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1952-07-04 第13回国会 参議院 厚生委員会 第31号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年七月四日(金曜日)    午前十時四十一分開会   —————————————   委員の異動 六月三十日委員堂森芳夫君辞任につ き、その補欠として赤松常子君を議長 において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     梅津 錦一君    理事            長島 銀藏君            井上なつゑ君    委員            小杉 繁安君            中山 壽彦君            常岡 一郎君            藤森 眞治君            河崎 ナツ君            赤松 常子君            谷口弥三郎君   政府委員    厚生省公衆衛生    局長      山口 正義君    厚生省薬務局長 慶松 一郎君    厚生省社会局長 安田  巖君   事務局側    常任委員会専門    員       草間 弘司君    常任委員会専門    員       多田 仁己君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○小委員長報告結核新薬に関する件 ○らい研究所設立等に関する請願(第  五六一号)(第六二四号」 ○国立らい療養所菊池惠楓園病床増  設に関する請願(第一五八七号) ○国立松江病院整備拡充に関する請願  (第二四三五号) ○ああん摩はりきゆう試験制度廃止反  対等に関する請願(第二四七四号) ○結核対策に関する陳情(第一二一三  号) ○松本、長野両国立病院存置に関する  請願(第二五六一号) ○国立松本病院信州大学医学部に移  管の請願(第二六〇〇号)   —————————————
  2. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) それではこれから厚生委員会を開きます。  先ず癩に関する小委員長報告をお願いいたします。
  3. 谷口弥三郎

    谷口弥三郎君 癩に関する小委員会におきましての請願審査の結果について御報告申上げます。  大月二十日審査いたしましたものは、請願第五百六十一号及び六百二十四号、らい研究所設立等に関する請願でございます。なお千五百八十七号、国立らい療養所菊池惠楓園病床増設に関する請願の三件でありましたが、審査の結果、いずれも議院会議に付して内閣送付を要すべきものと決定いたした次第でございます。  以上御報告申上げます。
  4. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) 小委員長報告通り承認するごとに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) ではさよう決定いたします。   —————————————
  6. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) 次に、医療に関する小委員長報告をお願いします。
  7. 藤森眞治

    藤森眞治君 医療に関する小委員会におきましての請願陳情審査の結果について御報告を申上げます。  昨三日の小委員会におきまして審査いたしましたものは、請願四件、陳情一件でありまして、請願二千四百三十五号、二千四百七十四号及び陳情一千二百十三号は、病院整備拡充結核対策等に関するものでありまして、以上三件は議院会議に付して内閣送付を要すべきものと決定いたしました。  又請願二千五百六十一号及び二千六百号は国立病院の移管問題に関するものでありますので、保留することと決定いたしました。  以上御報告いたします。
  8. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) 以上の通りで御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) ではさよう決定いたします。   —————————————
  10. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) 次に、結核新薬に関する件を議題といたします。薬務局長が見えておられます。
  11. 藤森眞治

    藤森眞治君 薬務局長にお尋ねしたいのですが、先般医療に関する小委員会におきまして結核新薬についての経過を承わりました。第一回におきましては、たしか六月の十日に経過を承わつたと思うのであります。当時まだ全然これを製造販売等意思がないという御意見でありました。ところがたまたま十六日の日刊新聞に突如製造販売許可なつたという記事が出ましたので、翌十七日にその様子を承わりました。ところが急に薬事審議会決定によつてそういうふうになつたのだということで、一応経過については了承いたしましたのですが、先般それについて結核療養研究協議会ですか、そのかたがた或いは薬事審議会等かたがたから、当時の審議経過なり又はこれに関するいろいろの参考意見を承わりました。ところが参考人の或る人は、すでに六月九日に薬務局長からこれを認可することの了解をしてくれというお話があつた。それから又或る参考人からは、十一日に薬務局長からそういう話があつた、こういうことを述べておられます。そうしますると、十日に我々が御意見を聞いたときにはまだ全然そういう意思がないというお話があつたにもかかわらず、すでに事前においてそういうふうな御計画があり、又了解的の御交渉もあつたということになりますと、委員会というものは一体どういうわけで真相を漏らされないような委員会であるのか、委員会のこれは権威にかかわることであります。又その間にどういうふうな事情があつて委員会でこれを十分に述べて頂くことができなかつたか、こういうことにつきまして、私どもは非常に遺憾の感を抱いております。これについての薬務局長の御所見を承わりたい。
  12. 慶松一郎

    政府委員慶松一郎君) 仰せのことは誠に御尤もでございますが、私は十日の日に確かに委員会では私は目下研究中であるということを申上げた次第でございます。と申しますわけは、先ほど仰せになりましたように、九日の日にこういうことにしたいがというような意味のことは申したのでございますが、ところがその際のお答えとしましては、それはそういうことは簡単にきめられんから十一日に委員会があるから、その際にそこで一つ全然フランクにそういうふうな話をして一つ皆さん意見を聞いたらどうか、こういうお話であつたのです。従いまして私といたしましては、当時何ら決定をいたしておらないのに、実は皆さんがたにそのことを申上げ、且つこれが許可するか否かの問題になりますと、これは又薬事審議会審議を経なくちやなりませんので、その意味におきまして薬務局といたしまして申すことができないということでございますので、何とぞ御了解を得たいのでございます。
  13. 藤森眞治

    藤森眞治君 成るほどきまらん先にまあ言うことはできなかつたとおつしやれば、そうなんですが、併し我々委員会がこの新薬について非常に大きな関心を持つて、そうして成るべくまあ過大評価されないように、又過小評価しても困るし、又これの適用ということについては今国民が非常に期待しておるということで、委員会としては非常にこれは慎重に取扱つておるわけです。そういう意味から言いまして、若し薬務局のほうにそういうい意図があるのであるならば、一応委員会においても、こうふうにも考えておるが、併し薬事審議会の結論を待つてきめるのだというところまでの御説明であれば、我々はこれは諒とするのでございますが、全然あのときにはまだ製造販売許可程度に至らないというお話であつたものですから、我々はもうこれでは前と一向変りないから、まあお話はそれで結構ということにとめたようなわけです。これは本委員会としましても、私は小委員会で非常に遺憾に考えておりまするわけですが、たとえ審議会がきまらないとしても、あらかじめそういうふうな御計画があれば当然そういうお話があつて然るべきじやないかと思う。
  14. 慶松一郎

    政府委員慶松一郎君) ただ全く私は他意はございませんでして、きまつておらないが故に申上げかねたというだけのことなんでございます。と申しますわけは、実は仰せ通り、この問題はその薬それ自身よりも、むしろ何と申しますか、ジヤーナリステイツクに余りに問題にされておるという意味で、一言申しましても、それが非常に重大な影響を与えるということのみ虞れ過ぎたものでございますから、そういうことにいたしました。全く他意はございません。その点は何とぞ御了承を願いたいと思います。
  15. 藤森眞治

    藤森眞治君 すでに前日に、或る一部のかたには御相談にもなつた、けれども、これはジヤーナリステイツク考えても別に心配はないのだというお考えかも知れませんが、小委員会といたしましても、仮にあなたの御意図十分お話になつても、これはこういうつもりだから発表しないようにとおつしやれば、我々委員会のほうは決して発表するものでもないし、又この薬を非常に慎重に扱つているだけ、そのあなたがたのお考えを傷つけることはないはずであります。そういう点はもう少し公明にお話願わないと、今後我々がいろいろなことを考えて行きます際に、非常に大きな支障になるのじやないかということが考えられますので、この点は十分に御留意願いたいと存じます。それからなお次にお伺いしたいのは、この薬が今結核患者から非常に大きな期待を持たれているわけです。従つてこれが製造販売許可ということになりますと、これはまるで餓えたものに飛び付くような勢いで、すべての患者が要求して来ると思うのであります。そこで一番問題になりますのは、これは健康保険のほうについてどういうふうに扱われるか、或いは結核予防法についてどういうふうな取扱いがされるか、或いは生活保護法医療給付の面でどういうふうに扱われるかということについて、あらかじめのお打合せがあつたかということにつきまして、昨日の関係各局かたがたに小委員会におきまして意見を聞きましたところが、先ずそういうお打合せがなかつた、こういうふうに我々は了解いたしましたのですが、こういうふうな非常に国民が大きな関心を持つておる薬品等につきましては、少くもこれが認可される場合には、各省、各局と十分なお打合せの上に万遺憾のない手が講ぜられなければならない、私はこういうふうに考えております。而もそういうことがな上し突然出された、こういうことになりますと、今健康保険でこれを取扱いますということにつきましても、保険局長はまだ容易に取扱うことができないのだ、而もどういうふうに扱つていいか研究データーがなくて、今直ぐにはやれないというようなことを言つております。一方患者はこれは一日を待たずに要求すると思います。そういう点について、どういうわけで十分なお打合せがなかつたかという点を一つ御説明願いたいと思います。
  16. 慶松一郎

    政府委員慶松一郎君) これもむしろ私の考えが及ばなかつたのだと申上げる以外に申しようはございません。ただ併しながら、或る薬をこれを薬事法によつて許可するかしないかということは、全くその薬自身の性質それ自身によるのでありまして、従来の例を考えましても、薬が許可になりましてから、そうしてそれを保険に取上げますまでには或る期間があつたのがこれが普通でございます。従いまして、ただ私ども考えといたしましては、従来の考え方従つたまででございます。
  17. 藤森眞治

    藤森眞治君 従来の一般の薬が売出されてこれが取上げられるまでに相当の時間的のズレがあつたということは我々もよく存じております。併しながら、この新薬に関する限りは国民が非常な期待を持つておる、ここに時間的のズレというものは成るべく少くしなければならんということが現在の情勢であります。而もこの時間のズレができますと保険医療或いは生活保護法医療等におきましても、そのズレが起きると非常に混乱が起きやしないかということがあります。若しこれを普通の一般薬品と同じような取扱いで進むというお考え方であるとすれば、これは薬務局長薬品行政というものについてもう少し深く世情を知るということを考えて頂かなければならんと思うのです。普通一般の例えばビタミンを売出すとか、或いは葡萄糖の薬の場合とこれは違うのでありますから、慎重の上に慎重を重ねて、そういう遺憾のない手を期せられたいという考えでありますが、ただあなたは従来通りだということに根拠を置いておられますが、これは成るほど従来通りのことで行政措置としてはこれは手落ちがないのかも知れませんが、これは実際患者立場保険等立場から見て、それでは私は済まされることではないと思うのですが、如何でしようか。
  18. 慶松一郎

    政府委員慶松一郎君) 全く仰せ通りだと存じます。この意味におきまして、各局とも十分連絡をとりまして、成るべくその点が円満に解決されますように努力いたしたいと存じます。
  19. 藤森眞治

    藤森眞治君 日本医師会から、これについて十分なデータがないので、一応これの使用ということについて考慮されたいという意味の書面が当厚生委員長宛に参つております。のみならず、これは国務大臣のほうにも参つておるように承わつておりますのですが、これについて薬務局長はどういうふうにお考えになりますか。
  20. 慶松一郎

    政府委員慶松一郎君) これらは一般の薬が新らしく売出される場合と全く同じように私ども考えておる次第でありまして、即ち新らしい薬が売出されるのは、それがいろいろな文献その他を医師が十分勉強されまして、そしてそれによつて使われるということが普通でございます。事実輸入しております薬につきましても、日本でのデータが全くないものがたくさんございます。そういうものにつきましても、これは各医師の慎重な御勉強によつて使われておるということが言えるわけであります。又その薬につきましては、日本におきましても、外国におきましても、或る程度臨床報告その他がございまして、大体の指針はそこにあると私どもは存じておりますので、その意味において十分医師指導監督下において、これが使われますならば、その弊害は防げるものと、こう考えておる次第であります。
  21. 藤森眞治

    藤森眞治君 勿論医師指導下に使われることは言うまでもないのでありますが、その医師指導する根拠がないということで、日本医師会はこれについての抗議を申込んでおられたと思うのですが、その点は如何ですか。
  22. 慶松一郎

    政府委員慶松一郎君) これは只今も申しましたように、内外の文献その他から、その文献の写しなり、或いは拔萃なりは必ずそれ自身にも添附されますし、又いろいろな機会にその文献をお医者さんたちは御覧になると存じます。そういう考えでお使い下されば支障がないものと私は考えておる次第であります。
  23. 藤森眞治

    藤森眞治君 医師指示によつて使うことは勿論これは必要なのです。併し現在の情勢から見ますと、必ず医師指示によつて全部扱われるということが期待されない。どうかしますと、直接患者の手に入るとか、或いは医師指示なくして使われる慮れがあるということを私どもは非常に懸念しておるわけであります。これは昨日も小委員会におきましても、谷口委員から縷縷その話がありましたのです。これについて医師指示がなければ使えないということを、どういうふうな方法で厳重にこれを行わせるおつもりでございますか。
  24. 慶松一郎

    政府委員慶松一郎君) これは薬事法の四十一條におきまして、医師指示、又は処方によつて患者に与えるという薬の中に当然そのものが指定いたされますので、そういたしますと、薬局におきましては、医師指示、若しくは処方がなくては一切患者に売れない、或いは素人には売れないということになるのでありまして、これには更に四十四條の規定がございまして、売りました際には記録を取つておかなければならなん、こういうことになつております。勿論この問題は取締上も極めてむずかしい点はございますが、その点につきましては、殊にこの薬につきましては厳重に守るように、極く最近通牒をいたしますように手配をしておるのでございます。なおこの点につきましては、従来とても取締を相当やかましく言つておるのでございまして、細かい数字は実は持つておりませんが、昭和二十五年の統計等記録によりますと、医師指示又は処方箋によらずして売つたというような者に対しましての行政処分を約八十数件やつておるような次第でございます。この点につきましては、今後とも厳重にいたしますように、地方庁の薬事監視員その他を指導いたしたいと存ずる次第でございます。
  25. 藤森眞治

    藤森眞治君 只今の御答弁は、これは当然あるべきことをその通り言われておるのでありまして、従来におきましても、いろいろこの医師指示がなければ売られないという薬が相当医師指示なくして売られております。殊に最近に発生しておりまする集団赤痢現状等を見ました場合に、これには抗生物質の濫用があるということが言われております。その中の全部がこれは医師指示なくして服用したということは言えませんが、併しその中の或る大きな部分が、自分勝手に店頭で薬を買つて飲んだ、そのために保菌者がいつまでも絶えないということを現実に各所で言われております。こういう際に又この薬が同じように、政府のほうとしてはそういう指示を出されて万全を期せられるとしても、従来通り考え方であつたならば、必ず私はそういうふうな状態になると思うのであります。この際に特にこの薬品について、殊に十分なデータのない医薬品については一層特殊な方法を講ぜられる必要があるのではないか。ただ従来通り方法だけで甘んじられておるということについては、少し私は御注意が足りないのじやないかと思います。如何でございますか。何か特別におやりになるお考えはございませんか。
  26. 慶松一郎

    政府委員慶松一郎君) これに関しましては、私は昨日まで地方の薬事監視主任者を集めまして、勿論ほかの事柄もございますが、いろいろ指示を与えまして、特にその点を厳重にいたすように申しておりますし、又その際の監視方法等につきましても、実地についてこれを指導いたしておるのであります。なお私どもが東京都その他の薬局を、薬事監視員をして巡視せしめましたところによりますと、各薬局とも医師指示処方箋によるべき薬の売買につきまして、帳簿を備えておらないのは一軒もございません。帳簿をちやんと備えて、記入等もいたしておるのでございますが、併しながら中には又不心得な者がなきにしもあらずでございまするからして、その点について特に厳重に監視をいたしますように指導いたす所存でございます。
  27. 藤森眞治

    藤森眞治君 先だつて日刊新聞には、この薬はまだ発売されないうちから発売の予告とでも言いますか、そういう広告が出ております。そうして七月一日か二日の日刊新聞には一斉にこれらの広告が出ております。これは非常に今求めておる者の気持を煽つたことになる。尤もこれは商品としての価値から公告するのは無理はないとは思いまするが、併しこれが現在のような状態にある折に、こういうふうな広告をするということは、一面においては私は少し不謹慎じやないかとまで極端に考えられるのであります。こういう点につきまして、局長のお考えは如何でございますか。
  28. 慶松一郎

    政府委員慶松一郎君) すでに昭和二十五年でごいざますが、薬の販売事前広告につきましては、これをしないように、又薬事審議会広告適正基準というものを作りまして、それによりましても薬の販売前におきまする広告は好ましくないと、こういう意見が出ておるのでございまして、私どもといたしましては、そういう点につきましては十分注意をいたしておつたのでございますが、誠に遺憾なことには、事実仰せのようなことが起つたのでございます。併しこれを法的に見ますと、実は今日の薬事法におきましては、すでに販売しておる薬についてのみ取締りがございまして、実はその点についての盲点一つあるのでございます。その意味において法的にこれを取締るということの困難さがございます。これに関しましては、その都度業者を呼びまして、十分厳重な警告を発しますと同時に、業界それ自身にも宣伝の自粛を希望いたしまして、最近も業界の人々に集まつてもらいまして、事前広告につきましては、これをしないというお互いの紳士協約を結んでもらつたという次第でございます。なお広告に関しましては、これは一切許可を受けました事項のみを広告せしめる。そうして煽情的にならないようにするように常々指導いたしておるのでございますが、殊にこの薬につきましては、その点遺憾のないように指導をいたしておる次第でございます。
  29. 藤森眞治

    藤森眞治君 広告につきましては、成るほどこれが法律的に見まして盲点があるかも知れませんが、併し盲点があることは前以てわかつておりますので、殊にこれが急遽政府の態度が変つて、まだ認可しないものが急に……、我我の知つている範囲では一週間の間にあなたの考えが変つたという際には、あらかじめ十分そういう盲点があることは御存じのはずだから、もう少し慎重に扱うように、事前お話があつて然るべきじやないかと思うのですが、普通の一般の薬なれば、私はこういうことは申上げませんが、先ほども申上げるように、非常に患者期待しておる、非常にこれに過信している傾向がありますので、特にその点が注意される。そこでもう一つお伺いしたいのは、すでに販売するという広告も出ておりまするが、これについての薬価、価格はどういうふうにお考えになつておりますでしようか。或る一定の価格というものがきめられるのか、或いは各社によつてこれは野放しの競争に任すというお考えなのか、この点お伺いしたい。
  30. 慶松一郎

    政府委員慶松一郎君) 実は価格の点につきましては、今日では新らしく価格統制をするということは法的にもむずかしいのでございます。それに関しましては十分考慮をいたしたのでございますが、従来価格統制をやつておりましたのは、例えば最後まで残りましたのがストレプトマイシンのようなものでございますが、この価格統制ができましたのは、一方におきまして配給の統制が行われるという條件がないと極めてむずかしいのでございます。その意味におきまして、仰せ通り価格に関しましては、これを統制することがむずかしいと言わざるを得ないのでございます。併しながら、このものの価格につきましては、これは恐らく私は非常に急速に価格が下るものと見ております。と申しますわけは、一面このヒドラジツドの価格に関しましては、これはひとり国内の問題ではございませんで、世界的な競争がすでに起つておるのでございます。例えて申しますと、日本に対しましてドイツ或いはアメリカからの売込みが非常に激しうございまして、だんだん値が下つて参りまして、即ち四月の初めはアメリカにおきましては一キロ千ドルいたしましたのが、これが半ばにおきましては、スイスにおいて四百五十ドルに下りました。更に最近におきましては一キロにつきまして百ドルを切つておりまして、七十ドルぐらいでございます。当然アメリカ日本の横浜の港での渡し値段を三万何千円にしようと申しますと、すぐドイツでは三万円でよろしい、こういうような状態でございますので、むしろこの価格は世界的な価格乃至は輸入の価格によつて支配されるのが一部でございますし、なお一部におきましては、すでに原料の価格その他が落着きを見せて参りましたので、只今出ておりますのは、五十ミリグラム錠剤が百錠千円をちよつと超すかも知れませんが、この値段は極く一部の薬が輸入されて今税関の倉庫にございますのが、これが二千四百円という値段がございますが、これは併し航空便で極く一部来たものでございます。そういう点からいたしまして、只今千円をちよつと出ておる状態でございますが、併し恐らく千円を切るというようなことはすぐ起つて来る、こういうふうに見ておりますからして、価格の点につきましては、むしろこれを統制をいたしませんでも適正なものに、乃至は非常に安いものに落着くものと、こう考えておる次第であります。その例は、例のパスにおきましても同様でございまして、最初パスは一グラム三十五円いたしましたものが、すでに今日ではその十分の一以下で手に入る、こういうような状況になつておるというような点に鑑みましても、生産が軌道に乗りますれば、当然適正な価格がそこに直ちに出て来るものと、こう考えておる次第であります。
  31. 藤森眞治

    藤森眞治君 先ほど申上げた健康保険にこの薬が当分使われないというのは、一つにはデーターがない、一つには価格の点が定まらないという、この二点から来ておると思うのですが、これについてデータは或いは最近において出るかも知れません。価格の点についても成るべく早く安定価格を求めて、一日も早く健康保険その他の社会保険診療に使われるようにしなければならん、これについて薬務局長として保険或いは生活保護等に早く使われるように何とか御尽力相成り、或いは又そういうような方途を講ぜられるように推進される御意思はございませんか。
  32. 慶松一郎

    政府委員慶松一郎君) その点につきましては、先ほど申しましたように、保険局或いはその他の局と十分連絡協調をとりまして、成るべく早い機会にその点が実現いたしますように、私といたしましても、できるだけの努力をいたしたいと存じております。その意味におきまして、価格の安定等に関しましても、例えば原料費その他についてできるだけの、或いは原料の入手等に関しましても、できるだけの努力をいたしたい、こう考えておる次第であります。
  33. 藤森眞治

    藤森眞治君 一応私の質問はこれで終ります。
  34. 中山壽彦

    ○中山壽彦君 只今の問答を聞いておりますと、今回の新薬に関する薬務局長の処理方は私は軽率であつたということは免がれん。昨日の小委員会において他の局長とも話しますと、何ら事前に御相談がなかつたということをはつきりと小委員会で答えております。藤森君が言われますように、この新薬が非常に世間の注目を引いておりますだけに、この新薬取扱いについては一層御注意をお願いしなければならん。然るにそういう御注意が足らずに販売許可されたということは、これはどうしても軽率のそしりがある。又事前にこの広告の問題等についても盲点があつたならば、何故に今日までその盲点を是正されなかつたか、これを御通牒なり指示をなさつても、なかなかその指示通りには実行できないのが今日までの例であります。こういうことは、この際やはりその悪い点は是正される、又今度の新薬についてもデータが出るまでに相当時間のズレがあるのであります。その時間のズレがある間、どういうふうにこれを取締るかということは、速かに他の関係局長とも連絡をとられて、適切なる処置をとられるということを強く御要望申上げて置きます。
  35. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) ちよつとお尋ねしたいのですが、清瀬病院患者ですか、死亡事件ですか、新聞で見ると真相のほどがまだはつきりしておりませんが、薬務局立場から見て、あの事件に対してどうしてああいうふうな結果になつたのか、或いはその後におけるいろいろ研究材料があつたと思いますが、多分死体の解剖等をやつて見たと思いますが、御報告が願えるなら、知り得る範囲の御報告をこの際お聞きしたいと思います。
  36. 慶松一郎

    政府委員慶松一郎君) この点に関しましては、これは私が直接島村委員長から聞いたわけではございません。ただ過日衆議院厚生委員会におきまして、島村委員長からこの点を聞きました。山口局長の答弁を私の記憶いたしております範囲で申上げますと、これは薬による死亡ではないというふうに聞いております。そのうち一例は、これは手術をやりまして、その手術の結果が思わしくなかつた例でございます。他の二例は、薬は使つておりましたが、すでに重症でありまして、その重症なるが故に亡くなつたものであるというふうに私は了解して聞いておる次第であります。
  37. 谷口弥三郎

    谷口弥三郎君 ちよつとお伺いしたいと思いますが、先刻来の藤森委員等のお話を聞いて見たり、又先日の小委員会において局長がわざわざおいでになつてつて、まだ審議会がないからというので発表せんということは、小委員会を非常に軽視したやり方じやなかつたろうか、これは余ほど遺憾なことであると思います。それから第二に、まだ完全な日本データができておらず、或いはそのために医者ですらも、これを使用するには無論キロ対一ミリ乃至四ミリとかいうようなことは書いてはございますけれど、これはまだはつきりしたものでないというような場合に、これを今頃出されるというと医者も困るが、併し希望しておる患者は何かの方法でこれを使用するだろうと思われるわけであります。従つて従来でも先刻お話のように、薬事法の四十一條というのには、ペニシリンあたりにいたしましても、処方箋がない限りは、医者の或いは用いるものでない限りは売ることはできんということになつておるけれど、実際の実情から申しますというと、ペニシリンの製造高と医者のほうの処方箋などによる量は非常な違いであると聞いております。只今お話では、処方箋もなしに買つたのが昭和二十五年度に八十数件であつたというけれど、これはお調べになつたものが八十数件で、実際はそのくらいの額じやなしに、至る所にこの事炭はあり得ると思います。実際においてのあの薬事法の四十一條が十分に適用されておらんこの時期に、まだ完全なデータができておらんときに、これだけの結核患者の、而も重症者に用いるというようなふうの場合であるのだから、余ほど十分に、或いは医者でなければ治療に用いてはならんということがはつきりできるようにしておかれんうちに出されるということは非常に危険であると思います。先刻のお話のうちにいろいろ薬事業者などをお呼びになつて、そうして十分特別にそれを抑えておられるということでありますが、そうすれば製造高がどれだけである、販売がどれだけである、それが医者のほうにどのくらい行つた処方箋がどのくらい行つたということを余ほどはつきりして、それが合うようなところまでおやりになることができんならば、これは余ほど困つた問題が起ると思いますが、それに対してどういうふうにお考えになつておられますか。
  38. 慶松一郎

    政府委員慶松一郎君) 先ほどもの点に関しましては、しばしば申上げましたように、十分な取締りをやりますよう当局といたしましては通牒或いは指導をやつておる次第でございまして、その点について一つ了解を願いたいと、こう考えております。
  39. 谷口弥三郎

    谷口弥三郎君 通牒或いは何か、今までも四十一條が余り完全に用いられておらんやつを、それを少し厳重にやられたら行くお見込みがございますか。
  40. 慶松一郎

    政府委員慶松一郎君) できるだけその点について努力をいたすつもりでございます。
  41. 藤森眞治

    藤森眞治君 もう一点だけお伺いしますが、日本医師会から厚生大臣宛に出ておりまする申入書と申しまするか、これにはこういうことが書いてあります。「日本医師会国民医療上公正なる立場よりその時期に於て甚だ遺憾であることを表明し、今後格別の御留意を以て善処されんことを申入れるものであります。」、そうして更にその理由が書いてあります。これについて、これはいずれ厚生大臣にお尋ねしたいと思いまするが、局長は「今後格別の御留意を以て善処されんこと」ということは、どういうふうに善処されるお考えでございますか。善処方をお伺いしたい。
  42. 慶松一郎

    政府委員慶松一郎君) これに関しましては、今後十分良質の薬を供給し、且つ適正な価格によつてこれが供給されるように努力をいたすことと、いま一つ先ほど来申しておりますように、十分四十一條の規定が守られますように努力をいたす、こういうことを申上げたいと存じます。
  43. 藤森眞治

    藤森眞治君 日本医師会のこの文書は特にここに重点があると思うのです。「公正なる立場よりその時期に於て甚だ遺憾であることを表明」する、この時期的の善処方は如何でございますか。
  44. 慶松一郎

    政府委員慶松一郎君) 私ども考え方では、これが医者によつて十分に適正に使用されますならば、その意味は即ち医者の指導下にのみこれが使用されますならば解決し得るのではなかろうかと、こういう考えでおる次第でございます。
  45. 藤森眞治

    藤森眞治君 この理由を申上げなかつたから、そういうふうに御答弁になると思うのですが、日本医師会の理由としては、厚生省にある結核療法研究協議会や国会方面における一致せる意見がまだ発表されていない、こういう一つの大きな理由があります。これで時期的に甚だ遺憾であるということが言われておるのだと思う。只今のではそれはそういうふうに処置をするというだけで、時期的についてのお考えがないようですが、時期的についてのお考えを伺いたい。
  46. 慶松一郎

    政府委員慶松一郎君) 時期に関しましては、特にこれの製造許可を遅らせるというようなことはないと私は存じます。併しながら、これが適正に使われますように十分な措置がとられますならば、私はその点の解決はできるものと、こう考えております。
  47. 藤森眞治

    藤森眞治君 適正に使われるということは、これはやはり十分なデータが出て、そうしてこれに基いて使われるので適正な使用ということになると思うのです。そのデータが出てないから時期的に甚だ遺憾であるということを日本医師会は表明しておると思うのですが、恐らくこの狙いは適当なデータが出るまで待つたらどうかというような意味医師会にあるのじやないか、ただ今のお話では、これは十分注意して使用すればいい、医師の十分な指導なり監督なり、又薬品の品質についての純度を高めるということで注意してやればいいということなんですが、ただ医師指導し、監督するためにはデータが要るということになると思うのですが、データがないのに、それにどうして医師が十分指導監督ができるかということです。
  48. 慶松一郎

    政府委員慶松一郎君) それに関しましては、すでに先ほども申上げるように内外の文献などがかなりございます。それを十分お医者さんが勉強なされば御使用なさるのに差支えがないと、私はこう考えておるものでございます。
  49. 藤森眞治

    藤森眞治君 内外の文献と言われますが、内外の文献においては、例えば使用量等につきましては決して一定しておりませんので、殊に結核の実体について考えましても、日本の結核と恐らくアメリカにおける結核とは私は同一の結核のように考えておりません。日本の結核というものは特殊な日本の結核があるというように考えておる。どうしてもやはり日本については日本の結核を基礎にしたデータが出て初めてこれが使用されるのが本当じやないか、而も聞くところによりますと、八月の終り或いは九月にもなれば中間報告的のデータが出るということも言われております。それにもかかわらず、僅か一ヵ月、二ヵ月を急がれた、急がれたのはどうもそういうところをお考えになつていないのじやないか。殊に先ほど来たびたび申上げましたように、国民が非常に期待しておる、期待しておるから早くこれを与えたいということは誰しも考える、これは常識であります。併しそれだけに慎重を期さなければならない。そういう意味でここに或る程度の基準になるデータを持つまで辛抱されて待たれたらどうか、その慎重さがあつて然るべきじやないか、ただ外国の文献だけで勉強してやつたらいいのだということについては、少し薬務局長としては無責任にお考えじやないかと私ども考えるのですが、如何お考えでしようか。
  50. 慶松一郎

    政府委員慶松一郎君) これは結核の薬で世間的に非常に問題になつたから、そういうふうに仰せになるのだと思うのでございますけれども、例えばパスのごときものも、これも許可になりました際には、特にその使用の基準その他というものは別になかつたわけでございまして、大体の目安というものがあつて、これも即ち内外の文献によつて使われておつた次第でございます。その意味におきまして、私は先ほど来あのように申上げておる次第でございます。
  51. 藤森眞治

    藤森眞治君 ではその点はこのくらいにしておきます。
  52. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) 一つ私から……。ここで一つ問題になると思うのは、需要と供給の関係だと思うのです。十分その薬品ができておれば安定値段ということになると思うのですが、とにかくこういう場合で、薬屋さんに言わせれば、薬は早いときにうんと利潤を上げなければ薬というものはもう儲かるものじやない。だからこういう点から考えれば準備の整つた製薬会社が非常にせき込んで来る。準備の整わないほうの薬屋さんは成るべく準備の整うまで期間を待つてもらいたい、こういうことでお互いにそこには許可に対して競争があると思うのです。新聞にはそういうような問題が出ておりませんから、私は寡聞にしてわかりませんけれども、恐らく製薬会社同士の内部抗争があつたのじやないかと思うのですが、そういうことになりますと、従つて製造の遅れている会社は粗製なものを出すという形に、結果はそうなると思うのです。だから早く準備の整つたものはよい薬が出る、よい薬のほうは評判がいいから将来まで続く、遅れたものは粗製のものを出すから評判が悪くなつて、結局その会社はその薬の信用を失う、こういうようなことで、ここに薬屋さんのトラブルも起るし、いろいろなことが発生して来ると思うのですが、そういうようなことを考えると、早く儲けるということになれば早く発売したほうが高い値段で売れる。従つてだんだん競争してその売価が下るということになれば、製薬会社に対して同じ薬品製造をやつて一方は非常に有利な地位にあり、一方は非常に不利な位置にある、こういうような結果になると思うのですが、そういう関係は薬務局として調整ができるのかどうか。それが調整ができさえすれば、従つて売価も安定するので、これは自由競争ですから、いいのはどんどん先へ駈けて行つて、遅れたのは結局潰れてしまう、こういうことになると思うのですが、そういうことに対して薬品の素材の斡旋か何かしておる状況ですか、素材入手の現状はどんなふうになつておるか、一応お聞かせ願いたい。
  53. 慶松一郎

    政府委員慶松一郎君) この品質の点につきましては、これはできました品を全部国家で検定をいたしまして、そうして国家の封印がないものについでは、これは売らしめないのでありますからして、従つて如何なる方法で作りましても全く同一の、乃至は少くとも或る基準以上のものが生産されることは保証し得るわけでございます。なお価格の点につきましては、これは先ほど来申しておりますようにひとり国内価格だけの問題ではございませんで、一方におきまして、少くとも初期において国産品だけでは足りない、或いは国産品に対しまして或る程度の刺戟を与えるという意味からして輸入をいたしますので、その輸入品との価格によつて当初は国内の価格決定が、決定と申しますか、価格の調整がされ得ろと、こう考えておる次第でございます。併しこれが相当な量が国内で出ますようになりますれば、当然量産に伴つて値段も下り、且つ量産するごとによつて品質の改良その他も行われ得ると、こういう次第でございます。それからもう一点、その点に関して、輸入されておるものと国内産との大体現在、まあ何と言いますか、パーセンテージですか、輸入何割に対して国内産何割というような大体比率が出ると思うのですよ。特にその輸入の契約ができておるところと、今契約をしようとしているところとでは違うと思うのですが、大体どの契約会社も輸入契約が成立つておるか、或いは特殊な会社だけが輸入の契約ができて、もうすでに入手しておるということがあるかどうか、局長にお聞きしたい。
  54. 慶松一郎

    政府委員慶松一郎君) 輸入につきましては、これはドル乃至ポンドの割当がございます。その割当は四月乃至九月分があらかじめ三月中に割当てられるのでございます。併しこれが遅れて、本年におきましては四月から五月に入つたと思つております。なおやはり随分追加等もございましたので、五月に入りましてからこれが決定されたと存じます。但しその最後の決定は、これは輸入だつたと思つておりますが、通産省でございます。併し厚生省の意見が容れられまして、そこに輸入というものがきまるわけでございます。その数量はこれは大した数量ではございませんで、四月から五月分として全部まとまりましたのが、キロ数を私はちよつと覚えておりませんが、大体まあ一人が三ヵ月使うといたしましての計算では約八千人分だと思つております。八千人分のものが輸入されます。大体におきまして、これは錠剤でございますから、従つてそのものが直ちに売られる次第でございます。なお輸入をいたしますには、これは大体におきまして製薬会社ではございませんで、いわゆる輸入商、貿易商が主でございます。
  55. 藤森眞治

    藤森眞治君 ちよつと関連して……。局長はこの前にまだ製造販売許可しないという御方針をとつたのであるが、輸入はドル資金でこれを抑えることができるから輸入はせんでもいい、だから入つて来ない、こういうことを小委員会でおつしやつた。ところがまあこれは許可なつたせいもありますが、今度は急にこれも輸入をするというふうに御方針をお変えになつております。そうすると、これは内地生産量が足りないから輸入をするという意味なのか、或いは何かほかに意味がありますのか、これについては巷間甚だ我我の耳にも面白からぬ風説もあるのですが、我々は一向そういうことには耳をかしません。ただ国民大衆がどういうふうにこれは使うかということだけを我々は心配しておるのですけれども、そこのところの輸入の関係について御説明をお願いしたい。
  56. 慶松一郎

    政府委員慶松一郎君) 輸入に関しましては、それは非常な制限をいたしておりますことはすでに申上げた通りでございまして、従いまして只今申上げますように、約八千人分、全体で八千人分しか輸入を認められておりませんのです。併しながら一面におきまして外国品との比較とか、或いは国産の業者に対しましての品質的な刺戟、そういうような意味で或る程度の数量をこの際入れたらどうかというふうなときでございまして、決してこれによつて全体の生産量或いは日本におけるこの薬の供給量に影響があるような筋のものを入れるということではございません。その点御了解願います。
  57. 藤森眞治

    藤森眞治君 それではもう一つお尋ねせねばなりません。この間見えた参考人のかたなんかの御意見では、外国から相当に入つて来る、入つて来るから内地生産で内地の製造販売を早く許可しなければならないような状態なつたのだ、こういうようなことを参考人は言われた、而も相場を聞くと、入つて来るものは大したものでなければ、これによつて輸入を圧迫されるということがなければ、もう少し従来の考え方を堅持されてもよかつたのじやないかと思うのですが、如何ですか。
  58. 慶松一郎

    政府委員慶松一郎君) これは一面におきまして密輸の問題にも関係がございまして、アメリカにおきまして、これが六月の四日に許可されたということから、直ちにその後六月九日頃からやはり或る程度、勿論大した量ではございませんけれども、物がいわゆる何と申しますか、贈与物資として入つて来ております。又神戸等に参りましてのでは、相当大きな瓶に入つたものが来ておるような状況でございます。その意味においていわゆる正規のルートでないものがここに或る程度つて来ておると、こういう意味でございます。それから外国品との問題はすでに先ほども申しましたように、このものにつきましては、成るほど相当なつまりドルの割当なり、或いはポンドの割当なりで制御はできますけれども、一面できない点も又あります。それは優先外貨と申しまして、外国に円を持つているもの、この会社等はこれは黙つて外貨なしに実は入れることができます。為替の割当なしに……。そういうような点で入つて来るものがなきにしもあらずでございます。なお日本に対しまして、特にあのアメリカの製薬会社乃至は薬の輸出業者が非常なこのものについての競争をやりまして、そうしてどんどんつまり値を下げて来て量をたくさん供給しようという運動が一面においてありますことも、これも又事実でございまして、その意味において国産品の値段ができるだけ早く安くなることが、これが必要なことであります。
  59. 藤森眞治

    藤森眞治君 それじやもう一点だけ……。このジフトの形で行われておということは先だつて参考人のかたも申されました。併しこれは殆んど問題にするではありません。こういうのでありました。ところがそれに先だつて委員会のときに私は密輸の形か何か知らないが、すでにアメリカの製品が相当入つておりますよと、あなたに申上げたところが、そんなことはありません。入つておるはずはないということをあなたはそのときにお話なつたのです。今お話を聞くと、そういうふうな、ほかのわからんルートから入つておるということをお認めになつたわけでありますが。
  60. 慶松一郎

    政府委員慶松一郎君) 私の言い方が悪かつたと存じますが、特に今日まで密輸のルートはまだ掴んでおりませんです。その例はこれは全く従来ストレプトマイシン或いはペニシリン等が国内の供給が不十分であつた当時において、そういう例が起つておりましたから、或いはそういうことがあるかも知れませんです。
  61. 長島銀藏

    ○長島銀藏君 慶松局長にお尋ねしたいと思うのですが、ヒドラジツドというのは、国内産につきましては厚生省はこれの製造に対して或る程度の援助の方法とか、或いは統制方法とかいうものを講じておられるのですか、その点につきまして、お差支えない範囲にお話を願いたい。
  62. 慶松一郎

    政府委員慶松一郎君) それは統制乃至は援助ということは全くやつておらないのであります。たが統制と申しますと語弊がございますが、製造に関しましては、これが技術が十分であるか、或いは設備があるかというようなことを検討の末、製造許可をいたしておる次第でございます。
  63. 長島銀藏

    ○長島銀藏君 この間新聞紙上に出ておつたのですが、十三、四軒の製薬工場に許可を与えられたということが新聞記事に出ておつたのでございますが、この製造許可というものにつきましては、まだまだ範囲は拡大されるお見込でございますか、その点をお尋ねしたいと思います。
  64. 慶松一郎

    政府委員慶松一郎君) 十三、四軒ということは何によつておりましたか、私記憶いたしておりませんが、現に国内製造業者に許可を与えましたというのが三十七社と私は記憶いたしております。これは六月三十日でございましたか、一斉に許可の指令を出しまして、各人の手許には恐らく七月一日或いは二日に一斉に届いておると、こう承知しております。
  65. 長島銀藏

    ○長島銀藏君 そうしますと、三十数軒に許可が与えられたと申しますと、今後の分は許可を将来与えるというお見込はございますですか。
  66. 慶松一郎

    政府委員慶松一郎君) 勿論その工場の設備或いは技術等におきまして、これを作り得る能力があると認められますならば、いつ如何なるときにおきましても、その許可を拒否すべき何ものもありません。
  67. 長島銀藏

    ○長島銀藏君 有難うございました。
  68. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 ちよつと伺いたいのですが、このたびこのお薬を大変急いで許可なさいましたのですが、それについていろいろ闇で高く売られているからということもありますけれども、それは闇のお薬は外国から入りますお薬でございましようか、それとも研究用に使つておられるお薬を買うのでありますのでしようか、それともこの間の参考人お話では、非常に安くこのお薬が出ておるというので、すでに許可になるまでに大変たくさんどこかで秘密にでもこのお薬が作られて流れておるのじやないのでございましようか、ちよつとその点承わりたいと思います。
  69. 慶松一郎

    政府委員慶松一郎君) それは実は国内でも作りまして、これを闇で流しておつた例が一、二ございますので、それにつきましては、すでに工場等を調査いたしまして、その発売、製造をとめたという例はございます。或いはそういうものが出ておつたかと存じますが、又一面におきまして、研究用といたしまして相当な量が製薬会社から研究所に廻つてつたことも、これもございますが、併しそれらは大体厚生省に、どの病院に幾ら行つたという報告はこれは聞いておる次第であります。
  70. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) その程度局長さんに御質問なさることはよろしうございますか……。それでは慶松局長さんには御足労でございましたが、非常な問題を起しておる新薬でございますので、これが対策に対しましては、業者間の問題は別といたしまして、特に本日の質疑応答によつて得られました資料並びに意見に基きまして、御配慮を頂きたいと、こう考えます。御苦労様でございます。  それでは陳情請願の小委員会に付託外のものがございますので、これを審議したいと思います。速記を中止いたします。    午前十一時四十五分速記中止    —————・—————    午後零時二十四分速記開始
  71. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) それでは速記を始めて下さい。本日はこの程度で散会いたします。    午後零時二十五分散会