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1952-05-14 第13回国会 参議院 水産委員会 第32号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年五月十四日(水曜日)    午後一時四十三分開会   —————————————   委員の異動 五月九日委員三輪貞治君辞任につき、 その補欠として佐多忠隆君を議長にお いて指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     木下 辰雄君    理事            千田  正君    委員            青山 正一君            秋山俊一郎君            藤野 繁雄君   政府委員    農林政務次官  野原 正勝君    水産庁長官   塩見友之助君    運輸省港湾局長 黒田 靜夫君    経済安定本部建    設交通局次長  今泉 兼寛君   事務局側    常任委員会專門    員       岡  尊信君    常任委員会專門    員       林  達磨君   説明員    水産庁漁政部長 伊東 正義君    水産庁生産部漁    港課長     林  真治君   参考人    靜岡舞坂町漁    業協同組合長  堀江 寅蔵君    靜岡県新居町漁    業協同組合長  前田  勇君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○日本国アメリカ合衆国との間の安  全保障條約に基き駐留する合衆国軍  隊に水面使用させるための漁船の  操業制限等に関する法律案(内閣送  付) ○電源開発促進法案に関する件 ○水産物増産対策に関する調査の件  (漁港問題に関する件)   —————————————
  2. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 只今から委員会を開会いたします。  今回予備審査として本委員会に付託となりました日本国アメリカ合衆国との間の安全保障條約に基き駐留する合衆国軍隊水面使用させるための漁船操業制限等に関する法律案議題に供します。先ず提案理由の御説明を願います。
  3. 野原正勝

    政府委員野原正勝君) 日本国アメリカ合衆国との間の安全保障條約に基き駐留する合衆国軍隊水面使用させるための漁船操業制限等に関する法律案提案理由を御説明申上げます。  この法律案目的としますところは、安全保障倹約に基いて駐留する合衆国軍訓練等のため、一定水面が、日米合同委員会で協定して使用せられる場合におきましてその水面における漁船操業駐留單訓練等の支障とならないように、これを規制する半面、これによつて漁業経営上損害をこうむつ漁業者損失補償することであります。  先ず漁船操業の規制の点について御説明いたしますと、漁船操業制限又は禁止を行いますのは内閣総理大臣でありますが、あらかじめ農林大臣意見を聞いて行うこととなつております。この操業制限禁止を行いますのは、行政協定に基く合同委員会で協定せられた範囲における使用水面に限られるわけでありまして、右の合同委員会においては、我が国の漁業実情を十分反映し、駐留單水面使用目的を達し得ると共に、漁業における被害を最小限にとどめるよう折衝しているのであります。  次に損失補償について御説明いたしますと、その要点は、第一に、この損失補償を受ける者、操業制限又は禁止されたところの、その水面で、従来適法漁業を営んでいた者であつて、而もこの制限又は禁止によつて漁業経営損失を受けた者であります。漁業権又は入漁権に基いて漁業を営んでいる者は、日本国アメリカ合衆国との間の安全保障條約第三條に基く行政協定実施に伴う土地等使用等に関する特別措置法によつて、その権利を收用又は使用せられ、その際補償を受けますため、この法律による損失補償対象とならないことを予定しているのでありまして、許可漁業を営んでいる者その他適法漁業を営んでいる者がその対象となつているのであります。なお補償すべき損失範囲は、漁船操業制限又は禁止によつて発生した損失であり、且つ漁業経営士生じた損失のうち通常生ずべき損失といたしました。これは操業制限又は禁止と密接な因果関係のある範囲に限ることを意味するのであります。第二に、損失補償申請手続でありますが、これは都道府県知事を経由して内閣総理大臣に対して行うこととし、知事はこれにその意見を付けて内閣総理大臣に進達することといたしました。これは都道府県知事被害を受けた漁業者実情に精通していると考えるからであります。  第三に、損失補償額決定は、内閣総理大臣決定しまして、都道府県知事を通じて申請者に通知することとし、補償金は、一定期間内に交付することといたしましたが、これらの事務実施には、調達庁長官が当ることを予定しております。第四に、補償申請者の利益を保護する措置といたしまして、異議の申立と増額請求の訴えを認めているのであります。  最後にこの法律案の意図するところは、駐留單による水水使用によつて漁業者のこうむる損失に対して適正な補償を行うことを制度化しまして、漁業経営上の不安を除き、その保続を図ることに重点を置いて考えている次第であります。  以上申述べましたところが本法案提出理由の大要であります。何とぞ、愼重御審議の上、速かに御可決あらんことをお願いいたします。
  4. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 只今野原政務次官から提案理由の御説明がありましたが、この法案内容について一通り事務当局からも御説明を願います。
  5. 伊東正義

    説明員伊東正義君) 私から極く簡單にこの法案趣旨を御説明いたします。今政務次官から提案理由説明がありましたのて大体盡きておるのでありますが、従来この合衆国軍隊によりますところの演習関係につきましては、従来やつておりました方法は、総司令部のほうから命令が出まして、それに基いて海上保安庁告示を出しまして、いつ何日からどういう所で演習をする、そこへは立入つてはいかぬとか、危険区域であるというような告示を出しまして、一般の漁業者に注意を與えておると、それから補償につきましては、これは終戦処理費の中から補助費が出ていたというような形になつております。そしてこれは講和発効行政協定に伴いまして、今金同委員会で施設乃至区域の提供というようなことで協議を進めておる次第であります。それでこの法案は要するにどういう手続で、この漁業操業制限をどういう恰好でやつて行くか、今までは單に海上保安庁告示でやつていたのでありますが、今度はそれに代る方法を第一條で書いております。それから補償につきましても、これは従来は昭和二十五年の九月でありましたかの閣議決定によりまして補償をいたしておつたのでありますが、これも第二條におきましてはつきり法律で今度は損失補償をやつて行こうというようなことを書いております。  それから第三條以下は、これは補償金に関する損失補償申請手続とか、或いは交付手続、それから増額の要求でありますとか、いろいろ今までこういう規定はありませんで……、大体今まで通りの例で行きますと、農林省調達庁、それから大蔵省話合をしまして、一応このぐらいということで金を各府県に割当しまして、各府県がそれを又被害調査委員会というのを作りまして、そこで相談をして、演習によりまして被害を受けました者に対して損失補償したという形で、それ以後その補償が多いとか少いとか、或いはこれについて不服、或いは異議があります場合に、これを救つて行くというような途はなかつたのでありますが、それはこの法律はつきりしたわけであります。それで最も主な点は、この第一條と第三條が眼目でございます。  それでこの第一條には総理大臣農林大臣意見を聞きまして、一定区域期間を定めて漁業操業制限をするというような書き方になつております。それでこの総理大臣にいたしました理由は、たしか提案理由にも説明があつたと思うのでありますが、漁業権漁業につきましては、今国会提出になつておりますところの例の土地等使用等に関する特別措置法という、土地收用法特別法のようなものが今出ております。この法律によりまして漁業権については損失補償があるわけなんであります。これは総理大臣がやはり補償をする、使用制限とか、或いは補償につきましても総理大臣がこれをすることになつておりますので、許可漁業なり、自由漁業につきましても、これはやはり同じ総理大臣区域も定め、損失補償もやつて行くということで、許可漁業自由漁業漁業権漁業も一緒に扱つたらいいのじやないかという趣旨で、総理大臣がこれをやることになつております。ただその場合に一番関係があります区域なり、期間の問題につきましては、農林大臣意見を聞いて行くということになつております。それでこの区域期間等につきましては、実はまだはつきりはいたしておりません。現在合同委員会のサブコミツテイで、これの私委員長になつておるのでありますが、日本側関係官庁のかたがたと、向うと、今どういう区域で、どういう期間に、どういう種類の演習をするというようなことは、今向うと交渉いたしておりましてきまつておりません。併しそういう形で今進んでおりますので、総理大臣がこれを決定されるということになりましても、実質的にはその期間とか区域を定めることは農林省が中心になつてつて行くというような形で今進んでおります。  それからここに書いてありますように、これは「アメリカ合衆国の陸軍、海軍又は空軍の使用に供する水面」でありまして、その他英濠軍でありますとかいうものにはこの法律の適用は一応はございません。我々今この演習区域とか期間の交渉をしておるのでありますが、これにつきまして、英濠軍区域が実はあるのでありますが、これは今議題には上つておりません。これは我々は実は新聞を通して知るだけでありますが、なおアメリカ合衆国軍隊を除いた国連軍に関しましては恐らく別途な取極があつて、その取極によつて又こういう演習をするというような場合には、この補償をやつて行くというような形になろうかと思います。  それから同じような問題で日本の国内の問題でございますが、例えば警察予備隊でありますとか、或いは海上保安庁関係演習をするというような場合におきます補償の問題でございますが、これも一応この法律では触れておりません。これをやります場合には、やはり或る種の特別な立法が要ろうかと考えております。それでこれは第一條漁船操業制限だけ書いておるのでありますが、漁船を使いませんような漁業考えて見ますと、大体共同漁業権でありますとか、区画漁業のようなものになりまして、漁業権漁業が多いので、これはさつき申しました別な法律補償ができるというようなことを考えまして、一応ここは漁船操業制限するということで許可漁業なり、自由漁業は、これは救えるのではなかろうかというふうに考えております。  それから第二條関係でございますが、ここは「適法漁業を営んでいた」ということと、通常生ずる損失補償するということがここの重要な二つの問題でございます。適法漁業を営んでいた者は、我々の解釈といたしましては、漁業法の六十五條ですか、六十五條でやりますところの農林大臣なり、知事さんのやります許可漁業でありますとか、或いは漁業法の五十二條でありましたか、指定遠洋漁業がございます。それも許可漁業であります。それから水産資源保護法の四條の規定で、やはり許可漁業があるのでございますが、こういう法律に基いてやつておりますところの許可漁業と、それからそのほかにその区域でやつておりますところの許可を要さんでやつております自由漁業がここで補償されるというふうにこれは規定いたしております。まあ適法漁業を営んでいる者というのは、今申上げたようなものというふうに我々は考えております。  それから漁業経営上こうむつ損失で通常生ずべき損失ということになつております。この通常生ずべき損失につきましては、これは従来土地收用法等でもこれと同じ考えをいたしておるのであります。さつき申上げました漁業権漁業につきましても、同じ考えをとつております。これは従来の補償の仕方は大体平年の漁獲量とそれに漁価を掛けまして、それの総收入に割当てられるのでありますが、それの收入に割当てられるものは四二%であるというような方法をやつております。それの六〇%とかいろいろな数字で掛けたものを従来の補償としてこれは出しております。それで従来出しましたのは二十六年度までで四億一千二百万ぐらいの金をそういうような形で補償をいたしております。これは今までは大蔵省とそういう話合でやつてつたのでありますが、この法律二條でそれでは通常生ずべき損失とは法律上どういうふうになつておるかというようなことにつきましては、実は大蔵省と或る基準話合はまだ完全にはついておりません。これは通常生ずべき損失一つ一つの場合によりまして、これは違うわけなんでありまして、本当は一つ一つこれは当つて行くというのが筋であろうかと思うのでありますが、まあ今まで大蔵省が昨年までやりました算式の中で我々が今考えておりますのは、やはり先ほど申上げました平年の漁獲量魚価を掛けたものの四二%、これは安本でやりました国民所得を計算しました場合の漁業関係所得が大体四二%になつて、それをとつておるんでありますが、それと、それから当該年度演習によつて漁獲量が減ります、そり減つたものに魚価を掛けたものの四二%との差額というものの基準は一応何かと言われますと、今までやつておりました方式から言つて、それが通常生ずべき損失基準なら基準というふうに一応は考えられるのではないかというふうになつております。昨年までは、それに他の六〇%とか何十%とかいうようなことで、それを又減らすというようなやり方をやつていたのでありますが、今年はそうでない方法でやりたいつもりでおりますが、これはまだ大蔵省と正式な話合はついておりません。我々が今申上げましたような算式でこれをやつて見ますと、大体漁業権漁業、それからここにあります、この法律で行きますところの許可漁業、それから自由漁業を入れまして、演習区域が去年までやりましたままの区域で、それから演習の頻度、一年何回やるか或いは演習内容というものが従来通りというようなことをまあ仮定して計算して見ますと、大体十、億くらいの金になつております。それくらいを補償しなければならんのじやないかという数字が一応出ておりますが、これは区域が変る、或いは演習内容等が変りますれば又この金額は当然変つて来るものと思つております。この予算的な措置はこれは防衛支出金でありましたか、大蔵省予算に計上されておりますが、その中から支拂われるというような形になつております。大体法律眼目はこの一條二條でありまして三條、四條、五條、六條は大体その申請手続とか何かがここに書いてあるわけなんであります。これはここにも書いてありますように、補償を受けようとする場合には知事さんを経由して出して来るというようには書いてありますが、これも中央におりますよりも、実際演習被害等につきましては地方庁のほうが詳しいであろうし、又それを出します場合には地元の調査委員会とかというようなものの、そういうものの意見も十分聞いて、知事さんから出してもらつたほうがいいんじやないかということで、知事さんを経由して出すというようなことがここに書いております。それで補償金交付方法等につきましては手続だけ書いてありますが、従来やつてありましたような被害調査委員会というようなものが県にあるのでありますが、これは当該演習区域漁業者の代表と、それから県の委員が両方から出まして被害調査委員会というものを作りまして、そこに相談をしまして金額を各個人に分けて行くというような形でやつておるのであります。そういうような方法は通牒なり何なりで従来通りそういうようなことをやるという指導方針でやつて行きたいということを考えております。  大体法律の大あらましは以上のようなことになりまして、詳細は御質問ありましたらお答えいたしたいと思います。
  6. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 只今漁政部長から御説明がありましたが、これに対する質疑は次の委員会でやるようにいたしたいと思いますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 御異議ないと思います。それでは本法案質疑は次回に譲ります。   —————————————
  8. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) ちよつと皆さんに御相談いたしますが、只今経済安定委員会のほうに電源開発促進法案というものが出ております。これに対して水産相当関係がありますので、これに修正を加えたいと思うのです。と言いますのは、電源開発に当つて山のほうの治山とか治水とか、そういう問題についてやはり水産ということも入れて、国土開発に重大な関係を及ぼすものに対しては、あらかじめその農林大臣相談せよというような事項一つ入れたいということと、それからもう一つ電源開発によつて生ずる魚類の減少、これに対して補償方法を講ずるように修正を入れたいと思いますが、皆様の御異議ざいませんければこの委員会決定事項として経済安定委員会修正申込をいたしたいと思いますが、如何でございますか。
  9. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 これは私はいきなりこれを見たんであつて、まあ随分水産資源保護法との関係もあると思うので、この際勉強をさしてもらいたい。今日でなければいけませんか。
  10. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) いいえ、次回でも構いません。併し農林委員会において大概もう決定をして申込みたいと言つておりますから、水産委員会としてもこれを申込みたいと申いますが、それでは次回の委員会申込をしたいと思います。   —————————————
  11. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) それからもう一つ報告いたしますが、昨年来塩の特別価格を設定せよということは本委員会決定事項として強く政府に要望しておりましたが、今回政府専売法の一部改正案として五つの魚類即ち鰊、鰯、鯨、鱈、鮭鱒、これだけに対して特別価格を設定することにいたしまして、この間大蔵委員会で討議されたのでありますが、その際農林委員会のほうで、相当異議が出まして、相当難航を極めておりましたので、私もその委員会に参りまして水産事情を十分説明いたしまして了解を受けて委員会全会一致通りまして過日本会議において通りました。皆さんも御存じの通りであります。  それから本日の議題となつております漁港問題ですが、只今周東安本長官農林大臣の御出席を要求しましたが、万止むを得ざる事情のために今日は見えません。その代りに経済安定本部からは今泉建設交通局次長がお見えになつております。それから水産庁からは長官、それから林漁港課長も見えております。運輸省からは黒田港湾局長が見えております。それで先ず漁港の一般問題について何か御意見、御質問がございましたらお願いいたします。
  12. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 漁港法が制定されまして、二十六年以来修築計画を立てて年々修築を実行しておるわけでありますが、当初計画された年度計画と対照して見ますと、現在の実際の進行状態は非常に予算額等においても不足しでおつて、予定の年限ではこのままでは到底完成を見ることができないと考えるのであります。その進行状態を一応水産庁から説明して頂きたいと思います。
  13. 林真治

    説明員林真治君) 只今お話のございました漁港整備計画につきましての只今までの進捗状況を御説明申上げたいと思います。御承知通り昭和二十六年度から漁港整備計画に基きまして実際の漁港修築事業をやつて参つたのであります。漁港整備計画におきましてはこれに取上げられました港数は四百五十港であります。これを当初農林省といたしましては、三ヵ年間に着手いたしまして、六ヵ年間に完了をしたいと、こういう計画で進んだわけでありますが、国会の承認を受けた漁港整備計画におきましては期間は認められてはおりませんので、第一次整備計画ということで進んで参つているわけであります。昭和二十六年度におきましては、そのうち二百十二港を実施いたしました。それから港数の件で申上げまするならば、昭和二十七年度におきましては、大体決定を見ましたところによりまして、更に八十八港の着手追加を見たわけであります。従いまして昭和三十八年度以降に残されておりまする問題は、百五十港がまだ手を着けられないで残つているという状況に相成つております。それから予算状況からこれを見まするならば、昭和二十六年度におきましては、十二億三千万円余りあつたわけでありまして、二十七年度におきましては漁港修築費自体に対しまして十七億余りが計上されているわけであります。これを以ちまして只今申上げました昭和二十七年度におきましては、二百八十七港の実施をしているわけであります。全体の整備計画を立てました場合の事業費というものは大体五百億でありまして、これに要しまする国費は約半分というふうに考えておりますが、まあ今まで私どもといたしましても、予算の面につきまてはいろいろ委員会の御盡力も得まして、我々もできるだけの努力をいたしましてやつて参つたのでありますが、仮に昭和二十七年度の予算に変化がないというふうな点から考えて見まするならば、私どもが当初計画いたしました三ヵ年着手六カ年完成ということには大分縁の遠い問題となつて来るわけであります。勿論今後におきまする予算につきましては、二十七年度の姿が続くということば考えておりませんが、仮にそういうことを考えまするならば、今後十数ヵ年を要しなければ、金額の上から見まして全部の完了ば見ない。個々の港につきましては緊急等のいろいろな場合から勘案はできると考えますが、総括的に申上げまして、金の面から仮にこれを見まするならば、十数カ年を要するということになるわけであります。できるだけ今後の問題につきましての努力をいたしたいとは考えておりますが、現状からそういう過程を申上げまするならば、只今申上げたようなことになるわけであります。  それから災害復旧の問題につきましては、昭和二十三年度に起りました災害がまだ全部完了というわけに至つておりません。今年度二十七年度を以ちましてこれは完了をいたしたいと考えているわけであります。それから昭和二十四年に起りました災害につきましては、昭和三十七年度に渇きまして残事業の約六〇%を完了したい、こういう計画で進めております。昭和二十五年度に起りました災害につきましては、残りましたものの二七%、昭和二十六年度に起りました災害については、なおまだ残りの一七%程度しか今年の予算を似ては完了できない。それで二十四年災、二十五年災、二十六年災はまだ来年度以降の問題として残るわけであります。これに要しまする国費の総額は大体三十三億円余りになるわけであります。これは昭和二十八年度以降の災害復旧予算を以ちまして実施をしなければならないということになるわけでございます。今年の災害復旧予算は大体十二億円余りとなつております。この数字を、仮に先ほど申上げましたような関係で基礎にして考えまするならば、やはり二年半乃至三年を要する、少くとも二年はかかる、こういうことに相成るわけでございます。災害復旧につきましても御承知通り成るべく早くこれは完了しなければならない性格のものだと考えるのでございますが、現実の予算はそういうふうになつておりますので、なお三年間ぐらい要しませんと今後過年度災害完了ができない、こういう実情になつております。簡單でございますが、実情只今説明申上げました。
  14. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 只今の御説明によりますと、現在まで着手してやつて参りましたのと、新規に今後着手すべきものが百五十あるというお話でありましたが、継続中のものを合せますると更に四百二十何がしというふうなことに明年度はなつて来るのではないかと思いますが、当初この四百五十港を三ヵ年でやらうという計画を立てたのは單に水産当局と申しますか、農林当局自体だけの計画であつたのか、それともこの政府としての計画であつたのか、その点を伺いたいと思いますが、いずれにいたしましても今のお話によりますと、非常に長い年月がかからなければ当初の第一次計画四百五十港すらも整備して行くことはできない。更にこの四百五十港以外に第二次、第三次と七て指定し、整備計画に盛込むべきものが相当あるのではないかと思いますが、その点はどういうことになつておりましようか。第二次以降のお見通しを伺ひたいと思います。それと同時に今のこの十四、五年もかからなければならん第一次計画完了するについても十四、五年もかからなければならないということは、現在の水産業の情勢からいつて到底そこまで待つているわけには行かないと思うのですが、これに対する当局の方針はどういうことにして進むか。予算が来年度から急激に殖えればできましようけれども、今お話のように、又過去の例から見ましてもそう急速に殖えるということも期待できないような感じがするのですが、そうした場合にはこれをどういうふうにして行くか、やはり十四、五年かかつてもぼつぼつやつて行くつもりであるか、その点のお考えを伺いたいと思います。
  15. 林真治

    説明員林真治君) 一応お答え申上げます。計画年期の問題でありまするが、これは先ほど申上げ方が足りなかつたかと思いますが、当初私ども整備計画を立てるに当りましては期間を定めまして、期間のありまする計画で進みたいと、こういうふうに農林省としては考えてやつて来たのであります。法律上から申しますと、毎年度予算の許す範囲内でその事業の実施をするという規定がございますので、まあ余り差支えはないように考えましたので、三ヵ年着手、六ヵ年完成という目途を定めまして進んで来たわけであります。これを以ちましていろいろ関係当局とも御相談をしたわけであります。この解釈なり、考え方なりにつきまして意見の一致を見るに至りませんために、閣議の決定を経まして、国会の承認を得ました計画におきましては、期間は一応定められております。従つて緊急に着手すべき、事業化すべきものという意味で第一次整備計画、こういうふうになつております。  それから今後の問題でございますが、お話のごとく第一次に取上げましたものは、緊急に整備をしなければならないというものにつきまして四百五十港だけを取上げたわけであります。これは最初は今申上げましたような計画期間考えました関係上、こういう数字を定めたわけでありますが、それ以外のもので今後整備計画を立てまして、事業の第一次整備計画に続きまして、事業の実施を図らなければならないというものが多数あるわけであります、これらにつきましては只今いろいろ私どものほうで検討いたしておりまして、成るべく早く次の方向を定めて行きたい、こういうふうに考えております。なお今後の実施の問題につきましては、まあできるだけ努力をいたしまして、予算増額を図るということで進むようにいたしたい、こういうふうに考えます。
  16. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 水産庁の御努力も、現在の国家財政から言うと並々ならんものがあると思いますが、従来この水産施設に対してのかような公共事業費と申しますか、こういうものが特に少い感じがするのでありますが、今日日本の食糧の問題を考えまして、海陸両面の食糧増産ということが叫ばれておる際に、漁船の安全を図るということは最も大切なことでありまして、今日業者も終戦後非常に疲弊しております。又資材等の面におきましても窮屈な場合に、あたら船を損傷するということは、私的にも、公的にも非常な損害があることになるのでありますから、こういう漁船の損害というものについて、年々台風等によつて非常な損害を受けておる、そこに一日も早く漁船の安全なる定繋港を作るということが最も必要であり、又生産されたものを最も効率的にこれを利用するところの港の設備というものが、今日非常に必要だと考えるのでありますが、この公共事業費の配分につきまして、我々は常に水産が非常に僅少であるということを遺憾に思つております。この問題につきまして、安本当局は水産問題をどういうふうに考えておられるか、公共事業費の配分等は安定本部のはうでお扱いになつておると思いますが、今泉さんに御所見を承わつておきます。
  17. 今泉兼寛

    政府委員今泉兼寛君) 今の御質問は非常に重要な問題でございましてこういつた問題については、実は私のほうの長官からお答えするのが適当かと思いますが、今日都合で見えられませんので、これは長官を代表するというふうにまでおとり願つては甚だ僣越になりますので、ただ私どもが、公共事業編成に特に私は三年ほど従事して参りました体験から、私の率直な意見を申上げて見たいと思うのであります。今御指摘になりました通り、確かに漁港整備計画の必要性なり、漁港整備計画が、ほかの食糧増産関係等に比べて立ち遅れであるという状況は、私農業施設を拝見し、それから漁港状況等を拝見いたしまして痛切に感じておる次第でございまして、その点全く御指摘の通り同感に感ずる次第でございます。然らばなぜ従来漁港関係にそういつた配分関係が、一般の農業に比べて立ち遅れになつたかということ、又率直に私どもはその事実を認めなぐちやならんと思いまするが、何としても私はこれは農林行政全般の問題であろうと思いますが、どうしても主食のほうが重点になつて、まあ魚などは副食以下という観念が国民一般の常識、或いは要路のかたのやはり常識的な考え方がそこにあつて、同じ力の入れ方等についても、やはりこの副食的な水産関係ということが二次的に考えられておつたんじやないか。それが従来一般の主食関係の増産計画に比べて水産関係が立ち遅れになつておる根本の原因じやないか、と私は率直に考えるのでありまして、従つて公共事業費等の配分につきましても、これは單に水産関係に限らず、一般の公共事業費の総額というものが、私どもが年来主張している額をやはりかなり下廻つた程度で毎年決定を受けておる。まあ二十七年度の予算にしても私どもとしては、千五百億内外くらいの公共事業予算は組むべしという強い信念を以て大蔵当局その他とも折衝したのでございますが、結果は御承知通り千二百億未満という状況できまつておる状況であります。そのきまつた公共事業費の配分について、水産関係が今御指摘の通り、同じ総額の中でも水産関係の配分が少いじやないかという御指摘の点であろうと思います。私も率直にそう認めざるを得ないのでありますが、併しこういつた問題は私どもがきめるのではなくて、閣議なり或いは党なりの政策として御決定になつて、今日きまつておる額は、昨年に比べて、割合は確かにほかの公共事業費に比べて二十六年度に比べて、二十七年度の増加割合というものは、そのほかの公共事業費の殖え方については、そうひけをとつておりませんが、従来の二十六年度、二十五年度等の予算額がかなり低目にきまつておる。従つてそれに、割合は増額はしておるが、総額において余り殖えておらない、こういう状況は率直に申上げて、主食の偏重と申しますか、そこに根本のあれが根ざしておるのじやないか、こう考えます。従つて二十七年度の予算は二十六年度に比べて割合はかなり増しておりまするが、全般の漁港整備計画から勘案いたしますと、今林漁港課長が申上げました通り、今の状況では十数年もかかるのじやないか、こういう状況に相成つておる次第でございます。私どもといたしましては、單に水産だけからじやなく、公共事業関係全般として見ております際に、重要な点は、どれもこれも重要であり、而もそれが計画の何分の一も実現されていないという状況でございますので、配分に当つては、できるだけ重点関係考えて編成しておる次第でございますが、先に申上げました通り、公共事業費全体の枠が小さいということと、その配分関係については、やはり重点予算ということの組み方が、党なり或いは政府なりの考え方で大体その大筋の枠がきまる、こういう状況なのでございまして、私どもとしてはまあ二十七年度までは過ぎたことでありますから、二十八年度の予算につきましては、先ず第一に公共事業費の枠をもつと増したいという考え方は、従来とも捨てておりません。但し見通しはどうかということに相成りますると、私は今後治安関係、国防関係という費用も相当今後組まなくちやならんので努力はいたしますが、明年度以降千二百億内外の公共事業費が大幅に殖えるということは余り期待できないのじやないか、こう考える次第であります。併し期待できないからと言つて今の公共事業費は十分とは考えておりませんので、私ども今後とも予算の編成に当る事務局といたしましては、もつと総枠を増したい、そうして増して、その配分関係も従来の割合に比べてもつと増加したい、こう考えておる次第でございます。  漁港につきましては、今年の新規の港数を入れる際にも、單に今年だけの予算から見ますると、内地七十港、北海道二十港なんという大きな数は入らないのでございます。それだけ入れれば、来年度以降継続関係になりまして、非常に姿の悪い恰好になる。一港当りの竣工年限が非常に長引いて来る。こういうことで今度の十七億内外の予算では、内地七十港、北海道二十港という数は非常に無理だということを、私たち全体計画を見て感じた次第でございますが、これは来年度以降の或る程度の予算増額ということを見越して、今年からあと二十八年度、二十九年度という全般の姿、その姿ももつとやはり漁港予算が増すという前提に立つて、この内地七十港、北海道二十港を認めた、こういう状況でございます。従つてども努力目標としては、全般の枠を増すことと、それからきまつた範囲内においては漁港関係はもつと重点を置いて、食糧増産の一環として、單に主食偏重でなくて、漁港関係についてももつと重点的に考えるべきものであると考えておる次第であります。
  18. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 只今の御答弁のように主食偏重ということでありますが、果してそれが主食偏重であるか、或いは人間の頭数によつてそういうように考えられるのか、その点は必ずしも主食ではなくて、やはり人間の多い農業のほうに重点が行くということは、今日の政治状態から言うとこれは止むを得ないことかと考えますけれども、元来水産の生産物というものは、日本の国民の保健土に如何に重要なものであつたかということは、戦争中水産物の減少したときにはつきり出て来たと思うのであります。殊に水産物は国民の保健のみならず、外貨獲得の面にも大きな役割を演じておる。かような点から考えますというと、主食の食糧重点主義ということは考えられないと思うのです。勿論米麦等の主食が欠乏したのでは困りますけれども、同時に車の両輪のごとく主食、副食、我々は今後は副食という言葉でなしに、水産物も主食として行くような方向に食生活を変えなければならないと思つておりますが、その際に、一つ役所の中心からしてそういう点を是正されまして、本当に仕事の重要性から公共事業というものの配分をして頂きたいと思います。今日四百五十港を第一次の整備計画に織込みましたが、港として更にやつて行かなければならんものが、二千数百ありますが、今日のような進捗状態では何年かかつたら港ができるのか、見当もつかない状態であります。殊に私が痛切に感じますことは、毎年々々台風その他の風水害による災害というものが、例外なく十億乃至二十億、三十億というものが毎年出て来る。それを考えて見ますと、漁港の整備を要するものが今申上げましたように二千数百もある。そのうち先ず第一に四百五十港を緊急に取上げて見ても、これが遅々として推まない。今後今日のような状態で行けば、十四、五年もかかつて辛うじて四百五十港がどうにかなろうかということであつて、残余のものはいつになつたらできるかわからない。従つて水産当局といたしましても、又漁村の計画を立てる者としましても、何とかして割り込みたいという猛烈な運動もございます。そうしてそれを割当てた額というものは非常に僅少な額を割当てて行く、例えば八十八港を選びましても、初年度における金は極めて偉かである、或いは二年度も僅かである。毎年々々一港でも多くこれを手を措けようということは、着けてもらうほうも、又着けるほうも同じ考えで、人情でありますが、そのためにややもすれば脆弱な港ができる。数はできたが、質の整わないものができる。従つて一朝台風が来ると、あつちも壊れた、こつちも壊れたということで、災害復旧費を見ますと、新たに工事を起す費用と比べて大して変らんくらいの復旧費がかかる。これでは寳の河原の石を積むようなものじやないかと思う。だからして先ず金額をやはり初年度から多く配分して港数を減らしてでも確かな丈夫な港を作るということにしなければなりませんが、そうすると、今の状態ではますますこれはむずかしくなる。ですからして今後できるだけ一つ予算面においてもそういう点を勘案されまして、安本当局におかれましては、水産のこの施設を、これはもう永久に続くものではない、或る程度行けばできてしまうのでありますから、早く完全なものを作らせるという意味におきまして、従来非常に立ち遅れた水産施設を成るべく早く歩調を合せるように一つ御盡力願いたいと思います。我々もそれがために、今後できるだけ努力するつもりでありますが、元のほうでそれが整わないというと実を結ぶことにならないのでありますから、その点特に私は要望しておく次第であります。それからもう一つ伺いたいのは、第一次の計画の中で、運輸大臣との間に協議の整わないものがまだ二十五港あるということでありますが、これはどういう面から整つておらんか、水産当局から御説明願いたい。
  19. 林真治

    説明員林真治君) 只今お話のございました指定の問題でございますが、これは第一次に取上げましたものにつきましては、大部分協議が成立いたしまして告示措置をとりまして完了したわけであります。二十五港となつておりますが、これにつきましては、只今いろいろ運輸省の御当局とお話合を進めておるわけであります。港の性格によりまして、まあ漁港にすべきか、一般港湾として扱うべきかというものもございますし、割りまする場合の区域のきめ方についてまだはつきり結論の出ていないというものもあるわけであります。二十五港だけが残つておるわけでありますが、成るべく早くこれにつきましては協議の成立がしますように努力したい、こういうように考えております。
  20. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 この二十五港は大体三種が多いのですか。
  21. 林真治

    説明員林真治君) 重要な漁港でありまする第三種漁港につきましては、大体完了をしております。小さい港、小さい第一種的な漁港が大部分でございます。これはまあ一般港湾のほうから申しまするならば、大港湾ではありませんが、比較的重要な港湾であります。その中に比較的小さい漁港があるというような問題が多いわけであります。漁港としての第三種漁港の問題につきましては、殆んど全部指定の関係につきましてはきりがついております。
  22. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 もう一点、その第一種と申しますと、漁港から言うと、一番小さなものであつて、いわゆる船溜りの程度のものだと考えておりますが、そうしますというと、比較的大きな港湾の中に漁船の船溜りを作ろうという点から、協議の上に難点が起きて来ておるのではないかと思いますが、これは今もお話のように区域の問題が主となつているのかも知れませんが、港湾局のほうはどうなんでございましようか。こういう点が、非常にむずかしい問題がたくさんございましようか。我々としてはとにかくこういうことで争つてつてもらつたのでは埓があかないのでいずれかにきめて進んでもらいたいと思いますが、何かむずかしい問題がございますか、二十五港の中で……。
  23. 今泉兼寛

    政府委員今泉兼君) 漁港指定で残つている港についての御質問でございますが、二十五港の中にはすでに避難港に指定された、政令によつた港もございますが、或いは漁港が主でなくて、他の工業港的な性格の強いもの、或いは商業港的な性格の強いものが残つているかと存じますが、又一面比較的大きな港湾の中の一部に漁港としての働きをしている部面もあろうかと存ずるのでありますが、これらの面におきましては先般の港湾法の改正のときに、私は何もこの指定を拒否するのではなくて港湾でも漁港でも、両方が仕事のやりやすい形にしようではないかというので、港湾の一部に漁港があればそれを二重指定にして行くという方法があるからその方法をお奨めしているような港が相当あろうかと思います。
  24. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 この今の運輸省との間の協議が整わないということは、むずかしいものもあるかも知れませんが、今お話のように性格が多少違うということで整わないのもあると思うのでありますが、これは私どもとしては小さい港ですといずれでも早くできるような方法を両方で協議してやつてもらわなければそういう問題をいつまでも残しておつて整備計画にも織込まれないことになりますので、私どもは実体がどの港がどれどれということは知りませんから、抽象的に申すよりほかありませんが、大きな港の中にある船溜りだというと或いは協議の整いにくい点もあるかも知れませんが、小さい港であるならばそうむずかしい問題は幾らもないのじやないかと思います。そこで一つ繩張りのほうの関係でなしに、早く言えば我々が困つている状態考えれば、どつちか今局長のお話のように作りやすいものからやつて行くようにいたしたい。せり合つているが、一向やることをしないというのでは何もならない。やられるものからやるように、法律的な解釈はいろいろありましうけれども、とにかく早く実現するような方向に協議を進めて頂きたい。こういうふうな希望を申上げておきます。
  25. 千田正

    ○千田正君 さつき今泉さんから日本水産業はとかく跛行的なほうに考えられて行くために十分なる予算も獲得できないというようなふうに御説明がありましたが、それは我々も同感であります。そこで恐らく副食という点を考え、主食に重点を置いたという点は、先ほど同僚の秋山委員からそういう問題でなくて、主食、副食共に日本の国民の食生活の大きな中心をなすものであるから十分考えて欲しいという要望があつたのでありますが、私もこの点は特にお願いをしたい。殊に只今農林大臣が廣川君であつて、和尚さんであるからといつて魚を食わないわけではないのであるから、和尚であるとしても、やはり魚を食わなければならない。国民生活に特にそういう点を考えてもらわなくちやならないので、これは水産庁長官あたりから特に大臣を魚を食うほうの漁業面に認識を深めさせて、放言でなく、前に廣川農林大臣が我々に説明したごとく所定の予算の獲得に猛進してもらいたい、かようにお願いをするわけであります。  港湾局の問題につきましては、只今局長さんからできるだけ摩擦を避けてやる、セクショナリズムではないという意味においてお互いに運輸省の指定、並びに農林省の指定と二重にしたならばこの問題が解決するのではないかというふうなお答えがあつたようでございますが、そういう問題であれば何も問題が起らないはずであると、当然スムーズに行われるはずであるのにかかわらずなお今日残つておる原因はどこにあるか、その点は甚だこれは納得できないのであります。そこで改めて漁港課長に私は質問しますが、どこに一体ネックがあつてこの問題が解決つかないのか、只今おつしやられた港湾局長のお話のようにこれは水産庁農林省運輸省も指定してお互いにそこに了解点を求めて予算の獲得も、又配分もできれば何も問題がないはずである、にもかかわらず今日なお進捗しないということにはどこかそこに原因があるのであるからその点をはつきり私どもは伺わなければこの問題に対してのはつきりした結論ぶつかないじやないか。こう思いますのでもう一度どういう点にネックがあるか、その点を伺わせて頂きたいと思います。
  26. 林真治

    説明員林真治君) 只今の御質問にありました第一次指定の関係の問題でございますが、これは大体千三百足らずの問題につきまして、運輸省当局へ御協議をいたしまして、そのうち残つておりますのは二十五港程度になつておるわけでございます。この二十五港につきまても、いろいろ御協議は進めておるわけでございます。或るものにつきましては漁港の指定という問題を中止したほうがよろしいというような結論になりつつあるものもあるわけでございます。事業の実施の面から見ますならば、只今申しましたように、大部分のものについてはすでに協議が成立ちまして、告示も出しておるわけでございます。只今実施しようといたしておりまする第一次整備計画について見ますならば、四百五十港であります。千三百足らずのうちの四百五十港であります。又仮に第二次の整備計画を立てるといたしますならば、それについても指定の終つたものは相当たくさんあるわけでございます。この残りました二十五港の問題につきまして、それは勿論早急に解決を図りたいとは考えておりますが、事業実施面におきまして、只今のところ支障があるというふうには私ども考えておりません。併し原案のままで幾らでも残すというわけに参りませんので、至急にこの問題は私どもとしても解決を図りたいと、かように考えております。
  27. 青山正一

    ○青山正一君 私は一点についてお聞きしたいと思います。水産に関する予算の少いこと、これを私が体験した一例を以て示しまして、皆さんの御参考に供し、併せて港湾局長なり或いは安本にお聞きしたいと思います。実は私昨日私の生れ故郷の村長と一緒に連れ立ちまして、港湾局とそれから水産庁漁港謀二ヵ所行つて見ましたのですが、この村には甲という部落と乙という部落があるわけでございますが、甲という部落は水産庁の面で災害復旧費は国庫補助として頂いておるわけでございます。乙という部落は港湾局の関係災害復旧費を頂いておるわけでございます。で、先ず最初に水産庁のここにおられまする林課長にお目にかかりまして、二十五年度の災害でありますかり一つ何とか残りを頂戴いたしたいと、こういうふうに申入れました。ところか今年度は如何にしましても最高額残存の分の二割七分しか上げられないのだ、こういうふうなお話でありました。それは当るに越したことはないんだという意味合いで引下りまして、次に運輸省の港湾局へ参りましたところ、局長がおいでにならないので計画課へ参りまして、いろいろ御意見を聞きましたところが、それは全部差上げましよう。もう少し増して頂きたいんだがと、こういうふうな申入れをしましたところが、それは二十三年度のあれで多少残つておりますから考えましようと、こういうふうなお話でありました。そうしますと、この点で特に僕は安本にお伺いしたいと思いますが、安本はすべてのこういつた関係をいろいろ抑えて、港湾の関係にはどれだけ、或いは漁港関係にどれだけというふうに配分していろいろ計画を立てて、こういつた災害復旧費とか、或いは公共事業費をお渡しになつておるものと私はみなしておりますが、どうもこういう点に、水産に関する予算がどうも港湾局から比べると非常に少いじやないかというふうに考えますが、そういう点について、噂でも結構ですが、安本のほうでそういつた点をお認めになるかどうか。最近安本の廃止論が出ておりますが、そういつた点でいろいろ廃止しなきやいかんというような議論も出るわけなんですが、私らの建前からすれば、どうかしてこういつた点があるからして是非とも安本が必要になつて来るわけでありまして、どうか安本が残つて頂いて、こういつた点を特に解決して頂きたいということを望むものでありますが、その点について一つお聞きしたい。  それから同時に港湾局に一つ参考のためにお聞きしたいと思いますが、只今参議院の専門員室でいろいろ調査した点によりますると、どうも二十三年度の災害は大体水産庁のほうでは殆んど完了いたしまして、それから二十四年度は残りの事業の大体六〇%は完了した、或いは二十五年度は二七%程度は完了した、そうしますと相当まだ二十五年度の災害としましても、この水産漁港関係では非常に残つておるわけなんですが、同時に先ほど御報告申上げた通り、今年度はその二割七分しかできないんだというふうな非常なみじめな建前に進んでおるわけなんですが、港湾局のほうは一体どういうふうにしてこの事業のほうはなされておりますか。その点について一つ参考までに意見をお聞きしたいと思います。
  28. 今泉兼寛

    政府委員今泉兼寛君) 只今の御質問ですが、港湾関係漁港関係について災害復旧の率、従つて公共事業費の配分に何か格段に相違があるのではないかというような御疑問のようでございまするが、私ども従来査定いたしております関係におきましてはさようなことは絶対ございません。恐らくそういう甲部落、乙部落の関係を私想像いたしますのに、それほどの差ができるということは、発生年次の災害が違うのではないか……。
  29. 青山正一

    ○青山正一君 いや、同時です。
  30. 今泉兼寛

    政府委員今泉兼寛君) 若し同じだとすれば安本といたしましては、港湾関係についても、漁港関係についても、全体の災害に対しての配分率等は変えておりませんから、復旧年次を特に港湾関係を早くして漁港関係を退くするなんということはございません。若しそういつたお答えがあつたとすれば、或いは一般港湾関係については、特定のところを早めて復旧し、そうでない、非重点的なところはもつと握らす。つまりほかの港湾の犠牲においてといいますか、特定なところは早めてやろう。片方のほうの漁港関係がそういう二七%というならそれは平均率でいつたところであつて、これはどれもこれも大体一様の方針で配分する、こういう案でそれぞれ運輸省なり、或いは水産庁の御方針として配分になつ予算をどういうふうにお使いになるという使い方の相違ではないか、安本としてそういう、甲、乙は決してつけてやつておりませんからその点……。
  31. 青山正一

    ○青山正一君 それがおかしいのです。こういうことを言うたために又それが中止になつたりすると困ります。が、その点は一つ、どうか特に念を入れてお願いしておくのですが、まだ多少廻す余裕がありますからその点は大丈夫です、こういうふうなお話でしたからその点も一つ御参考までに念のために申添えておきます。
  32. 黒田靜夫

    政府委員黒田靜夫君) 一般の港湾の予算なり災害予算が、私ども所管しております港湾に対して、非常に窮屈なことは全く今までのお話通りでございまして、港湾についての予算を常にもうちよつともらいたい、増額して頂きたいということを私ども、いつも安本、大蔵方面に陳情を申上げておるので、そのときに、せめて漁港整備の予算程度の率を頂戴できると港湾は非常に整備されるのだということをよく引例して申上げておるような事情でございまして、港湾の整備費の予算は、終戦後諸種の事情の制約下におきまして、非常に立ち遅れておるのでございまして、この点は漁港に劣らないと私ども感じておるのであります。できるだけ港湾整備の要求を増額して頂いて、海運の振興なり或いは経済の復興に足並みを揃えて行きたい、かように念願しておるような次第でございます。  次にお話のありました災害予算につきましては港湾といたしましては、先ほど今泉次長のお話のあつた通りでございまして、この発生災害に対する枠というものは安本でおきめになつておる通りでございまして、私ども多少重点的にやつております。それで港湾も恐らく重点的におやりになつておるのだろうと思いますのが、一つの県内で港湾として見た場合の重要性と、漁港として見た場合の重要性の差異ができて来る。漁港として見た場合には、隣接であつても相当重要である場合には災害を受けた場合にその施設を早く復旧する必要がありますので、相当高い率の復旧費がつくこともありますし、又少し離れた港におきましては相当低い率のつくこともあろうかと思うのでございます。只今例を持出されましたのはそういうふうな例の一つではないかと考えるのでございます。
  33. 青山正一

    ○青山正一君 これは弁明になると困りますので、只今その安本或いは港湾局長からいろいろ御説明なすつておられたことも、これは半分ぐらいは事実だろうと思いますが、あと半分は事実ではないのであります。併し私はそれを追及いたしますと、又私の村にも相当影響を受けますからして、この程度にとどめておきます。
  34. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 本日のこの港湾の議題として静岡県の舞阪港から参考人としてお二人の出席を求めております。舞阪港は既往三カ年ばかり運輸省において調査をされたその結果、修築をされるはずの港でありながらそのまま放つてある。即ち舞阪港は、だんだん埋つて殆んど漁船の通行にも支障を来たすような現状でありますが、先ず舞阪の組合長から一応その事情の御発表を願いたいと思います。
  35. 堀江寅蔵

    参考人(堀江寅蔵君) 私舞阪漁業協同組合長の堀江であります。  今切口は遠州灘における唯一の漁業根拠地たる舞阪、新居両港の入口であります。そうして漁船数は舞阪漁港が約二百二十隻、新居漁港が約七十隻、そうして伊良湖崎から御前崎の間の海面、いわゆる遠州灘です。この間の漁船総数の約三分の二をこの今切口から送り出しているのであります。そして他の渥美半島の沿岸で約七十隻、福田、豊浜附近で約七十隻、そうしてこの遠州灘の総数が四百三十隻と、こうなつているのであります。そうして漁獲高は舞阪が約二億五千万円にして百五十万貫、それから新居町が約一億万円、五、六十万貫程度の水揚げをいたしております。そうしてなおこの今切口を通じて浜名湖内の水揚高は、のり、かき或いはその他の海産物を合せて約二億円程度の漁獲が水揚げされております。そうしてこの今切口を通じて遠州灘及び浜名湖内で漁業に従事する漁民が大体五千人おりまして、こねに関係して十七カ町村の漁業協同組合があります。そうして特に舞阪、新居のごとき沿岸漁民としては、今切口の安定工事の成否は実に我々の死命を制するといつても過言ではないと存じます。それではこの今切口は昔はどうであつたかというと、大体水深が約五メートル、幅が千百メートルくらいあつて、そして千石船の航行も自由自在にできた時代もあるのであります。ところが明治二十一年東海道線が敷設されて以来、漸次港口は塞がつて行きまして、明治三十一年頃には約八百メートルの幅、それから大正八年頃には四百五十メートル、昭和七年には更に国道の架橋により港口は狭められて、昨年現在では約三百メートルとなり、そして水深も一メートル五十程度でございまして、我々としても遠洋漁業計画したときもありましたが、大型漁船は到底出入することができませんので、漸次小型船となりまして、現在では主として沿岸漁業に従事するほかない、こういうような状態でございます。ところが最近の状況は、殊にこの埋没の度が甚だしくなりまして、どういう関係か我々にはわかりませんけれども只今お手許に差上げてあるような現況図面を御覧になりますればわかりますけれども、非常に港口が今切口の両端と新居町と舞阪の両端が狭められて来て、殆んど食い違いのような工合になりまして、この図面で御覧の通り昭和二十五年現在ではこの黒いのが洲になつておりましたのが、二十七年の五月一日現在で測量して見ますと赤線の洲がこういうふうに両方から、新居と舞阪のほうから出て来まして、もうよほどの食い違いが出て来ておつて、そして船の航行する間は非常に狭くなり、おまけにこの点線で示されたようにこの洲以外に浅瀬がありまして、そうしてなお最近では五トンの漁船すら干潮時には航行ができない、こういう状態になつておりまして、その五トンの船が航行できないという点は細かい点線で図示されておりますけれども、そうしてこの五トン以下の船が干潮時に通れないために、舞阪、新居は沿岸漁業でありまして、毎日朝行つて晩帰るのであります。そういう関係でこの潮汐の干満の度合によりまして制約を受けるために、朝出漁する場合に思うような時刻に出漁ができない。そのために例えば朝五時或いは六時に、三時頃行く場合もあります、天候の関係で……。そういう場合にこの潮汐の関係によりまして、出ようと思つてもやはり朝丁度干潮時には出られない、それがために一時間も二時間も三時間も待つて出港し、そうして又晩帰るときにはやはり晩方丁度満潮時であれば入れるけれども、干潮だと入れない。そうしてもう暗くなる時分で、この今切口の沖合にたくさんの船が蝟集して、そうして満潮になるのを待つてつてつて来る。そういうわけで、とつた魚もこれによつて非常に鮮度を落し、そうして価格の点においても非常に下落する、こういうような、経済面においても非常に損失をこうむり、なおそうして又これが一朝天候が激変しまして、そうしてこの沿岸へ出ておる船が一時に帰つて、そうしてこの狭い港口を争つて入ろうとするときに、丁度干潮にぶつかると、入れぬために沖合で待つておる。こいう場合を予測した場合には、非常に我々としても経済的な面以上に危険を感じて、実際我々としてもこういう極く最近の現状のようではもうとても安心して漁業ができない、こういうような状態に現在はなつておるのであります。それで若しこの今切口の工事が安定した曉には我々としても多年の宿望であつた遠洋漁業も可能であり、水揚げ率も現在の数倍となり、現在の愛知県との漁業紛争も即時解決する、こういうようなわけで、我々としても昭和二十四年以来運輸省の技術研究所にお願いをして、港口固定、水深の安定等の今切口の安定工事について研究をお願いしてありましたが、どうか一日も早くこの研究の成果を得まして、そうしてこの今切口の安定工事を促進してもらいたいと痛切に感ずる次第であります。それでなおこの今切口が先ず五百トンの船が仮に出入できる、こういうような状態になりました場合には、遠州灘を航行する船舶としては大体三月、九月のこの時期は非常に気象の激変期でありまして、そうして清水港を出た船が鳥羽まで入る間に、遠州灘においては実際避難港として全然なく、或いは御前崎、伊良湖崎、あそごに今避難港ができかかつておりますけれども、それまで帰るのがなかなか、どちらへでも帰ればいい、こういうふうにお考えになるかも知れませんけれども、この三月、九月というと、非常に気候の急激に変る時期でありまして、一刻も早く港へ着きたいというのが航行業者の心理だと思います。そういう場合に、若し舞阪へ五百トンぐらいの船が楽々と入れるとすると、こういうものが過去において事故があつたこの遭難が根絶するということは間違いないと思います。こういう見地から見ましても、国家的見地からしても、避難港として非常に大きな意義を有するものだと考えます。  以上のような工合で、とにかく舞阪、新居方面としては非常にもう不安のうちに毎日出漁しておるというような実情にありますから、是非一つ促進方をお願いしておきたいと思います。
  36. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 新居組合長の前田さんから一つ修築の経緯その他を御説明願いたいと思います。
  37. 前田勇

    参考人(前田勇君) 私新居漁業協同組合の前田勇でございます。  只今詳細について舞阪の堀江さんからお話がありましたが、この浜名湖の今切口は現在においては五トン未満の船でさえも干潮時には出入りができないというような現状で、地元の漁民としては一日も早くこの港の修築工事を促進して頂きたい、こういうように言つておるし、又この港口が現在幅二百メーター、深さ〇・八メーターぐらいの、干潮時にはそれくらいの深さであるので、到底港としての価値は現在ないような状態でありますので、よろしくお願いいたします。
  38. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 只今参考人の発言がありましたが、黒田港湾局長から今日までの調査並びに修築の経過を一つお述べを願いたいと思います。
  39. 黒田靜夫

    政府委員黒田靜夫君) 浜名湖口の問題につきましてはもう極めて長い問題でございまして、私が港湾に関係いたしました二十数年前から問題になつておつたような次第でございます。終戦後静岡県と浜名湖の地元の非常な強い御要請に応じまして、運輸技術研究所のほうで相当詳細な調査を行なつております。その調査の結果につきまして概報を昨年の、二十五年の十一月に一応発表しておりますし、又詳細な報告を来たる五月の二十日静岡県より刊行物を以て発表される予定になつております。  調査事項等は省略いたしまして、調査の結果の概要を御説明いたしますと、この浜名湖の埋没の原因は外海の影響である。外海の潮流は流出入とは無関係であるということ、それから湖内水位の変化は天体の潮汐力の直接の結果ではない。それから新居、舞阪両流路における流水は外海の潮汐と湖面の水位との差によつて支配される。つまり水位差が多ければ多いほどいいのであります。この流量の多少が糊口の掃流上大きな影響を持つているというような点が調査の結論でございまして、維持の方法といたしましては、以上の調査の結果から湖品の維持の方法といたしましては、舞阪、新居の両流路におきまする障害物を除去して、導流堤を設置して、洗水の疏通をよくするということ、それから錨瀬を浚渫いたしまして、今切口の有効幅員を決定すると、これがなお幅員等につきましては技術的に、或いは学問的の問題があろうかと存ずるのですが、この今切口の有効幅員を湖口より大きくならんようにする。それから村櫛、鷲津等の鉄道線路に囲まれた水域を浚渫すると、つまり湖北の深部との間に澪筋を作つてやるような方法考えればいいのでねないか。これが一応の調査の結果でございまして、この舞阪、新居地区につきましては、舞阪は漁場でございますし、新居は港でございまして、私どものほうとしては新居に通ずる水路の一部の浚渫をやつておると記憶いたしておりますが、これによつて幾らかでも改良を図つておるような次第でございます。更にこれを拡大しまして、今切口の湖口を固定してやるという問題につきましては、非常に多額の経費を要しますので、この点今後財政上の関係等を十分……一に技術的の問題でなくて、予算措置の、予算の枠の問題かと思うのでございますが、相当多額の金が、恐らく億という単位になろうと思うのですが、そういつたような巨額の費用がかかりますので、現在の港湾改良費の枠では、それが相当殖えない限りむずかしいような気がいたすのでございますが、併しこれは一刻も早くやりたいのは、私どももその気持でございますので、予算獲得には一段と努力いたしまして、できるだけ早い機会にこれが実現するように努めて行きたい、かように存じておるような次第でございます。
  40. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 只今の港湾局長のお話ですが、億ぐらいの金であれば、そう大して大きな金とは言えんと私は思いますが、漁港でさえも三億とか三億五千万とかでやつておりますが、殆んど港が潰れるというよな場合において、而も永年調査をして、大体結論が出た場合において、僅か億ぐらいの金のために延期するということはどうかと思いますが、もう一遍港湾局長の御意見を承わりたいと思います。
  41. 黒田靜夫

    政府委員黒田靜夫君) 億という單位が私今その計画の資料を持つておりませんので、一億であるか、或いは三億であるか、はつきり覚えておらないのでございますが、そういう金を三カ年計画でやりますか、或いは五カ年計画になるかわかりませんが、新らしく着手するということにつきましては、経済効果その他、他の港湾とのいろいろな比較等につきまして十分検討いたしたいと存ずるのでありまして、若し漁港の改良費のほうで相当額が出るのでということであれば、港湾としても相当考えなくちやいかんのではないか、かように考えます。
  42. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) これについて何か御質問ありませんか。  只今の局長のお話漁港のほうの予算から出ればやるのであるというようなお話がありましたが、これに対して水産当局のお考えを承わりたいと思います。
  43. 林真治

    説明員林真治君) 先ほど委員長から漁港でもまあ億というふうな予算でやつておるところもあるじやないかというお話でありました。確かにやつておるところはございますが、それは漁港の立場から見まして、最も重要なと考えられまするところにつきましては、そういう措置をしておるところもあるわけであります。舞阪につきましては、漁港区域只今のところ内部だけになつておるわけであります。従いまして先ほど港湾局長から御説明がありましたように、浜名湖口の問題は非常にむずかしい問題でもあつたわけでありまして、いろいろ御研究を願つている次第でありますが、漁港の立場から申しますと、只今のところでは内部の舞阪港だけの問題といたしまして、従つて漁船系統につきましても現状の水深を余り出でられない範囲におきまして計画をしてやつて来ているわけであります。この問題につきましては、大体今までの予算を以ちまして近いうちに計画しました事業は完成するのではないかというふうに考えております。将来の問題につきましては、只今までのところそういつた財政上の問題につきまして研究いたしたことは実はないのでございまして、今後検討いたしたいと思てつおります。
  44. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 他に御意見ございませんか。
  45. 千田正

    ○千田正君 これは結論としては、それでは外は運輸省のほうの所管港としてやつて頂けるか。
  46. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) さように委員会としても何か態度をきめたいと思いますが、大体漁港全般にいたしましても非常に不完全で、年々の台風において港内において数百の船が沈没若くは破壊をしている。この損害は先に秋山君の言われたように莫大なものである。そうして国会に対する陳情、請願の殆んど八〇%は漁港に関する陳情、請願である。これを以て見ても如何に日本漁港が不完全であるかということはわかると思うのです。それにもかかわらず予算が非常に少、これは運輸省においても、只今お話にあつたように予算は非常に少いということであります。併し舞阪港の、ごときもうまさに港口がつぶれんとするような港湾に対して、而も調査完了して結論が出た場合に、いつ予算が取れるかわからんというような状態で放置するということは、これは国家の損失も非常に大きいと思う。この問題等に対しては政府当局は十分一つ努力して一日も早く港が調査通り完成するように私どもは要望したいのであります。港湾局長としては予算が取れなければ仕方がないというお話のようでありますが、先に参考人からも陳情のように、遠州灘における一つの大きな避難港としての役割をする。以前は相当帆船や機船も避難しておりましたが、現在は五トン級ほどの船さえも通行が困難であるという場合において、港としての価値も現在は非常に減殺しておりますが、一旦これは修築すれば価値は非常に大きい。文漁港としても相当船が出入りしているというような現状でありますので、水産庁も又港湾局も特にこれは関心を持つてつて頂きたいということを私は特に要望いたします。これに対して何か参考人からの御発言がありますか。
  47. 堀江寅蔵

    参考人(堀江寅蔵君) 只今どもは丁度この舞阪港の問題についていろいろと港湾或いは土木関係お話を承わつておりまして、そうして現在の政府の財政状態、こういう面を聞いて一応尤もだとは思いますが、併しこの今切口の場合においては、実際において、そう言うと甚だ極端な言い分になるかも知れませんけれども、我々はとにかく漁民ですから思つたままを率直に申上げるという気持で一つお聞き流しを願いたいと思います。普通陳情されるいろいろの陳情とは違つて、実際は我々が今現に死の寸前にあるという、事実非常にもう切迫した状態になつているのでありまして、そうしてこれが、若し一年とか半年のうちに埋没したとなつた場合においては、非常に我々としても、丁度暗闇に突落されたような感じがするのであります。そうしてなお又舞阪の漁港としても、漁港課のお蔭で大分漁港としては一応整備しかかつたにもかかわらず、この今切口のためにこの漁港が、若し今切口が埋没して航行ができないということになると、実際もう今までかけた金は曲論無価値になる。そればかりでなくて何千人というその背後にある漁民の心情を思うときは、本当に我々としても悲愴な感を抱くものであります。そういうわけでありますから、是非一つこの際政府としてもいろいろな財政の状態もございますでしようが、そういう非常に急迫した状態でありますから、是非運輸省それから漁港課と両方で一つよく御協議の上一日も早く何とか手を打つてもらいたい。こう存ずるのであります。
  48. 青山正一

    ○青山正一君 私とにかく水産のほうには多少玄人のような気がするのでありますが、この問題に関する限りちよつとどつちかと言うと、私の頭の悪いせいかも知れませんが、ちんぷんかんぷんわからないのでありますが、私は国が京都でありますから、あちらに帰るとき見ますが、これは見た上で相当考えなければならんと思いますが、どうなんです。これは水産庁のほうで今までこの工事にどういうふうな計画でかかつておりますか。その点についてお聞きしたいと思いますが、今までこの舞阪港について何か国家として相当助成したり、何かしてやつているのですか、どうなんですか。その点についてちよつとお聞きしたいと思うのです。
  49. 林真治

    説明員林真治君) 舞阪の漁港といたしましては、今まで漁港修築補助を以ちまして相当強くやつているわけであります。これは浜名湖の右側のほうの狭い区域の問題であります。その区域の中に入りましてからのものであります。それで今の今切口の問題がございますので、これはまあいろいろ先ほどからもお話がありましたように御研究になつておつたわけでありますが、現在の水深程度を考えまして、漁船も従いまして将来の発展、大型化ということは第二段といたしまして、現在の姿で以て内部の接岸なり、収容なりこれが不十分である。それを完了するだけのことはやつて来たわけであります。只今計画をしております事業内容は、そういう点になつております。
  50. 青山正一

    ○青山正一君 何か浚渫工事などもつているのですか、どうなんですか。
  51. 林真治

    説明員林真治君) ですから内部の区域内だけの問題は考えているわけであります。
  52. 青山正一

    ○青山正一君 どうも私が見たのでは、右側ということを聞きましたが、私らから見ると何だか左側のようにも考えて、どつちかと言うとちんぷんかんぷんわからないのでありますが、これはよほど現場を見た上でないと、これは委員長も御覧になられたと思いますが、ここに千田さん、秋山さんもおられますが、何だかこの地図ではどういう見当であるかさつきから頭を悩ましているのでありますが、一体どういうところにどうなつているのか。その問題から研究して行かなければならないと思いますから、一つその実情を伺いたい。
  53. 千田正

    ○千田正君 青山委員の言われた通りでありますが、大体今切口という今の堀江組合長のおつしやる区域が今は外洋の中に入るか、早く言えば運輸省の行政区域内に入るのか、それとも水産庁のほうの今の漁港というような問題の中に入るものであるかということを、大体その査定はどちらなのですか。
  54. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 黒田港湾局長にお伺いいたしますが、運輸省区域ですか。運輸省で今までやつておりますか、どういうふうになつておりますか、今切口は。
  55. 黒田靜夫

    政府委員黒田靜夫君) 今切口は一般の港湾事業でありまして、その中に舞阪漁港があることになつております。
  56. 千田正

    ○千田正君 今の港湾局長の御説明によるというと、これは両方に関係しておるわけですね。でありまするから、私ども考え方から言えば、農林省のほうも予算を組み、それから運輸省のほうも組んで、両方で幾らかずつ出し合つて、そうしていわゆる住民の生活の安定を考えてやるのが至当ではないかと思う。そういう点についてはどういうふうに考えられておりますか。
  57. 黒田靜夫

    政府委員黒田靜夫君) お説の通りのことを私は去年から考えております。
  58. 堀江寅蔵

    参考人(堀江寅蔵君) これらのことについて、ちよつと私が知つておる限りのことを申上げます。これが非常に入組んでおると申しますか、この今切口の、舞阪側のほうで申しますと、この今切口の東端、舞阪側のほうは、これは建設省のほうの砂防に関する部分でありまして、これは建設省の所管になつております。そしてこの突端から、こちらにございます東海道線の第一号鉄橋の西寄りの二本目の鉄橋を見通したものが水産庁関係区域となつております。それからこの今切口が、奥のほうの村櫛、鷲津の線を結んで浜名湖となつておりますが、丁度舞阪の今切口の東端が……。
  59. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 その今切口というのはどれですか。
  60. 堀江寅蔵

    参考人(堀江寅蔵君) この浜名湖と遠州灘の通ずるこの口を今切口と言うのであります。そうしてこの今切口の突端は丁度建設省と水産庁運輸省の頂点に立つておるのであります。そういう関係に立つております。だからやつぱりこの突端については建設省のほうにも相当お世話になつておるのであります。だからこれはやつぱり三省へ我々考えると関係のあるように思います。一つそういう面が非常に複雑しておるように考えられます。
  61. 千田正

    ○千田正君 経済安定本部はこういうような問題に対しても或る場合においては調停の役を勤められるのでありますが、そういう面においては、今の三省が、即ち区域をめぐつての観点から見ました場合には、どういうような方法が一番いいかという目安がついたら、一つ今泉次長から、御参考までにお話を承わりたいと思いますが、どうですか。
  62. 今泉兼寛

    政府委員今泉兼寛君) これは電気等についてもよくあることでございまして、大抵は二省なり三省なりで話合いがついてきまつた問題については、別段安定本部といたしましては特に進んで調停ということをやつておりませんが、二省或いは三省あたりが話がつかん問題については、やはり第三者的調停の立場に立つて安本がその調停役に立つてまとめた事例は、電力問題、河川問題、港湾問題についても今以て相当ございます。従つてこの問題は今三省に大分関係のある問題のようでございますから、三省でお話合いがついて円満にまとまればこれは結構でございますが、何かその関係で障害があるという問題であるならば、安本がその調停と言いますか、世話役に立つてこの問題の促進方について乗出すことは、決してやぶさかではないのであります。
  63. 青山正一

    ○青山正一君 安本の必要論もそこから生れて来るだろうと思いますが、事実こういうことはないでしようか。つまり港湾を主体として進んで行くということになりますと、漁港のほうに非常に影響がある。或いは漁港のほうをやると港湾のほうに非常に影響がある。例えば港湾のほうが主体となつて大きい突堤でもこしらえるとそこへいろいろの砂が溜まつたりなんかして、漁港のほうが非常に損害を受ける。恐らく浜名湖あたりはそういう例が非常に多いのじやなかろうかと思います。そうすると港湾のほうは港湾のほうで勝手にやる、漁港漁港のほうで勝手にやる、或いは建設省は建設省で勝手にやるというようなことになりますと、いろいろ問題が出るのであつて安本は特にこれは必要だというのは、そういう点に特に力を入れるということで安本が是非必要だと、こういうふうに私は考えておりますから、(笑声)一つこの問題も安本が中心となつて考えおきを願いたいと思います。
  64. 秋山俊一郎

    秋山俊一郎君 この舞阪港修築計画平面図というのが配付になつておりますが、この計画はどこが立てられたのですか。
  65. 堀江寅蔵

    参考人(堀江寅蔵君) これは陳情書の内容にあると思いますが、昭和十六年に安芸博士が計画されましたそれを参考資料として差上げてあるのでございます。
  66. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 今聞いておりますと、水産庁のほうでは指定は、漁港区だけ指定してあるから外海とも通ずる今切口に対しては自分のほうは関係がないというふうに聞える。ところが黒田局長は今切口のほうは運輸省の所管であるし、水産庁のほうで漁港のほうで金を幾らか出してもらえば進行は早いというような話であります。それから今の堀江さんのお話では建設省も関係があるというお話で、三省に関係があるというようなことになると、なかなかこれはうまく行かない。それで今、今泉次長の言われたように、安本一つこういう問題は調節して円満に行くようにお骨折を願いたいと思います。よろしうございますか。
  67. 今泉兼寛

    政府委員今泉兼寛君) 結構でございますが、私はこの問題はまだそれほど真劔にいろいろ検討したこともございませんので、それから私のほうでいたすにしても、一つ県のほうの現場関係でこういつたことは一応おまとめになつてつて来て頂きませんと、問題は施工上の問題でございますので、一つ現地のほうの県のほうでこの問題をどうするかということを一応おまとめになつて、それで予算上の問題、国庫補助等の問題については一応お持ちになる、順序としてはそういうふうに進んでもらつたらば、安本では喜んでまとまらない点についてはまとめたいと考えております。
  68. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 両参考人に申上げますが、県のほうに建設関係もあれば、運輸関係もあり、水産関係もあるのですから、そこで一つまとめて持つて来れば安本で大いに取上げようというようなことですから、さようお骨折を願いたいと思います。  本日の委員会はこれで散会いたします。    午後三時一二十九分散会