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1952-05-08 第13回国会 参議院 人事委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年五月八日(木曜日)    午前十一時九分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     カニエ邦彦君    理事            宮田 重文君            千葉  信君    委員            木下 源吾君            紅露 みつ君   政府委員    人事院事務総局    給與局長    瀧本 忠男君    海上保安庁長官 柳澤 米吉君   事務局側    常任委員会專門    員       川島 孝彦君    常任委員会專門    員       熊埜御堂定君   説明員    海上保安庁人事    課長      中村 幹夫君   —————————————   本日の会議に付した事件海上警備隊職員給與に関する法  律案内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. カニエ邦彦

    委員長カニエ邦彦君) 只今より人事委員会会議を開きます。  本日の議題は、海上警備隊職員給與等に関する法律案であります。只今政府委員として御出席になつておるのは、海上保安庁長官柳澤君と、人事院給與局長瀧本君、なおそれに説明員として海上保安庁人事課長中村君の御出席を願つております。そこでこの法律案は、前回に提案理由説明政府から聞き、それから途条的説明をお聞きした程度になつております。従つてそれに対して順次御質疑をお願いいたします。
  3. 千葉信

    千葉信君 御提案になりました法律案については提案理由説明と、それから逐条説明を承わつておりますが、私どもこの法律案審議するに当つて先ず総括的な質問から入ることが法安審議便宜上からも一番いい方法だと思うのです。総括質問を行うに当つて問題となると思われますのは、海上警備隊性格の問題が現在までの、例えば海上保安庁法審議の過程であるとが、或いは閣僚答弁等状態からいたしますと、まだ必ずしも明確になつておらない点がかなりあると思う。そこでそのうち一番問題になると思われる点は、運輸大臣が国会で答弁された海上警備隊というのは、これは警察予備隊のようなものではない。むしろこれは警視庁予備隊であるとか、或いは大阪市における警視庁機動部隊性格と同じような性格のものであるという答弁をなされておりますが、必ずしもこの答弁はその他の閣僚諸君答弁と合致しないと思われる点があるのですから、そういう問題等について只今出席政府委員から責任を持つて今申上げたような点について御答弁を頂くことができれば、大臣の御出席がたくとも総括質問から入つて行けると思うのですが、その点については政府参員としてはどうでございましようか。
  4. 柳澤米吉

    政府委員柳澤米吉君) 只今の御質問は、今回の海上保安庁警備隊というものはどういう性格であるかというお話のように承わります。海上保安庁の中にできました海上警備隊と申しますものは、現在の海上保安庁警備救難部におきまして全国に綱を張りまして巡視船を配置しておるのでございますが、その配置しました巡視船は常に海上における密漁、或いは密貿易密出入国その他海上に参おける犯罪の防止という目的を以ちまして、或いはそのほかに救難作業ということを目的といたしまして、海上における人命及び財産保護並びに治安維持ということを目的として常に巡回しておるわけでございます。一たび先般起きました十勝沖地震であるとか、或いは台風による船舶の被害が多数出たというような場合には、今まで巡視をしておりました船舶引揚げまして、応急にそちらのほうへ向けて行つたわけでございます。従いまして今までの経験によりますと、その引揚げましてあけました個所におきまして、ややもすれば警備が薄くなりました所に犯罪が起るという例をしばしば見ておる次第でございます。今回設けました海上警備隊というものは、主としてそういう非常時の場合に出動を命じ、一般警備等を従来通りつて行きたい、かように考えておる次第でございます。只今お話のおりました村上運輸大臣警視庁予備隊と同じような性格であると申されましたのはその点であろうと私は考える次第でございます。なお、然らばこの海上警備隊と現在ざざいます予備隊というものはどこが違うかという点が問題だろうと思うのでございまするが、御承知通り先般御審議頂きました海上保安庁法改正によりまして、この海上警備隊海上保安庁長官命令を以ちまして直ちに随時出動ができるような形態になつておるわけでございます。一方予備隊におきましては総理大臣等の認証を受けます。この命令によりまして出動をするというふうになつておるように記憶しておるのでございまして、この辺に予備隊海上警備隊との差があるのではないかというふうに考えられる次第でございますが、この目的及びその他の点につきましては、予備隊と変りはないというもうに考えられる次第でございます。併しながら先ほど申上げました通り出動重要性、或いはその他を考えますると、村上運輸大臣の申されました警視庁予備隊というものとほぼ性格が同じではないか、かように考えられる次第だろうと思うのでございます。
  5. 千葉信

    千葉信君 どうも頭が悪いせいかはつきりしませんですが、それでは重ねてお尋ねしたいのですが、今の御答弁から言いますと、出動の場合等が従来の海上保安隊出動の場合も違う条件の場合、出動するのだということになつておりますが、その違う条件というのは、犯罪その他の、或いは人命等に関する問題のときに出動するということであつて、従来とも海上保安隊では規模の大小はあるにしても、こういう問題に対する任務帶びておらなかつたのかどうか、この点の御答弁は如何ですか。
  6. 柳澤米吉

    政府委員柳澤米吉君) お説の通り、今回設けました警備隊というものの任務も、海上保安庁の今までやつておりました仕事範囲内でございます。従いまして今までもそういう事業は警備救難部という平常業務をやつております所でやつておりましたものでございます。
  7. 千葉信

    千葉信君 お尋ねいたします。そういうことになりますと、結局この海上警備隊身分とか、或いは給與その他の点等についても特別な差別を設けなければならないような性格のものではないというふうに考えることができないものかどうか。ということは、只今の御答弁でもありました通り、従来でも海上保安隊でもそういう任務帶びておる職員がたくさんおつた。ただ今度の海上警備隊というのは、従来の海上保安隊等においてやつていた仕事のうち、常時警備に当るということだけがなくなつて一朝有事の際に出動するという性格が、海上警備隊と従来の海上保安隊との任務上の相違である、そういうふうに私ども了解することになるわけなんですが、そうするとそういう特別な場合に出動するからといつても、その任務内容においては全く区別のない海上警備隊隊員に対して、どうして一体身分上の差別であるとか、給與差別であるとか、特に今度の場合では海上警備隊隊員に対しては、海上警備隊特別職にしておるわけでありまするが、その根本に本質的な違いがないのに、なぜそういう特別職の扱いをしなければならなかつたか、その理由を承わりたい。
  8. 柳澤米吉

    政府委員柳澤米吉君) お尋ねの通り任務といたしましては、従来の海上保安庁の持つておりました法にきめられた範囲内の任務を行うものでございます。併しながらお話にもありました通り、今までの海上保安庁任務は主として平常業務と称しまするか、密貿易或いは密漁その他の、常に海上をパトロールいたしまして平常にこれを行なつておるものでございます。従つて非常事態という場合にも、これらの船舶を集めてその非常事態に当らしておるのでございますが、併しながらこの場合に非常事態平常事態との区別がついておらないわけであります。従いまして今回設けました海上警備隊というものは、常に非常時に備えまして、大きな災害その他が起りましたときに出動するものであるということに相成つておるわけでございます。御承知通り海上保安庁の守ります沿岸というものは約一万海里に亘つておりまするが、現在の船舶を以て漸く警備ができるかどうかという非常に薄弱な状態にあるわけであります。これらの船舶をなお非常時に使うということに相成りますると、その間非常な隙ができるわけであります。従いまして非常事態の場合には、これらの船舶を以ちまして当てるということに相成りますると、これらの任務は、今までの海上保安庁職員と違いまして常に非常事態に備える態勢にあるということに相成るわけであります。従いまして今までの海上保安庁職員は、主として平常業務をやつておりながら非常事態に出て行くという恰好でございまして、今度の海上警備隊におきましては、主たる任務非常事態、従いまして今までと身分的その他の関係を変えて行かなければならないというふうに考えておる次第でございます。
  9. 千葉信

    千葉信君 大体大まかな方針としては、只今お話は了解できるのですか、併し任務自体が全く法的にも同じ任務を遂行するものであるし、そうして又実際上、お話のように非常事態に対して備える海上警備隊であるというものの、海上保安隊の場合におきましても、只今お話にありましたように、やはり非常事態の場合にこれらの人々平常任務だけを遂行するものではない。当然そこには非常事態のいろんな条件に応じ海上警備隊職員と全く同じ仕事をやらなければならないし、同じ非常事態出動を命ぜられることは、もう只今の御答弁でもはつきりしておる。そういう、たとえ大まかには分類できても、実際上同一任務を遂行すべき義務を負つている海上保安隊だと思うのです。それをどうしてこういうふうに特別に、たとえば法案状態を見ましても、海上保安庁等におきましては、この間の改正では海上保安庁庁法の中に、身分であるとか或いは服務であるとか、そういう点まで全部包括して海上警備隊法改正が行われておる。海上保安庁法の一部改正で行われておる法の体系自体を見ましても、私どもの印象では、少くとも暫定的な間に合せ的な庁法改正措置がとられて、而もその改正の中で、職員にとつては重要な身分だとか服務等に関する部分に及んでまで組織の権限を規定すべき設置法の中にこういう取扱が行われておるのであります。私どもこういうやり方は、少くとも日本が若し仮に独立国家として自主的に立法すべき立場にある場合に、間に合せのような一時逃がれのような形で法体系を混乱させるような措置をとらなければならなかつた政府真意が一体どこにあるかをはつきりしたいと思うのです。どうして一体こういう海上保安庁改正等の場合に、こういう法体系を少くとも混乱させるような立場に立つて今度の海上警備隊設置に当つたかどうか、その点をもう少し詳しくお伺いしたい。
  10. 柳澤米吉

    政府委員柳澤米吉君) 御承知通り海上保安庁におきましては、先ほどから申上げました通り船舶の不足を告げておる状態でございます。そこで今回警備隊海上保安庁内に設置するというふうな方針に相成つたわけでございまするが、この海上警備隊は、先ほど申上げました通り本質的に今までの海上保安庁のやつておりました業務のうち、特に非常の事態にこれを発動せしめるという意味を以ちまして、ここに海上警備隊というものを組織したわけでございます。これは一面から考えますると、独立しました日本の状況を判断いたしまして、海におきますところの各種の犯罪、或いは人命及び財産保護ということを考えますときに、日本政府といたしましても、独立後直ちにこれが態勢を、早急に独立して行けるような態勢を整えなくてはならんのではないかということを考えた次第であります。従いまして海上保安庁といたしましても、政府といたしましても、海上保安庁警備隊を置きまして、これらの独立に対する第一歩とたしまして、海上に対する今までの態勢をなお一層強くいたしまして、但しその目的におきましては海上保安庁法にきめられた範囲内における仕事につきまして早急に強化して行く必要があつた次第でございます。この意味におきまして海上保安庁法の中において警備隊特別職とし、これを海上保安庁長官命令を以て非常時出動せしめ得るという態勢を整えたわけでございます。
  11. 千葉信

    千葉信君 これは御答弁頂けるかどうかわからないのですけれども、この海上保安庁法の一部改正で、それも三十三条の改正を以て大体今度の海上警備隊設置に関する法体系は、この一条の中で全部作られておる。それから又私ども見解からすれば、特別に扱つてこれを特別職にしなければならない理由が、海上保安隊等との関連からいつても今のところ私どもはどうも理解の行きかねる措置だと思うのですか、そういう措置もとられているわけです。結局こういう点を煎じ詰めて考えますと、将来に備えて、海上警備隊海軍に移行せしめる場合に備えて、例えば海上保安庁法の一部改正が非常に法体系間に合せの形、暫定措置の形でとられているという事実や、それから特にこれらの警備隊隊員諸君に対しては特別職に持つて行つてるというような取扱の中から私どもはそういう疑念といいますか、むしろこれは私ども当然そうなるであろうという予想の上に立つておるんですが、この点については長官のほうからどういうお見通しか、具体的に将来のお見通しを承わるわけには行かないかどうか、御答弁願えませんか。
  12. 柳澤米吉

    政府委員柳澤米吉君) 将来海軍になるかどうかというお話でございまするが、我々が現在考えておりまするこの警備隊というものは、先ほど申上げました通り海上保安庁法にきめられました日本国民海上における人命の尊重及び財産保護並びに海上における治安維持という線を一歩も出ない、かように考える次第であります。併しながら現在の海上保安庁といたしましては、現在の組織そのままを以ちましては、先ほどから申上げました通りこの組織非常任務平常任務とに分けませんと、常にパトロール船をどういう配置で動かすか、そうしてどういうふうにやつて行くかということをきめまして、これがちよつとしたことが起きましても、これは巡視船の現在のままで間に合うかということを考えなければならない次第でありますが、大きな非常事が起きますると、これらの船舶に対しまして直ちに出動せしめ得る待機姿勢を持つたものがどうしても必要である。かように考えておる次第であります。御質問のありました将来海軍になるかどうかというような点につきましては、我々といたしましては、現在の海上保安庁法を一歩も出るものではない、かように考えておる次第でございます。
  13. 千葉信

    千葉信君 まあこの問題はあなたがた幾ら答弁を追つてみたところで、現在国民諸君防衛力漸増だとか、或いは警察予備隊の増強だとか、海上警備隊設置などという問題は、これは防衛力漸増という言葉に名を借りる軍隊の創設であるという見解をとつている。併しこれに対して政府みずから今のところ、実はそうなんだという正直な表現だけができない形で、あなたがた幾ら私がここで御答弁を求めましても仕方がないと思いますが、私どもはこの点についてはあなたがた見解がはつきり違つていると思う。むしろあなたがた見解も我々の見解と同じだけれども、ただ立場上答えられないんだという前提で私はこの問題をこれぐらいにして次の質問に入りたいと思います。  その次にお尋ねしたいことは、只今のいろいろな質疑の中でもありましたように実際上の任務というものは、これは丁度警察予備隊非常時の場合に出動命令を受けて出動するような事件海上に起つた場合には、海上保安隊前提として出かけるようなことになるかも知れないけれども海上警備隊が出かけるのだ、そういう形で海上警備隊が今度設置されておるようですがそういう状態で今度の海上警備隊給與体系に関する法律が出ておりますが、一体この海上警備隊給與に関する体系か、先ほど答弁がありましたけれども村上運輸大臣の御答弁からすると、海上警備隊というのは警視庁予備隊であるとか、それから又大阪市における警視庁機動隊と同じものである、同じような性格のものであるという言明がありながら、警察予備隊同一とは言わないまでも、殆んど同条件で今度提案された給與法律案が作成されておるようですが、一体どうしてこういうように村上運輸大臣答弁と食い違うような給與法案が提出されて来ておるか。特に警察予備隊との関連でこの問題に対する長官のお考えを承わりたいと思います。
  14. 柳澤米吉

    政府委員柳澤米吉君) 先ほども申上げたと思いまするが、御指摘警視庁における予備隊というものと現在の予備隊というものとの差でございますが、海上警備隊海上保安庁法にきめられた目的で以て行うものであり、その目的範囲内は、実質的に申しまして警察予備隊と大差ないのだというふうに考えられる次第でございます。併しながら村上運輸大臣が申されました警視庁予備隊と同等であるという点でございまするが、この点は御承知通り警視庁予備隊総理大臣にまでも行かないで、警視総監の範囲内で出動ができるのだと、かように解釈される次第でございますが、その出動重要性と申しますか、その出動する場合の回数と申しますか、こういうものにつきましては、海上警備隊はその出動回数予備隊に比べて相当多いのではないか、かように考えるのであります。この点は村上運輸大臣警視庁予備隊というふうに申されました線に近いのではないか、かように考える次第であります。なお他の閣僚から申上げました予備隊と同じようなものであるということは、これはその法律目的から申しましてやや似たものである、かようなお話だろうと思うのであります。従いまして今御質問の実質的にどうであるかと、こういうふうに考えますると、海上警備隊におきましては、その性質及び任務におきましてやはり予備隊と同様に特別職として考えなければならないだろう、かように考えた次第でございます。
  15. 千葉信

    千葉信君 お尋ねいたしますけれども海上警備隊とその他の隊員、それから海上保安官との間には、この法律では大体何千名かの人々海上保安隊から海上警備隊のほうへ切り替えられる予想の下にあるようですが、その問題は別としても、将来海上保安官海上警備隊との人事交流ということは、その任務の点から言つても、又組織の点から言つても、相当頻繁にあるだろうということが予想されますが、あなたがたはそういう予想の上に立つておられますか、どうですか。
  16. 柳澤米吉

    政府委員柳澤米吉君) 只今の御質問でございまするが、我々の考えといたしましては、この警備隊におきましては、乗組員その他の採用に当りまして、御承知通りに現在の海上保安庁巡視船その他は全部海抜免許状を必要としておるのであります。併しながら警備隊のほうの人々海技免状をさほど重要現していないという点がございます。従いましてこれらの人々の行う業務につきましても、御承知通り保安庁法改正におきまして、司法権その他につきましても、警備隊のほうにおきましてはその司法権範囲が非常に制限されておる。一般保安官のほうにおきましては司法権海上におきましては相当つておるわけであります。で、この点につきまして質が多少変つて来る、かように考える次第であります。なお先ほど来申上げました通りに、警備隊のほうにおきましての任務その他は、非常事態ということに相成りますると、訓練等相当に主たる任務平常におきましては訓練が主になつて来るのであります。一面保安官のほうは常時準備しておりますので、それらに対する取扱その他の平常の面が多かろう、かように考えております。従いまして将来に対しましてこれらの両方が、相当職員交流というようなことが起るかどうかというお話でございまするが、当初は相当にそういうことが起り得る可能性がある。これらにつきましては海上保安庁の現在まで相当訓練された人々が根幹になる必要があるのでありまして、その点におきまして相当行くと思いますが、今後につきましてはそう大した移動は、交流はむしろ適切でないと、かように考えておる次第であります。
  17. 千葉信

    千葉信君 御答弁通りに、最初設置のときには相当国家公務員が……。最初の場合には海上保安隊のほうから相当数職員海上警備隊に移行するということになつておりまするが、その後そういう大量の交流ということは行わんだろうというお話でありまするが、併し私どもその職務内容が全く同じであるという点、同じ海上保安庁職員であるという立場から、相当隊員交流があるものという予想を持つているわけです。そういう場合に、この法律審議に当つて、私ども考えなければならないのは、海上保安庁のその他の職員と、海上警備隊隊員給與体系というものは大分違つた形において行われる。簡單に言えばこれはもう海上警備隊の場合では警察予備隊と同じような基礎に立つて、例えば日給制ばかりじやなく、大体が警察予備隊と同じ給與体系というふうなものが非常に考慮されている。全く保安庁と同じ任務を、同一任務を執行する職員が、海上警備隊だけ殊更に保安庁その他の職員給與体系を異にしてやつたという、その真意が私ども了解できないばかりじやなく、将来非常にこれは不便と混乱とがその給與の中で起つて来るのじやないか。又この点については今これから逐条審議に入つて行つた場合に一々具体的に触れて行きたいと思いまするが、どうもその点なんかについて、私ども特別職に持つて行つた点だとか、それから給與体系を殊更に警察予備隊と同じ体系に持つて行つた、その行き方が、私どもとしては非常にこの法案審議に当つて将来に不安を感じながら審議をしなければならないという状態になつて来たのであります。そこで一つ具体的な問題として長官にお尋ねしておきたいことは、海上警備隊職員給與日給制をとつているのであります。まあ衆議院委員会における質疑の中では、主としてこれは便宜日給をとつたほうが便利であるから、こういう日給制を採用したのだというような御答弁でございましたが、実際にそういう便宜上の方法をとつておることによつて、その他の条件、例えばこの給與の中でも、勤務地手当であるとか、或いは寒冷地給であるとか、こういう給與状態が、日給制にすることによつて月給制との間に差別はまあ設けないということを一つの前提として、便宜だという立場から日給制がとられたと思うのです。そういう点について私の見るところでは、これは逐条審議に入つて行けばはつきりすると思うのですが、かなり不公平が生じているのですね。一般職職員等の場合、それから海上保安隊月給制の場合と、日給制をとつたことによつて海上警備隊職員とそれらの職員との間がかなり何らかの不均衡が生じて来た。そうすると一体その便宜上という、便利であるからというやり方でとられたとすれば、不公平を生ずるような形においてまでとられたとすれば、私はその便利という言葉は、便利だからとつたのだということは、これは單にそれだけでは承服しかねるのです。便宜上の立場から日給制をとつたというならば、その他の条件、例えば今申上げるような海上警備隊以外の職員との間に少くとも不均衡を起さないような形において考慮されていなければならない。それがこの法律案では相当均衡が生じて来ております。例えば勤務地手当の場合、例えば寒冷地給の場合、これは数字上ではつきりあとで質疑の際に明確にできると思いますが、一体どうしてそういうふうな不均衡な差を生ずるまでに便宜的な日給制をおとりになる必要があつたか。この点をもう少し具体的にお話を承わりたい。
  18. 柳澤米吉

    政府委員柳澤米吉君) 日給制をとりました理由は、衆議院でも申上げましたが、これは給與の支払その他について日給制のほうが便利である、それで便宜上からこういうふうにしたというふうに申上げましたが、御指摘通り勤務地手当その他の点につきまして、考えようによりましては不均衡ということが起り得るかとも考えます。併しながらこれらの人々日本の全体に勤務いたしまして、非常時勤務体制についておるということを考えまして、これらの点を考慮いたしますると、これらの人々が殆んど大部分は船の上の生活ということが主と相成つておると思います。従いまして一般の陸上の場合とその点相当違うのであります。従つて或る所では相当勤務地手当が出る、或る所では勤務地手当が非常に少いというようなことのほうがむしろこれは不均衡を来たすものじやないか。従いましてその生活状況というものが他の一般の公務員と違いまして船舶の乗組みが主体であるということを考えましたときに、その生活状況は、或いは寒い所に勤務し、或いは暑い所に勤務するということがあり得るかも知れないのであります。生活環境から申しまして、勤務地手当というようなものにつきましても、これは平均に行くべきであると、かように考え日給制をとつたわけであります。
  19. 千葉信

    千葉信君 どうも何だかこうおかしいのですがね。まあおつしやるように、今の例を例えば勤務地手当にとつてみれば、勤務地主義で勤務地手当が考慮されているのであります。併しこれは何も理論的な立場から、勤務地主義が正しいから勤務地手当がとられているわけじやないのです。特に現在の給與状態では、生活給の形になるかも知れない。こういう給與体系がとられておりますが、理論的に進んで行けば、これは勤務地手当の場合も、居住している地域、本人ばかりでなく、家族が居住しているという地域が一番考慮の重点にならなければならないと思います。これは便宜上居住地主峯で勤務地手当を考慮しては、いろんな実行上の不利、不便、困難が起るために一応勤務地主義によつているに過ぎないのです。従つて海上保安庁の、或いは海上警備隊職員の場合も、本人は成るほど船に常時乗込んでおるでしようが、その家族は少くも一定の居住地に居住しているわけです。そうすると、止むを得ずとつている勤務地手当の現在の行き方が、根本の行き方としては居住地主義で行かなければならないという立場から言いましても、お話のように、隊員はこれは常時船に乗つているからという理由で、勤務地手当に対する考慮がその他の職員と不均衡な形においてまでとられたということについては、これは私はどうも只今だけの説明では、はつきりしないと思うのです。併しそれは一例ですから、これはあとで逐条審議のときにお尋ねする気でありますから、この際は次の問題に入りたいと思います。一体、総体の給與体系として、これは長官も御承知のように、現在の公務員の給與というものは、その基礎になつているのは二級三号の職員、まあこれに対しては、御承知通り人事院のほうから四千二百円の勧告において、政府のほうではこれを四千円と切つても、その基礎になつた金額はそういう基準で計算されております、が、併し全体の公務員の給與というものは一万六十二円という平均給與になつております。あなたがたのほうでこの法律をお出しになる場合に、まだ実際上職員が採用されておらないのだから、どういう平均給になるか。これは平均給の態勢で問題を論議することは、人事院を初め政府全体の大きな誤りなんです。大きな誤りでありますが、国民全体がそういう給與の水準を考えている段階から言えば、まあそうならなければならない状態であると思いますが、そういう条件の中で、今度の海上警備隊職員の採用に当つて、採用ばかりでなく、その給與の決定の場合に、一体第一回、第二回、第三回と海上警備隊職員が募集されて採用されることになろと思います。その総体の六千何百人かの、六千三十人ですか、この海上警備隊職員の平均給與がどのくらいになるという考えでこの法律案を出されておるか、その点を一つ……。
  20. 柳澤米吉

    政府委員柳澤米吉君) 今回の給與の基準につきましては、現在行われておりまする公務員の給與というものを基準としてやつておるわけでございます。その基準は現在の公務員の基準と同様でございますが、これに御承知通り各種の手当その他を勘案いたしますと同時に、恩給の問題及び共済組合の問題等考えましてやはり出したものでございます。その根本の考え方といたしましては、現在の公務員給與というものを基準として出したものと御了解を願います。なお詳細は中村説明員に……。
  21. 中村幹夫

    説明員中村幹夫君) 只今の御質問に対しましてお答え申上げます。只今の御質問の御趣旨でございますが、これは一般職の公務員のそれに比べまして、給與体系を異にいたしております等のことで、はつきりそのまま比較することはむずかしいのでございますが、警備官について申しますと、警備官が陸上におります場合は約八千二百円になります。それから乗船いたしました場合には、これには、先ほど申し落しましたが、年末手当とか、そういつたものは除いておりまして、乗船いたしました場合には約一万一千五百円になります。ただこの場合は、平均ベースが只今質問のように公務員が一万六十二円になつておりますが、一般職員に比べまして低いようにお考えだろうと存じますが、この点につきましては。海上警備官につきまして、いわゆる一番多い年齢層或いは階級の構成を考えて見ますと、いわゆる警備員クラスが非常に多くなつておるということで、平均給は少くなつておりますが、只今指摘のように一般公務員との比較を考慮いたしまして、大体このような数字を彈き出しましたのであります。
  22. カニエ邦彦

    委員長カニエ邦彦君) それではお諮りいたしますが、時間ももう十二時丁度でありますが、本日はこの程度にいたしたらどうかと思うのですが、如何ですか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  23. カニエ邦彦

    委員長カニエ邦彦君) それでは本日はこの程度にいたしまして散会いたします。    午前十一時五十八分散会