考え方じやないかとこう思つていたのでありますが、ただ御承知通り、農村は密造が非常に激しい。これはまあ事実としまして認めざるを得ない。それと、何と申しましても、農家は、酒は米で作つたものなんですね、酒に対しましては農家は特に、何と申しますか、昔から非常な飲む習慣がありまして、一種の必需的性格を非常に強くしておる。その二つの点を考えまして、農村につきましては食糧増産も重要なときでありますから、これはやはり成る程度の特配を継続して行きたい。それで主として農民を対象にしまして今年配給を残すということにいたしまして、その他の分は原則としてやめるという前提で実は酒の税収入の見積計画をやつておるのであります。従いまして今の大体の考え方はそのようであるのでありますが、併し絶対に配給してはいかんというようには法律はしないで置くつもりでございます。必要に応じまして状況に応じましてできるようにはいたしたいと思つておりますが、建前といたしましては、今申上げましたようなふうに、この際変えたほうが妥当ではないかと考えておる次第なのであります。併しこの点につきましては、若干政府部内にも意見がありまして、目下調整中でございますが、それがきまりました上、更にはつきりお答えをいたしまするが、私どもといたしましては大体そのように考えておるということを申上げておきます。
  59. 大矢半次郎

    大矢半次郎君 過去数年間の実績から見るというと、この予算に対して申告所得税の收入がどうも工合が悪いのでありまするが、今度頂いた昭和二十七年度租税及び印紙収入予算説明書の二十頁においても、二十四年度以降の予算額と決算額の年度別比較表、昭和二十六年度分の十二月末の収入済額から見ても、やはり申告所得税はどうも振わないようでありまするが、二十六年度においては、最近の見込では如何ですか、予算通り入りますかどうですか。
  60. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) どうもなかなか、御指摘の通りでありまして、申告所得税の適正な申告指導並びに調査、それからあとの徴收には国税庁は一生懸命になつてやつておるわけですが、成績がなかなか思うように上つておりません。それで本年度は、一つは前年の実績で予定申告をしました関係上、一昨年の所得と昨年の所得とに大分差がございますので、その関係で少し遅れている、こういう事情もございまして、最近までの成績は率直に申上げまして、余り振つておりません。従いまして、今若干過ぎましたが、二月の申告に対しましてはまあ相当な調査をした上で、納税者に対しまして申告をしてもらうことにして、非常な努力を傾けておりまして、まあその結果私どもとしましては、この成績が二月と三月で相当上ることを実は期待いたしておるのでございます。期待いたしておるのでございますが、やはりなかなか納税者としましては金繰りに困るというのが現状でありまして、徴收面になりますと、なお一段の困難を加えているような現状でございます。併しながら目下の情勢ではまだ何も殊に申上げませんが、どうも予算通り出ていないというということは、私も心配しておりますが、まあどの程度の限度でとどまるかというのが、目下の情勢のようでございまして、或る程度予算を下廻るのではないかと見ておる次第でございます。
  61. 大矢半次郎

    大矢半次郎君 それからその富裕税ですね。富裕税は二十五年度予算額は二十億二千五百万で、決算額は五億一千六百万、二十六年度予算額が十億で、十二月末には一億九千五百万しか入つていないのですが、この二十六年度の收入見込はどうでありますか。そうして二十七年度は果して予算通り十一億というような收入は見込まれるのでしようか。
  62. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 富裕税は昨年、予算と実績と大分差が、ございましたのですが、本年はそれに代る意味から予算額は大分減らしておりますので、これは大体私は入つて来るのじやないかと思います。と申しますのは、今まで入つて来ておりますのは前年度の繰越分で、ございまして、二十六年度分は二月末に納めるという建前なつておりますので、この表にはまだ載つておりません。従いまして、この二月一ぱいの成績が明らかになりますと、更に的確になると思いますが、予算に計上している前後のものは、富裕税は入つて来る可能性はあるのじやないかと思つております。
  63. 大矢半次郎

    大矢半次郎君 金額が非常に少いから余り問題にするに足らんかも知れませんが、二十五年度の実績、これは五億、二十七年度十一億とすると、倍見積る、こういうのは果して実態に副うかどうか、まあ不動産方面は捕まえられるかも知りませんが、有価証券、他の銀行預金のごときは殆んど課税の対象から逃げておるのじやなかろうかと思いますので、これはむずかしいのじやないかという気がいたしますのですが、如何ですか。
  64. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 富裕税が、最初の見積りは二十五年度より低くなりましたのは、同族会社の株式と申しますか、最初これを評価して見ますと、なかなか純資産の評価でやれない、この分の資産の評価が最初予期した通り行かなかつたというのが一つの大きな理由でございます。それとその外、やはり戦後いろいろな社会改革等により金持が大分減つて来たので、我々相当正確に計算したつもりでありましたが、狂つて来たわけでありますが、二十六年度といたしましては、賦課の実績も十億を越えておりますので、昨年の実績からいたしまして、先ず富裕税はやはり予算に近いところまで行くのじやないか、このように見ておるのであります。
  65. 大矢半次郎

    大矢半次郎君 次に酒は大分造石高も殖えて来ておるようであります。税率は据置きですが、大体これの消費状況等からして何か研究する余地があるかどうか、ちよつと伺います。
  66. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 酒税は、実は今年の一月頃、昨年十二月頃から一月頃までの成績でございますので、相当好調でございまして、補正予算で見ておる数字を上廻るのじやないかという数字がございました。現在におきましても收入としましては、やはり酒税收入は補正予算で大分増額いたしましたが、なお実績は越えるのではないかというように見ております。石数も百三十万石程度見ておりますが四百五六十万石程度に行くのじやないか、来年度は四百九十万石程度見ておりまするので、先ず予算の見積りといたしましては適当なものではないかと考えております。ただ今ちよつと申上げまし孔ように、今年、而も極く最近でありまして、若干昨年の秋から一月にかけての情勢と違つた情勢が見えつつあるようでございます。即ち昨年の年末頃の売れ行きは好調で、資金の回收は順調でございましたが、これがやや停頓気味である、公定価格も百原料の値上げによりまして相当引上げましたので、合後そういう影響も更によく見て行かなくちやならんと思うのでございまするので、今までのように必ずしも楽観は許さない節があるようでございますが、だからと言つて又一昨年にありましたように非常な酒の配給の不均衡、こういう事態までならないのじやないか。或いは私どもといたしましては極力業界の円滑な出荷の勧告でございますが、努力するように勧告いたしまして、余り売れ行きが悪いから、そういう競争をして値引きみたようなものをやつて見たり、そのためにお互に変な結果にならんように注意してもらいたいということを言つておるのですが、そういうところになりまして、そう業者が慌てるような事態さえなければ先ず相当混乱と申しますか、困難と申しますか、そういうことまではなくて済むのではないか、現在のところさように見ておりまして、従いまして酒税の見積等におきましても、大体今の状況から行きますと、こんなものじやないのじやないかと見ておる次第であります。
  67. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) では本日はこれにて散会いたします。    午後三時四十九分散会