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1952-06-04 第13回国会 参議院 厚生委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年六月四日(木曜日)    午前十時二十八分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     梅津 錦一君    理事            長島 銀藏君            井上なつゑ君            深川タマヱ君    委員            大谷 瑩潤君            小杉 繁安君            中山 壽彦君            常岡 一郎君            藤森 眞治君            河崎 ナツ君            山下 義信君   政府委員    厚生省公衆衛生    局長      山口 正義君    厚生省社会局長 安田  巖君    厚生省兒童局長 高田 正巳君    労働省婦人少年    局長      藤田 たき君   事務局側    常任委員会専門    員       草間 弘司君    常任委員会専門    員       多田 仁己君   説明員    文部省初等教育    課長      大島 文義君    労働省労働基準    局監督課長   堀  秀夫君   参考人    中央兒童福祉審    議会委員長   中川  望君    中央社会福祉協    議会兒童部長  牧野 修二君    警視庁少年防犯    課長      高柳 勝二君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○外国軍用艦船等に関する検疫法特例  案(内閣提出衆議院送付) ○兒童福祉法の一部を改正する法律案  (内閣提出) ○小委員補欠選任の件   —————————————
  2. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) 只今から厚生委員会を開きます。  公報で御通知申上げてありますように、外国軍用艦船等に関する検疫法特例案議題といたします。政府側からの提案理由を聴取したいと思います。
  3. 山口正義

    政府委員山口正義君) 只今議題となりました外国軍用艦船等に関する検疫法特例案につきまして、提案理由説明いたします。  外国から来航する軍用艦船並びに軍用航空機検疫は、終戦時までは海港検疫法附則第十三條及び航空検疫規則第二十二條の規定により、それぞれ実施されて来たのでありますが、終戦後は、これらの法令の施行は事実上停止せしめられ、これに代り連合軍司令部より回章が出され、それに基いて所轄の軍機関がこれを実施して来たのであります。  昨年海港検疫法等に代る現行検疫法が制定されるに当り、外国軍用艦船軍用航空機検疫については以上のよう実情から、検疫法第二十二條において別に法律で定めることと致したのでありますが、諸外国と通常の国際関係を恢復するに至りました。今日、これら諸外国軍用艦船軍用航空機に対する検疫につきましても当然自主的に行い得ることとなりましたので、ここにこれらの艦船航空機に対する検疫法特例案を提出いたした次第であります。  次にこの特例案内容といたしましては、外国軍用艦船等検疫につきましては、国際慣習を尊重し、国内防疫体系に間隙を生じない範囲において一般船舶に比しなるべく簡略な取扱をする必要がありますので、次のよう措置を講ずるようにいたしたのであります。即ち、第一に、軍用艦船及び軍用航空機は、現行検疫法規定する検疫港及び検疫飛行場以外の港又は飛行場にも入ることができ、また入港した港又は飛行場において検疫を受けられるようにいたしたことであります。  第二に、軍用艦船及び軍用航空機に対する診察検査隔離停留等検疫措置をとる場合には、その長と協議の上行うようにいたしたことであります。  第三に、診察検査の結果、検疫伝染病患者隔離する必要が生じた場合におきまして、その軍用艦船等隔離施設がある場合はそれに収容して行わせることができるようにいたしたことであります。  以上がこの特例案の骨子でありますが、その検疫法の規程のうちで軍用艦船等検疫についてそのまま適用することが妥当でないものが若干ありますので、それらの規定は適用しないことの規定を設けております。  以上が本特例案提案理由説明でありますが、なにとぞ慎重御審議の上、速かに可決されますようお願いいたします。
  4. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) 以上提案理由説明は終りましたが、本日はこの法律案に対してはこの程度で次の議題に移りたいと思いますが御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) ではさよう決定いたします。   —————————————
  6. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) 次に兒童福祉法の一部を改正する法律案議題といたします。昨日に引続きまして、質疑に移りたいと思いますが、特に参考人としてお出でになられておりまするので御紹介を申し上げます。中央兒童福祉審議会会長中川さんが見えられるわけであります。なお中央社会福祉協議会兒童部長牧野修二さんが見えられております。なお警視庁少年防犯課長高柳勝二さんが見えられておりますので紹介を申し上げます。  皆様に対しましては、当委員会のためにお出でを頂きましたことを有難く感謝申し上げます。では昨日に引続きまして質疑に入ります。
  7. 山下義信

    山下義信君 議事進行について御了承を求めたいと思うのでありますが、本日は政府のほうも関係各省局長課長に来て頂き、部外のかたの御出席を求めておるのであります。いろいろ時間の都合や又御用向都合があろうと思いますので、部外のかたの参考人として御出席なされたかたに御意見を聞くことを先済ませて頂きまして、あとで政府部内の質疑を行う、こういう順序で願いたいと思います。私から部外参考人のかたに御質疑をお許しを願いたいと思います。
  8. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) 御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) それではさように取運びたいと思います。
  10. 山下義信

    山下義信君 本日中川さん、牧野さん並びに警視庁防犯関係の担任の係官の人に御出席を願いましたものは今回兒童福祉法の一部を改正する法律案として当参議院で審議いたしておりますこの改正案につきましては、実を申しますと国会会期がまだ余裕がありますならば公聴会を開きまして各界の権威者の御意見等も聴取いたしたいということが本員等の希望であつたわけでございますが、会期その他の都合によりましてそれに代る心持を以ちまして参考人各位の御出席をお願い申した次第であります。今回の兒童福祉法の一部改正が、どこが改正されてあるかということは御承知下さつておるかと存じますが、殊に本日私からお伺いしたいと思いますることは兒童福祉の上からいたしまして、十八歳以下の一般兒童に対しまして午後十時以後から午前三時までは道路上においていろいろな商売をしたり或いは又仕事をしたり、或いはサービスのような、とにかく街頭労働することを禁止よう従つてそれらをさしておるところの背後にあるものが或いはそれが父兄であつて保護者であつてもそれを若しやらせておるならば処罰してこの禁止目的を達しよう従つて兒童福祉目的を達成しよう、こういう狙いで改正案が出ておるわけであります。  今一つは十五歳以下の年少兒童に晝であろうと夜であろうと同機な立場を以つて同様な仕事をしようというために風俗営業関係場所に立入ることを禁止よう従つてこれ又同様に兒童福祉目的を達しよう、こういう趣旨改正案が出ておりますことは各位の御承知のことであろうと思います。私どもといたしましてはこういう禁止規定のみを以つて果して兒童福祉目的のごとく達せられるかどうかということについて過日来熱心に当委員会審議をしております。この改正案を卒然と見ますと極めて簡単であるようであります。私ども兒童福祉の上から非常に重大な問題をいくた内包しておると考えまして、その審議を掘り下げつつあるわけでございます。従いましてそういう趣旨参考人各位の御意見を伺いたいと存ずるのでございますが、私は先ず中川さんに伺いたいと思うのでありますが、それは本改正案兒童福祉施策の上にとりまして重大な措置と言いますか、施策であるとお考えになりますかどうか、即ち兒童福祉の諸施策の中におきましてもこれは非常に重大である、従つて当然中央兒童福祉審議会と言いますか、あなたが会長をなされておるその審議会に附議されたはずであると思いますが、果してこれが政府から諮問せられ御審議になりましたでしようか、如何がでありましようかという点でございます。若し附議せられたとしまするならば、中央兒童福祉審議会はこれをどう御審議に相成つたかという、この審議状況を承わりたいと思うのであります。先ず中川会長にこの点を伺いたいと思います。
  11. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) 中川さんお見えになつておりますが、御紹介申上げます。中央兒童福祉審議会会長中川さん。
  12. 中川望

    参考人中川望君) 委員長でございます。
  13. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) 委員長でございす。訂正いたします。中川さんどうぞ……。
  14. 中川望

    参考人中川望君) 只今山下委員の御質問についてお答えいたしますが、実はその当時私は風邪中でありましたので、それを押して出ました関係上当日の議事等を、いつも要点だけは自分で書いておつたのでございますけれども、余り詳しいことは書いてございませんので、詳細のことは申述べ得ないと存じますが、ただ自分が案の上にちよつと極めて簡単な事柄だけを書いておりましたので、それに基いてちよつと申上げたいと思います。  これは審議会に無論兒童福祉法の一部改正として提案されたのでございまして、会においては十分審議いたしたのでございます。それでこの法律につきましては、或いは憲法上の関係又刑法上の関係とか、そういう点までもいろいろ説明もあり、又委員のかたからも質問等もありまして、応答をいたしたのでございます。殊にこの中で「第三十四條第一項第四号の次に次の二号を加える。」という箇條につきましての「兒童に午後十時から午前三時までの間、戸々について、又は道路その他これに準ずる場所で物品の販売、配布、展示若しくは拾集又は役務の提供を業務とさせる行為」ということについて、これは街頭労働であるということについていろいろ……、殊に時間のことに説がございました。私がただ記憶の紙に書いておりましたのが、日出から日没までの説と、それから五時から九時までの説と、それでそのわきに牛乳配達とか、まあそういう特殊の事業がある、そういうものについて考慮しなければならんのじやないかというようなことがあつたことを記憶しております。それから花売とか辻占売とか、こういうようなこともちよつとここに私が覚えのために書いたことがあるのでございます。これらのことが問題になりましたが、結局原案のままで審議されましたのでございまして、決議されましたのでございます。ただ会議の際において、当局においてはこういう説もあるということをよく記憶しておいてもらいたい、そういうことの説が出たときには十分考えてもらいたいとこういう要望があつたと思います。私当時甚だ風邪引をしておりました関係上、いつもならばほかのものにも書いてございますが、要点だけはもう少し詳しく書いておつたのでございますが、余り書いてございませんので、そういう記憶が甚だぼんやりしております。幸いにここにいる牧野委員も丁度そのときに出ておられたと思いますから、牧野委員は御承知だと思いますから、詳細のことは牧野委員にお尋ねを願いたい、ただ簡単に要点だけを申上げました。
  15. 山下義信

    山下義信君 それでは今中川委員長のお言葉もございましたし、牧野委員に、審議会の同委員牧野さん並びに牧野さんは、中社協兒童部長をしておいでになりますが、只今のこの問題につきましての中央兒童審議会審議状況並びに如何なる結論を出し、どういう答申政府に出されましたかということを承わりたいと思います。  第二点といたしましては、中社協兒童部におきましては、この問題をどう研究をして頂きましたでしようか。又結論を何か持つておいでになりますかどうかという点を承わりたいと思います。  第三点といたしましては、最近開かれました全国兒童大会におかれまして、この問題が取上げられましたでありましようか。討議せられたでありましようか。若し討議せられたといたしまするならば、兒童福祉大会では何らかの結論が出ておりますでしようか。出ておるといたしまするならば、その結論を伺いたい。  以上三点を一つ説明願いたいと思います。
  16. 梅津錦一

  17. 牧野修二

    参考人牧野修二君) 只今山下先生の御質問にお答え申上げます。先ず第一に中央兒童福祉審議会における審議状況であります。これは実は丁度あいにく中川先生風邪を召されておつて、いろいろ息遣い苦しいなかにまあマスターされまして、その意味只今内容を私が十分というお話がありましたが、私もあいにく途中から別な会議がありまして、丁度中座いたしましたから、私自身も十分な説明は申上げられないことを非常に遺憾に存じます。で私の列席しておる範囲においてのことを申上げます。それで大体委員会のいろいろ細かいこともございましたので、十分記憶しておりませんが、大体委員会の空気といたしましては、何故に十時から三時までとそういうふうにきめたのか、少くとも例えば朝などにおいては夜明けまでというふうなくらいにしたほうがいいじやないかというよう意見も出ました。その話の途中には、例えば二宮金次郎の話なども例に出まして、そうして或る程度やはり現在の社会情勢下においては認めなければならないのではないのだろうか。それで兒童福祉のために好ましいのは、むしろ朝の三時くらいでなくて、ともかく五時くらいまでは、そんなことをやらせないほうがいいのだけれども、まあ止むを得ない。今の社会情勢つにおいてこのへんで残念ながら妥協せざるを得ないというのが大体の意向と私は解釈しました。それから私自身もその意見には賛成でありまして、なお細かいいろいろな法律上の問題ども出まして、そのために特にその方面の役所なりの担当者に特に電話をかけて来てもらつて、他の法律関係ども調べたりいたしたのでありますが、丁度それが始まります頃私は残念ながら中座いたしたので非常に申訳なかつたのであります。  それから中社法兒童部といたしては、この問題をどう見ているかという点につきましては、私どもは常に例えば兒童福祉大会なり社会事業大会の過去の大会におきまして、これは勿論終戦後でありますが、これが採り上げられておるのであります。そうして何とかしてこの問題解決したいというようなことが一般の世論として出ております関係上、勿論その都度書面なり或いは口頭を以てそうして政府及び国会関係にも陳情申上げて参つたのでありますから、これが幸いに漸く法制化されるということになりましたことについては、先ず我々としては漸く宿望の一端が叶えられようとしておるという考えで、幸いにして法案のプリントを頂きましたから、それを中社協の直接担当者である部門において一応の検討をいたしました。そうして結局それの一応の結論、これに対する批判的な考えとしては少くとも根本的に行けば午後十時から午前三時というようなきめ方は兒童福祉を本当に保障する気が政府にあるのかどうかというふうな考えが持たれる。それで若し勿論日本の今日の国情から行きまして、そうして年少者労働しなければ食つて行けないというよう実情のあることは、これは否定はできません。であるからといつてそうしてそれを容認するということがこの新憲法ではつきりと世界に明言し或いは兒童憲章を去年作つたばかりの日本として、果してその名に値するものかどうだろうか、やはり例えばこれは先生方には釈迦説法でありますけれども、仮にパンパンども存在が……、そうして探りますというと結局は今日の社会経済の貧困というところに原因をしておるということが最大公約数となつて現われる。そのときに食えないから、社会経済の今日の実情なり欠陥というものをそのまま現状追随的に容認しておつて、そうしてパンパンを許すというやり方は少くとも福祉国家としてはとるべきでないのであつて、むしろパンパンを禁ずる適当な措置を講じて、そのためにそこに食えない人間ができたならばこれに適当な立会保障制度を講じて行くというよう解決方向をより一歩々々前進さして行く、福祉のほうに前進させて行くということが最も私は正しい在り方じやないか。結核ベツト問題がこの前問題なつたことを私新聞で見たので、この事実はわかりませんけれども、仮に日本国情からしてベツトを殖やすということができないということは経済事情からいつて一応は承認されますけれども、だからといつてベツトを殖やさずに行けばなお結核に蚕蝕されるものが多くなる、そうして国力は減退する、減退すればなお結核予防費の予算が組まれないということになつて、結局は亡国になつてしまうというような例を考えても明らかのように、我々は一つのここに起き上る社会経済上の欠陥から生じて来るよう問題に対する対処の仕方というものは、飽くまでも解決方向をより一歩一歩福祉のほうへ福祉のほうへと前進して行くやり方をして行きたいというのが我々中社協として兒童部におるもの、これは勿論中社協というような団体的な意味でなくても、私個人としてもこれを念願し、それを方針としております。従いまして今日の兒童局のお作りになつた案には全面的に私は賛成はできない、もつと毅然として少くとも年少労働というものは、夜間の年少労働は禁ずるというくらいに出る、それで食えないものが出る、そこで社会保障を完璧にするということになぜ出ないかということを感じます基本的には。併しながら又一面単にそういうことをいつてもやはり徐々に動いて行かなければならんという意味において、まあ十時から三時というようなきめ方も一応過渡的な段階として我々としては賛成する、少くともできないよりこういうふうにして一歩々々近ずいて行くということ、又そのことによつていわゆる従来民間においてはすでに問題にしておつた、これが行政上において問題になるということ自体だけでも私たちは一つのいわゆる行政面における進歩という意味において、まあこの十時から三時というものに対して歓迎するわけであります。それから過般の大阪における兒童福祉大会においてこの問題が取上げられた、どのようなふうに取上げられたかということにつきましては、私誠に恐縮ですが、あの大会のすべての運営に関連いたしました関係上、又本委員会先生方にも非常に御心配を願つております平衡交付金問題について、特に特別委員会が設置され、そのほうに出席いたしました関係上、その他の部会情勢を詳しく存じません。併しながら部会長の総会における報告によりますれば、この街頭問題等はすべて環鏡改善意味合において第三部会にこれが取上げられたということは、その提出議題によつて明らかでございます。そしてこれに対して適当な措置を講じて、先ほどの積極的な解決を希望しておるのであります。なお詳しいことは目下それぞれ議案に対する各提出者の発言なり、或いは協議内容を目下整理中でございます。そしてこの大会につきましては本委員会先生がたに非常にいつも御協力、御指導を願つております関係上、これができますれば直ちに委員会へお届け申上げまして、その節はなお詳細な御検討を得ることができると思います。で、結論といたしましては私はとにかくこの街頭労働及び街商取締一つの突破口といいますか、橋頭堡といいますか、という意味においてお通し願い、これによつて派生するいろいろな問題社会保障的な観点において委員会先生がたのお力で徐々に解決して行きたいということをこの際お願い申上げますと同時に、もう一つは、昨日実は他の用がありまして本委員会ちよつと傍聴さして頂いたときに、この問題キヤツチするためのポランピイアー活動などが重要ではないかという御質問を傍聴しまして、私は本当に心から、まあ共鳴というと先生がたに失礼ですが、共鳴したわけであります。折角法ができてもこの問題キヤツチということが非常に十分にして行かないというと結局画餅に陥るという感がありますので、従つてその意味においては兒童福祉司の増員とか或いは指導員の訓練とかいう問題が直接に起きて来るわけであります。そういう意味におきましてはこれはもうすべて御存じの通り平衡交付金問題、この問題をいろいろ従来御心配下さいまして、もう委員会においては政党政派を超越して一致して我々のために或いは三千万の兒童のためにお力盡し下さつたことはこの際有難くお礼申上げますが、どうか二十八年度にはこれが実現するように、実は私は岡野国務大臣にお眼にかかりましたときには国務大臣自身が、この委員会にいらつしやる河崎ナツ先生のお名前をお出しになつて河崎ナツさんのあの意見に私は賛成だということをおつしやり、そしてそれを私は発表してよろしうございますかと言つたら、よいということをおつしやつたのでありますから、大変私はその点を有難く思つております。そういうい意味におきまして岡野先生も勿論御異論ないと思います。従いましてどうか二十八年度からこの平衡交付金問題解決されて、そうして本日御審議下さつているこの街頭労働及び街商問題が所期の効果を収めるだけの行政費十分廻わるようにお願い申上げたいと存じます。質問に対するお答えを越えてお願いするものであります。
  18. 山下義信

    山下義信君 私の承わるところはそれだけなんでございますが、実は今の牧野部長中央社会福祉協議会兒童部長としての御所見は非常に傾聴いたしました。中央兒童福祉審議会がこの問題について御検討下されたことにつきましては、大変御盡力は感謝いたしますが、私ども印象としては、これはわりかた簡単に御審議に相成つたんじやないかというよう印象がするのであります。実は私ども兒童福祉の面におきまして、取締規定だけで福祉目的を達しようとする考え方に非常に国会としては重大な注意を拂つております。今牧野部長の個人的御意見社会保障制度の推進がその裏付けでなくちやならんという、そういう点で実は国会でやかましく言つておる取締だけで、処暑規定だけで福祉が達成せられるという考え方兒童福祉の上に持込むことは非常にこれは重大な注意を拂わなくちやならん、こういうことでございましたが、何か本法の運営上について審議会あたりが、当局にこの運営の万全を図る上について、その裏付け或いは処理方法等について御注意相成つたかどうかということを承わりたいと思つたのでございます。そういう点に、御答申案等について運営上注意当局に喚起せられたようなことがありましたならば承わりたいと思いますがございませねばもうこれで私の質疑を終るわけでございます。
  19. 牧野修二

    参考人牧野修二君) 只今お話のございましたように、我々としては先ず何と言つても根本的には、どの問題審議会で論議いたしましても、結局は財政問題に引かかつて来るわけなんであります。従いましていろいろな兒童審議会問題を論議すると、結局審議会で論議してよき成案を作つてそして政府答申をいたし、政府が幸いにして採択してくれて実行してくれようになつても、それが例えば現実に昨日も岩手県において兒童課を廃止しようというような案が出かかつておるというよう状況だから岩手県において仮に兒童課がなくなれば、果して中央政府方針がどの程度積極化されるかどうかというよう問題がすぐ変わる。従いまして行政に関する基本的な観念の問題と、それからその財政問題、結局財政が豊富であれば或いは地方におきましても十分行政審議することは望んでおるでしようけれども、ところが経済の基本或いは財政問題が、いわゆる行政の大方針を示すというようなことになるのじやないかという実例がすでに目下起きつつあるわけであります。そういうふうにこれはまあ先生がたには釈迦説法なんですが、結局そういうふうな財政問題にかかるのですから、この審議会においても又改正問題につきましても先ずそれについて、とにかく二十八年度から……、二十七年実はできると思つたのができなかつた、これに対して当局は一層基本的な地方財政問題兒童措置問題をどうしても何してもらいたい。それからなおこれの発見なり、そういうことについては兒童福祉なり兒童委員兒童行政の事務的組織というものを十分擴充強化してもらいたい。それから幸いにして本年度ほんの少し全般的には兒童局予算が減つて誠に残念ですが、兒童福祉関係は多少殖えている点は、上昇曙光は見えておるのですが、まあもつと積極的にやつてもらいたい、こう思うのであります。  それからなお基本的な問題といたしましては例えばこれは兒童局自体の、兒童局行政所管外の問題でございましようけれども、いわゆる生活保護法の保護費の関係などが論議には上つたのであります。  それからもう一つ街頭労働なり街商はこの中にはかなり母子家庭の子供があるのでありますので、結局やはり母子福祉の対策というものを十分行なつてつてもらいたい。これは私どものひがめかもわかりませんが、どうも今までの占領行政関係もあつたのか、母子福祉対策というものは、多少生ぬるい感じがしておつたのでありますが、やはりこの一つ街頭労働なり街商の問題解決するためにもあらゆるこれが関連する意味において、母子福祉対策のほうを強化するとか幸いにして幼兒ではございませんけれども、例えばその年少者の余暇補導の問題、こういうよう問題ども取上げるとかいろいろな関連する面の問題が出て来まして、それについてのいろいろな附帯的な御希望は申上げました。ただ勿論審議会において答申する場合に、これに附帯決議というような形はとりません。そのような格式張つたいわゆる対立的な意味合でなく、本当にいわゆる談笑裡と言いますか、本当に打ちとけて心を割り合つての常に審議状況でございますので、特に附帯決議などはいたしませんが、我々の希望として十分兒童局当局では、これを考えてもらいたいということを申上げ、これに対しましては兒童局長からはのいろいろ社会的な政治的な情勢の今度変化のある或いは講和がなつたという点においても、母子福祉については積極的に乗出すと、今年は漸く待望の一斉調査を手を着ける、それでその上にいろいろなケースの中にこういう対策のケースも現われて来る、そうすれば自然に母子対策の委員たちから希望がある、その意味において又その面からも、これを何とかすることができるということを確信するよう意味で心強いお言葉があつたわけであります。ただ問題は私ども兒童福祉を守るためには、これは御承知通り兒童福祉法改正だけで達成されるものではない、労働基準法、職安のほう、その他いろいろの関係法規によるところの適切なる措置によらなければ子供の生活というものはいわゆる総合的な面の生活がありますから、従いまして各面のこの法律改正並びに行政的なよき措置によらなければならんことを考えております。そういう意味におきまして、一挙に一つ法律改正によつて完璧を期することはできないということを承知しております関係上、とにかく一つのケースを中心として、あの面、この面の改正によつてそれがやがて積み重ねられて最後の目的を果すというのが今日としてはとるべき方法だと考えます。そういう意味合において、多少不満足ではありますけれども、今日のこの法案が通過されることを、我々兒童福祉関係者といたしましては、心から希望し期待しておる次第であります。
  20. 山下義信

    山下義信君 ついでに高柳さんに伺いまして私の質疑を終ります。あとの委員のかたの質疑に移つて頂きたい。  警視庁の防犯部としての管轄区域と思いますが、そのあなたの所管の範囲内におきましての年少兒童街頭労働状況、あなたのほうで掴んでおられまする一般の管内のそういう年少兒童街頭労働状況と申しますか、それを警視庁で御調査になりましたことがありますかどうかということが第一点。御調査になつたものがあるとすると、どの程度実情をおつかみなさつたでしようか。それは失礼でありまするが、どの程度の御調査をなさつたのでありましようかということであります。  それからその状況が御所管の、あなたのほうのお仕事の中心でありまするが、不良化との間にどういうよう関係があるでしようか。必然的な関係があるでしようか。不良化する者がどの程度そのことによつて不良化するのでしようか。殊に午後十時以後という深夜の街頭労働をしておる兒童にどういう不良化の傾向がありますかどうか。若し不良化する原因、因果関係があれば、どういうわけで不良化するのでしようかという点であります。  それから具体的に伺いたいと思いますのは、俗に言う花売り、花を売つておりまする可憐な少女たち、そういう子供たちの状況です。それが又どういうふうに兒童福祉の上や或いは風俗取締りの上と言いますか、不良少年防止と言いますか、防犯と言いますか、そういうあなたのほうのお仕事の上から、それについて何かの御所見があれば承わつておきたいと思います。  最後には、只今申上げましたような、今回の法律改正をします、十時以後午前三時まで街頭労働一般兒童禁止する、殊に風俗営業取締関係場所には十五歳未満の子供は出入りをさせないということによつてどれだけの影響があるとお考えになりますか。不良化防止の上において大変役立つとお考えになりましようか。又一面、それをとめたことによつて何か憂慮すべき事柄が一面には起きるというようなことがありはしないかというようなことにつきまして、あなたのほうのお仕事を通じてこの問題の御所見を承わりたいと、こう思うのであります。
  21. 高柳勝二

    参考人高柳勝二君) この街商の調査は、最近は今年の三月二十七日に東京都の兒童課と一緒にやりました。これは主として深夜業の調査をやりました。それから去年八月二十日と九月二十一日にやはり東京都の兒童課と一緒になりまして調査した、そのあれが出ております。最近としてはまあそういうようなところしかありません。そして街商として一番やはり目につくものは、花売娘というようなのが一番多いようでございます。この去年調査したものの大体概要を御参考のためにちよつと申上げます。
  22. 山下義信

    山下義信君 ちよつと高柳さん、しばしば街商という言葉が出るのですが、街頭労働者ですね。それはまあ街商関係もお調べになりましたでしようが、外で子供が或いは靴磨きしたりいろいろ働いておりますね、あの年少労働状況でございますね。
  23. 高柳勝二

    参考人高柳勝二君) そういう取締りです私のほうとして調べましたのは。一番やはり花売娘、それからその他ピーナツツを売つておるとかああいう販売、靴磨き、そういうものも調べておりますが、特に詳しく調べたのは、一番その数が多い花売娘の状況がたくさん出ているわけであります。先ず花売娘のほうから申上げますと、この去年の八月二十日と去年の九月二十一日に調べたのは、場所は新橋、銀座、有楽町附近でございますが、調査しまして、この花売娘が八十四名ばかりありました。この八十四名のうち、年齢を申しますと、六歳が二名とか七歳が五名、八歳が四名、九歳が四名、十歳が四名、十一歳が八名、十二歳が十名、十三歳が八名、十四歳が十一名、十五歳が二名、それから十六歳が七名、それから十七歳が三名、それから十八が四名、これ以上はまあ兒童じやありませんが、十九歳が三名、二十歳が三名、二十歳以上が四名、こういうよう状況です。これは全部花売娘としての調査であります。それではその原因はどういうことか、どうしてそういうよう花売娘をやらなくちやならんかという理由は、家が困るからというのが七十二名おります。それから小遣銭が欲しいからというのが五名、アルバイトというが六名、その他不明の者が一名でございます。それからその直接の動機はどういうことでそういうことをやり始めたかと申しますと、親に勧められたのが二十五名、それから兄弟に勧められたのが六名、それから友だちに勧められたというのが十一名、自分から進んでやつたというのが三十六名、その他六名、こんな状況になつております。  それから両親があるかないかというよう問題から見ますと、両親がある者が五十一名、それから父のみが二名、母のみが二十三名、両親ともないのが八名、こういうよう状況です。それからいろいろはかに売上げとかその他ありますけれども、それは省略いたしまして、非常に考えなければならないことは、生活保護法の適用を受けておるかどうかという問題が私は重要な問題だろうと思いますが、その問題は、八十四名のうちで生活保護法の適用を受けておる者が三名しかない。それから適用がないのが八十一名おると、こういうような状態になつております。  それからそれでは保護者の職業で、職業別に調べてみましたところがどういうのが一番多いのかと言いますと、やはり保護者が病気であるというようなのが九名、それから無職であるというのが二十四名というふうになつております。あとは三名とか四名とか非常に少い数字になつております。こういうような点についてもまあ考えさせられる点がございます。  それから只今申上げましたのはこれは花売娘ですが、丁度そのときに一緒に花売娘でないほかの例えばその当時は放出物資を売つて、チョコレートとかそういうものを売つている者、靴磨きというようなそういう者を調べたのですが、放出物資を売つておる者がその当時十一名おりました。それから靴磨きが十名、それから玩具を売つておる者が五名、菓子を売つておる者が四名、新聞売が二名、雑誌が二名、たからくじが一名、合計三十五各という、花売娘以外の街商と言いますか、何と言いますか、そういう者が三十五名出ております。それからこれは去年のことでございますが、深夜の状況を調査いたしたのでございますが、それは今年の三月二十七日にやはり東京都の兒童課と一緒になりましてやつたのですが、これは場所は新宿でやつたんですが、午後九時から午前三時までやつたのですが、十五名しかありませんでした。勿論場所が銀座方面と新宿方面とは非常に形態が違つておりますから、この十五名という数字が出ております。これはどういうことをやつていたかといいますと、南京豆を売つていたのが二名、新聞売が三名、放出物資が五名、花売が四名、玩具一名というような、こういうよう状況でございます。  それから先ほど山下委員さんから不良化と、この街商とがどういう関係があるかということをお尋ねになりましたが、私はこのデーターが出ておりませんからはつきりしたことは申しかねますが、特にこの街商と不良化というよう問題は、そんなに深い関連性はないのじやないか、ただ家庭環境とか、そういう社会環境が悪いから不良化になる傾向はあるというふうには言えると思いますが、はつきりした統計がありませんから申上げられませんけれども、不良化ということにはそんなひどい、何と言いますか直接の原因が街商をやつておるからあるというようなことは私はないのじやないかというふうに考えます。それから改正後の取締と言いますか、何と言いますか、それによつての効果というようお話がありましたのですが、まあ今まではこういう街商は御承知通りに全然私のほうで取締るというようなことはできなくて、ただ三十四條の一項の第九号で自分の支配下においてそういうことをやらした……、いろいろなものを兒童に物品の販売をさせちやいかんとか何とかいうことがありまして、その中には四親等内の親族とか、正当の雇用関係があるものとかいうようなものは除くことになつておりますから、全然今までは取締るというようなことは、まあできなかつたわけなんです。今度改正されましたから、これは取締るということは勿論できますが、考え方といたしましては、どうも警察というとすぐ取締るというようなことがありますが、この普通言う取締ということで私はなかなかこれは解決つくものじやなくて、やはり何と言いますか、指導とか言うようなものでやつて行くべきじやないか、本当に悪質な、何と言いますか、悪質なものをやつて行くということが必要じやないか、そのほかは指導でやり、そうして先ほど申上げました生活保護法とか、その他ほかのいろいろなものと相待つて初めて兒童福祉というものが守られるのじやないかと、こういうふうに考えます。それから先ほど又不良化防止というお話が出ましたが、この取締によつて私は不良化防止に非常に役立つかどうかということは、先ほど申上げましたよう理由で、必ずしもこの取締ができたからといつて、すぐ不良化防止に云々というよりも、私はこの改正されました條文は不良化防止云々、勿論不良化防止ということも少しあるかも知れませんが、兒童福祉という意味だと考えております。無論主な点は兒童福祉なんですが、不良化防止ということについても、勿論非常に関係は二次的には考えられないことはないと思います。先程もお話ありましたように、現在でも例えば銀座その他のキヤバレー、その他に子供が立ち入つて花を売る或いはピーナツツを売る、チヨコレートを売る、ああした雰囲気のところに子供達が、ちつちやな子供達が入つておりますから、そういうようなことは決してよくなりつこはありませんから、そういう意味で、そういうところへ立ち入らなく改正されれば、立ち入れなくなりますから、こういう意味においては不良化防止という点について非常に結構なことだというふうに考えます。大体以上であります。
  24. 山下義信

    山下義信君 今の花を売りにキヤバレーや、ダンスホール、ああいうところに行くのですね、これは晝持つてつても売れんでしようね、主に夜でございましようね売れますことが。私は今、高柳さんのお話はですね、非常に傾聴した、これは中川先生どうお考えになりますか、大して不良化防止とは関係はない、夜花を売りにキヤバレーやダンスホールに行つてよい影響はないが、不良化との必然関係はないという御証言です。私もそうであろうと思う。観念としてはそう必ずしもそれが直ぐに不良化になつて来るというふうには考えられんと実務に当つておられる方は仰しやる、私は傾聴した。ただ兒童福祉ということが不良化ということを防ぐということも福祉だということになりますと、兒童福祉にもなるわけですが、不良化になることを防ぐということを除きますると、これを止めることが、どこがあと兒童福祉の増進になるかという点でございますね。それでそういう点に今の高柳参考人の方の御意見の、御所感がありますれば、どうぞ審議会委員長であらせられる中川先生から御意見を拝聴いたしたいと思うのであります。  それからいつか、東京都内に花を売つて親が左扇であつたということが載つておりましたが、大層お金が溜つて家を作つたりした、孝行な花売娘と言つて書き立てたりしたことがありましたが、あれは高柳さん御承知でしようか、御記憶でありましようか、その後どうしたでしようか、御所見を……。
  25. 高柳勝二

    参考人高柳勝二君) ちよつと私はその当時まだ少年課長でもありませんし、ただ新聞だけで拝見しただけでございます。最近の状況をまあ見ますと、はつきりした数は掴めませんが、銀座界隈に花売娘は大体二百名から三百名だと思いますそれから靴磨きなども入りまして……。それが移動しておりますから、どうもはつきりした数字が掴めませんが、大体そんなふうのように思います。その状況を見ておりますと、大体省線を利用して来る、有楽町の駅から銀座のほうへ出るのと、新橋のほうから銀座に出るのと、こういうように二つに分れておるようなふうに見えます。花売娘が一番多いですが、花屋さんで、いわゆるくたびれた花と言いますか、屑を、いわゆるそういうものをちよつと体裁よくまとめて売る花屋がありまして、そういうところで大体三十円から四十円くらいで買つて来て、それを百円で売る。今山下さんが申しましたようによく見ておりますと、親たちが付いて来るのがある。いわゆる紐付きというか、親たちがあとから付いて来て子供を護るというのじやなく、子供を何とか、子供は心配だからというようなことじやなくて、商売のあの手この手を後ろのほうに付いておつて、あの手この手を教える、どんなにしたら酔つ拂いの歓心を得ることができるかというようなことを親たちがやつておるのをよく見かける。私のほうは見かけるわけなんであります。或いは姉さんが付いて来るとか、そういうようなのは、そんな状況です。それから靴磨きなどは、非常に東京駅などで私のほうで取締と言いますが、やつておりますが、東京駅とかPXのところに随分たくさん出ておりますが、ああいうのは、やはりグループでやつておりまして、私のほうはグループでやつておる背後の成人というようなものを検挙しよう、検挙しようと思つてつておるのですが、なかなか掴まらなくなつてつております。どうしても花売娘も靴磨きの親方と言いますか何と言いますか、そういうようなものがおるように思いますから、そういうものを徹底的に取締をやろうというよう考えております。それからちよつとあとからで恐縮てすが、こういうものをとめて、不良化に云々というお話がありましたのですが、勿論私は全然不良化防止に役立たないというのじやなくて、この趣旨は私は兒童福祉と言いますか、私ども深夜よく調べて見ますと、いたいけなこんな小づちやいのがキヤバレーその他に入つておる、ああいうのを見ますと非常にいたいたしい、そういう兒童福祉というのが主であつて、不良化云々というのはやはりその次になることであろう。キヤバレーで変な雰囲気のなかに子供が入つてつてよいわけはない、非常にまあ悪いと思います。ですから山下委員さんがおつしやるように、私は全然そういう不良化防止に役立たないというのじやなくて、相当その点も役立つのは勿論役立ちますが、第二次的なことじやないかというふうに、まあこう考えております。
  26. 中川望

    参考人中川望君) 山下委員さんに特別の意見を徴されましたけれども委員長といたしまして特にそのほうを十分研究いたしておりませんが、只今ここで御報告があつて初めて権威のある詳細な御報告を伺つたようなわけでありまして、ただ常識的に考えまして、花売娘が問題はなつておりますが、花売娘だけのことはほかのただ夜遅くまでぶらぶらしておるということよりは、これは安全なことと思います。いずれ花を仕入れる店か或いは家庭でやるか、とにかくその家庭から、店からそれを持つて来て売るのでありますから、先ずただ自由に浮浪者がやるのとこれは違いまして、そこは大変違うかと思います。或いは靴磨きなんかよりもそのほうが安全性があるとも思います。ただキヤバレーとか夜遅く出るということは、これは如何なる子供にとつても、いやしくも家庭のある家では、夜遅く子供を一人街頭に立たせることはようせぬと思います。又させたくないとあらゆる点からそう考えます。殊にキヤバレー等そういうところで夜花を売るということ、相手は決してその子供に対して同情を持つて買うのではなくして、まあ一杯機嫌で買うのが多いのでございますから、あらゆる誘惑というものについても、非常に危険な地位に置かれるものであるということを考えなければならぬと思われますので、ほかのものよりは比較的不良化の面は少いかとも存じますけれども、やはり大いに注意すべきものではないかというだけのことを申上げておきます。
  27. 牧野修二

    参考人牧野修二君) 私は不良化の問題は、いわゆる精神衛生問題が最近非常にやかましくなつて、よくその先生から話を伺つたが、私は素人だからよくわからんのですが、問題が不良化というのは、例えば違法行為をする者も限定をそこにおくか、或いは相談所が行う程度にするか、或いはこの前に新聞も出ました単に大人にあいそをつかしてそうして家出をしたという程度のものかという先ず限界によつてきまるのじやないか。少くとも私はああいうふうな環境に入り込む或いは媚びを売る、それ相当ないわゆる肉体的売笑ではありませんが或る程度の媚びを売る、それのテクニツクを覚えたり或いはいろいろと覚える、そういうふうな環境の中に年少期に出入りする、それからそういう技術を覚えるということが、非常に心理的に、精神衛生的に考えて少くとも不良化の芽をそこへ落すということになる。そこでそのまま今花を売つておるのでありますが、一月ぐらい前から売り出した子が一月後には不良というこれは意味ではないでしようが、これは子供の問題はすべて長い間に起きて来る恐るべき問題なのであります。この前大阪において島津製作所の課長を殺したタイピストかなんかが、新らしく結婚した夫と一緒になつてそれをおびき出して、そうしてその亭主が殺してしまつた。あの精神衛生の先生に聞きますというと、いわゆる肛門性性格がああいうふうになる虞れがあるということを聞いたのです。そういうふうないろいろなことを考えますというと、不良化ということのカテゴリーにもよるのですが、やはりそういう不良化の素因となるべきような状態から子供を守るべきであるということを考えて、やはりそういう意味においてそういう子供を危険なところへ入れないようにするということが一つ、当然私はやはり労働政策やそれから社会全体の民生の問題から言つても、少くともいわゆる労働人口が完全就業するような道へ少しでも持つて行く。勿論今の組織化におきまして一足飛びなんということはできつこないのですが、方針はそのほうへ持つて行くべきだ。そういうような観点において少くとも政治は行なつて行くべきだという意味合から行きまして、私はいわゆる新聞店主が年少者を使つてそうしてやることによつて、いわゆる低賃金政策を行つて行く、こういうふうな状態になるということは、一方に低賃金が強化され、又それで労働者のダンピングがあるというよう意味合いから言つても、私はできる限りやはり兒童というよう年少者労働は、殊に明け方働くというようなことは、それはできるだけこれはとめて、とめて置くと必ずそこに問題が出て来る、問題の出るのはわかり切つている。そうすれば、それをとめるようにやつて行きたいということを申上げておきます。
  28. 山下義信

    山下義信君 有難うございました。私の参考人のかたへの質疑は終るのですが、ついでに政府に一、二聞いて他の委員質疑に移つて頂きたいと思います。  今、中川先生のおつしやつた、夜の十時に子供が出るということは福祉の上で実際はよくないと思うという御意見は私は同感です。それでこれは物を売る子供だけでなしに、当り前のぶらぶら銀ぶらする子供もとめたほうが福祉の上ではいいのじやないかと思うので、或いは子供の中には酒を飲んでいる者もおりましようし、パチンコをする者もおりましようし、売る花売娘でなしに、買うほうの娘もキヤバレーの中にいるかもわからん。だから実際は一般兒童も夜間出ないほうが一番いいという私は先生の意見も同意見です。私はこの際労働省の婦人少年局長に今度の兒童祉法の改正についてのあなたの所見を聞きたい、こう思うのです。
  29. 藤田たき

    政府委員(藤田たき君) 只今兒童福祉法の一部を改正する法律案を拝見いたしまして、私はこれは結論から申上げますと、このいろいろな事情から最善のものと思われないかとは思いますけれども、この場合妥当なものだというふうに存じております。それはこの労働基準法のいたしますその範囲と申しますのは、御承知通り雇用関係にあるのでございまして、雇用関係外にありますところの街商、いわゆる街頭に働いでいるところの子供たち、その人たちを何らの法律によつても保護しない、この十時から三時まで或いは風紀上いかがわしい所に立寄るということを制限しないということは、私は只今まで参考人のかたががたもおつしやられましたように弊害のあること、殊に不良化の問題よりももつと健康の問題等について非常に関心を持つておるものでございますので、厚生省のほうでこのよう改正をお出しになりましたこと、そのことは私は非常に結構なことだと思つております。私のほうの婦人少年局におきましても、只今まで例えば全国の靴磨き、又新聞売それから又その他の例えば納豆売等々について調査をいたしましたことがございますが、この調査の結果から見まして、父親のない人、母親のない人、自分で以て生活の資料をどうしても或る程度まで得なければならないという人たちがたくさんありますので、この人たちに今街頭における労働を全然禁止するということは、やはり社会保障制度が今日のような状態、母性保護が今日のような状態におきましては、それを全然禁止いたしますことはできないことである。そして又その他の例えば家族労働法との関係などにおきまして、家族労働法の設置なんということなども将来において考えなければならないことでございますが、今すぐそれをこれに充てることもできませんのでございますから、結論といたしまして、最善でないかも知れませんけれども、非常に妥当な改正案をお出し下さいましたように私は考えております。
  30. 山下義信

    山下義信君 藤田局長はこれをこれらの兒童が非常に家計の貧困のために家計の資料を得るためにやつておる、止むを得ずしてこういう過重な労働や好ましからん労働をしておることはよく御承知で、これをとめると収入が減る、どうしたらいいとお考えになりますか。
  31. 藤田たき

    政府委員(藤田たき君) 私は勿論婦人少年局又大きく申しまして、労働省といたしましてしなければならないことはあると存じます。例えば私ども婦人少年局にいたしましても、こういつた人たちが満十五歳になりまして、そして正規な雇用労働その他ができますようになりますための技能教育とか、又学校におきましていろいろとその補導を與えるということのお手伝いをさせて頂かなければならない、そして又私どもといたしましてはもつともつと調査もいたしますし又教育、宣伝、教育というようなこともいたさなければなりませんけれども、私は大きく言いまして、結局はやはり例えばこういう人たちのお母さんが未亡人でありましたり、それから又お父さんで働けない人たちが多いことでございますので、只今山下先生もおつしやいました通りの事情でございますので、やはりこれは大きな観点からもつともつと社会保障制度、母性保護というものを進めて行かなければならないというふうに存じております。
  32. 山下義信

    山下義信君 これはそういうふうに社会保障制度の面を進めなければならないということは同感です。今ない、今そういう保障がない、とめたらとめつぱなしなんです。現状は何にもない、現状でとめてしまつたきりでは私は禁止する代りに裏付けがなくちやいかんと思うのでありますが、現状はない、ない場合にとめて、とめることがすぐに所期のごとく兒童福祉にそれが一〇〇%なれるかどうかということを杞憂するのであります。そういうことでいろいろ稼ぎが減ることによつて一家がますます不幸に陷らんよう裏付けのものを持つて行かなければならん。今ないのです。ないときでありますから、よほど実施の上に考慮しなくちやならん、趣旨はいいと思います。  それでは私はついでに監督課長の堀君に伺いたいと思いますのは、今の今日の年少労働者の保護状況について私は聞きたい。兒童福祉法ではあなたのまねをしてやる——労り基法のまねをやるのでありますが、労基法と同じ性格のものであつてはいかんというので、今日熱心に我々はやつておるのでありますが、年少労働者保護状況について聞きたいのです。今労基法の対象になつておりまする年少労働者は大体十八才以下の労働者が幾らいるか、その使用しておる事業所の数はどれだけあるかということが第一点、それから今一つは身近に東京都内でどれだけあるか、東京都内の事業所がどのくらいあるか。これは一部新聞にも指摘しておつたようでありますが、それらの年少労働者の保護が果して完全にやられておるか、その監督ができておるかどうかということであります。つまり監督官が幾らいて、これらの年少労働者の保護の励行がどれだけできておるかということを率直に御説明を願いたい。  それから労働基準法のそういう年少労働者の保護の勧行によつて、それらの子供たちの職場がむしろ逆に塞がれておるという傾向があるかどうか、そういう世評が高いが、それについては労働省はどう見ておるか、そういうふうな労基法の制約があるがために幾多の兒童たちが職場が得られないで街に溢れ出ておるというよう状況が、果しで労働省の窓を通してそれをどう見るかという点を聞きたいのであります。  最後に兒童福祉法の今回の改正点とあなたのほうの労基法との関係が何かあるかどうか、関連性があるかどうかという点についての労働省の労基法の立場からの所見が聞きたいのであります。
  33. 堀秀夫

    説明員(堀秀夫君) 只今の御質問にお答えいたりします。  先ず第一点でございますが、労働基準法の適用を受けます年少労働者の数についてでありますが、これは昭和二十六年末現在の我々のほうの統計によりますると、全国で満十五歳未満の年少労働者が九千四百七各、満十五歳以上満十八歳未満の年少労働者の数は七十三万四千六百五十一名ということにたつております。これを東京によつて見ますると、満十五歳未満の許可を受けて労働しておりまする年少労働者の数は四百九十八名、それから十五歳以上十八歳未満の年少労働者の数は八万一千七百十四名という数字になつております。そこでこれらの年少労働者に対します労働基準法による保護の状況、それから監督の状況についてでございまするが、これは基準法が実施されましてから現在まで約五年になるのでありまするが、やはり率直に申しまして、これらの年少労働者に関する違反の数はやはり今日依然としてあとを絶たないのであります。ただ現在までの状況についで見ますると、基準法の中で総違反件数に対しまして女子年少者関係の違反件数、これについて見ますると、昭和二十三年には比率が一〇・三%、それが二十四年には七・九%、二十五年も七・九%、二十六年は七・一%、こういう工合に推移しておりまして、傾向といたしましては、やはり労働基準法の女子年少者に対するところの規定趣旨が労使双方に徹底し、逐次労働條件は向上の過程を辿つておる、こういうことが傾向としては申上げられると思うのであります。勿論我々はこれを以て監督が十分であるということを申上げておるのではありません。まだまだ不満のところがあるのでありますが、今後におきましても、更に辛抱強い監督の継続によりまして、年少労働者の労働條件の向上を図りたい、こういう工合に考えております。  それから最後に、労働基準法の年少労働者に対しまする現在の規定と、今回の兒童福祉法改正によります関係でございまするが、これにつきましては、労働基準法は御承知のごとく基準法自体と、それから年少者関係につきましては、労働省令である女子年少者労働基準規則、この二つによつて規制をいたしております。これによりますると、雇用関係にあります年少労働者につきましては、第一に深夜業でありまするが、満十五才以上満十八才未満の年少者については、午後十時から午前五時まで深夜業を禁止することになつております。なお満十五才未満の兒童につきましては、これは働らいておる場合には午後八時から午前五時までという工合に深夜業の時刻がやや擴大されております。  それから次にこの兒童福祉法に関連があるような業務でありますが、雇用関係にある兒童につきましては、十五才未満の兒童が就業する場合には監督署の使用許可証明というものをもらつて働らくわけであります。これにつきましては、只今ように或いは遊興的な接客業というようなものに出入りするような職業に従事するという場合には許可は與えないということになつております。  それから十五才以上のものにつきましては、やはり女子年少者労働基準規則の中で、例えばカフエーとか、ダンスホール等で勤めるというような業務は、危険業務、有害業務として禁止業務になつておるわけであります。ただここで問題になりまするのは、現在もお話しがありましたように、いわゆる花売娘とか、そういうよう問題についてでありますが、これは実際雇用関係があるかどうかということは実態判断によらざるを得ないのでありまするが、雇用関係がありというふうに断定することは現在においてはちよつとできないようであります。むしろ家の手伝いとか、或いは自営業的にやつておるというような形でありまして、従つて労働基準法を以てこれを禁止することにはなつておらないのであります。今回の兒童福祉法改正によりまして、午後十時から午前三時までの業務が禁止され、それからああいうキヤバレーとかダンスホール等に出入する業務が禁止されることになつたのでありまするが、これにつきましては、我々のほうの考え方といたしましては、労働基準法でこのよう禁止規定を設けましたのは、やはり雇用関係にあつて他人の労働者として働らく場合には、これは好ましいことではないので絶対に許さない、これは申すまでもないことでありますが、そうでないものについてどうするかということであります。これは例えば基準法の中にこういうことを規定して、これらの兒童が雇用関係にあるものとみなすというようなアメリカ式の考え方考えられるのでありますが、これはやはり基準法の性格から申しまして、それから監督官が監督するというようなことになりましては、どうも非常に堅苦しいことになり勝ちなので、我々のほうの考えとしまして、これは好ましくはないことではありますが、基準法の中でこういうことを規定するのは、現状からいつて妥当でない、むしろ兒童福祉法の中に入れまして禁止すると同時に又兒童福祉法の施行に当られますかたがたは、監督官と違いまして指導も大いに担当されておる、割合温か味のある指導をなされると思うのでありまして、兒童福祉法の中でこの程度のことを入れて、ただ単に禁止というだけでなしに、これを元にして指導をされるということであれば、この兒童福祉法改正は妥当なものではないか、こういう考えを持つておる次第であります。
  34. 山下義信

    山下義信君 わかりました。ですから大体においては私は労働省の所見には同意であります、ただ伺つておきたいと思うのは、福祉法では午前三時までとしておりますが、いわゆる労基法で規定しておる午前五時との間に二時間の時差がある、この二時間の時差の場合においては、若し雇用関係があつたらばどうしましようか。それで大体においてその時間も、これは運用においてすべて兒童福祉法に任せますか、どうしますか。それからいま一つは、実体のあいまいな雇用関係というようなことが、大体はないと思うが、つまり紐付きもあるだろうし、実体のあいまいなものもあるわけなんです。それを正常に雇用化するということはどう考えるか、労基法の上から見てあなたのほうから見てそれが正常化されることが望ましいと考えるか、つまりどの程度まで兒童福祉関係との、あなたのほうとの調節をどうするかという点をもう一度聞いておきたいと思います。
  35. 堀秀夫

    説明員(堀秀夫君) 雇用関係にあります兒童が基準法の禁止時刻である午前五時以前に労働するということにつきましては、やはり我々のほうの立場といたしましては、雇用関係にある以上はその就業は認められない、こういう考えでおります。これは国際的な角度におきましても、国際労働條約等におきましても、やはり午前五時までが各国の年少労働者の就業禁止時刻になつておりまして、雇用関係にあります兒童をそういうような時刻に働かせることは、国際的にチープ・レーバーというよう日本に対する譏りの誤解を起させるゆえんにもなりましようし、又他人に使われておるという兒童につきましては、やはり午前五時以前は働かせることは、これは我々の立場としては認められない、ただ家の手伝いをしてやる、或いは自営業としてやられる、例えば納豆売というようなものについて、そういうような形態がある場合にはこれは雇用関係ではございませんので、これは兒童福祉法によつて規制されることになるのであろうと考えられます。それから第二番目に、今のような形態にあります兒童がだんだんと雇用関係のほうに入つて行くことが妥当かどうかということについてであります。我々のほうの考え方といたしまして、方向といたしましては、やはり雇用関係に入つてはつきりした形で就業をされるということは合理的なことであり、望ましいことであると思つております。ただ現段階におきまして、それを急に促進することができるかどうかということにつきましては、我々のほうとしてはまだちよつと一気にそういうことを望むことはできませんので、今後又漸進的にその方向にだんだんと向けて行くよう施策をやつて行きたいと考えております。
  36. 山下義信

    山下義信君 それでは労働省に対しまする私の質疑はこれで終えておきまして、最後に文部省に来てもらつておりますから、文部省の初等教育課長に私は伺いたいと思うのですが、諸般の資料、統計を見ますと、街頭労働をやつでおりまする年少兒童の約五八%、その六〇%前後は不就学兒童であると言われておる。それで学校教育関係者は、学校に出て来ないで欠席しておる兒童、いろいろ理由がある中に、それらの兒童街頭労働に従事しておるという実態について承知しておるかどうか。学校教官の立場でそういうことを、兒童を調査したことがあるかどうか、それに対して学校教育関係者は何らかの注意を拂つておるかどうか。何らかの施策考えたことがあるかどうかという点を聞きたいのです。若しも今までそういうことを注意したことがなければなくてもよろしい。調査したことがなければなくてもよろしい。そういうことを文部省で心配したことがあるかどうか。それから今回兒童福祉法におきまして、その街頭労働しておりまする兒童について、福祉の手を差延ぺようとする、それに対して文部省は何らか、皆通学する兒童でありますから、就学兒童でありますから、十五歳というようなのは義務教育の兒童でありますから、これに対して十分協力する用意があるかどうかということを聞きたいのであります。
  37. 大島文義

    説明員(大島文義君) 学校へ来ない子供を我々はまあ三つに分けて考えておるのでございますが、それは一つは義務教育、就学のときに市町村にございます学齢簿によつて就学するわけでございますが、学齢簿にありながら学校に籍を置かない子供、これは不就学と我々言つております。それから学齢簿にも名前が載つていないというために学校に就学できない、させようと思つてもできない子供がございます。これは未就学と呼んでおります。それから学校に籍を置きながら学校へ出て来ない子供でございます。これは欠席にも期間がいろいろございますが、私ども一応三カ月以上くらい休んだ者を長期欠席と呼んでおります。その長期欠席と不就学と未就学の子供が只今の御質問の対象になると思つております。この学齢簿に載つておりません子供については、私どもも調べようがございません、ちよつとつかみようがないので……。そこでどのくらいな程度おりまして、何%学校につかまえたという数字を申上げることができないのでございます。それから学齢簿に載つておりながら学校に来ていない、いわゆる不就学の兒童につきましては、文部省と総理府の中央青少年問題協議会とが協力いたしまして、ここ数年毎年調査をいたしましたデータがございます。今年の四月に調査をいたしました結果はこの八月頃に集計ができる見込みでございますので、参考までに昨年の二十六年四月に調査いたしました結果を申上げますと、これがいわゆる義務教育の就学率と言われておるものでございますが、戦後やや戦前に比べて就学率が下りまして、昭和二十四年度に一番低くなりまして、昭和二十五年、六年、七年とやや就学率がよくなつて来たわけでございます。昭和二十七年の就学率が小学校におきましては九九・七二%でございます。これが小学校に通学すべき学齢の子供に対して、学校に籍を置いておる子供の比率になります。中学校におきましては、同じ比率が九九・四六%、小学校よりやや数字が悪いわけでございます。それからこの内訳が身体的、精神的にまだ十分発達していないという子供に対して、就学猶予とか、就学免除のきまりがございまして、その就学猶予、就学免除のものが一つございます。それから教護院とか、少年院におるために学校に通学できないものがございます。そのほかには貧困によるため学校に通学できない子供というものがございます。それから理由不明のものがおるのでございます。その数字もわかつておりますが、例えば、小学校について申しますと、二十六年四月三十日調査で、不就学の子供の総数が三万一千七百十人、そのらち就学猶予になつておりますものが二万一千五百六十九人、就学免除のものが三千七百三十五人、教護院、少年院等におるものが四百九十五人、貧困によるものが千七百九十二人、居所不明のものが千二百九十一名でございます。それからその他理由のわからないものが二千八百二十八名、こういう統計になつております。中学校のほうで申しますと、総数が二万六千八百二十五人、うち就学猶予のものが二千二百六十六人、就学免除のものが千八百十九人、教護院、少岸院等におるものが四百七十一人、貧困によるものが一万二千九百八十九人、居所不明のものが千五百二十五人、その他が七千七百五十五人、こういう数字になつております。これが学齢簿にありながら学校に籍を置いていないものであります。それから学校に籍を置きながら長期に欠席をしでおります者、これにつきましては、欠席の状況が、引続いて欠席する者と、ちよちよい断続的に欠席するものがございますが、両方とも一年間について三カ月以上欠席する者を一応長期欠席者とみなして数を調べました。これは一年古いのでございますが、昭和二十五年四月一日現在でございます。この総数が小学校におきまして、欠席者数が三十九万七千三百八十九名、これを在籍者が小学校で約一千百万人でございますから、小学校の在籍者数との比をとりますと、四・一五%になつております。それから中学校の場合に長期欠席の総数が三十三万八千七百二十一名、これが在籍者に対して七・六八%になります。三十日以上と申しましても、三十日から六十日、六十一日から九十日、九十一日以上と三つの段階に分けて考えまして、勿論六十日以内のが約半分以上占めておるわけでございます。それから長期欠席いたしました理由別に考えますと、小学校の場合を考えまして、本人が病気のために長期欠席をしておるというのが約三七%、これは欠席者中の三七%、学校が嫌いだからというのが五・五%、本人が学校に関心を持たないというのが九・八%、友達にいじめられる、こういうのが〇・六%、これらが大体本人に関した理由でございます。次に家事、家業の手伝いをしなければならないために長期欠席する、これが二五・二%、働いて家計を助けなければならないというのが一・一七%、教育費が出ないからというのが四・三%、家庭が教育に無関心だからというのが一一・二%、災害に遭つたからというのが〇・三%、これらが大体家庭の事情によつて欠席する者でございます。その他が四・〇%、これが小学校の場合でございますが、中学校の場合はちよつとその理由による数の分布が変つて参りまして……。
  38. 山下義信

    山下義信君 答弁中ですけれども、この今当面の街頭労働兒童等に直接関係のない点は、これは資料として今おつしやつたものは改めて提出して頂きたいと思います。
  39. 大島文義

    説明員(大島文義君) この長期欠席を理由別に考えまして、本人の身体的な理由というものを除きますと、あとは家庭の事情、つまり家事の手伝いをしなければならないとか、或いは家庭の助けをしなければならんという理由があるわけでございます。それは只今の表から勘案いたしますと、小学校の場合には大体三七%が家が困るからという理由で欠席をしております。これが中学校の場合になりますと、それが六〇%以上が家の手伝いその他のために長期欠席しているという結果が出ておるのであります。そういう点がこの調査からまあ一応出て参りましたわけでございます。それで次の御質問の、これに対して文部省がどういう注意を拂つておるかという御質問に対しまして、只今ような不就学の理由、それから長期欠席の理由がそれぞれいろいろございますので、その理由によりまして、それぞれ注意を佛わなければならないわけでございまして、本人に関する例えば身体的理由に関しましては、これは保健の立場から考慮する。それから子供が学校が嫌いであるとか、友達にいじめられるとか、こういうような点に関しましては、学校の指導をなお一層十分にするという見地に立つておるわけでございます。それから家庭が貧困であるとか、或いは家事の手伝いをするとかいう、こういうよらな理由に対しましては、いろいろな社会福祉的の方面から考えて行かなければならない問題が多いと思うのでありまして、厚生省のおやりになつております生活保健法の中の教育扶助が一つのこれの支えになつております。それから文部省といたしましては、それ以外に就学奨励費というものを考えておりまして、今日では普通の小中学校には出しておりませんが、盲学校、聾学校の方面に生活保護法を適用して、更にその上に就学奨励費という通学費その他を多少予算で計上しておるわけであります。それからさような点から就学奨励をするために社会保障制度というものをなお一層強化して頂きたいということを私ども念願しておるわけでございます。それから各教育委員会が直接学校の監督をやつておるわけでございますが、そういうような特に指導の面におきましては、或いは訪問教師の制度、カウンシラー——の制度とか、或いは特に子供の生活指導、職業指導に専念するような職員を今日置いております教育委員会が数県ございますし、こういうようなことはますます慫慂して行きたいと思つておる次第でございます。さような状態であります。
  40. 山下義信

    山下義信君 厚生省以外の人に対する私の質疑は終ります。
  41. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 ちよつと警視庁高柳さんにお伺い申上げたいと思うのです。先ほど貴重な調査の結果の報告を伺つておりまして、そうして感じましたことは、この兒童福祉の今回の改正案も大変子供のために結構なんでございますけれども、結局子供が労働をやめますと、裏付がないというようなことをおつしやつておられますが、これは大きな問題で、先ほど子供が花売りをして家を建てたような子供があるというお話でございますけれども、一体子供たち八十何者の収入の額というものは、家庭の補助はどのぐらいするようになつておるのでございますか。この子供たちが家庭の補助をしなくなれば家計が立ち行かなくて、八十四名のうち二名しか生活保護がない。全部生活保護にかからなくちやならないと思うのですが、お見通しはどんなものでございますか、ちよつと伺いたいと思います。
  42. 高柳勝二

    参考人高柳勝二君) この売上高でございますが、八十四名について調べたのですが、日収の一番多い、これは純収入でございます、純益と申しますか、二百円というのが三名、それから三百円というのが五名、四百円というのが八名、五百円というのが十八名、六百円というのが十六名、七百円というのが六名、それから八百円というのが五名、それから千円というのが十二名、それから千百円というのが一名、千三百円というのが三者、千五百円というのが二名、二千円以上というのが五名、非常に何と言いますか、子供のあれとしては非常に収入が……。これは一番多い日のでございます。それから少いときのことは省きまして、平均したらどのくらいになるかと申しますと、百円のものが二名、それから二百円のものが十八名、三百円のものが二十二名、四百円のものが十二名、それから五百円のものが十六名、六百円のものが六名、八百円のものが二名、千円のものが三名、それから千百円のものが一名、千二百円のものが一名、千五百円のものが一名、こういう状況でございます。で、この稼働日数を申上げますと、月に五日くらいしかやらないというのが五名、十三日ぐらいやつたというのが二名、十五日ぐらいやつたのが十名、十八日が二名、二十日が三十四名、二十三日が一名、二十四日が一名、二十五日が二十八名、三十日が一名。これから見ますと、相当月のうちにたくさん働いたというようなものが多くなつております。私はこの収入をどのくらい家のほうに入れたかということはちよつと調べてありませんけれども、やはり相当数入つているというのもあります。例としては、月収、これは深川の高橋のドヤ街と私どものほうで申しますが、その宿屋に親子五人で、そうして三人の子供に花売娘をやらして、そうして親が余り働かない、月にどのくらい月収が上るかというと、花売娘のあれによつて四万円ぐらいになる。それをみんな博打や酒で飲んでしまう、そういうような極端な例もあります。それから或いは自分がバレーとか、何とか習うために、その月謝のためにやつているというような小学校の六年生の子供もおりますし、それから先ほど山下委員さんからお話があつたように、花売娘をやつている十六になる女の子なんですが、この十六になる花売娘が非常に稼いでくれたからというので、非常に一家が明るくなつたというようなのもありますし、それから施館を経営するというようなのも先日新聞にありましたが、私は当てずつぽうで誠に恐縮ですが、非常に何と言いますか、これをとめたからと言つて、八十四名のうち三名しか生活保護法の適用は受けておりませんでしたが、これは停止したからと言つて、すぐあとの八十一名というものが、全部がやつばり生活保護法の適用を受けなければやつて行けないかどうかということは、ちよつとそういうことをしなくてもいいじやないか、何か、何と言いますか、家庭の親とか、兄弟とか、こういうようなものが怠けているのじやないか、そういう小さな子供を花売娘その他をさして、自分はぶらぶらしている、こういうようなのもあるわけなんで、ですから、私はこういうのを禁止すれば、本当に病気で寝ているとか、何とかいうのは生活保護法の適用を受けなければならないのですが、そうでないのは、禁止すれば家庭の親とか、保護者とか、そういうようなものに働く意欲を持つようになつて、そんなに生活保護法を全部受けなくてもいいのじやないかというように、これは私の甘い考えかも知れませんけれども、そんなふうに考えております。
  43. 山下義信

    山下義信君 ほかに御質問ないようでありましたら、最後に社会局長に生活保護法の関係で、本案の改正について如何なる用意があるか。又その他の諸点について社会局長に所見を私二つ聞いておきたいと思います。
  44. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) 参考人のかたはどうぞ……。どうも御苦労様でございました。
  45. 安田巖

    政府委員(安田巖君) 深夜に子供が靴を磨きましたり、或いは花を売りまして稼いでおることを禁止いたしました結果、若しその者の家庭が生活できないということになりましたならば、これは当然生活保護法を適用しなければならんと思います。ただ併し先ほどから警視庁のほうのお話を聞いておりますというと、すべてがそうでもないような話でございますので、その辺は一つ一つのケースにつきまして十分調査いたしまして、遺漏なきを期したいと思います。なお又そういうふうな禁止されたような子供がおります地域を管轄いたしておる福祉事務所等につきましては、特にその点に留意いたしまして、そのために直ちに生活に困るというようなことのないように十分注意したいと思います。
  46. 山下義信

    山下義信君 昨日の本案の審議に厚生大臣とも質疑応答の中に、その点については特段の留意をするということを言明を得ておるのであります。それで承り案の中心は禁止と同時に、その対象についての福祉の具体的な裏付であります。併し児童局といたしましては、これらをいろいろ事務的には局長承知のごとく取扱う組織と段取とあるわけでありますが、それならどれだけの施策を具体的にやつて行くか、カバーして行くかということになると、今日の建前で生活保護法にようざるを得ない、且つ又取扱の窓口としても社会福祉事務所と関係せざるを得ないその間にギヤツプがあり、或いは十分末端において本案の運営上に緊密且つ又迅速なる連絡がないといたしまするならば、一方においてこの種の禁止規定を設くることによりまして多少でも、多少でもではない、相当な収入の源を絶ち、そうして家計を一層困難ならとめるケースもあり、而して誤まつて不幸なる事態が一家庭といえども発生をしましたならば、私は非常にそれは痛恨事であると考えます。そのときになつでああである、こうであると言つたのでは遅い、こういう福祉問題は、その法が一〇〇%有効に動かない、そのことによつてつて逆に不幸なる事態が発生しましたらば、我々本案の審議に当りまするものは責任を感じなくちやならんということを昨日も申したわけであります。その点につきまして、同じ厚生省の中であるから、十分であるということを期するということを厚生大臣は言つたのであります。特別に生活保護法を特に曲げてということができないことはこれはよく存じておりますが、かかる福祉に関する、いやしくも収入を一部でも減少する虞れのありまする禁止規定を設くる場合におきましては、生活保護関係当局といたされましては、十分の御配慮を願つて、事態が起きてから対処するのではなくして、全般的に或いは次官名を以て、両局長名を以て末端まで法律の成立と同時に通牒を発せられまするかどうか、いろいろ各種の諸般の御準備や御配慮を願いたいと思うのでありますが、十分意を用いて遺漏なきを期せられまするかどうか、局長の言明を得たいと思うのであります。
  47. 安田巖

    政府委員(安田巖君) 山下委員の今御指摘になりました点は誠に御尤もと存じまして、私どもこの法案が成立いたしましても、施行いたします際には兒童局と十分連絡をいたしまして遺漏なきを期したい存じます。
  48. 山下義信

    山下義信君 他に御質疑が今日の場合ないといたしますならば、一応我々の審議を引揚問題並びに遺家族援護の小委員会に御付託相成らんことの動議を提出いたします。
  49. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) 山下さんの動議に御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  50. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) さよう決定いたします。   —————————————
  51. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) 次に医療制度に関する小委員の補充を指名いたします。堂森芳夫君の補欠として山下義信君を、草葉隆圓君の補欠として長島銀藏君を、松原一彦君の補欠として深川タマヱ君をそれぞれ御指各申上げます。  午後一時半から打合会を聞きたいと思います。本日の委員会はこれを以て散会いたします。    午後零時二十八分散会