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1952-06-05 第13回国会 参議院 厚生委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年六月五日(木曜日)    午前十時二十七分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     梅津 錦一君    理事            長島 銀藏君            井上なつゑ君            深川タマヱ君    委員            大谷 瑩潤君            小杉 繁安君            中山 壽彦君            河崎 ナツ君            藤森 眞治君            山下 義信君            谷口弥三郎君   国務大臣    大 蔵 大 臣 池田 勇人君    労働大臣厚生大    臣       吉武 惠市君   政府委員    厚生省医務局長 阿部 敏雄君    厚生省医務局次    長       高田 浩運君   事務局側    常任委員会専門    員       草間 弘司君    常任委員会専門    員       多田 仁己君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○小委員長報告 ○小委員会設置の件 ○小委員長指名の件 ○小委員の選任の件 ○国立療養所延壽浜園結核病床増設  に関する請願(第九七七号) ○新潟県の結核病床増設等に関する請  願(第九七八号)(第一〇二六号)  (第一〇七九号)(第一〇九三号)  (第一一五二号)(第一一八八号)  (第一二二一号)(第一二五七号)  (第一二八一号)(第一二九五号)  (第一三二一号)(第一三三〇号)  (第一三四一号)(第一三五五号)  (第一三八九号)(第一四二〇号)  (第一四三八号)(第一四六二号)  (第一四八一号) ○療術師法制定反対等に関する請願  (第九八八号) ○あんま師はり師ゆう師および柔道  整復師試験制度廃止反対等に関する  請願(第一〇三一号)(第一一四六  号) ○国立療養所冨士病院医療改善に関  する請願(第一〇六三号) ○和歌山県潮岬村に国立結核療養所設  置の請願(第一〇七八号)(第一一  〇六号) ○国立療養所給食費増額に関する請願  (第一〇九五号)(第一八九五号)  (第一九〇二号)(第一九〇四号) ○あん摩はりきゆう試験制度廃止反対  等に関する請願(第一三九〇号)  (第一九七五号) ○医療従業員増員に関する請願(第一  八九三号)(第一八九九号) ○結核予防法による補助費増額に関す  る請願(第一八九六号) ○療術師法制定反対等に関する陳情  (第五〇八号) ○あんま師はり師ゆう師および柔道  整復師試験制度廃止反対等に関する  陳情(第五二三号)(第八七三号) ○新潟県の結核病床増設等に関する陣  情(第五五二号) ○県立病院整備費国庫補助増額に関す  る陳情(第六六三号) ○国立札幌病院新築完成促進に関する  陳情(第七〇九号)(第一〇二二  号) ○療術師法制定反対に関する陳情(第  七七七号) ○国立病院特別会計所属資産譲渡  等に関する特別措置法案内閣提  出、衆議院送付) ○派遣議員報告連合委員会開会の件   —————————————
  2. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) 只今から厚生委員会を開きます。引揚問題及び遺族援護に関する件を議題といたします。先ず小委員長報告を求めます。
  3. 山下義信

    山下義信君 引揚問題並びに遺族援護に関する小委員会審議経過を御報告申上げます。去る四月三日に遺族援護に関する小委員会を解消いたしまして新たに引揚問題並びに遺族援護に関する小委員会を設置いたしまして以来今日まで八回開会いたしました。その間戦傷病者戦没者遺族等援護法案審議を当小委員会に附託されましたので、慎重審議の結果修正案を決定いたし、中間報告を申上げましたことはすでに御承知通りでございます。このほか引揚問題につきまして引揚促連盟代表上島定一君、世界仏教徒会議代表常光浩然君等を参考人として出頭を求めまして、中共治下における抑留同胞実情その他引揚促進問題に対する意見等を聴取いたしたのでございます。又当小委員会に附託されました請願陳情を慎重に審議いたしたのでございますが、これにつきましては先般御報告を申上げた通りでございます。なお昨四日児童福祉法の一部を改正する法律案審議を当小委員会に附託されましたのでございますが、未だ審議を開始するに至つてはおりませんが、同法案審議等に鑑みまして、且つ又引揚問題経緯等に鑑みまして当小委員会審議上改組の必要があると考えております次第でございます。以上簡単でございますが御報告申上げます。
  4. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) 小委員長報告通り承認することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) それでは承認することに決定いたしました。   —————————————
  6. 山下義信

    山下義信君 この際私は動議を提出いたしたいと存じます。引揚問題及び遺族援護に関する小委員会を解消いたしまして遺族援護並びに母子福祉に関する小委員会を設け、小委員の数、小委員指名並びに小委員長引揚問題及び遺族授護に関する小委員の現在通りとして委員長において指名せられんことの動議を提出いたします。
  7. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) 只今動議を取上げることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) さよう決定いいたします。  引揚問題及び遺族援護に関する小委員会を解消し、遺族援護並びに母子福祉に関する小委員会を設け、小委員の数及び小委員の氏名並びに小委員長厚生委員長指名に譲りたいとのことでございますが、この点に関しましても御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) 御異議ないものと認めます。それではそのように決定いたしましたので、御指名申上げます。小委員長山下義仁君、委員長島銀藏君、同じく中山壽彦君、同じく大谷瑩潤君、同じく常岡一郎君、同じく藤森直治君、同じく河崎ナツ君、同じく谷口弥三郎君、欠員は一名ございます。以上の通りでございます。なお児童福祉法の一部改正法律案遺族援護並びに母子福祉に関する小委員会に附託いたします。速記を止めて下さい。    〔速記中止
  10. 梅津錦一

  11. 藤森眞治

    藤森眞治君 医療の小委員会中間報告をいたします。国立病院地方移管の問題が二十七年度の予算上に明らかになりましたので、五月十五日に医療小委員会を開きまして、政府関係者を招致してその間の事情を聴取いたしましたところ、国立病院中一部を地方ブロック単位にメジカル・センターの形にして残す、又一部の特殊の性格のあるものを特殊の病院として存続し、又一部を結核病床に転換してその残余の約六十病院地方移譲いたしたいとの意向が判明したのであります。そうしてその方法は、最初行政措置によつて行なうような考え方であつたようでありますが、小委員会におきましては、国民医療関係するところが重大でありまする関係から、くれぐれも慎重に検討すべきものとの態度をとつたのであります。その後いろいろ検討の結果、今仮に地方移譲するといたしますれば、少くも次の諸点に関しまする問題点の解決を図らねばならないことが明らかになつたのであります。即ち第一に地方移譲によつて国民医療が向上するかどうかという点、殊に医療低下を見るようなことがないかということが第一点、第二に地方移譲によつて地方財政を圧迫することがないか、第三に地方移譲によつて職員の身はどうなるかということ、第四に移譲後における施設に関する措置はどうするかという点、第五に移譲後の病院運営に関する措置はどうするか等の点でございます。五月十五日以来五月九日までの間に八回に及びまして小委員会を開きまして、これらの点を中心といたしまして政府当局と熱心に質疑を重ねたのでありまするが、地方移譲につきましては法律的措置を要するとの見解に到達いたしました。かくして四月十日には政府からは現在提案されておる法案が提出されたのであります。ところがこの法案は御承知通り国有財産特別措置でありました関係上、衆議院におきましては大蔵委員会に附託の上、先日可決されたのでありまするが、本院におきましては国民医療に対する重大な問題であるとして、委員長初め各委員のお骨折で四月十六日に厚生委員会予備審査のために附託されまして、更にその調査研究を小委員会中心として続けて参つたのでありますが、何分にもこの問題は各種の地方事情病院個々特殊事情もあり、その他いろいろの複雑した事情もありますので、一律的に一本の線としての結論を出すことも困難でありまして、どうしても現地事情考え合せなければなりません関係から、先般本委員会にお諮りいたしまして、現地視察班を作つて頂きまして実態の把握に努めたのであります。これからこの視察報告を伺うわけでありますが、小委員会といたしましてはその報告を承わりまして今後審議の上に有益な参考といたしまして、更に検討を進めて行きたいと考えておるのであります。以上今日までの経過の概略を申上げまして小委員会中間報告といたします。
  12. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) 以上の小委員長中間報告御承認願えますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  13. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) さよう承認することに決定いたします。   —————————————
  14. 藤森眞治

    藤森眞治君 この際医療に関する小委員会における請願陳情に関する審査経過並びに結果について申上げたいと存じます。  六月二日に審査いたしました請願陳情のうち、請願第九百七十七号国立療養所延壽浜園結核病床増設に関する請願ほか請願三十三件、陳情八件は審議の結果委員会議に付して内閣送付を要するものと決定いたしました次第であります。以上報告いたします。
  15. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) 以上小委員長報告通り御承認願えますか……。さよう決定いたします。速記を止めて下さい。    〔速記中止
  16. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) 速記を始めて下さい。   —————————————
  17. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) 国立病院特別会計所属資産譲渡等に関する特別措置法案議題といたします。  去る五月七日すでに西村政務次官から提案理由の説明を聞いておりますので、直ちに質疑に入りたいと思います。御質疑のあるかたは順次お願いいたします。
  18. 藤森眞治

    藤森眞治君 大臣にお伺いしたいと思いますが、この国立病院地方移譲の今回出ております提案理由につきましては、先般大蔵政務次官から承つたのでありまするが、この提案理由は単に国有財産の処理ということに止まつておりまして、この中にございまする内容というものが極く漠然として明記されておりません。殊にこの中にありますその内容といたしましては、今回の移譲趣旨に鑑みましてと、こういうことになつております。一体国立病院地方移譲ということがどういう目的で、どういう考え方から地方移譲しなければならんかと、この根本的の理由を承りたい。
  19. 吉武恵市

    国務大臣吉武惠市君) 国立病院移譲につきましては、一度本委員会で御質問がございました際にも申上げましたごとく、今日国立病院の九十九は実は終戦直後の従来陸海軍が持つておりました病院処置として一応国が引継いだ、そうしてやつて来たというまあ経過をとつております。従いまして必要に迫つて国が設立したのと違つた関係上、その管理にいたしましても実は多いために行届かない。それよりもこれを地方移譲いたしまして地方の手によつて完備されることが病院の経営という上ににおきましてもうまく行くのじやなかろうか、こういう点に鑑みまして、国で必要な限度はこれを止めますが、それ以上はできるだけ地方移譲をしようということで、数は一度申上げたのでございますが、九十九のうち二十四だけは地方の総合的な病院として残そうというつもりでございます。  それから十五は結核療養所目的にこれを残して行こう、そして六十だけを地方移譲しようという一応の計画を立てているわけです。そういうふうな関係で今回の移譲というものを思い立つたわけでありますが、併しその取扱いにつきましては、一度申上げましたごとくこれを強制的にやるつもりはございませんで、話合いの上で進めたいという考えを持つております。
  20. 藤森眞治

    藤森眞治君 この地方移譲の問題はこれは非常に国民医療の上に大きな影響を及ぼすと考えられるのでありますが、成るほど陸軍病院の或いは海軍病院と、軍病院のあとを厚生省が引継いだという事実はあるわけでありますが、現在におきましては、これは国民が利用しておることは非常に大きい。ところがこれが地方移譲になりますために国民医療というものは向上するたればこれは当然そういうようなお考え方があつて然るべきとは思うのでありますが、場合によりますと国民医療低下するのではないかということが今一般に恐れられております。これにつきまして国民医療低下しない、向上するということの点につきましての大臣の御苦しみの点を承わりたいと思います。
  21. 吉武恵市

    国務大臣吉武惠市君) 私ども国民医療低下につきましては極力注意をして行かなければならんと思いますが、御承知のようにこの国民医療末端国民健康保険組合を初め或いは健康保険組合を初め或いは市町村組合でやつておりまする医療から府県のやつておりまする結核療養その他の総合病院を初め、国から末端のこの市町村に至るまで一体をなして初めて私はこれが完璧を期せられると思います。国民医療だからといつてこれを国が一手でやるという国もございます、そういう行き方もございまするけれども、私はそういうふうなことよりもやはり地方公共団体なり或いは公的機関なりと国とは一体をなして国民医療に遺憾なきを期して行くことがよくはないかと、かように存じまして今回移譲いたしまするのも、移譲することのほうが却つて地元府県、若し府県移譲しますれば府県知事自分の足元で管理ができるということで遺漏なきを期することができはしないか、或いは大きい市町村でもその市町村にある国立病院をその自治体管理して行くということのほうが却つて行届くのじやないだろうかという観点から実は移譲考えているわけでございます。お話のように国民医療低下するということになりますることは、これは私どもも大いに注意しなければならん、かように考えております。
  22. 藤森眞治

    藤森眞治君 私は先ほど小委員長報告でも申述べたのでありまするがこの地方移譲ということによりまして国民医療低下する虞れがあるということが非常に大きな問題として取上げなければならんということは現在の病院を、国立病院実態を見ましたとき非常に遺憾の点が多い。只今大臣お話のように地方に任して地方実情に即した手の行届いた医療を施すというこの御精神は私も非常に二重いたしまするが、併しこれは管理しました相当病院としての形態をなしたものの上において言い得るのでありまして、実際の国立病院実態を見まするとなかなかそうは参りませんような状態でありまして、国が管理して今日までやりましてもなおそういう状態でありまするのが、現在の地方財政の裕かでないときにこれを地方移譲して、果して大臣の言われるような行届いたことができるかということに非常な疑問を持つております。そういう意味におきまして現在の姿のままの地方移譲ということが国民医療低下するという虞れがあるというふうに考えられるのでありますが、大臣も恐らくこの末端病院についての実情を或いは御存じないかと思いまするが、若し末端実情御覧なつた場合には恐らくそういうふうなお考えも出るのじやないかと、そういうふうなことを考えますると、もう少しこれを十分整備をして、そうして立派な病院にして、そうして移讓するということが今大臣の言われる通り理想の線に入るのじやないかと考えるのでありますが、現在御計画になつておるこの線で果してそういうふうな理想が達せられるかということについて大臣のお考えを承わりたい。
  23. 吉武恵市

    国務大臣吉武惠市君) 私も現在の国立病院を沢山見ておるわけじやございませんが、一、二見ました感じは、このまま国が続けて行くことが果していいだろうかという感じを実は私は抱いております。それで移譲をするほうがむしろ手が行届くのじやないかという感じを私はしております。恐らく藤森さんも御覧になりまして現在の状況が香ばしくないというお感じをなさつてのことであろうと思いますが、従つて国でもつと整備してからという御意見だろうと思うのでありますが、その点はいろいろございます。整備してからということもございますけれども、早く移譲するものは移譲して、そうして地方の手で充実して行くということも考えられるのであります。それで移譲するにいたしましても従つて無理な移譲をいたしますると地方負担をかけることになりますので時価の三割、土地建物につきましても時価見積つて三割というのでありますから、普通そういう値段移譲できるものじやございません。併し相手が公的機関でございまするから、引続き管理して頂くことでもあるしするので、それくらいの値段が至当じやないかということで三割ということにいたしました。それから医療器具にいたしましても時価見積つて半額である、でありますからこれとても引継いだときの値段でない、時価見積つて半額というのですから相当国としては思い切つておるわけであります。一般よりもいろいろな充実して移譲しましても、移譲する人がそれを見積つて移譲することになりますから、どちらでもそれだけ金をかければかけ放しというわけにもいかなくなるのではないかと、それから国とてもそう簡単に予算をとれません。いろいろ仕事もございますから、国としてはできるだけ安い値段で今直ちに使えるものはこれは予算六億幾らか修繕費を組んでおりまするから、これは差当り病院に協力し得る程度にはいたさなきや、殴れたままというわけには私はいかんと思いますけれども、充実して行くということになりますると、これはなかなか技術はむずかしくなります。そういう考え方で進みましても実際百余り病院を一時に充実するといいましても、なかなかこれは言うべくしてむずかしい。それよりも安い値段で早く頂戴して引取つて頂くところは引取つて頂いて、充実をして行く、そうして一方実は国のほうにも府県なり市町村のほうで別に病院を建てたいからといつて随分来られるかたがあるのであります。それで記載を斡旋をしてくれないかとか、いろいろ補助金を何とかならんかという一方にはそういう要求が相当ございます。でありまするから一方公共団体で新らしい病院を建てていてこれは相当の金がかかる。一方では国が多くのものを抱え込んで、そうして手が行届きかねるという状況でございまして、それがぴつたりと建てたいところと、移譲するところとが地域的にも当嵌まればそれは簡単でございますけれども、当嵌まらんところも相当あるでありましよう、でありまするから私は無理をしちやいかんけれども、まあそんならばあすこを頂いてやつて行こうかというところがあれば、順次少しずつでも移譲して行くほうが私は国民医療としては、国民のほうの側から見れば、公共団体自体から見るというと、或いは負担というものが出て来る場合もあるかも知れませんが、国民自身の側から見れば今の現情で行くというよりも、私は地元のかたが直接世話をされるというほうが手厚く行くのじやないかという感じを持つております。
  24. 藤森眞治

    藤森眞治君 これは少し議論になるかも知れませんが、若し行届いた医療を行うということでありまして、それが国民医療を向上さすということになりますれば、今大臣のお考えのように任意に、急がないで無理をしないということよりも、むしろこの際一切を法律によつて強制ということが適当でないかも知れませんが、一斉にこれを施方移譲するほうが適当じやないか、若しそれがいいことならば少々強く行くのも差支えない、併し若しそれがよくないということであれば任意という線が出ますけれども、その点において大臣のお考えは少し矛盾した点がないかというような考えがするのでございますが、如何でございましようか。
  25. 吉武恵市

    国務大臣吉武惠市君) 私は趣旨としてはこれはもう国が一切そういうものをやらないということはこれは極端でございます。国がやつて行ける程度、そしてやつて行くほうがいいと思う程度のものは国がやるべきであつて、如何にも陸海軍がもつてつた病院をそのまま引継いでやつて行くというきらいが強いのでございますので、それで六十余り移譲計画を立てた、六十余り移譲ができれば移譲するほうがいい、ただ強制の点になりますと、これは私今日の自治体建前から考えまして、末端が国の機関であれば簡単でありますけれども、やはり自治体としては独立した一つの機能をもつているものであり、又財政的な負担の点も或いは伴なう場合があるわけでありますから、私は強制はやはりいけない、話の納得の上でいつて、どうしてもいやだといえばやはりこれは国が維持しなきやならない、納得が行くまで待つということでないと、どうも強制するという建前は私は面白くない。
  26. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 移譲するにあたりまして取扱いはあくまで強制的にはしないで、話合いの上でとおおせになりますが、一体誰と誰が話し合うのであつて話合いがまとまらないといたしますと思い止まるそうでございますけれども、先だつてから陳情を受けておりました職員の人が全面的に反対らしうございますが、そういうことを勘案いたしますとなかなか実現困難だと存じますけれどもそこらあたりのお見通しは如何でございますか。
  27. 吉武恵市

    国務大臣吉武惠市君) 私はいろいろ地方から来られますかたともお話しをいたしております。この反対には二つの面が私は見受けられると思います。  一つはこれで負担が増しやしないかなという地方財政負担の面から来られる意見もございます。一つお話に出ましたように職員反対がございます。それでこの職員反対は国の今までの状態で行けばそれでまあ身分についても一応安定である。移譲というと私ども移譲してすぐその身分が消えるような処置考えていないのであります。いないけれども受取るほうの職員になると、移譲されるというとそののちにどうなるかわからない、という或る不安から来られて現状維持を唱える、その現状維持は俺達が、自分が困るからということは言えませんから、表向きには負担がかかります、これは大変ですからお受取りになつちやいかんという運動をしておる、でありますから私は来られたかたによく話しまして、おいやだというならば私は無理はいたしません。併し一方あなたがたのほうで病院を立てたいとか、いるとかおつしやつておるのに、そのほうはそのほうで別で、そうしてこの病院はいやだとおつしやる趣旨はよくわからないけれども、これは実は市価の三割で差上げるのです、土地建物市価見積つて三割ですよ、そうして医療器具市価見積つて半額ですよ、こういうと、俺はそんな話は聞かなかつた、そんな話ならもう一ぺん帰つて考えてみようかというのが相当あるのであります。でありますから、これは今日の国立病院移譲反対の面はもう少し冷静に地元のかたもお考えになりませんというと、府県なり市町村なりは、医療機関というものは最初からやらないのだという建前ならば、これ又俺らは国がやるべきものであつて地方公共団体がやらないのだという、それを俺に仕事を押しつけるかということが根本の問題であります。一方では結核療養所にいたしましても、府県立なり市町村立結核療養所にいたしましても申請に来られる、ベッドを殖やしてくれ、病院を立てるから一つ心配してくれ、結核にいたしましても相当熱意をもつておる、それならばこういうふうな国民医療のこの総合病院についても熱意をお持ちになつておるものだと私は信じておるわけであります。でありますからこれは強制してはいけない、併しお話しをしてお話納得の頂けるものならやつて行こうということで、中には自分のほうでも考えてみよう、それから又医師会のほうでは医師会の連合会のようなのが、個人じやなくて地方国民医療機関として我々がお世話してあげてもよろしうございます。市町村などでなくて、医師会というような公的医療機関でもこれを経営されて行くという行き方も考えられんもんかという話もあるわけであります。私どもには今のところはやはり地方公共団体というものを一応対象にしているわけでありますが、そういう事情で今の反対の裏面には職員が若し迭つたときに自分身分がどうなるだろうかという不安から出ている面も若干ありそうに思いますので、その点は地元のかたにもよく言い、それから職員のかたにも移譲したからといつて、迭わると、身分が消えるというようなことはしないようにということは十分お話しております。
  28. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 国家がお持ちになつておりまして管理が行届かないというおおせでございますけれども、その管理の行届かない原因は単に財政的な理由のみなのか、それとも国家が持つてつて何かお困りになるような理由がほかにおありになるのですか。
  29. 吉武恵市

    国務大臣吉武惠市君) およそ物事というものはだんだんと必要に迫られてというか、必要に応じて出て行けばそこがうまく行きますが、国立病院陸海軍が今まで持つておつたものをどこが引受けるといつて引受けるところがないので、一応厚生省が引受けようかといつてやつたわけでありますから、そこに行届かない大きな原因があると私はこう思うわけであります。こういう仕事をやる上において管理可能な範囲といいますか、手が行届く範囲というものがあるわけでありまして、それをただ一時的な経過から引受けたというところに国ば手が延びないという大きな原因があると考えております。
  30. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 もう一つ地方財政の貧困なことは十分御存じのはずでございますので、その上にこういうものを地方財政が背負込むといたしますと、当然国家のほうから相当援助なされるおつもりがあると思うのでありますが、平衡交付金の形とか或いは又別途にどの程度援助なされるお心構えでございましようか。
  31. 吉武恵市

    国務大臣吉武惠市君) 病院にいたしましても、病院を国がやり、これが市町村がやつたからといつてその経費が全部地方負担になるわけじやございませんで、やはり収支が一応あるわけであります。収入という面もあるわけであります。ただ併く営利事業じやございませんから儲かるということはないと思いますが、大体とんとんにいける建前をとつておる、若干の或いは補填ということにはなるかと思いまするけれども、全部の経費を市町村負担するわけじやございませんのであります。それから先ほど申しましたようにやはり市町村にしましても、府県にいたしましても、当事者はやはり医療というものには相当関心がございまして、結核につきましても、やはり一部は地方負担しながら療養所をどんどん殖やされて行く、私のほうでも結核療養所の申込が実は応じきれないほど沢山申込を受けておるわけでありますから、若干の地方負担というものはこれは止むを得ないのじやないかと、かように存じます。
  32. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 その若干の地方負担は止むを得ないとおつしやいますけれども、これは相当問題だろうと思います。背負込まない今でさえもやつていけない現情でありますので、それはよほどお考えにならないといけないと思いますけれども、それはり別の機会に譲るといたしまして、最後に職員待遇とか身分に対しましては、不安なからしむるというお言葉でありましたけれども、もう一度念を押しておきます。地方移譲になりましても、職員身分なり待遇につきましては国家が保障なされるおつもりがあるかどうか。
  33. 吉武恵市

    国務大臣吉武惠市君) これは国が保障するというわけには参りません。移譲いたしますれば移譲いたしましたほうに身分が移るわけでありますが、その移譲に際して人を整理するとか、やめさせるとかいうことはしないようにということを申しております。移つた後に非常に仕事振りが悪いという者がやめさせられるようなことはあるかも知れませんが、まじめに働いておつてそれがやめさせられる筈はない、私のほうからも十分その点は注意をいたします。
  34. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 お伺い申上げますが、厚生大臣は日本の病院の基準をどこにお置きになりますかということを先ずお伺い申上げたいのでございます。過般も病院視察させて頂きまして、そうして日本の建築物の寿命が木造が三十五年、それから耐震耐火が何年とか言われてこの頃建てられておりますにもかかわらず、国立病院の大半が四十五年、五十年の生命を超え、寿命が尽きていると思います。殊に戦争終了直前に建てられたバラック建というものは殆んど引揚者の住宅と等しい、昔の引揚者の住宅です、今はもうだんだん改良されておりますけれども……。そういうような建物、設備を持ち、そうして中の内容も非常に貧弱でございます。それを病院と称して厚生省ではお使いになつておられます。御承知のように陸海軍のああした性格の病院で元来ございましたものですから、周囲の人が公衆衛生なんというものは考えてございません。例えば或る病院を建てますと医師会でも反対をいたします。結核療養所を建てますとそういうところへ建てて貰つちや困る、住民は反対いたします。それにもかかわりませず大変汚水といいますか、汚物といいますか、そうした設備がちつともございませんから、近処の住民の迷惑この上なしなんでございます。公衆衛生の本山でなくちやならないところが黴菌の製造所、病気の製造所と言つたような状態にございます。終戦後六年、七年になりますにもかかわらず、御不浄に水道一つ引いてないというような病院なんでございます。厚生省七年間、何の監督をなすつたかしらと思つてども拝見いたしまして驚きに堪えない次第なんでございます。それで若し厚生省が今日のあの国立病院を以てして日本の医療機関の基準になさいますのでございますかどうですか。地方にああいうものを御移譲なさると地方はあれを以て日本の医療機関の標準だとすることは間違いないと思うのでございます。で、若しそうしたものを標準にして移管をなさいましたら御指導はどうなさるかということも承わりたいのでございます。むしろ厚生省地方にああした病院を持つておりまして、立入りでもして、どんどん検査をして、ここはいけない、ここはいけないと言つて修理をして、そうしてなさるのが普通じやないかと思います。この頃出ております栄養改善法にしましても、集団食堂なら集団食堂へ人つてつて、そうして立入りをして検査をして直されるとか、いろんな設備のところへみんな立入りをして直させておりますにもかかわらず、厚生省からは大してこれが指導を受けていないというのが大体の国立病院実情なのでございます。それで厚生省側の国立病院の今日のあの基準を以て日本の医療機関の基準となさるかどうかということが非常に大きな問題でございます。医療の前にこの問題を先ず考えられるべきじやないかと私ども病院を見て参りまして考えたのでございます。で、職員の人たちのおつしやるのもそこに大きな原因がございまして、こうした国立の病院でさえこうした条件の悪いのを地方へ行けばもつと悪くなつてしまうだろう、結局国民医療というものは決して安くならないで、倍額にも三倍額にもなるだろうというのが皆さんの不安の因だつたと思うのでございますので、今後の日本の医療機関の基準を今日の国立病院に置かれますかどうですか、ということを先ずお伺い申上げたいと存じます。
  35. 吉武恵市

    国務大臣吉武惠市君) お話のごとく今日の国立病院の中では内容の充実していないのが相当ございます。それはお話のごとく戦時中に急いで作つたような病院も相当あるわけでありまするから、木造建のものも相当ありますが、これは日本の国力がだんだんと回復するにつれて充実をする以外には、そう簡単に百もございまする病院が一遍に立派な病院になるということはこれは非常にむずかしいことでございます。私ども現在の病院があれでいいんだとは絶対に考えておりません。私も一、二見まして、成るほどこれはどうかなと思つている向きもございますので、そういう点もございまするのが、今言つたように不自然に一遍に国に入つて来たというところにあるわけでありまして、それで国が持つべきところは持とう、そうして移譲が可能なところは移譲して、両々相俟つて整備して行こうという趣旨でございまして、私ども現在のあの国立病院状態があのままでいいとは絶対に考えておりません。
  36. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 厚生大臣只今のお言葉でわかりましてございますから、それでは地方移譲なさいます以上は、厚生省は責任を以て今後の整備拡充をなさると私は承知いたしましてよろしうございますか。
  37. 吉武恵市

    国務大臣吉武惠市君) 従つて差当りは六億余り修繕費を組んでおるわけでありまするが、今後といえどもども先ほど申しましたように、国民医療機関というのは、下はもう市町村や或いは国民医療機関国民健康保険組合あたりでやつておられまする医療機関から、府県、国と、これが一体的に総合して初めて国民医療の充実ができるわけでございまして、その点は十分気を付けてやつて行くつもりでございます。
  38. 藤森眞治

    藤森眞治君 大蔵大臣がおいでにかりましたので、大蔵大臣に先ず伺いたいのですが、この国立病院地方移譲が各府県におきましては国家財政の赤字を地方財政に転嫁するんだということが非常に強く叫ばれております。又我々が病院実態視察いたしましても、そういう感じが非常に深いのでありまするが、地方財政を圧迫するようなことはございませんか、ということを大蔵大臣に伺いたいのです。
  39. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) こういう問題につきましては、厚生大臣からすでにお話申上げていると思いまするが、国立病院の移管は強制的にやるのではありません。その地方で譲り受けたいという御希望があり、話合が付けば譲ろうと、こういうのでございます。国家財政の赤字を地方に押付けようというような気持は毛頭ございません。
  40. 藤森眞治

    藤森眞治君 大蔵大臣はこの病院実情余りよく御承知でないと存じますので一応申上げますが、現在の国立病院の大部分は大体明治二十一年あたりから四十年あたりの間に建てられた木造建築物が大部分でありまして、これに昭和十三年あたりの臨時構築物が相当沢山ございます。いずれももうこれは耐用年数も経過してしまい、殊に臨時構築物等はもう腐敗してその使用の限度に達しておるような状態でございまするが、これを地方移譲するということになりまして、なるほど押付けるんじやない、こういうことを言われまするが、国の方針として一応地方移讓というものが出ました場合には、政府としてこれはなるべくこれの実現を図られるのが当然じやないかと思いますが、そういう際に、この古い建物又設備その他においても、これは又事務当局ともよくお話合いをいたしませんが、見るに耐えないようなものも相当あるのでございます、こういうふうなものを国の方針として地方移譲するということは結局は地方財政を圧迫することになりはしないかということを考えるのでございますが、如何でございましようか。
  41. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 私はそう考えていないのであります。これを無理矢理に地方で買いなさいというふうた態度はとりません。ただ先ほど厚生大臣お話申上げておるように地方のほうで要求があつて、これを医療機関の整備のために引受けたい、こういうふうな御希望があればこれは売渡すのでございます。而してお話のように非常に古いものとか修繕を要るものという場合におきましては六億数千万円の改造費を認めておるのでございます。而もこの御審議を願いますのはこれは病院国有財産でございますから国有財産の規定によつて売るのが普通でございます。併しそれでは今の実情等を考えまして府県も引受けにくいというので法律を設け、建物につきましては時価の三割、或いは医療器具、機械につきましては時価の五割特別に安い値でお譲りいたします。こう言つておるのでございますから、これによつて地方財政を圧迫するとかというふうな考えは私としては持つていないのであります。
  42. 藤森眞治

    藤森眞治君 それではもう一つ重要な点を伺うのですが、若し地方がこれを希望しない場合、現在知事会議等におきましても地方移譲反対ということを言つておりまするが、若し地方が希望しない場合には大蔵省としてはこのまま国立病院のままで存続してもよろしいというお考えでございましようか。
  43. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) その通りでございます。初めから私は強制しようという気持はございません。ただ国で手の届かんところがあるのが地方へ行つたならば手が届く経営ができて、そして国の医療機関整備拡充に役立つということを考えまして、安い値段で売り得る、こういうことにいたしておるのであります。
  44. 山下義信

    山下義信君 今大蔵大臣地方移譲を好まないもの、即ち話合いのつかないものは国として存置してやるべきだ。そう考えている。無理矢理に地方移譲するという考えはない。残るものは国としてやるべきた、こういう御答弁がありました。これは非常に重大であると私は思う。私どもも大蔵大臣考えに同意見です先ほど厚生大臣は大体要らんものをひつ被つて来ておるんだと、陸海軍当時のしようのないものを、処分の仕方がないので取あえず厚生省がひつ被つて今日までやつて来たんだ、こういうものは今後国立としてやる価値がないので、やる思いもないので、これを何とか地方に持つて行こうというのだと、こういう御答弁があつた。その辺に食い違いがありますが、残るものについては厚生省は必要と認めてやりますか、国立として力を尽してやりますか、残つたものもこれは要らないのだからということになれば厚生省は廃止の方針で行きますか。今大蔵大臣との御答弁との間に利は食い違いがあると思いますから、その点厚生大臣の御所見を求めておきます。
  45. 吉武恵市

    国務大臣吉武惠市君) 私が申しましたことは実はちつとも食い違いはございませんので、政府が九十九持つたゆえんのものは、先ほど申しましたような事情で持つておる。従つて手が行届きかねるから地元で引受けて貰えるものは引受けて貰つたほうが国民側から見れば却つてよくはないか、ということで一応の六十余り移譲する計画を立てておる。併しこれは強制をしないのだ。強制をしないからお引取にならないということであれば、私どものほうで勿論維持しなければならんことであります。国のほうが持つておる価値がないということを申上げたつもりはございませんので、どちらが管理したほうがいいかというと、そう多数のものを国が抱え込むよりは、一部は地元のほうでやつて頂いたほうがよくはないかという趣旨でございますから、引受けられない点は厚生省において引続き勿論管理して行くつもりでございます。
  46. 山下義信

    山下義信君 その点両大臣意見が一致しておいでになればそれでよろしいのです。私どもが問題にしておりますのは今回のこの国立病院移譲目的がどこにあるのかということが極めてあいまいである点を問題にしておるのでありますが、先ほど厚生大臣はこの反対運動は結局国立病院職員身分の不安から反対をやつておるのが真相だと、こういうことをおつしやつた。或いはそれもあるでしよう。併しながら私はこの問題の反対運動或いは反対説がそれが全部であるとは思わん。又その職員自分身分のことを心配するのは当り前です。身分の心配をしてどこが悪い。やはりただ身分だけでないでしよう。その実情をよく知つておるところの、その病院の経常、病院の利用価値或いはこれが移譲されたらどうなるかということを現地に即しての事情をよく知つておるそれらの職員意見を洩らすことは当然である。それはちつとも悪いことで私はないと思う。然るに最近は厚生省は或いは国立病院課長名であるか何かの通牒をもつてこれらの職員に箝口令を布いて、一切こういう病院移譲問題について、或いは反対の説を述べたりそんなことをしちやいかんという通牒などを出して、そんな神経過敏になつて職員の口を鎖ざすようなことをしなくても、正々堂々と移譲理由があるならば我々も賛成する、理由が不明瞭ならばこれを質さなければならん。そういうような細かい手を打たなくとも、堂堂と移譲目的をはつきりと明確になさればそれでよろしい。国においてはできにくいことが地方に行つたらその病院が完備する、その言い方は何です。地方でできることなら尚更強い力のある国でやつて立派にならない筈はない。国の力では完全には行かないけれども地方に移したら完全に行くだろうというようなことは、一つの論理からいつて論弁です。私は議論しようとは思いませんけれども、その点については今回の地方移譲の問題は医療体系の上からはつきりした信念を持つてやるのか、或いは面倒だから、或いはもういらないから、或いは何と申しますか、いろいろな都合で一時的便宜的に、何か反古か何かを古道具でも払い下げるような気持でやるというような考え方が若しあるとするならば、我々は断乎としてこれに反対する、こういうのです。又先ほどから医療体系の問題ということは、国民医療の全体の問題を言つておらない、具体的にその国立病院地方移譲されたらばいろいろ医療内容等が低下する虞れはないかという点を同僚諸君が質問したのであろうと思うのであります。私は議論はいたしませんが、この際大蔵大臣に私伺いますが、今回の国有財産のこの法案によりますると、只今の御説明のように病院時価の三割又諸道具類は時価の五割、こういうことであるとおつしやつた。どういうところでそういう値段を弾き出されましたのでしようか。どういう算定の基礎をお持ちになりましたでしようか。これを地方移譲して、地方民の医療のために地方経営をさせたほうが真にいいのだ、国民の保健福祉の上にそれがいいのだ、こういう信念ならば、なぜただでおやりにならん、国有財産が公共のためには無償でこれを移譲するということは国有財産処分法の原則です。どうして時価の三割、五割というような、そういうもので私どもは高いと思うのです。移譲のいい悪いの根本的な考え方は別として仮に移譲するとする、貰い受けるといたしましても、何だか高いじやありませんか。時価の三割ということはなぜそういう高い値段でおつしやる、そういうことで移譲なさるというのは、これを売つてから大蔵当局は財源でも漁りになるというお考えでしようか。なぜ三割、五割という基準をおきめになりましたか。大変私は高いと思うのでありますが、それが安い理由がありますならばお示しを願いたい。
  47. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 値段のきめ方の問題と、ただで出したらどうかという二つの問題だろうと思うのです。国の財政と地方の財政とは建前として分かれております。私は地方に譲るから地方公共団体があるからというのでただで譲るということは、大蔵大臣としては賛成できません。大分経済が違うのです。それじや有償で売る場合にどの程度にしたらいいかという問題でございまするが、これは国有財産の払下げ等の権衡に、まあ時価の三割或いは時価の五割程度ならば引受けるほうも引受けやすいのではないか、こういう考え方、二割にしたらどうか、四割にしたらどうか、こういう問題もあると思いますが、他との権衡を見てきめた割合であります。
  48. 山下義信

    山下義信君 これはおかしい御答弁をなさる。国の財政と地方の財政の建前が違うから、その移管するのにただでやる法はない、こうおつしやる。併し公共のためならば、国有財産も無償でこれば御移譲なさる途があるじやありませんか、やはり財政の建前が違つてつてもなおさらこれも公共事業、これに対しては有償でまあ優先して売りたいと、大蔵大臣はお金が欲しいからそういうふうにまあなさるのでありますが、併しえらい儲けられるじやありませんか、どうでしよう。原価ただでしよう。これは国は何ですか。国有財産になさる時分にいくらか金をお出しになつたでしようか。若しお出しになつたとすれば帳簿上に原価があるでしよう。若し陸海軍から或いは地方に寄附したものもあるでしよう。当時建設の理由を見ると、殆んどただで国が国有財産としてとつておいて三割、五割といつても帳簿価格の三割、五割でなしに時価ですよ。その時価はどういうふうに御算定になるか、時価というと大変なものです。昔の五百倍、千倍になつております。これは国が非常に儲けることになると思う。どういうわけでこういう高い価格で売ろうとなさるか、若し国の財政としてこれが収得された当時が無料であつたならば無料でよし、安ければ安くてよし、もつと安いものに私は移譲すべきであると思うのでありますが、一体大蔵省は国有財産地方移譲という、こういう払い下げに対してどういう一定の方針を持つておられますか。場合によつちやただのもあり、或いは場合によつてはこういうべら棒な数百億の国有財産を無理をしてでも払い下げなさろうとすることを現にやりつつある。こういう国有財産については三割五割というものをきめておられる、一体大蔵省は国有財産の処分につきまして、この種の公共の用に供する国有財産の処分の価格等につきましては一定の方針を持つておられますか、どういう方針でありますか、承つておきたい。
  49. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) ただのものを引継いだというようなお話でございますが、これは所管が違いまするが、国有財産運用当時の財産であつたので、もともと国のものでございますから、国有財産の売払いにつきましては原則として時価で売るのでございます。併し特定の場合におきまして時価の何割というようなこともござまいす。又特定の法律がありますれば、無償でやる場合もございます。併し今回の国立病院につきますてはいろいろな場合を想定いたしまして、只今申上げた割合で譲渡することが適当であると認めたのであります。
  50. 山下義信

    山下義信君 私はその適当な理由を聞いておるのでありますが、どういうわけで三割、五割というものを適当となされるか、その基準は何から出されたかということを承つておるのです。
  51. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 軍用財産の売払いと又一般の財産は時価で売ることを考えまして三割、五割ときめたのであります。
  52. 山下義信

    山下義信君 御答弁要領を得ませんけれども、私はこれでやめておきます。
  53. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 建物時価の三割、それから器具機械は時価の五割で売渡すことになつておりますが、勿論すべては話合いの上できまるといたしますと、この金の支払いの方法につきましてもその都度話合いできまることと存じますけれども、大体におきまして只今地方財政がこれだけの金を支払うだけの余裕があろうとは存じませんので、若しその地方が必要だといいますならば、それを買います程度におきまして地方起債をおやりになる御用意があるか、それが一つと、それからその次はその他何らかの金融の方法をお考えであるか、それが二つ、第三番目にはそれにいたしましてもやはりその金を払います段になりますと、これが地方の圧迫になります。例えばその病院の経営が非常に有利な碁業だといたしますと、その利益で順次返すことができますけれども余り沢山利益をとるといたしますと、その病院にかかります患者の医療代金というのですか、それの上に重荷が加わつて参りますので、貧乏の患者を圧迫いたすことになりますので、どういたしましてもその買つた金を地方から国家にお返しするという方法は非常にむずかしいと存じますけれども、大蔵大臣お話によりますとどうも巾着が違うので、国有財産であるというお考えのようですが、若しそれで行われることといたしますと、それならそれで売渡しておつてもよいけれども、毎年々々国家から地方へ幾らかの援助金をお渡しになりまして、その金で今度は地方のほうから少しずつその金を返すことにいたします。このむずかしい二つの巾着の問題は解決がつくだろうと思いますが、こういう援助の方法でも講じませんと地方が困ると思いますが、如何ですか。
  54. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 売渡してから後に交付金その他の方法をとることは今考えておりません。話合いもすみまして売渡しする場合におきまして起債の問題或いはその起債を資金運用部で引受けるか、或いは又地方債をどこに交付する、こういうふうないろいろな方法が考えられると思います。従つてそういうことは売払いの話合いのときにきめて行きたい、こう考えております。
  55. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 返済の方法のことを……。
  56. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) 返済の方法は今のように地方債の発行か或いは地方債を政府に売却代金として出すことによつての方法、この二つできまる問題でございます。
  57. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 もう一つお伺いいたしますけれども、これを払いますときにその病院が大して利益のない事業と見なければいけないと存じますので、払う金を見出しますときにはやはりそこにおります患者の医療代金が引上げられなければいけないので、貧乏な患者を圧迫いたしますので、金が返しにくくなるから、幾らか国家のほうで毎年援助して貰わなければいけないことになるのではないかというのですけれども、その方法についてもつとお考えになるならばそれでよろしいのですけれども、やはり考えて頂かなければ……。
  58. 池田勇人

    国務大臣(池田勇人君) それは先ほどお答えした通り、その後の経営によつて赤字が出る売つた国立病院に対しましては、政府が将来とも補助金その他で面倒を見るということはいたしません。地方団体が飽くまで自分の計算でおやりになることが適当だと考えております。
  59. 中山壽彦

    中山壽彦君 私厚生大臣にちよつとお尋ねをしておきたいと思います。先刻来お話のように現在の国立病院陸海軍のものをそのまま継承されたことになつておりまして、私ども前年来地方に行つて参りますというと非常に辺陬な所に国立病院がある。何ら利用価値の少い所にあると思います。又一方には非常に公的の医療機関が多数設立されておる所もある。前年来厚生省の内部には医療機関整備審議会なるものが設置されて全国的に見てこの病院の分布を審議なさるということを聞いておる。又各地方庁にもそれぞれ医療機関整備審議会が設置されておるということも承わつておるのでありますが、今回私どもが京都、滋賀、奈良、和歌山の一府三県に参りまして知事にお尋ねいたしましても、これらの審議機関が何ら活動をいたしておりません、又、従つて中央にも何らの報告も出ていないのであります。現に京都府では西舞鶴に赤十字社病院を新設するという問題が起つております。而して東舞鶴にはたくさんの公的の医療機関があり、西舞鶴と東舞鶴の距離は短距離でありまして、西舞鶴に特に赤十字社病院を新設する必要つがないという所にそういう病院を作ろうという、まあ運動が一部に起つておることを耳にいたしておるのであります。私はこの中央地方における医療機関整備審議会なるものが、もう少し有意義に活動をされて、全国的に見て必要、不必要な点をよく明らかにされるような方途を今後厚生大臣としておとりになる御意思があるかどうかということをこの機会にお尋ねをいたしたい。    〔録音機故障のため欠録〕    午後零時二十分休憩    —————・—————    午後二時十八分開会
  60. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) これから午前に引続いて厚生委員会開会いたします。  先般視察に参りましたその結果に対しまして、各委員のかたがたの御報告をお願いいたします。
  61. 藤森眞治

    藤森眞治君 第一班は山型県、長野県、新潟県、この三県に参りました。  先ず第一に山梨県の甲府病院から様子を申上げます。大体調査要綱によつて各該当事項を御報吉申上げます。第一に病院意見、そのうちの院長の、即ち管理者の御意見を申上げますと、現在の国立病院はまだ県下の受入態勢は十分できておらない、そういうことで以て国立病院として専属を希嘱する職員組合は地方移管に対して反対をしております。患者側には意見ばございません。第二に県側の意見、これは近く県病院の完成をみますので、県財政からみて移譲を受ける意思がない。現下の県財政からみて移譲を受ける意思がない。県財政には県病院として維持するだけのゆとりがないということであります。併し県下には結核病床は非常に不足しておるので、結核に転換されることを希望するのみならず、現在の国立療養所の病床増設をも随分希望があります。医師会側の意見は、県に移管されても、又国立であつてもその移管を問わず、結核病床転換を希望する。県としての一貫した医療体制を確立して医療の統一を図られたい、こういう意見を述べております。  この甲府病院の概評を申しますと、明治四十二年に甲府衛成病院として創立されたものであつて建物は極めて陳旧で一部戦時中に増築されたものがありますが、仮建築使用の限度に達しております。病室は而も西向になつております。建物は極めて陳旧で一時戦時中に増築されたものがありますが、仮建築で使用の限度に達しております。病室は而も西向きになつております。病室の採光、通風、保温等に欠けるところが少なくない、汚水施設が全然ないために、汚水が一般下水に自然放流されておる状態であります。便所は汲取式であるが、汲取口等極めて不完全な点があります。なお敷地の一角に世話課があるために敷地の形が極めて悪い。修理、整備等の費用は二十五年に六十五万円、二十六年度に六十七万円、三十七年度は三万円というので、病院の腐朽限度からみて小額に過ぎると思われます。このままでは朽ち果てるのを待つておるような状態であります。収支比率は九〇%、完全給食、完全看護はまだやつておりませんが、六月頃には給食が行われる予定であります。  次は長野県におきましては、松本病院を第一にみております。病院意見といたしましては、管理者側の意見地方移管は絶対反対理由は長野県立病院の現状からみて、県営になろと診療費が高くなる、第二は、戦時中の建造物が多いため近く整備を要するも、概算六千六百万円で到底県営で整備ができない。第三に、甲信越地方ブロックの中心病院として認められるべきが当然であろうという意見であります。なおこの松本病院は信州大学移管の問題があります。これに対しても病院側は反対をいたしております。その理由は、大学病院では生活保護法の患者の取扱いをやつておらない。結核予防法の患者も拒否しておる状態である。  第二には、大学病院では診療費の負担が重くなる。第三に、大学病院の学用患者を増す目的であることには反対である。第四に、松本市会では信大移管に反対意見が非常に強い。患者側には特別の意見はございません。  病院状況を申しますと、明治四十一年松本衛成病院として創設せられ、昭和一三年十二月に現在の第一、第二病棟が増築され、二十二年に大火によつて一部焼失して二十四年に復旧しております。焼失して復旧された部分以外は陳旧であるが、やや整備されております。併し戦時中に増築されたものは使用の限界点に達しておる。施設整備費は二十五年度二百四十七万円余、二十六年度百四万八千円余、収支状況は二十五年度二百五十万円余、二十六年度は二百一三万円余の赤字であります。完全給食、完全看護はまだ実施に至つておりませんが、給食は六月から、看護は一部にて試験中であるが、附添いは殆んどない。整備を要するものは概算六千六百万円であります。  次は長野病院、これも管理者側は国立病院として存続を希望しておりますが、その理由は、現下の地方財政状況から見て県移管によつて病院の整備が困難となり、医療内容低下が予想せられております。かつて病院は上山田市並びにその周囲の上山田町民が陸軍に献納したものであるので、その上山田町民が地方移管反対しておるというつことであります。職員組合は、只今委員長一任の形式で存続を希望しておりますが、患者側は特に意見がございません。  病院の概況は昭和九年上山田が敷地、建つ物及び医療設備の一部を陸軍に献納して宇都宮陸軍病院上山田分院とつして発足したものであつて、温泉療養所の目的に供せられて来たものであります。施設は比較的整備されておりますが、狭隘を訴えております。医師の患者担当がやや過重であります。汚水処理ができておりません。施設の整備改善を要するものが概算三千五百万円で、殊にボイラー等は小さく古く需要を満たさないのみならず、使用の限度に達しております。施設整備費は二十五年度が三十五万円、二十六年度三百六万円、完全給食は実施しておりますが、完全看護は実質的に行つておるので、まだ実施の域に至りません。収支決算は二十五年度は黒字七十三万円、二十六年度は四百三十万円の赤字でありまして、これはその大部分が看護婦寄宿舎の新設によつたものであります。併し今後赤字がますます増加するという予想がされると言つております。その理由は、寝具が消滅するのと燃料が非常に高くなるために赤字になるということを言つております。県側の意見といたしましては、松本病院は信州大学に移管するから、松本病院を除外してくれという厚生省の話であるがどうかという質問があつたにはあつたのであります。これに対しまして移管の対象は先ず府県である旨を答えて、そのつもりで意見を述べてもらうことにしたのでありますが、県の立場は、大学が引受けるというなら引受けてもよろしいという意向のようでありました。現在の県病院状況並びに県財政の面から見て極めて移管には消極的な態度を表明しております。併し地方財政が困難になるようであれば因るが、そうでなければ国の考え方によつて十分考慮してもよいという妥協説の様子であります。医師会側の意見としましては、松本病院は信州大学に合併して医大中心の強力な医療機関を作つて、医師その他医療関係者の十分利用できるものにしたい。県立であつても、国立であつても、いずれでもよいが、診療内容がよくなり、診療費が高くならないようにしてもらいたい。併し国立でなければ施設が十分にできないのではないかという憂いがあるということであります。  次は新潟県高田病院について申上げます。病院側は病院長の意見は、地方受入態勢の整うまで国立のままで存続したい。地方移管によつて独立採算制がとられる虞れがあるということを申しております。職員組合は委員長一任の形でありまするが、やはり国立存続を希望しております。患者側は大した意見がありません。病院の概況は、明治四十一年に陸軍衛戌病院として発足したものであります。戦時中の建物もありますが、その一部は管理室に改造されて、かなり整備されておりまするが、陳旧な建物であることには間違いはありません。結核の入院は七〇%から八〇%であります。汚水処理施設がこれもありません。そして汚水が全部自然放流になつて町のほうへ流れております。便所はやはりこれも汲取式で完全ではありません。診療科目中に眼科、耳鼻科等は兼任であります。産婦人科はありません。収支比率は二十五年度は一〇六%、二十六年度が八四・六%という状況であります。施設の整備を要するものとして病室の改造、看護婦の食堂、ボイラー等の概算が千百二万円必要と言われております。完全給食は実施しております。完全看護はまたいたしておりません。  次は村松病院病院側の意見としましては、結核療養所に転換することを希望しております。その理由は外来患者が約三十名で病床数が百、最大収容力が百七であります。九〇%以上が結核患者であつて敷地の地元各州等によつて拡張の要望が地元民によつてつております。而もこれは私有地でありますが、これを買収して地元負担をやりたいということを言つております。職員組合のほうは院長一任の形をとつております。患者側の意見としましては、患者側と申しますよりも、周囲の市町村から結核転換を非常に希望しておりまして、只今申しましたような理由で増床の希望を述べております。この病院の概況を申しますと、明治二十九年に村松衛戌病院として発足したものでありまして、比較的整備されておりまするが、建物は陳旧建物であります。これも汚水処理ができておらない、自然放流のままであります。二十六年度の整備費は七十万円、二十七年度が七十万円、収支決算は二十五年、六年とも大体二〇%の赤字であります。完全給食及び完全看護はまだ実施しておりません。敷地の拡張、官舎の設備等の要望がございます。医師は内科四名、外科二名で他の診療科目はございません。従つて結核転換の形態がすでに備えられておる状態であります。  次は新発田病院病院側の意見としましては、院長は法によつて定められたようにしたい。国立医大の付属病院にしてもよろしい。又結核に転換されてもよろしいという意見を持つております。組合側はやはり院長一任の形であります。病院状況は、明治十六年、第十六連隊重病者病室として創設されて、十八年新発田衛戌病院なつたものであります。比較的整備されておりますが、建物二千余坪のうち約六百坪が臨時構築物であり、なお百二十坪の焼跡及び腐朽建物があります。汚水はやはり自然放流で堀の中に流れておりまして、悪臭が紛々としております。而も消毒その他に使いまするボイラーがございません。完全給食は実施しておりまするが、完全看護は一部に実施しておるのみであります。収麦率が二十五年度が九四・五%、二十六年度九六%であります。整備費は二十五年度が五十一万円、二十六年度が二百九十三万円、整備を要するものがボイラー、焼跡の整備、手術場の改造、外来棟の改修等概算六千万円余の見込であるということであります。これに対して県側の意見といたしましては、これが新潟県全体を意味しての県側の意見であります。先ず財政面の解決がなければどうにもできない。県病院の従業員の移譲反対意見がございます。その理由は現在県病院の赤字経営を国立病院の移管によつて一層県の赤字を助長する虞れがあるということを言つております。市会側の意見といたしましては、本県においては結核の病床が不足しておる。特に精神病院の病床が極めて不足しておるために、街頭に精神病者が妨律するものが非常に多い。そのために放火等極めて危険なものが放任されておる状況である。故に結核精神病に転換されたいという希望を申述べております。  かような状態で、我々の視察しました以上の諸病院はおおむね陳旧な木造建物で、而もその中には戦時に臨時構築された極めて粗末なバラック式の部分が相当含まれております。これらはすでに一部を除いては使用の限界点に達しておりますから、年々相当の修理改造を要するか、或いは又改築されなければならない状態であります。設備の面においても幾多の不足の部分がありまするが、大部分の病院に汚水の処理ができておらないばかりでなく、これが自然放流で一般下水に注がれておるということは、公衆衛生の見地から見ましても、ゆるがせにできない事実であります。便所切改善は又喫緊事であります。完全給食、完全看護の面もまだ十分でございません。収支比率が赤字であるのも多数でございます。地方財政の面から、各府県とも移管に対しては甚だ消極的でございますことは、特に我々が意を払わねばならん点であると考えました。他の各県共に結核病床の不足を歎じております。又精神病床の増床の希望もありますことは、この際極めて重大に考えなければならない点であると思考いたしまする次第でございます。以上御報言申上げます。
  62. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) 続いて第二班の御報告をお願いいたします。
  63. 中山壽彦

    中山壽彦君 第二班の視察報告を私から申上げます。  第二班は五月二十一日から二十七日までの間、京都、滋賀、奈良、和歌山の各府県山下委員大谷委員河崎委員と私の四人が事務局から齊藤参事及び厚生省の佐藤事務官を同行いたしまして、国立病院地方移管につきまして、地方実情を調査して参つたのであります。各地方意見を総合して見ますれば、いずれも地方移管には反対ということでございまして、その理由とすることは、国立としての経営している現在でさえ、その経営が非常に困難なところが多く、更に不完全な設備を如何に整備して行くかということを考えた場合、地方財政の現状から見て、或いは医療低下を来たしはしまいかと考えられるのであります。仮に地方移管をすることとしても、整備計画の樹立と財政措置を考慮して、地方の希望と相待つて移譲を決定すべきものと考えられたのであります。各病院、各地方自治団体、医師会代表者等の意見中心に順次申上げてみたいと存じます。  先ず京都病院について。京都病院政府の説明によれば、国立として存置の予定であるが、これを調査いたして見ますると、敷地が一万九千十一坪、建坪の延が三千五百三十八坪、建物の種類が木造二階建二棟、平家建二十棟、設備は一応整つております。病室の数、大病室が二十七、個室が五十一、病床数が三百五十六、内訳、結核が九十九、伝染病が十、その他が二百四十七、職員数、定員二百四十、現員が二百三十八、看護婦の養成所、甲種生徒が五十七、一年生が二十三、二年生が十七、三年生が十七、収支の状況、昭和二十六年度においては、収入超過七万三千二十八円でありまして、収支の割合は一〇一%となつております。完全給食実施の概況、昭和二十六年四月一日よりこれを実施し、栄養研究会を開き、医師と栄養士との間において各患者の嗜好をも考慮して栄養食の調理に万全を期しており、調理場の設備も完備している。完全看護実施期日とその概況、昭和二十旧年一月、GHQ係員の直接指導の下に順次看護婦勤務の三交代制、患者附添を廃止したが、昨年六月から職務内容の進歩と改善を図り、現在夜間における完全看護を実施している。その他、患者の状況について。現在の患者収容定員は入院三百五十六、外来四百八十と定められているが、入院患者は常に満床の状態である。病院改築計画について。目下の病院経営は比較的良好な線を進んでいるが、建物不足と腐朽建物の改築を要し、将来国立病院とし名実を共に備わつたものを完備するため、総経費十億円を以て昭和二十八年度から順次現在の建物の空地新築計画を立て、設計図を添えて厚生省にその実現方を申請している。京都病院における概況は以上の通りであるが、病院側としては、地方移管又は国立療養所転換等の希望は全然なく、現在のまま国立として存続し、建物新規計画の実現を要望している模様であります。次に京都府庁側の意見としては、知事、部長いずれも同様の意見を以て、京都、福知山、舞鶴、各目立病院とも現在のまま国立病院として存続を要望し、地方自治団体の現財政を以てしては到底経営困難の実情であつて地方移管後独立採算制の強化によつて医療面から開業医を圧迫すると共に、国立病院の現職員地方公務員へ全面的な切替も困難となるものと思われ、地方移管反対しております。又京都府医師会代表も知事の意見と同様の意向を表明いたしました。なおこの機会に西舞鶴地方に日本赤十字を中心とした公的医療機関新設について、舞鶴市医師会との間に意見の相違を来たしている問題がありますが、この点については、当該市舞鶴医師会長は、現在東舞鶴に公的な医療機関があり、新らしく西舞鶴に公的な病院を新設する必要はなく、他の医療機関の整備拡充によつて治療上支障を来たすことはないので、日本赤十字社本社と日本医師会との間で資料を持ち寄つて検討を加えられ、結論を出すように御協力願いたいとの要望があつたことを御報告申上げておきます。  二、八日市病院について。滋賀県八日市病院は元陸軍病院の残存建物を引継ぎ国立病院として存続して来たのであるが、地理的に極めて不便であつて、設備不完全、患者も少なく、その利用も不便な位置にある関係から、八日市町当局と協議の上新たに八日市町に建物を移転して外来診療棟を設け、診療所として使用中であるが、この診療設備も建築中途であつて、町当局は現在の移築にさえ相当多額の負担をして来た。現在更に今後整備費多額を要する地方移管には反対であつて、従来の方針通り国営を以て、移転中途にある本病院の急速な整備を要望しておる模様であります。  現在の病院状況は左の通りであります。  (1)本院イ、敷地一万一千百二坪、  口、建坪七百九十八・二五坪、ハ、建物の種類、木造平家建。  (2)診療所、イ、敷地五千七十五坪。口、建坪百九十一・二五坪。ハ、建物種類、木造平家建。  (3)設備はすべて不備で、且つ機械化していないため非能率的で不便である。  (4)病室数及び病床数、病室は大部分大部屋であつたのを改造して中、小部屋になつており、病床数八十(一般二十五、結核五十、伝染病五)である。  (5)職員数七十。小病院のための患者数に比して職員数が多い。  (6)看護婦養成所なし。  (7)収支の状況、年間約七百万程度の赤字となつている。  (8)完全給食は入院患者全部を対象としているが、食糧費、設備、器具不足等から不十分の状態である。  (9)完全看護、建物の配置、宿舎不足その他の事情のため困難な状態ではあるが、完全看護に近い状態にしようと努めている模様である。  三、滋賀県下の医療機関の現況について。  (1)一般病院、診療所、医師その他、イ、一般病院二十三、病床数千四百十九、診療所数四百九十九、病院診療所医師数六百六十八、医師一人当り人口数千二百八十九、人口万当り病床数十六・四、口、歯科診療所数百七十三、歯科医師数百八十三、歯科医師一人当り人口四千七百五、(2)特殊病院、イ、結核診療所五、病床五百九十九、人口万当り六・九、口、精神病院一、病床百六十七、人口万当り一九(3)公的一般病院基幹整備計画案によれば、管内人口八十六万千百八十、病院数二十、現在病床千百九十五、人口万当り十三、増床計画七百三十五、完成時の床数千九百三十、万当り病床数二十二。(4)無医村五村であるが医療上支障あるのは一村のみである。  八日市病院における病院管理者の意見は、現在移転、改築の途上にある本病院として、現在の通り国立としてこれが完成を要望し、地理的に見て将来国立癖旗所へ転換を希望する。又地方財政上から見て地方移管は困難と思うとの意見であつて職員組合代表は、職員の整理等の面から地方移譲には反対であつて、従来通り国立病院として存続を希望するが、止むを得なければ国立療養所として転換せられても地方移管には反対する。又患者代表は、地方移管医療面から及び独立採算制強化の面からサービス低下を来たすため地方移管には反対するとの意見であつた。右の八日市病院中心とした地方移管問題に関する滋賀県知事及び厚生部長の意見としては、整備不完全な病院をそのまま地方移譲されることは地方として反対であつて、地理的に医療地方分布の状況からすれば、附近の大部分の者は京都病院及び大津、彦根等の公的医療機関へ入院する者が多く、県としては移譲を受ける意思はないとのことであつたが、地元八日市町長は、公的医療機関が八日市町を中心に是非必要であつて、本病院の存続は是非必要であつて国立病院として残してほしい。又病院の一部移転中途で中止されては困るから続いて国で実施してほしい。この移転には町財政から相当多額の負担をしているので、今後の負担は困難であつて是非既定計画通り実施してほしいとの意見であつた。滋賀県医師会代表としては、従来国営で移転も進行して来たのであつて今後も国で経常して行くべきだと思うが、普通病院としては経営困難かと思うので、今後地理的に見て国立結核療養所に転換して行つてはどうかと思うとの意見であつた。  四、奈良病院について。奈良病院の入院患者は奈良県下は勿論京都、三重、大阪の各肝県下に亘つて利用者が多いが、その経営面は昭和二十六年度収支状況において約六百万の赤字を出している状況であるが、その概況は次の通りである。(1)敷地、五千六百二十四坪。(2)建坪、百五十四万六千二十三坪。(3)建物の種類つ、木造二階建、百十三・五坪。木造平家建、百三十六万千二百九十八坪。煉瓦建、七万千二百二十五坪。(4)設備、一応は整つている。(5)病室数、病床数、病室大室七、中室三、小室八十五、病床百四十五。(6)職員数、宝貝百十一、現在員百九。(7)看護婦養成所なし。(8)収支の状況、昭和二十六年度において約六百六十万円の赤字となつている。(9)完全給食は炊事設備の大改造を行い、調理機械を設備して実施している。(10)完全看護については看護婦の三交代制に切替実施しているほか、雑仕婦も総婦長の監督下においている。五、奈良県下の医療機関状況について。(1)病院、病床、医師数その他、イ、一般病院十九、病床七百五十五、結核十一、病床七百三十一、伝染病三、病床三十九、精神病三、病床二百四十八。口、医師、七百八十三、歯科医師二百七十二。ハ、診療所数四百三十二、病床数五百六十三、歯科診療所数二百五十九。(2)基準病床と現在病床との比較、人口七十六万二千三百八十六、必要病床数千二百九十七、人口万当り一六・八八、現在病床数六百七十五、人口万当り八・八六、不足病床六百六十五、増床数六百三十、整備病床、千三百五、人口一万当り一七・一。(3)無医村数十二。  奈良病院における病院管理者側の意見としては、地理的に奈良市に完備した病院が必要であつて、その入院患者も京都、大阪、三重方面からも相当にある現状から見て、地方移管になれば、入院料の点でも必ずしも他府県からの入院患者を同一の額によつて入院せしむるということもできないようにもなり、利用者の面から地方移管には反対である。又地方自治団体の財政面からも到底経営困難と思われ、独立採算制の強化に伴い治療面にも低下を来たし、且つ現在の病院の整備は不完全であつて、これが整備には相当多額の費用を要し、地方財政を以てしては完備困難と思われる点からも地方移譲には反対であるとのことであつた。  次に職員組合代表は、人員の整理が強行される点及び地理的に見て現在の場所に公的医療機関の存置は必要であつて地方財政的には引受困難とも思われるので、地方移管には反対であるとの意見を申述べた。又患者代表は、国立として経営している現在でさえ経費不足の状況であつて、若し地方へ移管せられる場合は更に経営上困難を来たすものと思われ、治療上にも影響を及ぼすと思われること及び社会保険診療が円滑に行われないと思われる点等から地方移管には反対であるとの意向であつた。  次に奈良県知事及び衛生部長の地方移管についての意見は、現在奈良県は医科大学を経営しており、県財政面から更に国立奈良病院地方移管には反対であるが、地理的にみて奈良に公的医療機関の存置は是非必要であつて総合病院として国立として存続し、不完全な設備の充実を図つてもらいたいとの要望があつた。奈良県医師会代表の意見も大体知事の意見同様であつて地方移管には反対を表明した。なお奈良県知事はこの問題以外に奈良県下の寄生虫及びトラホーム予防対策について腐心しているが、国庫からも撲滅費の一部を補助せられるよう御協力願いたいと強く要望していたことを御報告いたします。  次に和歌山県に移ります。  田辺病院について。田辺病院は元大阪陸軍第一病院白浜分院を国立大阪病院白浜分院と改称し、白浜町に存在したものを昭和二十五年田辺市に移築し、昭和二十六年三月より国立田辺病院として発足したものであるが、全国最初の試みとしてオープン・システムを創設している病院として特異性のある病院であつて、田辺市を中心とした地域に完備した総合病院として存立を必要と認められるものであるが、その概況は次の通りであります。(1)敷地、四千四百十八坪。(2)建坪、七百七十六坪、延建坪一千二百七十五坪。(3)建物の種類、木造二階建及び平家建。(4)設備、総合病院としての診療科目の完備はないが、全般的に新設による計画の線に沿つて建設されているので、完成の際は理想的のものとなるように思われる。病室数、病床数、大部屋四十、個室十四、特室八、病床数五十四床。職員数、定員七十六、現員七十七。看護婦養成所なし。収支の概況、昭和二十六年度において約六百八十万円の赤字を示す。完全給食を実施しつつあり。完全看護は当初からこれを実施している。  田辺病院に対する管理者側の意見としては、現在の田辺病院は病床数僅か五十床であつて、不十分なため更に増床し、最小限度百床に拡充して国立病院として存置を要望しており、田辺市周辺には人口約三十万あつて公約医療機関としての存続は是非必要ではあるが、地方財政上からこれを移管せられても、増床計画の遂行困難であつて、又現在のまま放任すれば総合病院としての機能を発揮することもできず、而も五十床の病院として経営困難であつて、従来通り国立としての完備を要望するとのことでありました。又職員組合、患者組合等は現在組織なく、意見を聴取できませんでした。地元田辺市からは、市としてはすでに移転の際千三百六十万円を負担して来たが、今後更に負担する能力なく、病院は設備中途にあるのであつて是非国立病院として拡充整備せらるるようにとの要望がありました。  次に白浜温泉病院について。白浜温泉は元傷痍軍人白浜温泉療養所として開設せられたものであるが、その後国立白浜温泉病院と改称されたものであめつて、設備等から傷痍者の療養所として転換も考えられるのであめるが、地元にてば温泉地としての発展上、傷痍者のみの療養所に限定することを反対し、大衆的温泉病院として存続を要望している。その概況は次の通りであります。  敷地四千五百六十二坪、建坪七百二十坪、延建坪九百六十三坪、二階建。設備、温泉治療設備、物療設備その他を有す。個人病峯、隔離病室等がない。病室及び病床数つは、病床七十九。職員数五十一。収支の状況、昭和二十六年度において約百十万の赤字であります。  右に対する病院管理者側の意見としては、特殊温泉治療設備のある病院として設備の拡充を希望するが、傷痍者のみの温泉病院又は療養所として転換することには反対であつて、現在のまま国立として他方へ移管せず、設備の拡充を希望するとのことであつた。又職員組合、患者組合等なく、これらから意見を聴取することはできなかつたが、白浜町長からは、町営としては財政的見地から困難であるが、国営としても特殊な傷痍者のみの療養所に転換することには反対であるから、是非国立病院として存置せられるよう要望がありました。  和歌山県下における医療機関状況について。病院、病床、医師その他、一般病院二十五、病床千二百二十二、結核病床七百九十一、精神病床六、伝染病床三十三。診療所数六百三十五、病床数九百四。右以外二百床を持つ精神病院及び結核病床二百床を持つものあり。比較的中部以南に施設が少ない。無医村十七。基準病床と現在病床との比較。必要病床数二千百十一、要増床数七百六、過病床数四十九、人口九十八万二千百十三。  和歌山県知事及び衛生部長の国立病院地方移管に関する意見としては、県下国立の各病院とも地方へ移管することは地方財政上から困難であつて、従来通り国立病院として整備の上経営せられたいとの希望であつた。又和歌山県医師会側としては、地方公共団体に移管することは地方財政上困難なことは知事の意見と同様であるが、医師会として移管を受けることができるようであれば、その条件、経営の方法等について研究してみたいとの意見を述べた。  以上調査の概況を申上げましたが、各府県医師会病院を通じて、地方移管にはいずれも反対意見強く、地方的に特殊な事情から地方移譲を希望するものから徐々にこれを移転して行くべきものと考えられるが、むしろ全国的な公的医療機関の配置計画と相待つて、既設病院の整備計画を樹立し、然る後に経営主体の検討を要すべきものと考えられるのであります。  右簡単にこれを以て御報告といたします。
  64. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) 続いて第三班の御報告をお願いいたします。
  65. 谷口弥三郎

    谷口弥三郎君 第三班の視察状況を御報告申上げます。第三班はこの十二日から十八日の一週間梅津委員長、それに谷口、それに新田調査員の三名が参つたのでございます。先ず兵庫県、広島県、山口県という順序で視察をいたしました。そのうちの視察した場所につきまして、簡単に御報告しておきたいと思います。  先ず第一番に姫路の国立病院視察いたしますために兵庫県に参りまして、知事に今回の国立病院移譲に関する意見を聞いてみますと、兵庫県としては財政上の負担に堪えにくいので、国立病院の移管は希望しておりません。但し姫路病院は姫路市に移譲をしてもらいたいという希望もあるそうでありますが、県といたしましては、これは余り望んでおりません。とにかく市営になりましても、今後財政上の問題が起ると県にいろいろの難題が来わせぬかというようなことを言うておられました。衛生部長の意見によりますというと、姫路病院はやはり市に移譲を希望はしているが、県としてはやはり移譲を希望しないというようなことを申しております。県医師会意見を聞いてみますと、姫路病院は市が希望しておるのであるから、移管の上市民病院なつた場合に、郡市の区別を付けずに患者を平等に扱つてもらうならば市の移管に賛成するということを言つております。姫路病院病院長は是非国立存続を希望しておる。市の移管は反対である。併し移管がどうしても止むを得んものとすれば、県営移管を希望いたしますというようなことを言つております。職員、患者は共に移管に対して反対である。是非国立のまま存続してもらいたいというようなことを申しておりました。敷地その他患者の利用状況等は書類に書いて差上げましたので、私はこの辺で済ましておきたいと思います。  次に広島に参りまして、広島県の広島病院並びに大竹病院視察してみました。広島県では市が希望するというところは現在はありません。県の態度はまだはつきりしないので、何とも言えませんが、県に移管するということは財政上やはり困難であるから反対である。併し一ヵ所くらいは受けなければならないようなことが起りはせぬかということを心配しておりますということを申しておりました。県医師会意見といたしましては、地方移管には原則的に反対であるというように申しております。広島病院長の意見といたしましては、やはり地方移譲反対である。療養所に転換も希望はしておらぬ。やはり国立病院として存続をしてもらいたいと言つております。職員は同様にやはり地方移管反対をいたしております。これもやはり詳しいことは書類で報告をさしてもらいます。  次に大竹病院でございますが、このほうも病院長、職員とも国立で置いて頂きたい、移管には反対であるというようなことを言つております。特にこの大竹病院は広島県、山口県とかというところに亘つて患者が多数に参つておりますので、地元住民の声を聞いてみますというと、広島大竹病院は広島県、山口県の数ヵ町村に亘つておるので、その村長とか、村会議員など、或いは地元の工場の代表者など十数名が参つて陳情するところによりますると、是非大竹病院は国立として残して頂きたい。県営移管になるというと、どうも両県民が利用しておるのが、どうも取扱いが平等でなくなるようなことがありはしないかなどと心配しておられるようでございます。  その他のところは省略いたしまして、次に山口県。ここでは岩国と下関の二ヵ所を見て参りました。知事の意向は、やはり知事は丁度不在でございましたが、副知事が代つて申しますのには、地方移管にはやはり反対である。殊に本年の一月二十六日に山口県議会におきましては、全会一致て国立病院存続、移管反対という決議をいたしておりますということでございます。県医師会意見もやはり同様に国立病院としての存続を希望しております。それから岩国の病院長に聞いてみますと、これもやはり国立病院の移管は反対である。結核療養所自分のところは余り広いから転換をされはしないかという心配があるが、是非これは国立病院として残して頂きたいということを言つております。職員も同様なことを申しております。ここでも附近の住民代表が参りまして、大竹病院のときとほぼ同様なことを申して、やはり存続をしてもらいたいということを申しております。これも詳しいことは省略さして頂きます。  下関の病院視察いたしますというと、ここでは院長ば地方移管には反対であるということを言つております。職員も同様のことを申しております。下関の鷹師会の話によりますと、ほかのところが取るところがなければ、医師会でよければ譲つてもらつてもよいというようなことを申しておりました。それら視察したところは、どこも県に移譲するということに対しては反対を表明しておりまして、ただ申しましたように、姫路病院だけは市は受けてもいいというような状況でございました。  極く大体の模様だけを御報告して、詳しいことは書類を見て頂きまして、これで……。   —————————————
  66. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) 御報告が終りましたので御相談申上げたいのですが、大蔵委員会から連合委員会を開いてほしいということは、すでに申入れがありましたので、十一日に大体連合委員会を開く手はずにしておいて差支えございませんでしようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  67. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) ではさようにお含み願いたいと存じます。  ついで内閣委員会より厚生省設縦法の一部を改正する法律案審査について連合委員会開会する旨の申入れがございましたが、承諾することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  68. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) 御異議ないと認めます。
  69. 谷口弥三郎

    谷口弥三郎君 私、この二十四日の臼に秋田市に参りました。秋田市に行きましたら、秋田のほうはここは初めて聞いたのですが、秋田県の秋田市にあります国立病院はできるならば県に移譲してもらいたいということを言つておりました。いずれ小委員会などで申上げますけれども、そういうところもあつたことだけをちよつと……。
  70. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) 大体本日はこれで委員会は散会したいと思います。散会いたします。    午後三時十二分散会