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政府委員(西村直己君) 只今議題となりました
ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件に基く
大蔵省関係諸命令の措置に関する
法律案ほか二法案につきまして、その提案の理由を御説明いたします。
平和條約の効力発生に伴いまして、
政府は、いわゆるポツダム命令につきまして、別に存廃の措置のなされない限り平和條約の効力発生後も六ケ月間を限り
法律と同様の効力を持たせるため、別途
法律案を提出いたしておりますが、これと共に、今後も存続させる必要のあるものは、
法律としての効力を持たせることとする一方、この際整理すべきものについては、所要の改廃の措置を講ずることとしておるのであります。この
法律案はその一環といたしまして、
大蔵省関係のポツダム命令について所要の措置を行おうとするものであります。
大蔵省主管のポツダム命令のうち措置を要すると思われますものは四十五件でありますが、この
法律案は四十五件そのうち十三件をそのまま存続させ、又六件を改正して存続させると共に二十二件を廃止することとし、これがため所要の措置を講じようとするものであります。なおこの外「連合国財産の返還等に関する政令」外四政令につきましては、別途改正して存続させるための
法律案を提出いたす予定でありますので、これを加えますと、結局そのまま存続させるもの十三件、改正して存続させるもの十件、廃止するもの二十二件と相成るのであります。
次に、この
法律案の
内容の概要を申上げます。先ず、「閉鎖機関令」等閉鎖機関
関係の四命令につきましては、閉鎖機関の特殊整理の現況に鑑みまして、閉鎖機関の指定前にした
行為を閉鎖機関整理
委員会が取り消し得る
制度は、もはや不要でありますので、これを廃止いたしますと共に、このほか平和條約の効力発生に
伴つて、強権的な
規定その他不要な
規定を整理し、併せて閉鎖機関整理
委員会の解散に関する
規定を整備することといたしております。
第二に、「旧
日本占領地域に本店を有する会社の本邦内にある財産の整理に関する政令」につきましても、占領終結に伴い必要な
規定の整理を行うことといたしております。
第三に、「国外居住外国人等に対する
債務の弁済のためにする供託の特例に関する政令」につきましては、国外居住の外国人に対する
債務の弁済のためにする供託の特例は、在外会社の
債務を除き、平和條約の効力発生後に生ずる
債務に関してはこれを認めないこととする等
規定の整備を行うのほか駐日使節団を通じて行う供託物の還付請求に関する
規定その他不要となる
規定を削除することといたしております。
第四に、以上の六件のほか、「特別調達資金設置令」等十三件につきましては、今後とも存置する必要がありますので、平和條約発効後も
法律としての効力を持たせることといたしております。このうち、「明治三十九年
法律第二十四号官国幣社等経費に関する
法律廃止等の件」等八件は、いずれも他の法令の廃止又は一部改正を
内容とするものでありまして、罰則その他の経過
規定につき、なお当分の間存続させておく必要があるのであります。
第五に、廃止しようとする命令でありますが、このうち大部分のものは、「
日本カタン糸株式会社の再設立に関する政令」のように、元来一回限りの又は極めて極限された事柄を対象としているもので、その目的の達成、
関係事務の結了等によ
つてすでに実質的意義を失
つておりますので、この際、明確に廃止の措置を講じようとするものであり、「会社の証券保有制限等に関する勅令」ほか一件の経済
民主化を目的としたものにつきましては、おおむねその所期の目的を達成したものと認められますので、同様廃止の措置を講ずることといたしたのであります。又、「臨時軍事費特別会計の終結に関する件」につきましては、若干
関係事務の終了していない点もありますが、この際これを廃止いたし、所要の経過
規定を設けて今後の処理を行うことといたしております。
次に
国民金融公庫法の一部を改正する
法律案につきまして、その提案の理由を御説明申上げます。
国民金融公庫は昭和二十四年の六月発足して以来、国民大衆の資金需要に応ずるため、五回に及び増資を行い、昨年十二月末までに、普通貸付約百二十一億円の貸付を行な
つて、
一般の金融機関から融資を受けることが困難な国民大衆の生活の再建と経済の復興とに寄與して参
つたのであります。昭和二十七
年度におきましても、公庫に対する資金需要は依然相当の額に上ることが予想され、この種資金の円滑な疏通を図ることは極めて緊要であると存ぜられますので、明
年度予算におきまして、公庫に対する出資金として三十億円を計上いたしたのでありまして、これに伴い公庫の現在の資本金七十億円を百億円に変更するためこの
法律案を提出いたした次第であります。なお明
年度におきましては、この増資額三十億円の外に資金運用部からの借入金二十億円、及び従来の貸
付金の回収金を加えて、少くとも約百十六億円の新規の貸付資金が確保されることとな
つているのであります。
次に
開拓者資金融通特別会計において貸
付金の
財源に充てるための
一般会計からする繰入金に関する
法律案につきまして、その提案の理由を御説明申上げます。
開拓者資金融通法による農地の開拓者に対する資金の貸付に関する
歳入歳出につきましては、
開拓者資金融通特別会計を設けてこれを経理いたしておりますが、同特別
会計法におきましては、この開拓者に対する貸
付金の
財源は、同会計の
負担において発行する公債又は借入金によ
つて調達することとな
つております。併しながら、このような公債又は借入金によりますことは、健全
財政の見地から妥当ではないものと考えられますので、昭和二十四
年度以降におきましては、引き続き
一般会計からの繰入金を以てその
財源に充てて参
つたのであります。
昭和二十七
年度におきましては、十五億三千百二十一万円の開拓者資金の貸付を予定いたしておりますので、これに相当する金額を
一般会計からこの会計に繰り入れまして、貸
付金の
財源に充てることといたすため、この
法律案を提出いたした次第でありまして、この金額は明
年度予算に計上されているのであります。
なお、この繰入金は、将来、貸
付金がこの会計へ償還されました際に、その繰入額に相当する金額に達するまで、
予算の定めるところにより、この会計から
一般会計へ繰り戻すことといたしております。
以上が、この三つの
法律案の提出の理由であります。何とぞ御
審議の上、速かに御賛成あらんことをお願い申上げます。