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1952-06-13 第13回国会 参議院 建設委員会 第52号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十七年六月十三日(金曜日)    午後一時三十三分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     廣瀬與兵衞君    理事            赤木 正雄君            田中  一君            小川 久義君    委員            石川 榮一君            深水 六郎君            門田 定藏君            東   隆君   事務局側    常任委員会専門    員       菊池 璋三君    常任委員会専門    員       武井  篤君   説明員    建設省住宅局住    宅企画課長   鬼丸 勝之君   —————————————   本日の会議に付した事件 ○公営住宅法の一部を改正する法律案  (田中一君外八名発議)   —————————————
  2. 廣瀬與兵衞

    委員長廣瀬與兵衞君) 只今から建設委員会を開会いたします。  公営住宅法の一部を改正する法律案議題に供します。先ず発議者から提案理由及び説明をお述べ願います。
  3. 田中一

    田中一君 只今議題となりました公営住宅法の一部を改正する法律案提案理由を御説明申上げます。  公営住宅法は、昨年七月施行されまして、爾来約一年間、国民生活の安定と社会福祉の増進に寄與して参つたのでありますが、この間における法施行の状況に鑑みまして、この際二、三の点につき改正を施すことが、法律の運用を更に円滑且つ実際的ならしめるために必要であると考え、この法律案を提出した次第であります。以下順次、改正点につき説明いたしたいと存じます。  改正の第一点は、公営住宅及び共同施設建設の目標として、その主要構造部耐火構造にするように努めなければならぬことを明らかにしたことであります。住宅、特に公営住宅建設につきましては、実情に応じて彈力性ある方策をとる必要のあることは充分首肯されますが、それにもかかわらず、我が国における住宅建設指導的役割を演ずべき公営住宅建設におきまして、不燃住宅尊重基本的方針を宣明しておくことが国家百年の大計を樹立するという観点から是非とも必要であると考えるのであります。このことは、建築技術進歩建設方式改善等によりまして、單なる理想としてではなく現実の問題として十分考慮され得るものとなりつつあると確信いたしますと同時に、この大原則を掲げておくことが逆に建築技術進歩建設方式改善等を促進することにも相成るものと考えるのであります。  改正の第二点は、家賃に関連するものであります。その一は、法第十二條による限度をこえて家賃を定め又は変更し得る場合として、公営住宅に改良を施したときを第十三條第一項に追加したことであります。その二は、第十二條による限度をこえての家賃の設定、変更の場合には、公聽会を開いて利害関係人及び学識経験者意見を聞くこととして、適正妥当な家賃の存続乃至は実現を図つたことであります。その三は、疾病、失業等の特別の事情のある場合における家賃又は敷金の徴收猶予規定を設けまして、実際の必要に応ずることといたしたことであります。  改正の第三点は、事業主体修繕義務の対象を擴げまして、家屋基礎、土台、家屋内部附帯施設をもこれに含ませることとし、また、その修繕の実施は修繕事由の発生後遅滞なくしなければならぬことといたしまして、法制定趣旨実現を更に十分にしようとしたことであります。  改正の第四点は、第二十四條に関連いたしまして、公営住宅讓渡讓渡対価の費途、用途廃止事由等範囲を擴張しようとすることでありますが、これらは主として既往の実績に徴しまして、更に円滑なる法の施行に備えようとするものであります。  以上改正法律案の大要を説明申上げましたが、何とぞ慎重御審議の上、速かに御可決あらんことをお願いいたします。
  4. 廣瀬與兵衞

    委員長廣瀬與兵衞君) 本法案につきまして、御質疑のおありのかたは順次御発言を願います。  では提案者から逐條的に少し説明して頂きます。
  5. 田中一

    田中一君 大体提案由説明でおわかりと思いますが、今日の状態では国が率先して耐火構造の家を作らなければならんということはしばしば本委員会においても論議されたことでありまして、その点を第一に明確に打出したのであります。なお、現在の法律では三カ年計画として先般も本国会でその計画案を承認いたしましたが、提案者考え方としましては、この耐火構造にしなければならないという原則はつきりと確立したいという気持であつたのでありますが、今申上げましたような三カ年計画というものが現在国会の承認を経て現存しております関係上、「努めなければならぬ」という工合に柔らかく規定したわけであります。
  6. 小川久義

    小川久義君 政府側の御意見を伺いたいと思います。
  7. 鬼丸勝之

    説明員鬼丸勝之君) お尋ねにお答えいたします。政府側といたしましては、今回の改正案の第一点でありまする「耐火構造とするように努めなければならない。」という規定につきましては、その趣旨は至極結構であると存ずる次第であります。ただ今田中委員提案者である田中委員から御説明がございましたように、三カ年計画もきまつておりますし、又公営住宅の量と質のバランスの問題もございますので、直ちに一挙に全面的に不燃化するというわけには参りません。従いましてこの趣旨規定でこの理想を掲げてこの理想をできるだけ速かに実現するように努力したい、かように考えております。
  8. 田中一

    田中一君 次の点でありまするが、公聽会の問題につきましては、まだ公営住宅の実態の上に余りトラブルがございませんけれども、いわゆる入居者側事業主体の間にトラブルが比較的少いのであります。併し今後の問題を考えまして、ただ一方的に事業主体の意思において家賃を上げるなどというようなことがないように、非常に民主的に入居者、或いは常識的に一般国民が納得するような形で値上げの問題を解決して行きたい、かように考えまして、公聴会制度を置いたのであります。改正案の第十三條の二項にありますところの「利害関係人及び学識経験のある者の意見を聞かなければならない。」ということは、單に利害関係人と申しましても、ただ入居者だけを限定したものではありません。国民の税金で以て建設しますところの公営住宅でありますから、直接入居者は無論のこと、入居を希望する者も利害関係人範囲に入れるのだ、かように考えてここにこの修損を掲げたのであります。
  9. 廣瀬與兵衞

    委員長廣瀬與兵衞君) この点について御質疑ございますか。ございませんければ、提案者から続けて御説明願います。
  10. 田中一

    田中一君 次の第十三條の問題でありまするが、これは現在の現行法には減免規定がございます。第十二條の三項に減免規定がございますが、一応入居者に対する明渡しの請求があると同時に減免規定がございますけれども、家賃は沸いたいのです、家賃は拂います。併しながら一ヵ月待つてくれ或いは二ヵ月待つてくれというような場合、これを家賃の取立てを猶予するという條項を入れたほうが、一遍に減免する、つまり全然拂わなくてもいいという処置をとるよりも、公営住宅事業主体の経営が健全になる、同時に又人間の感情としまして、やたらに政府からの援助を受けてやるというよう考え方でなく、自分自身が働いてそれを返せるというような点に人権を尊重する意味において、又人間の人格を尊重する意味において猶予するという規定を設けたのであります。東京都の條例ではこれはやつておりませんが、川崎市の條例では一応この減免規定の前に猶予規定を含めた條例を作つております。これを明文化したい、かように考えて改正案を出したのであります。
  11. 廣瀬與兵衞

    委員長廣瀬與兵衞君) 御質疑がございませんければ、続いて説明を願いますが如何ですか……では提案者から引続き御説明を願います。
  12. 田中一

    田中一君 次の点は、第十五條の修繕義務はつきりとその範囲を明確にしまして定めたわけなんでございます。この点は現在でも公営住宅維持管理費というものは相当額に上つております。一つの例を申しますと、川崎市などは約二千四百戸の公営住宅を持つておりますが、そのうちの千戸に対しては大体年に五百万円近い維持管理費がかかるということを訴えております。併しながら入居者の身にとりましては自分の家が損壊されるということをそのまま耐えられるものではありません。従いまして、当然事業主体が直ちに壊れた場合には修繕するという義務はつきりと明確にしたわけなのであります。現行法から擴張しましたのは、基礎、土台、こういう点を入れました。それから「家屋内部給水施設排水施設電気施設、その他省令で定める附帶施設、この修繕する必要があつたときは遅滞なく事業主体修繕しなければならない、こういう工合義務付けました。  次の第二十四條中の第一項の、「その入居者又は入掛者の組織する団体」、これを「入居者の組織する団体又は営利を目的としない法人」、かように讓渡範囲擴げたのでございます。  それから次の事業主体変更、これは第二十四條の二の、新らしく事業主体自分管理かかるところの公営住宅或いは共同施設自分のほうに工合悪い、こういう場合には建設大臣の許可を得て他の地方公共団体讓渡する、これは実例を申しますと、例えば県営の公営住宅を持つておつた、併しどうも管理上不便だから市に移そうという場合には市にも移すことができる、かように考えてこの改正の点を出したのでございます。以上が大体改正案逐條的な御説明であります。
  13. 赤木正雄

    赤木正雄君 改正法案提案理由の内容を承わりました。まだ時日のあることでありますから、私はできることならこの次の委員会まで質疑を保留されたい。
  14. 廣瀬與兵衞

    委員長廣瀬與兵衞君) 只今赤木君の御発言通り質疑を次回に延ばすことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  15. 廣瀬與兵衞

    委員長廣瀬與兵衞君) 御異議がなければ質疑は次回に延ばします。   速記をとめて。    午後一時五十分速記中止    ——————————    午後二時二十七分速記開始
  16. 廣瀬與兵衞

    委員長廣瀬與兵衞君) それでは速記を始めて下さい。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時二十八分散会