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1952-03-28 第13回国会 参議院 厚生委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年三月二十八日(金曜日)    午前十時四十七分開会   —————————————   委員の異動 三月二十五日議長において草葉隆圓君 を委員に指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     梅津 錦一君    理事            長島 銀藏君            井上なつゑ君    委員            大谷 瑩潤君            草葉 隆圓君            中山 壽彦君            常岡 一郎君            藤森 眞治君            山下 義信君            松原 一彦君   政府委員    厚生政務次官  松野 頼三君    厚生省保險局長 久下 勝次君   引揚援護庁長官  木村忠二郎君   説明員    厚生省保險局船    員保險課長   中村 隆則君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○船員保險法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○国民健康保險再建整備資金貸付法案  (内閣送付) ○社会保障制度に関する調査の件  (引揚者援護対策に関する件)  (国立病院地方移管に関する件) ○議員派遣要求の件   —————————————
  2. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) これより厚生委員会を開きます。  公報で御通知申上げてあります通り船員保險法の一部を改正する法律案議題といたします。先般すでに提案理由説明政府から聞いておりますので、直ちに質疑に入りたいと思います。
  3. 山下義信

    山下義信君 簡單な法律案でございますから、大体において異議ないと思うのでございますが、一、二ちよつと伺つておきたいと思います。最近の船員給與実態はどういうふうな状況でありますか、それが第一点、配付の資料に若しありますればお示しを願いたい。それで恐らく船員給與は相当高くなつているのじやないかと思うのですが、この標準報酬の今回の改正程度でいいのかどうか、今後なお引上げなければならんようなことが或いは予想されるかどうかということ、これが一点です。  それから今一つは、失業保險法保險料率を今回下げたのですが、船員保險法失業保險給付状態はどういうふうになつておりますか。資料の何頁を見ろということをお示し願いたい。それで船員保險法失業保險関係料率は今回はいじつてないのですが、これはどういうふうな関係にありますかどうか、関連してその関係保險経理状況をお示しを願いたいと思います。先ずこのこ点一つつておきたいと思います。
  4. 久下勝次

    政府委員久下勝次君) 先ず第一の船員給與実態でございまするが、昨年の九月調査いたしたもので総括的なことを申上げてみたいと思いますが、これによりますると現行の最低三千五百円の標準報酬に該当いたしますものは、漁船その他の船舶を合せまして、一万六千五百九十六名でございます。これを今回四千円に、五百円だけ上げるわけでございますが、そういたしますると、四千円に該当いたしますものが、九月の調査では四万三百八十三名ということに相成つておるのでございます。それから高いほうでございまするが、最高二万四千円を三万六千円に上げることに相成りましたわけでございますが、ところどころ拾つて申上げますと、三万円に該当いたしますものが昨年九月の調査では六百五十三名ございます。三万六千円に該当いたしますものが千五百九十八名でございます。大体二万四千円を超えますものは、漁船以外のいわゆる汽船その他の大型船舶に属するものが多いのでございまして、三万六千円を越えますものは全体の二%くらいの程度でございます。現状調査ではその程度なつております。従いまして私ども考え方といたしましては、この程度改正を御承認を頂きますればここ当分は標準報酬につきましては手を入れなくてもよろしいのではないかという考えを持つております次第であります。  なお極く最近の総括だけを御参考までに申上げますると、二十六年の十月におきまして汽船関係給與平均は、一万四千九百三十一円に相成つておりまして……
  5. 山下義信

    山下義信君 ちよつともう一度言つて下さい。
  6. 久下勝次

    政府委員久下勝次君) 汽船関係、昨年の十月の調査によりますると一人当り平均一万四千九百三十一円でございます。これに対しまして、これは昨年の三月分の状況に比較いたしますというと、昨年の三月は汽船関係で一万四十一円でございました。約半年ほどの間に五千円近い上昇を見ておりますような次第でございます。このように漁船及び一般汽船を通じまして船員給與は最近非常に上つております。特に昨年の六月に一般的に大幅なベース・アツプがございましたので、今回の標準報酬改正実態に照らしましても無理のないところであると思つておるような次第でございます。保險関係の実情につきましては、船員保險課長から数字をお答え申上げます。
  7. 中村隆則

    説明員中村隆則君) 失業保險関係について所管課長から述べさして頂きます。お手許に配付いたしましたところの資料の二十一頁を開いて頂きます。数字統計の二十一頁でございます。二十一頁を御覧頂きますると、年度別給付種類別積立金状況が書いてございまするが、失業保險の欄を御覧頂きますると、昨年におきまして、二十五年度におきまして、五千九百万円の赤字示しておるわけでございます。昨年におきましては失業保險は非常な赤字でございまして、危機を来したわけでございます。明年度におきまして、実は陸上失業保險におかれましては料率の引下げを行われるように承わつておるのでありまするが、これは非常に積立金がたくさんあるわけでございます。そして昨年において悠々たる財政状況でございます。私のほうも今まで従来と同様の料率で参つたわけでございまするが、失業保險に関する陸上とのバランスをとるという意味におきましては下げるべきであるという意見も出るかと思うのでございまするけれども、昨年このような実績でございまして、本年も何とかやつておりまするけれども、決して楽観は許さない状況でございますので、今暫くの聞この現行料率でやらして頂きたい、こう思つておる次第でございます。
  8. 山下義信

    山下義信君 この二十五年度の失業保險関係マイナス五千九百四十万円というのは、これは大体昨年度だけ……こういう我々船員関係のことは未詳なんですが、昨年度だけの特殊現象つたんですか。
  9. 中村隆則

    説明員中村隆則君) 昨年だけの非常に顯著に現われた現象でございます。
  10. 山下義信

    山下義信君 これは、失業保險給付はいろいろ政府負担金等関係もあつたりして料率が異つている関係上、これらの給付は別々の会計経理と言いますか建前が、経理は別々になつてやつておる、こういうことになつておりますか。
  11. 久下勝次

    政府委員久下勝次君) 船員保險関係船員保險特別会計で一括してやつております。
  12. 山下義信

    山下義信君 いや私のお尋ねしているのは、船員保險関係の中でこの給付は、療養給付の金はこれだけあるのだ、失業保險給付はこれだけあるのだというように給付経理を別々にしているのですか。同じ一つ船員保險の基準といいますか、一つプール計算なつておるのですか、別途になつておるのですか、と言うのです。
  13. 中村隆則

    説明員中村隆則君) 船員保險内部においては船員保險特別会計一本でございますが、收支関係におきましては、療養給付予算幾ら幾ら失業保險給付予算幾ら幾ら、それぞれの給付別予算がきめてございます。歳入のほうは保險料一本で入つて参りますが、給付に関しましては失業保險給付年額幾らだと予算できまつております。
  14. 山下義信

    山下義信君 それで陸上のほうの失業保險料率は引下げた、海上のほうでは失業保險料率を下げるか下げられないかといつた場合に、この船員保險においては、海上失業保險のほうは経理マイナスなつているから、どうも歩調を合わせるわけに行かんのだ、そういうことなんですか、そういうことが成立ちますか。マイナスなつているというのは、船員保險関係経理の中での話であつて而も中ではつきり法律区別を付けてあるわけじやない。一応予算の上でいろいろ、国庫補助金を繰入れたりする建前の上でそういうふうに一応区別をしてあるのでしようけれども、そこのところが、まだはつきりしないので伺つておるんです。
  15. 中村隆則

    説明員中村隆則君) 陸上失業保險は、これは陸上失業保險特別会計という特別の会計なつております。私どものほうは船員保險特別会計なつております。その間特別会計間の資金の流用はできないことになつております。従つてどものほうの失業保險船員保險特別会計において赤は依然として赤、その範囲内において操作しなければならない建前なつております。
  16. 山下義信

    山下義信君 そういうことじやない。私のお尋ねしているのは、陸上失業保險が今回保險料を引下げたでしよう。それで同じ失業保險給付をするのに、船員保險における失業保險関係料率を下げられないのか。歩調を合せて下げられない、下げられないですね。下げられようとしていないので、それはどういうわけかということと、船員保險内における失業給付はこれはマイナスなつているのだ。御承知のように二十五年度五千九百万円マイナスなつているのだというので……、陸上のほうの失業保險は金が余つた、だから料率を下げるんだ、こちらのほうは料率を下げられない、マイナスなつてるぐらいだから料率は下げられないのだというさつきの御説明つたでしよ。そこで船員保險の中においてこの分は失業に対する給付の分の金だ、このほうは療養のほうも給付のほうも支払分の金だと、財布を別々にしておるのかと私は聞くのです。そうじやないでしよう、それは予算の組み方は船員保險特別会計の中でいろいろにこの細かい又予算のほうでの種別は持つておりましようけれども、それは元来法律上の建前收支を別々にさせるようになつておりますかとこういうことなんです。
  17. 中村隆則

    説明員中村隆則君) 現在船員保險におきましては千分の百六十の料率でやつているわけでありますが、そのうち失業保險金に相当するものとしましては千分の二十頂いておる。千分の二十の財源でやつて行く場合においてこのようになつて行くとこういうわけでございます。千分の二十の保險料を頂戴して行きまして失業保險をやつて行く場合においてこれは赤字なつて行くのでございます。
  18. 山下義信

    山下義信君 そうすると船員保險の中での会計では彼此融通ができないのですか。つまり全体で今基金の残高が五億ぐらいあるのでしよう。今幾らありますか、船員保險の現在基金は五、六億あるのでしよう。
  19. 久下勝次

    政府委員久下勝次君) お尋ねの要点に触れませんで恐縮でございましたが、先ほど来申上げておりまするように、各種保險別料率計算をし経理をする建前なつておりまするが、確かに一応の予算が組んでございまするけれども一つの部門におきまして赤字の生じました場合は、自由に融通はできないのでありますので、財務当局承認を得ましてやり繰りできるのであります。船員保險特別会計の枠の中で承認を得まするとできるのでございます。
  20. 山下義信

    山下義信君 大蔵当局承認を得ればできるのですね。ですから失業給付マイナスなつておりますから料率を下げんというのは理由にはならん。今基金はどのくらいあるのですか。五億ぐらいあるのですか。船員保險手許に持つておる基金ですね。
  21. 久下勝次

    政府委員久下勝次君) 仰せの通り大体五億でございます。
  22. 山下義信

    山下義信君 今回標準報酬引上げをしますと、今後の收支見通しは大体どうなりますか。これは何か資料頂いておりますか。
  23. 久下勝次

    政府委員久下勝次君) お手許資料が差上げてございますのでありますが、その第一ページの裏を御覧頂きますと詳しく各保險別種目別計算がしてございます。二十六年度と二十七年度を標準報酬改訂のありません場合と、なつた場合とを比較してここに計算してございます。御覧を頂きますように昭和二十六年度におきましては短期給付、いわゆる疾病給付と書いてございます。一番上の欄でございますが、二十六年度だけで四千二百万円の赤字がございましたが、二十七年度におきましては標準報酬改訂に伴いまして六千八百万円の剰余金が出る建前なつております。なおその他の長期給付並びに失業給付につきましては、この表で御覧を頂きまするように二十六年度におきまして業務取扱費の若干の赤字が出ておりますけれども、全体といたしましては各種別ごと黒字が出ております。この状態は二十七年度におきましても続けられる見込みでございます。
  24. 山下義信

    山下義信君 その六千八百万円という黒字に今後この標準報酬引上げたらなるという表は、六千八百万円というのはどこに数字が出ておりますか。
  25. 久下勝次

    政府委員久下勝次君) この一枚折つたののその裏でございます。裏の一番上をご覧頂きますると、疾病給付というのが一番左の隅にございます。その次が保險料でございます。歳入と歳出が分けてございます。二十七年度の本年改正になりました場合は、二十七年度改訂後という欄を御覧頂きますと疾病給付保險料收入が十三億六千三百三十三万四千円、それに対しまして一応予算上予定しておりまする給付総額は十二億九千五百二十九万八千円、支出の欄の一番右端にございます。これの差引がこの一番右の端に出ております。二十七年度改訂後というので、差引剰余額の欄の中の六千八百万円というのを申上げたのです。
  26. 山下義信

    山下義信君 わかりました。いま一つ伺いたいのは、戰争犠牲者船員関係ですね、これの給付は今回の標準報酬引上げとの関係がありますかどうですか。
  27. 久下勝次

    政府委員久下勝次君) 戰争犠牲者につきましては今回の標準報酬改訂関係はございません。
  28. 山下義信

    山下義信君 関係がない……。
  29. 久下勝次

    政府委員久下勝次君) すでに給付が始つておりますので関係ございません。給付を始めましたときの標準報酬によつて給付をいたしております。
  30. 山下義信

    山下義信君 そうですが、それはあとで標準報酬上つて関係ないことになつているのですが、ずつと元の金額を続けて支給するのですか。
  31. 久下勝次

    政府委員久下勝次君) さようでございます。
  32. 山下義信

    山下義信君 私は今回の遺族援護法案と、この船員保險で従来戰争による犠牲の船員がこの支給を受けておる、それらの対象者は今回の援護法での対象にもなつておつて、その両者二者択一いずれにもなるようになつているのですかね。
  33. 久下勝次

    政府委員久下勝次君) 船員保險の被保險者で、現在戰争危險によつて死亡者或いは傷害を受けました者はそれぞれ失業保險による特別な給付を受けておるのであります。お話のようにその一部が今度の援護法によりまして援護法の適用を受ることになります。その場合に両者給付の実額を見まして、多いほうに従うということになつております。
  34. 山下義信

    山下義信君 残る者のこの船員保險によつて給付を受けまするのは、これは全額国庫負担なつているのじやないかと思いますがそうなつておりますか。
  35. 久下勝次

    政府委員久下勝次君) お話通りであります。
  36. 山下義信

    山下義信君 質疑は終りました。
  37. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) ほかに御発言ございますか。
  38. 草葉隆圓

    草葉隆圓君 質疑はこれで終了して頂きまして……。
  39. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) 如何ですか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  40. 草葉隆圓

    草葉隆圓君 討論を省略して採決に入つて頂きたいと思います。
  41. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) 質疑は盡きたものと認めます。只今討論省略の動議が出ておりますが、如何いたしましようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  42. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) 討論省略をいたします。  では質疑を打切り討論省略をいたしまして採決することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  43. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) さよう決定いたします。原案通り可決することに賛成のかたの御挙手を願います。    〔賛成者挙手
  44. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) 総員挙手と認めます。本案全会一致を以て可決せられました。  委員長が議院に提出する報告書には多数意見者署名を付することになつておりまするから、本案を可とされたかたは順次御署名を願います。   多数意見者署名     長島 銀藏  井上なつゑ     草葉 隆圓  大谷 瑩潤     中山 壽彦  藤森 眞治     常岡 一郎  山下 義信     松原 一彦
  45. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) 署名漏れございませんか……。署名漏れないと認めます。  なお、本会議における委員長口頭報告については、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  46. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) 御異議ないものと認めます。   —————————————
  47. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) 次に、公報で御報告申上げてありまする通り国民健康保險再建整備資金貸付法案に対する政府提案理由説明を聞きたいと思います。
  48. 松野頼三

    政府委員松野頼三君) 只今議題となりました国民健康保險再建整備資金貸付法案提案理由につきまして御説明申上げます。  御承知通り国民健康保險は、昭和十三年に実施されまして以来、次第にその重要性を認められて今日に至り、現在保險者数約五千余、被保險者数約二千四百万人を数えておりますが、併し、多くの保險者には、診療報酬の未払があり、事業の運営は決して容易ではない現状でありまして、今回、この診療報酬の未払を解消し、国民健康保險再建整備を助成するため、国庫から資金貸付けることと相成りましたので、この法律を提案する次第であります。  この法律案要点は、第一に昭和二十六年度末までの未払診療報酬を解消するため、貸付要件に該当する保險者に対し、昭和二十七年度から昭和二十九年度までの三カ年間に貸付金貸付けることであります。  第二点は、貸付要件でありますが、保險料收納割合が、百分の七十以上、一部負担割合が百分の五十以下等であり、且つ保險料收納割合年度ごとに次第に向上することを要件としております。  第三点は、貸付條件でありますが、貸付期限は五年以内の据置期間を含み十年以内といたしまして、年利六分五厘の元利均等年賦方法により償還することといたしております。  以上がこの法律案の大要であります。何とぞ愼重審議の上、速かに御可決あらんことをお願いする次第であります。
  49. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) 本日は国民健康保險再建整備資金貸付法案に対しては提案理由説明だけにとどめたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  50. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) さよう決定いたします。
  51. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 ちよつとこの問題についてお願いしておきたいことがございますから……。この国民健康保險再建整備資金貸付法案が出ましたので、大変いい機会でございますので、お願い申上げたいと思いますが、この国民健康保險のなんと申しましようか、赤字はこれは有名なことで知れておるのでございますが、それに従いましてこの国民健康保險をやつております町村が、殊に直営診療所があいますようなところが人材の整備が行き亘つていないように思うのでございますが、この法案いろいろ参考資料を頂きますときに、どのくらいの直営診療所がございまして、それから医者はどのくらいか……。ちよつと実は昨日山梨県に参りましたのですが、そこの直営診療所で問題を起しておりますのは、これは医者欠員でございます。去年の九月から医者欠員等でいろいろ問題が起つておりますので、そういう参考資料を頂けますれば、その資料をどうぞお願いいたしたいと思います。   —————————————
  52. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) それでは予定通り引揚問題に関する件を議題といたします。岡崎国務大臣は十一時から出席されるはずでありましたが、渉外関係関係方面に呼ばれておりますので、出席が未定でありますので、さよう御承知願いたいと思います。  ちよつと速記をとめて下さい。    〔速記中止
  53. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) では速記を始めて下さい。引揚問題に関する件を議題にいたします。
  54. 山下義信

    山下義信君 前々回から当厚生委員会におきましては、引揚問題につきまして一、二回委員会を御開催になつたのでありますが、本院におきましては特別委員会が未設置でありますので、厚生委員会が当然その常任委員会としても殊に特別委員会の設置問題が未決定でありまする現段階におきましては、十分努力をしなくてはならんというわけで、我々といたしましてもそういう考え方でおりましたのであります。本日もその意味におきまして前回理事会申合せで、本日の日程に引揚問題の上程をお願いしてあるわけでありますが、たまたま今朝の新聞には中共地区から内地へ対しての送金等の報道が各紙に載つておるわけであります。実は当委員会外務当局責任者を、岡崎国務相出席を前から求めてあつたのでありますが、差支えがあつて出席ができないということでありますが、今朝の新聞等に現われておりまする中共地区日本内地との行う連絡につきましては、引揚援護庁のほうにもこういう事実の報告が入つておりましようかどうでしようか。又今後の見通し等につきまして承わりたいと思うのであります。前回今後の引揚促進につきましてのどういう手を打つかということにつきましては極めて不明瞭でありまして、結局今のところではこれという打つべき手がないのであつてビルマを通じてというような希望的話がその当時出ておつたのでありますが、先般来いろいろ国連関係オブザーバーとして出て行かれました人たちの帰られてからの報告があつて、その後どういう又具体的な促進の手が打たれてあるのかというようなことを、本委員会といたしても承知いたしていないのであります。併し当時出席せられた上島君でありますか、この人は各地に出張して非常に今後引揚のいろいろな方法が積極的に進んで、有望であるというようなことを演説でぶつて、講演でありますか、して歩いておるようでありますが、そういう点を本日は第一点として承わりたいと思つてつたのでありおりますが、援護庁長官のほうでかりでありますれば、御説明願いたいと思います。
  55. 松原一彦

    松原一彦君 今のに関連してですね。今朝の新聞にも中共方面から金が来たということがある。それでこれは残留者から正式の金が来たというのは今度が初めてだということでありますが、何かそういう方面のことも附加えて御報告が承われるならこの際一緒で結構ですから……。
  56. 木村忠二郎

    政府委員木村忠二郎君) 中共地区がらこちらに送金ができる、或いはできそうた、又送金があつたというようなことにつきましては、従来からそういう噂は聞いておるのでございまするけれども、我々といたしまして的確なるそういうようなことについては報告も受けておりません。従いましてこれについては、只今のところ援護庁としてはわからないという状態なつておるとしか申上げられないと思います。それからなお中共地区並びにソ連地区からの引揚等につきましては、新聞等で出ておりまするけれども、あの新聞に出ておりまするのは、新聞ではビルマにおけるラングーンからの情報として出ておるわけであります。これにつきまして、正式にそういうことがきまつたというような話は私のほうでまだ聞いておらないのであります。
  57. 山下義信

    山下義信君 後段の引揚援護庁関係の職員の人も行かれたと思うのですが、三人のかたでございましたか、国連引揚委員会オブザーバーとして行かれたのですが、その帰られた後に何か政府として引揚促進の努力をされましたような事実がありますでしようか、如何でしようか。
  58. 木村忠二郎

    政府委員木村忠二郎君) 国連委員会に参りましたのは外務省だけでございまして、援護庁のほうからは誰も出ておらないのであります。なお、それに従いまして、その後打ちました手等につきましては、外務省のほうでいろいろとやつておられるようでありまして、これにつきましては外務省のかたから御答弁されたほうがいいのじやなかろうかと思います。
  59. 山下義信

    山下義信君 それではやはり外務省に聞かなきやわからんということになるのでありますが、それでは本日私が承わりたいと思いますのは、この引揚者住宅の問題でありますが、従来引揚者住宅がまあ緊急措置なり、又引揚対策なりでとられておつたのでありますが、それは全般的に従来とられておりましたこの住宅対策の状況はどういうふうな状況でありましたか、一般的な報告を願いたいと思います。今後引揚者住宅はどういうふうにされて、住宅改善といいますか、住宅問題の解決といいますか、されるということでありましようか、承わりたいと思います。それが一つでありますが、と申しますのは、同時に関連いたしまして一つ内容的になりますが、先般住宅の緊急措置令関係法律案が出ましたときに、このポツ勅関係によりまして一時住宅を占拠しておるといいますか、無論中に入つておる人たちが今後出ることになる。その人たちの対策としては公営住宅に優先的に入れるというようなことがとられてある。建設委員会方面では引揚者人たちに対して、住宅問題について非常に困惑しておる場合に、こういう人たちにも将来公営住宅の利用について考えてあげなきやなるまいというようなことがありまして、参考のために厚生省の当局者に来て頂いて意見を聞いたという、どなたが出席されたか知りませんが、社会局長が出られたのではないかと思うわけでありますが誤りかもわかりませんが、そういたしましたら、そのときの御答弁は、引揚者については何ら優先的にこういう公営住宅の入居を心配する必要はないという御説明があつて、事情にうとい……、我々も事情にうといのでありますが、殊に建設委員会委員の諸君は非常に奇異の感に打たれたということでありますが、恐らくこの引揚関係住宅費も相当な経費を予算の上で盛つておられるのであります相当御努力をされているのではないかと思います。この際引揚関係住宅対策につきましてそういう点の御説明を承わつておきたいと思います。
  60. 木村忠二郎

    政府委員木村忠二郎君) 引揚者住宅につきましては、引揚げて参りました際に応急的にそれぞれの措置を講じまして、最初の間においては既設の建物等にこれを收容するようなふうにいたしまして、その後特に引揚者のための住宅といたしまして新らしい引揚者住宅を新設いたしまして参つて来たのであります。当初に入れましたところの応急的な收容施設におきましては、その施設が住宅として適当でないものが相当ございますので、これらについては一部補修をして住宅として使用のできるものにおきましては補修をいたしますし、補修いたしましても住宅としては使えないといつたようなものにつきましては、従来の集団住宅を疎開いたしましてこれに対する疎開した住宅を新築するという方法を講じて参りまして、すでに二十五年度に四千四百九戸、二十六年度に七千百三十三戸、これだけのものを充てているのであります。なお二十七年度におきましても三億の予算を計上いたしまして、二千七百二十七戸新らしく新築いたす予定でおります。こういうふうにいたしまして、大体引揚者につきましての住宅問題としましては、一応現在我々のほうで持つておりますところといたしましては、この数字で以て一応の疎開もてきますし、收容もできるということに相成つているのであります。従いまして今後におきまして一般の公営住宅等におきましても、当然そこに入る資格のありますものは入れて頂くのは非常に結構でありますけれども、引揚住宅としましてもそれぞれ適切な手を打ちまして今日まで参つているということを御報告申上げておきたいと思います。
  61. 山下義信

    山下義信君 そうしますと、引揚者人たちに対しての住宅の非常に困窮の状態はないわけですね、一般的に言いますと……。
  62. 木村忠二郎

    政府委員木村忠二郎君) 今一般的に住宅の困窮をいたしている状況からいたしまして、現在の住宅が十分であるというふうには必ずしも申せないかと思いますけれども、一応現在のところ極めて窮屈ではございましようけれども、それぞれの人に対します住宅の供給といたしましては、先ず何と申しますか、十分とは行きませんけれども、相当の程度のことができているというふうに言つていいのじやないかと思います。
  63. 山下義信

    山下義信君 抽象的なことを申すのでありますから抽象的にお答え下さつていいのであります。我々地方を調査いたしましたときに、非常に旧兵舎の跡などで多数の引揚者人たちが誠に粗末なところで、惨澹たる状態で集団的に一時收容されておりましたようなところがちよちよい、例えば福島県でも、山形県等におましても、山形県等の兵舎を使つておりましたようなところなんか相当ひどいところがあつたようでありますが、ああいう状態は相当改善せられているのでございましようね。
  64. 木村忠二郎

    政府委員木村忠二郎君) そういう状況にありましたので、昭和二十五年度からそういうひどいものは全部疎開いたしまして、何と申しますか、個別の住宅に建て変えるということにいたしまして、二十五年度以降毎年相当な経費をかけまして、本年度一年度におきましても約七億円ばかりの経費かけまして疎開いたしております。それから明年度はなお三億を以ちましてこの残りの部分をやるということにいたしております。
  65. 山下義信

    山下義信君 本年度の予算で今お話にありました七億前後の予算を取つてお出でになりましたが、これは全部御使用になりましたのですか。
  66. 木村忠二郎

    政府委員木村忠二郎君) 当初五億の予算を取りまして、五億で以て建てましてその後足りませんので、更に追加いたしまして、昨年これに二億ばかりの金を加えまして、そうして七億ばかりの金を出してやつておるというような状況でございます。
  67. 山下義信

    山下義信君 次にお伺いいたしますことは、これも新聞で見たのでありますが、私は余り新聞に載つたことを持出したことがないのですが、これは新聞よりほかに知ることができないので持つてつたのですが、GHQのシーボルト外交局長がアメリカで演説しておることが、確か二十四日の新聞に載つておるわけなんですが、そのシーボルト局長の演説では、ソ連の捕虜となつた日本人のうち消息不明と言われておるところの未帰還者三十七万の大部分はソ連の奴隷労働につきものの過重労働、栄養失調、虐待などのためすでに大部分は死亡したのではないかと、推測されるということの演説をしておるのですが、これは従来政府からもややこれに近い御説明を我々は承わつておるのでございまして、何も新たに奇異に感ずるわけではないのでありますが、大体従来三十七万と言われておりまする未帰還者の大部分は、死亡というような状態にあるようでありますが、これらの処理は各留守家族のかたがたに死亡関係の確認といいますか、通知といいますか、そういうものの処理はことごとくお済みになつておるのでございましようか。如何でございましようか。これを伺いますのは、三十七万の未帰還者がある、それらはいわゆる未復員者である。で未復員者引揚問題ということになりますと、すぐに世間では三十七万のまだ未復員のつまり引揚の対象になる人がある、こう考えておるようでありますが、実際は今後手を盡して消息を確かめ、或いは引揚に努力しなければならない。一応の政府が従来持つてつた、リストから言えば割合に少数ではないかという気持がするのでありますが、一応この点を政府から何と申しますか、確たる御説明を承わりたいと思うのであります。
  68. 木村忠二郎

    政府委員木村忠二郎君) これにつきましては、一昨年の七月に政府のほうで発表いたしました数字を申上げますと、三十七万の未帰還者のうちで、姓名がはつきりわかつておりますものが三十四万ばかりでございます。それからそのうちで死亡したものが確かであるという認定がされておりますものが二十三万四千、それから或る時期において生存しておると申しまするか、昭和二十三年から二十五年の間において生存しておつたということがはつきりいたしておりますものが七万七千六百ばかりになつております。それから残りの二万八千八百ばかりのものが消息が二十三年から二十五年の間にはない、従いましてその前には生きておつたということがわかるが、その間には生きておつたという証拠がどこにもないということがまだはつきりわからないのであります。大体そういうような数字なつております。なお、この数字につきましては、その後も各方面の情報を集めて逐次これを整理いたしておるわけでございます。
  69. 山下義信

    山下義信君 大体そうするとシーボルト局長の演説されましたように大部分は死亡したと推察されて間違いはないのですね。
  70. 木村忠二郎

    政府委員木村忠二郎君) 二十三万四千というものは向うから帰りました人、或いはその他の情報によりまして死亡したということが確実であるというふうに認められるのでございます。従いましてこの数字は死亡したということに相成つていいのではないかと思います。従いまして残りの十一万ばかりのものは名前はわかつてつてそうして死んだという証拠がなくて、生きておる証拠のほうが多数ありまして向うに残つておるということになるのでございます。
  71. 山下義信

    山下義信君 今おつしやいました或る時期において生存したと思われる七万七千、それから消息不明の二万八千、今御説明になりました約十一万に近いこの十一万の消息不明のかたがたは、大体において生存しておると思われる節々のほうが今強いのだとおつしやつたのでありますが、果してそうでございましようか。私この十万、十一万に近い人たちの、昭和二十四、五年以後でございますが、これらもかなり相当な死亡のかたがたがあるのじやないかということが想像されるのでありますが、却つて生存のほうの可能が強いのでございましようか。その辺は確たることもおわかりになつたそれぞれのあれもありましようか、大体においての推測はどういうふうに推測されますでしようか。
  72. 木村忠二郎

    政府委員木村忠二郎君) このうちで七万七千六百ばかりのものは生存しておる証拠が非常に強いものでございます。生存しておることがはつきりしておるものでございます。それから二万八千幾らというものは、生存しておるという証拠が極めて、全然ないと言いますか、わからないのでございます。つまり誰も見た人がないということでございまするから、わからないのでございます。それから大体二十三万死亡いたしておりまするけれども、これらの人々の死亡しました時期というものが、終戰直後、抑留された当初の間に死亡いたしておるものが大部分でございます。従いまして最近におきましては食糧の状況その他もよくなつて参つておりまするので、死亡する数というものはむしろ余りないのじやないかという推定がされるのでございます。これは全然わかませんけれども、明らかな情報が来ないのでわかりませんが、一応最近のいろいろな情勢からいたしますると、死亡しておるものは少いのじやないかというふうに考えられるわけであります。
  73. 山下義信

    山下義信君 もう一点済ましておいて御休憩を願いたいと思うのですが、私どもはいつも不幸な想像をするのでありますが、いろいろな病気その他で死亡せられたかたもおるのじやないかと思いましたが、なお七万前後のかたがたに生存の望みが強いことは非常に喜びに堪えぬわけであります。要するところが三十七万でありますから、三十万前後の人は亡くなり我々が引揚の対象として努力すべき未帰還者のかたがたは実に不幸でありますけれども、七万前後、七、八万であろうということが判然といたしたわけでございます。従つて従来未復員者、未復員者、引揚者引揚者と言つて、この引揚問題対象になりました三十七万と一口に言われておりましたこの対象は、大体において七万前後ということにまあ了承いたしたのでございますが、死亡確認のかたがたと、今回の遺族援護の対象はどういうことになりましようか。死亡確認をされたかたがたは、大体におきまして遺族援護のほうで御処理になるのでございましようか、如何でございましようか。
  74. 木村忠二郎

    政府委員木村忠二郎君) 二十三万と先ほど申しました数字は、死亡者といたしまして全部取扱つておりまするので、これにつきましてはこのうち軍人軍属は死亡者も戰歿者も同じ取扱いで以てこの法律の中の対象に出ておるわけであります。
  75. 松原一彦

    松原一彦君 ちよつと一つ関連して、先般の御説明の中に、ソ連とあるけれども、実はソ連内ではなくして中共満洲への移動が多数認められておるというお話があつた。今のところで移動したり中共満洲への移動と、それから実際にソ連領内に残つておるものとの推定数がわかりますか。
  76. 木村忠二郎

    政府委員木村忠二郎君) この移動につきましては、いろいろな情報を集めまして移動の調べはいたしておりまするけれども、一応シベリアから満洲のほうに連れて行つたり、又満洲のほうからシベリアに連れて行つたりしておりますので、その実際の数がどうなつているかということは、的確にはわからないのでありまして、情報は皆これを併せまして七万七千幾らになると、こういうことであります。
  77. 松原一彦

    松原一彦君 その七万七千というのは、そのうちですでに中共に来ているものが相当いるわけなんですね。
  78. 木村忠二郎

    政府委員木村忠二郎君) もともと満洲及び関東州におきまして抑留されましたものが五万三千九百というものがございますので、従いまして一方ソ連領内におりますものが七万七千八百と、こういうことになるのです。ただそれがその間にどういうふうに動いているかということは、満洲のほうのものもシベリアのほうのものもどういうふうに動いているかということはわからないのであります。
  79. 山下義信

    山下義信君 今後の引揚問題につきまして、当局といたしましてはどういうことに重点を置いておやりになりますという御計画でございましようか。つまり換言いたしますと、引揚問題の、これは誠にいろいろなことをお尋ねするようになりますが、今後の問題の推進といいますか、その扱いの上におきまして、引揚関係で重大な問題という点を一つ御指摘になつてお説明を願いたいと思います。
  80. 木村忠二郎

    政府委員木村忠二郎君) 何を申しましても引揚げ問題といたしましては、現在向うに残つておりまするものを、こちらに引揚させるということが一番大事なことでございます。我々といたしましてはこの引揚ができるだけ促進されように国内の態勢を固くいたしたいと考えております。従いましてこの引揚げのために一応船を一艘留めてありまして、いつもこれは引揚げができるというならば出せるように準備いたしておりまするし、帰りました場合の措置等につきましても、今おりまするものが帰つて参りまして差支えないように準備をいたしているわけでございます。なお、そのほかに集団的に引揚げて参りまするもの以外の個別的に引揚げて参りまするものに対しましても、若しその引揚げをいたしますることが確実でありまするならば、これに対しまする特別に輸送費が出ないためのみによつて帰れないというもののために、これを支弁する方法を講ずることにいたしまして、これにつきましての措置もとつたような次第でありまして、今後我々といたしましてはできるだく早く帰つて来るようにしなければならんというふうに考えております。なお、向うに生存しておりまするもの、それから生死不明の状況というものも、できるだけ的確な資料で以てそれをはつきりさせるように努力しなければならない。現在復員局でやつておりまする仕事のうちで極めて大きな部分が、向うに残留いたしておりますものの消息を明らかにするということに努力をいたしているのであります。これにつきましては向うから帰還いたしました人、或いは向うからの通信、その他をできるだけたくさん入手いたしまして、そうしてこれを審査いたしまして、向うの消息をはつきりさせるということをいたしているのであります。先般新聞等に出ましたところの衣部隊の問題につきまして、こちらで以て資料を集めまして調査をいたしておりますることが間違つて新聞等に出たということでございまして、ああいうようなことは常に人を集めまして検討をいたしている。いろいろ話をつき合わせまして、そうしてなお確実にするということに努力をいたしております。    〔委員長退席、理事長島銀藏委員長席に著く〕
  81. 山下義信

    山下義信君 この引揚者のかたがたが残された海外財産の問題については、今当参議院におきましても大藏委員会等で取上げてやつておられるとかいうことを昨日聞いたのでありますが、この問題は引揚援護庁のあなたのほうでは御関係はございませんか。
  82. 木村忠二郎

    政府委員木村忠二郎君) この仕事は大蔵省のほうで措置いたしておりまして、私どものほうでは直接にはいたしておりません。
  83. 山下義信

    山下義信君 未復員者の方々の処遇につきましての、いわゆる未復員者給與法、特別未帰還者同様のその関係等につきまして、改善とか、その留守宅の援護とかいうような点につきまして何か御計画がございましようか。
  84. 木村忠二郎

    政府委員木村忠二郎君) 未復員者給與法並びに特別未帰還者給與法というものの性格等から考えまして、これらの改善の必要があるというふうに考えて検討いたしておるのでございまするが、本年度予算におきましては、我我のほうで改善いたしたいと思つておりまする分が、改善するだけの予算を認められませんでしたので、一応現在のところでは従前の通りの形で以て進んでおります。我々といたしましては、この予算が認められなかつたことにつきまして誠に遺憾に存ずる次第でございます。
  85. 山下義信

    山下義信君 私は一応質疑をこの程度にしておきますが、この中共地区からの送金の問題でありますが、東京都内にこの連絡の中国友好協会、或いはその他の連絡先があるようなふうでありますが、今の長官の御説明を聞きましても外務省の所管のようでありますので、是非外務当局からこれらの関係、この引揚関係についての外務省のいろいろ努力されておりまする現状、例えば中共からのこの送金の問題も、或いは看護婦の三百有余名が帰れそうだとか、それらの連絡が付いたとかいうことにつきましても、一部の新聞では非常にそのことが正確であるということを外務省の上田課長が言つておる。又同じ一流の新聞ですが、又一つ新聞ではこれは全然宣伝的な、中共側の宣伝的になされた……。その金の来たことは事実だが、その引揚についていろいろ有望だというふうに見せかけておるのは中共側の宣伝であるという、同じ上田課長の談で非常に力になるようなことを言うかと思うと、当てにもならんということを同課長の談として朝日、毎日、読売三紙の間で違う。我々の受取ります感覚が違うような記事が載つておるわけであります。関連いたしまして是非これは外務省の当局の出席を待つて我々聞きたいと思いますので、委員長において外務当局出席を本日でなくてもよろしうございますから、次回でよろしうございますからお願いしたいと思います。これはお願いしておきます。
  86. 長島銀藏

    理事長島銀藏君) 承知いたしました。
  87. 山下義信

    山下義信君 それからいま一つ簡單に承わつておきたいのは、前回も長官に伺つたのでありますが、最近この外地の遺骨引揚の問題をめぐりましてさまざまな各種の問題の動きがあつたり、又地方は地方々々として小さいながらにいろいろな遺骨引取り運動というのが、図書館で見ますと、各種の地方の新聞に随所にそういう目的の運動が起され、団体ができて、いろいろやつておるようであります。私は前回も切言いたしたのでありますが、こういうことを民間が時の話題といいますか、時の題目としていろいろそれをめぐりまして、一つには言葉は惡うございますけれども、それが何か私は売名的なものになりましたり、いろいろ遺族を食いものにするという形にならんことを切に念願して止まないことでありますが、政府のほうにおきましては、この遺骨関係につきましてのいろいろ御盡力につきましてお進めになりましたでございましようか。お考えは如何でございましようか。たびたび承わるようでございますが、相当日にちもたつておりますので、最近の政府の御方針を承わりたいと思うのでございます。
  88. 木村忠二郎

    政府委員木村忠二郎君) 硫黄島につきましては御承知通り大体その状況がはつきりいたしましたので、これに対しまする具体的な方策を検討いたしまして、これに必要なる諸経費等についても只今検討をいたしておるわけでございます。方法その他今後の方針等を検討いたしております。近くこれは決定いたすつもりであります。なお、沖繩には先般復員局から係官を派遣いたしまして沖繩の実情を調査いたしております。沖繩からの情報によりますければ、おおむね遺骨の処理は終つておるというような情報でございまして、ただそれがどういうふうに実際なつておるのか、これについてどういう対策をとつたらいいのかという点につきまして検討しなければならんと思つておるのでございますので、沖繩の調査団が帰りました上で、沖繩のような情勢にあるものはどうするか、硫黄島のような情勢にあるものはどうするかという方針を立てまして、至急に処置いたすようにいたしたいと考えております。これにつきましては我々といたしましては、できるだけ早い機会にはつきりいたしましたものにつきまして措置をするようにいたしたい。天下に余り迷いを起さないようにいたしたいと思つております。なおその他の太平洋地域の諸島につきましても、米軍の占領いたしておりまする地域等につきましては、米軍のほうも日本政府が方針を立てれば、これに十分協力するにやぶさかでないというふうに申出ておりますので、これにつきましても今後できるだけ早い機会に施策を立てなければならんと思いますが、各地の占領の状況というものを明確にいたした上でありませんと、実際の計画も立ちませんので、又向うからの情報も得なければならんということでありますので、それらにつきましても併せて今検討いたしておるところであります。
  89. 山下義信

    山下義信君 南方のほうへも、一応あなたのほうのお役所から調査に出される計画がございましようか。
  90. 木村忠二郎

    政府委員木村忠二郎君) 硫黄島とか沖繩でございますと、向うで調査をいたしまする便宜がございますのでございますが、その他の島におきましては、向うで調査する便宜がございませんので、若し調査団を派遣いたしますといたしましても、周到なる計画を立てて参りませんと、その調査団そのものが向うで調査ができるかどうかという点も問題なんであります。従いまして先方にどういう戰闘でどこにおいて死歿が多かつたか、それがどうなつておるかということを十分調べました上で、なおその土地の状況等を調査いたした上でないと、計画も立たないという状況でございます。
  91. 山下義信

    山下義信君 私はこれで終りますが、私は昨日朝日新聞社の重要幹部の人と会います機会がございまして、そのときにこの問題が出まして、長官御承知の日赤並びに宗教連盟等でいろいろ計画を立てられました。その中心には朝日新聞も御関係のようであるわけで、非常に熱願をしておられたようでございますが、こういうような確たる立派な一流の公共的な団体等が進んでこれらにつきまして努力いたしたいということにつきましては、これは私どもできるだけ当局御援助に相成りまして、民間は又民間でも立派な民間の団体が協力いたしますることもこれも考えていいのじやないかという気持がいたすので、朝日新聞などは非常にそういう点を熱望しておつたようなふうでございますが、当局はどういうふうにお考え相成りますでしようか。
  92. 木村忠二郎

    政府委員木村忠二郎君) 当局といたしましては、この事柄につきましては、一応遺骨その他の処理につきまして政府として、戰前においてやつておりました程度のことはどうしてもしなければならんのじやないか、戰争中においてやつておりましたようなことはしなければならんのじやないかというふうに考えております。従いましてそのつもりで以て一応の施策を進めて参りたいと思つております。これに対しまする民間側の協力の運動と申しまするか、民間側獨自の運動というものにつきましては、これが不純な動機から出たり、或いは弱小なものがたくさん出まして、実効が挙らなかつたりするようなことは、甚だ却つて英霊を冒涜することと考えまするので、我々としましては、必ず確実なところで、成るべくならば全国一本の運動となつて伸びて参りますることを希望いたしております。従いまして我々といたしましてはそういうような強固な基礎のあります、而も全国のものが一本に集まつておるというようなことに相成りますることを期待いたしておるわけであります。   —————————————
  93. 藤森眞治

    藤森眞治君 実は国立病院の問題も大分進んでおられるようで、これについて前に一回皆さんから実情調査に行くという御承認をしてもらつてつたのですけれども、経費の関係その他で延びておりましたので、年度が変りましたら至急調査したいと思いますので、この派遣議員の点とか、或いはその手続その他全部委員長にお任せいたしますから、然るべく御手配願いたいということのもう一応御承認、御賛同を得たいと思います。
  94. 長島銀藏

    理事長島銀藏君) 只今藤森委員から国立病院の視察の件を年度変りによつてやりたいという御動議が出ましたが、委員長藤森委員長の間によく打合せをいたしましてこれは決定するということにいたしたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  95. 長島銀藏

    理事長島銀藏君) それでは御異議ないと認めます。さように取計らうようにいたします。
  96. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 ちよつと関連して……。先ほどから伺いたいと思つておりましたが、この間から国立病院に入院しております結核患者、その他の在宅患者から手紙が参ります。それは前々から問題になつておりました身体障害者福祉法の中に胸部疾患が入らないので、あれは身体障害者福祉法制定の当時から問題になつておりました。ところが又この頃は今度の遺族、傷痍援護で以て自体障害者の人たちの特項症から六項症までは手当が出ることになりましたが、この胸部疾患の人たちは一体どうなるだろうか。政府はこういうものを見逃がしておられるのだろうか、どういう対策をお立てになるのだろうかという質問がたびたび参ります。それについては結核予防法であるとか、身体障害者福祉法で救われると政府思つておられるのでございますか、ちよつとお伺いいたしたい。
  97. 木村忠二郎

    政府委員木村忠二郎君) 胸部疾患を今度の遺族援護措置法では特に除外しておりません。特項症から六項症の間の胸部疾患のかたで該当いたしております人は当然その中に入ると思います。胸部疾患によりますそういうような特項症から六項症までの人は当然入ると考えております。なお更生医療につきましてはこれは私どものほうの所管ではありませんで社会局のほうの所管でございますが、これは更生医療という何と申しますか、そういう事柄の内容からいたしまして胸部疾患につきまして更生医療ということが極めて困難であるということから一応省いておる。單なる医療の問題でございますと、医療の給付ということになりますれば、これは話は別でございますが、一応更生医療というふうに限定いたしますと、その内容が狭くなつて来るということは、これは仕方がないのじやないかと思います。これにつきましては我々当局におきましては更生医療のみが認められたというようなことから、そういう措置をとつたのでありますので、御了承願いたいと存じます。
  98. 松原一彦

    松原一彦君 それに私は関連しているのですが、例の特例患者ですね、一応復員した患者、而も病気が治らずして療養所にとどまつておるものが五百六十人ばかりある。これに対する措置が実は闇の措置になつておる。それが三月三十一日で打切られるということに対しての、今井上委員の言われたこともそこにあると思いますが、未復員患者のはそれは当然三カ年の延長が認められるのですが、すでに復員したものの長期の結核患者に対する措置は今度の政府提案の臨時援護措置の原案の中には入つておらない。内臓疾患に関してはただ脊髄だけが入つてつて、負傷疾病に対する手当に対しましては落ちておるように思うのですが、何とかこれは修正でもして、あの五百六十余名の特例患者と称する、この名前もすでに闇の名前であろうと思いますけれども、これも明るく六項症の患者の再発とでもして救済する途をおとりになる御用意がないかということを私はお伺いいたします。
  99. 木村忠二郎

    政府委員木村忠二郎君) いわゆる特例患者につきましては、一応未復員者給與法というものができました。然るに以前に起りました事態に対する救済ということといたしておるのでございます。従いまして今後の問題といたしましては我々この治療をそのまま続けるというためには、他の法律との調整が必要なんじやないかというふうに考えられます。これにつきましては一応只今のところでは、成るべく続くように私どもといたしましては措置いたしたいというように考えておるのでありますので、その線に副いますように御審議を願いたいと思つております。
  100. 松原一彦

    松原一彦君 それを審議いたしますのには、今度出ております援護措置に関するあの法案の疾病とあるところに、脊髄の障害だけが内臓疾患の中に入つてつて、軍時代から引続いての長期結核というものはあの中に入つていない。あの中に一項目を挿入してあの人たちも六項症の患者としてこれが救済せられるような項目を挿入して修正せられるならば、私は救われると思うのです。五百六十名ばかりの人でありますから僅か三、四千万円の金でこれはきれいに救われると思うのでありますが……。もう急がんと間に合わない。
  101. 木村忠二郎

    政府委員木村忠二郎君) あの規定は更生医療の規定でございまして、一般医療の規定でないのでございます。従いまして更生医療の規定の中に一般医療の規定を含めるようなふうな改正の仕方ではちよつと困難じやないかと思います。若しやるためには、今の五百六十名おりまするものにつきましてこれを措置するということにいたしまするならば、これにつきましては他の方法で以てできるのじやなかろうかというふうに私は考えております。
  102. 松原一彦

    松原一彦君 他の方法の御腹案があつたら承わりたい。そうすると予算の面においても別途の枠から出なくちやならんということになる。若し今度の更生医療を行うというあの枠の中に入れさえすれば、若干のオーバーするものがあつても、あとで補正がきく。予算措置の上においても他の方法をとるということになれば、單独立法するか何かで非常に面倒なことになりやせんだろうか。腹案があつたらお聞きしたい。
  103. 木村忠二郎

    政府委員木村忠二郎君) 現在やつておりますのは未復員者給與法によつてつておるわけであります。従いまして未復員者給與法におきましては従来の恩給を受けておりますものにつきまして併せてやつておるという形をとつております。今度年金が障害年金として非常に殖えて参りますと、障害年金をまだ受けないで療養いたしておりますものとの均衡が相当問題になるのじやないかというふうに考えております。従いまして障害年金の点をどうするか、或いは恩給をどうするかという点を併せて考えませんと、この問題の解決はなかなか付かんのじやないか。従いましてそういうような趣旨で以て私どもとしましては未復員者給與法のほうでこれを継続するということはできんことはなかろうと思つております。
  104. 松原一彦

    松原一彦君 未復員者給與法に引戻してくれろというのがこの五百六十人の切なる希望なんです。僅か三百円か五百円の金をもらつて復員して一般人としての待遇を受けている。併し実際は身分上は、病人としての立場から言うと継続してずつとおるので、もう一遍未復員に戻してくれろという切望がたくさん参つておるけれども、これは復員したのをもう一遍戻そうと言つても、すでに軍人はないのですから私は取扱上無理じやないか。若し未復員同様にこの人々の病気が治らん間は大蔵省においてもこれを認めるというようなことにさえすれば……。私は療養をそのまま続け得るように何かの手がとれんであろうかと思うのですが、どうなんですか。
  105. 木村忠二郎

    政府委員木村忠二郎君) 私のほうも未復員者給與法に基かすようにいたしたいと、現在未復員者給與法でやつておるのでありますから、これをそのまま続けるようにいたしたいと考えておるのであります。ただ未復員者給與法におきましては、他の年金手当というようなものを受けておりますと、これを停止することになつております。従いまして他の年金手当を受けないようにする方法を考える以外にはないのじやないかというふうに考えております。
  106. 松原一彦

    松原一彦君 できますか。
  107. 木村忠二郎

    政府委員木村忠二郎君) まあやり方によりましてできるのじやなかろうかと考えております。
  108. 松原一彦

    松原一彦君 これは非常に急を要する問題で、もうすでに数日の後に迫つておるのですが、この人々の焦りが非常に強い。私はもう一遍戻してくれろと言つてもそれは不可能じやないかと思いますが、六項症として現に未復員として病院におる人々を、むしろ六項症の患者にして一遍傷痍手当及び年金を付けて、それを一括して取扱う方法は付かんだろうか。單なる病院の入院料だけでは、この人たちの入院料の免除だけではこの人たちは手紙を出す余裕もないような窮乏に陷つておる。その点について何かもう少しいい御考慮はないでしようか。何しろ六年間も未復員者なんということがあるはずがない、今日は軍人はない……。
  109. 木村忠二郎

    政府委員木村忠二郎君) 現在未復員者給與法によりまして治療を受けておりますものはまだ相当あるわけでございまして……。
  110. 松原一彦

    松原一彦君 五千人か……。
  111. 木村忠二郎

    政府委員木村忠二郎君) 従いましてこの五百六十人の人を救済するためには、未復員者給與法で行くほうが予算的に見ましてもやはり最もいいのではないかと思つております。厚生省のほうにおきましては厚生医療という建前予算を取つておるのでございますので、従いましてこれは一般の結核の長期療養というものに使いまするためには、現在の金額では甚だしく不足すると申しますか、問題にならない。不足いたしますし、更にその他のものが結核の再発等の場合はどうするかという問題も出て来るわけであります。これらの点を併せて考えなければなりませんので、現在予算建前から困難である。我々といたしましては、そういうような再発の場合の医療給付ということは必要だと思つております。ただ現在までとつておりまする建前からなかなか困難ではないか、従いまして未復員者給與法のほうでやれるようにするという方法を講ずるのが、この際は一番簡單なんじやないかと思うのであります。
  112. 松原一彦

    松原一彦君 それはもう何でも、山下氏の言われる通り何でもできたらいいのですが、もうすでに数日の後に迫つているのですが、あなたはその五百六十人の人々が今後このまま病院で継続してやれるだけの責任をお持ち頂けましようか。
  113. 木村忠二郎

    政府委員木村忠二郎君) そういうように努力いたしておるのでございます。
  114. 松原一彦

    松原一彦君 お願いいたします。
  115. 長島銀藏

    理事長島銀藏君) それじや散会いたします。    午後零時十二分散会