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1952-07-24 第13回国会 参議院 厚生委員会 第32号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年七月二十四日(木曜日)    午前十時二十六分開会   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     梅津 錦一君    理事            長島 銀藏君            井上なつゑ君    委員            大谷 瑩潤君            小杉 繁安君            中山 壽彦君            山田 佐一君            藤森 眞治君            河崎 ナツ君            赤松 常子君            山下 義信君            谷口弥三郎君   政府委員    人事院法制局長 岡部 史郎君    厚生省社会局長 安田  巖君   事務局側    常任委員会専門    員       草間 弘司君    常任委員会専門    員       多田 仁己君   参考人    日本赤十字社社    長       島津 忠承君    日本赤十字社副    社長      伊藤 謹二君    日本赤十字社企    画室主幹    岡田 好治君   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件 ○小委員長報告社会保險医療強化に関する請願(第  三四号) ○健康保險事業危機突破に関する請  願(第六四号)(第二七号)(第五  八五号)(第一一〇七号)(第一一  二四号)(第一九八九号) ○健康保険療養給付期間延長に関する  請願(第六九号)(第一八九四号)  (第一九〇〇号)(第二六九四号) ○健康保険医療給付期間延長に関す  る請願(第三六三号) ○健康保險給付費一部国庫負担等に関  する請願(第三六八号) ○国民健康保険事業費国庫補助増額に  関する請願(第一五四一号) ○社会保障制度実施促進等に関する請  願(第二八一六号) ○国民健康保険直営診療施設費国庫補  助増額等に関する陳情(第一八一  号) ○社会保險制度改善に関する陳情(第  一九五号) ○国民健康保険事業危機突破に関す  る陳情(第二二一七号)(第二二八  号)(第五〇三号)(第七三一号)  (第八九〇号)(第一〇〇二号)  (第一〇一四号) ○国民健康保險医療給付費国庫補助増  額に関する陳情(第八〇三号) ○健康保険法適用範囲擴充に関する  陳情(第八八九号) ○日本赤十字社法案衆議院提出)   ―――――――――――――
  2. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) ではではこれより厚生委員会を開きます。  公報で御通知申上げておる順序に従いまして審議を進めたいと思いますが、第一保険経済に関する小委員長の御報告をお願いいたします
  3. 中山壽彦

    中山壽彦君 保険経済に関する小委員会におきましての請願並びに陳情の審査の結果について御報告を申上げます。  七月七日の小委員会におきまして審査いたしましたものは請願が二十三件、陳情が十六件でありまして、そのうち請願第六十九号、健康保険療食給付期間延長に関する請願ほか十四件、陳情第二百二十七号、国民健康保險事業危機突破に関する陳情ほか十件は願意を妥当なるものと認め、議院の会議に対して内閣に送付を要すべきものと決定をいたした次第であります。以上簡單でありますが御報告申上げます
  4. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) 小委員長報告通り承認することに御異議ございませんか……。御異議ないものと認めましてさよう決定いたします。   ―――――――――――――
  5. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) 次に引揚同胞対策審議会設置法の一部を改正する法律案は都合によりましてあと廻しといたします。  続きまして日本赤十字社法案を議題といたします。参考人といたしまして日本赤十字社社長島津さん、同じく日本赤字社の副社長伊藤さん、企画室主幹岡田さん、参考人として三人が見えられております。順次法案について御質疑を願いたいと存じますが、本法案は小委員会設置以来小委員会に付託してございましたが、法案重要性等に鑑みまして当委員会審議することにいたしたることにつきましては、会期の関係等もございまするのでその点御了承を願いたいと存じます。順次質疑をお願いいたします
  6. 大谷瑩潤

    大谷瑩潤君 日本赤十字社財源に関しましては、その建前としては社員醵出金によることを建前といたしておるようでありまして、そのほかに寄附金として白い羽根を以て募金に当られておるようでありまするが、その事業財源確保のための社費寄附金募集との関係は今後どういう方針によつて行われまするか承わりたいと思います
  7. 伊藤謹二

    参考人伊藤謹二君) 只今お尋ねになりました赤十字の将来の財源といたしまして、社員醵出金によるか寄附金募集によるか、いずれを主としてやるかといつたような御質問であつたかと思うのでありますが、御承知よう赤十字社社団的な性格を将来も持つて行くわけでありまして、社員醵出金にその主たる財源を仰がなければならんことは申すまでもないことと思うのでありまして、私ども今日でもその方針を以て進んではおるわけでありますが、法案成立いたしました暁におきましては、一層この精神従つて赤十字社団たる性格を真に顯現するように努めて参らなければならんかと思つておるのでございますが、ただ現在の国内の情勢並びに終戰直後赤十字の置かれた立場からいたしまして今直ちに赤十字財源を専ら社員醵金にのみ頼るというわけには行きかねておるような状況でございまして、今後当分の間特志寄附金に待たなければならんよう情勢でございますので、赤十字当局といたしましては一日も早くそういつた状態から脱却いたしまして、社員醵出金に主としてよるという方針に強力に推し進めて参りたいと思うわけでございます。ところで今後どれくらいの期間にその目的が達成し得るかどうかという点でございますが、法案制定全力を挙げてその方針に進んでやつてみた結果二、三年の経験を経まするとそこに或る相愛の見通しというものが出て来るのじやないかと思うのでありますが、只今のところでは果してこの社員醵金のみに頼つて所要の経費を賄つて行けるかどうかということについて、正直のところ私ども確信を持ちかねておるようなところでございます。法案制定後二、三年の実験を経ることによつてそこに相当確かな見通しが出て来るのじやないか、こういうふうに考えておるわけでございます。飽くまで社員醵金に主たる財源を求めなければならんという点についてはこれはもう当然のことでありますが、その方針に向つて全力を注いで行きたいと、こういうふうに考えておるわけであります
  8. 大谷瑩潤

    大谷瑩潤君 そうしますと、その財源基礎観念としてはどうしても社員醵出金で以てこれを賄つておいでになるお考えであるということを確認してよろしうございますか。  それからもう一つは一年後とか三年くらいというようなお見通しは今のところつかないという御意見ですか、それをもう一遍はつきり聞かして頂きとうございます
  9. 伊藤謹二

    参考人伊藤謹二君) 只今お話通り社員醵金財源基礎を置くべきであるということについては私どももその通り心得ておるわけでございまして、御希望といいますかお尋ねの点の御意見と同様なわけでありますが、法案制定後一、二年間でやつて行けるということについて確信を持つていないという話だつたのでありますが、その点重ねて伺いたいというお話でございますが、正直のところ私ども法案制定後到底一、二年ではそういう姿に立返ることは不可能であるというふうに見通しておるわけでありまして、法案制定後二、三年の実験を経れば、そこで初めて何年くらいでやつて行けるという見通しがつくのじやないかというふうに現在の段階では考えておるわけでございます。
  10. 大谷瑩潤

    大谷瑩潤君 御承知通り赤い羽根と白い羽根とは相当募金の上において時期も違いますが、いろいろの考え方世間に伝わつておりまして、何だかそこが円満に行つておらんようにも考えられる点がありますが、この日赤募金というものと、いわゆる共同募金との関係は今後どういう工合にすればいいという御意見がありましたら承わりたいと思います。
  11. 伊藤謹二

    参考人伊藤謹二君) 赤十字募金共同募金との関係でございますが、只今本院に提案されております赤十字社法案によりますれば、将来赤十字社会福祉事業法適用を受ける事業以外の募金については、当分の間厚生大臣届出をなすことによつて募金ができる、社会福祉事業法適用を受ける事業については、社会福祉事業法の示すところによつてそれぞれ所管官庁の許可を受けて募金をするというふうなことになりまして、若干この点について共同募金側赤十字側との募金について議論のあつた点がやや調節せられたようなことに相成つておるのでございますが、赤十字募金共同募金との関係についてのいろいろの紛議は必ずしもこの点のみにあるわけではございませんので、今度の法案が通過いたしましても、この法案の通過したことによつて両者紛議が円満に解決されるものとは考えておりませんが、併し広い意味において赤十字社にいたしましても、共同募金にいたしましても、社会福祉に関する事業に携わつておるわけでございまして、両者間胸襟を開いて話合いを進めて行けば、決してこの問題は解決のつかん問題ではないと思うのでありまして、若干従来のいきさつにとらわれたりいろいろなことがございまして、多少の紛議がないではございませんけれども、決して解決のつかんほど複雑した問題とは私ども考えておらんのでございます。
  12. 大谷瑩潤

    大谷瑩潤君 ついでに政府当局にお伺いしますが、この問題の調節に対して政府から何か手をお打ちになるようなお考えがありますか、承わりたいと思います。
  13. 安田巖

    政府委員安田巖君) 共同募金日赤募金関係につきましては、私も大体いま日赤の副社長がお考えになつておりますことと同じよう考えを持つておるのであります。特にこの法律によりまして、一般募金が暫定的なものでございまして成るべく早い将来にそれを社員募集に切換えるというふうな御趣旨が謳つてございますので、成るべく早くそういうふうになるということを希望いたしますと同時に、又そこに至らない間も、よく私どもも微力でありますけれども、仲に立ちまして御心配ような点がないように努めて参りたいと存じます。
  14. 山下義信

    山下義信君 ちよつと今大谷委員質疑に関連して私伺つておきたいと思います。その前に本日厚生委員会お開き願つて速記を附して日本赤十字社法案質疑応答をして頂くのでありますが、従来小委員会では私ども審議をして参りましたのでありますが、いうまでもなくこれは非常に重大な法案でありますし、日本赤十字社にとりましては画期的な問題でもあり、場合によりましては、なんといいますか、運命を賭しての私は法案であると思うのです。従いましてこの法案が通過した後にこの法案に副いまして日本赤十字社が隆々として発展して行く上におきましては、如何なる方針を以てこの法案趣旨に副うかという、そういつた基本的な考え方は、国会においてこの法案審議いたしました記録に徴して後日それが確認されて行くことであると私は思うのであります。従いまして本日速記を附して質疑応答をいたしておりまするこの内容は、将来の日本赤本社の進んで行く方向に向つて大きな一つの指針と相成るものであると私は考えるのであります。従つてこれは本来提案者と私どもとの間に質疑応答を当然するのでありますが、現日赤最高幹部諸君参考人という形で委員会に御出席願つて参考人から意見を聞くという形にはなつておるけれども日赤の当面の責任者がこの日本赤十字社法というものについてどれだけの信念を持ち、どれだけの熱意を持ち、どれだけの覚悟を持つているかということも、この審議記録を通して私ども一般国民が知るであろうと思うのであります。従つて本日の質疑につきましては、いうまでもなくそういうお考えはないと思うけれども、おざなりの参考人としての御意見陳述に終ることなくして、十分最高幹部としての熱意のある御答弁を記録にとどめておかれるよう私はお願いしたいと思うのです。今大谷委員質疑されました日赤の今後の財源の問題について、社員制確立社費の徴収、そこにいうまでもなく根本をおくのであるが、それがいつそういうふうになるかということについては確信がない、こういうことをおつしやる。これは日赤最高幹部としてのお言葉としては、私どもそのままではもの足りない気がするのであります。この法案の重大なる点は、ただ徒らに日本赤十字社にもろもろの恩典を與えるというのではなくして、日赤組織基礎をこの民主的な、こういう社員制度に置くということも非常に重大なる点である。それをやつて行く上において、二、三年やつてみなければなんだか見通しが付かないというようなことは、これは募金をやめるかやめんかというよう枝葉末節の問題ではなくして、この日赤基礎確立するについてなんだかまだ確信の持てないようお話でありますることは、これはお言葉が少し足りないのではないかと思いまするので、いま一度お考え願つて、私はこの際参考人の各位からの御陳述を期待したいと思うのであります。  それでこれは速かに社員制度確立を期さなければならん。先ず日赤組織を挙げてこの法案成立と同時に直ちに着手してやらなければならん、万難を排してやらなければならん、若しこれが速かに実現ができないということになれば、速かに実現ができないのはどこに難点があるかということも遠慮なしに披瀝なさらなければならない。若しそごに隘路があり難点があるならば打破して行かなければならん。それがために関係官庁等協力を要するならば要するように御要求にこの際なつておかなければならん。どうすれば速かに社員制度確立ができ、そうして通常な社費徴收によつて強固な日赤基礎基礎付けられるか、それをいつまでにやろうという確信があるか、計画があるのかないのか、又全然そういう計画もないのか、思うてみたこともないのか、予想してみたこともないのか、一年ほどの間にはどこまでその準備ができるか、およそ二年ほどだつたらばどこまでその社員募集が進み得るという見通しもないのか、あるのかというような点も、隔意なく私はおつしやつておかなければならんのじやないかと思うのです。  それから今重要な発言をなされた。私は何も参考人のかたを責めるのじや決してない。これは審議参考として御出席願つたのでありますから、その言質をとらえてお責めするのじやないが、今申しましたようにこの記録は後世に残るのである。日赤関係者は、この記録によつて如何なる審議経過身とつたかということが天下に公表されるのでありますから、間違いのないようにしておかなければならない。この法律ができても共同募金との間の関係は円満に解決はできない、こういうことを今言われたが、これは非常に重大である。私どもはこの法律の中に語われてある日赤募金のことが規定されていることによつて、少くとも共同募金との間の関係は円満に而も完全に解決して行きたいと、考えておる。我々のほうが心配しておる。関係者のかたがそれはこの法ができても十分にその間の調節解決は図られないで、何かまだもやもやしたものが残るような気がすると言われたが、それはどこです、どういうことです。私はこの日赤法案によつて日赤にたとえ当分の間といえども一般募金を許し、そうして届出にしておく。而てその募金の使途につきましては、社会福祉事業関係には使わないことにしておる。社会福祉関係のほうは共同募金から配分を受けることにしておるということにちやんといたしておりますならば、何の摩擦もありようはずがないと私は思う。共同募金との間の円満なる解決を期待しておると思うのでありますが、それがまだ今回のこの法案成立を契機といたしましては解決が十分に付かんとおつしやいまするならば、どこにまだ障碍が残つておるのであるか、どこに問題があるのかということを明白にしておいて頂きますれば、我々はその解決努力したいと思う。そういう問題のチャンスは今であると私考えておるのでありまするから、若しこの法案に不備があるならば指摘して御要求願つておきたいと思う。関連して私はいま一度日赤最高幹部から社員制度確立についての確信熱意等について御所見を承わつておきたいと思います。
  15. 伊藤謹二

    参考人伊藤謹二君) 若干言葉が足りませんで御不満をお與えしたよう感じがいたしますが、私ども日赤の今後については非常な熱意を以てやつておるつもりであります。又赤十字については限りない愛情を感じておるのであります。従いまして赤十字の今後の運命ということについては、本当に心から心配をいたしております。若し一歩誤れば赤十字が長年の歴史を一朝にして失う危険さえあるのでございます。殊に財政的には戰後非常危機に遭遇いたしておりまして、その間一歩かじのとりようを誤りますと、赤十字の存立の基礎を危うくする虞れがありますので、その点については私ども非常に慎重な態度で臨んでおるのでございます。先ほど大谷さんから社法成立後、赤十字が何年たつたら寄附金募集しないで、社員年醵金だけでやつて行けるか、その点についての見通しはどうか、こういうふうな御質問を頂いたわけであります。私ども赤十字はその社団たる性格に鑑みまして、社員醵出金に主たる財源基礎を置かなければならんことについては寸毫の疑いも持つておりませんし、又そうらあねばならんと存じまして、従来といえども或る程度努力を拂つて来たわけでございます。現在全国四十六都道府県におきまして年々五月に募金をいたしておるのでございますが、そのうちでただ一つ実験的に山梨県だけで白い羽根街頭募金だけはいたしておりますが、社員募集ということを中心に、一昨年から二ヵ年連続してこれは実験的にやつてみておるのでございますが、その結果は甚だ残念でありますが思わしい成果を挙げておらんのでございます。そういつたよう関係からいたしまして、私どもは一挙にこの社員年醵金財源を切替えて行くということについては、何としても簡単に踏み切れないのであります。赤十字を愛すれば愛するほど危険な道を選ばしてはならんという責任感からいたしまして、何としてもそこに飛び込んで行くだけの勇気を持てないということでございまして、赤十字が本来の姿として社員年醵金に待たなければならんということは重々私ども心得ておるのでございます。又そういう面に向つて社法成立を企図いたしまして、渾身の努力を傾けて行きたいと、こういう強い決心を持つておりますけれども、私どものその強い決心と、私ども全力を挙げた努力がどの程度、何ヵ年間に実を結んで行くこということについては、今日のところは甚だ残念でありますけれどもまだ確たる見通しを持つておらんのであります。確たる見通しは持ちませんけれどもとにかくその姿に向つて行かなければならんという気持で、本社の職員全体で結束して当つて行こう、又全国民に呼びかけて、その強い支援を求めて行こう、こういうふうな強い覚悟でおりますことを御了承願いたいと思うのでございます。  第二に、本法成立と同町に、共同募金と私のほうとの関係本法成立そのものによつては全面的に解決できないが、今後その間の紛争の起らないように極力努力して行くというふうに申上げたわけでございますが、本法制定に当りまして衆議院皆さん、参議院の皆さんがたに非常に御心配頂きまして、両者調節に御盡力頂きましたことは、心から感謝いたしておる次第でございます。法案の最初の原案に若干の修正を加えられましたことも、  その点からのお心遣いと私ども考えておるわけでございますが、ただ従来の経験から考えますと、この法案制定そのものによつて、すべてが万事完全に解決されれば私ども最も望むことでございますが、私ども見通しとしてはそうじやないのではなかろうかという感じが若干いたしておるのでございますが、この問題は、共同募金側の当事者と私どもとが本当に胸襟を開いて、素直な立場に立つて冷静に物事を判断して行けば、決して解決のできないような困難な問題ではないので、私は簡単に両者が平明に話合えば解決の付く問題だと固く信じておるのであります。本法が効力を発生いたしましたならば、共募側の当局ともいろいろ話合いを進めまして、両者間に何らのいざこざのないように、又世間さまに心配をかけないように努めて参りたいと、こういうふうに考えておるわけでございます。
  16. 山下義信

    山下義信君 了承しました。日赤当局が非常に強固な覚悟社員制度確立に努める考えであるということをおつしやつた。ただ私は杞憂いたしますることは、今の副社長お話を伺いましての私どもの受けた印象は、社員制度に進むことが非常な危険な道に、日赤運命の上において社業の上において何か危険な方向を取るような気がするというような躊躇の趣きが見えた点を私は非常に心配するのであります。これは私どものほうでいえば日赤基礎を安全にする唯一の道は、今のような臨時の一般募金を年々歳々繰返しておるという形でなくして、国民にこの日赤精神事業をアッピールしてそうしてその共鳴を得て赤十字社社員社員意思といいますか、そういうものを高揚させて、そうして喜んで日赤社業協力をするという国民の強い力の上に立つてこそ私は日赤は安全だと思う。一番安全な方法がこの社員制度確立であると思うのですが、それに踏み出すことが非常に何だか危険な方向を取るよう気持がして、当面のようなことのほうが事勿れの安全弍よう考えを若し持たれておるとするならば、私は将来非常に心配をするのであります。私の印象はそういうふうに受けたので、この点は意見の相棒になるか知れませんが、苦しそうでなかつたらいま一度その点の見解を明白にしておいて頂きたいと思うのであります。
  17. 伊藤謹二

    参考人伊藤謹二君) 只今お話ように、赤十字は飽くまで社員制度基礎を置かなければなりませんので、私ども法案発効と同時に、一層の覚悟を以て社員制度を強く推し進めて行きたいと思うのでございますが、それと同時に募金を一拳にやめることができるかどうかということについて私ども懸念をいたしておるのであります。社員制度で進まなければならんことはこれは明らかでありますし、日赤永遠生命を保持するためには何としてもこの社員制度を強固にして行かなければなりません。これこそ赤十字基礎を固めるゆえんでございますから社員制度確立に向つて全力を傾ける、そのために法案制定と同時に強力なスタートを切りたい、こういう気持でございますが、と同時にそれじや一方の寄附金募集というものを一峯にやめ得るかどうかということについて、そこに私ども心配をいたしておるのでありしまて、社員制度で行かなければならんが、そうかといつてその基礎が固まるまでの間寄附金募集を全然やめてしまうということになりますと、その間の生命の保持に危険を感じやしないかということを恐れておるわけでございます。社員制度確立に向つて只今お話通り、私ども全力を傾けて進んで行くつもりでございます。
  18. 藤森眞治

    藤森眞治君 私もそれに関連しまして少しお尋ねしたいのですが、大体重複の点があるかも知れませんが、この日赤法全体を通じて排見しますと、これまでいろいろありました特殊法人の中でも、特に赤十字案というものは、これが成立しました暁にはこれの権利義務について非常な強い力を持つておるということが痛感されるのであります。我々それについてよほどこれは慎重に考えなければならんのでありまするが、殊にこういう強い法人ができますのについては、一番大切なことは何と言いましても維持管理の問題であります。ところが管理の面についてはこの法案の中に相当盛られておりまするが、維持の面については殆んど触れてない。そうして全体を見ましても、果してこれを維持するためには社費によるのか、或いは寄附金によるのか、或いは国の助成金等の国家の補助によるのかということが非常にあいまいでわからない。で、そこに非常な不審を持つておりましたところが、只今の副社長のいろいろなお話を聞きますると、どうもやはりこれに出ておるように明確でないのが今の御答弁から受取れるように思われる。何かこの法人を今後維持して行くためには、これの中心になつて行くのがどういう維持方法が第一義であるかということが明確になつて行かなければならんと思います。例えば今お話よう社費によるということが第一義であれば社費によるそうして場合によれば寄附金によるというふうに、寄附金を第二義的に考える、或いは国の補助によるということを第三義とすると、こういうことになりますればわかるのですが、それもこれもこつちやにしてそうして果してどこに中心があるのかということが、我々少し了解できないのであります。殊にこれだけの法案ができます際に、今副社長お話では、共同募金の問題にしましても、今後腹を割つて話すれば解決がつくというお話でありまするが、こういうことを提案されるためには、あらかじめそういうお話がついてからおやりになるのが当然じやないか。又社費の点におきましても、いつになつたらこれが確立するかわからんというようなお考えでなく、相当の成算を持つてこういうふうなことは起案されるのが当然じやないかというふうに、私どもこの法律ができてから考えて行つて努力するなどということでなく、むしろこういうふうな計画の下に、例えば何年のうちには当然できるのだということから初めて起案されるのが当然じやないかと思うのです。そういう点におきまして、今第一義は社費ということを言うておられまするが、なぜこの法案の中にそういう維持方法というものが明確に出ておらないかということについてお承わりしたいのですが。
  19. 伊藤謹二

    参考人伊藤謹二君) 只今お話でございますが、この提案されております法案になりますと、法案の第十五條に、「社員は、定款の定めるところにより、社費を納めるものとする。」と、この社員の納める社費がこの本社維持の根本財源であるということは、この第十五條が法案の本文の中に入つておりますことによりましてほぼ明らかではないかと私どもは解釈いたしておるのでございます。そうして、お話の補足財源たる寄附金につきましては、寄附金募集に関する規定が附則のほうに規定され、なお且つその附則の中に「当分の間」といつたような字句が挿入されておりますことによりまして、この寄附金が当分の間の補足財源であると、補充財源であるということは、法文でも明らかにされておるのではないかというふうに私ども考えて解釈いたしておるのでございます。更に政府の出資等は一層の臨時的なものに対しての補助金でありまして、赤十字の経営維持財源に使われるものでないことは、それぞれの法文の示すところによつて明瞭でございますので、赤十字維持財源社員醵出金によることは、この提案された法案ではつきり示されておるのではないかと私どもは解釈いたしておるのでございます。  なお本法案の議会に提案される前に、共同募金側と十分な話合をつけてから、それから提案を希望すべきではなかつたかというような御意見でございましたが、私ども従来共同募金側とは極力円満に物事を進めるよう努力いたして参りました。世間では、いろいろ両者の間に一種のけんかがあるような観測を下ろしておられるかたもございますが、少くとも赤十字社に関する限り、共同募金さんの悪口を一言もついたことはございません。又共同募金さんのなさることについて批評がましいことを、或いは機関誌とか或いはその他の公けの機会で述べたこともございません。極めて虚心坦懐に両者の間の円満なる協調を希望して参つておるのでございます。まだ時期が熱しませんので今日まで若干の皆さんに御心配をかけておりますことは恐縮に存じておりますけれども、これは遠からず解決するものと私ども固く信じておるような次第でございます。
  20. 藤森眞治

    藤森眞治君 十五條の社費を納めるとなつておりますので、これが一応一つ維持財源であるということはこれはよくわかることでございますが、併しながら維持という方法に社費を以て第一義とするということであれば、もう少しこれが明確でなければならんということを私は申上げておるのであります。  それからなおこの財源につきまして、三十九條にはいろいろ政府その他地方公共団体等の補助、助成の規定が設けてありまするが、これにつきましてこれは大藏省等にもいろいろな関係がある問題だと思うのでありますが、そういうことについても十分関係方面との御了解がこれはできておりますでしようかどうでしようか。
  21. 伊藤謹二

    参考人伊藤謹二君) 私ども本法制定を熱望いたしたものでございますけれども、民間の一法人でございまして、別段提案看たり得る資格を持ちませんものですから、提案者ような形で関係方面と折衝を遂げる資格を持たない関係上、公式にいろいろ私どもが折衝したことはございませんけれども本法の提案にいろいろ御盡力頂きましたかたがたにおかれましては、十分各方面と御連絡をつけて頂いておるものと考えておるような次第でございます。
  22. 藤森眞治

    藤森眞治君 それでは社会局長にお伺いするのですが、大蔵省の関係も相当いろいろありますが、社会局としても三十九條ついていろいろな関係があると思うのですが、あらかじめこういう点は、すでに厚生省のほうとしては御了承になつておりますか、どうですか。
  23. 安田巖

    政府委員安田巖君) 日本赤十字社法案衆議院のほうで議員提出になりましてから、私どももその内容を見せて頂いたことがございます。三十九條につきましては、これは主として憲法八十九條との関係だと思うのでございますけれども、別に具体的にそれではどういうふうな特権を與え、或いは補助金を出し、或いは資金を出すかというようなことにつきまして研究いたしたことはございません。
  24. 藤森眞治

    藤森眞治君 これはのち程にもお尋ねすることがございますが、第三十三條の災害救助の実施計画ということにつきまして、これは非常な問題があると思うのでありますが、そういう災害救助について、どうしてもこれは厚生省がその中核にならなくちやならんと、而もこれからは相当大きな財源的措置が請じられなければならんということがあるのですが、そういうことについて、何ももそれじやお聞きになつてはおらないというわけですね。
  25. 安田巖

    政府委員安田巖君) この三十三條に書いてございますのは「赤十字に関する諸條約に基く国の業務」というのが一つと、それからもう一つは「非常災害時における国の行う救護に関する業務」ということでございます。
  26. 藤森眞治

    藤森眞治君 主として第四項でございますね。
  27. 安田巖

    政府委員安田巖君) そこでこの前段の赤十字に関する諸條約に基く国の業務でございますが、これは赤十字條約にいろいろ交戰国の当事者になつた場合に赤十字の規定に従いましてこれをどういうふうに取扱うとかまあいろいろな規定があるわけでございます。そういうことは私どものところでまだ予想をいたしておりませんので、その点につきましては日赤のほうからも聞いたこともございませんし、提案者のほうからもお話を承わつたこともございません。又私どものほうでも考えたことはざいません。  それからこの国の行う救護に関する業務でございますが、これを赤十字社に委託することができる、で、今藤森委員のおつしやいましたのは主として第三、第四のことだとおつしやいましたけれども、まあ第一項が実は前提になるわけでございます。現在はこの非常災害時における医療の救護につきまして日赤の御厄介になつておるわけでございまして、これは災害救助法におきましては、まあ県知事が日赤のほうにお願いをするという形をとつておるわけでございます。従いまして若し国がこういうものを如何なる場合でも日赤のほうに中央において全部委託するということになりまするならば、これはまあ災害救助法というものを根本的に考え直さなきやならないかとこういうことにもなるかと思います。まあ今のところは私どもは実はそこまで考えておりません。この規定がどういうふうに活用されるかということにつきましては、この法案成立いたしまして、いろいろ審議の内容等を拝見いたしまして十分研究してみたいと存じております。
  28. 藤森眞治

    藤森眞治君 この点はあとにもう少しお尋ねをしたいと思うのですが、この際日本赤十字社のほうのかたにお伺いするのですが、この災害救助に対する或る一定の想定というものがあらかじめ考えられるわけでありまして、それに対してどういうふうな実施計画をお持ちになつておるか、その実施計画をお調べになつておるようなれば資料としてお配り願いたい。  それからなおそれに対する財源的措置はどういうふうにするか、予算的にはどういうふうに見るかというような点をできまするなれば一つ資料にしてお配り願いたいと思います。
  29. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) 資料がございますそうですから……。
  30. 河崎ナツ

    ○河崎ナツ君 今藤森委員も御質問になりましたように、重大なこの法案につきましての御指摘の重大な面は、日赤のこれからやつて行くことにつきましての管理とそれから維持、この維持の面につきまして非常に重大な面が落ちておるのじやないか。まあそれが社員の会費と協同募金といろいろなことをお考えになつておいでになることになりますが、そういう面にやはり関連いたしておりまして、先ほど山下委員からも御質問がありましたが、日赤の非常な今日重大面に直面しておつて本気に考えて答えてもらわなければならんというお言葉がありました。又それにも関連いたしまして私の伺いたいと思いますことは、日赤のなさる事業につきましていろいろな事業をなしておいでになりますが、日赤は他の事業団体と違つて非常に特殊の、国からも委嘱をせられ特殊の性格を持つておる。まあ社団法人になつて今までも持つて来て、又一層それが新たに確認されるということになりますが、この際日赤がその性格の下に今までなさつておつた事業をはつきり整理して、もつと一層他のどの社団法人も持たない性格の使命を十分果して行こうということに考えをお進めになつて行くというお考えはお持ちでないでしようか。丁度衆議院日赤法案につきましての委員会がございましたときに、私も傍聴に行つておりましたのでございますが、そのときは速記がございませんでしたからあの記録には残つていないのであります。あのときに衆議院のかたのいろいろ御質問で結局又社会福祉事業協会の代表のかたがお見えになつて別の側面的な質問に対するお答えをなすつておいでになりましたが、あのときの一つの暗示に、日赤がなしておいでになる社会福祉事業的なああいうふうなのは日赤が是非しなければならん、国家から期待されおるいろいろな使命を果すという日赤社団法人としての性格から、ああいう社会福祉的な事業は是非日赤がしなければならん事業であるかどうかということをちよつと暗示をなすつておいでになつておりますが、前からいろいろ日赤がなしておいでになつたのでございますけれども、今日根本的にお考えなさる上におきまして、そういう問題をもう一度考えてみるということは如何でしようか。丁度社会福祉協議会ですか、あの法案もまだできていなかつたし、ああいう全国的な連絡のそういう何もできておりませんでしたときでありましたから、ともかくもいろいろな面におきまして各自その団体がそれぞれ民衆の生活に対しまして手を伸べて行くということは、これは民衆のために仕合せとこう考えての御措置であつたに相違ないのでありますが、今日そういう社会福祉的な事業のほうの連絡も全国的に一つ組織ができ、網の目ができております、日赤は特殊の性格を持つて今日一層強固に一層唯一の団体としての歩みをなすつて行くその出発に当りまして、而もごの維持の上におきまして、何かと今までの社員組織から来る会費というものに対しての力の弱さ、これも反省しなければなりません。又丁度こういう共同募金というようなものが日本に行われたときに、白色の募金日赤がなさなければならないようなところに立つて、あれをしなかつた前に比してあれをし出すとなかなか会費では賄えない、あれのほうになかなか切賛えがむずかしいということに今逢着しておいでになる。これは根本的にお考えになるべきときだと私どもは思つて、あの社会福祉事業協会かちの暗示を非常に私はぱつとしなかつたのですけれども日赤がなしておいでになりますそういう方面はやはり社会福祉事業協会のああいう面に、何とかこう移して行くというようなそんな言葉で、社会福祉事業協会の関係のかたがちよつと暗示をしておいでになつたと思うのでありますが、あのこと以来そういう問題につきまして、日赤の業務面におきましてそういう問題を整理すべきでないかというようなことをお考えになつたでございましようか。どうでしようか。或いは又やはりまあ今までして来た仕事というものはなかなか、余ほど大英断がなくては弊理できないものでございますが、やはり特殊の性格をお持ちになつておるあれといたしまして、この際非常に大弐な決断でもつて日本のこの一面の発露としての使命をお果しになるという意味におきましての唯一の社団法人といたしましての立場から、こういう問題についてお考えになつたかどうかについて考えを伺わして頂きたいと思うものであります。
  31. 伊藤謹二

    参考人伊藤謹二君) 只今お話の点は赤十字事業部面につきまして極めて大事な点に触れておるのでございますが、御承知よう赤十字が最初戦争犠牲者の救済というふうなことから出発したことは御承知通りでございますが、その後だんだん組織確立して参りまして、国際的な関係が非常に濃厚になり、この赤十字を通じて広く人類愛の精神を普及し、国際親善の増進に寄與し、延いては世界の平和の確立に向つて努力して行きたい、こういうふうな気分が湧いて来ましたことは当然のことでございます。殊に第一次欧州大戦を経過いたしまして、世界各国の赤十字陣がすべてそういう面に今後は全力を注いで行こうというようなことになつて参りまして、従つてそういつた世界的な赤十字運動を展開するのには、一面精神的な運動を強硬に行うと同時に、赤十字事業を通じて人類愛の精神を普及して行こう、それには平時におきまして人類の苦痛を軽減するいろいろな社会福祉的な事業を営んで、その事業を通じて赤十字精神を普及して行こう、こういうふうな気持が全世界に漲りまして、そこで第一次世界大戦後に、赤十字社連盟というものが新たに従来の国際機関としての赤十字国際委員会のほかに設けられたわけでございまして、この赤十字社連盟が各国における赤十字のそういつた社会福祉事業部面の連絡調整を主としてやつて行こう、福祉事業のほうの中心になろうというふうなことで動いて来たわけでございます。従いましてその風潮に乗りまして、各国の赤十字が原始的な戦争犠牲者の救護、業務のほかに、いろいろな社会福祉事業を営んで参りました。今日世界の各国の赤十字の行つている事業を見ますと、社会福祉事業の種目に入る事業でどこかの国の赤十字が今までやつていない事業一つもないと言つていいほど、現在赤十字のやつている事業社会福祉事業のあらゆる分野に行き瓦つているのでございます。日本赤十字もその風潮に例外をなすことなく、第一次大戦後かなりいろいろな部面に社会福祉事業を展開して参つて来たわけでございまして、これが今日に引続き行われておるようなわけでございます。これは一種の赤十字運動の一つの現われとして行われておるわけでございまして、今日各国の赤十字の動向といたしましては、こういつた事業を一層伸展しこそすれ、これを抑えて行こうというような風潮はどこの国にもないということを御参考のために申上げさして頂きたいと思うのでございます。但し日本の赤十字の現状から申しますと、財源に制約もございますし、いろいろな点からいたしまして、私どもは今日の日本赤十字がそういつた社会福祉事業の全部面に手を伸ばすべきものとは私ども考えておりません。災害救済態勢の整備という大きな使命、非常時における犠牲者の救護という大きな使命が、何と言つて赤十字の本来的な業務として今日といえどもその重要性を失つておりませんので、而もその態勢が必ずしも十分ではございませんから、その整備に向つてども今日の日本赤十字が、今日の段階においては全力を盡すべきであるということは、只今河崎さんのお話がほぼその点に触れておるのじやないかと思うのでございますが、決して私どもその点に異議を申上げるわけではございません。従いまして、衆議院において本法案審議されました際に、赤十字が今後新たに社会福祉事業を営まんとする場合には、厚生大臣の許可を受けるように修正をなさつたことも、私は世界の赤十字の今日の動向から言えば逆コースを進んでいると思うのでありますけれども、今後の日本赤十字の現状から申しまするならば、これは必ずしも一概に非難すべきごとでもありませんし、衆議院皆さんがそういうふうな主張をなさることも誠に理由のあることと思つてども承服いたしているような次第でございます。  ところで今日行なつております赤十字社会福祉事業でございますが、第一次欧洲大戦後いろいろな面にそういつた事業を展開いたしましたけれども、併しこれらの事業はおおむね赤十字がやるのにふさわしい部面に展開されておりまして、他の社会事業団体が行うよりも、赤十字自体が行なつたほうが適切ではないかと思われる部面に主として伸びて来ているのでございます。例えば乳児院であるとか或いは虚弱兒に対する養護事業であるとか、そういつたようなことは医療機関を割合に持つております赤十字であるとか或いは済生会であるとか、こういつたような団体が行うのが極めてふさわしいのであつて、然らざる団体で虚弱児を収容して養護するとか或いは乳兒をお扱いになるよりも、赤十字等が扱つたほうが今日の日本の現状から考えても私は適切なんではないかというふうに考えているのでございまして、従いましていろいろこの点について議論をなさるかたもあるようでありますけれども、今日赤十字の行なつておりますこれら福祉事業施設、主として兒童福祉に関する事業でございますけれども、これはやはり赤十字がこの際これを廃止してしまつて、他の団体の経営に依存するよりも、医療機関を持つております私どものほうで直接経営したほうが経済的でもございますし、又所期の目的を達成するゆえんではないかというふうに考えているわけでございまして、今日のところこれらの事業を廃止するよう考えはございませんが、お話赤十字の本来的業務が国際情勢なり或いはその他によりましてだんだんと緊要性を加えている。赤十字はあくまでその方面に専ら力を注ぐほうが至当ではないかというふうな御意見については私どもも全く同感でございまして、あくまで赤十字の主力はその方面に注ぐべきではないかというふうに考えているような次第でございます。
  32. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 赤十字維持の問題が出ております。それでこの際ちよつとお伺いいたしたいと存じますが、この社員でございますが、ここに第十四條にも社員は権利があると書いてございます。ところがこの頃伺つてみますと、非常に社員の人がちやんと赤十字社員だというので、社員席に入れられていろいろと権利を持たされることに重苦しいというよう感じを持つという噂を聞くのでございますが、これは無論社員の人が権利を持つというよりも、もつともつと社員の人が赤十字維持して行くというよう気持で誇らしく思えるように仕向けるよう法律案がなつたらいいのじやないかというふうに私は考えておりますけれども赤十字の方面でどういうふうにお考えになつておりますか承わりたいのでございます。赤十字の仕事はたくさんにございますけれども、この紙一枚の社員というようなものがお金を出して書かれておりますけれども、ちよつとも表に見えないのでございます。それで何となく義務ずけられて重苦しい。同じよう募金の仕方、共同募金赤十字募金とは募金のやり方を見ても変つたところはございません。共同募金も表で募金をしております。大口の募金や家庭の募金もやつておりますので、ちつとも共同募金の方法とは変つていないのでございますが、どうして赤十字社員になることに人々が苦痛を感ずるかということを私ども考えて行かなければなりませんので、社員にもつともつと誇りを持たしたらいいのじやないかと思いますので、この点お伺いしたいと思います。  それからもう一つ伺いたいのでございますけれども、非常に赤十字社の弱点と申しますのは、先ほども安田社会局長もおつしやつておられましたように、災害救助に出ましても医療の器具だけしか只今のところ持つておられたいということは、非常に災害救助を見に参りましても感じるのであります。過般も鳥取県の火災のあとを訪れましたときに、はや進駐軍のかたは食糧や衣料を持つて全部の罹災者を見舞つておられるのに、赤十字の救護班はお医者さんと看護婦さんとが旗を立てて賄つて行かなければならない、医療の救護だけというところに非常に国民赤十字社に対する感じ赤十字社を何でございますか、赤十字というものはあれだけのものだと思うので、社員にたる人も少いのじやないかと思います。  それからもう一つ赤十字社の弱点といたしまして、赤十字社に対する赤十字旗の例用ということを過去の国会でも取扱われたが、赤十字旗はどこにも使えないということになつておるのでございますが、あれも少々考えて行かなくちやならないのじやないかと思われる節が実は少々あります、昨年私、アメリカを見せて頂きましたときに赤十字募金の月でございまして、三月で募金が一ぱい行われております。ホテルの玄関を入つてつて見ても大きな赤十字の旗が下げられているので、ここに災害救護所があるのかと日本式の考えを持つて見ましたらそうではございませんで、その月は募金の月でホテルといい、商店といい、電車といい、何といい全部赤十字の旗を立てておるというところに赤十字社赤十字でない、国民のための赤十字であるといことがはつきり国民の間に認識されておつたように私は見受けて来たのでございますが、今後こうした法律が制中されまして赤十字の仕事が單に医療価護でなしに本当に非常時の救護、災害救護の全般に亘らんといたしますときに、赤十字は大きく何と申しましようか、国民が本当に愛する国民のための赤十字になるような何か御計画はお立てになつていられると思うのでございがますその実情について、その二点を先ず伺わして頂きます。
  33. 伊藤謹二

    参考人伊藤謹二君) 只今の御質問の第一点の社員に対して何と申しますか、重苦しい感じを與えないで誇りを持たせるような工夫はないものだろうかというふうな御質問ように拝聴いたしたのでございますが、私ども赤十字社員になつて下さるかたがたに、いやしくも重苦しい感じを與えないで誇りを持つてつて頂くようにいたしたいものだと思うのでありますが、それについてどういう方法をとつたら一番いいか、今後十分研究をさして頂きたいと思うのであります。まあ今日までは社員の表彰であるとか或いは儀式における特別の待遇問題、そういつたようなことがまあ社員としての誇りであつたわけでございますけれども、今日では大分時代思潮も変つて来ておりますので、どういう方法をとることが最もそういう方向に副つたゆえんであるか平素考えておりますけれども、今日まで余り名案も出ておりませんが、今後皆さんの御指導を仰ぎまして、そういう面に努めて参りたいと思うのでございます。  第二に赤十字の弱点として災害地における救護が、医療救護の部面にのみ限定されていて他の救護方面に及んでいない、これがまあ赤十字が伸びない一つの原因ではないか、こういう御意見でございます。私、全く同様の感じを抱いておるのでございまして、災害の発生した時分に医療部面の救護は相当程度行なつておりますけれども、その他の生活援護方面については思うよう財源関係上できないわけであります。今日でも僅かばかりの物資の救護はいたしておりますけれども甚だ不十分でござまして、決して世間に誇るにたるようなことはいたしておりませんので、アメリカの赤十字の活動を見ておりますと、災害地における生活援護これを全面的に米国の赤十字は引受けでおりまして、政府、公共団体は災害復旧、復興方面に全力を注ぎ、赤十字が罹災民の生活安定及び厚生方面について全責任を負つている、こういうところまでまあ日本の赤十字を持つて行きたいものと平素から念じておるのではございますが、今日までまだ甚だお恥かしいことでありますが低迷いたしておりますが、将来は是非そこまで持つて行きたいのと、かよう考えておるのでございます。  第三に赤十字の旗に関しての御質問ごでざいました。私御質問を聞き取り違えたか存じませんが、赤十字の記章については御承知ようにジエネバ條約で非常にこの使用を厳格に取扱つております。赤十字の旗じるしは戰時におきまして一種の中立性を保持するものでありまして、敵方も赤十字の旗じるしのあるところに対して絶対に爆撃とか或いは空爆を加えてはならんと、こういうふうなことになつております。従いましてこの赤十字旗の濫用ということは嚴に各国政府が責任を以て取締らなければならん、各国それぞれの法律を以て厳重に取締らなければならんというふうなことになつておりまして軍の衛生部隊のほかはその国の政府の認めたただ一つ赤十字社のみに限つてこの赤十字旗の使用を許す、責任を持つた団体にあらざればこの赤十字の旗じるしは使用することを許さんというのがジエネバ條約の精神でございます。ただ小さい赤十字のマークであるとかいつたような、一朝ことある場合にも別段作戦行動とかその他にじやまにならないような小さいしるしは赤十字の標識として許しておりますけれどもお話ように大きな、相当遠距離から識別し得るよう赤十字の旗は絶対に取締を厳重に行なつておつたわけでございます。赤十字社といえども大きな旗じるしはそんなに簡単に使うわけには参らんごとになつておるような次第でございます。この赤十字の記章の普及については條約の命ずるところによつて決してルーズに行なつて行くわけには参りませんことを御了承を願いたいと思うのでございます。
  34. 山下義信

    山下義信君 先ほどから人事院の岡部法制局長が見えて待つておられますので、私はどなたかから御質疑があるかと思つたのですが、甚だ差し出がましいのでありますが、ちよつと岡部局長に伺つておきまして、何かそれに関連して他の委員の御質疑がありましたらお願いをして、岡部局長の質疑がないようでありましたら忙しいでしよから適宜に委員長にお計らい願いたい。それは本日の問題は岡部局長は御承知で御出席下さつたか知りませんが、今回の日本赤十字社法によりまして救護員を赤十字が養成いたしまして、まあ非常の場合には救護業務で必要な場分にはそれに一つ出てもらうようにする、そういう場分に使用者は不当な取扱をしないように法の第二十九條、第三十條に関連しましてそれぞれの規定をしているわけなんであります。それで問題は、例えば国家公務員という資格のありますようなもの、まあ国立病院の看護婦というよう立場の人がそういう招集に応じた場合の取扱を、身分の上においてどうするか、その間出て行つた間は欠勤にするのかどうするのかといつたようなそういう上におきまして、任命権者、使用者、何といいますか人事院のほうで任命権者といいますか、まあその上の人がいろいろその人たちに対する不利益なことになつてはいけない、こういう点につきまして人事院の規則の上において何らか善処して頂けまするか。人事院の規則の上におきまして抵触するようなところがあるかないか、そういう点についてあなたのほうの御見解を伺いたい。又御見解を伺いたいというだけではなくいたしまして、できるだけやはりこの精神に副うように御協力を願いたいので、若し人事院規則の上において解釈上非常にその辺に弾力性のあるような点等があつて一向差支えないようでありましたらそれらの辺も御明示願いたい。どうしても規則の上でどうも或いは一ヵ月とか、二ヵ月とか長期、まあいわゆる平易な言葉で言うと語弊がありますが、非常招集に応じたというような場合にその身分の上に不利益があるようなことがありますと困るのでありまして、それらについてのあなたのほうの御見解を一つ承わりたいと思います。  それからその御答弁を頂く前に私は井上委員の今の提案せられました問題の中に社員に誇りを持たすようにということが出たのですが、伊藤社長がその点については今後考えるということをおつしやつた。私はこれは極めて明白な問題である、又それがなくては私はいかんと思う。まあこれから如何にそれを具体化するかということについて御研究下さるであろうと思うので、今日でもそのお考えがすでになくちやならんと私は思う。今からその考え考えるということはあろうはずはない。ですからそれを如何に具体的に高揚するかという方法についてこれから研究するというお答えであつたと思う。私は将来でも、又今日でも、日本赤十字社社員の誇りというのは、何も昔のように勲章をぶら下げるとか、そんなことを言うのではない。社員になつて応分の社費を醵出して、社員になつたことによつて人道主義に基くところの赤十字、博愛事業に参加するということが誇りです。極めて籍單明白です。これを今更研究せんければわからんようではどうします。私は社員が自分の応分の貧者の一燈でもできるだけの醵出を負担して、その社員たることによつて社員たることを通じて、この赤十字事業に参画し、人道主義に基くところのこの崇高な事業に我々は参画しているのであるという、この自覚が社員の誇りです。それ以外に何もありません。それ以外は又いろいろそれを奨励なさるために記章もよろしうありましよう、表彰もよろしうありましよう、いろいろな表彰策もありましようが、自覚を社員に如何に與えるか、これは今日でもお取りになつているだろうと思うのですが、その点について私は最高責任者である島津社長一つ御見解を承わつておいて、そして岡部局長の御答弁を頂きたい。
  35. 島津忠承

    参考人島津忠承君) 私から山下さんにお答えを申上げたいと存じます。只今社員の誇りということでございますが、私はこの社員の誇りということにつきまして只今山下先生からの仰せになりましたことは全くその通り同感でございます。私はこの赤十字事業というものをより以上に一般に周知徹底せしむることが第一ではないかと考えるのでありまして、昔赤十字が戰時業務にのみ携つておりました時代には、社員は拠出金を拠出いたしましてその拠出いたしましたものが資金となりまして、赤十字の看護婦を養成いたしまして、一朝戦時にこの看護婦が戰傷病兵の救護に当つたのでありまして、その当時はそれで社員のかたがたは赤十字に参加された、社員となられた偉大な誇りを持つておられたと思うのでありまして、その後赤十字事業は先ほども伊藤社長より申上げましたように非常に多岐に亘つて参りまして、赤十字連盟ができましてから赤十字は平時事業の面に、あらゆる面に手を擴げて参つたのでありますが、併し赤十字事業はすべて人道博愛の事業に限られておるのでありまして、その点を今後より以上にはつきりと徹底させますことによりまして、一般のかたがたは勿論でありますが、社員のかたがたのいわゆる社員の意識の高揚と申しますか、こういうことに一層努めて参りまして、そこに社員の誇りというものが自然に起つて来るものと私は考える次第でございます。以上でございます。
  36. 岡部史郎

    政府委員(岡部史郎君) 山下さんの御質問にお答えいたしますが、救護業務に使用者としての国が職員を従事させる義務をこの法案の三十條が規定しておるわけでありますが、その場合におきまして職員の取扱について不利益があるかどうか、それが公務員法上どうなつているかというお尋ねでありますが、国家公務員法におきましては、実はこの百一條におきまして職員が職務に専念する義務があることを明示すると共に、その次の項におきまして、即ち百一條の第二項におきまして、地震、火災、水害、その他重大な災害に際して当該官庁は職員を本職以外の業務に従事させることができるということを規定しておりますので、実はそういう場合におきましては本職以上の業務に職員が命令を持つて従事する、そういう場合におきましては給與その他におきましても当然本職に従事している場合と同様に受けることになつております。それでこの三十條によりまして職員が使用者たる国から救護員としてお前行つて来いと言われました場合におきましては、主として公務員法上から行きますと百一條の二項が発動せられるのではないかと考えております。従いましてその場合には問題がございません。  なお或いはこの百一條の二項に直接該当しない場合におきましても給與がどうなるかと申しますと、それは給與法におきまして、普通勤務いたさない場合におきましては、これは給與が減らされることになつておりますが、特に承認があつた場合においては給與を減らされないと給與法の十五條で規定しております。特に承認があつた場合というのはどういうことになつているかと申しますると、例えば法令の規定により特に勤務しないことが認められている場合もその一つの例になつております。従いましてこの三十條に基きまして救護員として協力いたします場合におきましては、これはやはり法令の規定により特に業務に従事しないことが認められている場合に該当するものと考えまするが、その場合におきましても給與が減額されることはないと思つております。だから給與のほうは従いまして減額されるというようなことはない、従つて不利な取扱を受けることはないつもりであります。それからなおそれ以外の実費弁償につきましてもこれは職員は給與のほかに実費弁償を受けることはちつとも差支えございませんが、実費弁償の範囲内においてこの救護員がこれを受けることは公務員法上ちつとも差支えございません。  その次に問題がありますのは、これはこの法律が大変結構なものでありますから、できてからの疑義がないようにと思うのでありますが、それはこのような救護事務に従事いたします場合におきまして種々の傷害を受けることがあるだろうと思うのでございます。その場合におきましては、これは国家公務員災害補償法というのがございますから、これに基いて負傷した場合においての療養給付、或いは不幸にして生命を失つた場合におきましては、遺族に対しまして遺族補償或いは葬祭料が出るというようなことになろうかと思うのであります。なおその上にこの三十二條の扶助金の支給というものが重ねて出るであろうと存ずるのでありますが、この扶助金の支給のほかに原則といたしまして国家公務員災害補償法による災害補償も受けられるものと考えております。さよう考えております。
  37. 山下義信

    山下義信君 非常に明快な御答弁を頂きまして疑義が氷解いたしまして大変本員は満足するのであります。  なお一つ伺いたいのは、長期にこの種の業務に従事いたしましたような場合に、人事院規則によりまして或いは休職というような措置というようなこともいたして、その身分の保障がなし得ることができましようかどうかという点を一点伺つておきたい。  それからなお今岡部局長の言明によりまして、非常に我々も安心いたしたのであります、この種の国家公務員が非常災害の場合、つまり救助法によつて出動した場合におきましては、当然本来固有の身分である国家公務員の災害補償を受けて、なおその上に災害救助法によるところの手当も受けられるのだということで非常に明快に相成りましたのであります。私はその御説明を多とするのであります。前段の長期のこの種の救護業務に従事した場合には、何かその身分につきまして保障しておきますような方法がありますかどうかという点をいま一点伺いたい。
  38. 岡部史郎

    政府委員(岡部史郎君) お尋ねでございますが、実は休職の点につきましては、これは職員の身分の保障という意味からその休職の場合を公務員法でははつきり限定いたしまして、第一の場合におきましては長朝の病気になつて療養を必要とする場合、第二の場合は刑事事件で起訴されました場合、それから第三の場合におきましては外国の大学であるとか或いは国内の大学に勉強のために入る、留学する場合、それから第四の場合におきましては例えば外国の政府であるとか、或いは国際機関に協力するために雇われて行くというようなこの四つの場合だけが休職を命じ得ることになつておりまするので、今山下さんお尋ねの場合はこれは該当しないと思います。それで長期の協力ということでございますが、私その内容は詳しくは存じないのでございますが、そのように休職にするほど長期の業務に従事するということが実際問題としてあるのでございましようかどうか、その点につきましてどなたからでも御説明を承わつてお答え申上げたいと思います。
  39. 山下義信

    山下義信君 その点は日赤参考人から聞いて頂きたいと思います。そういう問題は。私ちよつともう一つそれじや聞いておきますが、直属の上官と申しますかこれが承知すれば非常災害のときならば他業務に従わんでもいいということがあるから、協力にはちつとも差支えないのだ、それは本職のほうは欠勤になるでしようか、ならないのでしようか、もう一遍。
  40. 岡部史郎

    政府委員(岡部史郎君) この場合においては勿論本職は欠勤にならんと解しております。
  41. 山下義信

    山下義信君 その答弁で私は了承いたします。
  42. 伊藤謹二

    参考人伊藤謹二君) 只今お話赤十字の救護員が長期に互る場合があろかどうかというような御質問でございますが、大体救護員の出動しますのはせいぜい一週間、長くて十日くらいのものでございます。そんなに長期に互る場合はめつたにないことでございますが、併し本当の予期せざる非常事能が発生したような場合には、そういうこともあり得ないとは断言し得ないわけでございます。
  43. 岡部史郎

    政府委員(岡部史郎君) 只今伊藤社長からの御説明を承りましても、協力に行きましてそれによつてその職員がその身分を危くするというようなことはちよつと考えられないと思いますが、この三十條の第一項におきましてそういうことを事由として不当な取扱をしてはならない例えば労働法においていわば不当労働行為の取扱の禁止というよう精神もこれに若干あろうかと思うのでございますが、そういう意味におきまして、身分の保障の点でそういう点を御心配になるようなことはなかろうかと思います。
  44. 藤森眞治

    藤森眞治君 只今のあれで国家公務員は成るほど国家公務員の災害補償で行けますが、必ずしも救護員が国家公務員とは限らないので、ほかの民間に奉職する人が出る場合もあろうかと想像するのであります。そういう場合の災害補償というのは、こういう場合は国家公務員と同じく補慣されるのか、補償されるのが本筋でしようかどうでしようか、そこらの点を。
  45. 岡部史郎

    政府委員(岡部史郎君) 只今の第一の点でございますが、これが私も一つ気がかりな点でございまして、民間の場合におきましては、業務上負傷した場合においては、労働基準法に基きまして労働者災害補償保険法の適用を受けて、その補償を受けるわけでございます。この場合におきましては業務上の傷害に限るわけでございます。例えば民間の会社におきましてその医務室にたまたま赤十字の養成を受けた看護婦がいる、これがふだんの会社の職員の診療看護に従事しております場合に、これによりまして例えば災害地に派遣せられた場合におきまして、それがこの業務上の災害に該当するかどうかということにつきまして私からお答えいたしかねるわけであります。  それでそのような場合と、それからこの三十二條の扶助金の支給とはどういうことになるかということにつきましては、一つの問題があろうかと思います。私からはちよつとお答えいたしかねます。
  46. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 その問題について赤十字のかたにちよつと伺つておきたいのでございますが、現在赤十字病院に勤務しておられますような人で、業務上の災害を受けましたときには、これはどういうふうに補償されておりましようか、ちよつと現在の状況をお伺いいたします。
  47. 伊藤謹二

    参考人伊藤謹二君) 余り実例にぶつつからないのでございますけれども、現在若しそういう事態が起りますれば、労働基準法の示すところはよつて処置するほかないと考えております。
  48. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 よくわかりましたでございます。公務員は国家公務員災害補償法があり、それからその他の者は労働基準法というものがある。そういたしますと、この三十二條が非常に矛盾したよう感じるのでございますが、改めて安田局長に伺いたいと思いますが、厚生省ではこの災害救助法の一部を改正なさる御意思はございませんか。
  49. 安田巖

    政府委員安田巖君) 災害救助法に基きます扶助金の額は前から井上先生御指摘になつておりますが、昨年来財務当局とこの点につきまして折衝いたしております。今までのところでは扶助金の受給の実績は、療養扶助金を除いては殆んどないような状況でございますので、そういう点で都道府県から格別強い要望もないというようなことで、現在のところでは低いものになつております。併し私どもはこれはやはり是正すべきものであろうと考えますので、国家公務員の災害補償法による補償金程度までは上げるように更に努力をいたしたいと思います。
  50. 藤森眞治

    藤森眞治君 ちよつと副社長に今の点でお伺いしたいのですが、業務上の災害の場合には労働基準法によつての補償をすると、こういうことでございますが、併し救護業務ということは常時あるわけではないので、臨時突発的のものでございますので、そういう臨時の雇用関係で、それがすぐに労働災害補償、これに当てはまりますか、どうですか。
  51. 伊藤謹二

    参考人伊藤謹二君) 実はそこに問題があるのでございまして、本社の現在病院なり診療我に勤めておりまする者に対して、本社の職員に対して業務上の命令として災害救護に出動させますと、これは何と言つても労働基準法の適用を受けるわけでございまして、先ほど井上ざんのおつしやつたのはその点に関してだと思うのでございますが、ところで現在本社の経営しております病院、診療所に勤めていない、いわゆる在郷看護婦と申しますか、そういつた人が救護員として出動した場合には、これらの救護員と赤十字社とは雇用関係に置かれておりませんので、従つてその間労働基準法に基く災害補償という問題が起らないわけなのでございます。ところでそういつたような人が災害を受けた場合に、これにまあ何としても補償をいたさなければなりませんが、その補償は何を基準にして行くかということになれば、現在の法制の建前からいえば、災害救助法に基いて当該官憲が一般の人に或いは医療関係者に出動を命じて救護業務に従事さす、その者が負傷若しくはその他の災厄に会つた、それの補償をこれに準じて行うのが適当ではなかろうか、こういうふうなことで、この法律案としては災害救助法を準用することに立案されたのだと思うのであります。  ところで先ほどお話ように、災害救助法に基く補償額が現在の実情から申しますと非常に少額でありまして、仮に同一場所で現在勤務しておる者と応召して来た者とが同時に同じ災害に遭遇したような場合において、一方は労働基準法で行く、一方は災害救助法で行くということになりますと、その間何としても権衡を失するものが出て来ることと思う。赤十字社といたしましては、勿論法律上の義務としては、災害救助法の命ずるところによつてその金額は支出いたしますが、そういつた事態が発生した場合には、これは法律上の義務以外に、赤十字社といたしましては何としても権衡のとれた補償をいたさなければならぬというふうに考えておるわけでございます。ただ法制の建前としては、現在のところはこの法制で行くよりほかはないのじやないかというふうに私ども考えられますので、将来社会局長の言われるような災害救助法自体が改正されれば、その間非常に権衡のとれた結構なことになるのじやなかろうかと考えておる次第でございます。
  52. 藤森眞治

    藤森眞治君 これは非常に大事なことなので、災害救助法が今後改正されればそれにはまつてつて、ほかの災害補償と同じようになれば、これは問題になりませんが、只今お話ような場合で、ほかとの均衡を失わないようにしなければならんということはわかつておりまして、法的根担がない場合にはこれは実現の仕方にちよつと困る。こういうことになりますと、どつかに明確にしておかないと、これは一般の救護員の問題にかかつており、あなたの心持はそうであつても、必ずそうは実行できないという問題になつて来るのですね。これは何とかそれを現わす方法を講じなければならぬということになりますが、何かこれ以外においてそういうようなことができるというお考えはございますか。
  53. 伊藤謹二

    参考人伊藤謹二君) 私も余り法制に通暁いたしておりませんけれども、現在の建前としては災害救助法そのものが改正されることが一番望ましいことじやないかというふうに考えられるのでありますが、併し災害救助法がいつ改正されるかわかりませんから、その改正の実現を見るまでの間は赤十字としては法律上の義務は義務として、道義上の責任といいますか、そういつた面では遺憾のない処置をとつて参りたい、こういうふうに考えておるわけであります。
  54. 中山壽彦

    中山壽彦君 先刻から赤十字社事業資金関係についていろいろお話を承わつたのであります、が私はこの赤十字社病院、特殊法人たる赤十字社病院の経営というものは、こういうような時世になりますというと相当困難が伴うよう考えておりまするが、今後その経営方針はどういう方針の下に運営をされまするか、その点についての御意見を一応承わりたい。
  55. 伊藤謹二

    参考人伊藤謹二君) 本社赤十字社病院の経営につきましては衆議院でもいろいろ御議論のあつたところでございまして、大体衆議院におきましては独立採算制を維持して行くべきだというふうな御意見であつたよう承知いたしておるのでございますが、私ども赤十字社病院の経営方針としては、経営的な歳出は経営的な收入で賄つて行くという方針をとる以外には、今日のところ赤十字の財政が許しませんので、今後も当分の間そういういつた方針を少くとも維持せざるを得ない状況に置かれておるわけでございます。ただ赤十字の経営します病院が、公的医療機関として單に患者の治療、看護をするのみでなく、その他の部面において大いに公的医療機関としての積極的な社会福祉増進上の活動、公衆衛生増進上の活動、そういつた部面を行うべきではないか、こういつたような御意見もありますし、私どもも又同様の意見を持つておるのでありますが、そういう部面の活動を充実して行くがためには、到底病院の收入を以て賄うわけには参りませんし、又そういつた事業に要もる費用を病院収入で賄うべき性質のものでもないと考えておるのでありまして、そういう方面は赤十字の他の財源からこれらの病院の事業費に充当するようにいたして行かなければならんと考えておるような次第であります。
  56. 中山壽彦

    中山壽彦君 この赤十字社の病院が今全国的に相当あるのでありますが、今後もやはり全国的にこの赤十字社病院を新たにお作りになる御方針はありますか、それも一つ……。
  57. 伊藤謹二

    参考人伊藤謹二君) 終戦後災害救助法が施行されまして災害救助の一翼である医療救助について赤十字法律上の義務を背負うようなことになりました。そういつた義務を完全に遂行して行くがためには、或る程度赤十字が病院網を維持しておらなければなりません関係上、赤十字の経営します病院についての一種の病院網計画といつたようなものを考えたわけでございます。そういつた併し理想計画は一朝にできるわけではございませんので、今日までのところ少くとも一県に一病院は持たなければなるまい、現在全然病院を持たない支部もございます。そういつた支部に災害救助活動を十分に遂行させるためには、是非ともそういつた支部に一応病院を持たせることが必要である。少くとも取りあえずの目標としては一支部一病院は最低限持つて行こう、こういうよう方針で参りました。現在でも九州の佐賀県であるとか長崎であるとか、宮崎或いは北陸の石川であるとか、こういつた四つの県が現在病院を経営いたしておりません。そこらの支部では何とかこういつた病院を持ちたいというふうな意向を持つております。本社としても持たして行きたいという希望を持つており、差詰めそういつたような目標を抱いておるわけでありますが、そのほかに地方の無医村地帶で赤十字社の診療機関を是非経営してもらいたいというふうな希望の申出がしばしばございます。私どもその地方の開業医のかたがたと摩擦が生じない限り、そういつた方面で赤十字が余り無理をしないで財源の調達もでき、地方の要望に副うことができるならば、そういう部面では新たに診療所を開設するというふうなこともあり得ると思うのでございます。  極めて大ざつぱな御説明でございますが、一応お答え申上げます。
  58. 中山壽彦

    中山壽彦君 病院の経営が非常に時節柄困難であるということは私どもも十分に了解いたしておるのでありますが、今後この赤十字社が進展をしてその使命を遂行いたしまするのには、よほど当局のかたも飛躍的な覚醒をいたして行かなければなりませんと同時に、私は政府当局に対しても、只今ような実情でありまするから、この法に基く監督助成というものをどういう方針でやられるか、これはよほど十分なお考えを持つてなさらなければならない。赤十字社当局の改革だけでは行けない、政府もごの監督助成に関する理想的な一つ方法を立案をされて、この赤十字社の使命の遂行ということにお進みにならなければならなければならないと思いますが、又先刻も十分研究もしておらんということでありますが、そういうことでは私はいかんじやないか、むしろ政府当局は今後赤十字病院はどういう方針で行くのだ、こういうようなことをはつきり発表されたらどうか、こういうふうにも考えるのですが、一応社会局長のお考えを承わつて置きたいと思います。
  59. 安田巖

    政府委員安田巖君) 赤十字社に対する監督助成につきましては、この法案にございます監督の條項に従いまして遺憾なきを期したいと思うのでありますが、なお赤十字字社の自主性を失つてはならないという規定もございますので、そういう点も考慮しながら十分に監督を加えて参りたいと思います。なお助成につきましては先ほど申上げましたようにいろいろ赤十字社に関する諸條約に基く国の業務でありますとか、非常災害時における国の救護に関する業務とかありますけれども、前者につきましてはこれはまだ具体的に今すぐどうというところまで私ども考えが及ばないのでございますこれらについても更に情勢が具体的になるようなことになりますならば、よく日赤とも打合せをいたしまして研究いたしたいと思つております。それから又それについての必要な施設等については考えなければならないと思います。  又非常災害時における国の救護に関する業務というものも、今のところの建前では地方の府県知事が一応災害における救助の主体となつておりますのが現在の災害救助の建前でございます。なお又三十三條におきめになつておりますようなことがもつと大きな災害のことをお考えになつておるかも知れないのでありますが、或いは中央でそういうことを考えなければならないような場合がございますならば、私どもも十分日赤協力いたしまして考えて見たいと思います。設備等にいたしましても、日赤の過般の御説明によりますというと、或いは病院車でありますとか救助用の舟艇でありますとか、いろいろお考えになつおるようでありますが、そういう点も十分研究して見たいと思つております。赤十字病院のお話がございましたけれども、今中山委員の御質問趣旨に丁度当てはまるよう考えを実は持つておりませんが、これも今後十分研究いたしまして善処いたしたいと思います。
  60. 中山壽彦

    中山壽彦君 只今赤十字社当局から無医村の解消のために赤十字社の直属の診療所、或いは病院を置きたいというお話がありますが、この無医村解消に対しては、赤十字社事業として当るほうがいいかどうかということは、一つ政府としてもよくお考えを願わなければならんと思いますので、差当りごの社会局長のお考えについて何かございましたら一つ
  61. 安田巖

    政府委員安田巖君) 私先ほど日赤のかたのお話を承わつたときに、救護活動をいたしますわ合に、日赤の支部がある府県において、中心になる日赤が病院がない場合には困るから、そういう所は今後病院を設けて行きたいというお話ように承わつたのでありますが、無医村のことにつきましては、これはいろいろ現在厚生省いたしまして、公的な医療機関の整備のほうの考え方もございますし、又国民保険のほうの直営診療所のほうの考え方もあるのでありますが、そういう細かい部分にはやはり村なり、そういつた国民保険をやつておるというようなところが主体にならなければ、やはり無医村は解消できないのではないか、こういうふうに私は思つております。なお従来日本赤十字社が常に巡回診療等におきましてそういう点で非常に貢献な育つておることは私ども感謝いたしておる次第であります。  それから災害救助の場合の中心的な医療機関として日赤病院が必要だというふうなお考えにつきましては、私ども日赤にこの医療の救助を委託いたしますならば、そういうことも私は必要になつて来るのじやないか、こういうふうに考えております。
  62. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 元へ戻りますが、念のために社会月長にちよつと伺つて置きたいと思いますが、三十二條の扶助金の問題でございます。国家公務員には国家公務員災害補償法によつて、その他の者は労働基準法で支給される。それで只今の災害救助法は御承知ように非常に額が低い、赤十字においても何とかしたいという意思表示が出ておりますので、厚生省では将来災害救助法を改正するというような御意向もおありのようでございますが、災害救助法は赤十字の救護だけではございませんで、災害救助に当つた者全部にこれが適用される法律だと思いますので、この際この法律の扶助料を只今のこの災害救助法よりももつと増額して、この法律案の中へ明記して置いたほうがいいんじやないかと思いますが、ちよつと御意見をお伺いいたしたいと思います。
  63. 安田巖

    政府委員安田巖君) 災害救助法の金額を直すことでございますが、これは成るべく早く大蔵省と折衝いたしたいと思います。この場合直して置いたらどうかというような御意見でありますが、できれば災害扶助一般につきまして適切なそういう処置ができますればこの際やつて置いたほうがいいんじやないかと思いますが、と申しますのは先ほど人事院の岡部法制局長からもお話がございましたけれども、現在の災害救助法に基くところの補償でございますが、これは今の政府によりますというと、大体金額が少いものですからそれを平均するような恰好になつております。併しこれを若し一般の公務員の災害補償法に基くところの災害補償の額まで上げますならば、それはその間の調節というものを一体考えて見なければならん。一つ財源の裏付け、一つはそういつたような他の法令に基くところの災害扶助等についての関係等の調整から考えまして、できれば一般にいたしたい、こういうことであります。それから先ほど私日赤の病院のことを申上げたのでありますが、勿論日赤が何でも彼でも今病院のない所には建てなければならんという趣旨で申上げたのではないので、いろいろその地方における医療機関その他との関連もお考えの上で、そうして日赤がこういうような重大な使命を持たれるということも併せ考えて研究さるべきものだと、こういうふうに考えております。
  64. 藤森眞治

    藤森眞治君 日赤の医療機関のことにつきまして前回の委員会でも私は申上げたのですが、日赤病院はすべて公的医療機関に指定されている限りは、どこまでも医療法による公的医療機関の性格を出さなければならんことはこれは疑いないところであります。殊にこれは前回申上げたように厚生大臣がこれを命令するかどうかということになつておりますが、併しながら現在までの制度であれば或いはそういうことも許されるかも知れない。併しここに新しくこういうふうな特殊法人を作つて行こういう際にこそ、本当の公的医療機関の性格を出してもらいたい、そのためには仮に衆議院のほうで或いは独立採算制という考えが出ましたかも知れませんが、併し公的医療機関というものが独立採算制をとつて行くということには私は少し疑問を持つておるのですが、これは恐らく御同感だろうと思います。そうするとこの際どうしてもそういう独立採算制というような観念は改めてもらわなければならん、こういう考えを持つのでありますが、如何でありますか。
  65. 伊藤謹二

    参考人伊藤謹二君) 赤十字の病院の動きとして、公的医療機関にあらざる普通の病院と同じ活動部面がございますが、そういつた活動部面については私は独立採算で行つていいと思うのでありますけれども只今お話よう赤十字は公的医療機関としての使命を発掘しなければならん、そういう部面の所要財源というものを診療收入から支弁するということは、いわば患者の負担においていろいろな事業を行うということになるわけでありまして、そういつた公的医療機関としての社会的活動といいますか、そういう部面の活動を今後赤十字としてもできるならば擴張して参らなければなりませんし、それに要する財源は診療收入から支弁しないで他の收入から支弁して行く、従つて赤十字の経営します病院が、本当に公的医療機関としての十分な活動をして行く場合には、独立採算はこれはできないと、こういうふうに私ども考えておるわけであります。
  66. 藤森眞治

    藤森眞治君 施設その他において公的医療機関の性格を持つために、現在の診療收入その他で賄えないということは、これは同感であります。併しこの診療部面におきましても、公的医療機関としては一つの公的医療機関の診療報酬或いは診療收入というものは当然出て来なければならん、殊に公的医療機関に対しては厚生大臣が報酬についても関與することができるようになつておる、厚生大臣がこうこうしろということよりも、現在公的医療機関としてはどういう方法で行くべきかということについては、大よその線はわかつているわけであります。殊に現在のように社会保險或いはその他いろいろな社会保障に関するような医療が非常に発達しております今日、どれが公的医療機関としてとるべき診療收入なり或いは診療報酬かということは明確に出るわけです。だから私の申しまするのは、そういう部面から少くも新らしい赤十字社としては、これが公的医療機関としての診療收入なり或いは診療報酬であるということを国民によく知らしめることが、先ほども井上委員もおつしやつたような、赤十字社員であるということが一つの誇りであるということは、そういうところからも出て来る、こういうふうに考えるのですが、医療方面の診療そのものについても公的医療機関としての性格を持つてもらわなければならん、こういうことです。
  67. 赤松常子

    ○赤松常子君 私は少し遅れて参りましたので、もう御質疑が済んだことかと存じますので、そうであつたらお許し願うといたしまして、ちよつとお尋ねしたいのでございます。   私は先ほどから赤十字当局者のお話の中に、非常に財政的に苦しいお話が出まして、実は意外に思つた次第でございます。と申しますのは、非常に赤十字は古い歴史がございますし、昔から特別社員であるとか或いは普通社員の門標が村々町々に参りましても、大抵の資産家の家にはかかつている姿を見たものでございますし、非常に私はそういう面は充実してやつていらつしやるのだと思つたのでございます。毎年全国大会は盛大に行なつていらつしやいますし、皇后陛下も御臨席になつて、御激励していらつしやるようなこともございますので、非常にこの社業も安泰で、財政も健全化されていると思つたのでございますが、そうでない実情を伺いまして、実は不思議なんでございますが、どういう欠陷があつたのでございましようか、そういう点をちよつと伺つてみたいと思います。と申しますのは、今度新らしく法律が出ましても、そういう過言いろいろな欠陷が反省されませんと、この法律の運営も十分効果を挙げ得ないのじやないか、こう思う次第でございますので、当局のかたの御苦労もございましようが、どういうところにその行詰つた欠陷がおありになるのでしようか、どこにお話ようになつた原因がはらんでいたのでございましようか。
  68. 伊藤謹二

    参考人伊藤謹二君) 最初に藤森さんのお話でございました、赤十字の経営します院の医療行為部面自体について、公的医療機関として独立採算をとることは如何かというふうな御意見でございます。私ども病院を経営いたしておりまして、入院或いは外来の患者のうちで、生活保護法の適用は受けないけれども、併しながら実際において非常に医療費の支弁に困窮しておられますかたが相当多数にございます。そこで現在各病院に漸次医療社会事業部なるものを設けさせまして、そういうかたがたの、これはひとり経済部面だけではございませんけれども、併しやはり医療社会事業部の最も活動いたしますのはその経済部面が多いのでございまして、そういうかたがたのお世話をいたしております。生活保護法の適用を受けるかたには適用を受けるようにお世話をする。併しどうしても生活保護による医療保護が受けられないかたで、而も医療費の支弁ができないというかたが相当多数ございますので、そういつたかたに対する診療費の軽減の問題、これは赤十字としては相当大きな問題でございまして、現在でも各病院でできるだけのことをいたしておりますが、又若干本社なり支部の経費から医療社会事業部に廻します金がそういう部面に充当されておることも事実でございますが、そういう部面に今後赤十字がどんどん手を擴張して行きますということになりますれば、お話通り独立採算というふうな看板は到底かけることのできないようなことになるわけでございます。現在のところでは、各病院の経営を合理化する意味から申しましても、いろいろな面からいたしまして、一応普通の患者に対する診療は診療收入を以て支弁して行くような、不完全な独立採算でありますけれども、まあその方針でやつて行けと、こういうような指示でやつておるわけであります。将来永久にそれがいいとは私どもも決して考えていないのでございます。財政が許しますならば、本当に公的医療機関らしい姿に持つて行きたいものとは心から念じておるような次第でございます。  それから只今赤十字の財政がどうしてそんなに窮屈になつたかというふうな御質問でございます。御承知ように戰前における赤十字というものは、これは民間団体としては。恐らくこれくらい財政的に恵まれた団体はなかつたであろうと思うのです。相当巨額の基本財産を持つておりまして。極めてしつかりした経理をして参つたわけでございますが、御承知ように日華事変から引続いて太平洋戰争、あの長い期間日赤の救護看護婦約三万人を派遣いたしまして、後には外地における看護婦は政府の負担になりましたけれども、相当長期に亘つてこれらの人々の費用を支弁するといつたようなことからいたしまして、赤十字社の持つておりました基本財産というものは殆んど皆無の状態になつたわけでございます。そうして終戰後、一般の国民の風潮が、赤十字というものは、とにかくこれは戰時のためにあるのであつて、今後戰争を放棄した日本としては、赤十字というふうなものは殆んど存在の意義を失つたのだといつたよう考え方が相当広く瀰漫いたしまして、従来赤十字社員としてきちんきちんと間違いなく年の醵出金を出して頂いた社員のかたがたも、終戰と共に年醵金の醵出をしぶられると申しますか、従来通りには円滑に出して頂けないというふうな事情にも直面いたしました。更にその当時の年の醵出金が僅かに三円であつたので、インフレーシヨンの影響を受けて、殆んどそれが赤十字財源としては意味をなさないというふうなことになつて参りまして、財政的に終戰後非常な苦境に陷つたわけでございます。この苦境を打開するがために、一種の募金の運動を起してみたり、或いはその他いろいろな事業を試みたりいたしまして、漸く今日まで凌いで来たわけでございますが、今日におきましては、幸いに国民の皆様の御支援を頂きまして、年々五月に行います募金運動が相当の成果を挙げまして、終戰当時の苦境から考えまするならば、非常に前途に明るい希望を持ち得るに至つたわけであります。私どもこの社法が成立いたしました曉においては、非常に前途に希望を抱きながら、赤十字事業の進展に努めて行きたい、こういうふうな明るい希望を持ちながら進んでおることを御了承願いたいと思います。
  69. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 第二十八條の救護員の確保の問題についてちよつと御意見を伺いたいのですが、実は赤十字の行いますような仕事は、この頃の高い程度の学校で教育を受けております看護婦のか婦のかた、赤十字以上の学校で教育を受けておる看護婦の人たち、保健婦の人たち、助産婦の人たちも、一応地震、火災、その他の風水害というような災害時には自分たちの持つておる技術を活かして奉仕してもいいという希望の人がたくさんあるはずでございますし、又そんな声をどこでも聞くのでありますが、赤十字社はこの救護員の確保というところで、そういう人たちのいわゆる篤志と申しましようか、そういう人たちの気持を汲み入れてお使いになる気持はございませんか、又お使いになるとすればどういうとうに救護員としてお使いになりましようか、奉仕団としてお使いになりましようか、ちつとお伺いいたしておきたいと思います。この頃たくさんの看護婦の学校の卒業生の人たちが、そうした気持に燃えておる人がたくさんあるようでございます。
  70. 伊藤謹二

    参考人伊藤謹二君) 戰時中にも赤十字の養成したものではない看護婦のかたがたに臨時に短期の教育をいたしまして、救護員として採用いたした例がございますことは井上さんもよく御承知のことでございますが、将来もそういつたような必要が起りまするならば、当然そういう方面にも手を染めねばならんかと思うのでございます。なお平時の災害におきましても、赤十字出身以外の看護婦のかたがたで、救護活動に協力してやろうというふうな篤志のかたがありますならば、私ども喜んでその協力を頂きたいものと思います。ただそういつたかたがたを救護員にすぐしてしまうか、或いは奉仕としてお働きを願うかということについては、これは勿論第一に協力を申出される御本人の希望が一番先決問題であります。そのかたがたが進んで救護員になろうというふうな希望をお持ちになる場合には、私ども或いは若干赤十字に関する教育をいたしまして、救護員になつて頂くことも一つの方法ではないかというふうに考えております。
  71. 藤森眞治

    藤森眞治君 もう少し病院のことで承わりますが、只今社長お話では、生活保護法にもかからないような貧困者が相当多数あるというお話でございましたが、曾つて赤十字は施療と申しますか、貧困者を救助するということが非常に大きな目的でございました。ところが最近におきましては、生活保護法の適用によつてこの方面は非常に救われておるはずであります。それで成るほど中には生活保護法にかからない、いわゆるボーダー・ラインの人で、救助を要する人があるということは私は認めますが、併しながら今お話になるように、これが非常に多数であるということには私は考えないので、現在社会保險がこれだけ発達しておりますのと、なおり生活保護法にこれが入つて参りました関係で、そういう人は今非常に少いというふうに私どもは見ております。殊に最近私どもは国立療院について或る程度調査をいたしましても、現状はその通りであります。そうしますると今おつしやるようなことが必ずしもその理由にならないのじやないかと思うのですが、併し何か赤十字という関係からそういう貧困者の救助件数が非常に多いということになればでき得ればどのくらいございますか、資料として頂きたい。  それからその次に資料として頂きたいのは、こういうたくさんの病院並びに診療所を持つておいでになりますので、先般これについで私は伺いましたのでもありますが、今後新しい赤十字が発足されて、どういうふうな運営計画を以て運営されまするか、中央機構から末端の機構に及ぶ運営計画というものを一つ承わりたいのであります。  それからついでに資料をもう一つお願いしたいと思いまするのは、赤十字社の本部とそれから支部の事務的の機構と申しましようか、それからそれがどういうふうな所掌事務を持つておるかという、これは資料を頂いたかも知れませんけれども、出ておりましたら結構ですが、ございませんようでしたら頂きたい。  それから現在の赤十字社の財産目録をできれば頂きたい。これだけの資料を頂きたいと思います。
  72. 谷口弥三郎

    谷口弥三郎君 私も病院の点でちよつとお伺いいたしますが、先刻来いろいろとお話がありました中で、まあ赤十字病院或いは赤十字の診療所というものは、公的医療機関だということはこれは言うまでもないことであります。殊に特殊法人になろうとしておるような次第でありますから、地方に参りますというと、最近でも診療所を作られて、やはりその設備費は全部その診療所の負担においてさせるという向がかなりあるので、非常に支部並びに診療所の主任が困つて、何とかしてそれは独立採算制で働きはいたしますけれども、経営の面には参加いたしますけれども、その設備までをやらせられることは非常に困るということをよく聞くのでございますが、多分これは本社と支部との連絡が悪いのではなかろうか、殊に本部のほうにおいて医療に対するところの方針と申しますか、指導と申しますか、そういうのが完全に行つておらんのじやないかしらというようなふうに思うのでございますが、その体について中央と地方との医療の面の指導方法などを一つお話ができたらお伺いしたいと思います。
  73. 伊藤謹二

    参考人伊藤謹二君) 本社の地方における診療機関の新設の場合とか、或いは改造の場合に、地元の支部なりその他に対して本社が面倒を見ないで、支部が困つておるというようお話がございましたが、確かに地方によりましてはそういう現象はあろうかと思うのです。私ども方針といたしましては、先ほども申上げましたように、災害救助に関する一種の病院網といつたようなものを頭に描いて仕事を進めておりますので、地方の診療機関として是非我々の本社のほうでこれは作らせたい、診療機関は、支部によりましては、もうすでに現在ある診療機関で一応まあ態勢が整つておるので、その支部としてはまあ大体現在の段階ではそれでいいのじやないかといつたような支部がございます。ところでそういつたような、現在の段階といたしましては一応整つた支部といたしましても、地方の要望によりましては或いは新たに診療所を設けたいとか或いは診療機関を擴張したいというふうな希望を持つところが相当にあるわけでございます。そういつたように、支部に対しましては本社といたしまして、本社のほうから財政的な援助を與えるわけに行かないので、その支部自体の調達し得る財源でやつて行き得るならばそれでやつてつてもらいたい、こういつたよう方針でやつておりますので、或いは支部によりましてはさようなことで、折角擴張したいのだけれども財源はない。本社も面倒見てくれんというようなことでこぼしておるところもあり得るかと思うのです。
  74. 山下義信

    山下義信君 私は一つだけ承わつておきたいのです。成るべく本決案は同僚諸君の許しがあれば、できるだけ早く上げるようにいたしたいと思いますので、一つだけ承わつて、私の質疑は本日終りたいと思うのです。  本法案成立後におきまして日赤当局者におかれましては今後日赤社内の刷新、事業計画等につきまして如何なるお考えと如何なる決意を持つておられるかということを、この際特に島津社長から私は承わりたいと思うのです。  その前にいま一つは、伊藤社長に先ほどから同僚諸君から非常に入念な御質疑がありまして、つまり日赤の持つておる病院の経営方針、その運営方式につきましていろいろ御質疑がありましたが、まだなかなか御質疑が盡きかねるように見受けておるのでありますが、これは私は非常に重大で、それで日赤の救護業務たるや、日赤の持つておるあらゆる医療機関の動員、その医療機関の運営方式というものは、以て日赤の死命に直ちにかかわるので、私はこれは非常に重大である。言葉は独立採算というようなことを言うが、その独立採算の実態が、本社の指揮命令権が非常に稀薄となり、分離され、又その弊の及ぶところや、当該病院の職員、いわゆる職員の寄合い商売みたいなことになつて、独立採算という美名は非常によいけれども本社の指揮命令は及ばず、そうしてその病院を母体としてそうして従業員が、悪いことを言うならば私利、私益にまでそれが逸脱するという虞れがあつたのでは独立採算の意味をなさない、そういうことになりますと、本社の持つておる医療機関というものは半身不随になる。私はそういうことより、弊害より、或いは長所より考えなければならんことは、将来この本法日赤に嘱望するところの重大使命、従つて政府のこれは干渉でなく、これは又明日私伺いたいと思いますが、非常によき意味の協力をする、赤十字の自主性を尊重し、国がそのお仕事に協力するという建前をとつて補助ということをやる以上、独立採算制というがごときことをやつてつてよろしいかどうか、首尾一貫するかどうかということは非常に根本的に考えなければならんと私は思う。ですからそういう点につきまして最高幹部各位はよく御考慮を願いたい。  只今私の申上げました本法成立後におきまする日赤社内の革新、刷新というようなことにつきましての社長の御見解を承わつておきたいと思います。
  75. 島津忠承

    参考人島津忠承君) 私からお答えを申上げます。  本法制定されました後の社内の刷新、事業計画、今後の赤十字事業を推進いたします熱意等につきましてでございますが、率直に申上げますと、日本赤十字社法公布の日から六カ月以内に新役員を選定して、新らしい赤十字社の出発をすることになつておりますので、お尋ねの点は、本法制定趣旨を体して新役員並びに新らしい代議員会においてその方針、施策が決定せられるべきものと存じますが、日本赤十字社に長らく関係をいたしておりました者といたしまして、又将来赤十字のことについて深い関心を持つております私といたしまして、次のようなことを申述べさせて頂きたいと存じます。尤も先ほど来いろいろお尋ねもございまして、私も一言お答えを申上げまして、又伊藤社長からも縷々お答えを申上げておるのでございますが、今後の日本赤十字社のあり方等と申しますことにつきましては私先ほども御答弁申上げましたが、第一に社員制度確立ということが第一であろうと存じます。この社員制度確立は、單に日本赤十字社の今後の財政的基礎確立いたすばかりではございませんで、いわゆる社員意識の高揚を図りますこと、これが今後の赤十字事業を強力に推進いたして参ります根本となるものと確信いたしておるのでございます。従いまして今後日本赤十字社は、全機構を挙げまして社員の増強に当らなければならないと存ずるのであります。  次に本部、支部におきます機構並びに人事の問題がございます。日本赤十字は終戰後定款を改正いたしまして、一応機構並びに人事の刷新をいたしたのであります。今後本法制定後におきまして一層事業の推進をいたしますために、本部並びに支部におきまする機構並びに人事の刷新を一層強く行わなければならないのではないかと存じます。役員はすべてより以上民主的な方法によつて選出いたさなければならないと存じます。又本部、支部におきます事務機構を改善いたしますと共に、人事交流等によりまして事務体制の刷新を図るようにいたさなければならないと存ずるのであります。  更にこの赤十字の業務の刷新であります。事業の推進についてでございますが、御承知よう赤十字事業赤十字国際会議或いは赤十字社連盟理事会の決定に基きまして、赤十字の指導原理等に従いましていろいろの事業を行なつておるのであります。日本赤十字社の現在行なつております事業も各国赤十字が行なつております事業のうち、行なつておりませんものは殆んどないほどに、広汎な事業を行なつておりますので、本法制定されました以後に、新たに新らしい赤十字事業として採用いたすものは殆んどないのではないかと思うのであります。現在の事業をより以上に推進して行かなければならないのではないかと思うのであります。  先ず第一に赤十字の国際関係でございます。赤十字の国際関係は最近非常に複雑になつてつておりまして、現に昨日からカナダのトロントで赤十字の国際会議か開かれております。国際的に考えますと、国連と赤十字関係とか、或いはユネスコと赤十字関係とかいうことで非常に複雑になつてつて来ております。これらはすべて赤十字国際会議におきます決定の方針に従いまして今後推進されなければならないと存ずるのであります。又この事業の面でございますが、いろいろ先ほど来病院の経営とかのことについてお尋ねもございまして、それぞれお答えも申上げておりますが、先ず第一に一層擴充いたさなければならないものは災害救護の業務であろうと存じます。で、殊にこの災害救護につきまして今後考えられますことは、国際的な災害救護の業務であろうと存じます。赤十字国際会議におきましての決議等におきましても、今後赤十字は国際的な災害救助に大いに乗り出すということを強調しておるのでありまして、国内的に考えましてもこの災害救助業務は非常に今後重要なことであろうと存じます。去る四月から血液銀行を東京に開設いたしましたが、更に血液銀行を増設するとか、或いは機動力を整備いたしますとか、災害救護に関します事業は今後従来に増しまして一層広範囲に且つ大きく推進して行かなければならないものであると存ずるのであります。本法制定せられました曉には、赤十字国際委員会におきまして各国赤十字を承認いたします承認の條件がございます。その中に戰時においては軍の衛生勤務を補助する業務を赤十字が行うこと、これは現在の日本は軍備を持つておりませんので、軍備を持たない国においては常民のための事業を実施する篤志救恤協会及び公共機関の補助機関として、その国の政府によつて正当に承認されることという條件がございます。本法が規定せられました曉には、この日本赤十字社政府によつて明確に承認を受けることになりますので、今後の活動に大きな基盤を持つことになると存ずるのであります。なお本法制定後に赤十字は新たに定款を改正いたしまして、新らしい赤十字社の出発をいたさなければならないのでございますが、この定款の改正につきましては、以前に一つの草案は持つてつたのでございますが、衆参両院の本法審議のうちにお示しになりました御意見を体しまして、更にこの原案にいろいろ改正を加えまして、十分に皆様がたの御意見を体しまして、新定款を先ず作成いたさなければならないと考えております。この定款が総会において決定せられまするまでには、何らかの方法によりまして皆様がたの御支援を十分に預きたいと思つておる次第であります。
  76. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) 伊藤社長、何かありませんか、簡單に一つ
  77. 伊藤謹二

    参考人伊藤謹二君) 先ほどの山下さんの御質問でありましたが、御質問のうちに熱烈な御意見の開陳がありまして、私ども全く同様に感じておる次第でございます。ただお話のうちに赤十字の経営について若干疑念を抱いていらつしやるように思うのでございますが、赤十字の経営いたしております病院についての経営権については、本社でしつかりこれを握つておりますので、病院の予算、追加予算は全部本社の役員会を通過しなければ実施できませんし、又本社の病院の副医長級以上の医員、看護婦、監督、事務長、薬剤長といつたような職員につきましては、本社で直接任命権並びに俸給の発令権を持つております。それ以下の職員につきましては、各支部長が人事権を持つておるような次第であります。而もその俸給については一定の基準を設けておりまして、決してその基準を侵すことを許しておりませんし、又臨時の賞與或いは年末の賞與といつたようなものもすべて本社の承誌の下に初めて支給し得るというふうな厳重な統制を加えておりまして、決して各病院の従業員が寄合いで自分勝手に、独立採算で勝手にやつておるというようなことは、全然ございませんので、その点は一つ御了承願いたいと思います。
  78. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) 大分時間も過ぎましたが、午後の連合委員会がございますので、当委員会はこれを以て散会いたします。    午後零時五十七分散会