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1952-05-19 第13回国会 参議院 大蔵・通商産業連合委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年五月十九日(月曜日)    午前十時五十四分開会   —————————————  出席者は左の通り。   大蔵委員    委員長     平沼彌太郎君    理事            大矢半次郎君            伊藤 保平君    委員            黒田 英雄君            溝淵 春次君            小林 政夫君            小宮山常吉君            森 八三一君            野溝  勝君            油井賢太郎君   通商産業委員    理事            小林 英三君            松本  昇君            結城 安次君            栗山 良夫君    委員            中川 以良君            山本 米治君            清澤 俊英君            島   清君            境野 清雄君            石川 清一君   政府委員    大蔵省銀行局長 河野 通一君    大蔵省銀行局銀    行課長     大月  高君    中小企業庁長官 小笠 公韶君   事務局側    常任委員会專門    員       木村常次郎君    常任委員会專門    員       小田 正義君    常任委員会專門    員       林  誠一君    常任委員会專門    員       山本友太郎君    常任委員会專門    員       小田橋貞壽君   説明員    大蔵省管財局国   有財産第一課長  木村 三男君    大蔵事務官    大蔵省銀行局総    務課勤務    橋口  收君    日本開発銀行副    総裁      太田利三郎君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○日本開発銀行法の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付) ○国有財産特別措置法案内閣提出、  衆議院送付)   —————————————
  2. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) それではこれから大蔵通商産業連合委員会を開催いたします。先例によりまして私が委員長の職を務めさして頂きます。  先ず日本開発銀行法の一部を改正する法律案予備審査)、この法案については、すでに内容は御承知と思いますが、政府当局より再び簡單に説明をしてもらいます。
  3. 大月高

    政府委員大月高君) それでは只今から日本開発銀行法の一部を改正する法律案の大体の考え方と、その考えましたゆえんを御説明申上げたいと思います。  日本開発銀行法長期産業資金を確保いたしますために資金を供給することによりまして、経済再建産業開発を促進することを目的といたしまして、昨年設立されたものであります。そのときには、四月二十日でございますが、米国対日援助見返資金特別会計から出資金百億を以て設立されたのであります。その後融資状況に鑑みまして、一般会計から出資金七十億円を加えまして百七十億円といたしたわけでございますが、そのほか今年の一月十六日には復興金融金庫権利義務承継いたしまして、その管理回收金を再投資し得るようにいたしたわけでございます。そういうように資金量は次第に殖やして来ておるわけでありますけれども、現在の我が国の経済状況考えますと、この日本開発銀行業務は今後一層その重要性を増すものと認められますので、このたびその資本金を増加するという措置をいたしますと共に、資金借入れるということができるということにいたします。その他業務活動全般につきまして、これを管理する方途を講ずることにいたしたわけでございます。で、具体的な問題について御説明申上げますれば、第一に資力の充実を図る。そうして資本構成適正化を図りますために資本金を三百億円に増加するというのが第一点でございます。それから復興金融金庫から承継いたしました資産に見合う政府借入金が八百五十二億二千万円でございますが、この借入金出資金に振替えるという措置を講じたいわけであります。  第二点は、従来の融資の肩替業務に改善を加えましたほかに、新たに開発資金に関する債務保証業務を加えたわけでございまして、将来これによつて開発銀行に関する外資の受入の促進に大いに役立つものと期待いたしております。  第三点は、業務の拡充に即応いたしまして、その資力を充実いたしますために政府から資金借入ができるということ、それから外国からの外貨資金借入ができるということ、この二つの点を加えたわけでございます。本年度昭和二十七年度といたしましてきまつておりますことは、この規定によりまして米国対日援助見返資金特別会計から四十億円の借入をするということをいたしたいと思うわけであります。  第四点は、米国対日援助見返資金特別会計から私企業に対する貸付債権承継し、大体これに附随する権利義務承継するということでございまして、これによつて政府資金の統一的な、効率的な運用が図り得ると考えられるわけであります。そうしてその方法といたしましては、右の承継債権相当する金額が見返資金から日本開発銀行に対して貸付けられる。で、将来更に適当な時期にこれを出資金に振替える、こういう措置を講ずるわけであります。  第五は、以上のことに附随いたしまして、経理の面でございますが、利益金の一定の合割を国庫に納付させることにいたしまして、これに伴つて法人税等の非課税の取扱をするということにいたしたわけであります。  以上が今回の日本開発銀行法の一部を改正する法律案の大体の要領でございます。
  4. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 質疑をお願いいたします。
  5. 中川以良

    中川以良君 私は只今説明頂きました今回の日本開発銀行法の一部改正法案趣旨に対しては誠に結構だろうと思います。殊に只今指摘になりました三点については当然然るべきものであつて、今後長期資金を供給して日本産業を一層活溌に振興さして、そうして日本経済再建に寄與する点につきましては、誠に当を得たる処置と存じます。本日私が特に承わりたいのは、この中におきまして産業界、殊に中小企業の立場におきまして、日本開発銀行の今後の運営につきまして一、二お尋ねをいたしたいと思うのであります。開発銀行只今お話のあつた通りに、今や百七十億の資本金を擁し、更に今後これを増資して活溌に御経営になることになつておるのでありまするが、ここで先般復興金融金庫が廃止をされまして、これのいわゆる貸付の残というものを開発銀行継承をしておるのでありまするが、この復金から、殊に只今お話いたしました中小企業融資をいたしておりまする残額というものは九十八億円でございましたか、恐らくそのくらいのものがあると思うのであります。先ず第一にこの復金中小企業関係融資をしておりまするところの貸付残高を御継承になり、これが逐次回収になつておる金額はもはや相当あると思うのでありまするが、これに対しては如何なる運用を考慮しておられるか、この復金から中小企業貸付けておつたものは、これを回收した曉には是非再び中小企業の、やはり長期金融融資をすべきが当然であると思うのでありまするが、その点についてはどういうふうに今日やつておられるか、具体的の先ず御説明を伺いたいと思うのであります。
  6. 大月高

    政府委員大月高君) この日本開発銀行復興金融金庫からの貸付承継いたしまして、現に回收事務に当つておるわけでございます。で、この三月末現在の計数を申上げますれば、復興金融金庫から貸出をいたしておりました全体の金額でございます。これは七百五十八億二千六百万ございます。そのうちいわゆる中小企業貸付でございまして、資本金三百万円以下の企業に対して貸しております金額は、三月末現在で同じく九十六億八千九百万円ございます。で、過去の回收実績を申上げますと、この二十六年度でございます。昭和二十七年三月までの過去一年間に回收いたしました金額は十三億ございます。本年度、つまり昭和二十七年度において回收を見込まれておりますものは大体八億乃至十億程度に上ろうというわけでございます。この逐次回收されます金額がどの方面に使われるかということでございますが、勿論開発銀行趣旨によりまして、経済再建産業開発を促進する、こういう方面に抽象的に言えば使うということには違いないわけでございます。それで中小関係についてどう考えるかという問題でございますが、やはりこの運用といたしましては、開発銀行の設立の趣旨に従いまして、この金を総合的に使つて行く、こういうことになるだろうと思います。この開発銀行性格といたしましては、特に中小金融をやる機関ではございませんけれども、勿論逆に申しますれば、中小金融をやらない機関というわけでもございません。融資の対象となります産業の性質によりまして、これを判断いたしておるわけであります。従いまして今後開発銀行運用といたしましても、この中小企業から回收をした金額がこれだけあるというようなことは十分含んで、中小企業に特に不便を與えるというようなことはないように考えて行きたいと存じますが、要は全体といたしまして開発銀行性格自体によくかなつた方法によりまして、適当な業種運用する、こういうように考えておるわけであります。
  7. 中川以良

    中川以良君 今の御説明によりますると、中小企業融資をしておつて回収されたものは、開発銀行の本来の使命によつてこれを運用するのである、併し中小企業にこれによつて特に不便を與えるようなことはされないというような御説明であつたのでありますが、併し私はややともすると、開発銀行はいわゆる大企業に対する部面に長期融資をするということが重点におかれまして、中小企業のごときは無視される虞れが多分にあると思う。そこでやはり中小企業に従来融資をしておつて、それから回收されたものが再び中小企業に還元するという原則をここにお定めになることが今日最も必要ではないかと思うのであります。殊に大企業に関連した中小企業が活溌に動かなければ、如何に大企業のみを融資の、資金の面において政府が助成をされましても、大企業自体も動かないことになると私は思うのでありますが、この点はさような原則の御見地に立つての御方針であるかどうかをはつきり承わりたいのであります。
  8. 大月高

    政府委員大月高君) 中小企業重要点に関しましては、全く御趣旨通りでございまして、單に大企業に対する融資をすれば、日本産業が成立つて行くかどうかということに関しましては、やはり全体の企業の中で占める中小企業の地位を考えますと、中小企業について十分な考慮を拂う必要はあるかと存ずるのであります。ただ開発銀行性格として考えますと、然らば中小企業関係から、回收いたしました金は必ず中小企業に貸すという、いわゆる別枠的な運用でもするかということになりますと、やはり本来の中小企業のための制度ではございませんので、場合によりましては、逆に中小企業関係から回收いたしました金が枠を超えまして、或いは中小企業融資されることもあり得るかと考えます。或る金額を枠的に運用して中小企業に流すということは、この際としては考えないほうが適当じやなかろうか、ただ運用に際しましては、十分この回收金性格というものを考えまして、御趣旨に副うようにいたしたいと存ずるのであります。
  9. 中川以良

    中川以良君 今の御答弁によりまして、一応中小企業重要性は認められておるようでございまするが、殊に回収された中小企業に出しておる金より以上に中小企業に出す場合もあるという御発言があつたのでありますが、私は一応今日の場合は、その点はまだ納得はいたしませんが、質問は保留をいたしておきます。  次に伺いたいのは、今回対日見返資金の分につきましては、開発銀行継承をされることになるのでありますが、対日見返資金のうちより、やはり中小企業にも三十億余が私は出ておると思うのでありますが、この点につきまして、一体どういうような内訳になつておるか、一つ最初に承わりたいと思います。
  10. 大月高

    政府委員大月高君) 現在対日援助見返資金から中小企業融資として出ております金額は、同じく今年三月末現在におきまして三十億五千万円でございます。で、この金額もやはり開発銀行において引受けることになると存ずるのでございますが、同じく先ほど申上げましたと同様の趣旨によりまして、開発銀行において運用いたして行くことになつております。
  11. 中川以良

    中川以良君 そこで私はこの法案について承わりたいのでありまするが、第四十九條の二におきまして、「政令で定めるもの及びこれに附随する権利義務は、政令で定めるところにより、」と、かようにございますが、つまり「私企業に対する貸付に係る債権政令で定めるもの」というのは、一体どういうものでありましようか。その政令の案でもございましたら、お示しを頂きたいと思います。
  12. 大月高

    政府委員大月高君) ここに、四十九條の二にございます「私企業に対する貸付に係る債権政令で定めるもの」と申しますものは、業種考えたわけでございまして、どういう業種、どういう業種のものは承継すると、こういうことをきめたわけでございます。現在見返資金から貸しております債権の大部分はこの規定によつて承継するということになると思います。それから政令で定めるところによつて承継すると申しますのは、この承継いたしますところの順序とか、或いは時期、こういうものを詳細にきめたわけでございまして、この「附随する権利義務」といたしましては、例えば抵当権をどうするとか、或いは保険金請求権をどうするとか、或いは経過利息をどうするとか、そういう問題を詳細に規定する必要がございますので、それを政令讓つたわけでございます。で、現在まだどういう種類の業種について承継をするかということは政令案としては固まつておりませんが、大体の方針としては、大体これを引受けることにいたしたいと思つております。
  13. 中川以良

    中川以良君 今の御説明によりますると、「私企業に対する貸付に係る債権」というのは大部分継承されるというようなふうになつておりまするが、継承されないものは極く僅かと存じまするが、どういうものが継承されないのでございましようか。
  14. 大月高

    政府委員大月高君) 今まあ大部分と申しましたものは、或いは現在のところ特に例外として考えておるものはございませんので、殆んど全部と考えていいと思いますが、ただ具体的な場合に何らか例外的な措置を講ずる必要があるかも知れないと、こういう意味でございます。大体の考え方といたしましては、御存じのように見返資金からは一つ貸付恰好で出ておりますし、一つ出資金という恰好で出ております。この出資恰好で出ておりますものは見返資金に残すし、貸付恰好で出ております金は原則として全部引受ける、こういう意味でございまして、或いは若干前の説明が不正確であつたかと存じます。
  15. 中川以良

    中川以良君 それから四十九條の三でございまするが、その末尾に「当該貸付に係る債権管理及び回收に関する業務その他その承継した権利義務処理に関する業務を行うことができる。」と、かようにございまするが、「権利義務処理に関する業務」というのは、一体どういうことをお考えなつておられるのか、一つ具体的にお話を頂きたいと思うのであります。
  16. 橋口收

    説明員橋口收君) お答えを申上げます。先ほど質問がございました第四十九條の二の第一項に、これに附随する権利義務開発銀行承継するということになつておりまして、その権利義務内容といたしましては、例えば抵当権或いは保険金請求権に対する質権或いは経過利息等も含まれるわけでございます。それら承継いたしました権利処理、例えば保険金請求権に対する質権は、貸付金回收いたしますればこれを解除するということになるわけでございまして、承継いたしました債権に関連いたしまする権利義務処理に関する業務日本開発銀行がこれを承継して行うという趣旨でございます。
  17. 中川以良

    中川以良君 その中で私が先ほど申上げましたごとく、いわゆる見返資金関係においても中小企業については三十億余が出ておるのでありますが、これが回收を予想される額は相当あると存じますが、一体本年度はどのくらい回收を見込んでおられましようか。
  18. 橋口收

    説明員橋口收君) 見返資金中小企業に対する貸付金は昨年度実績で申上げますと、約四億円の回收がございました。本年度におきましても昨年の実績から推定いたしまして四億円よりも上廻る数字回收されるものと、かように存じております。
  19. 中川以良

    中川以良君 そういたしますと、今の処理に関する業務の中に特に中小企業に出したものの回收金は再びこれを中小企業に還元するというような趣旨の下に、何か開発銀行の中に中小企業業務に関する特別な部門を設けるというようなことは考えられておるかどうか、この点を承わりたいのであります。
  20. 橋口收

    説明員橋口收君) 法律の立案の趣旨といたしましては、只今申上げましたように見返資金から承継いたしました貸付債権及びこれに附随する権利義務処理に関する業務を行うということを規定しておるわけでございますので、只今指摘のありましたような点は運用問題として解決してもらいたいというわけであります。
  21. 中川以良

    中川以良君 私はそこで一つ開発銀行太田総裁がお見えになつておられますので、先ほどから私が質問しております要点についてはお聞きを頂いておると存じますが、殊に中小企業関係に対する今後の融資に対してどういうお考えをお持ちであるか、開発銀行といたしましては、中小企業等に対してそう重点をおいてないというお考えか、それとも十分御認識を持つておられるかということを一つ明らかにして頂きたいのであります。
  22. 太田利三郎

    説明員太田利三郎君) これは今まで大月課長並びに橋口事務官から御説明申上げました趣旨通りでございます。我々のほうといたしましては、趣旨開発銀行の本来の目的に適うものであればこれは当然取上げたいわけでございますが、実際問題を言いますと、開発銀行は人の関係、店舗の関係から申しましても、十分な活動を、特に中小企業だけに十分な活動開発銀行に期待するということはなかなか困難ではなかろうかと、率直に申してそういう感じがするのでございますが、現在のところは見返資金というものがありまして、設備資金のほうはこれから出しております。先ほど説明がありました通り三十億円の融資をしております。市中でもこの半分ぐらいのものはしておりますので、実は六十億程度のものが出ておる勘定になつておるのでございますが、なお且つ設備資金につきましては、枠の余裕というものが現在すでに三十億なお残つておる。而も本年度も二十億の枠をとつてあるので、つまり五十億というものは政府資金だけから見ましても中小企業設備資金に廻し得るものとしてリザーヴしておるわけであります。而もなお十分に利用されていない、こういう実情にあるわけであります。むしろこのほうを十分解決してから行くほうがむしろいいのじやないかと思います。御承知のように中小企業の非常に困つておりますのはむしろ長期運転資金でございます。設備資金は今申上げましたようにむしろ枠が残つておる、こういう状況でございます。それで開発銀行といたしましては、この法律趣旨によりまして設備資金だけにしか出せない、運転資金は出せないということになつております。この点は復興金融公庫のほうと違う点でありまして、設備資金だけというふうに実は限定されておるわけでございます。将来これをどういうふうにいたしますか、我々だけからの感じを申しますれば、本当にこの中小企業を十分に面倒を見る特殊の機関というものができまして、長期資金も、或いは長期運転資金も併せて面倒を見る、十分な手足を持ちまして専門に見るという機関があれば最も適当だと存ずるのでございますが、併しそういうことを解決いたしますになお相当の時日もかかると思いますので、それまで我々のほうとしてはできるだけは御援助はいたしたい、ただ人手その他の点から十分に御期待だけの何ができるかどうか、或いは不満の点があるかと存じますが、できるだけのことはいたしたいと、こういうつもりでおるわけであります。
  23. 中川以良

    中川以良君 今のお話のごとく開発銀行として中小企業に直接貸付業務をされるということは、これは相当今日の御機構上からいつても私は困難だと思います。そこで復金の金、又見返資金金等に対しては、いわゆる代理貸の業務を行いになれば私はいいと存じまするが、当然これは行われるものと思うのでありまするが、殊に先ほど政府委員からお話のあつたごとく、中小企業に必要とあれば、これらの回收金以上にもこれは出すべき場合もあるということも言つておられるのでありまするから、そういつたやはり中小企業に関する一つ部門をお作りを頂きまして、そうして代理貸の業務を行うというような制度を御確立になりますることが最も私は望ましいと思うのでありまするが、この点に対しては副総裁はどういう御意見でございましようか。
  24. 太田利三郎

    説明員太田利三郎君) これは今申上げましたように、我々といたしましては、やはり特殊の機関ができることが望ましいのでございますが、併しそれまでの何といたしましては、ただ部局を設けたからと言いましても、特にそちらのほうに金が出るというわけのものでもございませんし、実は復金自体中小企業部というものがございまして、現在管理第四部という名前で我々のほうに引継ぎまして、これら回收事務は扱つておるわけでございますが、回收のほうはそのほうの面倒と申しますか、仕事をするわけでございますが、現状におきましては、今すぐにそういう特別の部を設けまして見る必要があるかどうか、或いは必要があるか存じませんが、設けたというだけで、十分の仕事ができるかどうかという疑念を持つておりますので、今のところはまだこれは研究中でございまして、今後そういう機関ができますか、どうか。或いはこの見返資金の引継ぎというものが我々のほうにいつ頃参りますか、そういつた事情を見比べまして研究したいと思つておるわけでございます。
  25. 中川以良

    中川以良君 私は復金貸付金と見返資金による貸付金とに対する回收、それの更に貸付関係について是非一つ開発銀行の中にそういうことをお取扱いになるところの一つ部門制度を御確立になりますることを切に要望をいたす次第でございます。それから只今復金のほうは、もう回收業務をやつておられると存じまするが、一体回收状況銀行側としてどういうふうになつておりましようか。これは副総裁でなくとも結構でありますが。
  26. 太田利三郎

    説明員太田利三郎君) それは全部についての御質問が、ちよつと私承わり損いましたですが、復金貸出残高は最高時は約千三百億でございましたのですが、これが本年の一月十六日、開発銀行の引継ぎました当時におきましては七百八十七億まで減りまして更に三月末には七百五十八億まで減つております。そのうち中小につきましては、実はこの中小と申しましても、実は各部で取扱つておる部分がありまして、非常に入り組んでおりますので、正確な数字を実は持つておりませんのでございますが、先ほど政府委員から説明がありましたように、現在の残高は九十六億八十九百万円でございますが、大体一年に八億から十億程度回收の状態になつております。昨年は十三億でございます。本年は八億から十億くらいの見当、こういうふうに予想しております。
  27. 中川以良

    中川以良君 私は殊に復金融資等回收不能のもの、困難なものが相当にあるであろうと思うのでありますが、ただ今日の日本経済情勢から見まして、当然強くこれを回收をして頂かなければなりませんが、殊に回収急なるがため、折角今立直らんとする産業がそのために逆効果を来たすというようなことがないように、この点は十分一つその緩急よろしきを得て処理を頂くことを特にお願い申上げるものでございます。それから見返資金中小企業に対する貸付分先ほどお話のあつたごとく、十分に活用されていないという点を御指摘なつておるのでありますが、私どもも全くその通りだと思うのであります。そこでこれは只今のところは長期設備資金だけに限られておりますので、今日中小企業が最も渇望をいたしておりますことは、これに伴うところの長期運転資金が調達できなければ、中小企業の発展が十分に行かないのでありますから、この点に関しては、銀行局御当局とされては、どういうふうにお考えでございましようか。
  28. 大月高

    政府委員大月高君) 見返資金運用方針の問題になつて来るわけでございますが、現在のところ、只今指摘通り中小金融に関しましては、設備資金のみに限られておるわけでございます。これに関しまして産業界方面といたしましては、長期運転資金もその対象として加えてくれという御要望がございますことは、十分承知いたしておるわけでございます。で、この関係は御存じのようにアメリカからの援助資金の見返りになるわけでございまして、相当アメリカ側の意向も尊重いたして運用しなければならないという、今までのいきさつから申しまして、御要望はございましたけれども、やはり設備資金に限つて運用されておるわけでございます。今後これに加えまして長期運転資金までも取上げるかどうかという問題でございますが、率直に申しまして、独立いたしましたから、すぐにその運用方針を変えてしまうということも如何であろうかという思惑もございますので、今後十分に愼重に検討いたしまして善処いたしたいと存じます。
  29. 中川以良

    中川以良君 この点今日強く要望されておりますることでございますので、是非一つ長期運転資金につきまして、特段なところの御配慮をお願いをいたしたいと思うのであります。それから見返資金関係が今後開発銀行から代理業務として貸出されるもの、或いはその他のものにつきましても、どうも金融業者といたしましては手続が非常に煩雑でございますがために、これを利用することを欲しない。殊に協調融資でございまするために、これは只今三割の分もございまするが、大半五割が金融機関が負担をしておるというような点もあるのでありまするが、これらのことにつきましては、やはり金融機関の負担は三割に是非して、そうしてこの取扱いをもつと簡素にいたしますることが必要かと思うのでありまして、又借受けるほうにいたしましても非常に時間がかかりますために輿に必要な時期にこれが間に合わないという憾みがもう到る所にあるのであります。これらの点につきましても改正される意思があるかどうか、銀行局といたしましてのお立場を一つ承わりたいのであります。
  30. 大月高

    政府委員大月高君) 見返資金運用に関しましての御意見でございますが、御趣旨は御尤もだと存じます。中小企業の金はあるけれども十分に出ておらないということの原因が果して手続のみに帰せられるかどうか、これは疑問であるかと存ずるのでありますが、まあ何分政府資金といたしまして十分の審査をいたしまして、なおその回收についても確実を図るという建前からいたしますと、やはり一般の金融と同じようにというわけには行かないと存じます。ただ手続が煩雑であるがためにこの運用がうまく行かないということは勿論本旨ではございませんので、この実際の仕事は現在日本銀行に任せてあるわけでございますが、その改善の方策につきましては随時双方において研究をいたしておるわけでございます。今後も御趣旨によりましてできる限り事務の簡素化を図つて行きたいと考えております。
  31. 中川以良

    中川以良君 なお私はこれに関連いたして特にお願いをいたしておきたいことは、この償還回收に当りまして金融機関の協調融資の面をまあ優先的に償還が認められるようなことに是非これもやつて行くべきだろうと思うのであります。更に中小企業は担保力がないのでございまするから、信用保険、又信用保証等の制度を活用いたしまして中小企業の負担の軽減を図るというような点につきましても十分なる一つ御検討を賜わりたいと特にお願いを申上げる次第であります。  それから最後に私は関連してこの中小企業の面についてお伺いをいたしたいことは、資金運用資金法におきまして貸付のできまする先といいまするものは国民金融公庫、それから帝都高速度交通営団、それから電源開発会社——これは目下審議中でございまするが——関係なつておりまして、最も中小企業に対して重要な立場にございまする商工中央金庫並びに農林中央金庫に対しましては直接資金運用資金貸付ができないことになつておりまするが、これは当然私は今日中小企業重要性が叫ばれておりまする際において、これを改正いたしまして資金運用資金より農林中金、商工中金には少くとも貸付ができるという制度をとるべきだと思いまするが、これらの点について御検討になつておられるか、どういうふうにお考えであるか、到底そういうことは考えられないという御趣旨かどうか、その点を明らかにして頂きたいと思うのであります。
  32. 大月高

    政府委員大月高君) 御存じのように資金運用部に入つて参りまする金はその大宗が郵便貯金にございまして零細な貯蓄から成つておるわけでございます。従いましてこの資金の還元につきましても十分に国民経済全般に行渡るという方針でやるべきだと存ずるのですけれども、只今のお尋ねの商工中金、農林中金につきましても、やはりこの機関が農林水産業、或いは中小商工業に対する資金供給源であるということは十分に認識いたしておるわけでございまして、これに対する資金の供給といたしましては、現在資金運用部におきまして農中、商中の発行いたします金融債を引受けるという恰好資金を供給いたしておるわけでございます。御存じのように現在銀行等の債劵発行等に関する法律によりまして興銀、勧銀、北拓の三銀行と農中、商中を合せて五つの金融機関において金融債を発行いたしましてこれを一般にも売りますが、その発行いたしまする債券の六割までは資金運用部において引受けてよろしい、こういうことになつております。    〔委員長退席、大蔵委員理事大矢半次郎委員長席に着く〕 現実の実績から申しましても発行の都度資金運用部の資金にできるだけ余裕を作りましてこの引受けを促進いたしておるようなわけでございまして、実績から申しまして現在この農中、商中の発行いたしておりまする金融債の約半額程度資金運用部で持つておる。従いましてこの借入金をやれるかどうかという問題は、まあいわば一つの技術的な問題かと存ずるのでありまして、将来もできれば金融債の方針資金を還元いたして参りたい、こういうふうに考えております。
  33. 中川以良

    中川以良君 金融債を引受けるのはよく承知いたしておるのでありますが、この商工中金の割引債券のごときは、これは引受けるということを大蔵大臣が言明をしておるにもかかわらず、今日今以て引受けをいたしていないという状態であります。こういう点から申しましてもやはり私は今日中小企業金融に対してどうも政府は生ぬるいと思わざるを得ないのでありますが、これらの点更に十分御検討を頂き、私は資金運用資金が直接貸付ができるように是非して頂きたいということをここに要望いたしまして、この点はこの法案には直接関係がないので、今日はこれ以上の質問は差控えることにいたします。  最後に銀行局並びに開発銀行御当局に特に私はお願いを申上げたいことは、再三言うようでございますが、復興金融金庫並びに見返資金から中小企業に出ておりまするところの資金は、これが回收の曉には是が非でも再び中小企業関係に還元をされるような趣旨の下に運用せられんことをお願い申上げまして私の質問を終ります。
  34. 大矢半次郎

    委員長代理大矢半次郎君) 日本開発銀行法の一部を改正する法律案についてこの際質疑がこれ以上ありませんければ、一つ国有財産特別措置法案の質疑に入りたいと思いますが、如何でございましようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  35. 大矢半次郎

    委員長代理大矢半次郎君) それでは次に国有財産特別措置法案を議題に供します。御質疑のあるかたはお願いいたします。政府からは国有財産第一課長木村説明員が見えております。
  36. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 この国有財産の特別措置法のうちで我々通商産業委員会の委員として関心を持つておりますのは、第九條の運用に関する問題であります。これはなぜさようなことに関心を持つかという通産委員会としてのこれは代表意見というわけではありませんが、考え方を先ず御認識を願つておきたいのであります。実は昨年の暮に御承知のように企業合理化促進法案が衆議院を通過いたしまして、参議院へ参つたのであります。当時私どもといたしましては中小企業の合理化を徹底的に行わない限りにおきましては、日本産業全体の企業合理化というものはあり得ないという観点に立ちまして、中小企業の合理化がどの程度進められるのかということを集中的に政府当局に質したのであります。又議員提出法案でありましたから提案者の中村代議士にも各方面からお尋ねをいたしたのであります。ところがだんだんと企業合理化促進法を調査して参りますると、特定の業種の而も相当に設備をみずからの力で以て更新し得るような優良大企業に対しまして、自力で設備の更新を行いました場合に、税制の面から償却その他について経減の措置、猶予の措置をとるということが中心になつておるのが明らかになつたのであります。そこで私どもといたしましては、大企業のうちで事業経営に非常に難航しておりますものについての原單位の切下に向うための合理化の問題は残るのでありますけれども、これと並行いたしまして中小企業の合理化をどの方面から進めるかということをいろいろと所信を質して行つたのでありますが、そのときに当時の提案者並びに政府のただ一つ中小企業に対する対策としましては、国有財産の処分によりましていわゆる国が持つておりますところの産業機械を老朽化したところの中小企業の機械設備と交換することによりまして設備の更新を行い、そうして合理化をやつて参りたいということに殆んど盡きておつたのであります。そこで私どもといたしましては、これに相対応して計画されておりまする国有財産特別措置法の第九條の運用につきましては、極めて高い関心を持つておるのであります。この法律案の大体の趣旨は国有財産のいわゆる処分法であります。処分法でありまするけれども、我々はその中で第九條の精神からいたしましてただ單に国有財産を処分するという精神だけではなくして、国の或る意味の補助によりまして中小企業の設備更新を行い、中小企業の振興の効果を現わして行くという工合にいたしたいと考えておるのであります。ここに同じ法律案の中で改正條項が盛られておりますけれども、その精神は相当なつたところにある点を先ず大蔵当局においても御理解を願つて置きたいと思うのであります。そこで先ずそういうような趣旨から出ておりますることを一応御理解願いまして、私がこれから試みまするところの二、三の質問にお答えを願いたいと思うわけであります。  第一点は只今国有機械というものはどれくらいの台数があるのか、それをお伺いいたしたいと思います。
  37. 木村三男

    説明員木村三男君) 第九條の対象になります機械を総括的に申上げますと、最近の資料でございますが、経過を申上げますと、賠償指定のものは最初三十六万台ばかりございました。そのうち中間賠償で撤去いたしましたのが四万四千台、それからスクラップとして処分してよろしいというので解除されましたのが六万六千台、残存いたしますのが二十五万台余りになりますが、そのうち一時使用認可という形で動かされておりますのが、五万四千台余りになります。差引いたしますと現在十九万七千台ばかり残存しております。動かないで残つておるという勘定になるわけであります。
  38. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 只今お話に相成りました十九万七千台でございますか、この中にはもうくず化しなくちやならないようなものは入つておりますのか、或いは全部これは使えるものでございますか。
  39. 木村三男

    説明員木村三男君) この中には性能別に見ますというと、ほかに転用しても役に立たないようなものも含まれております。
  40. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 それは何台くらいですか。
  41. 木村三男

    説明員木村三男君) この第九條の運用につきましての調査になりますと、今まで通り機械の名称とか所在地とかいう観点と異にしまして、大体これは中小企業の交換に行くようなものじやないか、或いはこれは包括的な転用の中に含まれるのじやないかというふうに区分いたしておりまして、作業中でございますので、はつきりと手許には目下のところ資料が出ておりません。
  42. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 誠に面倒かと存じますが、これは先ほどから申上げましたように、機械一台に対しましても非常に強い関心と高い配慮を以て行わなければならんものであります。従いまして先ほどあなたが言われました三十六万台分に対しまして、すでに処分を終つておりますもの、又処分を終つていないもの等に分けられまして、その機械の種類とか、或いはその機械がありまする場所、こういうものを一覧にして資料として御提出を成るべく早く願いたいと思うのであります。そうしてその内容といたしましては、すでに一時使用認可をいたしまして使用をいたしておる、それから今駐屯軍で使用しておられるものも相当あるわけであります、そういうものがどれくらいあるか。それからもうくず化しなければならないものがどれくらいあるか。それから先ほどあなたがおつしやいましたように、機械設備といたしまして他に転用の不可能、いわゆる工場に据付けになつておりまして、転用すればもう用をなさないことになる、こういうようなものがどういうものか。それから従いまして残りのものは結局この第九條によるところの交換制度の対象になるものということになると思います。そういうような内訳にしまして機械の種類並びに集積の場所等の内容を明らかにされた資料を一つ提出願いたいと思います。
  43. 木村三男

    説明員木村三男君) 極くあらつぽいものでございましたならば、すでにでき上つて関係委員会にお送りしておりますが、お話のように今までの台帳整理の国有財産的な観点ではなくて、産業的な観点から区分して行くということは誠に必要なことでありますので、できるだけ早い機会に資料として差上げたいと存じます。
  44. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 それから次に、局長はまだですか。
  45. 大矢半次郎

    委員長代理大矢半次郎君) 病気で休んでおられます。
  46. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 ああそうですが。  それからその次に伺いたいのは、大蔵省の考え方といたしましては、今度の交換制度先ほど私が申述べましたように、産業機械の合理化のために国が所有するところの機械を最も低廉に、最も有効に交換をいたしましてそうして産業の原單位の切下に貢献する、そういうような考えを第一義にしておられるのか、或いは又国が持つておりまする機械を成るべく早く処分を終りたい、こういう考えでおやりになつているのか、そのものの考え方一つ伺いたいと思うわけであります。
  47. 木村三男

    説明員木村三男君) 今回の特別措置法制定の趣旨といたしましては、大きな方針といたしまして、今までの国有財産関係考え方を大きく飛躍させまして、財産管理するとか、処分するとか、処分するとかいうことよりも、更に進んで企業の合理化、公益上の目的等に積極的に国有財産処分の面から寄與させる経済政策的な面を織込んだ趣旨といたしておるのであります。
  48. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 そういたしますと、企業合理化促進法の審議の過程におきまして明らかになりましたような、いわゆる企業合理化の精神というものを十分にこの法案の立案においては了承せられて作られたものであると、こう理解してよろしうございますか。
  49. 木村三男

    説明員木村三男君) 結局この関係事務は單に国有財産を交換する、台帳につけるということでしたら我々だけでできるのであります。ところが企業合理化の大きな目標を持つて国有財産処分の面からお役に立とうというわけでありますから、どうしてもここに通産省方面の積極的な御協力を得なければならん、考え方によつてはそういつた面についてはむしろ通産局のほうで主として案を立ててもらうぐらいな気持で以てこの政令その他の措置の立案に当つておるわけであります。
  50. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 大体よく御理解を頂いておるようでありまして、私も通商産業委員会の委員としては非常に満足でありますが、そういう考え方で第九條の運用については行政的な処分等の行い方についても大体お考えなつておると、こう考えてよろしうございますか。
  51. 木村三男

    説明員木村三男君) 只今申上げましたことを繰返すようでありますが、どうしてもこれによつて企業の合理化というものが促進されなければならん、そういうふうに運用されなければ法の精神を殺すことであると考えておりますので、この点は私ども虚心坦懐この方面の造詣の深いかた、詳しい官庁に連絡いたしまして遺憾のないように取計らいます。
  52. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 そのことは重ねて伺うようでありますが、そういう実際に産業界の緊密なる連絡を持つておる行政の担当者に大蔵省は相当連絡をとられるという意味を加えて実際の実務をお任せになる、こういうようなお考えはございませんか。
  53. 木村三男

    説明員木村三男君) 実務と申しますと、まあ面が二つあるわけであります。つまり、国有財産として旧軍用財産管理するという立場から見ますと、管理保全のほうではこれを聞違いのないように持つて行かなければならないという関係で現在九千九百八十人ばかりの監視員を要所々々に置きまして問題の起らんようにしております。そういう部面はいわゆる事務的の関係でありますから、これは私どものほうで責任を負いたい。それから又交換をする場合に一つの基準がきまりますが、その基準に当てはめて事務的に考えて行くのはやはり大蔵省の我々の責任でありますから、そういう方面は私どものほうが責任を負いたい。  それで残ります問題としては、どういう相手に、どういう立場、基準で交換をするか、これが実際上は一番大きな生命なのでありますが、その方面は私どものほうでやりませんで、府県なり通産の出先機関などに案の取扱の方針、骨というものをお預けいたしまして、    〔委員長代理大矢半次郎君退席、委員長着席〕 私どものほうとしては地味な部面を担当する、こういうふうに考えております。
  54. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 そういうふうにやつて頂くということになると、私どもとしてまあそれ以上の言い分はないわけであります。それが一番よかろう、こう考えるのであります。  そこでですね、重ねて伺いたいのでありますが、これは今までに一時使用の許可申請を提出いたしまして、それが保留、棚上げになつておりますのはどれくらいでありますか、これをちよつと伺いたい。
  55. 木村三男

    説明員木村三男君) 各財務局で受付けて、そうして本省のほうに持つて来て、結局保留しておるというのが一千二、三百件あつたと思うのであります。地方のほうはちよつと事情がわかりませんのですが、目下調査中であります。ただ平和條約発効の前後にとにかく書類さえ投げ込んでおけばいいのじやないかということで無理やりに置いて行つたようなものがかなりあるようでありますので、その辺の数字がどんなふうになつておるか、又実情はどうであるかということを目下調査中であります。
  56. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 只今の本省ですでに保留になつておるものと、それから地方の権限において保留されておるものでございますが、これのやはり機械別とそれから各地方局別ぐらいの内訳を一つ提出願いたい。
  57. 木村三男

    説明員木村三男君) まとまり次第さよういたします。
  58. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 なぜ私はそういう質問を出すかと申しますと、最近我々が耳にしておりますところによりますと、この交換制度、いわゆる国有財産の特別措置法の問題が起きまして以来、現場においては先ほどあなたがおつしやつたような精神から若干離れたような動きがあるやに私ども聞いておるのであります。例えて申しますと、この一時使用の許可申請書が棚上げになつておつたのでありますけれども、それに対しまして若しこの法律案通りまして棚上げになつたものが永久に棚上げになつて、そうしてほかの企業に廻つたのでは大変である。この際法律案の成立を見る前に、一時使用の許可申請分だけは早く解決をして処分をしてしまう、こういうような動きがこれは業者にもあるだろうけれども、又地方の出先機関の係官にもそういう考え方がありまして、進められておるやに私どもは聞いておるのであります。例えばここに私持つておるのでありますが、石川県の某新聞に載つた記事の抜萃でありますが、これは「七十八台使用許可」という見出し「旧賠償指定機械」こういうのがありまして「北陸財務局が金澤市野田町など四箇所に保管中の旧賠償指定機械についてかねて県内、県外各主要事業場から五百十三台の一時使用許可申請が同局を通じて大蔵省、旧総司令部に提出されていたが、このうち十工場に対し工作機械七十八台の使用(県内四工場二庁十三台)が四月七日及び二十五日の両日付で使用を許可された旨十二日同局宛通知があつた。対象工場及び台数は次の通りであるが、これで同局保管分で一時使用を許可された台数は合計二百四台(県内百三十九台)となり今回で打切りとなつた。品川精機(金澤)八台、警察予備隊(金澤)二台以下省略。  なおこれら旧賠償指定国有機械は今後民間事業場に拂下げられるが、一時使用許可分についてはその使用者に優先的に行われ、又その他の分についても同局では現在国会で審議中の国有財産特別措置法案の実施と関係なく、拂下げを行う予定なので拂下げ希望者の申出を待つている。」  こういう新聞記事があるのであります。このことは先ほど来、私とあなたの間においていろいろと質疑応答をいたしましたときに明らかにされた大蔵省の精神とは相当つておるかと私は考えるのでありますが、こういう事実がありまするかどうかを一つお答えを願いたいと思います。
  59. 木村三男

    説明員木村三男君) 一時使用認可の関係は、丁度平和條約発効と同時に賠償という関係がなくなりましたものですから、その後は申請しても意味がない、結局一時使用認可という制度はそれ以後は全然適用されない、それまでの関係は全部司令部のほうに持込んだ最後に回答の遅れた分が恐らく今お話のあれじやないかと思います。それから私どものほうとしましては、一時使用認可中のものを全部御破算にして交換のほうに廻すということはちよつととり得ない措置でありますので、この辺は既得権尊重でその後未解決のままになつておるというものにつきましては余り責任を感じておりませんけれども、まあ出先の機関などがいろいろ事務上の関係で遅れた、或いは持つてつても無駄だというのでとめておいてくれ、それから個々の案件についてやや気の毒のようなものがあるのじやないか、そういうものにつきましては考慮し直す、ただ書類が出ていたから全部優先的に考えるというようなことはいたしておりません。又一時使用認可中のやつでも中小企業であるというような場合には交換の制度も適用し得る、そうでない場合は御破算にはできませんから、やはりこれは既得権尊重という意味におきまして、そのほうを優先すると考えるのが常識じやないかと考えるわけであります。
  60. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 とにかく占領軍が日本におりました間において一時使用という特別的な制度が設けられ、そうしてそれが実現をしなかつたままですね、講和條約の発効によつてすべてが御破算になつた、こういうものについては先ほどあなたがおつしやつたような工合に、新らしい観点に立つて国有財産を用いて企業の合理化のために盡そうということになりますれば、それは仮にそういう今まで一時使用認可をしました工場の中に、企業合理化を得べきものが仮にあるとしましても、そうして過去の経過からして、当然この法律によつて選考されるときに若干の手心が加えられるということは、それはあり得るか知れませんけれども、今この法律案が国会において審議されておる過程において、そういう取扱をされるということは、私はちよつと理解いたしかねるわけです。そこでこの切替えの前後ですね、今あなたがおつしやつたような全国的に一時使用認可の保留分の中で、処分をせられたものがどれだけあるか、先ほどの資料の中にこれを附加えて頂きたい。例えばこの新聞に出ておつたようなものは一つの例でありますが、こういうものを附加えておいて頂きたい。  それからもう一つ伺いたいことは、そういうような仮一時使用の申請について、今あなたのおつしやつたような処分をすることについては、やはり大蔵省から出先機関のほうにそういう通達でも出ておるのでありますか。
  61. 木村三男

    説明員木村三男君) 最近に出先機関関係者の会議を開きまして、そうして大体法案の進行状態、それから通産省方面との話合いの進行過程などをよく耳に入れておきました。それと同時に又一時使用認可中のものにつきましては、まあ今急いで最終的の処分をしなくてもよろしい、まああと最長半年くらいはそのままの状態で売急ぐなと指示いたしております。それから只今指摘の交換制度関係法案が進行中に、いわゆる一時使用認可の関係がなくなつたので、今度売るというふうに方針を変えてあつちこつち売るというような情勢は、余り私どものほうの耳にも入りませんし、大体そういうことは報告としてすぐ出先から申報しております。私どものほうといたしましてはとにかく交換制度というものをよほど愼重に考えなければならん。それにつきましては全国的な枠を作らなければならん、こう考えておりますので、そのほうにも差支えありますので、又重ねて今度部長会議がありますので、更に進んだ方面の審議をしたい、かように考えております。
  62. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 そうしますとまあ仮に一、二カ所でこういう大蔵省の方針と違つたことが行われたとしても止むを得なかつたと思いますが、今後は少くともそういうことのないように、少くとも交換制度の中で全部のものを始末して頂く、こういう工合に取扱つて頂けるよう私は強く要望したいのであります。そういう工合に考えてよろしうございますか。
  63. 木村三男

    説明員木村三男君) 只今指摘通り私どもはこれから仕事をやります場合には、或る一定の機械を売つてもよろしい、交換してもよろしいというような態度では計画的な運営ができませんから、交換に廻すものはこれこれというふうな枠を作りまして、それから一時使用認可のほうで何とか片付けるというものとは別にしまして、こういう関係のやつは範囲と数量をはつきりとしておきます。
  64. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 その一時使用認可の関係は別途に考えたいというお考えが、私ちよつと理解しにくいのでございますがね、それはやはり一時使用認可申請をいたしましたものも、設備合理化のやはり考え方を以て申請しておるのではないのですか。
  65. 木村三男

    説明員木村三男君) 一時使用認可中のものは、最近のやつもありますけれども、前から機械を動かして産業界にかなりの貢献をしているわけであります。それをよそのほうに持つて行かれますというと、その企業自体が非常に困つて来ると、そこはお互い同志でありますから、そういう交換制度やなんが考えない前からすでに機械を動かして相当の事業成績を挙げておつた。それを一朝一夕にしてお前は中小企業者ではないから取上げるということになると、又全体としての合理化の線がそこから崩れて来やしないかとこう考えましたので、一応すでに許可済みのものにつきましては、成るべく優先さしてやりたいというのが私どもの率直な気持であります。
  66. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 それから最近私どもの耳にしておることは、いわゆる日米経済協力と申しますか、新々特需と申しますか、いわゆる曾つての軍工廠の拂下等が一時ストップの状態になつているものもありますが、再び曽つての軍工廠と同じような性格でスタートさせるのではないかというようなことも巷間に噂が飛んでおります。従つて先ほど述べられました多数の機械というものが、そういうような情勢下においてそういう用途に使われるというような見通しはありますか、ありませんか、これをお聞きしたい。
  67. 木村三男

    説明員木村三男君) 行政協定の三條かと思いますが、区域と施設につきまして、向うの必要なやつは使用させるという規定なつておりますが、ここに施設という文句がありますが、私どものほうとしましては、場所、設備、補助設備というものは、これは仕方ないにしましても、どこへでも持つて行けるような機械、これは先方で許可すればいいのではないか、ですから機械ぐるみやるのではない、ただその工場、或いはその他の設備を動かす上に必要な最小限度の附属品みたいなものはやはり行政協定の関係で行くというふうにはつきりしてもらいたい、施設並びに機械まで中に入つているものを全部持つて行かれてしまうということは、私どもとして容認できないというので、合同委員会を通じて交渉して行きたいと思います。
  68. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 これから解決されるわけですか。
  69. 木村三男

    説明員木村三男君) 行政協定の関係は、最近新聞等でいろんな個所が出ておりましたけれども、あれは合同委員会のほうで向うの要求になつた個所が出ておると思いますが、私どものほうにはまだ連絡がないのであります。そこで、先方がこれが欲しい、こう言いましても、いろいろの角度から我がほうといたしましては、学校関係であるとか、或いは経済的な観点からいろいろな意味でそこが関所になるわけでありますので、そういう関係は今後関係各省などの要望によりまして、折衝の内容に織り込まれるものと了解しております。
  70. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 一つ例を挙げますと、曾つて軍工廠があつた、そこにボイラーとか、発電所とか、或いは変電設備がある、多数の工作機械があるという場合に、移転できるものは全部取るということになりますと、あとで作業するのに全部そういう工作機械その他入れなくちやならんわけですね。ところが、今駐屯軍が行政協定によつてこれが欲しいとこう言われますときには、その工廠を運転させるためには欲しいのだろうと思いますが、そういうあなたの今おつしやつたような交渉というものは、実際実現可能なんでしようか。
  71. 木村三男

    説明員木村三男君) これは内輪話のようでありますけれども、米軍の直接の事業としてやるような場合、工事をやるような場合、或いは或る下請のような業者を入れてやらせる場合、二つに分れると思うのであります。そこで問題はおのずから分れるのでありまして、どこか下請をするような会社を通れて来て、そうしてその者に事業をやらせるためにこの施設が必要だというようなことは、行政協定の意図するところではありませんから、これは、あの関係法律は適用ないというふうに考えておりますが、先方のほうも理論としてはそれに賛成しております。それから、軍自体がやるというような場合に、今御指摘のような点があるわけであります。自分で工場を運営したい。併しこれもアメリカ本土における実例はどうかと言えば、自分でやはり工場を使うときには機械をほかから買うじやないかというふうなことから、理論上の根拠から押しておる最中であります。私どもは決してこの主張が破れるとは思つておりません。
  72. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 そうすると、問題になりますのは、米軍の意思によつて、誰か日本人の人が下請工場として要請をされて、その交渉を受けたという場合に、その工場の中の機械設備を、国が持つておる機械をそのまま使用させるようにしないかというようなそういう話が起き、そうして又それに応じなければならんというような情勢があるのかどうか。
  73. 木村三男

    説明員木村三男君) 将来の問題としてそういう事例がたくさん出て来るか、或いは余り起らないかということは、今のところはつきりしません。ただそういう場合に、行政協定関係法律で以て処理さるべきではなくて、国有財産一般の処理ということになつて参りますので、私どものほうとしましては、国有財産全般の処理は、先ほど申上げました通り、交換制度というものができておる。それから又普通の意味の売拂の問題もある。そこを相互調整さして行くという線に乗せましてそうして調和のとれるように運営して行きたいと考えております。
  74. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 これは一つ委員長にお願いを申上げて置きたいのでありますが、相当まとまつた工作機械を交換制度によりまして放出をして、そうして産業、特に中小企業の合理化に役立たせたい、こういう目的法律案の準備をしておるわけであります。ところが今言われました駐屯軍が意図しておるところのいわゆる直接或いは間接の曽つての軍工廠のような形式のものができまして、そうしてまとまつて今交換に使いたいというような機械が流れる、流れざるを得なくなるということになりますれば、この意味が半減することになるわけだと思います。従つて、今課長お話を伺つておりますと、その心配がないようにも伺うのでありますが、これは一つ局長か或いは大臣に出席を求めて、もう少しはつきりいたして置かなくちやならん、こう考えます。中小企業者に糠喜びをさせてしまうというようなことがあつては、これは断じてならんと思いますので、その点はやはりはつきりいたして置きたい、こう考えますから、さように一つお取計らいを頂きたい、こう考えます。  それからその次に、この法案による交換の実施に関する点は全部これは政令に一応委任せられておることになつております。我々の知りたいのは、政令にそういう工合に委任されまするならば、政令内容が知りたいと思うのであります。従つて、もうここまで法律案を準備されて参つたわけでありますから、政令案も準備を願つておることと思いますので、一つその政令案をこの委員会に御提出を願つて、そうして説明を承わりたいと私は考えるわけであります。
  75. 木村三男

    説明員木村三男君) この法案全体についての政令委任事項は五つばかりございます。そのうち只今問題になつております九條関係がなかんずく骨になる部分であります。ほかの部分は申請の様式であるとか、手続的なことが多いのでございます。ところが九條関係になりますと、先ず交換の相手方をどうするか、これは先ほどからお話通り中小企業者に限る。更に又小さな、こういう業種でなければいかんかというような点は制限しないほうがいいんじやないかというふうに考えております。  それから交換についての評価の基準であります。これが非常にむずかしい問題でありまして、まだ通産省のほうとお互いに智惠を出し合つておるのでありますが、どういうふうにしたらすつきりとうまくできるかというので、二つ、三つ案がありますが、まだこれが最良であろうというところまで来ておりませんので、もう二、三回……通産省のほうと協議をいたした部分はできておりますが、結局ここのところだけが非常にむずかしいということになつておりますので、それがまとまりましたらお目に掛けます。
  76. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 修正案の内容はまだ未完成というのは、通商産業省とのまだ未解決事項があるようであります。緊急に一つその点は解決せられましてこの委員会にお出しを願いたい。そして私どもとしましては、第九條に非常に関心を持つておるのでありますから、従つてこの連合委員会は、只今私いろんな資料をお願いいたしましたが、この資料が出揃いましたところでもう一回お開きを頂きまして、そして我々の考えておるところを質したいと思いますから、かように一つ御了解を願いたい。  それから政令内容の問題で、やはり三点ばかりあると思いますが、この点について一つ大蔵省と通商産業省と御協議願いますときに、是非一つ参考に取り入れて頂きたいと思う点があります。その第一点は、今お話をし合つたところで大して問題がないようでありますから私も安心をするわけでありますが、それは企業合理化促進法でも御案内の通りに、各地方庁、地方庁と申しますか、そこではいわゆる企業の診断等が行われておりまして、どの企業はどうすればどの程度企業合理化ができるかということもほぼ明らかになりつつある。従つてこういう機械の交換の相手先、或いは又交換する機械のその工場に必要な台数だとか、交換する機械の種類だとか、こういうものの選定ですね、割当選定と申しますか、そういうものは地方庁としてとにかくやらせると、こういうような工合に是非とも政令内容において明らかに私はして頂きたいということが一つ。そういうお考え先ほど伺いましたから、私は通商産業省のほうさえ異存がなければこれは実現するものと考えますが、それでよろしうございますか。
  77. 木村三男

    説明員木村三男君) 趣旨において私ども決して異存があるわけじやないのであります。ただ政令に書きます場合に、或いは割当とか割当証明とかいうような固苦しいことを書く必要があるかどうか、まあ法制上の考え方なんでありますが、そこで私どものほうとしましては、やはり最終的に台帳を整理したり、正式の形にしておかないと、検査員や何かうるさいものでありますから、そういう締括りの仕事をしなければならない関係上、申請書は結局大蔵省のほうに出してもらうことにしてもらいますが、途中曲つて来てもらつては困るので、政令関係は、県のほうの証明を持つて来いということなら政令に書けるのじやないか、あとは事実上の協議会、運営委員会のようなもので処理して行くのが法制の形としていいのじやないか、証明書添付というような要件は是非政令のほうに入れたいと考えております。
  78. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 大体精神はよくわかりました。あなたのお考えなつておることも理解しましたから、是非一つ通産省当局とも、現実にこれが最終の目的を達成するような方向に運用されればいいわけでありますから、そういう工合に一つ政令の中に織込んで頂いて……。それから第三点は、適用対象の事業者の問題でありますが、企業合理化促進法には、成るほど一定の業種が入つております。入つておりますが、あの業種をどういう工合にして定めたのかという質問をしたときにも、別に大して意味はなかつたように、私通商産業委員会の当時質疑をいたしましたことを振返つて見ますと考えるのであります。で、この場合、大蔵省のほうとしては、適用対象の業種を一応限定して交換制度運用したいようにお考えなつておるように私どもは聞いておるのでありますけれども、この業種というものは余り固苦しく限定をしないで、やはり総合的に日本産業全体の合理化が進められ、そして能率化が期待できるというようなほうに向うのが私は建前じやないか。非常に多岐多様に亘つておる業種を紙の上で線を引くということは非常に困難じやなかろうかと私は考えるのであります。その点はいわゆる業種の限定制度について、どういう工合にお考えなつておるか、それを先ず伺いたい。
  79. 木村三男

    説明員木村三男君) 業種の選定につきましては、最初の考え方考え方を変えております。只今指摘の合理化促進法の関係のやつをそのまま拾いまして三十二ございますが、ところがこれに似たような或いはその境目ぐらいなのがたくさんあつて、やはり合理化を促進しなければならないというものが出て来るわけであります。そこで法律のほうを見ましても、冒頭のほうに設備改善による企業の合理化を促進するため必要があると認められるような場合ということで精神がここにはつきり謳われておる。従つて政令で定める事業者というやつは、大体中小企業者であればいいというくらいで行くのが伸縮性があつて、弾力性があるのじやないかと考えております。
  80. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 甚だ結構でございますから、そういうような工合にお願いいたしておきます。それから交換する機械の種類の制限、互換性と申しますか、種類のことでありますが、これもまあ工作機械にはいろいろな種類、旋盤、フライス盤その他いろいろなものがありましよう。そういうものを、旋盤は旋盤の中だけでなければ交換ができないとか、或いはフライス盤はフライス盤の中だけでなければ交換ができないというような工合にいたしますと、これは工程を変えて合理化をしようと、工程を十あつたものを一つ五つにしてうんと手数は省いて合理化をしようというような、相当飛躍した業者の合理化の熱意には応えられないというようなことに私はなろうかと思いまして、まあ実例を挙げるまで私資料を持つておりませんけれども、私はまあ若干そういう機械の設備の配列等には経験がありますものでそういうことを申上げたわけでありますが、余り細かく交換し得べき機械の相手方を限定してもらいますと、これは角を矯めて牛を殺すことに私はなるのじやないかと思う。従つてやはり業者並びに地方庁の合理化担当官、或いはその他工業試験所とか学界等々がいろいろ協議をいたしまして、企業合理化のためにはこういう方式がいいんだというふうな工合に恐らく決定をされて立案されると思いますが、従つて余り細かく交換すべき相手方の機械をきめてしまうということはしないで、そうしてまあ一例を申上げますならば、工作機械とか、或いは原動機だとか、そういつたような程度に私は大分けにして交換せられるのがよろしくはないか、こう考えるのでありますが、その点は如何でございましようか。
  81. 木村三男

    説明員木村三男君) 現在国有財産関係の機械の分類が、或るものは非常に細かく分かれております。或るものは又非常に大ざつぱな分け方をいたしております。例えば産業機械という中を見ますというと、その中には紡績の機械もあるし、印刷機械もある、こういうふうな荒つぽい分け方なんです。それから工作機械などになりますというと、旋盤、フライス盤その他細かく分かれております。そこでこの分類を余り上のほうの段階でやることになりますというと、これは杞憂かも知れませんけれども、まあリヤカーを持つて来てトラックと換えるとか、それから又印刷機械で以て紡績機械とも換え得るというようなことじや工合が悪いだろう。少くとも似たようなものでないとまあ交換に廻わそうという人の態度もきまらんし、国のほうの方針がわからない。そこで一応その同種のものということを一義的に考えまして、旋盤関係ならば旋盤関係のほうで成るべく有利なものと取換えてやるというのが公平な立場じやないか。併しこれに限定いたしますと、只今指摘のように更にもうちよつと改良したい、もつと更に改良したいという要望に応え切れないということになりますので、一応の線としては同種のもの、それから必要があれば、そうでなくてもよろしいと、その基準は運用方針としてやはり専門の知識を活用するという態度で臨みたいと思います。
  82. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 これは案をまだ頂いておるわけじやありませんので、これ以上議論しても具体的な、半ば技術の問題は空論いたしても仕方ありませんから、この程度で後日に保留をいたしておきます。  それからもう一つ評価の問題で伺いたいのでありますが、評価はこれはまあ業者の立場から言えば、成るべく安いほうがいい。できれば無償のほうがいいにきまつておるわけであります。併しそうも行かないわけでありましようから、従つてそこに一定の基準ができるだろうと思います。本当に屑化しなければならないような機械と、新品同様の機械とをそのまま交換してしまうというようなことができれば一番結構ですが、そういうことが、どういう程度になるかこれは基準を伺えればいいのでありますが、ただ一つ非常に面白い意見として私どもの手許に要望されておりますのは、これは全日本中小工業協議会というのがございます。そこでは中小企業のいわゆる設備金融と申しますか、そういうようなものが非常に難航している。従つてたまたまこういう工合に国の財産中小企業の発展のために拂下をされるということは、これは絶好のいい中小企業立直りの機会である。従つてこういう機会に、そうやたらに実際の市場価格から甚だしく下げて拂下をする、交換をするという必要もなかろう。だから中小企業は一遍にそれを国に納めるということはできないので、適当な月賦か年賦にして企業の利潤を生みつつ国家へ代金を支拂つて行く。そういう工合に特例を設けて、そうして国家のほうではそういう工合に拂下をしました機械を、代金というものを別途に積立をされて、そうしてその枠を紐付にしておいて、そうして将来更にこの機会で企業合理化の洩れたような企業にも設備合理化のために融資をして行く、国家資金融資をして行くというような方法を是非講じてもらえないかという申出があるわけです。これはまあ至極協議会の申出としては私は御尤もな申出だと思いますが、こういう要望が聞入れられる段階にありますかどうか、この点をお伺いしたい。
  83. 木村三男

    説明員木村三男君) 結局実際の実務面において、どういうふうな処置の方法、評価の方法をやつたらいいか。結局出先、現地の人間がこれを理解して動かす能力がなければ何ぼいい制度を作つても駄目なことは常識上言えるわけで、現地関係者を集めまして、いろいろ検討したこともあるのであります。そのときに、どうもどうやつてもなかなかむずかしい。つまり交換ということになりますというと、やはり自分のほうの機械と向うのほうの機械とを比べて見なければいけない。その経済価値というものをそろばんで彈き出して差額があれば差金、等価であればそのまま交換できる、そういう関係なんでありますが、価値だけではわからないし、又性能だけではわからない。そういう関係でやはり政令のほうで基準を機械的にきめてしまつて、これに合せて行けばすぐに作業ができる。又相手を屑のように見てこつちを高く見るとか、或いはこつちを屑のように見て相手を高く見るというようなことじやなくて、業者全体に通ずるような形を作つて行かなければならんということで、どうやつたら手続が簡便であるか、そうして只今お話のような、中小企業者のほうに差金をたくさん出さんでもいいような方法があるか。そこで私どものほうとしては、成るべく機械はすぐさまに動き出す、そうして又中小企業のほうは余り多く差金を出さないというようないい方法考えようじやないかということで、私どものほうでも実は研究中、通産省のほうでもその点でお考えがあるようですが、どうやつたら一番いいかという案は二、三ありますが、そのうちから選びたいと思います。
  84. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 私の今日の質問はまあこの程度で打切りをいたします。
  85. 平沼彌太郎

    委員長平沼彌太郎君) 質疑も大分残つているようでありますし、大蔵大臣、それから管財局長の出席を求めておられますが、又資料によつていろいろございますので、次回の連合委員会は又通産委員長と合議の上開催いたします。  本日はこれを以て散会いたします。    午後零時三十八分散会