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1952-06-19 第13回国会 参議院 厚生委員会 第27号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年六月十九日(木曜日)    午後二時零分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     梅津 錦一君    理事            長島 銀藏君            井上なつゑ君    委員            大谷 瑩潤君            藤森 眞治君            河崎 ナツ君            大野 幸一君            山下 義信君   委員外議員            赤松 常子君   政府委員    厚生省公衆衛生    局長      山口 正義君   事務局側    常任委員会専門    員       草間 弘司君    常任委員会専門    員       多田 仁己君   説明員    地方財政委員会    税務部府県税課    事務官     萩原 幸雄君    法務府刑事局検    事       江尻美雄一君    日本国有鉄道施   設局停車場課長  金谷  明君   参考人    広 島 市 長 浜井 信三君    広島市会議員 任都栗一興君   —————————————   本日の会議に付した事件広島大須賀町に特殊飲食店街設置  反対請願(第六三三号) ○派遣議員報告証人喚問に関する件 ○参考人の出頭に関する件   —————————————
  2. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) これより厚生委員会を開きます。  請願第六百三十三号広島大須賀町に特殊飯食店街設置反対請願議題といたします。なお本件に関しまして広島市長浜井信三君及び広島市会議員の任都栗一与君を本日参考人として御意見を聴取いたしたいと思います。が、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) それではさよう決定いたします。本件に関しまして実地調査をして下さいました大野委員河崎委員等から調査の概要の御報告をして頂きたいと思います。
  4. 大野幸一

    大野幸一君 それでは同行いたしました河崎赤松両氏から私に報告しろというようなことでありますので、調査の結果を報告いたします。  先ず私たち三人は去る六月十六日午後二時三十七分広島駅に到着いたしまして、次いで駅長室において請願者側業者側より事件経過について聴取いたしました。それから大須賀町の問題になつて現場を視察し、業者側説明を求めました。次いで大須賀町二葉ノ里、明星院において地元民並びに設置反対関係者陳情を聴取し、懇談会を開催いたしました。出席者数は約二百名で、婦人団体業者側も参加いたしました。翌十七日午前九時より県庁舎地労委会議室において公聴会を開催いたしまして、関係者出席を求めて意見を聴取し質疑を行いました。その出席者の名簿はお手許に配付してございます。午後一時より保健所市予防課性病予防員業者代表請願代表者の案内にて彌生町、これは東遊廓と称せられております。並びに駅前娼街を視察し、小網町、これは西遊廓と称せられておりますがこれの現状を視察し、その説明を聴取して参りました。午後三時広島発にて帰京したのであります。  以上が私たちの行程でありましたが、これからその調査の結果を御報告申上げたいと思います。  第一、広島市における特殊飲食街の現況について申上げます。広島警察本部調査によりますと次のようになつております。(1)彌生町(東遊廓)九十一軒従業婦五百名(2)小網町(西遊廓)五十三軒、従業婦二百十名、(3)宇品三軒十五名、(4)広島駅前八十四軒、二百五十名、今申上げました(1)乃至(3)はいわゆる集娼地帯であり(4)の駅前数個所に散在しこれは四、五軒ずつ集結いたしておりまして、いわゆる敵娼地帯であります。これらはいずれも現在下宿業として申請許可されておるもので、散娼の実態を正確に把握し得ないが、従業婦は三百五十名以上と推算されております。  次にこれらの下宿業者に対しては、広島税務所においては遊興飲食税特別徴収義務者として従業婦一人につき毎月一千円(小網町)、二千円(彌生町)、三千六百円(駅前地帯)を徴収納入せしめております。即ち駅前遊廓に比して殷賑盛業を極めていると認定されているのであります。  次に市警本部取締は、昭和二十五年八月公布の県条例売淫等取締規程に基いて、客引き、場所提供行為対象として検挙し、市当局も又県の方針従つております。又保健所性病予防員は、性病予防法に基いてこれら特飲街を巡視しているのであります。  第二は、大須賀移転問題の発生であります。広島駅前を囲繞する散娼は終戦後新らしく営業され、年々その数を増加したもので、駅前通りは勿論、列車ホームにまで進出する状態となつたのでありますが昨年の国体開催を機として駅前浄化運動が起り、駅前の散娼を一括して集娼地帯移転し、都市計画に伴う駅前敵娼地域の消滅を期したのであります。これについては市当局鉄道局は勿論、市警本部もその取締りの面から協力することになつたのであります。次に移転先候補地として、旧練兵場跡西遊廓地帯関係者間、これは主として市当局業者団体吾妻会に進められましたが、前者営業の見込なきものとして後者高額投資を必要とする等の主として経済上の理由によつて業者側より一蹴されたようであります。昨年七月市当局の申入れにより、大須賀鉄道用地六百坪を移転先候補地とすることに広島鉄道管理局長はほぼ内約したようでこの地域に対しては関係者意見一致したのであるが、国鉄労組及び地元関係者反対するところとなつたのであります。お手許別紙広島大須賀特飲街設置反対運動経過書を参照して頂きます。  第三は、建築起工経過鉄道用地提供反対運動によつて鉄道局長は本年一月にこれを取消しました。業者団体たる吾妻会加入業者六十五軒)は、鉄道用地に隣接した区域について建築基準法による確認申請手続を行なつておりました。又右隣接区域、即ち大須賀町は、都市計画に従い鉄道線路拡張区域であり、近き将来において駅北口開設可部線山陽線引込み地点となり、且つ停車場建設地として予定されたる地域で、広島駅より百五十メートル乃至二百メートルの距離にある線路ぎわに位置する箇所であります。右区域住宅区域となつているものであるが、住宅としての確認申請に対し、県建築出張所建築主事は、十一戸分について昭和二十六年十一月二十六日付、二十九戸分について同年十二月六日付を以ていずれも確認を与えましたが、後者現実土地を得られないものとして取消処分が要請され、前者市区画整理委員であり、土地ブローカーである者より買収したことになつているが、金銭の決済は未了であります。前者十一戸分については九戸分がすでに建築に着手され、目下瓦を積上げ、壁塗りの工程にあります。右十一戸分は土地ほか建築費八百万円の予算で、加盟業者手持資金によるものとされております。  この関係意見の聴取の結果を申上げます。娼婦撲滅意見原則とする婦人会関係を除いては、関係当局者間においては散娼を集娼とし、適当地移転することに意見一致を見ております。鉄道管理局国鉄労組広島本部意見鉄道業務機関区域鉄道職員官舎区域風紀上から他に移転することを希望しております。PTA意見は、大須賀PTAは一千名の小学生、三百名の中学生と家庭風紀上の問題から反対している。この点は国鉄労組も主張しております。駅前娼区域PTAは、自己区域浄化から大須賀移転に賛成しております。  市当局市警意見は、散娼を集娼として移転することに賛成しております。市公傷委員会意見は、すでに存在する遊廓におけると同一の取締大須賀町に対して行うとの見解は有するが、行政的立場においては別問題であるとしております。市議会の意見は、治安委員会の問題となつたが、未だ結論が出されていないので、市当局措置を待つて態度を決することになつております。県衛生部意見は、下宿業の届出に対しては、特に差別的取扱をなさないと言明しております。市建設局意見は、建築確認に当つては、特に差別的取扱いをなさないと言明しております。業者側、即ち吾妻会意見は、既設建築物に対し、一定の補償と交換土地があれば移転するにやぶさかではないと言明しております。最も市当局土地の斡旋に努力する意思ありと認められます。  以上が調査をいたしました事実を報告申上げましたのですが、最後に第五といたしまして、調査結論を申上げたいと思います。本事件は、散娼を集娼とする論拠から出発しまして、娼婦の存在を原則的に否定する婦人団体を除き、関係当局原則として特飲街設置には反対であるが、現行制度法的盲点があるものとして、本論拠に基く特飲街設置は止むを得ざるものとして是認することに意見一致を見ております。即ち住宅として建築し、下宿業として賞美し、特飲街として存在することは、業者側代表の明言するところであり、市当局市警本部も明らかに是認するもので、この意図に関しては一点の疑義もなく、公知の事実となつているのであります。この点は全関係者間においても異論はありません。又現場調査の結果は、建物の構造、設備及び集結状態一般特飲街構造と同様にして、一見してその意図を裏書するにかたくはない、従つて事件の焦点は移転問題であり、関係者はその脱法的合理性に協力しているごとく認められているのであります。よつて左結論に到達いたしました。五カ条にいたしました。  第一は、大須賀町現在の場所特飲街設置することは不適であるから中止すべきである。即ちその理由の(イ)として、広島駅に余りに近接して、将来の都市計画により駅北口開設と共にその前面に位置することになるであろう。(ロ)は、現場は純住宅地域であり、可部線開設によつて路線際となり、列車の目前に見ることになります。第二は、本問題のごときは、業者が有利の地点に進出することを容認する結果となり、業者が将来申請するであろうところの営業は、明らかに旅館業法に藉口する脱法行為であるから、取締関係当局の了解が成立しない限りこれを許可すべきでないつ明らかな脱法行為であることが顕著である場合は法律の保護を受ける理由がない。第三は、本問題は従来の経緯に鑑み、他に移転することに関係当局も協力すべきである。第四は、独立後の文化国家建設途上日本が、却つてこれら業者の増加の傾向さえあるので、これら新規の業者に対しては断固取締るべきである。第五は、売春取締法の制定は促進すべきであり、又旅館業法建築基準法の不備に乗じて、売春行為を容易ならしめない法的措置を完備する必要がある。  以上御報告申上げます。
  5. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) ほかに何か御質問ありませんか、ほかに何か御調査になられたかたの御発言はありませんか、或いはこの間の情勢をよくわかつている委員のかたから……。それでは陳情請願がありますが、この請願の御趣旨はもう市長市会議員のかたもおわかりの点だとは思いますけれども当局者として、或いは議会の立場から、市長立場から、当委員会参考になるようなお話等を伺えれば非常に結構だと思います。市長さんに市の立場からお話を願いたいと思います。
  6. 浜井信三

    参考人浜井信三君) 広島市長浜井であります。先般参議院の委員の数名のかたが広島調査においでになられたのでありますが、丁度私同じ日にこちらで市長会役員会がありまして、入れ違いましてお会いできなかつたのであります。深くお詫び申上げたいと思いますが、本日皆様方にお会いいたしまして、私ども立場も開いて頂く機会を作つて頂きましたことを厚く御礼申上げます。  本問題は、只今大野議員から詳しく御報告がございましたところで大体尽きているのでありますが事の起りは終戦広島市の住宅駅附近からだんだんずつと発展してできて来たという事実に絡まりまして、広島駅附近に非常に街娼が集まりましてややもすると旅行者等を悩ますというような事件が起つて来たのであります。それにつきまして市外の旅行者あたりから、広島に夜遅く請いたところが、こういう状態で甚だ迷惑する、何とか一つあれを一掃してもらいたいというふうな投書が私のところへたくさん参りまして、私どももこの取締り、又はこれらの街娼の駆逐には非常に苦慮したのであります。幾ら取締りましても、現在行われているような取締りではなかなかこれは駆逐できません。そこで昨年広島国体を開きます機会に、少々行過ぎの点もあつたかと思いますが、警察当局等とも連絡いたしまして、少なくとも客に接近しているような女は全部これを取締るという方向をとりまして、これが取締りを実行したのであります。そこで街娼のほうでも非常に駅の前に出没しまして商売をやつて行くということに、ややその困難に思えましたので、彼らも自分たちの本拠を他へ移そうという意向が動いて参つたのであります。そこでこれらの業者の一部の者から、市で移る土地を斡旋してくれないかという話が出て参りました。いろいろ市といたしましては、その土地につきまして、一応それを特飲街集娼街とするということは別といたしまして、都市計画の将来も問題となるところでありますので、一応彼らが住むところを心配してやりたいと思いまして、いろいろ土地を探したのでありますが、事実適当な土地が見当らないでそのままになつてつたのであります。ところが彼らは駅のすぐそばに現在家を建てております。将来私どもの見通しといたしましては、鉄道拡張される場合には鉄道敷地となるであろうと考えられる場所に、ぼつぼつ土地を買いまして、そこへ今度は任意に家を建てようとする気配が出て参つたのであります。これは将来鉄道拡張その他にも支障を来たすことでありますので、我々は鉄道管理局長に話をいたしまして、管理局のすぐそばに、旧軍用地そばでありますが、全然鉄道が使つておらない土地があるのであります。そこを彼らに与えて、今のうちに将来の禍根を除いておいたほうがいいのじやないかという話をしましたところ、管理局長もそれに一応賛成しまして、その土地を一応彼らにやつて、現在彼らが任意に買おうとしておる敷地は、一応将来の鉄道敷地として確保しておきたいという意向を漏らしたのであります。ところがこれにつきましては、先ほど御報告がありましたように、地元の猛烈な反対と、それから国鉄労組反対がありまして、管理局長は一応承諾したが、あの土地を彼らに与えることは取消すという通告をいたして参つたのであります。これを取消されますと、私どもといたしましては、殆んど手の施しようがないのでありまして、彼らが勝手に土地自分買つて、勝手に家を建てるという段階に入らざるを得ないのであります。そこで今度は建築取締方法はないものだろうかということを県知事等とも種々協議したのでありますが、県知事は、今日の法規のしにおいては、下宿業をやるのだ、こうして建築許可申請を出しておるものを、下宿業ではない、将来今の売春業をやるのだろうという考えでこれを取消すわけに行かない、結局建築そのものは許さざるを得ないのだという県知事の答弁でありました。結局先ほど御報告になりましたように、県といたしましては建築を許してしまつたのであります。こうなつて来ますと、結局家を建てさして彼らが売春行為をやる、その売春行為そのもの取締る以外には、我々として残された行政措置はないのであります。今日は将来彼らが売春行為をやるならば、それが今日の法規によつて取締れる限り取締つて行くという方向をとらざるを得ない結果に相成つておるのでありまして、只今申しましたようなことが現実の姿なのでありまして、実は私どももこれらの街娼をどうして解決して行くかということに対しまして、非常に苦慮いたしておるのでありますが、警察当局等と協議いたしましても、現在の法規によつては、現行犯を押える垣外取締方法がない、こう申すのであります。そういたしますと、売春現行犯というものは非常に事実上押えにくいものであるということが考えられるのでありまして、この点につきましては、法規的に一つ警察なり、我々が依拠上得る根拠というものが是非ほしいということが、私ども一つの希望であります。更にこれを経済的に解決する点もあると思うのでありますが、経済的に解決すると言いましても、今日の市の財政状態では、彼らに土地買つて与えることもできませんし、その今建てておる家を買収して、他の適当なところに移させるというような手も非常に困難な実情にありますので、これらの方法につきましても、今後各方面から我々のやりたいと思うことにつきまして、中央の御協力をお願いいたしたいのであります。  大体今申上げましたような事情でありまして、気持といたしましては、私どもも、何とかああいつた駅の附近売春婦を置くようなことはやめたいといろいろ苦慮いたしますが、その適当な方法が見付からないのであります。なお市民の反対陳情等を検討いたして見ますと、今日、四月一日から実は建築許可権市長のほうに移つてつておるのであります。市のほうにこの建築を全部取消せという陳情が主体になつておるようでありますが、これ又先ほど申上げましたように、今日の建築関係法規及び都市計画法規では、今のような形態をとつて参ります限り、これをとめる方法がないのでありまして、これらの点も法規的に一つ御考慮を願うならば非常に仕合せすると考えるのであります。なおもつと広汎な問題といたしましては、売春婦全体に対しまして、一応売春行為を禁止されておるにもかかわらず、今日では殆んど公然の秘密的になりまして、どこにおきましてもこれが行われておるのであります。特に将来大須賀方面だけを強硬に取締るということは、我々の立場として非常にむずかしいのでありまして、売春行為取締るとなれば、これを全体に及ぼしまして、全体的に取締つて行かなければならないというふうな苦痛も私どもにあるのであります。これらの問題は全体的に御考慮願えれば非常に仕合せと存ずる次第であります。多少筋道の通らない話を申上げたと思いますが、大体以上申上げましたようなことが、今日私どもが当面いたしております現実であることを御了承願いたいと存じます。
  7. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) 次に、公衆衛生局長栄養改善法が向うにかかつておりますので、あちらに呼ばれておりますが、公衆衛生局長さんに御質疑等ございましたら、参考人のお二方も結構でございますから、御質疑頂ければ……。
  8. 山下義信

    山下義信君 ではこの際、厚生省が一般的にこういう特飲街、いわゆる赤線区域の問題について一体どういう方針を持つておるかということを一応説明しておいて、それから衆議院のほうへ行つて頂きたい。
  9. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) それでは山口公衆衛生局長から、特飲街の問題に関する厚生省態度について御説明願いたいと思います。
  10. 山口正義

    政府委員山口正義君) 只今お尋ねの、議題になつております特飲街の問題につきまして、厚生省としてどういう態度をとつておるかという問題でございますが、厚生省全般といたしますと、いろいろな面に関係しておると存ずるのでございますが、私、公衆衛生局長といたしまして、公衆衛生立場から、この問題をどういうふうに取扱つて行くかということをお答え申上げさして頂くことにとめさして頂きたい、そういうふうにお願い申上げたいと存じます。  私ども公衆衛生立場から売淫の問題を取扱つて参ります場合に、主として性病予防の観点からこれを見ておるのでございますが、狭い意味と申しますか、非常に理窟を申上げるようでございますが、売淫そのものが直ちに性病蔓延に影響がある、或いは性病予防法対象になるというふうには直ちには考えられないのでございまして、私どもといたしましては、売淫そのものによつて性病が伝播される虞れがある、つまり有毒な売淫が行われるというときに、これを法の対象としていろいろ考えて参つておるのでございます。併し売淫そのもの性病蔓延させやすい可能性が多いということは当然考えられるのでございまして、そういう意味合いからいたしまして、性病予防法の第十一条におきまして、正当な理由によつて売淫常習の疑いのある者に対しましては、強制的に健康診断を実施して、それに基いて疾病が発見されました場合には、それに対して治療の措置を講じて、再び感染源にならないようにするという措置を講じております。又病気を持つておるということを知りながら売淫行為を行なつたという者に対しては、これを性病予防法に基いて処罰するということを実施いたしておるのでございます。その性病予防立場から集娼が望ましいか、望ましいと申しますか、集娼のほうが性病予防がやりやすいか、散娼のほうが性病予防をやりやすいか、これは一長一短があると思うのですが、併し御承知のように、昭和二十一年に公娼制度が廃止になりました際に、今後どういうふうな方針でそういうものに対処して行くかということにつきまして、次官会議決定がございまして、いろいろな方面からの取締、指導をやつて行きます場合に、比較的そういう虞れのあるような人を一定区域に集めて、いろいろ指導して行つたほうがやりやすい。性病予防見地からもそういう措置とつたほうがやりやすいというので、昭和二十一年に次官会議決定がなされているのであります。併しこれにつきましても、ともすればそういうところの一定場所に集まりますと、健康診断を実施いたします場合に、いわゆるボスがはびこつてなかなか行政当局健康診断がうまくできないという場合がございますので、性病予防立場からは一長一短があるというふうに考えます。私どもといたしましては、これは当然なことと存じますが、集娼にしても、敵娼にしても、そういう性病蔓延さす虜れのあるような対象が少しでも少くなるようにと念願いたしまして、いろいろ行政的な措置講じているのでございます。私どもはその性病予防の根幹となる衛生教育ということに重きをおきまして、そういう性病蔓延の因になるような対象ができるだけ少くなるようにということで努力しているのでございます。そういうものが新らしく殖えるということは望ましいことではないと考えております。現在先ほど御報告にもございました旅館業法に関しての不備な点につきましても一いろいろ先般来私どものほうでも研究しておりますが、現在の旅館業法ではそういう旅館業として営業を行いたいというふうに願い出が出ました場合に、現在の旅館業法に定められました衛生上の条件を具備しております場合には、それを許可しなければならないような立場にあるという状態になつておりますので、これを風俗上からどうこうするということにつきましては、現在の旅館業法においては取締れないということになつております。こういう点は今後研究して行かなければならない問題である、そういうふうに考えております。
  11. 大野幸一

    大野幸一君 そこで私どもは特に結論といたしまして、一体現在の旅館業法取締れないかどうかということについて疑念を持つのであります。御承知通り旅館業法の第一条の目的とするところは、「その経営を公共福祉に適合させることを目的とする。」、この目的論はここにちやんと目的として明示されているのであります。それが「公衆衛生見地から必要な取締を行い、」とありますのは第二義的で、どうしても公共福祉に適合させるようにしなければならん。そこで一般行政官庁に対して、公共福祉に適合しているかどうかということを抽象的に判断させるのは無理であろうから、公衆衛生立場からと、こういうふうに一応制限したのでありましようけれども、この問題は我々が結論を出しましたように、これは業者自身がいわゆる特殊飲食店をやるのである、ここにおいていわゆる売春行為をやるのであるということは公知の事実であつて何人も争えない事実である。それに対してたとえこれが下宿業、例えば一週間以上宿泊する下宿業をやるのである、こういう申請をして参りましても、それは明らかに旅館業法目的とするところの公共福祉に適合するということとは考えられないということが万人すべての見るところであります。然らばそれは一つ脱法行為である、こういうことになります。脱法行為があえて法律の一部において保護されているという理由はないのであるが、こういう場合でも許可しなければならないということは余りにも法律を死文化して使うのではないか。一番純真な婦人団体及び陳情団体から言わせれば、法律にないと言つて法律が不備だからと言つて、目前に迫つているこの不道徳行為を国民がやろうとするのをそれを取締らないのは法律というものは実につまらないものである。この常識論があります。その常識論が我々が法律を解釈するに常識論として退けることはできないけれども、実際と合わない場合に何かそこに合理的法律の根拠を求めなければならないとしたときに、我々はこれは脱法行為であると、こう考えるのであります。そこで成るほど営業の自由、職業選択の自由は憲法に保障されておりますが、この条文に限つては特に公共福祉に反しない限り職業選択の自由を有する、こういうことになつておる。他のいろいろな基本的人権の保障があります。「学問の自由は、これを保障する。」とか、或いは「思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。」という条文については、公共福祉に反しない限りということを断つていないが、併し営業の自由ということに対しては公共福祉ということを条件としている。こういう点から考えまして、我々はこの基本的人権をこれは国民として濫用しておるのである、こう考えられる。憲法十二条にも「この憲法が国民に保障する自由及び権利は、」云々と書きまして「又国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。」、その基本的人権も公共福祉のために利用しなければならないとこう書いてあるのであります。こういう点について行政措置といたしまして、私は明らかに本件のような公然たる事実は、これは最終目的旅館業法目的とする最終目的に反するという理由で許可しないこともあり得る。然らざれば法律は本当に生きて働かないと考えられるのですが、この点について関係当局はどういう解釈をとられるか。これは法律問題にも関することでもあるから法務庁の意見も聞きたいと思うのでありますが、この点についてお忙しい中でありますが、一応御見解を伺いたい。
  12. 山口正義

    政府委員山口政義君) 只今お尋ね旅館業法をどういうふうに行政的に取扱つて行くかという問題でございますが、これは曾つて東京におきましても同じような問題が起りました際に、当委員会におきまして、いろいろお取上げになりまして御注意或いは御意見があつたのでございますが、私ども狭く考えます場合に旅館として或いは下宿業として許可を申請して参りました場合に、それを表向きそういうふうに言つて参りました場合に、それを許可しないということは、なかなか筋が通りにくいということを当時の責任者も申上げておると存じておるのでございます。それで当時は、この公衆衛生という観点以外に、公衆道徳というような文字をそこに入れて、そういう場合に許可できないように、或いは許可を取消し得るというような措置とつたらどうかというような御意見もあつたのであります。私どもといたしまして、ただ表向きに旅館を経営したい、下宿業を経営したいと言つて出て参りました場合に、それを真正面から許可しないということは法の文字の上からはなかなか困難かと存じますが、只今大野先生の御指摘になりました法の精神をどう考えるか、それによつて運用をどういうふうに考えて行くかという点につきましては、なお私どもといたしましても十分研究いたしたいと、こういうふうに存じております。
  13. 赤松常子

    委員外議員赤松常子君) 委員外でございますけれども質問をお許し願えますか。
  14. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) はい、どうぞ。
  15. 赤松常子

    委員外議員赤松常子君) それに関連いたしまして局長にお尋ねいたすのでございますけれども、私ども今度参りまして深く痛感いたしましたことは、法の盲点をうまくすり抜けてやつているということなんでございます。それでいろいろこれに関係がございますことも御承知のようでございますけれども、なかなかうまく死角をついて、その総合されたものがこの大須賀町に吹き出ているという姿なんでございますが、今あなたのおつしやるただこの文字上の法律面だけでこれをお取扱う以外にはないというお答えでございまして、現実にこれは広島一つの問題でございますけれども日本全国に今いろいろそういう問題が起きておるのでございます。それをただ法律面だけの解釈で手をこまねいておいでになるお気持なのでしようか。こういう問題についてもつと行政監督当局として何か御熱意と申しましようか、もつと深いところのお考え方があればお聞かせ願いたいのでございます。
  16. 山口正義

    政府委員山口正義君) 只今赤松先生のおつしやいましたいろいろ盲点がある、それに対してそのまま放つておいて、ただ法律を文字通りに解釈して行政を運営して行くつもりかどうかというお尋ねでございますが、これは私どもといたしまして、随分前からいろいろ御注意も受けておりますので、これは単に厚生省の問題だけでもございませんので、関係の各省とも十分連絡をとりまして、先ほど私も申上げましたように、私ども立場といたしましては、公衆衛生の害になるような機会が殖えるというようなことができるだけ少くなるようにということを念願して、そういうふうな措置を御相談しながらやつて参りたいというふうに考えております。
  17. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) 局長は大分お忙がしいようですから、又こちらに来て頂くことにして……。それではその間任都栗さんからの参考人としての御意見の御開陳をお願いしたいと思います。
  18. 任都栗一興

    参考人(任都栗一興君) 広島市の市会議員任任都栗一興であります。この問題につきましては、すでに市議会でもしばしば問題になりまして、これが取締強化について各方面の所属の人から発言をされております。広島市の場合は特にそうでありますが、戦後の特質といたしまして特に焼けました都会が駅を中心として発展をし始めまして、特に広島市は原爆で形骸をとどめないまでの都会となりましたために、そのあとの発展事情が主として駅を中心として延びて参りました。その際に特にいろいろな社会的な罪悪を構成すべきものがその附近に密集して参りましたわけでありますが、漸次それは取払われてしまいまして、そのうち特に頑強に残つたものがこの売春行為のものでございました。これは特に顕著に旅行者の目にうつりまして、広島市の平和都市建設の途上における一大癌になりつつあつたのであります。そこでこれを取締るのに如何なる方法を持つかということが市議会でもしばしば研究されましたが、結局法の不備を縫うてやる行為取締方法がなかなかない。一歩誤まれば人権蹂躙として逆襲をされて来るような結果でありまして、しばしば問題も惹起したわけであります。先ほどの御報告の内容を拝見いたしまして、その通りでございますが、特に私どもはこれを根本的に解決するか、消極的にその場の現実を解決するかと、この二つにあると思うのでございます。根本的の改善といたしましては、この法の不備を改正するという事柄をお願いいたしたいと思うのでありますが、現実の問題の措置といたしましては、現われましたあの現象を地域として不適当であるからして、これを適当な場所移転せしむる。併しその上移転はやはりその業を認めての移転であつてはならないのでありまして、他に転業をすべき方法をも考える移転でなくてはならないと存ずるのであります。ところが業者としてやつて行く人間がその道の他の職業を求むるということは殆んど不可能であろうと存じます。そこでこれを強行して閉鎖をする手段を講じましても、いずれか一方の地域において密集した形骸を作るか、又は分散した形においてそういう行為が行われると思うのであります。その措置をどうするかということになりますと、やはり経済に結び付く問題であります。現在の市の経済は平和都市法によりまして、公共事業費のいろいろ国庫からの補助もりますが、併しながら最初国庫の三分の二負担の特権を剥脱されまして、三分の一国庫負担ということになりましたために、市に二十六年度におきましても、約二億の赤字にあえぐような結果になつております。そういう場合にこれを移転するという手段としては市が補償しなければなりませんが、その補償する上にいろいろな手段も方法もあるでしようが、併しながらこれを他に移転する場合に、その現在建つております家屋を他の住宅に適用するというような場合を想像したときの措置でありますが、そういう場合にはやはりこれを市が買取つて行かなければなりません。そういう財源は到底現在の市の財政実情では得られないことであります。そこで国家におきまして、政府におきましては、住宅許可をいたしまする広島市の割当の枠の中に、これを加味いたしましたものを特に許して頂いて、そうしてこれが処置をするというのも一つ方法ではないかと存ぜられるのであります。その点等につきまして、一つ委員会におかれまして特に政府当局に御処置を賜わりますれば、我々は大変仕合せに存ずるのであります。それからこれを他の地域に消極策として移転をする地をいずれに求めるかということになりますと、広島には現実の面におきまして他に土地を求めるところがございません。一部元軍用地がございますが、その軍用地は有償を以てこれを交付するということに現在までなつておりまして、平和都市法の第二章第三条を以て、軍用地公共の用に供する場合には無償で市に譲渡することができるという規定を我々は期待をいたしまして、諸社会事業その他の建設に当てようとしておりましたが、今なおこれが解決は遅々として進みません。政府の解釈は極めて狭小でありまして思うようでありません。そこでこれが移転等におきましても、この問題等の解決が進みますれば、又一つ方法もあると存ぜられるのであります。この点はすべて消極策でありまするが、積極策といたしましては、この際願わくば法の不備欠陥を補うべき適当な法的措置を、立法の措置を講じて頂くということが一番必要ではないかと存ぜられるのであります。  誠に簡単でございますが市議会といたしまして従来論議せられ、主張いたしました要点を御報告申上げます。
  19. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) それでは参考人の御両人の御意見と状況報告等もございましたので質疑に入りたいと思います。何か御質疑がございましたら……。
  20. 河崎ナツ

    河崎ナツ君 市のかたにもう少し……。今の市会議員さんですね、いろいろとただ困る困る、仕方がないという、まあそういう意味の拘束を訴える態度から、もう少しいろいろお考えになつたことを伺いまして、私もそれで少しいろいろ御相談申上げて、何とか解決付けて行くというようなことを私たちも考えて参りましたのですがあなた方のほうの考えていらつしやることを伺つて少し明るくなつたんですが、ただどうも法がうまく行かん、仕方がないと見送つていたのじや、余り断念し過ぎるものでございますから、それで今のまあ仮にあそこは適当でない、適当でないよりも純住宅地の中ですから、何としてもあれはほかへ、あれはどうも法がどうあろうとも、やはり何とかしなければならんとお思いだろうと思うのですが、それでその住宅割当の枠の中に入れてもらう、今おつしやつたそれはあなたの個人の御意見ですか、そういう御意見がやはり市会でもございますのですか。
  21. 任都栗一興

    参考人(任都栗一興君) お答えいたします。市当局にも市会のほうにもそういう意見はございます。市当局のほうにおきまして、今ここに市長出席いたしておりますが政府のほうから割当の枠でそういう結果を招来することは誠に結構でございますが、現在の住宅はその業者自分の都合のいいような建築をいたしておりますので、一般居住者としては不向きな家であります。併しながらそれは又使いようによつて戦争未亡人、原子爆弾等の未亡人等の共同住宅等にも使用できないことはないわけでありますから、これに対して財政的措置を政府が講じてくれるならば、つまりその財政的措置とは、この家屋を買収すべき財政的措置でなくして、住宅建設の割当についての便法が講じ得られると存ずるのであります。
  22. 赤松常子

    委員外議員赤松常子君) ちよつとお尋ねいたしたいのでございますけれども、市の条例がまだなかつたようでございますが、県条例でやつておるとは言つておりましたものの、そういうもつと細かく広島市の特殊事情を織込んだ市の条例というようなものがあつたならばいいのじやないかと思つたのでございますが、その辺のことはどうなつておりましようか。
  23. 浜井信三

    参考人浜井信三君) 私どもも条例の問題は研究いたしております。併しこの条例の規定は実際の衝に当つて見ますと非常にむずかしいのでありまして、どこまで市は取締り得るかという問題は、根本の憲法或いは国法に抵触しないように条例を作るという技術が非常にむずかしいので現在研究いたしております。それともう一つ、先ほどの河崎議員さんの御質問にありましたが、実は実情といたしましては住宅地域はいけない。こういうことを地元のものも言い出したのであります。これは中途で言い出したのでありますが、実際問題といたしまして、住宅地域がいけないから商業地域へ持つて行くのだということになりますと、現在商業地域の地価等は非常に高うございまして、それを買つて行けと言つても到底買つて行く能力がない。そうすれば勢い辺鄙なところ、或いは地価の安いところを考えれば彼らは行かない。そこへ行つたのでは商売にならない、こういうことなのであります。それからもう一つの私たちの悩みは、一体この売春を認めるのか認めないのかという問題なんです、根本的に……。それから今のように他へ移すということは売春行為を認めての行為になつて来るのでありますから、根本的に売春を認めないという建前で進んで行くべきなのであるか、現実だからそれを一応公認してそれを基礎にして進んで行くべきかということにつきましても、私どもといたしましても非常に苦慮いたしておるわけでございます。
  24. 大野幸一

    大野幸一君 それについて市長さんの一般の方針を伺いたいのですが、成るほど成る一定区域においてはこれは黙認しておるのであるから、新らしい区域において同じことをやつても、これも国民はすべて法律の前に公平であるという考えから、同じ取締り程度よりできないのであろうか、こういう考えも一応は肯けまするが、そういうことがすでに一体甚だ公平であるかどうかということであります。そこでこれは全く法律を執行し、行政をする立場から考えますると、保健法令或いは一般公衆風俗の関係から、法律はまあ一定の譲歩をして、そうして一定場所では黙認しておるということは、これは日本国全部各地で行われていることであります。併しこれは好ましくないことであるから、新らしくどこかに建設しようとすると問題が起きて来るので、現にこの当委員会で先に賢明なる処置をされたところの池上特殊飲食店街問題に関しても、これも新らしい場所であるから、そういうことが起きたのであります。そこで私はやはり新らしき問題に対しては、特別の法律をあるままに執行することも、これは私はあながち行政の立場にある、市の責任を持つておいでになる市長もこれは考えておいでになるだろう。現にまあ市長さんは非常に政治的手腕の多い人で、まあここではこういうお話であつたけれども業者を戒める意味においてか、住宅として建築申請が出ておるのであるから、これを売春目的に使用することがあれば法によつて取締るというとこを新聞談話で発表されておつたようであります。これは新聞談話でありまするから、まあ直接お伺いしたことじやないのですけれども、これは非常にいい私は声明であつたと思う。成るほど法の不備でありまするけれども、あながち現行犯以外は取締れないという、今の県条例でもないのでありますが、その点はたしか市のほうも県の条例においても今取締ろうと思えば取締れないわけではない。更に公聴会においても御意見がありました。例えて言うならば、仮にあそこで売春行為をやりかけたという場合においては、これは或る一定の嫌疑はあるのでありますから、逮捕して引致する場合も十分ありましよう。そうして取調べの結果処罰することは、それは容易であろうと私は思います。実際の状況は状況判断から何もそれは人権蹂躙にならん。併し結果においてはそれが間違つているということは間違いないのですから、こういう点において新らしく今度できるところのものに対しては、市の風俗を維持される市長としては、やはり法律の許す範囲内においては取締まれるということを私は確信いたしておりますが、その点についてはどうお考えですか。
  25. 浜井信三

    参考人浜井信三君) どうも法律の許す限りにおきましては、こういつたことを止めるように処理いたしたいと考えております。ただ実際に当つて見ますと、警察等もしばしばこの問題につきましては協議会を開きまして検討するのでありますが、実際に当りましては非常に困難を感ずると警察当局も言つているのであります。
  26. 山下義信

    山下義信君 その点法務府がそこに来ておりますが、一体売春に関しまする法規といたしましては、ポ勅の九号ですか、あの効力を延長したあの法律が唯一つのものじやないかと思うのでありますが、それから各府県でやつているのは、例えば都でやつているものもあれば、県の条例でやつているものもあり、或いは市の条例でやつているものもあり、大阪市のごときは市の条例でやつている。そうしてこの売春取締に関する法律の統一と言うか、一体国の法律で十分尽きるようなやり方をするのか、地方の条例に任すのか、又地方の條例に任すのならば、又市町村の条例に任すのならば、県の条例に任せるのがいいのか。或いは都市においては都市の条例でやるのかという、一体売春取締の条例というものについて、政府において確たる統一の方針のことがあるのかどうかという点においては法務府はどういうふうに考えますか。
  27. 江尻美雄一

    説明員江尻美雄一君) 只今売春取締に関しまして法制的な措置についてはどう考えるかという御質問でございまして、御承知通り占領中におきまして、昭和二十二年公娼廃止の覚書を根拠とした勅令九号、婦女に売淫をさせた者等の処罰に関する勅令が施行され、先般法務府関係諸命令の措置に関する法律によりまして、将来も法律としての効力を存置するということに相成つたわけでございます。この勅令九号の内容といたしますところは、御承知通り婦女を困惑させまして、暴行、脅迫によらないで困惑させることによりまして売淫をさせる行為取締る規定であります。それから婦女に売淫することを内容とするような契約を締結する行為取締ることを内容といたしておりまして、その趣旨としますところは、公娼の廃止という点が最大の狙いになつているわけでございます。従いまして、この勅令はいずれも直接売春行為自体を取締る規定にはなつておりません。直接の売春行為街娼その他の行為につきましての取締は各地方公共団体の自主的な立法に委ねられているわけでございます。それによりまして府県条例或いは市町村条例が制定されるわけでございますが、府県条例と市町村条例との関係は、各その都市の特殊事情によりまして内容が異なることもあろうと思います。共通の面がございます限り、府県条例によりまして都市も全部包括いたしまして規定するということは当然考えられます。その中で特別の都市におきまして、特殊事情があるために府県条例では賄えないというような面がありますれば、その点につきましては、市町村で独自の条例を作つて頂く、こういう関係になるわけであります。ここでこれらの条例或いは勅令を全部統一して、総合的な立法をしてはどうかという御意見と伺いましたが、売春につきましては、実は私どももいろいろ平素頭を悩ましているのでございますが、建前と申しますか、実情といたしまして、それ自体が比較的罪悪感を伴わない実情のように見受けられるわけでございます。我々そういう罰則を取扱うものといたしましては、罰則だけで先行いたしまして、罰則を適用して能事終れりというわけにはなかなか参りませんで、それの裏付となります行政上の各種の法案、先ほどもたびたびお話の出ましたような職業補導の面でございますとか、或いはそれを道徳的に悪い行為であるという感じを持たせますような教育的な施策とか、或いは収容施設といつたような社会補導的な面からも、すべての総合的な対策が講じられまして、それでもなおそういう道に走るというようなものがあつた場合に、初めて刑罰を適用して最後の処置を講ずるということが本来の考え方であろうかというふうに考えておるわけでございます。従いましてやはり総合的な実効のある処罰規定を、取締法規を作りますためにはそういう各般の情勢を、対策を総合的に眺める必要があるということを考えております。私どもといたしましては、できるだけそういう面に一歩でも前進いたしますように努力を重ねております。今後ともそういう点についてはできるだけの努力をいたしたいと考えておるわけでございます。ここでついでに申上げますと、先ほどちよつとお話が出ましたように、売春現行犯を押えないと非常に取締りにくいというお話でございますが、まあちよつと考えてもわかりますように、この行為自体を取締ると言いますと、実は普通の窃盗とか、強盗とか申しますような被害者といつたようなものがございませんで、勢い何かの他の犯罪から発覚する、或いはたまたまその従業者が逃げ出して申告して来るといつたようなことから取締り対象になる場合が多いのでございまして、積極的に警察が出かけまして、積極的に取締りに乗り出すということは、なかなかむずかしい面があるという実情でございます。
  28. 山下義信

    山下義信君 法務府も売春に関する総合的立法の必要があるということを認めておられるようでありますが、今後の研究に期待するわけですが、我々としても、立法府みずからこれはやらなければならんことで、問題は今お話のありましたようなポ勅の九号のあれは、いわゆるどつちかというと売春婦の人権を擁護する立場の法律であつて、いわゆる人身売買防止と言いますか、そういうものを搾取しようとするものを取締ろうとする法律であつて売春というものは今あなたの説明したようにそれは被害者がないのだから実は自由だというので、これが法の取締り対象にすることについて疑問を持つ態度を持つている。従つて地方の条例では売春そのものを取締ることができないために、止をむ得ずして今広島市長が述べられたように、売春そのものを取締ろうとすると、これはいわゆる人権の問題になつて来て、そういう非常に大きな問題を地方の条例で立法し得るや否やという問題になつて来てやりにくい。従つて地方の条例は都条例であつても、市条例であつても、法務府でも御承知のように、街路で徒らに他人に追従したり、或いは妨害したりとかいうようなことをした場合に取締り対象にしておるのであつて売淫その他を取締ることができないために、旅館やその他の家屋内においてする行為については、地方の条例では如何ともすることができない。今日のすでに全国でやつているところの地方条例の売春取締条例は、おおむね家屋内においてみだりに他人に追従したり、或いは街路に立止まつて云々というような条件を付けてその点をやつているのでありまするから、ここで政府は売春そのものというものを、これは直接の他の刑事事犯のように被害というものではなくても、一般の公衆道徳の上においてはこれは社会悪と見て、これは一つ取締り対象にするかどうかということの新らしい私は角度から検討を加えて、率直に言うたら向うさんがやらしている昔の日本はこれを社会道徳の社会悪と見た。個人悪というよりは社会悪と見たので、非常にこれは一般の公共福祉を害するというので取締り対象にしておつた。警察犯処罰令か何かによつて処罰の対象にし、これを社会悪と見た。ところがアメリカさんの流儀によると、今現在の状態はアメリカさんの流義になつている。アメリカさんの考えは、これは自由だ、個人の自由だということで強くそのものが主張されている。でありますから、やはりアメリカ流儀で、今後この行き方で日本の社会道徳というものは、こういう考え方に行くか、やはり日本日本の独自の立場に返つて、こういう一般の婦女の売春行為というものについてどう考えるかということを、新らしい角度から更に態度をきめてそうして売春取締の一般の法令というものを検討を加えてそうして国が責任を以て至れり尽せりの法律を作らなければ、末端にこれは地方でやれというようなことは責任逃れでありまして、私どもはそういうことについて中央政府も速かに態度をきめて、日本のこれは大きなただ単に一つの犯罪とか、取締りとかという問題でなくして、日本の社会道徳、従つて社会組織、すべての全般に亙る私は大きな基本的な問題だと思う。これを従来の占領地下におけるような、向うさんの指示でやらされた通りのものを、そのままずるずるとして持つていることは私はいかんと思う。そういう点について法務府は全般的にこの点について再検討する用意があるかということをもう一度確認しておきたいと思う。それから、ほのかに聞けば、実際は法務府には売春取締法について何か立案して、国会に提案しようというようなこともあつたのではないかと聞いているのですが、そういうところまで実は進んでおつたかどうかというようなことも合せて承わりたい。
  29. 江尻美雄一

    説明員江尻美雄一君) 最初に多少私の申上げたところが言葉が足らなかつた点があるように存じますので、その点を補正いたしておきたいと思います。売春行為自体を取締ることが何か憲法に抵触するのではないかというような、売春行為自体の取締につきましても我々は決して憲法に抵触するというようなところまでは考えておりません。ただここの売春行為取締り自体は本人の自覚と合せまして、その地方の実情によりまして、取締方にもまあ各種の段階があろうかというような考慮から、条例に委ねられていると申上げたほうがより適切のように思います。で、お尋ねのように、総合的な立法と申しまする点につきましては実は我々今の現在の法律でも、先ほど広島市長さんがちよつとおつしやいましたように、現在の法律でもこれをフルに適用いたしますれば、大体取締についてはカバーできるというふうにも考えられるわけでございます。ただその間実情に応じまして、実際の具体的な運用が若干セーヴされているのではないかと、まあ我々いろいろ見聞いたします程度では、そういうふうな感じを持つわけでございます。更にこれを詳細な具体的な、具体的と申しますと語弊がございますが、総合的な各種段階に応じました規定を作るということにつきましては、技術的にも相当困難な点がございまして、なお将来の問題としてできるだけまあ効果的な法律を作るという方向に向つて検討をいたしたいというふうに考えております。
  30. 山下義信

    山下義信君 実はあなたは現在の法律でも完全なとおつしやつたが、これはまあ十分に研究してないから私も強いては主張しない。例えばポ勅の九号の分では場所提供のものは処罰されますか、ないだろうと思うのでありますが。
  31. 江尻美雄一

    説明員江尻美雄一君) ございません。
  32. 山下義信

    山下義信君 それでそういう困惑に対し婦女子に圧迫を加え、こうさせたものは罰せられているということを言うているが、そういうことをさせる場所提供した者も罰せなければ、あなたがたの専門的の刑法学で言えば共犯とか、幇助とか、場所がなければできない。場がなければ、その場の提供者もこれはそういう今のポ勅ではない。それが肝心なところがやはり抜けている。やはり法律の盲点というところがある。十分一つ御研究を願いたい。  それから私は国有鉄道の人にちよつと伺いますが、広島大須賀、これは私は地元のことですから多くは申しません。ほかの議員のかたの御審判を仰ぐのだから言いませんが、あなたは大体の経過を御承知ですか。
  33. 金谷明

    説明員(金谷明君) 知つております。
  34. 山下義信

    山下義信君 本当はね。いろいろ私はあると思うけれども、私はこれはどなたにも罪はないと、この問題が起きたについては私はどなたにも罪はないというとおかしいが、共同責任ですが、だんだんせんじつめて行くと、あなたのほうに罪があると私は思う。六百坪の土地提供して、ここでやつてよろしいということを言つたためにそこへ移ることにして諸般の準備が整い進んだ。その途中で又取消した。取消したからと言つて責任はたやすく逃げられない。なぜ鉄道の所有地の六百坪のここへ来てもよろしいと言つて途中で中止して、やめにしたか。私はその責任が私は国有鉄道側にありやせんかと思う。鉄道側はこの問題についてどう責任を感ずるか。どういう処置をする考えであるか。一つ鉄道のほうのお考えを私は承わりた、
  35. 金谷明

    説明員(金谷明君) 金谷でございます。丁度広島駅の裏の地区は都市計画におきまして区画整理の対象外の土地となつているわけなんであります。で、かねての広島の念願でありました本郷線という建設もございますが、これはこの線が将来広島の駅に入つて来るについては、裏の地区にそれらのための用地が必要であるということになるのでありまし、そこでこの用地を将来国鉄で獲得するためには区画整理外になつておりますので、まあいろいろ市のほうの御協力を得てやつて行きたいという前からの問題であつたのであります。たまたまこの将来に予定されます地区について特殊飲食街を開きたいというお方が土地を持つておられましてその附近に将来の改良計画の姿になりますと、鉄道の用地として一部余裕が出るということになつておりましたので、市の建設局長のほうから、丁度その鉄道の将来に予定しておる土地特殊飲食街の店の建築をやろうという、やりたいという建築申請が出ておりますので、そうなるとなかなか用地の交換がむずかしいから、この際交換したらどうかというようなお話があつたのでございますが、鉄道としましては、あの地区は御承知のように、いろいろ鉄道の業務機関もございますので、官舎も数十軒近所にございますので、非常にあの土地にそのような部落ができるということは非常に困るということは考えられるわけなんでございますが、いろいろ市の御当局のほうで、何とかあそこに持つて来ないわけには行かないでしようかという御意見をお聞きしたのですが、現在の法律ではとてもそれを防ぐことができないのだということでございまして、そうなればあの土地に将来できるんでは困るということで、ではいたしかたないというので、まあ御返答をしたわけなんです。併しあの土地特殊飲食街のかたがたがその当時持つておられただけの土地では、この計画のようなものはできないのでございまして、あの附近を買い足ししなければできないということになるのでございますが、これにつきましてあの附近地元のかたがた、PTAのかたがた或いは婦人会のかたぞれというようなかたが結束されまして反対されまして、鉄道のほうの交換もやめてもらいたいというようなお話がございまして、それではあの附近のかたがたがあそこに特殊飲食街を計画しておられるかたがたに、ほかの土地をもうお売りになりませんか、売られるならば五十歩百歩になるのですがということをお話になりましたところ、売らないということでございましたので、それでは鉄道も喜んでこれの交換をするわけじやないのですから、あそこにできないということになるならば、それが鉄道が交換したために、そのためにできるというのでは困るのであつて鉄道のほうが交換しなければその附近土地は売らないということならば、交換はやめなければいけないということになりまして、市のほうに交換は周囲の情勢上できないからという御回答をしたわけなんでございます。
  36. 山下義信

    山下義信君 あなたの御答弁はさつぱり要領を得ん。何を言つておるのか私には了解しがたい。あの鉄道の用地は鉄道のために将来必要なのだ。必要なことは今でも同じことなんです。今必要がなくなつたのですか。将来要るのでしよう。何とか線を作るために要るんでしよう。それは要るんだつたら困るんでしよう。土地をほかに売らんといつたら、それでいいのでしよう。家が建つたら困るのでしよう。今あなたは交換するために特飲街ができるというのじや困るんだからというので交換はやめた。交換をやめたら特飲街はできなくなりましたか。又交換をするとき、初めから特飲街を持つて来るという話に応じたんじやなかつたのですか。初め交換するのは何のために交換するのやら、何のために交換するのやらわからんけれども、わからんなりに交換しようと約束した。聞いてみれば特飲街が来る。それで鉄道土地を交換したために特飲街ができるというのでは困るからやめてくれというなら話はわかる。初め特飲街を持つて来るのに土地がないから鉄道土地を交換してくれと言つたんではおかしい。初め事情を知らないであとで聞いた。それじや鉄道が申訳ないから土地を出すことをやめることにしたというなら何だが、初めから事情を承知の上だ。それで交換しようということになつたので、市のほうでもそれじや結構でしようというので、そこに最初集めようということになつたのが事の初まりです。あなたのほうが最初土地をよろしい、交換しようと言つたのが動機です。一般の人に言われたのならともかくだが、あなたたち関係者から言われて、初めてどうにも抜き差しならなくなつたからと急遽やめてしまつて手を抜かれたのでは関係者が困る。これは地方の問題ではない。こういう言を左右にしで鉄道の責任のあるものが念書というものを書いて署名捺印して出したものが、猫の目の変るごとく二枚舌を使つて地方を困惑させ、混乱させて知らん顔をしておるということは不都合なことだ。当時関係した責任者は今まだおりますか。この施設局長とかいう人は広島鉄道局におりますか。
  37. 金谷明

    説明員(金谷明君) いやおりません。
  38. 山下義信

    山下義信君 その関係者は風を喰つて逃げてしまつておらん。それははつきりしなければならない。どういう責任をとるか。法律上では手が付けられんけれども、徳義上の問題として、関係者が政治道徳の問題、社会道徳の問題として考えればならん。あなたたちも道徳上、道義的の責任を感じなければならない。この解決に腐心する一人になつてもらわなければならない。鉄道当局の人々が、最初の話の糸口を解いたのが鉄道の人たちであるから、あなたたちに責任がないとは言えない。この責任をどうするかということを聞いている。後段の御答弁を願いたい。あなたに御答弁ができないならば責任ある人にやつて欲しい。この問題は国鉄総裁にまで及ばなければならん。そういうことを言うて約束して猫の、手のひらを返すようなことをしておいて、そうして知らん顔をされたのでは困る、責任を感じますか。
  39. 金谷明

    説明員(金谷明君) これはですね、鉄道の用地の交換とする部面が、これが全部のお話ではないのでございまして、又鉄道が将来欲しいという土地全部を特殊飲食街のかたがたが持つておられたわけでもないのです。そのうちの一部をお持ちになつておつた。それから鉄道のほうで持つておつた土地も、特殊飲食街がお入りになろうという土地の全部ではなくして一部なんでございます。この点説明をいたします。
  40. 山下義信

    山下義信君 この人では答弁できないようなふうでありますから、もつと上級の責任者を呼んで頂きたい。それから今の差支えがあるからやめにした鉄道附近にそういう特飲街ができてもらつちや困るのだから、一応やめたい。変えようと言うたがやめにしたとおつしやるが、いやしくもここは国会ですよ。速記があります。若しそのあなたのお答えに間違いがあつたらば許すわけには行かない。私は出張して下さつて御苦労して下された関係のかたに伺いたいのですが、昨晩私の手に入つた情報によりますと、現地で公聴会をやつたら、その際に大槻という広島鉄道管理局長は、あの附近特飲街ができても鉄道は一向迷惑をこうむらないという発言をしたそうでございますが、そういうことをお聞きになりましたのでございましようか。
  41. 大野幸一

    大野幸一君 それは今の鉄道局長は問題を担任した人でなくて、その後に転任して来られたかたですが、その鉄道局長の公聴会での発言はむしろそれと反対でありました。二つに分けられまして、鉄道の職員が多数住居するという事実からと、それからもう一つ将来あの方面側に鉄道の駅の乗降品が開かれる。そこであそこが丁度市のセンターになる、それがために二つの理由からもあそこの六百坪に対しては貸すことが困るような状態である。こういういわゆる困る方面かち強調されておりました。
  42. 山下義信

    山下義信君 私はこれは鉄道側にも、当時の関係者にも、従つて国有鉄道のほうにも十分責任があると思いますので、次回は鉄道の責任ある御答弁のできる人を委員会に御出席一つ御通告を願いたいと思います。
  43. 大野幸一

    大野幸一君 それは誠に、最初この集娼になる動機というものは、例え前任者であろうとも、私は鉄道側が書面まで出したということが端緒になつて来たという、こういうことは事実として誰も争うことができない事実であると思います。
  44. 河崎ナツ

    河崎ナツ君 今そうすると山下先生が、やはり鉄道も一半の責任を負わなければならない、一半の責任とおつしやいましたが、これは意味深いことだと思つて、私ども接して見ましてこの問題はまあ根本的な解決、法律の問題も、これはまあほかにしますけれども、当山の問題としまして、鉄道にも考えてもらわなければならない、又市のほうにも考えて頂かなければならない、両方から、とにかくいろいろ関係のものから考えて、とにかくでき立たないようにして行く方法を考えなければならないと私どもは考えましたのでございますが、たんたんと皆さんのお言葉の中にそういうことも現われて来ましたので、これは丁度山下委員の御質問によりましての、鉄道のほうの御反省は、この一つは一半は荷わなければならないということについての御反省は、是非一つお考え下さつてそうして又今山下委員の御要求のように、なおそれにつきまして、確たるお話のできるかたをお寄越下さいますならば、みんなで以て誠意を以て、結局一番気の毒な女性と周囲の人たちの平和な生活を守つて行くという方面のほうにどうか解決をしたいと念願しておるものでございます。
  45. 山下義信

    山下義信君 私は只今地元の議員としまして、今回非常に御多忙中を遠方まで御足労を願い、熱心にこの問題の御調査に御努力頂きました三人の議員のかた、又この問題につきまして、特に現地の調査をお命じ下さいました委員長並びに当委員会に厚く感謝をいたしますものでございます。今鉄道の責任ある答弁を求めましたのは、全く河崎委員の御指摘の通りに私ども考えて、当面の問題の解決にも十分一つ努力させるということの含みもございますので、次回は責任あるものに御出席を願いたいと、こういう趣旨でございました。なおこの際お許しを得ますれば、お諮り願いたいと思いますことは、この問題の御審議の必要上、若し証人或いは参考人の喚問等の必要が生じて参りました場合におきましては、その証人の喚問等につきましては、挙げて委員長に御一任おきを願つておきますれば、随時適宜お計らいができるのじやないかと思います。若し幸いにさような点がないとしますれば結構でございますが、万一必要が生じた場合には、きめてお置きを願つておきますれば、随時委員長でお計らいを願えるのじやないかと思いますので、一応おきめ置きだけを用意のためお願いしたいと思います。お諮りを願いとうございます。
  46. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) 山下さんのほうから、この件に関して証人或いは参考人喚問の要ある場合には委員長に一任の御動議が出ましたが、受諾するに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  47. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) ではさように決定しておきます。  なお地方財政委員会府県税課事務官が来られておりますので、こうした税法上の問題、税務の問題から何かございましたら御質疑願いたいと思います。
  48. 赤松常子

    委員外議員赤松常子君) 私ちよつとその前に法務府のかたにもう一つ御質問したいのでございますが、言うまでもございませんけれども、この日本のこういう場合に売淫行為に伴つて人身売買、公娼制度というような誠に忌わしい問題があるわけなんで、国際的にも非常にこの日本公娼制度が又復活するということは大きな国際的な恥辱でもあるわけなんでございます。ところが私この間現地に行きましてこれは市長さん方もすでに御承知かと思いますけれども、この大須賀町の問題の背後にやはり大きな業者の結束があつて、そうしてその会合を箱根で持ちましてそうして一つ公娼制度の突破口を広島大須賀町に開こうと大いに業者が激励して、この大須賀町にこういう建物を造つたということも耳にいたしたのでございます。こういう大きな底流があつて、そのすべての支配をしているということは恐るべきことだと思うのでございます。それでいち早くこれを取締る場合の法の制定ということを私どもは根本的な問題の解決として希望するわけでございますが、このポ勅の存置のときに参議院の法務委員会で附帯条件が付いているはずなんでございまして、一時も早くこの完全なる売春取締令の制定をやるということが付いているはずなんでございますが、その後法赦府関係でこの問題についてどういう程度に促進方をしておいでになるのですか、どれほどの大きさにこの問題をお考えでございましようか、もう一度その辺を御説明願いたいと思います。
  49. 江尻美雄一

    説明員江尻美雄一君) お答えいたします。最高の方針につきまして私からお答えいたしますのは適当かどうかわかりませんが、従来の経過といつたような意味で御説明いたしますと、御承知のように勅令九号を法律の効力を持たせる法案を提案いたしまして、五月の七日に衆議院で可決成立を見たわけでございますが、その際に法務委員会の附帯決議といたしまして、できるだけ早い機会に総合的な実効のある法案を用意して国会へ提案するようにという附帯決議がございました。私ども事務当局といたしましては、その御趣旨のあるところ御尤もと存じます。非常に御尤もな御要望と思いまして、事務的にはいろいろ検討をいたしております。いろいろまあ、ただ問題は技術的にも又実態の面におきましても、実は従来公娼というものを一挙に廃止いたしました関係で、その実態が果してどういう状況にあるかという点から基礎的に調査を始めて参りませんと法案が完備したものが作れないということは御了解願えると思うのでございます。それに併せまして、それを技術的に如何ように具体化するかという問題がこれからの問題としてあるわけでございます。更にそれを法案といたしまして国会で御審議願います際には、我我事務当局だけの考えだけの通りには必ずしも参りませんので、そういう状況も法案に当然加味して、審議の途中では検討しなければならない問題があるわけでございます。それで先ほど申上げましたように、罰則だけで片付く問題ではございませんので、これに関しましては文化的或いは社会政策的な各面での関連において考えなければなりませんので、そういう面との総合調整もやはり一つの問題でございます。そういう各般の件について事務的に現在のところ準備を進めておるという状況でございます。
  50. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) 府県税の課税の問題か何か御質疑ございませんか。
  51. 赤松常子

    委員外議員赤松常子君) この間実地を見たのでございますが、散娼で常業、集娼じやなくてばらばらで営業しておられるところも見たのでございますが、その入口に門札がかかつておりまして、ちよつと正式な……文字は忘れておりますが、一応その税の対象として認めてあるこのくらいの木の札がかかつておりました。今一番問題になつておりますのは、こういう売淫を認めるか認めないかという問題も去ることながら、そういう営業を認めて税の対象としておられるというところに、やはり業者としては一つ言いがかりがあるわけなんです。我々は立派に税金を納めているということで……、そういう辺のことをどういうふうに、税の対象を捕捉する場合にどの程度の考えでやつておいでになるのでございましようか。
  52. 萩原幸雄

    説明員(萩原幸雄君) お呼びがございましたのは府県税課長でありましたが、折悪しく病気で欠席いたしておりますので私が代つて参りました。あらかじめ御了承願います。  只今の遊興飲食税につきまして、調査においでになりまして御覧になつたのは特別徴収義務者証票であろうかと思います。これは遊興飲食税は只今皆様御承知のように、遊興或いは飲食、或いは宿泊、こういう行為に課税されるものでございます。納税者は行為をしたものでございまして、場所の経営者が都道府県に代りまして税を徴収いたします。これを特別徴収義務者と申しております。これから都道府県に税が納入される、こういうことになつて、おります。この特別徴収義務者であることの証票であります。只今問題になつております売淫行為につきましては、課税の対象になつておるのは、税法上ではそういう行為を認めておるように見受けられる、この点についての御疑問であろうかと思います。この公娼制度その他によりますとそういつた場所におきまする売春行為、これは只今の地方税法の建前で参りますと、一種の遊興と見ざるを得ないのであります。税法では売春行為という考え方或いは規定の仕方は何もいたしておりません。貸席その他における遊興と何ら変らないのである、その行為自身が禁止せられるべきである、或いは取締られるべきである、こういう風俗的な道徳的ないろいろな問題もあろうかと思うのでございますが、税法ではともかくそういう問題も突きつめればございません。一つの事実をつかんで課税をする。そういう行為が現に行われている以上は課税をする、こういうことになるのでございまして、只今の売春行為につきまして、それを貸席その他の場所におきまするものと、場所に該当するものとしての遊興に対する課税を行う、こういうことになりますと、勢いそこで遊興をされる人からそこの場所の経営者が遊興飲食税を徴収せざるを得ないわけでございます。この場合特別徴収義務者の申請書が出て参るのでございます。この申請書が出て参りますと、一般の行為をされる納税者が、ここのうちでは確かに遊興飲食税を徴集するのだ、こういう証票で何と申上げますか、一つの公けの表示でございます。それに代るものとして特別徴集義務者登録証票、こういうものを渡すわけでございます。それがお目についたんだろう、かように思います。結論といたしまして、税法はそういう行為自身を禁止するというふうなことは直接目的にはできないのでございまして、そういう行為現実に行われている以上は、それが課税客体であり、そうして又課税標準がある、こういうことになれば課税せざるを得ない。こういう結果になるのでございまして、その間に一般の取締法との関連上多少の矛盾もあろうかと思うのでございますけれども現行制度の下においては止むを得ないのじやないか、かように考えているわけでございます。
  53. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) あれは証票は、こうして何か丸の中に特と書いてあるのですか。
  54. 萩原幸雄

    説明員(萩原幸雄君) そういうものじやございません。
  55. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) 標札みたいな……。
  56. 萩原幸雄

    説明員(萩原幸雄君) これは都道府県によつて違うのでございます。条令できめておりまして……。
  57. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) 県によつて違う。あれが麗々しく特としてどこにでもぴたつと貼つてある、この通りですという、あれは看板だと思うのです。裏へ貼ればわからないのですが、やつぱりそういうのを貼つて置くのは公認みたいなことになりますね。そういうことに対して課税の課のほうでは、あれはやはり公然と正面にあれを貼るのが本則なんですか。
  58. 萩原幸雄

    説明員(萩原幸雄君) これは税法にもちやんと規定があるのでございますけれども、先ほど申上げましたように、そういう証票自身が、納税者に対しまして都道府県に代つて遊興飲食税を徴集する店である、こういうことを表示するためのものでございますので、公衆の面前と申しますか、とにかく見やすい場所に掲げなければいけないことになつているのでございます。
  59. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) うまい工合にできてるなあ。(笑声)
  60. 赤松常子

    委員外議員赤松常子君) そういう場合の課税の精神でございますが、地方財政が苦しいからそういうところから搾りとつてそれに当てようということも、何と言いましようか、そういうものがたくさんあればいい、地方財政が潤うからというようなお考えですか、それとも税を課してそういう忌むべき社会悪のはびこる営業というものをだんだん縮小させて行こうという精神ですか、どういう建前でとつておりますか。
  61. 萩原幸雄

    説明員(萩原幸雄君) 遊興飲食税の本質の問題に関連して参るのでございますが、御承知のように遊興飲食税につきましては、いわゆる単なる飲食行為に課税する場合と、それから奢侈的な遊興に課税する場合とがあるわけでございます。只今の御質問では特にそういうものを税法上においてかんばしくない業態として取締るというふうな考えがあるのか、こういう御質問のように承わつたのでございますが、そういう営業取締るという観点ではございませんので、私が申上げているのは行為者でございます。お客のほうでございますが、そういう遊興行為をするのは非常に高度の奢侈である、従つてこれからは相当の税負担をしてもらつてもいいのではないか、こういう考えで税率が普通一般の飲食の場合より二倍の税率になつております。従いましてその業態、その営業というものを対象には直接いたしておりません。行為のほうを問題にいたしているのでございます。
  62. 赤松常子

    赤松常子君 奢侈税ですか。
  63. 萩原幸雄

    説明員(萩原幸雄君) そうでございます。
  64. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) お諮りしますが、この問題は相当大きな問題であり、単に広島だけの問題でなくして、なお継続して審議する必要を認めまするので、本日はこの程度で、次回に譲りたいと田いますが、特にこの際明瞭にしておきたいことは、赤松議員からの話の中に、この裏面には特殊の力が結集されているということと、この件に関して広島特飲街の件に関して、どこか全国かどうか知りませんが、何か業者が嵜つて会談したというようなふうも見えますので、この間の情勢もはつきりつかんで、広島を、早く言えば突破口と言いますか、として、力を集結しよう、こういうようなことであれば、なお当委員会においては相当なる決意を以て本問題の究明に当らなければならない。こう考えまするので、本日この席上だけでこの問題を解決することは至難である、こう考えますので、以後は先ほどの決議の通り、証人を喚問するような事態も発生するのではないかと、こう考えられまするので、その他の一般の条件も後に残して、次回にこの問題を譲りたいと思いますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  65. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) ではこの問題については次回に譲りたいと思います参考人のかたは、非常に長時間、当委員会のために貴重なる御証言を頂きましたことを、この席上から厚くお礼を申上げます。   —————————————
  66. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) 次の議題に入りますが……。
  67. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 ちよつとこの際お諮り頂きたいと思います。それは、今朝ほども審議されました日本赤十字社法案審査のため参考人を召喚することとし、その人選、召喚の日時等は委員長に一任することの動議を提出いたします。
  68. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) 只今の御動議でありますが、日赤法の審議に当りまして、委員会においては参考人を召喚することに対しまして委員長に一任の動議が出ました。さよう取計らつて異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  69. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) ではさように取計らいます。ちよつと速記を止めて……。    〔速記中止〕
  70. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) 速記を始めて……。本日はこれにて散会いたします。    午後三時五十五分散会