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1952-02-28 第13回国会 参議院 厚生委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年二月二十八日(木曜日)    午前十時三十一分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     梅津 錦一君    理事            長島 銀藏君            井上なつゑ君            深川タマヱ君    委員            大谷 瑩潤君            小杉 繁安君            常岡 一郎君            藤森 眞治君            堂森 芳夫君            山下 義信君            谷口弥三郎君            松原 一彦君   委員外議員            藤原 道子君   国務大臣    労 働 大 臣    厚 生 大 臣 吉武 惠市君   政府委員    厚生省公衆衛生    局長      山口 正義君   事務局側    常任委員会專門    員       草間 弘司君    常任委員会專門    員       多田 仁己君   法制局側    参     事    (第一部第一課    長)      中原 武夫君   説明員    法務府検務局刑    事課長     神谷 尚男君    厚生大臣官房総    務課長     小山進次郎君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○社会保障制度に関する調査の件  (受胎調節に関する件)  (遺族援護に関する件)  (昭和二十六年度厚生省関係予算に  関する件) ○優生保護法改正案に関する件   —————————————
  2. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) これから厚生委員会を開きます。  社会保障制度に関する調査の一環としての受胎調節に関する件を議題といたします。
  3. 谷口弥三郎

    谷口弥三郎君 私は政府の御意見一つ聞きたいと思うのですが、過剰人口対策に関する政府の御意見はどういうものでございますか。御承知のように我が国のこの狭い所に、而も耕地面積などにおきましても六百万エーカーぐらいしかない所に、すでに八千四百万からに人口が殖えておりまして、それが毎年百万以上或いは三十万も毎年人口自然増加がありますし、又ここ当分の間は九十万からに及ぶ新らしい就職者が出て来るという状況でありますので、この過剰人口に対して政府は如何なる御所信を持つておられるのであるか。実は一昨年本委員会におきましては、この問題について特に総理、厚生大臣その他の御意見を伺つたり、又その当時早速人口問題審議会どもつてこれが対策を練るということであつたのですが、まだそう大した対策案も出ておらんようでございますからして、特に吉武厚相は如何なる御所信を持つておられるのか、それをお伺いしたいと思います。
  4. 吉武恵市

    国務大臣吉武惠市君) お話のごとく毎年百万以上からの人口増加しておる状況でございまして、この人口問題は日本の将来としては極めて重大な問題だと私は思つております。ただこの問題は非常に愼重を要することで、そう簡單方針をきめるというわけにも参りませんので、私どもといたしましても非常に愼重に協議をいたしておりまするし、又民間におきましても人口問題研究会等がございまして、その道の権威者等をも集めて御研究願つておるわけでありまして、先だつてもこの人口問題研究会に出てくれないかということで、懇談会に出ていろいろ意見も申上げ、又意見も拝聴いたしまして、結局この問題はそう一方だけで問題が解決しないので、あらゆる面から総合的に検討をして対策を立てなければならんだろうというところでございます。従いまして、私ども考えておりまする問題は、先ず方法としてはどういうことがあるかというと、何といつて日本産業規模というものをできるだけ拡大をして、そうして日本の領土の中でも皆食つて行ける基礎を作らなければならんというのも一つ方法だと思います。それから又同時にそれによつて貿易振興を図りまして、そうして外貨を獲得して行くということも一つ方法であります。それからもう一つは、国内の中で食糧増産その他土地改良の面も大分ございますから、そういう面を図つて行つて又その対策の一助にするということが一つ。それからもう一つは自発的な人口調節と申しまするか、そういう調節という方法によつて解決するのが一つじやないだろうか、そういう点を総合的にやつて行く必要がありはしないか、かような考えを持つております。併しそれの見通しもなかなかむずかしい問題で、言うことは簡單でございますけれども、そう簡單にも行かないと思いますが、結局これらを総合して見通しをつけながら進んで行きたい、かように存じております。
  5. 谷口弥三郎

    谷口弥三郎君 只今の御方針はよくわかつておるし、又みんなそういう考え方を持つておるんですが、なかなか進んでおりませんので、特に最近の情勢から申しますというと、或いは強盗、殺人とか放火とかというような犯罪者がもう絶え間なしに出て参つておりますし、又各地の浮浪見の収容をしておるような所をみて見ますというと、ああいう所におきまして、精神薄弱者が非常に最近には多くなりまして、戦前においては約二〇%ぐらいであつたのが六〇、八〇というように精神薄弱者が殖えておるような現況でありますので、特に惡質者の増加というのに対して政府は如何なる御所信を持つておられるのか、又これをどういうふうにして防遏しようというふうにお考えになつておるのか、そういう点も一つお伺いしたいと思います。
  6. 吉武恵市

    国務大臣吉武惠市君) そういう面も確かにございまして、これらの対策も必要かと思いまするが、現におりまするこれらの惡質な者、或いは又精神の何と申しまするか、薄弱的な者というような者はできるだけ町に置くというよりも、特別な施設収容して行つて対策を立てるということがいいんじやないかということで極力やつております。併しなかなか施設も十分に行きませんので、町で皆さんが御覧になるようなことがおありだと思いますが、併し一時に比べますれば大分収容もできまして、対策も立つたかと思います。
  7. 谷口弥三郎

    谷口弥三郎君 この惡質の者が非常に多くなつておりますが、特にこれに対しまして、例えば優生保護法などにおきましては精神薄弱者精神変質者というものに対しましてはできるだけ優生手術などをやつて、それを幾らかでも惡い質の者の出ることを少くしたいというのでそういう方法が出ておりまずけれど、残念ながらちつとも政府からそれに対して十分なる御指導を得ませんために、一カ年におきましても私どもは少くとも一万ぐらいの人がそういう方面優生手術ができるかと思つておりましたら、昭和二十六年度におきましても僅かに三百五十七例かぐらいのものでありまして、本当にこういう方面に御協力が願えておるのか、御指導なさつておるのかということを非常に心配しておるのであります。それに対しまして……。
  8. 吉武恵市

    国務大臣吉武惠市君) 御尤もでございまして、それがために折角の優生保護法等もございますんですが、まあ谷口さんも御承知のように、こういう問題というものはなかなか強制でやるということはむずかしい問題なもんですから、勢い自発的なものに片寄るという状況でございます。まあ国家的或いは社会的に見るならば、どうしても必要だと思うものは勧めてやらせるべきだと思うのでありますけれども、その点がなかなか実際になりまするというと、強制がむずかしいということでお話のような状況かと思います。まあできるだけ私は強制ということでなしにお勧めをして、自発的にやるという途を講ずれば或る程度できると思います。
  9. 谷口弥三郎

    谷口弥三郎君 只今お話を聞きまして安心をしました。とにかくこの各保健所などに医者を招聘したり、或いは医者を置いておりますが、あの中に是非とも精神病に特別の技能を持つたような医者を入れるということにして、そうして或いは浮浪者、或いはパンパンガールにいたしましても、その他の者にしましても、少し精神鑑定保健所においても進めて行つて、若しそういうことがあれば今おつしやつたようなふうに優生手術を勧めるとかいうところまで行かなければならんと思いますので、保健所精神科医者を入れるというような御方針は立てるわけにいかんものでしようか、その点を一つ
  10. 山口正義

    政府委員山口正義君) 御指摘通り精神衛生問題が最近は重要視されるようになつて参りまして、現在我が国精神病患者といわれる者が、大体まあ精神病者精神衛生の対象になる人間が二百五十万くらいあるというふうに、これは非常に大きな問題になつて来ておりますが、私どもといたしましても、精神衛生法に基きまして、精神衛生相談所というものを各府県に設けて、精神衛生指導をやつて行きたいということを考えております。御指摘通り、これを保健所機能一つとして実施して行つてはどうかという御意見もございますので、私どもとしましては、将来はやはりこの精神衛生仕事保健所機能一つとして、保健所にそういう医師を置いてやつて行くべきだ、そういうふうに考えておりますが、併し現在まだそういう專門家を十分に得られない段階にございますので、現段階におきましては、精神衛生相談所というものを保健所に併設するといつたような恰好で順次これを普及して行きたい、そういうふうに考えております。
  11. 谷口弥三郎

    谷口弥三郎君 お伺いしたいと思いますのは、最近ほうぼうに宣伝指導が盛んになつております受胎調節につきまして、大臣はどの程度まで受胎調節というのをやつて行くべきものた、どういう方法でやろうというふうなお考えを若し持つておられたらお伺いしたいと思います。
  12. 吉武恵市

    国務大臣吉武惠市君) 実はまあ先ほど谷口さんからもお話がございましたように、人口問題も相当大きな問題でございまするので、人口問題の解決一つとしてやるということも実は必要かとは思います。併しながらこの問題はなかなかそう軽々にきめるというわけにも参りませんので、政府としては差当りのところ、現在御承知のように人工中絶が非常に多くなりつつございます。それでそれが思想普及しないために、実はその結果として母体犠牲者を出す場合は相当あるようでございます。これは非常にいいことでないから、先ずまあ差当り母体保護という点から、そういう危険な状態に陥らない前に思想普及及び指導をすべきではなかろうかというところで、まあ今のところでは私ども母体保護立場からいわゆる受胎調節に必要な知識指導をするという程度でございます。
  13. 谷口弥三郎

    谷口弥三郎君 只今受胎調節をまあ指導する……この指導することは非常に必要でもございまするが、又完全な指導ができればいいのでございますが、不完全な指導をやらせるというと、却つてその指導はしたわ、実際やつてみたら目的を達しなかつたどいうようなことが起りますと、そのために却つてこのほうが遅れる、目的を達成せんというようなことがままあつておるのでありますが、それからなお指導されましても、実は貧困者とか、或いは子供のたくさんある家などは是非やりたいとは思いましても、又やる方法も聞いたり、教わつたりしましても、やる資力がなくて、どうしてもやりたいがやられんというのがたくさんにおるのでございます。こういうようなほうの方面に対して、政府是非一つそういう方面にも幾らか金を出してでも、貧困者にこれを普及させるというようにやる思召しはないでしようか。
  14. 吉武恵市

    国務大臣吉武惠市君) お話の点は実はまあ気が付かんわけではございませんが、目下のところは先ほど申しましたように、母体保護立場からあらかじめ知識指導するという程度でございまして、まだ積極的にこれで以て調節をやらせるというところまで行つておりませんので、勢いまあ貧困者に対するそういうものも、供與というようなことまでは至つてないわけであります。それからまあ指導の面といたしましては一応一般的な文書その他によつてのこの知識普及方法、或いは又集団的にそこでお話をしたり何かして指導する。まあもう一歩進みますると、個人的に指導するということになりますが、まあ個人的な指導ということになりますると、これは相当知識も要し、又愼重でもございませんと、そう簡單にも参らないわけでありまして、まあ今のところはその程度のところでございまして、谷口さんのおつしやつたところまでにはまだ及んでおりませんが、まあ将来どうしてもこういう問題というものはもう少し検討を進めて、見通しをつけて何らかの対策を講じなきやならんかと、こう考えております。
  15. 谷口弥三郎

    谷口弥三郎君 よろしうございます。
  16. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 大臣仰せのごとく、日本の国の人口問題は誠に慎重を要することでございまして、簡單に決定は困難だろうと思います。併しその愼重程度の問題でございまして、余りいつまでも愼重では間に合いませんので、皮肉でございますけれども、三、四年間の自由党のこの政策を拝見いたしておりましても、愼重の域を余り脱していないようでございます。今大臣仰せのごとく日本産業規模を拡大して、貿易伸長云々のことでも、土地改良の問題でも、先立つものはやはり資金でございますし、電力が間に合わないという情勢、或いは国際情勢なんかを勘案いたしますと、これは急には失業救済に間に合いかねると思います。残る問題の自発的の人口調節という問題も、今日この人口調節をいたしましても、それは今日の失業救済には間に合わないのであつて、二十年乃至二十五年先の問題でございます。私はこの政治基礎というものはやはり国民すべての生命財産を守ることが第一の仕事だろうと思うのでございまして、生きる手段である職業を與えるということが、すべての政治基礎にならなくちやならないと思うのでございます。ところが今日の政治はどうも私の見ますところ逆立ちいたしておるのでありまして、財政余裕があつたら職業を與える、財政余裕があつたら失業救済をするというのでございまして、現に来年度の予定でも、完全失業者の一割を救済するだけの失業対策だけしか立つていないように思うのです。国民生命を守ることができなければ、それは政治の行き詰りとさえ考えるほどなんですけれども、そこで間に合わないといたしますと、どうしてもすべての人に職業を與えるというふうなことを基礎にして、そうして問題を調節しなくちやならないのですけれども、消極的で誠に残念だけれども、今の日本ではこの職業というものは限られておるとしますと、不足している米や麦と同じように配当であつて然るべき段階じやないかしらと思います。で、各家庭の実情を調査いたしますと、必ずしもそのお嬢さんや、或いはその他の人が出て働かなくとも、父親とか、兄なんかの事情生活のできる事情家庭が非常に多うございます。そういう人には就職を遠慮して頂きまして、どうしても今差迫つて生活に困つている、身売りしなければいけないとか、親子心中をしなければならないほど逼迫しておる人たちには優先的に職業を與えるというような、計画性というものをどうしても今日の自由経済の中に導入して行かなければならない段階だろうと思うのです。大手術を要する時期じやないかと思うのです。この厚生委員会質問としてはやや脱線かと思いますが、丁度大臣厚生大臣であり、労働大臣でもありますし、やはりこの人口問題と関連がありますのでお尋ねいたしますのですが、それに対して労働大臣はどういうふうにお考えになりますか。
  17. 吉武恵市

    国務大臣吉武惠市君) 御尤もな御質問でございまして、人口問題は今からいろいろなことをいたしましても、すでに職業戦線に出ておられる数が相当ございまするから、実はこれも大変な問題であります。そこで、今のように計画的な職業配置という問題でございますが、これは曾つてよその国でもやつたことはございまするけれども、そうなりますると、すべての経済というものが計画的になつて、実は非常にいいように見えますけれども、結果的には必ずしもそうでございません。我々としてはやはり自由経済、自由に職業に就くという建前をとりながら、なお且つそれでも働く能力があつて職業を得ないものは、国家の財政力で以てこれを救つて行くという建前のほうが、大きく結果的に見るならば却つてよくはないかと私は考えております。そこで産業規模の問題でありますが、実はこれもなかなか容易なことではございませんけれども、もうすでに戰争は終りまして七年になりますが、この七年の間に戦前の八、九年乃至九、十、十一年の生産量に比べますると、一四〇ぐらいになつておりまして、私ども計画ではもう三年すれば、一九〇ぐらいまで上る見込みもあるわけでありまして、必ずしも望みがないわけではないように私は思つております。それから現に昭和二十五年の七月頃が一番日本では失業者が多かつた時でございまして、約四十六万ばかりございましたが、それからだんだん減りまして昨年の七月頃にはもう三十四、五万ぐらいになり、九月頃には三十一、二万ぐらいにも落ち、昨年の暮には若干殖えましたけれども、大体四十万未満ぐらいで納まつておるような状況で、失業対策事業も大体我々のほうで準備をしておりますが、それに登録されている人の数も実は大体減つております。従つて就業日数も最初は一カ月のうち十五日ぐらいしか働かなかつたのですけれども、今日では大体二十日乃至二十一日ぐらいまでも就業が與えられるというような状況でございまして、ずつと将来を見通しますというとどうなるか、まあなかなかむずかしい問題でございますけれども、ここ二、三年の状況は私はそう心配をしなくとも行けるのではないかという感じを持つております。
  18. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 その問題はその程度にいたしておきましよう。けれども、この闇の女のことですけれども、中共でさえも今日闇の女を全部収容しておるそうであります。そうしてそれにすべてに職業を與えて、表には結婚媒介を受付るという看板を掲げてておるようであります。それに比べますと、日本は大分遅れておりますので、これはやはり先立つものは金の問題でしようけれども、せめてこの人たちだけにでも何とか政府財政のやり繰りをして、余りにもみじめでもございますし、社会惡原因にもなりますし、不良青少年原因にもなりましようから、何とか厚生大臣の手許で手つ取早く解決をしてもらいたいと思います。
  19. 吉武恵市

    国務大臣吉武惠市君) 御趣旨は私どももよく存じておりまして、多少御意見の点は計画配置の御希望のように受け取れますけれども、実は私は計画配置の行き方よりも、やはり自由を建前にして、そうして出て来る失業者を国の財政で救つて行く建前のほうがよくはないかと思つておりまするし、又その点につきましては、極力努力をいたすつもりであるし、又見通しとしては必らずしもそう心配ではないと、かように存じております。勿論努力はいたすつもりであります。
  20. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 受胎調節に関連しまして、この頃大きな問題になつております純潔教育の問題、いわゆる性教育の問題を厚生大臣はどうお考えになつておりましようか、承わりたいのでございます。この頃新聞紙上でも十四歳の子供子供を生んだとか、高等学校の生徒が何十パーセントも人工妊娠中絶をしたとかいうことで、文部当局もかなり頭を悩ましておられると思うのでございます。で、優生保護法がこちらで審議されましたときにも、この性教育の問題、いわゆる純潔教育の問題は大きく取上げられたことでございますが、併しこの頃の世相から見て、なかなかこの問題がよく実行されないでこういう結果を来たしておる点がございます。御承知のように、弱年の女子が妊娠いたしまして子供を生みますということは、ここに出ております優生手術をいたしますよりも、もつともつと危険でございます。私ども過去におきまして、十三歳の子供の助産に当つたことがあります。弱年性出血で以て今や生命の危機を来たした。幸い病院におりましたものですから、あらゆる手当をいたしまして、これは一命を取りとめたのでございますが、この人の将来はどうなつたかと私ども案じております。それなのに、この頃の新聞では、こうした問題が多々取上げられております。これは人工妊娠中絶優生手術では遅うございます。でございますから、こういう手術をする前に、そういう純潔教育性教育につきまして、厚生省はどのように、どの程度にお考えになつておるか承わりたいと思います。
  21. 吉武恵市

    国務大臣吉武惠市君) 私も新聞その他で拝見しておるわけでありまして、この点は私は一般国民の道義の高揚の問題と共に、社会教育として、特に青少年と申しまするか、そういう時期の教育にもつと力を注ぐ必要があると私も思つております。今お話の点はその社会教育の面と同時に性教育の面もお話でございまして、その性教育の面といたしましては、勿論当局といたしましても指導普及ということについては正しき指導をする必要があり、又やろうと思つておりますけれども、最近のいろいろな新聞に出る事例はただに性教育ということよりも私はもつと青少年教育という点に力を注ぐべきではないか。これは一時戦争その他によつて紊れたその余韻がまだ残つておると思うのでございますけれども、独立も間近なことでございますし、今後もう一度青少年教育の建て直しということが私は大事なことだと、かように思つております。
  22. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 次にお伺い申上げたいことは、それに関連してでございますが、こうした性教育だとか、それから受胎調節指導について、私はかねてから、この頃助産婦が少くなつておりますから、そういう人たちにその指導方法を授けて頂きたいという要請をしたけでございますが、厚生省でもこの点につきまして力を注いで頂きまして、会合をたびたびお待ちになつて頂いて嬉しく思つておるのでございますが、それと同時に、助産婦指導と同時に、こうした面でも広く国民の全部に亘りますように、保健婦看護婦にも必要な場合には……保健婦全部とは申しません、看護婦全部とは申しませんが、必要な場合にはこうした教育をして頂きませんと、国民を一面からだけでなく、二面、三面からする教育をすることが非常に大切ではないかと思うのでございますが、これにつきまして厚生大臣の御意見を承わりたいと思います。
  23. 吉武恵市

    国務大臣吉武惠市君) 御尤もでございまして、私ども今度母体保護という点から受胎調節に乗り出すわけでございますが、それには今お話のようなかたがたに先ず正しき教育をし、それを通じて一般普及するということは私これは必要だと存じます。
  24. 山下義信

    山下義信君 産児制限の問題が政府として具体的にお取上げになりましたのは、あなたの内閣がまあ初めてです。殊に明年度予算に初めてこれは出ておると思うのです。受胎調節奨励費でありますが、二千数百万円ですか、御計上になつておると思うのであります。先ほどのいろいろ答弁を承わつておりますと、別に根本的な御方針といいますか、計画的な御対策というものが別にあるのではなくて、取りあえずまあ受胎調節奨励されるというようなお話でありますが、これはまあ当然何か総合的な、根本的な計画がおありにならなければならんわけで、受胎調節奨励をするといつてもどこまでするか、どの程度効果を期待するか、どうするかという御方針があるはずと思うのですが、これから御研究なさるというならば別であります。御方針あれば承わりたいと思いますが、先ほどの質疑応答では、御方針を、別に御計画がないようでありますが、私が承わりたいと思いますのは、この受胎調節奨励、まあ差当りはそういう何といいますか、奨励と申しますか宣伝といいますか、そういうことのお仕事をなさるようでありますが、一体こういうこと、産児制限の問題、即ち差当つて受胎調節の御奨励ということは今後国としておやりになるお考えでありまするか、或いは又地方当局をして主として当らせるというお考えであるか、将来ともこれは中央政府国策としてやる、取りあえずは二千数百万円で極めて僅少な予算で乗り出したのだが、併しながら、どうしても我が国人口問題の解決として、これは氷山の一角が出ておるので、将来は中央政府の即ち国策としてやるというお考えであるかどうかという点を承わりたいと思います。従いまして、これはまあ予算委員会のほうで承わつてもいいわけでございますが、当店で……この二千数百万円の受胎調節奨励費の使い方は大体どういうふうになさるお考えであるか、これを第一点に承わりたいのであります。  それから第二点といたしましては、各保健所で御設置になりました、私ども保健所法を作りますときには、非常にその機能に期待したのでありますが、併し一部にはまあどうかじらんと思つた点もあつたのでありますが、保健所に置かれてありまする優生結婚相談所の活動状況は大局的にどうでございましようか。又その組織が相当期待ができるかできないか。一体最近の成績は如何でございましようかという点を承わりたいと思います。  それからいま一つは、受胎調節等に使用いたしまする薬品、器具の最近の状況はどうでございましようか。一時非常に何といいますか、濫造といいますか、濫造濫売といいますか、大体厚生省が皆それを許可して、厚生省指定というようなことを言いまして、非常に効果の薄い……いろいろまあある。大体政府のほうでは、厚生省ではどういうものを御奨励になり、或いは又最近効果のありますような薬品、器具等ができましたでしようか。そういうものに対しまする、政府のほうには国民の惑わない、いかさまものに無駄な費え等をいたさないように、効果のある、信用のおけるそういうものに対しての御対策といいますか、そういうものがございましようか。以上、三点を承わりたいと思います。
  25. 吉武恵市

    国務大臣吉武惠市君) 第一点の根本的な対策でございますが、実は先ほど谷口さんにもお答えいたしましたように、実は政府といたしましては、人口問題として根本にこれを取上げるという域にまだ達しておりません。で、この問題はまあ相当愼重を要する問題でございまするので、まあ各方面の権威者の意見も十分聞こうというので、目下人口問題研究会あたりにも御相談しておるような状況でございまして、その域に至らないことを甚だ遺憾に思つております。併しまあ一方実は人工妊娠中絶がいろいろ行われまして、そのためにまあ思わざる母体犠牲者が出るという状況がございますので、これは放つておいてはいけないということで、それらを事前に予防するために必要な知識普及ということで、まあ僅かな予算を計上して乗り出しておるような状況でございます。これを取上げるのにどういうふうにして行くかというと、今としては国としてやつて行くわけでございまして、別に地方庁にというわけではございませんが、まあ保健所等を中心といたしましてやるのが一番よくはないかというようにまあ存じております。  予算の使い方等は局長からお話申上げたいと思います。
  26. 山口正義

    政府委員山口正義君) 先ほどの山下委員のお尋ねの予算の点でございますが、総額にいたしまして二千二百六十五万九千円計上してございます。大きく分けまして、本省直接の費用、それから地方に対します補助金、二つございますが、本省直接の費用といたしましては、いろいろ指導に必要な資料の作成、例えば受胎調節の業務必携とか、或いはリーフレット、或いはスライド、掛図というような、そういう資料の作成に要する費用でございまして、これが約百四十万円計上してございます。それから本省費の第二といたしまして、地方から中心になる指導者を集めて講習会を実施いたしますのに要します材料費、資料費等でございまして、それが約九万四千円計上してございます。  それから地方の費用といたしましては、先ほどお尋ねのございました、現在主として保健所に設置してございます優生結婚相談所の施設整備に要します費用、並びにそこの業務に要します施設整備費とそれから事業費と、その二つでございます。現在優生結婚相談所、全国で公立のものが三百九十一カ所ございますが、実際にいろいろな施設が十分整備されておりませんので、今回の予算でそれを整備いたします例えば指導に要します器具とか模型とか、或いは幻燈の機械とか、そういうふうなものを整備いたしますのに、一カ所、大体整備費といたしまして五万五千円、その半額を補助したいということでございまして、これを全国約三百二十九カ所にそういうことを整備して行きたい、そういう予算が計上してございます。それから事業費のほうは実際に指導して廻ります費用とか、或いはこの中に特別な医者を嘱託して指導するという医者の嘱託の費用、それから実際の指導用に器具を備付けまして、それがまあ或る程度消耗するという建前から、その器具の消耗に要する費用というようなものを事業費として組んでございます。これが一カ所約十一万円でございまして、その補助額といたしましては三分の一、これもやはり三百二十九カ所分を計上してございます。従いまして、優生結婚相談所の整備に要します経費が全部で約九百万円でございます。それから優生結婚相談所の事業に要します費用が、全部で約千二百万円、そういうふうな大よその内訳になつております。  それから先ほどお尋ねのございました優生結婚相談所の活動状況でございますが、これは数字の上では、昭和二十六年度は全国の優生結婚相談所で、数は先ほど申上げましたように公立のもの三百九十一カ所、私立が十八カ所、合計四百九カ所の優生結婚相談所がございます。そこで相談を受けました件数が、昭和二十六年度は合計三万四百六十八、昭和二十五年度が二万二千五百九十六というような数字は出ておりますが、併し先ほど御指摘がございましたように、この優生結婚相談所の活動状況は、現状におきましては甚だ不活撥でございますので、これを今後二十七年度の予算に計上いたしてございます通りお認め頂きますれば、それによつて施設の整備をする、或いは中の事業に必要な経費の補助を出して、そうしてこれを活撥に動かして、受胎調節の相談指導にあずかるようにして参りたい、そういうふうに考えております。  それから第三の避妊薬、受胎調節用の薬品の問題でございますが、これは現在は薬事法に基きまして許可をいたしておりまするが、その中で厚生省といたしまして、特にどれがいいというふうに推奨するような政策はとつてはおりません。又お尋ねの、最近特に新らしいものができたか、いいものができたかというお尋ねでございますが、私の現在承知しております範囲内では、特に新らしい、いいものができたということは聞いておらないのであります。
  27. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) 厚生大臣は今衆議院の厚生委員会のほうにポ政令に伴う法律の件で十一時から説明に行くことになつておるので、説明終り次第こちらに直ちに来ることになつております。
  28. 谷口弥三郎

    谷口弥三郎君 法務府のほうからおいでになつておるようですが、この優生問題についてお伺いしたいと思います。この毎年心神喪失者として不起訴になつておるような人が一体どのくらいおりますでしようか。優生手術を行います上におきましても特に必要でございますから、その数字がわかつておりましたらお示しを願いたいと思います。
  29. 神谷尚男

    説明員(神谷尚男君) 只今お尋ねの心神喪失者として不起訴になつておる数はちよつと今日はつまびらかにして参りませんでしたが、いずれ又用意を整えまして……。
  30. 谷口弥三郎

    谷口弥三郎君 どうぞ早速調べて一つ……。最近におきまして、毎年堕胎によつて起訴された数、それから処罰された者の数、或いはその人の職業などについて調査ができておりますか、どうですか。
  31. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) 今資料が廻るそうでございますから、廻りましたら御説明申上げるそうでございます。
  32. 谷口弥三郎

    谷口弥三郎君 最近堕胎の罪というのに対して多いのは、もう現在要らないじやないかというようなかたもたくさんいられるようでございますし、私どもの同僚の山下先生もよくこの堕胎の罪の問題をお話を頂いたりしておるのですが、法務府の刑事局などにおきましては、これに対してどういう只今考えを持つておられるでしようか。或いはだんだん最近変つて来たような情勢でございまするから、そういうことについて一つ……。
  33. 神谷尚男

    説明員(神谷尚男君) 先ずお尋ねの第一点につきましてお答え申上げたいと思います。只今お手許にお配りいたしました表が昭和六年以来の検察庁における堕胎罪に関する受理、処理の人員の比較表でございます。これを御覧になりますと、おわかりになりますように、起訴の数が戦前におきましては、少くとも百以上を数えておりまして、昭和九年、十月、十一年頃は三百、二百という数を数えておつたのであります。ところが戦後になりますと、昭和二十一年以後は殊に昭和二十一年、二十二年は三十四、三十一という数でございましたし、二十三年以後も八十乃至六十といつた数でありまして、起訴されております者の数は著るしく減つたということができるかと思います。なおこの表にはございませんが、更に遡りまして申上げますと、明治の末から大正にかけましては、大体一年に六百人ぐらいの起訴者を見ておつたようでございます。従いましてまあ大体大ざつぱに申上げますと、累年堕胎罪によつて起訴される者の数が減つてつておるということはできるかと思われるのであります。一方不起訴者の数がこれに伴いまして殖えております。不起訴の数につきまして、古いものにつきましてちよつと至急統計を調べることができませんでしたので、最近の昭和二十三年、二十四年、二十五年というものにつきまして、罪種別にやや細かく統計を調べて参つたのでございますが、起訴者に比べまして起訴猶予ということで処分を受けておる者の数が非常に殖えて参つておるということが言えるかと思います。更にこの職業別というお尋ねでございましたが、これは職業別まではちよつと統計がはつきりいたしておりませんので、罪種別によりまして、職業を推定するという程度でお許し願いたいと思うのでありますが、この罪種、堕胎の態様のうちの堕胎、刑法二百十二條に該当するものがこれがいわゆる堕胎を受ける婦女のものでございます。これが例えば昭和二十三年で申しますならば、七十三人起訴されておるということになるわけであります。それから業務上墜胎と申しますのが、医師とか助産婦、こういつた職業にある者の堕胎の罪でございまして、これによつて起訴された考が昭和二十三年には七人、それから昭和二十四年には九人、昭和二十五年には十八人ということになつております。更にその業務上堕胎によりまする致死傷の罪が昭和二十三年には一人、二十四年には一人、昭和二十五年には四人という数を示しておるのでありまして、まあこれによつて大体御推察願えるかと思うのであります。  次に堕胎罪に関して法務府のほうとしてどういうふうに考えておるかという点についてお答えを申上げます。御承知のように堕胎罪というものによつて保護されております法益につきましては、学説上はいろいろ論議がございますが、要するに一つは胎児に対して国家が保護を與えるという点にあろうかと思います。即ちまだ人間としましての権利というものは持つに至つておりませんが、人として生まるべき期待権とでも申しますか、そういうものにつきましてやはり国としては保護をする、両親その他が勝手にこれを処分するということにつきましてはやはり国としては面白くないものと考えて、胎児の権利、というと少し語弊があるかも知れませんが、胎児に対して保護を與えるという面が非常に強く出ておるのではないかと思うのであります。この裏付としましては、キリスト教的な精神乃至はそれに伴いまするヒユーマニズムの観念があるのかと存ずるのでありますが、それが第一に考えらるべきものだと思うのであります。その次にはやはり堕胎行為をすることによつて母体が危険にさらされることから保護する母体保護ということもありましようし、更には国として、例えば人口が少いという場合には国が人口増加を図るといつたような面も考えられるのであります。又更に社会の道徳風教の維持といつた面からもこの保護法益が考えられるということを唱える人もございます。併し今日の場合におきましては、国が人口増加を図るといつたようなことは先ず問題にならないのでありまして、やはり第一に考えられるのは胎児の権利の保護、或いは人工妊娠中絶によります、その手術によります母体の危険ということを守るということにあろうかと思うのであります。併しそればかり強く申しまして、そればかりを強く唱えるということはこれはできないのでありまして、一面やはり子を生むということによりまして母体は非常に危險にさらされる、生命或いは健康に非常に有害であるといつたような場合、或いは子供を生みますことによりまして非常に母性の、経済上の逼迫ということによりまして非常に危險を伴うといつたような面、或いはそれによりまして母性が非常に名誉を失墜するといつたようなことを考え合せますと、やはり両面からものを考えなければならんかと思うのであります。従いまして法務府といたしましては、堕胎ということは今日の段階ではまた全面的に廃止するといつたことにはまだ賛成しがたいのでありますが、これにつきまして或る程度の違法阻却の面を考えて行くということにつきましては全然異存がないのであります。まあそういつた面で優生保護法の戦後立法されましたということにつきましては、実質的には刑法の改正ということになるのかと存ずるのでありますが、そういつた面で堕胎罪の緩和ということが行われますということにつきましては、異存はないということを申上げておきたいと考えております。
  34. 山下義信

    山下義信君 堕胎罪の問題は優生保護法当初第一回にやりますときに、その当時の木内刑事局長ですか、見えまして、そしていろいろ我々と質疑応答した結果、今政府委員のお答えになりましたように、刑事政策としてこういう時代風潮の流れに従つて刑事政策として成るべく堕胎罪は罰しない、又検挙しないという方針をとることにして、そういう方針にして部内にそれを一つ適宜指示するということであつた。それから去年の冬の補正予算予算委員会で、私は大橋法務総裁にそのことも言い、又堕胎罪の廃止については考慮してもらうように言いまして、総裁は考慮しましよう。堕胎罪の廃止は考慮しましよう。つまり刑法の改正も一つ検討してみようというような答弁を頂いておつた。その後しばしば、しばしばといつても一二回検察当局にも部内に一つ堕胎罪の検挙については十分考えるようにその政策をとつて頂くように申して、速記に残つている面もある。それで例えば昭和二十六年の表を見ませんからわかりませんが、我々がそういうことを言い出して、昭和二十四年頃から見ても受理人員というものが減つてない。それで今この資料を見て起訴、不起訴の区別から見ると、起訴しないということになつている。これは当然の話です。合法的な堕胎を一方に許しておいて、貧困者が止むを得ずして妊娠中絶の費用とか、そんなことに費用の払えない階級に多いこの種の犯罪を、これを起訴するなんてことが非常識なことは言うまでもないことですから、不起訴が多くなるのは当り前で、結構でございますが、一方受理人員というものが漸次増加しておるということは、これは御注意を願わなければならない。只今おつしやつたその方針がいろいろ末端の警察関係などに徹底してない証拠です。で、これは私が釈迦に説法で申上げるまでもなく、この種の事件は警察でこれが事件化せられたということが非常に当該本人に苦痛を與えることは言うまでもないことであります。起訴不起訴なんてことは問題じやない。これが警察に呼ばれて調べられて、いうまでもなく有名な嬰児殺しの名作を見ても分るようにですね、ですから警察などは知らん顔をしておるべき性質のものです。これを事件として受理しているということの件数が殖えているのは、これは只今検察当局からのその御方針が末端に徹底してない証拠です。どうか一つ今後ともこの種の事件の取扱方につきましては、越訴不越訴については只今の御説明で十分御留意下されておるようでありますが、その一歩手前のこれらを事件化しないように、末端に適当な御配慮を願いたいと存じますが、その点如何でございましようか。
  35. 神谷尚男

    説明員(神谷尚男君) この受理人員が増加しているのはおかしいじやないかというお尋ねでございます。最近におきまして警察が積極的に堕胎罪について検挙するといつたような風潮は先ずないものと私は考えております。ただいろいろなトラブルから、堕胎につきまして告訴とか告発とかいうような事態がまだ相当あるようでございます。告訴、告発がありますと、刑事訴訟法の規定によりまして、一応事件としてこれはとり上げて行かなければなりませんので、そういつた副作用的な面から現われるものがあります。或いは又堕胎によつて、この告訴告発の中にはいろいろな種類のものがありますが、或いはそれによつて非常に障害を受けたとか、死亡したとか、いうようなことから告訴、告発が問題になることもありまして、積極的に堕胎罪について検挙の手を伸べるということは、現在の警察の方針としましてもないものと考えております。なおその点につきましては、今後もこういう行き過ぎなことのないように取計いたいと思いますが、このそういつた事情一つお汲み取り下さるように願いたいと思います。
  36. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 受胎調節用の洗滌用の薬品の名前とプロセント。何ですか溶解の割合がありますね、溶解度、あれがわかつていますか。
  37. 山口正義

    政府委員山口正義君) 只今手許に資料を持ち合せておりませんので、後刻調べましてお届け申上げます。
  38. 山下義信

    山下義信君 さつき山口局長がお答えなさつた避妊器具ですね。薬事法に基いて正規で発売するのは止むを得ないとして、本省としてはどういうように……。いかがわしいものの取締はやつておりますかどうか。そういうものは最近弊害ありませんか。効果のないようなものとかを或いは少し整理して、優秀なものを何とかするような方法はありませんか、あなたのほうで。業務局ではなしに……。
  39. 山口正義

    政府委員山口正義君) 使うほうの立場ですね。
  40. 山下義信

    山下義信君 使うほうの立場に立つてですね。
  41. 山口正義

    政府委員山口正義君) これは現在まあ薬事法に基きまして売り出されておるものは一応規定のものが出ているわけですが、その中に規定通りのものがあるかどうか、規定通り以外のものが混つていないかどうかというようなことは、薬事監視員に監視してもらうことになつております。ただそれ以外に出ているもので、規定されないものが出てはいないか、そういう点をよく調べろという御注意でございますが、現在私どものほうはまだそこまで手をつけておりません。これは今後受胎調節普及して行きます建前上、十分そういう点を注意いたしてやつて行きたいと思つております。
  42. 山下義信

    山下義信君 受胎調節奨励について薬店、薬剤師など使いますか、薬剤師とか薬店というものを使うと、自然いろいろそういう器具、薬品等についての何といいますか、いろいろまあ奬めて見たり、いろいろ優劣を言つて見たりするようなことができて来るが、薬店関係、薬剤師関係を使いますか。
  43. 山口正義

    政府委員山口正義君) お尋ねの点は先般来二、三回いろいろなかたがたの御意見を伺う集まりを催しました際に、まあ薬剤師協会のほうからのお申出で、ただ薬剤師が薬店で薬を売るというだけでなしに、その薬を売る際に十分よく説明して、又受胎調節に関する知識をよく一般の人に與えるようにさしたらどうだというふうな御意見も、ございました。一応そういうふうなことも考えていいのかというふうな御意見だつたのでございますが、その後いろいろの情報によりますと、薬剤師のほうで少し行き過ぎるというような点が、耳に入つているのでございまして、昨日も小委員会で御注意がございまして、この点につきましては私ども十分愼重にやつて参りたい、そういうふうに考えております。
  44. 山下義信

    山下義信君 その愼重にというのは、この今の薬店、薬剤師というものが受胎調節政府国策に副うてのそういうまあ宣伝奨励というような役割においては成るべく使わない、関係させないというまあ方針、かように了承してよろしうございますか。
  45. 山口正義

    政府委員山口正義君) これはこの前お話合いがありましたときに、只今申上げたように、使つてはどうかというふうな御意見がございました。併しこれにつきましては最近又いろいろその反対の御意見もございますので、丁度本日各府県の主務課長を集めていろいろ府県のほうの声も聞いておりますが、それによつて又いろいろ方針をきめて、又この前お集まり頂きましたかたにお集まり頂きまして、方針をはつきり決定したいと存じておりますが、ただその薬を売る際、薬品、器具を売る際に説明程度以上に、それも余り行き過ぎたことがあつては私は困ると思いますので、その点非常にデリケートな問題だと思うのでございますが、全然薬を売る際にそういう説明なんかはさせない、或いは受胎調節に関することを言わせないというふうなことは、これは又できないのじやないかと思いますが、それを指導員として積極的に外へ出すとか、或いは看板をかけるとか、或いは相談室を設けるというようなことは私はいたさないほうがいいと、私どもといたしましてはそういうふうに考えております。
  46. 藤原道子

    委員外議員(藤原道子君) 委員外ですが、私……
  47. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) どうぞ。
  48. 藤原道子

    委員外議員(藤原道子君) ちよつと法務府へお伺いしたいのですがね、優生保護指定医というのがあるのですね。そこでまあ当然人工妊娠中絶をやるべきなんですが、今日もう社会の常識になつているのは、非合法につまり一般医者がこれを扱つている。それで産科医と言つてはあれでしようが、一般医者がこれが相当な収入になつているということが相当流布されているわけですね。こういう非合法なやり方をした人たちが今までにどのくらい挙げられておるか、お手入れができておるか、ちよつと……。処罰されておるか、全然これは放置されておるのかという点をちよつと……。
  49. 神谷尚男

    説明員(神谷尚男君) その点は、指定医と指定医でないものとの区別ということにつきましては、統計もできておりませんので、はつきりしたお答えができないかと思いますが、指定医につきましては、やはり検挙ということは非常に少いものと考えられておりまして、従いまして起訴されております者も指定医以外の者が多いのじやないかと考えられております。従いしまして、そこで統計上わかつております業務上堕胎というところに挙りますものは、ほぼ指定医以外の者であるということが推察されるということが言えるかと思います。
  50. 藤原道子

    委員外議員(藤原道子君) それで私のこれを問題にしてちよつと伺いましたのは、こういうところだと非常に高いのですね。高価にかかるのですよ、ぼられて……。だから結局山口さんがさつき言われたように、貧しい人は当然これは恩典に浴さなければならないのに、なかなかその扱いが早く行かないというために非常な社会悲劇を起している場合があるのです。そうすると金さえ出せばどこへでも行つてちよつと簡單にやつてもらえるというような考え方で、却つて母胎を危険にし、それからそこにいろいろな社会的非道徳が生まれて来る、こう思うのです。ですからその点をお伺いしてみたいのです。
  51. 神谷尚男

    説明員(神谷尚男君) まあ現在の国情から申しまして、指定医でない者のところで人工妊娠中絶が行われたということがありましても、これに対して積極的に捜査するということはなかなかむずかしいことかと思います。従いましてまあその点につきましては、やはり優生保護法の手続なり精神なりを一般国民が理解して行くということがやはり先決問題じやないかと考えられております。まあまだその点が十分に理解されてない点があるのじやないかということが原因じやないかと思われるのです。
  52. 藤原道子

    委員外議員(藤原道子君) 山口さんに伺いたいと思います。この優生保護法精神国民に徹底させるような方法ですね。こういう点に対して今までどういうことをされて来たか。
  53. 山口正義

    政府委員山口正義君) 優生保護法の趣旨を徹底させるというふうな弘報活動といたしましては、特にまあ取立てての仕事はやつて来ておりませんが、ただ優生結婚相談所という看板を掲げて、そこでいろいろ相談に応ずるということはしておりますけれども、特別な弘報活動等はいたしておりません。今後はこれと結付けてやつて行きたいと思います。ですからそういう保健婦がそういうことはやつておりますけれども、特別な弘報活動としては現在やつておりません。
  54. 藤原道子

    委員外議員(藤原道子君) そこで問題なんですがね。今の保健所の優生結婚相談所というものが相当な効果を挙げ得ているとお考えでございましようか。結局保健婦がやつているということは、ほかの保健所に参りましても医者が足りなかつたり、保健婦の数が足りなかつたり、受持区域が広過ぎたり、事務の仕事が多過ぎたりして、この保健婦が正しい使命を達成していないように、使命を正しく遂行することができない現状にあるように私ども考えている。結局まあ保健所はできました、或いは児童相談所ができました、お店だけは一応できているけれども、それを正しく運営して行く意思があるのか、今のままで事足れりとお考えになつておられるか、その点お答え願いたいと思います。
  55. 山口正義

    政府委員山口正義君) 優生結婚相談所が非常に不活発であるということは事実残念ながらそういう状態にございますということは先ほど申上げたのでございますが、保健所の活動そのものは荷物ばかりを負わされて、中で働く肝腎の医師、保健婦という人の数が十分にありませんために十分活動ができていない、訪問指導にしても、或いはそのほかの相談にしても、児童事業にしましても十分に行われていないという御指摘でございますが、これは現在そういうところが相当多いと存じます。この点につきましては、人員の増加ということはなかなか現状におきまして困難でございますので、私どもといたしましては、いわゆる保健所に今までいろんな関係がございまして、何でもかんでも保健所というふうに、而もそれが重複して事務が課されているという点が相当見受けられますので、それを成るべく早い機会に整理して、そうして本当に医師は医師として、或いは保健婦保健婦としての仕事ができるようにやつて行きたい。保健婦のかたがたが動かれるのに必要な、しばしば御指摘を受けております旅費の点とか、或いは厚生機関の点というような点につきましても漸次改善しつつあります。
  56. 藤原道子

    委員外議員(藤原道子君) 結局保健所の優生結婚相談所がもう少し機能が発揮できさえすれば、先ほど私ちよつと言葉が足りなかつたのですけれども、不当な医者の搾取に会わなくても適正な調節ができるはずなんです。でございますからこの点をよく徹底できるように今後御指離して頂きたいと思います。  それともう一つ併せてお伺いしたいのは、保健婦はどこにおります者でも非常な過労に陷つている。実に旅費もないし、乗物もないし、自転車すら一台か二台という状態で非常な過労になつております。で倒れたときにこの身分の保障、こういう点に対してはどういうふうにお考えでしようか。
  57. 山口正義

    政府委員山口正義君) 御質問の倒れたときとおつしやいますのは、病気になつたときということと存じますが、これはいわゆる共済組合のような制度によつて疾病に対しましてはそれの保護ができる、そういうふうに考えております。それが非常に長期に亘ります場合にはいろいろ困難な事情が起つて来るのじやないか、そういうふうに考えております。
  58. 藤原道子

    委員外議員(藤原道子君) 私はその困難な場合が余りにもあり過ぎる事実を知つておりますので、過労のために倒れたという人が実に惨担たる状態に落ち込んでおる。こういうところから保健婦の数の問題等々にも影響して来ると思いますので、この身分の保障ということを先ず真剣にお考えになつて頂きたい。
  59. 谷口弥三郎

    谷口弥三郎君 先刻皆さんに差上げておきました優生保護の一部改正、こういう草案をこしらえておりますので、これはいずれ皆様に提案者になつて頂いて、これを早速出したいと思うておるのですから、大臣が来るまで内容の簡単な説明をさせてもらいたいと思いますが、如何でございますか。
  60. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) 御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  61. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) なければさように決定いたします。
  62. 中原武夫

    ○法制局参事(中原武夫君) 優生保護法は正当な事由がある場合は……。
  63. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) では大臣が見えられましたから、中原課長の説明はあとに廻します。
  64. 松原一彦

    ○松原一彦君 厚生大臣にお尋ねしたいのですが、一つ楽にお答えを願います。私も掛けたままで発言いたします。  今回の援護措置に関する件でありますが、閣議が決定したと一昨日の夕刊に出ましたが、決定いたしましたものでしようか。
  65. 吉武恵市

    国務大臣吉武惠市君) 実は決定しておりますが、関係方面との折衝がございまして、まだ本きまりにはならんので発表いたしておりません。近く話がつくのじやないかと思つております。
  66. 松原一彦

    ○松原一彦君 新聞に出ました要綱は、ほぼ誤まりはございますまいか。そのまま信じてよろしうございましようか。
  67. 吉武恵市

    国務大臣吉武惠市君) 実はまだ関係方面と話がついておりませんので、内容をちよつと申し上げかねますが、新聞はどの新聞でございましようか。大体一昨日でしたか出ておりましたのは誤まりがなかつたように思つておりますけれども、どの新聞でございますか。ちよつとうつかりなことは申上げかねると思つておりますが……。
  68. 松原一彦

    ○松原一彦君 ほぼ誤まりがないものとしますならば、そこで今度の援護措置に対する疑問的な問題を四つほど伺つておきたいと思います。今日は別に私は議論をするのではございませんから、お考えを承わればいいのです。明確にどうぞ腹蔵なく……。この法の本質は一体何でございましようか。生活保護が本質か、或いは社会保障的なものであるか。或いは国家補償か、若しくは従来空白になつておつた時代の困窮者に対するところの国からの一つの慰藉料とでもいう意味のものでしようか。この本質は何でございましようか。
  69. 吉武恵市

    国務大臣吉武惠市君) 本質となりますと非常にこれはむずかしい問題で、私もこうだと言いかねるのでございますが、極く端的に言えば遺家族に対する援護ということでございまして、その遺家族の援護というのが国家補償から来た援護であるのか何かという理論的になりますと、これは非常に私はむずかしい問題ではないかと思いまして、実は補償という言葉は使つていないのであります。この援護はただ生活に困つておる人を援護するということだけではないと私は思います。若しそうだとすれば生活に困つた人にやればいい問題で、生活に困らない人には差上げなくてもいいではないかという御議論になるのでありますが、そういう差別はつけておりません。とにかく遺家族に対しては、国家のために犠牲になられたかたの遺族でありますから、それに対して国家として援護すべきである。こういう建前でできております。
  70. 松原一彦

    ○松原一彦君 大変これはあいまいで、どうもつかみどころがないのですが、要するに長い間の空白を補う適法な措置を講ずるまでの臨時措置と心得てよろしうございましようか。
  71. 吉武恵市

    国務大臣吉武惠市君) その点はこの前にも山下さんからたしかお話がございましてお答えしたように、今度の援護処置を以て永久にこれで続けて行こうという気持ではございません。併しながらこの問題は今年限りの法律であるというふうにも勿論考えていないのでありまして、なぜならば先般も申上げましたように、この軍人の遺家族の問題は同時に軍人の恩給の問題とも併せて根本的に考えなければならない問題である。従つてできるだけ早い機会に審議会を作つて、その審議会で軍人恩給及び軍人の遺家族の問題というものを根本的に御審議を願う、そうして対策を立てよう、こう言つておるわけであります。その結果こういうふうにしたがいいという意見が出て、それに対する新しい措置ができれば、二重にやるということは到底できませんからそのほうに移る、こういうふうに考えております。
  72. 松原一彦

    ○松原一彦君 それはそれだけにしておきますが、一応臨時措置とする、併し一年ではない、こういうように理解してよろしうございますね。
  73. 吉武恵市

    国務大臣吉武惠市君) それが一年になりまするか、或いは一年を越すかという点は、新しい措置ができるまでということでありまするから、或いは一年になるかも知れませんけれども、一年でないとも申しかねますし、一年限りだということも申しかねます。先ほど言つた、要は根本的なものを考えなければならないから、その根本的な対策ができれば当然その新しい措置に変つて行くであろう、こういうことであります。
  74. 松原一彦

    ○松原一彦君 従来伝わつたところではこれは一年限りの措置であつて昭和二十八年四月からは正しい根拠のある国家補償の措置を行うものであるというふうに伝わつておつたのですが、それは誤りでございましようか。
  75. 吉武恵市

    国務大臣吉武惠市君) それは誤りであるともどうとも言いかねますが、将来の問題というものは、その措置が確定するまでは、これは何とも言えない問題でございますので、先ほどのように申上げたわけであります。
  76. 松原一彦

    ○松原一彦君 実はこれは全国何百万の人々が首のちぎれるほど首を伸ばして待ちかねておりますので、これが一年延びたというのではなかなか納得しかねるものがあると思いますし、又かといつたような空頼みをさせないようにこの際この措置の本質と、それからこの措置の将来に対する御見解をはつきりさせて頂きたいと思います。併しこれは意見になりますから、希望だけ申上げておきます。  第二にお伺いします。この措置によつて與えられる年金若しくは一時金というものの生活保護法との関係はどうなりますか。
  77. 吉武恵市

    国務大臣吉武惠市君) これは別でございます。別でございますが、生活保護法の建前というものは、御承知のように生活に困られている者の最低の生活を保障する。従つてそれに対して他に幾らかの収入があれば勿論それを差引くというのがこれは生活保護法の建前であります。でありまするからその建前というものはこれはくずすわけには行かんと思う。併しながらいわゆる軍人或いは軍風の遺家族のかたがたに十分な今度の援護というものが講ぜられれば、勿論そのほうで、生活保護法の御厄介にならんでいいということになるでありましようけれども、それほど実は十分ではないわけでございまするから、その点は生活保護法で差引く場合には相当の考慮を払わなければならんかと、かように存じておるわけであります。
  78. 松原一彦

    ○松原一彦君 考慮を払うということは、それが法的措置でない限りにおいて、軍人の遺家族だから別途の収入があつてもそれは生活保護の審査の外に置くということもできなかろうと思いまするので、別の立場ができるものと心得てよろしうございますか。
  79. 吉武恵市

    国務大臣吉武惠市君) これはやかましくおつしやればそういうことになるかと思いますが、これはまあ普通の行政の運用の面で大体常識上遺家族については多少の手加減を加えるのは止むを得ないのじやないかということは私まあ御了承願えるのじやないかと実は思いますが、これも余りやかましく言われますと、法律上嚴格に差引くという処置をとるようにするか、或いはこれだけは差引かないという処置をとることにするかという問題になるのでありますが、そこは私まあ大体は運用で御了承願えやしないかというつもりでおります。
  80. 松原一彦

    ○松原一彦君 これは大変むずかしい問題で、軍人遺族という者だけは格別に扱うということは、生活保護法の面から私は非常な支障を来す。それから国民は平等にこの法の下に生きておるのでありまするからして、隣の人は遺族であるが故に生活保護法の面で手心を加えられる。一方は普通の平和産業等によつての死亡者であるから、或いは自己の過ちからの死亡者であるからといつたようなことでその家族が困窮する。これは非常に国民に刺戟を與えると思うのであります。生活保護法に手心を加えるということはこれは容易ならんことで、大変むずかしいことだろうと思いまするし、若し、生活保護法の建前から言いますと、今回の措置は、新聞で見るというと、妻に一万円とありますが、一万円を月割にすると八百三十三円であります。八百三十三円などというような生活保護はございません。生活扶助は今日現に東京では五人家内で七千円でございます。月額が……。八万四千円であります。田舎におきましても若干の差はありましても生活保護法の建前のほうが遥かに上廻つておるのであります。そうすると今日非常に困窮して生活保護を受けている人々は今回のこの援護措置では少しもプラスする面はない、何もプラスしない。国はただそれを置き換えたに過ぎないという結果を招来するのであります。この点につきましては厚生大臣は援護という一方に美名は冠しますけれども、それは本当のお座なりであつて、そうして受ける側から言うと、何の足しにもならないという結果が多数に起るということをお考えにならないでしようか、この点伺いたいのであります。
  81. 吉武恵市

    国務大臣吉武惠市君) 私は今度の援護が決して十分とは言いませんが、これはまあいろいろな事情で止むを得ないのでありますが、今の点は、妻一人だけを御指摘になりましたけれども、妻一人が一万円で、お子さんたちは五千円、それからお父さんやお年寄りがおいでになりますると、やはり一人五千円でありまするから、まあ四人ぐらいの家族になりますというと三万円ぐらいになるかと思いますし、それに今度は五万円の公債を遺族全体に與えるようになりまするというと、これがまあ十年で償還すれば一年五千円入りまするから、お一人のときだけだというとそうなりまするが、普通の家族になりますると多少は違つて来はしないかと思います。
  82. 松原一彦

    ○松原一彦君 一人の家族のときはそれは妻としては一万円でありますが、これに父母を加え、更に子供を加えましても、単位は五千円でありますから、月割は四百円強であります。ますます困難の度を増すばかりであつて少しも楽にはならないのであります。そういうような加え方は生活保護法においてもありません。すべて生活の実態に即して、燃料費から主食の費用、調味料の費用まで加えたものが生活保護の計算の基礎になつておる。今回のはそういう計算基礎とはなつておらない。家族が多くなりますれば多くなるほど非常な苦労を重ねるということになるのであります。この点につきまして厚生委員会ではかねてからこれは別途の立法によつて生活保護には支障を與えない、その上にプラスするのだという希望を持つておつたのでありますが、その希望に応ずるような御措置をおとりになる御用意はありませんでしようか。
  83. 吉武恵市

    国務大臣吉武惠市君) 今申しましたように生活保護法は生活保護法で別にもらい、援護のほうは援護のほうで別に二重にということはちよつと無理じやないかと思います。
  84. 松原一彦

    ○松原一彦君 次に伺います。今回新聞で見まするというと、この措置によりますと、兄弟二人のここに者がおつて、兄が戰死した場合に、その弟は何ら受給の資格がないことになつておるのでありますが、兄弟関係をお除きになりますと、同一戸籍内においても兄弟関係の者には何ら一片の御措置もないということの理由はどういう点ですか。
  85. 吉武恵市

    国務大臣吉武惠市君) これはやはり遺族というものは、それの配偶者でありまするとかお子さんであるとか、或いは父母であるとか、或いは祖父母であるとか、直系尊族若しくは直系卑族の範囲に限らざるを得ないというところから来ておるのであります。
  86. 松原一彦

    ○松原一彦君 これは非常に大きい問題であつて、必ず国民全般の上からは非難の出る問題であると思いますが、これは後に廻します。  次に伺います。今回の公債による一時金は太平洋戰争発生以後に限るというふうになつておるようでありますが、太平洋戰争、昭和十六年十二月八日に線を引いたゆえんをお伺いします。
  87. 吉武恵市

    国務大臣吉武惠市君) これはずつと過去に遡りますると、実はどこまでということがなかなかつけにくいし、それから又実は太平洋戰争中にはまあ一時金をもらわれたかたもございまするが、実はもらわれたかたも相当ございまして、太平洋戰争についての中でも誰と誰はどうだという区別がつきませんから、まあ太平洋戰争だけは一括して差上げるようにしたらどうか、こういうふうにいたしたわけであります。
  88. 松原一彦

    ○松原一彦君 厚生大臣、それは非常なお間違いではないでしようか。太平洋戰争によつて措置を受けなかつたとか、いわゆる恩給法その他による措置を受けなかつた者は、最終時の、数においてはわかりませんが、極く少数であります。全体から見まするというと。恩給局によつて調べまするというと、恩給局は勅令第六十八号が出る瞬間まで措置はとつております。書類によつて参つたものの措置はとつてつておるのであります。極く正確に申せば、昭和十八年度末までのものは完全に済んでおります。何らの措置を受けなかつたという者は極く終戰末期の者だけであつて、それより以前の者は一応の措置はとつておる、受けておるのであります。いわゆる日華事変と称するものは昭和十二年から始まつておる。この日華事変というものは事変であつて、戰争ではないという政府側の建前であつたのでありますが、明らかに客観的には戰争であります。天皇の命令によつて出たところのものでありますが、太平洋戰争という、主としてアメリカを敵国に廻して以来の者のみを措置して、今回の措置の中に入れて、その以前の者をば峻別しておる。これは到底遺族の諸君の納得のできない点であろうと思う。中国四百余州を駈け廻つて多数の人が戰死し、その遺族は皆今回の措置を受けるものと私は確信しておると思う。すでに当てにしておると思う。それが昭和十二年から十六年までの者はこの一時金の給與にあずからない、太平洋戰争勃発以来の考のみがこの措置にあずかれるとするならば、私は遺族の不満というものは非常に大きく爆発するだろうと思う。私どもの知つておる者、身近い者の中にも、岳州とか或いは上海等において戰争した遺族は今日窮乏の極に達しておるのであります。それにもかかわらず、それは太平洋戰争に参加しなかつたからというゆえんで取除かれるということになりまするというと非常な失望落胆を感ずる。怨嗟の声は私は国内に満ちると思う。こういうような一線を画せられたということは、最も大きな條件でありますが、一体政府はどういう根拠を以てかような線をお引きになつたのであろうか、これははつきりここにお示しにならないというと、私どもこの点につきましては承服ができがたいのであります。審議の重大なる問題でありますから、この点に対する立案者としての厚生大臣の明確な御意見をこの際承わつておきます。
  89. 吉武恵市

    国務大臣吉武惠市君) これは率直に申しまして、先ほど申上げましたような理由でございまして、今のお話を聞きますと、太平洋戰争中は殆んど一時金が出ておつたと言われますけれども、我々の聞いておるのでは、どれぐらいであるかわかりませんが、相当残つておるというまえに聞いておりますし、どこで境をつけるかということは非常にむずかしいじやないかということで、太平洋戰争ということにしたわけであります。これは又過去に遡るということになれば、どこまでは遡る、どこまでは遡つて行かないということは、これは私はむずかしいのじやないかと思います。
  90. 松原一彦

    ○松原一彦君 そこで私はかねてから申しておる、戰死に対しては国は保障をしておる法律上の明文がある。なぜその明文におよりにならないかということを申した。これに戰勝時代であろうと、戰敗になつた今日といえども変りはないのであります。それに一つの線を画して、太平洋戰争以後の者だけには公債によつて五万円の一時金を與えるという私は根本の理由がわからない、勅令第六十八号はポツダム宣言に基くものでありますから、当然廃止しなければならないのであります。それを廃止すれば当然そこに権利が復活するという明らかな法理論的なものがあるにかかわらず、その勅令を強引に一カ年間延ばす。これは延ばすということに対しても大議論がある。何故にポツダム勅令を独立後の今日に延ばさねばならないか、これは消滅すべき性質のものである。それを延ばして置いて、そうして国民がたとえ爪の垢ほどでも持つておる権利を抑圧して、そうして依怙な御措置があるとすれば、これは私は乏しきを憂えず等しからざることを憂える非常な念願が巷に満つると思う。どういう点から一体そういうようなことを思付きになつたのか、私はそのお考えがわからないのであります。大部分か小部分かは問題ではありません。又昭和二十一年までは恩給局の査定しておる原簿がここにある。漏れた者の数は勿論多数ではありましようけれどもが、法律上の措置は一応とつておるものがあるにもかかわらず、その人々を一線を画して、前には與えず後には與える、これは常識から言えば太平洋戰争以前、つまり今度の事変が起つた昭和十二年からというならばまた若干の了得するものがあろうと思う。更に遡つて満洲事変となりますというと昭和七年に帰らざるを得ませんが、この人々は或いは数においては僅かでありましようけれども、日華事変に戰死した者の数といものは夥しいものであります。この遺族はもう区別せられることはないと思う。恐らくこの人々は日華事変とか太平洋戰争ということは知らないであろう、世界第二次大戰と心得ておりますから、それが戰後において区別せられようなどと心得ておるような者は恐らく一人といえどもあるまいと思うのであります。然るにそこに一線を画せられるということは、これは重大問題なんですが、何かよほど正確なる根拠をお持ちになつてのことでなければこの線は引かれぬと思う。この点に対する厚生大臣の重ねて御説明を伺いたい。
  91. 吉武恵市

    国務大臣吉武惠市君) 先ほど申上げました以外に別に何はございません。
  92. 松原一彦

    ○松原一彦君 これは結局予算をいい加減に先に二百三十一億とかいつたようなものをきめて、予算の範囲内において措置するから、これから以上は金が出ないといつたようなことではないかと私は推定するのであります。だからこういう問題に対しましては基礎的な研究資料を集めておいて、然る後に正しい筋道の通つた解決をしないと、政治国民の信を失うのであります。政道信を失えばその国は亡びるのであります。私は今日頻々として、政道信を失つておると思う。今、日本民族はどうあつても、石にかじりついても再興しようとしておる。再興に対する政道は信義第一であります。これは私は單なる大蔵省の査定に基く、いい加減な基本のないところの政治から出て来たるあと始末に過ぎないと思う。曾つて御説明を伺つたときの遺族に対する措置は、未復員者の給與法によつておつた。これには一応の基準はあります。未復員者と同様の基準によつて一応臨時の措置をとつておくということならわかりますが、今回のは一方は年金ということであります。恒久性を帯びたる年金ということであります。一方は一時金ということであります。曾つて戰死者に対しましては皇室からの御下賜金が皆あつたのであります。それがなくなつたのならばはつきりわかります。昭和十六年十二月八日を前後して差別をつけられるという理由に対しては、恐らく何人といえども納得することはできないと思う。今日は議論を申すのじやない、お伺いを申すのでありますが、今お答えを頂いたところでは私は到底納得ができません。このことだけを申上げておきます。
  93. 山下義信

    山下義信君 この際簡單一つつておきたいと思いますが、本格的の遺族援護対策検討なさるための審議会を設置したいということをしばしばおつしやつたのでありますが、先般新聞で拝見するところによりますと、恩給法の復活についての審議会が設置せられるやに承わつておるのでありますが、この遺族援護対策の根本的な御検討は、今の恩給法の復活についての、恩給法関係の審議会を以て検討なさるお考えでありましようか、又別個にこの遺族援護の審議会を御設置なさるということでありましようか、この点を伺いたいと思います。  それからもう一つ、法案はいつ頃御提出の御見込でございましようか、すでに明日を以て二月を終りまして、年度といたしましては来月一カ月しかない、閣議決定として新聞紙に伝えられるところによりますと、四月一日から実施するというお考えのようでありますが、早く法案を御提出になりませんと、言うまでもなく四月一日の実施に支障を来たしてはならん。法案の御提出のお見込はいつ頃でございましようか、先ずこの二点を伺います。
  94. 吉武恵市

    国務大臣吉武惠市君) 第一の点は、実は恩給の問題はどうしても根本的な考えを立てなければなりません。それから遺家族も同様でございまして、恐らくこの二つは一つの審議会で審議するようになるのじやなかろうか、かように存じております。  それから第二の法案の点でございますが、漸く成案を得て今関係方面と折衝中でございますので、これは間もなく恐らく御提出ができるのじやないか、かように存じております。私どもとしてはもう一両日中にでもというつもりでございますけれども、もうそう遅くないのでございます。
  95. 山下義信

    山下義信君 なおこれは全部の遺家族に非常に関係があると思いますので、政府の御予定を承わりたいと思うのでありますが、法案が数日のうちに御提出になる、先ず御予定のように四月一日実施ということに、法律の施行は四月一日と、こういうことになるといたしましても、実際に遺族のかたがたに一時金の公債の交付、或いは遺族年金と例の政府のほうでお名前をおつけになつておる、その遺家族に対しまする金銭給付の実際の遺家族の手に渡ります期日と申しまするか、いつ頃実際遺族の手にそれらの公債或いは金銭等が交付できるという御見込でありましようか、それを承わりたいと思います。
  96. 吉武恵市

    国務大臣吉武惠市君) 実は年金につきましては大体今、もと恩給のときも年四回かに分けて出しておるのでございますので、今度の援護の措置も大体それに倣うようになりはしないかと、かように存じております。そうしますと、まあ最初の場合が大体いつ頃になりますか、四つに分けると、七月頃までにということになるかもしれません。併し私どもとしましてはできるだけ早く実施に移したいと、こう思つております。  それから公債のほうはこれはいつということはございませんで、できるだけ早く手渡しをする処置を講じたいと思つてやらしております。
  97. 山下義信

    山下義信君 公債発行の御準備等はすでに実際はお進めになつておられるのではないかとも思いますが、これはいつ頃公債の交付になりますか、およその御予定というものはあるのじやないかと思う。政府のほうにおかれましては大体いつ頃公債を交付するという、いろいろ証書と申しますか、公債と申しますか、そういうものの発行についての技術的な御操作等も御考慮になりましておよその御予定があるんじやないかと思いますが、大体の御予定があれば承わりたいと思うのでございます。
  98. 吉武恵市

    国務大臣吉武惠市君) まだ公債は何月頃というところまで具体化しておりません。私どもとしてはできるだけ早く、こういうことで急いでおります。従つて英霊の調査等も私どももやかましく言つてまあ整備をさせるということをいたしておりまして、まだ何月頃というところまでは行つておりませんのですが、自分たちの気持といたしましてはできるだけ早くという気持でございます。
  99. 山下義信

    山下義信君 法律が……これは具体的なことは今日は承わりません。ただ一応今皆が聞きたがつていると思われることを伺うだけのことでございますが、事務当局もお揃いになりませんので伺えませんけれども、この遺族年金等の法律案がきまりましたらば、金銭の給付は恩給に準じて年四回というような給付の、交付の方法をおとりになるのでございましようが、それはやはり一つの年金証書というようなものを一旦渡しておいて、実際の支払いは郵便局等の窓口で年四回というお考えではないかと推察されまするが、やはり一つの証書のようなものをお出しになるというお考えでございましようか、如何でございましようか。
  100. 吉武恵市

    国務大臣吉武惠市君) 大体そういうふうな手続きがいいんじやないかと思います。
  101. 山下義信

    山下義信君 今回の御決定の要綱を拝見しますと、従来しばしば御準備中に政府の事務当局等あたりからの一部の考えとして我々が聞いておりましたものと違つております点は、この遺族の中に夫が脱落して、このたびは除外されておるようです。女子の軍属等も相当あるように聞いておりますが、夫が除外されました、つまり配偶者が除外されておりますことは大臣承知でございましようか。何か理由がございましようか。
  102. 吉武恵市

    国務大臣吉武惠市君) ちよつと私これ正確なものはどうかと思うのですが、大体私は含まれているつもりでございますのですが、その点はもう一度調べましてお答えをいたします。
  103. 山下義信

    山下義信君 最後にこれは一つお願いでございますが、援護庁長官若しくは次長がおりましたらば今日承わるほうがいいと思つたのでありますが、これは政府に要望いたしておきますが、法律案が早く、一両日中にでも出ますればこれはそのときでいいと思いまするが、多少遅れますることがありましたら、できるだけ早い機会に我々承わりたいと思いますが、同時に政府に注意を私は促しておきたいと思うのでありますが、最近地方等におきまして非常に混乱を生じておる傾向がある。即ち援護対策を受けまする受給資格者等につきまして、殊に妻の場合が多くて、いろいろ家庭相談所でありますとか世話課等に、再縁した妻或いは実家に帰つて離婚になつている妻、いろいろな身分上の関係等につきまして問合せの殺到、いろいろな手続等が生じておるようでございます。政府は速かにこれらの地方の遺族の間の混乱を防止するために事態の明確を期さなければならんと存じますので、できるだけそういうことに対する御注意も御考慮置き願いたいことを要望いたしておきます。
  104. 吉武恵市

    国務大臣吉武惠市君) 御尤もな御注意でございまして、実はまだ法案が固まらないものですから正確な発表いたしかねておりますが、一両日中にきまりますれば大体わかりやすいような説明は、これは出すほうが混乱がなくていいと思われまして、是非やりたいと思います。
  105. 松原一彦

    ○松原一彦君 ついでに承わつておきますが、勅令第六十八号を一ヵ年間存続せしめるという御方針はお変りにならないのでしようか。
  106. 吉武恵市

    国務大臣吉武惠市君) 大体その方針でおります。
  107. 松原一彦

    ○松原一彦君 そうなりまするというと、傷痍軍人は現に勅令第六十八号によつておおむね恩給証書をもらつております。この恩給証書と、更に又年金の証書がここに新たに交付せられるのでありますが、年金の証書が二枚本人に渡る。どちらが一体主体になるものでしようか、この点伺いたい。
  108. 吉武恵市

    国務大臣吉武惠市君) この点はお話通りでございまして、現在六八で認められておりまする恩給よりも、今度とりまする援護措置のほうが相当高いのでございます。従いまして高い援護措置を講ずれば恩給のほうは要らないようなわけでありまするが、これは将来根本的にどうせ考え直さなければならぬ問題でありまするので、恩給は恩給法として一応残しておいて、それで援護のほうは担当高うございますから、高いほうで支給をいたしまして、二重に出すということはできませんから、高いほうで差上げるというふうにいたそうと思つております。
  109. 松原一彦

    ○松原一彦君 先般承わりましたところによりますというと、傷痍軍人の今回の援護措置は、特項症が六万円であつたのが六千円だけ、一割だけ増加いたしております。増加するのは結構でありますが、この増加したる理由は何でございましようか。
  110. 吉武恵市

    国務大臣吉武惠市君) これは実はお話のように特項症六万円、それからたしか六千円ずつの差があつたと思うのです。ところが私ずつと検討して見まするというと、現在の六八で認められておりますこの特項症以下六項症の分け方は同じ階段で刻んでなくて、最後の特項症だけは倍率になつているわけです。つまり普通が六千円刻みであれば、最後だけは倍の一万二千円というふうに倍率になつている。つまり半月分ずつ今まではプラスされたやつが、最後だけは半月でなくて一月になつている。その原則というものは、今度の援護措置においてもこれは認めるのが至当ではないか、こういうことで六万六千円になつたのであります。
  111. 松原一彦

    ○松原一彦君 御承知のように今日の特項症から六項症まで分けられている傷痍軍人の年金は、実はあれは階級があつて、階級と症状と、あの両方をプラスしたものがあの最後の査定線になつておるのでありますが、それによりますというと、明らかに軍人の階級というものが今日存続しておるのであります。今回の御措置は、階級というものは全然認めてない、いわゆる社会保障的なものでありますが、従来の考え方を尊重せられて、同じ区別によらないということは一つのよいお考え方とは思うのでありますけれどもが、二項症までは、傷痍軍人の年金によりますというと家族加給がついておるのです。その家族加給を今回の措置によりますというと認めないのでありますが、これは特項症は六千円の増額によつてカバーする点があるとしましても、極く少数であります。人数から言えば目にもとまらんほどの少い数であります。一項症、二項症となりますと数が殖えております。この中にはめくらもあります。このめくらの人たちは手引の妻を持つておらねばならぬというようなことから加給が非常に必要になつておつたのでありますが、何ら今回の御措置には御考慮がない。この点はどういうお考えでしようか。
  112. 吉武恵市

    国務大臣吉武惠市君) これはまあ全体に通ずる問題でございまして、先ほど申しましたように遺家族の援護の問題にいたしましても傷痍軍人の問題にいたしましても、額の点になりますとお話のごとく実は十分でございませんで、甚だ遺憾に思うのでございますが、それは今日の財政上止むを得なくてこの程度なつたわけであります。最後の特項症について六千円加えましたのは、今までの段階が六八でさえ最高の特項症についてはそれだけの考慮が払つてあるのだから、今度の際もそれと同で、原則に従がおうじやないかということで訂正したわけでございます。
  113. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) ほかに御発言もなければ厚生大臣に対する質疑を終りたいと思いますが、よろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  114. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) 御異議ないと認めます。   —————————————
  115. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) それでは法案の説明を聞くことにいたします。
  116. 中原武夫

    ○法制局参事(中原武夫君) 優生保護法は合法的な人口妊娠中絶の可能範囲を拡大しまして、止むを得ざる事情にある人が刑法の堕胎罪にひつかからないような措置を講じてあります。ところがそういう措置を講じたにもかかわらず、優生保護法の規定によらない人口妊娠中絶、いわゆる闇の人口妊娠中絶がなおあとを絶たないと言われております。その数は的確には推定できませんが、公衆衛生院の古屋傳士は十二万と言われ、谷口先生は五十万近い数があるのではないかというように推定されております。資料によりますと、昭和二十五年度におきまして妊娠可能の配偶者を持つておる女子の数は三百六十万人であります。これは二十五年における総女子人口四千二百五十万人の大体八分五厘くらいに当ります。この三百六十万という数は若し外部的な抑制がなければ出産者として現わるべきものであつたのであります。ところが昭和二十五年の出生数は現実には二百三十万であります。そうしますとそこに百三十万人の差が出て参ります。この百三十万人は恐らく出生を抑制された数であるということができるのであります。一方二十五年度における優生保護法に則つて中絶をやつた数は約五十万であります。そうしますと八十万人というものが優生保護法の線に乗らずして何らかの形で抑制されたということになるのであります。その途は一つ受胎調節方法を講じたことによつて妊娠に至らずして抑制されたものでございます。人口問題研究所が調査いたしました二十五年度における受胎調節普及率を見ますと二〇%弱になつております。又その受胎調節方法の成功率は八〇%弱になつております。この計数に三百六十万を掛けまして割出して参りますと五十四万人、約五十万人という者が受胎調節方法によつて抑制されておるということができます。すると優生保護法によるもの五十万人と只今受胎調節によるもの五十万人を合せますと百万人、残りの三十万人は闇によつて人口妊娠中絶が行われたものだということになるわけであります。三十万人の人々が人口妊振中絶の途を闇に求めたということは、二つの面において大きな弊害を伴つております。一つ経済的な面であります。優生保護法の線に乗つかつて人口妊娠中絶をやりますと、費用は全部合せて千円で済みます。闇でやりますと三千円から五千円取られると言われております。少いところを押えましてその差二千円を三十万に掛けますと大体六億円、その六億という金が浪費されたということになるわけであります。それから優生保護法は指定医という制度を設けて、熟練した專門家によつて人口妊娠中絶をやるということにしております。その線から外れた人口妊娠中絶は拙劣な技術によつて手術が行われたということになるのでありますから、母体の健康に対する傷害が甚だしいと言うことができるのであります。この二つの面から闇による人口妊娠中絶はどうしても合法的な線へ乗せて行く措置を講じてやらなければならないということになるのであります。人口妊娠中絶というものは最善の方法ではございません。若し子供を持ちたくないならば、子供を持つことがどうしてもできないならば、それは受胎調節方法によることがよりよい方法であります。受胎調節につきましては先ほど厚生省からお話がありましたように、行政措置によつて二十七年度から積極的に運動を展開されるということになつております。受胎調節は法律の面では自由放任行為であります。法律上禁止されてはおりません。若し受胎調節のことに関して法律がタッチするとするならば、そういう厚生省の行政措置による奨励策に便乗して金儲けのためにいい加減な受胎調節業をやる者、そういう者が出て来ることを阻止するというだけを一応考えておけばいいということになるのであります。堕胎罪という網がかぶさつておるために初めから終りまで一応法律によつて措置を講じてやらなければならない人工妊娠中絶の場合とは趣を異にしておるのであります。優生保護法があるにもかかわらず闇の人口妊娠中絶が行われております理由は、そのうちの或る部分は優生保護法が認めておる範囲に外れておる、そういう場合が考えられます。それから又優生保護法があるということを知らずに、優生保護法で当然許さるべき事由があるにもかかわらず、この法の適用を受けなかつたという者もあります。それから更に進んで優生保護法の存在を知つておる、そうして指定医の所へ行つたけれども、手続が誠に面倒くさいので、優生保護法の手続をやめて以外の方法によつた者もあります。そこでこの闇の堕胎を合法的な人口妊娠中絶の措置へ乗せる方法としては、もつと優生保護法の認める範囲を拡大し、実質的に堕胎罪というものを廃止してしまえという議論がございますが、こんは先ほどお話がありましたようにとるわけには参りません。そこで優生保護法で要求しておる手続、その手続を簡素化することによつて手続の煩瑣を嫌つて闇に走つた人を合法的な線に乗せて行こうという途を今度の改正案はとつでわけであります。現在は身体的な健康上の理由による場合でも、精神病とか将来健康を害する慮れがあるという見通しの下にやる場合には、指定医師の認定だけでなく、ほかの医師の意見書と審査会の審査と二つの手続を要求しておるのであります。このことが非常に優生保護法を利用する者にとつては煩瑣な手続になつておるのであります。それで改正案では健康上の理由による場合には、指定医師だけの認定だけでやつてよろしいというように措置をいたしました。今申上げました二つのことが今回の改正案の主眼点でございます。そのほかに三年間の経験から非常に不均衡と感ぜられるものを是正し、又優生結婚相談所という名称が世人に実態を認識させない名称でありますので、その名称を変えて行くということ、又優生保護相談所の設置の仕方につきまして現実に行われております実態と法律とがそぐわない点がありますので、そういう点を是正したこと、そういつたものを盛り込んで今回の改正案ができております。  ざつと各條の変つた点だけを申上げます。対照表の上欄は現行法、下の欄は改正案でございます。三條は優生手術の文でありますが、この見出しを先ず変えました。「従来(任意の優生手術)」という見出しをつけておりましたが、実は勝手にやつてもよろしいというのではなくて、同意を必要とし、医師の認定を必要とするわけであります。それで実態に合うように「(医師の認定による優生手術)」という見出しに変えました。三條の一項の一号で「又は」以下が附加わつております。現在は本人が精神病者精神薄弱者でありますときは、常に審査会の審査にかけるということにして、同意だけではやれないようにしてあります。ところが本人についてはそれでいいのでありますが、配偶者が精神病者精神薄弱者である場合には、健全な頭を持つておる本人の同意があればやれる途を用いたのであります。二項は新たに附加えた條項でありまして、現行法の三條の四号、五号は「生命に危険を及ぼす慮れ」、「母体の健康度を署しく低下する慮れ」、これはいずれも女性に関することでありましたので、一号から三号までにかぶさつておりますように「本人又は配偶者が」というかぶせ方をしてございません。そうしますと四号、五号に該当するようなときは女性に対してのみ優生手術をする、男に対してはできないということになります。これは女性の立場からいいますと、男性横暴であるという声が出て参りましたので、男性に対してもできるというようにしましたのが二項の追加條項であります。三項は二項をただ移しただけであります。第四号では先ず見出しを変えました。「(強制優生手術の審査の申請」)と従来言つておりましたが、この強制という言葉は、本人を手術台の上に縛りつけてでもやるというような強い意味までは含んでおらなかつたのであります。そういう実体を表現する意味で「(審査を要件とする優生手術)」と改めました。その次の第十二條は全文が書き改めてございますが、実質的に変つた点は二点でございます。先ず見出しを先ほど三條で変えましたように「(任意の人工妊娠中絶)」を「(医師の認定による人工妊娠中絶)」、こういうふうに変えました。それから十二條をいじくるついでに、現行法で先の條文を準用して非常にわかりにくかつたのを、わかりやすく列記的に改めてわかりやすくいたしました。この列記のうちで二号から四号までは前と同様であります。一号のうちで「精神病精神薄弱」が追加されております。これは現在十三條の審査を要する條項に入つております。これらのものを審査を要せず、医師の認定だけでできる該当事由にいたしました。五号は現在は審査を要する條項に入つておりますのを、同じように健康上の理由によるものでありますから、十二條に移したのであります。二項、三項は、それに伴いまして條文の整理をいたしましたのであります。第十三條は十二條へ引取りました「精神病精神薄弱」と身体的理由によるものを抜き出したための整理が一項であります。そうしますと十三條は経済的な事由によつてする場合と暴行脅迫を事由とする場合に限つてだけ審査会の審査にかかるということになるわけであります。でその場合には従前は民生委員意見書を要するということにいたしておりましたが、これを市町村長、特別区の区長の意見書でもかまわないというように範囲を拡げたのであります。十八條の五項は、実質的な変更ではございません。審査会の委員の報酬、費用弁償について根拠規定を與えませんと、地方におきましては、財務当局から金を出すことを澁る向きがありますので、そういうことがないように根拠規定を與えたのであります。現実にはこの通りに殆んど手当を出しておるのであります。五章の優生結婚相談所という名称は、いずれも優生保護相談所と変えました。優生結婚相談所とありますので、結婚の相手を探してくれという相談が来るのであります。そういう間違いがないような名称を考えようというので優生保護相談所と一応いたしました。併し優生保護相談所といたしましても、実体が何であるのかよくわからないのであります。これにつきましては家族計画相談所、計画出産相談所、母性保護相談所というような名称でどうだろうかというような意見も出ております。ただこの名称は、あとに二十三條に名称の独占という條項がありますので、余り広い名称にいたしますと、そういう名称を使つたらいかんという條項との関連をお考えつて御決定を頂きたいと思います。二十一條の改正は、これは現実にあることを法律に反映するように書き直したのであります。前は優生結婚相談所は国の責任において作るということを建前にして作つたのでありますが、現実には、いずれも都道府県、保健所を設置する市の負担において設置されて参りました。そういう実態に合せるように書直しました。又二十七年度からは相談所に対して補助を出すことになりますので、新たに四項を加えたのであります。二十二條は條文整理であります。二十三條も條文整理、二十四條も同様の整理であります。二十五條は報告をする期間を今まで三日にしておりましたのを十日に延ばしたのであります。二十七條は、民生委員意見書を付けるということが前に要件になつております。でその民生委員に対する秘密保持の義務が従前は的確に出ておらなかつたのであります。民生委員法の十五條には、執務基準としまして、人の身上の秘密を保持するように努めなければならないとありますが、その程度では足りないのではないかというので、はつきりと民生委員に対しても秘密保持の法上の義務があるということを明らかにいたしたのであります。二十八條には新たに二項を附加えました。これは女子に対して避妊用の器具を使用する受胎調節の実地指導を業とする者は、医師のほかは講習を受けて知事が指定をした助産婦だけであるということにしたのであります。ただ子宮腔内に避妊用の器具を挿入する行為は医師でなければやつてはいけないということにいたしました。現在薬事法では女子に対する避妊用の器具で身体に挿入するもので公然と販売を許されておりますのはペツサリーだけであります。ところが薬事法は使用販売の目的で云々することだけを抑えておりますので、医者が自分で作つて、或いは注文さして、製造して、自分の研究用に使う場合には一応薬事法にかからないということになるのであります。薬事法は、子宮の中へ入れる避妊用の器具は不良用具として販売を許しておりません。ところが現実には先ほど申しましたような拔け穴と申しますか、穴から避妊用のリング、それからベンと称するものが医者に使われておるようであります。但書は薬事法の建前と少しぶつかるようなきらいがございますが、そういう意味で特に子宮の中へ入れることは專門的な医者でなければやつたらいけないということにしたのであります。あとはこれは條文整理と、罰金、科料の額が今までは五千円、千円といつて非常に少かつたので、最近の額に合せる意味で十倍に引上げたのであります。又二十八條の二項が附加わりましたので、それに相応する罰則を三十三條につけております。  以上が今回の改正案の内容でございます。
  117. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) 以上で説明を終りまして、次に移ります。   —————————————
  118. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 総務課長が出て下さいましたので、この間社会保障制度の実態調査予算昭和二十六年度の説明を頂きたいというのでお願いして置きました資料を頂きましたのでございますが、これにつきまして少々お伺いをしたり、或いは説明をして頂きたいと思いましたのでございます。  第一点に伺いたいことは、これは社会保障制度調査で、昭和二十五年の八月現在で要求された額と、それから二十六年になつてから実施された額とが違つて来たということでございます。そのうち伺いたいことは、この要求の一番初めに助産婦の実態調査費が百二十三万四千七百円取られておりましたのに、昨年になりましてからこれが三十万円に減らされた。その理由はどうでございますかということを承わりますと、その理由は、そう急いで社会保障制度方面の実態の調査をしなくてもいいからだということでございましたが、そういうような理由書を頂いておりますけれども、これがはつきりいたしておりません。すでに助産婦の中には百四十万円も実態調査費が頂ける、それが三十万円しか頂けないのはどういうわけだという疑問を持つ者もございますのでございます。厚生省としましてどういうようにしてこれをわからせるようにして頂けるかということも一つの問題で、それからもう一つ問題は、すでにこうした実態調査は総務課のほうでは総務課の、官房というものがおありになりまして、それでこうした医療のセンサスがすでに厚生省大臣官房の統計調査部というのがおありになりまして出ておりますのでございます。昨年の十二月三十一日現在で、その中にも助産婦の実態調査についての調査がついておりますのでございますが、その統計と、そうしてこの際助産婦の三十万円というようなのは重複するのではございませんでしようか、その点が統計部との間の関係がどうなつておりますか、先ず二点お伺いいたします。
  119. 小山進次郎

    説明員小山進次郎君) お答え申上げます。最初に申されました助産婦の実態調査に関する費用が当初一応仮に見込みましたものよりも実施が少くなつておりまする理由につきましては、むしろこれをやることが必要ないというよりも、ほかに差当つてやらなければならない調査のほうに当初見込んでおつたよりもより多くの費用を必要とするということに相成りましたことがその理由なのでございます。で申上げるまでもなく、予算をおきめ願います場合におきましては、この費用は社会保障制度の企画並びに基本的調査を行うために必要な経費として、全部を一まとめにしておきめを願つているわけであります。その場合におよそ一体厚生省としてはそのような調査として明年度どういう調査をしたいのかというので、大蔵当局と折衝いたします場合の一応事務的な便宜のために内訳なるものを作るわけでありますが、これはそれを見込みました当初と、実施に移しまするときとの間に情勢の変化がございません場合には、大体当初見込んだ通りに実施ができるわけでありますが、その間に非常に大きな情勢の変化がありました場合におきましては、なかなか当初見込んだ通りに参らんという場合が起きるわけであります。今回の場合は正しくそれでありまして、昭和二十五年の八月当時と、いよいよ、実施にかかりました二十六年の四月とは非常に大きな情勢の変化がございましたので、止むを得ず当初見込みました考え方を変えまして、差当り国民生活水準に関する精密な調査をするということに全力を傾注するということにいたしたのであります。その結果、これに非常に多くの金額を食われることになりましたので、そのほうに向けざるを得なくてそうなつた、こういうわけでございまして、決して助産婦の実態調査差当りの必要を認めないからというわけではないのでございまして、この点若しも差上げてございまする資料の表現に不十分な点がございましたらお許しを願いたいと思います。  それから第三点の、ここで計画されておりまする助産婦の実態調査と統計調査部で行いましたものの助産婦調査との関係につきましては、私必ずしも詳しいことを存じておりませんので、却つていい加減に申上げても恐縮でございますが、大体の筋といたしましては、私どものほうで計画いたしまするのは、社会保障制度を実施して行く場合にどうしてもなければならんという、そういうそのときどきに一番まあトピックの問題として必要とされる、そういうような経費について、そういうような事項について調査をするわけであります。統計調査部のほうの調査はこれとやや性質を異にいたしまして、大体軌道に剩つて動いておりまする制度等につきまして、その基礎がどういうふうになつているかということをやや落着いた基礎において調査をする。まあこういうような分担区分になつておりまして、最初申上げましたこの助産婦の実態調査におきましては、でき得れば将来日本国民の全部に対して医療に関する社会保障が完全に行われる、その一環といたしまして助産につきましては、現物給付が漏れなく行われるというようなことが一応社会保障制度の構想として当時描かれておりましたので、若しそういうものが行われるとしたら、取りあえずどれだけのことを用意して調べておかなければならんか、まあこういうようなことで計画した調査でございます。
  120. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 それでは重ねてお伺いいたしますが、こちらで計画をされましたこの調査は、一体これらの生活実態調査、件数調査助産婦の実態調査、それから船員保険の被保険者罹病調査、これらは一体どこで実際の調査をやつておられますのか、承わりたいと思います。
  121. 小山進次郎

    説明員小山進次郎君) 一番最初の生活実態精密調査は、これは現在名古屋と富山と静岡県の桜木につきまして現在すでに実施をいたしまして、目下この集計に取りかかつております。非常に大部の調査でございますので、分析等の完了いたしまするには若干の日にちがかかるかと思いますが、これはすでに調査目体としての部分は終つております。それから件数定額払い調査は、これは現在岡山県に委託をして実施をしております。それから船員保険の被保険者罹病実態調査は、現在厚生省保険局で直接実施をしております。それから助産婦の実態調査は、今までの部分がいずれも国みずからが行うか、或いは地方公共団体が行うといつたやり方でやつているわけでありますが、助産婦の実態調査につきましては、これといささか趣きを変えまして、看護協会に委託をして実施をするということで現在取りかかつているところでございます。これは当初の計画でありまする地方公共団体に委託をして実施をするのと違つて来ておりますので、この部分については特に大蔵省と協議をいたしまして、その承認を得て実施をしているわけでございます。
  122. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 それでよくわかりましてございますが、重ねてお伺いしたいのでございますが、この日本看護協会のほうにこの実態調査をしないかという委託をして頂きましたことは非常に有難いのでございます。協会としましても有難いのでございますが、非常にこの調査方法と申しましようか、これは特に厚生省の委託というものはこういうものなんでございましようか、存じませんが、厚生省の御意見が強く反映しておりますと申しましようか、協会といたしましても八月のときにこれの調査をしないかということでございまして、そのときの話では、調査だけすればいい。非常に費用も少いことでございますし、調査だけすればいい。集計は厚生省かどこかでなさつて下さるというお話でございましたが、実際の厚生省からのお話では、これは集計もするようにというので、実は看護協会のほうとしてもちよつと困つたようなわけなんでございます。それからもう一つ厚生省のほうで調査をしないかというときにお話のございましたのは、助産婦の部会をしてやらしめたらどうかというような御意見が出たのでございますが、これについて課長の、どういうわけでこういう御意見が出ましたか、はつきり御意見を伺いたいと思います。
  123. 小山進次郎

    説明員小山進次郎君) この調査を委託いたします先でありまする日本看護協会との間にいろいろ相談の過程におきまして食い違いのありましたことは、どうもこれは事実のようでございまして、この点私も非常に遺憾に思つております。併しいずれにしても、只今井上委員が申されましたように、やられます日本看護協会においても是非この種の調査はみずからの力でこなしてやりたいという強い御希望をお持ちでございますし、又厚生省といたしましても、ここにお願いをしてやることが一番効果的であると考えておりますので、そういうことで現在やつて頂いているわけでございます。いろいろ細かい点についての話は、今後実施の途上において十分調整し得る問題でございます。よく含みまして、当初の目的が十分に達せられるような、効果的な調査にまとめ上げるようにいたす考えでございます。  それから助産婦部会のほうにお願いをしておるというお話でございますが、これは日本看護協会がおやり下さるとすれば、恐らく助産婦部会だろうという趣旨で、事実上の問題としてお話をしておるだけのことでございまして、委託先は日本看護協会でございます。
  124. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 それでは重ねて私は念を押しておきたいと思いますが、この社会保障の実態調査ということと、官房と申しましようか、統計調査部ということの予算とは全然別個なものでございまして、協会がこれをお引受けいたしましても、統計調査部に対して何の支障もないということでございますか、重ねて伺つておきたいのでございます。
  125. 小山進次郎

    説明員小山進次郎君) 統計調査部の調査とこれとは別でございまするから、恐らく日本看護協会のほうでこの調査もできるし、又はかのほうで依頼されました調査もこなす力が事実上おありになるということでありまするならば、おやりになることは少くともこの計画から見まするならば何ら支障ないわけでございます。
  126. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 よくわかりましたのでございますが、それでは最後にもう一言伺つておきたいのでございますが、大変に厚生省の親心は結構なのでございますが、実際の具体化が余りにも遅うございまして、八月にすでにわかつておりますことを、十二月になつて、殊に契約は一月一日現在で契約をしないかとおつしやつて頂いたのでございますが、そうした、遅れたということについてどういう理由がございましようか。
  127. 小山進次郎

    説明員小山進次郎君) それは当初予算に予定しておりました通り地方公共団体を通じてやりたいというような考え方を、一応この仕事の執行に当る官房総務課の担当者は持つていろいろ考えておつたわけであります。これに対しまして、それよりもむしろ日本看護協会に委託してやるほうがより効果的にできるのだから、そういうふうにしたらという別な意見も現われて参りまして、どちらがより効果的であるというようなことをいろいろの角度から検討しておりまして、実施が非常に遅れたわけでございますが、ただその間事実上の話合いとしては、でき得ればお願いしようというような話も進みかけておつたわけでございますから、只今井上先生がおつしやいましたほど、実際上切羽詰つてお願いしたというわけでもないのでございます。
  128. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 もう一つつておきたいのでございますが、只今の実際の事実といたしまして、もう二月でございますが、三月、年度末ということになりますと、若し実際にこれが契約通りに看護協会のほうでできないということになりまして、万が一にもこれができませんということになりますと、厚生省としましてはこの調査をどういうふうに割当てられる御計画がございましようか、それも念のために伺つておきたいと思います。
  129. 小山進次郎

    説明員小山進次郎君) 只今お話のようなことは到底あり得ないし、あつてもらつては困るというふうに考えております。ただ強いてそういう場合はどうかということであるといたしますれば、私どもとしては、もうこの調査はそう簡單にできる性質の調査ではございませんので、若しも日本看護協会がこれをきめた期限までにできないということであるとすれば、誠に遺憾なことでありますが、本年度の予算といたしまして一応リザーブいたしました三十万円は使わずに、不用額として残す以外には途はないだろうと思います。併しこれはいずれにしても到底あり得べからざる仮定の上のことでございまして、現在の看護協会のいろいろの御手配の状況その他を考えまして私どもは十分これは年度内に完了してもらえるというふうに信じております。
  130. 井上なつゑ

    井上なつゑ君 もう一点だけお伺いしておきたいのですが、それはもうくどいようでございますが、重ねて伺つておきたいということは、日本看護協会にもこうした資料を持つておりまするが、統計調査部にもこうした実際調査のいろいろの資料をお持ちになつておられますが、これは統計調査部の方面へお任せになるようなおつもりはございませんでしようか、その点も念のために伺つておきたいと思います。
  131. 小山進次郎

    説明員小山進次郎君) 先ほどから官房総務課と統計調査部との関係の問題についていろいろお話がございましたが、少くとも厚生省としましては、どこでやることが一番効果的であるかということを考えてやつておるわけでございまして、官房総務課でやるという態度で現在やつておりまする調査はよそへ委託するというような考えは毛頭ございません。若しそういうふうにする場合には、むしろここへ組んで統計調査部へ委託するという方式をよるよりも、初めから統計調査部所管の費用のほうへ組むわけでございます。
  132. 梅津錦一

    委員長梅津錦一君) では本日はこれにて厚生委員会を閉じます。    午後一時十六分散会