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1952-03-13 第13回国会 参議院 厚生委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年三月十三日(木曜日)    午後一時四十五分開会   —————————————   委員の異動 二月二十八日委員森崎隆君辞任につ き、その補欠として藤原道子君を議長 において指名した。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     梅津 錦一君    委員            中山 壽彦君            常岡 一郎君            藤森 眞治君            藤原 道子君            堂森 芳夫君            山下 義信君            谷口弥三郎君            松原 一彦君   国務大臣    労 働 大 臣    厚 生 大 臣 吉武 惠市君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○小委員補欠選任の件 ○ポツダム宣言受諾に伴い発する命  令に関する件に基く厚生省関係諸命  令の措置に関する法律案(内閣送  付) ○小委員長報告戰争犠牲者援護等に関する請願(第  一五九号) ○戰争犠牲者遺族援護強化に関する  請願(第一六七号)(第一七〇号)  (第三九八号)(第四六一号) ○戰争犠牲者遺族等援護強化に関す  る陳情(第八九号) ○戰争犠牲者遺族援護強化に関する  陳情(第一一〇号)(第二一七号) ○戰争犠牲者国家補償法制定に関する  請願(第一五八号)(第二六四号)  (第二八〇号)(第三一一号)(第  三一二号)(第三一三号)(第四七  四号) ○戰争犠牲者国家補償法制定に関する  陳情(第四号)(第二七号)(第三  三号)(第四〇号)(第五八号)  (第七一号)(第八八号)(第一〇  八号)(第一〇九号)(第一一三  号)(第一九三号)(第二一二号) ○戰争犠牲者国家補償法制定等に関す  る請願(第二六三号) ○戰争犠牲者遺族国家補償に関する請  願(第三八〇号) ○戰争犠牲者遺族国家補償に関する  陳情(第五七号)(第七〇号)(第  七九号)(第九〇号)(第一一一  号)(第一一二号)(第一三六号)  (第一四五号) ○戰傷病者国家補償に関する請願  (第四九四号) ○戰ぼつ者慰霊祭参加に関する請願  (第四一一号) ○身体傷害者福祉法中一部改正に関す  る請願(第三九七号) ○戰争犠牲者遺族および戰傷病者の補  償に関する陳情(第三二号) ○母子福祉法制定に関する請願(第一  六五号)(第二二五号)(第三三一  号)(第三三二号)(第三三三号)  (第三三四号)(第三三五号)(第  三五五号)(第四九八号)(第五〇  二号)(第五〇三号)(第五〇四  号) ○母子福祉法制定に関する陳情(第一  五九号) ○請願及び陳情の取扱いに関する件 ○派遣議員報告   —————————————
  2. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) これから厚生委員会を開きます。  遺族援護に関する小委員の欠員がございまするので、藤原道子君の後任として藤森眞治君を選任いたします。如何でございますか、異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) さよう決定いたします。   —————————————
  4. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) 次にポツダム宣言受諾に伴い発する命令に関する件に基く厚生省関係命令措置に関する法律案議題といたします。政府提案理由説明を求めます。
  5. 吉武恵市

    国務大臣吉武惠市君) 只今議題となりましたポツダム宣言受諾に伴い発する命令に関する件に基く厚生省関係命令措置に関する法律案について提案理由を御説明申上げます。  日本国との平和條約の効力が発生いたしました場合、昭和二十年制定勅令第五百四十二号「ポツダム宣言受諾に伴い発する命令に関する件」に基いて制定されました諸命令について、然るべき改廃等措置を講ずる必要があるのでありまするが、厚生省関係のこれらの命令としましては、引揚援護庁設置令有毒飲食物等取締令陸軍刑法を廃止する等の政令第七條、死産届出に関する規程伝染病届出規則及び引揚者秩序保持に関する政令があるのでありますが、これらのうち最後のものを除く五命令は、日本国との平和條約の効力が発生いたしました後におきましても、法律としての効力を持たせる必要がありますので、ここに法律としての効力を有するものとして存続することとしたのであります。但しこれらのうち、引揚援護庁設置令及び死産届出に関する規程につきましては、字句等について所要の改正を行う二とにいたしまして、又引揚者秩序保持に関する政令は、制定当初の目的をほぼ達成いたしまして、将来法律としての効力を持たせ存続させる必要がなくなりましたので、この際これを廃止することといたした次第であります。  以上がこの法律案を提出いたしました理由の大要でございますが、何とぞ愼重御審議の上、速かに可決あらんことをお願い申上げる次第でございます。
  6. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) 本日は政府提案理由説明をお聞きしました程度で、法案の内容については、或いは質問応答に対しては次会に譲りたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) では、さよう決定いたします   —————————————
  8. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) 次に遺族援護に関する小委員長の御報告がありまするので、御報告をして頂きたいと思います。
  9. 山下義信

    山下義信君 遺族援護に関する小委員会におきまして審査いたしました請願陳情につきましてその審議並びに結果を御報告申上げます。  二月七日、十一日の両日に小委員会に付託いたされましたものは、請願二十九件、陳情二十五件でありまして、種類別に申上げますと、請願百五十九号、戰争犠牲者援護に関する請願請願百六十七号、百七十号、三百九十八号、四百六十一号、陳情八十九号、百十号、二百十七号。戰争犠牲者遺族援護強化に関する請願及び陳情七件、請願百五十八号、二百六十四号、二百八十号、二百十一号、三百十二号、三百十三号、四百七十四号、陳情四号、二十七号、三十三号、四十号、五十八号、七十一号、八十八号、百八号、百九号、百十三号、百九十三号、二百十二号。戰争犠牲者国家補償法制定に関する請願及び陳情十九件、請願二百六十三号、戰争犠牲者国家補償法制定等に関する請願請願三百八十号、陳情五十七号、七十号、七十九号、九十号、百十一号、百十二号、百三十六号、百四十五号。戰争犠牲者遺族国家補償に関する請願及び陳情九件、請願四百九十四号、戰傷病者国家補償に関する請願請願四百十一号、戰ぼつ者慰霊祭参加に関する請願請願三百九十七号、身体障害者福祉法中一部改正に関する請願陳情三十二号、戰争犠牲者遺族および戰傷病者補償に関する陳情。以上が戰傷病者及び戰歿者遺族援護関係のものであります。  次は、請願百六十五号、二百二十五号、三百三十一号、三百三十二号、三百三十三号、三百三十四号、三百三十五号、三百五十五号、四百九十八号、五百二号、五百三号、五百四号、陳情百五十九号、母子福祉法制定に関する請願及び陳情十三件であります。  以上申上げました請願陳情は三月十日の小委員会におきまして審議いたしたのでありますが、政府からは、社会局更生課長兒童局企画課長引揚援護庁総務課長より説明を求め、愼重審議を重ねました結果、小委員会といたしましては、いずれも願意の内容は妥当なものと認め、議院の会議に付して内閣に送付を要すべきものと決定いたしました次第であります。  以上簡單でありますが、御報告申上げます。
  10. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) 小委員長報告通り決定することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) では決定いたします。   —————————————
  12. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) 次に、医療に関する小委員会に付託する請願陳情がございますので付託したいと思います。申上げます。請願三十号から九百六十五号までの間の九十九件、陳情三十号から四百八十二号に至るまでの間二十件。次に遺族援護に関する小委員会に付託する請願陳情でございますが、請願五百二十二号から八百六十五号に至るまでの間の二十五件、陳情二百四十二号から四百七十二号に至る間の二十六件。次に、癩に関する小委員会に付託する請願並びに陳情請願五百六十一号、六百二十四号、次に保険経済に関する小委員会に付託する請願並びに陳情請願三十四号から五百八十五号に至る間の八件、陳情百八十一号から二百二十八号に至る間の五件でございます。以上小委員会に付託することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり)
  13. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) さよう決定いたします。   —————————————
  14. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) 先般議員派遣がありまして、調査に赴いたわけでありますが、その調査報告を頂きたいと思います。それでは第二班の御報告をお願いします。藤森眞治さん。
  15. 藤森眞治

    藤森眞治君 第二班の香川愛媛徳島三県の視察報告を申上げます。一月十日から八日香川愛媛徳島三県の厚生行政視察をいたしましたので、その報告をいたします。  一行梅津委員長と私と、そのほかに草間專門員森法制局参事の四人でありました。香川愛媛徳島三県における衛生状況は、終戰以来年々改善整備されて参り、最近では乳幼児死亡率減少伝染病蔓延の減退、結核死亡率の低下、国民体力増進等に対し著るしい効果を示して来ておることは、他の府県傾向と多少の差はあつても、同一傾向を示して来ております。殊に愛媛県では、久松知事就任以来厚生行政には特に力を注いで、県職員に対しても四S運動言つて、サービス、セービング、スピード、スタデイをモツトーとして県政の強化を図つておられました。結核対策については、三県とも著るしい改善を見つつありまして、愛媛県では昭和二十二年死亡率一八・〇が二十六年には一〇・四に下降、徳島県では二〇・〇が二十五年に一六・二となつております。併し、いずれの県も療養所収容力が少く、多数の入所待期患者を擁して収容力の増強に努力しておりますので、この点に対しては国庫補助等十分考慮をする必要があります。なお、愛媛県では、県立結核療養所百五十床を二十七年度に設置する計画をいたしておりました。特に愛媛県は健康診断予防接種普及に力を注いでおりました。徳島県では四百人の結核指定医設置して患者指尋予防に盡しております。  癩予防については、四国地方癩患者巡礼地として多数の患者が集まりましたが、近来はその跡を絶つたもののごとくでありますが、自宅療養患者が各県とも三十名内外存在しております。これが隔離収容には種々の事情相当困難を示しておりますが、これに対しては、予防法改正により、強制收容強化患者家族扶助、子女の育英等考慮する必要があるとの要望があります。国立癩療養所大島青松園(六百五十九床)を実地視察しましたが、昨年度百床増設計画が完了し、所内も整備改善せられましたが、職員待遇改善について特に要望がありました。所長野島博士のもとに職員皆熱心に患者療養、癩の予防に努力しておりました。  性病予防については、患者実数把握に特に困難しておりました。旧予防法による検ばい制度が何らかの方法において実質的に行われれば効果は著るしく上るもののように思われました。妊婦に対する血液検査性病に対する一般民予防施策としていずれの県でも力を入れておりました。併し男子に対する往年の徴兵検査時の性病検査的の一般性のものが行われ難いのは遺憾であります。併しペニシリン等薬品治療一般普及されておるため、患者はむしろ減少しておるやに推測されます。  急性伝染病は、いずれの県も終戰直後激しい流行を見ましたが、二十三年頃より著るしく減少を見ました。この間における予防措置は各県とも強力に行われ、赤痢腸チブス等は過去において見ることのできない低率を示しました。併し最近二、三の赤痢集団発生を見ておりますが、これに対しても県当局は適切な措置を講じております。チブス予防接種も強力に行われております。徳島県では伝染病院隔離病舎整備統合を行なつて市町村病舎を廃止して、公的病院に併設して行く五カ年計画を定め実施中であります。  保健所については三県とも大体基準通り普及を見て参りましたが、内容においては更に一層充実を緊要と考えられるものが少くない。保健所業務が広汎であり、第一線衛生指導機関であるから、実際指導に従事し得るだけの人員と内容充実が必要と思われます。殊に農村等は自転車、オートバイ等交通力を高めることが必要であります。  病院診療所整備も次第に進んでおりますが、日本医療団解散に伴う清算剰余金国庫に帰属することになつていますが、医療団から移管された県立病院施設は腐朽、荒廃甚だしく、これが改善には容易でなく、財政的にも困難であるから、解散に伴う清算剰余金は不完全な医療施設改善整備に充当し得るように法的措置を講ぜられたいとの要望がありました。なお病院保健所等医師職員待遇改善考慮せられ、補充に悩む状況を緩和せられたいとの要請がありました。愛媛、高知をはじめ四国一帶は昭和二十一年の南海地震発生以後地盤変動を来たし、沿岸各市町村にある井戸には海水の侵入を見、又山地部井戸は涸渇して全く飲用不能となり、住民は数町の遠距離より水を運搬する等、飲料水には頗る困難を感じておる状態には、愛媛県においては被害町村百九、人口は二十二万七千人に達しております。これに対し上水道地盤変動復旧事業として昭和二十五年度において事業費九千六百万円、内国庫補助四千八百万円、昭和二十六年度には一億一万六百万円を以て上水道事業をなし、応急の救済を受けたのであるが、今後これが完成にはなお二億八千万円を要する状況で、一行北條町の実情調査しましたが、目下の飲料用水は塩辛くて飲めないので地下水による水道完成を急いでおる状況でございました。  徳島香川被害相当ありまして、徳島でも地盤対策として一億四千八百万円を以て鳴門市、小松島市等の水道完成を急いでおります。本事業の起債が都市に限られた関係上、町村における事業実施に多大の支障を来たしております。なお簡易水道助成等もこの地方に対しては特に考慮を拂う必要があると思われます。下水道につきましても地盤沈下が継続せられ、海岸線においては甚だしく、百センチくらいの所もあり、等量の潮位の上昇を見るに至つております。従つて北條町等では雨水は満潮時市の区域内に氾濫停滯して干潮時まで施すべき方法がないのであります。このために交通も杜絶し、家屋の浸水が甚だしく惨状言語に絶するものがあるのであります。愛媛県におきましては二万戸、十五万人に達しております。これがために雨水緊急排水排水路築造等を必要とするのであります。これに対して六億の予算を要するので国庫補助を強く要望しております。なおこれに関連しまして水道條例及び下水道法緊急改正を行い、衛生的維持管理が強力に且つ適切に遂行できるようにとの要望がございました。なお工場等の廃水による飮料水汚濁防止法制定も合せて要望されております。  右のような実情を見て参りますと、上水道普及助成については再検討を要する点も多々あるかと存じますので、早速当委員会においてもこれを取上げてはどうかという印象を受けて参りました次第でございます。  社会保險につきましては、今日では一般にその趣旨も理解せられ、年々利用の度も著るしく増加しております。愛媛県では県民の四割は社会保險利用しております。  健康保險につきましても一般普及せられ、被保險者数香川県が三万人余、愛媛県は九万人、徳島県は二万人余りでありますから、家族を合せますと相当数に達します。保險料徴收も十二月現在で八割前後となつておりまするから、三月までには九割六、七分には達する見込みでございます。併し現在の経済状態から見ますると、今後の徴收にはかなりの困難があるのではないかと見て、一層の事業主の理解と協力を要請しておるような実情でございます。徳島県では健康保險関係結核患者受診件数の二割六分以上に達し、既存の医療設備だけでは十分ではないので、本年度以降三カ年に二百床を国費を以て鳴門市に設置することになつて目下着々工事中でございます。なお健康保險保養所設置計画されております。高松市にも一個所設置せられ、被保險者福利厚生に資せられております。保險給付單価の値上げも止むを得ないとの見解をとつておりますが、政府補助金交付を強く要望しておりました。  国民健康保險終戰と共に思想、経済の混乱によつて基礎に動揺を来たし、殆んど二、三割を残して休止又は不振に陷つたのでありますが、爾来再建に努力されて来ております。徳島県では全市町村の二八%、二十九万六千人が実施されております。愛媛県でも約三割五分は活撥実施されております。保險料も一人当り愛媛県では二百三十八円となつております。徴收も税によるものが次第に増加して四割強に達しております。税による方法に対しても相当批判が行われておるのであります。国民健康保險事業としてよく行われておりましたのは、愛媛県の五明村の事業でございます。被保險者が千二百余の山村で、松山から五里くらいの所にありますが、保險料徴收も各区において毎月責任を以て收納しております。医師は一名、半公半私で、村としては米三石を一年に提供し、そうして指導医手当として月四千円と、それに住宅を支給しておりますような状況でございました。保險経済は若干の赤字でございましたが、村民健康指導等もよく行われて、少なからず村民に喜ばれておる状況でございました。国民保險組合直営診療所も各県漸次増加して参つておりますが、これが設置に対しては十分衛生部と事前に話合いが行われることが要望されておりました。  民生関係におきましては、三県とも新らしい社会諸立法の実施に伴い、その線に沿つてそれぞれの施設拡充に努めております。現在までのところ各施設とも一応の態勢を整えたようでありますが、内容整備等はむしろこれからという状態にあります。愛媛県では特に社会課から福祉課を新設して身体障害者福祉更生引揚者遺族等援護に関する事務を行なつております。ほかの府県で余り見ない事例でありますが、知事が厚生問題に特に力を入れておられました。  生活保護法については医療扶助がどこでも年々増加の傾向にありまして、特に医療費は激増しておりますので、医療の適正な実施指導しております。保護施設として特に注目されましたのは、養老院のごとき施設一般の関心を深め、これが利用希望者も少くなく、香川愛媛等においても相当よい施設を持つております。然し收容力が少いので、今後この方面に力を入れる必要があると思います。授産場もよく利用されておりまして、一部就労者には授産場で働き、勤労により生活の安定ができた世帶も少くないとのことであります。  兒童福祉関係では各県とも保育所が著るしく普及されて来て、その内容についても保姆の訓練、職員兒童委員等講習会を行なつて運営に遺憾なきようにいたしておるところもありました。肢体不自由兒巡回検診を行なつて効果を挙げておる所もありました。徳島県では特に婦人兒童課を設け、兒童問題のほかに婦人問題をも取扱つておりました。兒童福祉施設整備拡充についてはいずれの県も目立つて力を入れておりましたが、保育所兒童厚生施設に対して市町村から助成金要望しておりました。そのほか地方要望の主なものを申上げますと、生活保護費地方費負担を軽減してもらいたいとのことであります。昨年までは国費八割、県費一割、市町村一割であつたが、その後の負担区分変更で、国費八割、県又は市費二割となつたが、地方自治の育成の上から見ても、九割を国庫負担とされるようにされたいとのことでありました。生活保護行政に要する人件費国庫補助金交付でありますが、現在事務費は二分の一国庫補助交付されておりますが、人件費についても二分の一の補助交付されたいとのことであります。即ち福祉事務所で現業に従事する社会福祉主事設置費平衡交付金に含まれて交付せられていることになつているが、これは事務費同様二分の一の国庫補助金交付せられたいとのことであります。愛媛県ではそのほか兒童福祉関係職員の増員を要望しておりました。即ち兒童福祉司は特殊な技術を有するものであつて兒童相談所とは車の両輪のごとく表裏一体の関係があり、青少年の不良化と犯罪とが年々増加し、惡質化の一途を辿つておる現状であるから、この際積極的に福祉司制度強化せられたいとのことであります。  なお町村協力費補助でありますが、生活保護実施の現在の状況では、法的にも町村長に対し相当範囲協力を求めているので、これに対し県において実費程度協力費補償する必要があると思慮されるが、現在の地方財源では困難であるから、国はこの経費に対し相当考慮せられたいとの要望がありました。又遺族、傷痍軍人、未復員者、未帰還者及びその留守宅家族に対する国の援護対策は殆んど見るべきものがないので、これらに対する援護法の急速な実現を期せられたいとのことであります。  又、国民健康保險事業の危機に対処し、再建方策として保險料率の引上げ、滯納整理等、万全の策に努力して来たが、到底これが難局打開はできないので、再建整備費として国庫金の貸付け又は交付方策を講ぜられるよう願いたいとのことであります。  以上簡單報告いたします。
  16. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) 次に第一班の報告を願います。
  17. 藤原道子

    藤原道子君 第一班の御報告を申上げます。  第一班は、一月十四日より二十日に亘つて茨城、宮城、福島三県の厚生行政の実際を視察参つたのであります。松原議員井上議員と私と三名で、外に事務局側から新田調査員の四名でした。日程の時間の都合上県庁におきましては、厚生行政の全般について説明を聞く余裕を持たなかつたので、それぞれの県におきまする特色のある施策とか、行政の隘路となつている事例とか、特筆すべき業績などについて重点的に説明を承わつたのでありますから、詳細な点につきましては、資料が專門室に備えてございますから、ここでは極く要点だけを御報告いたします。  茨城県の状況を申上げます。生活保護法による被保護世帯は一万二千、四万二千人でありまして、県の人口は約二百四万でありますから、人口と被保護者の割合は全国平均二・五%に対しまして、二・二%となつております。全体の傾向といたしましては、十月以降生活保護減少し、医療保護教育扶助が漸増いたしております。当局者説明によりますと、社会福祉事業法実施せられましてからは、従来のやり方と異る面ができたための変動でありまして、法の適正な運用の結果とも考えられております。県下の身体障害者数は約一万五千名と推定せられ、そのうち手帳の交付を受けた者が約三千名でありますが、これは法の趣旨徹底の不十分もさることながら実際上の恩惠がないとて余り歓迎されておらないのであります。  次に兒童福祉司定員十名に対しまして四名を配置し得たに過ぎませず、従いまして行政指導も十分な活動も期待できないような状態であります。以上三法を直接担当いたしまする第一線機関である社会福祉事務所は諸種の困難な事情のため独立することができずに地方事務所の一組織として活動いたしております。職員定員の五十三名を配置し得たに過ぎず、而も他の業務を兼務しておるために十分な活動は望みがたく、さりとて本法施行に要する経費財源基礎付けが不明確で不安定のために、特に児童福祉法のごときは平衡交付金制度のため政治的発言力の弱いこの種行政財源措置は非常に困難な事情にあり、いずれも中途半端な現況でありまして、折角立派な法律も積極的に実施する面におきましては困難なる実情であります。  次に母子対策をいたしましては、本県は婦人問題審議会設置して母子対策の根本を検討し、婦人相談員制度を設けて相談指導に当らせるほかに、未亡人更生のため五百万円を以て厚生資金制度を設けて生業を援護いたしております。ちよつとその内容を申しますと、養鶏、行商、ミシン等の生業資金として一世帶当り一万四千円程度を貸付け、一カ年据置、五カ年賦償還で利息は一分九厘の低利となつております。このほかに母子世帯子弟の育英のため二百七十万円で奨学資金を貸與いたしております。又市町村を区域として未亡人会を結成させ、自主的活動による更生を促しております。  次に衛生関係について申上げますと、県下の結核患者は推定二万七百九十名でその届出率は人口万対三十一人で全国第四十三位の低率であります。死亡者数は年平均二千百名でありまして、死亡率人口万対十三人の低率で低いことでは全国第二番目でありますが、これは決して本県の結核罹患者及び死亡者の少いことを意味するのではなく、むしろ本病に対する極端な嫌惡の念から極力秘密を保持する県民性によるものとの説明がありました。この点県及び中央当局者の積極的な啓蒙、衛生知識の普及徹底が望まれるのであります。  次に赤痢昭和二十六年十一月で患者数二千六百五十二名の多数になつておりまして、蝿による伝播を重視して濕灘地区の市町村を蝿駆除地域に指定して相当効果を挙げております。猿島郡七郷村ではその事績が認められ、蝿のいない村として昭和二十六年度朝日保健賞が授與されておることを附加えて御報告いたします。  次に保健所勤務医師の不足には相当悩んでおりまして、十五保健所のうち三カ所は定員に欠けております。これに対する措置として医師には月額二千円の研究費のほか、医師、獣医師、薬剤師、保健婦には日額二十円乃至四十円の危險手当を支給しております。又将来における医師の確保の方便として五名の委託学生に月額三千円を支給しておりました。  次に宮城県の状況を申上げます。生活保護法の被保護者数は六万二千八百二十一人でありまして、人口千人について全国平均二三・九人に対して三五・四人という全国第三位の高率を示しております。これとは逆に一人当りの保護費は全国平均八百二十円に比べて六百十一円でありまして、低いことでは全国第七位となつております。これは即ち保護の分散度が広いことを意味するものでありまして、本県の経済人口の五五%を占めている農家経済が主流をなしていることと、單作を主とした零細農家経営の生産構造のため、打ち続く冷水害によりまする農家経済の脆弱による貧困化が特色となつておりまして、全体の傾向といたしまして被保護者数は漸増いたしており、その増加率は一三五%を示し、全国第二位となつておりますことは誠に憂慮すべき状態と申せましよう。  次に、本県も財政的理由から福祉事務所設置は四市に四カ所だけでありまして、県は十一地方事務所に民生課を設けて担当いたしておりますが、職員定員百七十名に対して現員九十五名の劣勢を以てしては十分な活動は不可能であると公言いたしておりますし、当局者はこの種法律の運営は内容からも国家行政であり、国庫補助等の財政的裏付がないことを挙げて積極性を持たないような感を受けたのであります。  次に、国民健康保險昭和二十三年頃より経済界の激変のために保險料の滞納市町村相当数体廃止しておりましたが、保險税制度の実施補助の増額等の措置によりまして、最近は漸次再開する市町村が増加して、現在では百八十九市町村のうち百二十市町村実施普及率は六三%)いたしております。保險料收入も年度内には八五%に達する見込であり、單価も旧單価で以て医師会との了解が成立しておるので、給付費の支拂状況もよくなる見込であるが、一方現在の保險税は千八百二十四円であつて、もはや負担の限度に来ておるから、今後單価引上の場合には強力な国庫補助が必要だとのことでありました。  次に、本県の結核患者数は約三万人と推定せられ、昭和二十五年の死亡者数は二千三百十八人で、人口万対一三・九人、大体全国中位にありますが、県内病床数は公私合せて二千床、待期患者は八百名以上となつておりますので、昭和二十六年度より五カ年計画を立て結核患者の半減を企図いたしております。又昭和二十六年、二十七年度内に県立病院三百床の増床に着手しておる状況であります。  次に、県立十五保健所医師の確保にはやはり困つておりまして、研究費として一人年額一万二千円を支給するほか、初任者には特別の号俸を支給して補なつております。又医系インターン学生十名に月額五千円を支給して将来における定員の確保に努めております。  次に福島県の状況について申上げます。本県は厚生行政に対する理事者側の理解もさることながら、行政に、指導に、或いは事務整理に、創意と工夫による積極性が見られ、国庫補助のない劣弱行政をカバーいたしておりますことは国民のために喜ばしく、称讃に値いするものであります。昨年十月地方事務所の民生課を廃止して、独立の福祉事務所を十六カ所、五市に五カ所を設置しております。職員定員百八十一名に対して現員百二十八名でありますから、一人当りの事務量は相当過重となるので、二十七年度においては不足の五十三名を増員することの確実な見込の下に社会福祉行政の万全を期しておりました。兒童福祉につきましても、青少年問題協議会が各界名士を揃えた名ばかりのものでは不十分として実務者のグループである「青少年ケース研究会」を各地域ごとに設けて、地域組織活動の促進により不良化防止に努めております。  次に母子世帶九千七百余のうち四四%が生活保護法の適用を受けておりますところから、母子対策を重視して、未亡人援護対策部会を設置するほか、五市にある県の地方事務所に專任の未亡人福祉係を置き、專門のケース・ワーカーとして母子世帯生活援護指導に当つております一方、母子世帶生活を安定させるために、県費二百万円を以て未亡人厚生資金としての貸付制度を設定して、その自立更正を図つております。ちよつと内容を申しますと、一人二万円を限度として貸付け、三カ年賦償還無利子となつております。未亡人の互助組織としては市町村を單位として未亡人会の設置を奨め、県下三百六十町村のうち約二百が成立されており、未亡人の地位と教養、生活改善を図つております。  次に本県が社会福祉事業資金と称する貸付制度として現在行なつておりますところのものは、消費生活協同組合に二百万円、前に述べました母子世帯厚生資金に二百万円、奨学資金に三十万円、身体障害者厚生資金に五十万円でありますが、二十七年度においてはこれら資金を総合して、資金三千万円を以て「愛の金庫」と称する、ものを設けて積極的に援護施策を推進したいと目下準備中であります。  次に災害救助につきましては、国庫よりの補助が少いので、県、市町村事業体が醵出した二千万円を以て罹災救助資金を設定して、法外援護を行なつております。  次に、国民保險はいずこも同じく戰後の惡條件によつて休廃止するもの続出し、一時はその普及率は一五%に低下しましたが、現在では三百六十市町村のうち百三十六市町村実施しており、今後漸増の傾向にあるとのことであります。保險経済危機が叫ばれている今日、信夫郡永保村ほか数カ村では、国保の恵みを嘔歌いたしておる稀な事例があります。水保村の現状を申上げますと、本村は山岳地帯である純農家で、戸数は僅か四百十戸でありまして、昭和二十四年に事業を開始したのであります。昭和二十六年度には何らの補助も受けずに直営診療所を開設いたしました。被保險者数は三千余名で、村長の説明によれば、全村中二世帯が加入しておらないだけだそうであります。二十六年度予算は約百六十万円でありまして、村費よりの繰入金は十二万円であります。保険料は一世帶平均一千七百七十六円で、最高が三千九百六十円、最低が六百七十二円となつておりますが、何らの不足不平もなく、保險料收納率は現在七八%、年度内には九〇%を上廻る見込とのことであります。保險給付は療養給付の一部負担が五割で、助産については一件当り五百円を給付いたしております。従来村では医療費負担のため倒産する事例がありましたが、国保開始以来はその憂いがなくなり、健康で明るい村になりつつあるが、今後財源の許す限り全額給付の希望に近付けたいとの説明を承わつたのであります。なお隣接十一カ村のうち土湯村一カ村のみが国保を実施していないが、近く事業を開始するとのことでありまして、又連合して総合病院建設の計画をしているとのことでありました。  次に衛生関係について申上げます。本県の結核患者は約三万人と推定せられ、これに対する病床は公私合せて千七百七十床で、相当不足しておる現状から、五カ年計画三千床完成を目標にして二十六年度において県立病床百五十床を建設中であります。  次に、県の十六保健所勤務の医師に対しましては、研究費として所長に五千円、その他には本俸の四割を支給して定員の確保に努めております。県立病院についてはちよつと変つた方法をとつておりますが、県立病院の公共性からこれの是非については相当の検討が必要と思われますので、その内容についてちよつと申上げます。視察いたしました県立本宮病院実情を申しますと、病院勤務の医師に対しましては、研究手当として本俸の五割を支給するほかに、病院経営によつて黒字を生じた場合には、その四割を病院に還元して自由に使わせる、こういう仕組であります。いま少しく詳しく申しますと、還元された四割は各科医員の稼働点数に応じて按分されて個人の收入となるのでありますが、看護婦その他の職員との振合いがあるので、各医員はそれぞれわけ分の二分の一の額を寄附し、その合計額を看護婦、薬局、事務職員に人頭割で支給する仕組であります。二十六年上半期の收入額は、医師で多い者は五万円、少い者で一万円、看護婦その他は千八百円となつておるのであります。  以上簡單でございますが、御報告を終ります。
  18. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) 第三班は都合上次回に讓られるそうでございます。これで本日の日程は終りました。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時三十七分散会