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1952-01-28 第13回国会 参議院 水産委員会 第5号
公式Web版
会議録情報
0
昭和二十七年一月二十八日(月曜日) 午後一時三十九分開会
—————————————
委員
の異動 一月二十五日
委員佐藤尚武
君辞任につ き、その補欠として
藤野繁雄
君を議長 において指名した。
—————————————
出席者
は左の
通り
。
委員長
木下
辰雄
君 理事
松浦
清一
君
委員
青山 正一君
秋山俊一郎
君
小滝
彬君
政府委員
水産庁長官
塩見友之助
君
事務局側
常任委員会專門
員 岡 尊信君
常任委員会專門
員 林 達磨君
—————————————
本日の
会議
に付した事件 ○
水産物増産対策
に関する
調査
の件 (
北洋漁業
問題に関する件) ○
付託法律案
の取扱いに関する件
—————————————
木下辰雄
1
○
委員長
(
木下辰雄
君)
只今
から
委員会
を開会いたし
ます
。
法案
に入る前に
北洋漁業
の問題その他について何か
水産庁長官
に御
質問
がありましたらお願いし
ます
。
松浦清一
2
○
松浦清一
君
北洋漁業
の
かに工船
の
許可
問題についていろいろ
新聞報道
がなされており
ます
が、最近の
新聞報道
により
ます
と、
農林大臣
は
出願
をしている各
会社
に別の新
会社
を
作つて
、それにやらせるのだというような
方針
であるということを
言つた
と、こう報道されているのですが、その辺の
経過
について
長官
の御
説明
を伺えれば結構だと思い
ます
。
塩見友之助
3
○
政府委員
(
塩見友之助
君)
北洋出漁
の問題でござい
ます
けれども、これにつきましては、
独立
後にマッカーサー・
ライン
が
撤廃
されて、これはもうすでに
GHQ
の承認も得て、こちらにその不審査して頂くように提出しました
法案
でござい
ます
けれども、
マツカーサー・ライン
の
撤廃
が行われた場合に、すでにその下打合せを済ましているところの日・米・
加漁業協定
によ
つて
出演できるというふうなものは「
かに
」と、それから西経百七十五度以西の
鮭鱒
というようなものが差当
つて
問題にな
つて
いるわけで、それに対しては
関係
の
業者
のほうからも
出漁
の申請がござい
ます
。その
出漁
の
形態
をどういうふうにするかというふうな問題であり
ます
るけれども、それにつきましては、今後
日本
の
漁業
が
海外
に
発展
して行くというふうな戦後における
第一歩
でもあり
ます
るし、今差当
つて
考え
られる
漁業
は、
経営
的な
関係等
を
考え
ると、黒になるか赤になるかというような点にかなりの
危惧
はあり
ます
るが、併し将来これが成功すれば、
日本
の
漁業
全体に対して非常に明るい面を持ち来たらすというふうな
関係
からして、この第一回の
北洋出漁
に対しては十分にそういう点で将来の
日本
の
国際漁業
への
発展
というふうな点に障碍にならない、むしろ
国際信用
を
ます
ます
高めて、そういうふうな進出がむしろ好感を以て国際的にも見られるというくらいな
成果
を収めるというふうなことが最も必要ではないか。こう
考え
られるわけで、殊に対象とする
生物
が「
かに
」のような
底棲性
の
生物
であるとか、或いは「
さけ
」「
ます
」のような遡
河性
の魚類であるとか、その
沿岸国
に対しては当然
領海
の問題であるとか、或いは
資源
の問題であるとかというふうな
関係
について重要な
関心
を持たれるような種類のものでもあり
ます
るので、又殊に
国際関係
、
独立
後における
状態
というふうなものは、具体的にいうとまだ非常にはつきりした形でどういうふうになるだろうという点が明瞭でもないようである、そういうふうな
状態
にもあるわけであり
ます
から、そういう点から
考え
まして、
政府
のほうとしてはまあ愼重な態度を以て臨みたい。それで本年度の
北洋出漁
については
国際関係
の円滑な
状態
を持ち来たらすように、それによ
つて悶着
を起して、それで今後の
出漁
に支障のあるような
経営
のないように、又そういうふうな気持というふうなものが
漁船
の
末端
に至るまで全部徹底するというふうなこと。それから今申上げましたように、
既存
の
資源
の
保存
と新らしい
資源
の
開発
のために必要な科学的な
資源調査
というようなことを当然併せて行な
つて
、そうして将来の
資源保存
にも資するし、それからなお
資源
において余裕があるということになれば、そういう新
資源
の
開発
にも第二段として着手できるような、そういうふうな
調査
を科学的にやるというふうなことと、一部の
企業利益
に偏しないで、
日本
の
漁業
全体の将来への、
海外漁業
への
発展
のためのその基盤をここで作るというふうな点を主眼にして
許可
というふうなことをやるべきだとこう
考え
ており
ます
。それを達成するためには非常に現在
考え
られる
漁業
というのは、
かに漁業
というものについて言えば、先ず手堅いところは一
船隊
、これは過去十カ年間における
操業実績
を見ましても、当
初年度一反当り
七尾ぐらいな
漁獲
であつたものが、それが二
船隊
で操業したためにがたがたと落ちて来て、最後の年にな
つて
来ると二尾を切るというふうな形で
資源
も非常に
懸念
されるわけで、過去の
実績
から見
ます
れば、手堅いところ一
船隊
というのが適当だろう、こう
考え
られ
ます
し、又
アリユーシヤン方面
の
鮭鱒
につきましても、
資源
は
相当
量あると認められるわけですけれども、いわゆる
漁場
が今まで必ずしも稼行されているというわけでもないしするので、
採算関係等
については
相当
危惧
があり
ます
。そういう
関係
で若し
漁獲
を失敗してそれで
採算
が立たないために、或いは国際的な
信義
に反するというような形で
領海
に入る、その他
政府
の
考え
ておるような
形態
でない
漁業
をやるというふうな
懸念
もあ
つて
は困るわけで、そういうふうな点から
言つてアリユーシヤン方面
の
鮭鱒
についても
相当
手堅い
準備
をしながら進めなければならない。そうなると勢い過去において
北洋漁業
に
出漁
していたところの多数の
漁業者
が
日本
には帰
つて
来ているわけですけれども、それが全部出るというようなことは到底所期し得ないというふうな
関係
からして非常に数が
制限
される、こういう
状態
にあり
ます
ので、そういうふうな点でどれをとり、どれを捨てるというようなことはいろいろむずかしい問題があり
ます
ので、そういうふうな点、全体を
考え
まして、
関係漁業者
全体が協力一致して、それで
一つ
の
会社
を
作つて
出るように
慫慂
をいたしておるわけであり
ます
。
松浦清一
4
○
松浦清一
君
只今
の御
説明
に
なつ
たような
政府
の
方針
は大体結構だと思うのですが、若しその新
会社
を作る場合には、「
かに
」のほうと「
さけ
」、「
ます
」のほうとは全然別個のものを
構想
しているのか、或いは
一つ
のものを
構想
しているのかという点、それから若しそういう新
会社
を作るということに応じない、こういう
会社
が出て来た場合にそれはオミツトするつもりであるか、或いは又改めて
考え
なおすつもりであるか、それから現在
出願
をしている
会社
はどういう
会社
であるか、こういう
三つ
の点についておわかりならば御
説明
願いたい。
塩見友之助
5
○
政府委員
(
塩見友之助
君)
鮭鱒
と「
かに
」とは一本の
会社
で行くように
慫慂
しており
ます
。それからそれに対する
関係漁業者
の
意見
が
反対
であつた場合にはどうなるかというふうなことですけれども、それについては
反対
の
理由
その他
十分検討
をされるだろうと思い
ます
から、そういう点を十分
研究
した上でないとここではお返事はいたしかね
ます
。それから
出願者
は
日本水産
、それから
大洋漁業
、
日魯
、それから
北太平洋漁業者協同組合
、そういうものであり
ます
。
松浦清一
6
○
松浦清一
君
日本水産
、
大洋
、
日魯
はわかるのですが、
北太平洋漁業音協同組合
というのはこれはもう現存しているのですか、若し
許可
すればそういうものを作るというのですか。
塩見友之助
7
○
政府委員
(
塩見友之助
君) これは現在
協同組合法
による
協同組合
の設立を
手続
中のもので、これは過去において
北洋漁業
のため出た
申合団体
がありまして、それが
申合団体
ではなく
つて
、まあ昔の
団体
の
構成員
の名簿を辿りまして、それでそれをまとめて
協同組合法
による
協同組合
というふうなものを
出願手続
中のもののようであり
ます
。
松浦清一
8
○
松浦清一
君 それから新らしいその
会社
が
政府
の
考え通り業者
が同意をしてできた場合に、この
会社
の
経営
とかその他の
方面
について、
政府
が
干渉
するような
性格
の
会社
を作ろうとしておるのであるか、それは單に
政府
の
慫慂
であ
つて
、できれば
経営等
については
干渉
をしないとこういうものであるか、その意図されておる
会社
の
性格
についてお
考え
を
伺つて
おきたいと思い
ます
。
塩見友之助
9
○
政府委員
(
塩見友之助
君) これは一般の商法によ
つて
設立する
会社
であ
つて
特殊な
会社
ではありません。で
経営
に対する
干渉
は
政府
としてはいたしません。ただ併しながらその
会社
の行う
漁業自体
はこれは当然
漁業法
に基きまして、殊にその
米ソ
両
沿岸国
との
関係
において
先ほど
も申上げましたように、
資源保存
上、又今後の
資源
の
開発
上科学的な
調査
を当然必要とする、又
各種
のそういうような
国際関係
に対して十分な
信用
を保つという必要上から
各種
の
制限
が付き得るものと、こう思い
ます
ので、そういう
漁業操業
上の
制限
というふうなものはこれは
許可
の
條件
として当然これは加わるということになると思い
ます
けれども、直接
経営
に対して
政府
がかれこれと
干渉
するというふうなことは
考え
ておりません。
松浦清一
10
○
松浦清一
君 若し今おつしやるように
資源
の
保存
、
研究等
をさせるということをその新
会社
に
慫慂
するということになると、その
研究調査等
に要する費用については
政府
は若干の
補助
でもなさるおつもりですか。
塩見友之助
11
○
政府委員
(
塩見友之助
君) これは
漁業
のほうは、まあ
漁業
をやること
自体
、どこでどういうふうな
漁業
をや
つて
どれだけのものが獲れたというふうな点、又獲れたものの年齢、
資料
、或いは大きさ、そういうふうな
漁獲
と、仕事に
伴なつ
て来る
資料自体
がこれが或る
程度
いい科学的な
資料
の基礎をなすわけでありまして、そういうふうな
関係
から来る
調査
というふうなものに対してはこれはほかの
漁業
においても、諸
外国
においても
政府
のほうでそういうふうな
調査
については
許可
の
條件
として無償でそういう
資料
の提供を求めておるというふうな
関係
があり
ます
が、そういう点については
政府
のほうで別に
補助
をするとかどうとかということは
考え
ておりません。併しながら或いはそれ以上に
漁業
を営業としてやる以上は
相当
の
負担
が加わるのですがね、併しながらやはり将来の
資源開発
或いは将来
資源
の保全というふうな点で、特に国として見て必要な
調査
というふうなもので
相当負担
がかかるというふうなものがあれば、将来そういうものについては
補助
を
考え
る必要があるかも知れません。
松浦清一
12
○
松浦清一
君 その新
会社
ができて、「
かに
」のほうが一
船団
、
鮭鱒
のほうが一
船団
として一本の
構想
で行こうという
方針
のようですが、その
資本金
の総額、それから出資の
割合等
について
政府
は何かお
考え
にな
つて
おり
ます
か。
塩見友之助
13
○
政府委員
(
塩見友之助
君) そういう点はできるだけ公平で、
経営
的にも間違いがないようにというふうな点だけであ
つて
、これは
関係者
のほうの相談に任してあり
ます
。
松浦清一
14
○
松浦清一
君 わかりました。
小滝彬
15
○
小滝彬
君 本日は止むを得ぬ用で遅れて参りまして、実は前のかたの話を聞かないで私の
考え
を申上げるのは甚だおこがましい次第であり
ます
が、
只今
の審議は
かに工船
の
出漁
に関するものだと思い
ます
ので、簡単に私の所見と
希望
を述べさして頂きたいと思い
ます
。 一体私は
水産界
ではズブの素人でございまして、発言する資格はないかも知れませんが、ただこれまで二十数年間
日本
の貿易、鉱工業、
農水産業
に
関係
のある
海外交渉
の衝に当
つて
参りました
関係
上、又特に
国際捕鯨会議
にはすでに数回
日本
の代表として出席さして頂きました
関係
上、今問題にな
つて
おり
ます
ところの
かに工船
の
出漁
に関しましては、これを対外的に見
ます
ときに極めて慎重な
考慮
を要することを私はこれまでの体験に鑑みて強く痛感しているものでござい
ます
。この問題にはいろいろ対内的問題も含まれているようでございまして今各社が協力して
会社
を
作つて
出漁
するというような
お話
もございましたけれども、何分にも今
計画
中の「
かに
」
工船
の
出漁
は対内的な問題だけでなしに、対外的にも
一つ
のテスト・ケースであり
ます
ので、場合によ
つて
は余り対内的な
考慮
に重点を置いて、そのスタートを仮に誤まるようなことがありましたならば、
北太平洋
における
日本漁業
の活動に重大な
関心
を持
つて
おるところのアメリカや
カナダ
から不必要なる疑いを受け、今後における三国間の
協調関係
に齟齬を来たす虞れがないということを保しがたいようにも感ぜられるのであり
ます
。即ち今の
お話
に出ましたように、
関係会社
が共同でこの
かに工船
については一
会社
を建てて
出漁
するというような案は、一応対内的には
機会均等
で公平な
措置
のようにも
考え
られるのであり
ます
けれども、これは
最初
の試みとしては恐らく非
能率
的になり、且つ
違反行為
を惹起する虞れも皆無ではなかろうかと存ずるのであり
ます
。私は少くとも初年においては最も
経験
のある
乗組員
を持ち、又
ブリストル湾あたり
の実情を知悉しておるところの
会社
が出て
行つて
、そうして
日本水産界
全体のために
先駆者
としての役割を勤めてもら
つて
、それがうまく成功したならば、それこそ又将来第二年度からいろいろ対外的な点も
考え
て新らしい
構想
を練るということにしたほうが
米国あたり
からの信頼を
買つて
結局
日本
全
水産界
の将来のために有利ではなかろうかというふうに
考え
るものでござい
ます
。私は今月の初めにも
米国
の国務省や内務省の
水産関係
の係官とワシントンでいろいろ会談の
機会
を持ちましたし、又ヘリングトンその他にもかねがね昵懇に願
つて
おり
ます
が、こういう連中はこれまで
GHQ
という非常に都合のいい出先を持
つて
おりました
関係
上、
日本
の
国内事情
というものを手にとるようによく知
つて
いたわけであり
ます
。
従つて日本側
で対内的な
考慮
を重視する余りに、これまで比較的
経験
の乏しい
実績
のないような
会社
の
人たち
が寄り
集つて
これらが全部参加して出て行くというようなやり方には必ずや疑問の念を抱き、
北太平洋
における今後の
日本
の
水産界
の動向に重大な
懸念
を持つ虞れがあるようにもひそ
かに
考え
る次第であり
ます
。実は昨年の六、七月も
外国
におりましたし、又十一月から今年の一月十九日まで
海外
に出ておつたのであり
ます
ので、実は最近の国内的ないろいろ複雑な
事情
というものを十分承知いたしませんので、或いは私の発言は
見当外れ
のようにお
考え
になるかも知れませんし、又私の純理論的な
立場
は歓迎されないところがあるかとも思い
ます
けれども、少くとも初回は最も公平な、最も対外的に心配の少い
方法
で進めて
計画
を立てられたほうが将来のために賢明ではなかろうかというふうに
考え
る次第であり
ます
。 又
鮭鱒
につきましては、この
日本
、
米国
、
カナダ
三
国協定案
にも出ており
ます
通り
、
米国
や
カナダ
が特に深い
関心
を持
つて
おり
ます
ので、これは更に
慎重考慮
の要があろうと存じ
ます
ので、取りあえず
鮭鱒
というものとは全然別個にこの
かに工船
の
出漁
というものを
考え
て頂いてそうして
最初
出て行く
工船
は
漁場
調査
的な
意味
において
出漁
さして、その結果に基いて又そのあとは
考え
るというようにして、今度の
出漁
についてはこれまでの
実績
、
経験
というものを尊重してやつたほうがいいのじやないかというように
考え
ます
。実は
先ほど
の話の根本を衝く
議論
になり
ます
るけれども、この点を是非御
考慮
願いたいというふうに
考え
る次第であり
ます
。
木下辰雄
16
○
委員長
(
木下辰雄
君) ちよつと私それに関連しまして、
小滝委員
の
質問
、その他に関連しまして
水産庁長官
にお伺いしたいと思い
ます
。 やがて
マツカーサー・ライン
が
撤廃
されて外洋に出るというような場合において、
曾つて東支那海
、黄海における
機船底曳
というのが非常に過当に
許可
されたために、遂に
減船
の止むなきに
至つた
ということにも
なつ
た。今度
マツカーサー・ライン
が
撤廃
されて、
マツカーサー・ライン
から外に出る
漁業
に対しては、私は当然
許可漁業
として「かつを」、「まぐろ」のように大体限定して、その範囲内において
許可
すべきものは
許可
するのが
資源
の培養上にも、又
業者
の
経営
の安定上にも、又対外的に
信用
を失墜しないという上においても非常に必要ではないかと思う。
曾つて南方
の
アラフラ
海における
白蝶貝
の採取のごときは
最初
は丹下氏が始めて、七、八杯から二十杯くらいに
なつ
た。その当時は
販路
の上においても又
資源
上に非常に有利であつた。ところが
自由漁業
に
なつ
たために次第に殖えて、しまいには百七、八十杯に
なつ
た。そのために
資源
は、
販路
は塞がれ、対外的にも非常に
信用
を失墜し、
業者
も皆損をしたという醜態を演じて、
減船
の基に
なつ
たという例もある。それで私はこの
マツカーサー・ライン撤廃
後においては、北では
鮭鱒
の
流網
及び
かに工船
を、南では
アラフラ
海の
白蝶貝あたり
が主なる
漁業
ではないかと思う。そこで
先ほど
北の問題については
議論
がありましたが、私は
鮭鱒
の
流網
は
母船式
の
方法
と
独行船
の
方法
と二つがあるのではないかと思う。近い
漁業
は
独行船
で行く、遠い所は
母船式
で行くというようなふうであるからして、
独行船
の
船数
もおよそ限定して、必ずしも
かに工船
と
鮭鱒
を一
会社
とするということに対しては非常に疑問を持
つて
おる。
かに工船
は
只今小滝委員
が言われましたように、成るほど非常に
経験
のある
会社
に許すということもこれは非常に
能率
上いいかもしれません。併し現在
経験
のある
会社
が
三つ
あ
つて
、それが互いに
出願
して鎬を削
つて
おるというような
状態
であ
つて
、どれに
許可
するということについても私はなかなかこの際むずかしいと思う。それで最も
経験
のある
首脳部
が
相当
おり
ます
からして、三
会社
を主体としてそうしてなお
希望者
はどんどん株を持たせるという大筋の
態勢
をと
つて
、最も
経験
のあるものを
首脳
として、又
経験
のある
業者
を全部三
会社
からピツク・アツプして、そうして完全なる新
会社
を
作つて
やるということも
理想
的ではないかと思う。併しそれも時期の問題で、或いは直ちに行かないかも知れない。そういう場合においては又おのずから便法があると思い
ます
が、大体そういう式で行つたほうが一番いいのじやないか。これは「
かに
」だけにしましてそうして
鮭鱒
を又別個に
考え
るということがいいのじやないかと思い
ます
。
船数
の
制限
、それから、
マツカーサー・ライン
を越えたものは、将来
マツカーサー・ライン
が
撤廃
されて
許可
をするあらかじめ
船数
を
制限
して事業の安定を図るというようなことについて私はそう思うが、
水産庁長官
の御
意見
を
一つ
伺いたいと思い
ます
。
塩見友之助
17
○
政府委員
(
塩見友之助
君)
只今
の
小滝委員
及び
委員長
の永年の
経験
から来るところの御
意見
については、我々としても
十分参考
にして参りたい、こう思
つて
おり
ます
。一応今の
政府
の
方針
としましては、「
かに
」、
鮭鱒
を含めまして、それでまとまつた
会社
で統制ある組織をして
行つて
もらいたい、こういうことであり
ます
。それから
マツカーサー・ライン撤廃
後の問題でござい
ます
けれども、これは一応公海自由の原則に従
つて
参れるわけであり
ます
けれども、
国際協定
の、
日米加
のごとき
協定
が発効すれば、勿論これに従
つて
参るつもりであり
ます
し、そういう
協定
のないものにつきましては、吉田、
ダレス書簡
というふうなものがござい
ます
ので、この
趣旨
に従いまして公海は自由であるけれども、
資源
満限というふうな科学的な証明があれば、それについては適当な
規制
を行うということは、これは
国際信義
の問題として
日本
も又遵守しなければならない
方法
だと思い
ます
ので、そういう
趣旨
で行いたいと思い
ます
。又これらの
制限
を遵守するほ
かに
、国内的な
立場
から
遠洋漁業
に対して適当な
規制
を行うことの必要が生じましようから、そういう場合には必要な
措置
を講じたいと
考え
ており
ます
。今国際的な
方法
について
研究
中ではあり
ます
が、特定の
漁業
については
許可制
或いは
操業区域
の
規制等
、
各種
の
方法
によ
つて目的
を達成して行く必要があろうかと思い
ます
。
小滝彬
18
○
小滝彬
君
水産庁長官
にお伺いしたいのですが、
先ほど
私の申上げました一ことは、必ずしもこうした新
会社
ができるのに
反対
するというのではなくして、
初年度
においては少くとも本当に
経験
を持ち、
違反
を起さなかつたところにやらしたほうが効果的ではないかということを申上げたのですが、一体今の案では、
鮭鱒
も「
かに
」も
一緒
にして、
一つ
の新らしい
会社
をお作りになるということになれば、いろいろな
事情
で
相当
時間がかかりやしないかと思う。然るに今度條約の効果がいつ発生するか知れませんが、大体四月頃を目途として
出漁
しなければならないと
考え
ます
際に、果してそれまでにそうした機構というものができ上
つて
、皆円満に協調して
会社
が作れるかどうか。そういう
意味
において、私は
初年度
においては少くとも試験的な
産業
とも目すべきものであるから、そういう遠大な
理想
は
理想
として当分棚上げにして、私が
先ほど
申上げましたような
ライン
で
出漁
させたほうが、
日本
の将来のために有利ではなかろうかということを申上げたのです。その時期的な
見通し等
について
長官
からお伺いいたしたいと思い
ます
。
塩見友之助
19
○
政府委員
(
塩見友之助
君)
只今
の
小滝委員
の御
質問
は、誠に
考慮
を要するべき問題だと思い
ます
。先般も申上げました
通り
、「
かに
」等においても、最もいい漁期というのは四月下旬から五月、六月まで、こういうふうな
状態
であり
ます
るし、
出漁
の
準備等
を
考え
れば、できるだけ早くそういう
態勢
が整うことが必要なのであり
ます
。まあそういうふうな
意味
からして、
政府
においてもその点は十分に
考慮
を加えているつもりでありまして、それでできるだけ早く現在我々の
慫慂
しているような
方法
で話がまとまるように
希望
しておるわけです。その点については、まあこれは
国際漁場
へ選手を送るというふうな性質のものであり
ます
ので、成るところから足を取
つて
或るところから胴体を取
つて
それを継ぎ合わせるというふうな、ちぐはぐな形で
能率
が悪いとかどうとかというふうな
形態
では話がまとまらん。又そういうふうな話がまとまらんというふうな形になるようなそういうふうな結果を来たすならば、できるだけそういうふうな実効が挙らないような
形態
に無理に持
つて
行くというつもりはございません。
先ほど
も申上げましたように、第一が
国際関係
を円滑に進める、その円滑に進めるために
漁船
の
末端
までそういうふうな国際的な
信用
を高めるというふうな意図が偶々に徹底するということと、それから
既存資源
の
保存
及び
新規資源
の
開発
のための
科学的資源調査
というものがこれと
一緒
に行われるということ、或る
程度
そういうふうな
意味
で
日米加協定
においても
調査
を我々のほうとしてはどうしてもやらなければならんわけですから、それが当然
一緒
に行われるという必要もござい
ます
。又これが将来の
日本
の
漁業
全体の
発展
のための
第一歩
ですから、それに汚点を残さないというふうな点で十分立派な
成果
が得られるような形であるならば、それは勿論そういうふうな点無理に強制するというふうな
考え方
は持
つて
おらないわけであり
ます
。現在の
状態
として今までの
経過
から見まして、そういうふうな諸点を満足させるためには、
関係漁業者
が打
つて
一丸と
なつ
た新
会社
というふうなものが望ましいというふうな結論になりましたので、それを至急検討して、至急
意見
をまとめて持
つて
来てもらうように
慫慂
いたしておるわけであり
ます
。
松浦清一
20
○
松浦清一
君
先ほど
いろいろ御
説明
を
伺つて
、私はわかりましたと申上げたわけなんですけれども、ただ
政府
のお
考え方
がわかりましたということなんで、
最初
の
資源
の
調査
、
保存
というような問題、それから
国際信用
を高めなければならんというこの精神的な問題については、
政府
の
構想
について何ら異存はない。前半は
政府
の
方針
誠に結構であり
ます
が、後半についてわかりましたという
趣旨
は、
政府
の言い分がわかつたということで、賛否の
関係
ではございませんから、その点……。 それからお伺いしたいのは、
かに漁業
と
鮭鱒
のほうとはその業態、それから
技術方面
が
相当
異なると思うのですが、それを一本の
会社
にしようとお
考え
に
なつ
たその
理由
はどういうところにござい
ます
か。
塩見友之助
21
○
政府委員
(
塩見友之助
君) その点も
松浦
さんからもそれから小瀧さんからも御指摘があつた点で、問題であるわけですけれども、かなり
採算関係
その他については出発当初
危惧
される部分も十分あり
ます
ので、同じような
漁場
でもあるし、同じような海域で
漁業
をやるわけなので、いろいろ多角的に
経営
したほうが安定を増し得るのではないか、こういうふうな
考え
であり
ます
。勿論国際的な
関係
においてもばらばらであるよりもいいのではないか、こう
考え
ておるわけであ
つて
、その点については別に
政府
のほうとしては強制はしておりません。すべて強制はしておりません。ただそういうふうな意図で打
つて
一丸となる
態勢
を一遍
考え
て見てもらいたい、こういうふうな
慫慂
をしておるわけです、
政府
の
趣旨
を十分に話しまして。そういう段階であり
ます
。
松浦清一
22
○
松浦清一
君 それではやはり
出願
をしておる
会社
の諸君が集ま
つて
、
鮭鱒
と「
かに
」とは全然操業の性質が違うので、一本の
会社
ではむずかしい、話合いの上でそうなれば、あえて一本にしようというお
考え
ではないわけなんですね。そうしたらどうであろうかという
政府
の見解を
業者
に今話をしておる、そういう過程と了承してよろしうござい
ます
ね。
塩見友之助
23
○
政府委員
(
塩見友之助
君) その
通り
であり
ます
。
秋山俊一郎
24
○
秋山俊一郎
君 問題が問題であり
ます
ので、ちよつと速記をとめて頂いたほうがいいかと思い
ます
。
木下辰雄
25
○
委員長
(
木下辰雄
君) 速記をとめて下さい。 〔速記中止〕
木下辰雄
26
○
委員長
(
木下辰雄
君) 速記を始めて下さい。
青山正一
27
○青山正一君 南鮮側の今度の主張は、先頃予備会談が行われました
日米加
の
漁業
協定
の問題ですね、そういうふうな問題にからんで、いわゆる
米国
側とか加洲側の意向にいろいろな含みがある、その含みを
考え
て南鮮側がそういう大きい主張をしておるのじやないですか。その点についてちよつとお聞きしたい。つまり
米国
なり加洲側のほうでは
日本
に対していろいろな
漁業
協定
をや
つて
おられ
ます
が、内容的に非常な強い意向を持
つて
おられた。そういつた面が南鮮側に多少気持が動いて、そうしてアメリカとか或いは
カナダ
側と同じような意向で進んで来ておるのじやないでしようか。その点についてお聞きしたい。
塩見友之助
28
○
政府委員
(
塩見友之助
君) 韓国側の意図は私のほうでははつきりはわかりません。ただ日米
加漁業協定
においては決議三において、締約国がこの條約が取扱う問題と類似の問題について他の
政府
と協議するに当
つて
は、この條約の精神及び意図に十分の
考慮
を拂うべきことを勧告するとな
つて
おりまして、三国とも一応
資源
が満限である場合には、公海
漁業
は
規制
はし
ます
けれども、そうでない場合には公海につきましては、條約案の前文にあり
ます
ように、「国際法及び国際慣習の原則に基く公海の
漁業
資源
を
開発
する各自の権利に照して行動し、」という文句でも出ており
ます
るように、公海における
漁業
に対する
規制
はしない精神で組んでおり
ます
。その
日米加協定
の線とは違つた線が出ていると我々のほうでは解釈しており
ます
。
青山正一
29
○青山正一君 それならば台湾側の意向はどういうところへ来ておられるのですか。何か多少そういつた点について、折衝でも始ま
つて
おられるのでしようか、どうなのでしようか。
塩見友之助
30
○
政府委員
(
塩見友之助
君) それはこの前の
会議
で申上げましたように、インドネシアと一応下打合せが行われただけであ
つて
、台湾、朝鮮、フイリピン、或いは濠洲等とはまだ正規のものは何もございません。
木下辰雄
31
○
委員長
(
木下辰雄
君) 速記をとめて下さい。 〔速記中止〕
木下辰雄
32
○
委員長
(
木下辰雄
君) 速記を始めて下さい。
青山正一
33
○青山正一君 福井県の小浜造船所におきましては、現に韓国の貧弱な船を三隻
作つて
おりまして、
日本
の建造がちよつとボイコツトをされているような感じですが、そういうふうな
関係
はやはり
政府
が知らないはずはなかろうと思い
ます
。或る
意味
においては。
相当
小浜だけでなしに舞鶴あたりもそうだろうと思い
ます
し、或いは香住とか或いは堺あたりも
相当
韓国
関係
の巾着の船とか、或いは底曳の船あたりのいわゆる注文を受けているに違いないと思い
ます
。その点も
一つ
やはり
相当
今後問題が残されるだろうと思い
ます
からして、
政府
当局としてもやはり各造船所についてお調べ願
つて
おいたほうがいいのではないか、こういうふうに
考え
ます
。
木下辰雄
34
○
委員長
(
木下辰雄
君) 明後日
農林大臣
の臨席を願
つて
おりましたが、丁度その日に出張されるそうで金曜にしてもらいたいという
お話
がありましたので、
農林大臣
を
委員会
に招致していろいろ
質問
することは金曜日にいたしたいと思い
ます
。水曜には水産庁から本年度予算について詳細の
説明
をお願いいたしたい、かように思い
ます
。それが或いは金曜日の
質問
の材料にもなろうかと思い
ます
。それから今予備審査で本
委員会
に付託にな
つて
おり
ます
法案
が
三つ
あり
ます
が、真珠養殖事業
法案
、これについては
委員
が現地に
調査
に行かれまして、すでにその報告はこの前の
委員会
でありましたが、衆議院と先般打合せいたしまして、各專門員のほうで両方の
意見
を検討して案を作つたらどうかというような衆議院の申出に対しまして、私ども同意いたしたのであり
ます
。そうしてそれができましたら、それをなお
委員会
で検討して、その上で本
委員会
の態度をきめたい、かように
考え
ます
。いずれこの問題は重要問題ですからして、公聴会を開く必要があると思い
ます
ので、大体来月の十日までの間にこの問題に対して公聴会を開きたいと思い
ます
から御同意を求め
ます
。それからもう
一つ
の小型機船底びき網
漁業
整理特別
措置
法案
は水産庁に対して省令案の提示を求めており
ます
が、まだその提示がありません。それでその提示がありましたらそれを検討するととにいたしまして、その場合にこの
法案
を議題に供したいと思い
ます
。それからポツダム宣言の受諾に伴い云々の法律案は極めて簡單でござい
ます
からして、これは衆議院から廻
つて
来まして、本審査に
なつ
た場合にこの問題について
委員会
を開きたいと思い
ます
。大体この三
法案
の進行はさようにいたしたいと思い
ます
から御了承願い
ます
。で、本日御
質問
がありませんければ、本日の
委員会
はこれで終了いたしたいと思い
ます
が、如何ですか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
木下辰雄
35
○
委員長
(
木下辰雄
君) それでは本日の
委員会
はこれを以て閉会いたし
ます
。 午後二時三十三分散会